(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る防災機器1は、図1及び図2に示すように、表示灯付き発信機10である。表示灯付き発信機10(防災機器1)は、発信機2と、表示灯3と、を備えている。本開示でいう「防災機器」は、例えば、火災等の災害の防止、災害による被害の拡大の防止、又は被災からの復旧等の目的で施設に設置される機器である。
このような防災機器1(表示灯付き発信機10)は、施設に用いられる。本実施形態では、防災機器1が、例えば、オフィスビル、学校、福祉施設、商業施設、テーマパーク、病院、ホテル又は工場等の非住宅の施設に用いられる場合を例示するが、この例に限らず、防災機器1は、集合住宅又は戸建住宅等の施設に用いられてもよい。防災機器1は、屋内での使用に限らず、例えば、公園又はグランド等の屋外施設における特定の空間で使用されてもよい。
防災機器1は、取付対象4に取り付けられた状態で施設に設置される。取付対象4は、図3に示すように、前後方向に貫通する取付孔41が形成された板状の部材(板材)である。本実施形態では一例として、取付対象4は枠状の取付アダプタである。
本実施形態に係る防災機器1の表示灯3は、以下の構成を採用している。すなわち、表示灯3は、図12及び図14に示すように、正面視において環状の発光部31と、光を出力する光源部37と、導光部材38と、を備えている。導光部材38は、光源部37の出力光を発光部31に導くことにより、発光部31を発光させる。
この構成によれば、正面視において環状の発光部31を発光させながらも、光源部37の出力光が発光部31に直接的に入射するのではなく、導光部材38を介して発光部31に入射するので、発光部31の周方向において比較的均一な発光状態を実現可能である。すなわち、光源部37が発光部31を後方から直接的に照らす構成に比べて、正面視において、光源部37が存在する位置と光源部37が存在しない位置との間で輝度差が生じにくいため、いわゆる「つぶつぶ感」が生じにくい。その結果、発光部31の周方向における輝度のばらつきを小さく抑えることができる、という利点がある。
(2)構成
以下、本実施形態に係る防災機器1(表示灯付き発信機10)の構成について説明する。
(2.1)全体構成
防災機器1は、図1~図4Cに示すように、発信機2と、表示灯3と、を備えた表示灯付き発信機10である。
防災機器1は、取付対象4としての板材と共に防災機器取付構造100を構成する。つまり、防災機器取付構造100は、防災機器1と、取付対象4としての板材(取付アダプタ)と、を備えている。また、防災機器取付構造100は、図5に示すように、筐体51と共に機器収容箱5を構成する。つまり、機器収容箱5は、防災機器取付構造100(防災機器1及び取付対象4)と、筐体51と、を備えている。
すなわち、本実施形態に係る機器収容箱5は、発信機2及び表示灯3を一つの筐体51に収容している。筐体51には、発信機2及び表示灯3の他、例えば、音響装置52が収容される。筐体51は、前後方向にへん平な直方体状であって、例えば、施設の壁等に設置される。筐体51は、壁等に対して、筐体51の後部が埋め込まれた状態で設置(埋込設置)されてもよいし、筐体51の略全体が露出した状態で設置(露出設置)されてもよい。機器収容箱5は、例えば、消火栓及び消火器等の消火設備を格納するボックス(消火栓格納箱等)と一体化されていてもよい。
本実施形態に係る防災機器1は、自動火災報知システムの構成要素に含まれる。自動火災報知システムは、例えば、熱感知器、煙感知器又は炎感知器等の感知器と、感知器からの発報信号(火災信号)を受信する受信機と、を備えている。自動火災報知システムにおいては、例えば、感知器にて火災の発生が検知されると、感知器から受信機へ火災発生を通知する発報信号(火災信号)が送信される。
発信機2は、押ボタン22を有し、人が火災を発見した場合に押ボタン22を手動で操作することにより、受信機等に対して火災発生を通知する発報信号(火災信号)の送信を行う機器である。表示灯3は、常時点灯することで、例えば、発信機2及び消火栓等の位置を明示するための機器である。
防災機器1が取り付けられる取付対象4は、取付孔41が形成された板状の部材(板材)であって、本実施形態では一例として、取付対象4は機器収容箱5(図5参照)の筐体51(図5参照)に固定される金属製の取付アダプタである。つまり、防災機器1は、取付対象4である取付アダプタを介して、筐体51に取り付けられることになる。以下、防災機器1が筐体51に取り付けられた状態での、水平面に対して垂直な(直交する)方向を「上下方向」とし、上下方向における下方(鉛直)を「下方」として説明する。また、取付対象4の厚み方向を「前後方向」とし、取付対象4から見て後述の挟み片13側を「後方」として説明する。さらに、防災機器1を正面から見て右方を「右方」、左方を「左方」として説明する。図面中の「上下方向」、「前後方向」、及び「左右方向」を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。ただし、これらの方向は防災機器1の使用方向(取付方向)を限定する趣旨ではない。例えば、ここで規定した「前方」が、実際の防災機器1の設置状態では下方(鉛直)であってもよい。
発信機2は、正面視円形状のケース21と、ケース21の前面211に配置される押ボタン22と、を備えている。
表示灯3は、発信機2のケース21の前面211を囲む環状の発光部31を有している。本開示でいう「環状」は、ケース21の前面211を概ね囲む形状であればよく、ケース21の前面211の周方向の全長に亘って連続する閉ループ形状に限らず、例えば、周方向の一部が開放された形状であってもよい。さらに、「環状」は、円形状(円環状)に限らず、例えば、楕円形状及び多角形状等であってもよい。
表示灯3は、発信機2と組み合わせされることにより、防災機器1(表示灯付き発信機10)を構成する。ここで、表示灯3は、発光部31の内側に、凹部32(図3参照)を有している。表示灯3が発信機2と組み合わされた状態では、凹部32に、ケース21の外周部からなるフランジ部212(図6参照)が収納される。これにより、正面視においては、表示灯3の発光部31で囲まれた領域に、発信機2が位置することとなり、発光部31が発光、つまり表示灯3が点灯することで、発信機2の位置が明示される。
防災機器1は、発信機2及び表示灯3が組み合わされた状態で取付対象4に取り付けられている。取付対象4への防災機器1の取付手順の概要としては、取付孔41が形成された板状の取付対象4に対して、まずは表示灯3が取り付けられる。表示灯3が取付対象4に固定された後、表示灯3に対して発信機2が取り付けられる。これにより、発信機2が表示灯3に組み合わされて発信機2及び表示灯3が一体化された状態で、防災機器1が取付対象4に取り付けられる。
ところで、上述したように、防災機器1は、機器収容箱5の筐体51に対して直接的に取り付けられるのではなく、取付対象4である取付アダプタを介して間接的に筐体51に取り付けられる。筐体51の前壁511には、前壁511を前後方向に貫通する貫通孔512が形成されている。取付対象4は、枠状であって、前壁511における貫通孔512の周囲に固定される。
具体的には、図3に示すように、前壁511の貫通孔512は円形状に形成されており、取付対象4である取付アダプタは、円環状に形成されている。取付対象4の外径は貫通孔512の内径よりも大きく、取付対象4の内径(つまり取付孔41の内径)は貫通孔512の内径よりも小さく設定されている。言い換えれば、取付対象4は、貫通孔512よりも一回り小さい円形状の取付孔41を有している。取付対象4は、前壁511の後面における貫通孔512の周囲から後方に突出する複数(本実施形態では4つ)のスタッドボルト513にて、前壁511に対して固定される。つまり、取付対象4における複数のスタッドボルト513に対応する位置には複数(本実施形態では4つ)の固定用孔42が形成されている。複数のスタッドボルト513が複数の固定用孔42に挿通された状態で、複数のスタッドボルト513に複数(本実施形態では4つ)のナット514を嵌め合せる(螺合させる)ことにより、取付対象4が前壁511の後面に固定される。
ここで、取付対象4の前面と前壁511の後面との間には、防水用の第1パッキン61(図1参照)が適宜配置される。第1パッキン61は、取付対象4と同様の円環状に形成されており、取付対象4及び前壁511のいずれかに固定されていてもよい。図3では、第1パッキン61の図示を省略している。
取付対象4は、平板状ではなく、取付孔41の周囲に、他の部位よりも後方に窪んだ座繰り部43を有している。言い換えれば、取付対象4の前面は、取付孔41の周囲のみが窪んだ形状を有し、座繰り部43の前面は、取付対象4における座繰り部43以外の部位の前面に比べて後方に位置する。防災機器1は、正面視において、この座繰り部43内に収まるように、取付対象4に取り付けられる。詳しくは「(3)取付方法」の欄で後述するが、防災機器1は、取付対象4における座繰り部43の底部を、鍔片11と挟み片13とで挟むことにより取付対象4に取り付けられる。
ここで、取付対象4の前面と防災機器1の鍔片11の後面との間には、防水用の第2パッキン62(図13参照)が適宜配置される。第2パッキン62は、取付対象4と同様の円環状に形成されており、取付対象4及び防災機器1のいずれかに固定されていてもよい。図3では、第2パッキン62の図示を省略している。
(2.2)発信機
次に、本実施形態に係る防災機器1(表示灯付き発信機10)における発信機2の構成について説明する。
発信機2は、図6に示すように、ケース21と、押ボタン22と、回路ブロック23と、を備えている。
ケース21は、円形状の前面211を有している。ケース21は、ボディ24と、カバー25と、を有している。ボディ24は、取付対象4に固定される。カバー25は、ボディ24の前面に取り付けられる。ただし、本実施形態では、ボディ24は、取付対象4に対して直接的に固定されるわけではなく、表示灯3に固定されることによって、取付対象4に対して間接的に固定される。さらに、カバー25は、ケース21の前面211を含んでいる。つまり、カバー25の前面がケース21の前面211を構成する。
押ボタン22は、ケース21の前面211に配置される操作面221を有している。押ボタン22は、操作面221が後方に比較的強く押されることをもって操作される。押ボタン22の操作面221は、ケース21の前面211の中心に配置されている。本実施形態では、押ボタン22の操作面221は、ケース21の前面211に比べて径が小さい円形状である。さらに、本実施形態では、図4Aに示すように、押ボタン22の操作面221の中心点とケース21の前面211の中心点とが一致する。つまり、押ボタン22の操作面221は、ケース21の前面211の同心円状である。
