JP7024551B2 - ガラス板構成体及びそれを用いた振動板並びに映像投影構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス板構成体及びそれを用いた振動板並びに映像投影構造体に関する。
一般的に、スピーカー又はマイクロフォン用の振動板としてコーン紙や樹脂が用いられている。これらの材料は損失係数が大きく、共振振動が生じにくいことから、可聴域における音の再現性能が良いとされている。
しかし、これらは何れも材料における音速値が低いため、高周波で励振した際に、音波周波数に材料の振動が追従しにくく、分割振動が発生しやすい。そのため特に高周波数領域において所望の音圧が出にくい。
近年、特にハイレゾ音源等で再生が求められる帯域は20kHz以上の高周波数領域であり、ヒトの耳では聞こえにくい帯域とされるものの、臨場感が強く感じられるなど、より感情に迫るものがあることから、該帯域の音波振動を忠実に再現できることが望ましい。
そこで、コーン紙や樹脂に代えて、金属、セラミックス又はガラス等の、材料に伝播する音速が速い素材を用いることが検討されている(例えば、非特許文献1)。しかしながら、一般的にこれら素材はいずれも損失係数が紙と比べて1/10~1/100程度と小さいことから、意図しない残響音が残りやすい。さらには、部材の固有振動数で励振した際に共振モードが発生することによる著しい音色の劣化が発生し得る。
Olivier Mal et. al.,"A Novel Glass Laminated Structure for Flat Panel Loudspeakers"AES Convention 124,7343.
ここで、本発明者らは、ガラスがスピーカーとして再現性良く音を発するとともに、ガラスの透明性を利用した映像表示機能と高いレベルで融合したものが存在すれば、広告宣伝効果等が飛躍的に高まるものと考えたが、そのようなものは存在しない。
したがって、本発明は、良好な音響性能を有し、良好な色味再現性、透明性及び光散乱性を有し、スクリーン機能に優れるガラス板構成体、それを用いた振動板並びに映像投影構造体を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、所定のガラス板構成体とすることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
<1>第1ガラス板と、第2ガラス板と、前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板の間に挟まれた液体層と、を備えたガラス板構成体であって、
前記ガラス板構成体の25℃における損失係数が1×10-2以上であり、25℃における板厚方向の縦波音速値が5.0×10m/s以上であり、
前記液体層の25℃における粘性係数が1×10-4~1×10Pa・sであり、25℃における表面張力が15~80mN/mであり、
前記液体層は、粒子を含み、
前記粒子の平均粒子径が0.3~1μmである、ガラス板構成体。
<2>前記液体層は、さらに媒体を含み、前記媒体の屈折率と前記粒子の屈折率との差が0.15以上である、前記<1>に記載のガラス板構成体。
<3>前記粒子の体積割合が、前記液体層を100とした場合に0.1~5体積%である、前記<1>又は<2>に記載のガラス板構成体。
<4>前記粒子が、異方性形状を有する粒子である、前記<1>~<3>のいずれかに記載のガラス板構成体。
<5>前記粒子が、中空粒子及び多孔性粒子並びにこれらの混合物からなる群より選ばれた粒子である、前記<1>~<4>のいずれかに記載のガラス板構成体。
<6>前記液体層は、さらに光吸収性材料を含む、前記<1>~<5>のいずれかに記載のガラス板構成体。
<7>前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板の少なくとも一方の表面が、凹凸構造を有する、前記<1>~<6>のいずれかに記載のガラス板構成体。
<8>前記<1>~<7>のいずれかに記載のガラス板構成体と、振動子と、を有する振動板。
<9>前記<1>~<7>のいずれかに記載のガラス板構成体を有する、映像投影構造体。
<10>前記<8>に記載の振動板を用いた映像投影構造体。
本発明のガラス板構成体は、第1ガラス板と、第2ガラス板と、前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板の間に挟まれた液体層と、を備え、該ガラス板構成体の損失係数及び縦波音速値並びに液体層の粘性係数及び表面張力を特定範囲に定め、かつ前記液体層に特定の平均粒子径を有する粒子を含有させているので、良好な音響性能を有し、良好な色味再現性、透明性及び光散乱性を有し、スクリーン機能に優れるガラス板構成体、それを用いた振動板並びに映像投影構造体を提供することができる。
図1は、本発明のガラス板構成体の一例を示す断面図である。 図2は、本発明のガラス板構成体の他の例を示す断面図である。 図3(a)は、本発明のガラス板構成体の一例の平面図であり、図3(b)は、図3(a)におけるA-A’線断面図である。 図4は、本発明のガラス板構成体の他の例を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態に基づいて、本発明の詳細及びその他の特徴について説明する。なお、以下の図面において、同一又は対応する部材又は部品には、同一又は対応する符号を付すことにより、重複する説明を省略する。また、図面は、特に指定しない限り、部材又は部品間の相対比を示すことを目的としない。よって、具体的な寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、適宜選択可能である。
