JP7013769B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置に関する。
電子写真法による画像の形成は、例えば、像保持体表面を帯電させた後、この像保持体表面に画像情報に応じて静電荷像を形成し、次いでこの静電荷像を、トナーを含む現像剤で現像してトナー画像を形成し、このトナー画像を記録媒体表面に転写及び定着することにより行われる。
ここで、特許文献1には、「結着樹脂が、70~85モル%の芳香族ジカルボン酸成分(a)と15~30モル%の3価以上の多価カルボン酸成分(b)とからなるカルボン酸成分1モルに対し、0.1~1.2モルのプロポキシ化及び/又はエトキシ化したエーテル化ジフェノール成分(c)及び0.01~0.15モルの脂肪族ジオール成分(d)及びを縮合せしめてなる、酸価が6~15mgKOH/g、重量平均分子量Mwが15,000~60,000、数平均分子量Mnが2,000~4,000、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が6~18で、ガラス転移点が50~60℃、及び軟化点が100~120℃のポリエステル樹脂であることを特徴とする電子写真用トナー、及びそのトナーを適用した画像形成装置。」が開示されている。
特許文献2には、「現像剤保持体と、現像容器内の現像剤を現像剤保持体に供給する現像剤供給部材と、現像剤保持体上に保持される現像剤の層厚を規制する丸棒状で磁性を有する層規制部材と、現像剤供給部材から供給される現像剤を押し当てた状態で現像剤保持体側に案内する現像剤案内部材とを備え、現像材保持体が、現像剤吸着位置に設けられる吸着用磁極と、現像回転体の中心と層規制部材の最近接点とを結ぶ直線よりも現像回転体の回転方向下流側に位置する層規制位置に設けられる層規制用磁極5aとを有し、現像剤案内部材の押し当て壁9aは現像剤供給部材の外周縁のうち層規制部材側の鉛直線Lよりも現像剤供給部材7側に突出する現像装置を備える画像形成装置。」が開示されている。
特開2000-056604号公報 特開2015-191022号公報
ところで、電子写真方式の画像形成装置では、像保持体の表面に形成された静電荷像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー画像を形成し、このトナー画像を像保持体から記録媒体の表面に転写した後、トナー画像が定着されることで記録媒体上に画像が形成される。このトナーとして、結着樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂を含有し、トナー粒子のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定における、重量平均分子量をMw(A)、数平均分子量をMn(A)としたとき、Mw(A)が25000以上60000以下であり、Mw(A)/Mn(A)が5以上10以下であり、トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における、波数720cm-1の吸光度に対する波数1500cm-1の吸光度の比が0.6以下であり、波数720cm-1の吸光度に対する波数820cm-1の吸光度の比が0.4以下であるトナー粒子と外添剤とを含むトナー(以下「特定トナー」とも称する)を有する静電荷像現像剤を適用した場合に、高温高湿環境下でトナー粒子に外添剤が埋没することがあった。
そこで、本発明の課題は、特定トナーを適用した画像形成装置において、現像剤保持体の回転部材の回転方向上流側の先端が角部となっている層規制部材を有する現像手段を備える場合に比べ、高温高湿環境下で生じるトナー粒子への外添剤の埋没を抑制する画像形成装置を提供することである。
上記課題は、以下の本発明によって解決される。即ち、
に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
結着樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂を含有し、トナー粒子のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定における、重量平均分子量をMw(A)、数平均分子量をMn(A)としたとき、Mw(A)が25000以上60000以下であり、Mw(A)/Mn(A)が5以上10以下であり、トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における、波数720cm-1の吸光度に対する波数1500cm-1の吸光度の比が0.6以下であり、波数720cm-1の吸光度に対する波数820cm-1の吸光度の比が0.4以下であるトナー粒子と外添剤とを含むトナーを有する静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段であって、回転不能に支持された磁石部材、および前記磁石部材の外周を囲んで配置されて表面に前記静電荷像現像剤を保持して回転する回転部材を有する現像剤保持体と、前記回転部材の表面に保持された静電荷像現像剤の層厚を規制する層規制部材であって、前記回転部材の回転方向上流側の先端が湾曲している層規制部材と、を備える現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
に係る発明は、
前記トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における、波数720cm-1の吸光度に対する波数1500cm-1の吸光度の比が0.5以下であり、波数720cm-1の吸光度に対する波数820cm-1の吸光度の比が0.3以下であるに記載の画像形成装置。
に係る発明は、
前記トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における、波数720cm-1の吸光度に対する波数1500cm-1の吸光度の比が0.2以上であり、波数720cm-1の吸光度に対する波数820cm-1の吸光度の比が0.05以上である又はに記載の画像形成装置。
に係る発明は、
前記トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における、波数1500cm-1の吸光度に対する波数820cm-1の吸光度の比が0.5以下であるのいずれか1項に記載の画像形成装置。
に係る発明は、
前記トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における、波数1500cm-1の吸光度に対する波数820cm-1の吸光度の比が0.4以下であるに記載の画像形成装置。
に係る発明は、
前記トナー粒子のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定によって得られた分子量分布曲線のピーク分子量が、7000以上11000以下であるのいずれか1項に記載の画像形成装置。
に係る発明は、
前記トナー粒子のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定によって得られた分子量分布曲線のピーク分子量が、8000以上11000以下であるに記載の画像形成装置。
に係る発明は、
前記トナー粒子のトルエン不溶分が28質量%以上38質量%以下であるのいずれか1項に記載の画像形成装置。
に係る発明は、
前記トナー粒子のトルエン不溶分が30質量%以上35質量%以下であるに記載の画像形成装置。
10に係る発明は、
前記トナー粒子が、結晶性樹脂を含むのいずれか1項に記載の画像形成装置。
11に係る発明は、
前記結晶性樹脂の含有量が、前記トナーの全量に対し3質量%以上20重量%以下である10に記載の画像形成装置。
12に係る発明は、
前記結晶性樹脂の含有量が、前記トナーの全量に対し5質量%以上15質量%以下である11に記載の画像形成装置。
13に係る発明は、
前記層規制部材が、円柱状部材、円筒状部材、又は板状部材である12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
14に係る発明は、
前記層規制部材が、板状部材である13に記載の画像形成装置。
15に係る発明は、
前記回転部材と前記層規制部材との間隙の長さが、0.1mm以上1.0mm以下である14のいずれか1項に記載の画像形成装置。
16に係る発明は、
前記回転部材と前記層規制部材との間隙の長さが、0.2mm以上0.8mm以下である15に記載の画像形成装置。
、又はに係る発明によれば、特定トナーを適用した画像形成装置において、現像剤保持体の回転部材の回転方向上流側の先端が角部となっている層規制部材を有する現像手段を備える場合に比べ、高温高湿環境下で生じるトナー粒子への外添剤の埋没を抑制する画像形成装置が提供される。
、又はに係る発明によれば、トナー粒子のトルエン不溶分が28質量%未満又は38質量%超えの場合に比べ、高温高湿環境下で生じるトナー粒子への外添剤の埋没を抑制する画像形成装置が提供される。
1011、又は12に係る発明によれば、トナー粒子が結晶性樹脂を含まない場合に比べ、トナー粒子への外添剤の埋没を抑制する画像形成装置が提供される。
