以下に、実施の形態にかかるオゾン供給計画作成装置、オゾン供給システムおよびオゾン供給計画作成方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかるオゾン供給システムの構成例を示す図である。本実施の形態のオゾン供給システム7は、オゾン供給計画作成装置1およびオゾン発生装置4を備える。オゾン発生装置4は、オゾン生成施設2に設けられ、オゾンを生成する。オゾン発生装置4で生成されたオゾンは、オゾン貯蔵容器5に充填される。
本実施の形態では、オゾンが充填されたオゾン貯蔵容器5(充填済容器)は、オゾンを利用するオゾン利用施設3-1~3-Nに運搬される。Nは1以上の整数である。以下、オゾン利用施設3-1~3-Nのそれぞれを個別に区別せずに示すときには、オゾン利用施設3と記載する。図1では、オゾン利用施設3を複数図示しているが、これに限らずオゾン利用施設3は1つ以上であればよい。オゾン利用施設3は、オゾンを利用して除菌、洗浄、脱臭などを行う施設であり、例えば、病院、飲食店、公共施設、その他の店舗、事業所などであるが、これらに限定されない。各オゾン利用施設3-1~3-Nにおけるオゾン貯蔵容器5は、オゾンが無くなると回収され、オゾン発生装置4によりオゾンが充填される。
オゾン発生装置4は、オゾン生成施設2に設けられる。オゾン生成施設2は、オゾン貯蔵容器5に充填するオゾンを生成するためにオゾン発生装置4が設けられた施設であってもよいし、別の用途のためにオゾン発生装置4を導入し、オゾン発生装置4の余剰能力を用いてオゾン貯蔵容器5へのオゾンの充填を行う施設であってもよい。
オゾン供給計画作成装置1は、オゾン利用施設3-1~3-Nへのオゾン供給計画(以下、単に供給計画とも呼ぶ)、すなわちオゾンが充填されたオゾン貯蔵容器5を、いつオゾン利用施設3-1~3-Nへ搬入するかを示す計画を作成する。
オゾン利用施設3-1~3-Nは、それぞれ1つ以上のオゾン貯蔵容器5を保管する。オゾンの使用用途、オゾンの使用量は、オゾン利用施設3-1~3-N間で同一とは限らない。このため、各オゾン利用施設3におけるオゾンの消費量は、各オゾン利用施設3における、オゾンの使用方法、各オゾン利用施設3の大きさなどに依存する。したがって、オゾン供給計画作成装置1は、各オゾン利用施設3のオゾンの消費量に応じて、オゾンの残量である残オゾン量を推定して供給計画を作成することが望ましい。
また、オゾンは自己分解しやすく短寿命であるため貯蔵が困難であるが、例えば、オゾン貯蔵容器5に、シリカゲルなどの吸着剤が充填され低温に維持することで、吸着剤に対するオゾンと酸素の吸着および脱着特性の差異を利用し、オゾンと酸素を含んだ混合ガスからオゾンと酸素を分離する。これにより、オゾンの自己分解を抑制することができる。
また、オゾン貯蔵容器5の容器形状としては、オゾン充填量(使用日数)に応じて、高圧ガスボンベ、またはスプレー缶のような簡易な容器など様々なものを用いることができる。ガスボンベタイプの場合には、ボンベ口はキャリアガス導入口とポンプ引き抜き口との2種類設置されることが望ましいがこれに限定されない。また、オゾン貯蔵容器5の材質を、ステンレスまたはアルミとすると、容器内壁との接触や摩擦によるオゾン分解を防止することができる。また、容器内面が平滑であると、容器内壁との接触や摩擦によるオゾン分解を防止することができる。なお、オゾン貯蔵容器5の材質および形状は、これに限定されない。また、オゾン貯蔵容器5は、あらかじめオゾン処理などにより内面金属が不働態化処理されていればより一層接触や摩擦によるオゾン分解防止することができる。
オゾン貯蔵容器5においては、例えば、充填時には高圧力で吸着剤内にオゾンを吸着させる。オゾンの取り出し時には、例えば、外部からキャリアガスをオゾン貯蔵容器5内に導入してオゾンを脱着させて外部へ取り出すか、キャリアガスは導入せずに、ポンプ等で容器からオゾンを引き抜いて脱着させるか、もしくは両者併用にて外部にオゾンを取り出す。なお、オゾンの充填方法および取り出し方法はこの例に限定されない。なお、オゾン貯蔵容器5内では、大気圧以上の高圧をキープすることが望ましい。
オゾン貯蔵容器5は、冷却機能を有していてもよい。例えば、オゾン貯蔵容器5は、容器外壁と内壁間に冷媒が流通ないしは充填されて容器内部を冷却できる構造になっている、または、容器外部に冷却装置を接続ないしは搭載できる構造であってもよい。冷却装置は、ペルチェ素子などの電子冷却装置であってもよいし、保冷材などのような冷却ジャケットであってもよい。オゾン貯蔵容器5の冷却方式はこれらに限定されない。
温度を制御し低温に維持する機能を有するオゾン貯蔵容器5を用いると、オゾンの自己分解を効果的に抑制することができるが、一方でこのようなオゾン貯蔵容器5は高価である。オゾン利用施設3-1~3-Nにそれぞれ対応するユーザのなかには、オゾン貯蔵容器5のコストを抑えたいユーザも存在すると想定され、温度制御の機能を備えない簡易なオゾン貯蔵容器5へのニーズもある。
簡易なオゾン貯蔵容器5が用いられる場合には、オゾンの保管環境は、各オゾン利用施設3におけるオゾン貯蔵容器5の保管場所などに依存することになる。オゾンの自己分解速度は、温度が高いほど速くなるため、各オゾン利用施設3におけるオゾン貯蔵容器5の残オゾン量は各オゾン利用施設3における保管環境に依存することになる。
例えば、図1に示した例では、オゾン利用施設3-1では、オゾン貯蔵容器5は、例えば、0℃~5℃程度、または5℃~10℃程度などの温度に維持される冷蔵室31に保管されており、オゾン利用施設3-2では、オゾン貯蔵容器5は常温の室内に保管されている。また、図示は省略しているが、オゾン利用施設3のなかには、オゾン貯蔵容器5を気温以下に維持される冷温室に保存する施設があってもよく、オゾン貯蔵容器5を冷凍室に保管している施設があってもよい。また、冷凍室については、-20℃~-18℃程度の温度に維持されるものもあれば、-80℃程度の温度に維持されるものもある。また、オゾン利用施設3のなかには、オゾン貯蔵容器5を屋外に保管する施設があることも考えられる。-80℃程度の温度に維持される場合にはオゾンの自己分解はほぼ無視できるが、温度が高くなると残オゾン量へのオゾンの自己分解の影響が大きくなる。
このように、オゾン利用施設3における保管環境は多様である。なお、上記のように、温度を制御する機能を有するオゾン貯蔵容器5であるか、または温度を制御する機能を有さない簡易なオゾン貯蔵容器5であるかといった、オゾン貯蔵容器5の性能の違いもオゾンの保管環境の差に含まれる。
したがって、各オゾン利用施設3-1~3-Nに保管されている残オゾン量は、各オゾン利用施設3-1~3-Nで利用されたオゾンの消費量だけでなく、各オゾン利用施設3-1~3-Nにおけるオゾンの保管環境に応じた自己分解量にも依存する。本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1は、各オゾン利用施設3-1~3-Nで利用されたオゾンの消費量と、各オゾン利用施設3-1~3-Nにおけるオゾンの保管環境に応じた自己分解量とを考慮して各オゾン利用施設3-1~3-Nにおける残オゾン量を推定し、推定結果に基づいて各オゾン利用施設3-1~3-Nへのオゾンの供給計画を作成する。これにより、各オゾン利用施設3-1~3-Nの実態に沿った適切な供給計画(オゾン供給計画)を作成することができる。
図1に示すように、オゾン供給計画作成装置1は、入力受付部11、消費量取得部12、自己分解速度算出部13、残オゾン量算出部14、計測値取得部15、計測情報記憶部16、利用施設情報記憶部17、計画作成部18、計画表示部19および計画出力部20を備える。
利用施設情報記憶部17は、利用施設情報を記憶する。利用施設情報は、オゾン利用施設3ごとの、オゾンの消費量の算出に用いる情報、オゾンの自己分解量の算出に用いる情報などを示す情報である。また、利用施設情報記憶部17には、オゾン利用施設3ごとの、オゾン貯蔵容器5が設置された日時、すなわち直近のオゾン貯蔵容器5の搬入が行われた日である設置日を示す設置日情報も記憶されている。設置日は、オゾン利用施設3へオゾンが供給されるオゾン供給日の一例である。
