JP7019481B2 - 感光性導電樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents

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本発明は、感光性導電樹脂組成物に関し、より詳細には、導電パターンの形成に用いられる感光性導電樹脂組成物に関する。さらに、本発明は、感光性導電樹脂組成物を硬化して得られる硬化物にも関する。
近年、モバイル機器や自動車のGPC機器等の普及により、タッチパネルディスプレイが必要不可欠となっている。小型化、高密度化、高精細化等の要求が高まり、回路や電極等のファイン化が求められている。
導電回路を形成する方法として、樹脂に導電性粉末を混合した導電性樹脂組成物をスクリーン印刷でパターンを形成する方法が実用されている。さらに感光性成分を加えたものも開発されている(特許文献1および2参照)。
特開2013-210498号公報 国際公開2014/077136号
しかしながら、従来の導電パターン形成用感光性導電樹脂組成物は、熱硬化性成分に起因して保存安定性が悪く、そのため、保存安定性と形成した導電パターンとITO基板との密着性との両立は困難であった。また、形成した導電パターンは高温高湿の環境条件下で、ITO基板との接触抵抗が悪化するとの問題もあった。
したがって、本発明の目的は、保存安定性および基板との密着性に優れ、かつ、高温高湿の環境条件下でも接触抵抗を安定的に維持できる導電樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、カルボキシル基含有樹脂および熱硬化性樹脂を含む感光性導電樹脂組成物において、熱硬化性樹脂としてブロックイソシアネート化合物と、導電フィラーと、イオン吸着剤とを併用して、感光性導電樹脂組成物に含まれるイオン性不純物を吸着させることで、上記課題を解決できるとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
すなわち、本発明による感光性導電樹脂組成物は、カルボキシル基含有樹脂、熱硬化性樹脂、導電フィラー、およびイオン吸着剤を含み、前記熱硬化性樹脂が、ブロックイソシアネート化合物を含むことを特徴とするものである。
本発明の態様においては、前記イオン吸着剤が、無機系イオン吸着剤であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記イオン吸着剤が、層状構造を有することが好ましい。
本発明の態様においては、前記イオン吸着剤が、炭酸塩であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記イオン吸着剤が、ハイドロタルサイトであることが好ましい。
本発明の別の態様による硬化物は、上記の感光性導電樹脂組成物を硬化させて得られることを特徴とする。
本発明によれば、保存安定性および基板との密着性に優れ、かつ、高温高湿の環境条件下でもITO基板との接触抵抗を安定的に維持することができる感光性導電樹脂組成物を提供することができる。また、本発明の別の態様によれば、上記の感光性導電樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物を提供することができる。
実施例の導電性評価における表面抵抗値の測定に用いた積層部材の模式図である。 実施例の接触抵抗性評価における抵抗値の測定に用いた積層部材の模式図である。
[感光性導電樹脂組成物]
本発明による感光性導電樹脂組成物について説明する。本発明による感光性導電樹脂組成物は、少なくとも、カルボキシル基含有樹脂、熱硬化性樹脂としてブロックイソシアネート化合物、導電フィラー、およびイオン吸着剤を含み、感光性モノマー、他の熱硬化性樹脂、光重合開始剤、硬化触媒、充填剤、有機溶剤、および添加剤等の他の成分をさらに含んでもよい。感光性導電樹脂組成物は基板上に塗布し、乾燥させて溶媒を除去した後、露光、現像、加熱によって所望の機能を得ることができる。以下、本発明による感光性導電樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
[カルボキシル基含有樹脂]
カルボキシル基含有樹脂としては、分子中にカルボキシル基を有している従来公知の各種カルボキシル基含有樹脂を使用できる。感光性樹脂組成物が、カルボキシル基を有する樹脂を含むことにより、感光性樹脂組成物に対しアルカリ現像性を付与することができる。特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や現像性の面から好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの誘導体由来であることが好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いる場合、組成物を感光性とするためには、後述する分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物、即ち感光性モノマーを併用する必要がある。カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂、
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂、
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂、
(4)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂、
