本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[適用例]
図1は、本実施の形態に係るデータ生成装置100の適用例を示す模式図である。
図1に示すように、ユーザ1は、スキャナシステム10を用いることで、対象者2が有する歯牙を含む口腔内の三次元形状のデータ(三次元データ)を取得することができる。なお、「ユーザ」は、歯科医師などの術者、歯科助手、歯科大学の先生または生徒、歯科技工士、メーカの技術者、製造工場の作業者など、スキャナシステム10を用いる者であればいずれであってもよい。「対象者」は、歯科医院の患者、歯科大学における被験者など、スキャナシステム10の対象となる者であればいずれであってもよい。また、「対象者」は、生身の人間に限らず、人体模型であってもよいし、頭部模型であってもよい。
本実施の形態に係るスキャナシステム10は、三次元スキャナ200と、データ生成装置100と、ディスプレイ300とを備える。三次元スキャナ200は、内蔵された三次元カメラによってスキャン対象の三次元データを取得する。具体的には、三次元スキャナ200は、対象者2の口腔内をスキャンすることで、スキャン対象の部位を構成する複数の点のそれぞれの位置情報(たとえば、歯牙の横方向、奥行き方向、高さ方向の座標)や色情報(たとえば、歯牙の表面の色)を、光学センサなどを用いて取得する。データ生成装置100は、三次元スキャナ200によって取得された三次元データに基づき三次元画像を生成し、生成した三次元画像をディスプレイ300に表示する。
具体的には、ユーザ1は、対象者2の欠損歯牙の欠損箇所に適合した補綴物を作製するための補綴物データをコンピュータ上でデジタル設計するために、三次元スキャナ200によって対象者2の口腔内を撮像する。ユーザ1が口腔内を撮像するごとに三次元データが順次取得され、少なくとも欠損歯牙を含む口腔内の三次元画像がディスプレイ300に表示される。ユーザ1は、ディスプレイ300に表示された三次元画像を確認しながら三次元データの不足部分を重点的にスキャンしていく。このようにして記録された三次元データは、補綴物の作製に用いられる。
「欠損歯牙」には、たとえば、支台歯、窩洞、およびインプラント体など、う蝕または治療時の切削によってその形状が欠損している歯牙が含まれる。「補綴物」には、たとえば、クラウン、ブリッジ、インプラント、インレーなど、補綴歯科で採用される公知の種々の詰め物や被せ物が含まれる。
たとえば、クラウンによって欠損歯牙の欠損箇所を補綴する場合、術者は、先ずタービンなどの切削器具によって歯のう蝕部分を削り取って支台歯を形成し、その上にクラウンを装着する。このとき、マージンと呼ばれる支台歯の外縁と、クラウンの外縁とを密着させなければ、二次う蝕の原因になる。インレーによって欠損箇所を補綴する場合も同様に、歯のう蝕部分を削り取った後の窩洞に対して、インレーを密着させなければ、二次う蝕の原因になる。
また、補綴物の作製においては、欠損箇所(欠損歯牙)の周辺の歯牙(以下、「周辺歯牙」とも称する)、つまり、欠損歯牙と隣合う歯牙(以下、「隣接歯牙」とも称する)と補綴物との間の距離、および欠損箇所(欠損歯牙)と対向する歯牙(以下、「対向歯牙」とも称する)と補綴物との間の距離が適切であることも重要である。なお、「隣合う」とは、欠損歯牙に接しながら当該欠損歯牙の隣に位置すること、または欠損歯牙に接することなく当該欠損歯牙の隣に位置することを含む。
さらに、詳しくは後述するが、歯牙には、中切歯、側切歯、犬歯、第1小臼歯、第2小臼歯、第1大臼歯、第2大臼歯、および第3大臼歯といったように、様々な種類がある。また、歯牙の種類に応じてその形状が特徴的であり、これらの形状は歯の噛み合わせなどに影響する。よって、欠損歯牙と同じ種類の補綴物、すなわち出来る限り欠損歯牙と同じ形状(特徴)を有する補綴物を作製することが重要である。
このように、補綴物の作製においては、重要な点が多数存在するが、ユーザ1である術者や歯科技工士の技術レベルは様々であるため、欠損箇所に適切な補綴物データを生成することは必ずしも容易ではない。
そこで、本実施の形態に係るスキャナシステム10は、データ生成装置100が有するAI(人工知能:Artificial Intelligence)を利用して、三次元スキャナ200によって取得された三次元データに基づき、欠損箇所に適切な補綴物データを生成するように構成されている。
具体的には、ユーザ1が三次元スキャナ200を用いて対象者2の口腔内をスキャンすると、少なくとも欠損歯牙を含む三次元データがデータ生成装置100に入力される。データ生成装置100は、入力された三次元データおよび生成モデルに基づき、欠損箇所に適合する補綴物データを自動的に生成する。補綴物データは、補綴物そのものを作製するための三次元データとして、補綴物を構成する複数の点のそれぞれの位置情報(縦方向,横方向,高さ方向の各軸の座標)を含む。補綴物データの出力形式は、PCDファイル、STLファイル、またはPLYファイルなどが適用される。
このようにしてデータ生成装置100によって生成された補綴物データは、歯科技工所に出力される。歯科技工所においては、データ生成装置100から取得した補綴物データに基づき、歯科技工士が補綴物を作製する。
また、補綴物を自動で製造可能な自動製造装置600が歯科医院内に配置されている場合、データ生成装置100によって生成された補綴物データは、自動製造装置600に出力されてもよい。このようにすれば、ユーザ1は、自動製造装置600によっても補綴物データに基づき補綴物を作製することができる。自動製造装置600の一例としては、ミリングマシンおよび3Dプリンタなどが挙げられる。
このように、本実施の形態に係るスキャナシステム10によれば、データ生成装置100が有するAIを利用して、三次元スキャナ200によって取得された三次元データに基づき補綴物データが自動的に生成される。スキャナシステム10は、AIを利用することで、ユーザ1では抽出できない歯牙の特徴を見出すこともでき、これにより、ユーザ1は、より簡単に適切な補綴物を得ることができる。
[スキャン対象となる歯牙の一例]
図2は、本実施の形態に係る三次元スキャナ200のスキャン対象となる歯牙の一例を示す模式図である。なお、図2においては、三次元スキャナ200のスキャン対象となる歯牙が線図によって表されている。
図2に示すように、三次元スキャナ200のスキャン対象となる歯牙が上顎の切歯である場合、得られる三次元画像が、上唇側の部位、口蓋側の部位、および切縁側の部位の画像を少なくとも含むように、ユーザ1によって対象者2の口腔内がスキャンされる。また、三次元スキャナ200のスキャン対象となる歯牙が上顎の犬歯および臼歯である場合、得られる三次元画像が、頬側の部位、口蓋側の部位、および咬合する部位の画像を少なくとも含むように、ユーザ1によって対象者2の口腔内がスキャンされる。三次元スキャナ200のスキャン対象となる歯牙が下顎の切歯である場合、得られる三次元画像が、下唇側の部位、舌側の部位、および切縁側の部位の画像を少なくとも含むように、ユーザ1によって対象者2の口腔内がスキャンされる。三次元スキャナ200のスキャン対象となる歯牙が下顎の犬歯および臼歯である場合、得られる三次元画像が、頬側の部位、舌側の部位、および咬合する部位の画像を少なくとも含むように、ユーザ1によって対象者2の口腔内がスキャンされる。