図2は、本実施の形態の利用施設情報の一例を示す図である。図2に示した例では、利用施設情報は、オゾン利用施設を識別する識別情報、設置容器数、容器種別、設置場所の温度計測(設置場所の温度計測の有無)、設置場所の温度環境、対象空間の体積、CT(Concentration-Time)値および使用量/使用間隔をそれぞれ示す情報を含む。設置容器数は、オゾン利用施設3に保管されるオゾン貯蔵容器5の数である。容器種別は、オゾン貯蔵容器5の種別であり、例えば、冷却、オゾン計測、温度計測のそれぞれの機能を有しているか否かを示す。冷却機能は、上述したように、オゾン貯蔵容器5を低温に維持する機能である。オゾン計測機能は、圧力計などによりオゾン貯蔵容器5の残オゾン量を計測し計測値を計測情報としてオゾン供給計画作成装置1へ送信する機能である。温度計測機能はオゾン貯蔵容器5の温度を計測し計測値を計測情報としてオゾン供給計画作成装置1へ送信する機能である。設置場所の温度環境は、オゾン貯蔵容器5がどのような温度環境の場所に設置されるかを示す。なお、図2では、設置場所の温度環境として、オゾン貯蔵容器5が設置される場所が示されているが、設置場所の温度環境として、オゾン貯蔵容器5が保管される場所の温度が格納されてもよい。例えば、冷蔵室にオゾン貯蔵容器5が保管される場合には、冷蔵室の設定温度に相当する値が設置場所の温度環境として格納されてもよい。対象空間の体積はオゾンによる除菌などが行われる対象空間の体積を示し、CT値は、オゾンによる除菌などが行われる際の目標のCT値を示す。使用量/使用間隔は、一定時間間隔(使用間隔)ごとに定められた量のオゾンが使用されるオゾン利用施設3におけるオゾンの使用される場合の、1回のオゾンの使用量と使用間隔を示す。利用施設情報は、例えば、入力受付部11を介して、オペレータから入力されてもよいし、図示しない他の装置から送信されてもよい。
計測値取得部15は、オゾン貯蔵容器5または温度計測装置33から計測情報を取得し、取得した計測情報を計測情報記憶部16に記憶する。計測情報は、例えば、オゾン貯蔵容器5において計測された残オゾン量の計測値を示す計測情報、オゾン貯蔵容器5において計測された温度の計測値を示す計測情報、オゾン貯蔵容器5が保管されている場所の温度を計測する温度計測装置33によって計測された計測値を示す計測情報などを含む。なお、これらの計測情報に対応する計測装置がひとつも設けられない場合には、オゾン供給計画作成装置1に計測値取得部15および計測情報記憶部16は設けられなくてもよい。
入力受付部11は、オペレータからの入力を受付ける。例えば、入力受付部11は、オペレータから、後述する平均オゾン消費量の入力を受付けると、受付けた平均オゾン消費量を消費量取得部12へ出力する。なお、図1では、図示を省略しているが、入力受付部11はオゾン供給計画作成装置1内の他の機能部にも、受け付けた情報を出力することが可能である。
消費量取得部12は、オゾン利用施設3ごとのオゾンの消費量を取得する。消費量取得部12は、取得したオゾンの消費量を残オゾン量算出部14へ出力する。消費量取得部12が取得するオゾンの消費量は、オゾンの消費量を予測するために用いることができるものであればよい。消費量取得部12が取得するオゾンの消費量は、例えば、単位時間あたりに消費されるオゾンの量を示す単位オゾン消費量である。単位オゾン消費量は、1日に消費される平均オゾン消費量であってもよいし、使用間隔と1回のオゾンの使用量(消費量)とであってもよい。
また、消費量取得部12は、入力受付部11を介して、オペレータから入力されることで平均オゾン消費量を取得してもよいし、利用施設情報記憶部17に記憶されている利用施設情報を用いて平均オゾン消費量を算出することで平均オゾン消費量を取得してもよい。例えば、消費量取得部12は、利用施設情報における、対象空間の体積とCT値とを用いて平均オゾン消費量を算出してもよい。または、消費量取得部12は、図示しないオゾン利用施設3におけるユーザ端末から、平均オゾン消費量を受信することで平均オゾン消費量を取得してもよい。消費量取得部12がオゾン利用施設3におけるユーザ端末から受信する平均オゾン消費量は、対応するオゾン利用施設3におけるユーザが、ユーザ端末に入力した情報である。このため、入力受付部11を介してオペレータから入力される情報と、オゾン利用施設3におけるユーザのユーザ端末から受信した情報とは、いずれも人手によって入力される入力情報である。また、利用施設情報に含まれる情報も、オペレータまたはユーザにより入力される情報であるため、人手によって入力される入力情報の一例である。また、オゾン利用施設3において、一定時間間隔(使用間隔)ごとに定められた量のオゾンが使用される場合には、消費量取得部12は、平均オゾン消費量の代わりに、使用間隔と1回の消費量(使用量)とを取得してもよい。
また、消費量取得部12は、オゾン貯蔵容器5が残オゾン量の計測情報をオゾン供給計画作成装置1へ送信する機能を有している場合には、計測情報記憶部16に格納されている残オゾン量の計測情報のうち、オゾン貯蔵容器5の設置日以降の計測情報を用いて単位オゾン消費量を取得してもよい。すなわち、単位オゾン消費量は、オゾン利用施設3におけるオゾンの残量の計測情報を用いて算出されてもよい。例えば、図2に示すように、オゾン利用施設3-1に保管されているオゾン貯蔵容器5は、残オゾン量の計測情報をオゾン供給計画作成装置1へ送信する機能を有している。このため、消費量取得部12は、オゾン利用施設3-1におけるオゾンの残量の計測情報を用いて、オゾン利用施設3-1に対応する単位オゾン消費量を算出することができる。
自己分解速度算出部13は、オゾンの保管環境を示す情報を用いてオゾンの自己分解速度を算出する。詳細には、自己分解速度算出部13は、オゾン利用施設3ごとに、入力情報および計測情報のうちの少なくとも一方を用いてオゾン貯蔵容器5の保管環境に応じたオゾンの自己分解速度を算出する。自己分解速度算出部13は、算出したオゾンの自己分解速度を残オゾン量算出部14へ出力する。自己分解速度は、例えば、半減期により示される。以下では、自己分解速度は、半減期により示されるとして説明するが、自己分解速度は半減期以外で表されてもよい。自己分解速度算出部13は、例えば、利用施設情報記憶部17に格納されている利用整備情報を用いてオゾンの保管環境の一例であるオゾンの保管温度を推定し、推定した保管温度を用いて半減期を算出してもよいし、入力受付部11を介して、オペレータから入力されたオゾンの保管温度を取得し、取得したオゾンの保管温度を用いて半減期を算出してもよい。例えば、保管場所が冷蔵室であるか冷凍室であるかに応じて対応する温度を定めておき、自己分解速度算出部13は、利用施設情報における設置場所の温度環境で示される情報に対応する温度を保管温度としてもよい。保管場所が屋外の場合には、自己分解速度算出部13は、例えば月ごとの平均気温を定めて取得しておき、対応する平均気温を保管温度として用いてもよい。
また、自己分解速度算出部13は、図示しないオゾン利用施設3におけるユーザ端末から、オゾンの保管温度を受信し、受信した保管温度を用いて半減期を算出してもよい。上述した平均オゾン消費量と同様に、オゾン利用施設3におけるユーザ端末から受信する保管温度は、対応するオゾン利用施設3におけるユーザがユーザ端末に入力した情報である。このため、入力受付部11を介してオペレータから入力される情報と、オゾン利用施設3におけるユーザのユーザ端末から受信した情報とは、いずれも人手により入力される入力情報である。
また、自己分解速度算出部13は、オゾン貯蔵容器5が温度の計測情報をオゾン供給計画作成装置1へ送信する機能を有している場合には、計測情報記憶部16に格納されている対応する計測情報を用いて半減期を算出してもよい。また、自己分解速度算出部13は、オゾン利用施設3においてオゾン貯蔵容器5が保管されている場所の温度が計測されている場合には、計測情報記憶部16に格納されている対応する計測情報を用いて半減期を算出してもよい。すなわち、保管環境を示す情報は、オゾンの保管温度の計測情報であってもよく、オゾンの保管温度は、オゾン貯蔵容器5に設けられた温度計測装置により計測されてもよいし、オゾン貯蔵容器5の保管場所の温度を計測する温度計測装置33により計測されてもよい。例えば、図1および図2に示した例では、オゾン利用施設3-2においてはオゾン貯蔵容器5の保管場所の温度が温度計測装置33により計測され、温度計測装置33は、温度の計測値を示す計測情報をオゾン供給計画作成装置1へ送信している。半減期の算出方法の詳細については後述する。
