JP7023733B2 - 判定装置、判定方法、錠剤印刷装置および錠剤印刷方法 - Google Patents

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Description

本願明細書に開示されるこの発明は、例えば、錠剤の検査および印刷技術に関するものである。
従来から、錠剤などの対象物の外観検査は、対象物を撮像して得られた画像データに所定の画像処理を施して外観の良否を判定することによって行われている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2007-114180号公報
錠剤の撮像は、錠剤の搬送速度に合わせて順次行われるが、撮像処理が適切に行われずに撮像漏れが生じる場合がある。
従来、このような撮像漏れは、複数の錠剤の外観検査の終了後に当該検査に用いられた画像データの数を確認することによって把握されていた。
しかしながら、このような方法では、撮像漏れが生じた錠剤が不良品などであるにも関わらず既に検査を通過している可能性があった。また、このような撮像漏れが生じた錠剤の検査通過を防ぐために、撮像漏れが生じた可能性のある錠剤を全て破棄するなどの措置をとらざるを得ない場合もあった。
本願明細書に開示されるこの発明は、以上に記載されたような問題を解決するためになされたものであり、撮像漏れが生じた場合であっても、撮像漏れが生じた対象物の検査通過を効果的に防ぐための技術を提供することを目的とするものである。
本願明細書に開示される技術の第1の態様は、少なくとも1つの対象物を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送される前記対象物を前記対象物の搬送経路において撮像して前記対象物の画像データを作成し、さらに、前記画像データを転送する撮像部と、受信した前記画像データに基づいて、前記対象物の撮像漏れが生じたことを判定する判定部とを備え、前記画像データは、前記対象物の撮像時刻に関する情報である時刻情報とともに前記判定部に転送され、前記判定部は、前記時刻情報から得られる前記対象物の撮像時刻である第1の撮像時刻と、前記搬送経路において前記対象物が搬送される速度である搬送速度から算出される前記対象物の撮像時刻である第2の撮像時刻とが異なる場合に、前記対象物の撮像漏れが生じたことを判定する。
本願明細書に開示される技術の第2の態様は、第1の態様に関連し、前記時刻情報は、前記撮像部が前記対象物を撮像した後、作成された前記画像データを転送した時刻を示す情報を含む。
本願明細書に開示される技術の第3の態様は、第1の態様または第2の態様に関連し、前記時刻情報は、前記判定部が前記画像データを受信した時刻を示す情報を含む。
本願明細書に開示される技術の第4の態様は、第1の態様から第3の態様のうちのいずれか1つに関連し、前記撮像部は、前記搬送部によって搬送される複数の前記対象物を前記搬送経路において順次撮像して複数の前記画像データを順次作成し、さらに、複数の前記画像データを順次転送し、前記判定部は、複数の前記時刻情報から得られる複数の前記対象物間の撮像間隔である第1の撮像間隔と、前記搬送速度と複数の前記対象物の配置間隔とから算出される複数の前記対象物間の撮像間隔である第2の撮像間隔とが異なる場合に、対応する前記対象物の撮像漏れが生じたことを判定する。
本願明細書に開示される技術の第5の態様は、第1の態様から第4の態様のうちのいずれか1つに関連し、前記判定部の判定結果に基づいて、撮像漏れが生じた前記対象物を選別する選別部をさらに備える。
本願明細書に開示される技術の第6の態様は、第5の態様に関連し、前記選別部は、撮像漏れが生じたと判定された前記対象物を、前記搬送経路における前記撮像部よりも上流の位置へ戻す。
本願明細書に開示される技術の第7の態様は、第1の態様から第6の態様のうちのいずれか1つに関連し、上記の判定装置と、前記判定装置によって撮像漏れの有無を判定された錠剤に印刷を行う印刷部とを備える。
本願明細書に開示される技術の第8の態様は、第7の態様に関連し、前記印刷部は、前記判定装置によって撮像漏れが生じていないと判定された前記錠剤にのみ印刷を行う。
本願明細書に開示される技術の第9の態様は、少なくとも1つの対象物を搬送する工程と、搬送される前記対象物を前記対象物の搬送経路において撮像して前記対象物の画像データを作成し、さらに、前記画像データを転送する工程と、受信した前記画像データに基づいて、前記対象物の撮像漏れが生じたことを判定する工程とを備え、前記画像データは、前記対象物の撮像時刻に関する情報である時刻情報とともに転送され、前記対象物の撮像漏れが生じたことを判定する工程は、前記時刻情報から得られる前記対象物の撮像時刻である第1の撮像時刻と、前記搬送経路において前記対象物が搬送される速度である搬送速度から算出される前記対象物の撮像時刻である第2の撮像時刻とが異なる場合に、前記対象物の撮像漏れが生じたことを判定する工程である。
本願明細書に開示される技術の第10の態様は、第9の態様に関連し、上記の判定方法によって撮像漏れの有無を判定された錠剤に印刷を行う工程を備える。
本願明細書に開示される技術の第11の態様は、第10の態様に関連し、前記判定方法によって撮像漏れが生じていないと判定された前記錠剤にのみ印刷を行う。
本願明細書に開示される技術の第1および第9の態様によれば、画像データとともに転送される時刻情報から得られる対象物の第1の撮像時刻と、搬送速度から算出される対象物の第2の撮像時刻とを比較することによって、撮像漏れが生じた対象物を特定することができる。よって、撮像漏れが生じた対象物の検査通過を効果的に防ぐことができる。
特に、第2の態様によれば、判定部に画像データが転送された時刻に基づいて撮像漏れが生じたか否かを判定することができる。
特に、第3の態様によれば、判定部が画像データを受信した時刻に基づいて撮像漏れが生じたか否かを判定することができる。
特に、第4の態様によれば、順次搬送される複数の対象物が撮像部において撮像される時間間隔に基づいて、撮像漏れが生じたか否かを判定することができる。
特に、第5の態様によれば、撮像漏れが生じた対象物を、撮像漏れが生じていない対象物と分けることができる。そのため、たとえば、撮像漏れが生じた対象物を搬送経路に再投入する際にも、効率的に処理を行うことができる。
特に、第6の態様によれば、撮像漏れが生じた対象物を撮像部で再び撮像することができる。
特に、第7および第10の態様によれば、撮像漏れの有無に応じて印刷を行う錠剤を選択することができる。
特に、第8および第11の態様によれば、撮像漏れが生じていない錠剤のみに対して印刷を行うことができる。
本願明細書に開示される技術に関する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
実施の形態に関する、錠剤印刷装置の全体構成を概略的に例示する図である。 搬送ドラムおよび搬送ベルトの外観を示す斜視図である。 錠剤印刷装置における処理動作の手順を示すフローチャートである。 錠剤印刷装置における処理動作の手順を示すフローチャートである。 錠剤の平面図である。 複数の時刻情報が、基準時刻からの経過時間を含む場合の例を示す図である。 インクジェットヘッドによる印刷処理結果の一例を示す図である。 インクジェットヘッドによる印刷処理結果の一例を示す図である。
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化がなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
また、以下に記載される説明において、「第1の」、または、「第2の」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
<実施の形態>
<錠剤印刷装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する錠剤印刷装置の全体構成を概略的に例示する図である。図1に例示されるように、錠剤印刷装置1は、錠剤の表裏両面に対して印刷処理を行う装置である。
錠剤印刷装置1は、少なくとも、ホッパー8と、搬送ドラム10と、搬送ベルト20と、搬送ベルト30と、外観検査カメラ51と、外観検査カメラ52と、外観検査カメラ53と、インクジェットヘッド61と、インクジェットヘッド62を備える。また、錠剤印刷装置1は、装置に設けられた各駆動部を制御して錠剤に対する検査処理および印刷処理を進行させる制御部3を備える。
ホッパー8は、錠剤印刷装置1の筐体5の天井部上側に設けられる。ホッパー8は、多数の錠剤を一括して装置内に投入するための投入部である。ホッパー8から投入された複数の錠剤は、傾斜面に沿って直進フィーダ122へ流れ込む。直進フィーダ122に供給された複数の錠剤は、振動トラフの振動によって、回転フィーダ123側へ搬送される。そして、回転フィーダ123における回転台の回転による遠心力で、回転台の外周部付近へ集まる。そして、回転台の外周部付近に集まった錠剤は、回転台の外周部から搬送ドラム10まで鉛直下向きに延びる供給フィーダ124によって、搬送ドラム10に供給される。