13、又は14に係る発明によれば現像剤保持体の回転部材の回転方向上流側の先端が角部となっている層規制部材を有する現像手段を備える場合に比べ、層規制部材として、円柱状部材、円筒状部材、又は板状部材を有し、高温高湿環境下で生じるトナー粒子への外添剤の埋没を抑制する画像形成装置が提供される。
15、又は16に係る発明によれば、回転部材と層規制部材との間隙の長さが、0.1mm未満である場合に比べ、高温高湿環境下で生じるトナー粒子への外添剤の埋没を抑制する画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の中間転写ベルトの周囲の構成を示す部分構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の現像装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の現像装置のトリマーの先端部の形状の一例を示す模式図である。 本実施形態に係る画像形成装置の現像装置のトリマーの先端部の形状の他の一例を示す模式図である。 本実施形態に係る画像形成装置の現像装置のトリマーの先端部の形状の他の一例を示す模式図である。 本実施形態に係る画像形成装置の現像装置のトリマーの先端部の形状の他の一例を示す模式図である。 本実施形態に係る画像形成装置の現像装置のトリマーの周囲を示す部分構成図である。 比較例の画像形成装置の現像装置のトリマーの先端部の形状の一例を示す模式図である。
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
<画像形成装置>
像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、トナーを有する静電荷像現像剤(以下「現像剤」とも称する)を収容し、現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。
現像手段は、回転不能に支持された磁石部材、および前記磁石部材の外周を囲んで配置されて表面に前記静電荷像現像剤を保持して回転する回転部材を有する現像剤保持体と、前記回転部材の表面に保持された静電荷像現像剤の層厚を規制する層規制部材であって、前記回転部材の回転方向上流側の先端が湾曲している層規制部材と、を備える。
そして、トナー(特定トナー)は、結着樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂を含有し、トナー粒子のテトラヒドロフラン可溶分(以下「THF可溶分」とも称する)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定における、重量平均分子量をMw(A)、数平均分子量をMn(A)としたとき、Mw(A)が25000以上60000以下であり、Mw(A)/Mn(A)が5以上10以下であり、トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における、波数720cm-1の吸光度に対する波数1500cm-1の吸光度の比が0.6以下であり、波数720cm-1の吸光度に対する波数820cm-1の吸光度の比が0.4以下であるトナー粒子と、外添剤と、を含む。
ここで、特定トナーは、トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における、波数720cm-1の吸光度に対する波数1500cm-1の吸光度の比が0.6以下であり、波数720cm-1の吸光度に対する波数820cm-1の吸光度の比が0.4以下である。トナー粒子が、この赤外吸収スペクトル特性を有することは、結着樹脂としての非晶性ポリエステル樹脂が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物(ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物等)を多価アルコールとして使用していない、又は使用しても少量である樹脂であることを意味している。
そして、この特定トナーを使用した定着画像の定着性を向上させるには、トナー粒子のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定における、重量平均分子量をMw(A)、数平均分子量をMn(A)としたとき、Mw(A)が25000以上60000以下であり、Mw(A)/Mn(A)が5以上10以下とすることが適切である。つまり、主に非架橋の結着樹脂成分の分子量特性が上記特性を有することが適切である。
具体的には、Mw(A)が25000未満であると、定着時のホットオフセット(トナーが過剰に溶融して定着部材に付着する現象)が生じ易くなり、Mw(A)が60000を超えると最低定着温度が高まり易くなる。また、Mw(A)/Mn(A)が10を超えると、樹脂の溶融性に差異が生まれ、定着画像にムラが生じ易くなる。なお、Mw(A)/Mn(A)を5未満とすることは製造上困難である。
このように、特定トナー(そのトナー粒子)の分子量特性を上記特性にすると、画像の定着性を向上する。
しかし、特定トナーを使用すると、高温高湿環境下(例えば35℃、85%の環境下)でトナー粒子への外添剤の埋没が生じることがある。その理由は次の通り推測される。特定トナーは、上記非晶性ポリエステル樹脂に由来し、吸湿性が高いという性質を有する。そのため、高温高湿環境下では、吸湿により特定トナー(そのトナー粒子)が可塑化する。
一方、現像手段において、トナーに高い機械的負荷が付与されるのは、トナーを含む現像剤が現像剤保持体の回転部材の表面に保持された状態で、層規制部材により現像剤の層厚が規制されるときである。特に、層規制部材における「現像剤保持体の回転部材の回転方向上流側の先端」が角部(つまり、例えば、回転部材の径方向に沿った切断面が四角)となっていると、角部により局所的に、トナーに高い機械的負荷が付与される。
そのため、高温高湿環境下で、可塑化したと特定トナーを含む現像剤の層厚が、層規制部材により規制されると、機械的負荷によりトナー粒子へ外添剤の埋没し易くなる。
そこで、本実施形態に係る画像形成装置では、現像装置として、現像剤保持体の回転部材の回転方向上流側の先端が湾曲している層規制部材を有する現像手段を適用する。
それにより、現像剤保持体の回転部材と層規制部材との間に、特定トナーを含む現像剤層が搬送されたとき、層規制部材の先端の湾曲面に現像剤層が接触する。そのため、特定トナーに対する、層規制部材の先端による局所的な機械的負荷が低減し、トナー粒子への外添剤の埋没が抑制される。
なお、先端が湾曲している層規制部材とは、層規制部材の厚みをA、湾曲部の最大曲率直径をBとしたときに(図4~図7参照)、A/Bが5よりも小さいものをいう。
以上から、本実施形態に係る画像形成装置では、高温高湿環境下で生じるトナー粒子への外添剤の埋没が抑制される。
ここで、本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電装置を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写装置は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写部材と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写部材と、を有する構成が適用される。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、像保持体を少なくとも含む部分が、画像形成装置に対して着脱されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態に掛る画像形成装置10は、上下方向(矢印Y方向)の下側から上側へ向けて、記録媒体の一例としての記録用紙PAが収容される用紙収容部12と、用紙収容部12の上に設けられ用紙収容部12から供給される記録用紙PAに画像形成を行う画像形成部14と、画像形成部14の上に設けられ読取原稿(図示省略)を読み取る原稿読取部16と、画像形成部14内に設けられ画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、を含んで構成されている。
なお、以後の説明では、画像形成装置10を正面視したときの装置本体10Aの上方向をY方向、水平方向(右方向)をX方向、手前側から奥側に向かう奥行き方向をZ方向と記載する。また、X、Y、Z方向とは逆の方向を-X、-Y、-Z方向と記載する。
用紙収容部12は、サイズの異なる記録用紙PAが収容される第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26が設けられている。第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26には、収容された記録用紙PA(記録媒体の一例)を画像形成装置10内に設けられた搬送路28に送り出す送り出しロール32が設けられている。そして、搬送路28における送り出しロール32よりも下流側には、記録用紙PAを一枚ずつ搬送するそれぞれ一対の搬送ロール34及び搬送ロール36が設けられている。また、搬送路28における記録用紙PAの搬送方向で搬送ロール36よりも下流側には、記録用紙PAを一旦停止させるとともに、決められたタイミングで後述する二次転写位置へ送り出す位置合せロール38が設けられている。
