JP2016194563A - 導電性樹脂組成物及び導電回路 - Google Patents

導電性樹脂組成物及び導電回路 Download PDF

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Migaku Nagano
琢 永野
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Nobuyuki Yanagida
伸行 柳田
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伸一郎 和泉
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義和 大胡
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秀之 伊藤
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Abstract

【課題】 高精細な導電回路に要求される低抵抗及び密着性を満たしつつ、現像残渣の発生を抑制し、且つ、優れた解像性を有する微細な導電回路を形成することが可能な導電性樹脂組成物及びそれを用いて形成された導電回路を提供すること。【解決手段】 カルボキシル基含有樹脂、導電性粉末、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマー、光重合開始剤、及び、熱硬化性成分を含有する導電性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、薄型タッチパネルディスプレイなどに有用な導電回路の形成に好適な導電性樹脂組成物、及び、それを用いて形成された導電回路に関するものである。
近年、タッチパネルディスプレイ等において、小型化、高密度化、高精細化等の要求が高まっており、これらに形成される回路や電極等のファイン化が従来にも増して求められるようになってきている。
このような要求に対し、導電回路を形成するための導電ペーストを用い、さらにパターン印刷法に比べ導電回路の高精細化等が可能であるフォトリソグラフィ法が好適である(例えば、特許文献1〜6を参照)。
特開2014−101412号公報 特開2013−137511号公報 特開2013−136727号公報 国際公開第2010/113287号公報 特開2014−167090号公報 特開2015−026013号公報
しかしながら、タッチパネルディスプレイの額縁(ベゼル)の狭小化により、特に額縁(ベゼル)に形成される導電回路のピッチのさらなる高精細化が求められており、従来の導電ペーストでは解像性が十分ではなかった。また、フォトリソグラフィ技術である現像工程において現像残渣が生じるという問題もあった。
本発明は、このような実情に鑑み開発されたものであり、高精細な導電回路に要求される低抵抗及び密着性を満たしつつ、現像残渣の発生を抑制し、且つ、優れた解像性を有する微細な導電回路を形成することが可能な導電性樹脂組成物及びそれを用いて形成された導電回路を提供することを課題とする。
本発明は、一態様において、以下の通りである。
[1]
カルボキシル基含有樹脂、導電性粉末、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマー、光重合開始剤、及び、熱硬化性成分を含有する導電性樹脂組成物。
[2]
前記カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーの酸価が5〜200mgKOH/gの範囲である、[1]に記載の導電性樹脂組成物。
[3]
前記カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーは、下記一般式(I)で表される化合物である、[1]又は[2]に記載の導電性樹脂組成物。
式中、
nは、0〜4の整数であり、
Rは、各々独立に、水素原子またはメチル基であり、
は、−O−基、−(O−CHCHn1−O−基(但し、n1は0〜8の整数)、−(O−CHCHCHn2−O−基(但し、n2は0〜8の整数)であり、
は、単結合、アルキレン基、アルケニレン基、フェニレン基、シクロアルキレン基及びシクロアルケニレン基よりなる群から選ばれる基である。
[4]
前記熱硬化性成分がブロックイソシアネートである、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。
[5]
前記導電性粉末の平均粒径が0.1〜10μmである、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。
[6]
[1]〜[5]のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物を用いて形成された導電回路。
本発明によれば、高精細な導電回路に要求される抵抗性及び密着性を満たしつつ、現像残渣の発生を抑制し、且つ、優れた解像性を有する高精細の導電回路を形成することが可能な導電性樹脂組成物、及び、それを用いて形成された導電回路を提供することが可能となった。
またNaCO濃度が0.2質量%程度の希アルカリ現像液を用いて現像した場合にも、現像残渣を発生することなく導電回路を形成することが可能な導電性樹脂組成物、及び、それを用いて形成された導電回路を提供することが可能となった。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の導電性樹脂組成物は、カルボキシル基含有樹脂、導電性粉末、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマー、光重合開始剤、及び、熱硬化性成分を含有する。
以下、任意成分も含めて本発明の導電性樹脂組成物に含有され得る各成分について説明する。
<カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマー>
本発明の導電性樹脂組成物は、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーを含有することを第一の特徴とする。
本発明者等による鋭意研究の結果、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーを使用することにより、例えば、NaCO濃度が0.2質量%程度の希アルカリ現像液を用いて現像した場合にも、現像残渣の発生が抑制され、また、解像性も改善されることがわかった。これは、構造中にカルボキシル基を含む(メタ)アクリレートモノマーを用いることにより、未露光領域でのアルカリ現像液による現像性が促進されるため、現像残渣が大幅に改善されたと推測される。また、希アルカリ水溶液で現像されるため、露光部に対するダメージが少ない状態で画像形成することが可能となり、更に、露光領域と未露光領域におけるアルカリ現像液に対する溶解コントラストが高まる結果、解像性が改良されたと推測される。
ここで、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレート、もしくはアクリレート及びメタクリレートの混合物を総称する用途であり、他の類似の表現についても同様である。
カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーは、一形態において、酸価が5〜200mgKOH/gであることが好ましく、10〜180mgKOH/gであることがより好ましく、20〜150mgKOH/gであることがさらに好ましい。酸価を5mgKOH/g未満とすることにより、現像液に対する溶解性が低くなり、現像性が低下する場合がある。また、酸価が200mgKOH/gを超えると、現像液に対する溶解性が向上しすぎ、解像性の低下につながる場合がある。