押ボタン22は、定常位置と操作位置との間で移動可能に構成されている。押ボタン22が定常位置にある状態では、図6に示すように、押ボタン22の操作面221はケース21の前面211と略面一になる。押ボタン22が定常位置にある状態で、操作面221が後方に押されることにより、押ボタン22は操作位置に移動する。押ボタン22が操作位置にある状態では、図7Aに示すように、押ボタン22の操作面221はケース21の前面211に対して後方に窪むことになる。押ボタン22は、自己保持型のボタンであって、一旦、操作位置に移動すると、自動的には定常位置に復帰せず、後述する操作片213が操作されることをもって定常位置に復帰する。
回路ブロック23は、プリント配線板に種々の電子部品が実装されて構成されている。回路ブロック23は、例えば、スイッチ、LED(Light Emitting Diode)及び端子部品等を含んでいる。スイッチは押ボタン22に連動しており、押ボタン22が定常位置にあればスイッチはオフ、押ボタン22が操作位置にあればスイッチはオンになる。LEDは、スイッチがオンである期間に点灯(発光)する。本実施形態では、押ボタン22は透光性を有しており、LEDの光は押ボタン22を通して前方に出力される。回路ブロック23の端子部品は受信機等に接続される電線を機械的かつ電気的に接続するための部品である。本実施形態では、回路ブロック23の端子部品は、差込式の端子であって、電線が挿入されることにより電線の接続が行われる、いわゆる速結端子を構成する。
また、ケース21は、図7Bに示すように、操作片213と、接続部214と、の少なくとも一方を収納する収納部28を有している。収納部28は、ケース21の前面211の一部に開口面281を有する。操作片213は、押ボタン22の操作状態を解除するためのボタンであって、上述したように、操作片213が操作されることをもって、操作位置にある押ボタン22が定常位置に復帰(移動)する。つまり、押ボタン22の操作状態(操作位置にある状態)は、操作片213の操作によって解除される。接続部214は、電話機(受話器)接続用のコネクタであり、一例として電話機のミニプラグを差し込むためのジャックである。電話機は、発信機2と受信機等との間で通信を実現するために用いられる。本実施形態では、操作片213及び接続部214の両方が収納部28に収納されている。
本実施形態では、ケース21の前面211の中央部には、前後方向にカバー25を貫通する正面視円形状の開口部251が形成されている。開口部251は、押ボタン22の操作面221を前方に露出させるための孔であって、押ボタン22の操作面221と同様に、ケース21の前面211の同心円状に形成されている。収納部28の開口面281は、ケース21の前面211における開口部251の上方に、開口部251に隣接して配置されている。さらに、収納部28の開口面281とケース21の開口部251との間には、ケース21の前面211に対して後方に窪んだ窪み252が形成されている。これにより、収納部28と開口部251とは窪み252にて繋がっている。
また、発信機2は、蓋体29を更に備えている。蓋体29は、閉位置と開位置との間で移動可能に構成されている。閉位置は、図7Aに示すように、蓋体29が収納部28の開口面281を覆う位置である。開位置は、図7Bに示すように、蓋体29が収納部28の開口面281を開放する位置である。本実施形態では、蓋体29が閉位置にある状態で、図7Aに示すように、蓋体29の前面とケース21の前面211とは平坦である。つまり、蓋体29は、ケース21の前面211から前方に突出するような形状ではなく、ケース21の前面211と蓋体29の前面とは略面一になっている。
蓋体29は、閉位置と開位置との間を移動可能となるように、回転可能な状態でカバー25に保持されている。具体的には、蓋体29は、押ボタン22と収納部28の開口面281とが並ぶ並び方向(上下方向)の両端部に、支点部291及び自由端部292を有している。支点部291は、蓋体29の回転時(移動時)に回転軸となる部位である。すなわち、蓋体29は、支点部291を中心に自由端部292がケース21の前面211との距離を変化させるように回転可能に構成されている。ここで、蓋体29の上端部が支点部291を構成し、蓋体29の下端部が自由端部292を構成する。言い換えれば、蓋体29は、蓋体29の上端部(支点部291)を軸にして縦開きの動作をする。
ここにおいて、図6に示すように、自由端部292は、蓋体29が閉位置にある状態で、上下方向において押ボタン22と突き合わされる。すなわち、収納部28と開口部251とは窪み252にて繋がっているので、蓋体29が閉位置にあり、かつ押ボタン22が定常位置にある場合、蓋体29の下端部(自由端部292)は、押ボタン22の外周面(上面)と突き合わされることになる。したがって、押ボタン22が操作されて操作位置に移動した状態では、人の指が、蓋体29の自由端部292に対しては窪み252を介して開口部251からアクセス可能となる。その結果、蓋体29の前面が平坦でありながらも、自由端部292を手前(前方)に引くことによって蓋体29を開く(開位置に移動させる)操作が容易になる。
以下、発信機2のより詳細な構成について説明する。
ボディ24は、図8及び図9に示すように、第1ボディ241と、第2ボディ242と、内カバー243と、を有している。第1ボディ241は、円盤状に形成されている。第2ボディ242は、直方体状に形成されており、第1ボディ241の中央部から後方に突出する。ここで、第2ボディ242と第1ボディ241とは一体に形成されており、第2ボディ242の矩形状の前面は開放されている。内カバー243は、第2ボディ242の開口(前面)を塞ぐように、第1ボディ241にねじ245(図9参照)にて固定されている。
押ボタン22は、定常位置と操作位置との間を移動可能な状態で、内カバー243に保持されている。回路ブロック23は、第2ボディ242と内カバー243との間に形成される空間に収納されている。第2ボディ242の後面には、回路ブロック23の端子部品に接続する電線を差し込むための端子孔が形成されている。第2ボディ242の後面における端子孔の周辺は、端子孔から第2ボディ242内への水の浸入を防止するための第1防水キャップ71(図2参照)にて覆われている。第1防水キャップ71は適宜省略可能である。
また、第1ボディ241には、第1ボディ241を前後方向に貫通する複数(ここでは2つ)の組立孔244が形成されている。複数の組立孔244は、発信機2を表示灯3に固定する複数(ここでは2つ)の組立ねじ215を通すための孔であって、第1ボディ241の上下方向の両端部に配置されている。すなわち、発信機2は、複数の組立孔244を通して複数の組立ねじ215を表示灯3に嵌め合せる(螺合する)ことにより、ボディ24が表示灯3に固定される。
カバー25は、平板部253と、周壁部254と、を有している。平板部253は、中央部に開口部251を有する円盤状に形成されている。周壁部254は、平板部253の後面における外周縁から後方に突出する。周壁部254は、平板部253の後面における外周縁の全周に亘って形成されている。これにより、カバー25がボディ24に取り付けられた状態では、第1ボディ241の前面が平板部253にて覆われ、第1ボディ241の外周面が周壁部254にて覆われる。
カバー25がボディ24に取り付けられた状態において、第1ボディ241及びカバー25がフランジ部212(図6参照)を構成する。つまり、ケース21の外周部からなるフランジ部212は、ケース21のうち第2ボディ242の前端部から、前後方向に直交する方向(上下方向及び左右方向)に突出した部位である。
ケース21(ボディ24及びカバー25)は、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂、ASA(Acrylonitrile Styrene Acrylate)樹脂、PC/ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)アロイ樹脂、又はABS樹脂等の樹脂製である。本実施形態では一例として、第1ボディ241及び第2ボディ242はPC/ABSアロイ樹脂製であって、内カバー243はABS樹脂製であって、カバー25はASA樹脂製である。
また、ケース21は、図10Aに示すように、ボディ24とカバー25とを機械的に結合する第1結合構造26(結合構造)を更に有している。第1結合構造26は、スナップフィット方式によりボディ24とカバー25とを機械的に結合する。すなわち、第1結合構造26は、ボディ24とカバー25との少なくとも一方の弾性を利用して、ボディ24及びカバー25の一方の凸部を、他方の凹部に嵌め込んで引っ掛けることにより、ボディ24及びカバー25を機械的に結合する。第1結合構造26は収納部28内に収納される。したがって、蓋体29が閉位置にある状態では、第1結合構造26は蓋体29に覆われて正面から見えなくなる。
第1結合構造26は、一対の爪部261と、一対の引掛部262と、を有している。一対の爪部261は、ケース21の前面211に沿う一方向(ここでは左右方向)に並んでいる。一対の引掛部262は、一対の爪部261を引っ掛けるための構造である。ボディ24及びカバー25の一方には一対の爪部261が設けられ、他方には一対の引掛部262が設けられる。本実施形態では、一対の爪部261がカバー25に設けられ、一対の引掛部262がボディ24に設けられている。すなわち、第1結合構造26は、一対の引掛部262に一対の爪部261が引っ掛かることにより、ボディ24及びカバー25を機械的に結合する。
具体的には、一対の爪部261は、図9に示すように、カバー25の平板部253の後面であって、収納部28の開口面281の周縁となる部位から後方に突出している。一対の爪部261の先端部(後端部)には、互いに近づく向きに突出する掛かり部261a(図11A参照)が形成されている。一対の引掛部262は、図8に示すように、ボディ24の内カバー243の前面であって、収納部28の底面に相当する部位から前方に突出している。一対の引掛部262の先端部(前端部)には、互いに離れる向きに突出する掛かり部262a(図11A参照)が形成されている。これにより、ボディ24にカバー25が取り付けられた状態では、図11Aに示すように、一対の爪部261の掛かり部261aが、一対の引掛部262の掛かり部262aに引っ掛かり、第1結合構造26にてボディ24及びカバー25が結合される。図11Aは、図10Aの領域X1の拡大図である。