図2は、搬送ドラム10および搬送ベルト20の外観を示す斜視図である。搬送ドラム10は、略円筒形状を有しており、回転駆動モータ(ここでは、図示しない)によってY軸方向に沿う中心軸を回転中心として時計回りに回転される。図2に例示されるように、搬送ドラム10の外周面には複数の吸着孔11が形成されている。本実施の形態では、搬送ドラム10の中心軸に沿って等間隔で5列に吸着孔11が形成されている。また、5列1組の吸着孔11が搬送ドラム10の外周面の周方向に沿って等間隔で複数行に設けられている。
吸着孔11の形状は、検査処理および印刷処理の対象物の形状に応じたものとなる。例えば、本実施の形態では円盤形状の錠剤を処理するため、吸着孔11の形状も円形としている。吸着孔11のサイズは錠剤の大きさよりもやや大きい。例えば、円盤形状の錠剤の直径が約10mmであれば、吸着孔11の直径は約12mmとされる。
複数の吸着孔11の底部には吸着孔11よりも小さな小孔が設けられており、複数の吸着孔11のそれぞれは当該小孔を介して搬送ドラム10の内部に設けられた吸引機構(ここでは、図示しない)と連通している。当該吸引機構を作動させることによって、複数の吸着孔11のそれぞれに大気圧よりも低い負圧を作用させることができる。これによって、搬送ドラム10の各吸着孔11は1個の錠剤を吸着保持することができる。
また、搬送ドラム10の内部には、搬送ベルト20に対向する部位の近傍にブロー機構が設けられている。当該ブロー機構は、吸着孔11の底部に設けられた上記の小孔に向けて加圧されたエアーを吹き付ける。ブロー機構が小孔にエアーを吹き付けることによって、吸着孔11には大気圧よりも高い圧力を作用させることができる。これによって、吸着孔11による錠剤の吸着状態を解除することができる。このように、搬送ドラム10に設けられた複数の吸着孔11の全体には吸引機構によって吸引力を作用させつつも、搬送ベルト20に対向している5列1行の吸着孔11についてはブロー機構によって吸着を解除することができる。
搬送ベルト20は、複数の保持板22をベルト状につなぎ合わせたものを一対のプーリに掛け渡して構成される。一対のプーリが駆動モータ(ここでは、図示しない)によって回転駆動されることによって、複数の保持板22からなるベルト状体が図1の矢印の方向に移動する。搬送ベルト20は、複数の保持板22からなるベルト状体の一部が搬送ドラム10の外周面に近接して対向するように設置されている。
図2に例示されるように、複数の保持板22のそれぞれにはベルトの幅方向(Y軸方向)に沿って等間隔で複数の吸着孔21が形成されている。本実施の形態では、各保持板22にY軸方向に沿って5列に吸着孔21が形成されている。搬送ベルト20の吸着孔21自体の形状および大きさは搬送ドラム10の吸着孔11と同じである。また、各保持板22に5列に並べられた吸着孔21の間隔も、搬送ドラム10の中心軸に沿って5列に並べられた吸着孔11の間隔と等しい。
吸着孔11と同様に、複数の吸着孔21の底部には吸着孔21よりも小さな小孔が設けられており、複数の吸着孔21のそれぞれは当該小孔を介して搬送ベルト20の内部に設けられた吸引機構と連通している。当該吸引機構を作動させることによって、複数の吸着孔21のそれぞれに大気圧よりも低い負圧を作用させることができる。これによって、搬送ベルト20の各吸着孔21は1個の錠剤を吸着保持することができる。
また、搬送ベルト20の内部には、後述する搬送ベルト30に対向する部位の近傍にブロー機構が設けられている。当該ブロー機構は、吸着孔21の底部に設けられた上記の小孔に向けて加圧されたエアーを吹き付ける。ブロー機構が小孔にエアーを吹き付けることによって、吸着孔21には大気圧よりも高い圧力を作用させることができる。これによって、吸着孔21による錠剤の吸着状態を解除することができる。
搬送ベルト30の構成は、搬送ベルト20と概ね同様である。すなわち、搬送ベルト30は、複数の保持板をベルト状につなぎ合わせたものを一対のプーリに掛け渡して構成される。一対のプーリが駆動モータによって回転駆動されることにより、搬送ベルト30は図1の矢印の方向に移動する。搬送ベルト30は、複数の保持板からなるベルト状体の一部が搬送ベルト20に近接して対向するように設置されている。
搬送ベルト30の保持板にも、ベルトの幅方向(Y軸方向)に沿って等間隔で複数(本実施の形態では5列)の吸着孔が形成されている。
上記と同様に、搬送ベルト30の吸着孔には、搬送ベルト30の内部に設けられた吸引機構によって大気圧よりも低い負圧を作用させることができる。これによって、搬送ベルト30の各吸着孔は1個の錠剤を吸着保持することができる。また、搬送ベルト30の内部には、たとえば4箇所にわたって、ブロー機構が設けられている。ブロー機構がエアーを吹き付けることによって搬送ベルト30の吸着孔に大気圧よりも高い圧力を作用させて当該吸着孔による錠剤の吸着状態を解除することができる。
搬送ベルト30の4箇所のブロー機構は、いずれも下方または斜め下方に向けてエアーを吹き付ける。従って、4箇所のブロー機構のうち、良品ダクト48に対向する部位に設けられたブロー機構がエアーを吹き付けることによって、吸着孔による錠剤の吸着状態を解除して当該錠剤を良品ダクト48に放出することができる。良品ダクト48に放出された錠剤は良品回収ボックス58に回収される。
また、撮像漏れダクト49に対向する部位に設けられたブロー機構がエアーを吹き付けることによって、吸着孔による錠剤の吸着状態を解除して当該錠剤を撮像漏れダクト49に放出することができる。撮像漏れダクト49に放出された錠剤は撮像漏れボックス59に回収される。
また、外観不良品ダクト47に対向する部位に設けられたブロー機構がエアーを吹き付けることによって、吸着孔による錠剤の吸着状態を解除して当該錠剤を外観不良品ダクト47に放出することができる。外観不良品ダクト47に放出された錠剤は外観不良品ボックス57に回収される。
さらに、印刷不良品ダクト46に対向する部位に設けられたブロー機構がエアーを吹き付けることによって、吸着孔による錠剤の吸着状態を解除して当該錠剤を印刷不良品ダクト46に放出することができる。印刷不良品ダクト46に放出された錠剤は印刷不良品ボックス56に回収される。
次に、外観検査カメラ51、外観検査カメラ52および外観検査カメラ53は、いずれも所定領域を撮像するための撮像部であり、例えばCMOSカメラまたはCCDカメラである。
外観検査カメラ51は、撮像エリアが搬送ドラム10の外周面となるように当該外周面に対向して設置されている。
外観検査カメラ51は、搬送ドラム10の吸着孔11に吸着保持されて搬送される複数の錠剤を撮像する。外観検査カメラ51の撮像エリアの大きさは適宜のものとすることが可能であるが、搬送ドラム10の円筒周面を撮像することとなるため、その円筒周面の広範囲にわたって焦点を合わせることは困難である。このため、外観検査カメラ51の撮像エリアは、少なくとも外観検査カメラ51に対向している5列1行の錠剤を撮像可能な大きさであればよい。
外観検査カメラ52は、撮像エリアが搬送ベルト20の搬送面となるように当該搬送面に対向して設置されている。外観検査カメラ52は、搬送ベルト20の搬送方向に沿って搬送ドラム10との対向位置よりも下流側であって、かつ、インクジェットヘッド61よりも上流側を撮像できる位置に設けられている。
外観検査カメラ52は、搬送ベルト20よって吸着保持されて搬送される複数の錠剤を撮像する。外観検査カメラ52の撮像エリアの大きさは適宜のものとすることが可能であり、少なくとも外観検査カメラ52に対向している5列1行の錠剤を撮像可能な大きさであればよい。
なお、搬送ドラム10とは異なり、搬送ベルト20の搬送面は略平面であるため、外観検査カメラ52の撮像エリアが広くてもその全面について焦点を合わせることも比較的容易である。
外観検査カメラ53は、撮像エリアが搬送ベルト30の搬送面となるように当該搬送面に対向して設置されている。外観検査カメラ53は、搬送ベルト30の搬送方向に沿って搬送ベルト20との対向位置よりも下流側であって、かつ、インクジェットヘッド62よりも上流側を撮像できる位置に設けられている。
外観検査カメラ53は、搬送ベルト30よって吸着保持されて搬送される複数の錠剤を撮像する。外観検査カメラ53の撮像エリアの大きさは適宜のものとすることが可能であり、少なくとも外観検査カメラ53に対向している5列1行の錠剤を撮像可能な大きさであればよい。
外観検査カメラ52と同様に、搬送ベルト30の搬送面は略平面であるため、外観検査カメラ53の撮像エリアが広くてもその全面について焦点を合わせることも比較的容易である。
