JP7013736B2 - プライマー層形成用組成物、バリアフィルム、波長変換シート、及び、波長変換シートの製造方法 - Google Patents

プライマー層形成用組成物、バリアフィルム、波長変換シート、及び、波長変換シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、プライマー層形成用組成物、バリアフィルム、波長変換シート、及び、波長変換シートの製造方法に関する。
量子ドット等の蛍光体を用いた波長変換シートは、輝度及び色再現性が高く、ディスプレイへの採用が望まれている。しかし、量子ドット等の蛍光体は酸素又は水蒸気との接触によって劣化する。そのため、波長変換シートではしばしば、高分子フィルムにガスバリア層を形成したバリアフィルムが、蛍光体を含む蛍光体層の片側又は両側の面上に配置された構造を採用している。
例えば、特許文献1では、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂に量子ドットを分散させた蛍光体層の両面にバリアフィルムを貼り合わせることで、蛍光体層への酸素等の浸入を防止している。
国際公開第2014/113562号
しかしながら、特許文献1に記載されたような無機材料である量子ドットを分散させた蛍光体層は、バリアフィルムとの密着性が悪く、蛍光体層とバリアフィルムとの間に剥がれを生じる恐れがあった。また、特許文献1に記載のような量子ドットフィルムに限らず、蛍光体層とバリアフィルムとを積層した構造を有する光学積層体において、バリアフィルムの剥がれは、性能低下に多大な影響を及ぼすため、バリアフィルムと蛍光体層との密着性の向上が求められている。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、蛍光体層に対する優れた密着性が得られるプライマー層を形成することができるプライマー層形成用組成物、それを用いて形成されたプライマー層を備えるバリアフィルム、当該バリアフィルムを備える波長変換シート、及び、波長変換シートの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、光学積層体の蛍光体層に隣接するプライマー層を形成するためのプライマー層形成用組成物であって、多官能性化合物と硬化剤とを含有し、上記多官能性化合物は、樹脂骨格の主鎖又は側鎖の末端に、上記蛍光体層に用いられる硬化性樹脂に対して反応性又は分子間力結合性を有する官能基Aと、上記官能基Aと同一又は異なる、上記硬化剤に対して反応性を有する官能基Bとを有し、上記官能基Bは、水酸基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、シラノール基、アミノ基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも一種の官能基を含み、上記硬化剤はイソシアヌレート型化合物を含む、プライマー層形成用組成物を提供する。
上記プライマー層形成用組成物によれば、上記特定の官能基を有する多官能性化合物と、硬化剤としてイソシアヌレート型化合物とを含有することにより、蛍光体層に対する優れた密着性が得られるプライマー層を形成することができる。上記優れた密着性が得られるのは、以下の理由によるものと考えている。すなわち、多官能性化合物が、硬化剤と反応して硬化するための官能基Bを有するだけでなく、蛍光体層に用いられる硬化性樹脂に対して反応性又は分子間力結合性を有する官能基Aを有することで、蛍光体層との密着性を向上させることができる。また、硬化剤としてイソシアヌレート型化合物を用いることにより、イソシアヌレート骨格を有さない硬化剤を用いた場合と比較して、プライマー層と蛍光体層との密着性を向上させることができる。蛍光体層に用いられる硬化性樹脂の硬化剤としては、反応性、耐候性及び架橋密度の向上等の理由から、イソシアヌレート型の硬化剤が用いられることが多い。このようなイソシアヌレート型の硬化剤を用いて蛍光体層を形成する場合には特に、この蛍光体層に用いる硬化剤とプライマー層に用いる硬化剤との親和性が高くなるため、密着性を大きく向上させることができる。一方で、理由は定かではないが、蛍光体層にイソシアヌレート骨格を有さない硬化剤を用いた場合であっても、プライマー層にイソシアヌレート型化合物を用いることで、プライマー層にイソシアヌレート骨格を有さない硬化剤を用いた場合よりも、プライマー層と蛍光体層との密着性を向上させることができる。更に、上記構造の多官能性化合物を用いることで、プライマー層形成用組成物及びそれを用いて形成したプライマー層中で官能基Aが均一に存在することとなり、安定した密着性を得ることができる。かかるプライマー層形成用組成物を用いて蛍光体層と接する側のバリアフィルムの最表面にプライマー層を形成することで、バリアフィルムの剥がれを抑制することができる。
上記プライマー層形成用組成物において、上記イソシアヌレート型化合物は、脂肪族イソシアヌレート型化合物であることが好ましい。イソシアヌレート型化合物として脂肪族イソシアヌレート型化合物を用いた場合、芳香族イソシアヌレート型化合物を用いた場合よりも、経時によるプライマー層の黄変を抑制でき、外観をより良好なものにできる。
上記プライマー層形成用組成物において、上記官能基Aと上記官能基Bとは異なる官能基であることが好ましい。官能基Aと官能基Bとが異なる官能基であることで、硬化剤との硬化反応を主として官能基Bが担い、蛍光体層に対するプライマー層の密着性向上を主として官能基Aが担う、といった役割分担が可能となるため、多官能性化合物と硬化剤との良好な反応性、及びプライマー層と蛍光体層との優れた密着性を安定して得ることができる。
本発明はまた、ガスバリア性フィルムと、一方の最表面に配置された、上記本発明のプライマー層形成用組成物の硬化物からなるプライマー層と、を備えるバリアフィルムを提供する。
上記バリアフィルムによれば、上記プライマー層を備えることで、当該プライマー層を介して蛍光体層に対して優れた密着性を得ることができる。
本発明はまた、蛍光体及び硬化性樹脂の硬化物を含む蛍光体層と、上記蛍光体層の少なくとも一方の面上に積層された上記本発明のバリアフィルムと、を備え、上記バリアフィルムは、上記蛍光体層側の最表面に上記プライマー層を備える、波長変換シートを提供する。
上記波長変換シートによれば、バリアフィルムと蛍光体層とがプライマー層を介して積層されていることで、バリアフィルムと蛍光体層との優れた密着性を得ることができる。
本発明は更に、ガスバリア性フィルムと、一方の最表面に配置された、上記本発明のプライマー層形成用組成物の硬化物からなるプライマー層と、を備えるバリアフィルムの上記プライマー層上に、蛍光体及び硬化性樹脂を含む蛍光体層形成用組成物を塗工して塗膜を形成する工程と、上記塗膜中の上記硬化性樹脂を硬化させて蛍光体層を形成する工程と、を有する、波長変換シートの製造方法を提供する。
上記方法により得られた波長変換シートは、バリアフィルムと蛍光体層とがプライマー層を介して積層されていることで、バリアフィルムと蛍光体層との優れた密着性を得ることができる。
本発明によれば、蛍光体層に対する優れた密着性が得られるプライマー層を形成することができるプライマー層形成用組成物、それを用いて形成されたプライマー層を備えるバリアフィルム、当該バリアフィルムを備える波長変換シート、及び、波長変換シートの製造方法を提供することができる。
本発明のバリアフィルムの一実施形態を示す模式断面図である。 本発明のバリアフィルムの一実施形態を示す模式断面図である。 本発明のバリアフィルムの一実施形態を示す模式断面図である。 本発明のバリアフィルムの一実施形態を示す模式断面図である。 本発明のバリアフィルムの一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の波長変換シートの一実施形態を示す模式断面図である。
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
[プライマー層形成用組成物]
本発明のプライマー層形成用組成物は、光学積層体の蛍光体層に隣接するプライマー層を形成するためのプライマー層形成用組成物であって、多官能性化合物と硬化剤とを含有し、上記多官能性化合物は、樹脂骨格の主鎖又は側鎖の末端に、上記蛍光体層に用いられる硬化性樹脂に対して反応性又は分子間力結合性を有する官能基Aと、上記官能基Aと同一又は異なる、上記硬化剤に対して反応性を有する官能基Bとを有し、上記官能基Bは、水酸基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、シラノール基、アミノ基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも一種の官能基を含み、上記硬化剤はイソシアヌレート型化合物を含むものである。以下、各成分について詳細に説明する。
(多官能性化合物)
多官能性化合物において、主鎖又は側鎖に官能基A及び官能基Bを有する樹脂骨格は、ポリエステル系樹脂及び/又はアクリル系樹脂に由来するものであることが好ましい。ポリエステル系樹脂及びアクリル系樹脂は、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。ポリエステル系樹脂としては、末端にカルボキシル基、水酸基を有するポリエステル系樹脂が一般的に挙げられる。また、共重合成分として、トリメチロールプロパン及びネオペンチルグリコール等を用いたポリエステル系樹脂や、ピロメリット酸及びトリメリット酸等を用いたポリエステル系樹脂は、側鎖に水酸基やカルボキシル基を導入することが可能となり、末端だけでなく側鎖にも反応性を付与することが可能となる。アクリル系樹脂の場合は、共重合成分としてアクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート等を用いることで、側鎖に水酸基やカルボキシル基を導入することが可能である。また、アクリル系樹脂は、主鎖又は側鎖にアミノ基を導入したものであってもよい。
多官能性化合物の樹脂骨格としては、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリジエンポリオール等のポリオールに由来するものであることが好ましく、ポリエステルポリオール又はアクリルポリオールに由来するものであることがより好ましい。
官能基Aは、蛍光体層に用いられる硬化性樹脂に対して反応性又は分子間力結合性を有する官能基である。官能基Aとして具体的には、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等が挙げられ、上記硬化性樹脂の種類に応じて選択される。官能基Aは、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