一般的に、対象者2の歯牙は、その種類によって形状および大きさが異なる。たとえば、上顎の切歯の場合、上唇側の面は一般的にU字形であるのに対して、上顎の犬歯の場合、頬側の面は一般的に五角形である。各歯牙は、形状および大きさがその種類に応じて特徴的である。よって、各歯牙の特徴(種類)を見極めながら補綴物データをデジタル設計することは、術者や歯科技工士の知見に大きく依存することになる。
[スキャン対象となる歯牙の種類]
図3は、本実施の形態に係る三次元スキャナ200のスキャン対象となる歯牙の種類を説明するための模式図である。
図3に示すように、各歯牙には、その種類および位置に応じて、中切歯、側切歯、犬歯、第1小臼歯、第2小臼歯、第1大臼歯、第2大臼歯、および第3大臼歯といったように名称が付されている。また、口腔内において、上顎右側、上顎左側、下顎右側、および下顎左側のそれぞれに、上述した各歯牙が一般的には存在する。
さらに、各歯牙には、その種類および位置に応じて、所定の番号が割り当てられている。たとえば、中切歯には1番が割り当てられ、側切歯には2番が割り当てられ、犬歯には3番が割り当てられ、第1小臼歯には4番が割り当てられ、第2小臼歯は5番が割り当てられ、第1大臼歯には6番が割り当てられ、第2大臼歯には7番が割り当てられ、第3大臼歯には8番が割り当てられている。
[データ生成装置の学習段階における機能構成]
図4は、本実施の形態に係るデータ生成装置100の学習段階における機能構成を示す模式図である。
図4に示すように、データ生成装置100は、入力部1102と、生成部1104と、識別部1106とを有する。これらの各機能は、後述するデータ生成装置100の演算装置130が、OS127、識別用プログラム120、学習用プログラム、およびデータ生成用プログラム125などを実行することで実現される。
入力部1102には、三次元スキャナ200によって取得された三次元データが入力される。入力部1102に入力される三次元データは、欠損歯牙(欠損箇所)はもちろんのこと、欠損歯牙と隣合う隣接歯牙、欠損歯牙と対向する対向歯牙、対向歯牙と隣合う歯牙、上顎の歯列と下顎の歯列とが噛み合った状態における各歯牙、および欠損歯牙の反対側(はんたいそく)の歯牙の少なくともいずれか1つの三次元データを含む。
たとえば、図3を参照して、欠損歯牙が上顎左側の犬歯(3番)である場合、各歯牙を以下のように例示することができる。たとえば、上顎左側の犬歯(3番)と隣合う隣接歯牙としては、上顎左側の側切歯(2番)、中切歯(1番)、第1小臼歯(4番)、または第2小臼歯(5番)などが挙げられる。上顎左側の犬歯(3番)と対向する対向歯牙としては、下顎左側の犬歯(3番)などが挙げられる。上顎左側の犬歯(3番)と対向する対向歯牙と隣合う歯牙としては、下顎左側の側切歯(2番)または第1小臼歯(4番)などが挙げられる。また、欠損歯牙の反対側の歯牙とは、欠損歯牙が属する歯列における左右の反対側の歯牙のことである。たとえば、上顎左側の犬歯(3番)の反対側の歯牙としては、上顎右側の犬歯(3番)などが挙げられる。なお、入力部1102には、三次元スキャナ200によって取得された実際の歯牙の三次元データに限らず、学習用に予め用意された三次元データのモデルが入力されてもよい。さらに、入力部1102には、ユーザによって入力された、欠損歯牙、隣接歯牙、対向歯牙、対向歯牙と隣合う歯牙、および反対側の歯牙などの三次元データに含まれる各歯牙の種類(名称または番号)が入力されてもよい。
生成部1104は、入力部1102から入力された三次元データおよび生成モデル114に基づき、欠損箇所に適合する補綴物を作製するための補綴物データを生成する。このとき、生成部1104は、後述する生成条件データ119によって特定される生成条件に従って、補綴物データを生成する。このような生成部1104による補綴物データを生成する処理を「補綴物データ生成処理」とも称する。また、三次元データに含まれる各歯牙の種類(名称または番号)が入力部1102に入力された場合、生成部1104は、ユーザによって入力された、三次元データに含まれる各歯牙の種類(名称または番号)も参照しながら、補綴物データを生成する。
識別部1106は、生成部1104によって生成された補綴物データと、ユーザ1によって入力された正解データとに基づき、当該補綴物データが適切か否かを識別する。補綴物データが適切か否かの識別としては、補綴物データに基づき作製される補綴物の形状が正解データとして入力された見本となる歯牙の形状と一致しているか否かを識別すること、補綴物データに基づき作製される補綴物の形状と正解データとして入力された見本となる歯牙の形状との類似度が基準値以上であるか否かを識別すること、補綴物データに基づき作製される補綴物の歯牙の種類(名称または番号)が正解データとして入力された欠損歯牙の種類(名称または番号)と一致しているか否かを識別すること、などが挙げられる。このような識別部1106による補綴物データが適切か否かを識別する処理を「識別処理」とも称する。
本実施の形態においては、識別部1106は、機械学習済みの識別モデル116に基づき、生成部1104によって生成された補綴物データに対応する歯牙の種類(名称または番号)を推定するように構成されている。具体的には、識別部1106は、補綴物の歯牙の種類として、図3に示す歯牙の名称または歯牙の番号を推定し、補綴物の歯牙の種類の推定結果が、正解データとして入力された欠損歯牙の種類(名称または番号)と一致するか否かを識別する。
たとえば、下顎右側における6番の第1大臼歯が欠損している場合、ユーザ1は、正解データとして「6番」または「第1大臼歯」など、欠損歯牙の種類を特定するための情報をデータ生成装置100に予め入力する。データ生成装置100においては、6番の第1大臼歯が欠損している口腔内の三次元データが入力されると、生成部1104は、入力された三次元データと生成モデル114とに基づき、出来る限り6番の第1大臼歯の特徴を有する補綴物を作製するための補綴物データを生成しようとする。識別部1106は、生成部1104によって生成された補綴物データと識別モデル116とに基づき、補綴物データに基づき作製される補綴物の歯牙の種類(名称または番号)を推定し、補綴物の歯牙の種類の推定結果が、正解データとして入力された欠損歯牙の種類(名称または番号)と一致するか否かを識別する。
ここで、識別モデル116は、生成モデル114を学習する前の準備段階において、予め機械学習されている。具体的には、識別モデル116は、図示しないニューラルネットワークと、当該ニューラルネットワークによって用いられるパラメータとを含む。
識別モデル116のニューラルネットワークにおいては、中間層が多層構造になることで、ディープラーニングによる処理が行われる。本実施の形態においては、3次元画像に特化した処理を行うプログラムとして、たとえば、VoxNet、3D ShapeNets、Multi-View CNN、RotationNet、OctNet、FusionNet、PointNet、PointNet++、SSCNet、およびMarrNetなどが用いられるが、その他のプログラムが用いられてもよい。また、識別モデル116のニューラルネットワークの仕組みには既存のものが適用されてもよい。
識別モデル116は、三次元データのうち、欠損歯牙、つまり、補綴物の生成が必要な歯牙に関連付けられた歯牙の種類(名称または番号)に対応する歯牙情報と、当該三次元データを用いた当該歯牙の種類(名称または番号)の識別結果とに基づき機械学習されることで最適化(調整)される。
