JP7014195B2 - 封止材、該封止材により封止されている半導体装置及び該封止材を有する半導体パッケージの製造方法 - Google Patents
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Description
樹脂含浸繊維基材層の片面に未硬化樹脂層を有する封止材であって、
該樹脂含浸繊維基材層が、環状イミド化合物を含む熱硬化性樹脂組成物(X)を繊維基材に含浸し、半硬化又は硬化したものであり、
該未硬化樹脂層が、環状イミド化合物を含む熱硬化性樹脂組成物(Y)から形成されたものであり、
前記熱硬化性樹脂組成物(X)及び前記熱硬化性樹脂組成物(Y)に含まれる環状イミド化合物が、分子中に、少なくとも1つのダイマー酸骨格、少なくとも1つの炭素数6以上の直鎖アルキレン基及び少なくとも2つの環状イミド基を含有する環状イミド化合物である、封止材。
前記環状イミド化合物が下記一般式(1)で表されるものであることを特徴とする<1>に記載の封止材。
前記式(1)のAが下記構造のいずれかで表されることを特徴とする<2>に記載の封止材。
前記熱硬化性樹脂組成物(X)及び/又は前記熱硬化性樹脂組成物(Y)が、下記成分(A)~(C)を含むものである、<2>又は<3>に記載の封止材。
(A)分子中に、少なくとも1つのダイマー酸骨格、少なくとも1つの炭素数6以上の直鎖アルキレン基及び少なくとも2つの環状イミド基を含有する環状イミド化合物
(B)無機充填材
(C)硬化促進剤
<1>~<4>のいずれか1項に記載の封止材により封止されている半導体装置。
基板又はウエハの半導体素子搭載面に、半導体素子を搭載する工程、
<1>~<4>のいずれか1項に記載の封止材の未硬化樹脂層により該半導体素子搭載面を被覆する工程、及び
前記未硬化樹脂層を加熱、硬化させることで、前記半導体素子搭載面及び/又は形成面を一括封止する工程
を有する半導体パッケージの製造方法。
<6>に記載の一括封止する工程に次いで、個片化する工程を含むことを特徴とする半導体パッケージの製造方法。
図1は本発明の封止材の一例を示す断面図である。本発明の封止材10は、繊維基材に熱硬化性樹脂組成物(X)を含浸させて、該熱硬化性樹脂組成物(X)を半硬化又は硬化した樹脂含浸繊維基材層1と、該樹脂含浸繊維基材層の片面に未硬化の熱硬化性樹脂組成物(Y)から形成される未硬化樹脂層2とを有することを特徴とする。
さらに本発明の封止材は、前記熱硬化性樹脂組成物(X)及び前記熱硬化性樹脂組成物(Y)が、分子中に、少なくとも1つのダイマー酸骨格、少なくとも1つの炭素数6以上の直鎖アルキレン基、及び少なくとも2つの環状イミド基を含有する環状イミド化合物を含有することを特徴とする。
また本発明の封止材は、図1に示すように、該樹脂含浸繊維基材層の片面に、樹脂含浸繊維基材層よりも小さい面積の未硬化樹脂層を有することが好ましく、より好ましくは、未硬化樹脂層の樹脂含浸繊維基材層と接触する面の面積が、前記樹脂含浸繊維基材層の未硬化樹脂層と接触する面の面積の85~98%である。
本発明の封止材は上記のように、樹脂含浸繊維基材層を有する。該樹脂含浸繊維基材層は、繊維基材に環状イミド化合物を含む熱硬化性樹脂組成物(X)を含浸させて、該熱硬化性樹脂組成物(X)を半硬化又は硬化したものである。本発明の封止材は、前記樹脂含浸繊維基材層を具備することにより、後述する未硬化樹脂層を硬化させた時の収縮応力を抑制できるため、大径ウエハや金属等の大径基板を封止した場合でも、基板やウエハの反り、基板からの半導体素子の剥離を抑えることができる。特にウエハの口径が300mm以上で、かつ厚さが200μm以下の大口径薄膜状のウエハを封止した場合でも破損抑制できるため、口径300mm以上かつ厚さ200μm以下の大口径薄膜状のウエハの封止に本発明は効果的である。
本発明の封止材を構成する樹脂含浸繊維基材層には、環状イミド化合物を含む熱硬化性樹脂組成物(X)が含まれる。該熱硬化性樹脂組成物(X)は、(A)環状イミド化合物を含み、好ましくはさらに(B)無機充填材及び(C)硬化促進剤を含むものである。
(A)環状イミド化合物
