JP7018644B2 - 反応生成物製造装置及びその方法 - Google Patents

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Description

本発明は、原材料を反応空間内で反応させて得られる反応生成物の製造装置及びその方法に関し、特に、反応空間内に連続して原材料を供給し反応生成物を連続的に取り出し得る反応生成物製造装置及びその方法に関する。
粉体の製造方法として、所定の成分組成で得られた固体材料を機械的に破砕又は粉砕する固体粉砕法や、やはり所定の成分組成で得られた溶湯にガスや液体を吹き付けて微細液滴にして凝固させるアトマイズ法などが知られている。かかる方法は得ようとする材料を粉体に加工する加工プロセスである。一方、PVDやCVDなどのような気相反応法や、水溶液中のイオン反応による難溶性沈殿物を分離し粉体を得る液相反応法なども知られている。かかる方法は反応プロセスであるが、生成される生成物が粉体として分離取り出し可能である。この後者のプロセスにおいて、反応装置内に連続して原材料を供給し反応生成物である粉体を得る製造方法も提案されている。
例えば、特許文献1では、フラックス中でのレーザ熱分解によるSiC粉体の製造方法として、シラン(SiH4)及びアセチレン(C22)の混合ガスからなるフラックスにレーザ光線を与え熱分解を生じさせ、連続的にナノメートルサイズ又はサブミクロンサイズのSiC粉体を製造する方法を開示している。フラックスは注入装置によって水平方向に延びるように形成され、これを上下方向に横切るようにレーザ光を与える相互作用ゾーンが設けられる。この相互作用ゾーンではフラックス内で熱分解が生じ、SiC粉体が生成され、相互作用ゾーンの外で取り出されるのである。
また、特許文献2では、液相反応によるチタン酸バリウム微粒子の製造方法として、チタン化合物水溶液にバリウム塩水溶液を混合し、アルカリ水溶液を添加後、反応管内で亜臨界又は超臨界状態の水と水熱反応させて、30nm以下の立方晶又は50nm以下の正方晶チタン酸バリウムのナノ粒子を製造する流通式超臨界水熱法を開示している。原料スラリーを高温水とともに反応管に導き、混合し反応させ、反応後のスラリーを回収して乾燥させるとチタン酸バリウム微粒子を得られるのである。
更に、特許文献3では、電磁波を照射することで金属微粒子を製造する方法として、金属前駆物質を含む反応液を流通管内に流通させながら、電磁波の照射空間を通過させる方法を開示している。照射空間内に定在波を形成する共振空胴を与えることにより、反応液を攪拌させなくとも、金属微粒子懸濁液を得ることが出来て、連続的に金属微粒子を生成させ得るとしている。
特開2012-40555号公報 特開2011-45859号公報 特開2011-137226号公報
反応空間内に連続して原材料を供給し反応生成物を連続的に取り出す製造方法を考える。かかる場合、反応生成物の生成状態をモニタし、原材料の供給に関する供給パラメータ及び反応空間の反応制御パラメータにフィードバックさせることが行われる。ここで、製造安定性の観点からは原材料の供給を安定させることが望まれる。また、原材料が液体又はこれを含んだ液体として与えられ且つ反応生成物が粉体であるような場合には、反応生成物が液体中に漂いやすくこれを安定的に反応空間の外部に取り出すことも必要となる。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、反応空間内に連続して原材料を供給し反応生成物を安定的に得ることのできる反応生成物製造装置及び反応生成物製造方法を提供することにある。
本発明による反応生成物製造装置は、反応空間内に連続して原材料を供給し反応生成物を得る反応生成物製造装置であって、厚さ方向に連通する気孔を有するメッシュ体であって前記反応空間内を横切って移動するベルト体と、前記反応空間の手前で前記ベルト体の前記気孔内に前記原材料である又は前記原材料を含む原材料液体を連続的に与えていく原材料供給部と、を含むことを特徴とする。
かかる発明によれば、メッシュ体で反応空間内に連続して原材料液体を供給するとともに、安定的に反応生成物を反応空間の外部に取り出すことができる。
上記した発明において、前記反応生成物は粉体であることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、液体中に漂いやすい粉体、特に、微細粉体であっても安定的に反応生成物を反応空間の外部に取り出すことができるのである。
上記した発明において、前記ベルト体は複数からなり、重ね合わせて前記反応空間に送られるとともに、前記ベルト体のそれぞれに前記原材料供給部を与えられていることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、重ね合わせた複数のベルト体の間での原材料液体の移動を利用して反応生成物を得ることができる。
