JP7028259B2 - 分析装置、分析方法、及び、プログラム - Google Patents

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Description

本発明は、分析装置、分析方法、及び、記録媒体に関する。
システムの状態を分析する手法として、回帰分析などの統計的手法が、広く利用されている。このような統計的手法では、システムの状態に関する変数の内、システムの指標に関する目的変数とそれ以外の説明変数との関係を明らかにし、目的変数の値の変化に強い影響を持つ説明変数が特定される。
例えば、分析対象のシステムが、物の製造プロセスを含むシステムの場合、センサにより取得された、システムの様々な項目の観測値に対して統計的手法を適用することにより、製造品の品質に影響を与える影響要因が特定される。この場合、品質を表す項目を目的変数とし、その他の複数の項目を説明変数とした、多変量解析が行われる。ユーザは、多変量解析によって算出された、各説明変数の寄与率や関連の度合い等に基づき、各説明変数の、目的変数の値の変化に与える影響の程度(すなわち、各説明変数の影響度)を知ることができる。
このような多変量解析を用いた技術として、特許文献1には、説明変数に含まれる名義尺度データに基づいてデータをセグメント化し、各セグメントに対する多変量解析により、影響要因を特定する方法が記載されている。
また、特許文献2には、分析対象の説明時系列に対して行うべき適切な前処理を明らかにするために、説明時系列から得られる特徴時系列を用いて要因分析を行う技術が記載されている。特許文献2の技術では、目的時系列の値の変化に対する特徴時系列の影響度を算出し、特徴時系列の影響度に基づいて、目的時系列の値の変化に対する説明時系列の影響度を算出する。
また、関連技術として、特許文献3には、気温とタンクの水位の近似式を生成し、近似式から予測した水位と実測した水位との差分を用いて漏洩を検出する技術が記載されている。非特許文献1には、目的変数が離散値のときに、L1正則化ロジスティック回帰と呼ばれる方法により、説明変数の影響度を高い精度で推定できることが記載されている。非特許文献2には、決定木を複数用いることで分類器を構成する、ランダム森分類器が記載されている。
特開2009-258890号公報 国際公開第2015/136586号 特開2016-102744号公報
ISBN: 1-58113-838-5, Andrew Y. Ng 著「Feature selection, L1 vs. L2 regularization, and rotational invariance」in Proceedings of the 21st International Conference of Machine Learning, pp. 78-85, 2004 ISSN: 0885-6125, Breiman. L 著「Random Forests」, Machine Learning, Vol.45, No.1, pp. 5-32, 2001
上述の統計的手法を用いたシステム分析において、例えば、気温や天候、気候等、システムの状態変化に著しく強い相関を持つ外的要因が存在する場合が考えられる。この場合、目的変数に対する影響要因として、外的要因、あるいはそれに関連する要因が特定されてしまい、本来検出されるべき、外的要因以外の説明変数が、影響要因として特定されないことがある。このため、特定した要因に基づいてシステムの調整や制御を行うといった、適切なアクションをとることができない。
上述の特許文献1や特許文献2には、このような外的要因を考慮して、影響要因を特定することは開示されていない。
本発明の目的は、上述の課題を解決し、システムの状態変化に強い相関を持つ外的要因が存在し、かつ、分析対象の時系列に前処理が必要な場合でも、システムの状態変化に影響を与える、外的要因以外の要因を正しく特定できる、分析装置、分析方法、及び、記録媒体を提供することである。
本発明の一態様における分析装置は、目的時系列の値と、複数の説明時系列の内の第1の説明時系列の値に基づき生成された前記目的時系列の予測値と、の差分時系列、及び、前記複数の説明時系列の内の1以上の第2の説明時系列を取得する、時系列取得手段と、前記1以上の第2の説明時系列の各々について、当該第2の説明時系列から特徴量を抽出し、当該特徴量を特徴時系列に変換する特徴時系列変換手段と、前記1以上の第2の説明時系列の特徴時系列と、前記差分時系列と、に基づき、前記差分時系列の値の変化に対する、前記1以上の第2の説明時系列の各々の影響度を算出する、影響度算出手段と、を備える。
本発明の一態様における分析方法は、目的時系列の値と、複数の説明時系列の内の第1の説明時系列の値に基づき生成された前記目的時系列の予測値と、の差分時系列、及び、前記複数の説明時系列の内の1以上の第2の説明時系列を取得し、前記1以上の第2の説明時系列の各々について、当該第2の説明時系列から特徴量を抽出し、当該特徴量を特徴時系列に変換し、前記1以上の第2の説明時系列の特徴時系列と、前記差分時系列と、に基づき、前記差分時系列の値の変化に対する、前記1以上の第2の説明時系列の各々の影響度を算出する。
本発明の一態様における記録媒体は、コンピュータに、目的時系列の値と、複数の説明時系列の内の第1の説明時系列の値に基づき生成された前記目的時系列の予測値と、の差分時系列、及び、前記複数の説明時系列の内の1以上の第2の説明時系列を取得し、前記1以上の第2の説明時系列の各々について、当該第2の説明時系列から特徴量を抽出し、当該特徴量を特徴時系列に変換し、前記1以上の第2の説明時系列の特徴時系列と、前記差分時系列と、に基づき、前記差分時系列の値の変化に対する、前記1以上の第2の説明時系列の各々の影響度を算出する、処理を実行させる。
本発明の効果は、システムの状態変化に強い相関を持つ外的要因が存在し、かつ、分析対象の時系列に前処理が必要な場合でも、システムの状態変化に影響を与える、外的要因以外の要因を正しく特定できることである。