(5)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂、
(6)2官能またはそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂、
(7)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂、
(8)2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂、
(9)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p-ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(12)前記(1)~(11)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂、
等が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
カルボキシル基含有樹脂の酸価は、40~150mgKOH/gであることが好ましい。カルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g以上とすることにより、アルカリ現像が良好になる。また、酸価を150mgKOH/gを以下とすることで、良好なレジストパターンの描画をし易くできる。より好ましくは、50~130mgKOH/gである。
カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000~150,000であることが好ましい。重量平均分子量が2,000以上とすることにより、タックフリー性能や解像度を向上させることができる。また、重量平均分子量が150,000以下とすることで、現像性や貯蔵安定性を向上させることができる。より好ましくは、5,000~100,000である。
カルボキシル基含有樹脂の配合量は、感光性導電樹脂組成物中において、固形分換算で、5~40質量%であることが好ましい。5質量%以上とすることにより塗膜強度を向上させることができる。また40質量%以下とすることで粘性が適当となり加工性が向上する。より好ましくは、5~30質量%である。
[感光性モノマー]
感光性モノマーとして用いられる化合物としては、例えば、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。具体的には、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス-ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコールまたはこれらのエチレオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε-カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、およびこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;前記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類およびメラミンアクリレート、および前記アクリレートに対応する各メタクリレート類のいずれか少なくとも1種から適宜選択して用いることができる。このような感光性モノマーは、反応性希釈剤としても用いることができる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物などを感光性モノマーとして用いてもよい。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる。
感光性モノマーとして用いられる分子中にエチレン性不飽和基を有する化合物の配合量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは1~60質量部、より好ましくは10~40質量部である。エチレン性不飽和基を有する化合物の配合量を1質量部以上とすることにより、光硬化性樹脂組成物の光硬化性が向上する。また、配合量を60質量部以下とすることにより、塗膜硬度を向上させることができる。
感光性モノマーは、特にエチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有非感光性樹脂を使用した場合、組成物を感光性とするために分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(感光性モノマー)を併用する必要があるため、有効である。
[熱硬化性樹脂]
本発明で用いられる熱硬化性樹脂は、少なくとも、ブロックイソシアネート化合物を含む。イソシアネート化合物は水酸基との反応性が非常に高く、炭酸ガスが発生による容器の破損または増粘による保存安定性の低下等扱いにくい場合があるため、本発明においてはイソシアネート化合物のイソシアネート基を安定化したブロックイソシアネート化合物を用いる。ブロックイソシアネート化合物は加熱処理によりブロック剤が解離して、イソシアネート基が生成し、反応性を示すことができるものである。熱硬化性樹脂としてブロックイソシアネート化合物を用いることで、形成された硬化塗膜と基板との密着性を向上させることができる。
