以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る医療情報記憶システムの機能構成の例を表すブロック図である。図1に示される医療情報記憶システムは、医用情報処理装置10、データセンタ20-1~20-3、災害情報システム30、及び通信端末40を具備する。医用情報処理装置10、データセンタ20-1~20-3、災害情報システム30、及び通信端末40は、IP網により接続されている。
医用情報処理装置10は、データセンタ20-1~20-3のいずれかに記憶されている医療情報を、データセンタ20-1~20-3のうち利用者が所望するデータセンタへ移動させる。本実施形態において医療情報には、医療画像情報、レポート情報、及び医療情報の属性に関するメタ情報等が含まれる。なお、医療情報に、画像が撮影された患者に関する電子カルテ情報が含まれていても構わない。医療画像情報は、例えば、DICOM(digital imaging and communication in medicine)規格に準拠している。
図2は、図1に示される医用情報処理装置10の機能構成の例を示すブロック図である。図2に示される医用情報処理装置10は、信号処理回路11、記憶回路12、及び通信インタフェース回路13を備える。信号処理回路11、記憶回路12、及び通信インタフェース回路13は、例えば、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
信号処理回路11は、医用情報処理装置10の中枢として機能するプロセッサである。信号処理回路11は、記憶回路12等に記憶されている処理プログラムを実行することにより、当該プログラムに対応する機能を実現する。
記憶回路12は、種々の情報を記憶するHDD(hard disk drive)、SSD(solid state drive)、及び集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、記憶回路12は、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。
記憶回路12は、医用情報処理装置10を利用する利用者に関する利用者情報121を記憶する。記憶回路12は、信号処理回路11の指示に従い、通信端末40を介して利用者から入力される情報を利用者情報121として記憶する。利用者情報121には、例えば、利用者ID、氏名、職種、専門、及び所属機関等が含まれる。職種は、利用者の職種を表す。職種には、例えば、医師、及び放射線技師等が含まれる。専門は、利用者の専門科を表す。専門には、例えば、循環器内科、呼吸器内科、及び心臓血管外科等が含まれる。所属機関は、利用者が所属する医療機関を表す。所属機関には、例えば、病院名等が含まれる。
記憶回路12は、利用者の位置を表す利用者位置情報122を記憶する。記憶回路12は、信号処理回路11の指示に従い、通信端末40から出力される位置情報を利用者位置情報122として記憶する。利用者位置情報122は、例えば、緯度、及び経度により表される。
記憶回路12は、データセンタ20-1~20-3の性能に関するDC情報123を記憶する。記憶回路12は、信号処理回路11の指示に従い、データセンタ20-1~20-3から出力される情報のうち、データセンタ20-1~20-3の性能に関する情報をDC情報123として記憶する。DC情報123には、例えば、DCID、場所、実効容量、空容量、セキュリティのレベル、利用料、処理能力のレベル、及び搭載アプリ等が含まれる。
場所は、データセンタ20-1~20-3が設けられている場所を表す。場所には、例えば、大陸名、国名、地域名、及び県名等が含まれる。実効容量は、全体の物理容量から、冗長性を担保するための容量を控除した後の、利用者が使用可能なデータ容量を表す。冗長性を担保する技術は、当技術分野で知られている任意の技術を利用することが可能である。冗長性を担保する技術としては、例えば、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)がある。空容量は、現在空いているデータ容量を表す。セキュリティのレベルは、データセンタ20-1~20-3がセキュリティ管理をどれだけ実践しているかを表す。セキュリティのレベルは、セキュリティ管理の実践の度合いに応じ、例えば、低、中、及び高により表される。利用料は、単位容量のデータを保管させる際の価格を表す。処理能力のレベルは、データセンタ20-1~20-3が、受信したデータをどれだけ処理できるかを表す。処理能力は、例えば、単位時間当たりに処理できるデータ容量、及び単位電力当たりに処理できるデータ容量等により評価される。処理能力のレベルは、例えば、単位時間当たりに処理できるデータ容量に応じ、低、中、及び高により表される。搭載アプリは、画像解析で用いられる解析アプリケーションのうち、データセンタ20-1~20-3に搭載されているアプリケーションを表す。
記憶回路12は、データセンタ20-1~20-3の現在の環境を表す環境情報124を記憶する。記憶回路12は、信号処理回路11の指示に従い、データセンタ20-1~20-3から出力される情報のうち、データセンタ20-1~20-3が置かれている環境に関する情報を環境情報124として記憶する。環境情報124には、例えば、ネットワーク情報、及び利用者-DC間情報が含まれる。
ネットワーク情報は、データセンタ間のネットワークの状況を表す。ネットワーク情報には、例えば、帯域の広さ、利用状況(付加状況)、専用高速回線の有無、及び回線利用料の高低等が含まれる。帯域の広さは、ネットワークの通信速度を表す。帯域の広さは、ネットワークの通信速度に応じ、狭、中、及び広により表される。利用状況は、ネットワークにどれだけ負荷がかかっているかを表す。利用状況は、例えば、トラフィックにより評価される。利用状況は、トラフィックの量に応じ、小、中、及び多により表される。回線利用料は、回線を利用した際の利用料の程度を表す。回線利用料は、利用料に応じ、低、中、及び高により表される。
利用者-DC間情報は、利用者と、データセンタ20-1~20-3との間の関係を表す。利用者-DC間情報には、利用者との距離、及びアクセス速度のレベル等が含まれる。利用者との距離は、利用者とデータセンタ20-1~20-3との間の距離を表す。アクセス速度は、利用者がデータセンタ20-1~20-3へアクセスした際の応答速度を表す。アクセス速度は、応答速度に応じ、低、中、及び高により表される。
記憶回路12は、データセンタ20-1~20-3に記憶されている医療情報の属性に関するメタ情報125を記憶する。記憶回路12は、信号処理回路11の指示に従い、データセンタ20-1~20-3から出力されるメタ情報を、メタ情報125として記憶する。メタ情報125には、例えば、検査ID、患者ID、緊急度、機密性、担当、DC上での解析の有無、及び利用DCが含まれる。DC上での解析の有無は、データセンタ20-1~20-3において解析アプリケーションによる画像処理が実施されたか否かを表す。利用DCは、医療情報が記憶されているデータセンタを識別可能な情報を表す。
記憶回路12は、所定の国、及び所定の地方の災害に関する情報を表す災害情報126を記憶する。記憶回路12は、信号処理回路11の指示に従い、災害情報システム30から出力される災害情報を、災害情報126として記憶する。災害情報126には、例えば、台風、地震、及び噴火等が含まれる。
記憶回路12は、移動先の候補となるデータセンタを選定する際に用いられる重み付情報127を記憶する。重み付情報127は、記憶回路12に予め記憶されている。重み付情報127は、所定の観点毎に重み係数が設定されている。所定の観点は、DC情報123、及び環境情報124に含まれるデータ項目に基づいて選択される。所定の観点には、例えば、空容量、セキュリティ、コスト、処理能力、搭載アプリ、帯域、負荷状況、専用高速回線の有無、利用者との距離、アクセス速度、及び災害状況等が含まれる。移動先の候補となるデータセンタを算出する際には、観点として設定されたデータ項目のパラメータに、その観点に割り当てられた重み係数が反映される。
また、重み付情報127は、想定されるシーンに応じて観点毎の重み係数をカスタマイズ可能である。想定されるシーンには、例えば、医療情報の緊急度が「高」であること、及び医療情報の緊急度が「無」であり、かつ、機密性が「高」である場合等が含まれる。
通信インタフェース回路13は、IP網等を介して接続されたデータセンタ20-1~20-3、災害情報システム30、及び通信端末40との間でデータ通信を行う。
図2に示される信号処理回路11は、記憶回路12に記憶されている処理プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、信号処理回路11は、処理プログラムを実行することで、利用者決定機能111、メタ情報取得機能112、パラメータ取得機能113、候補算出機能114、候補出力機能115、DC決定機能116、及び移動制御機能117を有する。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによって利用者決定機能111、メタ情報取得機能112、パラメータ取得機能113、候補算出機能114、候補出力機能115、DC決定機能116、及び移動制御機能117が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて信号処理回路を構成し、各プロセッサが処理プログラムを実行することにより利用者決定機能111、メタ情報取得機能112、パラメータ取得機能113、候補算出機能114、候補出力機能115、DC決定機能116、及び移動制御機能117を実現しても構わない。