また本明細書において数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
<ガラス板構成体>
本発明に係るガラス板構成体は、第1ガラス板と、第2ガラス板と、前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板の間に挟まれた液体層と、を備え、25℃における損失係数が1×10-2以上であり、25℃における板厚方向の縦波音速値が5.0×10m/s以上であることを特徴の一つとする。なお、損失係数が大きいとは振動減衰能が大きいことを意味する。
損失係数とは、半値幅法により算出したものを用いる。材料の共振周波数f、振幅hであるピーク値から-3dB下がった点(すなわち、最大振幅-3[dB]における点)の周波数幅をWとしたときに、{W/f}で表される値を損失係数と定義する。共振を抑えるには、損失係数を大きくすればよく、すなわち、振幅hに対し相対的に周波数幅Wは大きくなり、ピークがブロードとなることを意味する。
損失係数は材料等の固有の値であり、例えば、ガラス板単体の場合にはその組成や相対密度等によって異なる。なお、損失係数は共振法などの動的弾性率試験法により測定することができる。
縦波音速値とは、振動板中で縦波が伝搬する速度をいう。縦波音速値及びヤング率は、日本工業規格(JIS-R1602-1995)に記載された超音波パルス法により測定することができる。
本発明に係るガラス板構成体において、高い損失係数及び高い縦波音速値を得るための具体的な構成として、第1ガラス板及び第2ガラス板の2枚のガラス板を含み、その一対のガラス板の間には、所定の液体層が含まれる。
(液体層)
本発明に係るガラス板構成体は、第1ガラス板及び第2ガラス板の間に液体からなる層(液体層)を設けることで、高い損失係数を実現することができる。中でも、液体層の粘性や表面張力を好適な範囲にすることで、より損失係数を高くすることができる。これは、粘着層を介して第1ガラス板及び第2ガラス板を設ける場合とは異なり、この一対のガラス板が固着せず、各々のガラス板としての振動特性を持ち続けることに起因するものと考えられる。
また、液体層が粒子を含み、かつ該粒子の平均粒子径が0.3~1μmであることによって、ガラス板構成体に色味再現性、透明性及び光散乱性等の優れたスクリーン機能を付与することができる。
液体層は25℃における粘性係数が1×10-4~1×10Pa・sである。液体層の25℃における粘性係数は1×10-3Pa・s以上がより好ましく、1×10-2Pa・s以上がさらに好ましい。また、1×10Pa・s以下がより好ましく、1×10Pa・s以下がさらに好ましい。
液体層の粘性が低すぎると振動を伝達しにくくなり、高すぎると液体層の両側に位置する第1ガラス板及び第2ガラス板同士が固着して一枚のガラス板としての振動挙動を示すようになることから、共振振動が減衰されにくくなる。液体層の粘性係数は回転粘度計などにより測定することができる。
液体層の25℃における表面張力は15~80mN/mである。液体層の25℃における表面張力は20mN/m以上が好ましく、30mN/m以上がより好ましい。また、75mN/m以下が好ましく、73mN/m以下がより好ましい。
液体層の表面張力が低すぎるとガラス板間の密着力が低下し、振動を伝達しにくくなる。液体層の表面張力が高すぎると、液体層の両側に位置する第1ガラス板及び第2ガラス板同士が固着しやすくなり、一枚のガラス板としての振動挙動を示すようになることから、共振振動が減衰されにくくなる。液体層の表面張力はリング法などにより測定することができる。
液体層に用いられる粒子としては、前方光散乱性のような光散乱性を向上してスクリーン機能を高めるという観点から、板状やロッド状等の異方性形状を有する粒子が好ましい。異方性形状の粒子が、全粒子の50体積%以上を占めることが好ましく、65体積%以上を占めることがより好ましく、80%体積以上を占めることがさらに好ましい。板状粒子のアスペクト比は5以上5000以下が好ましく、10以上1000以下であることがより好ましい。
また、光散乱性と透明性を両立するという観点からは、液体層に用いられる粒子は中空粒子および多孔性粒子並びにこれらの混合物から選ばれることがさらに好ましい。中空粒子および多孔性粒子並びにこれらの混合物から選ばれる粒子が、全粒子の50体積%以上を占めることが好ましく、65体積%以上を占めることがより好ましく、80体積%以上を占めることがさらに好ましい。
中空粒子としては、本発明の効果を損ねない限り特に制限されないが、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア及びジルコニア等の金属酸化物又はガラス等からなる無機中空粒子;スチレン系樹脂及びアクリル系樹脂等の有機中空粒子;無機物と有機物のハイブリッド材料による中空粒子等が挙げられる。
多孔性粒子としては、本発明の効果を損ねない限り特に制限されないが、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア及びジルコニア等の金属酸化物、ガラス等からなる無機多孔性粒子並びにスチレン系樹脂及びアクリル系樹脂等の有機多孔性粒子等が挙げられる。
中空粒子及び多孔性粒子は、必要に応じて混合して用いることもできる。