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物が用いられる。ブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、イソシアヌレート型、ビウレット型、アダクト型等が挙げられる。ブロックイソシアネート化合物を合成する為に用いられるイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネートおよび2,4-トリレンダイマーが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)およびイソホロンジイソシアネートが挙げられる。脂環式ポリイソシアネートの具体例としてはビシクロヘプタントリイソシアネートが挙げられる。並びに先に挙げられたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体およびイソシアヌレート体が挙げられる。
イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノールおよびエチルフェノール等のフェノール系ブロック剤;ε-カプロラクタム、δ-パレロラクタム、γ-ブチロラクタムおよびβ-プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンなどの活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチルおよび乳酸エチル等のアルコール系ブロック剤;ホルムアルデヒドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミドおよびマレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;キシリジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアミン系ブロック剤;イミダゾール、2-エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤;メチレンイミンおよびプロピレンイミン等のイミン系ブロック剤等が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物は市販のものであってもよく、例えば、スミジュールBL-3175、BL-4165、BL-1100、BL-1265、デスモジュールTPLS-2957、TPLS-2062、TPLS-2078、TPLS-2117、デスモサーム2170、デスモサーム2265(以上、住化コベストロウレタン株式会社製、商品名)、コロネート2512、コロネート2513、コロネート2520(以上、東ソー株式会社製、商品名)、B-830、B-815、B-846、B-870、B-874、B-882(以上、三井化学株式会社製、商品名)、MF-K60B、SBB-70P、SBN-70D、MF-B60B、TPA-B80E、17B-60P、SBN-70D、E402-B80T(以上、旭化成株式会社製、商品名)等が挙げられる。なお、スミジュールBL-3175、BL-4265はブロック剤としてメチルエチルオキシムを用いて得られるものである。
ブロックイソシアネート化合物の配合量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは1~50質量部であり、より好ましくは5~40質量部であり、さらに好ましくは10~30質量部である。ブロックイソシアネート化合物の配合量が1質量部以上であれば、基板に対する密着性を向上させることができ、また、ブロックイソシアネート化合物の配合量が50質量部以下であれば、乾燥性への悪影響を抑えることができる。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂は、上記ブロックイソシアネート化合物以外に、特性を損なわない範囲であれば、他の熱硬化性成分を含んでもよい。他の熱硬化成分としては、アミノ樹脂、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂などの公知慣用のものが挙げられる。
[導電フィラー]
本発明で用いられる導電フィラーは、形成された導電回路の硬化収縮によりフィラー同士が接触することで導電性を付与するものである。導電フィラーとしては、例えば、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Cu、Al、Sn、Pb、Zn、Fe、Ir、Os、Rh、W、Mo、Ruなどを挙げることができる。これらの導電性粉末は、単体の形態で用いてもよいし、これらのいずれかの合金や、これらのいずれかをコアまたは被覆層とする多層体であってもよい。また、酸化錫(SnO)、酸化インジウム(In)、ITO(Indium Tin Oxide)などの酸化物を用いてもよい。これらの導電性粉末の中でも、Agが好適に用いられる。
導電フィラーの形状は、特に限定されず、例えば、球状、フレーク(鱗片)状の他、デントライト状など種々の形状のものを用いることができる。これらの形状の中でも、好ましくは、球状である。
導電フィラーの粒径は、特に限定されず、例えば、球状の導電性粉末を用いる場合は、平均粒径が好ましくは0.1~5μmであり、より好ましくは0.2~3μmであり、さらに好ましくは、0.5~2μmである。なお、平均粒径は、マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社製)を用いて測定した値である。
導電フィラーの配合量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは100~1500質量部であり、より好ましくは300~1200質量部であり、さらに好ましくは500~1000質量部である。導電フィラーの配合量が100質量部以上であれば、十分な導電性を得ることができ、また、導電フィラーの配合量が1500質量部以下であれば、露光時の光が塗膜深部まで透過し易く、深部の光硬化性を阻害せずに細線パターンを形成することができる。
