以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、下記実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る負荷制御装置1は、図1に示すように、交流電源8に対して負荷7と電気的に直列に接続される双方向スイッチ2を備えている。負荷制御装置1は、交流電源8から負荷7に供給される交流電圧Vacを、双方向スイッチ2にて位相制御する。ここでいう「位相制御」は、交流電圧Vacの半周期毎における負荷7への通電を開始又は終了する位相角(導通角)を変化させることにより、負荷7に供給(印加)される交流電圧Vacを制御する方式を意味する。つまり、負荷制御装置1は、負荷7に供給される交流電圧Vacを位相制御することにより、例えば、照明負荷、ヒータ、又はファン等の負荷7を制御する。
本実施形態では一例として、負荷7が、複数のLED素子と、複数のLED素子を点灯させる電源回路と、を備える照明負荷である場合について説明する。すなわち、負荷制御装置1は、位相制御により、照明負荷からなる負荷7の光出力の大きさを調節する調光装置を構成する。交流電源8は、例えば、単相100〔V〕、60〔Hz〕の商用電源である。負荷制御装置1は、一例として壁スイッチ等に適用可能である。
ここで、本実施形態に係る負荷制御装置1は、2線式であって、双方向スイッチ2が交流電源8に対して負荷7と電気的に直列に接続されるように、交流電源8と負荷7との間に電気的に接続される。言い換えれば、負荷制御装置1には、交流電源8に繋がる電線と、負荷7に繋がる電線との、2本の電線が接続され、これら2本の電線間に双方向スイッチ2が挿入される。そのため、双方向スイッチ2が導通状態にあれば、交流電源8からの電圧が負荷7に印加されて負荷7に電力供給され、双方向スイッチ2が非導通状態にあれば、交流電源8からの電圧が負荷制御装置1に印加されて負荷7への電力供給が停止する。負荷制御装置1は、負荷制御装置1自身の動作用電力を、これら2本の電線を通して交流電源8から取得し、双方向スイッチ2の制御等を行う。すなわち、負荷制御装置1は、双方向スイッチ2が非導通状態にあるときに、後述する電源部5にて自身の動作用電力を生成するので、2線式の負荷制御装置1を実現可能である。
(2)構成
本実施形態に係る負荷制御装置1は、図1に示すように、一対の入力端子11,12、双方向スイッチ2、位相検出部3、インタフェース部4、電源部5、制御回路6、スイッチ駆動部9、検出部53、及びダイオードD1,D2を備えている。制御回路6には、制御部61、停止部62、及び切替部63が含まれている。ここでいう「入力端子」は、電線等を接続するための部品(端子)でなくてもよく、例えば電子部品のリードや、回路基板に含まれる導体の一部であってもよい。
双方向スイッチ2は、例えば、入力端子11,12間に電気的に直列に接続された第1のスイッチ素子Q1及び第2のスイッチ素子Q2の2個の素子からなる。例えば、スイッチ素子Q1,Q2の各々は、エンハンスメント形のnチャネルMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)からなる半導体スイッチ素子である。
スイッチ素子Q1,Q2は、入力端子11,12間において、いわゆる逆直列に接続されている。つまり、スイッチ素子Q1,Q2はソース同士が互いに接続されている。スイッチ素子Q1のドレインは入力端子11に接続され、スイッチ素子Q2のドレインは入力端子12に接続されている。両スイッチ素子Q1,Q2のソースは、電源部5のグランドに接続されている。電源部5のグランドは、負荷制御装置1の内部回路にとって基準電位となる。
双方向スイッチ2は、スイッチ素子Q1,Q2のオン、オフの組み合わせにより、4つの状態を切替可能である。4つの状態には、両スイッチ素子Q1,Q2が共にオフである双方向オフ状態と、両スイッチ素子Q1,Q2が共にオンである双方向オン状態と、スイッチ素子Q1,Q2の一方のみがオンである2種類の一方向オン状態とがある。一方向オン状態では、スイッチ素子Q1,Q2のうち、オンの方のスイッチ素子から、オフの方のスイッチ素子の寄生ダイオードを通して一対の入力端子11,12間が一方向に導通することになる。例えば、スイッチ素子Q1がオン、スイッチ素子Q2がオフの状態では、入力端子11から入力端子12に向けて電流を流す第1の一方向オン状態となる。また、スイッチ素子Q2がオン、スイッチ素子Q1がオフの状態では、入力端子12から入力端子11に向けて電流を流す第2の一方向オン状態となる。そのため、入力端子11,12間に交流電源8から交流電圧Vacが印加される場合、交流電圧Vacの正極性、つまり入力端子11が正極の半周期においては、第1の一方向オン状態が「順方向オン状態」、第2の一方向オン状態が「逆方向オン状態」となる。一方、交流電圧Vacの負極性、つまり入力端子12が正極の半周期においては、第2の一方向オン状態が「順方向オン状態」、第1の一方向オン状態が「逆方向オン状態」となる。
ここで、双方向スイッチ2は、「双方向オン状態」及び「順方向オン状態」の両状態が導通状態であり、「双方向オフ状態」及び「逆方向オン状態」の両状態が非導通状態である。
位相検出部3は、入力端子11,12間に印加される交流電圧Vacの位相を検出する。ここでいう「位相」には、交流電圧Vacのゼロクロス点、交流電圧Vacの極性(正極性、負極性)を含んでいる。位相検出部3は、交流電圧Vacのゼロクロス点を検出すると検出信号を制御回路6に出力するように構成されている。位相検出部3は、ダイオードD31と、第1検出部31と、ダイオードD32と、第2検出部32と、を有している。第1検出部31は、ダイオードD31を介して入力端子11に電気的に接続されている。第2検出部32は、ダイオードD32を介して入力端子12に電気的に接続されている。第1検出部31は、交流電圧Vacが負極性の半周期から正極性の半周期に移行する際のゼロクロス点を検出する。第2検出部32は、交流電圧Vacが正極性の半周期から負極性の半周期に移行する際のゼロクロス点を検出する。
すなわち、第1検出部31は、入力端子11を正極とする電圧が規定値未満の状態から規定値以上の状態に移行したことを検出すると、ゼロクロス点と判断し、第1検出信号ZC1を制御回路6に出力する。同様に、第2検出部32は、入力端子12を正極とする電圧が規定値未満の状態から規定値以上の状態に移行したことを検出すると、ゼロクロス点と判断し、第2検出信号ZC2を制御回路6に出力する。規定値は0〔V〕付近に設定された値(絶対値)である。例えば、第1検出部31の規定値は、数〔V〕程度であり、第2検出部32の規定値は、数〔V〕程度である。したがって、第1検出部31及び第2検出部32で検出されるゼロクロス点の検出点は、厳密な意味でのゼロクロス点(0〔V〕)から少し時間が遅れる。
インタフェース部4には、交流電圧Vacの半周期毎における負荷7への通電を開始又は終了する位相角(導通角)を規定する入力レベルが入力される。つまり、入力レベルは、交流電圧Vacの半周期において双方向スイッチ2が導通状態になるタイミング又は非導通状態になるタイミングを規定する。本実施形態では、負荷制御装置1は調光装置であるから、インタフェース部4は、ユーザによる操作を受け付け、入力レベルとしての調光レベルの入力を受け付ける。インタフェース部4は、制御回路6に対し調光レベルを表す調光信号を出力する。調光信号とは、負荷7の光出力の大きさを指定する数値等であって、負荷7を消灯状態とする「OFFレベル」を含む場合もある。本実施形態では一例として、インタフェース部4は、ユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネルを有している。インタフェース部4は、入力レベル(調光レベル)を表す信号を出力する構成であればよく、例えば可変抵抗器又はロータリスイッチ等であってもよい。さらに、インタフェース部は、リモートコントローラ、又はスマートフォン等の通信端末からの信号を受信する受信部にて構成されていてもよい。
また、本実施形態は、インタフェース部4は、入力された入力レベル(調光レベル)を表示する表示部(インジケータ)を更に有している。インタフェース部4は、例えば、複数個のLED素子からなる表示部を含み、LED素子の点灯数によって入力レベルを表示する。
制御回路6は、制御部61、停止部62、及び切替部63としての機能を有している。制御部61は、位相検出部3からの検出信号及びインタフェース部4からの調光信号に基づいて双方向スイッチ2を制御する。制御部61は、スイッチ素子Q1,Q2の各々を別々に制御する。具体的には、制御部61は、第1制御信号Sb1にてスイッチ素子Q1を制御し、第2制御信号Sb2にてスイッチ素子Q2を制御する。停止部62は、除外期間に、後述するスイッチング電源52を交流電源8から電気的に切り離す、又はスイッチング電源52の変換動作を停止する。ここでいう「除外期間」は、位相検出部3が位相を検出する検出タイミングを含む期間であって、位相検出部3がゼロクロス点を検出する場合には、除外期間はゼロクロス点を含む期間である。切替部63は、停止部62の機能の有効/無効を切り替える。停止部62及び切替部63については、「(3.3)電源部の動作」の欄で詳しく説明する。