液体層に用いられる粒子は、平均粒子径が0.3~1μmである。本発明における平均粒子径は、粒子が単分散している場合は一次粒子径、粒子の凝集体が分散している場合は二次凝集粒子径を意味する。平均粒子径が0.3μm以上であることにより、色味再現性及び光散乱性が向上し、また、1μm以下であることにより粒子の分散安定性が向上する。
液体層に用いられる粒子は、平均粒子径が0.4μm以上であることが好ましく、0.8μm以上がより好ましい。また、0.9μm以下であることが好ましく、0.8μm以下がより好ましい。なお、平均粒子径は、走査型電子顕微鏡で観察し、ランダムに選択された粒子100個の長径の合計を個数で除して平均値を求めることにより測定される。
液体層に用いられる粒子の体積割合は、液体層を100とした場合、0.1~5体積%であることが好ましい。該体積割合を0.1体積%以上とすることにより、光散乱性が向上し、本発明の効果を良好に奏することができる。なお、5体積%以下とすることにより、分散安定性が良好となるため好ましい。また、上記体積割合の範囲内であれば、ガラス板構成の音響性能には悪影響を及ぼさない。
前記体積割合は、0.3体積%以上がより好ましく、0.5体積%以上がさらに好ましい。また、4体積%以下がより好ましく、3体積%以下がさらに好ましい。
本発明における液体層は、さらに媒体を含むことができる。媒体としては、具体的には例えば、水、オイル、有機溶剤、液状ポリマー及びイオン性液体並びにそれらの混合物等が挙げられる。
より具体的には例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ストレートシリコーンオイル(例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル及びメチルハイドロジェンシリコーンオイル)、変性シリコーンオイル、アクリル酸系ポリマー、液状ポリブタジエン、グリセリンペースト、フッ素系溶剤、フッ素系樹脂、アセトン、エタノール、キシレン、トルエン、水及び鉱物油並びにそれらの混合物等が挙げられる。
中でも、水、プロピレングリコール、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル及び変性シリコーンオイルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、水、プロピレングリコール又はシリコーンオイルを主成分とすることがより好ましい。
液体層における媒体の体積割合は、液体層を100とした場合、95体積%以上であることが好ましく、97体積%以上がより好ましい。また、99.9体積%以下であることが好ましく、99.7体積%以下がより好ましい。
なお、本発明では前記媒体の屈折率と前記粒子の屈折率との差(絶対値)が0.15以上であることが好ましく、より好ましくは0.5以上であり、さらに好ましくは0.7以上であり、また、2以下であることが好ましく、より好ましくは1.5以下であり、さらに好ましくは1.2以下である。このような屈折率差を設けることで、例えば本発明のガラス板構成体を透過型スクリーンとして用いたときにOFF時の透明性を高めることができる。
なお、ON時に映像クリア性を高めたい場合、前記媒体の屈折率と前記粒子の屈折率との差(絶対値)は0.7以上であることが好ましく、より好ましくは0.8以上であり、さらに好ましくは1以上である。また映像クリア性が高まるとは、具体的には光散乱性の特性が高まることに基づいている。
特に本発明では、液体層に用いられる粒子として中空粒子又は多孔性粒子を用いた場合、これら粒子の孔部に媒体が滲入し、平均粒子径に基づく光散乱性を維持しつつ両者の屈折率差が小さくなり、前記のOFF時の透明性及びON時の映像クリア性を両立することができる。
本発明における液体層は、さらに光吸収性材料を含むことができる。光吸収性材料を含有させることにより、外光が不要な部位から放出され、映像や背景のコントラストを低下させる現象を抑制し、良好な視認性を維持することができる。
光吸収性材料としては、例えば、無機の着色材料としてカーボン系の素材(例えば、カーボンブラック、ナノダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン及びグラフェン等)、チタンブラック、黒色シリカ及び主として銀を含む微粒子材料(例えば、銀の窒化物、硫化物及び酸化物)等が挙げられる。また、例えば、有機の着色材料として、有機顔料及び有機染料等が挙げられる。
光吸収性材料の2種以上を混合して、色味を調整してもよい。耐久性の観点から、無機の着色材料又は有機顔料を光吸収性材料として用いるとよい。無機の着色材料及び有機の着色材料は通常粒子である。
光吸収性材料の体積割合は、液体層の体積を100とした場合、コントラストを向上する観点から、0.01体積%以上であることが好ましく、0.05体積%以上がより好ましく、また、10体積%以下であることが好ましく、5体積%以下がより好ましい。
液体層は、蒸気圧が高すぎると液体層が蒸発してガラス板構成体としての機能を果たさなくなるおそれがある。そのため、液体層は、25℃、1atmにおける蒸気圧が1×10Pa以下であることが好ましく、5×10Pa以下がより好ましく、1×10Pa以下がさらに好ましい。下限は特に限定されないが、通常1×10Pa以上である。また、蒸気圧が高い場合には、液体層が蒸発しないようにシール等を施してもよいが、このとき、シール材によりガラス板構成体の振動を妨げないようにする必要がある。