[イオン吸着剤]
本発明で用いられるイオン吸着剤は、感光性導電樹脂組成物中の余剰なイオン成分を捕捉する特性を有する。合成樹脂や合成ゴムの安定剤や保湿剤であり、塗膜特性の安定化を付与することができる。
イオン吸着剤としては、有機系イオン吸着剤および無機系イオン吸着剤がある。これらの中でも無機系イオン吸着剤がより好適に用いられる。
有機系イオン吸着剤としては、例えば、多孔質構造を有するスチレン-ジビニルベンゼン系合成吸着剤、メタクリル酸エステル系合成吸着剤、フェノール・ホルムアルデヒド系合成吸着剤等が挙げられる。市販品としては、芳香族系ダイヤイオンHP20、HP21、芳香族系セパビーズSP825L、SP850、SP700、芳香族系修飾型セパビーズSP207、芳香族系セパビーズSP70、メタクリル系ダイヤイオンHP20MG、ダイヤイオンCA08F、ダイヤイオンSCA04(以上、いずれも三菱ケミカル株式会社製)、ホクエツHS、ホクエツPF(以上、いずれも味の素ファインテクノ株式会社製)等が挙げられる。
無機系イオン吸着剤としては、例えば、炭素系、酸化物系、水酸化物系、および塩類等様々な種類が挙げられる。
炭素系イオン吸着剤としては、例えば、活性炭、木炭、竹炭、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、チタンブラック、アモルファス炭素若しくはカーボンナノチューブ等が挙げられる。
酸化物系イオン吸着剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、磁性酸化鉄、Al・xHOで表されるアルミナ(酸化アルミニウム)、シリカ(二酸化ケイ素)、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸カリウム、酸化セリウム、酸化アンチモン等が挙げられる。酸化物系イオン吸着剤は、複合酸化物系イオン吸着剤であってもよい。複合酸化物系イオン吸着剤としては、酸化マグネシウムと酸化アルミニウムまたは二酸化ケイ素を主構成成分とするものがある。具体的には、酸化マグネシウム-酸化アルミニウム複合酸化物の2.5MgO・Al・xHO、Mg0.7・Al0.31.15、酸化マグネシウム-酸化ナトリウム複合酸化物のAl・NaO・2CO・xHO、酸化マグネシウム-二酸化ケイ素複合酸化物の2MgO・6SiO・xHO、または酸化アルミニウム-二酸化ケイ素複合酸化物のAl・9SiOxHO等が挙げられる。さらにアルミノケイ酸塩であり、通称で天然ゼオライト、合成ゼオライト、ソーダライト類、天然モルデナイト、合成モルデナイト等のゼオライト類等が挙げられる。これらの複合酸化物系、酸化物は含水している場合もある。
その他、複合酸化物系イオン吸着剤としては、粘土鉱物のマイカ、合成マイカ、モンモリナイト、バーミキュライト、タルク、ゾノトライト、ドーソナイト、セリサイト、ガラスフレーク、クレー等が挙げられる。このような粘土鉱物は層状構造を有し、物理吸着と化学吸着による特異な吸着を行って、効率良くイオンを吸着することができるため、特に好ましい。
水酸化物系イオン吸着剤としては、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウム等が挙げられる。
塩類系イオン吸着剤としては、ホウ酸塩類、硫酸塩類、リン酸塩類、ケイ酸塩類、炭酸塩類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸塩類としては、ホウ酸、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、およびメタホウ酸ナトリウム等が挙げられる。また、硫酸塩類として、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、硫酸マグネシウム、および硫酸カルシウム等が挙げられる。リン酸塩類としては、リン酸ジルコニウム、リン酸ナトリウム等があげられる。ケイ酸塩類としては、MgSi1230(OH(OH)6~8HOを主成分とするセピオライト、SiO・nHOのシリカゲル、ウォラストナイト、シリカバルーン、ガラスバルーン、シラスバルーン、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。ケイ酸塩類は四面体を骨組みとして、特殊な結晶構造を持つ。独立型、複合型、環状、単鎖状、複鎖状、層状、網目状等があり、層状化合物であることが好ましい。
炭酸塩類としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸亜鉛、ベーマイト、ハイドロタルサイト、炭酸リチウム等が挙げられる。ハイドロタルサイトは、マグネシウムやアルミニウムを主成分とする層状化合物であり、具体的には、Mg4.3Al(OH)12.6CO・mHO、MgAl(OH)16CO・mHO、MgAl(OH)12CO・mHO、Mg4。5Al(OH)13CO・3.5HO、Mg3。5Zn0.5Al(OH)12CO・3HO等が挙げられる。市販品として、DHT-4A、DHT-4A-2、DHT-4C、キョーワード500、アルカマイザー、マグセラー(以上、いずれも協和化学工業株式会社製)等が挙げられる。
上記の中でも、高温高湿の環境条件でもITO基板との接触抵抗を安定的に維持できることを考慮すると、イオン吸着剤は、炭酸塩類であることが好ましく、ハイドロタルサイトであることがより好ましい。