搬送路28の上流側部分(搬送ロール36が設けられている部位)は、画像形成装置10の正面視において、Y方向に向けて用紙収容部12の左側から画像形成部14の左側下部まで直線状に設けられている。また、搬送路28の下流側部分は、画像形成部14の左側下部から画像形成部14の右側面に設けられた排紙部15まで設けられている。さらに、搬送路28には、記録用紙PAの両面に画像形成を行うために記録用紙PAが搬送及び反転される両面搬送路29が接続されている。
両面搬送路29は、画像形成装置10の正面視において、画像形成部14の右側下部から用紙収容部12の右側までY方向に直線状に設けられた第1反転路33と、第1反転路33に搬送された記録用紙PAの後端が進入するとともにX方向における図示の左側に記録用紙PAを搬送する第2反転路35と、搬送路28、第1反転路33、及び第2反転路35の切り替えを行う切替部材(図示省略)と、を有している。そして、第1反転路33には、一対の搬送ロール42が間隔をあけて複数箇所に設けられており、第2反転路35には、一対の搬送ロール44が間隔をあけて複数箇所に設けられている。
なお、第2反転路35の下流側端部は、搬送路28の上流側部分にある複数の搬送ロール36のうち、一番下流側にある搬送ロール36の手前側(上流側)に案内部材(図示省略)により接続されている。
原稿読取部16は、読取原稿を1枚ずつ自動で搬送する原稿搬送装置52と、原稿搬送装置52の下側に配置され1枚の読取原稿が載せられるプラテンガラス54と、原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿又はプラテンガラス54に載せられた読取原稿を読み取る原稿読取装置56とが設けられている。
一方、画像形成部14には、トナー画像を形成する画像形成ユニット60と、矢印A方向に回転(周回移動)可能に設けられ外周にトナー画像を保持する中間転写ベルト62と、画像形成ユニット60で形成されたトナー画像を中間転写ベルト62へ一次転写させる4本の一次転写ロール64と、中間転写ベルト62上のトナー画像を記録用紙PAに二次転写させる1本の二次転写ロール66と、が設けられている。
図2に示すように、画像形成ユニット60は、一例として、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色のトナー画像が形成される複数の画像形成ユニット60Y、60M、60C、60Kで構成されている。なお、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60Kは、トナーの色が異なるだけで基本構成は同じである。このため、画像形成ユニット60Kについて説明し、他の画像形成ユニット60Y、60M、60Cについては符号の図示及び説明を省略する。
また、以後の説明では、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60Kを構成する各部材について、トナー色(Y、M、C、K)毎の区別が必要なときは、部材の符号の末尾にトナー色を表す添字Y、M、C、Kを付与して区別し、トナー色(Y、M、C、K)毎の区別が不要なときは、添字Y、M、C、Kを省略した符号で各部材を説明する場合がある。
画像形成ユニット60Kは、外周面に静電荷像及びトナー画像を保持する像保持体の一例としての感光体72と、感光体72の外周面を帯電する帯電装置74(帯電手段の一例)と、帯電された感光体72の外周面を露光し感光体72上に静電荷像を形成する露光装置76(静電荷像形成手段の一例)と、感光体72上に形成された静電荷像をK色トナーで現像してトナー画像(K色)を形成する現像装置100と、一次転写後の感光体72の外周面を清掃するクリーニング装置78と、を含んで構成されている。
なお、現像装置100の詳細については後述する。
感光体72は、円筒状であり、中間転写ベルト62の幅方向を軸方向として中間転写ベルト62と対向配置され、駆動手段(図示省略)によって矢印R方向(周方向であり図示の時計回り方向)に回転可能に支持されている。また、帯電装置74は、一例として、スコロトロン方式の帯電器であり、放電によって感光体72の外周面をトナーの帯電極性と同じ極性(一例としてマイナス極性)で帯電させる。
露光装置76は、半導体レーザ及びf-θレンズ(図示省略)、ポリゴンミラー76A、結像レンズ(図示省略)、及び複数のミラー76Bを有している。そして、露光装置76は、K色(ブラック色)の画像情報に基づき半導体レーザから出射されたレーザ光Bを、ポリゴンミラー76Aで偏向走査し、帯電装置74により帯電された感光体72の外周面に照射(露光)して静電荷像を形成するようになっている。なお、露光装置76は、レーザ光をポリゴンミラーで偏向走査する方式に限らず、LED(Light Emitting Diode)方式であってもよい。
クリーニング装置78は、感光体72と軸方向を揃えたクリーニングロール78Aを有している。そして、クリーニングロール78Aは、感光体72の外周面に接触しながら回転することで、一次転写後に感光体72の外周面に残留しているトナーや埃などを回収する。
中間転写ベルト62は、一例として、ポリイミド樹脂を主成分としており、円筒状に形成されている。また、中間転写ベルト62の内側には、矢印A方向の上流側から下流側へ向けて、中間転写ベルト62を移動させる駆動ロール61と、電圧が印加されるとともに感光体72(接地)との電位差でトナー画像を中間転写ベルト62へ一次転写する一次転写ロール64と、中間転写ベルト62を内側から支持する支持ロール63と、中間転写ベルト62に張力を付与する張力付与ロール65と、中間転写ベルト62の二次転写位置の内側に配置され二次転写ロール66の対向電極となる対向ロール67と、支持ロール69とが、それぞれ図示の反時計回り方向に回転可能に設けられている。
そして、中間転写ベルト62は、駆動ロール61、4本の一次転写ロール64、支持ロール63、張力付与ロール65、対向ロール67、及び支持ロール69に巻き掛けられて支持されており、駆動ロール61がモータを含む駆動手段(図示省略)によって回転駆動されることで、矢印A方向に周回移動するようになっている。
一次転写ロール64は、ベアリング(図示省略)により両端部が回転可能に支持され、外周面が中間転写ベルト62の内周面と接触している。また、一次転写ロール64は、中間転写ベルト62に転写されるトナー画像の極性とは逆の極性(プラス極性)の電圧が芯金(図示省略)に印加されている。ここで、各感光体72が接地されており、各感光体72の電位と各一次転写ロール64の電位との間に電位差が生じている。この電位差で形成される電界の作用により、感光体72の外周面に保持されているトナー画像が、一次転写位置QAで中間転写ベルト62に一次転写される。
また、中間転写ベルト62の外側(駆動ロール61側とは反対側)には、中間転写ベルト62と接触して表面をクリーニングするベルトクリーナ71が設けられている。そして、中間転写ベルト62を挟んで対向ロール67側とは反対側には、中間転写ベルト62上のトナー画像を記録用紙PAに二次転写する既述の二次転写ロール66が設けられている。
二次転写ロール66は、円柱状の芯金(図示省略)の周囲に発泡弾性層を被覆した構成となっている。そして、この芯金は接地されており、二次転写ロール66の電位と対向ロール67の電位との間に電位差が生じている。この電位差で形成される電界の作用により、中間転写ベルト62上のトナー画像が、二次転写位置QBで記録用紙PAに二次転写される。
一方、搬送路28における二次転写位置QBよりも下流側には、記録用紙PAを下流側へ搬送する搬送ユニット79が設けられている。搬送ユニット79は、回転可能に設けられた搬送ロール79A、79Bと、搬送ロール79A、79Bに巻き掛けられた無端状の搬送ベルト79Cと、を含んで構成されている。そして、搬送ユニット79は、搬送ロール79Bがモータを含む駆動手段(図示省略)により回転駆動されることで、搬送ベルト79Cを周回移動させるようになっている。また、搬送路28における搬送ユニット79よりも下流側には、定着装置80が設けられている。
定着装置80は、記録用紙PAのトナー画像面側に配置され内部に熱源(一例としてハロゲンヒータ(図示省略))を有する定着ロール82と、定着ロール82に向けて記録用紙PAを加圧する加圧ロール84と、を有している。そして、定着装置80では、記録用紙PAが定着ロール82と加圧ロール84との接触部(ニップ部)に進入して加熱及び加圧されることで、トナー画像が記録用紙PAに定着される。