インクジェットヘッド61およびインクジェットヘッド62は、複数の吐出ノズルを備えており、それら吐出ノズルからインクジェット方式によってインクの液滴を吐出する。インクジェットの方式は、ピエゾ素子(圧電素子)に電圧を加えて変形させることによってインクの液滴を吐出するピエゾ方式であってもよいし、ヒータに通電してインクを加熱することによってインクの液滴を吐出するサーマル方式であってもよい。
本実施の形態においては、医薬品の錠剤などに印刷処理を行うため、インクジェットヘッド61およびインクジェットヘッド62から吐出するインクとしては、食品衛生法で認められている原料によって製造された可食性インクを使用することが望ましい。また、インクジェットヘッド61およびインクジェットヘッド62は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)および黒(K)の4色のインクを吐出可能であり、これらを混合することによってカラー印刷が可能である。ただし、インクジェットヘッド61およびインクジェットヘッド62が吐出するインクの色はこれに限られるものではない。また、それぞれのヘッドが吐出するインクの色が全て異なる色である必要はなく、一部のヘッドが吐出するインクの色が同じ色であってもよい。
インクジェットヘッド61は、搬送ベルト20の搬送方向に沿って外観検査カメラ52よりも下流側に設けられている。インクジェットヘッド61は、搬送ベルト20によって吸着保持されて搬送される複数の錠剤に対して印刷処理を行う。
また、インクジェットヘッド62は、搬送ベルト30の搬送方向に沿って外観検査カメラ53よりも下流側に設けられている。インクジェットヘッド62は、搬送ベルト30によって吸着保持されて搬送される複数の錠剤に対して印刷処理を行う。
なお、インクジェットヘッド61およびインクジェットヘッド62は、それぞれ搬送ベルト20および搬送ベルト30の幅方向全域をカバーするフルラインヘッドであることが好ましい。
また、錠剤印刷装置1は、製品検査カメラ71および製品検査カメラ72を備える。製品検査カメラ71および製品検査カメラ72としては、例えばCCDカメラを用いることができる。製品検査カメラ71は、撮像エリアがプーリ10Aの外周面となるように当該外周面に対向して設置されている。製品検査カメラ71は、搬送ベルト20の搬送方向に沿ってインクジェットヘッド61よりも下流側を撮像できる位置に設けられている。製品検査カメラ71は、搬送ベルト20によって吸着保持されて搬送される複数の錠剤を撮像する。
製品検査カメラ72は、撮像エリアがプーリ10Bの外周面となるように当該外周面に対向して設置されている。製品検査カメラ72は、搬送ベルト30によって吸着保持されて搬送される複数の錠剤を撮像する。
また、錠剤印刷装置1は、ヒータ76およびヒータ77を備える。ヒータ76およびヒータ77としては、例えば熱風を吹き付けて錠剤を加熱して乾燥させる熱風乾燥式ヒータを用いることができる。ヒータ76は、搬送ベルト20の搬送方向に沿ってインクジェットヘッド61よりも下流側に設けられている。ヒータ76は、インクジェットヘッド61によって印刷処理が行われた錠剤に対して熱風を吹き付けて乾燥させる。
ヒータ77は、搬送ベルト30の搬送方向に沿ってインクジェットヘッド62よりも下流側に設けられている。ヒータ77は、インクジェットヘッド62によって印刷処理が行われた錠剤に対して熱風を吹き付けて乾燥させる。
なお、ヒータ76およびヒータ77はそれぞれ搬送ベルト20および搬送ベルト30の下方に設けられているが、上述したものと同様に、搬送ベルト20および搬送ベルト30は錠剤を吸着保持して搬送するため、錠剤が下側を向いている状態であっても当該錠剤は落下せずに搬送される。
また、錠剤の乾燥処理にはヒータが必ずしも用いられる必要はなく、錠剤の種類によっては自然乾燥によって乾燥させることが望ましい場合もある。その場合には、ヒータ76およびヒータ77は備えられていなくてもよい。
さらに、錠剤印刷装置1は、清掃機構83および清掃機構84を備える。搬送ベルト20および搬送ベルト30には、錠剤から生じた粉体が付着することがある。清掃機構83および清掃機構84は、それぞれ搬送ベルト20および搬送ベルト30に付着した粉体を清掃する。清掃機構83および清掃機構84としては、例えばエアーを吹き付けて周辺雰囲気を吸引回収するものを採用することができる。
制御部3は、錠剤印刷装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えて構成される。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって錠剤印刷装置1における錠剤に対する処理が進行する。また、制御部3は、外観検査カメラ51および外観検査カメラ52等によって取得された画像データに基づいてインクジェットヘッド61およびインクジェットヘッド62を制御する印刷制御部としての機能も有している。
さらに、制御部3は、外観検査カメラ51、外観検査カメラ52、外観検査カメラ53、製品検査カメラ71または製品検査カメラ72等によって取得された画像データとともに制御部3に転送される錠剤2の撮像時刻に関する情報(以下、時刻情報)に基づいて、錠剤2の撮像漏れが生じたか否かを判定する機能も有している。
ここで、時刻情報には、いずれかのカメラが錠剤2を撮像した撮像時刻、基準時刻からの経過時間、当該画像データが制御部3に転送された時刻、および、当該画像データが制御部3に受信された時刻のうちの少なくとも1つが含まれる。
なお、上記の撮像時刻は、カメラが錠剤2を撮像した絶対時刻であってもよいし、基準時刻からの経過時間に対応する相対時刻であってもよい。また、基準時刻は、ある特定の時刻に対応する絶対時刻であってもよいし、錠剤印刷装置1における動作工程などに関連づけられた概念的な時刻であってもよい。
また、取得された画像データとともに制御部3に転送される時刻情報は、たとえば、画像データのヘッダー情報に含まれる情報であってもよいし、画像上に表示される態様のデータであってもよい。
<錠剤印刷装置の動作について>
次に、上記構成を有する錠剤印刷装置1における処理動作について説明する。図3および図4は、錠剤印刷装置1における処理動作の手順を示すフローチャートである。
まず、錠剤印刷装置1のホッパー8に複数の錠剤を一括投入する(ステップS1)。錠剤の一括投入は、作業者がバケツなどを用いて手動で行うようにしてもよいし、錠剤印刷装置1とは別体の搬送機構などによって自動で行うようにしてもよい。
本実施の形態では、複数の円盤形状の錠剤2がホッパー8に投入される。図5は、錠剤2の平面図である。錠剤2の片面には、半分に割るための割線7が形成されている。割線7は、円盤形状の錠剤2の径方向に沿って刻まれた溝である。割線7は錠剤2の片面のみに形成されている。
本実施の形態では、割線7が設けられている側の面を錠剤2の表面とする。錠剤2の裏面には割線7は形成されていない。なお、錠剤2の表面と裏面とでは薬剤としての性質に相違があるものではなく、単に区別のための便宜上、割線7が設けられている側の面を表面としているに過ぎない。
ホッパー8に投入された複数の錠剤2は供給フィーダ124によって搬送ドラム10に導かれ、複数の錠剤2が1個ずつ搬送ドラム10の吸着孔11に吸着保持される。
搬送ドラム10には、搬送方向(搬送ドラム10の周方向)に垂直な方向、つまり搬送ドラム10の中心軸方向に沿って5列に吸着孔11が形成されている。従って、搬送ドラム10は、搬送方向と垂直な方向に5個の錠剤を整列させた5列にて複数の錠剤2を搬送する。
本明細書では、搬送ドラム10の搬送方向と垂直な方向に5個の錠剤を配列した単位を「行」と表記する。すなわち、搬送ドラム10は、各吸着孔11に個別に錠剤2を吸着保持し、複数の錠剤2を5列複数行に整列させた状態で搬送する(ステップS2)。
なお、ホッパー8から投入された錠剤2を搬送ドラム10が5個ずつ円滑に吸着保持できるように、ホッパー8に複数の錠剤2を5個ずつ整列させて供給する整列機構を取り付けるようにしてもよい。このような整列機構としては、例えばボールフィーダー方式の機構を採用することができる。
次に、搬送ドラム10によって搬送されている複数の錠剤2を外観検査カメラ51が撮像する(ステップS3)。複数の錠剤2は、搬送ドラム10の吸着孔11に保持されて搬送ドラム10の周方向に沿って図1の紙面上で時計回りに搬送される。複数の錠剤2は、5列ずつ整列されて搬送されるものの、各錠剤2の表面が搬送ドラム10の内側(搬送ドラム10の中心側)を向いているか外側を向いているかは全くランダムである。また、円形の吸着孔11によって円形の錠剤2を保持することとなるため、錠剤2の方向性は任意となり、搬送ドラム10によって搬送される各錠剤2の割線7の向きも全くランダムである。
外観検査カメラ51は、搬送ドラム10の外側から錠剤2を撮像する。よって、外観検査カメラ51によって撮像される複数の錠剤2には、外観検査カメラ51に対して表面を向けているものと裏面を向けているものとがランダムに含まれている。
