JP7032749B1 - 酵素安定化剤の製造方法、酵素安定化剤、酵素の安定化方法、リグノセルロース系バイオマスの糖化方法、及び酵素安定化剤の製造装置 - Google Patents

酵素安定化剤の製造方法、酵素安定化剤、酵素の安定化方法、リグノセルロース系バイオマスの糖化方法、及び酵素安定化剤の製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7032749B1
JP7032749B1 JP2021169503A JP2021169503A JP7032749B1 JP 7032749 B1 JP7032749 B1 JP 7032749B1 JP 2021169503 A JP2021169503 A JP 2021169503A JP 2021169503 A JP2021169503 A JP 2021169503A JP 7032749 B1 JP7032749 B1 JP 7032749B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
enzyme stabilizer
enzyme
liquid
producing
lignin derivative
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021169503A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2023059467A (ja
Inventor
夏季 前川
修 若村
竜彦 山田
史帆 ▲高▼橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Engineering Co Ltd
Forest Research and Management Organization
Original Assignee
Nippon Steel Engineering Co Ltd
Forest Research and Management Organization
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Engineering Co Ltd, Forest Research and Management Organization filed Critical Nippon Steel Engineering Co Ltd
Priority to JP2021169503A priority Critical patent/JP7032749B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7032749B1 publication Critical patent/JP7032749B1/ja
Priority to PCT/JP2022/027118 priority patent/WO2023062895A1/ja
Publication of JP2023059467A publication Critical patent/JP2023059467A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07GCOMPOUNDS OF UNKNOWN CONSTITUTION
    • C07G1/00Lignin; Lignin derivatives
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08HDERIVATIVES OF NATURAL MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08H8/00Macromolecular compounds derived from lignocellulosic materials
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M1/00Apparatus for enzymology or microbiology
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/96Stabilising an enzyme by forming an adduct or a composition; Forming enzyme conjugates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P19/00Preparation of compounds containing saccharide radicals
    • C12P19/04Polysaccharides, i.e. compounds containing more than five saccharide radicals attached to each other by glycosidic bonds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C13SUGAR INDUSTRY
    • C13BPRODUCTION OF SUCROSE; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • C13B50/00Sugar products, e.g. powdered, lump or liquid sugar; Working-up of sugar
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E50/00Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
    • Y02E50/10Biofuels, e.g. bio-diesel

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Sustainable Development (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Abstract