液体層の厚さが薄いほど、高剛性の維持及び振動伝達の点から好ましい。具体的には、前記第1ガラス板及び第2ガラス板の合計の厚さが1mm以下の場合は、前記液体層の厚さは、前記第1ガラス板及び第2ガラス板の合計の厚さの1/10以下が好ましく、1/20以下がより好ましく、1/30以下がさらに好ましく、1/50以下がよりさらに好ましく、1/70以下がことさらに好ましく、1/100以下が特に好ましい。
また前記第1ガラス板及び第2ガラス板の合計の厚さが1mm超の場合は、前記液体層の厚さは、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましく、20μm以下がよりさらに好ましく、15μm以下がことさらに好ましく、10μm以下が特に好ましい。液体層の厚さの下限は、製膜性及び耐久性の点から0.01μm以上が好ましい。
液体層は化学的に安定であり、液体層と液体層の両側に位置する第1ガラス板及び第2ガラス板が、反応しないことが好ましい。化学的に安定とは、例えば、光照射により変質(劣化)が少ないものであったり、少なくとも-20~70℃の温度領域で凝固、気化、分解、変色又はガラスとの化学反応等が生じないものを意味する。
また、意匠性・機能性付与の観点から、液体層に蛍光材料を含んでもよい。これにより、ガラス板構成体に光の吸収及び発光といった光学的機能を付与することができる。
(ガラス板)
図1に示すように、本発明に係るガラス板構成体(符号“10”)は、第1ガラス板(符号“11”)と、第2ガラス板(符号“12”)と、第1ガラス板11及び前記第2ガラス板12の間に挟まれた液体層(符号“16”)と、を備える。一方のガラス板を第1ガラス板(符号“11”)、他方を第2ガラス板(符号“12”)とすると、第1ガラス板が共振した場合に、液体層の存在により、第2ガラス板が共振しない、又は、第2ガラス板の共振の揺れを減衰することができることから、ガラス板構成体は、ガラス板単独の場合と比べて損失係数を高くすることができる。
前記第1ガラス板と他方の第2ガラス板の共振周波数のピークトップの値は異なることが好ましく、共振周波数の範囲が重なっていないものがより好ましい。ただし、第1ガラス板及び第2ガラス板の共振周波数の範囲が重複していたり、ピークトップの値が同じであっても、液体層の存在によって、一方のガラス板が共振しても、他方のガラス板の振動が同期しないことで、ある程度共振が相殺されることから、ガラス板単独の場合に比べて高い損失係数を得ることができる。
第1ガラス板、第2ガラス板の厚さはいずれも薄いほど、ガラス板同士が液体層を介して密着しやすく、また、ガラス板を少ないエネルギーで振動させることができる。そのため、スピーカー等の振動板用途の場合には、ガラス板の厚さは薄いほど好ましい。
具体的には、第1ガラス板、第2ガラス板の板厚がそれぞれ15mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、5mm以下がさらに好ましく、3mm以下がさらにより好ましく、1.5mm以下が特に好ましく、0.8mm以下が特により好ましい。一方、薄すぎるとガラス板の表面欠陥の影響が顕著になりやすく割れが生じやすくなったり、強化処理しにくくなることから、0.01mm以上が好ましく、0.05mm以上がより好ましい。
また、サウンドスクリーン等の映像投影構造体用途の場合には、ガラス表面と液体層表面の反射による二重像を防ぎ、かつ筐体を保持するという理由から、第1ガラス板、第2ガラス板の板厚はそれぞれ0.1mm以上であることが好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.5mm以上がさらに好ましい。また、5mm以下であることが好ましく、3mm以下がより好ましく、1.5mm以下がさらに好ましい。
第1ガラス板及び第2ガラス板の少なくともいずれか一方のガラス板は、損失係数が大きい方が、ガラス板構成体としての振動減衰も大きくなり、振動板用途として好ましい。具体的には、ガラス板の25℃における損失係数は1×10-4以上が好ましく、3×10-4以上がより好ましく、5×10-4以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、生産性や製造コストの観点から、通常5×10-3以下である。
また、第1ガラス板及び第2ガラス板の両方が、前記損失係数を有することがより好ましい。なお、ガラス板の損失係数は、ガラス板構成体における損失係数と同様の方法で測定することができる。
また、第1ガラス板及び第2ガラス板の少なくともいずれか一方のガラス板は、映像投影構造体用途の場合において、25℃における損失係数が1×10-4以上が好ましく、3×10-4以上がより好ましく、5×10-4以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、通常1×10-3以下である。
第1ガラス板及び第2ガラス板の少なくともいずれか一方のガラス板は、板厚方向の縦波音速値が高い方が高周波領域の音の再現性が向上することから、振動板用途として好ましい。
具体的には、ガラス板の板厚方向の縦波音速値が5.0×10m/s以上が好ましく、5.7×10m/s以上がより好ましく、6.0×10m/s以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、ガラス板の生産性や原料コストの観点から、通常7.0×10m/s以下である。
また、第1ガラス板及び第2ガラス板の両方が、前記音速値を満たすことがより好ましい。なお、ガラス板の音速値は、ガラス板構成体における縦波音速値と同様の方法で測定することができる。