図1に示すように、搬送路28における定着装置80よりも下流側には、トナー画像が定着された記録用紙PAを排紙部15へ搬送する複数の搬送ロール86が設けられている。また、画像形成部14における画像形成ユニット60Y、60M、60C、60Kよりも上側には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ88Y、88M、88C、88Kが交換可能に設けられている。そして、トナーカートリッジ88Y、88M、88C、88Kは、各トナー色に合わせて各現像装置100(図2参照)に接続されており、各色のトナーを各現像装置100に送り込むようになっている。
次に、画像形成装置10における画像形成工程について説明する。
図2に示すように、画像形成装置10が作動すると、画像処理装置(図示省略)又は外部から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像データが露光装置76に順次出力される。
続いて、露光装置76から画像データに応じて出射された光が、帯電装置74により帯電された感光体72の外周面を露光する。そして、感光体72の外周面には、各色の画像データに対応した静電荷像が形成される。さらに、感光体72の外周面に形成された静電荷像は、現像装置100によって各色のトナー画像として現像される。そして、感光体72の外周面の各色のトナー画像は、一次転写ロール64によって中間転写ベルト62に一次転写(多重転写)される。
一方、一例として、第3収容部26から送り出され、搬送路28を搬送されてきた記録用紙PAは、位置合わせロール38により、中間転写ベルト62への各トナー画像の多重転写とタイミングを合わせて二次転写位置QBに搬送される。そして、中間転写ベルト62上に多重転写されたトナー画像は、二次転写位置QBに搬送されてきた記録用紙PA上に二次転写ロール66によって二次転写される。
続いて、トナー画像が転写された記録用紙PAは、定着装置80に向けて矢印C方向(図示の右方向)に搬送される。そして、定着装置80では、トナー画像が定着ロール82及び加圧ロール84によって加熱、加圧されて記録用紙PAに定着される。さらに、トナー画像が定着された記録用紙PAは、一例として排紙部15(図1参照)に排出される。
なお、図1に示すように、記録用紙PAの両面に画像を形成する場合は、定着装置80で表面に画像定着を行った後、記録用紙PAを両面搬送路29に送り込むことで、記録用紙PAの先端と後端を入れ替える。そして、再度、記録用紙PAを搬送路28に送り込んで、記録用紙PAの裏面の画像形成及び定着を行う。
(現像装置)
次に、現像装置100について説明する。
図3に示すように、現像装置100は、現像剤Gが収容されたハウジング102と、現像ロール106(現像剤保持体の一例)と、現像ロール106の外周面に保持された現像剤Gの層の厚みを規制するトリマー108(層規制部材の一例)と、現像剤Gを現像ロール106に供給する第1オーガ109と、第1オーガ109とともに現像剤Gを循環搬送する第2オーガ111と、を有している。
ハウジング102は、容器本体103と、容器本体103の上部を塞ぐカバー部材104とを含んで構成されている。また、ハウジング102は、現像ロール106が収容される現像ロール室122と、現像ロール室122の下方側に設けられた第1攪拌室123と、第1攪拌室123に隣接する第2攪拌室124と、を有している。
容器本体103は、Z方向に見て、-Y方向に凸となるように2箇所で湾曲した底壁103Aと、底壁103Aの-X方向の端部に形成された取付部103Bと、底壁103AのX方向の端部に立設された側壁103Cと、底壁103Aの中央部に立設され第1攪拌室123と第2攪拌室124とを仕切る仕切壁103Dと、を含んで構成されている。
カバー部材104は、第2攪拌室124上に配置される上壁104Aと、上壁104Aの-X方向の端部から左斜め上方へ延びて現像ロール室122を覆う傾斜壁104Bと、傾斜壁104Bの上端に連続して湾曲した湾曲壁104Cと、を有している。
現像ロール106は、円柱状に形成され容器本体103にシャフト106Cを介して固定支持されたマグネットロール106A(磁石部材の一例)と、円筒状に形成されマグネットロール106Aの外側で回転可能に支持された現像スリーブ106B(回転部材の一例)と、を有している。即ち、マグネットロール106Aは、現像スリーブ106Bの内側に配置されている。
マグネットロール106Aは、外周面(周方向)に沿って複数の磁極が設けられており、現像剤Gを引き付ける磁力を発生する。詳細には、シャフト106Cの軸方向に見て第1オーガ109に近い右下側から回転方向(R方向)に、現像剤Gを引き付けるピックアップ極S2、トリマー108と対向配置された層形成極N1(層規制部材に対向する位置に有する磁極の一例)、感光体72と対向配置された現像極S1、現像後の現像剤Gを現像スリーブ106Bの外周面に保持させる搬送極N2、及び現像剤Gを現像スリーブ106Bの外周面から剥離させるピックオフ極S3が設けられている。
ここで、以後の説明では、マグネットロール106Aを軸方向(Z方向)に見たとき、上側の位置を12時、下側の位置を6時として、各磁極の位置を説明する。一例として、ピックアップ極S2は、4時方向に配置されており、現像剤Gを引き付けて現像スリーブ106Bの外周面に保持させる。層形成極N1は、トリマー108の先端部と対向して7時方向に配置されており、複数のキャリアCAを穂立ちさせた状態で現像スリーブ106Bの外周面に保持させる。
現像極S1は、感光体72の外周面と対向して9時方向に配置されている。搬送極N2は、11時方向に配置されており、感光体72への現像が終了して残った現像剤Gを引き付けて現像スリーブ106Bの外周面に保持させる。ピックオフ極S3は、2時方向に配置されており、ピックアップ極S2とピックオフ極S3との間で現像剤Gを現像スリーブ106B上から剥離させる。
現像スリーブ106Bは、一例として、アルミニウム製の筒状部材であり、Z方向の両端部に該両端部を塞ぐキャップ状の支持部材(図示省略)が取り付けられ、この支持部材の内側にベアリング(図示省略)が固定されている。そして、このベアリングにシャフト106Cが挿入されることで、マグネットロール106Aに対して現像スリーブ106Bが周方向に回転可能となっている。なお、現像スリーブ106Bは、図示しないモータ及びギヤを含む駆動部により+R方向に回転駆動されるようになっている。
また、現像スリーブ106Bは、感光体72と軸方向及び回転方向(R方向)を揃えるとともに感光体72の外周面と対向配置されている。そして、現像スリーブ106Bは、感光体72と対向する位置(現像領域)で、感光体72の回転方向とは逆方向(カウンター方向)に回転するとともに現像剤Gを外周面に保持し、感光体72の静電荷像をトナーTで現像する。なお、現像スリーブ106Bの回転方向は、感光体72の回転方向とは順方向であってもよい。
一方、第1攪拌室123には、現像剤Gを攪拌しながら搬送する第1オーガ109が配置されている。第1オーガ109は、Z方向に沿って配置された回転軸109Aと、回転軸109Aの外周に支持されたらせん状の翼部109Bとを有している。また、第1オーガ109は、現像スリーブ106Bの回転方向におけるトリマー108よりも上流側で現像スリーブ106Bと対向配置され、現像スリーブ106Bと回転軸方向(Z方向)が揃えられ、翼部109Bを回転して現像剤Gを回転軸方向に搬送すると共に現像スリーブ106Bに現像剤Gを供給するようになっている。
第2攪拌室124には、現像剤Gを攪拌しながら搬送する第2オーガ111が配置されている。第2オーガ111は、Z方向に沿って配置された回転軸111Aと、回転軸111Aの外周に支持された翼部111Bとを有している。また、第2オーガ111は、第1オーガ109とは逆方向に回転するようになっており、第1オーガ109とともに現像剤Gを循環搬送する。
ここで、第1攪拌室123内の現像剤Gは、ピックアップ極S2によって現像スリーブ106B上に保持された状態で、現像スリーブ106BのR方向の回転により搬送される。そして、現像スリーブ106B上に保持された現像剤Gは、現像スリーブ106Bの外周面とトリマー108の先端部との間へ進入することで層の厚みが規制され、感光体72と対向する現像領域に搬送される。
トリマー108は、Z方向を長手方向とする板状部材であり、短手方向がY方向からX方向へ僅かに傾いた方向に沿って配置されるとともに、先端部(上端面108A)をシャフト106C側へ向けて、現像スリーブ106Bの外周面と対向配置されている。即ち、トリマー108は、Y方向において現像スリーブ106Bよりも下側に配置されており、現像スリーブ106Bを介して層形成極N1と対向配置され、現像スリーブ106Bの外周面上に保持される現像剤層の厚みを規制するようになっている。
トリマー108は、板状部材に限られず、円柱状部材、円筒状部材、板状部材を折り曲げた部材等であってもよい。ただし、トリマー108は、円柱状部材、円筒状部材、又は板状部材がよく、特に、板状部材がよい。
そして、トリマー108の先端部108Aは、例えば、湾曲している。つまり、先端部108Aは、湾曲面で構成されている。具体的には、例えば、先端部108Aは、現像スリーブ106Bの径方向に沿った断面で、半円状となっている。それにより、現像スリーブ106Bとトリマー108との間に、特定トナーを含む現像剤層が搬送されたとき、トリマー108の先端部108Aの湾曲面に現像剤層が接触して、現像剤層の層厚が規制される。そのため、トリマー108の先端部108Aにより付与される特定トナーへの機械的負荷が緩和され、トナー粒子への外添剤の埋没が抑制される。