残オゾン量算出部14は、オゾン利用施設3において保管可能なオゾンの総量である総オゾン量と、オゾン利用施設3へのオゾン供給日からの経過時間と、単位オゾン消費量と、自己分解速度とを用いて、オゾン利用施設3に保管されているオゾンの残量である残オゾン量を予測する。詳細には、残オゾン量算出部14は、オゾン利用施設3ごとに、利用施設情報記憶部17に記憶されている利用施設情報における設置容器数と、自己分解速度算出部13から受け取った自己分解速度と、消費量取得部12から受け取ったオゾンの消費量と、を用いて残オゾン量を予測し、予測結果を計画作成部18へ出力する。利用施設情報における設置容器数は、オゾン利用施設3にオゾンが充填されたオゾン貯蔵容器5が搬入された時点での当該利用施設に保管されている総オゾン量を、オゾン貯蔵容器5の容量単位で示したものである。
また、ここでは、総オゾン量を、オゾン貯蔵容器5の容量単位、すなわちオゾン貯蔵容器5の数で示しているが、総オゾン量は、オゾン貯蔵容器5の数に容量を乗じた値によって示されてもよい。また、ここでは、オゾン貯蔵容器5の容量は、全オゾン貯蔵容器5で同一としているが、オゾン貯蔵容器5の容量に複数の種類がある場合には、利用施設情報に、設置容器数として容量ごとのオゾン貯蔵容器5の個数を含めておく。この場合、残オゾン量算出部14は、例えば、容量ごとにオゾン貯蔵容器5の数に容量を乗じた値を求め、求めた値の総和を総オゾン量として算出する。
計画作成部18は、総オゾン量、単位オゾン消費量および自己分解速度に基づいて、オゾン利用施設3へのオゾンの供給計画であるオゾン供給計画を作成する。詳細には、総オゾン量、単位オゾン消費量および自己分解速度を用いて残オゾン量算出部14によって予測された残オゾン量の予測結果を用いて、オゾン利用施設3ごとの次回以降のオゾンの供給日を含む供給計画を作成し、作成した供給計画を計画表示部19および計画出力部20へ出力する。オゾンの供給日は、オゾンが充填されたオゾン貯蔵容器5がオゾン利用施設3に搬入される日である。
計画表示部19は、計画作成部18から受け取った供給計画を表示する。計画出力部20は、計画作成部18から受け取った供給計画を、オゾン生成施設2の生成施設端末6へ送信する。
なお、図1では、オゾン供給計画作成装置1が、オゾン生成施設2およびオゾン利用施設3とは別の場所に設けられる例を示しているが、これに限らず、オゾン供給計画作成装置1はオゾン生成施設2内に設けられてもよいし、オゾン利用施設3内に設けられてもよい。オゾン供給計画作成装置1がオゾン生成施設2内に設けられる場合、オゾン供給計画作成装置1は上述した計画出力部20を備えなくてもよい。オゾン供給計画作成装置1がオゾン利用施設3内に設けられる場合、各オゾン供給計画作成装置1は、対応するオゾン利用施設3の供給計画を作成すればよい。
計画表示部19および計画出力部20は、いずれも供給計画を出力する出力部であり、オゾン供給計画作成装置1は、出力部として、計画表示部19および計画出力部20のうち少なくとも一方を備えていればよい。
次に、本実施の形態の動作について説明する。図3は、本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1におけるオゾン供給計画の作成処理手順の一例を示すフローチャートである。オゾン供給計画作成装置1は、オゾン利用施設3ごとに図3に示した処理を実施する。また、図3に示した処理は、例えば、各オゾン利用施設3へのオゾン貯蔵容器5の初回の搬入時、初回の搬入前などに行われる。また、オゾン供給計画として、例えば、オゾン利用施設3ごとにそれぞれ数年分の計画が作成される。なお、オゾン供給計画作成装置1は、例えば、1年ごと、半年ごとなどのように、定期的に供給計画を作成してもよい。
図3に示すように、オゾン供給計画作成装置1は、計測情報を取得する(ステップS1)。ステップS1では、詳細には、計測値取得部15が、オゾン貯蔵容器5に設けられた各計測装置、オゾン貯蔵容器5の保管されている場所の温度を計測する温度計測装置33などから、計測情報を取得し、取得した計測情報を計測情報記憶部16に記憶する。計測情報は、例えば、温度または残オゾン量の計測値と、当該計測値が計測された日時および時刻を示す時間情報とを含む。図3では、処理のはじめにステップS1が記載されているが、ステップS1は、例えば、各計測装置の計測周期ごとに行われ、ステップS2以降の処理とは並列に行われてもよい。
オゾン供給計画作成装置1は、オゾンの保管環境に応じた自己分解速度を算出する(ステップS2)。詳細には、自己分解速度算出部13は、例えば、自己分解速度を示す半減期を算出し、算出した半減期を残オゾン量算出部14へ出力する。自己分解速度算出部13は、利用施設情報記憶部17に格納されている利用整備情報を用いてオゾンの保管環境の一例であるオゾンの保管温度を推定し、推定した保管温度とオゾンの温度と半減期との関係を示す半減期対応情報とを用いて半減期を算出する。または、自己分解速度算出部13は、入力受付部11を介して、オペレータから入力されたオゾンの保管温度を取得し、取得したオゾンの保管温度と半減期対応情報とを用いて半減期を算出してもよい。また、自己分解速度算出部13は、図示しないオゾン利用施設3におけるユーザ端末から受信した保管温度を用いて半減期を算出してもよい。なお、オゾン利用施設3における保管温度として、計測情報と入力情報との両方が取得されている場合には、自己分解速度算出部13は一般には計測情報を用いるが、計測情報と入力情報とのどちらを優先して用いるかをオペレータが設定できるようにしてもよい。
半減期対応情報は、オゾンの温度および初期濃度から半減期を算出する計算式であってもよいし、オゾンの初期濃度および温度をそれぞれ複数の区分に分割し、区分ごとに対応する半減期をテーブルにより定めたものであってもよい。なお、初期濃度については考慮せずに、温度から半減期を算出する計算式、または温度と半減期との対応を示すテーブルが用いられてもよい。また、オゾンがある程度の期間連続して供給されるオゾン利用施設3では、オゾンの流速が入力され、流速も考慮されて半減期が算出されてもよい。半減期対応情報は、オゾンの自己分解の反応式を考慮して推定されてもよいし、オゾンを充填したオゾン貯蔵容器5を用いてあらかじめ試験などにより取得されてもよい。
また、自己分解速度算出部13は、計測情報記憶部16に記憶されている計測情報を用いて半減期を算出してもよい。自己分解速度算出部13は、例えば、計測情報のうち、供給計画の作成対象のオゾン利用施設3に設置されるオゾン貯蔵容器5が有する図示しない温度計測装置、または供給計画の作成対象のオゾン利用施設3に設置されるオゾン貯蔵容器5の保管場所の温度を計測する温度計測装置33、に対応する計測情報を抽出する。そして、自己分解速度算出部13は、抽出した計測情報のうちオゾン貯蔵容器5の設置日以降の計測情報を抽出する。上述したように、オゾン貯蔵容器5の設置日は、利用施設情報記憶部17が記憶している設置日情報に含まれており、自己分解速度算出部13は、利用施設情報記憶部17が記憶している設置日情報を参照することで、各オゾン利用施設3における設置日を把握することができる。
自己分解速度算出部13は、抽出した計測情報が示す温度を、例えば、温度の値に応じて区分に分類し、分類した区分と半減期対応情報とを用いて半減期を算出する。例えば、温度が-80℃以下を1つの区分とし、-80℃より高く-50℃以下を1つの区分とし、-50℃より高く-20℃以下を1つの区分とし、-20℃より高く-10℃以下を1つの区分とし、-10℃より高く-5℃以下を1つの区分とし、-5℃より高く0℃以下を1つの区分とする、といったように、温度の区分をあらかじめ定めておく。そして、計測情報が示す温度が同一の区分内にある期間は、各区分の中央の温度であるとみなして、同一の区分内にある期間の半減期を、半減期対応情報を用いて算出する。これにより、自己分解速度算出部13は、各区分に対応する期間ごとの半減期を算出する。なお、上述した区分は例示であり、具体的な区分は上述した例に限定されず温度と半減期との関係に応じて適宜定められればよい。
オゾン供給計画作成装置1は、オゾンの消費量を取得する(ステップS3)。詳細には、例えば、消費量取得部12が、単位時間あたりに消費されるオゾンの量を示す単位オゾン消費量を取得し、取得した単位オゾン消費量を残オゾン量算出部14へ出力する。消費量取得部12が取得するオゾンの消費量は、上述したように、オゾンの消費量の予測に用いることができる情報であればよい。消費量取得部12が取得する単位オゾン消費量は、例えば、1日に消費される平均オゾン消費量であってもよく、オゾンの消費量を示す時系列データである計測情報から算出されたオゾンの消費量の時系列データであってもよく、使用間隔と使用量とであってもよい。なお、計測情報から算出されたオゾンの消費量の時系列データも、オゾン利用施設3におけるオゾンの消費のパターンを示しているため、単位時間あたりに消費されるオゾンの量を示す単位オゾン消費量の一例である。計測情報は、上述したように、オゾン貯蔵容器5が残オゾン量の計測情報をオゾン供給計画作成装置1へ送信する機能を有している場合における、オゾン供給計画作成装置1が受信した当該計測情報である。