利用者決定機能111は、医用情報処理装置10の利用者を決定する機能である。また、利用者決定機能111は、決定した利用者の現在の位置情報を取得する機能も有する。
メタ情報取得機能112は、データセンタ20-1~20-3から、データセンタ20-1~20-3に記憶されている医療情報の属性に関するメタ情報125を取得する機能である。
パラメータ取得機能113は、データセンタ20-1~20-3から、データセンタ20-1~20-3の性能に関するDC情報123を取得する機能である。また、パラメータ取得機能113は、データセンタ20-1~20-3から、データセンタ20-1~20-3の現在の環境を表す環境情報124を取得する機能である。
候補算出機能114は、データセンタ20-1~20-3のうち、医療情報を移動させるデータセンタの候補を算出する機能である。
候補出力機能115は、算出したデータセンタの候補を通信端末40に出力する機能である。
DC決定機能116は、医療情報の移動先となるデータセンタを決定する機能である。
移動制御機能117は、医療情報を記憶するデータセンタに、移動先として決定したデータセンタへ医療情報を移動させる機能である。
データセンタ20-1~20-3は、それぞれがクラウドコンピューティングサービスを提供するシステムである。データセンタ20-1~20-3は、それぞれが例えば、異なる国、又は異なる地域に設けられる。データセンタ20-1~20-3は、それぞれがセキュアなデータセンタである。セキュアなデータセンタとは、例えば、所定の情報セキュリティの基準を満たしているデータセンタを意味する。また、所定の情報セキュリティの基準を満たすとは、例えば、国際的に認証されている規格を準拠すると言い換えることも可能である。データセンタ20-1~20-3では、記憶される情報の機密性、完全性、及び可用性が担保されている。データセンタ20-1~20-3の構成はそれぞれ同様であるため、ここでは、データセンタ20として説明を進める。
データセンタ20は、図1に示されるように、プロキシサーバ21、及びストレージサーバ22-1~22-3を備える。プロキシサーバ21は、IP網と接続している。また、プロキシサーバ21は、内部ネットワークであるLAN(Local Area network)を介してストレージサーバ22-1~22-3と接続している。
なお、図1では、データセンタ20がプロキシサーバ21を備える場合を示しているが、これに限定されない。例えば、プロキシサーバ21の代わりに、セキュリティを担保する機能を有するその他のサーバが設けられても構わない。また、プロキシサーバ21の機能はソフトウェアにより実現されてもよい。このとき、プロキシサーバ21の機能はストレージサーバ22-1~22-3のいずれかに実装されてもよい。
プロキシサーバ21は、内部ネットワークであるLANと、外部ネットワークであるIP網とを接続する際に、接続を代行する装置である。プロキシサーバ21は、例えば、ファイヤーウォール機能を有する。
図3は、図1に示されるプロキシサーバ21の機能構成の例を示すブロック図である。図3に示されるプロキシサーバ21は、信号処理回路211、記憶回路212、及び通信インタフェース回路213を備える。信号処理回路211、記憶回路212、及び通信インタフェース回路213は、例えば、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
信号処理回路211は、プロキシサーバ21の中枢として機能するプロセッサである。信号処理回路211は、記憶回路212等に記憶されている処理プログラムを実行することにより、当該プログラムに対応する機能を実現する。
記憶回路212は、種々の情報を記憶するHDD、SSD、及び集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、記憶回路212は、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。
記憶回路212は、データセンタについての情報を記憶している。データセンタについての情報は、例えば、データセンタのセキュリティに関する情報、利用料に関する情報、実効容量に関する情報、処理能力に関する情報、データセンタ間のネットワークに関する情報、及び搭載アプリに関する情報等を含む。セキュリティに関する情報には、セキュリティ管理の実践の度合いを表す情報、例えば、準拠している国際認証規格に関する情報、満たしている情報セキュリティ基準に関する情報、及び担保されているセキュリティ管理の条項等が含まれる。
実効容量に関する情報には、データセンタの実効容量を算出するための情報、例えば、ストレージサーバ22-1~22-3全体の物理容量、及び情報の冗長処理に関する情報等が含まれる。
処理能力に関する情報には、単位時間当たりに処理できるデータ容量、及び/又は単位電力当たりに処理できるデータ容量等を評価可能な情報、例えば、プロキシサーバ21の製品名、ストレージサーバ22-1~22-3の製品名、並びに、プロキシサーバ21、及びストレージサーバ22-1~22-3で使用されているCPUの名称等が含まれる。
データセンタ間のネットワークに関する情報には、データセンタ間で構築されている専用高速回線に関する情報、及びデータセンタ間で通信接続をする際の回線利用料に関する情報等が含まれる。専用高速回線に関する情報には、例えば、構築されている専用高速回線の名称が含まれる。
搭載アプリに関する情報には、ストレージサーバ22-1~22-3にインストールされている解析アプリケーションの名称が含まれる。
通信インタフェース回路213は、LANを介して接続されたストレージサーバ22-1~22-3との間でデータ通信を行う。
図3に示される信号処理回路211は、記憶回路212に記憶されている処理プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、信号処理回路211は、処理プログラムを実行することで、読出制御機能2111、移動制御機能2112、通信制御機能2113、計測機能2114、算出機能2115、及び書込制御機能2116を有する。
なお、本実施形態では、単一のプロセッサによって読出制御機能2111、移動制御機能2112、通信制御機能2113、計測機能2114、算出機能2115、及び書込制御機能2116が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて信号処理回路を構成し、各プロセッサが処理プログラムを実行することにより読出制御機能2111、移動制御機能2112、通信制御機能2113、計測機能2114、算出機能2115、及び書込制御機能2116を実現しても構わない。
読出制御機能2111は、医用情報処理装置10からの指示に従い、ストレージサーバ22-1~22-3に記憶されている医療情報のうち、医療情報の属性に関するメタ情報を読み出す機能である。
移動制御機能2112は、ストレージサーバ22-1~22-3に記憶されている医療情報を、医用情報処理装置10により指定されるデータセンタへ移動させる機能である。
通信制御機能2113は、ストレージサーバ22-1~22-3と、IP網に接続される種々の装置との通信接続を制御する機能である。
計測機能2114は、データセンタの現在のネットワーク環境を表す指標を計測する機能である。ネットワーク環境を表す指標には、ネットワークの通信速度(スループット)、ネットワークの負荷状況(トラフィック)、及び応答速度が含まれる。スループットを計測する方法は、当技術分野で知られている任意の方法を利用することが可能である。トラフィックを計測する方法は、当技術分野で知られている任意の方法を利用することが可能である。応答速度を計測する方法は、当技術分野で知られている任意の方法を利用することが可能である。
算出機能2115は、データセンタの実効容量、及び空容量を算出する機能である。データセンタの実効容量、及び空容量を算出する方法は、当技術分野で知られている任意の方法を利用することが可能である。
書込制御機能2116は、医用情報処理装置10からの指示に従い、他のデータセンタから移動された医療情報を、ストレージサーバ22-1~22-3へ書き込む機能である。
図4は、図1に示されるストレージサーバ22の機能構成の例を示すブロック図である。図4に示されるストレージサーバ22は、信号処理回路221、記憶回路222、及び通信インタフェース回路223を備える。信号処理回路221、記憶回路222、及び通信インタフェース回路223は、例えば、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