トリマー108の先端部108Aの形状は、半円状(図4参照)に限られるわけではない。例えば、半楕円状(図5参照)、現像スリーブ106Bの回転方向上流側が湾曲面となる扇状(図6参照)、現像スリーブ106Bの回転方向の上流側が湾曲面で、下流側が角部となる形状(図7参照)等であってもよい。図4~図7に示すトリマー108の先端部108Aの形状は、現像スリーブ106Bの径方向に沿って切断した、トリマー108の先端部108Aの断面形状を示す。
なお、トリマー108は、現像スリーブ106Bの回転方向上流側の先端が湾曲していればよく、現像スリーブ106Bの回転方向下流側の先端は角部となっていてもよい。
トナー粒子への外添剤の埋没抑制とMOS(現像ロール106上に保持される現像剤の単位面積当たりの質量(現像剤の搬送量)(g/m))安定性の観点から、トリマー108の先端部108Aのうち、層規制部材の棒幅Aと現像スリーブ106Bの回転方向上流側の先端の最大曲率直径Bとの比(A/B)は、0.2以上2以下が好ましく、0.4以上1.2以下がより好ましい。また、層厚規制箇所が少なくとも層規制部材の棒幅Aの10%以上あることがよい。なお、最大曲率直径は、現像スリーブ106Bの回転方向上流側の先端が有する、最も大きい曲率直径を示す。
また、現像スリーブ106Bとトリマー108との間隙の長さST(図8参照)は、例えば、0.1mm以上1.0mm以下(好ましくは0.2mm以上0.8mm以下)としている。この間隙の長さSTを0.1mm以上を広げることで、現像剤層の特定トナーに付与される機械的負荷がさらに低減される。そのため、トナー粒子への外添剤の埋没が抑制され易くなる。一方で、感光体72への現像剤量の過剰な搬送を抑制するために、間隙の長さSTを1.0mm以下としている。
なお、現像スリーブ106Bとトリマー108との間隙の長さSTは、現像スリーブ106Bと、現像スリーブ106Bに対向するトリマー108の先端部108Aとの間隙の長さのうち、最短長さである。
(静電荷像現像剤)
次に、現像装置100に収容される静電荷像現像剤(以下「本実施形態に係る静電荷像現像剤」とも称する)について、詳細に説明する。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、トナーを少なくとも含む。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、トナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤であってもよい。
<トナー>
トナーは、トナー粒子を有する。トナーは、トナー粒子と共に、外添剤を有していてもよい。
(トナー粒子)
トナー粒子は、例えば、結着樹脂を含む。トナー粒子は、着色剤、離型剤、その他添加剤等を含んでもよい。
-結着樹脂-
結着樹脂としては、非晶性ポリエステル樹脂が適用される。
ここで、非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)を用いた熱分析測定において、明確な吸熱ピークではなく、階段状の吸熱変化のみを有するものであり、常温固体で、ガラス転移温度以上の温度において熱可塑化するものを指す。
一方、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものをいう。
具体的には、例えば、結晶性樹脂とは、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを意味し、非晶性樹脂とは、半値幅が10℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂を意味する。
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、非晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ただし、多価アルコールとして、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物(ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物等)は使用しない、又は使用しても少量とする。具体的には、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を使用する場合、その使用量は、全多価アルコールに対して0モル%超え 5 モル%以下とすることがよい。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましく、30000以上50000以下がさらに好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
非晶性ポリエステル樹脂は、周知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、全結着樹脂に占める割合で、60質量%以上98質量%以下が好ましく、70質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上98質量%以下がさらに好ましい。
ここで、非晶性ポリエステル樹脂と共に、結晶性樹脂を併用することがよい。結晶性樹脂を併用すると、トナー粒子の吸湿性が低減し、トナー粒子への外添剤の埋没が抑制され易くなる。ただし、結晶性ポリエステル樹脂は、全結着樹脂に対して、含有量が2質量%以上40質量%以下(好ましくは2質量%以上20質量%以下)の範囲で用いることがよい。
結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル樹脂(例えば、ポリアルキレン樹脂、長鎖アルキル(メタ)アクリレート樹脂等)等の公知の結晶性樹脂が挙げられる。これらの中でも、トナー粒子への外添剤の埋没抑制の点から、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体が挙げられる。なお、結晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂は、結晶構造を容易に形成するため、芳香族を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族を有する重合性単量体を用いた重縮合体が好ましい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸等の二塩基酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価のカルボン酸としては、例えば、芳香族カルボン酸(例えば1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸としては、これらジカルボン酸と共に、スルホン酸基を持つジカルボン酸、エチレン性二重結合を持つジカルボン酸を併用してもよい。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えば主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオール)が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンデカンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジオールとしては、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールが好ましい。
多価アルコールは、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のアルコールを併用してもよい。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、多価アルコールは、脂肪族ジオールの含有量を80モル%以上とすることがよく、好ましくは90モル%以上である。
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、50℃以上100℃以下が好ましく、55℃以上90℃以下がより好ましく、60℃以上85℃以下がさらに好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上35,000以下が好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、非晶性ポリエステルと同様に、周知の製造方法により得られる。
結晶性樹脂(好ましくは結晶性ポリステル樹脂)の含有量は、トナーの全量に対し3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。結晶性樹脂の含有量が上記の範囲にすると、トナー粒子への外添剤の埋没が抑制され易くなる。
