JP7015098B2 - 鉛蓄電池 - Google Patents
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Description
従来のエンジン車に使用する液式鉛蓄電池で要求される性能は、主に、始動性能や容量などに関するものであった。しかし、近年、充電制御車やアイドリングストップ車両が主流になったことで、液式鉛蓄電池に要求される性能は変化し、充電制御車およびアイドリングストップ車両の制御に適した電池設計が求められるようになった。
特許文献1に記載された方法では、先ず、エキスパンド格子のエキスパンド網目部に活物質ペーストを充填した後、エキスパンド網目部に、パルプ繊維を主体とする紙状体を貼り合わせる。次に、この貼り合わせ体を、少なくとも一方のローラの表面に複数の突起を設けた一対のローラ間に通す。その際に、ローラの突起が紙状体に貫通穴を開けながら活物質ペーストを押し込むことで、極板のエキスパンド網目部に凹部が形成される。紙状体は、凹部の壁面に存在するが、凹部の底面には存在しない状態となる。
鉛蓄電池の極板群を構成するセパレータに関しては、セパレータが酸化力の強い正極活物質で破損されないように、セパレータと正極板との接触を防止する必要がある。そのため、セパレータの正極板との対向面に、セル室の上下方向に延びる筋状の突起(リブ)を形成することが行われている(例えば、特許文献2および3を参照)。
本発明の課題は、長期放置中の自己放電による内部抵抗上昇が抑制された、新規な鉛蓄電池を提供することである。
(a)電解液が入ったセル室と、前記セル室に収納された極板群と、を備える。前記極板群は、交互に配置された負極板および正極板と、前記負極板と前記正極板との間に配置されたセパレータと、を有する。前記正極板の前記セパレータと対向する面に、複数の凹部が形成されている。前記セパレータの前記正極板と対向する面に、前記セル室の上下方向に延びる筋状の突起が、前記正極板の幅方向に間隔を開けて複数形成されている。
(b)前記突起により前記凹部の開口面が部分的に閉塞されている。前記突起の高さ(T)が前記凹部の深さ(D)以上である。
本発明の第二態様の鉛蓄電池は、上記構成(a)と下記の構成(c)を有することを特徴とする。
(c)前記突起は、前記正極板に対しては、前記凹部以外の部分のみと対向している。つまり、前記突起と前記凹部とが対向しない配置になっている。
本発明者等の調査により、前記構成(a)を有する鉛蓄電池は、正極板のセパレータと対向する面に複数の凹部が形成されているため、セパレータの突起により凹部の開口面が部分的に閉塞されていると、この凹部に、自己放電中に発生したガスが溜まることにより、内部抵抗が上昇することが分かった。よって、自己放電中に発生したガスが前記凹部に溜まりにくい構造にすれば、長期放置中の自己放電による内部抵抗上昇が抑制されると考えた。
突起により凹部の開口部が部分的に閉塞されている場合には、凹部の深さ(D)が突起の高さ(T)よりも大きい(D>T)と、自己放電中の反応により生成されたガスが凹部に溜まり易い状況になる。これに対して、前記構成(b)のように、突起の高さ(T)を凹部の深さ(D)以上にする(D≦T)ことで、自己放電中の反応により生成されたガスが、セパレータと正極板の隙間に沿って移動し、極板群の外部に逃げ易くなる。
前記構成(b)を有する場合であって、一つの前記突起の幅方向一端の外側に、前記凹部の前記開口面が閉塞されていない第一露出面が存在し、前記一つの突起の幅方向他端の外側に、前記凹部の前記開口面が閉塞されていない第二露出面が存在する場合は、前記突起の幅W1と、前記凹部の最左端と最右端との間の前記幅方向での距離(幅W1に沿う方向の寸法)W2と、の比(W1/W2)が、0.10以上0.40以下であることが好ましい。
なお、W1/W2が0.10以上0.40以下を満たしていても、突起の幅W1が狭すぎると、突起に折れ曲がりや潰れが発生し、凹部内に入り込む可能性がある。また、凹部の体積が大き過ぎると、凹部に電解液が溜りやすくなって凹部内に濃硫酸が存在する状態となり、液抵抗が増加することで鉛蓄電池の内部抵抗が上昇し易くなる。