信号処理回路221は、ストレージサーバ22の中枢として機能するプロセッサである。信号処理回路221は、記憶回路222等に記憶されている処理プログラムを実行することにより、当該プログラムに対応する機能を実現する。
記憶回路222は、種々の情報を記憶するHDD、SSD、及び集積回路記憶装置等の記憶装置である。記憶回路222は、医療情報を記憶している。記憶回路222は、信号処理回路221からの指示に従い、記憶している医療情報を読み出す。また、記憶回路222は、信号処理回路221からの指示に従い、プロキシサーバ21を介して入力される医療情報を書き込む。
また、記憶回路222は、医療画像情報を解析するための解析アプリケーションを記憶している。
通信インタフェース回路223は、LANを介して接続されたプロキシサーバ21との間でデータ通信を行う。
図4に示される信号処理回路221は、記憶回路222に記憶されている処理プログラム、及び解析アプリケーションを実行することで、当該プログラム、及び解析アプリケーションに対応する機能を実現する。例えば、信号処理回路221は、処理プログラムを実行することで、読出制御機能2211、通信制御機能2212、及び書込制御機能2213を有する。また、信号処理回路221は、解析アプリケーションを実行することで、画像処理機能2214を有する。
なお、本実施形態では、単一のプロセッサによって読出制御機能2211、通信制御機能2212、及び書込制御機能2213、及び画像処理機能2214が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて信号処理回路を構成し、各プロセッサが処理プログラム、及び解析アプリケーションを実行することにより通信制御機能2212、及び書込制御機能2213、及び画像処理機能2214を実現しても構わない。
読出制御機能2211は、プロキシサーバ21からの指示に従い、記憶回路222に記憶されている医療情報を読み出す機能である。
通信制御機能2212は、プロキシサーバ21との通信接続を制御する機能である。
書込制御機能2213は、プロキシサーバ21からの指示に従い、医療情報を記憶回路222へ書き込む機能である。
画像処理機能2214は、プロキシサーバ21からの指示に従い、記憶回路222に記憶している医療画像情報に対し、解析アプリケーションを用いた画像処理を実施する機能である。
災害情報システム30は、世界各地の災害に関する情報を収集し、収集した情報を災害情報として記憶している。災害情報システム30は、医用情報処理装置10からの指示に応じ、記憶している災害情報を医用情報処理装置10へ送信する。
通信端末40は、利用者が所有するIP網に接続可能なデバイスである。通信端末40は、例えば、スマートフォン、タブレットPC、及びノートPC等を含む。通信端末40は、信号処理回路、記憶回路、入力インタフェース回路、位置取得回路、表示回路、及び通信回路を備える。
信号処理回路は、通信端末40の中枢として機能するプロセッサである。信号処理回路は、記憶回路等に記憶されている処理プログラムを実行することにより、当該プログラムに対応する機能を実現する。入力インタフェース回路は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インタフェース回路は、信号処理回路に接続され、利用者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を信号処理回路へ出力する。
位置取得回路は、通信端末40の位置情報を取得するための回路である。位置情報を取得する方法は、当技術分野で知られている任意の方法を利用することが可能である。例えば、位置取得回路は、GPS(Global Positioning System)を利用して位置情報を取得する。また、位置取得回路は、例えば、無線接続する基地局のアドレス等に基づいて位置を取得してもよい。また、位置取得回路は、周囲の通信端末との位置関係に基づいて位置を取得してもよい。位置取得回路は、予め設定された周期で位置情報を送信してもよいし、利用者の入力に基づいて位置情報を送信してもよい。なお、位置取得機能は、位置取得回路等のハードウェア構成により実現されてもよいし、信号処理回路によるソフトウェア処理により実現されてもよい。
表示回路には、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等が含まれる。なお、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換し、ビデオ信号を外部へ出力する処理回路も表示回路に含まれる。通信回路は、アンテナ、及びデジタル信号を無線信号へ変換する復号回路、無線信号をデジタル信号へ変換する符号化回路等を含む。通信回路は、利用者により入力された指示、及び位置情報等を無線信号へ変換し、変換した無線信号を医用情報処理装置10へ送信する。
次に、以上のように構成された医療情報記憶システムにおいて、医療情報が移動される処理を詳細に説明する。図5は、医療情報の移動先を決定する際の医療情報記憶システムにおける処理手順の例を説明する図を示す。図5の例では、データセンタ20-1が日本に設けられ、データセンタ20-2が米国に設けられ、データセンタ20-3が中国に設けられる場合を説明する。なお、ここでは、データセンタ20-1~20-3がそれぞれ日本、米国、及び中国に設けられている場合を例に説明するが、これに限定されない。データセンタは、これらの国以外にも設けられていてもよい。また、データセンタは、欧州等の地方に設けられていてもよい。
医用情報処理装置10の利用を希望する者は、医用情報処理装置10を利用する前に、予め利用者登録をする。すなわち、希望者は、通信端末40を操作し、利用者登録サイトへアクセスする。利用者登録サイトへアクセスすると、希望者は、利用者登録サイトの案内に従い、自身の氏名、職種、専門、及び所属機関等を必要事項として入力する。医用情報処理装置10の信号処理回路11は、必要事項を入力した希望者へ、任意の数値、又は登録順に基づいた番号を利用者IDとして割り当てる。信号処理回路11は、利用者ID、氏名、職種、専門、及び所属機関を、利用者情報121として記憶回路12に記憶する。
図6は、本実施形態に係る記憶回路12に記憶される利用者情報121の例を示す図である。図6によれば、利用者情報121には、利用者ID:00001、氏名:医師一郎、職種:医師、専門:循環器内科、及び所属機関:病院Aが登録されている。また、利用者情報121には、利用者ID:00002、氏名:技師二郎、職種:放射線技師、専門:-、及び所属機関:病院Bが登録されている。
以下では、日本にいる医師一郎が、データセンタ20-2~20-3に記憶されている医療情報を移動させる場合を例に説明する。
まず、図5Aにおいて、医師一郎は、通信端末40を操作し、医療情報の移動を希望している旨を入力する。医師一郎からの入力があると、通信端末40の位置取得回路は、例えば、GPSを利用して医師一郎の現在の位置情報:(XXX,YYY)を取得する。このとき、例えば、XXXは緯度を表し、YYYは経度を表す。通信端末40は、位置情報:(XXX,YYY)、及び医師一郎の利用者ID:00001を含め、医師一郎が医師情報の移動を希望している旨を表す希望信号を生成する。通信端末40は、生成した希望信号を、IP網を介して医用情報処理装置10へ送信する(ステップS51)。
医用情報処理装置10の信号処理回路11は、IP網を介して希望信号を受信すると、利用者決定機能111を実行する。利用者決定機能111を実行すると信号処理回路11は、希望信号に含まれる利用者ID:00001が、記憶回路12に記憶される利用者情報121に含まれているか否かを判断する。利用者ID:00001が利用者情報121に含まれている場合、信号処理回路11は、医師一郎を利用者として決定する(ステップS52)。
信号処理回路11は、医師一郎を利用者として決定すると、医師一郎の利用者ID:00001と、希望信号に含まれる位置情報:(XXX,YYY)とを関連付ける。信号処理回路11は、利用者ID:00001と関連付けた位置情報:(XXX,YYY)を、利用者位置情報122として記憶回路12に記憶する(ステップS53)。図7は、本実施形態に係る記憶回路12に記憶される利用者位置情報122の例を示す図である。
利用者位置情報122を記憶すると、信号処理回路11は、メタ情報取得機能112、及びパラメータ取得機能113を実行する。メタ情報取得機能112を実行すると信号処理回路11は、利用者ID:00001に基づき、氏名:医師一郎を利用者情報121から読み出す。信号処理回路11は、氏名:医師一郎が担当した検査についてのメタ情報を要求するメタ情報要求信号を生成する。信号処理回路11は、生成したメタ情報要求信号をデータセンタ20-1~20-3へ送信する(ステップS54)。
また、パラメータ取得機能113を実行すると信号処理回路11は、利用者ID:00001に基づき、位置情報(XXX,YYY)を利用者位置情報122から読み出す。信号処理回路11は、位置情報:(XXX,YYY)を含め、パラメータ要求信号を、データセンタ20-1~20-3へ送信する(ステップS54)。パラメータ要求信号は、データセンタの性能に関する情報、及びデータセンタが置かれている環境に関する情報を要求する信号である。