【課題】事業採算性が確保され、且つ、発酵阻害物質が除去された酵素安定化剤の製造方法の提供。【解決手段】酵素安定化剤の製造方法は、リグノセルロース系バイオマスとポリアルキレングリコールを用いて酸加溶媒分解法を行い、リグニン誘導体を得る工程(1)~(3);工程(3)で得られた液分画に第二の酸を添加する工程(4);酸性液を固液分離して、液分画を得る工程(5);液画分中の親水性リグニン誘導体を、特定の性質を有する合成吸着剤に吸着させる工程(6);工程(6)後の溶液から蒸留により水及びポリアルキレングリコールをそれぞれ分離し、再利用する工程(7);有機溶離液を合成吸着剤に接触させて、親水性リグニン誘導体を脱着させて、溶出液を回収する工程(8);溶出液から蒸留により親水性リグニン誘導体を精製する工程(9);及び、分離された有機溶離液を工程(8)に再利用する工程(10);を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、酵素安定化剤の製造方法、酵素安定化剤、酵素の安定化方法、リグノセルロース系バイオマスの糖化方法、及び酵素安定化剤の製造装置に関する。
近年、地球温暖化対策や、廃棄物の有効活用の観点から、植物資源を原料とするバイオマスの利用が注目されている。一般に、バイオマスからエタノール等の化合物を製造するための原料としては、サトウキビ等の糖質やトウモロコシ等のデンプン質が多く用いられている。しかしながら、これらの原料はもともと食料又は飼料として用いられており、長期的に工業用利用資源として活用することは、食料又は飼料用途との競合を引き起こし、原料価格の高騰を招く危険性がある。
従って、非食用バイオマスをエネルギー資源として活用する技術開発が進められている。非食用バイオマスとしては、地球上に最も多く存在するセルロースが挙げられるが、その大部分は芳香族ポリマーのリグニンやヘミセルロースとの複合体であるリグノセルロースとして存在する。
このリグノセルロース系バイオマスを利用する場合、濃硫酸でバイオマス中のセルロースを単糖に分解した後に発酵させる手法が古くから検討されてきた。しかし、この手法は濃硫酸を取り扱うための装置の耐酸性や硫酸の効率的な回収技術の確立や管理が難しく、普及は進んでいない。
一方、硫酸等の酸を使わず、セルラーゼ等の酵素を使ってバイオマスの多糖成分を単糖化(糖化)し、酵母等によりエタノール発酵する方法(酵素糖化及び発酵法)が検討されている。しかしながら、この手法を木材等のリグノセルロース系バイオマスに応用する場合、酵素糖化処理の前に何らかの処理(前処理)が必要とされている。
酵素糖化の前処理は、バイオマス中のセルロース等に酵素が効果的に作用できる状態にする工程であり、物理的又は化学的な処理が行われる。物理的処理としてはボールミル等で摩砕する手法等がある。化学的な処理としては紙パルプ化の化学工程のように、化学薬剤でリグニンを除去してセルロースを得る手法等がある。いずれの方法においても、セルロースとヘミセルロースはエタノール転換し、有効利用される。
一方、リグニンはバイオマスの3大主成分の一つであり、地上で2番目に蓄積されている有機化合物である。化学パルプ化工程やバイオエタノール前処理工程で分離され、紙パルプ生産やバイオエタノール生産で副産されるが、熱源以外の有効な利用法に乏しく、その有効利用法が模索されている。近年では、リグニンに関して、他の化学物質と合成処理し誘導体化する等して、機能性材料原料とする研究が進められている。また、酵素安定化剤としての特性も認められている(例えば、特許文献1等参照)。
リグニン由来の酵素安定化剤の製造方法として、バイオマスと、ポリエチレングリコール等の親水性化合物を原料とした酸加溶媒分解法がある(例えば、特許文献2等参照)。当該方法において、疎水性分画及び親水性分画の2種類のリグニン誘導体が製造され、酵素安定化剤としては親水性分画が適している(例えば、特許文献3等参照)。
国際公開第2011/111664号 特開2017-197517号公報 特開2020-145991号公報
特許文献3に記載の方法で得られた親水性分画には、未反応の親水性化合物が多量に含まれており、この未反応の親水性化合物を回収再利用することが事業採算性を確保するための課題である。また、上記親水性分画には、酢酸やフルフラール等の発酵阻害物質が含まれる。そのため、親水性分画をリグノセルロース系バイオマスからエタノールを製造する際の酵素安定剤として使用する場合に、これらの発酵阻害物質が発酵系に持ち込まれ、収率が低下する虞がある。さらに、上記親水性分画を脱水濃縮することで、親水性リグニン誘導体を精製し、濃縮精製された未反応の親水性化合物を循環させて再利用することも試みられている。しかしながら、親水性分画中の発酵阻害物質も循環するため、該発酵阻害物質が濃縮されやすく、頻繁なブローが必要となる可能性があり、親水性化合物の再利用率が低下することが懸念される。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、事業採算性が確保され、且つ、発酵阻害物質が除去された酵素安定化剤、その製造方法及び製造装置、並びに、前記酵素安定化剤を用いた酵素の安定化方法、及びリグノセルロース系バイオマスの糖化方法を提供する。
発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、酸加溶媒分解法で得られた親水性分画を特定の性質を有する合成吸着剤で処理することで、未反応の親水性化合物を効率的に回収でき、回収された親水性化合物を再利用することで事業採算性を確保でき、且つ、合成吸着剤による処理後の溶液を蒸留することで、発酵阻害物質が除去されて純度が向上した親水性リグニン誘導体を含む酵素安定化剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
〈1〉 以下の工程を含む、親水性リグニン誘導体を含む酵素安定化剤の製造方法。
リグノセルロース系バイオマスとポリアルキレングリコールに第一の酸を添加して反応させる工程(1);
前記工程(1)で得られた反応液にアルカリを添加して中和する工程(2);
前記工程(2)で得られたアルカリ中和液を固液分離して、液分画を得る工程(3);
前記工程(3)で得られた液分画に第二の酸を添加する工程(4);
前記工程(4)で得られた酸性液を固液分離して、親水性リグニン誘導体を含む液分画を得る工程(5);
前記工程(5)で得られた液画分を、含水率が55質量%以上であり、孔径が350Å以下であり、且つ、比重が1.15以下である合成吸着剤に接触させて、前記親水性リグニン誘導体を前記合成吸着剤に吸着させる工程(6);
前記工程(6)で前記合成吸着剤と接触させた後の溶液を回収した後、前記溶液から蒸留により水及びポリアルキレングリコールをそれぞれ分離し、前記水を前記工程(3)又は前記工程(5)に用いられる固液分離装置の洗浄水として再利用し、前記ポリアルキレングリコールを前記工程(1)に再利用する工程(7);
有機溶離液を前記合成吸着剤に接触させて、前記工程(6)で前記合成吸着剤に吸着した前記親水性リグニン誘導体を脱着させて、溶出液を回収する工程(8);
前記工程(8)で得られた溶出液から蒸留により前記親水性リグニン誘導体及び前記有機溶離液をそれぞれ分離し、前記親水性リグニン誘導体を精製する工程(9);及び、
前記工程(9)で分離された前記有機溶離液を前記工程(8)に再利用する工程(10)。
〈2〉 前記工程(6)及び前記工程(7)の間に、
前記親水性リグニン誘導体が吸着している前記合成吸着剤に水を接触させて、前記合成吸着剤を洗浄し、洗浄液を回収する工程(6A)を更に含み、
前記工程(7)において、前記合成吸着剤と接触させた後の溶液及び前記洗浄液を蒸留する、〈1〉に記載の酵素安定化剤の製造方法。
〈3〉 前記合成吸着剤がメタクリル酸系合成吸着剤である、〈1〉又は〈2〉に記載の酵素安定化剤の製造方法。
〈4〉 前記工程(6)及び前記工程(8)を、20℃以上40℃以下の温度下で行う、〈1〉~〈3〉のいずれか一つに記載の酵素安定化剤の製造方法。
〈5〉 前記有機溶離液がエタノールである、〈1〉~〈4〉のいずれか一つに記載の酵素安定化剤の製造方法。
〈6〉 前記エタノールの濃度が90質量%以上である、〈5〉に記載の酵素安定化剤の製造方法。
〈7〉 前記工程(6)及び前記工程(8)を、カラム処理法で行う、〈1〉~〈6〉のいずれか一つに記載の酵素安定化剤の製造方法。
〈8〉 カラムの通液方向が下降流である、〈7〉に記載の酵素安定化剤の製造方法。
〈9〉 前記リグノセルロース系バイオマスが草本系バイオマス及びその処理物である、〈1〉~〈8〉のいずれか一つに記載の酵素安定化剤の製造方法。
〈10〉 前記ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである、〈1〉~〈9〉のいずれか一つに記載の酵素安定化剤の製造方法。
〈11〉 〈1〉~〈10〉のいずれか一つに記載の酵素安定化剤の製造方法により得られ、酵素安定化剤中の酢酸の含有量が1.39g/L以下であり、且つ、フルフラールの含有量が0.20g/L以下である、酵素安定化剤。
〈12〉 基質と酵素の反応系に、〈1〉~〈10〉のいずれか一つに記載の酵素安定化剤の製造方法により得られ、酵素安定化剤中の酢酸の含有量が1.39g/L以下であり、且つ、フルフラールの含有量が0.20g/L以下である酵素安定化剤を添加することを含む、酵素の安定化方法。
〈13〉 〈1〉~〈10〉のいずれか一つに記載の酵素安定化剤の製造方法により得られ、酵素安定化剤中の酢酸の含有量が1.39g/L以下であり、且つ、フルフラールの含有量が0.20g/L以下である酵素安定化剤を添加して、リグノセルロース系バイオマスの酵素による糖化反応を行うことを含む、リグノセルロース系バイオマスの糖化方法。
〈14〉 アルカリ供給手段を有し、リグノセルロース系バイオマスとポリアルキレングリコールに第一の酸を反応させるように構成された第一の反応槽と、
第一の固液分離装置と、
前記第一の固液分離装置を用いて固液分離して得られた液分画と第二の酸とを反応させるように構成された第二の反応槽と、
第二の固液分離装置と、
含水率が63質量%以上であり、孔径が250Å以下であり、且つ、比重が1.09以下である合成吸着剤が充填されたカラムと、
親水性リグニン誘導体と有機溶離液を分離し、前記親水性リグニン誘導体を精製するように構成された第一の蒸留装置と、
水と前記ポリアルキレングリコールを分離するように構成された第二の蒸留装置と、
前記第二の蒸留装置で分離された前記水を前記第一の固液分離装置に供給するように構成された配管と、
前記第二の蒸留装置で分離された前記ポリアルキレングリコールを前記第一の反応槽に供給するように構成された配管と、
前記第一の蒸留装置で分離された前記有機溶離液を前記カラムに供給するように構成された配管と、
を備える、酵素安定化剤の製造装置。
上記態様の酵素安定化剤、並びに、その製造方法及び製造装置によれば、事業採算性が確保され、且つ、発酵阻害物質が除去された酵素安定化剤が得られる。
本実施形態の酵素安定化剤の製造装置の一例を模式的に示す概略構成図である。 実施例1におけるポリエチレングリコール(PEG)回収率及び親水性リグニン誘導体の回収率を示すグラフである。 実施例2におけるPEG回収率及び親水性リグニン誘導体の回収率を示すグラフである。 実施例4におけるPEG回収率及び親水性リグニン誘導体の回収率を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本明細書及び請求の範囲において、各種用語の意味を以下のとおり定義する。
<酵素の安定化>
本明細書における「酵素の安定化」とは、基質と酵素との反応において、酵素安定化剤を存在させることにより、酵素の失活を防ぎ、酵素活性を安定化することを意味する。具体的には、例えば、酵素糖化反応条件下で、残存酵素活性が、酵素安定化剤を使用していない場合と比較して、30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上維持されていることをいう。前記酵素糖化反応条件としては、希硫酸前処理済みバガスの乾燥重量15gと、酵素(任意の添加重量)を用いて、本実施形態における酵素安定化剤に含まれる親水性リグニン誘導体を、希硫酸前処理済みバガス乾燥重量100質量部に対して0.1質量部以上2.2質量部以下となるように加え、水を加えて100mLとしたものを50℃、pH5.0調整下で48時間糖化反応させる。
なお、酵素活性測定法は、市販品であればカタログ記載の方法、文献等に記載の方法等の中から当業者が適宜採用することができる。
<酵素>
本明細書における「酵素」とは、化学反応を触媒するタンパク質を中心とした高分子化合物をいい、特に、糖化酵素をいう。糖化酵素としては、セルロースを分解するセルラーゼ、ヘミセルロースを分解するヘミセルラーゼ、グルコキシダーゼ(βグルコキシダーゼ)、デンプンを分解するアミラーゼ等が挙げられる。
前記セルラーゼとしては、セルロースをグルコース等の単糖又はオリゴ糖に分解するものであればよく、例えば、エンドグルカナーゼ(endoglucanase;EG)、セロビオハイドロラーゼ(cellobiohydrolase;CBH)、及びβ-グルコシダーゼ(β-glucosidase;BGL)の各活性の少なくとも1つの活性を有するものを挙げられ、酵素活性の観点から、これらの各活性を有する酵素混合物であることが好ましい。
前記ヘミセルラーゼとしては、ヘミセルロースをキシロース等の単糖又はオリゴ糖に分解するものであればよく、例えば、キシラナーゼ、キシロシダーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、及びアラビノフラノシダーゼの各活性の少なくとも1つの活性を有するものを挙げることができ、これらの各活性を有する酵素混合物であることが、酵素活性の観点から好ましい。
これらセルラーゼ及びヘミセルラーゼ等の糖化酵素の由来は限定されることはなく、例えば、トリコデルマ(Tricoderma)属、アクレモニウム(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、バチルス(Bacillus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ペニシリウム(Penicillium)属、アエロモナス(Aeromonus)属、イルペックス(Irpex)属、スポロトリクム(Sporotrichum)属、フミコラ(Humicola)属等の糸状菌、担子菌、細菌類等の糖化酵素生産菌由来のセルラーゼ及びヘミセルラーゼ等の糖化酵素を用いることができる。
中でも、本実施形態において酵素安定化剤が適用される糖化酵素としては、セルラーゼであることが好ましい。
<親水性リグニン誘導体>
本明細書中で使用される場合、「親水性リグニン誘導体」とは、前記親水性リグニン誘導体を構成するコニフェリルアルコール骨格のα位の炭素のいずれかにポリアルキレングリコール基を有し、リグノセルロース系バイオマスと、末端に水酸基を有するポリアルキレングリコールとに硫酸を添加して得られるリグニン誘導体のうち、硫酸によりpHを2以上3以下にした時に沈殿しないリグニン誘導体をいう。親水性リグニン誘導体としては、重量平均分子量1000以上3200以下のものが好ましい。重量平均分子量が上記下限値以上であることで、親水性がより十分なものとなる傾向があり、一方、上記上限値以下であることで、分子量が大きくなりすぎず、酵素安定化剤としての機能をより効果的に発揮することができる。
