JP7015984B2 - 流動成形用前駆体並びに植物系材料の流動成形前処理方法及びその成形品 - Google Patents
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Description
この植物系材料の流動成形は、圧縮加工のように木質細胞の内腔の閉塞によって緻密化させて形状変化を与える方法と比べて、木質細胞間のすべり(流動)現象による位置変化によって変形を与えるため、より大きな変形量を与えることができる。
そして、これにより、従来の圧縮加工のみでは不可能であった任意形状の木質系材料の塑性加工を実現できるうえ、繊維状の木質細胞の損傷が抑えられるため、得られる成形体の各種物性面には繊維補強効果を持たせることができる。
さらに、植物系材料の流動成形には、膨潤・軟化及び成形体の各種物性向上のために各種添加剤を使用する方法なども開発されており、木質細胞に浸透可能で、溶媒を用いて樹脂含浸した樹脂含浸木質系材料を素材に対して流動成形を行う方法が実用化されている(例えば、特許文献2参照。)。
植物系材料に、圧力及び熱を加えて木質細胞相互の位置変化を生じせしめて変形加工を行う流動成形において用いる流動成形用前駆体であって、
前記植物系材料が本来有する繊維状木質細胞自体の破損割合に比べて細胞界面の破損割合が高く、
前記植物系材料が本来有する繊維配向度よりも、ランダムに均質化しており、かつ、
前記植物系材料が本来有する密度よりも高密度化していることを特徴とする。
ここで、この成形用前駆体には、成形用前駆体に樹脂を添加・含浸したプリプレグを含むものである。
また、流動成形は、植物系材料に、例えば、圧力10~400MPaで熱100~200℃を加えて木質細胞相互の位置変化を生じせしめて変形加工を行うものである。
また、細胞界面の破損が生じることによって、植物系材料の繊維凝集構造が弛緩し、細胞界面での隙間が多数生じるようになる。
植物系材料に、圧力及び熱を与えて木質細胞相互の位置変化を生じせしめて変形加工を行う流動成形において用いる植物系材料の成形前処理方法であって、
前記植物系材料に、加熱密閉空間において圧縮及びせん断力によるひずみを加えて細胞間層でのすべり変形に起因する流動現象を生じさせることによって、植物系材料が本来有する繊維状細胞の破損を低減した状態で繊維配向度をランダムに均質化し、高密度化するようにしたことを特徴とする。
予め、樹脂を溶媒に溶かした溶液を添加する前処理、及び/又は、
予め、樹脂を溶媒に溶かした溶液に含浸する前処理が施されているようにすることができる。
(1)従来の植物系材料の流動成形で問題となっていた、植物系材料の異方性に起因する成形不良を改善するうえ、密度の低い植物系材料で生じる成形時の温度分布の均一化、コンテナなど材料供給部をサイズダウンできることによる金型の小型化が可能になる。加えて、予め均質化された流動成形用前駆体を用いることによる、成形荷重の低減、バリの抑制、複雑形状への賦形、極薄成形への賦形などを容易にすることができる。
(2)従来の成形前処理では、均質化度合の制御が困難であったが、本製造方法によると、製造時の荷重並びに回数により制御可能である。
(3)個々の繊維状木質細胞への溶質の含浸均一化が促進されることによる、易成形化並びに得られる成形体の特性向上が実現される。
(4)得られる成形体の内部に生じる種々の物性値の改善と安定化。
(5)本発明で使用する植物系材料は、循環型資源である植物系材料を原料としているため、資源問題、廃棄物問題に対する根本的な解決策となり得る。
いることが有効な手段となる。なお、本明細書において、「~」を用いて数値の範囲を示すときは、その両端の数値を含むものとする。
本発明における流動成形用前駆体とは、図1に示す製造方法によって製造される。
図1(1)(図においては丸付き数字。以下、同じ。)において、植物系材料には、予め、樹脂を、好ましくは、樹脂を溶媒に溶かした溶液(溶質+溶媒)を添加する前処理、及び/又は、予め、樹脂を、好ましくは、樹脂を溶媒に溶かした溶液(溶質+溶媒)に含浸する前処理を施すようにする。このようにして、樹脂もしくは樹脂を溶媒に溶かした溶液(溶質+溶媒)を添加及び/又は含ませた植物系材料を、荷重(又は位置)制御可能な下パンチを設置した加温コンテナ内に投入し、多重構造のパンチにより、図1(2)のように一旦所定の荷重(又は位置)まで圧縮する。図1(3)において、一定の圧縮荷重を保持した状態で多重構造の個々のパンチが位置変化することにより、植物系材料には、圧縮状態においてせん断力によるひずみが導入される。このときの一定荷重設定並びに位置変化の回数によって組織均質化の程度を制御することも可能である。図1(4)の取り出し工程では、一体のバルクとして成形用前駆体を取り出す方式やペレット状に射出して取り出す方式を行うことができ、図1(1)の溶質・溶媒含有条件や図1(3)での荷重設定によって得られる成形用前駆体のかさ密度は投入する植物系材料の値(通常、0.1~0.8g/cm3程度)より一般的には大きくなり、0.6~1.4g/cm3の範囲で高密度化される。