第1の実施形態における、分析システム1の構成を示すブロック図である。 第1の実施形態における、説明時系列の例を示す図である。 第1の実施形態における、目的時系列の例を示す図である。 第1の実施形態における、コンピュータに実装された外的要因軽減装置300の構成を示すブロック図である。 第1の実施形態における、コンピュータに実装された要因分析装置400の構成を示すブロック図である。 第1の実施形態における、外的要因軽減処理を示すフローチャートである。 第1の実施形態における、外的要因特定処理(ステップS102)の詳細を示すフローチャートである。 第1の実施形態における、差分時系列の例を示す図である。 第1の実施形態における、時系列のグラフを示す図である。 第1の実施形態における、要因抽出処理を示すフローチャートである。 第1の実施形態における、影響度の算出例を示す図である。 第1の実施形態における、表示装置600により表示される表示画面の例を示す図である。 第1の実施形態の特徴的な構成を示すブロック図である。 第2の実施形態における、分析システム1の構成を示すブロック図である。 第2の実施形態における、要因抽出処理を示すフローチャートである。 第2の実施形態における、特徴時系列の例を示す図である。 第2の実施形態における、特徴時系列の影響度の算出例を示す図である。 第2の実施形態における、説明時系列の影響度の算出例を示す図である。 第2の実施形態における、説明時系列の影響度の統合例を示す図である。 第2の実施形態における、表示装置600により表示される表示画面の例を示す図である。 第2の実施形態における、表示装置600により表示される表示画面の他の例を示す図である。 第2の実施形態の特徴的な構成を示すブロック図である。
発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
なお、各図面、及び、明細書記載の各実施形態において、同様の構成要素には同一の符号を付与し、説明を適宜省略する。
以下、分析対象のシステムが、製造システムである場合を例に、各実施形態を説明する。
<<第1の実施形態>>
はじめに、第1の実施の形態の構成について説明する。
図1は、第1の実施形態における、分析システム1の構成を示すブロック図である。図1を参照すると、第1の実施形態の分析システム1は、被分析装置900と、ネットワーク等により接続される。
被分析装置900は、製造システムの製造工程で使用される装置である。被分析装置900は、製造工程における様々な項目の値を、例えば、センサにより取得し、分析システム1に送信する。また、被分析装置900は、製造工程における項目の値として、保守員等により設定された値を取得してもよい。
被分析装置900が値を取得する対象の項目は、製造品の品質指標、及び、製造条件に分類される。
品質指標とは、製品の品質、または、製品に対する評価を示す項目であり、例えば、製品の導電性や、耐水性、耐熱性、正常に動作するか否かを示す製品状態等である。品質指標の各項目の値は、整数や小数等の量的な値でもよいし、「正常/異常」等の定性的な(質的な)値でもよい。
製造条件とは、製品の品質指標の値に影響する可能性がある項目である。製造条件は、さらに、被分析装置900において、その値の変化を直接または間接的に制御できる項目と、被分析装置900の環境等に依存する項目等、その値の変化を制御できない項目と、に分類される。値の変化を制御できる項目は、例えば、温度や圧力、ガス流量、電圧、材料の性質、材料の量や割合、特定の操作を行っているか否かを示す操作状況等である。また、値の変化を制御できない項目は、例えば、気温や気圧、天候等である。以下、このような、値の変化を制御できない項目を外的要因とも記載する。なお、製造条件の各項目の値も、整数や小数等の量的な値でもよいし、「正常/異常」、「晴/雨」等の定性的な(質的な)値でもよい。
以下、被分析装置900によって取得された値を観測値と記載し、観測値を時刻順に並べたデータを「時系列」と記載する。また、品質指標の項目の時系列を「目的時系列」、製造条件の項目の時系列を「説明時系列」と記載する。
さらに、説明時系列の内、外的要因の項目の説明時系列を「外的要因時系列」、または、「第1の説明時系列」とも記載し、外的要因時系列以外の説明時系列を「第2の説明時系列」とも記載する。
図2は、第1の実施形態における、説明時系列の例を示す図である。図3は、第1の実施形態における、目的時系列の例を示す図である。図2の例では、説明時系列(ID(Identifier)「1」、…、「N」)の各々について、時刻毎に観測値が関連づけられ、さらに、当該時系列が外的要因時系列かどうかを示す外的要因情報が関連づけられている。ここで、外的要因情報が「y」の場合は外的要因時系列を、「n」の場合は外的要因時系列以外の説明時系列を示す。図3の例でも、目的時系列(ID「0」)について、時刻毎に観測値が関連づけられている。
分析システム1は、観測データ収集装置100、時系列記憶装置200、外的要因軽減装置300、要因分析装置400、表示装置600、及び、制御装置700を含む。
観測データ収集装置100は、被分析装置900から観測値を収集する。観測データ収集装置100は、収集した観測値の時系列を、時系列記憶装置200に保存する。ここで、品質指標の項目(目的時系列の項目)は、予め、ユーザ等により設定されており、観測データ収集装置100は、説明時系列と目的時系列とを、時系列記憶装置200の説明時系列記憶部210と目的時系列記憶部220とにそれぞれ保存する。
時系列記憶装置200は、観測データ収集装置100が取得した観測値の時系列を記憶する。時系列記憶装置200は、説明時系列記憶部210と目的時系列記憶部220とを含む。説明時系列記憶部210は、説明時系列を記憶する。目的時系列記憶部220は、目的時系列を記憶する。
外的要因軽減装置300は、説明時系列の内の外的要因時系列を特定する。そして、外的要因軽減装置300は、目的時系列から外的要因の影響を軽減した時系列として、外的要因時系列に基づいて算出される目的時系列の予測値と目的時系列の観測値との差分時系列を生成する。外的要因軽減装置300は、外的要因特定部310(以下、単に特定部とも記載)、予測式生成部320、予測式記憶部330、差分時系列生成部340、及び、差分時系列記憶部350を含む。
外的要因特定部310は、説明時系列の内の外的要因時系列を特定する。
予測式生成部320は、外的要因時系列と目的時系列とに基づいて、外的要因時系列の値から目的時系列の値を予測するための予測式を生成する。
予測式記憶部330は、予測式生成部320が生成した予測式を記憶する。
差分時系列生成部340は、外的要因時系列と予測式とに基づいて、目的時系列の予測値を算出する。そして、差分時系列生成部340は、目的時系列の予測値と時系列記憶装置200に記憶されている目的時系列の観測値との差分時系列を生成する。
差分時系列記憶部350は、差分時系列生成部340により生成された差分時系列を記憶する。
要因分析装置400(以下、単に分析装置とも記載)は、外的要因時系列以外の説明時系列の内、目的時系列の値の変化に影響を与える説明時系列の候補(以下、要因候補とも記載)を抽出する。要因分析装置400は、時系列取得部410、影響度算出部420、影響度記憶部430、及び、要因候補出力部440を含む。