制御回路6は、例えばマイクロコンピュータを主構成として備えている。マイクロコンピュータは、マイクロコンピュータのメモリに記録されているプログラムをCPU(Central Processing Unit)で実行することにより、制御回路6としての機能を実現する。プログラムは、予めマイクロコンピュータのメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。言い換えれば、上記プログラムは、コンピュータ(ここではマイクロコンピュータ)を、制御回路6として機能させるためのプログラムである。
スイッチ駆動部9は、スイッチ素子Q1を駆動(オン/オフ制御)する第1駆動部91と、スイッチ素子Q2を駆動(オン/オフ制御)する第2駆動部92と、を有している。第1駆動部91は、制御回路6から第1制御信号Sb1を受けて、スイッチ素子Q1にゲート電圧を印加する。これにより、第1駆動部91はスイッチ素子Q1をオン/オフ制御する。同様に、第2駆動部92は、制御回路6から第2制御信号Sb2を受けて、スイッチ素子Q2にゲート電圧を印加する。これにより、第2駆動部92はスイッチ素子Q2をオン/オフ制御する。第1駆動部91は、スイッチ素子Q1のソースの電位を基準にしてゲート電圧を生成する。第2駆動部92も同様である。
電源部5はスイッチ駆動部9等を動作させるための駆動電力(電気エネルギ)を生成するドロッパ電源51と、制御電力を生成するスイッチング電源52と、を有している。駆動電力は、スイッチ駆動部9等を動作させるための電力である。制御電力は、インタフェース部4及び制御回路6等を動作させるための電力である。電源部5は、交流電源8からの供給電力により、ドロッパ電源51にて電気エネルギ(駆動電力)を生成する生成動作を行う。ドロッパ電源51にて生成された電気エネルギ(駆動電力)は、スイッチング電源52にて制御電力へと変換される。
電源部5は、ダイオードD1を介して入力端子11に電気的に接続され、ダイオードD2を介して入力端子12に電気的に接続されている。これにより、ダイオードD1,D2と、スイッチ素子Q1,Q2の各々の寄生ダイオードとで構成されるダイオードブリッジにて、入力端子11,12間に印加される交流電圧Vacが全波整流されて、電源部5に供給される。したがって、双方向スイッチ2が非導通状態にある場合、電源部5には、全波整流された交流電圧Vac(ダイオードブリッジから出力される脈流電圧)が印加されることになる。
ドロッパ電源51は、第1回路511と、容量性素子(コンデンサ)C1と、を有している。ドロッパ電源51は、シリーズレギュレータ方式の電源回路であって、全波整流された交流電圧Vacが印加されることにより、印加された電圧の降圧及び平滑を行い、直流の駆動電圧Vc1を生成する。すなわち、第1回路511に全波整流された交流電圧Vacが印加されると、容量性素子C1が充電され、容量性素子C1の両端に駆動電圧Vc1が発生する。ドロッパ電源51は、容量性素子C1に蓄積されている電気エネルギを、スイッチ駆動部9及びスイッチング電源52に、駆動電力として供給する。駆動電圧Vc1は、例えば15〔V〕である。
スイッチング電源52は、第2回路521と、容量性素子(コンデンサ)C2と、を有している。スイッチング電源52は、降圧チョッパ回路等のスイッチング方式のDC-DCコンバータであって、ドロッパ電源51から駆動電圧Vc1が印加されることにより、印加された直流電圧(駆動電圧Vc1)の降圧を行い、直流の制御電圧Vc2を生成する。すなわち、第2回路521に駆動電圧Vc1が印加されると、容量性素子C2が充電され、容量性素子C2の両端に制御電圧Vc2が発生する。第2回路521は、スイッチング素子(半導体スイッチ)を含み、スイッチング素子のスイッチングにより、駆動電圧Vc1を降圧して制御電圧Vc2を生成する。要するに、スイッチング電源52は、交流電源8からの供給電力により生成された直流電圧をスイッチング素子のスイッチング動作により制御電圧Vc2に変換する変換動作を行う。スイッチング電源52の変換動作により生成された制御電力は、インタフェース部4及び制御回路6等に供給される。制御電圧Vc2は、例えば3.5〔V〕である。
したがって、制御回路6(制御部61)には、スイッチング電源52の変換動作中において、電源部5の容量性素子C1からスイッチング電源52を介して電気エネルギが供給される。制御回路6(制御部61)は、電源部5からの電気エネルギ(制御電力)にて動作する。
ドロッパ電源51及びスイッチング電源52は、制御部61にて制御可能に構成されている。言い換えれば、制御部61は、電源部5を制御する機能を有している。これにより、電源部5は、容量性素子C1に蓄積される電気エネルギ(駆動電力)を生成する生成動作を実行するか否かが、制御部61にて制御される。さらに、電源部5は、容量性素子C2に蓄積される電気エネルギ(制御電力)を生成する変換動作を実行するか否かが、制御部61にて制御される。
本実施形態では、制御部61は、ドロッパ電源51に含まれている半導体スイッチを制御することにより、電源部5に生成動作を実行させる状態と、電源部5の生成動作を停止する状態とを切り替える。具体的には、制御部61は、第1電源信号Ss1にてドロッパ電源51の半導体スイッチを制御する。制御部61は、第1回路511の動作を停止することでドロッパ電源51の入力インピーダンスを高くし、ドロッパ電源51の生成動作を停止させる。第1電源信号Ss1によりドロッパ電源51の生成動作が停止すると、電源部5での電気エネルギ(駆動電力)の生成が停止する。さらに、制御部61は、スイッチング電源52に含まれているスイッチング素子を制御することにより、電源部5に変換動作を実行させる状態と、電源部5の変換動作を停止する状態とを切り替える。具体的には、制御部61は、第2電源信号Ss2にてスイッチング電源52のスイッチング素子を制御する。スイッチング電源52の変換動作が停止すると、電源部5での電気エネルギ(制御電力)の生成が停止する。
検出部53は、容量性素子C1に蓄積されている電気エネルギの大きさを検出する。本実施形態では、検出部53は、容量性素子C1の両端電圧である駆動電圧Vc1の大きさを検出するように構成されている。検出部53は、例えば容量性素子C1の両端間に接続された分圧抵抗であって、駆動電圧Vc1に相当する電圧を、検出値として制御回路6へ出力する。つまり、検出部53は、容量性素子C1の両端電圧(駆動電圧Vc1)を検出することで、容量性素子C1に蓄積されている電気エネルギの大きさを、直接的に検出している。以下では、検出部53の検出値は駆動電圧Vc1と等しいこととする。ただし、この構成に限らず、検出部53は、例えば、容量性素子C2の両端電圧である制御電圧Vc2を検出することにより、容量性素子C1に蓄積されている電気エネルギの大きさを、間接的に検出する構成であってもよい。
負荷7の点灯回路は、負荷制御装置1で位相制御された交流電圧Vacの波形から調光レベルを読み取り、LED素子の光出力の大きさを変化させる。ここで、点灯回路は、一例としてブリーダ回路などの電流確保用の回路を有している。そのため、負荷制御装置1の双方向スイッチ2が非導通となる期間においても、負荷7に電流を流すことが可能である。
(3)動作
(3.1)起動動作
まず、本実施形態の負荷制御装置1の通電開始時の起動動作について説明する。
上述した構成の負荷制御装置1によれば、入力端子11,12間に負荷7を介して交流電源8が接続されると、交流電源8から入力端子11,12間に印加される交流電圧Vacが整流されてドロッパ電源51に供給される。ドロッパ電源51で生成された駆動電力はスイッチ駆動部9に供給され、かつスイッチング電源52に供給される。スイッチング電源52で生成された制御電力が制御回路6及びインタフェース部4に供給されると、制御回路6及びインタフェース部4が起動する。
制御回路6が起動すると、制御回路6は、位相検出部3の検出信号を基に交流電源8の周波数の判定を行う。そして、制御回路6は、判定した周波数に応じて、予めメモリに記憶されている数値テーブルを参照し、各種の時間などのパラメータの設定を行う。ここで、インタフェース部4に入力された調光レベルが「OFFレベル」であれば、制御回路6は、双方向スイッチ2を双方向オフ状態に維持することで、一対の入力端子11,12間のインピーダンスをハイインピーダンス状態に維持する。これにより、負荷7は消灯状態を維持する。
(3.2)負荷制御動作
次に、本実施形態の負荷制御装置1の負荷制御動作について、図2を参照して説明する。図2では、交流電圧「Vac」、第1検出信号「ZC1」、第2検出信号「ZC2」、第1制御信号「Sb1」、第2制御信号「Sb2」、第1電源信号「Ss1」、及び駆動電圧「Vc1」を示している。