また、ケース21は、図10Aに示すように、第1結合構造26とは別に、ボディ24とカバー25とをスナップフィット方式により機械的に結合する第2結合構造27を更に有している。第2結合構造27は、上下方向において、押ボタン22を挟んで第1結合構造26とは反対側に配置されている。言い換えれば、押ボタン22は、ケース21の前面211に沿う上下方向(第1方向)において第1結合構造26と第2結合構造27との間に配置されている。本実施形態では、第1結合構造26が押ボタン22の上方に配置され、第2結合構造27が押ボタン22の下方に配置されている。
第2結合構造27は、一対の補助爪部271と、一対の補助引掛部272と、を有している。一対の補助爪部271は、ケース21の前面211に沿う方向であって上下方向(第1方向)と直交する左右方向(第2方向)に並んでいる。一対の補助引掛部272は、一対の補助爪部271を引っ掛けるための構造である。ボディ24及びカバー25の一方には一対の補助爪部271が設けられ、他方には一対の補助引掛部272が設けられる。
本実施形態では、一対の補助爪部271がカバー25に設けられ、一対の補助引掛部272がボディ24に設けられている。すなわち、第2結合構造27は、一対の補助引掛部272に一対の補助爪部271が引っ掛かることにより、ボディ24及びカバー25を機械的に結合する。
具体的には、一対の補助爪部271は、図9に示すように、カバー25の平板部253の後面から後方に突出している。一対の補助爪部271の先端部(後端部)には、互いに離れる向きに突出する掛かり部271a(図11B参照)が形成されている。一対の補助引掛部272は、図8に示すように、ボディ24の第1ボディ241であって、下側の組立孔244の左右方向の両側方に形成された孔内に設けられている。一対の補助引掛部272は、一対の孔の内周面から互いに近づく向きに突出する掛かり部272a(図11B参照)を有している。これにより、ボディ24にカバー25が取り付けられた状態では、図11Bに示すように、一対の補助爪部271の掛かり部271aが、一対の補助引掛部272の掛かり部272aに引っ掛かり、第2結合構造27にてボディ24及びカバー25が結合される。図11Bは、図10Aの領域X2を、後方から見た図である。
ここで、一対の補助爪部271の各々は、上下方向(第1方向)において押ボタン22に近づく程に、一対の補助引掛部272の各々に対する掛かり量が小さくなるように構成されている。本開示でいう「掛かり量」は、補助爪部271の掛かり部271aのうち、補助引掛部272の掛かり部272aに実際に掛かっている部位の寸法である。図11Bの例では、補助爪部271の掛かり部271aのうち、補助引掛部272の掛かり部272aと重複している部位の左右方向の寸法が「掛かり量」となる。すなわち、図11Bに示すように、補助爪部271の掛かり部271aにおける、一対の補助爪部271の先端部(後端部)からの突出量は、押ボタン22に近い上端部側程に小さくなっている。このような形状であっても、ボディ24にカバー25が取り付けられた状態では、一対の補助爪部271の掛かり部271aの少なくとも下端部は、一対の補助引掛部272の掛かり部272aに引っ掛かる。
ところで、カバー25をボディ24から取り外す際には、作業者は、まず第1結合構造26によるボディ24及びカバー25の結合を解除し、次に第2結合構造27によるボディ24及びカバー25の結合を解除する。
すなわち、カバー25をボディ24から取り外す際、作業者は、まずは各爪部261と各引掛部262との間に生じる隙間に、マイナスドライバ等の治具を前方から差し込む。これにより、各爪部261が図10A中の矢印A1の向きに弾性変形し、一対の爪部261の掛かり部261aが、一対の引掛部262の掛かり部262aから外れて、第1結合構造26によるボディ24及びカバー25の結合が解除される。
第1結合構造26によるボディ24及びカバー25の結合が解除されると、作業者は、次に、カバー25の上端部を手前(前方)に引っ張る。これにより、カバー25は、下端部を支点として図10B中の矢印A2の向きに回転する。図10Bでは、回転後のカバー25を想像線(2点鎖線)で示している。このとき、一対の補助爪部271は、一対の補助引掛部272の各々に対する掛かり量が小さい上端部側から、一対の補助引掛部272との引っ掛かりが解除される。カバー25が所定量だけ回転すると、一対の補助爪部271の掛かり部271aが、一対の補助引掛部272の掛かり部272aから完全に外れて、第2結合構造27によるボディ24及びカバー25の結合が解除される。その結果、第1結合構造26及び第2結合構造27の両方による結合が解除され、カバー25がボディ24から取り外される。
一方、第1結合構造26によるボディ24及びカバー25の結合が解除される前においては、カバー25が手前(前方)に引っ張られても、カバー25はボディ24から簡単には外れない。例えば、カバー25が真っ直ぐ手前(前方)に引っ張られても、掛かり部271aが掛かり部272aに引っ掛かるため、第2結合構造27によるボディ24及びカバー25の結合が解除されず、カバー25及びボディ24の結合が維持される。
(2.3)表示灯
次に、本実施形態に係る防災機器1(表示灯付き発信機10)における表示灯3の構成について説明する。
表示灯3は、図12に示すように、ハウジング33と、光源ブロック34と、を有している。
ハウジング33は、正面視円形状に形成されている。ハウジング33は、前面の外周部に円環状の発光部31を有している。ハウジング33は、光源ブロック34を収納している。ハウジング33のうち、少なくとも発光部31として機能する部位は透光性を有しており、光源ブロック34からの光が発光部31を通して前方に出力される。これにより、発光部31が発光することとなり、表示灯3を前方から見た人にとっては円環状の光が見える。
ハウジング33は、発光部31の内側に凹部32を有している。凹部32は、正面視円形状に開口する。表示灯3が発信機2と組み合わされた状態では、この凹部32に、ケース21の外周部からなるフランジ部212(図6参照)が収納される。本実施形態では、凹部32の底面の中央部に、ハウジング33を前後方向に貫通する透孔321が形成されている。透孔321は、発信機2のケース21の一部(第2ボディ242)を通すための孔であって、矩形状に形成されている。これにより、表示灯3が発信機2と組み合わされた状態では、凹部32に、ケース21の外周部からなるフランジ部212が収納され、かつ第2ボディ242が透孔321を通してハウジング33の後面から後方に突出する。
ここにおいて、フランジ部212の前後方向の寸法D2(図10B参照)は、凹部32の深さD1(図13参照)以上である(D2≧D1)。そのため、表示灯3が発信機2と組み合わされた状態では、発信機2のケース21の前面211は、ハウジング33の前面(発光部31)と面一又はハウジング33の前面から前方に突出することになる。本実施形態では、フランジ部212の前後方向の寸法D2は、凹部32の深さD1と略等しいため、発信機2のケース21の前面211は、ハウジング33の前面(発光部31)と略面一になる(図1参照)。
また、凹部32の底面における透孔321の左右方向の両側には、凹部32の底面に対して後方に窪んだ一対の凹所322が形成されている。また、凹部32の底面における透孔321の上下方向の両側には、一対のねじ穴323が形成されている。一対のねじ穴323は、発信機2を表示灯3に固定する複数(ここでは2つ)の組立ねじ215を嵌め合せる(螺合する)ための穴である。すなわち、複数の組立孔244を通して複数の組立ねじ215を表示灯3の一対のねじ穴323に嵌め合せることにより、発信機2が表示灯3に固定される。
光源ブロック34は、ハウジング33内に収納されている。光源ブロック34は、例えば、LED等の通電により光を出力する発光素子371(図15A参照)、及び端子部品372(図15B参照)等を含んでいる。本実施形態では、光源ブロック34は、発光部31のほぼ全域に亘って発光するように、ハウジング33の前面の外周縁に沿った円環状に形成されている。光源ブロック34は前方に向けて光を出力することにより、上述したように光源ブロック34からの光がハウジング33の発光部31を通して前方に出力される。光源ブロック34の端子部品は受信機等に接続される電線を機械的かつ電気的に接続するための部品である。本実施形態では、光源ブロック34の端子部品372は、差込式の端子であって、電線が挿入されることにより電線の接続が行われる、いわゆる速結端子を構成する。
以下、表示灯3のより詳細な構成について説明する。
ハウジング33は、第1ハウジング35と、第2ハウジング36と、を有している。第1ハウジング35は、円環状に形成されている。第2ハウジング36は、円盤状に形成されている。第1ハウジング35は、第2ハウジング36の前面に取り付けられる。第1ハウジング35は、第2ハウジング36にねじ331にて固定されている。発光部31は第1ハウジング35に形成されており、透孔321は第2ハウジング36に形成されている。第1ハウジング35の外径は、第2ハウジング36の外径よりも大きく設定されている。
光源ブロック34は、第1ハウジング35と第2ハウジング36との間に形成される空間に収納されている。光源ブロック34の前面は第1ハウジング35にて覆われている。そのため、本実施形態では第1ハウジング35は透光性を有している。第2ハウジング36の後面であって透孔321の下方には、光源ブロック34の端子部品372に接続する電線を差し込むための端子孔が形成されている。第2ハウジング36の後面における端子孔の周辺は、端子孔から第2ハウジング36内への水の浸入を防止するための第2防水キャップ72(図2参照)にて覆われている。第2防水キャップ72は適宜省略可能である。
ハウジング33(第1ハウジング35及び第2ハウジング36)は、例えば、PC樹脂、ASA樹脂、PC/ABSアロイ樹脂、又はABS樹脂等の樹脂製である。
ところで、本実施形態では取付対象4に対して直接的に取り付けられるのは表示灯3であるので、防災機器1(表示灯付き発信機10)を取付対象4に取り付けるための構成は、表示灯3に備わっている。
すなわち、表示灯3は、図13に示すように、鍔片11と、挿入部12と、挟み片13と、を備えている。鍔片11は、前後方向に貫通する取付孔41を有する取付対象4における取付孔41の周囲の前方に位置する。挿入部12は取付孔41に挿入される。挟み片13は、取付対象4における取付孔41の周囲の後方に位置し、鍔片11との間に取付対象4を挟む。このように構成される表示灯3は、鍔片11と挟み片13との間に取付対象4を挟んだ状態で取付対象4に取り付けられる。