時系列取得部410は、時系列記憶装置200から外的要因時系列以外の説明時系列を、また、外的要因軽減装置300の差分時系列記憶部350から差分時系列を取得する。
影響度算出部420は、時系列取得部410により取得した、外的要因時系列以外の説明時系列と差分時系列とに基づき、差分時系列の値の変化に対する説明時系列の影響度を算出する。
影響度記憶部430は、影響度算出部420によって算出された影響度を記憶する。
要因候補出力部440(以下、単に出力部とも記載)は、影響度に基づき、要因候補の説明時系列を抽出し、表示装置600や制御装置700へ出力する。
表示装置600は、要因分析装置400から出力された要因候補を、ユーザ等に出力する。
制御装置700は、要因分析装置400から出力された要因候補に基づき、被分析装置900を制御する。
なお、分析システム1に含まれる各装置は、CPU(Central Processing Unit)とプログラムを格納した記録媒体とを含み、プログラムに基づく制御によって動作するコンピュータであってもよい。
以下、例として、コンピュータに実装された外的要因軽減装置300、及び、要因分析装置400の構成を説明する。
図4は、第1の実施形態における、コンピュータに実装された外的要因軽減装置300の構成を示すブロック図である。
図4を参照すると、外的要因軽減装置300は、CPU301、記憶デバイス302(記録媒体)、入出力デバイス303、及び、通信デバイス304を含む。CPU301は、外的要因特定部310、予測式生成部320、及び、差分時系列生成部340を実装するためのプログラムの命令(Instruction)を実行する。記憶デバイス302は、例えば、ハードディスクやメモリ等であり、予測式記憶部330、及び、差分時系列記憶部350のデータを記憶する。入出力デバイス303は、例えば、キーボード、ディスプレイ等であり、ユーザ等から、外的要因軽減処理の実行指示の入力を受け付ける。通信デバイス304は、時系列記憶装置200から外的要因時系列や目的時系列を受信する。また、通信デバイス304は、要因分析装置400へ、差分時系列を送信する。
図5は、第1の実施形態における、コンピュータに実装された要因分析装置400の構成を示すブロック図である。
図5を参照すると、要因分析装置400は、CPU401、記憶デバイス402(記録媒体)、入出力デバイス403、及び、通信デバイス404を含む。CPU401は、時系列取得部410、影響度算出部420、及び、要因候補出力部440を実装するためのプログラムの命令を実行する。記憶デバイス402は、影響度記憶部430のデータを記憶する。入出力デバイス403は、ユーザ等から、要因抽出処理の実行指示の入力を受け付ける。通信デバイス404は、時系列記憶装置200から説明時系列を、外的要因軽減装置300から差分時系列を受信する。また、通信デバイス404は、表示装置600や制御装置700へ、要因候補を送信する。
なお、分析システム1に含まれる各装置において、各構成要素の一部、または、全部は、汎用または専用の回路(circuitry)やプロセッサ、これらの組み合わせで実装されてもよい。これらの回路やプロセッサは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。また、各構成要素の一部、または、全部は、上述した回路等とプログラムとの組み合わせで実装されてもよい。また、各構成要素の一部、または、全部が、複数の情報処理装置や回路等で実装される場合、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントアンドサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態で実装されてもよい。
また、分析システム1に含まれる複数の装置の構成要素が、一つの物理的な装置に実装されてもよい。例えば、観測データ収集装置100、時系列記憶装置200、外的要因軽減装置300、及び、要因分析装置400の構成要素が、一つのコンピュータに実装されてもよい。
次に、第1の実施形態における分析システム1の動作を説明する。
ここでは、観測データ収集装置100により収集された、図2、図3のような、分析対象期間の説明時系列、目的時系列が、時系列記憶装置200に保存されていると仮定する。なお、初期状態では、図2における全ての説明時系列について、外的要因情報に「n」が設定されていると仮定する。
はじめに、第1の実施形態における外的要因軽減処理について説明する。
外的要因軽減処理は、説明時系列の内の外的要因時系列を特定し、目的時系列から外的要因の影響を軽減した時系列として、外的要因時系列に基づいて算出される目的時系列の予測値と目的時系列の観測値との差分時系列を生成する処理である。ユーザ等は、例えば、品質指標の値に異常が発見された場合等に、要因抽出処理の実行に先立ち、外的要因軽減装置300に、外的要因軽減処理の実行を指示する。
図6は、第1の実施形態における、外的要因軽減処理を示すフローチャートである。
はじめに、外的要因軽減装置300の外的要因特定部310は、時系列記憶装置200から、説明時系列と目的時系列を取得する(ステップS101)。
外的要因特定部310は、外的要因特定処理により、説明時系列の内の外的要因時系列を特定する(ステップS102)。
上述の通り、外的要因は、製造条件の内、例えば、気温や気圧、天候等、値の変化を制御できない項目である。ここでは、「外的要因は、目的時系列の値の変化に影響するが、目的時系列の値の変化は外的要因に影響しない」という前提に基づき、以下のように、外的要因時系列を特定する。
図7は、第1の実施形態における、外的要因特定処理(ステップS102)の詳細を示すフローチャートである。
外的要因特定部310は、説明時系列の各々について、目的時系列の値の変化に対する影響度を算出する(ステップS1021)。ここで、外的要因特定部310は、例えば、多変量解析手法を用いて、影響度を算出する。外的要因特定部310は、目的時系列を目的変数とし、説明時系列を説明変数とした多変量解析を実行する。なお、目的変数の値の変化に対する説明変数の影響度を算出できれば、外的要因特定部310は、多変量解析手法として、どのような手法を用いてもよい。例えば、目的時系列が量的データである場合、外的要因特定部310は、多変量解析として重回帰分析を用いることができる。重回帰分析が用いられた場合、それぞれの説明変数について算出されるp値の逆数またはt値を、影響度と見なすことができる。また、目的時系列が質的データである場合、多変量解析としてロジスティック回帰分析を用いることができる。ロジスティック回帰分析が用いられた場合、例えば、それぞれの説明変数について算出されるp値の逆数またはWald統計量を、影響度と見なすことができる。