本発明の一形態において、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーは、下記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。
式中、
nは、0〜4の整数であり、
Rは、各々独立に、水素原子またはメチル基であり、
は、−O−基、−(O−CHCHn1−O−基(但し、n1は0〜8の整数)、−(O−CHCHCHn2−O−基(但し、n2は0〜8の整数)であり、
は、単結合、アルキレン基、アルケニレン基、フェニレン基、シクロアルキレン基及びシクロアルケニレン基よりなる群から選ばれる基である。
一般式(I)において、Lとしてのアルキレン基は、直鎖及び分岐鎖のいずれであってもよい。Lとしてのアルキレン基は、炭素数0〜8のアルキレン基であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられる。アルキレン基としては、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましい。
としてのアルケニレン基は、直鎖および分枝鎖のいずれであってもよい。Lとしてのアルケニレン基は、炭素数2〜8のアルケニレン基であることが好ましく、例えばビニル基、1−メチリデン−エチレン基(−C(=CH2)CH2−)などが挙げられる。
としてのシクロアルキレン基は、例えば、シクロヘキシレン基などが挙げられる。
としてのシクロアルケニレン基は、例えば、シクロヘキセニレン基などが挙げられる。
また、Lとしてのフェニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基は、置換基を有していてもよく、この置換基としては、例えばメチル基、エチル基などの炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基などが挙げられる。
そして、基Lは、炭素数1〜4のアルキレン基であること好ましく、メチレン基又はエチレン基であることがより好ましい。
一般式(I)で表される化合物の好ましい一例として、nが1であり、Rが水素原子であり(より好ましくは、すべてのRが水素原子)、Lが−O−基であり、Lがエチレン基である化合物が挙げられる。
カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーの分子量は、例えば、100〜5000であることが好ましく、300〜3000であることがより好ましい。
本発明の導電性樹脂組成物は、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーを、1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有していてもよい。
本発明の導電性樹脂組成物中におけるカルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーの含有率は、固形分換算で、後述するカルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、5〜100質量部であることが好ましく、10〜80質量部の範囲であることがより好ましい。含有率がこの範囲内であることは、塗膜のタック性や、導電回路形成などの観点から好ましい。
<第二のモノマー>
本発明の導電性樹脂組成物は、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマー以外のモノマー(以下、「第二のモノマー」という。)を更に含有していてもよい。この第二のモノマーとしては、例えば、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコール又はこれらのエチレオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε−カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、及びこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;前記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類、メラミンアクリレート、及び前記アクリレートに対応する各メタクリレート類のうちから選ばれる少なくともいずれか一種などが挙げられる。
さらに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物などを反応性希釈剤として用いてもよい。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる。
<カルボキシル基含有樹脂>
カルボキシル基含有樹脂としては、分子中にカルボキシル基を含有している公知慣用の樹脂化合物を使用できる。
カルボキシル基含有樹脂としては、炭素−炭素二重結合を含むカルボキシル基含有感光性樹脂でもよいが、炭素−炭素二重結合を含まないカルボキシル基含有樹脂が好ましい。二重結合を含まないカルボキシル基含有樹脂は、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーや任意成分である第二のモノマーと反応しないため、分子間結合が形成されない。そのため、カルボキシル基含有樹脂は、分子量が大きくならないので、現像時に容易に除去される。その結果、導電性粉末が密になり、導電回路の抵抗値を下げることができる。また、カルボキシル基含有樹脂としては、芳香環を含むカルボキシル基含有感光性樹脂でもよいが、芳香環を含まないカルボキシル基含有樹脂が好ましい。芳香環を含まない構造とすることにより、カルボキシル基含有樹脂自体の光吸収を抑え、相対的に(メタ)アクリレートモノマーの光反応性を向上できることより、硬化収縮が促進される。その結果、導電性粉末が密になり、導電回路の比抵抗を下げることができる。
カルボキシル基含有樹脂の具体例を下記に列挙する。
(1)(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物の1種類以上と共重合することにより得られるカルボキシル基含有樹脂、
(2)無水マレイン酸などの不飽和二重結合を有する酸無水物と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物とを共重合することにより得られるカルボキシル基含有樹脂、
(3)不飽和二重結合を有する酸無水物と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、水酸基を有する化合物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂、
(4)エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物と不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、飽和カルボン酸を反応させ、生成した2級の水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(5)水酸基含有ポリマーに多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂、
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
上記のようなカルボキシル基含有樹脂は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数の遊離のカルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液による現像が可能になる。