たとえば、識別モデル116は、学習用の口腔内の三次元データが入力されると、当該三次元データに基づきニューラルネットワークによって歯牙の特徴を抽出し、抽出した歯牙の特徴に基づき歯牙の種類(名称または番号)を推定する。そして、識別モデル116は、自身が推定した歯牙の種類と、入力された学習用の三次元データに関連付けられた歯牙の種類(歯牙情報)とに基づき、両者が一致すればパラメータを更新しない一方で、両者が一致しなければ両者が一致するようにパラメータを更新することで、パラメータの最適化を図る。これにより、識別モデル116は、入力データである三次元データと、正解データである歯牙の種類(名称または番号)とを含む教師データを利用して、パラメータの最適化が図られることで機械学習される。生成モデル114を学習する前の準備段階において、このような機械学習を繰り返すことによって、学習済みの識別モデル116が得られる。なお、識別モデル116において、パラメータが更新されるものに限らず、ニューラルネットワーク(たとえば、ニューラルネットワークのアルゴリズム)が更新されるものであってもよい。
識別部1106によって得られた識別結果は、生成部1104にフィードバックされる。生成モデル114は、識別部1106からフィードバックされた識別結果に基づき、機械学習される。このような生成モデル114を機械学習させる処理を「学習処理」とも称する。
たとえば、生成モデル114は、図示しないニューラルネットワークと、当該ニューラルネットワークによって用いられるパラメータとを含む。生成モデル114のニューラルネットワークにおいては、中間層が多層構造になることで、ディープラーニングによる処理が行われる。本実施の形態においては、3次元画像に特化した処理を行うプログラムとして、たとえば、AAE、“Learning Representations and Generative Models”、ShapeVAE、“Shape Generation using Spatially Partitioned Point Clouds”、FoldingNet、P2P-Net、PCN(Point Completion Network)、PPF-FoldingNet、PC-GAN、およびDeepSDFなどが用いられるが、その他のプログラムが用いられてもよい。また、生成モデル114のニューラルネットワークの仕組みには既存のものが適用されてもよい。
学習処理において、生成モデル114は、識別結果に基づき、自身が生成した補綴物データに対応する補綴物の歯牙の種類(名称または番号)が、正解データである歯牙の種類(名称または番号)と一致すると判定すればパラメータを更新しない一方で、一致しないと判定すれば、両者が一致するようにパラメータを更新することで、パラメータの最適化を図る。このように、学習処理において、生成モデル114は、パラメータが最適化されることで機械学習される。なお、生成モデル114において、パラメータが更新されるものに限らず、ニューラルネットワーク(たとえば、ニューラルネットワークのアルゴリズム)が更新されるものであってもよい。
このように構成されたデータ生成装置100においては、三次元スキャナ200によって取得された三次元データ、あるいは学習用に予め用意された三次元データが入力される。学習前において、生成部1104は、欠損箇所に適合する適切な補綴物データを生成することはできないが、先ずは、自身の予測に従って、三次元データおよび生成モデル114に基づき補綴物データを生成してみる。識別部1106は、生成部1104によって生成された補綴物データに対応する歯牙の種類を推定するとともに、推定した歯牙の種類が、正解データである歯牙の種類と一致するか否かを識別し、その識別結果を生成部1104にフィードバックする。生成部1104は、フィードバックされた識別結果に基づき、生成モデル114を機械学習することで、学習前よりも一層、正解データに近づくように、適切な補綴物データを生成するようになる。このような機械学習を繰り返すことによって、やがて、生成部1104は、適切な補綴物を作製することができる補綴物データを生成することができるようになる。さらに、欠損歯牙、隣接歯牙、対向歯牙、対向歯牙と隣合う歯牙、および反対側の歯牙などの三次元データに含まれる各歯牙の種類(名称または番号)が入力部1102に入力される場合、生成部1104は、三次元データに含まれる各歯牙の種類(名称または番号)に基づいて補綴物データを生成することになる。この場合、生成部1104は、ユーザによって入力された各歯牙の種類(名称または番号)も考慮して機械学習を行うこととなり、より精度の高い補綴物データを生成することができるようになる。
[補綴物データ生成処理の一例]
図5は、本実施の形態に係るデータ生成装置100の補綴物データ生成処理の一例を示す模式図である。図6は、本実施の形態に係るデータ生成装置100の補綴対象である欠損箇所の拡大図である。図5に示すように、データ生成装置100は、後述する生成条件データ119によって特定される所定の生成条件に従って、三次元スキャナ200によって取得された三次元データおよび生成モデル114に基づき、補綴物データを生成する。
具体的には、先ず、三次元スキャナ200によって口腔内の三次元データが取得される(STEP1)。たとえば、対象者2が口を開けた状態において、上顎に位置する歯牙がスキャンされ、下顎に位置する歯牙がスキャンされる。さらに、対象者2が口を閉じた状態、すなわち上顎と下顎とが咬合状態において、上顎および下顎のそれぞれに位置する歯牙がスキャンされる。
このように、三次元スキャナ200によって口腔内がスキャンされると、欠損歯牙(欠損箇所)はもちろんのこと、欠損歯牙と隣合う隣接歯牙、欠損歯牙と対向する対向歯牙、対向歯牙と隣合う歯牙、上顎の歯列と下顎の歯列とが噛み合った状態における各歯牙、および欠損歯牙の反対側(はんたいそく)の歯牙の少なくともいずれか1つの三次元データがデータ生成装置100に入力される。このとき、欠損歯牙が支台歯や窩洞のある歯の場合、ユーザが欠損部外縁のマージンラインを指定してもよい。このようなマージンラインの指定はエッジラインを検出する機能により実現してもよい。
次に、データ生成装置100の生成部1104は、三次元データに基づき具現化された画像において、空間格子(三次元格子)を規定する(STEP2)。空間格子とは、歯列の三次元データによって特定される三次元空間における欠損歯牙および欠損歯牙に隣接する歯牙の三次元位置を規定する空間である。より具体的には、空間格子とは、たとえば、欠損歯牙よりも所定倍(たとえば、欠損歯牙の大きさの1.5倍)の大きさの三次元空間において、X軸(たとえば、歯牙の横方向の軸)、Y軸(たとえば、歯牙の奥行き方向の軸)、およびZ軸(たとえば、歯牙の高さ方向の軸)の各軸が規定され、各軸上においてその空間内に存在する物体の有無情報を記録する空間、または、補綴物データを生成するための空間をいう。
たとえば、図6には、欠損歯牙が支台歯である場合の空間格子が示されている。図6に示すように、欠損歯牙である支台歯の周辺を取り囲むようにして、格子状の空間格子が規定されている。
このように、空間格子を欠損歯牙よりも大きい空間とすることで、欠損歯牙のみならず、欠損歯牙と隣合う隣接歯牙、欠損歯牙と対向する対向歯牙、および対向歯牙と隣合う歯牙における欠損歯牙側の一部についても、その有無情報を記録することができる。従って、空間格子は、欠損歯牙を中央にして、隣接歯牙、対向歯牙、および対向歯牙と隣合う歯牙の一部が含まれるように設定される。また、空間格子を所定の大きさに限定することで、空間格子の大きさを限定しない場合と比べて、補綴物データを生成する生成モデル114を機械学習させる際の演算処理の負荷を低減させることができる。