(A)成分は環状イミド化合物であって、分子中に、少なくとも1つのダイマー酸骨格、少なくとも1つの炭素数6以上の直鎖アルキレン基、及び少なくとも2つの環状イミド基を有する。(A)成分の環状イミド化合物が炭素数6以上の直鎖アルキレン基を有することで、これを含む組成物の硬化物を低弾性化することができ、硬化物による半導体装置へのストレス低減に効果的である。また、(A)成分の環状イミド化合物が炭素数6以上の直鎖アルキレン基を有することで、これを含む組成物の硬化物は優れた誘電特性を有するだけでなく、相対的にフェニル基の含有比率が低下し、耐トラッキング性も向上する。
また、式(1)中のRはアルキル基であり、直鎖のアルキル基でも分岐のアルキル基でもよく、これらの炭素数は6以上であるが、好ましくは6以上12以下である。
また、式(1)中のBは2価のヘテロ原子を含んでもよい脂肪族環を有する炭素数6から18のアルキレン鎖であり、該アルキレン基の炭素数は好ましくは炭素数8以上15以下である。
式(1)中のnは1~10の整数であり、好ましくは2~7の整数である。式(1)中のmは0~10の整数であり、好ましくは0~7の整数である。
なお、本発明中で言及する重量平均分子量(Mw)とは、下記条件で測定したGPCによるポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量を指すこととする。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.35mL/min
検出器:RI
カラム:TSK-GEL Hタイプ(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL
また、環状イミド化合物は1種単独で使用しても2種以上を併用しても構わない。
熱硬化性樹脂組成物(X)中、(A)環状イミド化合物は5~50質量%含むことが好ましく、10~45質量%含むことがより好ましい。
無機充填材としては、基板の熱膨張係数や剛性を改善するために半導体封止材に一般的に使用されるものを用いることができ、例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、アルミノシリケート、窒化ホウ素、ガラス繊維、三酸化アンチモン等が挙げられる。
(B)成分の無機充填材の平均粒径及び形状は特に限定されないが、平均粒径は通常0.1~40μmである。(B)成分としては、平均粒径が0.5~40μmの球状シリカが好適に用いられる。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めた値である。
(B)成分の無機充填材の配合量は、(A)環状イミド化合物100質量部に対して、100~700質量部とすることが好ましい。
硬化促進剤としては、(A)成分の環状イミド化合物の反応性、硬化性を高めるために一般的に使用されるものを用いることができ、例えば、ジクミルパーオキサイド、t-ヘキシルハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイドなどの熱ラジカル重合開始剤が挙げられる。また、(C)成分の硬化促進剤は、種類に関わらず、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(C)成分の硬化促進剤の配合量は、(A)環状イミド化合物100質量部に対して、0.1~5.0質量部とすることが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物(X)には、更に必要に応じてその他の成分を配合できる。該その他の成分として本発明の効果を損なわない範囲で、樹脂特性を改善するためにオルガノポリシロキサン、シリコーンオイル、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、光安定剤、顔料、染料等を配合してもよいし、濡れ性向上や封止樹脂層との密着性向上のためにカップリング剤、電気特性改善のためのイオントラップ剤、難燃性を付与するためのリン化合物や金属水和物を代表とする非ハロゲン系の難燃剤等を配合してもよい。
必要に応じてエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、エポキシ-シリコーンハイブリッド樹脂など(A)成分中の環状イミド基と反応しうる官能基を有する熱硬化性樹脂成分を硬化が損なわれない範囲で併用しても構わない。
熱硬化性樹脂組成物(X)は、さらに(D)顔料を含むものが好ましい。
(D)顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック等が挙げられる。(D)成分の顔料の配合量は、(A)環状イミド化合物100質量部に対して、0.5~4.0質量部とすることが好ましい。
