JP7034970B2 - 旋削加工方法及び旋削加工用ジグ - Google Patents
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Description
しかしながら、NC旋盤によるブッシングの旋削加工に際し、ワークの外周部を直接チャックすると(上記特許文献参照)、内厚の薄いものであれば、確実に円周の変形が生じて真円度が悪化し図面公差を満たすことができなくなる。
しかも、ブッシングの加工においては、径の異なる領域が軸方向に連続するワークを、内面及び外面並びに各領域の軸を同じくして精密に加工する必要が生じるところ、従来、ロットや作業者が相違すると、それらによる精度のバラツキが避けられず、製品の品質が安定しないという問題もあった。
前記内面仕上用ジグは、前記ワークの端面、又は表面の切込を確保し前記チャックの回転軸方向に加圧挟持する構成を採用することができる。
更に、外面仕上用ジグの軸部を前記内面仕上工程を経たワークの中空部に嵌め入れ、当該軸部により当該中空部の内面に対し径方向外側へ均一に加圧保持して行う外面仕上工程を行う旋削加工方法を採用することもできる。
その際、前記ジグを直接チャッキングし、ワークは、当該ジグ内でその軸方向に加圧保持する手法を採っているため、円周の変形が生じて真円度が悪化するなどの不具合を防止することができる。
また、その際、ジグを直接チャッキングし、且つワークは、その内面が当該ジグの遠心方向へ均一に加圧することにより保持されているため、円周の変形が生じて真円度が悪化するなどの不具合を防止することができる。
ここでは、焼き入れが完了したロジック弁ブッシング(以下「ワークW」という)を本発明による加工ジグに取り付け、ボラゾンチップ(材質:窒化ホウ素焼結材)0.4Rを用いてNC旋盤で加工する例を挙げる。
この例は、円筒状を呈し、表面の両端部にそれぞれシーリング領域Sを備え、それらの間に外径逃げ部Eを備える。
各シーリング領域Sには、Oリングを装着するための溝部Dが適宜形成され、ワークWの内面は、同じ中心軸からの内径が相違する三種類の領域を備える。
側壁は、外径逃げ部Eの領域に、ワークW外側方と中空部を連通させる透孔Hが当該ワークWの軸を中心として90度間隔で穿設されている。
当該ジグ箱1は、その内空部に、前記進退基面1aを終端とし前記ワークWが遊嵌される位置決め部1bと、前記蓋2のネジ部2cと螺合する蓋対偶部1cと、当該蓋2の進退軌道を定めるガイド部1dを連続して備え、各部は、同軸の均一な円形断面の空間を連続して形成し、各部の内径は、前記進退基面1aから離れた領域ほど大きくされている。
当該蓋2は、その中央にワークWの外径より大きい直径を持ち表裏を貫通する工具孔を備え、前記頭部2aにおける当該工具孔の内縁に前記仲介部材3の通過を制止する加圧縁を備える。
当該蓋2は、前記加圧縁の内面を加圧面2dとして備え、その内空部に、当該加圧面2dを始端とし前記仲介部材3の側面に接する向心基面2eを備えたソケット部2fを、前記封鎖部2bからネジ部2cに亘って連続して備える(図6及び図7参照)。
この例の前記頭部2aの側面は、ローレット加工が施され、フック式スパナの爪が掛かる穴2gが穿設されている。
この例では、前記シーリング領域Sのフランジ部が嵌る保持部3cを前記爪部3bに隣接して備える。
前記爪部3bは、前記ワークWのシーリング領域Sに穿設された溝部Dに嵌る形態を備え、例えば、その幅及び迫出し長は、前記溝部Dの幅及び深さに略等しく設定されている。
前記テーパー部5aの径は、最も小径の先端部は、前記加圧部4gの内径の最小値以下とし、最も大径の終端部は、前記加圧部4gの内径よりワークWへの加圧に十分な量だけ大きく設定する。
この例では、前記テーパー部5aの端面の中央に、六角レンチが嵌る六角穴5cを備える(図10参照)。
当該ジグ軸4は、その調整孔4eに、前記挟持部4cの側から、前記カムネジ5と螺合するネジ対偶部4fと、前記カムネジ5のテーパー部5aに押し広げられる加圧部4gを備え、前記ネジ対偶部4fと加圧部4gとの境界部に双方の隣接部を一定長薄肉とする拡幅部4hを備えている。
各部4e,4h,4gは、内径が異なる均一な円形状断面の空間が連続して形成され、前記拡幅部4hから加圧部4gの全域にかけて、それらの周壁を分割する割溝4iを複数備える。