この流動成形用前駆体の表面は図2-1の電子顕微鏡写真のように、均質化されており、繊維状木質細胞は無配向であり高密度化されている。
このペレットタイプの流動成形用前駆体(約65グラム)をφ200mmの内径を持つ円筒金型に投入し、約150MPaの圧力を作用させてφ200mmの円盤型成形体を成形したところ、杉単板から直接同じ圧力で製造した成形体に比べて、組織が均一化した成形体が得られた(図3)。なお、樹脂の含浸率を半分に減らした場合(WPG:30%)では、杉単板からの成形体を得ることができなかったが、流動成形用前駆体を用いれば、円盤状の組織が均一化した成形体が得られた。以上の成形結果は、バルクタイプの流動成形用前駆体を用いても同様の傾向であった。
この前駆体にフェノール樹脂を含浸した。この重量増加率WPGは、50%固形分濃度のフェノール樹脂水溶液を用いた減圧加圧法にて行ったところ、竹端材は20%に対して、流動成形用前駆体の含浸材(プリプレグ)では、70%に達しており、大幅な含浸率の向上がなされた。
この流動成形用前駆体(約65グラム)をφ200mmの内径を持つ円筒金型に投入し、約150MPaの圧力を作用させてφ200mmの円盤型成形体を成形したところ、竹端材から直接同じ圧力で製造した成形体に比べて、組織が均一化した成形体が得られた(図5)。なお、樹脂の含浸率を半分に減らした場合(WPG:30%)では、竹端材からの成形体を得ることができなかったが、流動成形用前駆体を用いれば、円盤状の組織が均一化した成形体が得られた。以上の成形結果は、バルクタイプの流動成形用前駆体を用いても同様の傾向であった。
竹端材から得られた成形体についても同様に評価したところ、繊維状木質細胞の均質化処理による配向状態ランダム化は顕著に生じた(竹端材成形体 配向度:0.85以上→前駆体プリプレグ成形体 配向度:0)。
また、竹についても同様の強度特性の向上が認められた(竹端材成形体 平均曲げ強度:43.3MPa±10.6→竹前駆体プリプレグ成形体 平均曲げ強度:109.4MPa±8.9(処理回数5回)、108.1MPa±5(処理回数10回))。
さらに、成形荷重の低減、バリの抑制、複雑形状への賦形、極薄成形への賦形などを容易にすることができるため、良好な木質流動成形品を工業的に生産することができる。そして、循環型資源である植物系材料を原料としている流動成形の工業的利用によって、資源問題、廃棄物問題に対する根本的な解決策を与えることができる。
Claims (4)
- 植物系材料に、圧力及び熱を加えて木質細胞相互の位置変化を生じせしめて変形加工を行う流動成形において用いる流動成形用前駆体であって、
前記植物系材料が本来有する繊維状木質細胞自体の破損割合に比べて細胞界面の破損割合が高く、
前記植物系材料が本来有する特定方向に配向した木質細胞の集合体よりも、木質細胞の長軸が特定方向に揃わず、組織構造がランダムに均質化しており、かつ、
前記植物系材料が本来有する密度よりも高密度化していることを特徴とする流動成形用前駆体。 - 植物系材料に、圧力及び熱を与えて木質細胞相互の位置変化を生じせしめて変形加工を行う流動成形において用いる植物系材料の成形前処理方法であって、
前記植物系材料に、加熱密閉空間において圧縮及びせん断力によるひずみを加えて細胞間層でのすべり変形に起因する流動現象を生じさせることによって、植物系材料が本来有する繊維状細胞の破損を低減した状態で繊維配向度をランダムに均質化し、高密度化するようにしたことを特徴とする植物系材料の流動成形前処理方法。 - 前記圧縮及びせん断力によるひずみを加える前に、前記植物系材料には、
予め、樹脂を溶媒に溶かした溶液を添加する前処理、及び/又は、
予め、樹脂を溶媒に溶かした溶液に含浸する前処理が施されていることを特徴とする請求項2に記載の植物系材料の流動成形前処理方法。 - 請求項1に記載の流動成形用前駆体を用いて、金型温度が100~200℃、パンチ負荷面圧10~400MPaの成形条件で成形された成形体であって、植物繊維の配向がランダム状態の熱可塑性又は熱硬化性樹脂含有の植物系材料からなり、X線回折測定における配向度が0.1以内であることを特徴とする成形体。
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