例えば、外的要因特定部310は、図3の目的時系列(ID「0」)を目的変数、図2の説明時系列(ID「1」、…、「N」)を説明変数とした多変量解析を実行する。
外的要因特定部310は、ステップS1021で算出された影響度に基づき、説明時系列から、外的要因候補の説明時系列を抽出する(ステップS1022)。ここで、外的要因特定部310は、説明時系列の内、例えば、影響度が所定値以上の時系列を、外的要因候補の説明時系列として抽出する。
例えば、ID「1」、「2」の説明時系列について算出した影響度が所定値以上であれば、外的要因特定部310は、ID「1」、「2」の説明時系列を外的要因候補の説明時系列として抽出する。
外的要因特定部310は、外的要因候補の説明時系列の各々について、説明時系列の値の変化の目的時系列の値の変化による説明可能度合いを算出する(ステップS1023)。ここで、外的要因特定部310は、例えば、目的時系列から説明時系列を推定するための所定の時系列モデルにより、目的時系列と外的要因候補の説明時系列との関係を近似する。外的要因特定部310は、目的時系列から外的要因候補の説明時系列を推定できれば、どのような時系列モデルを用いてもよい。例えば、所定の時系列モデルとして、ARX(Auto-Regressive eXogeneous)モデルを仮定した場合、外的要因特定部310は、目的時系列と外的要因候補の説明時系列とから、ARXモデルのパラメータの値を決定する。
そして、外的要因特定部310は、外的要因候補の時系列の各々について、時系列モデルの当てはまりの良さを示す指標の値を、上述の説明可能度合いとして算出する。このような指標として、例えば、時系列モデルにより目的時系列から外的要因候補の説明時系列を推定した場合の推定値の二乗誤差や適合度を用いることができる。
例えば、外的要因特定部310は、目的時系列(ID「0」)から外的要因候補の説明時系列(ID「1」、ID「2」)の各々を推定するARXモデルのパラメータを決定し、当該ARXモデルの適合度を算出する。
外的要因特定部310は、ステップS1023で算出された説明可能度合いに基づき、外的要因候補の説明時系列の内の、外的要因時系列を特定する(ステップS1024)。ここで、外的要因特定部310は、例えば、外的要因候補の説明時系列の内、説明可能度合いが所定値未満の説明時系列を、外的要因時系列として特定する。外的要因特定部310は、説明時系列記憶部210における、外的要因時系列として抽出された説明時系列の外的要因情報に「y」を設定する。
例えば、ID「1」の説明時系列について算出した適合度が所定値未満であれば、外的要因特定部310は、当該説明時系列を外的要因時系列として特定する。外的要因特定部310は、図2に示すように、ID「1」の説明時系列の外的要因情報に「y」を設定する。
このようにして抽出した外的要因時系列は、上述の前提「外的要因は、目的時系列の値の変化に影響するが、目的時系列の値の変化は外的要因に影響しない」を満たすと考えられる。
なお、外的要因特定部310は、時系列記憶装置200に記憶されている説明時系列の内、ユーザ等により指定された説明時系列を、外的要因時系列として特定してもよい。
次に、予測式生成部320は、外的要因時系列の値から目的時系列の値を予測するための予測式を生成する(ステップS103)。ここで、予測式生成部320は、例えば、目的時系列を目的変数とし、外的要因時系列を説明変数とした回帰分析を実行することにより、予測式を生成する。なお、外的要因時系列の値から目的時系列の値を予測するための予測式を生成できれば、予測式生成部320は、回帰分析の手法として、どのような手法を用いてもよい。例えば、予測式生成部320は、線形回帰分析により、Y(t)=aX(t)+bの形式の予測式を生成する。ここで、Y(t)は時刻tの目的時系列の予測値、X(t)は時刻tの外的要因時系列の値、a、bはパラメータである。予測式生成部320は、生成した予測式を、予測式記憶部330に保存する。
差分時系列生成部340は、予測式により算出される目的時系列の予測値と目的時系列の観測値との差分時系列を生成する(ステップS104)。ここで、差分時系列生成部340は、予測式記憶部330に記憶されている予測式に、外的要因時系列の値を代入することにより、分析対象期間の各時刻における目的時系列の予測値を算出する。そして、差分時系列生成部340は、分析対象期間の各時刻における、算出した予測値と観測値との差分を算出する。差分時系列生成部340は、算出した差分を時刻順に並べたデータを、差分時系列として差分時系列記憶部350に保存する。
図8は、第1の実施形態における、差分時系列の例を示す図である。例えば、差分時系列生成部340は、図2の外的要因時系列(ID「1」)、及び、図3の目的時系列(ID「0」)を用いて、図8のように差分時系列を生成する。
図9は、第1の実施形態における、時系列のグラフを示す図である。図9のグラフでは、目的時系列(ID「0」)、外的要因時系列(ID「1」)、及び、差分時系列の時間変化が示されている。
このようにして得られた差分時系列は、目的時系列から外的要因の影響を軽減した時系列と考えられる。
次に、第1の実施形態における要因抽出処理について説明する。
要因抽出処理は、説明時系列の内の外的要因時系列以外の説明時系列から、要因候補の説明時系列を抽出する処理である。ユーザ等は、例えば、外的要因軽減装置300による外的要因軽減処理が終了すると、要因分析装置400に要因抽出処理の実行を指示する。
図10は、第1の実施形態における、要因抽出処理を示すフローチャートである。
はじめに、要因分析装置400の時系列取得部410は、時系列記憶装置200から外的要因時系列以外の説明時系列を取得し、外的要因軽減装置300から差分時系列を取得する(ステップS201)。
影響度算出部420は、外的要因時系列以外の説明時系列の各々について、差分時系列の値の変化に対する影響度を算出する(ステップS202)。ここで、影響度算出部420は、例えば、上述の外的要因特定処理で用いた多変量解析手法と同様の多変量解析手法を用いて、影響度を算出する。影響度算出部420は、差分時系列を目的変数とし、外的要因時系列以外の説明時系列を説明変数とした多変量解析を実行する。影響度算出部420は、影響度の算出結果を影響度記憶部430に保存する。