本実施形態では、第1検出信号ZC1が「H」レベル(High Level)から「L」レベル(Low Level)に変化することをもって、第1検出信号ZC1が発生したこととする。また、第2検出信号ZC2が「H」レベルから「L」レベルに変化することをもって、第2検出信号ZC2が発生したこととする。つまり、第1検出信号ZC1及び第2検出信号ZC2は、位相検出部3での位相(ゼロクロス点)の検出時に「H」レベルから「L」レベルに変化する信号である。第1電源信号Ss1及び駆動電圧Vc1については、「(3.3)制御電力の生成動作」の欄で説明する。
制御部61は、位相検出部3で検出された位相に基づき、交流電圧Vacの半周期を第一の期間T1、第二の期間T2、第三の期間T3、及び第四の期間T4に区分して、双方向スイッチ2を制御する。ここでいう「半周期」は、交流電圧Vacの連続する2回のゼロクロス点間の期間である。第一の期間T1及び第四の期間T4では、制御部61は、双方向スイッチ2を非導通状態にする。第二の期間T2では、制御部61は、双方向スイッチ2を導通状態にする。第三の期間T3では、制御部61は、双方向スイッチ2を非導通状態にする。
以下、第一の期間T1、第二の期間T2、第三の期間T3、及び第四の期間T4における負荷制御装置1の動作について、さらに詳しく説明する。
まず、交流電圧Vacが正極性の半周期における負荷制御装置1の動作について説明する。負荷制御装置1は、位相制御の基準となる交流電圧Vacのゼロクロス点を位相検出部3で検出する。交流電圧Vacが負極性の半周期から正極性の半周期に移行する際には、交流電圧Vacが正極性の規定値「Vzc」に達すると、第1検出部31が第1検出信号ZC1を出力する。制御部61は、第1検出信号ZC1が発生した時点t11以降、つまり位相検出部3での位相(ゼロクロス点)の検出タイミング以降に、第1時点t1を設定し、第1時点t1において、第1制御信号Sb1及び第2制御信号Sb2を「ON」信号にする。言い換えれば、図2の例では、時点t11にて位相検出部3が位相を検出し、その後の第1時点t1にて、制御部61が双方向スイッチ2を双方向オン状態にしている。正極性の半周期の始点(ゼロクロス点)t0から第1時点t1までの期間が、第一の期間T1となる。第一の期間T1では、制御部61は、第1制御信号Sb1及び第2制御信号Sb2を「OFF」信号にする。これにより、第一の期間T1では、スイッチ素子Q1,Q2がいずれもオフになり、双方向スイッチ2が双方向オフ状態(非導通状態)となる。そのため、第一の期間T1には、交流電源8から負荷7への電力供給が断たれる。
第2時点t2は、位相検出部3での位相(ゼロクロス点)の検出タイミング(時点t11)から調光信号に応じた長さのオン時間が経過した時点である。第2時点t2においては、制御部61は、第2制御信号Sb2を「ON」信号に維持したまま、第1制御信号Sb1を「OFF」信号にする。これにより、第1時点t1から第2時点t2までの第二の期間T2には、スイッチ素子Q1,Q2がいずれもオンになり、双方向スイッチ2が双方向オン状態(導通状態)となる。そのため、第二の期間T2には、交流電源8から双方向スイッチ2を介して負荷7へ電力が供給される。
第3時点t3は、半周期の終点(ゼロクロス点)t4よりも一定時間(例えば300〔μs〕)だけ手前の時点である。つまり、第3時点t3は、位相検出部3でのゼロクロス点の検出タイミング(時点t11)より、半周期の時間から第一の期間T1を差し引いた時間が経過した時点を終点t4と推定した場合に、この終点t4の一定時間だけ手前の時点である。図2のタイミングチャートでは、第3時点t3が、交流電圧Vacが正極性の規定値「Vzc」に達するタイミング、及び交流電圧Vacが負極性の規定値「-Vzc」に達するタイミングに一致するように図示されている。ただし、実際には、第3時点t3は、交流電圧Vacが正極性の規定値「Vzc」又は負極性の規定値「-Vzc」と交差するタイミングとは関係無く決められている。
第3時点t3においては、制御回路6は、第1制御信号Sb1及び第2制御信号Sb2を「OFF」信号にする。これにより、第2時点t2から第3時点t3までの第三の期間T3には、スイッチ素子Q1,Q2のうちスイッチ素子Q1のみがオフし、双方向スイッチ2が逆方向オン状態(非導通状態)となる。そのため、第三の期間T3には、交流電源8から負荷7への電力供給が断たれる。
第3時点t3から半周期の終点(ゼロクロス点)t4までの第四の期間T4には、スイッチ素子Q1,Q2がいずれもオフになり、双方向スイッチ2が双方向オフ状態(非導通状態)となる。
また、交流電圧Vacが負極性の半周期における負荷制御装置1の動作は、正極性の半周期と基本的に同様の動作となる。
負極性の半周期において、交流電圧Vacが負極性の規定値「-Vzc」に達すると、第2検出部32が第2検出信号ZC2を出力する。本実施形態では、負極性の半周期の始点t0(t4)から第2検出信号ZC2の発生時点以降、つまり位相検出部3での位相(ゼロクロス点)の検出タイミング(時点t11)以降に設定された第1時点t1までの期間が、第一の期間T1となる。また、第2時点t2は、位相検出部3での位相(ゼロクロス点)の検出タイミング(時点t11)から調光信号に応じた長さのオン時間が経過した時点であり、第3時点t3は、半周期の終点t4(t0)よりも一定時間(例えば300〔μs〕)手前の時間である。
第一の期間T1では、制御部61は、第1制御信号Sb1及び第2制御信号Sb2を「OFF」信号にする。これにより、第一の期間T1には双方向スイッチ2が双方向オフ状態(非導通状態)となる。そして、第1時点t1において、制御部61は、第1制御信号Sb1及び第2制御信号Sb2を「ON」信号にする。これにより、第1時点t1から第2時点t2までの第二の期間T2には、スイッチ素子Q1,Q2がいずれもオンになり、双方向スイッチ2が双方向オン状態(導通状態)となる。そのため、第二の期間T2には、交流電源8から双方向スイッチ2を介して負荷7へ電力が供給される。
第2時点t2においては、制御部61は、第1制御信号Sb1を「ON」信号に維持したまま、第2制御信号Sb2を「OFF」信号にする。第3時点t3においては、制御部61は、第1制御信号Sb1及び第2制御信号Sb2を「OFF」信号にする。これにより、第2時点t2から第3時点t3までの第三の期間T3には、スイッチ素子Q1,Q2のうちスイッチ素子Q2のみがオフし、双方向スイッチ2が逆方向オン状態(非導通状態)となる。そのため、第三の期間T3には、交流電源8から負荷7への電力供給が断たれる。第3時点t3から半周期の終点t4までの第四の期間T4には、スイッチ素子Q1,Q2がいずれもオフになり、双方向スイッチ2が双方向オフ状態(非導通状態)となる。
本実施形態の負荷制御装置1は、以上説明した正極性の半周期の動作と負極性の半周期の動作とを交流電圧Vacの半周期ごとに交互に繰り返すことで、負荷7の調光を行う。ここで、「双方向オン状態」は導通状態であり、「逆方向オン状態」は非導通状態であるから、第二の期間の終点、つまり第2時点t2では、双方向スイッチ2が導通状態から非導通状態に切り替わる。そして、第二の期間の終点(第2時点t2)は、インタフェース部4に入力された調光レベルにて規定される。さらに、正極性の規定値「Vzc」及び負極性の規定値「-Vzc」が固定値であれば、半周期の始点t0から位相検出部3での位相(ゼロクロス点)の検出タイミング(時点t11)までの時間は、略固定長の時間になる。
そのため、半周期の始点t0から第2時点t2までの時間、つまり第一の期間T1と、調光レベルに応じて長さが変化する第二の期間T2とを合計した時間である「可変時間」は、調光レベルに応じて長さが変化することになる。言い換えれば、交流電圧Vacの半周期毎における負荷7への通電を終了する第2時点t2の位相角(導通角)は、調光レベルに応じて変化する。すなわち、負荷7の光出力を小さくする場合には可変時間は短く(位相角は小さく)、負荷7の光出力を大きくする場合には可変時間は長く(位相角は大きく)規定される。そのため、負荷制御装置1は、インタフェース部4に入力される調光レベルに応じて、負荷7の光出力の大きさを変えることが可能である。
また、交流電圧Vacの半周期において第1時点t1から第2時点t2までの期間(第二の期間T2)以外の期間(第一の期間T1、第三の期間T3、及び第四の期間T4)には、双方向スイッチ2が非導通状態(逆方向オン状態又は双方向オフ状態)となる。負荷制御装置1は、双方向スイッチ2が非導通状態にあるこれらの期間を用いて、交流電源8から電源部5への電力供給を確保できる。電源部5の動作について詳しくは、「(3.3)電源部の動作」の欄で説明する。
ここで「時点Aから」という表現は、時点Aを含む意味とする。例えば「第1時点から」は、第1時点を含む意味である。一方、「時点Aまで」という表現は、時点Aは含まず、時点Aの直前までを意味する。例えば「半周期の終点まで」は、半周期の終点は含まず、半周期の終点の直前までを意味する。