次に、生成部1104は、規定した空間格子に含まれる欠損箇所に対応する欠損歯牙に隣合う隣接歯牙、当該欠損歯牙に対向する対向歯牙、および対向歯牙と隣合う歯牙を特定する(STEP3)。具体的には、生成部1104は、欠損歯牙、隣接歯牙、対向歯牙、および対向歯牙と隣合う歯牙のX-Z断面において、各歯牙の輪郭に対応する位置に特定情報(たとえば、「1」などの数字や特定の色)を紐付ける。
図5においては、欠損箇所(欠損歯牙)を中心として、紙面上、欠損歯牙の左側において隣接歯牙aの右側の一部の輪郭が表され、欠損歯牙の右側において隣接歯牙bの左側の一部の輪郭が表され、欠損歯牙の左上において対向歯牙cの右下の一部の輪郭が表され、欠損歯牙の右上において対向歯牙と隣合う歯牙dの左下の一部の輪郭が表されている。そして、これらの輪郭に沿うようにして、特定情報(たとえば、「1」などの数字や特定の色)が紐付けられている。これにより、生成部1104は、欠損歯牙、隣接歯牙、対向歯牙、および対向歯牙と隣合う歯牙の形状や位置を特定することができる。
次に、生成部1104は、特定した欠損歯牙、隣接歯牙、対向歯牙、および対向歯牙と隣合う歯牙の形状や位置に基づき、補綴物の形状を決定する(STEP4)。具体的には、生成部1104は、欠損歯牙、隣接歯牙、対向歯牙、および対向歯牙と隣合う歯牙の各歯牙の輪郭で囲まれた空間において、補綴物の輪郭に対応する位置に特定情報(この例では、「1」)を紐付ける。これにより、生成部1104は、欠損箇所と隣接または対向する歯牙の形状に基づいて補綴物の形状を決めることができる。
たとえば、生成部1104は、左右の隣接歯牙の輪郭に接するように特定情報(「1」)を紐付け、左上および右上の対向歯牙の輪郭に接するように特定情報(「1」)を紐付ける。このようにして紐付けられた特定情報によって囲まれた空間は、欠損歯牙を覆うように形作られる。
図示は省略するが、生成部1104は、上述したSTEP3およびSTEP4をX-Z断面を所定間隔でY軸方向にずらしながら複数回繰り返すことで、三次元で補綴物の形状を決めることができる。
このようにして、生成部1104は、欠損箇所を補うように補綴物の形状(特に輪郭および高さ)を決めることができるが、歯牙の種類については認識していないため、機械学習を行う前では、欠損歯牙の種類に適合した形状を決めることまではできない。しかしながら、図4を参照しながら説明したように、生成部1104は、識別部1106からフィードバックされた識別結果に基づき機械学習を繰り返すことによって、欠損歯牙の種類に適合した形状を決めることができる。
たとえば、6番の第1大臼歯が欠損している場合、生成部1104は、欠損歯牙の番号が6番であることは認識していないため、機械学習を行う前では、6番の第1大臼歯の特徴を有する補綴物の形状を決めることまではできない。しかしながら、生成部1104は、識別部1106からフィードバックされた識別結果に基づき機械学習を繰り返すことによって、やがて欠損歯牙の種類に適合した6番の第1大臼歯の特徴を有する補綴物の形状を決めることができるようになる。
補綴物を適用する患者ごとに、補綴物の大きさ、補綴箇所(欠損歯牙)と隣接歯牙や対向歯牙との位置関係、噛合状態における補綴物と周辺歯牙との接点位置などが異なるため、その患者に最適な補綴物を生成する必要がある。この点に鑑みて、本実施の形態に係る生成部1104は、図5および図6に示すような空間格子を用いることで、補綴箇所(欠損歯牙)とその周辺歯牙との接点に基づいて位置関係を特定し、最適な補綴物の形状を決定することができる。また、補綴物との間で接点が無い部分(たとえば、唇側面、頬側面側、舌側面側、口蓋側面側など)、または接点とすべきでない部分(たとえば、咬合面の溝、小窩など)の形状については、識別部1106による識別結果(歯牙の種類の判定結果)に基づくフィードバックの機械学習によって、最適化することができる。
このように、本実施の形態に係る生成部1104は、空間格子を用いて補綴物の形状を決定する一方で、空間格子を用いることのみでは決定することが困難な箇所については識別部1106による識別結果に基づくフィードバックの機械学習によって、最適な形状を決定するように構成されている。これにより、生成部1104は、患者の口腔内の歯牙の状態に応じて最適な補綴物データを生成することができる。
なお、図示は省略するが、生成部1104は、欠損歯牙と隣合う隣接歯牙、欠損歯牙と対向する対向歯牙、および対向歯牙と隣合う歯牙の他に、上顎の歯列と下顎の歯列とが噛み合った状態における各歯牙、あるいは欠損歯牙の反対側の歯牙の形状や位置に基づいて、補綴物の形状を決めてもよい。
[データ生成装置の実用段階における機能構成]
図7は、本実施の形態に係るデータ生成装置100の実用段階における機能構成を示す模式図である。
図4で説明した学習処理によって、生成部1104における生成モデル114が機械学習される度に、生成モデル114は、より適切な補綴物を作製するための補綴物データを生成できるようになる。生成部1104が基準を満たす適切な補綴物を作製するための補綴物データを生成できるようになると、ユーザは、データ生成装置100を実用段階で使用することになる。つまり、学習済みのデータ生成装置100を搭載したスキャナシステム10が市場に投入されることで、ユーザ1である術者によって実際の患者の補綴物を作製するための補綴物データが取得される。
図7に示すように、実用段階においては、生成モデル114の機械学習を必要としないため、データ生成装置100は、学習処理に係る識別部1106を備えなくてもよい。術者が三次元スキャナ200を用いて実際の患者の口腔内の三次元データを取得すると、取得された三次元データが入力部1102から入力される。生成部1104は、入力部1102から入力された三次元データおよび学習済みの生成モデル114に基づき、補綴物データを生成する。生成部1104によって生成された補綴物データは、歯科技工所または自動製造装置600に送信される。そして、補綴物データに基づき患者の口腔内における欠損箇所に適した補綴物が作製される。なお、補綴物データの生成後に、ユーザが生成された補綴物データを微調整して最終的に補綴物を完成させた場合、完成させた補綴物データを正解データとしてデータ生成モデル114を機械学習させてもよい。
なお、データ生成装置100は、実用段階においても識別部1106を備えていてもよく、さらに、実用段階においても学習処理を実行するものであってもよい。このようにすれば、データ生成装置100を搭載したスキャナシステム10が製品として市場に投入された後であっても、実際の患者の口腔内の三次元データに基づき、生成モデル114を機械学習させることができる。これにより、実用段階において、生成部1104が生成する補綴物データの精度を向上させることができる。
[システムの全体構成]
図8は、本実施の形態に係るシステムの全体構成を示す模式図である。
図8に示すように、スキャナシステム10は、複数のローカルA~Cのそれぞれに配置されている。たとえば、ローカルAおよびローカルBは歯科医院であり、当該歯科医院の院内において、ユーザ1である術者は、スキャナシステム10を利用して対象者2である患者の歯牙を含む三次元データを取得するとともに、補綴物データを生成する。また、ローカルCは歯科大学であり、当該歯科大学において、ユーザ1である先生や生徒は、対象者2である被験者の口腔内の三次元データを取得するとともに、補綴物データを生成する。ローカルA~Cのそれぞれで取得された口腔内の三次元データおよび補綴物データは、ネットワーク5を介して、ローカルDである歯科技工所に送信される。