結着樹脂としては、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性樹脂以外の他の結着樹脂を併用してもよい。ただし、他の結着樹脂の含有量は、全結着樹脂に占める割合で10質量%以下が好ましい。
他の結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
他の結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
結着樹脂の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。
-着色剤-
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
着色剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
-離型剤-
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
離型剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
-その他の添加剤-
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
-トナー粒子の特性等-
トナー粒子は、赤外吸収スペクトル分析における、波数720cm-1の吸光度に対する波数1500cm-1の吸光度の比は0.6以下(好ましくは0.5以下、より好ましくは0.48以下)であり、波数720cm-1の吸光度に対する波数820cm-1の吸光度の比は0.4以下(好ましくは0.3以下、より好ましくは0.2以下)である。
上述のように、結着樹脂としての非晶性ポリエステル樹脂中の多価アルコール成分に、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含まない、又は含んでも少量であるとき、トナー粒子は、この赤外吸収スペクトル特性を有する。
一方で、トナーの保存安定性の観点から、トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における、波数720cm-1の吸光度に対する波数1500cm-1の吸光度の比は0.2以上(好ましくは0.3以上)であり、波数720cm-1の吸光度に対する波数820cm-1の吸光度の比は0.05以上(好ましくは0.08以上)であることがよい。
また、トナー粒子の強度の観点から、トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における、波数1500cm-1の吸光度に対する波数820cm-1の吸光度の比は0.5以下(好ましくは0.4以下、より好ましくは0.35以下)であることがよい。
一方で、トナーの保存安定性の観点から、トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における、波数1500cm-1の吸光度に対する波数820cm-1の吸光度の比は0.1以上(好ましくは0.15以上)であることがよい。
ここで、赤外吸収スペクトル分析による各波数の吸光度の測定は、次に示す方法により測定される。まず、測定対象となるトナー粒子(又はトナー)を、KBr錠剤法により測定試料を作製する。そして、測定試料に対して、赤外分光光度計(日本分光株式会社製:FT-IR-410)により、積算回数300回、分解能4cm-1の条件で、波数500cm-1以上4000cm-1以下の範囲を測定する。そして、吸収光の無いオフセット部分等でベースライン補正を実施して、各波数の吸光度を求める。
トナー粒子のTHF可溶分のGPC測定における、重量平均分子量をMw(A)、数平均分子量をMn(A)としたとき、Mw(A)は25000以上60000以下(好ましくは30000以上50000以下、より好ましくは32000以上48000以下)であり、Mw(A)/Mn(A)は5以上10以下(好ましくは6以上8以下、より好ましくは6.2以上7.8以下)である。

上述のように、トナー粒子が上記分子量特性を満たすと、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を使用しない又は少量で使用した非晶性ポリエステル樹脂をトナー粒子に含むトナーを適用しても、定着画像の定着性が向上する。
トナー粒子のTHF可溶分のGPC測定によって得られた分子量分布曲線のピーク分子量は、7000以上11000以下が好ましく、8000以上11000以下がより好ましく、8200以上10500以下がさらに好ましい。
ピーク分子量を上記範囲にすると、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を使用しない又は少量で使用した非晶性ポリエステル樹脂をトナー粒子に含むトナーを適用しても、定着画像の定着性が向上し易くなる。
なお、トナー粒子のTHF可溶分のGPC測定によって得られた分子量分布曲線のピーク分子量とは、分子量分布曲線において複数のピークを有する場合、最も大きいピークの分子量を示す。
ここで、トナー粒子のTHF可溶分のGPC測定における、分子量分布曲線、各平均分子量、ピーク分子量は、次の通り測定する。
まず、測定対象となるトナー粒子(又はトナー)0.5mgをTHF(テトラヒドロフラン)1gに溶解させ、超音波分散をかけた後に、濃度が0.5%となるように調整し、この溶解成分をGPCにより測定する。
GPC装置として「HLC-8120GPC、SC-8020(東ソー製)」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM-H(東ソー製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHFを用いる。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、RI(Refractive Index)検出器を用いて実験を行う。また、検量線は東ソー製「polystylene標準試料TSK standard」:「A-500」、「F-1」、「F-10」、「F-80」、「F-380」、「A-2500」、「F-4」、「F-40」、「F-128」、「F-700」の10サンプルから作製する。
トナー粒子のトルエン不溶分は、25質量%以上45質量%以下が好ましく、28質量%以上38質量%以下がより好ましく、30質量%以上35質量%以下がさらに好ましい。
トナー粒子のトルエン不溶分を上記範囲にすると、トナー粒子の吸湿性が低下し、トナー粒子への外添剤の埋没が抑制され易くなる。
ここで、トナー粒子のトルエン不溶分とは、トルエンに不溶なトナー粒子の構成成分である。つまり、トルエン不溶分は、トルエンに不溶な結着樹脂の成分(特に結着樹脂の高分子量成分)を主成分(例えば全体の50質量%以上)とした不溶分である。このトルエン不溶分は、トナー中に含まれる架橋樹脂の含有量の指標と言える。
トルエン不溶分は、次の方法により測定された値とする。
秤量したガラス繊維製の円筒ろ紙に秤量したトナー粒子(又はトナー)を1g投入し、加熱式ソックスレー抽出装置の抽出管に装着する。そして、フラスコにトルエンを注入して、マントルヒーターを用いて110℃に加熱する。また、抽出管に装着した加熱ヒーターを用いて抽出管の周部を125℃に加熱する。抽出サイクルが4分以上5分以下の範囲で1回となるような還流速度で抽出を行う。10時間抽出した後、円筒ろ紙とトナー残渣を取り出して乾燥し、秤量する。
そして、式:トナー粒子(又はトナー)残渣量(質量%)=[(円筒ろ紙量+トナー残渣量)(g)-円筒ろ紙量(g)]÷トナー粒子(又はトナー)質量(g)×100に基づいて、トナー粒子(又はトナー)残渣量(質量%)を算出し、このトナー粒子(又はトナー)残渣量(質量%)をトルエン不溶分(質量%)とする。
なお、トナー粒子(又はトナー)残渣は、着色剤、外添剤等の無機物、及び結着樹脂の高分子量成分等からなる。また、トナー粒子に離型剤を含む場合、加熱による抽出を行うことから、離型剤はトルエン可溶分となっている。
トナー粒子のトルエン不溶分は、例えば、結着樹脂において、1)末端に反応性官能基を有する高分子成分に架橋剤を添加して架橋構造、または分岐構造を形成する方法、2)末端にイオン性官能基を有する高分子成分に多価金属イオンにより架橋構造または分岐構造を形成する方法、3)イソシアネートなどの処理による樹脂鎖長の延長、分岐を形成する方法等により調整される。
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
なお、トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON-II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
トナー粒子の平均円形度としては、0.94以上1.00以下が好ましく、0.95以上0.98以下がより好ましい。