なお、図3では、ステップS2の後にステップS3が記載されているが、処理の順はこれに限らず、ステップS2とステップS3とは並列に行われてもよく、ステップS3が行われた後にステップS2が行われてもよい。
オゾン供給計画作成装置1は、総オゾン量と自己分解速度と消費量とを用いて残オゾン量を予測する(ステップS4)。詳細には、例えば、残オゾン量算出部14が、オゾン利用施設3ごとに、利用施設情報記憶部17に記憶されている利用施設情報における設置容器数を用いて、総オゾン量を求める。そして、残オゾン量算出部14は、求めた総オゾン量と、自己分解速度算出部13から受け取った自己分解速度を示す半減期と、消費量取得部12から受け取った単位オゾン消費量と、を用いて、前回の容器設置からの時間、すなわちオゾン貯蔵容器5の設置日からの経過時間に応じた残オゾン量を予測する。残オゾン量算出部14は、残オゾン量の予測結果を計画作成部18へ出力する。なお、残オゾン量算出部14は、オゾン貯蔵容器5の設置日については、上述したように、利用施設情報記憶部17に記憶されている設置日情報を参照することにより把握することができる。
残オゾン量算出部14は、オゾンの消費量が平均オゾン消費量により示されている場合、前回の容器設置からの時間を日単位で示したものを時刻Tとすると、1日の平均オゾン消費量CmにTを乗じることで、前回の容器設置からのオゾンの消費量を算出する。オゾンの自己分解による半減期を日単位で示したものをthとし、初期のオゾンの量である総オゾン量をC0とし、th/Tをtとすると、時刻Tにおける自己分解量は、C0(1-(1/2)t)となる。したがって、残オゾン量算出部14は、例えば、残オゾン量の予測値CE(T)を、以下の式(1)を算出する。
CE(T)=C0-Cm×T-C0(1-(1/2)t) ・・・(1)
なお、消費量取得部12が計測情報を用いてオゾンの消費量を算出している場合は、消費量取得部12から出力される時系列データは残オゾン量の時系列データであることから、総オゾン量C0から各時刻における残オゾン量の計測値を減じることで、各時刻のオゾンの消費量を算出することができる。すなわち、ある時刻における残オゾン量の計測値をCrとすると、その時刻におけるオゾンの消費量CCは、以下の式(2)で示すことができる。
CC=C0-Cr ・・・(2)
残オゾン量算出部14は、各計測値に対応するCCを算出し、算出した各CCを用いて、例えば、回帰分析などにより、時刻Tの関数としてCCを表す式CC(T)を算出する。そして、残オゾン量算出部14は、式(1)におけるCm×Tの代わりにCC(T)を用いて残オゾンの予測値CE(T)を算出する。なお、オゾン貯蔵容器5において計測される残オゾン量は例えば圧力計により算出されたものであり、自己分解によるオゾンの減少分については反映されていない値である。このため、総オゾン量C0から残オゾン量の計測値を減じたものはオゾン利用施設3において使用されたオゾンの消費量とみなすことができる。
または、残オゾン量算出部14は、残オゾン量の計測情報を用いて平均オゾン消費量を算出し、上記の式(1)により、予測値CE(T)を算出してもよい。
また、オゾンの消費量が、使用間隔と使用量とにより示される場合、使用間隔をΔTとし、1回の使用量をCSとすると、時刻Tにおけるオゾンの消費量CD(T)を以下の式(3)で示すことができる。なお、T0は、前回の容器設置以降に最初にオゾンが使用される時刻を、前回の容器設置時からの経過時間として表した値である。iは0以上の整数である。残オゾン量算出部14は、式(1)におけるCm×Tの代わりにCD(T)を用いて残オゾンの予測値CE(T)を算出する。
T=T0+i×ΔTのとき、CD(T)=CS
T≠T0+i×ΔTのとき、CD(T)=0 ・・・(3)
次に、オゾン供給計画作成装置1は、残オゾン量の予測結果を用いて供給計画を作成する(ステップS5)。詳細には、計画作成部18が、残オゾン量算出部14から受け取った残オゾン量の予測結果を用いて、オゾン利用施設3へのオゾンの供給日すなわちオゾン利用施設3へのオゾン充填済みのオゾン貯蔵容器5の搬入日を決定し、決定結果を含む供給計画を作成する。
図4は、本実施の形態における残オゾン量の予測結果と供給日の一例を示す模式図である。図4は、前回の容器設置からの時間に応じた残オゾン量の予測結果の一例を示しており、図4において、横軸は前回の容器設置からの時間を示し、縦軸は残オゾン量を示す。なお、図4に示した例では、オゾン充填済みのオゾン貯蔵容器5が搬入された後の、計画作成時点と示されている時点において、供給計画を作成する例を示している。図4では、オゾンの消費量として残オゾン量の計測情報から算出された量が用いられる例を示しており、オゾン利用施設3において、オゾンを消費する期間とオゾンを消費する期間とが交互に繰り返されている。オゾンを消費しない期間では、オゾンの消費量は0となるため、オゾンの消費による残オゾン量の減少はないが、オゾンの自己分解により残オゾン量が減少し、オゾンを消費する期間では、オゾンの消費とオゾンの自己分解との両方により残オゾン量が減少する。
計画作成部18は、残オゾン量算出部14による予測結果を用いて、残オゾン量の予測値がしきい値以下となる日を求め、求めた日を用いてオゾン供給日を決定し、決定したオゾン供給日を含むオゾン供給計画を作成する。例えば、計画作成部18は、残オゾン量の予測値がしきい値以下となる日を次回供給日とする。そして、計画作成部18は、次回供給日の残オゾン量を、総オゾン量に設定し、当該次回供給日を、オゾンの設置日とみなして残オゾン量の予測結果を用いて、次回供給日以降の残オゾン量を求め、残オゾン量がしきい値以下となる日を次次回の供給日に設定する。すなわち、前回の容器設置から次回供給日までの期間を供給周期とし、供給周期ごとに、順次次次回より先の供給日を決定することができる。図4に示した例では、しきい値は0であるが、しきい値は1、2など0以外の値に設定されてもよい。なお、ここでは、残オゾン量をオゾン貯蔵容器5の単位で示している。例えば、しきい値が1の場合には、充填済のオゾン貯蔵容器5の残数が1になると、充填済のオゾン貯蔵容器5が供給されることを示す。
図5は、本実施の形態の計画作成部18によって作成される供給計画の一例を示す図である。図5に示した例では、オゾン利用施設3ごとの次回供給日と次次回供給日とが必要供給量とともに示されている。必要供給量は、オゾン貯蔵容器5の単位で示されており、利用施設情報における設置容器数から上述したしきい値を減じた値となる。図5に示した例では、図4に示した例と同様にしきい値を0としているため、必要供給量は設置容器数と一致している。
計画作成部18によって作成された供給計画は、計画表示部19に表示され、計画出力部20によってオゾン生成施設2の生成施設端末6へ送信される。上述したように、計画表示部19による表示と計画出力部20による送信とのうち一方だけが行われるようにしてもよい。作成された供給計画に基づいて、オゾン利用施設3へオゾンが充填されたオゾン貯蔵容器5が搬入されることで、適切なタイミングでオゾン利用施設3へオゾンを供給することができる。また、オゾン発生装置4の管理者からオゾン利用施設3におけるユーザに、対応する供給計画を通知する、または、オゾン供給計画作成装置1が、図示しないオゾン利用施設3におけるユーザ端末へ対応する供給計画を送信してもよい。これにより、オゾン利用施設3におけるユーザは、供給計画に基づいて適切なタイミングでオゾンが充填されたオゾン貯蔵容器5をオゾン発生装置4の管理者に発注することができる。