(3.3)電源部の動作
次に、電源部5の動作について図2を参照して説明する。
制御部61は、位相検出部3で検出された位相に基づき、交流電圧Vacの半周期を第一の期間T1、第二の期間T2、第三の期間T3、及び第四の期間T4に区分して、電源部5を制御する。第一の期間T1及び第四の期間T4では、制御部61は、ドロッパ電源51に生成動作を行わせる。第二の期間T2では、制御部61は、ドロッパ電源51の生成動作を停止する。第三の期間T3では、制御部61は、ドロッパ電源51の生成動作を停止する。すなわち、ドロッパ電源51は、交流電圧Vacの半周期のうち、第一の期間T1及び第四の期間T4においてのみ、交流電源8からの供給電力により、電気エネルギ(駆動電力)を生成する生成動作を行う。
具体的には、制御部61は、交流電圧Vacの半周期のうち、第一の期間T1及び第四の期間T4においてのみ、第1電源信号Ss1を「ON」信号(例えばHレベル)とすることで、電源部5に生成動作を行わせる。制御部61は、第二の期間T2及び第三の期間T3には、第1電源信号Ss1を「OFF」信号(例えばLレベル)とすることで、電源部5の生成動作を停止する。要するに、電源部5は、第1電源信号Ss1が「ON」信号である間は、ドロッパ電源51にて電気エネルギ(駆動電力)を生成する生成動作を行う。このとき、電源部5のスイッチング電源52は、変換動作を行う。一方、電源部5は、第1電源信号Ss1が「OFF」信号である間、ドロッパ電源51での電気エネルギ(駆動電力)の生成を停止することで、生成動作を停止する。スイッチング電源52は、第1電源信号Ss1が「OFF」信号になると直ちに変換動作を停止するのではなく、第1電源信号Ss1が「ON」信号である間に容量性素子C1に蓄積された電荷により、変換動作を継続する。つまり、容量性素子C1に十分な電気エネルギ(駆動電力)が蓄積されていれば、ドロッパ電源51での電気エネルギ(駆動電力)の生成動作が停止している間においても、スイッチング電源52は変換動作を継続可能である。
ただし、第1電源信号Ss1が「OFF」信号から「ON」信号に変化するタイミングは、第1制御信号Sb1及び第2制御信号Sb2が「OFF」信号になる第3時点t3に一致していることは負荷制御装置1において必須ではない。例えば、第3時点t3よりも早いタイミング、つまり第2時点t2と第3時点t3との間のいずれかのタイミングで、第1電源信号Ss1が「ON」信号になってもよい。この場合、第1電源信号Ss1が「OFF」信号から「ON」信号に変化するタイミングが、第三の期間T3と第四の期間T4との境界点になる。すなわち、第3時点t3の前であっても後であっても双方向スイッチ2は非導通状態であるので、第3時点t3よりも早いタイミングで、第1電源信号Ss1が「ON」信号になることで第四の期間T4が開始してもよい。
電源部5が上述のように動作することにより、交流電圧Vacの半周期のうち、第一の期間T1及び第四の期間T4には、駆動電圧Vc1は上昇し、第二の期間T2及び第三の期間T3には、駆動電圧Vc1が低下する。よって、連続する2つの半周期に着目すると、1つ目の半周期の第3時点t3から、次の半周期(つまり2つ目の半周期)の第1時点t1までは、駆動電圧Vc1は上昇する。
ところで、スイッチング電源52が変換動作を行っている間は、スイッチング素子のスイッチングに起因して、電源部5のインピーダンスが変動し、交流電源8から電源部5に流れる電流に脈動(リプル)が生じることがある。つまり、スイッチング電源52のようなスイッチング方式のDC-DCコンバータは、シリーズレギュレータ方式の電源回路に比べると、高効率である反面、ノイズの発生源となりやすい。交流電源8から電源部5に流れる電流に脈動(リプル)が生じると、その影響を受けて、位相検出部3での交流電圧Vacの位相の検出精度が低下することがある。すなわち、位相検出部3は、交流電圧Vacのゼロクロス点を検出するために、数〔V〕程度の比較的小さな電圧を監視しているので、スイッチング電源52が生じるノイズの影響で電流が僅かに揺らぐだけでも、位相の検出精度が低下することがある。
そこで、本実施形態に係る負荷制御装置1は、停止部62にて、図2に示すように、位相検出部3が位相を検出する検出タイミング(時点t11)を含む除外期間T0に、スイッチング電源52を交流電源8から電気的に切り離す。停止部62は、例えば、第1電源信号Ss1にて第1回路511の動作を停止することでドロッパ電源51の入力インピーダンスを高くし、ドロッパ電源51の生成動作を停止させる。第1電源信号Ss1によりドロッパ電源51の生成動作が停止すると、スイッチング電源52が交流電源8から電気的に切り離される。
すなわち、スイッチング電源52は、常時、交流電源8に電気的に接続されているのではなく、除外期間T0には交流電源8から電気的に切り離される。除外期間T0は、図2に示すように、位相検出部3での位相(ゼロクロス点)の検出タイミング、つまり第1検出信号ZC1又は第2検出信号ZC2の発生時点である時点t11を含むように規定された期間である。本実施形態では、除外期間T0の始点t21は第四の期間T4(t3~t4の期間)内に設定され、除外期間T0の終点t22は第一の期間T1(t0~t1の期間)内に設定されている。つまり、除外期間T0は、第四の期間T4と第一の期間T1との2つの期間に跨るように規定されている。より詳しくは、除外期間T0の終点t22は、第一の期間T1のうち、位相検出部3での位相の検出タイミング(時点t11)以降の期間(t11~t1の期間)に設定されている。これにより、位相検出部3での位相の検出タイミング(時点t11)は、除外期間T0内に含まれることになる。
具体的には、停止部62は、交流電圧Vacの半周期のうち、除外期間T0において、第1電源信号Ss1にて第1回路511の動作を停止することでドロッパ電源51の入力インピーダンスを高くし、ドロッパ電源51の生成動作を停止させる。第1電源信号Ss1によりドロッパ電源51の生成動作が停止している間は、スイッチング電源52が交流電源8から電気的に切り離されることになる。つまり、第四の期間T4(t3~t4の期間)内に設定された始点t21から、第一の期間T1(t0~t1の期間)内に設定された終点t22までの間は、停止部62が、第1電源信号Ss1を「OFF」信号とする。これにより、第四の期間T4及び第一の期間T1のうち、除外期間T0(t21~t22の期間)においては、ドロッパ電源51の生成動作が停止し、スイッチング電源52が交流電源8から電気的に切り離される。
これにより、除外期間T0においては、スイッチング電源52の変換動作に起因した電源部5のインピーダンスの変動が抑制され、交流電源8から電源部5に流れる電流に脈動(リプル)が生じにくくなる。その結果、除外期間T0に含まれている検出タイミング(時点t11)において、位相検出部3による位相の検出精度の低下が抑制される。
除外期間T0の終点t22は、位相検出部3での位相の検出タイミング(時点t11)と一致していてもよい。すなわち、位相検出部3が位相を検出した以降であれば、スイッチング電源52の変換動作が、位相検出部3による位相の検出精度に影響することはないため、位相検出部3での位相の検出タイミングにて除外期間T0が終了してもよい。
ここで、スイッチング電源52は、交流電源8から電気的に切り離されると直ちに変換動作を停止するのではなく、第1電源信号Ss1が「ON」信号である間に容量性素子C1に蓄積された電荷により、変換動作を継続する。つまり、容量性素子C1に十分な電気エネルギ(駆動電力)が蓄積されていれば、除外期間T0においても、スイッチング電源52は変換動作を継続可能である。
本実施形態では、除外期間T0の長さは固定長である。すなわち、スイッチング電源52が交流電源8から電気的に切り離される除外期間T0の長さは、予め規定時間に決められており、変化しない。除外期間T0の長さは、例えば、位相検出部3での位相の検出タイミングのばらつきを考慮して決定される。例えば、交流電圧Vacの半周期における位相検出部3での位相の検出タイミングは、負荷7によって、又は調光レベルによってばらつくことがある。そのため、位相検出部3での位相の検出タイミングがばらついたとしても、検出タイミングが除外期間T0内に収まるように、検出タイミングのばらつきの大きさ(分散)に基づいて、除外期間T0の長さが決定される。
一方、交流電圧Vacの半周期における除外期間T0の位置は変更可能である。つまり、交流電圧Vacの半周期の始点t0に対する、除外期間T0の始点t21又は終点t22の相対的な位置は、変更可能である。具体的には、停止部62は、交流電圧Vacの半周期における、位相検出部3での位相の検出タイミング(時点t11)の位置を探索する探索処理を行う。停止部62は、探索処理の結果に基づいて、交流電圧Vacの半周期における除外期間T0の位置を決定する。要するに、探索処理により、交流電圧Vacの半周期における検出タイミングの位置が判明すると、停止部62は、検出タイミングのばらつきの大きさを考慮して、検出タイミングが除外期間T0内に収まるように、除外期間T0の位置を決定する。停止部62による探索処理、及び除外期間T0の位置の決定は、例えば、制御回路6の起動後であって、交流電源8の周波数の判定の直後に行われる。