換言すれば、外観検査カメラ51は、搬送ドラム10によって搬送される複数の錠剤2の一方面を撮像しているのである。ここで、「一方面」とは、錠剤2の表面であるか裏面であるかに関わりなく、搬送ドラム10によって搬送されている錠剤2の搬送ベルトに接触している面とは反対側の面である。
また、外観検査カメラ51は、搬送ドラム10の搬送方向と垂直な方向に5個の錠剤を配列した行ごとに撮像を行う。このようにしている理由は、搬送ドラム10の外周面が円筒状であるため、複数行にわたって外観検査カメラ51の焦点を合わせることが困難であるというものである。
通常、医薬品である錠剤2の製造に際しては異物などの混入がないように万全の品質管理がなされているが、それでもなお異物などが混入することもある。このような異物としては、例えば人の髪の毛や金属粉などがあり得る。
外観検査カメラ51は、搬送ドラム10によって搬送される複数の錠剤2の一方面を撮像することにより、複数の錠剤2の一方面に付着している異物などを検出する(ステップS4)。
外観検査カメラ51によって撮像された結果である画像データは、制御部3に転送される。制御部3は、その画像データに所定の画像処理を施すことによって、複数の錠剤2のうち一方面に表面を向けている錠剤2の割線7の方向および一方面に異物6が付着している錠剤2を認識する。
また、上記の画像データのたとえばヘッダー情報として、当該撮像の時刻情報も制御部3に転送される。
制御部3は、画像データとともに転送された時刻情報に基づいて、画像データにおける錠剤2の撮像時刻(以下、実撮像時刻)を把握する。また、制御部3は、搬送経路において錠剤2が搬送される速度である搬送速度に基づいて、当該錠剤2の予想される撮像時刻(以下、予想撮像時刻)を算出する。そして、制御部3は、実撮像時刻と予想撮像時刻とが異なる場合に、錠剤2の撮像漏れが生じたと判定する(ステップS5)。
実撮像時刻については、たとえば、時刻情報がいずれかのカメラが錠剤2を撮像した時刻を含むものであれば、時刻情報に含まれる当該撮像時刻を実撮像時刻としてそのまま参照する。また、時刻情報が当該画像データが制御部3に転送された時刻を含むものであれば、作成された画像データが制御部3へ転送されるまでのあらかじめ定められた時間分を差し引いた時刻を実撮像時刻として算出する。また、時刻情報が当該画像データが制御部3に受信された時刻を含むものであれば、作成された画像データが制御部3において受信されるまでのあらかじめ定められた時間分を差し引いた時刻を実撮像時刻として算出する。
なお、画像データが転送されるまでの時間、および、画像データが受信されるまでの時間には、画像データの作成量または作成方法などによってばらつきが生じ得るため、時刻情報がいずれかのカメラが錠剤2を撮像した時刻を含むものであれば、当該撮像時刻を優先して実撮像時刻として参照することが望ましい。
予想撮像時刻については、まず、搬送ドラム10、搬送ベルト20および搬送ベルト30からなる錠剤2の搬送経路において、あらかじめ定められた搬送速度で搬送される錠剤2がそれぞれのカメラの撮像エリアに到達するまでにかかる経過時間を算出する。そして、搬送経路の基準位置における時刻に当該経過時間を加えることによって、予想撮像時刻を算出する。
ここで、搬送速度としては、たとえば250mm/sを想定することができる。また、予想撮像時刻を算出する際の基準位置としては、たとえば、供給フィーダ124によって導かれた錠剤2が搬送ドラム10に到達する位置などを選択することができる。
なお、制御部3は、時刻情報に基づいて、順次搬送される複数の錠剤2が1つのカメラに撮像される時間間隔である撮像間隔(以下、実撮像間隔)を把握することによって、相対的な実撮像時刻を把握してもよい。さらに、搬送経路における錠剤2の搬送速度に基づいて、順次搬送される複数の錠剤2が1つのカメラに撮像される時間間隔として予想される撮像間隔(以下、予想撮像間隔)を算出することによって、相対的な予想撮像時刻を算出してもよい。
上記の場合には、制御部3は、実撮像間隔と対応する予想撮像間隔とが異なる場合に、錠剤2の撮像漏れが生じたと判定することができる。
実撮像間隔については、たとえば、時刻情報が基準時刻からの経過時間を含むものであれば、順次搬送される錠剤2に応じて1つのカメラから順次転送される複数の時刻情報に基づいて把握する。具体的には、複数の時刻情報におけるそれぞれの経過時間の差から、順次搬送される錠剤2間の撮像間隔を把握する。なお、実撮像間隔を算出する際の基準時刻は、複数の時刻情報において共通の時刻であればよい。
図6は、複数の時刻情報が、基準時刻からの経過時間を含む場合の例を示す図である。図6に例が示されるように、1つのカメラによって撮像された複数の画像データ101とともに、対応する複数の時刻情報100が、たとえば、画像データ101のヘッダー情報として制御部3へ転送される。
図6に例が示される場合では、基準時刻から経過時間300msecまでは100msecごとに撮像が行われており、経過時間300msecまでの実撮像間隔は100msecとなる。一方で、経過時間300msecから経過時間500msecまでは200msec間隔で撮像が行われており、当該期間における実撮像間隔は200msecとなる。
上記の例で予想撮像間隔がたとえば100msecであった場合、経過時間300msecまでは撮像漏れは生じていないが、経過時間300msecから経過時間500msecまでの間に撮像漏れが生じていることが分かる。具体的には、経過時間500msecの時刻情報が予想撮像間隔の2倍の実撮像間隔を示しているため、対応する画像データに表示されている錠剤2の1つ前(1つ分下流)で搬送されている錠剤2に、撮像漏れが生じていることが分かる。
予想撮像間隔については、搬送ドラム10、搬送ベルト20および搬送ベルト30からなる錠剤2の搬送経路において、搬送ベルトの搬送方向(X軸方向)にあらかじめ定められた間隔で配置された複数の錠剤2が、それぞれのカメラの撮像エリアを横切る時間間隔を搬送速度に基づいて算出する。
ここで、搬送速度としては、たとえば250mm/sを想定することができる。また、錠剤2の搬送方向における配置間隔としては、たとえば20mmの等間隔を想定することができる。
なお、搬送方向において錠剤2の配置態様は、上記のような等間隔の場合に限られず、部分的に異なる間隔で配置されるような場合であってもよい。
次に、外観検査カメラ51によって撮像された5列1行の錠剤2が搬送ドラム10によってさらに搬送されて搬送ベルト20に近接対向する位置に到達する。このときに、搬送ドラム10のブロー機構が当該5列1行の錠剤2が吸着保持されている5個の吸着孔11にエアーを吹き付けることによって、当該5列1行の錠剤2に対する吸着状態を解除する。
一方、搬送ドラム10に近接対向する位置における搬送ベルト20の保持板22の吸着孔21には負圧が作用している。従って、搬送ドラム10による吸着状態が解除された5列1行の錠剤2は、搬送ドラム10の吸着孔11から搬送ベルト20の吸着孔21に受け渡されて吸着保持されることとなる。
このような錠剤2の受け渡しを確実に行うため、制御部3は、搬送ドラム10の搬送速度と搬送ベルト20の搬送速度とを等しくするとともに、吸着孔11と吸着孔21とが正確に対向するように双方の搬送部の動作を同期させる制御を行っている。
搬送ドラム10から搬送ベルト20に錠剤2が受け渡されるとき、その錠剤2は回転等せずにそのまま移動する。すなわち、それぞれの錠剤2は割線7の方向を維持したまま搬送ドラム10から搬送ベルト20に受け渡されることとなる。
また、搬送ドラム10から搬送ベルト20に錠剤2が受け渡されるときに、それぞれの錠剤2は表裏反転することとなる。すなわち、搬送ドラム10では割線7が形成された表面を外側に向けて吸着保持されていた錠剤2は、裏面を外側に向けて搬送ベルト20の吸着孔21に吸着保持される。逆に、搬送ドラム10では裏面を外側に向けて吸着保持されていた錠剤2は、表面を外側に向けて搬送ベルト20に吸着保持される。
従って、搬送ドラム10によって搬送されていた各錠剤2はその方向を維持したまま表裏反転されて搬送ベルト20に受け渡されて搬送される(ステップS6)。
続いて、搬送ベルト20によって搬送されている複数の錠剤2を外観検査カメラ52が撮像する(ステップS7)。搬送ベルト20は、搬送ドラム10から表裏反転させて受け取った複数の錠剤2を搬送方向と垂直な方向に5列ずつ整列させて搬送している。外観検査カメラ52は、搬送ベルト20の外側から錠剤2を撮像する。よって、外観検査カメラ52によって撮像される複数の錠剤2にも、外観検査カメラ52に対して表面を向けているものと裏面を向けているものとがランダムに含まれている。
但し、搬送ドラム10から搬送ベルト20に各錠剤2を受け渡すときに表裏が反転するため、外観検査カメラ51が撮像した各錠剤2の表裏と外観検査カメラ52が撮像した対応する錠剤2の表裏とは完全に逆となる。
換言すれば、外観検査カメラ52は、搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2の他方面を撮像しているのである。ここで、「他方面」とは、上述の一方面とは反対側の面という意味であり、錠剤2の表面であるか裏面であるかに関わりなく、搬送ベルト20によって搬送されている錠剤2の外側を向いている面である。