上記より、表示灯3は、挿入部12が取付対象4の取付孔41に挿入された状態で、鍔片11と挟み片13との間に取付対象4の一部(取付孔41の周囲)を挟むことによって、取付対象4に取り付けられる。ただし、図13は、本固定の状態ではなく、仮保持の状態を表している。本開示でいう「本固定」は、表示灯3が取付対象4に対して相対的に移動しないように完全に固定された状態を意味する。本開示でいう「仮保持」は、表示灯3が取付対象4に保持されてはいるものの取付対象4に対して相対的に移動可能な状態を意味する。
要するに、図13に示す状態では、挟み片13が取付対象4に軽く触れているだけであって、取付対象4に対して表示灯3は前後方向に相対的に動く状態にある。詳しくは後述するが、本実施形態では、挟み片13は、表示灯3を取付対象4に仮保持するための仮保持片14と兼用されており、挟み片13と仮保持片14とは一体に構成されている。つまり、図13に示す状態では、挟み片13は、取付対象4における取付孔41の周囲に後方から軽く触れることにより、仮保持片14として機能する。
(2.4)光源ブロックの詳細
次に、表示灯3のうち発光部31を発光させるための構成、つまり光源ブロック34の構成について、図14~図19Bを参照して、より詳細に説明する。
表示灯3は、上述したように正面視において環状の発光部31を備えている。また、表示灯3は、発光部31を発光させるための構成として、光源ブロック34を備えている。光源ブロック34は、光を出力する光源部37と、導光部材38と、を備えている。導光部材38は、光源部37の出力光を発光部31に導くことにより、発光部31を発光させる部材である。本実施形態では、表示灯3は、拡散部材39を更に備えている。
光源ブロック34を構成する光源部37及び導光部材38は、図14に示すように、ハウジング33を構成する第1ハウジング35と第2ハウジング36との間の空間に収納される。ここで、光源ブロック34の前面を覆う第1ハウジング35は、赤色に着色された透光性の樹脂成形品である。一方、光源ブロック34の後面を覆う第2ハウジング36は、白色に着色された樹脂成形品である。ここで、拡散部材39は、光源ブロック34の前面(導光部材38の前面)と第1ハウジング35との間に配置されている。拡散部材39は、光拡散性及び透光性(光透過性)を有している。これにより、光源ブロック34の前面(導光部材38の前面)から前方に出力される光が、拡散部材39を拡散しながら透過し、更に第1ハウジング35を透過することにより、第1ハウジング35の前面の少なくとも一部から前方に出力される。このとき、正面視においては、第1ハウジング35の前面のうち、前後方向において拡散部材39と重なる部位が光って見えることになり、この部位が発光部31として機能する。つまり、導光部材38を収納するハウジング33の少なくとも一部は、透光性を有し発光部31を構成する。
光源部37は、図15A及び図15Bに示すように、複数(本実施形態では4つ)の発光素子371a~371dを有している。これら4つの発光素子371a~371dは、前後方向に2個ずつ、左右方向に2個ずつ、となるように光源部37を下方から見てマトリクス状に配置されている。具体的には、発光素子371a,371bが左列、発光素子371c,371dが右列、発光素子371a,371cが前段、発光素子371b,371dが後段、となるように4つの発光素子371a~371dが配置される。これら複数の発光素子371a~371dを特に区別しない場合には、複数の発光素子371a~371dの各々を単に「発光素子371」と呼ぶ。光源部37は、複数の発光素子371に加えて、複数(本実施形態では2つ)の端子部品372と、基板373と、複数の(本実施形態では2つ)の実装部品374と、ガイド部材375と、を有している。
本実施形態では一例として、複数の発光素子371の各々は、赤色光を出力する表面実装型のチップLEDからなる。複数の発光素子371と、複数の端子部品372とは、基板373の厚み方向(上下方向)の両側に分かれて配置されている。本実施形態では、複数の発光素子371は基板373の下面に配置され、複数の端子部品372は基板373の上面に配置されている。複数の実装部品374は、ダイオードブリッジ等であって、複数の発光素子371と共に、基板373の下面に配置されている。これら複数の発光素子371と、複数の端子部品372と、複数の実装部品374とは、基板373に形成された導電路を通して、電気的に接続されている。したがって、複数の端子部品372に接続される電線を通して、光源部37に電力供給されることにより、複数の発光素子371が発光し、複数の発光素子371から赤色光が出力される。
ガイド部材375は、樹脂成形品であって、複数の発光素子371の少なくとも一部ごと基板373の下面を覆うように、基板373に取り付けられている。ガイド部材375は、複数の発光素子371に一対一で対応する位置に複数のガイド孔376を有している。これにより、各ガイド孔376を通して各発光素子371の光取出面(下面)が露出するため、各発光素子371の光は各ガイド孔376を通して下方に出力される。本実施形態では、各ガイド孔376は、発光素子371から離れる程に開口面積が大きくなるすり鉢状に形成されている。さらに、ガイド部材375は、複数のガイド孔376の左右方向の両側に、一対の位置決め孔378を有している。一対の位置決め孔378に後述する導光部材38の一対の位置決めピン384が挿入されることにより、複数の発光素子371と導光部材38との相対的な位置関係が規定される。
導光部材38は、一例としてアクリル樹脂等の透明樹脂の成形品であって、光源部37の出力光を取り込んで、導光部材38の内部を通して発光部31まで導く、つまり導光する部材である。導光部材38は、発光部31の後方に位置しており、前後方向において発光部31と重なる環状に形成されている。本実施形態では、発光部31は第1ハウジング35の前面の外周部に形成された円環状の領域であるので、導光部材38は、発光部31と同様の円環状に形成されている。光源部37は、発光部31の周方向における導光部材38の一箇所(本実施形態では下端部)に配置されている。導光部材38は、一箇所に配置された光源部37からの光を、導光部材38の周方向に導光し、導光部材38の前面から出力する。
導光部材38は、図14に示すように、円筒状の筒体部381と、入射部382と、出射部383と、を有している。入射部382は、光源部37からの光を筒体部381に取り込むための部位であって、筒体部381の下端部に設けられている。すなわち、導光部材38は、発光部31の周方向における1箇所(下端部)に、光源部37からの光が入射する入射部382を有している。出射部383は、筒体部381から光を取り出すための部位であって、筒体部381の前方に設けられている。本実施形態では、出射部383は、正面視において円環状であって、かつ前後方向を厚み方向とする板状の部材からなる。筒体部381は、出射部383の後面から後方に突出する形で、出射部383と一体に形成されている。
入射部382は、筒体部381の内周面の一部からなる。光源部37は、導光部材38に向けて出力光が出力される向きで、導光部材38の内側に配置されている。つまり、光源部37は、環状の導光部材38で囲まれた空間内であって、入射部382と対向する位置に配置されている。本実施形態では、第2ハウジング36は、図14に示すように、光源部37が収納される光源収納室361と、導光部材38が収納される導光収納溝362と、を有している。導光収納溝362は、第2ハウジング36の前面の外周部に形成されている。光源収納室361は、第2ハウジング36の前面のうち、導光収納溝362で囲まれた領域であって、透孔321の下方に配置されている。そのため、表示灯3に発信機2が取り付けられた状態では、光源部37は、発信機2の第2ボディ242の下方に位置する。よって、光源部37は、光源部37から見て発信機2とは反対側に位置する導光部材38に向けて出力光を出力することになる。
より詳細には、導光部材38は、図15A及び図15Bに示すように、入射部382の左右方向の両側に、一対の位置決めピン384を有している。一対の位置決めピン384が光源部37(ガイド部材375)の一対の位置決め孔378に挿入されることにより、複数の発光素子371と導光部材38の入射部382との相対的な位置関係が規定される。また、入射部382において、複数の発光素子371に一対一で対応する位置には複数の光学要素385が設けられている。複数の光学要素385の各々は、対応する発光素子371から放射される発散光を、発散光よりも平行光に近い光に変換して導光部材38(入射部382)に入射させる。本開示でいう「発散光」は、点光源等の1点から発散する光線束(発散光線束)を意味し、本開示でいう「平行光」は、平行な光線群からなる光線束(平行光線束)を意味する。
本字実施形態では、複数の光学要素385の各々は、円錐状のコリメートレンズからなり、発散光を平行光に変換するコリメーション(collimation)を行う。ただし、各光学要素385は、光源部37から放射される発散光を平行光に近づけるように変換すればよく、導光部材38に入射する光は完全な平行光に限らず、平行光に近い発散光又は収束光であってもよい。一対の位置決めピン384が一対の位置決め孔378に挿入された状態では、複数の光学要素385は、少なくともその先端部がガイド部材375の複数のガイド孔376に挿入される。
上記構成により、図16に示すように、光源部37及び導光部材38は、複数の発光素子371を入射部382に対向させた状態で、第2ハウジング36にて保持されることになる。つまり、本実施形態では、第2ハウジング36は、少なくとも導光部材38を保持する保持部として機能する。また、複数の発光素子371と入射部382との間には、複数の光学要素385が介在するので、発光素子371から放射される発散光は、光学要素385にて平行光に変換されて導光部材38に入射することになる。図16は、第1ハウジング35及び拡散部材39を外した状態の表示灯3の下端部を示す正面図であって、図16ではガイド部材375の図示を省略している。
ここで、導光部材38は、光源部37から入射した光を、正面視において導光部材38の周方向の両周りに導くように構成されている。本実施形態では、上述したように光源部37からの光を筒体部381に取り込むための入射部382が、筒体部381の下端部に設けられている。そのため、入射部382から筒体部381に導入された光は、図17に示すように、背面視において筒体部381内を反時計回りの光路P1で進む光(光線束)と、時計回りの光路P2で進む光(光線束)とに分かれて、筒体部381の上端部に到達する。図17においては、各光路P1,P2を1本の曲線(破線)で表しているが、これは各光路P1,P2を模式的に表しているに過ぎず、実際には、各光路P1,P2を通る光は、筒体部381の内周面及び外周面で反射を繰り返しながら、筒体部381内を進む。