ここにおいて、本実施形態に係る負荷制御装置1では、切替部63にて、停止部62の機能の有効/無効を切り替えることが可能である。すなわち、除外期間T0に、スイッチング電源52を交流電源8から電気的に切り離す、又はスイッチング電源52の変換動作を停止する停止部62の機能は、常に有効ではなく、切替部63にて無効にすることも可能である。切替部63は、例えば、負荷7の状態、又は容量性素子C2に蓄積されている電気エネルギ(制御電力)の残量に応じて、停止部62の機能の有効/無効を、自動的に切り替える。すなわち、例えば負荷7によっては、スイッチング電源52が変換動作を行っている間に、交流電源8から電源部5に流れる電流に脈動(リプル)が生じない等、除外期間T0を設ける必要がない場合がある。このような場合には、切替部63が停止部62の機能を無効にすることが好ましい。また、切替部63は、例えば、インタフェース部4が受け付けたユーザによる操作に応じて、停止部62の機能の有効/無効を切り替えてもよい。
ところで、負荷7によっては、第一の期間T1及び第四の期間T4において、電源部5が交流電源8から十分な電力供給を受けることができず、容量性素子C1に蓄積されている電気エネルギが不足して、負荷制御装置1の正常な動作を維持できなくなる場合がある。すなわち、負荷7によっては、交流電圧Vacの半周期の間にドロッパ電源51にて生成される電気エネルギ(駆動電力)が、交流電圧Vacの半周期に負荷制御装置1にて消費される電気エネルギを下回る場合がある。このような場合、ドロッパ電源51の容量性素子C1に蓄積されている電気エネルギが、交流電圧Vacの半周期ごとに徐々に減少することになる。このような状態が継続すると、いずれは容量性素子C1に蓄積されている電気エネルギが不足し、負荷制御装置1の正常な動作を維持できなくなる可能性がある。容量性素子C1に蓄積されている電気エネルギが減少することで駆動電圧Vc1がある程度低下すると、例えば、駆動電力を用いたスイッチング電源52での制御電力の生成が不安定になったり、インタフェース部4等の動作が不安定になったりすることがある。その結果、例えば、インタフェース部4の表示部の点滅若しくはちらつき、又は、負荷7の点滅若しくはちらつき等、負荷制御装置1又は負荷7の異常動作が生じる可能性がある。
そこで、本実施形態では、停止部62は、検出部53の検出結果に応じて、除外期間T0を短縮時間だけ短縮することにより、対象期間を短縮時間の分だけ延長するように構成されている。ここでいう対象期間は、停止部62による延長の対象となる期間であって、第一の期間T1と第四の期間T4との少なくとも一方の期間からなる。
すなわち、本実施形態に係る負荷制御装置1は、図3に示すように、停止部62にて、検出部53の検出結果に応じて除外期間T0を短縮し、除外期間T0の短縮時間分だけ対象期間を延長する。図3の例では、停止部62は、除外期間T0を無くすことにより、除外期間T0の全体に相当する長さの短縮時間だけ除外期間T0を短縮している。図3の例では、第四の期間T4と第一の期間T1との2つの期間に跨る除外期間T0が無くなることにより、第四の期間T4と第一の期間T1との両方の期間が延長されるので、第四の期間T4及び第一の期間T1の両方が対象期間となる。図3は、負荷7に起因して、容量性素子C1に蓄積されている電気エネルギが不足する場合における、図2と同様のタイミングチャートである。
言い換えれば、停止部62は、対象期間に含まれている除外期間T0を短縮することで、対象期間においてドロッパ電源51の生成動作が停止している期間(除外期間T0)を短縮する。これにより、元々、ドロッパ電源51の生成動作が停止する除外期間T0の少なくとも一部が、ドロッパ電源51を生成動作させる対象期間に振り替えられることになり、実質的に、対象期間が延長される。
具体的には、停止部62は、検出部53の検出結果が所定の閾値Vth1(図3参照)未満になると、除外期間T0を短縮し、除外期間T0の短縮時間分だけ、対象期間(第一の期間T1及び第四の期間T4の両方)を延長する。例えば、図3に示すように、図中の2つ目の半周期の第三の期間T3において、検出部53の検出結果が閾値Vth1を下回った場合には、2つ目の半周期の第三の期間T3が検出期間となる。そして、この検出期間(2つ目の半周期の第三の期間T3)の終了後の最初の対象期間、つまり2つ目の半周期の第四の期間T4から、停止部62は、除外期間T0を短縮し、対象期間を延長する。
このように、容量性素子C1に蓄積されている電気エネルギが不足する場合には、電気エネルギの減少が検出部53にて検出され、停止部62にて、電源部5にて電気エネルギの生成動作を行うための対象期間(第一の期間T1及び第四の期間T4)が延長される。したがって、対象期間において電源部5で生成される電気エネルギ(駆動電力)が、対象期間が延長された分だけ増大することとなり、結果的に、容量性素子C1に蓄積されている電気エネルギの不足が抑制される。
ただし、停止部62は、除外期間T0を無くすことにより除外期間T0を短縮する構成に限らず、例えば、除外期間T0の長さを半分に短縮する構成、又は除外期間T0の長さを一定時間分だけ短縮する構成等であってもよい。
本実施形態の場合、交流電源8から電源部5への電力供給の確保を優先して交流電圧Vacの半周期が区分されるため、第二の期間T2の長さがインタフェース部4に入力された調光レベルに応じて規定されない場合がある。例えば、ユーザが負荷7の光出力を最大にするようにインタフェース部4を操作しても、除外期間T0の確保が優先され、インタフェース部4からの調光信号の通りには第二の期間T2の始点が設定されないことがある。
ところで、負荷制御装置1の制御方式には、逆位相制御方式(トレーリングエッジ方式)の他、交流電圧Vacの半周期の途中からゼロクロス点までの期間に一対の入力端子11,12間が導通する、正位相制御方式(リーディングエッジ方式)がある。逆位相制御方式は、光源としてのLED素子を備えた負荷7に、ゼロクロス点から電力供給を開始するため、電力供給開始時の電流波形歪みを小さく抑えることができる。これにより、負荷制御装置1に接続可能な負荷7の数(灯数)が増えたり、うなり音の発生を抑制できたりする利点がある。
本実施形態の負荷制御装置1は、基本的に逆位相制御方式を採用しつつも、半周期の始点(ゼロクロス点)t0からやや遅れた第1時点t1にて負荷7に電力供給を開始している。そのため、ゼロクロス点にて負荷7への電力供給を開始する逆位相制御方式よりも電流波形歪みは大きくなる可能性がある。ただし、第1時点t1での交流電圧Vacの絶対値はそれほど大きくはないため、電流波形歪みの影響は無視できるほど小さい。
さらに、本実施形態の負荷制御装置1は、第2時点t2から第3時点t3までの期間(第三の期間T3)においては、双方向スイッチ2を逆方向オン状態とするので、位相検出部3の誤検出を低減できる。すなわち、負荷7によっては、負荷7の両端電圧の絶対値が交流電圧Vacの絶対値を上回り、その結果、交流電圧Vacとは逆極性の電圧(以下、「逆極性電圧」という)が一対の入力端子11,12に印加されることがある。例えば比較的容量の大きなバッファコンデンサが設けられている負荷7など、両端電圧が下がりにくい負荷7の場合に、このような逆極性電圧が発生しやすい。逆極性電圧が発生すると、交流電圧Vacのゼロクロス点以外のところで、位相検出部3が誤ってゼロクロス点を検出することがある。調光レベルによって逆極性電圧が発生したり発生しなかったりする負荷7もあり、このような負荷7では、調光レベルが変化するとゼロクロス点が急変することになる。第三の期間T3においては、双方向スイッチ2が逆方向オン状態となることで、このような逆極性電圧の発生が抑制されるので、逆極性電圧に起因した位相検出部3の誤検出を低減することができる。
(4)変形例
(4.1)変形例1
実施形態1の変形例1に係る負荷制御装置1では、停止部62は、除外期間T0に、スイッチング電源52を交流電源8から電気的に切り離すのではなく、スイッチング電源52の変換動作を停止する。具体的には、図4に示すように、停止部62は、第2電源信号Ss2にて、第2回路521の動作を停止することでスイッチング電源52の変換動作を停止させる。図4では、交流電圧「Vac」、第1検出信号「ZC1」、第2検出信号「ZC2」、第1制御信号「Sb1」、第2制御信号「Sb2」、第1電源信号「Ss1」、第2電源信号「Ss2」、及び駆動電圧「Vc1」を示している。
この場合でも、除外期間T0には、スイッチング電源52のスイッチング素子のスイッチングに起因した、交流電源8から電源部5に流れる電流の脈動が抑制される。除外期間T0は交流電圧Vacの半周期に比べて十分に短い期間であるため、スイッチング電源52の容量性素子C2に蓄積されている電気エネルギ(制御電力)によって、制御回路6等の動作は維持される。ただし、この場合、除外期間T0を短縮時間だけ短縮しても、対象期間を短縮時間の分だけ延長することにはならない。