前記繊維基材としては、例えば炭素繊維、E-ガラス繊維及びT-ガラス繊維等のガラス繊維、石英ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維;芳香族ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維等の有機繊維;さらには炭化ケイ素繊維、炭化チタン繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維等が例示される。中でも、絶縁性、基板の剛性などの観点からガラス繊維、石英ガラス繊維、炭素繊維が好ましく、より好ましくはE-ガラス繊維、T-ガラス繊維、石英ガラス繊維である。
前記繊維基材に前記熱硬化性樹脂組成物(X)を含浸させる方法としては、溶剤法とホットメルト法のいずれでもよい。溶剤法とは前記熱硬化性樹脂組成物(X)を有機溶剤に溶解した樹脂ワニスを調製し、該樹脂ワニスを前記繊維基材に含浸させる方法であり、ホットメルト法とは固体の前記熱硬化性樹脂組成物(X)を加熱融解して前記繊維基材に含浸させる方法である。
なお、樹脂含浸繊維基材は熱硬化性樹脂組成物(X)を含浸し、硬化又は半硬化した後、150~200℃の温度で2~8時間ポストキュアすることが好ましい。
本発明の封止材は未硬化樹脂層を有する。該未硬化樹脂層は、前記樹脂含浸繊維基材層の片面に、未硬化の熱硬化性樹脂組成物(Y)から形成されたものである。未硬化樹脂層は、半導体素子を封止するための樹脂層である。そして、本発明の未硬化樹脂層は前述の(A)成分である特定の環状イミド化合物を含有することを特徴とする。
本発明の封止材を構成する未硬化樹脂層は、環状イミド化合物を含む熱硬化性樹脂組成物(Y)から形成されるものである。該熱硬化性樹脂組成物(Y)は、前述の(A)成分である特定の環状イミド化合物を含み、好ましくはさらに前述の(B)無機充填材及び(C)硬化促進剤を含むものである。(A)、(B)及び(C)成分の具体例及び配合量は、前述した熱硬化性樹脂組成物(X)と同様である。
熱硬化性樹脂組成物(Y)には、更に必要に応じてその他の成分を配合することができる。該その他の成分として本発明の効果を損なわない範囲で、樹脂特性を改善するためにオルガノポリシロキサン、シリコーンオイル、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、光安定剤、顔料、染料、離型剤等を配合してもよいし、濡れ向上や封止樹脂層との密着性向上のためにカップリング剤、電気特性を改善するためにイオントラップ剤、難燃性を付与させるためのリン化合物や金属水和物を代表とする非ハロゲン系の難燃剤等を配合してもよい。
熱硬化性樹脂組成物(Y)としては、さらに(D)顔料及び(E)カップリング剤を含むことが好ましい。
(D)顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック等が挙げられる。(D)成分の顔料の配合量は、(A)環状イミド化合物100質量部に対して、0.5~4.0質量部とすることが好ましい。
(E)カップリング剤としては、エポキシ官能性アルコキシシラン(例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等)、メルカプト官能性アルコキシシラン(例えばγ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等)、アミン官能性アルコキシシラン(例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等)等が挙げられる。
(E)成分のカップリング剤の配合量は、(A)環状イミド化合物100質量部に対して、0.5~5.0質量部とすることが好ましい。
本発明の封止材は、樹脂含浸繊維基材層と未硬化樹脂層とに、同じ環状イミド化合物を用いることにより、封止後のウエハの反りを抑制することができ、また樹脂含浸繊維基材層と未硬化樹脂層の密着力が向上する。
本発明の封止材の作製方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