前記ワークWの内壁に均一に加圧する面では、ワークWの内面の軸を中心として前記割溝4iを等角度間隔で複数穿設することが望ましい。
<内面仕上>
先ず、前記内面仕上用ジグのジグ箱1をNC旋盤のチャックに装着する。
次に、前記ワークWの端部に前記仲介部材3を装着する。当該仲介部材3装着に際しては、前記ワークWのOリング装着用溝部Dに、前記仲介部材3の爪部3bを挿入し、一対の仲介部材3で当該溝部Dを備えたシーリング領域Sの全域を覆うようにする。
尚、前記溝部Dを有しないワークWにあっては、前記仲介部材3の爪部3bを当該ワークWの端面(受圧面)や、フランジ部などに引っ掛けて装着し使用することもできる(図1及び図2参照)。
そして、前記仲介部材3及び蓋2を装着したワークWを、当該ワークWが露出した側を前にして前記ジグ箱1の位置決め部1bへ挿入し、蓋2を回し、前記ワークWの当接面(ジグ箱1への進入方向前方の端面)が前記ジグ箱1の進退基面1aに達することを確認しながら、当該蓋2のネジ部2cと前記ジグ箱1の蓋対偶部1cとを螺合する。
蓋2を手で締まるところまでネジ込んだ後、フック式スパナ仕様のトルクレンチで蓋2のローレット面に備える穴2gに引っ掛けて一定の強さで締める。
上記作業によれば、径の異なる複数の部位について、軸ズレが生じることなく精密な旋削加工による仕上げを行うことができる。
また、その際、前記ジグ箱1を直接チャッキングし、且つワークWは、当該ジグ箱1内でその軸方向に加圧保持しているため、円周の変形が生じて真円度が悪化するなどの不具合を防止することができる。
先ず、前記外面仕上用ジグのジグ軸4をNC旋盤のチャックに装着する。
次に、前記ジグ軸4にワークWを装着し、当該ワークWを前記進退基面4dに押し当てながら、ワークWが動かないことを確認できるまで前記カムネジ5を締める。
この様に、前記ジグ軸4の調整孔4eにカムネジ5を回し入れることにより、前記ジグ軸4の加圧部4gが遠心方向へ均一に拡幅し、前記ワークWの内面を均一に加圧保持することができる(図3及び図4参照)。
上記作業によれば、内面仕上から外面仕上に至るまで、径の異なる複数の内外部位について、軸ズレが生じることなく精密な旋削加工による仕上げを行うことができる。
また、その際、ジグ軸4の挟持部4cを直接チャッキングし、且つワークWは、当該ワークWの中空部に装填された軸部4aによって、当該ワークWの内壁を遠心方向へ均一に加圧することにより保持されているため、当該ワークWの円周に変形が生じて真円度が悪化するなどの不具合を防止することができる。
1 ジグ箱,
1a 進退基面,1b 位置決め部,1c 蓋対偶部、1d ガイド部,
2 蓋,
2a 頭部,2b 封鎖部,2c ネジ部,
2d 加圧面,2e 向心基面,2f ソケット部,2g 穴,
3 仲介部材,
3a 被覆部,3b 爪部,3c 保持部,
4 ジグ軸,
4a 軸部,4b 基部,4c 挟持部,4d 進退基面,4e 調整孔,
4f ネジ対偶部,4g 加圧部,4h 拡幅部,4i 割溝,
5 カムネジ,5a テーパー部,5b ネジ部,5c 六角穴,
Claims (2)
- 円筒状のワークを保持するジグのみをチャックし、前記ワークに対して切削加工を行うための内面仕上用ジグであって、
前記ワークが遊嵌される位置決め部を備える円筒状のジグ箱と、
前記ジグ箱と螺合する回転体状の蓋と、
前記ワークの他方の端面又は表面の切込を確保し前記蓋とワークとの間に介在する円筒状の仲介部材を備え、
前記ジグ箱は、前記ワークの進入を制止し当該ワークの一方の端面が当接する進退基面を備え、
前記蓋は、その中央に前記ワークの外径より大きい直径を持ち表裏を貫通する工具孔を備え、前記工具孔に、前記仲介部材の通過を制止する加圧縁、及び当該加圧縁の内面を始端とし前記仲介部材の側面に接する向心基面を備え、
前記仲介部材は、前記ワークを側方から挟んで装着できるように複数に分割され、
前記ジグ箱に前記蓋を回し入れることにより前記ワークをチャックの回転軸方向に加圧挟持することを特徴とする旋削加工用ジグ。 - 前記ジグ箱は、底壁の中央に前記進退基面を周縁内面とし前記ワークの内径と略等しい直径を持つ貫通孔を備えることを特徴とする請求項1に記載の旋削加工用ジグ。
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