蛍光体層に用いられる硬化性樹脂がアクリル系光硬化性樹脂の場合、多官能性化合物の主鎖又は側鎖の末端に、官能基Aとしてビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等のエチレン性二重結合を有する基、又は、メルカプト基を持たせることが好ましい。硬化性樹脂がエポキシ系光カチオン重合性樹脂やエポキシ-アミン系熱硬化性樹脂である場合、多官能性化合物の主鎖又は側鎖の末端に、官能基Aとしてアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基又はメルカプト基を持たせることが好ましい。硬化性樹脂がウレタン硬化系熱硬化性樹脂である場合、多官能性化合物の主鎖又は側鎖の末端に、官能基Aとして水酸基、カルボニル基、アミノ基等の極性を有する官能基を持たせることが好ましい。このように、蛍光体層に用いられる硬化性樹脂の種類に応じて官能基Aを選択することで、プライマー層と蛍光体層との密着性を高めることができる。
官能基Aは、アクリル系光硬化性樹脂、エポキシ系光カチオン重合性樹脂、エポキシ-アミン系熱硬化性樹脂、及び、ウレタン硬化系熱硬化性樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の硬化性樹脂に対して反応性又は分子間力結合性を有する基であるとも言える。また、官能基Aは、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、からなる群より選択される少なくとも一種の官能基であるとも言え、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、アクリロイル基、及び、メタクリロイル基からなる群より選択される少なくとも一種の官能基であってもよく、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、アクリロイル基、及び、メタクリロイル基からなる群より選択される少なくとも一種の官能基であってもよい。
官能基Bは、プライマー層形成用組成物中の硬化剤に対して反応性を有する官能基である。官能基Bは、水酸基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、シラノール基、アミノ基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも一種の官能基を含む。官能基Bは、上記の官能基の中から、硬化剤の種類に応じて選択される。官能基Bは、1種であってもよく、2種以上であってもよい。官能基Bは、官能基Aと同一であってもよく、異なっていてもよい。
本実施形態のプライマー層形成用組成物において、多官能性化合物と硬化剤との良好な反応性、及びプライマー層と蛍光体層との優れた密着性を安定して得る観点から、官能基Aと官能基Bとは異なることが好ましい。この場合、官能基Aは、プライマー層形成用組成物中の硬化剤に対して反応性を有さない官能基であることが好ましい。官能基Aが硬化剤に対して反応性を有さないことで、硬化後のプライマー層中に未反応の官能基Aが残存し、蛍光体層に対してより優れた密着性を安定して得ることができる。
なお、官能基Aと官能基Bは同一であってもよく、その場合、多官能性化合物は、蛍光体層に用いられる硬化性樹脂に対して反応性又は分子間力結合性を有し、且つ、プライマー層形成用組成物に用いられる硬化剤に対して反応性を有する1種の官能基を有していればよい。このような化合物は、その製造が容易であるという利点がある。このような化合物を用いる場合、プライマー層形成用組成物に配合する硬化剤の量を調整することで、硬化後のプライマー層中に官能基の一部を残存させることができ、残存した官能基により蛍光体層との密着性を向上させることができる。
多官能性化合物における官能基Aの官能基当量(1当量の官能基を含む化合物の質量)は、蛍光体層に対してより優れた密着性を得る観点から、100~20000g/eqであることが好ましく、200~10000g/eqであることがより好ましく、300~5000g/eqであることが特に好ましい。多官能性化合物における官能基Bの官能基当量は、硬化剤との良好な反応性を得る観点から、100~20000g/eqであることが好ましく、200~10000g/eqであることがより好ましく、300~5000g/eqであることが特に好ましい。
多官能性化合物の重量平均分子量は、500~1000000であることが好ましく、1000~500000であることがより好ましく、1000~100000であることが特に好ましい。重量平均分子量が500以上であると、成膜性が良好となる傾向があり、1000000以下であると、塗工適性が良好となる傾向がある。なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンを用いた検量線により換算することで求めたものである。
多官能性化合物は、官能基Aを主鎖又は側鎖に有する樹脂骨格の側鎖に、官能基Bが結合した構造、或いは、官能基Bを主鎖又は側鎖に有する樹脂骨格の側鎖に、官能基Aが結合した構造を有していてもよい。多官能性化合物の上記構造は、例えば、FTIRにより分析することで確認することができる。また、多官能性化合物において、官能基A又は官能基Bは、ウレタン結合及びシロキサン結合を介して樹脂骨格の側鎖に結合していてもよく、かかる構造も、FTIRにより分析することで確認することができる。
上記構造を有する多官能性化合物は、例えば以下の方法で作製することができる。すなわち、上記構造を有する多官能性化合物は、官能基Aを主鎖又は側鎖に有する樹脂(A)と、官能基Bを有する化合物(B)とを反応させて、官能基Aを主鎖又は側鎖に有する樹脂骨格の側鎖に官能基Bが結合した構造を有する多官能性化合物を得る工程を経て、作製することができる(第一実施形態)。この方法は、樹脂(A)と化合物(B)とを直接反応させる方法である。
また、上記構造を有する多官能性化合物は、官能基Aを主鎖又は側鎖に有する樹脂(A)と、官能基Bを有する化合物(B)とを、上記樹脂(A)及び上記化合物(B)の双方と反応する化合物(C)を介して反応させて、官能基Aを主鎖又は側鎖に有する樹脂骨格の側鎖に官能基Bが結合した構造を有する多官能性化合物を得る工程を経て、作製することができる(第二実施形態)。この方法は、化合物(C)を樹脂(A)及び化合物(B)と反応させることにより、化合物(C)を介して樹脂(A)に化合物(B)を結合させる方法である。第一及び第二実施形態において、官能基Bを主鎖又は側鎖に有する樹脂骨格の側鎖に官能基Aが結合した構造を有する多官能性化合物を得る場合には、官能基Bを主鎖又は側鎖に有する樹脂(A)と、官能基Aを有する化合物(B)とを用いればよい。
第二実施形態に係る方法としてより具体的には、例えば以下の方法が挙げられる。すなわち、上記構造を有する多官能性化合物は、上記樹脂(A)としての2以上の水酸基を官能基Bとして有する樹脂と、上記化合物(C)としてのイソシアネート基を有するシランカップリング剤とを溶液中で反応させて反応生成物を得る工程(以下、「第1の工程」という)と、上記反応生成物と、上記化合物(B)としての官能基Aを有するシランカップリング剤とを反応させて上記多官能性化合物を得る工程(以下、「第2の工程」という)と、を経て作製することができる(第三実施形態)。この方法によれば、官能基Aが、ウレタン結合及びシロキサン結合を介して、官能基Bを主鎖又は側鎖に有する樹脂骨格の側鎖に結合した構造を有する多官能性化合物を得ることができる。
第一及び第二実施形態に係る方法で用いられる上記樹脂(A)としては、官能基A又は官能基Bを主鎖又は側鎖に有する、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。
上記樹脂(A)の重量平均分子量は、500~100万であることが好ましく、1000~50万であることがより好ましく、1000~10万であることが特に好ましい。重量平均分子量が500以上であると、成膜性が良くなる傾向があり、100万以下であると、塗工適性が良好となる傾向がある。
第一及び第二実施形態に係る方法で用いられる上記化合物(B)としては、第三実施形態に係る方法で用いられる官能基Aを有するシランカップリング剤のほか、ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシ系アクリルモノマー、イソシアネートエチルメタクリレート等のイソシアネー卜系アクリルモノマー、グリシジルメタクリレート等のグリシジル系アクリルモノマー、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸などが挙げられる。
第二実施形態に係る方法で用いられる化合物(C)としては、第三実施形態に係る方法で用いられるイソシアネート基を有するシランカップリング剤のほか、ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物などが挙げられる。
第一実施形態に係る方法における樹脂(A)と化合物(B)との反応、及び、第二実施形態に係る方法における樹脂(A)と化合物(C)と化合物(B)との反応は、例えば、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン等の溶剤中、10~80℃で0.5~24時間攪拌することにより行うことができる。これにより、樹脂(A)の側鎖に官能基A又はBが導入される。
次に、第三実施形態に係る方法について説明する。
第1の工程において、2以上の水酸基を有する樹脂は、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリジエンポリオール等のポリオールであることが好ましく、ポリエステルポリオール又はアクリルポリオールであることがより好ましい。
第1の工程で用いる上記ポリオールの水酸基価は、反応性の観点から、0.1~5000mgKOH/gであることが好ましく、1~1000mgKOH/gであることがより好ましい。
第1の工程で用いる上記ポリオールの重量平均分子量は、500~100万であることが好ましく、1000~50万であることがより好ましく、1000~10万であることが特に好ましい。重量平均分子量が500以上であると、成膜性が良くなる傾向があり、100万以下であると、塗工適性が良好となる傾向がある。
第1の工程において、イソシアネート基を有するシランカップリング剤としては、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
第1の工程において、2以上の水酸基を有する樹脂と、イソシアネート基を有するシランカップリング剤との反応は、例えば、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン等の溶剤中、10~80℃で0.5~24時間攪拌することにより行うことができる。これにより、樹脂の水酸基とシランカップリング剤のイソシアネート基とが反応してウレタン結合を形成し、樹脂骨格の側鎖にシランカップリング剤が導入される。