また、上記カルボキシル基含有樹脂の酸価は、40〜200mgKOH/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは45〜120mgKOH/gの範囲である。カルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g以上であることは、現像性の観点から好ましい。一方、200mgKOH/g以下であることは、現像液により露光部が溶解してラインが必定以上に痩せたり、露光部と未露光部の溶解コントラストが悪化することを防止する観点から好ましい。
また、上記カルボキシル基含有樹脂の質量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000、さらには5,000〜100,000の範囲にあるものが好ましい。質量平均分子量が2,000以上であることは、タックフリー性能、解像性などの観点から好ましい。一方、質量平均分子量が150,000以下であることは、現像性、貯蔵安定性などの観点から好ましい。
導電性樹脂組成物中におけるカルボキシル基含有樹脂の含有率は、導電性樹脂組成物中の全固形分質量を基準として、好ましくは3〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。カルボキシル基含有樹脂の含有率が3質量%以上であることは、導電回路の強度の観点から好ましい。一方、カルボキシル基含有樹脂の含有率が50質量%以下であることは、粘性や塗布性の観点から好ましい。
<導電性粉末>
導電性粉末の材質は、本発明の導電性樹脂組成物に導電性を付与するものであればいかなるものでも用いることができる。このような導電性粉末としては、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Cu、Al、Sn、Pb、Zn、Fe、Ir、Os、Rh、W、Mo、Ru等を挙げることができ、これらの中でもAgが好ましい。これらの導電性粉末は、上記成分単体の形態で用いてもよいが、合金や、酸化物の形態で用いてもよい。さらに、酸化錫(SnO2)、酸化インジウム(In23)、ITO(Indium Tin Oxide)などを用いることもできる。なお、導電性粉末としては、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブなどの炭素粉でもよい。ただし、光透過性が低下するため、注意を要する。
導電性粉末の形状は、特に制限されないが、フレーク状以外であること、特に針状、又は球状であることが好ましい。このことにより、光透過性が向上し、解像性の優れた導電回路を形成できる。
このような導電性粉末は、微細なラインを形成するために、最大粒径が30μm以下であることが好ましい。最大粒径を30μm以下とすることにより、導電回路の解像性が向上する。
また、導電性粉末は、電子顕微鏡(SEM)を用いて10,000倍にて観察したランダムな10個の導電性粉末の平均粒径で、その範囲が0.1〜10μm以下であることが好ましい。平均粒径が0.1μm以上であることは、導電性の観点から好ましい。一方、平均粒径が10μm以下であることは、スクリーンの目詰まりを防止する観点から好ましい。なお、マイクロトラックによって測定した平均粒径では、0.5〜3.5μmの大きさのものを用いることが好ましい。
本発明の導電性樹脂組成物中における導電性粉末の含有率は、導電性樹脂組成物中の全固形分質量を基準として、75〜90質量%の範囲であることが好ましい。導電性粉末の含有率が75質量%以上であることは、導電性の観点から好ましい。一方、導電性粉末の含有率が90質量%以下であることは、光の透過性の観点から好ましい。
<光重合開始剤>
光重合開始剤としては、特に限定されず、オキシムエステル系、アセトフェノン系、ベンゾイン系、フォスフィンオキサイド系のいずれも使用することができる。
本発明の一形態において、光重合開始剤は、下記一般式(V)で表される基を有するオキシムエステル系重合開始剤、又は、下記一般式(VI)で表される基を有するアセトフェノン系光重合開始剤であることが好ましい。
一般式(V)中、R6は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基を表わし、R7は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
一般式(VI)中、R8及びR9は、各々独立に、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリールアルキル基を表わし、R10及びR11は、各々独立に、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表わす。あるいは、R10とR11が結合して式中の窒素原子と共に環を形成していてもよく、この環にはエーテル結合を含んでいてもよい。具体的な例として、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1や2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等が挙げられる。
前記オキシムエステル系光重合開始剤の中でも、BASFジャパン(株)社製のCGI−325、IRGACURE OXE01、IRGACURE OXE02、ADEKA社製のN−1919、NCI−831、(株)日本化学工業社製のTOE−004等が好ましい。また、光重合開始剤としては、IRGACURE 369又は、IRGACURE 379EGでもよい。なお、これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記一般式(VI)で表される基を有するアセトフェノン系光重合開始剤としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、BASFジャパン社製のIRGACURE 907、IRGACURE 369、IRGACURE 379EGなどが挙げられる。
このような光重合開始剤の配合率は、特に限定されないが、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜30質量部であり、より好ましくは0.5〜15質量部の範囲である。光重合開始剤の配合率が0.01質量部以上であることは、光硬化性や耐薬品性などの観点から好ましい。一方、30質量部以下であることは、光重合開始剤による導電回路表面での光吸収を制御し、深部硬化性を改善する観点から好ましい。
<熱硬化性成分>
本発明の導電性樹脂組成物は、熱硬化性成分を含有する。本発明に用いられる熱硬化性成分としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などのアミン樹脂、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、メラミン誘導体などの公知慣用の熱硬化性樹脂が使用できる。本発明の一形態において、分子中に2個以上の環状エーテル基及び環状チオエーテル基のうちから選ばれる少なくともいずれか1種(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)を有する熱硬化性成分が好ましい。
このような分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分は、分子中に3、4又は5員環の環状エーテル基、又は環状チオエーテル基のいずれか一方又は2種類の基を2個以上有する化合物であり、例えば、分子内に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、分子内に少なくとも2つ以上のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子内に2個以上のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂などが挙げられる。
前記多官能エポキシ化合物としては、例えば、三菱化学社製のJER828、JER834、JER1001、JER1004、DIC社製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、東都化成社製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、旭チバ社のアラルダイド6071、アラルダイド6084、アラルダイドGY250、アラルダイドGY260、住友化学工業社製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成工業社製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学社製のJERYL903、DIC社製のエピクロン152、エピクロン165、東都化成社製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル社製のD.E.R.542、旭チバ社製のアラルダイド8011、住友化学工業社製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、旭化成工業社製のA.E.R.711、A.E.R.714等(何れも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;三菱化学社製のJER152、JER154、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC社製のエピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865、東都化成社製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、BASFジャパン社製のアラルダイドECN1235、アラルダイドECN1273、アラルダイドECN1299、アラルダイドXPY307、日本化薬社製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、住友化学工業社製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成工業社製のA.E.R.ECN−235、ECN−299等(何れも商品名)のノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製のエピクロン830、三菱化学社製JER807、東都化成社製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004、BASFジャパン社製のアラルダイドXPY306等(何れも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成社製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学社製のJER604、東都化成社製のエポトートYH−434、旭チバ社製のアラルダイドMY720、住友化学工業社製のスミ−エポキシELM−120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;旭チバジャパン社製のアラルダイドCY−350(商品名)等のヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、旭チバ社製のアラルダイドCY175、CY179等(何れも商品名)の脂環式エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL−933、ダウケミカル社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;日本化薬社製EBPS−200、旭電化工業社製EPX−30、DIC社製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱化学社製のJER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱化学社製のJERYL−931、旭チバ社製のアラルダイド163等(何れも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;旭チバ社製のアラルダイドPT810、日産化学工業社製のTEPIC等(何れも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂社製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;東都化成社製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鉄化学社製ESN−190、ESN−360、DIC社製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC社製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂社製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えばダイセル化学工業製PB−3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば東都化成社製のYR−102、YR−450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にノボラック型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はそれらの混合物が好ましい。
前記多官能オキセタン化合物としては、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマー又は共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、又はシルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物などが挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
前記分子中に2個以上の環状チオエーテル基を有する化合物としては、例えば、三菱化学社製のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂 YL7000などが挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
また、本発明の導電性樹脂組成物には、導電性樹脂組成物の硬化性及び得られる硬化膜の強靭性を向上させるために1分子内に2個以上のイソシアネート基、又はブロック化イソシアネート基を有する化合物を加えることができる。このような1分子内に2個以上のイソシアネート基、又はブロック化イソシアネート基を有する化合物は、1分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物、すなわちポリイソシアネート化合物、又は1分子内に2個以上のブロック化イソシアネート基を有する化合物、すなわちブロックイソシアネート化合物などが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートが用いられる。芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート及び2,4−トリレンダイマーが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)及びイソホロンジイソシアネートが挙げられる。脂環式ポリイソシアネートの具体例としてはビシクロヘプタントリイソシアネートが挙げられる。並びに先に挙げられたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体及びイソシアヌレート体が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物に含まれるブロック化イソシアネート基は、イソシアネート基がブロック剤との反応により保護されて一時的に不活性化された基である。所定温度に加熱されたときにそのブロック剤が解離してイソシアネート基が生成する。