まず、熱硬化性樹脂組成物(X)及び熱硬化性樹脂組成物(Y)をそれぞれ調製する。調製方法は特に制限されるものではなく、上述した各成分を所定の組成比で配合し、ミキサー等によって十分均一に混合、撹拌、溶解、分散及び/又は溶融混練させる方法が挙げられる。各成分は、同時に又は別々に配合してもよく、必要に応じて加熱しながら混合等を行なってもよい。混合等を行なう装置は、特に限定されないが、具体的には、撹拌及び加熱装置を備えたライカイ機、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、プラネタリーミキサー及びマスコロイダー等が挙げられ、これらの装置を適宜組み合わせて使用してもよい。
次に、熱硬化性樹脂組成物(X)と繊維基材とから、上述した方法により樹脂含浸繊維基材を作製し、樹脂含浸繊維基材層とする。
次に、樹脂含浸繊維基材層の片面に、熱硬化性樹脂組成物(Y)を用いて未硬化樹脂層を形成する。ここで、未硬化樹脂層に用いる熱硬化性樹脂組成物(Y)が未硬化状態では室温(25℃)で液状である場合、樹脂含浸繊維基材層の片面に、減圧又は真空下で、印刷やディスペンス等で該熱硬化性樹脂組成物(Y)を塗布し、加熱することで、50℃以下で固体状の未硬化樹脂層を形成することができる。一方、未硬化樹脂層に用いる熱硬化性樹脂組成物(Y)が未硬化状態では室温(25℃)で固体である場合、樹脂含浸繊維基材の片面に、該熱硬化性樹脂組成物(Y)を加熱しながら加圧する方法や溶剤を適量添加して該熱硬化性樹脂組成物(Y)を液状化し印刷などで薄膜を形成し、溶剤を減圧下で加熱して除去する方法で、均一に樹脂含浸繊維基材の片面に未硬化樹脂層を形成できるが、未硬化樹脂層にボイドを発生させないために溶剤を使用しないことが好ましい。
本発明は、2個以上の半導体素子が搭載された基板又はウエハの半導体素子搭載面が、上述の封止材の未硬化樹脂層によって一括封止されたものであることを特徴とする半導体パッケージを提供する。
以上のように、本発明の封止材であれば、特にチップオンウエハ(CoW)パッケージに特化し、大径ウエハを封止した場合であっても、ウエハの反り、半導体素子の剥離を抑制しながら半導体素子を搭載したウエハの半導体素子搭載面をウエハレベルで一括封止できる。したがって、本発明の封止材は、チップオンウエハパッケージの封止用に有用である。
さらに、本発明は、上述の半導体パッケージが個片化されたものである半導体パッケージ(半導体装置)を提供する。
また、本発明は、半導体パッケージ(半導体装置)を製造する方法を提供する。半導体パッケージの製造方法は、半導体素子搭載工程、被覆工程及び封止工程を有し、必要に応じてさらに個片化工程を有する。
半導体素子搭載工程は、基板又はウエハの半導体素子搭載面に、半導体素子を搭載する工程である。本工程で搭載する半導体素子は2個以上であることが好ましい。半導体素子を搭載する方法としては、特に限られず、公知の方法を使用でき、例えば、接着剤、好ましくは高温で接着力が低下する接着剤を介して搭載することが好ましい。
<被覆工程>
被覆工程は、封止材10の未硬化樹脂層2により、ウエハ5の半導体素子3が搭載された半導体素子搭載面を被覆する工程である。
封止工程は、封止材の未硬化樹脂層2を加熱、硬化して硬化後の樹脂層2’とすることで、ウエハ5の半導体素子3が搭載された半導体素子搭載面を一括封止する工程である。
以上より、ウエハレベルの半導体パッケージを得ることができる。
個片化工程は、封止工程後得られたウエハレベルの半導体パッケージをダイシングし、個片化する工程である。これにより、個片化された半導体パッケージ(半導体装置)12を得ることができる。
2つのプレートのプレート温度を150℃に設定し、下側プレート上にシリコンチップを搭載したウエハをセットし、封止材の未硬化樹脂層面を前述のウエハの半導体素子(シリコンチップ)搭載面に合わせてセットする。その後、下側プレートが上昇し、下側プレート上にセットされたウエハを囲むように設置されたOリングにより上下のプレートが密着して真空チャンバーが形成され、該真空チャンバー内が減圧される。真空チャンバー内が十分に減圧されたら、上側プレートのダイアフラムラバーとヒーターの間から真空ポンプにつながる配管の弁を閉じ、圧縮空気を送り込む。それにより、上側のダイアフラムラバーが膨張しウエハと繊維含有樹脂基板を上側のダイアフラムラバーと下側のプレートで挟み、真空ラミネーションを行うと同時に熱硬化性樹脂の硬化が進行し、封止が完了する。硬化時間としては3~20分程度あれば十分である。真空ラミネーションが完了したら真空チャンバー内を常圧に戻し、下側プレートを下降させ、封止したウエハを取り出す。上記工程によりボイドや反りのない基板の封止を行うことができる。取り出した基板は通常、150~200℃の温度で1~8時間ポストキュアすることで電気特性や機械特性を安定化させることができる。