上記した発明において、前記反応空間の手前にはピンチロールが設けられることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、複数のベルト体の間での原材料液体の移動を促し、反応空間での反応を促進させることができる。
上記した発明において、前記反応空間において前記ベルト体に向けて電磁波照射を行う照射部を含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、電磁波照射による反応生成物を得ることができる。
さらに本発明による反応生成物製造方法は、反応空間内に連続して原材料を供給し反応生成物を得る製造方法であって、厚さ方向に連通する気孔を有するメッシュ体であって前記反応空間内を横切って移動するベルト体の前記気孔内に前記反応空間の手前で前記原材料である又は前記原材料を含む原材料液体を連続的に与えることを特徴とする。
かかる発明によれば、メッシュ体で反応空間内に連続して原材料液体を供給するとともに、安定的に反応生成物を反応空間の外部に取り出すことができる。
上記した発明において、前記反応生成物は粉体であることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、液体中に漂いやすい粉体、特に、微細粉体であっても安定的に反応生成物を反応空間の外部に取り出すことができるのである。
上記した発明において、前記ベルト体は複数からなり、重ね合わせて前記反応空間に送られるとともに、前記ベルト体のそれぞれに前記原材料液体を与えることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、重ね合わせた複数のベルト体の間での原材料液体の移動を利用して反応生成物を得ることができる。
上記した発明において、前記反応空間において前記ベルト体に向けて電磁波照射を行うことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、電磁波照射による反応生成物を得ることができる。
上記した発明において、定在波を形成させて前記ベルト体の幅方向の電界強度又は磁界強度を制御するよう前記電磁波照射を行うことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、反応生成物をより安定的に得ることができる。
本発明による1つの実施例における反応生成物製造装置のブロック図である。 本実施例における反応生成物製造装置によって製造したCuナノ粒子の透過型電子顕微鏡による観察像である。 粘性の高い原材料液体を用いて製造したCuナノ粒子の透過型電子顕微鏡による観察像である。 他の実施例における反応生成物製造装置のブロック図である。 図4に示す反応生成物製造装置によって製造したCuナノ粒子の透過型電子顕微鏡による観察像である。 図4に示す反応生成物製造装置によって製造したAgナノ粒子の透過型電子顕微鏡による観察像である。 さらに他の実施例における反応生成物製造装置のブロック図である。 図7に示す反応生成物製造装置によって製造したCuナノ粒子の透過型電子顕微鏡による観察像である。 さらに他の実施例における反応生成物製造装置のブロック図である。 さらに他の実施例における反応生成物製造装置のブロック図である。
[実施例1]
以下に、本発明による1つの実施例である反応生成物製造装置について、図1を用いて説明する。
図1に示すように、反応生成物製造装置10は、内部に反応空間9を有する反応容器1と、反応容器1の外部から反応空間9を横切ってさらに反応容器の外部まで移動するベルト体2と、ベルト体2を移動させるためのローラ4及び5を含む。つまり、反応容器1は連続処理のための容器であり、少なくともベルト体2を通過させるための開口部を有する。また、反応容器1に対し、ベルト体2の搬送方向(右向き)の手前(左)側には原材料供給部6が備えられ、奥(右)側には反応生成物である粉体を取り出す粉体取出部7が備えられる。
ここで、原材料供給部6は、製造しようとする粉体の原材料を含む原材料液体を滴下するなどしてベルト体2に連続的に与える塗工器の如きである。ここで、原材料が液体の場合には、かかる原材料をそのまま又は他の液体と混合して原材料液体とする。また、原材料が液体以外の場合には、他の液体に混合して原材料液体とすることができる。さらに、ベルト体2は厚さ方向に貫通する気孔を有するメッシュ体からなり、原材料液体を表面張力やこれに伴う毛管現象によって気孔に保持して搬送して反応空間9に供給することができ、反応空間9を通過しつつ、搬送される原材料液体から生成される粉体を粉体取出部7まで搬送することができる。粉体取出部7は、例えば、上方から気体や液体による流体をベルト体2に流下させるなどして、ベルト体2の気孔から粉体を分離させて下方に落下させて回収することができる。上方や下方に向けて吸引するなどしてもよい。