第2の工程において、官能基Aを有するシランカップリング剤の官能基Aとしては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等が挙げられる。官能基Aは、1種であってもよく、2種以上であってもよい。また、このシランカップリング剤としては、官能基が異なるシランカップリング剤を2種以上組み合わせて用いてもよい。
第2の工程において、第1の工程で得られた反応生成物と、官能基Aを有するシランカップリング剤との反応は、例えば、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン等の溶剤中、10~80℃で0.5~24時間攪拌することにより行うことができる。これにより、第1の工程で得られた反応生成物の側鎖に導入されたシランカップリング剤のアルコキシシラン部分と、官能基Aを有するシランカップリング剤のアルコキシシラン部分とが加水分解縮合してシロキサン結合を形成する。その結果、樹脂骨格の側鎖にウレタン結合及びシロキサン結合を介して官能基Aがペンダント状に結合した構造を有する多官能性化合物を得ることができる。
プライマー層形成用組成物における多官能性化合物の含有量は、プライマー層形成用組成物の固形分全量を基準として、5~100質量%であることが好ましく、10~100質量%であることがより好ましく、10~99質量%であることが特に好ましい。この含有量が5質量%以上であると、密着性が向上する傾向がある。
(硬化剤)
硬化剤は、多官能性化合物を硬化させることが可能なイソシアヌレート型化合物を含む。イソシアヌレート型化合物としては、脂肪族イソシアヌレート型化合物及び芳香族イソシアヌレート型化合物が挙げられる。これらの中でも、経時によるプライマー層の黄変を抑制する観点から、脂肪族イソシアヌレート型化合物が好ましい。ここで、脂肪族イソシアヌレート型化合物とは、鎖状脂肪族イソシアヌレート型化合物及び脂環式イソシアヌレート型化合物を意味する。鎖状脂肪族イソシアヌレート型化合物は、直鎖状脂肪族イソシアヌレート型化合物であってもよく、分岐鎖状脂肪族イソシアヌレート型化合物であってもよい。多官能性化合物と反応するために硬化剤に含まれる官能基としては、イソシアネート基、アリル基、シラノール基、エポキシ基等が挙げられ、これらの中から多官能性化合物の官能基Bの種類に応じて適宜選択される。
イソシアヌレート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物を3量体化したイソシアヌレート化合物、トリアリルイソシアヌレート、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレートなどが挙げられる。
多官能性化合物に含まれる官能基Bが水酸基である場合、硬化剤としては多官能のイソシアネート基を有する化合物を用いることが好ましい。多官能性化合物に含まれる官能基Bがビニル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基である場合、硬化剤としては多官能のアリル基を有する化合物を用いることが好ましい。多官能性化合物に含まれる官能基Bがシラノール基である場合、硬化剤としては多官能のアミノ基を有する化合物やシランカップリング剤を用いることが好ましい。多官能性化合物に含まれる官能基Bがアミノ基又はカルボキシル基である場合、硬化剤としては多官能のエポキシ基を有する化合物を用いることが好ましい。
プライマー層形成用組成物において、硬化剤としてのイソシアヌレート型化合物の含有量は、プライマー層形成用組成物の固形分全量を基準として、0.01~95質量%であることが好ましく、0.1~80質量%であることがより好ましく、1~50質量%であることが特に好ましい。この含有量が95質量%を超えると、膜が脆くなる傾向があり、0.01質量%未満であると、成膜後の膜がやわらかくなりすぎる傾向がある。
プライマー層形成用組成物に上記硬化剤を配合することで、形成されるプライマー層は、蛍光体層や各種基材(バリアフィルム側)への密着性を向上できるだけでなく、高温多湿(例えば、85℃、85%RHなどの長期信頼性が求められるような過酷な環境)においても、良好な密着性を維持することが可能となる。
プライマー層形成用組成物は、上述した多官能性化合物及び硬化剤以外の他の成分(添加剤)を含んでいてもよい。添加剤としては、スリップ剤、界面活性剤、希釈溶剤、消泡剤、帯電防止剤等が挙げられる。
[プライマー層形成用組成物の製造方法]
本発明のプライマー層形成用組成物の製造方法は、先に説明した第一~第三実施形態に係る方法により多官能性化合物を作製する工程を有する方法である。
上記プライマー層形成用組成物の製造方法は、上記多官能性化合物に、硬化剤を配合する工程を更に有することができる。また、かかる工程において、必要に応じて硬化剤以外の他の添加剤を添加することができる。
以上の工程を経て、プライマー層形成用組成物を得ることができる。
[バリアフィルム]
本発明のバリアフィルムは、ガスバリア性フィルムと、バリアフィルムの一方の最表面に配置された、上記プライマー層形成用組成物の硬化物からなるプライマー層と、を備える。以下、図面を用いつつ本発明のバリアフィルムの好適な実施形態について説明する。
図1~図5は、本発明のバリアフィルムの一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すバリアフィルム100は、ガスバリア性フィルムである第1のフィルム1と、ガスバリア性フィルムである第2のフィルム2と、接着層4と、プライマー層5と、マット層6とを備える。ここで、第1のフィルム1は、第1の基材11と、アンカーコート層12と、無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14からなるバリア層15とを備えている。第2のフィルム2は、第2の基材21と、アンカーコート層22と、無機薄膜層23及びガスバリア性被覆層24からなるバリア層25とを備えている。第1のフィルム1と第2のフィルム2とは、ガスバリア性被覆層14とガスバリア性被覆層24とが対向するように接着層4を介して貼り合わせられている。バリアフィルム100において、プライマー層5は、第1のフィルム1の第1の基材11側の表面上に、第1の基材11と接した状態で配置されており、マット層6は、第2のフィルム2の第2の基材21側の表面上に、第2の基材21と接した状態で配置されている。図1に示した構造のバリアフィルム100は、第1及び第2のフィルム1,2の2枚のガスバリア性フィルムを貼り合わせているため、水分や酸素の透過をより十分に抑制することができる。また、バリア層15,25が第1及び第2の基材11,21よりも内側に配置されることで、バリア層15,25が保護され、バリア層15,25の損傷が抑制される。
図2に示すバリアフィルム200は、ガスバリア性フィルムである第1のフィルム1と、ガスバリア性フィルムである第2のフィルム2と、接着層4と、プライマー層5と、マット層6とを備える。ここで、第1のフィルム1は、第1の基材11と、アンカーコート層12と、無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14からなるバリア層15とを備えている。第2のフィルム2は、第2の基材21と、アンカーコート層22と、無機薄膜層23及びガスバリア性被覆層24からなるバリア層25とを備えている。第1のフィルム1と第2のフィルム2とは、第1の基材11とガスバリア性被覆層24とが対向するように接着層4を介して貼り合わせられている。バリアフィルム200において、プライマー層5は、第1のフィルム1のガスバリア性被覆層14側の表面上に、ガスバリア性被覆層14と接した状態で配置されており、マット層6は、第2のフィルム2の第2の基材21側の表面上に、第2の基材21と接した状態で配置されている。図2に示した構造のバリアフィルム200は、第1及び第2のフィルム1,2の2枚のガスバリア性フィルムを貼り合わせているため、水分や酸素の透過をより十分に抑制することができる。また、バリア層15がプライマー層5側、すなわち蛍光体層により近い位置に配置されることで、蛍光体層への水分や酸素の侵入をより十分に抑制することができる。
図3に示すバリアフィルム300は、ガスバリア性フィルムである第1のフィルム1と、第2のフィルム2と、接着層4と、プライマー層5と、マット層6とを備える。ここで、第1のフィルム1は、第1の基材11と、アンカーコート層12と、無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14が交互に2層ずつ積層されてなるバリア層15とを備えている。第2のフィルム2は、第2の基材21のみで構成されている。第1のフィルム1と第2のフィルム2とは、ガスバリア性被覆層14と第2の基材21とが対向するように接着層4を介して貼り合わせられている。バリアフィルム300において、プライマー層5は、第1のフィルム1の第1の基材11側の表面上に、第1の基材11と接した状態で配置されており、マット層6は、第2のフィルム2を構成する第2の基材21の接着層4とは反対側の表面上に、第2の基材21と接した状態で配置されている。図3に示した構造のバリアフィルム300は、第2のフィルム2を第2の基材21のみで構成しているため、製造工程の簡略化及びコスト低減を図ることができる。また、バリア層15が無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14を交互に2層ずつ積層した構造であるため、ガスバリア性を高めることができる。
図4に示すバリアフィルム400は、ガスバリア性フィルムである第1のフィルム1と、プライマー層5と、マット層6とを備える。ここで、第1のフィルム1は、第1の基材11と、アンカーコート層12と、無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14が交互に2層ずつ積層されてなるバリア層15とを備えている。バリアフィルム300において、プライマー層5は、第1のフィルム1のガスバリア性被覆層14側の表面上に、第1の基材11と接した状態で配置されており、マット層6は、第2のフィルム2を構成する第2の基材21の接着層4とは反対側の表面上に、第2の基材21と接した状態で配置されている。図4に示した構造のバリアフィルム400は、第2のフィルム2及び接着層4を備えないため、製造工程の簡略化、コスト低減及び薄型化を図ることができる。また、バリア層15が無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14を交互に2層ずつ積層した構造であるため、ガスバリア性を高めることができる。