なお、半導体素子搭載及び個片化工程は、常法に従えばよい。
下記式(2)で示される環状イミド化合物(商品名:BMI-3000J、Designer Molecules Inc.製)100質量部、
粒径0.5μmのシリカ(商品名:SO-25R、(株)アドマテックス製)150質量部、
黒色顔料としてカーボンブラック(商品名:3230B、三菱化学製)3質量部、及び
過酸化物(パークミルD、日油(株)製)2.0質量部に、
トルエン300質量部を加えて攪拌混合し、環状イミド化合物を含む熱硬化性樹脂組成物のトルエン分散液を調製した。
この環状イミド化合物を含む熱硬化性樹脂組成物のトルエン分散液に、繊維基材としてTガラスクロス(日東紡績製、厚さ:42μm)を浸漬することにより、環状イミド化合物を含む熱硬化性樹脂組成物のトルエン分散液をTガラスクロスに含浸させた。該ガラスクロスを120℃で15分間放置することによりトルエンを揮発させた。該ガラスクロスを175℃で5分間加熱成型して成型品を得、更にこれを180℃で2時間加熱(2次硬化)することで、含浸させた環状イミド化合物を含む熱硬化性樹脂組成物を硬化させ、環状イミド化合物を含む熱硬化性樹脂組成物が硬化状態で繊維基材に含浸された、樹脂含浸繊維基材X1を作製した。該樹脂含浸繊維基材X1は、繊維基材の両面に環状イミド化合物を含む熱硬化性樹脂組成物の硬化物層が形成されたものであり、その大きさは400mm×500mm、厚さ0.12mmであった。その後、該樹脂含浸繊維基材X1を直径300mm(12インチ)の円板状に切断した。この樹脂含浸繊維基材X1の0℃から200℃における線膨張係数は7ppm/℃であった。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:EPICLON-N695、DIC製)60質量部、
フェノールノボラック樹脂(商品名:TD2090、DIC製)30質量部、
粒径0.5μmのシリカ(商品名:SO-25R、(株)アドマテックス製)150質量部、
黒色顔料としてカーボンブラック(商品名:3230B、三菱化学製)3質量部、及び
トリフェニルホスフィン(TPP、北興化学工業(株)製)0.6質量部に、
トルエン300質量部を加えて攪拌混合し、エポキシ樹脂組成物のトルエン分散液を調製した。
このエポキシ樹脂組成物のトルエン分散液に、繊維基材としてTガラスクロス(日東紡績製、厚さ:88μm)を浸漬することにより、エポキシ樹脂組成物のトルエン分散液をTガラスクロスに含浸させた。該ガラスクロスを120℃で15分間放置することによりトルエンを揮発させた。該ガラスクロスを175℃で5分間加熱成型して成型品を得、更にこれを180℃で4時間加熱(2次硬化)することで、含浸させたエポキシ樹脂組成物を硬化させ、エポキシ樹脂組成物が硬化状態で繊維基材に含浸された、樹脂含浸繊維基材X2を作製した。該樹脂含浸繊維基材X2は、繊維基材の両面にエポキシ樹脂組成物の硬化物層が形成されたものであり、その大きさは400mm×500mm、厚さ0.12mmであった。その後、該樹脂含浸繊維基材X2を直径300mm(12インチ)の円板状に切断した。この熱硬化性エポキシ樹脂含浸繊維基材X2の0℃から200℃における線膨張係数は7ppm/℃であった。
前記式(2)で示される環状イミド化合物(商品名:BMI-3000J、Designer Molecules Inc.製)100質量部、
粒径4μmのシリカ(商品名:MUF-4H、(株)龍森製)250質量部、
黒色顔料としてカーボンブラック(商品名:3230B、三菱化学製)3質量部、
過酸化物(パークミルD、日油(株)製)2.0質量部、及び
シランカップリング剤(KBM-403、信越化学工業(株)製)1.0質量部を高速混合装置で十分混合し、Tダイを取り付けた連続混練装置にて、加熱溶融混練してシート状の、環状イミド化合物を含む熱硬化性樹脂組成物Y1を得た。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:EPICLON-N655、DIC製)60質量部、