データセンタ20-1に設けられるプロキシサーバ21は、IP網を介してメタ情報要求信号を受信する。プロキシサーバ21の信号処理回路211は、メタ情報要求信号を受信すると、読出制御機能2111を実行する。読出制御機能2111を実行すると信号処理回路211は、氏名:医師一郎が担当した検査についてのメタ情報の読み出しを指示する第1の読出信号を生成する。信号処理回路211は、生成した第1の読出信号を、LANを介し、データセンタ20-1に設けられるストレージサーバ22-1~22-3へ送信する(ステップS55)。
ストレージサーバ22-1の信号処理回路221は、LANを介して第1の読出信号を受信すると、読出制御機能2211を実行する。読出制御機能2211を実行すると信号処理回路221は、記憶回路222に記憶されている医療情報からメタ情報を読み出す。
具体的には、記憶回路222に記憶されている医療画像情報は、例えば、DICOM規格に準拠した医療画像ファイルである。医療画像ファイルは、画像データと、画像データの属性を表す付帯情報とを含んでいる。信号処理回路221は、記憶回路222に記憶されている医療画像ファイルから付帯情報を読み出すことでメタ情報を取得する。読み出したメタ情報には、検査ID、患者ID、緊急度、機密性、担当、解析処理の有無が含まれる。なお、解析処理があった場合には、実施された解析処理の名称を表す情報が含まれる。
信号処理回路221は、メタ情報を読み出すと、読み出したメタ情報のうち、担当が「医師一郎」であるメタ情報を抽出する(ステップS56)。信号処理回路221は、抽出した、担当が「医師一郎」であるメタ情報を、LANを介してプロキシサーバ21へ送信する(ステップS57)。一方、担当が「医師一郎」であるメタ情報が抽出できなかった場合、信号処理回路221は、所望のメタ情報がない旨をプロキシサーバ21へ通知する(ステップS57)。
第1の読出信号を受信したストレージサーバ22-2,22-3も、ステップS56、及びステップS57の処理を実施する。これにより、ストレージサーバ22-2,22-3からも、メタ情報、又は所望のメタ情報がない旨の通知がプロキシサーバ21へ送信される。
データセンタ20-1に設けられるプロキシサーバ21の信号処理回路211は、LANを介してストレージサーバ22-1~22-3からメタ情報を受信した場合、受信したメタ情報を、IP網を介して医用情報処理装置10へ送信する(ステップS58)。一方、ストレージサーバ22-1~22-3から送信される信号にメタ情報がない場合、すなわち、ストレージサーバ22-1~22-3の全てから所望のメタ情報がない旨が通知された場合、信号処理回路211は、所望のメタ情報がない旨を、IP網を介して医用情報処理装置10へ通知する(ステップS58)。
メタ情報要求信号を受信したデータセンタ20-2,20-3に設けられるプロキシサーバ21、及びストレージサーバ22-1~22-3も、ステップS55乃至ステップS58の処理を実施する。これにより、データセンタ20-2,20-3からも、メタ情報、又はメタ情報がない旨の通知が、医用情報処理装置10へ送信される。
また、データセンタ20-1に設けられるプロキシサーバ21は、IP網を介してパラメータ要求信号を受信する。プロキシサーバ21の信号処理回路211は、パラメータ要求信号を受信すると、計測機能2114、及び算出機能2115を実行する。計測機能2114を実行すると信号処理回路211は、データセンタ20-1の現在のネットワーク環境を表す指標を計測する(ステップS59)。
具体的には、信号処理回路211は、データセンタ20-2に設けられるプロキシサーバ21からデータセンタ20-1に設けられるプロキシサーバ21までのデータの通信速度(スループット)を計測する。また、信号処理回路211は、データセンタ20-3に設けられるプロキシサーバ21からデータセンタ20-1に設けられるプロキシサーバ21までのデータの通信速度を計測する。また、信号処理回路211は、データセンタ20-1に設けられるプロキシサーバ21における負荷状況(トラフィック)を計測する。
また、信号処理回路211は、パラメータ要求信号から位置情報:(XXX,YYY)を読み出し、(XXX,YYY)からデータセンタ20-1までの距離を算出する。信号処理回路211は、(XXX,YYY)近傍に配置されるルータ、又は基地局等へ、IP網を介して計測信号を送信する。信号処理回路211は、ルータ、又は基地局等から返信された計測信号を受信する。信号処理回路211は、計測信号を送信してから受信するまでの時間を計測することで、応答速度を取得する。
信号処理回路211は、ネットワーク環境を表す指標、及び記憶回路212に記憶されているデータセンタ間のネットワークに関する情報を、データセンタが置かれている環境に関する情報として、医用情報処理装置10へ送信する(ステップS510)。このとき、ネットワーク環境を表す指標には、例えば、計測したスループット、計測したトラフィック、計測した応答速度、及び利用者からデータセンタ20-1までの距離が含まれる。また、データセンタ間のネットワークに関する情報には、例えば、専用高速回線に関する情報、及び回線利用料に関する情報が含まれる。
また、算出機能2215を実行すると信号処理回路211は、データセンタ20-1の実効容量、及び空容量を算出する(ステップS511)。具体的には、信号処理回路211は、記憶回路212に記憶されている実効容量に関する情報を読み出す。信号処理回路211は、例えば、ストレージサーバ22-1~22-3全体の物理容量から、情報の冗長処理で控除される容量を削除することで、実効容量を算出する。また、信号処理回路211は、ストレージサーバ22-1~22-3の空容量を合算することで、データセンタ20-1の空容量を算出する。
信号処理回路211は、算出した実効容量、及び空容量、並びに、記憶回路212に記憶されているセキュリティに関する情報、利用料に関する情報、処理能力に関する情報、及び搭載アプリに関する情報を、データセンタの性能に関する情報として送信する(ステップS512)。
パラメータ要求信号を受信したデータセンタ20-2,20-3に設けられるプロキシサーバ21も、ステップS59乃至ステップS512の処理を実施する。これにより、データセンタ20-2,20-3からも、データセンタが置かれている環境に関する情報、及びデータセンタの性能に関する情報が、医用情報処理装置10へ送信される。
医用情報処理装置10の信号処理回路11は、データセンタ20-1~20-3から送信される情報に基づき、DC情報123、環境情報124、及びメタ情報125を生成する。信号処理回路11は、生成したDC情報123、環境情報124、及びメタ情報125を、記憶回路12に記憶する(ステップS513)。
より詳細には、信号処理回路11は、データセンタ20-1~20-3から送信される、データセンタの性能に関する情報に基づき、DC情報123を生成する。
具体的には、信号処理回路11は、性能に関する情報に含まれる、セキュリティに関する情報に応じ、セキュリティのレベルを表すパラメータを設定する。例えば、セキュリティに関する情報に、所定の国際認証規格を準拠している旨が記載されている場合、信号処理回路11は、セキュリティ管理が高いレベルで実践されていることを表す「高」を設定する。また、セキュリティに関する情報に、予め設定されているセキュリティ管理の条項が含まれている場合、信号処理回路11は、セキュリティ管理のレベルが中程度であることを表す「中」を設定する。また、セキュリティに関する情報に、予め設定されているセキュリティ管理の条項が含まれていない場合、信号処理回路11は、セキュリティ管理のレベルが低いことを表す「低」を設定する。
また、信号処理回路11は、性能に関する情報に含まれる、処理能力に関する情報に応じ、処理能力のレベルを表すパラメータを設定する。例えば、信号処理回路11は、処理能力に関する情報を参照し、データセンタ20-1~20-3で単位時間当たりに処理可能なデータ容量を推定する。推定したデータ容量が、予め設定されている第1データ容量より大きい場合、信号処理回路11は、処理能力が高いことを表す「高」を設定する。また、推定したデータ容量が予め設定される第2データ容量より大きく、第1データ容量未満である場合、信号処理回路11は、処理能力が中程度であることを表す「中」を設定する。また、推定したデータ容量が第2データ容量未満である場合、信号処理回路11は、処理能力が低いことを表す「低」を設定する。
本実施形態においては、信号処理回路11は、例えば、データセンタ20-1から送信される、データセンタの性能に関する情報に基づき、DCID:DC1、場所:日本、実効容量:100TB、空容量:50TB、セキュリティ:高、利用料:¥10/GB、処理能力:中、及び搭載アプリ:心臓CT/MR,脳CT/MR,レポートのレコードを生成する。
また、信号処理回路11は、データセンタ20-2から送信される、データセンタの性能に関する情報に基づき、DCID:DC2、場所:米国、実効容量:200TB、空容量:100TB、セキュリティ:中、利用料:¥15/GB、処理能力:高、及び搭載アプリ:心臓CT/MR,レポートのレコードを生成する。