これらのことから、突起の幅W1は0.28mm以上1.12mm以下であることが好ましく、凹部の体積は0.1mm3以上1.0mm3以下であることが好ましい。なお、凹部は、通常、深さが最も小さくなるように形成される。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下に示す実施形態に限定されない。以下に示す実施形態では、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。
〔全体構成の説明〕
本発明の第一実施形態の鉛蓄電池は、従来公知のモノブロックタイプの電槽と、蓋と、六個の極板群とを有する。電槽は、隔壁により六個のセル室に区画されている。六個のセル室は電槽の長手方向に沿って配列されている。各セル室に一つの極板群が配置されている。各極板群は、複数枚の負極板および正極板と、セパレータと、負極ストラップと、正極ストラップと、負極ストラップから立ち上がる負極中間極柱と、正極ストラップから立ち上がる正極中間極柱とを有する。
負極板は、負極活物質を含む合剤が格子状基板に保持されている負極基板と、負極基板から上側に突出する耳とを有する。正極板は、正極活物質を含む合剤が格子状基板に保持されている正極基板と、正極基板から上側に突出する耳とを有する。複数枚の負極板および正極板は、セパレータを介して交互に配置されている。極板群を構成する負極板の枚数Mnは正極板の枚数Mpよりも一枚多い。
負極板は袋状セパレータ内に収納されている。そして、負極板が入った袋状セパレータと正極板とを交互に重ねることで、負極板と正極板との間にセパレータが配置された状態となっている。なお、正極板を袋状セパレータ内に収納して、負極板と交互に重ねてもよい。
図1に示すように、袋状セパレータ330は、板状の基部331と基部331の板面から突出する複数の筋状突起332とで構成されている。複数の筋状突起332は、互いに平行に配置され、長方形の袋状セパレータ330の一辺に沿ったZ33方向に延びている。Z33方向は、セル室の上下方向に対応する方向である。Z33方向に垂直な方向であって、セル室の配列方向(図2に記載のX33方向)にも垂直な方向をY33方向とする。基部331のY33方向の両端部がシール部331aである。
袋状セパレータ330は、ポリエチレン製などの市販の板状セパレータを用いて作製することができる。図2に示すように、第一の筋状突起332aおよび第二の筋状突起332bの断面形状は、基部331側の辺が大きい台形である。つまり、筋状突起332の幅(Y33方向に沿う寸法)は、基部331の幅W10の方が先端面の幅W1より大きい。このように、筋状突起332の幅が突出高さ方向で均一でない場合、先端面の幅W1を比(W1/W2)の算出に使用する。なお、筋状突起332の幅は長手方向においては均一である。
筋状突起332の高さ(X33方向の寸法)Tは、基部331の厚さ(X33方向の寸法)tより大きい。
なお、正極板を収納する場合は、基部331の突起が形成されている面を内側にして、Z33方向の位置で折り曲げて基部331同士を重ね、基部331のY33方向の両端をギヤシールすることで、袋状セパレータ330が得られる。
図3に示すように、正極板32のセパレータ33と対向する面に複数の凹部323が形成されている。全ての凹部323の形状は、開口面が菱形の四角錐である。また、セパレータ33の筋状突起332により、複数の凹部323の一部は、凹部323の開口面が部分的に閉塞されている。そして、筋状突起332の幅(Y33方向に沿う寸法)W1と、開口面が部分的に閉塞されている凹部323のY32方向(Y33方向と同じ方向)に沿う寸法(幅W1に沿う方向の寸法)W2との比(W1/W2)が0.10以上0.40以下になっている。
凹部323の寸法W2は、第一露出面323aの筋状突起332の幅方向一端側から最も離れた点P1および第二露出面323bの筋状突起332の幅方向他端側から最も離れた点P2を、筋状突起332の幅方向に沿う一直線(図4の基準線Lkに平行な一つの直線)に垂直投影した二点間の距離である。つまり、凹部323の寸法W2は、凹部323の最左端と最右端との間の幅方向での距離である。
図5および図6に示すように、筋状突起332の高さ(T)は凹部323の深さ(D)以上になっている(T≧D)。また、図5に示すように、正極板32の凹部323の開口面がセパレータ33の筋状突起332で閉塞されていない部分では、正極板32とセパレータ33の基部331との間に筋状突起332の高さ(T)分の隙間Sが存在する。隙間Sの向こう側に筋状突起332が見える。図6に示すように、正極板32の凹部323の開口面がセパレータ33の筋状突起332で閉塞されている部分では、正極板32とセパレータ33の基部331との間に筋状突起332が存在するため、隙間が存在しない。