なお、ローカルA~Cのそれぞれで取得された口腔内の三次元データおよび補綴物データは、ネットワーク5を介して、管理センターに配置されたサーバ装置500に出力されてもよい。管理センターにおいては、サーバ装置500が、ローカルA~Cのそれぞれから取得した三次元データおよび補綴物データを蓄積して記憶し、ビッグデータとして保持する。
なお、サーバ装置500は、歯科医院などのローカルとは異なる管理センターに配置されるものに限らず、ローカル内に配置されてもよい。たとえば、ローカルA~Cのうちのいずれかのローカル内にサーバ装置500が配置されてもよい。また、1つのローカル内に複数のデータ生成装置100が配置されてもよく、さらに、当該1つのローカル内に当該複数のデータ生成装置100と通信可能なサーバ装置500が配置されてもよい。また、サーバ装置500は、クラウドサービスの形態で実現されてもよい。
歯科技工所においては、ローカルA~Cのように、様々な所から口腔内の三次元データおよび補綴物データが集約される。このため、歯科技工所で保持されている口腔内の三次元データおよび補綴物データは、ネットワーク5を介して管理センターに送信されてもよいし、あるいは、CD(Compact Disc)およびUSB(Universal Serial Bus)メモリなどのリムーバブルディスク550を介して管理センターに送られてもよい。
なお、ネットワーク5を介さずに、ローカルA~Cのそれぞれからも、リムーバブルディスク550を介して口腔内の三次元データおよび補綴物データが管理センターに送られてもよい。また、ローカルA~Cのそれぞれの間においても、ネットワーク5またはリムーバブルディスク550を介して口腔内の三次元データおよび補綴物データを互いに送り合ってもよい。
各ローカルA~Cのデータ生成装置100が保持する生成モデル114は、各ローカルA~Cのデータ生成装置100間で共通化されてもよい。
また、サーバ装置500が補綴物データ生成処理の機能を有していてもよい。たとえば、各ローカルA~Cは、取得した口腔内の三次元データをサーバ装置500に送信し、サーバ装置500は、各ローカルA~Cから受信したそれぞれの三次元データと、自身が保持する生成モデルとに基づき、それぞれにおける補綴物データを生成してもよい。そして、サーバ装置500は、各ローカルA~Cまたは歯科技工所に補綴物データを送信してもよい。このように、各ローカルA~Cのデータ生成装置100は、サーバ装置500が保持する生成モデルをクラウドサービスの形態で共有してもよい。このようにすれば、各ローカルA~Cは、三次元データをサーバ装置500に送信するだけで、サーバ装置500に補綴物データを生成させることができる。
さらに、各ローカルA~Cのデータ生成装置100は、互いに送り合った三次元データに基づき、識別モデル116を機械学習してもよい。
各ローカルA~Cのデータ生成装置100が保持する識別モデル116は、各ローカルA~Cのデータ生成装置100間で共通化されてもよい。
また、サーバ装置500がデータ生成装置100における識別処理の機能を有していてもよい。たとえば、各ローカルA~Cは、生成した補綴物データをサーバ装置500に送信し、サーバ装置500は、各ローカルA~Cから受信したそれぞれの補綴物データと、自身が保持する識別モデルとに基づき、それぞれにおける歯牙の種類の識別結果を算出してもよい。そして、サーバ装置500は、それぞれの識別結果を各ローカルA~Cに送信し、各ローカルA~Cは、サーバ装置500から受信した識別結果を生成部1104にフィードバックしてもよい。このように、各ローカルA~Cのデータ生成装置100は、サーバ装置500が保持する識別モデルをクラウドサービスの形態で共有してもよい。このようにすれば、各ローカルA~Cは、補綴物データをサーバ装置500に送信するだけで、サーバ装置500に補綴物データが適切か否かを識別させることができる。
[データ生成装置のハードウェア構成]
図9は、本実施の形態に係るデータ生成装置100のハードウェア構成を示す模式図である。データ生成装置100は、たとえば、汎用コンピュータで実現されてもよいし、スキャナシステム10専用のコンピュータで実現されてもよい。
図9に示すように、データ生成装置100は、主なハードウェア要素として、スキャナインターフェース102と、ディスプレイインターフェース103と、周辺機器インターフェース105と、ネットワークコントローラ106と、メディア読取装置107と、PCディスプレイ108と、メモリ109と、ストレージ110と、演算装置130とを備える。
スキャナインターフェース102は、三次元スキャナ200を接続するためのインターフェースであり、データ生成装置100と三次元スキャナ200との間のデータの入出力を実現する。
ディスプレイインターフェース103は、ディスプレイ300を接続するためのインターフェースであり、データ生成装置100とディスプレイ300との間のデータの入出力を実現する。ディスプレイ300は、たとえば、LCD(Liquid Crystal Display)または有機ELD(Electroluminescence Display)などで構成される。
周辺機器インターフェース105は、キーボード601およびマウス602などの周辺機器を接続するためのインターフェースであり、データ生成装置100と周辺機器との間のデータの入出力を実現する。
ネットワークコントローラ106は、ネットワーク5を介して、歯科技工所に配置された装置、管理センターに配置されたサーバ装置500、自動製造装置600、および他のローカルに配置された他のデータ生成装置100のそれぞれとの間でデータを送受信する。ネットワークコントローラ106は、たとえば、イーサネット(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)などの任意の通信方式に対応する。
メディア読取装置107は、三次元データおよび補綴物データなどの各種データを、リムーバブルディスク550に書き出したり、リムーバブルディスク550から読み出したりする。
PCディスプレイ108は、データ生成装置100専用のディスプレイである。PCディスプレイ108は、たとえば、LCDまたは有機ELディスプレイなどで構成される。なお、本実施の形態においては、PCディスプレイ108は、ディスプレイ300と別体であるが、ディスプレイ300と共通化されてもよい。
メモリ109は、演算装置130が任意のプログラムを実行するにあたって、プログラムコードやワークメモリなどを一時的に格納する記憶領域を提供する。メモリ109は、たとえば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性メモリデバイスで構成される。
ストレージ110は、識別処理、学習処理、および補綴物データ生成処理などに必要な各種のデータを格納する記憶領域を提供する。ストレージ110は、たとえば、ハードディスクまたはSSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリデバイスで構成される。
ストレージ110は、スキャン情報112と、生成モデル114と、識別モデル116と、生成条件データ119と、識別用プログラム120と、学習用プログラム121と、データ生成用プログラム125と、OS(Operating System)127とを格納する。
スキャン情報112は、三次元スキャナ200によって取得された口腔内の三次元データ122と、当該三次元データ122に基づき実行された識別処理による識別結果124と、補綴物データ生成処理により生成された補綴物データ123とを含む。識別結果124および補綴物データ123は、三次元データ122に関連付けられてストレージ110に格納される。