また、信号処理回路11は、データセンタ20-3から送信される、データセンタの性能に関する情報に基づき、DCID:DC3、場所:中国、実効容量:500TB、空容量:5TB、セキュリティ:低、利用料:¥20/GB、処理能力:低、及び搭載アプリ:整形CT,肝臓CT,肺CTのレコードを生成する。信号処理回路11は、生成したレコードを、DC情報123として記憶回路12に記憶する。図8は、本実施形態に係る記憶回路12に記憶されるDC情報123の例を示す図である。
また、信号処理回路11は、データセンタ20-1~20-3から送信される、データセンタが置かれている環境に関する情報に基づき、環境情報124を生成する。
具体的には、信号処理回路11は、環境に関する情報に含まれるスループットの値に応じ、帯域の広さを表すパラメータを設定する。例えば、データセンタ間のスループットの値が予め設定される第1通信速度(bps)より大きい場合、信号処理回路11は、帯域が広いことを表す「広」を設定する。また、データセンタ間のスループットの値が予め設定される第2通信速度より大きく、第1通信速度未満である場合、信号処理回路11は、帯域が中程度であることを表す「中」を設定する。また、データセンタ間のスループットの値が第2通信速度未満である場合、信号処理回路11は、帯域が狭いことを表す「狭」を設定する。
また、信号処理回路11は、環境に関する情報に含まれるトラフィックの値に応じ、利用状況(負荷状況)の多さを表すパラメータを設定する。例えば、データセンタ間のトラフィックの値が予め設定されている第1ネットワーク使用率より大きい場合、信号処理回路11は、利用が多いことを表す「多」を設定する。また、データセンタ間のトラフィックの値が予め設定される第2ネットワーク使用率より大きく、第1ネットワーク使用率未満である場合、信号処理回路11は、利用状況が中程度であることを表す「中」を設定する。また、データセンタ間のトラフィックの値が第2ネットワーク使用率未満である場合、信号処理回路11は、利用が少ないことを表す「少」を設定する。
また、信号処理回路11は、環境に関する情報に含まれる、専用高速回線に関する情報に基づき、専用高速回線の有無を設定する。例えば、専用高速回線に関する情報に、所定の専用高速回線の名称が含まれている場合、信号処理回路11は、専用高速回線が「有」とする。一方、専用高速回線に関する情報に、専用高速回線の名称が含まれていない場合、信号処理回路11は、専用高速回線が「無」とする。
また、信号処理回路11は、環境に関する情報に含まれる、回線利用料に関する情報に応じ、回線利用料の程度を表すパラメータを設定する。例えば、データセンタ間の回線利用料が予め設定されている第1利用料より高い場合、信号処理回路11は、回線利用料が高いことを表す「高」を設定する。また、データセンタ間の回線利用料が予め設定される第2利用料より大きく、第1利用料未満である場合、信号処理回路11は、回線利用料が中程度であることを表す「中」を設定する。また、回線利用料が第2利用料未満である場合、信号処理回路11は、回線利用料が低いことを表す「低」を設定する。
本実施形態においては、信号処理回路11は、例えば、データセンタ20-1,20-2から送信される、データセンタが置かれている環境に関する情報に基づき、ネットワーク:DC1-DC2、帯域:広、利用状況:多、専用高速回線:有、及び回線利用料:高のレコードを生成する。
また、信号処理回路11は、データセンタ20-1,20-3から送信される、データセンタが置かれている環境に関する情報に基づき、ネットワーク:DC1-DC3、帯域:中、利用状況:少、専用高速回線:有、及び回線利用料:低のレコードを生成する。
また、信号処理回路11は、データセンタ20-2,20-3から送信される、データセンタが置かれている環境に関する情報に基づき、ネットワーク:DC2-DC3、帯域:狭、利用状況:多、専用高速回線:無、及び回線利用料:低のレコードを生成する。信号処理回路11は、生成したレコードを、環境情報124のうち、ネットワーク情報として記憶回路12に記憶する。図9は、本実施形態に係る記憶回路12に記憶される環境情報124のうち、ネットワーク情報の例を示す図である。
また、信号処理回路11は、データセンタが置かれている環境に関する情報に含まれる応答速度の値に応じ、アクセス速度の早さを表すパラメータを設定する。例えば、応答速度の値が予め設定される第1応答速度より大きい場合、信号処理回路11は、アクセス速度が早いことを表す「早」を設定する。また、応答速度の値が予め設定される第2応答速度より大きく、第1応答速度未満である場合、信号処理回路11は、アクセス速度が中程度であることを表す「中」を設定する。また、応答速度の値が第2応答速度未満である場合、信号処理回路11は、アクセス速度が遅いことを表す「遅」を設定する。
本実施形態においては、信号処理回路11は、例えば、データセンタ20-1から送信される、データセンタが置かれている環境に関する情報に基づき、利用者ID:00001について、DC ID:DC1、利用者との距離:300km、及びアクセス速度:早のレコードを生成する。
また、信号処理回路11は、データセンタ20-2から送信される、データセンタが置かれている環境に関する情報に基づき、利用者ID:00001について、DC ID:DC2、利用者との距離:10000km、及びアクセス速度:遅のレコードを生成する。
また、信号処理回路11は、データセンタ20-3から送信される、データセンタが置かれている環境に関する情報に基づき、利用者ID:00001について、DC ID:DC3、利用者との距離:1000km、及びアクセス速度:早のレコードを生成する。信号処理回路11は、生成したレコードを、環境情報124のうち、利用者-DC間情報として記憶回路12に記憶する。図10は、本実施形態に係る記憶回路12に記憶される環境情報124のうち、利用者-DC間情報の例を示す図である。
また、信号処理回路11は、データセンタ20-1~20-3から送信されるメタ情報に基づき、メタ情報125を生成する。
本実施形態においては、信号処理回路11は、例えば、データセンタ20-2から送信されるメタ情報に基づき、検査ID:00000001、患者ID:P00001、検査日:2016年9月1日、緊急度:-、機密性:高、担当:医師一郎、DC上での解析有無:CT心機能解析、及び利用DC:DC2のレコードを生成する。
また、信号処理回路11は、データセンタ20-3から送信されるメタ情報に基づき、検査ID:00000002、患者ID:P00002、検査日:2016年9月2日、緊急度:高、機密性:-、担当:医師一郎、DC上での解析有無:無、及び利用DC:DC3のレコードを生成する。信号処理回路11は、生成したレコードを、メタ情報125として記憶回路12に記憶する。図11は、本実施形態に係る記憶回路12に記憶されるメタ情報125の例を示す図である。
また、パラメータ取得機能113を実行すると、信号処理回路11は、図5Bに示されるように、災害情報を要求する災害情報要求信号を生成する。信号処理回路11は、災害情報要求信号を災害情報システム30へ送信する(ステップS514)。災害情報システム30は、医用情報処理装置10から災害情報要求信号を受信すると、記憶している災害情報を医用情報処理装置10へ送信する(ステップS515)。
信号処理回路11は、災害情報システム30から送信される、災害情報に基づき、災害情報126を生成する。信号処理回路11は、生成した災害情報126を、記憶回路12に記憶する(ステップS516)。
本実施形態においては、信号処理回路11は、例えば、災害情報システム30から送信される災害情報に基づき、場所:欧州、災害:地震のレコードと、場所:中国、災害:台風のレコードとを生成する。信号処理回路11は、生成したレコードを、災害情報126として記憶回路12に記憶する。図12は、本実施形態に係る記憶回路12に記憶される災害情報126の例を示す図である。
信号処理回路11は、DC情報123、環境情報124、メタ情報125、及び災害情報126を記憶回路12に記憶すると、候補算出機能を実行する。候補算出機能を実行すると信号処理回路11は、DC情報123、環境情報124、メタ情報125、災害情報126、及び重み付情報127に基づき、医療情報を移動させるデータセンタの候補を算出する(ステップS517)。
具体的には、候補算出機能を実行すると信号処理回路11は、記憶回路12から重み付情報127を読み出す。図13は、本実施形態に係る記憶回路12に記憶される重み付情報127の例を示す図である。図13によれば、アクセス速度、セキュリティ、及びコストが観点として設定されている。緊急度が「高」に設定されている医療情報については、アクセス速度:10、セキュリティ:5、コスト:1の重み係数が割り当てられている。また、緊急度が「無」、かつ機密性が「高」に設定されている医療情報については、速度:5、セキュリティ:10、コスト:1の重み係数が割り当てられている。