イオン吸着剤の形状は、特に限定されず、例えば、粒状、球状、多面体状、異形、扁平状、針状など種々の形状のものを用いることができる。
イオン吸着剤の粒径は、特に限定されず、平均粒径が好ましくは0.01~10μmであり、より好ましくは0.1~7μmであり、さらに好ましくは0.1~5μmである。
イオン吸着剤の配合量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~50質量部であり、より好ましくは1~30質量部であり、さらに好ましくは5~20質量部である。イオン吸着剤の配合量が0.1質量部以上であれば、イオン吸着能が向上し、また、イオン吸着剤の配合量が50重量部以下であれば、製造された導電パターンの導電性への影響が小さくなる。
[光重合開始剤]
本発明の感光性導電樹脂組成物は、光重合させるために光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、公知のものを用いることができ、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤等が挙げられる。その中でも、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
オキシムエステル系光重合開始剤としては、市販品として、BASFジャパン株式会社製のCGI-325、イルガキュアー(登録商標)OXE01、イルガキュアーOXE02、株式会社ADEKA製N-1919、アデカアークルズ(登録商標)NCI-831などが挙げられる。
また、分子内に2個のオキシムエステル基を有する光重合開始剤も好適に用いることができ、具体的には、下記一般式(I)で表されるカルバゾール構造を有するオキシムエステル化合物が挙げられる。
Figure 0007019481000001
(式中、Xは、水素原子、炭素数1~17のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、フェニル基、フェニル基(炭素数1~17のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1~8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1~17のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1~8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換されている)を表し、Y、Zはそれぞれ、水素原子、炭素数1~17のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、ハロゲン基、フェニル基、フェニル基(炭素数1~17のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1~8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1~17のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1~8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換されている)、アンスリル基、ピリジル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基を表し、Arは、炭素数1~10のアルキレン、ビニレン、フェニレン、ビフェニレン、ピリジレン、ナフチレン、チオフェン、アントリレン、チエニレン、フリレン、2,5-ピロール-ジイル、4,4’-スチルベン-ジイル、4,2’-スチレン-ジイルを表し、nは0または1の整数である)
特に、上記式中、X、Yが、それぞれ、メチル基またはエチル基であり、Zがメチルまたはフェニルであり、nが0であり、Arが、フェニレン、ナフチレン、チオフェンまたはチエニレンであるオキシムエステル系光重合開始剤が好ましい。
好ましいカルバゾールオキシムエステル化合物として、下記一般式(II)で表すことができる化合物を挙げることもできる。
Figure 0007019481000002
(式中、Rは、炭素原子数1~4のアルキル基、または、ニトロ基、ハロゲン原子もしくは炭素原子数1~4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。
は、炭素原子数1~4のアルキル基、炭素原子数1~4のアルコキシ基、または、炭素原子数1~4のアルキル基もしくはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表す。
は、酸素原子または硫黄原子で連結されていてもよく、フェニル基で置換されていてもよい炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~4のアルコキシ基で置換されていてもよいベンジル基を表す。
は、ニトロ基、または、X-C(=O)-で表されるアシル基を表す。
は、炭素原子数1~4のアルキル基で置換されていてもよいアリール基、チエニル基、モルホリノ基、チオフェニル基、または、下記式(III)で示される構造を表す。)
Figure 0007019481000003
その他、特開2004-359639号公報、特開2005-097141号公報、特開2005-220097号公報、特開2006-160634号公報、特開2008-094770号公報、特表2008-509967号公報、特表2009-040762号公報、特開2011-80036号公報記載のカルバゾールオキシムエステル化合物等を挙げることができる。