トナー粒子の平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められる。具体的には、次の方法で測定される値である。
まず、測定対象となるトナー粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(シスメックス社製のFPIA-3000)によって求める。そして、平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個とする。
なお、トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中に、測定対象となるトナー(現像剤)を分散させた後、超音波処理をおこなって外添剤を除去したトナー粒子を得る。
(外添剤)
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
(トナーの製造方法)
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。トナー粒子の製法は、これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
そして、本実施形態におけるトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
<キャリア>
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリアおよび樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<非晶性ポリエステル樹脂の作製>
(非晶性ポリエステル樹脂(A1)の作製)
内部を乾燥させた三口フラスコに、テレフタル酸ジメチル60質量部、フマル酸ジメチル74質量部、ドデセニルコハク酸無水物30質量部、トリメリット酸22質量部と、プロピレングリコール138質量部と、ジブチルすずオキサイド0.3質量部とを窒素雰囲気下で、反応により生成された水は系外へ除去しながら、185℃で3時間反応させた後、徐々に減圧しながら240℃まで温度をあげて、さらに4時間反応させた後、冷却した。こうして、重量平均分子量が39000の非晶性ポリエステル樹脂(A1)を用意した。
(非晶性ポリエステル樹脂(A2)の作製)
190℃で3時間反応させた後、徐々に減圧しながら220℃まで温度をあげて、さらに2.5時間反応させた以外は、非晶性ポリエステル樹脂(A1)と同様の方法で非晶性ポリエステル樹脂(A2)を作製した。なお、重量平均分子量は、26000であった。
(非晶性ポリエステル樹脂(A3)の作製)
プロピレングリコール138質量部の代わりに、プロピレングリコール128質量部、ブチレングリコール19質量部にし、195℃で4時間反応させた後、徐々に減圧しながら240℃まで温度をあげて、さらに6時間反応させた以外は非晶性ポリエステル樹脂(A1)と同様の方法で非晶性ポリエステル樹脂(A3)を作製した。なお、重量平均分子量は56000であった。
<結晶性樹脂の作製>
(結晶性ポリエステル樹脂(B1)の作製)
まず、三口フラスコに、セバシン酸ジメチル100質量部と、ヘキサンジオール67.8質量部と、ジブチルすずオキサイド0.10質量部とを窒素雰囲気下で、反応中に生成された水は系外へ除去しながら、185℃で5時間反応させた後、徐々に減圧しながら220℃まで温度をあげて、6時間反応させた後、冷却した。こうして、重量平均分子量が33700の結晶性ポリエステル樹脂(B1)を用意した。
なお、この結晶性ポリエステル樹脂(B1)の融解温度を、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求めたところ、71℃であった。
<参考非晶性ポリエステル樹脂の作製>
(参考非晶性ポリエステル樹脂(C1)の作製)
テレフタル酸ジメチル60質量部、フマル酸ジメチル74質量部、ドデセニルコハク酸無水物30質量部、トリメリット酸22質量部と、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物137質量部と、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物191質量部と、ジブチルすずオキサイド0.3質量部とにした以外は非晶性ポリエステル樹脂(A1)と同様にして参考非晶性ポリエステル樹脂(C1)を作製した。なお、重量平均分子量は27000のであった。
<トナーの作製>
(トナー(1)の作製)
非晶性ポリエステル樹脂(A1)73質量部、結晶性ポリエステル樹脂(B1)6質量部と、着色剤(C.I.Pigment Red 122)7質量部と、離型剤(パラフィンワックス、融解温度73℃、日本精鑞株式会社製)5質量部、及びエステルワックス(ベヘン酸ベヘニル、ユニスターM-2222SL,、日油社製)2質量部とを、ヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社製)に投入し、周速15m/秒で5分間撹拌混合した後、得られた撹拌混合物をエクストルーダー型連続混練機で溶融混練した。
ここで、エクストルーダーの設定条件は、供給側温度が160℃、排出側温度が130℃、冷却ロールの供給側温度が40℃、排出側温度が25℃であった。なお冷却ベルトの温度を10℃に設定した。
得られた溶融混練物を冷却させた後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、次いでジェット式粉砕機(日本ニューマチック工業社製)を用いて6.5μmに微粉砕し、更にエルボージェット分級機(日鉄鉱業株式会社製、型式:EJ-LABO)を用いて分級して、トナー粒子(1)を得た。トナー粒子(1)の体積平均粒径は7.0μmであった。
そして、トナー粒子(1)100質量部と、外添剤として市販のヒュームドシリカRX50(日本アエロジル製)1.2質量部とを、ヘンシェルミキサー(三井三池製作所製)を使用して周速30m/s、5分の条件で混合し、トナー(1)を得た。
(トナー(2)の作製)
非晶性ポリエステル樹脂(A1)を非晶性ポリエステル樹脂(A2)に変更した以外はトナー粒子(1)の作製と同様にしてトナー粒子(2)を作製した。トナー粒子(2)の体積平均粒径は6.8μmであった。
そして、トナー粒子(2)を用いた以外は、トナー(1)と同様にして、トナー(2)を得た。
(トナー(3)の作製)
非晶性ポリエステル樹脂(A1)を非晶性ポリエステル樹脂(A3)に変更した以外はトナー粒子(1)の作製と同様にしてトナー粒子(3)を作製した。トナー粒子(3)の体積平均粒径は7.5μmであった。
そして、トナー粒子(3)を用いた以外は、トナー(1)と同様にして、トナー(3)を得た。
(トナー(4)の作製)
非晶性ポリエステル樹脂(B1)を用いず、非晶性ポリエステル樹脂(A1)の部数を79質量部に変更した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にしてトナー粒子(4)を作製した。トナー粒子(4)の体積平均粒径は7.1μmであった。
そして、トナー粒子(4)を用いた以外は、トナー(1)と同様にして、トナー(4)を得た。
(参考トナー(C1)の作製)
非晶性ポリエステル樹脂(A1)を参考非晶性ポリエステル樹脂(C1)に変更した以外はトナー粒子(4)の作製と同様にして参考トナー粒子(C1)を作製した。参考トナー粒子(C1)の体積平均粒径は7.7μmであった。
そして、参考トナー粒子(C1)を用いた以外は、トナー(1)と同様にして、参考トナー(C1)を得た。
<現像剤の作製>
(現像剤(1)~(4)、参考現像剤(C1))
得られた各トナー8質量部と、キャリア100質量部とを混合して、各々、現像剤(1)~(4)、参考現像剤(C1)を作製した。
なお、キャリアは、フェライト粒子(体積平均粒径:50μm)100質量部と、トルエン14質量部と、スチレン-メチルメタクリレート共重合体(成分比:スチレン/メチルメタクリレート=90/10、重量平均分子量Mw=80000)2質量部とを、まず、フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラーで撹拌させて分散した被覆液を調製し、次に、この被覆液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダー(井上製作所製)に入れて、60℃において30分撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させ、その後105μmで篩分して得たものである。
<実施例1~9、比較例1~4、参考例>
画像形成装置として、二成分現像方式を採用した画像形成装置「DocuCenter Color 500」を準備した。
そして、この画像形成装置の現像装置内に、表1に示す現像剤を収容した。
画像形成装置として、画像形成装置(富士ゼロックス社製、製品名DocuPrint C525)を準備した。
そして、この画像形成装置の現像装置内に、表1に示す現像剤を収容した。