実施形態の鉛蓄電池は、従来公知の方法によって、例えば以下の方法で製造することができる。
先ず、極板群を構成する化成前の負極板と正極板32とを作製する。
化成前の負極板の作製は、以下の方法で行う。先ず、負極基板となる前の格子状基板に耳が一体化された形状の集電体を鉛合金で形成し、この集電体の格子状基板に負極合剤形成用ペーストを充填する。次に、負極基板の両面に紙状体を貼り合わせ、その貼り合わせ体を一対のローラ間に通す。このローラとしては、表面に突起が形成されていないものを使用する。次に、ローラを通した後の化成前の負極板を複数枚重ねて、乾燥および熟成を行う。
得られた化成前の負極板を袋状セパレータ330内に入れ、袋状セパレータ330と正極板32を交互に積層することで、負極板と正極板32とがセパレータ33を介して積層された積層体(ストラップ未形成の極板群)を得る。
次に、極板群が電槽の各セル室に配置された状態で、抵抗溶接を行って隣接するセル間を電気的に直列に接続する。次に、電槽の上面と蓋の下面とを熱で溶かして蓋を電槽に載せ、熱溶着により電槽に蓋を固定する。なお、蓋を電槽に載せる際に、極柱を蓋の貫通穴に通す。
その後、蓋を貫通する穴として設けた注液孔からセル室内に、電解液(硫酸に硫酸アルミニウムを添加することでアルミ二ウムイオンを含んでいる)を注入した後、注液孔を塞ぐことなどの通常の工程を行うことにより、鉛蓄電池の組み立てを完成させる。その後、通常の条件で電槽化成を行うことで鉛蓄電池が得られる。
図7は、正極板32の凹部323の開口面がセパレータ33の筋状突起332で閉塞されていない部分における、凹部323と筋状突起332との関係を示す断面図であり、図5に対応する図である。図7では、図5で示されている紙状体324が省略されている。
第一実施形態の鉛蓄電池では、図7(a)に示すように、筋状突起332の高さ(T)が凹部323の深さ(D)以上になっていることにより、セパレータ33と正極板32との間に凹部323の深さ(D)以上の幅の隙間Sが存在するため、自己放電中に生成されて凹部323に入ったガスGが、隙間Sを通って極板群の外部に逃げることができる。極板群の外部に逃げたガスGは蓋に設けた排気口を通って電池外部に排出される。
これに対して、図7(b)に示すように、凹部323の深さ(D)が筋状突起332の高さ(T)よりも大きい(D>T)と、凹部323の深さ(D)よりも隙間Sが小さくなるため、凹部323に入ったガスGが隙間Sを通って極板群の外部に逃げにくい。
その結果、第一実施形態の鉛蓄電池は、長期放置中の自己放電による内部抵抗上昇が抑制されたものとなっている。
第二実施形態の鉛蓄電池は、以下の点を除いて第一実施形態の鉛蓄電池と同じである。正極板32の凹部323とセパレータ33の筋状突起332との配置が、第一実施形態の鉛蓄電池では図3に示す状態になっているが、第二実施形態の鉛蓄電池では図8に示す状態になっている。
図8に示すように、第二実施形態の鉛蓄電池では、正極板32の筋状突起332と対向する部分において、凹部323は筋状突起332により部分的に閉塞されているが、凹部323の開口面が閉塞されていない露出面は、筋状突起332の幅方向一端および他端のいずれか一方にのみ存在する。
また、筋状突起332により凹部323の開口面が閉塞されている面積が、第一実施形態の鉛蓄電池より少なくなっている。これにより、凹部323から隙間Sに向かうガスGの逃げ道が広くなるため、ガスが凹部323に溜まりにくくなる。
よって、第二実施形態の鉛蓄電池は、第一実施形態の鉛蓄電池よりも、自己放電中に生成されて凹部323に入ったガスGを隙間Sから極板群の外部に逃がす作用が大きいため、長期放置中の自己放電による内部抵抗上昇抑制効果が高くなる。
第三実施形態の鉛蓄電池は、以下の点を除いて第一実施形態の鉛蓄電池と同じである。正極板32の凹部323とセパレータ33の筋状突起332との配置が、第一実施形態の鉛蓄電池では図3に示す状態になっているが、第三実施形態の鉛蓄電池では図9に示す状態になっている。
図9に示すように、第三実施形態の鉛蓄電池では、セパレータ33の筋状突起332と正極板32の凹部323とが対向しない配置になっている。これにより、筋状突起332が、凹部323から隙間Sに向かうガスGの逃げ道を塞がないため、ガスが凹部323に溜まりにくくなる。