搬送ベルト20の搬送面は略平面であるため、外観検査カメラ52は複数行にわたって錠剤2を撮像することも可能であるが、本実施の形態では外観検査カメラ51の撮像範囲と整合するように、外観検査カメラ52も搬送ベルト20の搬送方向と垂直な方向に5個の錠剤を配列した行ごとに撮像を行う。
また、外観検査カメラ52によって複数の錠剤2の他方面に付着している異物などを検出する(ステップS8)。外観検査カメラ52は、搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2の他方面を撮像することにより、複数の錠剤2の他方面に付着している異物などを検出するのである。
外観検査カメラ52によって撮像された結果である画像データは、制御部3に転送される。制御部3は、その画像データに所定の画像処理を施すことによって、複数の錠剤2のうち他方面に表面を向けている錠剤2の割線7の方向および他方面に異物6が付着している錠剤2を認識する。
また、上記の画像データのたとえばヘッダー情報として、当該撮像の時刻情報も制御部3に転送される。
制御部3は、画像データとともに転送された時刻情報に基づいて、画像データにおける錠剤2の実撮像時刻を把握する。また、制御部3は、搬送経路において錠剤2が搬送される速度である搬送速度に基づいて、当該錠剤2の予想撮像時刻を算出する。そして、制御部3は、実撮像時刻と予想撮像時刻とが異なる場合に、錠剤2の撮像漏れが生じたと判定する(ステップS9)。
次に、外観検査カメラ52によって撮像された錠剤2が搬送ベルト20によってさらに搬送されてインクジェットヘッド61に対向する位置に到達する。そして、インクジェットヘッド61が錠剤2に対する印刷処理を行う(ステップS10)。ここで、制御部3は、外観検査カメラ51および外観検査カメラ52によって取得された画像データに基づいてインクジェットヘッド61による印刷処理を制御する。図7は、インクジェットヘッド61による印刷処理結果の一例を示す図である。
上述したように、外観検査カメラ51は、搬送ドラム10によって搬送される複数の錠剤2の一方面を撮像する。搬送ドラム10から搬送ベルト20に錠剤2が受け渡されるときに、全ての錠剤2の表裏が反転する。そして、外観検査カメラ52は、搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2の他方面を撮像する。
従って、全ての錠剤2について、外観検査カメラ51および外観検査カメラ52によって表裏両面が撮像されて画像データが取得されている。具体的には、外観検査カメラ51によって表面が撮像された錠剤2については外観検査カメラ52によって裏面が撮像される。逆に、外観検査カメラ51によって裏面が撮像された錠剤2については外観検査カメラ52によって表面が撮像される。
インクジェットヘッド61は、搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2の他方面に対して印刷処理を行うこととなる。但し、インクジェットヘッド61は、複数の錠剤2のうち外観検査工程(ステップS4)および外観検査工程(ステップS8)の双方において異物などが検出されていない、かつ、撮像漏れ判定工程(ステップS5)および撮像漏れ判定工程(ステップS9)の双方において撮像漏れが生じたと判定されていない錠剤2に対してのみ印刷処理を行う。
具体的には、外観検査カメラ51および外観検査カメラ52によって取得された画像データに基づいて、複数の錠剤2のうち外観検査カメラ51および外観検査カメラ52によって異物などが検出されず、これらの画像データとともに転送された時刻情報に基づいて、実撮像時刻と予想撮像時刻とが一致する(または、実撮像間隔と対応する予想撮像間隔とが一致する)錠剤2に対してのみ印刷処理を行うように、制御部3がインクジェットヘッド61を制御する。
また、制御部3は、搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2のうち他方面が表面である錠剤2に対しては表面用印刷データに基づいてインクジェットヘッド61に表面用印刷処理を行わせる。ここでは、表面用印刷データとして、例えば「ABCD」の文字データとする。
さらに、制御部3は、当該錠剤2の表面に形成された割線7に対する所定方向に沿ってインクジェットヘッド61に錠剤2の表面への表面用印刷処理を行わせる。本実施の形態では、錠剤2の表面の割線7と平行な方向に沿ってインクジェットヘッド61が印刷処理を行う。搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2のうち他方面が表面である錠剤2における割線7の方向については、外観検査カメラ52によって取得された画像データに画像処理を施すことによって制御部3が認識することができる(図7の実線で示す割線7の方向)。
一方、制御部3は、搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2のうち他方面が裏面である錠剤2に対しては、裏面用印刷データに基づいてインクジェットヘッド61に裏面用印刷処理を行わせる。ここでは、裏面用印刷データとして、例えば「1234」の文字データとする。
制御部3は、当該錠剤2の表面に形成されている割線7に対する上記所定方向と同一方向に沿って、インクジェットヘッド61に当該錠剤2の裏面にも裏面用印刷処理を行わせる。本実施の形態では、錠剤2の表面に対しては割線7と平行な方向に沿って印刷処理が行われており、錠剤2の裏面に対しても表面側の割線7と平行な方向に沿ってインクジェットヘッド61が印刷処理を行う。
搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2のうち他方面が裏面である錠剤2の表面側における割線7の方向については、外観検査カメラ51によって取得された画像データに画像処理を施すことによって制御部3が認識することができる(図7の点線で示す割線7の方向)。
さらに、制御部3は、外観検査カメラ52によって取得された画像データに基づいて、インクジェットヘッド61による各錠剤2に対する印刷位置の微調整(修正)を行う。搬送ベルト20の吸着孔21のサイズは錠剤2の大きさよりもやや大きいため、搬送ドラム10から搬送ベルト20に錠剤2が受け渡されるとき、各錠剤2の方向性は維持されるものの、吸着孔21の範囲内で若干の位置のバラツキが生じる。
制御部3は、外観検査カメラ52によって取得された画像データから吸着孔21内における各錠剤2の位置のずれを検出し、その検出結果に基づいて印刷位置の微調整を実行する。このようにして、複数の錠剤2の他方面に対する印刷処理が実行される。
本実施の形態においては、異物などが検出された錠剤2、および、撮像漏れが生じた錠剤2に対しては印刷処理を行わない。その結果、図7に例が示されるように、搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2のうち異物などが検出されず、撮像漏れが生じず、かつ、他方面が表面である錠剤2(図7の右側の錠剤2)については、表面に形成された割線7と平行な方向に沿って「ABCD」という文字列がインクジェットヘッド61によって錠剤2の表面に印刷されることとなる。
また、搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2のうち異物などが検出されず、撮像漏れが生じず、かつ、他方面が裏面である錠剤2(図7の左側の錠剤2)については、表面に形成された割線7と平行な方向に沿って「1234」という文字列がインクジェットヘッド61によって錠剤2の裏面に印刷されることとなる。
次に、他方面に対する印刷処理が行われた錠剤2が、搬送ベルト20によってさらに搬送されて製品検査カメラ71に対向する位置に到達する。製品検査カメラ71は、搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2の他方面を撮像し、インクジェットヘッド61による複数の錠剤2の他方面に対する印刷処理の結果を撮像する。
製品検査カメラ71は、取得した画像データを制御部3に転送する。制御部3は、製品検査カメラ71によって取得された画像データに基づいて、複数の錠剤2の他方面に対するインクジェットヘッド61の印刷処理結果を確認する(ステップS11)。このとき、複数の錠剤2のうち他方面に異物6が付着している錠剤2については、その異物6の付着も製品検査カメラ71による撮像によって検知されることとなる。
次に、他方面の印刷処理結果が検査された錠剤2が搬送ベルト20によってさらに搬送されてヒータ76に対向する位置に到達する。図1に例が示されたように、ヒータ76は搬送ベルト20よりも下方に設置されており、錠剤2がヒータ76に対向する位置に到達したときには、当該錠剤2は搬送ベルト20によって下向きに保持されていることとなる。搬送ベルト20は吸着孔21に負圧を作用させることによって錠剤2を吸着保持しているため、錠剤2を下向きに保持することも可能である。