また、画像形成装置の現像装置において、1)トリマーの先端部の断面形状(表中「先端形状」と表記)を表1に示す形状(図4~図7、図9から選択)とし、2)現像スリーブとトリマーとの間隙長さ(表中「トリマー間隙長さSTと表記)を表1に示す値に設定した。
なお、図4の棒幅Aと最大曲率直径B(現像スリーブの回転方向上流側の先端の最大曲率直径B:以下、同じ)の比、は、1:1とした。
なお、図5の棒幅Aと最大曲率直径Bの比は、1:3とした。
図6の棒幅Aと最大曲率直径Bの比は、1:2とした。
図7の棒幅Aと最大曲率直径Bの比は、1:1とした。
図9の棒幅Aと最大曲率直径Bの比は、5:1とした。図9に示すトリマーの先端部の断面形状は四角状である。
ここで、下記トナー粒子への外添剤の埋没の評価を実施する場合、画像形成装置として、画像形成装置「DocuCenter Color 500」を採用した。
<各種測定>
各例について、トナー粒子の分子量特定、トナー粒子の赤外吸収スペクトル特性、トルエン不溶分を既述の方法に従って測定した。その結果を表1に示す。
<評価>
(定着性)
定着性について、次の高温オフセットの評価を実施した。
画像形成装置の定着温度220℃、画像形成速度250mm/秒に設定した。そして、この画像形成装置により、用紙(富士ゼロックス社製P紙)の搬送方向に、幅20mmの画像濃度100%画像を20枚出力し、下記評価基準により評価を行った。
評価基準は、次の通りである。
A(◎): 全く問題無し
B(○): 問題無し
C(△): 軽微な画像欠陥が見られるが問題とはならないレベル
D(×): 画像欠陥発生でNG(No Good)と判定される
トナー粒子への外添剤の埋没について、次の評価を実施した。なお、評価は、高温高湿環境下((35℃、85%の環境下)で実施した。
画像形成装置を用いて、画像密度1%の条件で10000枚流した。その後、現像器から現像剤を採取し、走査型電子顕微鏡(SEM)の観察にて、トナー粒子の表面を観察した。
評価基準は、次の通りである。
A(◎): 外添剤はほとんど埋没してない
B(○): 外添剤が若干埋没している
C(△): 外添剤が埋没しているものも見られるが、問題ないレベル
D(×): 外添剤が埋没しており、トナーの表面が露出している
また、MOS(現像ロール上に保持された現像剤の単位面積当たりの保持量(現像剤の搬送量)(g/m))安定性に関して、現像ロールの周方向で複数回MOSを測定した。
A(◎): MOSの変動がΔ±20以内
B(○): MOSの変動がΔ±20超え50以下
C(△): MOSの変動がΔ±50超え100未満
D(×): MOSの変動がΔ±100以上
Figure 0007013769000001

上記結果から、特定トナーを使用し、トリマーの先端部の断面形状を半円状等(つまり現像スリーブ106Bの回転方向の上流側の先端を湾曲面)とした本実施例の画像形成装置では、トリマーの先端部を四角状(つまり現像スリーブ106Bの回転方向の上流側の先端を角部)とした比較例の画像形成装置に比べ、高温高湿環境下で、トナー粒子への外添剤の埋没が抑制されていることがわかる。
また、本実施例の画像形成装置は、定着性も良好であることがわかる。
なお、参考例の画像形成装置は、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を使用した非晶性ポリエステル樹脂を含むトナーを適用した例である。そして、参考例の画像形成装置では、トリマーの先端部を四角状(つまり現像スリーブ106Bの回転方向の上流側の先端を角部)としても、高温高湿環境下で、トナー粒子への外添剤の埋没が発生し難いことがわかる。
10 画像形成装置
72 感光体(像保持体の一例)
74 帯電装置(帯電手段の一例)
76 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
80 定着装置(定着手段の一例)
100 現像装置(現像手段の一例)
106 現像ロール(現像剤保持体の一例)
106A マグネットロール(磁石部材の一例)
106B 現像スリーブ(回転部材の一例)
108 トリマー(層規制部材の一例)

Claims (15)

  1. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
    結着樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂を含有し、トナー粒子のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定における、重量平均分子量をMw(A)、数平均分子量をMn(A)としたとき、Mw(A)が25000以上60000以下であり、Mw(A)/Mn(A)が5以上10以下であり、トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における、波数720cm-1の吸光度に対する波数1500cm-1の吸光度の比が0.6以下であり、波数720cm-1の吸光度に対する波数820cm-1の吸光度の比が0.4以下であり、トルエン不溶分が28質量%以上38質量%以下であるトナー粒子と外添剤とを含むトナーを有する静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段であって、回転不能に支持された磁石部材、および前記磁石部材の外周を囲んで配置されて表面に前記静電荷像現像剤を保持して回転する回転部材を有する現像剤保持体と、前記回転部材の表面に保持された静電荷像現像剤の層厚を規制する層規制部材であって、前記回転部材の回転方向上流側の先端が湾曲している層規制部材と、を備える現像手段と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
    を備える画像形成装置。
  2. 前記トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における、波数720cm-1の吸光度に対する波数1500cm-1の吸光度の比が0.5以下であり、波数720cm-1の吸光度に対する波数820cm-1の吸光度の比が0.3以下である請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における、波数720cm-1の吸光度に対する波数1500cm-1の吸光度の比が0.2以上であり、波数720cm-1の吸光度に対する波数820cm-1の吸光度の比が0.05以上である請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における、波数1500cm-1の吸光度に対する波数820cm-1の吸光度の比が0.5以下である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における、波数1500cm-1の吸光度に対する波数820cm-1の吸光度の比が0.4以下である請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記トナー粒子のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定によって得られた分子量分布曲線のピーク分子量が、7000以上11000以下である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記トナー粒子のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定によって得られた分子量分布曲線のピーク分子量が、8000以上11000以下である請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記トナー粒子のトルエン不溶分が30質量%以上35質量%以下である請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記トナー粒子が、結晶性樹脂を含む請求項1~請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記結晶性樹脂の含有量が、前記トナーの全量に対し3質量%以上20重量%以下である請求項に記載の画像形成装置。
  11. 前記結晶性樹脂の含有量が、前記トナーの全量に対し5質量%以上15質量%以下である請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記層規制部材が、円柱状部材、円筒状部材、又は板状部材である請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  13. 前記層規制部材が、板状部材である請求項12に記載の画像形成装置。
  14. 前記回転部材と前記層規制部材との間隙の長さが、0.1mm以上1.0mm以下である請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  15. 前記回転部材と前記層規制部材との間隙の長さが、0.2mm以上0.8mm以下である請求項14に記載の画像形成装置。
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