図11は、第1の実施形態における、影響度の算出例を示す図である。図11の例では、算出された影響度の大きい順に説明時系列のIDが示されている。例えば、影響度算出部420は、図8の差分時系列を目的変数、図2の外的要因時系列以外の説明時系列(ID「2」、…、「N」)を説明変数とした多変量解析を実行し、図11のように影響度を算出する。
なお、影響度算出部420は、複数の多変量解析手法の各々を用いて影響度を算出し、算出された影響度を統合してもよい。この場合、影響度算出部420は、例えば、各多変量解析手法において算出された影響度を、最大値が1、最小値が0になるように正規化し、正規化された影響度の和、または、平均を算出してもよい。影響度の和を算出する場合、多変量解析手法毎の影響度の単純和を算出してもよいし、多変量解析手法毎に所定の重みで重み付けした影響度の和を算出してもよい。
要因候補出力部440は、影響度記憶部430から、影響度に基づき要因候補の説明時系列を抽出し、表示装置600、及び、制御装置700へ出力する(ステップS203)。ここで、要因候補出力部440は、例えば、影響度の大きい順に、所定数の説明時系列を、要因候補の説明時系列として抽出し、当該説明時系列のIDを影響度とともに出力する。また、要因候補出力部440は、影響度が所定値以上の説明時系列を抽出してもよい。
例えば、要因候補出力部440は、図11の影響度の算出結果から、影響度の大きい順に、3つの説明時系列のID「2」、「9」、「8」を抽出し、出力する。
表示装置600は、要因分析装置400から出力された要因候補を、ユーザ等に表示する(ステップS204)。
図12は、第1の実施形態における、表示装置600により表示される表示画面の例を示す図である。図12の例では、要因候補出力部440から受信した説明時系列のID「2」、「9」、「8」が、影響度の大きい順に、影響度とともに、要因候補として表示されている。
例えば、表示装置600は、図12のような表示画面を表示する。
これにより、ユーザ等は、目的時系列の値の変化に影響を与える説明時系列の候補を把握できる。
また、制御装置700は、要因分析装置400から出力された要因候補に基づき、被分析装置900を制御する(ステップS205)。ここで、制御装置700は、例えば、図示しない記憶部に予め記憶されている、品質指標の項目の値が正常な時の製造条件の各項目の値(正常時の値)を用いて、被分析装置900を制御してもよい。この場合、制御装置700は、要因候補の説明時系列に対応する製造条件の項目の値が、正常時の値となるように、被分析装置900を制御してもよい。
例えば、制御装置700は、ID「2」、「9」、「8」の説明時系列に対応する製造条件の項目の値が、正常時の値となるように、被分析装置900を制御する。
以上により、第1の実施形態の動作が完了する。
次に、第1の実施形態の特徴的な構成について説明する。
図13は、第1の実施形態の特徴的な構成を示すブロック図である。
図13を参照すると、分析システム1は、外的要因特定部310(特定部)、差分時系列生成部340、及び、影響度算出部420を含む。外的要因特定部310は、複数の説明時系列の内の第1の説明時系列(外的要因時系列)を特定する。差分時系列生成部340は、目的時系列の値と、第1の説明時系列の値に基づき算出された目的時系列の予測値と、の差分時系列を生成する。影響度算出部420は、複数の説明時系列の内の1以上の第2の説明時系列(外的要因時系列以外の説明時系列)と、差分時系列と、に基づき、差分時系列の値の変化に対する、1以上の第2の説明時系列の各々の影響度を算出する。
次に、第1の実施形態の効果について説明する。
第1の実施形態によれば、システムの状態変化に強い相関を持つ外的要因が存在する場合でも、システムの状態変化に影響を与える、外的要因以外の要因を正しく特定できる。その理由は、分析システム1が、目的時系列の値と、第1の説明時系列の値に基づき算出された目的時系列の予測値と、の差分時系列を生成し、差分時系列の値の変化に対する第2の説明時系列の各々の影響度を算出するためである。
また、第1の実施形態によれば、システムの状態変化に影響を与える、外的要因以外の要因を容易に把握できる。その理由は、分析システム1が、第2の説明時系列の各々の影響度に基づき、目的時系列の値の変化に影響を与える説明時系列の候補を抽出し、出力するためである。
また、第1の実施形態によれば、外的要因が指定されていなくても、システムの状態変化に影響を与える、外的要因以外の要因を正しく特定できる。その理由は、分析システム1が、目的時系列の値の変化に影響し、かつ、目的時系列の値の変化により影響されない説明時系列を、第1の説明時系列として特定するためである。
<<第2の実施形態>>
第2の実施形態は、要因抽出処理において、説明時系列の代わりに、説明時系列から抽出された特徴量の時系列である特徴時系列を用いて要因候補の説明時系列を特定する点において、第1の実施形態と異なる。
はじめに、第2の実施の形態の構成について説明する。
図14は、第2の実施形態における、分析システム1の構成を示すブロック図である。図14を参照すると、第2の実施形態の分析システム1では、第1の実施形態の要因分析装置400が要因分析装置500に置き換わっている。
要因分析装置500は、特許文献3の要因分析装置と同様の方法で、要因候補の説明時系列を抽出する。ただし、要因分析装置500は、特許文献3の要因分析装置で用いた目的時系列の代わりに差分時系列を用いて、要因候補の説明時系列を特定する。
要因分析装置500は、時系列取得部510、特徴時系列変換部520、特徴時系列記憶部530、影響度算出部540、影響度記憶部550、要因候補出力部560、及び、前処理候補出力部570を含む。
時系列取得部510は、第1の実施形態の時系列取得部410と同様に、時系列記憶装置200から外的要因時系列以外の説明時系列を、また、外的要因軽減装置300の差分時系列記憶部350から差分時系列を取得する。
特徴時系列変換部520は、特許文献3の特徴時系列変換部と同様に、外的要因時系列以外の説明時系列から特徴量を抽出し、特徴時系列に変換する。特徴時系列変換部520は、特徴抽出部521と特徴変換部522とを含む。特徴抽出部521は、時系列取得部510が取得した説明時系列から特徴量を抽出する。特徴変換部522は、特徴抽出部521で抽出された特徴量に基づき、特徴時系列を生成する。
特徴時系列記憶部530は、特徴時系列変換部520によって生成された特徴時系列を記憶する。
影響度算出部540は、特許文献3の影響度算出部と同様に、差分時系列の値変化に対する説明時系列の影響度を算出する。影響度算出部540は、特徴時系列影響度算出部541と説明時系列影響度算出部542とを含む。特徴時系列影響度算出部541は、差分時系列に対する特徴時系列の影響度を算出する。説明時系列影響度算出部542は、特徴時系列の影響度に基づき、差分時系列に対する、外的要因時系列以外の説明時系列の影響度を算出する。