<疎水性リグニン誘導体>
本明細書中で使用される場合、「疎水性リグニン誘導体」とは、前記疎水性リグニン誘導体を構成するコニフェリルアルコール骨格のα位の炭素のいずれかにポリアルキレングリコール基を有し、リグノセルロース系バイオマスとポリアルキレングリコールに硫酸を添加して得られるリグニン誘導体のうち、硫酸によりpHを2以上3以下にした時に沈殿するリグニン誘導体をいう。疎水性リグニン誘導体としては、分子量4000以上20000以下のものが好ましい。
<リグノセルロース系バイオマス>
本明細書において、リグノセルロース系バイオマスとしては、例えば、木材系バイオマス、草本系バイオマス、それらの処理物及びそれらの廃棄物からなる群より選ばれる少なくとも1種であればその種類は問わない。中でも、本実施形態の酵素安定化剤の製造方法において原料として用いられるリグノセルロース系バイオマスとしては、草本系バイオマス及びそれらの処理物が好ましい。草本系バイオマスは、木材系バイオマスよりも栽培年数が短く、農業残渣としての賦存量も多いことから、安定的に大量の原料を入手することが可能である。また、草本系バイオマスでは、木材系バイオマスを原料として用いた場合よりも、後述する工程(5)で得られる液分画中に親水性リグニン誘導体及びその他可溶性成分を多く含む。そのため、従来法のように、脱水濃縮により、得られた液分画から脱水濃縮したポリアルキレングリコールを循環させて、工程(1)で再利用する場合に、前記親水性リグニン誘導体及びその他可溶性成分も循環するため、該親水性リグニン誘導体やその他可溶性成分が濃縮されやすい。その結果、頻繁なブローが必要となる可能性があり、ポリアルキレングリコールの再利用率が低下することが懸念される。これに対して、本実施形態の酵素安定化剤の製造方法では、後述する工程(6)~(9)において、合成吸着剤を用いた分離精製及び親水性リグニン誘導体を分離精製するための蒸留を行うことで、上記その他可溶性成分等の夾雑物の多くは、後述する工程(1)の酵素安定化剤の製造系に循環されずに除去される。そのため、草本系バイオマスは、本実施形態の酵素安定化剤の製造方法において原料として好ましく用いられる。
また、リグノセルロース系バイオマスは細かく粉砕したもの(例えば、木粉等)であることが好ましい。
木材系バイオマスとしては、例えば、スギ、ヒノキ、カラマツ、マツ、米マツ、米スギ、米ツガ、ポプラ、シラカバ、ヤナギ、ユーカリ、クヌギ、コナラ、カシ、シイ、ブナ、アカシア、タケ、ササ、アブラヤシ、サゴヤシ等が挙げられる。中でも、木材植物としては、性状の安定性の観点からスギが好ましい。
また、これらの樹皮、枝条、果房、果実殻等も使用することができる。また、これらを使った合板、繊維板、集成材のような加工材も使用することができる。また、建築物に使用後、解体された部材も使用することができる。また、紙等のリグノセルロース系バイオマスの加工物や古紙も使用することができる。
草本系バイオマスとしては、例えば、イネ、ムギ、サトウキビ、ヨシ、ススキ、トウモロコシ等が挙げられる。
草本系バイオマスの処理物としては、バイオエタノール製造設備から排出される発酵残渣及び蒸留残渣を好ましく用いることができる。
≪酵素安定剤の製造方法≫
本実施形態の親水性リグニン誘導体を含む酵素安定化剤の製造方法(以下、単に「本実施形態の製造方法」と称する場合がある)は、以下の工程を含む。
リグノセルロース系バイオマスとポリアルキレングリコールに第一の酸を添加して反応させる工程(1);
前記工程(1)で得られた反応液にアルカリを添加して中和する工程(2);
前記工程(2)で得られたアルカリ中和液を固液分離して、液分画を得る工程(3);
前記工程(3)で得られた液分画に第二の酸を添加する工程(4);
前記工程(4)で得られた酸性液を固液分離して、親水性リグニン誘導体を含む液分画を得る工程(5);
前記工程(5)で得られた液画分を、含水率が55質量%以上であり、孔径が350Å以下であり、且つ、比重が1.15以下である合成吸着剤に接触させて、前記親水性リグニン誘導体を前記合成吸着剤に吸着させる工程(6);
前記工程(6)で前記合成吸着剤と接触させた後の溶液を回収した後、前記溶液から蒸留により水及びポリアルキレングリコールをそれぞれ分離し、前記水を前記工程(3)又は前記工程(5)に用いられる固液分離装置の洗浄水として再利用し、前記ポリアルキレングリコールを前記工程(1)に再利用する工程(7);
有機溶離液を前記合成吸着剤に接触させて、前記工程(6)で前記合成吸着剤に吸着した前記親水性リグニン誘導体を脱着させて、溶出液を回収する工程(8);
前記工程(8)で得られた溶出液から蒸留により前記親水性リグニン誘導体及び前記有機溶離液をそれぞれ分離し、前記親水性リグニン誘導体を精製する工程(9);及び、
前記工程(9)で分離された前記有機溶離液を前記工程(8)に再利用する工程(10)。
従来では、上記工程(1)~(3)で示される酸加溶媒分解法によって得られるリグニン誘導体を含む液分画をそのまま酵素安定化剤として利用していた。発明者らは、上記工程(4)~(5)に示すように、工程(3)で得られた液分画に更に酸を添加して、リグニン誘導体を疎水性分画(固体分画)と親水性分画(液分画)に分けて、親水性分画(液分画)に含まれる親水性リグニン誘導体が酵素安定化剤に適していることを、特許文献3等でこれまでに報告した。酸加溶媒分解法で使用されるポリアルキレングリコールは、溶媒としての役割も担い、一定量は反応に寄与せず、未反応分として反応液中に残存している。そのため、得られた親水性分画(液分画)には、投入した原料ポリアルキレングリコールの質量に対して60質量%の未反応のポリアルキレングリコールが含まれている。ポリアルキレングリコールのコストは、親水性リグニン誘導体の製造コストの半分以上を占めており、ポリアルキレングリコールの回収及び再利用が事業採算性確保には重要であった。
また、親水性分画(液分画)には、酢酸やフルフラール等の発酵阻害物質が含まれている。親水性分画(液分画)をそのまま酵素安定化剤として使用することで、上記発酵阻害物質によって糖化工程の後工程である発酵工程における発酵阻害を引き起こすことが懸念されていた。
これに対して、本実施形態の製造方法では、上記工程(6)において、上記特性を有する合成吸着剤を用いることで、液分画から親水性リグニン誘導体を合成吸着剤に吸着させ、一方、ポリアルキレングリコールは吸着しないため、これらを分離することができる。さらに、上記工程(7)において、分離されたポリアルキレングリコールを含む水溶液を蒸留(好ましくは、減圧蒸留)することで、水と、純度の高いポリアルキレングリコールとを分離精製することができる。分離精製されたポリアルキレングリコールは、上記工程(1)における酸加溶媒分解反応に再利用することができ、上記課題となっていた事業採算性を確保することができる。また、上記工程(7)において分離された水も本実施形態の製造方法において工程(3)等での洗浄水として再利用することができ、コストの削減に寄与する。
また、上記工程(8)において、有機溶離液に溶出させて、親水性リグニン誘導体を合成吸着剤から脱着させた後、上記工程(9)において蒸留(好ましくは、減圧蒸留)することで、有機溶離液と、純度の高い親水性リグニン誘導体とを分離精製することができる。分離精製された親水性リグニン誘導体は、後述する実施例に示すように、発酵阻害物質が除去されており、酵素安定化剤として活用した際に、糖化工程の後工程である発酵工程における発酵阻害の発生が抑制されている。
すなわち、本実施形態の製造方法によれば、事業採算性が確保され、且つ、発酵阻害物質が除去された酵素安定化剤が得られる。
次いで、本実施形態の製造方法の各工程について以下に詳細を説明する。
<工程(1)>
工程(1)では、リグノセルロース系バイオマスとポリアルキレングリコールに第一の酸を添加して反応させる。
[ポリアルキレングリコール]
本実施形態の製造方法において、ポリアルキレングリコールとしては、アルキレングリコールが重合したものであれば、特に制限はないが、末端に水酸基を有するものが好ましい。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられるが、ポリエチレングリコールが好ましい。ポリアルキレングリコールの分子量は本実施形態の製造方法に用いることができれば特に制限はないが、ポリエチレングリコールの場合は、200以上1000以下が好ましく、400以上600以下がより好ましい。
これらポリアルキレングリコールは、市販のものを用いてもよいし、当該分野で公知の方法により調製したものを用いてもよい。
[リグニン誘導体]
リグノセルロース系バイオマスとポリアルキレングリコールとに第一の酸を添加して反
応させることにより、リグノセルロース系バイオマス中のリグニンからリグニン誘導体を
液分画中に得ることができる。このようにして得られるリグニン誘導体を含む液分画は、
親水性リグニン誘導体と疎水性リグニン誘導体を含む。
[第一の酸]
工程(1)で用いられる第一の酸としては、リグノセルロース系バイオマスとポリアルキレングリコールからリグニン誘導体を生成させることができれば特に制限はなく、塩酸、硫酸等が用いられ、硫酸が好ましく用いられる。添加量は、通常、ポリアルキレングリコール100重量部に対して、0.1重量部以上3.0重量部以下である。
リグノセルロース系バイオマスとポリアルキレングリコールとの反応において、リグノセルロース系バイオマスに対して反応させるポリアルキレングリコールの量は、使用されるリグノセルロース系バイオマス中のリグニン及びポリアルキレングリコールの種類、並びに目的とする酵素安定化剤の性能に依存して決定することができる。例えば、加えるポリアルキレングリコールの量は、使用するリグノセルロース系バイオマス中に存在するリグニン中の水酸基の量、及び加えるポリアルキレングリコール中の水酸基の量に基づき算出される。ポリアルキレングリコールは、リグニンのα位の炭素原子に結合している水酸基と反応する。ポリアルキレングリコールの量は、通常、リグノセルロース系バイオマス10乾燥重量部に対して、ポリアルキレングリコール5重量部以上100重量部以下であり、10重量部以上60重量部以下が好ましく、20重量部以上50重量部以下がより好ましい。
反応温度は、特に制限はないが、通常、100℃以上200℃以下であり、120℃以上160℃以下が好ましい。
反応時間は、特に制限はないが、通常、30分間以上180分間以下であり、60分間以上120分間以下が好ましい。
<工程(2)>
工程(2)では、工程(1)で得られた反応液にアルカリを添加して中和する。
[アルカリ]
工程(2)で用いられるアルカリとしては、工程(1)で得られた反応液を中和できるものであれば、特に制限はないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム等が挙げられる。
アルカリ添加後の反応液のpHは、pH6以上12以下が好ましく、pH6以上10以下がより好ましい。
<工程(3)>
工程(3)では、工程(2)で得られたアルカリ中和液を固液分離して、液分画を得る。
アルカリ中和液から固形分を除く方法としては、アルカリ中和液から固形分を除くことができれば特に制限はないが、例えば、遠心分離、スクリュープレス、フィルタープレス、透過膜等が挙げられる。工程(3)で固形分を除いて得られた液分画に、親水性及び疎水性リグニン誘導体が含まれ、親水性リグニン誘導体は本実施形態の酵素安定化剤として用いることができる。
<工程(4)>
工程(4)では、工程(3)で得られた液分画に第二の酸を添加する。
[第二の酸]
工程(4)で用いられる第二の酸としては、液分画を酸性にすることができれば特に制限はないが、pHを1以上4以下とすることができる酸が好ましく、硫酸が特に好ましい。
第二の酸の添加量は、通常、工程(3)で得られた液分画100重量部に対して、0.01重量部以上3.0重量部以下である。
液分画に第二の酸を加えて酸性にすることにより、未反応のリグニン及び疎水性リグニン誘導体が沈殿し、続く工程(5)において固液分離をして、固形物を分離することにより、親水性リグニン誘導体を含む液分画が得られる。
<工程(5)>
工程(5)では、工程(4)で得られた酸性液を固液分離して、親水性リグニン誘導体を含む液分画を得る。
固液分離の方法としては、第二の酸を添加して生成する固形物を分離できる方法であれば、特に制限はないが、遠心分離が好ましい。遠心分離は、通常、2000g以上20000g以下であり、5000g以上15000g以下が好ましい。
<工程(6)>
工程(6)では、工程(5)で得られた液画分を、合成吸着剤に接触させて、親水性リグニン誘導体を合成吸着剤に吸着させる。
[合成吸着剤]
合成吸着剤において、含水率が55質量%以上であり、孔径が350Å以下であり、且つ、比重が1.15以下である。
このような特性を有する合成吸着剤を使用することで、疎水性相互作用又はファンデルワールス力によって、親水性リグニン誘導体を効率的に吸着させることができる。
合成吸着剤の含水率は、55質量%以上であり、57質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、63質量%以上がさらに好ましい。合成吸着剤の含水率が上記下限値以上であることで、親水性リグニン誘導体をより効率的に吸着することができる。一方で、含水率の上限に特に制限はないが、例えば、100質量%、90質量%、80質量%、又は75質量%とすることができる。合成吸着剤の含水率とは、合成吸着剤の湿潤重量に対する水分の重量の割合を百分率で示したものであり、例えば、乾燥減量法によって、測定することができる。
合成吸着剤の孔径は、350Å以下であり、330Å以下が好ましく、300Å以下がより好ましく、250Å以下がさらに好ましい。合成吸着剤の孔径が上記上限値以下であることで、親水性リグニン誘導体をより効率的に吸着することができる。一方で、孔径の下限に特に制限はないが、例えば、50Å、70Å、又は100Åとすることができる。合成吸着剤の孔径は、例えば、ガス吸着法によって、測定することができる。
合成吸着剤の比重は、1.15以下であり、1.12以下が好ましく、1.10以下がより好ましく、1.09以下がさらに好ましい。合成吸着剤の比重が上記上限値以下であることで、親水性リグニン誘導体をより効率的に吸着することができる。一方で、比重の下限に特に制限はないが、例えば、1.02、1.03、1.04、1.05とすることができる。合成吸着剤の比重は、例えば、比重瓶法によって、測定することができる。
合成吸着剤の表面積は、800m/g以下であることが好ましく、700m/g以下であることがより好ましく、600m/g以下であることがさらに好ましく、570m/g以下であることが特に好ましい。合成吸着剤の表面積が上記上限値以下であることで、親水性リグニン誘導体をより効率的に吸着することができる。一方で、表面積の下限に特に制限はないが、例えば、300m/g、350m/g、400m/g、又は430m/gとすることができる。合成吸着剤の表面積は、例えば、ガス吸着BET法によって、測定することができる。
合成吸着剤の種類としては、例えば、芳香族系合成吸着剤、メタクリル酸系合成吸着剤、ポリスチレン系合成吸着剤等が挙げられる。メタクリル酸系合成吸着剤及びポリスチレン系合成吸着剤は、ジビニルベンゼン(DVB)等の架橋剤による架橋構造を有していてもよい。またメタクリル酸系合成吸着剤には、メタクリル酸エステル系合成吸着剤も包含される。中でも、工程(6)で用いられる合成吸着剤としては、親水性リグニン誘導体の官能基特性及び立体構造の特徴から、親水性リグニン誘導体の吸着効率及び後の工程(8)での脱着効率に優れることから、メタクリル酸系合成吸着剤が好ましい。