また、導光部材38は、光源部37から導光部材38に入射した光を導光部材38の周方向に沿う向きの光に変換する光学ミラー386を更に備えている。本実施形態では、上述したように導光部材38は、入射部382から筒体部381に導入された光を2つの光路P1,P2に分けて導光するため、導光部材38には一対の光学ミラー386が設けられている。一対の光学ミラー386は、筒体部381の外周面における入射部382の裏面となる位置に設けられ、正面視において下方に開放された略V字状となる一対の平面からなる。一対の光学ミラー386の各々は、その表面が鏡面加工され、入射部382に対して略45度の角度で傾斜しており、一対の光学ミラー386は略90度の角度で互いに交差する。これにより、光源部37から入射部382に入射した光は、一対の光学ミラー386のいずれかで、導光部材38の周方向に沿う向き(右向き又は左向き)に反射され、2つの光路P1,P2のいずれかに振り分けられる。具体的には、4つの発光素子371a~371dのうち、左列の発光素子371a,371bからの光は左側の光学ミラー386にて光路P1に振り分けられ、右列の発光素子371c,371dからの光は右側の光学ミラー386にて光路P2に振り分けられる。
図18Aは、導光部材38の左半分を、図17に示す光路P1が一直線となるように展開した、つまり平面上に広げた概念的な展開図であり、図18Bは、図18Aの領域X1の拡大図である。図18A及び図18Bでは、光源部37からの光線束を模式的に破線矢印で示している。図18A及び図18Bに示すように、光源部37(発光素子371)から離れる程に前後方向における導光部材38の厚みが小さくなるように、導光部材38の後面(筒体部381の後面381a)は導光部材38の前面に対して傾斜している。そのため、導光部材38における筒体部381の前後方向の寸法は一定ではなく、入射部382から離れる程、つまり筒体部381の上端部に近づく程に、筒体部381の前後方向の寸法が小さくなる(図14等参照)。
このように筒体部381の後面381aが傾斜していることにより、導光部材38の周方向の全域を、複数の発光素子371に分担させることができる。すなわち、図17に示すように、円環状の導光部材38を、周方向において略90度単位で4つの区間S1~S4に区分した場合、これら4つの区間S1~S4の各々については、複数の発光素子371の各々が担当する。本実施形態では、導光部材38の左半分のうち、区間S1については発光素子371bが担当し、区間S2については発光素子371aが担当する。区間S3については発光素子371dが担当し、区間S4については発光素子371cが担当する。
例えば、発光素子371bから放射された光は、図18Aに示すように、平行光(図18A中に破線で示す光線束)として入射部382に入射し、筒体部381内を筒体部381の前面に沿って進む。このとき、入射部382に入射した平行光は、筒体部381の後面381aにて反射されるまでは、基本的に、前後方向にはぶれることなく進む。発光素子371bからの光は、入射部382に近い区間S1において、筒体部381の後面381aにて前方に向けて反射されることにより、筒体部381の前方の出射部383(図17参照)から出力される。一方、発光素子371bの前方に位置する発光素子371aから放射された光は、図18Aに示すように、平行光(図18A中に破線で示す光線束)として入射部382に入射し、筒体部381内を筒体部381の前面に沿って進む。ただし、発光素子371aからの光は、入射部382から遠い区間S2において、筒体部381の後面381aにて前方に向けて反射されることにより、筒体部381の前方の出射部383(図17参照)から出力される。
導光部材38の周方向の全域を、複数の発光素子371が分担することにより、導光部材38の周方向の全域を、1つの発光素子371で担当する場合に比べて、1つの発光素子371にかかる負担を小さく抑えることができる。すなわち、導光部材38の周方向の全域から光を出力しながらも、個々の発光素子371にかかる負担が小さくなり、個々の発光素子371での発熱等が抑えられる。
さらに、導光部材38は、図17~図18Bに示すように、導光部材38の後面(筒体部381の後面381a)に形成された複数の導光溝387を有している。複数の導光溝387は、正面視における筒体部381の中心点から放射状に延びるように形成された溝であって、各々の底面は鏡面加工されている。これら複数の導光溝387は、入射部382から見て筒体部381の周方向の両周りに、それぞれ略等間隔で並ぶように形成されている。複数の導光溝387の各々は、図18Bに示すように、入射部382から遠い方の内側面が筒体部381の周方向に対して略直交する鋸歯状に形成されている。さらに、複数の導光溝387は同一形状ではなく、図18Aに示すように、入射部382から離れる程に導光溝387が深くなるように構成されている。
この構成により、導光部材38は、筒体部381の後面381aに入射する光を、導光溝387の底面にて効率的に前方に向けて反射することができ、筒体部381の前方の出射部383からの光の取出効率の向上を図ることができる。しかも、入射部382から離れる程に導光溝387が深くなるので、入射部382からの距離の違いによる輝度のばらつきを小さく抑えることができる。例えば、区間S1と区間S2とでは、導光部材38の前面(出射部383の前面)の輝度は同程度となる。
ところで、本実施形態では、表示灯3は、図19Aに示すように、光源ブロック34(導光部材38)と第1ハウジング35(発光部31)との間に、光拡散性及び透光性を有する拡散部材39を備えている。拡散部材39は、一例として透過性光拡散部材を含んだ透光性のPC樹脂等の成形品であって、導光部材38の前面(出射部383の前面)を覆う円環状に形成されている(図14等参照)。導光部材38は、拡散部材39後面の全域に対して、極力均一に光が入射するように、以下のような構成を採用している。
すなわち、導光部材38の出射部383は、図19Aに示すように、筒体部381に比べて、筒体部381の径方向(以下、「幅方向」ともいう)における寸法が大きく設定されている。また、出射部383の幅方向の両端面の各々には、斜め前方に向けて傾斜した傾斜面388が少なくとも1つずつ形成されている。さらに、出射部383の前面には、断面V字状の溝部389が出射部383の周方向の全周に亘って形成されている。傾斜面388及び溝部389の底面は、いずれも鏡面加工されている。これにより、出射部383では、図19Bに示すように、筒体部381から入射した光を幅方向に広げることが可能である。図19Bは、図19Aの要部を示す概念図であって、図19Bでは、光線束を破線又は点線矢印で示している。
つまり、筒体部381から出射部383に入射した光は、溝部389の底面で幅方向の両側に向けて反射され、更に傾斜面388にて前方に向けて反射される。これにより、出射部383の幅方向の略全域から光が取り出されることになり、拡散部材39後面の全域に対して、極力均一に光が入射する。拡散部材39に入射した光は拡散部材39を透過する際に拡散されるので、拡散部材39の前面は、全域に亘って略均一に発光することになる。言い換えれば、拡散部材39の前面は面発光する。
また、図19Aに示すように、導光部材38を保持する保持部としての第2ハウジング36は、導光部材38との対向面の少なくとも一部に反射面362a,362b,362cを有する。これら反射面362a,362b,362cは、第2ハウジング36の導光収納溝362の内側面(底面を含む)からなる。本実施形態では、第2ハウジング36は、白色に着色された樹脂成形品であるので、その表面(導光収納溝362の内側面)は、導光部材38から漏れた光を拡散反射する反射面362a,362b,362cとして機能する。これにより、導光部材38から漏れた光についても、少なくともその一部は、反射面362a,362b,362cにて反射されて導光部材38内に戻されるので、出射部383からの光の取出効率の向上につながる。
上記構成によれば、正面視において環状の発光部31を発光させながらも、光源部37の出力光が発光部31に直接的に入射するのではなく、導光部材38を介して発光部31に入射するので、発光部31の周方向において比較的均一な発光状態を実現可能である。しかも、拡散部材39の前方に設定された円環状の発光部31が発光することとなり、表示灯3を前方から見た人にとっては円環状の光が見える。このとき、実際には、透光性を有する発光部31の奥(後方)にある拡散部材39の前面が面発光しているので、表示灯3を前方から見ると、第1ハウジング35の内側が光っているように見え、深みのある光に見える。
(2.5)防災機器を取付対象に取り付けるための具体的構成
以下に、本実施形態に係る防災機器1(表示灯付き発信機10)を取付対象4に取り付けるための具体的な構成について説明する。
鍔片11は、ハウジング33の前端部のうち、前後方向に直交する方向(上下方向及び左右方向)に張り出した部位である。鍔片11は、ハウジング33の前面における外周縁の全周に亘って形成されている。言い換えれば、鍔片11は、挿入部12の前端部の外周面から外方に突出する部位である。そのため、少なくとも第1ハウジング35のうち、第2ハウジング36の前面の外周縁から外方に張り出した部位は、鍔片11として機能する。また、挿入部12は、鍔片11の後面から後方に突出した部位である。本実施形態では、円盤状の第2ハウジング36が挿入部12を構成する。
鍔片11の外径は、取付孔41の内径よりも大きく、かつ座繰り部43の外径よりも小さく設定されている。挿入部12の外径は、取付孔41の内径よりも小さく設定されている。そのため、挿入部12が取付対象4の取付孔41に前方から挿入されると、取付対象4の前面における取付孔41の周囲に鍔片11が接触することで、表示灯3の後方への移動が規制される。ただし、取付対象4の前面と防災機器1の鍔片11の後面との間には第2パッキン62が配置されるので、鍔片11は取付対象4の前面に直接的に接触するのではなく、第2パッキン62を介して取付対象4の前面に間接的に接触する。このとき、鍔片11は、正面視において、取付対象4における座繰り部43内に収まることになる。