次に、本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1のハードウェア構成について説明する。本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1は、コンピュータシステム上で、オゾン供給計画作成装置1における処理が記述されたコンピュータプログラムであるプログラムが実行されることにより、コンピュータシステムがオゾン供給計画作成装置1として機能する。図6は、本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図である。図6に示すように、このコンピュータシステムは、制御部101と入力部102と記憶部103と表示部104と通信部105と出力部106とを備え、これらはシステムバス107を介して接続されている。
図6において、制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1における処理が記述されたプログラムを実行する。なお、制御部101の一部が、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用ハードウェアにより実現されてもよい。入力部102は、たとえばキーボード、マウスなどで構成され、コンピュータシステムの使用者が、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部103は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記制御部101が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータ、などを記憶する。また、記憶部103は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。表示部104は、ディスプレイ、LCD(液晶表示パネル)などで構成され、コンピュータシステムの使用者に対して各種画面を表示する。通信部105は、通信処理を実施する受信機および送信機である。出力部106は、プリンタ、スピーカなどである。なお、図6は、一例であり、コンピュータシステムの構成は図6の例に限定されない。
ここで、本実施の形態のプログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、コンピュータプログラムが記憶部103にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、記憶部103から読み出されたプログラムが記憶部103の主記憶領域に格納される。この状態で、制御部101は、記憶部103に格納されたプログラムに従って、本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1としての処理を実行する。
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、オゾン供給計画作成装置1における処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、通信部105を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
図1に示した消費量取得部12、自己分解速度算出部13、残オゾン量算出部14、計測値取得部15および計画作成部18は、図6に示した記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムが図6に示した制御部101により実行されることにより実現される。図1に示した自己分解速度算出部13、残オゾン量算出部14、計測値取得部15および計画作成部18の実現には、図6に示した記憶部103も用いられる。図1に示した計測情報記憶部16および利用施設情報記憶部17は、図6に示した記憶部103の一部である。図1に示した入力受付部11は、図6に示した入力部102により実現される。図1に示した計画出力部20は、図6に示した通信部105により実現される。図1に示した計画表示部19は、図6に示した表示部104により実現される。また、オゾン供給計画作成装置1は複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、オゾン供給計画作成装置1は、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
以上のように、本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1は、オゾンの保管環境に応じた自己分解速度を算出し、自己分解速度とオゾンの消費量とを用いて残オゾン量を予測し、予測結果を用いてオゾン供給計画を作成するようにした。このため、本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1は、適切なオゾン供給計画を策定することができる。特に、オゾン利用施設3によって保管される環境が異なる場合、オゾン利用施設3によりオゾンの自己分解量が異なることになるが、本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1は、保管環境に応じた自己分解速度を用いてオゾンの自己分解量を反映して残オゾン量を予測するため、精度よく残オゾン量を予測することができ、保管環境に応じた適切なオゾン供給計画を策定することができる。
実施の形態2.
図7は、実施の形態2のオゾン供給計画作成装置1aの構成例を示す図である。本実施の形態のオゾン供給システムは、オゾン供給計画作成装置1の代わりにオゾン供給計画作成装置1aを備える以外は、実施の形態1のオゾン供給システム7と同様である。オゾン供給計画作成装置1aは、確認部21およびアラーム出力部22が追加される以外は、実施の形態1のオゾン供給計画作成装置1と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
本実施の形態におけるオゾン供給計画の作成方法は、実施の形態1と同様である。本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1aは、供給計画の作成後に、新たな情報を用いて作成済みの供給計画が適切か否かを確認する確認処理を行う。オゾン供給計画作成装置1aは、確認処理において、残オゾン量の予測結果を更新し、次回供給日以前に残オゾン量が、定められた条件を満たす場合に、アラームを出力する。オゾン供給計画作成装置1aは、アラームの出力後は、再演算が必要な場合には、供給計画の作成処理を行うことで、供給計画を更新する。
本実施の形態では、消費量取得部12は、オゾン貯蔵容器5からオゾンの残量の計測情報が送信され計測情報記憶部16に記憶されている対応する計測情報が更新されると、計測情報を用いてオゾンの消費量を更新し、更新したオゾンの消費量を残オゾン量算出部14へ出力する。オゾンの残量の計測情報は、例えば、定期的に送信される。また、消費量取得部12は、オゾンの消費量の取得に用いられる入力情報が更新されると、更新された入力情報を用いてオゾンの消費量を更新し、更新したオゾンの消費量を残オゾン量算出部14へ出力する。自己分解速度算出部13も同様に、オゾン貯蔵容器5から取得する温度の計測情報またはオゾン貯蔵容器5の保管場所の温度を計測する温度計測装置33の計測情報が送信され計測情報記憶部16に記憶されている対応する計測情報が更新されると、更新された計測情報を用いて定期的に自己分解速度を更新し、更新した自己分解速度を残オゾン量算出部14へ出力する。自己分解速度算出部13は、自己分解速度の算出に用いられる入力情報が更新されると、更新された入力情報を用いて自己分解速度を算出し、算出した自己分解速度を残オゾン量算出部14へ出力する。
図8は、本実施の形態の確認処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。図8に示す処理は、オゾン利用施設3ごとに行われる。図8に示すように、オゾン供給計画作成装置1aは、残オゾン量を算出する(ステップS11)。詳細には、残オゾン量算出部14が、消費量取得部12から取得したオゾンの消費量と、自己分解速度算出部13から取得した自己分解速度とを用いて実施の形態1と同様に残オゾン量を予測する。ステップS11の処理は、例えば、確認部21が1時間おきなどのように、定期的に、残オゾン量算出部14に残オゾン量の予測を指示することで行われてもよい。または、残オゾン量算出部14が、消費量取得部12から取得したオゾンの消費量と、自己分解速度算出部13から取得した自己分解速度とのうちの少なくとも一方が更新されると、ステップS11の処理を行ってもよい。このように、残オゾン量算出部14は、オゾン供給計画の作成後に、総オゾン量、単位オゾン消費量および自己分解速度のうちの少なくとも1つに関して更新された値を用いて残オゾン量を予測することで、予測結果を更新してもよい。残オゾン量算出部14は、残オゾンの予測結果を確認部21へ出力する。