また、第1ガラス板及び第2ガラス板の少なくともいずれか一方のガラス板は、映像投影構造体用途の場合において、板厚方向の縦波音速値が5.0×10m/s以上が好ましく、5.7×10m/s以上がより好ましく、6.0×10m/s以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、通常7.0×10m/s以下である。
第1ガラス板及び第2ガラス板の組成は特に限定されないが、例えば下記範囲であることが好ましい。
酸化物基準で、SiO:40~80質量%、Al:0~35質量%、B:0~15質量%、MgO:0~20質量%、CaO:0~20質量%、SrO:0~20質量%、BaO:0~20質量%、LiO:0~20質量%、NaO:0~25質量%、KO:0~20質量%、TiO:0~10質量%、かつ、ZrO:0~10質量%。但し上記組成がガラス全体の95質量%以上を占める。
また、第1ガラス板及び/又は第2ガラス板は、液体層と接する面が凹凸構造を有していることが好ましい。特に、観察者からみて奥側のガラス板において、液体層と接する面が凹凸構造を有していることが好ましい。この形態によれば、前方光散乱性のような光散乱性をさらに高めることができる。凹凸構造の形成方法は公知の手段に基づき、当業者であれば適宜実施することができる。
凹凸構造を有するガラス板表面の算術平均粗さRa(JIS B 0601:2013に基づき測定)は、0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、1μm以上がさらに好ましい。また、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。
(ガラス板構成体)
ガラス板構成体における損失係数が大きいほど振動減衰が大きくなることから好ましく、本発明に係るガラス板構成体の25℃における損失係数は1×10-2以上であり、好ましくは2×10-2以上、より好ましくは5×10-2以上である。上限は特に限定されないが、通常1以下である。
また、ガラス板構成体の板厚方向の縦波音速値は、音速が速いほど振動板とした際に高周波音の再現性が向上することから、好ましくは5.0×10m/s以上であり、より好ましくは5.7×10m/s以上、さらにより好ましくは6.0×10m/s以上である。上限は特に限定されないが、通常7.0×10m/s以下である。
ガラス板構成体の透過率を高めるために、第1ガラス板及び第2ガラス板の屈折率の差は0.2以下が好ましく、0.1以下がより好ましく、0.01以下であることがさらにより好ましい。下限は特に限定されないが、通常0.0001以上である。
ガラス板構成体を構成するガラス板は2枚以上であればよいが、3枚以上のガラス板を用いてもよい(図2)。2枚の場合は第1ガラス板及び第2ガラス板が、3枚以上の場合は例えば第1ガラス板、第2ガラス板及びガラス板C(符号“13”)が、すべて異なる組成のガラス板を用いてもよく、すべて同じ組成のガラス板を用いてもよく、同じ組成のガラス板と異なる組成のガラス板とを組み合わせて用いてもよい。
中でも、異なる組成からなる2種類以上のガラス板を用いることが振動減衰性の点から好ましく用いられる。ガラス板の質量や厚さについても同様に、すべて異なっても、すべて同一でも、一部が異なっていてもよい。中でも、構成するガラス板の質量が全て同一であることが振動減衰性の点から好ましく用いられる。
ガラス板構成体の少なくとも一方の最表面に本発明の効果を損なわない範囲でコーティングやフィルムを形成してもよい。
ガラス板構成体の形状は、用途によって適宜設計することができ、平面板状であっても曲面形状でもよい。低周波数帯域の出力音圧レベルを上げるため、ガラス板構成体にエンクロージャー又はバッフル板を付与した構造とすることも出来る。エンクロージャー又はバッフル板の材質は特に限定されないが、本発明のガラス板構成体を用いることが好ましい。
ガラス板構成体の少なくとも一方の最表面に本発明の効果を損なわない範囲で、フレーム(枠)(符号“30”)を設けてもよい(図3)。フレームは、ガラス板構成体の剛性を向上させたい場合、あるいは曲面形状を保持したい場合等に有用である。
用いるフレームの重量は、ガラス板の重量の20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。なお、ガラス板構成体とフレームとの間にはシール材(符号“31”)を有することもでき、液体層のフレームからの漏れを防止することができる。
ガラス板構成体の外周端面の少なくとも一部を、ガラス板構成体の振動を妨げない部材でシールしてもよい(図4)。シール材(符号“31”)としては、例えば、伸縮性の高いゴム、樹脂及びゲル等が挙げられる。
シール材の厚さtは、薄すぎると十分な強度が確保されず、厚すぎると振動の支障となる。ゆえにシール材の厚さは10μm以上かつガラス板構成体の合計厚さの5倍以下であることが好ましく、50μm以上かつガラス板構成体の合計厚さより薄いことがより好ましい。
ガラス板構成体のガラス板と液体層との界面における剥離防止等のために、向かい合うガラス板の面の少なくとも一部に本発明の効果を損なわない範囲で上記のシール材31を塗布することができる。
この場合、シール材塗布部の面積は振動の支障とならないように液体層の面積の20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることが特に好ましい。
(ガラス板構成体の製造方法)