図5に示すバリアフィルム500は、ガスバリア性フィルムである第1のフィルム1と、ガスバリア性フィルムである第2のフィルム2と、第3のフィルム3と、2つの接着層4と、プライマー層5と、マット層6とを備える。ここで、第1のフィルム1は、第1の基材11と、アンカーコート層12と、無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14からなるバリア層15とを備えている。第2のフィルム2は、第2の基材21と、アンカーコート層22と、無機薄膜層23及びガスバリア性被覆層24からなるバリア層25とを備えている。第3のフィルムは、第3の基材31のみで構成されている。この第3のフィルムは、例えば厚さ調整のために設けられる。第1のフィルム1と第2のフィルム2とは、ガスバリア性被覆層14とガスバリア性被覆層24とが対向するように接着層4を介して貼り合わせられている。第2のフィルム2と第3のフィルム3とは、第2の基材21と第3の基材31とが対向するように接着層4を介して貼り合わせられている。更に、第3の基材31の上にマット層6が設けられている。バリアフィルム500において、プライマー層5は、第1のフィルム1の第1の基材11側の表面上に、第1の基材11と接した状態で配置されている。図5に示した構造のバリアフィルム500は、第1及び第2のフィルム1,2の2枚のガスバリア性フィルムを貼り合わせているため、水分や酸素の透過をより十分に抑制することができる。また、バリア層15,25が第1及び第2の基材11,21よりも内側に配置されることで、バリア層15,25が保護され、バリア層15,25の損傷が抑制される。
上述した構成を有するバリアフィルムは、良好なガスバリア性を有すると共に、プライマー層5を介して蛍光体層と貼り合わせることで、優れた密着性を得ることができる。また、プライマー層5は、上述した多官能性化合物を含むプライマー層形成用組成物を用いて形成されており、第1の基材11及びガスバリア性被覆層14のいずれに対しても極めて良好な密着性を示し、バリアフィルム内で剥離が生じることも十分に抑制される。そのため、上述した構成を有するバリアフィルムは、バリアフィルムと蛍光体層との界面から酸素や水蒸気が侵入することを抑制することができ、蛍光体層の劣化を抑制することができる。
以下、バリアフィルムを構成する各層について詳細に説明する。
(基材)
第1、第2及び第3の基材11,21,31は、高分子フィルムであることが望ましい。高分子フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド;ポリプロピレン及びシクロオレフィン等のポリオレフィン;ポリカーボネート;並びにトリアセチルセルロース等が挙げられるが、これらに限定されない。高分子フィルムはポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム又はポリオレフィンフィルムであることが好ましく、ポリエステルフィルム又はポリアミドフィルムであることがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが更に好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、透明性、加工適正及び密着性の観点から望ましい。また、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、透明性及びガスバリア性の観点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
高分子フィルムは、必要に応じて、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤及び滑り剤等の添加剤を含んでいてもよい。また、高分子フィルムの表面は、コロナ処理、フレーム処理及びプラズマ処理が施されていてもよい。
バリアフィルムにおいて、第1の基材11とプライマー層5とが接している場合、第1の基材11は、表面に水酸基等の極性基を有していることが好ましい。第1の基材11が表面に水酸基等の極性基を有することで、当該水酸基等の極性基とプライマー層5中の官能基との分子間力により密着性がより向上する。上述した高分子フィルムうち、通常、表面に水酸基を有するものとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、セルローストリアセテートフィルム等が挙げられる。また、コロナ処理、フレーム処理及びプラズマ処理の表面処理を施すことで、プライマー層5との密着性をより向上させることができる。
第1、第2及び第3の基材11,21,31の厚さは、特に制限されないが、3μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。この厚さが3μm以上であると加工が容易であり、100μm以下であるとバリアフィルムの総厚を薄くすることができる。
(アンカーコート層)
アンカーコート層12,22は、第1及び第2の基材11,21と無機薄膜層13,23との間の密着性を向上させるために、それらの間に設けられるものである。また、アンカーコート層12,22は、水分や酸素の透過を防止するバリア性を有していてもよい。
アンカーコート層12,22は、例えば、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコーン樹脂またはアルキルチタネート等から選択された樹脂を用いて形成することができる。アンカーコート層は、上述した樹脂を単独で用いて、または上述した樹脂を2種類以上組み合わせた複合樹脂を用いて、形成することができる。
アンカーコート層12,22は、上述した樹脂を含む溶液を第1及び第2の基材11,21上に塗布し、乾燥硬化させることで形成することができる。塗布方法としては、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、及びダイコーター等による塗布方法が挙げられる。
アンカーコート層12,22の厚さは、5~500nmの範囲内とすることが好ましく、10~100nmの範囲内とすることがより好ましい。ここで、厚さが5nm以上であると、第1及び第2の基材11,21と無機薄膜層13,23との間の密着性および水分や酸素に対するバリア性が向上する傾向があり、500nm以下であると、内部応力が十分抑制された均一な層を形成することができる傾向がある。
(バリア層)
バリア層15,25は、水蒸気透過度及び酸素透過度を更に向上させるために設けられる層である。バリア層15,25は、光学的な観点から、透明性が高いことが望ましい。バリア層15,25は単層であっても多層であってもよいが、図1~図5に示したように、無機薄膜層13,23及びガスバリア性被覆層14,24を有することが望ましい。
バリア層15,25は、大気中で成膜されたものでも真空中で成膜されたものでもよい。真空成膜としては、物理気相成長法及び化学気相成長法等が挙げられる。物理気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法等が挙げられる。化学気相成長(CVD)法としては、熱CVD法、プラズマCVD(PECVD)法及び光CVD法等が挙げられる。成膜方法は、無機薄膜層13,23とガスバリア性被覆層14,24とで異なっていてもよい。
(無機薄膜層)
無機薄膜層13,23の形成方法は真空蒸着法、スパッタリング法、又はPECVD法であることが好ましい。真空蒸着法では、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム(Electron Beam)加熱式真空蒸着法、誘導加熱式真空蒸着法がより好ましく、スパッタリング法では、反応性スパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッタリング法であることがより好ましい。膜の均質性の観点からはスパッタリング法が好ましく、コストの観点からは、真空蒸着法が好ましく、目的、用途に応じて選択することができる。
スパッタリング法及びPECVD法におけるプラズマの生成方法としては、DC(Direct Current)方式、RF(Radio Frequency)方式、MF(Middle Frequency)方式、DCパルス方式、RFパルス方式、及びDC+RF重畳方式等を挙げることができる。
真空成膜では通常、金属、或いは、珪素等の酸化物、窒化物又は窒化酸化物等の膜が形成される。無機薄膜層13,23としては、アルミニウム、チタン、銅、インジウム、スズ等の金属、又はそれらの酸化物(アルミナ等)、或いは、珪素、珪素酸化物の膜が好ましい。また、金属や珪素の酸化物だけでなく、金属や珪素の窒化物や窒化酸化物の膜が形成されてもよい。また、複数の金属を含む膜が形成されてもよい。上述のアルミニウム、チタン、銅、インジウム、珪素の酸化物、窒化物、窒化酸化物は、透明性とバリア性の両方に優れる。珪素を含む酸化物、窒化酸化物はバリア性が高く特に好ましい。
真空成膜により形成される無機薄膜層13,23の厚さは、5nm以上100nm以下であることが好ましい。無機薄膜層13,23の厚さが5nm以上であると、より良好なバリア性を得ることができる傾向がある。また、無機薄膜層13,23の厚さが100nm以下であると、クラックの発生を抑制し、クラックによる水蒸気バリア性及び酸素バリア性の低下を抑制できる傾向がある。更に、無機薄膜層13,23の厚さが100nm以下であると、材料使用量の低減及び膜形成時間の短縮等に起因してコストを低減できるので、経済的観点から好ましい。
(ガスバリア性被覆層)
ガスバリア性被覆層14,24は、後工程での二次的な各種損傷を防止すると共に、高いバリア性を付与するために設けられるものである。ガスバリア性被覆層14,24は、シロキサン結合を含んでいてもよい。ガスバリア性被覆層14,24は、大気中で形成することもできる。ガスバリア性被覆層14,24を大気中で形成する場合は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンビニルアルコールのような極性を持つ化合物、ポリ塩化ビニリデン等の塩素を含む化合物、及びSi原子を含む化合物、Ti原子を含む化合物、Al原子を含む化合物、Zr原子を含む化合物等を含有する塗布液を無機薄膜層13,23上に塗布し、乾燥硬化させることで形成することができる。
ガスバリア性被覆層14,24を大気中で形成する際の塗布液の塗布方法としては、具体的には、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、及びダイコーター等による塗布方法が挙げられる。
シロキサン結合を含む化合物は、例えば、シラン化合物を用い、シラノール基を反応させて形成されることが好ましい。このようなシラン化合物としては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
(OR4-nSi …(1)
[式中、nは0~3の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1~4のアルキル基を示す。]
上記式(1)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びジメチルジエトキシシラン等が挙げられる。窒素を含むポリシラザンを使用してもよい。