オゾン供給計画作成装置1aは、条件式を満たすか否かを判断する(ステップS12)。詳細には、確認部21が、オゾン利用施設3ごとに、次回供給日の残オゾン量の予測値が以下の式(4)または式(5)のいずれかを満たすか否かを判断する。
次回供給日の残オゾン量の予測値 < -X ・・・(4)
次回供給日の残オゾン量の予測値 > +Y ・・・(5)
なお、上記X,Yは、残オゾン量の予測の誤差に相当する正の値であり、オゾン利用施設3ごとに、オゾンの消費量のばらつきなどに基づいて定められる。ステップS12では、確認部21は、次回のオゾン供給日である次回供給日において、残オゾン量算出部14によって算出される残オゾン量の予測値が、定められた範囲を逸脱するか否かを判断していることに相当する。定められた範囲は、-X以上+Y以下の範囲である。
条件式を満たさない場合(ステップS12 No)、オゾン供給計画作成装置1aは、処理を終了する。条件式を満たす場合(ステップS12 Yes)、オゾン供給計画作成装置1aは、アラームを発出する(ステップS13)。詳細には、ステップS13では、確認部21が、オゾン供給計画の変更の要否の確認を促すアラームを発出すると判断し、アラーム出力部22にアラームの発出を指示する。アラーム出力部22は、確認部21がアラームを出力すると判断した場合に、当該アラームを出力する。アラームの出力は、例えば、オゾン供給計画作成装置1aに、次回供給日までの残オゾン量の予測値が当初の予測値と異なる旨をオゾン供給計画の変更の要否の確認を促す情報とともにアラームとして表示することで行われる。または、アラームの出力は、次回供給日までの残オゾン量の予測値が当初の予測値と異なる旨をオゾン供給計画の変更の要否の確認を促す情報とともに生成施設端末6へ送信することにより行われてもよい。
次に、オゾン供給計画作成装置1aは、再演算の要求があったか否かを判断する(ステップS14)。詳細には、確認部21が、入力受付部11を介して、再演算を要求する入力があったか否かを判断する。または、確認部21は、生成施設端末6から再演算を要求するか否かを示す情報を受信することでステップS14の判断を行ってもよい。例えば、オゾン利用施設3でなんらかの要因で一時的にオゾンの消費量が増えたり、一時的にオゾンの消費量が減少したりといった場合には、オペレータは、再演算を要求しないと判断し、再演算を要求しないことを示す情報をオゾン供給計画作成装置1aに入力する。一方、オペレータは、オゾン利用施設3で定常的にオゾンの消費量が増えた、または定常的にオゾンの消費量が減少したと判断できる場合には、オゾン供給計画作成装置1aに再演算を要求することを示す情報を入力する。
再演算の要求がない場合(ステップS14 No)、オゾン供給計画作成装置1aは、処理を終了する。再演算の要求があった場合(ステップS14 Yes)、オゾン供給計画作成装置1aは、消費量すなわちオゾンの消費量を変更するか否かを判断する(ステップS15)。詳細には、確認部21が、例えば、オゾンの消費量を変更するか否かの入力を促す表示を行い、入力受付部11を介してオゾンの消費量を変更するか否かの情報を受け取り、受け取った情報に基づいて消費量を変更するか否かを判断する。
消費量を変更する場合(ステップS15 Yes)、オゾン供給計画作成装置1aは、値の入力を受付ける(ステップS16)。詳細には、確認部21が、入力受付部11を介して、オゾンの消費量の変更後の値の入力を受付ける。例えば、オペレータが、オゾンの平均消費量をオゾン供給計画作成装置1aに入力する。オゾンの平均消費量の代わりに、実施の形態1と同様に、使用間隔と使用量とが入力されてもよい。なお、このとき、オゾン供給計画作成装置1aは、オゾンの消費量の値だけでなく、次回供給日を決定する際に用いるしきい値の変更の入力を受付けてもよい。
このように、確認部21は、アラーム出力部22によるアラームの出力後に、オゾン供給計画の再演算の要求を受け付けると、残オゾン量算出部14に更新された予測結果を計画作成部18へ出力させ、計画作成部18は、更新された予測結果が入力されると、更新された予測結果を用いてオゾン供給計画を再作成する。このように、オゾン供給計画作成装置1aは、供給計画の再作成の前に、総オゾン量、単位オゾン消費量、保管環境を示す情報およびしきい値のうち少なくとも1つの値を変更する入力を受付けてもよい。
次に、オゾン供給計画作成装置1aは、供給計画を作成する(ステップS17)。詳細には、確認部21が、変更された値を残オゾン量算出部14へ通知する。また、確認部21は、残オゾン量算出部14へ、変更された値を反映して残オゾン量を予測して予測結果を計画作成部18へ出力するよう指示する。残オゾン量算出部14は、確認部21から受け取った変更されたオゾンの消費量を用いて実施の形態1と同様に残オゾン量を予測し、予測結果を計画作成部18へ出力する。次回供給日を決定する際に用いるしきい値が変更された場合には、残オゾン量算出部14は、変更されたしきい値も計画作成部18へ通知する。計画作成部18は、実施の形態1と同様に供給計画を作成する。作成された供給計画は、実施の形態1と同様にオゾン供給計画作成装置1aに表示されてもよいし、生成施設端末6へ送信されてもよい。
次に、オゾン供給計画作成装置1aは、作成された供給計画でよいか否か、すなわち作成された供給計画で問題がないか否かを判断する(ステップS18)。例えば、確認部21が、作成された供給計画が表示されると、供給計画の確認結果の入力を促す画面を表示する。確認結果は、例えば、作成された供給計画でよいか否かの入力を促す画面である。確認部21は、入力受付部11を介して、作成された供給計画でよいことを示す入力を受付けると、作成された供給計画でよい、すなわち、作成された供給計画で問題ないと判断する。なお、作成された供給計画が、生成施設端末6へ送信される場合には、確認部21は、生成施設端末6から、作成された供給計画でよいか否かを示す情報を受信することで、作成された供給計画でよいか否かを判断する。
作成された供給計画でよい場合(ステップS18 Yes)、オゾン供給計画作成装置1aは、処理を終了する。作成された供給計画に問題がある場合(ステップS18 No)、オゾン供給計画作成装置1aは、ステップS15からの処理を再度実施する。ステップS15で消費量を変更しない場合(ステップS15 No)、オゾン供給計画作成装置1aは、処理をステップS17へ進める。
なお、ステップS16において、オゾン供給計画作成装置1aは、オゾンの保管温度の変更の入力を受付けてもよい。この場合、保管温度は、自己分解速度算出部13に入力され、自己分解速度算出部13は入力された保管温度を用いて自己分解速度を算出し、算出した自己分解速度を残オゾン量算出部14へ出力する。
なお、上述した例では、オゾン供給計画作成装置1aは、残オゾン量の予測結果を用いて、オゾン供給計画の再演算の要否をオペレータに確認するようにしたが、これに限らず、オゾン供給計画作成装置1aは、任意のタイミングで、オペレータからの再演算の要求を受付けてもよい。また、オゾン供給計画作成装置1aは、生成施設端末6から再演算の要求を受信した場合に、オゾン供給計画の再演算を行うようにしてもよい。オゾン供給計画作成装置1aがオゾン供給計画の再作成を指示する入力を受付けると、オゾン供給計画の再作成が行われるようにしてもよい。
本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1aは、実施の形態1のオゾン供給計画作成装置1と同様に、例えば、図6に示したコンピュータシステムにより実現される。確認部21およびアラーム出力部22は、制御部101および表示部104により実現される。また、確認部21およびアラーム出力部22の実現に通信部105が用いられてもよい。
以上の処理により、オゾン供給計画作成装置1aは、オゾンの消費量が、供給計画の作成時から変更された場合に、供給計画を更新することができる。これにより、供給計画の作成時のオゾンの消費量の見積もりが正確でなかったり、途中でオゾン利用施設3における使用方法が変更になったりといった場合でも、オゾン供給計画作成装置1aは、適切な供給計画を作成することができる。
実施の形態3.