ここで、表示灯3は、挟み片13を複数備えている。複数の挟み片13は、取付孔41の周方向において間隔を空けて並ぶように配置されている。本実施形態では、複数(ここでは2つ)の挟み片13が、ハウジング33の上下方向の中央部における左端部及び右端部に配置されている。つまり、複数(ここでは2つ)の挟み片13は、取付孔41の周方向において、略180度の間隔を空けて並ぶように配置されている。これにより、表示灯3は、ハウジング33の複数箇所(左端部及び右端部)において、鍔片11と複数の挟み片13との間に取付対象4を挟むことで、取付対象4に取り付けられる。
表示灯3は、図20Aに示すように、仮保持片14と、弾性部15と、を更に備える。仮保持片14は、前後方向に直交する平面内における挿入部12の外周縁からの突出量が可変である。弾性部15は、仮保持片14の突出量を大きくする向きの弾性力を仮保持片14に作用させる。仮保持片14は、取付対象4における取付孔41の周囲の後方に位置する。本実施形態では、上述したように仮保持片14は挟み片13と兼用されている。すなわち、仮保持片14(挟み片13)が挿入部12に装着された状態では、仮保持片14は、図20Bに示すように、挿入部12の外周面122から外方(左方又は右方)への突出量を大きくする向きの弾性力を、弾性部15(図20A参照)から受ける。
表示灯3は、規制機構16を更に備えている。規制機構16は、仮保持片14と鍔片11との距離を広げる向きへの仮保持片14の移動を規制する。規制機構16が仮保持片14の移動を規制することにより、仮保持片14を挟み片13として機能させる。要するに、仮保持片14と鍔片11との距離を広げる向き、つまり後方への仮保持片14の移動が規制されていない状態では、表示灯3は、取付対象4に対して少なくとも前後方向に移動な仮保持の状態となる。一方、規制機構16により仮保持片14の後方への移動が規制された状態では、挟み片13(仮保持片14)と鍔片11との間に取付対象4を挟み込むことにより、表示灯3は、取付対象4に対して相対的に移動しないように完全に固定された本固定の状態となる。したがって、規制機構16により仮保持片14の後方への移動が規制された状態では、仮保持片14が挟み片13として機能する。
さらに詳しく説明すると、挟み片13(仮保持片14)は、図20A及び図20Bに示すように、横片17と、縦片18と、を有している。本実施形態では一例として、挟み片13(仮保持片14)は、1枚の金属板からなり、横片17及び縦片18とで略L字状に形成されたL字金具である。ここで、横片17と縦片18との間の角度は、直角よりも数度~十度程度(一例として5度)大きく設定されることが好ましい(図13参照)。つまり、横片17と縦片18とは厳密に直交するのではなく、直角よりもやや大きな角度で交差する。これにより、本固定の状態において、挟み片13は鍔片11との間に取付対象4を比較的強固に挟み込むことができ、取付対象4に対する表示灯3の十分な取付強度が確保される。
横片17は、長手方向(左右方向)の両端部に第1端部171及び第2端部172を有している。横片17は、挿入部12の後面121の外周縁側に第1端部171が位置し、挿入部12の後面121の中心側に第2端部172が位置するように、挿入部12の後面121に沿って配置されている。縦片18は、横片17の第1端部171から前方に突出する。ここでは、縦片18は、挿入部12の外周面122に沿って配置されている。
このように構成される挟み片13は、横片17の第2端部172が挿入部12に保持された状態で、第1端部171を前後方向に移動させることで回転する。これにより、挟み片13は、前後方向に直交する平面内における挿入部12の外周縁からの縦片18の突出量が変化して、仮保持片14として機能する。具体的には、横片17の第2端部172は、挿入部12に形成されている後述の差込凹部125(図20A参照)に差し込まれることにより、挿入部12に保持される。そのため、挟み片13は、第1端部171を前後方向に移動させることで、第2端部172を支点として回転する。ただし、挟み片13が回転する際の支点は第2端部172に限らず、例えば、横片17の長手方向の中央部を支点として、挟み片13が回転してもよい。
規制機構16は、第1ねじ部161と、第2ねじ部162と、を有している。第1ねじ部161は、横片17における第1端部171と第2端部172との間に設けられている。第2ねじ部162は、第1ねじ部161に嵌め合される(螺合する)ことにより、横片17を挿入部12の後面121に近づく向きに移動させる。第2ねじ部162は、挿入部12の前方に露出する操作部163を有する。本実施形態では一例として、第1ねじ部161は、ねじ孔を有する雌ねじ部品(ナット)からなり、第2ねじ部162は、雄ねじ部品(ボルト)からなる。この場合の操作部163は、雄ねじ部品の頭部からなる。
すなわち、図20A及び図20Bに示すように、挟み片13(仮保持片14)が挿入部12の後方に配置された状態で、第2ねじ部162が、挿入部12の前方から挿入部12を通して第1ねじ部161に嵌め合される(螺合する)。この状態から更に、挿入部12の前方に露出した操作部163の操作にて、第2ねじ部162が締め付けられることにより、挟み片13(仮保持片14)の横片17は挿入部12の後面121に近づく向きに移動する。これにより、規制機構16は、仮保持片14の後方への移動を規制し、仮保持片14を挟み片13として機能させる。つまり、縦片18の前端部が、取付対象4における取付孔41の周囲に後方から押し付けられることにより、縦片18と鍔片11との間に取付対象4を挟み込んだ状態で、表示灯3が本固定される。
ここで、挿入部12において挟み片13に対応する部位には、挿入部12の後面121から外周面122にかけて、挟み片13に対応する形状の溝123が形成されている。挟み片13は、少なくとも一部が溝123内に収納された状態で、挿入部12に装着される。また、挿入部12の後面121に形成された溝123の底面であって、第1ねじ部161に対応する位置には、ハウジング33を前後方向に貫通する挿通孔124が形成されている。第2ねじ部162は、挿通孔124を通して第1ねじ部161に嵌め合される。また、挿入部12の後面121に形成された溝123の内側面であって、後面121の中心側に位置する内側面には、差込凹部125が形成されている。差込凹部125に横片17の第2端部172が差し込まれることによって、第2端部172の前後方向への移動が規制され、上述したように横片17の第2端部172が挿入部12に保持される。
弾性部15は、横片17の長手方向(左右方向)において第1ねじ部161と第2端部172との間に配置されている。さらに、弾性部15は、挿入部12の後面121に設けられている。弾性部15は、横片17を後方に押す向きの弾性力を横片17に作用させるように構成されている。
本実施形態では一例として、弾性部15は、図20Aに示すように、挿入部12の一部からなる片持ち梁状の樹脂ばねである。弾性部15は、挿入部12の後面121に形成された溝123の底面において、挿入部12の後面121の中心側の端部から、挿入部12の後面121の外周縁側に向けて突出する形の片持ち梁である。弾性部15は、弾性部15の後面から後方に突出するダボ151及びリブ152を有している。ダボ151は、弾性部15の後面の中央部に配置されている。ダボ151は、横片17に形成された嵌め込み孔173に挿入されることにより、挿入部12の後面121に沿う平面内において、弾性部15に対する挟み片13の相対的な位置を規定する。リブ152は、弾性部15の後面の自由端(先端)側の端部に配置されている。リブ152は、横片17の前面における第1ねじ部161と第2端部172との間、より詳細には第1ねじ部161と嵌め込み孔173との間の部位に接触する。つまり、弾性部15は、リブ152の先端面(後端面)から、横片17を後方に押す向きの弾性力を横片17に作用させる。
その結果、仮保持片14は、横片17にて第1端部171を後方に移動させる向きの弾性力を受けることになり、挿入部12の外周面122から縦片18が離れるように、つまり挿入部12の外周縁からの縦片18の突出量が大きくなるように付勢される。
(3)取付方法
次に、本実施形態に係る表示灯付き発信機10(防災機器1)の取付対象4への取付方法について説明する。
「(2.1)全体構成」の欄でも説明したように、取付対象4への防災機器1の取付手順の概要としては、取付孔41が形成された板状の取付対象4に対して、まずは表示灯3が取り付けられる。本実施形態では、防災機器1は、取付対象4である取付アダプタを介して間接的に筐体51(図3参照)に取り付けられるので、取付対象4は、予め筐体51の前壁511(図3参照)に固定されている。
まず、作業者は、表示灯3の挿入部12を取付対象4の取付孔41に挿入するように、筐体51に固定された取付対象4に対して表示灯3を前方から組み合わせる。ここで、作業者は、図21に示すように、取付対象4の前面における取付孔41の周囲に鍔片11が押し付けられる位置まで、表示灯3を後方に移動させる。このとき、図13に示すように、仮保持片14の縦片18の挿入部12の外周縁からの突出量が大きい状態のままでは、仮保持片14が取付対象4における取付孔41の周囲に干渉して、仮保持片14が取付孔41を通過することができない。そこで、仮保持片14は、挿入部12の外周縁からの縦片18の突出量を小さくするように、弾性部15の弾性力に抗して、かつ仮保持片14自体の弾性変形によって、縦片18を変位させる。そして、取付対象4の前面における取付孔41の周囲に鍔片11が押し付けられた状態では、仮保持片14の縦片18は、弾性部15の弾性力、及び仮保持片14自体の弾性力によって、挿入部12の外周縁からの突出量を大きくするように変位する。
言い換えれば、図13に示す状態では、正面視において、複数(ここでは2つ)の仮保持片14の外側端部(縦片18の前端部)を通る仮想円の径は、取付孔41の内径よりも大きいため、仮保持片14が取付孔41を通過することができない。この状態から、作業者が、表示灯3の挿入部12を取付対象4の取付孔41に挿入することで、上記仮想円の径を縮めながら、仮保持片14が取付孔41を通過する。仮保持片14が取付孔41を通過すると、上記仮想円の径が取付孔41の内径よりも大きい状態に戻るため、表示灯3は、取付対象4を、鍔片11と仮保持片14(縦片18)とで挟むことにより、取付対象4に対して仮保持される。