原材料液体から粉体を生成させるために、反応生成物製造装置10は、例えば、マイクロ波を発振して反応空間9において原材料液体の加熱を行うマイクロ波加熱装置20をさらに備える。マイクロ波加熱装置20は反応空間9をマイクロ波領域とする矩形共振器などであり、制御回路21、発振器22、マイクロ波増幅器23、アイソレータ24、整合器25を含む。制御回路21は、反応空間9に向けられた電磁界センサ26及び赤外線温度計27からの検知信号をフィードバックさせ、マイクロ波加熱装置20を制御することができる。マイクロ波加熱装置20のその他の詳細については公知であるので説明を省略する。
以上により、反応生成物製造装置10は、原材料液体をベルト体2に連続的に与えて気孔に収容させて反応空間9に供給し、マイクロ波加熱によって粉体を生成することができる。生成された粉体はさらにベルト体2に搬送されて、粉体取出部7でベルト体2から分離されて取り出される。このように、原材料液体の供給、反応、取り出しを全て連続的に処理できるから、生成された粉体を安定的に取り出すことができる。なお、反応生成物を粉体とする場合について説明したが、粉体以外のもの、例えば、液体などであっても同様とし得る。
また、粉体取出部7で反応生成物である粉体の生成状態をモニタして、原材料液体の供給量や反応空間9の加熱温度などの反応を制御するパラメータにフィードバックさせることも考えられるが、反応応答性が低い場合など、このようなフィードバック制御の難しいこともある。このような場合であっても、上記した反応生成物製造装置10であれば、原材料をベルト体2によって反応空間9に搬送することで原材料液体の供給量を安定させ得て、反応空間9での反応を安定させ得る。さらに、ベルト体2によって反応生成物を反応空間9から外部に取り出すことで反応生成物の取出し量も安定させ得る。つまり、フィードバック制御を用いずとも、反応空間9内に連続して原材料を供給し反応生成物を安定的に得ることができる。
例えば、原材料を含む液体を閉鎖された流路に流して反応領域に搬送させるような装置であると、流れの不安定による搬送速度の不揃いや、流路への付着物との予期しない反応、反応の進行に伴う体積の増加や気体の発生による圧力の変動、液送ポンプの断熱圧縮や剪断力による予期しない反応の進行などの問題が考えられるが、上記したベルト体2による原材料の搬送を行う反応生成物製造装置10であれば、このような問題は発生しない。また、原材料がスラリーなどの高粘度の液体であっても、ベルト体2の搬送において影響はなく、原材料液体の供給量を安定させ得る。
なお、マイクロ波以外の、高周波、テラヘルツ波、赤外線、可視光線、紫外線等の電磁波を用いてもよい。また、マイクロ波を含めたこれら電磁波は、反応空間9におけるベルト体2の幅方向における電界強度や磁界強度を一様にするように特定の波長を有する定在波として照射されてもよい。これによって、反応をより安定させ得る。
また、反応空間9において原材料液体の温度を制御する方法としては、熱風や冷風を吹き付ける方法や、ベルト体2に電熱線などの発熱体を組み込んでベルト体2を加熱する方法なども用い得る。
上記した反応生成物製造装置10を用いてCuナノ粒子を製造したのでその詳細について図2を用いて説明する。
溶媒をエチレングリコールとして、酢酸銅20mM、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量10,000)を2質量%、ジメチルアミンボラン50mMを溶解させた原材料液体を用いて、ベルト(シート)体2を紙製ウエスで構成して移動速度を0.2cm/秒とし、反応空間9内において温度を100℃とするように放射温度制御によってマイクロ波加熱装置20を制御し、2.45GHzのマイクロ波を発振した。このとき、反応空間9の通過に約80秒の時間を要した。すなわち、加熱時間は約80秒である。なお、ベルト体2の移動速度を原材料液体の送液速度に換算すると約4mL/分である。粉体取出部7においてエタノールを流下させて生成された粉体を回収したところ、回収された粉体を含む液体の外観色はCuナノ粒子を含む懸濁液に特有の赤褐色を呈し、Cuナノ粒子を得られた。得られた粉体を透過型電子顕微鏡で観察したところ、図2(a)に示す観察像より、粒子径は3~5nmであった。また、ベルト体2としてポリエステル製の不織布を用いた場合、粒子径2~3nm及び10nm前後の混在する粉体を回収できた(図2(b))。