よって、第三実施形態の鉛蓄電池は、第二実施形態の鉛蓄電池よりも、自己放電中に生成されて凹部323に入ったガスGを隙間Sから極板群の外部に逃がす作用が大きいため、長期放置中の自己放電による内部抵抗上昇抑制効果が高くなる。
正極板32の凹部323とセパレータ33の筋状突起332との関係には、様々な関係が存在する。図10には、幅W1が同じ筋状突起332と、幅W1に沿った方向の寸法W2が同じ凹部323とによる、複数の例が表示されている。いずれの例でも、筋状突起332の高さ(T)は凹部323の深さ(D)以上となっていて、全ての例におけるTおよびDは同じである。
図10(a)および図10(b)の例では、正極板32の幅方向において、一つの筋状突起332が一つの凹部323を部分的に閉塞していて、比(W1/W2)が0.10以上0.40以下になっている。
図10(c)および図10(d)の例では、正極板32の幅方向において、二つの筋状突起332が一つの凹部323を部分的に閉塞している。図10(c)の例における二つの筋状突起332の間隔Δ31は、図10(d)の例における二つの筋状突起332の間隔Δ32より狭い。
図10(d)の例では、二つの筋状突起332により、凹部の開口面が閉塞されていない露出面が一面だけ存在し、その面積が図10(a)および図10(b)の例での各二つの露出面の合計面積よりも大きくなっている。図10の四つの例を比較すると、ガスGを抜けやすくできる効果は(d)>(b)>(a)>(c)となる。
図11(b)の例は、図11(a)の例よりも凹部323の開口面が小さい。また、比(W1/W2)が0.40を超えていて、凹部323の露出面の面積が小さいため、図11(a)の例よりもガスGが抜けにくい。
図11(c)の例では、凹部323の開口面が閉塞されていない露出面の面積が大きいため、ガスを抜けやすくできる効果は高いが、筋状突起332の幅W1が小さすぎる(W1/W2は0.10未満)ため、筋状突起332の強度が弱くなって変形してしまう。つまり、強度保持のために、筋状突起332の幅W1は一定値以上にする必要がある。
その他の実施形態の鉛蓄電池は、以下の点を除いて第一実施形態の鉛蓄電池と同じである。正極板の凹部とセパレータの筋状突起との配置が、図3や図8、図9に示す状態が混在した状態となっている。
上記各実施形態では正極板の凹部323の形状が四角錐になっているが、これ以外の形状であってもよい。図12には凹部323の開口面の形状の例が、図13には断面形状の例がそれぞれ示されている。
凹部323が筋状突起332により部分的に閉塞されている場合、凹部232の開口面の形状は、Z32方向の上側(つまり、ガスGが上昇して抜ける方向)が下側よりも広がっている形状であると、ガスGが抜けやすいため好ましい。よって、図12(a)の例は図12(b)の例よりも好ましい。また、図12(c)の例および図12(d)の例は図12(e)の例よりも好ましい。
凹部323が筋状突起332により部分的に閉塞されている場合、凹部232の断面形状は、ガスGが抜けやすい形状となっていることが好ましい。図13(c)の例は、図13(a)の例および図13(b)の例よりも、ガスGが抜けやすい形状であるため好ましい。また、図13(d)の例は図13(e)の例よりも、ガスGが抜けやすい形状であるため好ましい。
実施形態の鉛蓄電池と同じ構造の鉛蓄電池として、サンプルNo.1~No.20の鉛蓄電池を、実施形態に記載された従来公知の方法で作製した。具体的には、N-55型(外形寸法および端子形状はJIS B24と同じ)のアイドリングストップ用液式鉛蓄電池であって、20時間容量が45Ah、動作電圧が12Vの鉛蓄電池を作製した。
サンプルNo.1~No.20の鉛蓄電池は、表1に示すように、それぞれ、正極板の凹部の深さ(D)、セパレータの筋状突起の高さ(T)、正極板の凹部とセパレータの筋状突起との配置、および比(W1/W2)の少なくともいずれかが異なるものであり、それ以外の点は全て同じ構成を有する。
正極板の凹部とセパレータの筋状突起との配置の変更は、図3の配置では正極板の複数の凹部を通常通りに均一に配置するのに対して、図9の配置では、正極板のセパレータの筋状突起と対向する部分には凹部を形成しないことで行った。比(W1/W2)の変更は、筋状突起の幅W1が異なる板状セパレータを用いて袋状セパレータを作製することで行った。
各極板群を構成する正極板の枚数は7枚、負極板の枚数は8枚にした。