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物が用いられる。ブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、イソシアヌレート型、ビウレット型、アダクト型等が挙げられる。このイソシアネート化合物としては、例えば、上記と同様の芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートが用いられる。
イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノール及びエチルフェノール等のフェノール系ブロック剤;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム及びβ−プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;アセト酢酸エチル及びアセチルアセトンなどの活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチル及び乳酸エチル等のアルコール系ブロック剤;ホルムアルデヒドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミド及びマレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;キシリジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアミン系ブロック剤;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤;メチレンイミン及びプロピレンイミン等のイミン系ブロック剤等が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物は市販のものであってもよく、例えば、7950、7951、7960、7961、7982、7990、7991、7992(以上、Baxenden社製、商品名)スミジュールBL−3175、BL−4165、BL−1100、BL−1265 、デスモジュールTPLS−2957 、TPLS−2062、TPLS−2078、TPLS−2117、デスモサーム2170、デスモサーム2265( 以上、住友バイエルウレタン社製、商品名)、コロネート2512、コロネート2513、コロネート2520( 以上、日本ポリウレタン工業社製、商品名)、B−830、B−815、B−846、B−870、B−874、B−882(三井武田ケミカル社製、商品名)、TPA−B80E、17B−60PX、E402−B80T、MF−B60B、MF−K60B、SBN−70D(旭化成ケミカルズ社製、商品名)、カレンズMOI−BM(昭和電工社製、商品名)等が挙げられる。なお、スミジュールBL−3175、BL−4265はブロック剤としてメチルエチルオキシムを用いて得られるものである。
上記の1分子内に2個以上のイソシアネート基、又はブロック化イソシアネート基を有する化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような1分子内に2個以上のイソシアネート基、又はブロック化イソシアネート基を有する化合物の配合率は、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、1〜100質量部、より好ましくは、2〜70質量部の割合が適当である。前記配合率が、1質量部以上であることは、塗膜の強靭性の観点から好ましい。一方、100質量部以下であることは保存安定性の観点から好ましい。
本発明の導電性樹脂組成物は、本発明の効果を更に向上させるために、或いは本発明の効果を阻害しない範囲で更に別の効果を発揮させるために、上述した成分とともに、以下に例示する他の成分を含むことができる。
<有機酸>
有機酸としては、芳香環を持たない有機酸が好ましい。芳香環を持たない有機酸を配合することにより、有機酸自体の光吸収性が抑制され、相対的に4官能基のアクリレートモノマーの光反応性が向上し、優れた解像性を得ることができる。
有機酸の具体的な例としては、2,2’−チオ二酢酸、アジピン酸、イソ酪酸、ギ酸、クエン酸、グルタル酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、酪酸、リンゴ酸、サリチル酸、安息香酸、フェニル酢酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボン酸類; 亜リン酸ジブチル、亜リン酸ブチル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸メチル、亜リン酸ジプロピル、亜リン酸プロピル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジイソプロピル、亜リン酸イソプロピル、亜リン酸−n−メチル−2−エチルヘキシルなどの亜リン酸のモノ又はジエステル類;リン酸ジブチル、リン酸ブチル、リン酸ジメチル、リン酸メチル、リン酸ジプロピル、リン酸プロピル、リン酸ジフェニル、リン酸フェニル、リン酸ジイソプロピル、リン酸イソプロピル、リン酸−n−ブチル−2−エチルヘキシルなどのリン酸のモノ又はジ エステル類などを挙げることができる。有機酸としては、2,2’−チオ二酢酸が好ましい。
上記有機酸の配合量としては、前記導電性粉末100質量部に対し、0.1〜5質量部の範囲であることが好ましい。前記有機酸の配合量が前記導電性粉末100質量部に対し、0.1質量部未満の場合、前記導電性粉末とカルボキシル基含有樹脂との反応が起き、長期保存安定性を低下させ、一方、前記配合量が5質量部を超えた場合、空気中の水分等を吸湿しやすくなるので好ましくない。
(分散剤)
分散剤を配合することで、導電性樹脂組成物の分散性、沈降性を改善することができる。
分散剤としては、例えば、ANTI−TERRA−U、ANTI−TERRA−U100、ANTI−TERRA−204、ANTI−TERRA−205、DISPERBYK−101、DISPERBYK−102、DISPERBYK−103、DISPERBYK−106、DISPERBYK−108、DISPERBYK−109、DISPERBYK−110、DISPERBYK−111、DISPERBYK−112、DISPERBYK−116、DISPERBYK−130、DISPERBYK−140、DISPERBYK−142、DISPERBYK−145、DISPERBYK−161、DISPERBYK−162、DISPERBYK−163、DISPERBYK−164、DISPERBYK−166、DISPERBYK−167、DISPERBYK−168、DISPERBYK−170、DISPERBYK−171、DISPERBYK−174、DISPERBYK−180、DISPERBYK−182、DISPERBYK−183、DISPERBYK−185、DISPERBYK−184、DISPERBYK−191、DISPERBYK−192、DISPERBYK−2000、DISPERBYK−2001、DISPERBYK−2009、DISPERBYK−2020、DISPERBYK−2025、DISPERBYK−2050、DISPERBYK−2070、DISPERBYK−2095、DISPERBYK−2096、DISPERBYK−2150、BYK−P104、BYK−P104S、BYK−P105、BYK−9076、BYK−9077、BYK−220S(ビックケミー・ジャパン株式会社製)、ディスパロン2150、ディスパロン1210、ディスパロンKS−860、ディスパロンKS−873N、ディスパロン7004、ディスパロン1830、ディスパロン1860、ディスパロン1850、ディスパロンDA−400N、ディスパロンPW−36、ディスパロンDA−703−50(楠本化成株式会社製)、フローレンG−450、フローレンG−600、フローレンG−820、フローレンG−700、フローレンDOPA−44、フローレンDOPA−17(共栄社化学株式会社製)が挙げられる。