本発明に係るガラス板構成体は第1ガラス板及び第2ガラス板の間に液体層を形成することにより得ることができる。第1ガラス板及び第2ガラス板の間に液体層を形成する方法は特に限定されず、例えば、ガラス板表面に液体層を形成し、その上に別のガラス板を設置する方法、それぞれ液体層を表面に形成したガラス板同士を貼り合わせる方法、二枚のガラス板の隙間から液体層を流し入れる方法等が挙げられる。
液体層の形成についても特に限定されず、例えば、ガラス板表面に液体層を構成する液体を塗布、噴霧する等の方法が挙げられる。
(振動板)
本発明は、上記ガラス板構成体及び振動子を含む振動板にも関する。振動板としては、例えば、ガラス板構成体の片面又は両面に1個以上の振動素子や振動検出素子(振動子)を設置することにより、スピーカー、マイクロフォン、イヤフォン若しくはモバイル機器等の筺体振動体又は筺体スピーカーとして機能させることができる。
出力音圧レベルを向上させるためには2個以上の振動素子をガラス板構成体の両面に設置することが好ましい。一般に振動板に対する振動子の位置は構成体の中央部であることが好ましいが、本材料は高音速かつ高減衰性能を有するため、振動子をガラス板構成体の端部に設置してもよい。
本振動板の用途としては、例えば、車両等の輸送機械の内装用振動部材として、車載・機載スピーカーとして用いることができる。例えば、スピーカーとして機能する窓ガラス、天井及びその他内装パネルとすることが出来る。
(映像投影構造体)
本発明は、上記ガラス板構成体を含む映像投影構造体にも関する。本発明の映像投影構造体は、本発明のガラス板構成体が良好な音響性能を有し、良好な色味再現性、透明性及び光散乱性を有し、スクリーン機能に優れるということから、中でも、投影機から投射された映像光を投影機と同じ側にいる観察者に映像として視認可能に表示する反射型透明スクリーンや、投影機から投射された映像光を投影機と反対側にいる観察者に映像として視認可能に表示する透過型透明スクリーンとして用いることが好ましい。
特に、本発明のガラス板構成体を上記の振動板として用い、反射型又は透過型透明スクリーンを構成した形態では、映像信号と音声信号とが同一の面から生じる、いわゆるサウンドスクリーンとして好適に用いることができる。
透過型透明スクリーンの形態において、該スクリーンのヘーズは、5%以上であることが好ましく、7%以上がより好ましい。また、45%以下であることが好ましく、35%以下がより好ましい。該スクリーンのヘーズが5%以上であれば、スクリーンゲイン及び視野角を確保できる。透過型透明スクリーンのヘーズが45%以下であれば、スクリーン全体が白濁して見える現象が抑えられる。
本明細書において、「ヘーズ」とは、第1ガラス板側(又は第2ガラス板側)から入射し、第2ガラス板側(又は第1ガラス板側)に透過した透過光のうち、前方散乱によって、入射光から0.044rad(2.5°)以上それた透過光の百分率を意味する。すなわち、JIS K 7136:2000(ISO 14782:1999)に記載された方法によって測定される、通常のヘーズである。ヘーズは前記方法に従い、ISO/CIE10526に規定するCIE標準のD65光源を用いて室温で測定したときの値である。
また、透過型透明スクリーンの形態において、該スクリーンの全光線透過率は、40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましい。透過型透明スクリーンの全光線透過率が40%以上であれば、観察者側から見てスクリーンの向こう側に見える光景の透視性に優れるので、ショーウィンドウなどの用途にも好適である。
透過型透明スクリーンの形態において、該スクリーンの全光線透過率は95%以下が好ましく、90%がより好ましく、85%以下がさらに好ましい。透過型透明スクリーンの全光線透過率が85%以下であれば、スクリーン全体が白濁して見える現象が抑えられる。その結果、観察者側から見てスクリーンの向こう側に見える光景のコントラストが向上し、光景の透視性が向上する。また、スクリーンに表示される映像のコントラストが向上し、映像の視認性が向上する。
本明細書において、「全光線透過率」は、第1ガラス板側(又は第2ガラス板側)から入射角0゜で入射した入射光に対する、第2ガラス板側(又は第1ガラス板側)に透過した全透過光の割合(百分率)を意味する。すなわち、JIS K 7361:1997(ISO 13468-1:1996)に記載された方法によって測定される、通常の全光線透過率であり、D65光源にて測定された値である。
また、透過型透明スクリーンの形態において、該スクリーンの拡散反射率は、0.1%以上であることが好ましく、0.5%以上がより好ましい。また、5%以下であることが好ましく、2.4%以下がより好ましく、1.7%以下がさらに好ましい。
一方、反射型透明スクリーンの形態において、該スクリーンは、全光線透過率が5%以上90%以下であることが好ましい。スクリーンとしてのゲインを適切に保つために、可視光における全光線透過率は80%以下がより好ましく、70%以下がさらに好ましく、60%以下が特に好ましい。外の景色の視認性を高める観点から、全光線透過率は、10%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましい。
反射型透明スクリーン形態において、該スクリーンの拡散反射率は5%以上であることが好ましい。スクリーンとして機能させるためには、スクリーンゲインが高い方が良いため、拡散反射率は9%以上がより好ましく、15%以上がさらに好ましく、30%以上が特に好ましい。また、70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましい。