上述した特性を有する市販の合成吸着剤としては、例えば、三菱ケミカル社製の商品名「ダイヤイオンHP2MGL」(メタクリル酸エステル系合成吸着剤、含水率55質量%以上65質量%以下、孔径240Å、比重1.09、表面積570m/g)、ピュロライト社製の商品名「PuroSorbTM PAD610」(メタクリル酸-DVB架橋合成吸着剤、含水率60質量%以上66質量%以下、孔径300Å、比重1.12、表面積490m/g)、「PuroSorbTM PAD900」(ポリスチレン-DVB架橋合成吸着剤、含水率67質量%以上73質量%以下、孔径220Å、比重1.02、表面積850m/g)、「PuroSorbTM PAD950」(メタクリル酸系合成吸着剤、含水率65質量%以上71質量%以下、孔径120Å、比重1.07、表面積450m/g)等が挙げられる。
また、工程(6)において、親水性リグニン誘導体に加えて、発酵阻害物質等の夾雑物の一部は、合成吸着剤に吸着する。これにより、本実施形態の製造方法における系内から、発酵阻害物質等の夾雑物の一部を取り除くことができる。また、後述する工程(8)で、有機溶離液によって、親水性リグニン誘導体と共に、発酵阻害物質等の夾雑物の一部も脱着し、溶出するが、後述する工程(9)における蒸留により、揮発又はサイドカット等により除去させて親水性リグニン誘導体から取り除くことができる。
<工程(6A)>
本実施形態の製造方法は、工程(6)及び工程(7)の間に、
親水性リグニン誘導体が吸着している合成吸着剤に水を接触させて、合成吸着剤を洗浄し、洗浄液を回収する工程(6A)を更に含むことが好ましい。
後述する実施例に記載するように、本実施形態の製造方法は、工程(6A)を更に含むことで、工程(6)において合成吸着剤と親水性リグニン誘導体とを接触させた系に残存するポリアルキレングリコールをより効果的に回収することができる。すなわち、回収された洗浄液中にはポリアルキレングリコールが多量に含まれることから、続く工程(7)において、工程(6)において合成吸着剤と接触させた後の溶液と必要に応じて混合して、蒸留に供されることが好ましい。
<工程(7)>
工程(7)では、工程(6)で合成吸着剤と接触させた後の溶液(カラム方式の場合には、フロースルーともいう)を回収した後、溶液から蒸留により水及びポリアルキレングリコールをそれぞれ分離する。
工程(7)における蒸留方法としては、水とポリアルキレングリコールを分離できる方法であれば特に限定されないが、例えば、常圧蒸留法、減圧蒸留法等が挙げられる。中でも、蒸発させて分離する水の沸点が比較的低いことから、減圧蒸留法であることが好ましい。
分離された水は、工程(3)又は工程(5)に用いられる固液分離装置の洗浄水として再利用する。また、分離された水は、工程(6A)に用いられる洗浄水としても再利用することができる。
一方、分離されたポリアルキレングリコールは、工程(1)に再利用する。これにより、本実施形態の製造方法は、これまで製造コストの半分以上を占めていたポリアルキレングリコールの回収及び再利用を達成でき、事業採算性を確保することができる。
<工程(8)>
工程(8)では、有機溶離液を合成吸着剤に接触させて、工程(6)で合成吸着剤に吸着した親水性リグニン誘導体を脱着させて、溶出液を回収する。
[有機溶離液]
工程(8)で用いられる有機溶離液としては、親水性リグニン誘導体を溶出することができ、合成吸着剤よりも親水性リグニン誘導体との親和性が高いものであれば特に限定されない。このような有機溶離液としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、ベンゼン、及びこれらと酸又はアルカリとの混合液等が挙げられる。中でも、安価で入手が容易であり、且つ、本実施形態の製造方法で得られた酵素安定化剤は特にバイオエタノール製造時の糖化工程に投入されることから、糖化工程及び続く発酵工程に悪影響を及ぼさず安全性の比較的高いものであることから、エタノールが特に好ましい。また、エタノールは、大気圧下での沸点が79℃と比較的低く、続く工程(9)においてエネルギーの消費を抑えながら回収することができる。
また、有機溶離液は、水との混合溶液の形で用いてもよいが、親水性リグニン誘導体の脱着効率がより優れることから、有機溶離液の濃度がより高いことが好ましく、エタノールである場合には、その濃度が溶液の総質量に対して90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましく、99.5質量%以上であることが特に好ましい。
工程(6)、工程(6A)、及び工程(8)は、合成吸着剤の至適温度下であれば特に制限されないが、20℃以上40℃以下の温度下で行うことが好ましく、23℃以上27℃以下の温度下で行うことがより好ましい。上記温度範囲で処理を行うことで、合成吸着剤への親水性リグニン誘導体の吸着効率及び脱着効率をより向上させることができる。
工程(6)、工程(6A)、及び工程(8)は、バッチ処理法であってもよく、カラム処理法であってもよいが、連続的に大量の溶液を処理できることから、カラム処理法であることが好ましい。
カラムの通液方向は、上昇流であってもよく、下降流であってもよいが、機器動力がより小さく、ポリアルキレングリコールの回収率がより向上することから、下降流であることが好ましい。
<工程(9)>
工程(9)では、工程(8)で得られた溶出液から蒸留により親水性リグニン誘導体及び有機溶離液をそれぞれ分離し、親水性リグニン誘導体を精製する。
工程(7)における蒸留方法としては、親水性リグニン誘導体と有機溶離液を分離できる方法であれば特に限定されないが、例えば、常圧蒸留法、減圧蒸留法等が挙げられる。中でも、蒸発させて分離する有機溶離液、特にエタノールの沸点が比較的低いことから、減圧蒸留法であることが好ましい。
また、工程(8)で得られた溶出液中には、発酵阻害物質等の夾雑物の一部も含まれるが、その多くは、工程(9)における蒸留によって揮発又はサイドカットによる抜出しで、除去される。
精製された親水性リグニン誘導体は、必要に応じて、凍結乾燥機等の従来使用されている乾燥方法により完全に乾燥させてもよい。
<工程(10)>
工程(10)では、工程(9)で分離された有機溶離液を工程(8)に再利用する。
分離された有機溶離液を工程(8)に再利用することで、製造コストを抑えることができる。
<酵素安定化剤>
本実施形態の酵素安定化剤は、上述した酵素安定化剤の製造方法により得られる。
上述した酵素安定化剤の製造方法により得られた酵素安定化剤を使用する場合は、水溶液の形態で使用してもよく、或いは、乾燥させたものを粉体化して使用してもよい。
本実施形態の酵素安定化剤には、その性能を阻害しない範囲で、任意の添加剤を添加してもよい。そのような添加剤としては、例えば、pH調整剤、酸化防止剤、水溶性若しくは水不溶性担体、分散剤、水溶性の金属の無機又は有機酸塩等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
水溶性又は水不溶性担体としては、例えば、水、アルコール類(エタノール、イソプロピルアルコール等)、ジオール(例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール)、他のポリオール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、エーテル類(例えば、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、ケトン類(例えば、シクロヘキサノン等)、エステル類(例えば、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル等)、含窒素類(例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等)等の水溶性担体;脂肪族や芳香族の炭化水素系溶剤(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、キシレン、トルエン、ドデシルベンゼン、ミネラルスピリット、芳香族系ナフサ等)、油脂類(例えば、ヤシ油、大豆油、ナタネ油、ヒマシ油、アマニ油等)等の水不溶性担体等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
分散剤としては、例えば、アクリレートホモポリマー、アクリレートコポリマー又はそれらの混合物等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
水溶性の金属の無機又は有機酸塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、モノ、ジ、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<疎水性リグニン誘導体>
なお、本実施形態の製造方法において、工程(5)での固液分離で残存した固形分画には、疎水性リグニン誘導体が含まれる。
この疎水性リグニン誘導体を含む固形分画は、必要に応じて、凍結乾燥機等の従来使用されている乾燥方法により完全に乾燥させてもよい。
固形分画中の疎水性リグニン誘導体の濃度は、以下の式により算出することができる。
(疎水性リグニン誘導体濃度)
=(リグニンのコニフェリルアルコール骨格に起因するUV吸光度から得られる濃度)×{(ポリアルキレングリコール分子量)+180}×0.7/180
固形分画に含まれる疎水性リグニン誘導体は、例えば、耐熱フィルム、セメント分散剤、熱硬化性樹脂等の機能性原料として用いることができる。
≪酵素の安定化方法≫
本実施形態の酵素の安定化方法は、基質と酵素の反応系に、上述した酵素安定化剤の製造方法により得られる酵素安定化剤を添加することを含む。
本実施形態の酵素の安定化方法に使用される親水性リグニン誘導体は、基本的には上述した酵素安定化剤の製造方法により得られる酵素安定化剤に使用される親水性リグニン誘導体と同様の構成及び作用効果を有する。よって、上述した酵素安定化剤の製造方法と同様の内容については、適宜説明を省略する。
酵素反応の酵素としては、糖化酵素が好ましく、特にセルラーゼが好ましい。酵素反応の基質としては、セルロースが好ましく、特に、リグノセルロース系バイオマスが好ましい。
本実施形態の酵素の安定化方法に使用される酵素安定化剤の添加量は、任意であるが、例えば、リグノセルロース系バイオマスの乾燥重量に対して、酵素安定化剤に含まれる親水性リグニン誘導体の重量が、0.1重量%以上3.0重量%以下が好ましく、0.2重量%以上1.0重量%以下がより好ましく、0.3重量%以上0.7重量%以下がさらに好ましい。添加量が上記数値範囲であることで、酵素の失活をより防ぐことができ、酵素活性をより安定化することができる。
反応液に添加する親水性リグニン誘導体の濃度は、以下の式により算出することができる。
(親水性リグニン誘導体濃度)
=(リグニンのコニフェリルアルコール骨格に起因するUV吸光度から得られる濃度)×{(ポリアルキレングリコール分子量)+180}×0.8/180
≪リグノセルロース系バイオマスの糖化方法≫
本実施形態のリグノセルロース系バイオマスの糖化方法(以下、単に「本実施形態の糖化方法」と称する場合がある)は、上述した酵素安定化剤の製造方法により得られる酵素安定化剤を添加して、リグノセルロース系バイオマスの酵素による糖化反応を行うことを含む。
本実施形態の糖化方法に使用する酵素安定化剤は、上記のとおり、酵素の失活を防ぎ、酵素活性を安定化することができる。したがって、本実施形態の糖化方法によれば、使用した酵素を再利用すること、又は酵素使用量を減じることが可能である。
本明細書中で使用される場合、「リグノセルロース系バイオマスの酵素による糖化方法」とは、リグノセルロース系バイオマスを酵素により糖化する方法であればいずれでもよいが、例えば、特開2008-092910号公報(参考文献1)に記載される糖化方法(エタノールの製造方法)であってよい。参考文献1の内容は本明細書中に参照として援用される。
本実施形態の糖化方法は、例えば、以下の工程を含む。
リグノセルロース系バイオマスに酸又はアルカリを混合させ、水熱処理(前処理)
を行う工程(a);
前処理を行ったリグノセルロース系バイオマスに酵素、上述した酵素安定化剤及び水を添加し、バイオマス内のセルロース及びヘミセルロースをそれぞれグルコース及びキシロースの単糖に加水分解(糖化)し糖液を得る工程(b);及び、
得られた糖液に、酵母を添加し発酵させ、エタノールを生産する工程(c)。
本実施形態の糖化方法において、糖化効率は、C6糖化率を算出することにより調べることができる。ここでC6糖化率とは、前処理済バイオマス中のセルロース(グルコース換算)から糖化を経て生成するグルコース量の比率を示す。本来、前処理と糖化を経てキシロース(C5糖)も生成するが、キシロースは、希硫酸を使った前処理で生成する割合が高いため、酵素糖化効率はC6糖化率で調べるのがよい。
本実施形態の糖化方法に使用される酵素安定化剤は、上述した酵素安定化剤の製造方法において具体的に説明された酵素安定化剤と同様の構成及び作用効果を有する。よって、上述した酵素安定化剤の製造方法と同様の内容については、適宜説明を省略する。
本実施形態の糖化方法に使用される酵素安定化剤の添加量は、任意であるが、例えば、酵素安定化剤に含まれる親水性リグニン誘導体の重量が酵素糖化されるリグノセルロース系バイオマスの乾燥重量に対して、0.1重量%以上3.0重量%以下が好ましく、0.2重量%以上1.0重量%以下がより好ましく、0.3重量%以上0.7重量%以下がさらに好ましい。添加量が上記数値範囲であることで、酵素のバイオマス成分への吸着をより抑制することができ、酵素の活性をより向上させることができる。
親水性リグニン誘導体の重量は、上述した酵素の安定化方法で記載した方法により算出することができる。
本実施形態の糖化方法において用いられる糖化酵素としては、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ又はβグルコキシダーゼ活性を有する任意の酵素を用いることができる。これら糖化酵素産生菌の例としては、好気性のトリコデルマ属、アスペルギルス属、フミコラ属、イルペックス属、アクレモニウム属等が挙げられる。
糖化反応に使用する糖化酵素の添加量は、原料基質となるリグノセルロース系バイオマスのセルロース1gに対して5ユニット以上50ユニット以下のセルラーゼ活性を含むように調整する。
本実施形態の糖化方法により得られる糖化液は、エタノール発酵、乳酸発酵、アミン酸発酵、ブタノール発酵、イソブタノール発酵等の原料として用いることができる。以下に、エタノール発酵に用いる場合について説明する。
エタノール発酵においては、上記で得られた糖化液を発酵させる。糖化反応に最適な温度と発酵に最適な温度は異なるため、糖化反応は、糖化反応に適した温度で実施し、40℃以上60℃以下が好ましい。反応液のpHも、糖化反応に適した条件で実施し、4以上7以下が好ましい。糖化反応の終了後、糖化反応液を取り出し、発酵槽へ供給する。発酵槽のエタノール発酵菌は、固定化してもしなくても良いが、固定化した方が好ましい。発酵条件は、エタノール発酵に適した条件で実施する。pHは、4以上8以下、温度は、20℃以上40℃以下が好ましい。エタノール発酵中に生産したエタノールを分離回収することもできる。