ヒータ76は、搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2の他方面に対して熱風を吹き付けてそれら複数の錠剤2を乾燥させる(ステップS12)。このような乾燥処理を行うことによって、インクジェットヘッド61から複数の錠剤2に吐出されたインクを迅速に乾燥させてにじみを防止することができる。
次に、ヒータ76によって乾燥された5列1行の錠剤2が搬送ベルト20によってさらに搬送されて搬送ベルト30に近接対向する位置に到達する。このときに、搬送ベルト20のブロー機構が当該5列1行の錠剤2が吸着保持されている5個の吸着孔21にエアーを吹き付けることによって当該5列1行の錠剤2に対する吸着状態を解除する。一方、搬送ベルト20に近接対向する位置における搬送ベルト30の吸着孔には負圧が作用している。従って、搬送ベルト20による吸着状態が解除された5列1行の錠剤2は、搬送ベルト20の吸着孔21から搬送ベルト30の吸着孔に受け渡されて吸着保持されることとなる。このような錠剤2の受け渡しを確実に行うため、制御部3は、搬送ベルト20の搬送速度と搬送ベルト30の搬送速度とを等しくするとともに、双方の搬送ベルトの吸着孔が正確に対向するように双方の搬送ベルトの動作を同期させる制御を行っている。
搬送ベルト20から搬送ベルト30に錠剤2が受け渡されるとき、その錠剤2は回転等することなくそのまま移動する。すなわち、それぞれの錠剤2は割線7の方向を維持したまま搬送ベルト20から搬送ベルト30に受け渡されることとなる。
また、搬送ベルト20から搬送ベルト30に錠剤2が受け渡されるときに、それぞれの錠剤2は表裏反転することとなる。すなわち、搬送ベルト20では割線7が形成された表面を外側に向けて吸着保持されていた錠剤2は裏面を外側に向けて搬送ベルト30に吸着保持される。逆に、搬送ベルト20では裏面を外側に向けて吸着保持されていた錠剤2は表面を外側に向けて搬送ベルト30に吸着保持される。従って、搬送ベルト20によって搬送されていた各錠剤2はその方向を維持したまま表裏反転されて搬送ベルト30に受け渡されて搬送されるのである(ステップS13)。
続いて、搬送ベルト30によって搬送されている複数の錠剤2を外観検査カメラ53が撮像する(ステップS14)。搬送ベルト30は、搬送ベルト20から表裏反転させて受け取った複数の錠剤2を搬送方向と垂直な方向に5列ずつ整列させて搬送している。外観検査カメラ53は、搬送ベルト30の外側から錠剤2を撮像する。従って、外観検査カメラ53が撮像した各錠剤2の表裏は、外観検査カメラ52が撮像した対応する錠剤2の表裏とは完全に逆になる一方で、外観検査カメラ51が撮像した対応する錠剤2の表裏とは完全に一致する。すなわち、外観検査カメラ53は、外観検査カメラ51と同じく、搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2の一方面を撮像している。
搬送ベルト30の搬送面は略平面であるため、外観検査カメラ53は複数行にわたって錠剤2を撮像することも可能であるが、本実施の形態では外観検査カメラ51の撮像範囲と整合するように、外観検査カメラ53も搬送ベルト30の搬送方向と垂直な方向に5個の錠剤を配列した行ごとに撮像を行う。
外観検査カメラ53による撮像は、搬送ベルト30によって吸着保持される複数の錠剤2の位置のバラツキを検出するために行われる。制御部3は、外観検査カメラ53によって取得された画像データから搬送ベルト30の吸着孔内における各錠剤2の位置のずれを検出する。
ここで、制御部3は、外観検査カメラ53によって撮像された画像データおよび当該画像データとともに制御部3に転送される時刻情報を用いて、ステップS4およびステップS8におけるような外観検査、さらには、ステップS5およびステップS9におけるような撮像漏れ判定を行ってもよい。
次に、外観検査カメラ53によって撮像された錠剤2が、搬送ベルト30によってさらに搬送されてインクジェットヘッド62に対向する位置に到達する。そして、インクジェットヘッド62が錠剤2に対する印刷処理を行う(ステップS15)。ここで、制御部3は、主に外観検査カメラ51および外観検査カメラ52によって取得された画像データに基づいて、インクジェットヘッド62による印刷処理を制御する。図8は、インクジェットヘッド62による印刷処理結果の一例を示す図である。
インクジェットヘッド62は、搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2の一方面に対して印刷処理を行うこととなる。但し、インクジェットヘッド61と同様に、インクジェットヘッド62は、複数の錠剤2のうち外観検査工程(ステップS4)および外観検査工程(ステップS8)の双方において異物などが検出されていない、かつ、撮像漏れ判定工程(ステップS5)および撮像漏れ判定工程(ステップS9)の双方において撮像漏れが生じたと判定されていない錠剤2に対してのみ印刷処理を行う。
具体的には、主に外観検査カメラ51および外観検査カメラ52によって取得された画像データに基づいて、複数の錠剤2のうち外観検査カメラ51および外観検査カメラ52によって異物などが検出されず、かつ、外観検査カメラ51、外観検査カメラ52および外観検査カメラ53からの画像データとともに転送された全ての時刻情報に基づいて、実撮像時刻と予想撮像時刻とが一致する(または、実撮像間隔と対応する予想撮像間隔とが一致する)錠剤2に対してのみ印刷処理を行うように、制御部3がインクジェットヘッド62を制御する。
また、制御部3は、搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2のうち一方面が表面である錠剤2に対しては表面用印刷データに基づいてインクジェットヘッド62に表面用印刷処理を行わせる。ここでは、表面用印刷データは、上記と同様の「ABCD」の文字データである。
さらに、制御部3は、当該錠剤2の表面に形成された割線7に対する上記所定方向に沿ってインクジェットヘッド62に表面への表面用印刷処理を行わせる。本実施の形態では、錠剤2の表面の割線7と平行な方向に沿ってインクジェットヘッド62が印刷処理を行う。搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2のうち一方面が表面である錠剤2における割線7の方向については、外観検査カメラ51によって取得された画像データに画像処理を施すことによって制御部3が認識することができる(図8の実線で示す割線7の方向)。
一方、制御部3は、搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2のうち一方面が裏面である錠剤2に対しては、裏面用印刷データに基づいてインクジェットヘッド62に裏面用印刷処理を行わせる。ここでは、裏面用印刷データは、上記と同様の「1234」の文字データである。
制御部3は、当該錠剤2の表面に形成されている割線7に対する上記所定方向と同一方向に沿って、インクジェットヘッド62に当該錠剤2の裏面にも裏面用印刷処理を行わせる。本実施の形態では、錠剤2の表面に対しては割線7と平行な方向に沿って印刷処理が行われており、錠剤2の裏面に対しても表面側の割線7と平行な方向に沿ってインクジェットヘッド62が印刷処理を行う。
搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2のうち一方面が裏面である錠剤2における表面側の割線7の方向については、外観検査カメラ52によって取得された画像データに画像処理を施すことによって制御部3が認識することができる(図8の点線で示す割線7の方向)。
さらに、制御部3は、外観検査カメラ53によって取得された画像データに基づいて、インクジェットヘッド62による各錠剤2に対する印刷位置の微調整(修正)を行う。上述したのと同様に、搬送ベルト20から搬送ベルト30に錠剤2が受け渡されるとき、各錠剤2の方向性は維持されるものの、吸着孔の範囲内で若干の位置のバラツキが生じる。
制御部3は、外観検査カメラ53によって取得された画像データから搬送ベルト30の吸着孔内における各錠剤2の位置のずれを検出し、その検出結果に基づいて印刷位置の微調整を実行する。このようにして、複数の錠剤2の一方面に対する印刷処理が実行される。
本実施の形態においては、異物などが検出された錠剤2、および、撮像漏れが生じた錠剤2に対しては印刷処理を行わない。その結果、図8に例が示されるように、搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2のうち異物などが検出されず、撮像漏れが生じず、かつ、一方面が表面である錠剤2(図8の左側の錠剤2)については、表面に形成された割線7と平行な方向に沿って「ABCD」という文字列がインクジェットヘッド62によって錠剤2の表面に印刷されることとなる。