本変形例の構成によれば、除外期間T0においても、ドロッパ電源51の生成動作を継続できるので、ドロッパ電源51にて電気エネルギ(駆動電力)を効率的に生成できる。
(4.2)その他の変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。
上述した実施形態1及び変形例1の負荷制御装置1は、光源としてLED素子を用いた負荷7に限らず、コンデンサインプット型の回路を搭載し、インピーダンスが高く、少ない電流で点灯する光源に適用可能である。この種の光源としては、例えば有機EL(Electroluminescence)素子が挙げられる。また、負荷制御装置1は、例えば放電灯など、様々な光源の負荷7に適用可能である。
さらに、負荷制御装置1によって制御される負荷7は、照明負荷に限らず、例えば、ヒータ、又はファン等であってもよい。負荷7がヒータである場合、負荷制御装置1は、ヒータに供給する平均電力を調節することでヒータの発熱量を調節する。また、負荷7がファンである場合、負荷制御装置1は、ファンの回転速度を調節するレギュレータを構成する。
また、双方向スイッチ2は、エンハンスメント形のnチャネルMOSFETに限らず、例えば、逆直列に接続された2つのIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などで構成されていてもよい。さらに、双方向スイッチ2において、一方向オン状態を実現するための整流素子(ダイオード)は、スイッチ素子Q1,Q2の寄生ダイオードに限らず、外付けのダイオードであってもよい。ダイオードは、スイッチ素子Q1,Q2の各々と同一パッケージに内蔵されていてもよい。さらにまた、双方向スイッチ2は、例えば、GaN(窒化ガリウム)等のワイドバンドギャップの半導体材料を用いたダブルゲート(デュアルゲート)構造の半導体素子であってもよい。この構成によれば、双方向スイッチ2の導通損失の低減を図ることができる。
また、スイッチング電源52は、ドロッパ電源51を介さず、全波整流された交流電圧Vacから直接的に、制御電圧Vc2を生成してもよい。さらに、制御部61は、スイッチング電源52を制御することにより、容量性素子C2に蓄積される電気エネルギ(制御電力)を生成する生成動作を実行するか否かを切り替えてもよい。この場合、検出部53は、スイッチング電源52の容量性素子C2に蓄積されている電気エネルギ(制御電力)の大きさを検出してもよい。検出部53は、例えば、容量性素子C2の両端電圧である制御電圧Vc2の大きさを検出する。
また、双方向スイッチ2の制御においては、「双方向オン状態」の代わりに「順方向オン状態」に制御することも可能であり、逆に「順方向オン状態」の代わりに「双方向オン状態」に制御することも可能である。また、「双方向オフ状態」の代わりに「逆方向オン状態」に制御することも可能であり、「逆方向オン状態」の代わりに「双方向オフ状態」に制御することも可能である。すなわち、双方向スイッチ2が、導通状態又は非導通状態の状態が変わらなければよい。
また、制御回路6による双方向スイッチ2の制御方式は、上述した例に限らず、例えば、交流電圧Vacと同じ周期で第1制御信号Sb1と第2制御信号Sb2とを交互に「ON」信号とする方式であってもよい。この場合、スイッチ素子Q1,Q2のうち、交流電圧Vacの高電位側となるスイッチ素子がオンしている期間に、双方向スイッチ2が導通することになる。つまり、この変形例では、交流電圧Vacのゼロクロス点から半周期の途中までの期間に一対の入力端子11,12間が導通する、いわゆる逆位相制御が実現される。この場合、第1制御信号及び第2制御信号と交流電圧Vacとの位相差を調節することで、双方向スイッチ2の導通時間を調節することができる。
さらに、負荷制御装置1の制御部61の制御方式は、正位相制御方式及び逆位相制御方式のいずれにも対応可能なユニバーサル制御方式であってもよい。
また、制御部61は、第1電源信号Ss1により電源部5に生成動作を行わせるか否かを切り替える構成に限らない。例えば、制御部61は、一対の入力端子11,12の少なくとも一方と電源部5(ドロッパ電源51)との間に設けられた開閉器を遮断し、電源部5を交流電源8から電気的に切り離すことにより、生成動作を停止させる構成であってもよい。
また、検出部53は、容量性素子C1に蓄積されている電気エネルギの大きさ(駆動電圧Vc1の大きさ)を、常時、検出する構成に限らず、交流電圧Vacの半周期の一部の期間でのみ検出してもよい。例えば、検出部53は、第四の期間T4でのみ容量性素子C1に蓄積されている電気エネルギの大きさを検出してもよい。
さらに、除外期間T0の長さは固定長に限らず、可変長であってもよい。この場合、例えば、負荷7の状態、又は容量性素子C2に蓄積されている電気エネルギ(制御電力)の残量に応じて、除外期間T0の長さが自動的に調節されてもよい。
また、停止部62が除外期間T0を短縮する機能は、負荷制御装置1に必須の構成ではなく、適宜省略されていてもよい。停止部62が除外期間T0を短縮しない場合、検出部53は省略されてもよい。
また、検出部53は、例えば、制御回路6に設けられていてもよい。この場合、例えば、制御回路6のA/D変換入力端子に容量性素子C1が接続されていれば、駆動電圧Vc1がアナログ値として制御回路6に入力される。
また、スイッチ駆動部9は、負荷制御装置1に必須の構成ではなく、適宜省略されていてもよい。スイッチ駆動部9が省略される場合、制御回路6が直接的に双方向スイッチ2を駆動する。スイッチ駆動部9が省略される場合、ドロッパ電源51が省略されてもよい。
また、第1時点t1は、第1検出信号ZC1又は第2検出信号ZC2の発生時点に限らず、第1検出信号ZC1又は第2検出信号ZC2の発生時点から一定の遅延時間(例えば300〔μs〕)が経過した時点であってもよい。遅延時間は300〔μs〕に限らず、0〔μs〕~500〔μs〕の範囲で適宜設定される。
また、第3時点t3は半周期の終点(ゼロクロス点)t4の手前にあればよく、第3時点t3から半周期の終点t4までの長さは適宜設定可能である。例えば、第1時点t1から第3時点t3までの時間長さが、半周期よりも一定の規定時間だけ短い場合、規定時間は300〔μs〕に限らず、100〔μs〕~500〔μs〕の範囲で適宜設定される。
実施形態1でのダイオードD1,D2は負荷制御装置1に必須の構成ではなく、ダイオードD1,D2は適宜省略されていてもよい。
また、実施形態1では、負荷制御装置1が2線式の場合について説明したが、この構成に限らず、負荷制御装置1は、例えば、3本の電線を接続可能な、いわゆる三路スイッチ、又は4本の電線を接続可能な、いわゆる四路スイッチ等であってもよい。負荷制御装置1が三路スイッチを構成する場合、2つの負荷制御装置1を組み合わせることにより、負荷7への通電状態を、例えば、建物における階段の上階部分と下階部分との2箇所で切り替えることが可能である。
また、交流電圧Vac及び規定値Vzc等の2値間の比較において、「以上」としているところは、2値が等しい場合、及び2値の一方が他方を超えている場合との両方を含む。ただし、これに限らず、ここでいう「以上」は、2値の一方が他方を超えている場合のみを含む「より大きい」と同義であってもよい。つまり、2値が等しい場合を含むか否かは、規定値Vzc等の設定次第で任意に変更できるので、「以上」か「より大きい」かに技術上の差異はない。同様に、「未満」においても「以下」と同義であってもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係る負荷制御装置1は、制御部61の制御方式が、実施形態1に係る負荷制御装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態では、制御部61は、図5に示すように、位相検出部3で検出された位相に基づき、交流電圧Vacの半周期を第一の期間T1、第二の期間T2、及び第三の期間T3に区分する。図5では、交流電圧「Vac」、第1検出信号「ZC1」、第2検出信号「ZC2」、第1制御信号「Sb1」、第2制御信号「Sb2」、第1電源信号「Ss1」、第2電源信号「Ss2」、及び駆動電圧「Vc1」を示している。
ここにおいて、交流電圧Vacの半周期の始点(ゼロクロス点)t0から第1時点t1までの期間は、第一の期間T1となる。第1時点t1から第2時点t2までの期間は、第二の期間T2となる。第2時点t2は、位相検出部3での位相(ゼロクロス点)の検出タイミング(時点t11)から調光信号に応じた長さの時間が経過した時点である。第2時点t2から交流電圧Vacの半周期の終点t3までの期間は、第三の期間T3となる。