得られた糖化液にエタノール発酵菌を投入することにより糖化液を発酵させ、エタノールを製造することができる。このようなエタノール発酵菌としては、例えば、サッカロマイセス属、ザイモモナス属、ピキア属等が挙げられる。また、遺伝子組み換えされたものもアルコール発酵が可能で有れば使用できる。これらのエタノール発酵菌は、エタノール発酵前に液体培地で前培養し、菌体量を増加させておくことが望ましい。エタノール発酵菌の投入量は多いほど発酵効率がよく、糖化反応により生成する糖を同時に完全にエタノールへ変換できる菌体量を確保することが好ましい。
糖化反応とエタノール発酵は、上記糖化酵素とともにエタノール発酵菌を添加することにより、同時に行うこともできる。同時糖化発酵においては、同一の反応器で糖化反応と発酵を行う方式でもよく、或いは、糖化反応と発酵を別々の反応器で行う方式でもよい。
同一の反応器で糖化反応と発酵を行う場合には、反応液のpHと温度は、糖化反応と発酵、どちらも作用できる条件で行う。条件としては、エタノール発酵菌の発酵条件を優先し、pHは、4以上7以下、温度は、20℃以上40℃以下が好ましい。また、同時糖化発酵を嫌気的条件で行うことで、好気性菌である糖化酵素産生菌の増殖を抑制することができ、糖化酵素産生菌の増殖に伴う糖の消費を抑制することができる。また、同時糖化発酵は撹拌することで、糖化反応が進行し易いため、エタノール生産性がより良くなる。また、生成したエタノールを分離回収しながら同時糖化発酵を行うこともできる。この方式は、一つの反応器で全ての糖化反応とエタノール発酵を行えるので製造工程の簡便化が図れる。
糖化反応と発酵を別々の反応器で同時に行う方式では、糖化反応は、糖化反応に適した温度で実施し、40℃以上60℃以下で実施することが好ましい。反応液のpHは、発酵条件と同一とし、4以上6以下が好ましい。糖化反応液は連続的に取り出し、発酵槽へ供給する。発酵槽のエタノール発酵菌は、固定化してもよく、或いは、しなくてもよいが、固定化することが好ましい。発酵条件は、pHは、4以上7以下、温度は、20℃以上35℃以下が好ましい。エタノール発酵液は再び糖化反応槽へ戻し、糖化反応と発酵を同時に行う。その際、生成したエタノールを分離回収することもできる。
糖化反応の経過に伴って反応器内のリグノセルロース系バイオマスは分解され、減少するため、必要に応じてリグノセルロース系バイオマスを反応器内に無菌的に投入し反応を継続させることが望ましい。
また、発酵において、反応器内にエタノールが蓄積し、エタノール濃度が上昇すると発酵が抑制されるので、発酵液からエタノールを分離回収しながら発酵させてもよい。その場合、浸透気化膜を使ってもよく、或いは、エバポレーション装置を使ってもよい。その際、発酵微生物が失活しない50℃以下で運転することが好ましい。ただし、エタノールを回収後の発酵液を反応器に戻さない場合には、この限りではなく、エタノール回収に適した温度で実施できる。また、エタノール回収後の液中には発酵微生物が残存しているので反応器へ無菌的に戻し、再利用することが望ましい。
酵素や発酵微生物は必要に応じて無菌的に追加してもよい。
また、反応器内には不溶性の残渣が蓄積し、撹拌効率を抑制するので遠心分離機等を使って除去してもよい。残渣中にセルロースが大量に残っている場合には、原料であるリグノセルロース系バイオマスと混合してもよく、糖化酵素産生菌培養液を追加し、分解してもよい。
回収したエタノールは、蒸留装置で蒸留することができる。
≪酵素安定化剤の製造装置≫
図1は、本実施形態の酵素安定化剤の製造装置の一例を模式的に示す概略構成図である。以下、図1を参照しながら、本実施形態の酵素安定化剤の製造装置の各構成について説明する。
本実施形態の酵素安定化剤の製造装置100は、第一の反応槽1と、第一の固液分離装置2と、第二の反応槽3と、第二の固液分離装置4と、カラム5と、第一の蒸留装置6と、第二の蒸留装置7と、第二の蒸留装置7で分離された水を第一の固液分離装置2に供給するように構成された配管14cと、第二の蒸留装置7で分離されたポリアルキレングリコールを第一の反応槽1に供給するように構成された配管14dと、第一の蒸留装置6で分離された有機溶離液をカラム5に供給するように構成された配管13cと、を備える。
第一の反応槽は、アルカリ供給手段1aを有する。
本実施形態の酵素安定化剤の製造装置によれば、事業採算性が確保され、且つ、発酵阻害物質が除去された酵素安定化剤が得られる。
[第一の反応槽]
第一の反応槽1は、リグノセルロース系バイオマスとポリアルキレングリコールに第一の酸を反応させるように構成されている。リグノセルロース系バイオマス、ポリエチレングリコール及び第一の酸については、上述の酵素安定化剤にて記載されたものと同じものが挙げられる。
加えるポリアルキレングリコールの量は、特に制限はなく、通常、リグノセルロース系バイオマス10乾燥重量部に対して、5重量部以上100重量部以下であり、10重量部以上60重量部以下が好ましく、20重量部以上50重量部以下がより好ましい。
加える第一の酸の量は、例えば、ポリアルキレングリコール100重量部に対して、0.1重量部以上0.3重量部以下である。
また、第一の反応槽1は、耐酸性であるものであればよく、特別な限定はない。
第一の反応槽1は撹拌翼等の撹拌機構を有していてもよい。
また、第一の反応槽1における反応液の温度は、特に制限はなく、通常、100℃以上200℃以下であり、120℃以上160℃以下であることが好ましい。
第一の反応槽1内の温度を上記範囲内に保つために、第一の反応槽1は温度調整装置又は温度計1bを備えていてもよい。
また、第一の反応槽1は、アルカリ供給手段1aを有する。さらに、図1に示すようにリグノセルロース系バイオマス供給手段1c、ポリアルキレングリコール供給手段1d、第一の酸供給手段1e等を有してもよい。
また、第一の反応槽1は、pH計を有してもよい。pH計は、アルカリ供給後の反応液のpHを測定し、アルカリ供給量を適宜調整するために、用いればよい。
(アルカリ供給手段)
アルカリ供給手段1aは第一の反応槽1に配設されており、アルカリを第一の反応槽1に供給するように構成されている。アルカリを供給することで、第一の反応槽1内において、リグニン誘導体の生成反応が終了した後に、反応液を中和及びリグニン誘導体を液側に抽出することができる。
アルカリとしては、上述の酵素安定化剤の製造方法において例示されたものと同様である。
アルカリ供給後の反応液のpHは、pH6以上12以下であること好ましく、pH6以上10以下であることがより好ましい。
アルカリ供給手段1aはアルカリの供給量を調整するためのポンプ、弁等を有していてもよい。
[第一の固液分離装置]
第一の固液分離装置2は、反応液から固形分画を取り除くように構成されている。反応液を第一の固液分離装置2に通すことで、リグニン誘導体を含む液分画を得ることができる。
第一の固液分離装置2としては、アルカリ中和液から固形分画を除くことができれば、特に制限はないが、例えば、遠心分離、スクリュープレス、フィルタープレス等が挙げられる。
[第二の反応槽]
第二の反応槽3は、第一の固液分離装置2を用いて固液分離して得られた液分画と第二の酸とを反応させるように構成されている。
また、第二の反応槽3は、第二の酸供給手段3aを有してもよい。
第二の酸供給手段3aは第二の酸の供給量を調整するためのポンプ、弁等を有していてもよい。
加える第二の酸の量は、例えば、液分画100重量部に対して、0.01重量部以上3.0重量部以下である。
また、第二の反応槽3は、耐酸性であるものであればよく、特別な限定はない。
第二の反応槽3は撹拌翼等の撹拌機構を有していてもよい。
[第二の固液分離装置]
第二の固液分離装置4は、第二の反応槽3で得られた反応液(酸性液)を、固液分離して、固形物を除くように構成されている。酸性液を第二の固液分離装置4に通すことで、親水性リグニン誘導体を含む液分画を得ることができる。
第二の固液分離装置4は、酸を添加して生成する固形物を分離できる装置であれば、特に制限はないが、例えば、遠心分離機等が挙げられる。
[カラム]
カラム5には、含水率が63質量%以上であり、孔径が250Å以下であり、且つ、比重が1.09以下である合成吸着剤が充填されている。
合成吸着剤及び親水性リグニン誘導体の溶出に用いられる有機溶離液としては、上述の酵素安定化剤の製造方法において例示されたものと同様である。
カラム5の大きさ及び材質については、耐酸性であるものであればよく、特別な限定はない。
カラム5内の温度は、合成吸着剤の至適温度下であれば特に制限されないが、20℃以上40℃以下であることが好ましく、23℃以上27℃以下であることがより好ましい。温度が上記範囲であることで、合成吸着剤への親水性リグニン誘導体の吸着効率及び脱着効率をより向上させることができる。
カラム5内の温度を上記範囲内に保つために、カラム5はカラムオーブン等の温度調整装置又は温度計を備えていてもよい。
[第一の蒸留装置]
第一の蒸留装置6は、親水性リグニン誘導体と有機溶離液を分離し、親水性リグニン誘導体を精製するように構成されている。
第一の蒸留装置6としては、親水性リグニン誘導体を溶液中に残しながら、有機溶離液を蒸発できる装置であれば、特に制限はないが、単蒸留方式のものであってもよく、内部に棚(トレイ)を設けた構造であるものであってもよく、充填物を充填した構造であるものでもよい。
第一の蒸留装置6として内部に棚(トレイ)を設けた構造であるものを用いた場合に、塔底から上昇して来た蒸気で、投入された揮発性成分及び塔頂から流下して来た内部還流液が加熱され、低沸点成分の有機溶媒を多く含む蒸気が発生する。塔底からの蒸気は、高沸点成分の水を多く含む蒸気が凝縮する。すなわち、各棚(トレイ)上では熱交換とともに物質交換が行われ、塔頂に近づくのに従って低沸点成分に富み、反対に塔底に近づくのに従って高沸点成分に富む。
図1には示していないが、塔頂からの低沸点成分に富む塔頂留分は配管を介して装置外に取り出され、凝縮器(コンデンサー)等で凝縮される。凝縮された塔頂留分は、配管を介して還流ポンプ等により第一の蒸留装置に還流量を調節する調節器と調節弁等を経由して一定量で戻される。この還流ポンプ、調節器及び調節弁を総じて還流量調節機構と称する場合がある。残りの塔頂留分はカラム5に再利用される再生有機溶離液として残りの塔頂留分の流量を調節する調節器と調節弁(図示せず)を経由して一定流量で抜き出される。残りの塔頂留分の流量を調節する調節器と調節弁を総じて再生有機溶離液流量調節機構(図示せず)と称する場合がある。抜き出し流量は、カラム5に用いられる再生有機溶離液の使用量に応じて再生有機溶離液流量調節機構によって設定を変更することができる。なお、ここでいう再生有機溶離液は、有機溶離液及び水の混合溶液であってもよく、有機溶離液のみからなる溶液であってもよいが、親水性リグニン誘導体の脱着効率をより向上できることから、有機溶離液のみからなる溶液であることが好ましい。
一方、図1には示していないが、塔底では再沸器(リボイラー)に加熱用スチームがリボイラー加熱用スチームの流量を調節する調節器と調節弁により一定流量で供給され、一定熱量が第一の蒸留装置6に供給されることになる。この調節器及び調節弁を総じてリボイラー焚き上げ量調節機構と称する場合がある。この熱源でリボイラーから発生する水を多く含む蒸気は一定量で発生し、塔内を上方からの還流液と各トレイ上で接触し、熱及び物質交換しながら蒸留操作がおこなわれる。この発生蒸気量は熱源のリボイラー加熱用スチーム量によるリボイラー焚き上げ量によって調節される。
[第二の蒸留装置]
第二の蒸留装置7は、水とポリアルキレングリコールを分離するように構成されている。
第二の蒸留装置7としては、ポリアルキレングリコールを溶液中に残しながら、水を蒸発できる装置であれば、特に制限はないが、単蒸留方式のものであってもよく、内部に棚(トレイ)を設けた構造であるものであってもよく、充填物を充填した構造であるものでもよい。
[配管]
本実施形態の酵素安定化剤の製造装置に配設される配管は、配設される箇所に応じて、耐酸性や耐熱性を有する材質からなるものであればよく、特別な限定はない。
本実施形態の酵素安定化剤の製造装置は、図1に示す製造装置100に限定されず、本実施形態の酵素安定化剤の製造装置が奏する効果を損なわない範囲内において、図1に示すものの一部の構成が変更又は削除されたものや、これまでに説明したものにさらに他の構成が追加されたものであってもよい。
例えば、図1に示すように、製造装置100は、第一の蒸留装置6で蒸発させて回収された有機溶離液を貯留するように構成されたタンク13dを更に備えてもよい。タンク13dを備えることで、所望のタイミングでカラム5に通液するまで、有機溶離液を貯留させることができる。また、通液される有機溶離液の濃度を一定に保つことができる。
また、例えば、図1に示すように、製造装置100は、第二の蒸発装置7で蒸発させて回収された水を貯留するように構成されたタンク14aを更に備えてもよい。タンク14aを備えることで、所望のタイミングで第一の固液分離装置2に洗浄するまで、水を貯留させることができる。
また、例えば、製造装置100は、配管13bの途中に、液分画をカラム5に通したフロースルー及び洗浄水をカラム5に通した洗浄液を貯留するように構成されたタンクを更に備えてもよい。配管13bの途中にタンクが配設されていることで、第二の蒸留装置7に送られる溶液中のポリアルキレングリコール濃度を一定に保つことができ、第二の蒸留装置の制御がより簡便となり、且つ、エネルギーコストをより抑えることができる。
また、例えば、製造装置100は、タンク14aから水を第二の固液分離装置4に供給するように構成された配管や、タンク14aから水をカラム5に供給するように構成された配管を更に備えてもよい。これら配管を備えることで、水を、各製造工程における洗浄水として再利用することができる。
図1に示す酵素安定化剤の製造装置100を用いた酵素安定化剤の製造方法について、以下に説明する。
まず、第一の反応槽1に、リグノセルロース系バイオマス供給手段1c、ポリアルキレングリコール供給手段1d及び第一の酸供給手段1eにより、リグノセルロース系バイオマス、ポリアルキレングリコール及び第一の酸を添加する。各材料の種類、添加量、反応温度及び反応時間は、上述の酵素安定化剤の製造方法に記載されたとおりである。上記材料を反応させて、リグニン誘導体を生成させる。
次いで、反応後のリグニン誘導体を含む反応液に、アルカリ供給手段1aからアルカリを添加して、反応液を中和し、リグニン誘導体を液側に抽出する。アルカリの種類、添加量は、上述の酵素安定化剤の製造方法に記載されたとおりである。次いで、中和抽出された反応液は、ポンプ9bにより送液量を調整しながら配管9aを介して、第一の固液分離装置2に送られる。第一の固液分離装置2において、送られた反応液から固形分画を取り除き、液分画を得る。固形分は配管10aを介して排出される。
一方、得られた液分画は、配管10bを介して、第二の反応槽3に送られ、第二の酸供給手段3aにより、第二の酸が添加される。反応液(酸性液)は配管11を介して第二の固液分離装置4に送られ、ここで、未反応のリグニン及び疎水性リグニン誘導体を含む固形物が固形分画として配管12aを介して排出される。