識別用プログラム120は、識別処理を実行するためのプログラムである。学習用プログラム121は、生成モデル114の学習処理を実行するためのプログラムである。データ生成用プログラム125は、補綴物データ生成処理を実行するためのプログラムである。
生成条件データ119は、補綴物データ生成処理において補綴物データを生成する際に参照されるデータであり、三次元スキャナ200によって取得された口腔内の三次元データに基づき特定される欠損箇所と隣合う隣接歯牙、欠損箇所と対向する対向歯牙、または対向歯牙と隣合う歯牙の形状に基づいて補綴物の形状を決めるための条件を特定するためのデータを含む。たとえば、図5および図6を参照しながら説明したように、生成条件データ119は、空間格子(三次元格子)を規定するための条件、隣接歯牙、対向歯牙、および対向歯牙と隣合う歯牙の形状を特定するための条件、および補綴物の形状を決定するための条件などを含む。なお、参照されるデータには、欠損歯牙のマージンを特定するためのデータが含まれてもよい。
演算装置130は、各種のプログラムを実行することで、識別処理、学習処理、および補綴物データ生成処理などの各種の処理を実行する演算主体であり、コンピュータの一例である。演算装置130は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)132、FPGA(Field-Programmable Gate Array)134、およびGPU(Graphics Processing Unit)136などで構成される。
[学習処理のフローチャート]
図10は、本実施の形態に係るデータ生成装置100が実行する学習処理を説明するためのフローチャートである。図10に示す各ステップは、データ生成装置100の演算装置130が、OS127、識別用プログラム120、学習用プログラム121、およびデータ生成用プログラム125などを実行することで実現される。
図10に示すように、データ生成装置100は、学習処理の開始条件が成立したか否かを判定する(S1)。開始条件は、たとえば、データ生成装置100において学習処理を実行するための何らかのアクションが行われたときに成立するものであればよい。たとえば、学習アプリケーションの学習開始アイコンがユーザによって操作されたことを開始条件としてもよい。
データ生成装置100は、開始条件が成立していない場合(S1でNO)、本処理を終了する。一方、データ生成装置100は、開始条件が成立した場合(S1でYES)、三次元データが入力されたか否かを判定する(S2)。たとえば、データ生成装置100は、補綴物データを生成するのに十分な量の三次元データが入力されたか否かを判定する。データ生成装置100は、十分な量の三次元データが入力されていない場合(S2でNO)、S2の処理を繰り返す。
一方、データ生成装置100は、十分な量の三次元データが入力された場合(S2でYES)、生成条件データ119を読み出す(S3)。その後、データ生成装置100は、入力された三次元データおよび生成モデル114に基づき、生成条件データ119によって特定される生成条件に従って、補綴物データを生成する(S4)。
次に、データ生成装置100は、機械学習済みの識別モデル116に基づき、生成した補綴物データに基づき作製される補綴物の歯牙の種類を推定する(S5)。次に、データ生成装置100は、S5において得られた補綴物の歯牙の種類の推定結果と、正解データとして入力された欠損歯牙の種類とを比較する(S6)。
データ生成装置100は、S5において得られた補綴物の歯牙の種類の推定結果が、正解データとして入力された欠損歯牙の種類と一致するか否かを判定する(S7)。データ生成装置100は、S5において得られた補綴物の歯牙の種類の推定結果が、正解データとして入力された欠損歯牙の種類と一致する場合(S7でYES)、本処理を終了する。
一方、データ生成装置100は、S5において得られた補綴物の歯牙の種類の推定結果が、正解データとして入力された欠損歯牙の種類と一致しない場合(S7でNO)、生成モデル114を調整する(S8)。たとえば、データ生成装置100は、生成モデル114が含むニューラルネットワークまたはパラメータを調整して生成モデル114の最適化を図る。その後、データ生成装置100は、S4に戻る。
[補綴物データ生成処理のフローチャート]
図11は、本実施の形態に係るデータ生成装置100が実行する補綴物データ生成処理を説明するためのフローチャートである。図11に示す各ステップは、データ生成装置100の演算装置130がOS127、識別用プログラム120、およびデータ生成用プログラム125を実行することで実現される。
図11に示すように、データ生成装置100は、補綴物データ生成処理の開始条件が成立したか否かを判定する(S11)。開始条件は、たとえば、データ生成装置100において補綴物データ生成処理を実行するための何らかのアクションが行われたときに成立するものであればよい。具体的には、開始条件は、三次元スキャナ200の電源を立ち上げたときに成立してもよいし、三次元スキャナ200の電源を立ち上げた後に補綴物データ生成処理に対応するモードに切り替えられたときに成立してもよい。あるいは、開始条件は、補綴物データ生成処理に対応するアイコン(たとえば、AIアシストアイコン)が操作されてアイコンが点滅状態になった後に開始スイッチが操作されたときに成立してもよい。
データ生成装置100は、開始条件が成立していない場合(S11でNO)、本処理を終了する。一方、データ生成装置100は、開始条件が成立した場合(S11でYES)、三次元データが入力されたか否かを判定する(S12)。たとえば、データ生成装置100は、補綴物データを生成するのに十分な量の三次元データが入力されたか否かを判定する。データ生成装置100は、十分な量の三次元データが入力されていない場合(S12でNO)、S12の処理を繰り返す。
一方、データ生成装置100は、十分な量の三次元データが入力された場合(S12でYES)、生成条件データ119を読み出す(S13)。その後、データ生成装置100は、入力された三次元データおよび生成モデル114に基づき、生成条件データ119によって特定される生成条件に従って、補綴物データを生成する(S14)。
次に、データ生成装置100は、生成した補綴物データを、歯科技工所、自動製造装置600、またはサーバ装置500に出力する(S15)。その後、データ生成装置100は、本処理を終了する。
[主な構成]
以上のように、本実施の形態では以下のような開示を含む。
データ生成装置100は、少なくとも欠損した歯牙である欠損歯牙を含む三次元データが入力される入力部1102と、入力部1102から入力された三次元データおよび生成モデル114に基づき、欠損歯牙の欠損箇所に適合する補綴物を作製するための補綴物データを生成する生成部1104とを備える。生成モデル114は、生成部1104によって生成された補綴物データが適切か否かの識別結果に基づき、機械学習される。
これにより、データ生成装置100は、三次元データに基づき生成した補綴物データが適切か否かの識別結果を利用して生成モデル114を機械学習させることによって、より適切な補綴物データを生成することができるようになる。したがって、ユーザ1は、データ生成装置100を利用することによって、補綴物データを自らデジタル設計する必要が無く、より簡単に適切な補綴物を得ることができる。