なお、図13に示される観点「アクセス速度」は、環境情報124におけるアクセス速度のパラメータに基づいて評価される。また、図13に示される観点「セキュリティ」は、DC情報123におけるセキュリティのパラメータに基づいて評価される。また、図13に示される観点「コスト」は、DC情報123における利用料のパラメータ、及び環境情報124における回線利用料のパラメータに基づいて評価される。
なお、観点は、図13に示されるアクセス速度、セキュリティ、及びコスト以外にも設定可能である。データセンタ上で医療画像を解析する必要がある場合、又は、データセンタ上で医療画像を参照してレポートを作成する必要がある場合等には、所定の解析アプリケーションの有無を、観点に含めるようにしてもよい。
また、緊急度が高い医療情報については、専用高速回線の有無、及びネットワークの利用状況を、観点に含めるようにしてもよい。
信号処理回路11は、重み付情報127で規定される観点毎に、データセンタ20-1~20-3を評価する。具体的には、信号処理回路11は、データセンタ20-1について、環境情報124におけるアクセス速度:早に基づき、観点「アクセス速度」の評価を○とする。また、信号処理回路11は、データセンタ20-1について、DC情報123におけるセキュリティ:高に基づき、観点「セキュリティ」の評価を○とする。また、信号処理回路11は、データセンタ20-1について、DC情報123における利用料:¥10/GB、及び環境情報124における回線利用料:高に基づき、観点「コスト」の評価を△とする。
また、信号処理回路11は、データセンタ20-2について、環境情報124におけるアクセス速度:遅に基づき、観点「アクセス速度」の評価を×とする。また、信号処理回路11は、データセンタ20-2について、DC情報123におけるセキュリティ:中に基づき、観点「セキュリティ」の評価を△とする。また、信号処理回路11は、データセンタ20-2について、DC情報123における利用料:¥15/GB、及び環境情報124における回線利用料:低に基づき、観点「コスト」の評価を○とする。
また、信号処理回路11は、データセンタ20-3について、環境情報124におけるアクセス速度:早に基づき、観点「アクセス速度」の評価を○とする。また、信号処理回路11は、データセンタ20-3について、DC情報123におけるセキュリティ:低に基づき、観点「セキュリティ」の評価を×とする。また、信号処理回路11は、データセンタ20-3について、DC情報123における利用料:¥20/GB、及び環境情報124における回線利用料:低に基づき、観点「コスト」の評価を×とする。
信号処理回路11は、観点毎の評価に、観点毎に設定されている重み係数を反映させ、医療情報毎にデータセンタ20-1~20-3の優先度を決定する。
具体的には、例えば、○には3点を割り当て、△には2点を割り当て、×には1点を割り当てるとする。信号処理回路11は、検査ID:00000001の医療情報を対象データに設定する。信号処理回路11は、図11に示されるメタ情報125の検査ID:00000001に係るレコードから、「緊急度:-、機密性:高」を読み出す。
信号処理回路11は、読み出した「緊急度:-、機密性:高」に基づき、図13に示される重み付情報127から、「緊急度:無、機密性:高」に関する重み係数、すなわち、アクセス速度の重み係数:5、セキュリティの重み係数:10、及びコストの重み係数:1を読み出す。
データセンタ20-1について、信号処理回路11は、アクセス速度:○の評価と、重み係数:5とから、3×5=15点を算出する。また、信号処理回路11は、セキュリティ:○の評価と、重み係数:10とから、3×10=30点を算出する。また、信号処理回路11は、コスト:△の評価と、重み係数:1とから、2×1=2点を算出する。信号処理回路11は、算出した数値を合計し、データセンタ20-1に対する評価を47点とする。
また、データセンタ20-2について、信号処理回路11は、アクセス速度:×の評価と、重み係数:5とから、1×5=5点を算出する。また、信号処理回路11は、セキュリティ:△の評価と、重み係数:10とから、2×10=20点を算出する。また、信号処理回路11は、コスト:○の評価と、重み係数:1とから、3×1=3点を算出する。信号処理回路11は、算出した数値を合計し、データセンタ20-2に対する評価を28点とする。
また、データセンタ20-3について、信号処理回路11は、アクセス速度:○の評価と、重み係数:5とから、3×5=15点を算出する。また、信号処理回路11は、セキュリティ:×の評価と、重み係数:10とから、1×10=10点を算出する。また、信号処理回路11は、コスト:×の評価と、重み係数:1とから、1×1=1点を算出する。信号処理回路11は、算出した数値を合計し、データセンタ20-3に対する評価を26点とする。
信号処理回路11は、評価値の高い順に、検査ID:00000001の医療情報を移動させるデータセンタの優先度を設定する。すなわち、信号処理回路11は、47点のデータセンタ20-1を優先度1とし、28点のデータセンタ20-2を優先度2とし、26点のデータセンタ20-3を優先度3とする。
続いて、信号処理回路11は、検査ID:00000002の医療情報を対象データに設定する。信号処理回路11は、図11に示されるメタ情報125の検査ID:00000002に係るレコードから、「緊急度:高、機密性:-」を読み出す。
信号処理回路11は、読み出した「緊急度:高、機密性:-」に基づき、図13に示される重み付情報127から、「緊急度:高」に関する重み係数、すなわち、アクセス速度の重み係数:10、セキュリティの重み係数:5、及びコストの重み係数:1を読み出す。
データセンタ20-1について、信号処理回路11は、アクセス速度:○の評価と、重み係数:10とから、3×10=30点を算出する。また、信号処理回路11は、セキュリティ:○の評価と、重み係数:5とから、3×5=15点を算出する。また、信号処理回路11は、コスト:△の評価と、重み係数:1とから、2×1=2点を算出する。信号処理回路11は、算出した数値を合計し、データセンタ20-1に対する評価を47点とする。
また、データセンタ20-2について、信号処理回路11は、アクセス速度:×の評価と、重み係数:10とから、1×10=10点を算出する。また、信号処理回路11は、セキュリティ:△の評価と、重み係数:5とから、2×5=10点を算出する。また、信号処理回路11は、コスト:○の評価と、重み係数:1とから、3×1=3点を算出する。信号処理回路11は、算出した数値を合計し、データセンタ20-2に対する評価を23点とする。
また、データセンタ20-3について、信号処理回路11は、アクセス速度:○の評価と、重み係数:10とから、3×10=30点を算出する。また、信号処理回路11は、セキュリティ:×の評価と、重み係数:5とから、1×5=5点を算出する。また、信号処理回路11は、コスト:×の評価と、重み係数:1とから、1×1=1点を算出する。信号処理回路11は、算出した数値を合計し、データセンタ20-3に対する評価を36点とする。
信号処理回路11は、評価値の高い順に、検査ID:00000002の医療情報を移動させるデータセンタの優先度を設定する。すなわち、信号処理回路11は、47点のデータセンタ20-1を優先度1とし、36点のデータセンタ20-3を優先度2とし、23点のデータセンタ20-2を優先度3とする。
信号処理回路11は、災害情報126を参照し、移動先候補となるデータセンタの優先度を変更してもよい。具体的には、例えば、所定の災害規模を上回る災害が発生した国、又は地方がある場合、信号処理回路11は、その国、又は地方に設立されているデータセンタの優先度を下げるようにしてもよい。
信号処理回路11は、医療情報を移動させるデータセンタの候補を算出すると、候補出力機能115を実行する。候補出力機能115を実行すると、信号処理回路11は、算出した移動先のデータセンタ候補を通信端末40へ出力する。具体的には、信号処理回路11は、移動先のデータセンタ候補が優先度順に配列された表示画像を生成する(ステップS518)。信号処理回路11は、生成した表示画像を画像信号に変換する。信号処理回路11は、画像信号を、IP網を介して通信端末40へ送信する(ステップS519)。
なお、信号処理回路11は、表示画像を必ずしも生成する必要は無い。信号処理回路11は、画像信号の代わりに、移動先のデータセンタ候補の優先度に関する情報を通信端末40へ送信してもよい。このとき、通信端末40の信号処理回路は、画像生成機能を備え、通信端末40から送信される情報に基づき、移動先のデータセンタ候補が優先度順に配列された表示画像を生成する。
通信端末40は、医用情報処理装置10から送信される画像信号を受信する。通信端末40の信号処理回路は、受信した画像信号を復号する。通信端末40は、復号した表示画像を表示回路に表示する(ステップS520)。図14は、本実施形態に係る通信端末40の表示回路で表示される表示画面の一例を示す模式図である。図14によれば、検査ID:00000001の医療情報の移動先候補であるデータセンタが、優先度順に配列されて表示されている。優先度が高いデータセンタ程、移動に適したデータセンタであることを表す。また、観点毎の評価がデータセンタ毎に表示されている。