反射型透明スクリーン形態において、該スクリーンの前方ヘーズは20%以下であることが好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。また、前方ヘーズは、スクリーン特性との両立という観点からは、0.2%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましく、0.8%以上がさらに好ましい。本明細書において、「前方ヘーズ」とは、透過光のうち、入射光から2.5°以上それた透過光を百分率で表したものである。
反射型透明スクリーン形態において、該スクリーンの後方ヘーズは、5%以上であることが好ましく、7%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましい。また、後方ヘーズは、透明性という観点からは、90%以下であることが好ましく、80%以下がより好ましい。本明細書において、「後方ヘーズ」とは、反射光のうち、正反射光から2.5°以上それた反射光を百分率で表したものである。
投影機から投射され、スクリーンに入射した映像光は、液体層において散乱することによって結像し、反射型透明スクリーンの場合は投影機側にいる観察者に映像として視認可能に表示され、透過型透明スクリーンの場合は投影機とは反対側にいる観察者に映像として視認可能に表示される。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<評価方法>
(ヤング率、縦波音速値、密度)
ガラス板のヤング率E及び音速V、及びガラス板構成体の縦波音速値Vは、長さ60mm、幅12mm、厚さ0.5mm~1mmの試験片を用い、日本工業規格(JIS-R1602-1995)に記載された超音波パルス法により25℃で測定した(オリンパス株式会社製、DL35PLUSを使用)。ガラス板構成体の縦波音速値は、板厚方向の音速を測定した。ガラス板の密度ρはアルキメデス法(株式会社島津製作所、AUX320)により25℃で測定した。
(共振周波数)
ガラス板及びガラス板構成体の損失係数は、上記測定と同一の試験片を用い、共振法内部摩擦測定装置(日本テクノプラス株式会社、JE-HT)により25℃で計測した。具体的には試験片に600Hz~3000Hzの帯域で交流電圧を連続的に印加することによりガラス基板を曲げ1次モードで自由振動させ、その振動振幅の変化を計測した。振動振幅hが最大となる周波数を共振周波数fとした。
(損失係数)
損失係数は、上記測定で求めた材料の共振周波数f、最大振幅より-3dB下がった点(すなわち、最大振幅-3[dB]における点)の周波数幅Wを用い、W/fで表される値を損失係数とした。ピーク形状が非対象になるなどの理由で上記手法が適用できない試験片については、共振周波数測定において、共振状態から加振を停止した際の振動振幅の減衰時間を計測し、これを用いて損失係数を算出した。
(粘性係数)
液体層の粘性係数は回転粘度計(BROOKFIELD社、RVDV-E)を用い、25℃で計測した。
(表面張力)
液体層の表面張力は、以下の方法により測定した。25℃の試験液に対して平行に吊り上げた金属リングを液中に沈め、その後リングを鉛直方向に徐々に引き上げた。この時、液体膜により加えられた力のピークを測定することにより、表面張力値を算出した。
<実施例1>
第1ガラス板として12mm×60mm×0.5mmのガラス板1を用意し、そこに液体層としてイオン交換水(屈折率1.33)に球状の酸化チタン(球状チタニア)(平均粒子径400nm、屈折率2.49、1.0体積%)を分散させた液を塗布し、さらに第2ガラス板として12mm×60mm×0.5mmのガラス板2を密着させ、12mm×60mm×1mmのガラス板構成体を得た。ガラス板1及びガラス板2の組成(酸化物基準の質量%表示)及び物性値を以下に示す。
(ガラス板1)SiO:60%、Al:17%、B:8%、MgO:3%、CaO:4%、SrO:8%、密度:2.5g/cm、ヤング率:77GPa、比弾性率:3.1×10/s
(ガラス板2)SiO:61.5%、Al:20%、B:1.5%、MgO:5.5%、CaO:4.5%、SrO:7%、密度:2.7g/cm、ヤング率:85GPa、比弾性率:3.2×10/s
得られたガラス板構成体について、下記の評価を行った。
色味再現性:日本工業規格(JISZ8720:2012)に記載のD65光源を用いて分光光度計で直進光透過色(YI)を測定することにより以下の評価基準で評価した。
○: 0≦YI<1.0
△:1.0≦YI<2.0
×:2.0≦YI
光散乱性:日本工業規格(JIS K7136:2000)に準拠したヘーズメーターを用いてヘーズ値H(%)を測定することにより以下の評価基準で評価した。
◎:15≦H
○:10≦H<15
△: 5≦H<10
×: 0≦H<5
OFF時透明性:日本工業規格(JISZ8720:2012)に記載のD65光源を用いて分光光度計で可視光透過率T(%)を測定することにより以下の評価基準で評価した。
◎:90≦T
○:85≦T<90
△:80≦T<85
×: 0≦T<80
振動板としての評価:長さ60mm、幅12mm、厚さ0.5mm~1mmの試験片を用い、日本工業規格(JIS-R1602-1995)に記載された超音波パルス法により25℃で縦波音速値V(m/s)を測定(オリンパス株式会社製、DL35PLUSを使用)することにより以下の評価基準で評価した。
○:5.0×10≦V
△:1.0×10≦V<5.0×10
×: V<1.0×10
<実施例2~4及び比較例1~2>