また、ガスバリア性被覆層14,24には、他の金属原子からなる前駆体から作られる材料を使用してもよい。Ti原子を含む化合物としては、例えば、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
(OR4-nTi …(2)
[式中、nは0~3の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1~4のアルキル基を示す。]
上記式(2)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシチタニウム、テトラエトキシチタニウム、テトライソプロポキシチタニウム、及びテトラブトキシチタニウム等が挙げられる。
Al原子を含む化合物としては、例えば、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
(OR3-mAl …(3)
[式中、mは0~2の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1~4のアルキル基を示す。]
上記式(3)で表される化合物としては、例えば、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、及びトリブトキシアルミニウム等が挙げられる。
Zr原子を含む化合物としては、例えば、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
(OR4-nZr …(4)
[式中、nは0~3の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1~4のアルキル基を示す。]
上記式(4)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、及びテトラブトキシジルコニウム等が挙げられる。
ガスバリア性被覆層14,24を大気中で形成する場合、上記塗布液は塗布後、硬化される。硬化方法としては、特に限定されないが、紫外線硬化及び熱硬化等が挙げられる。紫外線硬化の場合、塗布液は重合開始剤及び二重結合を有する化合物を含んでいてもよい。また必要に応じて、加熱エージングがされてもよい。
ガスバリア性被覆層14,24を大気中で形成する別の方法として、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウムなどの無機酸化物の粒子同士が、リン化合物に由来するリン原子を介して脱水縮合することで得られる反応生成物をガスバリア性被覆層とする方法を用いることもできる。具体的には、無機酸化物の表面に存在する官能基(例えば、水酸基)と、無機酸化物と反応可能なリン化合物の部位(例えば、リン原子に直接結合したハロゲン原子や、リン原子に直接結合した酸素原子)とが、縮合反応を起こし、結合する。反応生成物は、例えば、無機酸化物とリン化合物とを含む塗布液を無機薄膜層13,23の表面に塗布し、形成した塗膜を熱処理することにより、無機酸化物の粒子同士が、リン化合物に由来するリン原子を介して結合する反応を進行させることで得られる。熱処理の温度の下限は、110℃以上であり、120℃以上であることが好ましく、140℃以上であることがより好ましく、170℃以上であることが更に好ましい。熱処理温度が低いと、十分な反応速度を得ることが難しくなり、生産性が低下する原因となる。熱処理の温度の好ましい上限は、基材の種類などによって異なるが、220℃以下であり、190℃以下であることが好ましい。熱処理は、空気中、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下などで実施することができる。
ガスバリア性被覆層14,24を大気中で形成する場合は、凝集等しない限り、上記塗布液は更に樹脂を含んでいてもよい。上記樹脂としては、具体的にはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。上記塗布液は、これらの樹脂のうち、塗布液中の他の材料との相溶性が高い樹脂を含むことが好ましい。
上記塗布液は、更に、フィラー、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、並びに、シランカップリング剤及びチタンキレート剤等を必要に応じて含んでいてもよい。
大気中で形成されるガスバリア性被覆層14,24の厚さは、硬化後の膜厚で50nm~2000nmであることが好ましく、100nm~1000nmであることがより好ましい。大気中で形成さるガスバリア性被覆層14,24の厚さが50nm以上であると、膜形成がしやすくなる傾向がある。大気中で形成されるガスバリア性被覆層14,24の厚さが2000nm以下であると、割れ又はカールを抑制できる傾向がある。
(接着層)
接着層4は、図1~3及び図5に示すように、第1のフィルム1と第2のフィルム2とを貼り合わせて積層するために、第1のフィルム1と第2のフィルム2との間に設けられている。また、接着層4は、図5に示すように、第2のフィルム2と第3のフィルム3を貼り合わせる場合にも設けられる。接着層4としては、高分子フィルム用の接着剤又は粘着剤として一般的なものを使用することができ、第1のフィルム1及び第2のフィルム2の貼り合わせる側の表面に応じて適宜選択される。接着層4の材料の候補としては、エポキシ系、ポリエステル系、アクリル系、ゴム系、フェノール系、及びウレタン系等の接着剤又は粘着剤が挙げられる。
接着剤又は粘着剤の塗布方法としては、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、及びダイコーター等による塗布方法が挙げられる。
接着層4の厚さは1μm以上20μm以下であることが好ましい。接着層4の厚さが1μm以上であることにより十分な接着性が得られる傾向があり、20μm以下であることによりバリアフィルムの総厚を薄くできると共に、コストアップを抑制することができる傾向がある。
また、接着層4を介して第1のフィルム1と第2のフィルム2、及び、第2のフィルム2と第3のフィルム3を貼り合わせた後、エージングすることができる。エージングは、例えば、20~80℃で1~10日間行われる。
接着層4は、必要に応じて、硬化剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、及び分散剤等を含んでいてもよい。
(プライマー層)
プライマー層5は、バリアフィルムと蛍光体層との密着性を向上させるために設けられる層である。プライマー層5は、第1のフィルム1の第1の基材11上又はガスバリア性被覆層14上に設けられる。プライマー層5は、バリアフィルムの一方の最表面に設けられ、バリアフィルムのプライマー層5側の表面を蛍光体層に貼り合わせることとなる。
プライマー層5は、上述したプライマー層形成用組成物の硬化物からなる層である。プライマー層5は、第1のフィルム1の第1の基材11上又はガスバリア性被覆層14上にプライマー層形成用組成物を塗布し、硬化させることで形成することができる。塗布方法としては、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、及びダイコーター等による塗布方法が挙げられる。硬化は、例えば、60~150℃で15~300秒の条件で行うことができる。
プライマー層5の厚さは、0.001~10μmであることが好ましく、0.01~5μmであることがより好ましく、0.02~3μmであることが更に好ましく、0.05~1.5μmであることが特に好ましい。この厚さが0.001μm以上であると、塗工後の成膜性が安定し、面内で均一に良好な密着性を得ることができる。一方、厚さが10μm以下であると、プライマー層5が脆くなることを防いで蛍光体層との安定した密着性を得ることができると共に、プライマー層5の端部(バリアフィルムと蛍光体層との間)からの水蒸気及び酸素の侵入を十分に抑制できる。また、プライマー層5の厚さが薄い方が、プライマー層5の硬化反応が早く進むと共に、蛍光体層との初期密着性が良好となる。
(マット層)
マット層6は、1以上の光学的機能や帯電防止機能を発揮させるために、バリアフィルムのプライマー層5とは反対側の表面に設けられている。ここで、光学的機能としては、特に限定されるものではないが、干渉縞(モアレ)防止機能、反射防止機能、拡散機能等が挙げられる。これらの中でも、マット層6は、光学的機能として少なくとも干渉縞防止機能を有することが好ましい。本実施形態では、マット層6が少なくとも干渉縞防止機能を有するものである場合について説明する。
マット層6は、バインダー樹脂と、微粒子とを含んで構成されていてもよい。そして、マット層6の表面から微粒子の一部が露出するように微粒子がバインダー樹脂に埋め込まれることにより、マット層6の表面には微細な凹凸が生じていてもよい。このようなマット層6をバリアフィルムの表面に設けることにより、ニュートンリング等の干渉縞の発生をより十分に防止することができ、結果として高効率かつ高精細、長寿命の波長変換シートを得ることが可能となる。
バインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、光学的透明性に優れた樹脂を用いることができる。より具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などを用いることができる。また、有機樹脂以外に、シリカバインダーを用いることもできる。これらの中でも、材料の幅広さからアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂を用いることが望ましく、耐光性や光学特性に優れることからアクリル系樹脂を使用することがより望ましい。これらは、1種だけでなく、複数種を組み合わせて使用することもできる。
微粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナなどの無機微粒子の他、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂などの有機微粒子を用いることができる。これらの中でも、微粒子としては、シリカ、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等からなる屈折率1.40~1.55の微粒子を用いることが、透過率の上で好ましい。屈折率が低い微粒子は高価であり、一方、屈折率が高すぎる微粒子は透過率を損ねる傾向がある。これらは、1種だけでなく、複数種を組み合わせて使用することもできる。
微粒子の平均粒径は、0.1~30μmであることが好ましく、0.5~10μmであることがより好ましい。微粒子の平均粒径が0.1μm以上であると、優れた干渉縞防止機能が得られる傾向があり、30μm以下であると、透明性がより向上する傾向がある。
マット層6における微粒子の含有量は、マット層6全量を基準として0.5~30質量%であることが好ましく、3~10質量%であることがより好ましい。微粒子の含有量が0.5質量%以上であると、光拡散機能と干渉縞の発生を防止する効果がより向上する傾向があり、30質量%以下であると、輝度を低減させることがない。