一方、得られた液分画には、親水性リグニン誘導体の他に未反応のポリアルキレングリコールが含まれる。そのため、液分画は、配管12bを介して、カラム5に送られる。液分画をカラム5に通液することで、液分画中に親水性リグニン誘導体を合成吸着剤に吸着させる。一方、カラム5を通液したフロースルーは、配管13bを介して第二の蒸留装置7に送られる。
また、液分画を通液した後のカラム5に水を通液することで、カラム内の合成吸着剤を洗浄することで、カラム5内に残存するポリアルキレングリコールをより効率的に回収することができる。カラム5内を通液した洗浄液は、上述したフロースルーと同様に、配管13bを介して第二の蒸留装置7に送られる。
次いで、有機溶離液をカラム5に通液して、合成吸着剤に吸着していた親水性リグニン誘導体を溶出する。得られた溶出液は、配管13aを介して、第一の蒸留装置6に送られ、塔頂から有機溶離液が蒸発により排出される。
一方、塔底に残留した溶液には親水性リグニン誘導体が濃縮されている。濃縮精製された親水性リグニン誘導体はそのままバイオエタノール製造の糖化工程において、酵素安定化剤として用いることができる。
得られた親水性リグニン誘導体は、発酵阻害物質等の夾雑物が除去された高純度のものであるため、酵素の失活を防ぎ、酵素活性を安定化することができ、糖化効率及び続く発酵効率を向上させることができる。
また、上述したように、フロースルー及び洗浄液は、配管13bを介して、第二の蒸留装置7に送られ、蒸発により、水が塔頂から排出される。
排出された水は、凝縮器(コンデンサー)8で濃縮及び冷却されて、配管14bを介してタンク14aに送られて、貯留される。タンク14aに貯留された水は、所望のタイミングで、配管14cを介して、第一の固液分離装置2に送られて、洗浄水として利用される。
一方、塔底に残留した溶液にはポリアルキレングリコールが濃縮されている。濃縮精製されたポリアルキレングリコールは、配管14dを介してポリアルキレングリコール供給手段1dに送られて、貯留される。ポリアルキレングリコール供給手段1dに貯留されたポリアルキレングリコールは、所望のタイミングで、第一の反応槽1に添加されて、酸加溶媒分解反応に利用される。これにより、本実施形態の製造方法は、これまで製造コストの半分以上を占めていたポリアルキレングリコールの回収及び再利用を達成でき、事業採算性を確保することができる。
なお、製造の立ち上げ時には、有機溶離液、ポリアルキレングリコール及び洗浄水は、新品のものを供給する。しかしながら、立ち上げ後、2サイクル目以降には、ポリアルキレングリコールの再利用率約65質量%以上を達成することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(合成吸着剤の検討1)
1.親水性リグニン誘導体の調製
バガス乾燥重量250gに、ポリエチレングリコール400(PEG400、ライオン社製)746.26gと95質量%硫酸3.74gを加え、150℃に加熱し、90分間撹拌して反応させた。反応終了後、0.2N水酸化ナトリウム水溶液1500mLを加えて中和し、リグニン誘導体を抽出した。得られた反応液を遠心分離(3000g、15分間)し、固形分を除去した。
得られた上清に3N硫酸をpH2になるまで加えた。硫酸により沈殿する沈殿物を13000gで15分間遠心分離することにより、親水性リグニン誘導体を含む液分画を得た。
2.カラム処理
カラム(アズワン社製、バイオカラムCF-18)に以下の表1に示す合成吸着剤(膨潤充填量40mL)を充填し、液分画80mLを通液して、親水性リグニン誘導体を精製した。
Figure 0007032749000001
なお、カラム処理における各種条件は以下のとおりである。また、独立した試験を、同じカラムを用いて2回行った(Cycle 1、Cycle2)。
(条件)
(1)工程(6):液分画通液時(※通液後、フロースルーを回収)
液分画:80mL
インキュベーター温度:40℃
送液速度:3.35mL/分
空間速度(S.V.):5L/時間/充填樹脂L
(2)工程(8):有機溶離液通液時(※通液後、溶出液を回収)
有機溶離液:80質量%濃度のエタノール160mL
インキュベーター温度:40℃
送液速度:2.01mL/分
空間速度(S.V.):3L/時間/充填樹脂L
液分画通液後のフロースルーについて、HPLCによる分析を行い、通液前の液分画中及びフロースルー中に含まれるPEG400の濃度をそれぞれ測定した。HPLCによる分析条件は以下に示すとおりである。
(分析条件)
HPLC:島津社製高速液体クロマトグラフシステム(検出器 RID)
カラム:Shodex社製SUGAR SH1011
ガードカラム:Shodex社製SUGAR SH-G
移動相:0.001N硫酸
流速:0.6mL/min
カラム温度:75℃
Retention time:60分
次いで、PEG回収率(質量%)を以下に示す式を用いて算出した。結果を図2(右)に示す。
(PEG回収率)
=(フロースルー中に含まれるPEGの質量)/(投入したPEGの質量)×100
(フロースルー中に含まれるPEGの質量)
=(フロースルー中に含まれるPEGの濃度)×(回収したフロースルーの容量)
(投入したPEGの質量)
=(通液前の液分画中に含まれるPEGの濃度)×(液分画の容量)
有機溶離液通液後の溶出液について、非還元法による分析を行い、通液前の液分画中及び溶出液中に含まれる親水性リグニン誘導体の濃度をそれぞれ測定した。具体的には、任意容量のサンプルを2-プロパノールと0.2M水酸化ナトリウムの混合液(容量比1:1)で10mLに定容した。そこから、2mL量り取り、酢酸120μLを添加し、2-プロパノールと蒸留水の混合液(容量比1:1)で25mLに定容した。280nmで吸光度測定し以下の式でリグニン濃度を求めた。
(リグニン濃度(g/L))
=(吸光度)×(希釈率)÷(吸光係数(28.7))
次いで、親水性リグニン誘導体の回収率(質量%)を以下に示す式を用いて算出した。結果を図2(左)に示す。
(親水性リグニン誘導体回収率)
=(リグニン吸着率)×(リグニン脱着率)×100
(リグニン吸着率)
=[{(投入したリグニンの質量)-(工程(6)のフロースルー中に含まれるリグニンの質量)}/(投入したリグニンの質量)]×100
(リグニン脱着率)
={(工程(8)の溶出液中に含まれるリグニンの質量)/(樹脂に吸着したリグニンの質量)}×100
図2に示すように、含水率が55質量%以上であり、孔径が350Å以下であり、且つ、比重が1.15以下である合成吸着剤を用いた場合に、PEG回収率が40質量%以上であり、且つ、親水性リグニン誘導体の回収率が60質量%以上となり、良好であった。また、メタクリル酸系合成吸着剤を用いた場合に、PEG回収率が55質量%超であり、且つ、親水性リグニン誘導体の回収率が80質量%以上となり特に良好であった。
[実施例2]
(合成吸着剤の検討2)
1.親水性リグニン誘導体の調製
(1)親水性リグニン誘導体(ネピア由来)の調製
ネピア乾燥重量250gに、ポリエチレングリコール400(PEG400、ライオン社製)746.26gと95質量%硫酸3.74gを加え、150℃に加熱し、90分間撹拌して反応させた。反応終了後、0.2N水酸化ナトリウム水溶液1500mLを加えて中和し、リグニン誘導体を抽出した。得られた反応液を遠心分離(3000g、15分間)し、固形分を除去した。
得られた上清に3N硫酸をpH2になるまで加えた。硫酸により沈殿する沈殿物を13000gで15分間遠心分離することにより、親水性リグニン誘導体を含む液分画を得た。
(2)親水性リグニン誘導体(バガス発酵残渣由来)の調製
バガスをバイオエタノール製造に供して発酵後に排出される発酵残渣乾燥重量250gに、ポリエチレングリコール600(PEG600、ライオン社製)746.26gと95質量%硫酸3.74gを加え、150℃に加熱し、90分間撹拌して反応させた。反応終了後、0.2N水酸化ナトリウム水溶液1500mLを加えて中和し、リグニン誘導体を抽出した。得られた反応液を遠心分離(3000g、15分間)し、固形分を除去した。
得られた上清に3N硫酸をpH2になるまで加えた。硫酸により沈殿する沈殿物を13000gで15分間遠心分離することにより、親水性リグニン誘導体を含む液分画を得た。
2.カラム処理
カラム(アズワン社製、バイオカラムCF-18)に、上記表1に示す合成吸着剤のうち、HP2MGL、PAD610、及びPAD950(各膨潤充填量:40mL)を充填し、液分画80mLを通液して、親水性リグニン誘導体を精製した。
なお、カラム処理における各種条件は以下のとおりである。また、独立した試験を、同じカラムを用いて2回行った(Cycle 1、Cycle2)。
(条件)
(1)工程(6):液分画通液時(※通液後、フロースルーを回収)
液分画:80mL
インキュベーター温度:40℃
送液速度:2.01mL/分
空間速度(S.V.):3L/時間/充填樹脂L
(2)工程(6A):洗浄水通液時(※通液後、洗浄液を回収)
蒸留水:80mL
インキュベーター温度:40℃
送液速度:3.35mL/分
空間速度(S.V.):5L/時間/充填樹脂L
(3)工程(8):有機溶離液通液時(※通液後、溶出液を回収)
有機溶離液:80質量%濃度のエタノール160mL
インキュベーター温度:40℃
送液速度:2.01mL/分
空間速度(S.V.):3L/時間/充填樹脂L
液分画通液後のフロースルーについて、HPLCによる分析を行い、通液前の液分画中、洗浄液中及びフロースルー中に含まれるPEG400又はPEG600の含有量をそれぞれ測定した。HPLCによる分析条件は以下に示すとおりである。
(分析条件)
HPLC:島津社製高速液体クロマトグラフシステム(検出器 RID)
カラム:Shodex社製SUGAR SH1011
ガードカラム:Shodex社製SUGAR SH-G
移動相:0.001N硫酸
流速:0.6mL/min
カラム温度:75℃
Retention time:60分
次いで、PEG回収率(質量%)を以下に示す式を用いて算出した。結果を図3(上:ネピア由来:、下:バガス発酵残渣由来)に示す。
(PEG回収率)
=(フロースルー及び洗浄液中に含まれるPEGの質量)/(投入したPEGの質量)×100
(フロースルー及び洗浄液中に含まれるPEGの質量)
=(フロースルー中に含まれるPEGの濃度)×(回収したフロースルーの容量)+(洗浄液中に含まれるPEGの濃度)×(回収した洗浄液の容量)
(投入したPEGの質量)
=(通液前の液分画中に含まれるPEGの濃度)×(液分画の容量)
有機溶離液通液後の溶出液について、非還元法による分析を行い、通液前の液分画中及び溶出液中に含まれる親水性リグニン誘導体の濃度をそれぞれ測定した。具体的には、実施例1に示す方法と同様の方法を用いて測定した。
次いで、親水性リグニン誘導体の回収率(質量%)を以下に示す式を用いて算出した。結果を図3(上:ネピア由来:、下:バガス発酵残渣由来)に示す。
(親水性リグニン誘導体回収率)
=(リグニン吸着率)×(リグニン脱着率)×100
(リグニン吸着率)
=[{(投入したリグニンの質量)-(工程(6)のフロースルー及び工程(6A)の洗浄液中に含まれるリグニンの質量)}/(投入したリグニンの質量)]×100
(リグニン脱着率)
={(工程(8)の溶出液中に含まれるリグニンの質量)/(樹脂に吸着したリグニンの質量)}×100
図3に示すように、親水性リグニン誘導体(ネピア由来)では、いずれの合成吸着剤を用いた場合でも、PEG回収率が90質量%以上であり、且つ、親水性リグニン誘導体の回収率が75質量%以上であり、良好であった。また、親水性リグニン誘導体(バガス由来)においても、同様に、いずれの合成吸着剤を用いた場合でも、PEG回収率が90質量%以上であり、且つ、親水性リグニン誘導体の回収率が80質量%以上であり、良好であった。
また、特に、含水率63質量%以上であり、比重1.09以下であり、且つ、孔径250Å以下である合成吸着剤を用いた場合に、PEG回収率及び親水性リグニン誘導体の回収率がいずれも特に良好になる傾向がみられた。
[実施例3]
(溶出液を用いた単蒸留試験)
実施例2に示す合成吸着剤のうち、PAD950を用いて得られた溶出液120mLの単蒸留試験を行った。単蒸留条件は以下のとおりである。
(単蒸留条件)
温度:60℃
圧力:0.2bar
時間:1時間
蒸留後、装置に残った溶液を用いて、リグニンについては、実施例1に示した非還元法により、それ以外の成分については、実施例1に示した条件のHPLCにより分析した。結果を表2に示す。
Figure 0007032749000002
表2に示すように、蒸留後の溶液中では、発酵阻害物質である酢酸及びフルフラールの含有量が顕著に低減されていた。
[実施例4]
(カラム処理の各種条件の検討)
1.親水性リグニン誘導体の調製
バガス乾燥重量250gに、ポリエチレングリコール400(PEG400、ライオン社製)746.26gと95質量%硫酸3.74gを加え、150℃に加熱し、90分間撹拌して反応させた。反応終了後、0.2N水酸化ナトリウム水溶液1500mLを加えて中和し、リグニン誘導体を抽出した。得られた反応液を遠心分離(3000g、15分間)し、固形分を除去した。
得られた上清に3N硫酸をpH2になるまで加えた。硫酸により沈殿する沈殿物を13000gで15分間遠心分離することにより、親水性リグニン誘導体を含む液分画を得た。
2.カラム処理
カラム(アズワン社製、バイオカラムCF-18)に、実施例2に示す合成吸着剤のうち、PAD950(膨潤充填量40mL)を充填し、液分画80mLを通液して、以下の表3に示す各種条件下で親水性リグニン誘導体を精製した。
Figure 0007032749000003
液分画通液後のフロースルーについて、HPLCによる分析を行い、通液前の液分画中、洗浄液中及びフロースルー中に含まれるPEG400の含有量をそれぞれ測定した。HPLCによる分析条件及びPEG回収率の算出方法は、上記実施例2に記載の方法と同様の方法を用いた。結果を図4(右)に示す。
有機溶離液通液後の溶出液について、非還元法による分析を行い、通液前の液分画中及び溶出液中に含まれる親水性リグニン誘導体の濃度をそれぞれ測定した。非還元法による分析の詳細は、実施例1に記載の方法を用いた。また、親水性リグニン誘導体の回収率(質量%)の算出方法は、上記実施例2に記載の方法と同様の方法を用いた。結果を図4(左)に示す。
図4に示すように、いずれの条件下においても、PEG回収率が80質量%以上であり、且つ、親水性リグニン誘導体の回収率が75質量%以上であり、良好であった。また、特に、カラムの通液方向が下降流であり、エタノール濃度が90質量%(条件No.3)又は処理温度が25℃(条件No.4)である場合に、PEG回収率が90質量%近くであり、且つ、親水性リグニン誘導体の回収率が90質量%以上となり、特に良好であった。
本実施形態の酵素安定化剤、並びに、その製造方法及び製造装置によれば、事業採算性が確保され、且つ、発酵阻害物質が除去された酵素安定化剤が得られる。
1:第一の反応槽、1a:アルカリ供給手段、1b:温度計、1c:リグノセルロース系バイオマス供給手段、1d:ポリアルキレングリコール供給手段、1e:第一の酸供給手段、2:第一の固液分離装置、3:第二の反応槽、3a:第二の酸供給手段、4:第二の固液分離装置、5:カラム、6:第一の蒸留装置、7:第二の蒸留装置、8:凝縮器(コンデンサー)、9a,10a,10b,11,12a,12b,13a,13b,13c,14b,14d,14c:配管、9b:ポンプ、13d,14a:タンク,100:酵素安定化剤の製造装置