図15は、本実施形態に係る通信端末40の表示回路で表示される表示画面のその他の例を示す模式図である。図15によれば、検査ID:00000002の医療情報の移動先候補であるデータセンタが、優先度順に配列されて表示されている。また、観点毎の評価がデータセンタ毎に表示されている。
利用者は、通信端末40の表示回路に表示されているデータセンタ20-1~20-3のいずれかを、入力インタフェース回路を介して選択する。具体的には、利用者は、検査ID:00000001の医療情報について、移動先候補として表示されているデータセンタ20-1~20-3のいずれかを、入力インタフェース回路を介して選択する。また、利用者は、検査ID:00000002の医療情報について、移動先候補として表示されているデータセンタ20-1~20-3のいずれかを、入力インタフェース回路を介して選択する。
通信端末40の信号処理回路は、表示されているデータセンタ20-1~20-3のいずれかが選択されると、選択されたデータセンタを特定可能な選択信号を生成する。通信端末40は、生成した選択信号を、IP網を介して医用情報処理装置10へ送信する(ステップS521)。
医用情報処理装置10は、通信端末40から送信された選択信号を受信する。医用情報処理装置10の信号処理回路11は、選択信号を受信すると、DC決定機能を実行する。DC決定機能を実行すると信号処理回路221は、選択信号により特定されるデータセンタを医療情報の移動先として決定する(ステップS522)。
なお、図5では、信号処理回路11が、通信端末40から送信される希望信号をトリガーとして処理を開始する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。信号処理回路11は、記憶回路12に記憶されている処理プログラムを実行することで、位置情報取得機能を有するようにしてもよい。位置情報取得機能が実行されると信号処理回路11は、所定のタイミング、例えば、予め設定された周期で、又は予め設定された時刻に、位置情報要求信号を生成する。位置情報要求信号は、利用者情報121に記憶されている特定の利用者へ送信される。
通信端末40は、位置情報要求信号を受信すると、位置取得回路により、利用者の現在の位置情報を取得する。通信端末40は、取得した位置情報を、IP網を介して医用情報処理装置10へ送信する。医用情報処理装置10の信号処理回路11は、IP網を介して位置情報を受信すると、受信した位置情報と、利用者IDとを関連付け、利用者位置情報122として記憶回路12に記憶する。利用者位置情報122を記憶すると、信号処理回路11は、図5に示されるステップS54以降の処理を実効する。これにより、医用情報処理装置10は、利用者の移動に合わせ、利用に適したデータセンタを利用者へ提示することが可能となる。
また、図5Aでは、利用者が単一である場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。利用者は複数であっても構わない。信号処理回路11は、希望信号を送信してきた複数の通信端末について、医療情報の移動先候補を算出する。このとき、信号処理回路11は、希望信号を受信した順序に従い、医療情報の移動先候補を算出してもよい。また、信号処理回路11は、希望信号を送信した複数の利用者のうち、優先度の高い利用者から順に、医療情報の移動先候補を算出するようにしてもよい。このとき、利用者情報121には、利用者の優先度を表す情報が含まれている。
また、図5Aでは、ステップS54にて、利用者ID:00001に基づき、氏名:医師一郎を利用者情報121から読み出す場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。信号処理回路11は、利用者ID:00001に基づき、利用者情報121から、氏名以外の情報、例えば、職種、専門、又は所属機関等を読み出してもよい。信号処理回路11は、読み出した情報についてのメタ情報を要求するメタ情報要求信号を生成する。
また、図5では、医師一郎が担当した検査についての医療情報の移動先データセンタを決定する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。信号処理回路11は、医療情報を利用者へ表示し、移動させる必要のある検査についての医療情報を利用者に選択させるようにしてもよい。例えば、信号処理回路11は、図5AのステップS513で、記憶回路12に記憶されるメタ情報125を、通信端末40に表示させる。利用者は、通信端末40の表示回路に表示される複数の検査についての医療情報から、移動させる必要のある検査についての医療情報を選択する。信号処理回路11は、移動させる必要のある検査についての医療情報が選択されると、ステップS517において、選択された医療情報について移動先候補のデータセンタを算出する。これにより、信号処理回路11は、利用者が移動させる必要があると判断する医療情報のみについて、移動先を算出することが可能となる。
また、信号処理回路11は、移動させる必要のある検査についての医療情報を選択させる際に、データセンタ上で医療画像を解析させるか否か、又は、データセンタ上で医療画像を参照してレポートを作成するか否かを、利用者が入力可能としてもよい。このとき、記憶回路12に記憶される重み付情報127には、画像解析、又はレポート作成についてのシーンが登録されている。そして、重み付情報127において、このシーンの観点には、例えば、所定の解析アプリケーションの有無が含まれてもよい。信号処理回路11は、重み付情報127から、シーン:「画像解析」、又は「レポート作成」について重み係数を読み出し、読み出した重み係数を用いて移動先候補のデータセンタを算出する。これにより、所望の解析アプリケーションを搭載しているデータセンタの優先度が高く設定されることになる。
図16は、データセンタ間で医療情報を移動させる際の医療情報記憶システムにおける処理手順を説明する図を示す。図16の例では、図5のステップS520において、データセンタ20-1が検査ID:00000001の医療情報の移動先として選択された場合を説明する。
図16Aにおいて、データセンタ20-1が移動先として決定されると(ステップS522)、医用情報処理装置10の信号処理回路11は、移動制御機能117を実行する。移動制御機能117を実行すると信号処理回路11は、移動指示信号を生成する。移動指示信号は、検査ID:00000001の医療情報のデータセンタ20-1への移動を指示する信号である。信号処理回路11は、生成した移動指示信号を、検査ID:00000001の医療情報を記憶しているデータセンタ20-2と、移動先として決定したデータセンタ20-1へ、IP網を介して送信する(ステップS161)。
データセンタ20-2に設けられるプロキシサーバ21は、IP網を介して移動指示信号を受信する。プロキシサーバ21の信号処理回路211は、移動指示信号を受信すると、移動制御機能2112を実行する。移動制御機能2112を実行すると信号処理回路211は、検査ID:00000001の医療情報の読み出しを指示する第2の読出信号を生成する。信号処理回路211は、生成した第2の読出信号を、LANを介し、データセンタ20-2に設けられるストレージサーバ22-1~22-3へ送信する(ステップS162)。
ストレージサーバ22-1の信号処理回路221は、LANを介して第2の読出信号を受信すると、読出制御機能2211を実行する。読出制御機能2211を実行すると信号処理回路221は、記憶回路222に記憶されている検査ID:00000001の医療情報を読み出す(ステップS163)。信号処理回路221は、検査ID:00000001の医療情報を読み出すと、読み出した検査ID:00000001の医療情報を、LANを介してプロキシサーバ21へ送信する(ステップS164)。
第2の読出信号を受信したストレージサーバ22-2,22-3も、ステップS163、及びステップS164の処理を実施する。これにより、ストレージサーバ22-2,22-3からも、検査ID:00000001の医療情報がプロキシサーバ21へ送信される。
データセンタ20-2に設けられるプロキシサーバ21は、ストレージサーバ22-1~22-3から送信される検査ID:00000001の医療情報を受信する。プロキシサーバ21の信号処理回路211は、受信した検査ID:00000001の医療情報を、IP網を介してデータセンタ20-1へ送信する(ステップS165)。
図16Bにおいて、データセンタ20-1に設けられるプロキシサーバ21は、IP網を介し、移動指示信号と、検査ID:00000001の医療情報を受信する。プロキシサーバ21の信号処理回路211は、移動指示信号と、検査ID:00000001の医療情報とを受信すると、書込制御機能2116を実行する。書込制御機能2116を実行すると信号処理回路211は、検査ID:00000001の医療情報の書き込みを指示する書込信号を生成する。信号処理回路211は、生成した書込信号を、LANを介し、データセンタ20-1に設けられるストレージサーバ22-1~22-3へ送信する(ステップS166)。