分散剤の含有率は、上記の目的を有効に達成するために、導電性粉末100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
<光重合禁止剤>
光重合禁止剤を添加することで、露光による導電性樹脂組成物内部でおこるラジカル重合の内、重合禁止剤の種類およびその添加量に応じた一定量のラジカル重合を抑制できる。これにより散乱光のような弱い光に対しての光反応を抑制することができる。よって、より微細な導電回路のラインをシャープに形成することができるため、好ましく用いることができる。光重合禁止剤は、光重合禁止剤として使用できるものであれば特に制限はなく、例えば、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、ジ−t−ブチル・パラクレゾール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトール、アセトアニジンアセテート、ヒドラジン塩酸塩、トリメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、キノンジオキシム、ピロガロール、タンニン酸、レゾルミン、クペロン、フェノチアジンなどが挙げられる。
光重合禁止剤の添加量は、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜3質量部、より好ましくは0.01〜2質量部の範囲内である。この範囲より少なければ重合禁止の効果が発揮されず、光散乱による低い露光量でも硬化し、ライン形状の太りが起こりやすい。また、この範囲より多くなると感度が低下し、多くの露光量を必要とするので注意を要する。
<フィラー>
本発明の導電性樹脂組成物には、その塗膜の物理的強度等を上げるために、必要に応じて、フィラーを配合することができる。このようなフィラーとしては、公知慣用の無機又は有機フィラーが使用できるが、特に硫酸バリウム、シリカ、ハイドロタルサイト及びタルクが好ましく用いられる。
<熱硬化触媒>
本発明の導電性樹脂組成物に、上記分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分を使用する場合、熱硬化触媒を含有することが好ましい。そのような熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物などが挙げられる。また、市販されているものとしては、例えば四国化成工業社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU−CAT(登録商標)3503N、U−CAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物及びその塩)などが挙げられる。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基及びオキセタニル基のうちから選ばれる少なくともいずれか1種とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独で又は2種以上を混合して使用してもかまわない。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を前記熱硬化触媒と併用する。
これら熱硬化触媒の配合量は、通常の量的割合で充分であり、例えばカルボキシル基含有樹脂又は分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜15質量部である。
<熱重合禁止剤>
熱重合禁止剤は、本発明の導電性樹脂組成物の熱的な重合または経時的な重合を防止するために用いることができる。熱重合禁止剤としては例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキルまたはアリール置換ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、4−トルイジン、メチレンブルー、銅と有機キレート剤反応物、サリチル酸メチル、及びニトロソ化合物、ニトロソ化合物とAlとのキレートなどが挙げられる。
<連鎖移動剤>
本発明の導電性樹脂組成物において、感度を向上するために、連鎖移動剤として公知のNフェニルグリシン類、フェノキシ酢酸類、チオフェノキシ酢酸類、メルカプトチアゾール等を用いることができる。連鎖移動剤の具体例を挙げると、例えば、メルカプト琥珀酸、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メチオニン、システイン、チオサリチル酸及びその誘導体等のカルボキシル基を有する連鎖移動剤;メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、メルカプトプロパンジオール、メルカプトブタンジオール、ヒドロキシベンゼンチオール及びその誘導体等の水酸基を有する連鎖移動剤;1−ブタンチオール、ブチル−3−メルカプトプロピオネート、メチル−3−メルカプトプロピオネート、2,2−(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、エタンチオール、4−メチルベンゼンチオール、ドデシルメルカプタン、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、1−オクタンチオール、シクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール、チオグリセロール、4,4−チオビスベンゼンチオール等である。
また、多官能性メルカプタン系化合物を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、ヘキサン−1,6−ジチオール、デカン−1,10−ジチオール、ジメルカプトジエチルエーテル、ジメルカプトジエチルスルフィド等の脂肪族チオール類、キシリレンジメルカプタン、4,4′-ジメルカプトジフェニルスルフィド、1,4−ベンゼンジチオール等の芳香族チオール類;エチレングリコールビス(メルカプトアセテート)、ポリエチレングリコールビス(メルカプトアセテート)、プロピレングリコールビス(メルカプトアセテート)、グリセリントリス(メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(メルカプトアセテート)等の多価アルコールのポリ(メルカプトアセテート)類;エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ポリエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート) 、グリセリントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)等の多価アルコールのポリ(3−メルカプトプロピオネート)類;1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等のポリ(メルカプトブチレート)類を用いることができる。