オキシムエステル系光重合開始剤を使用する場合の配合量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01~10質量部とすることが好ましい。0.01質量部以上とすることにより、銅上での光硬化性がより確実となり、耐薬品性などの塗膜特性が向上する。また、10質量部以下にすると、ハレーション等が発生しにくく、解像性もより良好となる。より好ましくは、0.05~5質量部である。
上記した光重合開始剤と併用して、光開始助剤または増感剤を用いてもよい。光開始助剤または増感剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、およびキサントン化合物などを挙げることができる。特に、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物を用いることが好ましい。チオキサントン化合物が含まれることにより、深部硬化性を向上させることができる。市販品としては、チオキサントン化合物としてDETX、ITX(LAMBSON社製)などが挙げられる。これらの化合物は、光重合開始剤として用いることができる場合もあるが、光重合開始剤と併用して用いることが好ましい。また、光開始助剤または増感剤は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、これら光重合開始剤、光開始助剤、および増感剤は、特定の波長を吸収するため、場合によっては感度が低くなり、紫外線吸収剤として機能することがある。しかしながら、これらは組成物の感度を向上させることだけの目的に用いられるものではない。必要に応じて特定の波長の光を吸収させて、表面の光反応性を高め、レジストのライン形状および開口を垂直、テーパー状、逆テーパー状に変化させるとともに、ライン幅や開口径の加工精度を向上させることができる。
[他の成分]
感光性導電樹脂組成物には、必要に応じてさらに、難燃剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、分散剤、表面調整剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。また、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤およびレベリング剤の少なくともいずれか1種、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、防錆剤、蛍光増白剤などのような公知慣用の添加剤類の少なくとも何れか一種を配合することができる。
本発明においては、感光性導電樹脂組成物の調製や粘度調整のため、有機溶剤を使用することができる。このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などを挙げることができる。より詳細には、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン、ソルベッソ150等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(カルビトールアセテート)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などを挙げることができる。このような有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いてもよい。
[導電回路の製造方法]
本発明においては、上記の感光性導電樹脂組成物を用いて、導電回路を製造することができる。例えば、まずは、上記の感光性導電樹脂組成物の各成分を混合することにより調製され、攪拌機等による攪拌の後、3本ロールミルなどにより練肉して樹脂組成物化する。
このようにして調製された感光性導電樹脂組成物は、スクリーン印刷法、バーコーダー、ブレードコーターなど適宜の塗布方法で基材に塗布し、塗膜を形成する。基材としては、耐熱性のない樹脂製の基材を使用することができる。具体的には、樹脂製の基材としては、例えば、ポリイミド、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)等を挙げることができ、好適には、ポリエステル系樹脂を用いることができる。なお、ガラス基板等でもよい。
次いで、得られた塗膜を、指触乾燥性を得るために熱風循環式乾燥炉、遠赤外線乾燥炉などで例えば約70~120℃で5~40分程度乾燥させ、タックフリーの塗膜(乾燥塗膜)を形成する。
その後、得られた乾燥塗膜に対し、選択的露光を行う。選択的露光としては、所定の露光パターンを有するネガマスクを用いた接触露光および非接触露光が可能である。露光光源としては、例えばハロゲンランプ、高圧水銀灯、レーザー光、メタルハライドランプ、ブラックランプ、無電極ランプなどが使用される。露光量としては10~700mJ/cm程度が好ましい。
続いて、選択的露光後の塗膜に対し、現像を行う。現像にはスプレー法、浸漬法などが用いられる。現像液としては、感光性導電樹脂組成物中に含まれるカルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基がケン化され、未硬化部(未露光部)を除去することができればよく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム等の金属アルカリ水溶液や、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン水溶液、特に約1.5質量%以下の濃度の希アルカリ水溶液が好適に用いられる。また、現像後に不要な現像液の除去のため、水洗や酸中和を行うことが好ましい。