影響度記憶部550は、特許文献3の影響度記憶部と同様に、影響度算出部540によって算出された特徴時系列の影響度と説明時系列の影響度とを記憶する。影響度記憶部550は、特徴時系列影響度記憶部551と説明時系列影響度記憶部552とを含む。特徴時系列影響度記憶部551は、特徴時系列の影響度を記憶する。説明時系列影響度記憶部552は、説明時系列の影響度を記憶する。
要因候補出力部560(以下、第1の出力部とも記載)は、特許文献3の要因出力部と同様に、説明時系列の影響度に基づき、要因候補の説明時系列を抽出し、表示装置600や制御装置700へ出力する。
前処理候補出力部570(以下、第2の出力部とも記載)は、特許文献3の要因出力部と同様に、特徴時系列の影響度に基づき、前処理として算出すべき特徴量の種類の候補(以下、前処理候補とも記載)を抽出し、表示装置600へ出力する。
なお、要因分析装置500も、第1の実施形態における要因分析装置400と同様に、CPUとプログラムを格納した記録媒体とを含み、プログラムに基づく制御によって動作するコンピュータであってもよい。
次に、第2の実施形態における分析システム1の動作を説明する。
ここでは、第1の実施形態の具体例と同様に、観測データ収集装置100により収集された、図2、図3のような、分析対象期間の説明時系列、目的時系列が、時系列記憶装置200に保存されていると仮定する。
第2の実施形態における外的要因軽減処理は、第1の実施形態における外的要因軽減処理と同様となる。
ここでは、第1の実施形態の具体例と同様に、外的要因軽減処理により、外的要因時系列として、ID「1」の説明時系列が特定され、図8のような差分時系列が、差分時系列記憶部350に保存されていると仮定する。
以下、第2の実施形態における要因抽出処理について説明する。
図15は、第2の実施形態における、要因抽出処理を示すフローチャートである。
はじめに、要因分析装置500の時系列取得部510は、時系列記憶装置200から外的要因時系列以外の説明時系列を取得し、外的要因軽減装置300から差分時系列を取得する(ステップS301)。
特徴時系列変換部520の特徴抽出部521は、外的要因時系列以外の説明時系列の各々について、各時刻の特徴量を抽出する(ステップS302)。ここで、特徴抽出部521は、各説明時系列について、各時刻から所定の時間幅分の(「窓」の範囲内の)部分時系列を用いて、1以上の種類の各々の特徴量を抽出する。特徴量の種類としては、例えば、平均や分散等の統計量が用いられる。また、特徴量の種類として、自己回帰係数や、周波数分布、他の説明時系列との相関係数が用いられてもよい。特徴抽出部521は、窓を説明時系列の開始時刻から終了時刻に向けて所定の時点数ずつずらしながら、各時刻における特徴量を抽出することを、窓が終了時刻に到達するまで繰り返してもよい。
特徴変換部522は、外的要因時系列以外の説明時系列の各々について、抽出された特徴量から特徴時系列を生成する(ステップS303)。ここで、特徴変換部522は、各説明時系列について、特徴量の各種類に対して、特徴抽出部521で抽出された各時刻の特徴量を時刻順に並べることで、特徴時系列を生成する。特徴変換部522は、生成した特徴時系列を特徴時系列記憶部530に保存する。
図16は、第2の実施形態における、特徴時系列の例を示す図である。例えば、特徴時系列変換部520は、図2における外的要因時系列以外の各説明時系列(ID「2」、…、「N」)について、特徴量の各種類(「a」、「b」、…)に対して、図16のような特徴時系列を生成する。図16の例では、各特徴時系列に、特徴時系列の生成元の説明時系列と特徴量の種類とが識別可能なラベルが付与されている。例えば、ID「2」の説明時系列について、特徴量の種類「a」に対して生成された特徴時系列には、ラベル「a::2」が付与されている。
影響度算出部540の特徴時系列影響度算出部541は、特徴時系列の各々について、差分時系列の値変化に対する影響度を算出する(ステップS304)。ここで、特徴時系列影響度算出部541は、例えば、上述の外的要因特定処理で用いた多変量解析手法と同様の多変量解析手法を用いて、特徴時系列の影響度を算出する。特徴時系列影響度算出部541は、1以上の多変量解析手法の各々について、差分時系列を目的変数とし、各特徴時系列を説明変数とした多変量解析を実行することにより、特徴時系列の影響度を算出する。特徴時系列影響度算出部541は、特徴時系列の影響度の算出結果を特徴時系列影響度記憶部551に保存する。特徴時系列の影響度は、例えば、最大値が1、最小値が0になるように正規化される。
図17は、第2の実施形態における、特徴時系列の影響度の算出例を示す図である。例えば、特徴時系列影響度算出部541は、各多変量解析手法「手法I」、「手法II」、「手法III」の各々について、図8の差分時系列を目的変数、図16の各特徴時系列を説明変数とした多変量解析を実行する。これにより、特徴時系列影響度算出部541は、各特徴時系列の影響度を、図17のように算出する。図17の例では、算出された影響度の大きい順に、特徴時系列が示されている。
説明時系列影響度算出部542は、特徴時系列の影響度に基づき、外的要因時系列以外の説明時系列の各々の、差分時系列の値変化に対する影響度を算出する(ステップS305)。ここで、説明時系列影響度算出部542は、例えば、1以上の多変量解析手法の各々について、説明時系列毎に、1以上の種類に対して算出された特徴時系列の影響度の和を算出することで、説明時系列の影響度を算出する。和を算出する対象は、各説明時系列に対して算出された全種類の特徴時系列でもよいし、影響度が大きい方から所定数の種類の特徴時系列でもよい。説明時系列影響度算出部542は、説明時系列の影響度の算出結果を説明時系列影響度記憶部552に保存する。
図18は、第2の実施形態における、説明時系列の影響度の算出例を示す図である。例えば、説明時系列影響度算出部542は、多変量解析手法「手法I」、「手法II」、「手法III」の各々について、図17の特徴時系列の影響度を用いて、各説明時系列(ID「2」、…、「N」)の影響度を、図18のように算出する。図18の例では、算出された影響度の大きい順に、説明時系列が示されている。