マット層6は、上述したバインダー樹脂及び微粒子を含む塗布液を第1のフィルム1又は第2のフィルム2の表面上に塗布し、乾燥硬化させることで形成することができる。塗布方法としては、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、及びダイコーター等による塗布方法が挙げられる。
マット層6の厚さは、0.1~20μmであることが好ましく、0.3~10μmであることがより好ましい。マット層6の厚さが0.1μm以上であることにより、均一な膜が得られやすく、光学的機能を十分に得やすくなる傾向がある。一方、マット層6の厚さが20μm以下であることにより、マット層6に微粒子を用いた場合、マット層6の表面へ微粒子が露出して、凹凸付与効果が得られやすくなる傾向がある。
以上説明した構成を有する本実施形態のバリアフィルムは、酸素や水蒸気の透過に関するバリア性が必要とされる用途に用いることができ、例えば、液晶用バックライトに用いる発光体を含有した波長変換シート、特に量子ドット発光体を含有した波長変換シートのバリアフィルムとして用いることができる。
[波長変換シート]
次に、上記バリアフィルムを用いた本発明の波長変換シートについて説明する。本発明の波長変換シートは、蛍光体を含む蛍光体層と、上記蛍光体層の少なくとも一方の面上に積層された上記本発明のバリアフィルムと、を備えるものであり、上記バリアフィルムは、上記蛍光体層側の最表面に上記プライマー層を備える。図6は、本発明の波長変換シートの一実施形態を示す模式断面図である。図6に示す波長変換シート600は、蛍光体を含む波長変換機能を有する蛍光体層7が、一対のバリアフィルム100で挟まれた構造を有している。一対のバリアフィルム100と蛍光体層7とは、プライマー層5が蛍光体層7と接するように積層されている。かかる構成を有する波長変換シート600は、プライマー層5を介してバリアフィルム100と蛍光体層7とが貼り合わせられているため、優れた密着性が得られる。なお、バリアフィルム100は、上述したバリアフィルム200、バリアフィルム300又はバリアフィルム400であってもよい。
(蛍光体層)
蛍光体層7は、励起光の照射によって異なる波長の光を発光する波長変換機能を有する層であり、少なくとも1種類以上の蛍光体(図示せず)を含む。
蛍光体の中でも量子ドットと呼ばれるナノサイズの半導体は、高い波長変換効率が得られ、輝度とディスプレイとしての色再現性に優れることから好ましい。量子ドットとしては、発光部としてのコアが保護膜としてのシェルで被覆されたものが挙げられる。上記コアとしては、例えば、セレン化カドミウム(CdSe)等が挙げられ、上記シェルとしては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)等が挙げられる。CdSeの粒子の表面欠陥がバンドギャップの大きいZnSにより被覆されることで量子効率が向上する。また、蛍光体は、コアが第1シェル及び第2シェルにより二重に被覆されたものであってもよい。この場合、コアにはCdSe、第1シェルにはセレン化亜鉛(ZnSe)、第2シェルにはZnSが使用できる。上記蛍光体は2種類以上を組み合わせて用いられる。また、1種類の蛍光体のみを含む蛍光体層と、別の種類の蛍光体のみを含む蛍光体層とが積層されていてもよい。
蛍光体は、封止のための封止樹脂に分散される。封止樹脂は、例えば、エチレン性二重結合を有する光(UV)硬化性樹脂、エポキシ系光カチオン重合性樹脂、エポキシ-アミン系熱硬化性樹脂、ウレタン硬化系熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂を用いて形成することができる。
上記硬化性樹脂のうち、エチレン性二重結合を有するUV硬化性樹脂は、環境配慮や低エネルギーの点から広く用いられ、中でも多官能(メタ)アクリレート樹脂がよく用いられている。しかし、多官能(メタ)アクリレート樹脂のみのUV硬化反応では、反応速度が遅く、架橋密度の不均一性が生じやすいことから、これらを解決する目的として多官能のエチレン性二重結合を有する低分子架橋剤(硬化剤)を用いる場合がある。上記の架橋剤としては様々な種類があるが、反応性、耐候性、架橋密度向上、耐熱性、機械的特性の点から、イソシアヌレート型の化合物が用いられことがある。エポキシ系光カチオン重合性樹脂においても、上記と同様な理由で、エポキシ系樹脂に対して、多官能エポキシ基を有するイソシアヌレート型化合物を用いて硬化させることがある。エポキシ-アミン系熱硬化性樹脂においても、上記と同様な理由で、アミン系樹脂に対して、多官能エポキシ基を有するイソシアヌレート型化合物を用いて硬化させることがある。また、ウレタン硬化系熱硬化性樹脂を用いた封止樹脂は、多官能の水酸基を有する樹脂を多官能イソシアネートで熱硬化させることで得られる。ここで、多官能イソシアネートは様々なものがあり、イソシアヌレート型、ビウレット型、アダクト型、又は、2官能型等を用いることができるが、上記と同様に、多官能のイソシアネート基を有するイソシアヌレート型化合物を用いることが多い。蛍光体層7を形成する際に上記のようなイソシアヌレート型化合物を硬化剤として用いた場合、プライマー層5を形成する際に用いるイソシアヌレート型化合物との親和性が向上し、蛍光体層7とプライマー層5との密着性がより向上する。
蛍光体層7は、蛍光体と硬化性樹脂と必要に応じて硬化剤と必要に応じて溶剤とを含む混合液をバリアフィルムのプライマー層5上に塗布して塗膜を形成し、必要に応じて、別に作製したもう1枚のバリアフィルムをプライマー層5が蛍光体層7を向くように積層し、塗膜を硬化させることで形成することができる。
塗膜の硬化は、使用する硬化性樹脂に応じて適宜行うことができる。例えば、硬化性樹脂が熱硬化性樹脂である場合、加熱やエージングにより硬化させることができる。一方、硬化性樹脂が光硬化性樹脂である場合、塗膜の硬化は、紫外線の照射によって光硬化性樹脂を硬化(UV硬化)させることで行うことができる。なお、光硬化性樹脂は、UV硬化の後に更に熱硬化させてもよい。硬化性樹脂を硬化させることで、蛍光体層7の封止樹脂が形成される。
上述した本実施形態の波長変換シートは、例えばバックライトユニットに使用することができる。バックライトユニットは、例えば光源、導光板、反射板、及び本実施形態の波長変換シートを備える。バックライトユニットにおいては、波長変換シートの一方の表面上に導光板及び反射板がこの順で配置され、光源は上記導光板の側方(導光板の面方向)に配置される。光源には、例えば、青色発光ダイオード素子等が用いられる。
[バリアフィルム及び波長変換シートの製造方法]
次に、本発明のバリアフィルム及び波長変換シートの製造方法の一実施形態について説明する。本実施形態のバリアフィルムの製造方法は、ガスバリア性フィルムと、一方の最表面に配置されたプライマー層と、を備えるバリアフィルムの製造方法であって、上述した本実施形態のプライマー層形成用組成物の製造方法によりプライマー層形成用組成物を得る工程と、上記ガスバリア性フィルム上に上記プライマー層形成用組成物を塗布し、硬化させて上記プライマー層を形成する工程と、を有する。また、本実施形態の波長変換シートの製造方法は、蛍光体及び硬化性樹脂の硬化物(封止樹脂)を含む蛍光体層と、上記蛍光体層の少なくとも一方の面上に積層された、上記蛍光体層側の最表面にプライマー層を有するバリアフィルムと、を備える波長変換シートの製造方法であって、上述した本実施形態のバリアフィルムの製造方法により上記バリアフィルムを得る工程と、上記バリアフィルムの上記プライマー層上に、蛍光体及び硬化性樹脂を含む蛍光体層形成用組成物を塗工して塗膜を形成する工程と、上記塗膜中の上記硬化性樹脂を硬化させて蛍光体層を形成する工程と、を有する。本実施形態において、プライマー層を形成するガスバリア性フィルムの表面は、図1、図3及び図5に示したバリアフィルム100,300,500では第1の基材11であり、図2及び図4に示したバリアフィルム200,400ではガスバリア性被覆層14である。
図1に示したバリアフィルム100及びそれを用いて図6に示した波長変換シート600を製造する場合、例えば以下の手順で製造することができる。なお、各層の形成方法は上述した通りである。まず、第1のフィルム1及び第2のフィルム2をそれぞれ作製する。すなわち、第1の基材11上にアンカーコート層12を形成し、その上に無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14を順次形成して第1のフィルム1を作製する。第2のフィルム2も同様に作製することができる。
得られた第1のフィルム1のガスバリア性被覆層14上に接着剤又は粘着剤を塗布し、第2のフィルム2のガスバリア性被覆層24側の面と貼り合わせてエージングを行うことで、第1のフィルム1と第2のフィルム2とが接着層4を介して貼り合わせられた積層フィルムを得る。貼り合わせは、一般的なラミネート装置を用いて行うことができる。なお、接着剤又は粘着剤は、第2のフィルム2のガスバリア性被覆層24上に塗布してもよい。
得られた積層フィルムの第1の基材11上に、上述した本実施形態のプライマー層形成用組成物を塗布し、硬化させてプライマー層5を形成する。また、積層フィルムの第2の基材21上に、マット層6を形成する。プライマー層5とマット層6の形成順序は特に限定されない。また、マット層6は、第1のフィルム1と第2のフィルム2とを貼り合わせる前に、予め第2のフィルム2の第2の基材21上に形成してもよい。更に、プライマー層5は、第1のフィルム1と第2のフィルム2とを貼り合わせる前に、予め第1のフィルム1の第1の基材11上に形成してもよい。これにより、バリアフィルム100が得られる。このバリアフィルム100を2つ作製する。
次に、一方のバリアフィルム100のプライマー層5上に、蛍光体と硬化性樹脂と必要に応じて硬化剤と必要に応じて溶剤とを含む混合液を塗布して塗膜を形成し、その上に他方のバリアフィルム100のプライマー層5側を貼り合わせ、塗膜を硬化させて蛍光体層7を形成する。以上の方法により、良好なガスバリア性を有すると共に、バリアフィルム100と蛍光体層7との密着性に優れた本実施形態の波長変換シート600を得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、図1~5に示したバリアフィルムにおいて、マット層6及びアンカーコート層12,22は設けなくてもよい。
図1、図2、図5及び図6に示したバリアフィルム100,200,500において、バリア層15,25は、無機薄膜層13,23とガスバリア性被覆層14,24とが交互に複数積層されたものであってもよい。また、図3及び図4に示したバリアフィルム300,400において、バリア層15,25は、無機薄膜層13,23とガスバリア性被覆層14,24とが1層ずつ積層されたものであってもよい。
図1~5に示したバリアフィルムにおいて、第1のフィルム1及び第2のフィルム2の向きは図示した向きに限定されず、逆向きに配置してもよい。