Claims (14)

  1. 以下の工程を含む、親水性リグニン誘導体を含む酵素安定化剤の製造方法。
    リグノセルロース系バイオマスとポリアルキレングリコールに第一の酸を添加して反応させる工程(1);
    前記工程(1)で得られた反応液にアルカリを添加して中和する工程(2);
    前記工程(2)で得られたアルカリ中和液を固液分離して、液分画を得る工程(3);
    前記工程(3)で得られた液分画に第二の酸を添加する工程(4);
    前記工程(4)で得られた酸性液を固液分離して、親水性リグニン誘導体を含む液分画を得る工程(5);
    前記工程(5)で得られた液画分を、含水率が55質量%以上であり、孔径が350Å以下であり、且つ、比重が1.15以下である合成吸着剤に接触させて、前記親水性リグニン誘導体を前記合成吸着剤に吸着させる工程(6);
    前記工程(6)で前記合成吸着剤と接触させた後の溶液を回収した後、前記溶液から蒸留により水及びポリアルキレングリコールをそれぞれ分離し、前記水を前記工程(3)又は前記工程(5)に用いられる固液分離装置の洗浄水として再利用し、前記ポリアルキレングリコールを前記工程(1)に再利用する工程(7);
    有機溶離液を前記合成吸着剤に接触させて、前記工程(6)で前記合成吸着剤に吸着した前記親水性リグニン誘導体を脱着させて、溶出液を回収する工程(8);
    前記工程(8)で得られた溶出液から蒸留により前記親水性リグニン誘導体及び前記有機溶離液をそれぞれ分離し、前記親水性リグニン誘導体を精製する工程(9);及び、
    前記工程(9)で分離された前記有機溶離液を前記工程(8)に再利用する工程(10)。
  2. 前記工程(6)及び前記工程(7)の間に、
    前記親水性リグニン誘導体が吸着している前記合成吸着剤に水を接触させて、前記合成吸着剤を洗浄し、洗浄液を回収する工程(6A)を更に含み、
    前記工程(7)において、前記合成吸着剤と接触させた後の溶液及び前記洗浄液を蒸留する、請求項1に記載の酵素安定化剤の製造方法。
  3. 前記合成吸着剤がメタクリル酸系合成吸着剤である、請求項1又は2に記載の酵素安定化剤の製造方法。
  4. 前記工程(6)及び前記工程(8)を、20℃以上40℃以下の温度下で行う、請求項1~3のいずれか一項に記載の酵素安定化剤の製造方法。
  5. 前記有機溶離液がエタノールである、請求項1~4のいずれか一項に記載の酵素安定化剤の製造方法。
  6. 前記エタノールの濃度が90質量%以上である、請求項5に記載の酵素安定化剤の製造方法。
  7. 前記工程(6)及び前記工程(8)を、カラム処理法で行う、請求項1~6のいずれか一項に記載の酵素安定化剤の製造方法。
  8. カラムの通液方向が下降流である、請求項7に記載の酵素安定化剤の製造方法。
  9. 前記リグノセルロース系バイオマスが草本系バイオマス及びその処理物である、請求項1~8のいずれか一項に記載の酵素安定化剤の製造方法。
  10. 前記ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである、請求項1~9のいずれか一項に記載の酵素安定化剤の製造方法。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載の酵素安定化剤の製造方法により得られ、酵素安定化剤中の酢酸の含有量が1.39g/L以下であり、且つ、フルフラールの含有量が0.20g/L以下である、酵素安定化剤。
  12. 基質と酵素の反応系に、請求項1~10のいずれか一項に記載の酵素安定化剤の製造方法により得られ、酵素安定化剤中の酢酸の含有量が1.39g/L以下であり、且つ、フルフラールの含有量が0.20g/L以下である酵素安定化剤を添加することを含む、酵素の安定化方法。
  13. 請求項1~10のいずれか一項に記載の酵素安定化剤の製造方法により得られ、酵素安定化剤中の酢酸の含有量が1.39g/L以下であり、且つ、フルフラールの含有量が0.20g/L以下である酵素安定化剤を添加して、リグノセルロース系バイオマスの酵素による糖化反応を行うことを含む、リグノセルロース系バイオマスの糖化方法。
  14. アルカリ供給手段を有し、リグノセルロース系バイオマスとポリアルキレングリコールに第一の酸を反応させるように構成された第一の反応槽と、
    第一の固液分離装置と、
    前記第一の固液分離装置を用いて固液分離して得られた液分画と第二の酸とを反応させるように構成された第二の反応槽と、
    第二の固液分離装置と、
    含水率が63質量%以上であり、孔径が250Å以下であり、且つ、比重が1.09以下である合成吸着剤が充填されたカラムと、
    親水性リグニン誘導体と有機溶離液を分離し、前記親水性リグニン誘導体を精製するように構成された第一の蒸留装置と、
    水と前記ポリアルキレングリコールを分離するように構成された第二の蒸留装置と、
    前記第二の蒸留装置で分離された前記水を前記第一の固液分離装置に供給するように構成された配管と、
    前記第二の蒸留装置で分離された前記ポリアルキレングリコールを前記第一の反応槽に供給するように構成された配管と、
    前記第一の蒸留装置で分離された前記有機溶離液を前記カラムに供給するように構成された配管と、
    を備える、酵素安定化剤の製造装置。
JP2021169503A 2021-10-15 2021-10-15 酵素安定化剤の製造方法、酵素安定化剤、酵素の安定化方法、リグノセルロース系バイオマスの糖化方法、及び酵素安定化剤の製造装置 Active JP7032749B1 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021169503A JP7032749B1 (ja) 2021-10-15 2021-10-15 酵素安定化剤の製造方法、酵素安定化剤、酵素の安定化方法、リグノセルロース系バイオマスの糖化方法、及び酵素安定化剤の製造装置
PCT/JP2022/027118 WO2023062895A1 (ja) 2021-10-15 2022-07-08 酵素安定化剤の製造方法、酵素安定化剤、酵素の安定化方法、リグノセルロース系バイオマスの糖化方法、及び酵素安定化剤の製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021169503A JP7032749B1 (ja) 2021-10-15 2021-10-15 酵素安定化剤の製造方法、酵素安定化剤、酵素の安定化方法、リグノセルロース系バイオマスの糖化方法、及び酵素安定化剤の製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP7032749B1 true JP7032749B1 (ja) 2022-03-09
JP2023059467A JP2023059467A (ja) 2023-04-27