フェノールノボラック樹脂(商品名:TD2131、DIC製)40質量部、
粒径4μmのシリカ(商品名:MUF-4H、(株)龍森製)250質量部、
黒色顔料としてカーボンブラック(商品名:3230B、三菱化学製)3質量部、
トリフェニルホスフィン(TPP、北興化学工業(株)製)0.6質量部、及び
シランカップリング剤(KBM-403、信越化学工業(株)製)1.0質量部を高速混合装置で十分混合し、Tダイを取り付けた連続混練装置にて、加熱溶融混練してシート状の、熱硬化性エポキシ樹脂組成物Y2を得た。
あらかじめ直径300mmの円型に切り出しておいた樹脂含浸繊維基材X1又はX2を減圧下で加熱圧縮できる圧縮成形装置の下金型上にセットし、その上にシート状の熱硬化性樹脂組成物Y1又は熱硬化性エポキシ樹脂組成物Y2を必要重量分だけ乗せた。上下の金型温度を80℃にし、上金型にはフッ素樹脂コートしたPETフィルム(剥離フィルム)をセットして金型内を真空レベルまで減圧し、30秒間圧縮成形して樹脂含浸繊維基材層の片面に未硬化樹脂層を有する封止材を作製した。
なお、各例の封止材において、それぞれ、未硬化樹脂層の樹脂含浸繊維基材層と接触する面の面積は、前記樹脂含浸繊維基材層の未硬化樹脂層と接触する面積の95%であった。
次に、ニチゴーモートン社製のプレート温度を150℃に設定した真空ラミネーション装置を用いて、上記で作製した封止材によりウエハを被覆、封止した。
まず、直径300mm(12インチ)で厚みが200μm、400μm又は725μmのシリコンウエハ上に、高温で接着力が低下する接着剤を介して、個片化した半導体素子である400個のシリコンチップ(形状:10mm×10mm 厚み250μm)を整列し搭載したシリコンウエハを作製した。該シリコンウエハを真空ラミネーション装置の下側プレートにセットし、上記で作製した封止材の未硬化樹脂層面をシリコンウエハの半導体素子搭載面に合わせて、該未硬化樹脂層により半導体素子搭載面を被覆した。その後、真空ラミネーション装置のプレートを閉じ10分間真空圧縮成形することで硬化封止した。硬化封止後、180℃で4時間ポストキュアして、半導体パッケージを得た。なお、封止材に使用した樹脂含浸繊維基材層と未硬化樹脂層の組合せは表1に記載したとおりであり、樹脂含浸繊維基材層の欄が「無」のものは、樹脂含浸繊維基材X1及びX2のいずれも使用せずに成形を行ったことを意味する。
2 未硬化樹脂層
2’ 硬化後の樹脂層
3 半導体素子
4 接着剤
5 ウエハ
10 封止材
11 半導体パッケージ
12 個片化された半導体パッケージ(半導体装置)
Claims (7)
- 樹脂含浸繊維基材層の片面に未硬化樹脂層を有する封止材であって、
該樹脂含浸繊維基材層が、環状イミド化合物を含む熱硬化性樹脂組成物(X)を繊維基材に含浸し、半硬化又は硬化したものであり、
該未硬化樹脂層が、環状イミド化合物を含む熱硬化性樹脂組成物(Y)から形成されたものであり、
前記熱硬化性樹脂組成物(X)及び前記熱硬化性樹脂組成物(Y)に含まれる環状イミド化合物が、分子中に、少なくとも1つのダイマー酸骨格、少なくとも1つの炭素数6以上の直鎖アルキレン基及び少なくとも2つの環状イミド基を含有する環状イミド化合物である、封止材。 - 前記熱硬化性樹脂組成物(X)及び/又は前記熱硬化性樹脂組成物(Y)が、下記成分(A)~(C)を含むものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の封止材。
(A)分子中に、少なくとも1つのダイマー酸骨格、少なくとも1つの炭素数6以上の直鎖アルキレン基及び少なくとも2つの環状イミド基を含有する環状イミド化合物(B)無機充填材
(C)硬化促進剤 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の封止材により封止されている半導体装置。
- 基板又はウエハの半導体素子搭載面に、半導体素子を搭載する工程、
請求項1~4のいずれか1項に記載の封止材の未硬化樹脂層により該半導体素子搭載面を被覆する工程、及び
前記未硬化樹脂層を加熱、硬化させることで、前記半導体素子搭載面を一括封止する工程
を有する半導体パッケージの製造方法。 - 請求項6に記載の一括封止する工程に次いで、個片化する工程を含むことを特徴とする半導体パッケージの製造方法。
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