要因候補出力部560は、説明時系列影響度記憶部552から、説明時系列の影響度に基づき要因候補の説明時系列を抽出し、表示装置600、及び、制御装置700へ出力する(ステップS306)。ここで、要因候補出力部560は、例えば、説明時系列毎に、1以上の多変量解析手法に対して算出された説明時系列の影響度の和を求めることにより、説明時系列の影響度を統合する。影響度の和として、多変量解析手法毎の影響度の単純和を算出してもよいし、多変量解析手法毎に所定の重みで重み付けした影響度の和を算出してもよい。そして、要因候補出力部560は、例えば、統合された影響度の大きい順に、所定数の説明時系列を要因候補の説明時系列として抽出し、当該説明時系列のIDを影響度とともに出力する。なお、要因候補出力部560は、統合された影響度が所定値以上の説明時系列を抽出してもよい。
図19は、第2の実施形態における、説明時系列の影響度の統合例を示す図である。例えば、要因候補出力部560は、図18の各説明時系列の影響度を、図19のように統合する。図19の例では、統合された影響度の大きい順に説明時系列が示されている。要因候補出力部560は、例えば、統合された影響度が1以上である説明時系列のID「13」、「37」を抽出し、要因候補として出力する。
表示装置600は、要因分析装置500から出力された要因候補を、ユーザ等に表示する(ステップS307)。
図20は、第2の実施形態における、表示装置600により表示される表示画面の例を示す図である。図20の例では、要因候補出力部560から受信した説明時系列のID「13」、「37」が、影響度の大きい順に、影響度とともに、要因候補として表示されている。
例えば、表示装置600は、図20のような表示画面を表示する。
これにより、ユーザ等は、目的時系列の値の変化に影響を与える説明時系列の候補を把握できる。
また、制御装置700は、要因分析装置500から出力された要因候補に基づき、被分析装置900を制御する(ステップS308)。
例えば、制御装置700は、制御装置700は、ID「13」、「37」の説明時系列に対応する製造条件の項目の値が、正常時の値となるように、被分析装置900を制御する。
さらに、前処理候補出力部570は、特徴時系列影響度算出部541から、特徴時系列の影響度に基づき、前処理候補の特徴量の種類を抽出し、表示装置600へ出力する(ステップS309)。ここで、前処理候補出力部570は、例えば、特徴時系列の影響度の算出結果において、影響度が大きい特徴時系列の特徴量の種類を、前処理候補として抽出する。
例えば、前処理候補出力部570は、図17の説明時系列の影響度の算出結果から、影響度が大きい特徴時系列「a::13」、及び、特徴時系列「a::37」の特徴量の種類「a」を、前処理候補として抽出する。
表示装置600は、要因分析装置500から出力された前処理候補を、ユーザ等に表示する(ステップS310)。
図21は、第2の実施形態における、表示装置600により表示される表示画面の他の例を示す図である。図21の例では、前処理候補出力部570から受信した特徴量の種類「a」が、前処理候補として表示されている。
例えば、表示装置600は、図21のような表示画面を表示する。
これにより、ユーザ等は、説明時系列に対して行うべき適切な前処理(前処理として算出すべき特徴量の種類)を把握できる。
以上により、第2の実施形態の動作が完了する。
次に、第2の実施形態の特徴的な構成について説明する。
図22は、第2の実施形態の特徴的な構成を示すブロック図である。
図22を参照すると、要因分析装置500は、時系列取得部510、特徴時系列変換部520、及び、影響度算出部540を含む。時系列取得部510は、複数の説明時系列の内の第1の説明時系列(外的要因時系列)の値に基づき生成された目的時系列の予測値と目的時系列の値との差分時系列、及び、第2の説明時系列(外的要因時系列以外の説明時系列)を取得する。特徴時系列変換部520は、第2の説明時系列の各々について、当該第2の説明時系列から特徴量を抽出し、当該特徴量を特徴時系列に変換する。影響度算出部540は、第2の説明時系列の特徴時系列と、差分時系列と、に基づき、差分時系列の値の変化に対する第2の説明時系列の各々の影響度を算出する。
次に、第2の実施形態の効果について説明する。
第2の実施形態によれば、システムの状態変化に強い相関を持つ外的要因が存在し、かつ、分析対象の時系列に前処理が必要な場合でも、システムの状態変化に影響を与える、外的要因以外の要因を正しく特定できる。その理由は、要因分析装置500が、第2の説明時系列から特徴量を抽出して特徴時系列に変換し、特徴時系列と差分時系列とに基づき、差分時系列の値の変化に対する、第2の説明時系列の各々の影響度を算出するためである。ここで、差分時系列は、目的時系列の値と、第1の説明時系列の値に基づき生成された目的時系列の予測値と、の差分時系列である。
また、第2の実施形態によれば、システムの状態変化に影響を与える、外的要因以外の要因を容易に把握できる。その理由は、要因分析装置500が、第2の説明時系列の各々の影響度に基づき、目的時系列の値の変化に影響を与える説明時系列の候補を抽出し、出力するためである。
また、第2の実施形態によれば、外的要因が指定されていなくても、システムの状態変化に影響を与える、外的要因以外の要因を正しく特定できる。その理由は、要因分析装置500が、目的時系列の値の変化に影響し、かつ、目的時系列の値の変化により影響されない説明時系列である、第1の説明時系列に基づいて生成された差分時系列を用いるためである。
また、第2の実施形態によれば、説明時系列に対して行うべき適切な前処理を把握できる。その理由は、要因分析装置500が、第2の説明時系列の各々の、1以上の種類の特徴時系列の影響度に基づき、第2の説明時系列から抽出すべき特徴量の種類を抽出し、出力するためである。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
例えば、上述の各実施形態では、分析対象のシステムが、製造システムであり、被分析装置900が、製造工程で使用される装置である場合を例に説明した。しかしながら、システムの運用に係る様々な項目の値を、分析対象の項目の値として取得できれば、分析対象のシステムは、他のシステムでもよい。
例えば、分析対象のシステムは、IT(Information Technology)システムや、プラントシステム、発電システム、構造物、輸送機器でもよい。分析対象のシステムがITシステムの場合、例えば、目的時系列として、消費電力量や演算回数等の時系列が用いられる。また、説明時系列として、CPU使用率、メモリ使用率、ディスクアクセス頻度等のコンピュータリソースの使用率や使用量、通信ネットワークリソースの使用率や使用量等が用いられる。