得られたNo.1~20の鉛蓄電池を温度25℃の雰囲気に48時間静置した後、内部抵抗を測定して、その測定値を内部抵抗の初期値とした。次に、各鉛蓄電池を温度25℃の雰囲気に30日放置した後に、内部抵抗を測定した。この測定値を自己放電後の内部抵抗値とした。次に、これらの値を、以下に示す内部抵抗上昇率(%)の式に代入して、内部抵抗上昇率を算出した。
内部抵抗上昇率(%)=((自己放電後の内部抵抗値-内部抵抗の初期値)/内部抵抗の初期値))×100
また、No.10~No.14の鉛蓄電池については、負極板が入った袋状セパレータと正極板とを交互に積み重ねて積層体とした際に、積層体の自重により筋状突起につぶれや折れ曲りなどの不具合が発生するかどうかを調べた。
これらの試験結果を、正極の凹部とセパレータの筋状突起との関係とともに表1に示す。また、配置のみが異なるNo.4とNo.15、No.5とNo.16、No.6とNo.17を、表2にまとめて示した。
また、W1/W2のみが異なるNo.10~No.14の鉛蓄電池のうち、W1/W2が0.10以上0.40以下の範囲にあるNo.11~13の鉛蓄電池は、内部抵抗上昇率が8%以下と特に低くなっているとともに、突起の不具合も無かった。これに対して、W1/W2が0.40を超えるNo.10の鉛蓄電池は、内部抵抗上昇率が10%となっていた。また、W1/W2が0.10未満であるNo.14の鉛蓄電池では、突起に不具合が生じた。
図9の配置になっているNo.15~No.20の鉛蓄電池のうち、凹部の深さDが0.5以下であるNo.15、No.16、No.18~20の鉛蓄電池は、内部抵抗上昇率が10%以下となっていた。
以上の結果から次のことが分かった。図3の配置になっている場合は、D≦Tを満たすことで、長期放置中の自己放電による内部抵抗の上昇率が所定の基準内に抑えられ、これに加えてW1/W2が0.10以上0.40以下の範囲にあることで、内部抵抗上昇がさらに抑えられるとともに、突起の不具合が解消できる。また、図9の配置にすることで、内部抵抗上昇の抑制効果がより一層高くなる。
323 正極板の凹部
323a 凹部の第一露出面
323b 凹部の第二露出面
324 合剤を押さえる紙状体
33 セパレータ
330 袋状セパレータ
331 セパレータの基部
331a シール部
332 セパレータの筋状突起
332a セパレータの第一の筋状突起
332b セパレータの第二の筋状突起
Claims (4)
- 電解液が入ったセル室と、前記セル室に収納された極板群と、を備え、
前記極板群は、交互に配置された負極板および正極板と、前記負極板と前記正極板との間に配置されたセパレータと、を有し、
前記正極板の前記セパレータと対向する面に複数の凹部が形成され、
前記セパレータの前記正極板と対向する面に、前記セル室の上下方向に延びる筋状の突起が前記正極板の幅方向に間隔を開けて複数形成され、
前記突起により前記凹部の開口面が部分的に閉塞され、
前記突起の高さ(T)が前記凹部の深さ(D)以上である鉛蓄電池。 - 一つの前記突起の幅方向一端の外側に、前記凹部の前記開口面が閉塞されていない第一露出面が存在し、
前記一つの突起の幅方向他端の外側に、前記凹部の前記開口面が閉塞されていない第二露出面が存在し、
前記突起の幅W1と、前記凹部の最左端と最右端との間の前記幅方向での距離W2と、の比(W1/W2)が、0.10以上0.40以下である請求項1記載の鉛蓄電池。 - 電解液が入ったセル室と、前記セル室に収納された極板群と、を備え、
前記極板群は、交互に配置された負極板および正極板と、前記負極板と前記正極板との間に配置されたセパレータと、を有し、
前記正極板の前記セパレータと対向する面に複数の凹部が形成され、
前記凹部は、前記面における前記セル室の上下方向および前記正極板の幅方向にそれぞれ複数配置され、
前記セパレータの前記正極板と対向する面に、前記セル室の上下方向に延びる筋状の突起が前記正極板の幅方向に間隔を開けて複数形成され、
前記突起は、前記正極板に対しては、前記凹部以外の部分のみと対向し、
前記凹部の深さは0.5mm以下である鉛蓄電池。 - 前記正極板は、前記セパレータ側の面に配置されて正極活物質を含む合剤を押さえる紙状体を有し、
前記凹部は、前記紙状体から前記合剤に至る凹部である請求項1~3のいずれか一項に記載の鉛蓄電池。
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