図9は、実施の形態3のオゾン供給計画作成装置1bの構成例を示す図である。本実施の形態のオゾン供給システムは、オゾン供給計画作成装置1の代わりにオゾン供給計画作成装置1bを備える以外は、実施の形態1のオゾン供給システム7と同様である。オゾン供給計画作成装置1bは、生産情報記憶部23が追加され、計画作成部18の代わりに計画作成部18aを備える以外は、実施の形態1のオゾン供給計画作成装置1と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1bは、オゾン供給計画だけでなく、オゾン生成施設2から各オゾン利用施設3までの運搬に要する時間である運搬時間を考慮したオゾンの生産計画も作成する。
図10は、本実施の形態の利用施設情報の一例を示す図である。本実施の形態では、利用施設情報記憶部17に記憶される利用施設情報に、オゾン生成施設2から各オゾン利用施設3までの運搬時間の一例である運搬日数が格納される。なお、オゾン利用施設3ごとの運搬日数は、利用施設情報とは別に運搬日数情報として利用施設情報記憶部17に記憶されてもよい。
生産情報記憶部23は、施設の生産能力を示す生産能力情報を記憶する。オゾン生成施設2に複数のオゾン発生装置4が設けられている場合には、生産情報記憶部23は、複数のオゾン発生装置4ごとの生産能力を示す生産能力情報を記憶する。生産能力は、例えば、1日あたりのオゾンの最大の生産量をオゾン貯蔵容器5の容量を単位として示した生産量で示される。例えば、オゾン発生装置4が1日に最大で5つのオゾン貯蔵容器5を充填できる量のオゾンを生産できる場合、生産量は5である。
計画作成部18aは、実施の形態1と同様に供給計画を作成する。さらに、計画作成部18aは、利用施設情報記憶部17に格納されている利用施設情報における運搬日数と、生産情報記憶部23に記憶されている生産能力情報と、作成した供給計画とを用いて、オゾンの生産計画を作成する。また、運搬に用いられる車両が全て冷凍車であれば運搬時の自己分解量は無視できるが、運搬に冷蔵車および通常の車両のうち少なくとも一方が用いられる場合には、運搬時の自己分解が生じる可能性がある。通常の車両は、常温で運搬を行う車両である。このため、計画作成部18aは、運搬時の自己分解を考慮してもよい。この場合、計画作成部18aは、供給計画の作成時に、総オゾン量として、運搬時の自己分解を考慮した値を用いる。運搬時の自己分解を考慮した値については後述する。
例えば、計画作成部18aは、作成した供給計画と、利用施設情報記憶部17に格納されている利用施設情報における運搬日数とを用いて、オゾン利用施設3ごとに、次回の供給のための運搬開始日を決定する。
図11は、本実施の形態のオゾン利用施設3ごとの運搬開始日の一例を示す図である。図11に示した例では、図5に示した供給計画が作成された場合の運搬開始日を示している。図11に示すように、図5に示した供給計画における次回供給日から、図10に示した各オゾン利用施設3までの運搬日数を減じた日が運搬開始日になる。なお、図11に示した例では、各オゾン利用施設3までの運搬環境も示されている。運搬環境は、運搬時の温度環境を示す情報であり、例えば、冷凍車、冷蔵車および通常の車両のうちどの種類の車両で運搬されるかを示す情報である。また、オゾン貯蔵容器5自体が冷却機能を有している場合には、運搬環境は、運搬に用いられる車両によらずに容器冷却となる。さらに、通常の車両が用いられる場合にも、運搬時だけ冷却用のカートリッジなどが用いられ、オゾン貯蔵容器5が冷却されることもある。この場合も、運搬環境は容器冷却となる。運搬環境は、例えば、入力受付部11を介して、オペレータから入力される。各運搬環境に対応する温度はあらかじめ定められており、運搬環境ごとの温度は温度情報として生産情報記憶部23に記憶される。
運搬時の自己分解が考慮される場合、計画作成部18aは、運搬環境に対応する温度を用いて、オゾン利用施設3ごとに、自己分解速度算出部13と同様に自己分解速度を算出し搬入完了時の残オゾン量を予測する。計画作成部18aは、搬入完了時の残オゾン量を、総オゾン量として用いて、実施の形態1と同様にオゾン供給計画を作成する。そして、計画作成部18aは、作成したオゾン供給計画と利用施設情報記憶部17に格納されている利用施設情報における運搬日数とを用いて、オゾン利用施設3ごとに、次回の供給のための運搬開始日を決定する。なお、運搬に要する時間が短い場合、または運搬において冷凍車が用いられる場合などには、運搬時の自己分解は考慮されなくてもよい。
次に、計画作成部18aは、生産情報記憶部23に格納されている生産能力情報と、運搬開始日とを用いて生産計画を作成する。計画作成部18aは、生産能力情報に、複数のオゾン発生装置4の生産能力が含まれている場合には、これらの生産能力の総和を求め、求めた総和を、最大の生産能力とする。図12は、本実施の形態の生産計画の一例を示す図である。図12に示した例では、生産能力、すなわち1日あたりの最大の生産量を5としている。図12に示すように、計画作成部18aは、運搬開始日ごとに、各オゾン利用施設3へ運搬するオゾンが充填済のオゾン貯蔵容器5の数の合計値を出荷数として算出する。そして、計画作成部18aは、各運搬開始日までに運搬開始日に運搬が開始される量すなわち出荷数の生産が終了するように、各日の生産量を決定する。図12における残量は、オゾン生成施設2においてオゾンを充填済であり出荷されていないオゾン貯蔵容器5の数を示す。図12に示すように、12/27は最大の生産量で生産を行うことで生産量を5とし、12/28では生産量は4であり、最大の生産量より少ない生産量で生産が行われる。12/29には、5つの、オゾンが充填済のオゾン貯蔵容器5が出荷される。また、12/29,12/30にも生産量5で生産が行われ、12/31に、15個の、オゾンが充填済のオゾン貯蔵容器5が出荷される。なお、図12に示した例は一例であり、例えば、12/27の生産量を4とし、12/28の生産量を5としてもよい。このように、生産能力の範囲内で、運搬開始日までに出荷数分のオゾンが生産されるように生産計画が作成されればよく、具体的な作成方法は、図12に示した例に限定されない。
このように、本実施の形態では、オゾン生成施設2においてオゾン発生装置4によってオゾン貯蔵容器5にオゾンが充填され、オゾンが充填されたオゾン貯蔵容器5がオゾン利用施設3へ搬入されることでオゾン利用施設3にオゾンが供給される。そして、オゾン供給計画作成装置1bの計画作成部18aは、作成したオゾン供給計画と、オゾン貯蔵容器5の運搬時間とを用いて、オゾン発生装置4によるオゾンの生産計画を作成する。
また、運搬時の運搬計画については、組み合わせの最適化問題を局所探索法などの任意のアルゴリズムを用いて制約条件を与えて解くことで、1つの車両が効率的に各オゾン利用施設3にオゾン貯蔵容器5を運搬できるように運搬ルートを決定してもよい。
本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1bは、実施の形態1のオゾン供給計画作成装置1と同様に、例えば、図6に示したコンピュータシステムにより実現される。
以上のように、本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1bは、供給計画だけでなく、運搬日数を考慮したオゾンの生産計画も作成するようにした。このため、本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1bは、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、オゾン生成施設2における適切な生産を支援することができる。また、本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1bは、運搬時の運搬環境に応じて自己分解を考慮して供給計画を作成することで、より精度の高い供給計画を作成することができる。
なお、本実施の形態においても、実施の形態2で述べたように、確認部21とアラーム出力部22とを追加して、供給計画の作成後に、残オゾン量を監視して供給計画の変更が必要な場合に再度供給計画を作成してもよい。この場合、供給計画の変更に伴って生産計画も変更される。
実施の形態4.