データ生成装置100は、生成部1104によって生成された補綴物データが適切か否かを識別する識別部1106を備える。識別部1106は、生成部1104によって生成された補綴物データに対応する歯牙の種類を推定し、当該歯牙の種類の推定結果と、欠損箇所に対応する歯牙の種類とに基づき、当該補綴物データが適切か否かを識別する。
これにより、データ生成装置100は、三次元データに基づき生成した補綴物データに対応する歯牙の種類の推定結果と、欠損箇所に対応する歯牙の種類とに基づき、補綴物データが適切か否かを識別することで、生成モデル114を機械学習させることができるため、欠損歯牙の種類に適合した適切な補綴物データを生成することができるようになる。したがって、ユーザ1は、データ生成装置100を利用することによって、欠損箇所に対応する歯牙の種類を自ら特定する必要が無く、より簡単に適切な補綴物を得ることができる。
識別部1106は、生成部1104によって生成された補綴物データおよび識別モデル116に基づき、当該補綴物データに対応する歯牙の種類を推定し、識別モデル116は、少なくとも歯牙を含む三次元データを用いた歯牙の種類の推定結果と、当該三次元データに対応する歯牙の種類とに基づき機械学習される。
これにより、データ生成装置100は、三次元データを用いた歯牙の種類の推定結果と、当該三次元データに対応する歯牙の種類とに基づき、識別モデル116を機械学習させることができるため、識別モデル116を利用した生成モデル114の機械学習の精度をより向上させることができる。
入力部1102から入力された三次元データは、欠損箇所と隣合う歯牙、欠損箇所と対向する歯牙、欠損箇所と対向する歯牙と隣合う歯牙、上顎の歯列と下顎の歯列とが噛み合った状態における各歯牙、および欠損箇所に対応する欠損歯牙の反対側の歯牙の少なくともいずれか1つの三次元データをさらに含む。
これにより、データ生成装置100は、隣接歯牙、対向歯牙、上顎の歯列と下顎の歯列とが噛み合った状態における各歯牙、および欠損箇所に対応する欠損歯牙の反対側の歯牙の少なくともいずれか1つの三次元データに基づき、これらの歯牙の形状および位置を考慮して補綴物の形状を決めることができる。したがって、ユーザ1は、欠損箇所の周辺に位置する歯牙の形状および位置に基づき、より適切な補綴物を得ることができる。
入力部1102には、欠損歯牙におけるマージンの位置データが入力される。これにより、データ生成装置100は、欠損歯牙のマージンを考慮して、補綴物の形状を決めることができるため、ユーザ1は、より適切な補綴物を得ることができる。
生成部1104は、所定の生成条件に従って、入力部1102から入力された三次元データおよび生成モデル114に基づき、前記補綴物データを生成する。さらに、所定の生成条件は、入力部から入力された三次元データに基づき特定される欠損箇所と隣合うまたは対向する歯牙の形状に基づいて補綴物の形状を決めるための条件を含む。
これにより、データ生成装置100は、入力された三次元データに基づき特定される欠損箇所と隣合うまたは対向する歯牙の形状に基づいて補綴物の形状を決めるための条件に従って、補綴物データを生成することができるため、予め定められた条件に従うことなく補綴物の形状を決めるよりも、効率良くかつより適切な補綴物データを生成することができる。
入力部1102から入力された三次元データは、欠損歯牙と、欠損歯牙に隣接する歯牙と、欠損歯牙と対向する歯牙とを少なくとも含む歯列の三次元データであり、生成部1104は、歯列の三次元データによって特定される三次元空間における欠損歯牙、欠損歯牙と隣合う歯牙、および欠損歯牙と対向する歯牙の三次元位置を規定する空間格子に基づき、補綴物データを生成する。
これにより、データ生成装置100は、三次元空間における欠損歯牙および欠損歯牙と隣合う歯牙の三次元位置を規定する空間格子に基づいて、補綴物データを生成することができるため、補綴箇所(欠損歯牙)とその周辺歯牙との接点に基づいて位置関係を特定し、最適な補綴物の形状を決定することができる。
スキャナシステム10は、三次元カメラを用いて少なくとも欠損した歯牙である欠損歯牙を含む三次元データを取得する三次元スキャナ200と、三次元スキャナ200によって取得された三次元データに基づき、欠損歯牙の欠損箇所に適合する補綴物を作製するための補綴物データを生成するデータ生成装置100とを備える。データ生成装置100は、三次元データが入力される入力部1102と、入力部1102から入力された三次元データおよび生成モデル114に基づき、欠損箇所に適合する補綴物を作製するための補綴物データを生成する生成部1104とを含む。生成モデル114は、生成部1104によって生成された補綴物データが適切か否かの識別結果に基づき、機械学習される。
これにより、スキャナシステム10のデータ生成装置100は、三次元データに基づき生成した補綴物データが適切か否かの識別結果を利用して生成モデル114を機械学習させることによって、より適切な補綴物データを生成することができるようになる。したがって、ユーザ1は、スキャナシステム10のデータ生成装置100を利用することによって、補綴物データを自ら生成する必要が無く、より簡単に適切な補綴物を得ることができる。
データ生成方法は、少なくとも欠損した歯牙である欠損歯牙を含む三次元データが入力されるステップ(S12)と、三次元データおよび生成モデル114に基づき、欠損歯牙の欠損箇所に適合する補綴物を作製するための補綴物データを生成するステップ(S14)とを含む。生成モデル114は、生成するステップによって生成された補綴物データが適切か否かの識別結果に基づき、機械学習される。
これにより、データ生成方法によれば、三次元データに基づき生成した補綴物データが適切か否かの識別結果を利用して生成モデル114を機械学習させることによって、より適切な補綴物データを生成することができるようになる。したがって、ユーザ1は、データ生成方法を利用することによって、補綴物データを自ら生成する必要が無く、より簡単に適切な補綴物を得ることができる。
データ生成用プログラム125は、コンピュータ(演算装置)130に、少なくとも欠損した歯牙である欠損歯牙を含む三次元データが入力されるステップ(S12)と、三次元データおよび生成モデル114に基づき、欠損歯牙の欠損箇所に適合する補綴物を作製するための補綴物データを生成するステップ(S14)とを実行させる。生成モデル114は、生成するステップによって生成された補綴物データが適切か否かの識別結果に基づき、機械学習される。
これにより、データ生成用プログラム125によれば、三次元データに基づき生成した補綴物データが適切か否かの識別結果を利用して生成モデル114を機械学習させることによって、より適切な補綴物データを生成することができるようになる。したがって、ユーザ1は、データ生成方法を利用することによって、補綴物データを自ら生成する必要が無く、より簡単に適切な補綴物を得ることができる。
[変形例]
本発明は、上記の実施例に限られず、さらに種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な変形例について説明する。
(学習処理)
本実施の形態に係るデータ生成装置100は、図4に示すように、少なくとも欠損歯牙(欠損箇所)を含む三次元データが入力され、入力された三次元データに基づき欠損歯牙を補う補綴物を作製するための補綴物データを生成するように構成されていた。このとき、データ生成装置100は、図5および図6に示すように、隣接歯牙および対向歯牙など、周辺の歯牙の形状および位置に適合するように補綴物の形状を決定していた。