また、搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2のうち異物などが検出されず、撮像漏れが生じず、かつ、一方面が裏面である錠剤2(図8の右側の錠剤2)については、表面に形成された割線7と平行な方向に沿って「1234」という文字列がインクジェットヘッド62によって錠剤2の裏面に印刷されることとなる。
次に、一方面に対する印刷処理が行われた錠剤2が、搬送ベルト30によってさらに搬送されて製品検査カメラ72に対向する位置に到達する。製品検査カメラ72は、搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2の一方面を撮像し、インクジェットヘッド62による複数の錠剤2の一方面に対する印刷処理の結果を撮像する。
製品検査カメラ72は、取得した画像データを制御部3に転送する。制御部3は、製品検査カメラ72によって取得された画像データに基づいて、複数の錠剤2の一方面に対するインクジェットヘッド62の印刷処理結果を確認する(ステップS16)。このとき、複数の錠剤2のうち一方面に異物が付着している錠剤2については、その異物の付着も製品検査カメラ72による撮像によって検知されることとなる。
また、上記の画像データのたとえばヘッダー情報として、当該撮像の時刻情報も制御部3に転送される。
制御部3は、画像データとともに転送された時刻情報に基づいて、画像データにおける錠剤2の実撮像時刻を把握する。また、制御部3は、搬送経路において錠剤2が搬送される速度である搬送速度に基づいて、当該錠剤2の予想撮像時刻を算出する。そして、制御部3は、実撮像時刻と予想撮像時刻とが異なる場合に、錠剤2の撮像漏れが生じたと判定する(ステップS17)。
続いて、一方面の印刷処理結果が検査された錠剤2が搬送ベルト30によってさらに搬送されてヒータ77に対向する位置に到達する。ヒータ77は、搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2の一方面に対して熱風を吹き付けてそれら複数の錠剤2を乾燥させる(ステップS18)。このような乾燥処理を行うことによって、インクジェットヘッド62から複数の錠剤2に吐出されたインクを迅速に乾燥させてにじみを防止することができる。
最後に、表裏両面の検査が終了した錠剤2の仕分け処理が行われる(ステップS19)。具体的には、以下の処理を、制御部3の制御でブロー機構を動作させることによって行う。
ステップS11およびステップS16における表裏両面の印刷処理の結果に問題がなく、かつ、撮像漏れも生じていない錠剤2、つまり良品の錠剤2については、ブロー機構からのエアー吹き付けによって良品ダクト48に投入される。良品ダクト48に放出された錠剤2は良品回収ボックス58に回収される。
一方、表裏両面のいずれかの印刷処理の結果に問題のあった錠剤2、つまり不良品の錠剤2については、ブロー機構からのエアー吹き付けによって印刷不良品ダクト46に投入される。印刷不良品ダクト46に放出された錠剤2は印刷不良品ボックス56に回収される。
また、複数の錠剤2のうち外観検査カメラ51または外観検査カメラ52によって異物などが検出された錠剤2、すなわち印刷処理が行われなかった錠剤2については、ブロー機構からのエアー吹き付けによって外観不良品ダクト47に投入される。外観不良品ダクト47に放出された錠剤2は外観不良品ボックス57に回収される。このように、欠陥などが検出された錠剤2については、欠陥などが検出されずに印刷処理が行われた錠剤2とは別に外観不良品ボックス57に回収することができる。
また、複数の錠剤2のうち外観検査カメラ51、外観検査カメラ52、外観検査カメラ53、製品検査カメラ71または製品検査カメラ72における撮像漏れが生じた錠剤2については、ブロー機構からのエアー吹き付けによって撮像漏れダクト49に投入される。撮像漏れダクト49に放出された錠剤2は撮像漏れボックス59に回収される。このように、撮像漏れが生じた錠剤2については、異物などが検出されずに印刷処理が行われた錠剤2とは別に撮像漏れボックス59に回収することができる。
なお、撮像漏れボックス59に回収された錠剤2は、錠剤2の搬送経路における上流側へ再投入されてもよい。具体的には、撮像漏れが生じたカメラの位置よりも上流の位置から投入されることが望ましい。たとえば、製品検査カメラ71における撮像漏れが生じたのであれば、ホッパー8ではなくインクジェットヘッド62よりも下流であって製品検査カメラ71よりも上流の位置から、撮像漏れが生じた錠剤2が投入されてもよい。当該投入動作は、図示しない駆動アームなどが、制御部3の制御で動作することによって行われてもよい。
本実施の形態に関する錠剤印刷装置では、それぞれのカメラから画像データとともに転送される時刻情報を用いることによって、撮像漏れが生じた錠剤2が制御部3においてリアルタイムで特定される。そのため、撮像漏れが生じた錠剤2に対するその後の搬送経路における印刷処理の有無、回収されるボックスの種別、さらには、当該錠剤2の搬送経路への再投入まで、後続する処理を迅速かつ効率的に行うことができる。
そして、撮像漏れが生じた対象物が各種検査を通過してしまうこと、または、撮像漏れが生じたことに伴って、各種検査に問題がない錠剤2をも含む撮像漏れが疑われる錠剤2を大量に破棄することなどを防ぐことができる。
なお、本実施の形態では、撮像漏れが生じた錠剤2は撮像漏れボックス59に別途回収されているが、このような仕分け方法に限られるものではなく、たとえば、撮像漏れが生じた錠剤2を不良品とみなして印刷不良品ボックス56に回収してもよい。
以上のようにして、錠剤印刷装置1における錠剤2への印刷処理が終了する。
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果を例示する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。
以上に記載された実施の形態によれば、判定装置は、搬送部と、撮像部と、判定部とを備える。ここで、搬送部は、例えば、搬送ドラム10、搬送ベルト20および搬送ベルト30を含むものである。また、撮像部は、例えば、外観検査カメラ51、外観検査カメラ52、外観検査カメラ53、製品検査カメラ71および製品検査カメラ72のうちの少なくとも1つに対応するものである。また、判定部は、例えば、制御部3に含まれるものである。搬送部は、少なくとも1つの対象物を搬送する。ここで、対象物は、例えば、錠剤2に対応するものである。撮像部は、搬送部によって搬送される錠剤2を錠剤2の搬送経路において撮像する。そして、撮像部は、錠剤2の画像データを作成する。さらに、撮像部は、画像データを転送する。制御部3は、受信した画像データに基づいて、錠剤2の撮像漏れが生じたことを判定する。画像データは、錠剤2の撮像時刻に関する情報である時刻情報とともに制御部3に転送される。制御部3は、時刻情報から得られる錠剤2の撮像時刻である第1の撮像時刻と、搬送経路において錠剤2が搬送される速度である搬送速度から算出される錠剤2の撮像時刻である第2の撮像時刻とが異なる場合に、錠剤2の撮像漏れが生じたことを判定する。
このような構成によれば、画像データとともに転送される時刻情報から得られる錠剤2の実撮像時刻と、搬送速度からあらかじめ算出される錠剤2の予想撮像時刻とを比較することによって、撮像漏れが生じた錠剤2をリアルタイムで特定することができる。よって、撮像漏れが生じた錠剤2に対するその後の搬送経路における印刷処理の有無、回収されるボックスの種別、さらには、当該錠剤2の搬送経路への再投入まで、後続する処理を迅速かつ効率的に行うことができる。そして、撮像漏れが生じた対象物が各種検査を通過してしまうこと、および、撮像漏れが生じたことに伴って、各種検査に問題がない錠剤2をも含む撮像漏れが疑われる錠剤2を大量に破棄することなどを防ぐことができる。
なお、これらの構成以外の本願明細書に例示される他の構成については適宜省略することができる。すなわち、少なくともこれらの構成を備えていれば、以上に記載された効果を生じさせることができる。