次に、作業者は、図21に示すように、プラスドライバ等の治具Z1を用いて、第2ねじ部162を、図21中の矢印A1の向きに回転させ、仮保持片14の第1ねじ部161に対して第2ねじ部162を締め付ける。ここで、第2ねじ部162の操作部163は、挿入部12の前方に露出しているので、作業者は、挿入部12の前方から第2ねじ部162を締め付けることが可能である。図21においては、2つの挟み片13(仮保持片14)のうち、右側の挟み片13(仮保持片14)については、第2ねじ部162の締め付けが完了した状態、左側の挟み片13(仮保持片14)については、第2ねじ部162の締め付け前の状態を示している。
第2ねじ部162が締め付けられると、仮保持片14の横片17が挿入部12の後面121に近づく向きに移動し、縦片18の前端部が、取付対象4における取付孔41の周囲に後方から押し付けられる。すなわち、第1ねじ部161及び第2ねじ部162を有する規制機構16が、仮保持片14の後方への移動を規制し、仮保持片14を挟み片13として機能させる。その結果、表示灯3は、取付対象4における取付孔41の周囲であって後方に窪んだ座繰り部43の底部を、鍔片11と挟み片13(縦片18)とで挟むことにより、取付対象4に対して本固定される。
次に、作業者は、本固定された表示灯3に対して、発信機2を前方から組み合わせる。このとき、作業者は、まず発信機2の第2ボディ242(図8参照)を表示灯3の透孔321(図8参照)に挿入するように、取付対象4に固定された表示灯3に対して発信機2のボディ24(図8参照)を前方から組み合わせる。そして、作業者は、複数の組立ねじ215(図8参照)にてボディ24を表示灯3に固定する。その後、作業者は、ボディ24に対してカバー25(図8参照)を前方から嵌め合せることにより、発信機2の取り付けを完了する。
このようにして表示灯付き発信機10(防災機器1)が取付対象4に取り付けられることで、ねじ等の部品が前方に露出せず、見映えよく表示灯付き発信機10(防災機器1)の設置が可能となる。また、本実施形態では、発信機2のフランジ部212の前後方向の寸法D2(図10B参照)が、表示灯3の凹部32の深さD1(図13参照)と略等しいため、発信機2のケース21の前面211は、表示灯3の前面(発光部31)と略面一になる(図1参照)。
さらに、本実施形態では、防災機器1の鍔片11は、正面視において、取付対象4における座繰り部43内に収まっている。そのため、平板状の取付対象に比べて、鍔片11をより後方に埋め込んだ形で防災機器1を取付対象4に取り付けることができ、筐体51の前壁511の前面からの防災機器1の突出量を小さく抑えることができる。特に、筐体51の前壁511の前面から取付対象4における座繰り部43の前面までの窪み量と、鍔片11の厚みとが略等しければ、発信機2のケース21の前面211及び表示灯3の前面は、筐体51の前壁511の前面と略面一になる(図1参照)。取付対象4の前面と防災機器1の鍔片11の後面との間に第2パッキン62がある場合には、筐体51の前壁511の前面から第2パッキン62の前面までの窪み量と、鍔片11の厚みとが略等しく設定されてもよい。
ここで、取付対象4に仮保持又は本固定された表示灯3を取付対象4から取り外す場合には、作業者は、第2ねじ部162を第1ねじ部161から完全に外して、挟み片13を挿入部12から分離した状態で、挿入部12を取付孔41から前方に引き抜けばよい。
(4)変形例
実施形態1に係る防災機器1(表示灯付き発信機10)、発信機2、防災機器取付構造100及び機器収容箱5は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1に係る防災機器1(表示灯付き発信機10)、発信機2、防災機器取付構造100及び機器収容箱5は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
実施形態1では、取付対象4に対して直接的に取り付けられるのは表示灯3であって、発信機2は、表示灯3に取り付けられることで取付対象4に対して間接的に取り付けられる。したがって、実施形態1においては、取付対象4に取り付けられる防災機器1として必須の構成、つまり防災機器取付構造100における防災機器1としての必須の構成は表示灯3であって、発信機2は適宜省略されてもよい。発信機2が省略される場合、表示灯3の凹部32はカバー材等で覆われていてもよい。
また、防災機器1を取付対象4に取り付けるための構成を発信機2が備えていてもよく、この場合、防災機器1としての発信機2が取付対象4に直接的に取り付けられる。この場合、取付対象4に取り付けられる防災機器1として必須の構成、つまり防災機器取付構造100における防災機器1としての必須の構成は発信機2であって、表示灯3は適宜省略されてもよい。
すなわち、防災機器1は、表示灯付き発信機10に限らず、例えば、発信機2のみが防災機器1を構成してもよいし、表示灯3のみが防災機器1を構成してもよい。また、発信機2及び表示灯3以外の機器、例えば、音響装置(ベル)又は感知器等が、防災機器1を構成してもよい。これらの防災機器1であっても、実施形態1と同様の、取付対象4への取り付けのための構成を適用可能である。
また、実施形態1では、一対の爪部261がカバー25に設けられ、一対の引掛部262がボディ24に設けられているが、この構成に限らず、一対の爪部261がボディ24に設けられ、一対の引掛部262がカバー25に設けられてもよい。同様に、実施形態1では、一対の補助爪部271がカバー25に設けられ、一対の補助引掛部272がボディ24に設けられているが、この構成に限らず、一対の補助爪部271がボディ24に設けられ、一対の補助引掛部272がカバー25に設けられてもよい。
また、防災機器1(表示灯3)は挟み片13を2つ備える構成に限らず、挟み片13を1つのみ、又は挟み片13を3つ以上備えていてもよい。防災機器1(表示灯3)が挟み片13を複数(2つ以上)備える場合には、複数の挟み片13は、取付孔41の周方向において等間隔で配置されることが好ましい。
また、実施形態1では、第1ねじ部161は雌ねじ部品(ナット)、第2ねじ部162は雄ねじ部品(ボルト)からなるが、この構成に限らず、第1ねじ部161が雄ねじ部品(ボルト)、第2ねじ部162が雌ねじ部品(ナット)であってもよい。
また、実施形態1では、弾性部15は挿入部12(ハウジング33)と一体に設けられているが、この構成に限らず、弾性部15は、例えば、仮保持片14と一体に設けられていてもよいし、挿入部12及び仮保持片14とは別に設けられていてもよい。さらに、挿入部12と仮保持片14との両方に、弾性部15としての機能が分散して設けられてもよい。弾性部15自体の形状についても、実施形態1で説明したような片持ち梁状に限らず、例えば、コイルばね又はトーションばねなどで弾性部15が実現されてもよい。
また、実施形態1では、表示灯3を取付対象4に本固定するための挟み片13が、表示灯3を取付対象4に仮保持するための仮保持片14と兼用されているが、この構成に限らず、挟み片13は仮保持片14とは別に設けられてもよい。この場合において、挟み片13と、仮保持片14とは、同数ずつ設けられていてもよいし、異なる数ずつ設けられていてもよい。
また、取付対象4における座繰り部43は適宜省略可能である。座繰り部43が省略されると、取付対象4は平板状に形成される。
また、実施形態1では、防災機器1は、鍔片11と挟み片13との間に取付対象4を挟んだ状態で取付対象4に取り付けられるが、この構成に限らず、例えば、接着、溶着、スナップフィット結合又はねじ固定等の手段によって取付対象4に取り付けられてもよい。
また、実施形態1では、発信機2における押ボタン22の操作面221は、ケース21の前面211の中心に配置されているが、この構成に限らず、例えば、押ボタン22の操作面221は、ケース21の前面211の中心の下方又は上方に配置されていてもよい。
また、発散光を平行光に変換するための複数の光学要素385の各々は、コリメートレンズに限らず、例えば、ミラー又はレンズとミラーとの組み合わせによって、発散光を平行光に変換する構成であってもよい。さらに、光学要素385は導光部材38と一体でなくてもよく、例えば、光源部37が複数の光学要素385を有していてもよい。また、光源部37の発光素子371が、そもそも平行光を出力するような構成では、光学要素385は省略可能である。
また、実施形態1では、光源部37が出力する赤色の光が、赤色に着色された透光性の第1ハウジング35を通ることにより、発光部31が赤色に光って見えるように構成されているが、この構成に限らない。例えば、光源部37の出力光は赤色に限らず、例えば白色であってもよく、第1ハウジング35は無色透明であってもよい。
また、実施形態1では、円環状の導光部材38を例示したが、導光部材38は、円環状(又はその他の環状)に限らず、例えば矩形板状の部材であってもよい。この場合、導光部材38の前面の全域が面発光し、透光性を有する環状の発光部31を通して前方に光を出力することにより、環状の発光部31を実現可能である。
また、発光素子371は、チップLEDのような点光源に限らず、例えば、有機EL(Electro-Luminescence)素子等であってもよい。さらに、表示灯3は、有機EL素子等を用いた面発光型の光源部37を採用する場合には、導光部材38を省略しても、発光部31の全域を均一に発光させることも可能である。
また、光源部37が備える発光素子371の数は、4つに限らず、1つ、2つ又は3つでもよいし、5つ以上であってもよい。さらに、導光部材38の周方向の全域を、複数の発光素子371に分担させることは必須ではなく、2つ以上の発光素子371が、導光部材38の周方向における同じ区間を担当してもよい。
また、拡散部材39は、表示灯3に必須の構成ではなく、例えば、導光部材38の前面(出射部383の前面)、又は第1ハウジング35にシボ加工等により光拡散性を付与することで、拡散部材39は適宜省略可能である。
また、導光部材38における傾斜面388の数及び傾斜角度等は、実施形態1で示した例(図19B参照)に限らず、適宜変更可能である。
また、導光部材38の後面(筒体部381の後面381a)に形成される導光溝387の形状は、実施形態1で示した例(図18A及び図18B参照)に限らず、適宜変更可能である。例えば、導光溝387は、図22Aに示すように、その底部が曲面を含んでいてもよい。図22Aの例では、鋸歯状に形成された導光溝387の頂角部がアール(R)状に形成されている。図22Aは、図18Bと同様に、導光部材38の左半分を、図17に示す光路P1が一直線となるように展開した、つまり平面上に広げた概念的な展開図における、一部(領域X1)の拡大図である。この構成によれば、導光溝387の頂角部におけるアール(R)の径の大きさにより、筒体部381の前方の出射部383からの光の取出効率が容易に調整可能となる。さらに、導光溝387の頂角部がアール(R)状であれば、導光部材38の成形が容易になる。