次に、実施の形態4について説明する。本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1bの構成は実施の形態3と同様である。実施の形態3と同様の機能を有する構成要素は実施の形態3と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態3と異なる点を主に説明する。
図13は、本実施の形態のオゾン供給システムにおける運用の一例を示す図である。実施の形態1および実施の形態2では、オゾン生成施設2においてオゾン発生装置4によってオゾンの充填が行われたが、本実施の形態では、図13に示すように、オゾン発生装置4がオゾン利用施設3へ運搬され、オゾン利用施設3において、オゾン貯蔵容器5へのオゾンの充填が行われる。
本実施の形態においても、オゾン供給計画作成装置1bは、オゾンの供給計画と、生産計画とを作成するが、本実施の形態では、オゾン発生装置4を運搬するため運搬時の自己分解は考慮されない。また、本実施の形態では、オゾンの供給は、オゾンが充填されたオゾン貯蔵容器5の搬入によって行われるのではなく、オゾン利用施設3におけるオゾン発生装置4によるオゾンの充填によって行われる。したがって、前回のオゾン貯蔵容器5の設置日の代わりに、前回、オゾン利用施設3においてオゾン発生装置4によってオゾンがオゾン貯蔵容器5に供給された日が用いられる。すなわち、本実施の形態では、オゾン利用施設3へのオゾン供給日は、オゾン利用施設3においてオゾン発生装置4によってオゾンがオゾン貯蔵容器5に供給された日である。
本実施の形態では、生産計画は、オゾン利用施設3における次回供給日からオゾン利用施設3までのオゾン発生装置4の運搬日数と、オゾン利用施設3におけるオゾンの充填に要する時間とに基づいて作成される。オゾン利用施設3におけるオゾンの充填に要する時間は、生産能力に基づいて決定される。例えば、オゾン利用施設3-1における次回供給日が1/1であり必要供給量が5であり、オゾン発生装置4の1日あたりの生産量が5である場合、次回供給日の1日で、オゾン利用施設3-1におけるオゾンの供給を行うことができる。オゾン発生装置4の運搬開始日は、次回供給日より運搬日数だけの前の日となる。なお、実施の形態3と同様に、オゾン発生装置4の運搬時の運搬計画については、組み合わせの最適化問題を局所探索法などの任意のアルゴリズムを用いて制約条件を与えて解くことで、1つの車両が効率的にオゾン発生装置4を各オゾン利用施設3に運搬できるように運搬ルートを決定してもよい。
このように、本実施の形態では、オゾン利用施設3へのオゾンの供給のたびに、オゾン利用施設3に運搬されたオゾン発生装置4によってオゾン貯蔵容器5にオゾンが充填されることでオゾン利用施設3にオゾンが供給される。オゾン供給計画作成装置1bの計画作成部18aは、作成したオゾン供給計画と、オゾン発生装置4の運搬時間とを用いて、オゾン発生装置4によるオゾンの生産計画を作成する。
なお、ここでは、実施の形態3と同様に、オゾンの供給計画と、生産計画との両方が生成される例を説明したが、生産計画は作成されなくてもよい。この場合の供給計画の作成方法は、実施の形態1と同様である。
以上のように、本実施の形態では、オゾン発生装置4をオゾン利用施設3へ運搬してオゾン貯蔵容器5へのオゾンの充填を行う場合に、供給計画だけでなく、運搬日数を考慮したオゾンの生産計画も作成するようにした。このため、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、オゾン生成施設2における適切な生産を支援することができる。
なお、本実施の形態においても、実施の形態2で述べたように、確認部21とアラーム出力部22とを追加して、供給計画の作成後に、残オゾン量を監視して供給計画の変更が必要な場合に再度供給計画を作成してもよい。この場合、供給計画の変更に伴って生産計画も変更される。
実施の形態5.
図14は、実施の形態5のオゾン供給計画作成装置1cの構成例を示す図である。本実施の形態のオゾン供給システムは、オゾン供給計画作成装置1の代わりにオゾン供給計画作成装置1cを備える以外は、実施の形態1のオゾン供給システム7と同様である。オゾン供給計画作成装置1cは、電気料金情報記憶部24が追加され、計画作成部18aの代わりに計画作成部18bを備える以外は、実施の形態3のオゾン供給計画作成装置1bと同様である。実施の形態3と同様の機能を有する構成要素は実施の形態3と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態3と異なる点を主に説明する。
本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1cは、電気料金を考慮し、電気料金を抑制するように生産計画を作成する。
電気料金情報記憶部24は、時間帯ごとの電気料金を記憶する。ここでは、例えば、1日のうち、第1時間帯、第2時間帯および第3時間帯の3つの時間帯でそれぞれ電気料金(単価)が異なっているとする。ここでは、第1時間帯の電気料金をP1とし、第2時間帯の電気料金をP2とし、第3時間帯の電気料金をP3とし、P1>P2>P3であるとする。電気料金情報記憶部24は、時間帯ごとの電気料金(単価)を記憶する。
オゾン供給計画作成装置1cの計画作成部18bは、実施の形態3と同様に、供給計画を作成し、運搬開始日を決定する。計画作成部18bは、生産情報記憶部23に格納されている生産能力を時間帯ごとに分配する。例えば、各時間帯の長さの比で、生産能力すなわち1日あたりの最大の生産量を分配する。図15は、本実施の形態における各時間帯の生産量の一例を示す図である。図15では、各時間帯の電気料金(単価)と1日あたりの当該時間帯における最大の生産量(最大生産量)とが示されている。例えば、1日の最大の生産量が5であり、第1時間帯の長さ、第2時間帯の長さ、第3時間帯の長さの比が、1:1:3であるとする。このとき、オゾン供給計画作成装置1cは、第1時間帯における1日の最大の生産量を1、第2時間帯における1日の最大の生産量を1、第3時間帯における1日の最大の生産量を3にそれぞれ分配する。
オゾン供給計画作成装置1cの計画作成部18bは、各運搬開始日の出荷数に基づいて、各日の第3時間帯だけの生産量でオゾンの生産が間に合う場合には、各日の第3時間帯だけでオゾンを生産するように生産計画を作成する。各日の第3時間帯だけの生産量では、各運搬開始日の出荷数を賄えない場合、各日の第3時間帯および第2時間帯の生産量でオゾンの生産が間に合う場合には、各日の第3時間帯および第2時間帯でオゾンを生産するように生産計画を作成する。各日の第3時間帯および第2時間帯の生産量では、各運搬開始日の出荷数を賄えない場合には、第1時間帯も用いて生産を行うように生産計画を作成する。このように、計画作成部18bは、時間帯ごとの電気料金に基づいて生産計画を作成する。
または、オゾン供給計画作成装置1cは、1週間などの一定期間内における電気料金が最小となるように、生産計画を作成してもよい。
なお、本実施の形態のオゾン供給計画作成装置1cに、実施の形態2で述べたように、確認部21とアラーム出力部22とを追加して、供給計画の作成後に、残オゾン量を監視して供給計画の変更が必要な場合に再度供給計画が作成されてもよい。この場合、供給計画の変更に伴って生産計画も変更される。
以上のように、本実施の形態では、電気料金を考慮してオゾンの生産計画を作成するようにした。これにより、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、オゾンの生産に要するコストを抑制することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。