バリアフィルムは、第1のフィルム及び第2のフィルムに加えて、それらと同様の構成を有する1以上のフィルムを更に有していてもよい。
図6に示した波長変換シートにおいて、蛍光体層7を挟む一対のバリアフィルムは互いに異なる構成を有していてもよい。また、マット層6は、必ずしも波長変換シートの両面に設けられていなくてもよく、一方の表面のみに設けられていてもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、室温とは25℃を意味する。また、以下の実施例及び比較例において、プライマー層及び蛍光体層に用いた成分を表1にまとめて示す。
[実施例1]
(プライマー層形成用組成物の調製)
アクリルポリオール(DIC社製、商品名:アクリディックA-801-P)100質量部に対し、溶剤(酢酸エチル)200質量部を加えて攪拌した後、イソシアネート系シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBE-9007)12.5質量部加え、室温で24時間攪拌した。次いで、メタクリル系シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM-503)10質量部を加え、室温で24時間攪拌した。その後、硬化剤としてイソシアヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート(旭化成株式会社製、商品名:DURANATE TPA100)10質量部を加え、室温で1時間攪拌して、プライマー層形成用組成物を得た。
(バリアフィルムの作製)
片面がコロナ放電処理された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:P60、厚さ:16μm、東レ株式会社製)のコロナ放電処理された面上に、ポリエステル樹脂溶液をバーコート法により塗布し、80℃で1分間乾燥硬化させることにより、厚さ100nmのアンカーコート層を形成した。
電子ビーム加熱式の真空蒸着装置を用いて、酸化珪素材料(キヤノンオプトロン株式会社製)を1.5×10-2Paの圧力下で電子ビーム加熱によって蒸発させ、上記アンカーコート層上に無機薄膜層として厚さ80nmのSiOx膜を形成した。なお、蒸着における加速電圧は40kVであり、エミッション電流は0.2Aであった。このSiOx膜上に、テトラエトキシシランの加水分解物(シロキサン結合含有)とポリビニルアルコールとを質量比1:1で混合した塗布液をバーコート法にて塗布し、120℃で1分間乾燥硬化させ、厚さ400nmのガスバリア性被覆層を形成した。次いで、ガスバリア性被覆層上に、上記と同様の方法で、無機薄膜層として厚さ80nmのSiOx膜を形成した。更に、このSiOx膜上に、上記と同様の方法で、厚さ400nmのガスバリア性被覆層を形成した。これにより、第1のフィルムを得た。第1のフィルムの水蒸気透過度は0.5g/(m・day)であった。
第1のフィルムのガスバリア性被覆層上に、接着剤(主剤:タケラックA525、硬化剤:タケネートA50、三井化学(株)製)を塗布して接着層とし、第2のフィルムとして二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:FE2001、厚さ:25μm、フタムラ化学株式会社製、水蒸気透過度25g/(m・day))のコロナ放電処理された面を貼り合わせ、40℃で2日間エージングを実施した。これにより、第1のフィルムと第2のフィルムとが接着層を介して貼り合わせられた積層フィルム(1)を得た。接着層の厚さは4μmであった。
得られた積層フィルム(1)における第1のフィルムのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の基材)上に、上記プライマー層形成用組成物をワイヤーバーコーターで塗工して塗膜を形成し、100℃で60秒間乾燥させて塗膜を硬化させることによりプライマー層を形成した。プライマー層の厚さは1μmであった。
また、第2のフィルムのポリエチレンテレフタレートフィルム(第2の基材)上に、アクリル系ポリオール樹脂(DIC社製、商品名:アクリディックA-814)100質量部、イソシアネート系硬化剤(DIC社製、商品名:バーノックDN-980、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)8.5質量部、微粒子(ポリウレタン、平均粒径2μm)10質量部、溶剤(酢酸エチル)70質量部からなるマット層形成用組成物を塗布し加熱乾燥させて硬化させ、厚さ3μmのマット層を形成した。これにより、図3に示した構成を有するバリアフィルムを得た。このバリアフィルムを2枚用意した。
(波長変換シートの作製)
一方のバリアフィルムのプライマー層上に、コアがセレン化カドミウム(CdSe)、シェルが硫化亜鉛(ZnS)、粒子径6nmの量子ドット発光体と、主鎖あるいは側鎖の末端にアクリロイル基を有するアクリル系光硬化性樹脂と、アリル基を有する脂肪族イソシアヌレート型硬化剤(日本化成株式会社製、商品名:タイク トリアリルイソシアヌレート)とを含む蛍光体層形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、そこに、もう一方のバリアフィルムのプライマー層を貼り合わせた。上記塗膜に対し、紫外線照射装置を用いて2100mJ/cmの露光量で露光して硬化させ、波長変換機能を有する蛍光体層(厚さ100μm)を形成した。これにより、波長変換シートを得た。
[実施例2]
(プライマー層形成用組成物の調製)
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(東洋紡株式会社製、商品名:バイロン240、水酸基価9mgKOH/g)100質量部に対し、溶剤(酢酸エチル)200質量部を加えて攪拌した後、GMA(三菱ガス化学株式会社製、メタクリル酸グリシジル)10質量部を加え、40℃で24時間攪拌した。次いで、アリル基を有する脂肪族イソシアヌレート型硬化剤(日本化成株式会社製、商品名:タイク トリアリルイソシアヌレート)10質量部、及び、光重合開始剤(BASF社製、商品名:IRAGACURE 184)1質量部を加え、室温で1時間攪拌して、プライマー層形成用組成物を得た。
(バリアフィルム及び波長変換シートの作製)
実施例1と同様にして積層フィルム(1)を作製した。得られた積層フィルム(1)における第1の基材上に、上記プライマー層形成用組成物をワイヤーバーコーターで塗工して塗膜を形成し、100℃で60秒間乾燥させた。その後、上記塗膜に対し、紫外線照射装置を用いて1000mJ/cmの露光量で露光して硬化させることによりプライマー層を形成した。プライマー層の厚さは1μmであった。また、実施例1と同様にして第2の基材上にマット層を形成し、バリアフィルムを得た。更に、上記バリアフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、波長変換シートを得た。
[実施例3]
(プライマー層形成用組成物の調製)
アクリルポリオール(DIC社製、商品名:アクリディックA-801-P)100質量部に対し、溶剤(酢酸エチル)200質量部を加えて攪拌した後、イソシアネート系シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBE-9007)6質量部を加え、室温で24時間攪拌した。その後、アルコキシシリル基を有する脂肪族イソシアヌレート型硬化剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM-9659、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート)10質量部を加え、室温で1時間攪拌して、プライマー層形成用組成物を得た。
(バリアフィルム及び波長変換シートの作製)
上記プライマー層形成用組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、バリアフィルム及び波長変換シートを得た。本例において、プライマー層中の官能基Aである水酸基は、蛍光体層に用いた硬化性樹脂の例えば-COO-基に対して分子間力結合性を有する。
[実施例4]
(プライマー層形成用組成物の調製)
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(東洋紡株式会社製、商品名:バイロン240、水酸基価9mgKOH/g)100質量部に対し、溶剤(酢酸エチル)200質量部を加えて攪拌した後、GMA(三菱ガス化学株式会社製、メタクリル酸グリシジル)5質量部を加え、40℃で24時間攪拌した。次いで、エポキシ基を有する脂肪族イソシアヌレート型硬化剤(日産化学工業株式会社製、商品名:TEPIC-VL10質量部、及び、光重合開始剤(和光純薬工業株式会社製、商品名:WPI-116)1質量部を加え、室温で1時間攪拌して、プライマー層形成用組成物を得た。
(バリアフィルム及び波長変換シートの作製)
上記プライマー層形成用組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、バリアフィルム及び波長変換シートを得た。
[実施例5]
(プライマー層形成用組成物の調製)
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(東洋紡株式会社製、商品名:バイロン240、水酸基価9mgKOH/g)100質量部に対し、溶剤(酢酸エチル)200質量部を加えて攪拌した後、GMA(三菱ガス化学株式会社製、メタクリル酸グリシジル)5質量部を加え、40℃で24時間攪拌した。次いで、アリル基を有する脂肪族イソシアヌレート型硬化剤(日本化成株式会社製、商品名:タイク トリアリルイソシアヌレート)10質量部、及び、光重合開始剤(BASF社製、商品名:IRAGACURE 184)1質量部を加え、室温で1時間攪拌して、プライマー層形成用組成物を得た。
(バリアフィルム及び波長変換シートの作製)
上記プライマー層形成用組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、バリアフィルムを得た。一方のバリアフィルムのプライマー層上に、コアがセレン化カドミウム(CdSe)、シェルが硫化亜鉛(ZnS)、粒子径6nmの量子ドット発光体と、主鎖あるいは側鎖の末端にアミノ基を有するアミン系熱硬化性樹脂と、エポキシ基を有する脂肪族イソシアヌレート型硬化剤(日産化学工業株式会社製、商品名:TEPIC-VL)とを含む蛍光体層形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、そこに、もう一方のバリアフィルムのプライマー層を貼り合わせた。オーブンにて上記塗膜を100℃で2分間加熱して硬化させ、波長変換機能を有する蛍光体層(厚さ100μm)を形成した。これにより、波長変換シートを得た。
[実施例6]