しかしながら、本願明細書に例示される他の構成のうちの少なくとも1つを、以上に記載された構成に適宜追加した場合、すなわち、以上に記載された構成としては言及されなかった本願明細書に例示される他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、時刻情報は、撮像部が錠剤2を撮像した後、作成された画像データを転送した時刻を示す情報を含む。このような構成によれば、錠剤2の撮像時刻自体が不明である場合にも、制御部3に画像データが転送された時刻に基づいて撮像漏れが生じたか否かを判定することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、時刻情報は、制御部3が画像データを受信した時刻を示す情報を含む。このような構成によれば、錠剤2の撮像時刻自体が不明である場合にも、制御部3が画像データを受信した時刻に基づいて撮像漏れが生じたか否かを判定することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、撮像部は、搬送部によって搬送される複数の錠剤2を搬送経路において順次撮像して複数の画像データを順次作成し、さらに、複数の画像データを順次転送する。そして、制御部3は、複数の時刻情報から得られる複数の錠剤2間の撮像間隔である第1の撮像間隔と、搬送速度と複数の錠剤2の配置間隔とから算出される複数の錠剤2間の撮像間隔である第2の撮像間隔とが異なる場合に、対応する錠剤2の撮像漏れが生じたことを判定する。このような構成によれば、錠剤2の撮像時刻自体が不明である場合にも、順次搬送される複数の錠剤2が1つのカメラに撮像される時間間隔に基づいて、撮像漏れが生じたか否かを判定することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、制御部3の判定結果に基づいて、撮像漏れが生じた錠剤2を選別する選別部を備える。ここで、選別部は、例えば、制御部3に含まれるものである。このような構成によれば、撮像漏れが生じた錠剤2を、良品の錠剤2とは別に回収することができる。そのため、撮像漏れが生じた錠剤2を搬送経路に再投入する際にも、効率的に処理を行うことができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、制御部3は、撮像漏れが生じたと判定された錠剤2を、搬送経路における撮像部よりも上流の位置へ戻す。このような構成によれば、撮像漏れが生じた錠剤2を対応するカメラで再び撮像することによって、外観検査または製品検査を適切に行うことができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、上記の判定装置と、判定装置によって撮像漏れの有無を判定された錠剤に印刷を行う印刷部とを備える。ここで、印刷部は、例えば、インクジェットヘッド61およびインクジェットヘッド62のうちの少なくとも1つに対応するものである。このような構成によれば、撮像漏れの有無に基づいて印刷を行う錠剤2を選択するため、印刷処理結果の確認を併せて行うことによって、撮像漏れが生じた錠剤2が良品として回収されることを防止することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、撮像漏れが生じていないと判定された錠剤にのみ印刷を行う。このような構成によれば、撮像漏れが生じていない錠剤2のみに対して印刷を行うため、撮像漏れが生じた錠剤2が良品として回収されることを防止しつつ、印刷効率を高めることができる。
<以上に記載された実施の形態における変形例について>
以上、実施の形態が説明されたが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施の形態においては、錠剤2の表裏両面に印刷処理を行っていたが、表面または裏面のいずれか一方のみに印刷処理を行うようにしてもよい。
また、錠剤2に割線7が設けられていない場合、つまり表裏の区別のない錠剤2に対して印刷処理を行う場合にも本実施の形態に関する技術を適用することができる。この場合、錠剤2の片面のみに印刷できればよいのであれば、インクジェットヘッド61またはインクジェットヘッド62のいずれか一方のみで印刷を行うようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、インクの液滴を吐出するインクジェット方式によって印刷処理を行っていたが、印刷処理の手法はこれに限定されるものではなく、凸版印刷、グラビア印刷を含む凹版印刷、または、レーザー印刷などであってもよい。
また、錠剤2の形状は円盤形状に限定されるものではなく、例えば略楕円形状や棒状など他の形状であってもよい。この場合、各搬送部の吸着孔は錠剤2の形状に応じたものとなる。
また、上記実施形態においては、5列1行の単位で錠剤2を搬送するようにしていたが、これに限定されるものではなく、1列で錠剤2を搬送するようにしてもよいし、2列以上の複数列にて錠剤2を搬送するようにしてもよい。
1 錠剤印刷装置
2 錠剤
3 制御部
5 筐体
6 異物
7 割線
8 ホッパー
10 搬送ドラム
10A,10B プーリ
11,21 吸着孔
20,30 搬送ベルト
22 保持板
46 印刷不良品ダクト
47 外観不良品ダクト
48 良品ダクト
49 撮像漏れダクト
51,52,53 外観検査カメラ
56 印刷不良品ボックス
57 外観不良品ボックス
58 良品回収ボックス
59 撮像漏れボックス
61,62 インクジェットヘッド
71,72 製品検査カメラ
76,77 ヒータ
83,84 清掃機構
100 時刻情報
101 画像データ
122 直進フィーダ
123 回転フィーダ
124 供給フィーダ

Claims (11)

  1. 少なくとも1つの対象物を搬送する搬送部と、
    前記搬送部によって搬送される前記対象物を前記対象物の搬送経路において撮像して前記対象物の画像データを作成し、さらに、前記画像データを転送する撮像部と、
    受信した前記画像データに基づいて、前記対象物の撮像漏れが生じたことを判定する判定部とを備え、
    前記画像データは、前記対象物の撮像時刻に関する情報である時刻情報とともに前記判定部に転送され、
    前記判定部は、前記時刻情報から得られる前記対象物の撮像時刻である第1の撮像時刻と、前記搬送経路において前記対象物が搬送される速度である搬送速度から算出される前記対象物の撮像時刻である第2の撮像時刻とが異なる場合に、前記対象物の撮像漏れが生じたことを判定する、
    判定装置。
  2. 前記時刻情報は、前記撮像部が前記対象物を撮像した後、作成された前記画像データを転送した時刻を示す情報を含む、
    請求項1に記載の判定装置。
  3. 前記時刻情報は、前記判定部が前記画像データを受信した時刻を示す情報を含む、
    請求項1または請求項2に記載の判定装置。
  4. 前記撮像部は、前記搬送部によって搬送される複数の前記対象物を前記搬送経路において順次撮像して複数の前記画像データを順次作成し、さらに、複数の前記画像データを順次転送し、
    前記判定部は、複数の前記時刻情報から得られる複数の前記対象物間の撮像間隔である第1の撮像間隔と、前記搬送速度と複数の前記対象物の配置間隔とから算出される複数の前記対象物間の撮像間隔である第2の撮像間隔とが異なる場合に、対応する前記対象物の撮像漏れが生じたことを判定する、
    請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の判定装置。
  5. 前記判定部の判定結果に基づいて、撮像漏れが生じた前記対象物を選別する選別部をさらに備える、
    請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の判定装置。
  6. 前記選別部は、撮像漏れが生じたと判定された前記対象物を、前記搬送経路における前記撮像部よりも上流の位置へ戻す、
    請求項5に記載の判定装置。
  7. 請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載の判定装置と、
    前記判定装置によって撮像漏れの有無を判定された錠剤に印刷を行う印刷部とを備える、
    錠剤印刷装置。
  8. 前記印刷部は、前記判定装置によって撮像漏れが生じていないと判定された前記錠剤にのみ印刷を行う、
    請求項7に記載の錠剤印刷装置。
  9. 少なくとも1つの対象物を搬送する工程と、
    搬送される前記対象物を前記対象物の搬送経路において撮像して前記対象物の画像データを作成し、さらに、前記画像データを転送する工程と、
    受信した前記画像データに基づいて、前記対象物の撮像漏れが生じたことを判定する工程とを備え、
    前記画像データは、前記対象物の撮像時刻に関する情報である時刻情報とともに転送され、
    前記対象物の撮像漏れが生じたことを判定する工程は、前記時刻情報から得られる前記対象物の撮像時刻である第1の撮像時刻と、前記搬送経路において前記対象物が搬送される速度である搬送速度から算出される前記対象物の撮像時刻である第2の撮像時刻とが異なる場合に、前記対象物の撮像漏れが生じたことを判定する工程である、
    判定方法。
  10. 請求項9に記載の判定方法によって撮像漏れの有無を判定された錠剤に印刷を行う工程を備える、
    錠剤印刷方法。
  11. 前記判定方法によって撮像漏れが生じていないと判定された前記錠剤にのみ印刷を行う、
    請求項10に記載の錠剤印刷方法。
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