同様に、本実施例による反応生成物製造装置10を用いて、粘性が非常に高い原材料液体にてCuナノ粒子を製造したので、その詳細について図3を用いて説明する。溶媒をグリセリンとして酢酸銅20mM、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量10,000)を30質量%、ジメチルアミンボラン50mMを溶解させた原材料液体(粘度:11.5Pa・s(25℃))を用いて、同様にマイクロ波加熱を行った。エタノールによって粒子径3~5nmの粉体を回収でき、一般に市販されているシリンジポンプやプランジャーポンプでは送液の困難な高粘性の原材料液体を用いてナノ粒子の粉体を製造できた。
同様に、本実施例による反応生成物製造装置10を用いて他の粉体や液体を製造したので以下に例示する。
溶媒をエチレングリコールとして塩化ルテニウム2mM及び2,2’-ビピリジン10mMを溶解させた原材料溶液を用いて、マイクロ波によって130℃に加熱し、同様に蛍光試薬であるRu錯体([Ru(bpy)3]2+)を得ることができた。ここでは、ベルト体2としてガラス繊維体を使用した。
さらに、溶媒をエチレングリコールとして硝酸銀50mMとポリビニルピロリドン(重量平均分子量10,000)を15質量%とを溶解させた原材料液体を用いて、粒子径10~20nmのAgナノ粒子を製造することができた。ここでは、ベルト体2としてガラス繊維体を使用した。硝酸銀200mMを用いた場合、粒子径30~100nmのAgナノ粒子を製造することができた。なお、ポリビニルピロリドンのエチレングリコール溶液に硝酸銀の粉末を溶解させずに混合して(5秒間)原材料液体として、加熱完了まで3分以内としても、粒子径5~20nmのAgナノ粒子を得ることができた。ここでも、ベルト体2としてガラス繊維体を使用した。
なお、反応生成物製造装置10は、マイクロ波加熱以外の原理によって原材料液体を反応させる装置構成としてもよい。例えば、反応空間9内において加圧ローラによってベルト体を加圧して高圧・超臨界反応を得たり、超音波によって反応させるソノケミストリ反応を得たり、剪断力を付与してメカノケミカル反応を得たりしてもよい。
[実施例2]
反応生成物製造装置の他の実施例について、図4から図6を用いて説明する。
図4に示すように、反応生成物製造装置12は、第1ベルト体2aと第2ベルト体2bとを備え、それぞれに対して原材料供給部6a及び6bが備えられ、第1原材料液体及び第2原材料液体(あるいは原材料粉末)を別々に供給できる。第1ベルト体2a及び第2ベルト体2bは、ともに厚さ方向に貫通する気孔を有するメッシュ体からなる。ローラ4によって、第1ベルト体2a及び第2ベルト体2bを互いに重ねて接触させ、第1原材料液体及び第2原材料液体(あるいは粉末)を第1ベルト体及び/又は第2ベルト体に移動・混合させて反応させることができる。なお、反応空間9の手前にピンチロールを設けて、ベルト体間での原材料液体の移動を促してもよい。その他は反応生成物製造装置10と同様である。
反応生成物製造装置12においても生成された粉体を安定的に取り出すことができるが、さらに2種類の原材料液体による反応から得られる粉体を製造することができる。
例えば、溶媒をエチレングリコールとして酢酸銅40mM及びポリビニルピロリドン4質量%を溶解させた第1原材料液体と、ジメチルアミンボラン100mMをエチレングリコールに溶解させた第2原材料液体とを、それぞれ第1ベルト体2aと第2ベルト体2bとに搬送させて反応空間9内で100℃に加熱して反応させたところ、粒子径5nm前後のCuナノ粒子を製造することができた。なお、第1ベルト体2a及び第2ベルト体2bにはともにセルロース製メッシュを用いた。得られたCuナノ粒子の透過型電子顕微鏡による観察像を図5に示す。
他の例として、エチレングリコールによる第1原材料液体と、硝酸銀及びポリビニルピロリドンの混合粉末による第2原材料粉末とを、それぞれ第1ベルト体2aと第2ベルト体2bとに搬送させて反応空間9内で100℃に加熱して反応させたところ、粒子径10~100nm前後のAgナノ粒子を製造することができた。なお、供給したエチレングリコールに硝酸銀及びポリビニルピロリドンが全て溶解した場合、硝酸銀1000mM、ポリビニルピロリドン15重量%の原材料液体に相当する。また、第1ベルト体2a及び第2ベルト体2bにはともにセルロース製メッシュを用いた。得られたAgナノ粒子の透過型電子顕微鏡による観察像を図6に示す。
[実施例3]
反応生成物製造装置のさらに他の実施例について、図7及び図8を用いて説明する。
図7に示すように、反応生成物製造装置13は、第1ベルト体2aと第2ベルト体2bとの間に配置される第3ベルト体2cを備える。第3ベルト体2cは原材料供給部を設けられておらず、ローラ4によって第1ベルト体2a及び第2ベルト体2bの間に挟まれて接触し、第1原材料液体及び第2原材料液体を吸収するように移動・混合させて反応させることができる。また、ローラ5の奥側では各ベルト体は分離され、第3ベルト体2cに粉体取出部7が備えられる。その他は反応生成物製造装置12と同様である。