ストレージサーバ22-1の信号処理回路221は、LANを介して書込信号を受信すると、書込制御機能2213を実行する。書込制御機能2213を実行すると信号処理回路221は、検査ID:00000001の医療情報を記憶回路222へ書き込む(ステップS167)。信号処理回路221は、検査ID:00000001の医療情報の書き込みが完了すると、書き込みが完了したことを、LANを介してプロキシサーバ21へ通知する(ステップS168)。
書込信号を受信したストレージサーバ22-2,22-3も、ステップS167、及びステップS168の処理を実施する。これにより、ストレージサーバ22-2,22-3の記憶回路222へも、検査ID:00000001の医療情報が書き込まれる。
データセンタ20-1に設けられるプロキシサーバ21は、ストレージサーバ22-1~22-3から、書込完了の通知を受けると、検査ID:00000001の医療情報の移動が完了した旨を通信端末40へ通知する(ステップS169)。このときの通知方法は、eメール等、任意の方法が使用可能である。
図16Aにおいて、通信端末40は、移動完了が通知されると、その旨を表示回路に表示する(ステップS1610)。具体的には、利用者は、医療情報の移動先であるデータセンタ20-1から配信されたeメールを開く。通信端末40は、eメールが開かれると、移動が完了したことを表示回路に表示する。
なお、図16では、医療情報の移動先であるデータセンタ20-1から通信端末40へ、移動完了が通知される場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。移動完了の通知は、医用情報処理装置10へ通知されてもよい。医用情報処理装置10は、移動完了の通知をデータセンタ20-1から受けると、移動が完了した旨を通信端末40へ送信する。
また、図5,16では、医師一郎が担当した検査についての医療情報の移動先データセンタが決定され、決定されたデータセンタへ、医療情報が移動される場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。信号処理回路11は、ステップS517における、医療情報について移動先候補のデータセンタを算出する際に、利用者からの指定を受け付けるようにしても構わない。例えば、信号処理回路11は、ステップS517において、データセンタ上で医療画像を解析させるか否か、データセンタ上で医療画像を参照してレポートを作成するか否か、レポート作成にかかる時間、利用したい解析アプリケーション、及びレポート作成を開始する日時(スケジュール)を受け付けるようにしてもよい。信号処理回路11は、入力された日時に、医療情報のデータセンタへの移動が完了するように、他の医療情報に対して優先して、移動先のデータセンタを決定する。そして、信号処理回路11は、入力された日時に、医療情報のデータセンタへの移動が完了するように、決定したデータセンタへ医療情報を移動させる。これにより、信号処理回路11は、入力された日時でレポートの作成が可能なように、医療情報を所定のデータセンタへ移動させることになる。
以上のように、本実施形態に係る医用情報処理装置10は、利用者の現在の位置情報を取得する。また、医用情報処理装置10は、データセンタ20-1~20-3に記憶されている医療情報のメタ情報を検査毎に取得する。また、医用情報処理装置10は、データセンタ20-1~20-3のネットワーク環境に関する情報を取得する。医用情報処理装置10は、取得したメタ情報、及びデータセンタ20-1~20-3のネットワーク環境に関する情報に基づき、位置情報により表される位置に存在する利用者にとって、利用に適したデータセンタの候補を、検査毎に算出する。医用情報処理装置10は、算出した複数のデータセンタの候補を、利用者へ提示する。そして、医用情報処理装置10は、複数のデータセンタの候補のうち、利用者により指定されたデータセンタへ、検査毎の医療情報を移動させるようにしている。これにより、医用情報処理装置10は、閲覧することが予測される医療情報を、利用者の現在の場所に基づいて適したデータセンタへ、予め移動させておくことが可能となる。
したがって、本実施形態に係る医用情報処理装置10によれば、利用者の場所に関わらず、利用者が所望する医療情報を遅延なく提供することができる。
また、本実施形態に係る医用情報処理装置10は、データセンタ20-1~20-3の性能に関する情報を取得する。そして、医用情報処理装置10は、取得したメタ情報、データセンタ20-1~20-3の性能に関する情報、及びデータセンタ20-1~20-3のネットワーク環境に関する情報に基づき、位置情報により表される位置に存在する利用者にとって、利用に適したデータセンタの候補を、検査毎に算出するようにしている。これにより、医用情報処理装置10は、アクセスの容易さに加え、セキュリティのレベルも考慮して移動先のデータセンタを、利用者に選択させることが可能となる。
したがって、本実施形態に係る医用情報処理装置10によれば、医療情報の移動に伴う情報漏えいのリスクを減じることが可能となる。
また、本実施形態に係る医用情報処理装置10が取得する、データセンタ20-1~20-3の性能に関する情報、及びデータセンタ20-1~20-3のネットワーク環境に関する情報には、コストに関する情報が含まれる。そして、医用情報処理装置10は、コストに関する情報にも基づき、位置情報により表される位置に存在する利用者にとって、利用に適したデータセンタの候補を、検査毎に算出するようにしている。これにより、医用情報処理装置10は、アクセスの容易さ、セキュリティのレベルに加え、コストも考慮して移動先のデータセンタを、利用者に選択させることが可能となる。
したがって、本実施形態に係る医用情報処理装置10によれば、医療情報の移動に伴う経営面でのリスクを減じることが可能となる。
また、本実施形態に係る医用情報処理装置10は、災害情報を災害情報システム30から取得する。そして、医用情報処理装置10は、取得したメタ情報、データセンタ20-1~20-3の性能に関する情報、データセンタ20-1~20-3のネットワーク環境に関する情報、及び災害情報に基づき、位置情報により表される位置に存在する利用者にとって、利用に適したデータセンタの候補を、検査毎に算出するようにしている。これにより、医用情報処理装置10は、データセンタが設けられる国、又は地方の災害情報も考慮して移動先のデータセンタを、利用者に選択させることが可能となる。
また、本実施形態に係る医用情報処理装置10が移動させる医療情報には、電子カルテ情報が含まれている。これにより、医用情報処理装置10は、医療画像情報と合わせて電子カルテ情報もデータセンタへ移動させることが可能となる。利用者は、電子カルテ情報を確認しながら、医療画像情報を解析することが可能となる。
なお、本実施形態では、データセンタ20-1~20-3それぞれがクラウドコンピューティングサービスを提供するセキュアなデータセンタである場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。例えば、IP網上に、セキュアでないデータセンタが存在することもあり得る。このような場合、医用情報処理装置10は、移動制御機能117のより、例えば、個人情報を持たない画像データのみを、セキュアでないデータセンタへ移動させてもよい。一方、医用情報処理装置10は、個人情報を含むメタ情報をセキュアなデータセンタに残す。そして、利用者が、画像データを閲覧する際には、セキュアでないデータセンタから画像データを読み出し、読み出した画像データを、メタ情報を紐付けて表示する。
具体的には、例えば、緊急性が求められる検査に関する医療情報を移動させる際、高い優先度が設定されたデータセンタがセキュアでない場合があり得る。利用者は、緊急性を優先させ、アクセス速度が高く、かつ、セキュリティが担保されていないデータセンタを選択する。セキュアでないデータセンタが選択された場合、医用情報処理装置10は、DICOM規格に準拠した医療画像ファイルにおける画像データのみを、選択されたデータセンタへ移動させるようにデータセンタへ移動指示信号を送信する。移動指示信号には、医用画像データに、子の医用画像データについてのメタ情報を紐付ける指示も含まれる。
データセンタに設けられるプロキシサーバは、ストレージサーバから画像データを読み出し、読み出した画像データに、この医療画像ファイルにおけるメタ情報を紐付ける。画像データにメタ情報を紐付ける方法は、当技術分野で知られている任意の方法を利用することが可能である。プロキシサーバは、メタ情報を紐付けた画像データを、選択されたデータセンタへ送信する。これにより、セキュアでないデータセンタを利用する際であっても、情報の漏洩を抑えることが可能となる。
また、本実施形態において、データセンタ20-1~20-3は、それぞれがクラウドコンピューティングサービスを提供するシステムである場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。データセンタ20-1~20-3は、所定の病院に設けられるアーカイブシステムであっても構わない。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。