その後、現像により所望の回路パターンが形成された基板を、80~300℃で5~60分乾燥、または硬化させることで基材上に所望の導電回路を形成することができる。
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
(合成例1)
<カルボキシル基含有樹脂ワニス1の合成>
下記一般式(IV)においてXがCH、平均の重合度nが6.2であるビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量950g/eq、軟化点85℃)380部とエピクロルヒドリン925部をジメチルスルホキシド462.5部に溶解させた後、攪拌下70℃で98.5%NaOH60.9部を100分かけて添加した。添加後さらに70℃で3時間反応を行った。反応終了後、水250部を加え水洗を行った。油水分離後、油層よりジメチルスルホキシドの大半および過剰の未反応エピクロルヒドリンを減圧下に蒸留回収し、残留した副製塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物をメチルイソブチルケトン750部に溶解させ、更に30%NaOH10部を加え、70℃で1時間反応させた。反応終了後、水200部で2回水洗を行った。油水分離後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量310g/eq、軟化点69℃のエポキシ樹脂(a)を得た。得られたエポキシ樹脂(a)は、エポキシ当量から計算すると、前記出発物質ビスフェノールF型エポキシ樹脂におけるアルコール性水酸基6.2個のうち約5個がエポキシ化されたものであった。このエポキシ樹脂(a)310部およびカルビトールアセテート282部をフラスコに仕込み、90℃に加熱・攪拌し、溶解した。得られた溶液を一旦60℃まで冷却し、アクリル酸72部(1モル)、メチルハイドロキノン0.5部、トリフェニルホスフィン2部を加え、100℃に加熱し、約60時間反応させ、酸価が0.2mgKOH/gの反応物を得た。これにテトラヒドロ無水フタル酸140部(0.92モル)を加え、90℃に加熱し、反応を行い、感光性のカルボキシル基含有樹脂ワニス1を得た。得られたカルボキシル基含有樹脂ワニス1の固形分濃度は62.5%、固形分酸価(mgKOH/g)は100であった。
Figure 0007019481000004
(式中、XはCHを表し、nは1~12である。)
(合成例2)
<カルボキシル基含有樹脂ワニス2の合成>
攪拌装置、還流管をつけた2Lフラスコ中に、分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物として、2官能ビスフェノール-A型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製RE-310S、エポキシ当量:183.5g/当量)を367.0部、エチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物としてアクリル酸(分子量:72.06)を144.1部、熱重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテルを1.02部および反応触媒としてトリフェニルフォスフィンを1.53部仕込み、98℃の温度で反応液の酸価が0.5mgKOH/g以下になるまで反応させ、エポキシカルボキシレート化合物(理論分子量:511.1)を得た。次いで、この反応液に反応用溶媒としてカルビトールアセテートを445.93部、熱重合禁止剤として2-メチルハイドロキノンを0.70部、カルボキシル基を有するジオール化合物としてジメチロールプロピオン酸(分子量:134.1)を118.8部加え、60℃に昇温させた。この溶液にジイソシアネート化合物としてイソホロンジイソシアネート(分子量:222.29)209.6部を反応温度が65℃を超えないように徐々に滴下した。滴下終了後、温度を80℃に上昇させ、赤外吸収スペクトル測定法により、2250cm-1付近の吸収がなくなるまで6時間反応させた。この溶液に、多塩基酸無水物として無水コハク酸(分子量:100.1)36.7部、カルビトールアセテート43.0部を添加した。添加後、温度を95℃に昇温し、6時間反応させ、感光性のカルボキシル基含有樹脂ワニス2を得た。得られたカルボキシル基含有樹脂ワニス2の固形分濃度は65%、固形分酸価(mgKOH/g)は102であった。
(合成例3)
<カルボキシル基含有樹脂ワニス3の合成>
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、登録商標“エピクロン”N-695、エポキシ当量:220)220部を撹拌機および還流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、カルビトールアセテート214部を加え、加熱溶解した。次に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1部と、反応触媒としてジメチルベンジルアミン2.0部を加えた。この混合物を95~105℃に加熱し、アクリル酸72部を徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物を80~90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物106部を加え、8時間反応させ、冷却後、取り出し、感光性のカルボキシル基含有樹脂ワニス3を得た。得られたカルボキシル基含有樹脂ワニス3の固形分濃度は65%、固形物酸価(mgKOH/g)は100であった。