また、上述の各実施形態では、外的要因軽減装置300により特定される外的要因時系列の数が1の場合を例に説明した。しかしながら、特定される外的要因時系列の数は複数でもよい。この場合、外的要因軽減処理では、例えば、回帰分析により、複数の外的要因時系列の値から目的時系列の値を予測するための予測式が生成され、当該予測式に基づき、差分時系列が生成される。
また、上述の各実施形態では、目的時系列の数が1の場合を例に説明した。しかしながら、目的時系列の数は複数でもよい。この場合、外的要因軽減処理では、例えば、複数の目的時系列の各々について、外的要因時系列が特定され、差分時系列が生成される。そして、要因抽出処理では、複数の差分時系列の各々について、外的要因時系列以外の説明時系列の影響度が算出され、要因候補の説明時系列が抽出される。
また、外的要因特定処理や、要因抽出処理では、多変量解析手法として、非特許文献1に記載されているL1正則化ロジスティック回帰や、非特許文献2に記載されているランダム森分類器を用いてもよい。
1 分析システム
100 観測データ収集装置
200 時系列記憶装置
210 説明時系列記憶部
220 目的時系列記憶部
300 外的要因軽減装置
310 外的要因特定部
320 予測式生成部
330 予測式記憶部
340 差分時系列生成部
350 差分時系列記憶部
301 CPU
302 記憶デバイス
303 入出力デバイス
304 通信デバイス
400 要因分析装置
401 CPU
402 記憶デバイス
403 入出力デバイス
404 通信デバイス
410 時系列取得部
420 影響度算出部
430 影響度記憶部
440 要因候補出力部
500 要因分析装置
510 時系列取得部
520 特徴時系列変換部
521 特徴抽出部
522 特徴変換部
530 特徴時系列記憶部
540 影響度算出部
541 特徴時系列影響度算出部
542 説明時系列影響度算出部
550 影響度記憶部
551 特徴時系列影響度記憶部
552 説明時系列影響度記憶部
560 要因候補出力部
570 前処理候補出力部
600 表示装置
700 制御装置
900 被分析装置

Claims (10)

  1. 目的時系列の値と、複数の説明時系列の内の第1の説明時系列の値に基づき生成された前記目的時系列の予測値と、の差分時系列、及び、前記複数の説明時系列の内の1以上の第2の説明時系列を取得する、時系列取得手段と、
    前記1以上の第2の説明時系列の各々について、当該第2の説明時系列から特徴量を抽出し、当該特徴量を特徴時系列に変換する特徴時系列変換手段と、
    前記1以上の第2の説明時系列の特徴時系列と、前記差分時系列と、に基づき、多変量解析を行った場合における前記差分時系列の値の変化に対する、前記1以上の第2の説明時系列の各々の影響の程度を示す所定の統計量である影響度を算出する、影響度算出手段と、
    を備える分析装置。
  2. さらに、前記1以上の第2の説明時系列の各々の影響度に基づき、前記1以上の第2の説明時系列から、前記目的時系列の値の変化に影響する説明時系列の候補を抽出し、出力する、第1の出力手段を備える、
    請求項1に記載の分析装置。
  3. 前記第1の説明時系列は、前記複数の説明時系列の内、前記影響度が基準を満たし、かつ、前記目的時系列の値の変化に対する値の変化が他の説明時系列よりも小さい説明時系列である、
    請求項1または2に記載の分析装置。
  4. 前記影響度算出手段は、
    前記1以上の第2の説明時系列の特徴時系列と、前記差分時系列と、に基づき、前記差分時系列の値の変化に対する、前記1以上の第2の説明時系列の各々の特徴時系列の影響度を算出し、
    前記1以上の第2の説明時系列の各々について、当該第2の説明時系列の特徴時系列の影響度に基づき、前記差分時系列の値の変化に対する当該第2の説明時系列の影響度を算出する、
    請求項1乃至3のいずれかに記載の分析装置。
  5. 前記影響度算出手段は、
    前記1以上の第2の説明時系列の各々について、1以上の種類の各々の特徴量を抽出し、当該1以上の種類の各々の特徴量を特徴時系列に変換し、
    前記1以上の第2の説明時系列の各々の前記1以上の種類の各々の特徴時系列について、前記差分時系列の値の変化に対する、当該特徴時系列の影響度を算出し、
    前記1以上の第2の説明時系列の各々について、当該第2の説明時系列の前記1以上の種類の特徴時系列の影響度に基づき、前記差分時系列の値の変化に対する当該第2の説明時系列の影響度を算出する、
    請求項4に記載の分析装置。
  6. さらに、前記1以上の第2の説明時系列の各々の前記1以上の種類の特徴時系列の影響度に基づき、前記1以上の第2の説明時系列から抽出すべき特徴量の種類を抽出し、出力する、第2の出力手段を備える、
    請求項5に記載の分析装置。
  7. 目的時系列の値と、複数の説明時系列の内の第1の説明時系列の値に基づき生成された前記目的時系列の予測値と、の差分時系列、及び、前記複数の説明時系列の内の1以上の第2の説明時系列を取得し、
    前記1以上の第2の説明時系列の各々について、当該第2の説明時系列から特徴量を抽出し、当該特徴量を特徴時系列に変換し、
    前記1以上の第2の説明時系列の特徴時系列と、前記差分時系列と、に基づき、多変量解析を行った場合における前記差分時系列の値の変化に対する、前記1以上の第2の説明時系列の各々の影響の程度を示す所定の統計量である影響度を算出する、
    分析方法。
  8. さらに、前記1以上の第2の説明時系列の各々の影響度に基づき、前記1以上の第2の説明時系列から、前記目的時系列の値の変化に影響する説明時系列の候補を抽出し、出力する、
    請求項7に記載の分析方法。
  9. 前記第1の説明時系列は、前記複数の説明時系列の内、前記影響度が基準を満たし、かつ、前記目的時系列の値の変化に対する値の変化が他の説明時系列よりも小さい説明時系列である、
    請求項7または8に記載の分析方法。
  10. コンピュータに、
    目的時系列の値と、複数の説明時系列の内の第1の説明時系列の値に基づき生成された前記目的時系列の予測値と、の差分時系列、及び、前記複数の説明時系列の内の1以上の第2の説明時系列を取得し、
    前記1以上の第2の説明時系列の各々について、当該第2の説明時系列から特徴量を抽出し、当該特徴量を特徴時系列に変換し、
    前記1以上の第2の説明時系列の特徴時系列と、前記差分時系列と、に基づき、多変量解析を行った場合における前記差分時系列の値の変化に対する、前記1以上の第2の説明時系列の各々の影響の程度を示す所定の統計量である影響度を算出する、
    処理を実行させるプログラム。
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