つまり、本実施の形態に係るデータ生成装置100は、補綴物の形状については、正解データが無い状態で機械学習を行うものであった。ここで、図12は、変形例に係るデータ生成装置の学習段階における機能構成を示す模式図である。図12に示すように、変形例に係るデータ生成装置100aは、予め形状が決まっている任意の歯牙を欠損歯牙とみなして、当該任意の歯牙以外の歯牙を含む歯列の三次元データに基づき、当該任意の歯牙に対応する補綴物を作製するための補綴物データを生成してもよい。さらに、任意の歯牙を除かない歯列の三次元データを正解データとして、生成モデル114aが機械学習されてもよい。
具体的には、図12に示すように、データ生成装置100aにおいて、入力部1102aには、三次元データとして、任意の歯牙を除く、当該任意の歯牙以外の歯牙を含む歯列の三次元データが入力される。生成部1104aは、入力部1102aから入力された三次元データおよび生成モデル114aに基づき、除かれた任意の歯牙に適合する補綴物を作製するための補綴物データを生成する。なお、入力部1102aに入力される三次元データは、任意の歯牙を除くデータに限らず、任意の歯牙を指定したデータであってもよい。この場合、指定された任意の歯牙と隣合う隣接歯牙、任意の歯牙と対向する対向歯牙、または、対向歯牙と隣合う歯牙に基づいて、生成部1104aが補綴物データを生成する。つまり、任意の歯牙を指定する場合、生成部1104aは指定された任意の歯牙を考慮するのではなく、その周辺の歯牙を考慮して、任意の歯牙の補綴物データを生成することになる。
識別部1106aは、生成部1104aによって生成された補綴物データと、ユーザ1によって入力された正解データとに基づき、当該補綴物データが適切か否かを識別する。具体的には、識別部1106aは、生成部1104aによって生成された補綴物データに基づき作製される補綴物の形状が、正解データとして入力された任意の歯牙の形状と一致するか否かを識別する。
識別部1106aによって得られた識別結果は、生成部1104aにフィードバックされる。生成モデル114aは、識別部1106aからフィードバックされた識別結果に基づき、機械学習される。
たとえば、生成モデル114aは、図示しないニューラルネットワークと、当該ニューラルネットワークによって用いられるパラメータとを含む。機械学習において、生成モデル114aは、識別結果に基づき、自身が生成した補綴物データに対応する補綴物の形状が、正解データである任意の歯牙の形状と一致すると判定すればパラメータを更新しない一方で、一致しないと判定すれば、両者が一致するようにパラメータを更新することで、パラメータを最適化する。このように、生成モデル114aは、パラメータが最適化されることで機械学習される。なお、生成モデル114aにおいて、パラメータが更新されるものに限らず、ニューラルネットワーク(たとえば、ニューラルネットワークのアルゴリズム)が更新されるものであってもよい。
データ生成装置100aにおいては、入力部1102aに入力される三次元データとして、任意の歯牙を順次変更することで、歯列に含まれる各歯牙について、生成部1104aによる補綴物データの生成、識別部1106aによる補綴物データの識別、および識別部1106aによってフィードバックされた識別結果に基づく生成モデル114aの機械学習が繰り返される。これにより、歯列に含まれる各歯牙の形状について、歯列に含まれる各歯牙について、当該各歯牙に隣合う隣接歯牙の形状を考慮しながら、生成モデル114aは、各歯牙の形状を機械学習することができる。
このように、データ生成装置100aは、生成部1104aによって生成された補綴物データが適切か否かを識別する識別部1106aを備える。生成モデル114aの学習段階において、生成部1104aは、任意の歯牙を除く歯列の三次元データおよび生成モデル114aに基づき、当該任意の歯牙に対応する補綴物を作製するための補綴物データを生成する。識別部1106aは、生成部1104aによって生成された補綴物データと、任意の歯牙の三次元データとに基づき、当該補綴物データが適切か否かを識別する。
これにより、データ生成装置100aは、任意の歯牙を除く歯列の三次元データに基づき生成した補綴物データに対応する補綴物の形状と、正解データである任意の歯牙の形状とに基づき、補綴物データが適切か否かを識別することで、生成モデル114aを機械学習させることができるため、任意の歯牙の形状に適合した適切な補綴物データを生成することができるように、その生成能力を向上させることができる。したがって、ユーザ1は、予め形状が決まっている歯牙の形状に基づき、より効率良く生成モデル114aを機械学習させることができる。
また、生成部1104aは、歯列において任意の歯牙を順次変更することで、各歯牙について補綴物データを生成する。識別部1106aは、各歯牙について、生成部1104aによって生成された補綴物データが適切か否かを識別する。
これにより、データ生成装置100aは、歯列に含まれる各歯牙の形状について、生成モデル114aを機械学習させることができるため、各歯牙の形状に適合した適切な補綴物データを生成することができるように、その生成能力を向上させることができる。
さらに、このような歯列のサンプルを多数準備して、各サンプルについて、図12に示すような機械学習を行えば、データ生成装置100aは、より適切な補綴物データを生成することができる。
(入力されるデータ)
データ生成装置100において、歯列の三次元データとともに、当該歯列の所有者である対象者2の属性データが入力されるものであってもよい。属性データには、年齢、性別、人種、身長、体重、および居住地など、対象者2に関する属性情報(プロファイル)が含まれる。さらに、データ生成装置100は、対象者2に関する属性情報(プロファイル)を考慮して、補綴物データを生成してもよい。
一般的に歯牙の形状は、年齢、性別、人種、身長、体重、および居住地など、遺伝または生活環境などに依存してその特徴が異なる。たとえば、一般的に、大人の永久歯は、子供の乳歯よりも大きく、両者でその形状が異なる。また、一般的に、男性の歯牙は、女性の歯牙よりも大きく、両者でその形状が異なる。また、一般的に、欧米人の歯牙は、硬い肉やパンを噛み切り易いように先端が尖る傾向があるのに対して、日本人の歯牙は、柔らかい米や野菜をすり潰し易いように先端が滑らかになる傾向がある。このため、属性情報(プロファイル)に基づき生成モデル114を機械学習させれば、遺伝または生活環境などを考慮して対象者2に関する属性情報(プロファイル)に適合した補綴物を作製するための補綴物データを生成することができる。
また、データ生成装置100において、歯列の三次元データとともに、隣接歯牙および対向歯牙の少なくともいずれか一方における咬合運動に関する運動データが入力されるものであってもよい。咬合運動には、たとえば、食べ物を潰すための下顎の上下運動、食べ物をすり潰すための下顎の前後運動などが含まれる。さらに、データ生成装置100は、隣接歯牙および対向歯牙の少なくともいずれか一方における咬合運動を考慮して、補綴物データを生成してもよい。
このように、入力部1102には、下顎が運動した場合における当該下顎の運動データが入力されてもよい。このようにすれば、下顎の運動データを考慮して、補綴物の形状を決めることができるため、ユーザ1は、より適切な補綴物を得ることができる。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。なお、本実施の形態で例示された構成および変形例で例示された構成は、適宜組み合わせることができる。