<感光性導電樹脂組成物の調製>
[実施例1]
カルボキシル基含有樹脂、熱硬化性樹脂、導電フィラー、イオン吸着剤、光重合開始剤、添加剤、および有機溶剤(非反応性希釈剤)等を表1に示す割合(質量部)にて配合した後、攪拌機にて予備混合した後3本ロールミルで混練して、感光性導電樹脂組成物1を調製した。
[実施例2~14]
各成分の配合を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、感光性導電樹脂組成物2~14を調製した。
[比較例1~4]
各成分の配合を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、感光性導電樹脂組成物15~18を調製した。
Figure 0007019481000005
<評価基板の作製>
上記の実施例および比較例で調製した感光性導電樹脂組成物1~18を、PETフィルム基板(東レ株式会社製)およびITOが塗布されたPETフィルム基板(日東電工株式会社製)上にテトロン380メッシュカレンダー版のスクリーンを用いて、乾燥後の塗膜の膜厚が5μmになるように全面に塗布した。続いて、熱風循環式乾燥炉にて、80℃で30分間乾燥して、乾燥塗膜を形成した。この基板に高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて、最適露光量でネガマスク越しに露光して、30℃の0.15質量%炭酸カリウム水溶液をスプレー圧0.2MPaの条件で30秒間現像を行い、水洗した。
この基板を熱風循環式乾燥炉にて、140℃で1時間加熱して硬化した。得られた評価基板に対して下記の評価を行った。
<導電性評価>
上記作製方法で作製した評価基板(ITO付きPETフィルム基板、導電性パターンのライン幅:100μm、ライン長さ:60mm、図1参照)のパターンの端部を表面抵抗計でつなぎ、表面抵抗値を測定し、下記数式(1)により比抵抗率を算出した。
比抵抗率=表面抵抗値×膜厚×線幅/ライン長・・・(1)
以下の基準にて導電性を評価し、評価結果を表2に示した。
[評価基準]
○:比抵抗率1.0×10-5 Ω・cm未満であった。
△:比抵抗率1.0×10-5 Ω・cm以上1.0×10-2 Ω・cm未満であった。
×:比抵抗率1.0×10-2 Ω・cm以上であった。
<密着性評価>
上記で作製した評価基板(PETフィルム基板およびITO付きPETフィルム基板)に対して、それぞれ1mm幅で10×10の碁盤目状にカッターで切れ目を入れた。碁盤目状の箇所にJIS Z 1522:2009に規定するセロハン粘着テープ(粘着力1.8N/10mm以上、ニチバン株式会社製セロテープ)を貼着して剥がし、残存マス数を測定した。測定結果(密着性1:PETフィルム基板、密着性2:ITO付きPETフィルム基板)を表2に示した。
<増粘性評価>
上記の実施例および比較例で調製した感光性導電樹脂組成物1~18について、コーンプレート型粘度計を用いて、粘度を測定した。5rpm値30秒値を粘度として採用した。室温で放置し、24時間後に粘度を測定した。下記数式(2)により増粘率を算出した。
増粘率=(24時間後の粘度-初期粘度)/初期粘度×100・・・(2)。
以下の基準にて増粘率を評価し、評価結果を表2に示した。
[評価基準]
○:増粘率10%未満であった。
△:増粘率10%以上50%未満であった。
×:増粘率50%以上であった。
<接触抵抗評価>
上記作製方法で作製した評価基板(ITO付きPETフィルム基板、図2参照)について、初期抵抗値を測定した後、85℃、85%RHの恒温恒湿槽IH-42M(ヤマト科学株式会社製)内で500時間保管した。保管後抵抗値を測定し、下記数式(3)に基づいて接触抵抗変化率を算出した。
抵抗変化率=保管後抵抗値(500時間後)/初期抵抗値 ・・・ (3)
以下の基準にて抵抗変化率を評価し、評価結果を表2に示した。
[評価基準]
○:変化率1.2未満であった。
△:変化率1.2以上1.5未満であった。
×:変化率1.5以上であった。
<総合判定>
上記の性能評価に対して以下の基準にて総合判定し、結果を表2に示した。
[評価基準]
A:感光性導電樹脂組成物は保存安定性に優れ、硬化物は、導電性や基板との密着性に優れ、かつ、高温高湿の環境条件でも接触抵抗を安定的に維持できた。
B:感光性導電樹脂組成物の保存安定性、硬化物の導電性、密着性、接触抵抗のいずれかが多少劣っているが、実用上は問題無かった。
C:感光性導電樹脂組成物の保存安定性、硬化物の導電性、密着性、接触抵抗のいずれかが非常に劣っており、実用上に問題があった。
Figure 0007019481000006
11:透明電極(ITO)層付きPETフィルム基板
12:導電層
21:透明電極(ITO)層
22:導電層
23:PETフィルム基板

Claims (4)

  1. カルボキシル基含有樹脂、熱硬化性樹脂、導電フィラー、およびイオン吸着剤を含み、前記熱硬化性樹脂が、ブロックイソシアネート化合物を含み、前記イオン吸着剤が、炭酸塩であることを特徴とする、感光性導電樹脂組成物。
  2. 前記イオン吸着剤が、層状構造を有する、請求項1記載の感光性導電樹脂組成物。
  3. 前記イオン吸着剤が、ハイドロタルサイトである、請求項1または2に記載の感光性導電樹脂組成物。
  4. 請求項1~のいずれか一項に記載の感光性導電樹脂組成物を硬化させて得られることを特徴とする、硬化物。
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