第一の期間T1では、制御部61は、第1制御信号Sb1及び第2制御信号Sb2を「OFF」信号にし、双方向スイッチ2を非導通状態にする。第二の期間T2では、制御部61は、第1制御信号Sb1及び第2制御信号Sb2を「ON」信号にし、双方向スイッチ2を導通状態にする。第三の期間T3では、制御部61は、第1制御信号Sb1及び第2制御信号Sb2を「OFF」信号にし、双方向スイッチ2を非導通状態にする。
また、第一の期間T1では、制御部61は、第1電源信号Ss1を「ON」信号にし、ドロッパ電源51に生成動作を行わせる。第二の期間T2では、制御部61は、第1電源信号Ss1を「OFF」信号にし、ドロッパ電源51の生成動作を停止する。第三の期間T3では、制御部61は、第1電源信号Ss1を「OFF」信号にし、ドロッパ電源51の生成動作を停止する。すなわち、ドロッパ電源51は、交流電圧Vacの半周期のうち、第一の期間T1においてのみ、交流電源8からの供給電力により、電気エネルギ(駆動電力)を生成する生成動作を行う。
ここで、除外期間T0は、位相検出部3での位相(ゼロクロス点)の検出タイミング、つまり第1検出信号ZC1又は第2検出信号ZC2の発生時点である時点t11を含むように、第一の期間T1に設定される。除外期間T0の始点t21は交流電圧Vacの半周期の始点t0と一致している。除外期間T0の終点t22は、第一の期間T1のうち、位相検出部3での位相の検出タイミング(時点t11)以降の期間(t11~t1の期間)に設定されている。
本実施形態に係る負荷制御装置1では、実施形態1の変形例1と同様に、停止部62は、除外期間T0に、スイッチング電源52の変換動作を停止する。具体的には、図5に示すように、停止部62は、第2電源信号Ss2にて、第2回路521の動作を停止することでスイッチング電源52の変換動作を停止させる。
本実施形態の構成においても、除外期間T0には、スイッチング電源52のスイッチング素子のスイッチングに起因した、交流電源8から電源部5に流れる電流の脈動が抑制される。
実施形態2に係る負荷制御装置1の構成は、実施形態1(変形例を含む)の構成と適宜組み合わせ可能である。
(実施形態3)
本実施形態に係る負荷制御装置1は、制御部61の制御方式が、実施形態1に係る負荷制御装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態に係る負荷制御装置1は、制御方式として、交流電圧Vacの半周期の途中からゼロクロス点までの期間に一対の入力端子11,12間が導通する、正位相制御方式を採用する。
本実施形態では、制御部61は、図6に示すように、位相検出部3で検出された位相に基づき、交流電圧Vacの半周期を第一の期間T1、第二の期間T2、及び第三の期間T3に区分する。図6では、交流電圧「Vac」、第1検出信号「ZC1」、第2検出信号「ZC2」、第1制御信号「Sb1」、第2制御信号「Sb2」、第1電源信号「Ss1」、第2電源信号「Ss2」、及び駆動電圧「Vc1」を示している。
ここにおいて、交流電圧Vacの半周期の始点(ゼロクロス点)t0から第1時点t1までの期間は、第一の期間T1となる。第1時点t1は、位相検出部3での位相(ゼロクロス点)の検出タイミング(時点t11)から調光信号に応じた長さの時間が経過した時点である。第1時点t1から第2時点t2までの期間は、第二の期間T2となる。第2時点t2から交流電圧Vacの半周期の終点t3までの期間は、第三の期間T3となる。
第一の期間T1では、制御部61は、第1制御信号Sb1及び第2制御信号Sb2を「OFF」信号にし、双方向スイッチ2を非導通状態にする。第二の期間T2では、制御部61は、第1制御信号Sb1及び第2制御信号Sb2を「ON」信号にし、双方向スイッチ2を導通状態にする。第三の期間T3では、制御部61は、第1制御信号Sb1及び第2制御信号Sb2を「OFF」信号にし、双方向スイッチ2を非導通状態にする。
また、第一の期間T1では、制御部61は、第1電源信号Ss1を「OFF」信号にし、ドロッパ電源51の生成動作を停止する。第二の期間T2では、制御部61は、第1電源信号Ss1を「OFF」信号にし、ドロッパ電源51の生成動作を停止する。第三の期間T3では、制御部61は、第1電源信号Ss1を「ON」信号にし、ドロッパ電源51に生成動作を行わせる。すなわち、ドロッパ電源51は、交流電圧Vacの半周期のうち、第三の期間T3においてのみ、交流電源8からの供給電力により、電気エネルギ(駆動電力)を生成する生成動作を行う。
ここで、除外期間T0は、位相検出部3での位相(ゼロクロス点)の検出タイミング、つまり第1検出信号ZC1又は第2検出信号ZC2の発生時点である時点t11を含むように、第三の期間T3に設定される。除外期間T0の始点t21は、第三の期間T3のうち、位相検出部3での位相の検出タイミング(時点t11)前の期間(t2~t11の期間)に設定されている。除外期間T0の終点t22は、交流電圧Vacの半周期の終点t3と一致している。
本実施形態に係る負荷制御装置1では、実施形態1の変形例1と同様に、停止部62は、除外期間T0に、スイッチング電源52の変換動作を停止する。具体的には、図6に示すように、停止部62は、第2電源信号Ss2にて、第2回路521の動作を停止することでスイッチング電源52の変換動作を停止させる。
本実施形態の構成においても、除外期間T0には、スイッチング電源52のスイッチング素子のスイッチングに起因した、交流電源8から電源部5に流れる電流の脈動が抑制される。
実施形態3に係る負荷制御装置1の構成は、実施形態1(変形例を含む)の構成と適宜組み合わせ可能である。
(実施形態4)
本実施形態に係る負荷制御装置1は、制御部61の制御方式が、実施形態1に係る負荷制御装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態に係る負荷制御装置1は、制御方式として、交流電圧Vacの半周期の途中からゼロクロス点までの期間に一対の入力端子11,12間が導通する、正位相制御方式を採用する。本実施形態では、双方向スイッチ2は、例えば、3端子の双方向サイリスタ(トライアック)にて構成され、制御回路6は、交流電圧Vacの半周期の途中(第2時点t2)で双方向スイッチ2をオンする。双方向サイリスタからなる双方向スイッチ2は、交流電圧Vacのゼロクロス点(0〔V〕)付近で非導通となる。
本実施形態では、制御部61は、図7に示すように、位相検出部3で検出された位相に基づき、交流電圧Vacの半周期を第一の期間T1、第二の期間T2、及び第三の期間T3に区分する。図7では、交流電圧「Vac」、第1検出信号「ZC1」、第2検出信号「ZC2」、第1制御信号「Sb1」、第2制御信号「Sb2」、第1電源信号「Ss1」、第2電源信号「Ss2」、及び駆動電圧「Vc1」を示している。
ここにおいて、交流電圧Vacの半周期の始点(ゼロクロス点)t0から第1時点t1までの期間は、第一の期間T1となる。第1時点t1から第2時点t2までの期間は、第二の期間T2となる。第2時点t2は、位相検出部3での位相(ゼロクロス点)の検出タイミング(時点t11)から調光信号に応じた長さの時間が経過した時点である。第2時点t2から交流電圧Vacの半周期の終点t3までの期間は、第三の期間T3となる。
第一の期間T1では、制御部61は、第1制御信号Sb1及び第2制御信号Sb2を「OFF」信号にし、双方向スイッチ2を非導通状態にする。第二の期間T2では、制御部61は、第1制御信号Sb1及び第2制御信号Sb2を「OFF」信号にし、双方向スイッチ2を非導通状態にする。第三の期間T3では、制御部61は、第1制御信号Sb1及び第2制御信号Sb2を「ON」信号にし、双方向スイッチ2を導通状態にする。
また、第一の期間T1では、制御部61は、第1電源信号Ss1を「ON」信号にし、ドロッパ電源51に生成動作を行わせる。第二の期間T2では、制御部61は、第1電源信号Ss1を「OFF」信号にし、ドロッパ電源51の生成動作を停止する。第三の期間T3では、制御部61は、第1電源信号Ss1を「OFF」信号にし、ドロッパ電源51の生成動作を停止する。すなわち、ドロッパ電源51は、交流電圧Vacの半周期のうち、第一の期間T1においてのみ、交流電源8からの供給電力により、電気エネルギ(駆動電力)を生成する生成動作を行う。
ここで、除外期間T0は、位相検出部3での位相(ゼロクロス点)の検出タイミング、つまり第1検出信号ZC1又は第2検出信号ZC2の発生時点である時点t11を含むように、第一の期間T1に設定される。除外期間T0の始点t21は交流電圧Vacの半周期の始点t0と一致している。除外期間T0の終点t22は、第一の期間T1のうち、位相検出部3での位相の検出タイミング(時点t11)以降の期間(t11~t1の期間)に設定されている。
本実施形態に係る負荷制御装置1では、実施形態1の変形例1と同様に、停止部62は、除外期間T0に、スイッチング電源52の変換動作を停止する。具体的には、図7に示すように、停止部62は、第2電源信号Ss2にて、第2回路521の動作を停止することでスイッチング電源52の変換動作を停止させる。