Family

ID=81213032

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021169503A Active JP7032749B1 (ja) 2021-10-15 2021-10-15 酵素安定化剤の製造方法、酵素安定化剤、酵素の安定化方法、リグノセルロース系バイオマスの糖化方法、及び酵素安定化剤の製造装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7032749B1 (ja)
WO (1) WO2023062895A1 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020145991A (ja) * 2019-03-14 2020-09-17 日鉄エンジニアリング株式会社 親水性リグニン誘導体を含む酵素安定化剤、酵素安定化剤の製造方法、酵素の安定化方法、リグノセルロース系バイオマスの糖化方法、及び酵素安定化剤の製造装置

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2181897T3 (es) * 1995-06-22 2003-03-01 Unilever Nv Composicion enzimatica.
US8911976B2 (en) * 2010-03-08 2014-12-16 Forestry And Forest Products Research Institute Lignin-based enzyme stabilizer

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020145991A (ja) * 2019-03-14 2020-09-17 日鉄エンジニアリング株式会社 親水性リグニン誘導体を含む酵素安定化剤、酵素安定化剤の製造方法、酵素の安定化方法、リグノセルロース系バイオマスの糖化方法、及び酵素安定化剤の製造装置

Also Published As

Publication number Publication date
WO2023062895A1 (ja) 2023-04-20
JP2023059467A (ja) 2023-04-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Sun et al. Production of n-butanol from concentrated sugar maple hemicellulosic hydrolysate by Clostridia acetobutylicum ATCC824
US10766826B2 (en) Process for producing a fuel from lignocellulosic feedstock
US8273559B2 (en) Method for the production of concentrated alcohol from fermentation broths
US10513714B2 (en) Lignocellulosic conversion process comprising sulfur dioxide and/or sulfurous acid pretreatment
Um et al. Effect of sulfuric and phosphoric acid pretreatments on enzymatic hydrolysis of corn stover
US11008598B2 (en) Process comprising acid pretreatment and enzymatic hydrolysis
Kamzon et al. Promising bioethanol processes for developing a biorefinery in the Moroccan sugar industry
US10612048B2 (en) Method for reducing water usage in a cellulosic conversion process
CA2974747A1 (en) Process comprising sulfur dioxide and/or sulfurous acid pretreatment and enzymatic hydrolysis
Hong et al. Optimization of dilute sulfuric acid pretreatment of corn stover for enhanced xylose recovery and xylitol production
US9068206B1 (en) System for treatment of biomass to facilitate the production of ethanol
Deshavath et al. Chemical composition analysis of various genetically modified sorghum traits: Pretreatment process optimization and bioethanol production from hemicellulosic hydrolyzates without detoxification
US20150322462A1 (en) Sorbent and process for removing fermentation inhibitors
Klinpratoom et al. Improvement of cassava stem hydrolysis by two-stage chemical pretreatment for high yield cellulosic ethanol production
Gao et al. Combined detoxification and in-situ product removal by a single resin during lignocellulosic butanol production
Hou-Rui Key drivers influencing the large scale production of xylitol
JP7032749B1 (ja) 酵素安定化剤の製造方法、酵素安定化剤、酵素の安定化方法、リグノセルロース系バイオマスの糖化方法、及び酵素安定化剤の製造装置
US20140045237A1 (en) Use of vinasse in the process of saccharification of lignocellulosic biomass
Brito Codato et al. Sequential process of solid-state cultivation with fungal consortium and ethanol fermentation by Saccharomyces cerevisiae from sugarcane bagasse
Amiri et al. Ethanol economy: Environment, demand, and marketing
JP6123504B2 (ja) エタノールの製造方法
JP2020145991A (ja) 親水性リグニン誘導体を含む酵素安定化剤、酵素安定化剤の製造方法、酵素の安定化方法、リグノセルロース系バイオマスの糖化方法、及び酵素安定化剤の製造装置
AL-Rubaia’ay et al. Production of xylose using acid hydrolysis of wheat straw.
JP2015053866A (ja) バイオマス原料からの酢酸の製造方法
Wati et al. Ethanol Production From Different Substrates: Effects On Environmental Factors And Potential Applications

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211015

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20211015

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211220

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220118

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220215

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7032749

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150