液体層に使用した粒子を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にしてガラス板構成体を得た。
具体的には、
<実施例2>
液体層に使用した粒子を中空粒子(粒子径800nm、シェル厚100nmの中空チタニア)に変更したこと以外は実施例1と同様にしてガラス板構成体を得た。
<実施例3>
液体層に使用した粒子を平均粒子径0.3μmのジルコニア2次粒子(粒子径90nmの1次粒子が凝集した多孔性の異方性形状粒子)に変更したこと以外は実施例1と同様にしてガラス板構成体を得た。
<実施例4>
液体層をプロピレングリコールに変更したこと以外は実施例1と同様にしてガラス板構成体を得た。
<比較例1~2>
液体層に使用した粒子を球状シリカ(平均粒子径50nmおよび3μm、屈折率1.46)に変更したこと以外は実施例1と同様にしてガラス板構成体を得た。
尚、本実施例において、前記液体層に、前記光吸収性材料を含ませることができる。
また本実施例において、前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板の少なくとも一方の表面に凹凸構造を有していることができる。
また本実施例において、第1ガラス板及び/又は第2ガラス板の液体層と接する面が凹凸構造を有していることができる。
実施例1~4及び比較例1~2で得られたガラス板構成体の構成と評価結果を表1に示す。
Figure 0007024551000001
表1に示すように、実施例のガラス板構成体は、第1ガラス板と、第2ガラス板と、前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板の間に挟まれた液体層と、を備え、該ガラス板構成体の損失係数及び縦波音速値並びに液体層の粘性係数及び表面張力を本発明で規定する特定範囲に定め、かつ前記液体層に本発明で規定する特定の平均粒子径を有する粒子を含有させているので、比較例のガラス板構成体に対し、良好な音響性能を有し、良好な色味再現性、透明性及び光散乱性を有し、スクリーン機能に優れていることが分かった。
本発明に係るガラス板構成体は、縦波音速値が大きく、かつ、損失係数が大きい。そのため、スピーカーやマイクロフォン、イヤフォン、モバイル機器等に用いられる振動板;該振動板を用いた反射型又は透過型透明スクリーン等に好適に用いることができる。
10 ガラス板構成体
11 第1ガラス板
12 第2ガラス板
13 ガラス板C
16 液体層
30 フレーム(枠)
31 シール材

Claims (15)

  1. 第1ガラス板と、第2ガラス板と、前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板の間に挟まれた液体層と、を備えたガラス板構成体であって、
    前記ガラス板構成体の25℃における損失係数が1×10-2以上であり、25℃における板厚方向の縦波音速値が5.0×10m/s以上であり、
    前記液体層の25℃における粘性係数が1×10-4~1×10Pa・sであり、25℃における表面張力が15~80mN/mであり、
    前記液体層は、媒体および粒子を含み、
    前記粒子の平均粒子径が0.3~1μmである、ガラス板構成体。
  2. 前記液体層は、前記媒体の屈折率と前記粒子の屈折率との差が0.15以上である、請求項1に記載のガラス板構成体。
  3. 前記粒子の体積割合が、前記液体層を100とした場合に0.1~5体積%である、請求項1又は2に記載のガラス板構成体。
  4. 前記粒子が、異方性形状を有する粒子である、請求項1~3のいずれか1項に記載のガラス板構成体。
  5. 前記異方性形状を有する粒子は、全粒子の50体積%以上を占める、請求項4に記載のガラス板構成体。
  6. 前記異方性形状を有する粒子は、板状粒子を有し、
    前記板状粒子のアスペクト比は、5以上5000以下である、請求項4又は5に記載のガラス板構成体。
  7. 前記粒子が、中空粒子及び多孔性粒子並びにこれらの混合物からなる群より選ばれた粒子である、請求項1~のいずれか1項に記載のガラス板構成体。
  8. 前記中空粒子及び前記多孔性粒子並びにこれらの混合物からなる群より選ばれた粒子は、全粒子の50体積%以上を占める、請求項7に記載のガラス板構成体。
  9. 前記液体層は、さらに光吸収性材料を含む、請求項1~のいずれか1項に記載のガラス板構成体。
  10. 前記光吸収性材料の体積割合は、液体層の体積を100とした場合、0.01体積%以上10体積%以下である、請求項9に記載のガラス板構造体。
  11. 前記液体層は、25℃、1atmにおける蒸気圧が1×10 Pa以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載のガラス板構造体。
  12. 前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板の少なくとも一方の表面が、凹凸構造を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のガラス板構成体。
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載のガラス板構成体と、振動子と、を有する振動板。
  14. 請求項1~12のいずれか1項に記載のガラス板構成体を有する、映像投影構造体。
  15. 請求項13に記載の振動板を用いた映像投影構造体。
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