本実施形態の構成においても、除外期間T0には、スイッチング電源52のスイッチング素子のスイッチングに起因した、交流電源8から電源部5に流れる電流の脈動が抑制される。
実施形態4に係る負荷制御装置1の構成は、実施形態1(変形例を含む)の構成と適宜組み合わせ可能である。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る負荷制御装置1は、双方向スイッチ2と、位相検出部3と、スイッチング電源52と、停止部62と、を備える。双方向スイッチ2は、交流電源8に対して負荷7と電気的に直列に接続され、負荷7に供給する交流電圧Vacを位相制御する。位相検出部3は、交流電圧Vacの位相を検出する。スイッチング電源52は、双方向スイッチ2と電気的に並列に接続され、交流電源8からの供給電力により生成された直流電圧(駆動電圧Vc1)をスイッチング素子のスイッチング動作により制御電圧Vc2に変換する変換動作を行う。停止部62は、位相検出部3が位相を検出する検出タイミングを含む除外期間T0に、スイッチング電源52を交流電源8から電気的に切り離す、又はスイッチング電源52の変換動作を停止する。
この構成によれば、位相検出部3が位相を検出する検出タイミングを含む除外期間T0には、停止部62により、スイッチング電源52が交流電源8から電気的に切り離されるか、又はスイッチング電源52の変換動作が停止する。したがって、位相検出部3が位相を検出する検出タイミングにおいては、スイッチング電源52のスイッチング素子のスイッチングに起因して、交流電源8から電源部5に流れる電流に発生する脈動(リプル)が抑制される。そのため、スイッチング電源52が生じるノイズの影響による、位相検出部3での位相の検出精度の低下が抑制される。位相検出部3での交流電圧Vacの位相の検出精度が向上すれば、負荷制御装置1又は負荷7の正常な動作が維持されやすくなる。したがって、負荷制御装置1によれば、より多くの種類の負荷7に対応可能になる、という利点がある。
第2の態様に係る負荷制御装置1は、第1の態様において、停止部62の機能の有効/無効を切り替える切替部63を更に備えることが好ましい。この構成によれば、例えば負荷7により、負荷制御装置1及び負荷7の正常な動作が維持できる場合には、停止部62の機能を無効にすることにより、スイッチング電源52の効率向上を図ることができる。ただし、この構成は負荷制御装置1に必須の構成ではなく、切替部63は適宜省略されてもよい。
第3の態様に係る負荷制御装置1は、第1又は2の態様において、除外期間T0の長さが固定長であることが好ましい。この構成によれば、除外期間T0を設定するための処理が簡単になる。ただし、この構成は負荷制御装置1に必須の構成ではなく、除外期間T0の長さは可変長であってもよい。
第4の態様に係る負荷制御装置1は、第1~3のいずれかの態様において、停止部62が、探索処理を行い、探索処理の結果に基づいて、半周期における除外期間T0の位置を決定するように構成されていることが好ましい。探索処理は、交流電圧Vacの連続する2回のゼロクロス点間の期間からなる半周期における検出タイミングの位置を探索する処理である。この構成によれば、例えば負荷7によって、半周期における検出タイミングの位置にばらつきがある場合でも、半周期における検出タイミングの位置に合わせた適切な位置に除外期間T0を設定可能となる。ただし、この構成は負荷制御装置1に必須の構成ではなく、探索処理は適宜省略されてもよい。
第5の態様に係る負荷制御装置1は、第1~4のいずれかの態様において、ドロッパ電源51と、制御部61と、を更に備えることが好ましい。ドロッパ電源51は、電気エネルギを蓄積する容量性素子C1を有し、双方向スイッチ2と電気的に並列に接続され、交流電源8からの供給電力により電気エネルギを生成する生成動作を行う。制御部61は、双方向スイッチ2及びドロッパ電源51を制御する。スイッチング電源52は、容量性素子C1の両端電圧(駆動電圧Vc1)を変換動作により制御電圧Vc2に変換するように構成されている。制御部61は、位相検出部3で検出された位相に基づき、交流電圧Vacの連続する2回のゼロクロス点間の期間からなる半周期を第一の期間T1、第二の期間T2、第三の期間T3、及び第四の期間T4に区分する。制御部61は、第一の期間T1及び第四の期間T4では、双方向スイッチ2を非導通状態にし、ドロッパ電源51に生成動作を行わせる。制御部61は、第二の期間T2では、双方向スイッチ2を導通状態にし、ドロッパ電源51の生成動作を停止する。制御部61は、第三の期間T3では、双方向スイッチ2を非導通状態にし、ドロッパ電源51の生成動作を停止する。除外期間T0は、第一の期間T1と第四の期間T4との少なくとも一方に設定される。この構成によれば、正位相制御方式に比較して、負荷7への電力供給開始時の電流波形歪みを小さく抑えることができ、負荷制御装置1に接続可能な負荷7の数が増えたり、うなり音の発生を抑制できたりする利点がある。
第6の態様に係る負荷制御装置1は、第1~4のいずれかの態様において、ドロッパ電源51と、制御部61と、を更に備えることが好ましい。ドロッパ電源51は、電気エネルギを蓄積する容量性素子C1を有し、双方向スイッチ2と電気的に並列に接続され、交流電源8からの供給電力により電気エネルギを生成する生成動作を行う。制御部61は、双方向スイッチ2及びドロッパ電源51を制御する。スイッチング電源52は、容量性素子C1の両端電圧(駆動電圧Vc1)を変換動作により制御電圧Vc2に変換するように構成されている。制御部61は、位相検出部3で検出された位相に基づき、交流電圧Vacの連続する2回のゼロクロス点間の期間からなる半周期を第一の期間T1、第二の期間T2、及び第三の期間T3に区分する。制御部61は、第一の期間T1では、双方向スイッチ2を非導通状態にし、ドロッパ電源51に生成動作を行わせる。制御部61は、第二の期間T2では、双方向スイッチ2を導通状態にし、ドロッパ電源51の生成動作を停止する。制御部61は、第三の期間T3では、双方向スイッチ2を非導通状態にし、ドロッパ電源51の生成動作を停止する。除外期間T0は、第一の期間T1に設定される。この構成によれば、正位相制御方式に比較して、負荷7への電力供給開始時の電流波形歪みを小さく抑えることができ、負荷制御装置1に接続可能な負荷7の数が増えたり、うなり音の発生を抑制できたりする利点がある。
第7の態様に係る負荷制御装置1は、第1~4のいずれかの態様において、ドロッパ電源51と、制御部61と、を更に備えることが好ましい。ドロッパ電源51は、電気エネルギを蓄積する容量性素子C1を有し、双方向スイッチ2と電気的に並列に接続され、交流電源8からの供給電力により電気エネルギを生成する生成動作を行う。制御部61は、双方向スイッチ2及びドロッパ電源51を制御する。スイッチング電源52は、容量性素子C1の両端電圧(駆動電圧Vc1)を変換動作により制御電圧Vc2に変換するように構成されている。制御部61は、位相検出部3で検出された位相に基づき、交流電圧Vacの連続する2回のゼロクロス点間の期間からなる半周期を第一の期間T1、第二の期間T2、及び第三の期間T3に区分する。制御部61は、第一の期間T1では、双方向スイッチ2を非導通状態にし、ドロッパ電源51の生成動作を停止する。制御部61は、第二の期間T2では、双方向スイッチ2を導通状態にし、ドロッパ電源51の生成動作を停止する。制御部61は、第三の期間T3では、双方向スイッチ2を非導通状態にし、ドロッパ電源51に生成動作を行わせる。除外期間T0は、第三の期間T3に設定される。この構成によれば、正位相制御方式の負荷制御装置1であっても、より多くの種類の負荷7に対応可能になる、という利点がある。
第8の態様に係る負荷制御装置1は、第1~4のいずれかの態様において、ドロッパ電源51と、制御部61と、を更に備えることが好ましい。ドロッパ電源51は、電気エネルギを蓄積する容量性素子C1を有し、双方向スイッチ2と電気的に並列に接続され、交流電源8からの供給電力により電気エネルギを生成する生成動作を行う。制御部61は、双方向スイッチ2及びドロッパ電源51を制御する。スイッチング電源52は、容量性素子C1の両端電圧(駆動電圧Vc1)を変換動作により制御電圧Vc2に変換するように構成されている。制御部61は、位相検出部3で検出された位相に基づき、交流電圧Vacの連続する2回のゼロクロス点間の期間からなる半周期を第一の期間T1、第二の期間T2、及び第三の期間T3に区分する。制御部61は、第一の期間T1では、双方向スイッチ2を非導通状態にし、ドロッパ電源51に生成動作を行わせる。制御部61は、第二の期間T2では、双方向スイッチ2を非導通状態にし、ドロッパ電源51の生成動作を停止する。制御部61は、第三の期間T3では、双方向スイッチ2を導通状態にし、ドロッパ電源51の生成動作を停止する。除外期間T0は、第一の期間T1に設定される。この構成によれば、正位相制御方式の負荷制御装置1であっても、より多くの種類の負荷7に対応可能になる、という利点がある。