また、導光部材38の後面(筒体部381の後面381a)は導光部材38の前面に対して傾斜していなくてもよく、例えば、図22Bに示すように、導光部材38の後面(筒体部381の後面381a)が導光部材38の前面に対して平行であってもよい。図22Bは、図18Aと同様に、導光部材38の左半分を、図17に示す光路P1が一直線となるように展開した、つまり平面上に広げた概念的な展開図である。図22Bの例では、導光溝387に代えて、光源部37(発光素子371)から離れる程に前後方向における導光部材38の厚みが小さくなるように、段差部387Aが形成されている。段差部387Aは、導光溝387と同様に、入射部382から見て筒体部381の周方向の両周りに、それぞれ略等間隔で並ぶように形成されている。段差部387Aは、入射部382から筒体部381の周方向に沿って入射する光を、前方に向けて反射するように、筒体部381の周方向に対して傾斜する傾斜面を含んでいる。この構成では、導光部材38は、筒体部381の後面381aに入射する光を、段差部387Aの傾斜面にて効率的に前方に向けて反射することができ、筒体部381の前方の出射部383からの光の取出効率の向上を図ることができる。この構成によれば、導光部材38の後面における平坦部分が多くなるので、導光部材38の成形が容易になる。
(実施形態2)
本実施形態に係る防災機器取付構造100A及び機器収容箱5Aは、図23に示すように、防災機器1が機器収容箱5Aの筐体51Aに対して直接的に取り付けられる点で、実施形態1とは相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態に係る防災機器取付構造100Aは、図23に示すように、防災機器1と、筐体51Aの前壁としての板材からなる取付対象4Aと、を備えている。本実施形態に係る機器収容箱5Aは、この防災機器取付構造100Aと、筐体51Aと、を備えている。すなわち、本実施形態では、機器収容箱5Aの筐体51Aの一部が取付対象4Aを構成しているのであって、取付アダプタを用いることなく、機器収容箱5Aの筐体51Aに防災機器1を取付可能である。
取付対象4Aは、実施形態1で説明した筐体51(図1参照)の前壁511(図1参照)と、取付アダプタ(取付対象4)と、を一体化した構成である。すなわち、取付対象4Aは、前後方向に貫通する円形状の取付孔41Aを有している。さらに、取付対象4Aは、平板状ではなく、取付孔41Aの周囲に、他の部位よりも後方に窪んだ座繰り部43Aを有している。言い換えれば、取付対象4Aの前面は、取付孔41Aの周囲のみが窪んだ形状を有し、座繰り部43Aの前面は、取付対象4Aにおける座繰り部43A以外の部位の前面に比べて後方に位置する。防災機器1は、正面視において、この座繰り部43A内に収まるように、取付対象4Aに取り付けられる。図23では、第2パッキン62(図24参照)の図示を省略している。
防災機器1の表示灯3は、図24に示すように、実施形態1と同様に、挿入部12が取付対象4Aの取付孔41Aに挿入された状態で、鍔片11と挟み片13との間に取付対象4Aにおける取付孔41Aの周囲を挟むことによって、取付対象4Aに取り付けられる。ここで、表示灯3は、取付対象4Aにおける取付孔41Aの周囲であって後方に窪んだ座繰り部43Aの底部を、鍔片11と挟み片13(縦片18)とで挟むことにより、取付対象4Aに対して本固定される。
このように、取付アダプタを介さずに、防災機器1が機器収容箱5Aの筐体51Aに対して直接的に取り付けられる場合には、筐体51Aの前壁が取付対象4Aを兼ねることになる。つまり、筐体51Aの一部(前壁)が、取付対象4Aとして、防災機器1と共に防災機器取付構造100Aを構成する。
以上説明した本実施形態の構成では、防災機器1は、取付対象4Aにおける取付孔41Aの周囲を鍔片11と挟み片13とで挟むことで設置可能となる。そのため、防災機器1を設置するために、スタッドネジ(スタッドボルト)等が不要になり、防災機器1の設置作業が容易になる。
実施形態2の構成は、実施形態1で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
(まとめ)
第1の態様に係る表示灯(3)は、発光部(31)と、光源部(37)と、導光部材(38)と、を備える。発光部(31)は、正面視において環状である。光源部(37)は、光を出力する。導光部材(38)は、光源部(37)の出力光を発光部(31)に導くことにより発光部(31)を発光させる。
この構成によれば、正面視において環状の発光部(31)を発光させながらも、光源部(37)の出力光が発光部(31)に直接的に入射するのではなく、導光部材(38)を介して発光部(31)に入射する。したがって、発光部(31)の周方向において比較的均一な発光状態を実現可能である。すなわち、光源部(37)が発光部(31)を後方から直接的に照らす構成に比べて、正面視において、光源部(37)が存在する位置と光源部(37)が存在しない位置との間で輝度差が生じにくい。その結果、発光部(31)の周方向における輝度のばらつきを小さく抑えることができる、という利点がある。
第2の態様に係る表示灯(3)は、第1の態様において、導光部材(38)は、発光部(31)の周方向における1箇所に、光源部(37)からの光が入射する入射部(382)を有している。
この構成によれば、光源部(37)を発光部(31)の周方向における全周に亘って配置する場合に比べて、光源部(37)の小型化を図ることができる。
第3の態様に係る表示灯(3)は、第1又は2の態様において、光源部(37)から放射される発散光を発散光よりも平行光に近い光に変換して導光部材(38)に入射させる光学要素(385)を更に備える。
この構成によれば、光源部(37)から放射される光は平行光に近い光として導光部材(38)に入射するので、導光部材(38)は、この光を効率的に導く(導光する)ことができる。
第4の態様に係る表示灯(3)は、第1~3のいずれかの態様において、導光部材(38)は、発光部(31)の後方に位置し、前後方向において発光部(31)と重なる環状に形成されている。
この構成によれば、正面視において発光部(31)からの導光部材(38)のはみ出し量を小さく抑えることができるので、正面視における表示灯(3)のデザインを変更することなく、導光部材(38)を設けることができる。
第5の態様に係る表示灯(3)は、第4の態様において、光源部(37)は、導光部材(38)に向けて出力光が出力される向きで、導光部材(38)の内側に配置されている。
この構成によれば、光源部(37)が導光部材(38)の外側に配置される構成に比べて、正面視における表示灯(3)のサイズを小さく抑えることができる。
第6の態様に係る表示灯(3)は、第4又は5の態様において、光源部(37)から導光部材(38)に入射した光を導光部材(38)の周方向に沿う向きの光に変換する光学ミラー(386)を更に備える。
この構成によれば、光源部(37)から導光部材(38)に入射した光の向きを、光学ミラー(386)にて効率的に変換することができ、導光部材(38)からの光の取出効率の向上につながる。
第7の態様に係る表示灯(3)は、第4~6のいずれかの態様において、導光部材(38)は、光源部(37)から入射した光を、正面視において導光部材(38)の周方向の両周りに導くように構成されている。
この構成によれば、導光部材(38)が、光源部(37)から入射した光を、正面視において導光部材(38)の周方向の片方向にのみ導く場合に比べて、導光部材(38)の周方向における輝度差を小さく抑えることができる。
第8の態様に係る表示灯(3)は、第1~7のいずれかの態様において、光源部(37)から離れる程に前後方向における導光部材(38)の厚みが小さくなるように、導光部材(38)の後面(381a)は導光部材(38)の前面に対して傾斜している。
この構成によれば、導光部材(38)に入射する光を、導光部材(38)の後面(381a)にて効率的に前方に向けて反射することができ、導光部材(38)からの光の取出効率の向上を図ることができる。
第9の態様に係る表示灯(3)は、第1~8のいずれかの態様において、導光部材(38)は、導光部材(38)の後面(381a)に形成された複数の導光溝(387)を有する。
この構成によれば、導光部材(38)に入射する光を、導光溝(387)の底面にて効率的に前方に向けて反射することができ、導光部材(38)からの光の取出効率の向上を図ることができる。
第10の態様に係る表示灯(3)は、第1~9のいずれかの態様において、導光部材(38)を保持する保持部を更に備え、保持部は、導光部材(38)との対向面の少なくとも一部に反射面(362a,362b,362c)を有する。
この構成によれば、導光部材(38)から漏れた光についても、少なくともその一部は、反射面(362a,362b,362c)にて反射されて導光部材(38)内に戻されるので、導光部材(38)からの光の取出効率の向上につながる。
第11の態様に係る表示灯(3)は、第1~10のいずれかの態様において、導光部材(38)と発光部(31)との間に配置され、光拡散性及び透光性を有する拡散部材(39)を更に備える。
この構成によれば、正面視において発光部(31)の輝度差をより小さく抑えることができる。
第12の態様に係る表示灯(3)は、第1~11のいずれかの態様において、導光部材(38)を収納するハウジング(33)を更に備え、ハウジング(33)の少なくとも一部は、透光性を有し発光部(31)を構成する。
この構成によれば、正面視において、発光部(31)の奥が光ることになるので、ハウジング(33)の内側が光っているように見え、深みのある光に見える。
第13の態様に係る表示灯付き発信機(10)は、第1~12のいずれかの態様に係る表示灯(3)と、発光部(31)に囲まれる領域に配置される発信機(2)と、を備える。
この構成によれば、正面視において環状の発光部(31)を発光させながらも、光源部(37)の出力光が発光部(31)に直接的に入射するのではなく、導光部材(38)を介して発光部(31)に入射する。したがって、発光部(31)の周方向において比較的均一な発光状態を実現可能である。すなわち、光源部(37)が発光部(31)を後方から直接的に照らす構成に比べて、正面視において、光源部(37)が存在する位置と光源部(37)が存在しない位置との間で輝度差が生じにくい。その結果、発光部(31)の周方向における輝度のばらつきを小さく抑えることができる、という利点がある。
第2~12の態様は、表示灯(3)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。