反応生成物製造装置13においても生成された粉体を安定的に取り出すことができるが、さらに2種類の原材料液体を第3ベルト体2cに吸収させて反応させることができる。
例えば、溶媒をエチレングリコールとして銅40mM及びポリビニルピロリドン4質量%を溶解させた第1原材料液体と、ジメチルアミンボラン100mMをエチレングリコールに溶解させた第2原材料液体とを、それぞれ第1ベルト体2aと第2ベルト体2bとに搬送させて第3ベルト体2cに吸収させる。さらに、反応空間9内で100℃に加熱して反応させたところ、粒子径3~5nm前後のCuナノ粒子を製造することができた。なお、第1ベルト体2a、第2ベルト体2b及び第3ベルト体3cには紙製ウエスを用いた。得られたCuナノ粒子の透過型電子顕微鏡による観察像を図8に示す。
[実施例4]
反応生成物製造装置のさらに他の実施例について、図9を用いて説明する。
図9に示すように、反応生成物製造装置14は、第3ベルト体2c’に、第1原材料液体及び第2原材料液体の反応を促進させる触媒を担持させるとともに、これを環状にしてループさせている。また、環状の第3ベルト体2c’の一部には、熱処理等によって触媒を還元させ、再生する触媒再生部31を備える。その他は、反応生成物製造装置13と同様である。
反応生成物製造装置14においても生成された粉体を安定的に取り出すことができるが、さらに触媒によって2種類の原材料液体の反応を促進することができる。また、環状に第3ベルト体2c’を配置して触媒再生部31を設けることで、触媒を再利用できて効率的である。
[実施例5]
反応生成物製造装置のさらに他の実施例について、図10を用いて説明する。
図10に示すように、反応生成物製造装置15は、ベルト体2の下側に重なって反応空間9内に移動する3つの分級のためのベルト体3a,3b,3cを備える。ベルト体3a,3b,3cのそれぞれは、厚さ方向に貫通する気孔の径を上から順に小さくしており、通過させ得る粉体の粒子径を順に細かくするようにされている。反応空間9の手前側ではベルト体2に原材料供給部6が備えられるとともに、反応空間9の奥側ではベルト体3a,3b,3cにそれぞれ粉体取出部7a,7b,7cが備えられる。
ベルト体2によって供給された原材料液体によって反応空間9内で粉体が生成される。生成された粉体は、その粒径の大きなものから順に粉体取出部7a、粉体取出部7b、粉体取出部7cに落下し回収される。つまり分級ベルト体3a~3cによって粉体を分級することができる。取出し時に既に粉体が分級されており効率的である。
ここまで本発明による代表的実施例及びこれに基づく改変例について説明したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。当業者であれば、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例を見出すことができるだろう。
2 ベルト体
6 原材料供給部
7 粉体取出部
9 反応空間
10 反応生成物製造装置

Claims (4)

  1. 反応空間内に連続して複数の原材料を供給しこれらを反応させて粉体からなる反応生成物を得る反応生成物製造装置であって、
    厚さ方向に連通する気孔を有するメッシュ体であって前記反応空間内を横切って移動するベルト体の複数と、
    前記反応空間の手前で前記ベルト体のそれぞれの前記気孔内に前記原材料である又は前記原材料を含む原材料液体を連続的に与えていく原材料供給部と、
    前記反応空間において前記ベルト体に向けて電磁波照射を行う照射部と、を含み、前記ベルト体を重ね合わせて前記反応空間に送りそれぞれに与えられている前記原材料である又は前記原材料を含む前記原材料液体を反応させることを特徴とする反応生成物製造装置。
  2. 前記反応空間の手前にはピンチロールが設けられることを特徴とする請求項1記載の反応生成物製造装置。
  3. 反応空間内に連続して複数の原材料を供給しこれらを反応させて粉体からなる反応生成物を得る製造方法であって、
    厚さ方向に連通する気孔を有するメッシュ体であって前記反応空間内を横切って移動するベルト体の複数のそれぞれの前記気孔内に前記ベルト体に向けて電磁波照射を行う前記反応空間の手前で前記原材料である又は前記原材料を含む原材料液体を連続的に与え、前記ベルト体を重ね合わせて前記反応空間に送りそれぞれに与えられている前記原材料である又は前記原材料を含む前記原材料液体を反応させることを特徴とする反応生成物製造方法。
  4. 定在波を形成させて前記ベルト体の幅方向の電界強度又は磁界強度を制御するよう前記電磁波照射を行うことを特徴とする請求項記載の反応生成物製造方法。

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