これらの市販品としては、例えばBMPA、MPM、EHMP、NOMP、MBMP、STMP、TMMP、PEMP、DPMP、およびTEMPIC(以上、堺化学工業(株)製)、カレンズMT−PE1、カレンズMT−BD1、およびカレンズ−NR1(以上、昭和電工(株)製)等を挙げることができる。
さらに、連鎖移動剤として働くメルカプト基を有する複素環化合物として、例えば、メルカプト−4−ブチロラクトン(別名:2−メルカプト−4−ブタノリド)、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−エチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−メトキシ−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−エトキシ−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−メチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−エチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−(2−メトキシ)エチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−(2−エトキシ)エチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−5−バレロラクトン、2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−メチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−エチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−(2−メトキシ)エチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−(2−エトキシ)エチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルチオ−チアジアゾール、2−メルカプト−6−ヘキサノラクタム、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン(三協化成株式会社製:商品名 ジスネットF)、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン(三協化成株式会社製:商品名 ジスネットDB)、および2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン(三協化成株式会社製:商品名 ジスネットAF)等が挙げられる。
特に、導電性樹脂組成物の現像性を損なうことがない連鎖移動剤であるメルカプト基を有する複素環化合物として、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール(商品名:川口化学工業株式会社製 アクセルM)、3−メルカプト−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾールが好ましい。これらの連鎖移動剤は、単独または2種以上を併用することができる。
<その他の添加成分>
本発明の導電性樹脂組成物には、公知慣用の成分、例えば増粘剤、消泡・レベリング剤、カップリング剤、酸化防止剤、防錆剤等を、必要に応じて適宜配合することができることは勿論である。
<導電回路の形成>
次に、本発明に係る導電性樹脂組成物を用いて導電回路を形成する方法の一例について説明する。
本発明の導電性樹脂組成物に関し、上述した各必須成分、ならびに任意成分との混練分散は、三本ロールやブレンダー等の機械が用いられる。
こうして分散された導電性樹脂組成物は、スクリーン印刷法、バーコーター、ブレードコーターなど適宜の塗布方法で基材上に塗布される。
塗布した後、指触乾燥性を得るために塗膜を乾燥することが好ましい。乾燥方法としては、特に限定されるものではない。例えば、熱風循環式乾燥炉、遠赤外線乾燥炉等で、カルボキシル基含有樹脂が熱分解しない温度、例えば約60〜120℃で5〜40分程度乾燥させて有機溶剤を蒸発させることにより、タックフリーの塗膜を得る。
次に、所定の露光パターンを有するネガマスクを用いて、接触露光又は非接触露光を施す。露光光源としては、ハロゲンランプ、高圧水銀灯、レーザー光、メタルハライドランプ、ブラックランプ、無電極ランプなどが使用される。露光量としては積算光量が200mJ/cm2以下の低い光量とすることができる。なお、マスクを使用することなく、レーザー・ダイレクト・イメージング装置により、塗膜にパターンを形成してもよい。
次に、スプレー法、浸漬法等の現像により、塗膜をパターン状にする。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウムなどの金属アルカリ水溶液や、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン水溶液を用いることができる。特に約1.5質量%以下の濃度の希アルカリ水溶液が好適に用いられるが、導電性樹脂組成物中のカルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基がケン化され、未硬化部(未露光部)が除去されればよく、上記のような現像液に限定されるものではない。
本発明の導電性樹脂組成物によれば、現像液として希アルカリ水溶液を用いることにより塗膜へのダメージが少なく、しかも現像残渣の問題を生じることがなく、解像性にも優れた導電回路を得ることができる。
したがって、本発明の一形態において、導電回路の形成方法において用いられる現像液は、NaCO濃度が0.05〜0.3質量%の希アルカリ水溶液であることが好ましく、NaCO濃度が0.1〜0.2質量%の希アルカリ水溶液であることがより好ましい。
現像後には、不要な現像液の除去のため、水洗や酸中和を行うことが好ましい。
そして、得られた導電回路を、カルボキシル基含有樹脂が熱分解しない温度で硬化する。これにより、低抵抗で微細を有する導電回路を形成できる。熱硬化温度としては、180℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、140℃以下がさらに好ましく、130℃以下が特に好ましい。
これらの工程では、高温で焼成しないので、基材として、耐熱性のない樹脂製の基材を使用することができる。具体的には、樹脂製の基材としては、例えば、ポリイミド、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)等を挙げることができ、好適には、ポリエステル系樹脂を用いることができる。なお、ガラス基板等でもよい。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に限られない。
<カルボキシル基含有樹脂溶液の合成>
合成例1:R−1ワニスの合成
温度計、攪拌機、滴下ロート、及び還流冷却器を備えたフラスコに、メチルメタクリレートとメタアクリル酸を0.87:0.13のモル比で仕込み、溶媒としてジプロピレングリコールモノメチルエーテル、触媒としてアゾビスイソブチロニトリルを入れ、窒素雰囲気下、80℃で6時間攪拌し、カルボキシル基含有樹脂溶液を得た。このカルボキシル基含有樹脂溶液は、質量平均分子量が約30,000、固形分酸価が100mgKOH/g、固形分が40質量%であった。なお、得られたカルボキシル基含有樹脂溶液の質量平均分子量は、島津製作所社製ポンプLC−6ADと昭和電工社製カラムShodex(登録商標)KF−804,KF−803,KF−802を三本つないだ高速液体クロマトグラフィーにより測定した。以下、このカルボキシル基含有樹脂溶液を、R−1ワニスと称す。
<カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマー(A)>
・モノマーA−1
カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーとして、東亜合成社製のアロニックスM−510(モノマーA−1)を用いた。このモノマーA−1は、一般式(I)で表される化合物であり、その酸価は100mgKOH/gであった。
ここで、酸価は、「JIS K 2501−2003石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」に記載の方法に準じた下記方法により測定された値を意味する。また、後掲の酸価についても同様である。
[酸価の測定方法]
試料をキシレンとジメチルホルムアミドを1:1の質量比で混合した滴定溶剤に溶かし、電位差滴定法により0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液で滴定する。滴定曲線上の変曲点を終点とし、水酸化カリウム溶液の終点までの滴定量から、酸価を算出する。
・モノマーA−2
カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーとして、東亜合成社製のアロニックスM−520(モノマーA−2)を用いた。このモノマーA−2は、一般式(I)で表される化合物であり、その酸価は30mgKOH/gであった。
・モノマーA−3
カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーとして、東亜合成社製のアロニックスTO−2359(モノマーA−3)を用いた。このモノマーA−3は、一般式(I)で表される化合物であり、その酸価は70mgKOH/gであった。
<カルボキシル基を含有しないアクリレートモノマー(B)>
カルボキシル基を含有しないアクリレートモノマーとして、新中村化学工業社製のU−4HA(モノマーB−1)を用いた。
[導電性粉末]
球状のAg粉末を用いた。Ag粉末の平均粒径は0.4μmであった。なお、平均粒径は、電子顕微鏡(SEM)を用いて10,000倍にて観察したランダムな10個の粒子の平均粒径である。
[光重合開始剤]
商品名 :IRGACURE OXE02(BASFジャパン社製)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム
[光重合禁止剤]
フェノチアジン
[有機酸]
2,2’−チオ二酢酸
[分散剤]
商品名 DISPERBYK−111(ビックケミー・ジャパン社製)
[ブロックイソシアネート]
商品名 BI7982(Baxenden社製)イソシアネートHDI3量体 ブロック剤 Dimethylpyrazole
[エポキシ樹脂]
商品名:jER828(三菱化学社製) ビスフェノールA型エポキシ樹脂
[導電性樹脂組成物の調製]
後掲の表1に記載の各成分と、溶剤としてカルビトールアセテートを用いて、三本ロールやブレンダーにより混練分散し、固形分80〜90質量%に粘度調整した。これにより、同表に記載の各導電性樹脂組成物を得た。
<評価方法>
試験片の製造
ポリエステル樹脂製の基材上に、評価用の各導電性樹脂組成物を300メッシュのポリエステルスクリーンを用いて全面に塗布し、次いで、熱風循環式乾燥炉に80℃で30分間乾燥して指触乾燥性の良好な塗膜を形成した。その後、光源として高圧水銀灯を用い、ネガマスクを介して、導電性樹脂組成物上の積算光量が200mJ/cmとなるようにパターン露光した後、液温30℃の0.2質量%NaCO水溶液を用いて現像を行い、水洗した。最後に、140℃×30分で硬化し、導電パターン膜を形成した試験片を作成した。
(性能の評価方法)
各種性能について以下のように評価した。
(解像性)
試験片の20μm/20μmのラインアンドスペース(L/S)において、全く欠損がないものをA、欠損があるものをBとして評価した。
(現像残渣)
光学顕微鏡100倍で回路を観察した際、回路間に残渣が無い場合をA、回路間に残渣がある場合をBとして評価した。
(比抵抗)
試験片の作製:ポリエステル樹脂製の基材上に、各導電性樹脂組成物を300メッシュのポリエステルスクリーンを用いて全面に塗布し、次いで、熱風循環式乾燥炉に80℃で30分間乾燥して指触乾燥性の良好な塗膜を形成した。その後、光源として高圧水銀灯を用い、ネガマスクを介して、導電性組成物上の積算光量が200mJ/cm2となるようにパターン露光した。次いで、液温30℃の、Na2CO3濃度が0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液を用いて現像を行い、水洗した。最後に、140℃×30分で硬化し、導電回路を形成した試験片を作製した。
比抵抗の測定:上記方法によって4mm×10cmの導電パターン回路を形成し、抵抗値と膜厚を測定して比抵抗を算出した。
(密着性)
密着性:L/S=20/20μmのパターン形成をおこない、セロテープ(登録商標)ピールをおこない、全く欠損がないものをAと評価し、欠損があるものをBと評価した。
(ブレイクポイント)
印刷塗膜を熱風循環式乾燥炉にて80℃で30分間乾燥して指触乾燥性の良好な塗膜を形成した後、液温30℃の、Na2CO3濃度が0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液を用いて現像を行い、目視で塗膜に現像液が当たり始めてから塗膜が無くなるまでの時間を測定した。
表1に試験結果をまとめて示す。なお、表1中の各成分に関する数値で単位の付されていないものは、質量部を示す。

Claims (6)

  1. カルボキシル基含有樹脂、導電性粉末、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマー、光重合開始剤、及び、熱硬化性成分を含有する導電性樹脂組成物。
  2. 前記カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーの酸価が5〜200mgKOH/gの範囲である、請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
  3. 前記カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーは、下記一般式(I)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の導電性樹脂組成物。
    式中、
    nは、0〜4の整数であり、
    Rは、各々独立に、水素原子またはメチル基であり、
    は、−O−基、−(O−CHCHn1−O−基(但し、n1は0〜8の整数)、−(O−CHCHCHn2−O−基(但し、n2は0〜8の整数)であり、
    は、単結合、アルキレン基、アルケニレン基、フェニレン基、シクロアルキレン基及びシクロアルケニレン基よりなる群から選ばれる基である。
  4. 前記熱硬化性成分がブロックイソシアネートである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。
  5. 前記導電性粉末の平均粒径が0.1〜10μmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物を用いて形成された導電回路。
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