(プライマー層形成用組成物の調製)
アミノエチル化アクリル樹脂(株式会社日本触媒製、商品名:ポリメント NK-350、アミン価0.6~1.0mmol/g-solid)100質量部に対し、溶剤(酢酸エチル)200質量部を加えて攪拌した後、GMA(三菱ガス化学株式会社製、メタクリル酸グリシジル)5質量部を加え、室温で24時間攪拌した。次いで、エポキシ基を有する脂肪族イソシアヌレート型硬化剤(日産化学工業株式会社製、商品名:TEPIC-VL)10質量部、及び、光重合開始剤(和光純薬工業株式会社製、商品名:WPI-116)1質量部を加え、室温で1時間攪拌して、プライマー層形成用組成物を得た。
(バリアフィルム及び波長変換シートの作製)
上記プライマー層形成用組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、バリアフィルム及び波長変換シートを得た。
[実施例7]
(プライマー層形成用組成物の調製)
アミノエチル化アクリル樹脂(株式会社日本触媒製、商品名:ポリメント NK-350、アミン価0.6~1.0mmol/g-solid)100質量部に対し、溶剤(酢酸エチル)200質量部を加えて攪拌した後、GMA(三菱ガス化学株式会社製、メタクリル酸グリシジル)5質量部を加え、室温で24時間攪拌した。次いで、アリル基を有する脂肪族イソシアヌレート型硬化剤(日本化成株式会社製、商品名:タイク トリアリルイソシアヌレート)10質量部、及び、光重合開始剤(BASF社製、商品名:IRAGACURE 184)1質量部を加え、室温で1時間攪拌して、プライマー層形成用組成物を得た。
(バリアフィルム及び波長変換シートの作製)
上記プライマー層形成用組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、バリアフィルムを得た。上記バリアフィルムを用いたこと以外は実施例5と同様にして、波長変換シートを得た。
[実施例8]
(プライマー層形成用組成物の調製及びバリアファイルの作製)
実施例7と同様にして、プライマー層形成用組成物及びバリアファイルを得た。
(波長変換シートの作製)
一方のバリアフィルムのプライマー層上に、コアがセレン化カドミウム(CdSe)、シェルが硫化亜鉛(ZnS)、粒子径6nmの量子ドット発光体と、主鎖あるいは側鎖の末端にエポキシ基を有するエポキシ系光硬化性樹脂と、エポキシ基を有する脂肪族イソシアヌレート型硬化剤(日産化学工業株式会社製、商品名:TEPIC-VL)とを含む蛍光体層形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、そこに、もう一方のバリアフィルムのプライマー層を貼り合わせた。上記塗膜に対し、紫外線照射装置を用いて1000mJ/cmの露光量で露光して硬化させ、波長変換機能を有する蛍光体層(厚さ100μm)を形成した。これにより、波長変換シートを得た。
[実施例9]
(プライマー層形成用組成物の調製)
窒素雰囲気下、GMA(三菱ガス化学株式会社製、メタクリル酸グリシジル)100質量部に、AIBN(和光純薬工業株式会社製、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル))0.1質量部を加えて攪拌し、重合させた。これを溶媒(酢酸エチル)200質量部に溶かし、MAA(三菱ガス化学株式会社製、メタクリル酸)5質量部を加え、40℃で24時間攪拌した。その後、アリル基を有する脂肪族イソシアヌレート型硬化剤(日本化成株式会社製、商品名:タイク トリアリルイソシアヌレート)10質量部、及び、光重合開始剤(BASF社製、商品名:IRAGACURE 184)1質量部を加え、室温で1時間攪拌して、プライマー層形成用組成物を得た。
(バリアフィルム及び波長変換シートの作製)
上記プライマー層形成用組成物を用いたこと以外は実施例5と同様にして、バリアフィルム及び波長変換シートを得た。
[実施例10]
(プライマー層形成用組成物の調製、並びにバリアフィルム及び波長変換シートの作製)
プライマー層形成用組成物に用いる硬化剤を、芳香族イソシアヌレート型硬化剤(東ソー株式会社製、商品名:コロネート2030)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、プライマー層形成用組成物、バリアフィルム及び波長変換シートを得た。
[実施例11]
(プライマー層形成用組成物の調製及びバリアフィルムの作製)
実施例1と同様にして、プライマー層形成用組成物及びバリアフィルムを得た。
(波長変換シートの作製)
一方のバリアフィルムのプライマー層上に、コアがセレン化カドミウム(CdSe)、シェルが硫化亜鉛(ZnS)、粒子径6nmの量子ドット発光体と、主鎖あるいは側鎖の末端に水酸基を有するポリオール系熱硬化性樹脂と、硬化剤としてイソシアヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート(旭化成株式会社製、商品名:DURANATE TPA100)とを含む蛍光体層形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、そこに、もう一方のバリアフィルムのプライマー層を貼り合わせた。オーブンにて上記塗膜を100℃で2分間加熱して硬化させ、波長変換機能を有する蛍光体層(厚さ100μm)を形成した。これにより、波長変換シートを得た。
[比較例1]
(プライマー層形成用組成物の調製、並びにバリアフィルム及び波長変換シートの作製)
プライマー層形成用組成物に用いる硬化剤を、ビウレット型ヘキサメチレンジイソシアネート(旭化成株式会社製、商品名:DURANATE 24A-100)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、プライマー層形成用組成物、バリアフィルム及び波長変換シートを得た。
[比較例2]
(プライマー層形成用組成物の調製、並びにバリアフィルム及び波長変換シートの作製)
プライマー層形成用組成物に用いる硬化剤を、アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート(旭化成株式会社製、商品名:DURANATE P301-75E)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、プライマー層形成用組成物、バリアフィルム及び波長変換シートを得た。
<密着性の評価>
実施例及び比較例で得られた波長変換シートを幅1cmの短冊状にカットし、カットした波長変換シートをガラス板上に固定した。固定された短冊状の波長変換シートのプライマー層を、テンシロン万能材料試験機(エーアンドデイ社製)を用いて、ガラス板に対して垂直な方向に、300mm/分の速度で、蛍光体層から剥離し、剥離に要した強度を測定した。密着性は、剥離強度が3N/1cm以上である場合を「〇」、3N/1cm未満である場合を「×」と判定した。この判定が「〇」である場合を合格とした。結果を表1に示す。
<色変化の評価>
実施例及び比較例で作製したバリアフィルムについて、キセノンウェザーメーターを用いて波長300~400nmの紫外線を放射照度60W/mで1000時間照射し、照射前と照射後のバリアフィルムのイエローインデックス(YI)の差(ΔYI)を求めた。イエローインデックスは、スガ試験機(株)製のColour Cute i(商品名)を用いて測定した。色変化は、ΔYIが2.0未満である場合を「〇」、2.0以上3.0未満である場合を「△」、3.0以上である場合を「×」と判定した。この判定が「〇」又は「△」である場合を合格とした。結果を表1に示す。
<水蒸気透過度の測定>
実施例及び比較例で作製したバリアフィルムの水蒸気透過度を、JIS K7129に準じた赤外線センサ法により、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、商品名:Permatran)を用い、透過セルの温度を40℃とし、高湿度チャンバの相対湿度を90%RHとし、低湿度チャンバの相対湿度を0%RHとして測定した。結果を表1に示す。
Figure 0007013736000001
表1に示した結果から明らかなように、プライマー層形成用組成物に特定の多官能性化合物を用い、且つ、硬化剤としてイソシアヌレート型化合物を用いることで、蛍光体層との密着性に優れたプライマー層を形成できることが確認された。また、硬化剤として脂肪族イソシアヌレート型化合物を用いることで、蛍光体層に対する良好な密着性を有しつつ、経時後の色変化を抑制できるプライマー層を形成できることが確認された。
1…第1のフィルム、2…第2のフィルム、3…第3のフィルム、4…接着層、5…プライマー層、6…マット層、7…蛍光体層、11…第1の基材、21…第2の基材、31…第3の基材、12,22…アンカーコート層、13,23…無機薄膜層、14,24…ガスバリア性被覆層、15,25…バリア層、100,200,300,400,500…バリアフィルム、600…波長変換シート。

Claims (7)

  1. 光学積層体の蛍光体層に隣接するプライマー層を形成するためのプライマー層形成用組成物であって、
    多官能性化合物と硬化剤とを含有し、
    前記多官能性化合物は、ポリエステル系樹脂及び/又はアクリル系樹脂に由来する樹脂骨格を有し、且つ、前記樹脂骨格の主鎖又は側鎖の末端に、前記蛍光体層に用いられる硬化性樹脂に対して反応性又は分子間力結合性を有する官能基Aと、前記官能基Aと異なる、前記硬化剤に対して反応性を有する官能基Bとを有し、
    前記官能基Aは、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基からなる群より選択される少なくとも一種の官能基を含み、
    前記官能基Bは、水酸基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、シラノール基、アミノ基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも一種の官能基を含み、
    前記硬化剤はイソシアヌレート型化合物を含む、プライマー層形成用組成物。
  2. 前記イソシアヌレート型化合物が、脂肪族イソシアヌレート型化合物である、請求項1に記載のプライマー層形成用組成物。
  3. 前記多官能性化合物は、前記官能基Aが、ウレタン結合及びシロキサン結合を介して、前記官能基Bを主鎖又は側鎖に有する前記樹脂骨格の側鎖に結合した構造を有する、請求項1又は2に記載のプライマー層形成用組成物。
  4. 前記官能基A及び前記官能基Bの少なくとも一方がメタクリロイル基である、請求項1~3のいずれか一項に記載のプライマー層形成用組成物。
  5. ガスバリア性フィルムと、
    一方の最表面に配置された、請求項1~のいずれか一項に記載のプライマー層形成用組成物の硬化物からなるプライマー層と、
    を備えるバリアフィルム。
  6. 蛍光体及び硬化性樹脂の硬化物を含む蛍光体層と、前記蛍光体層の少なくとも一方の面上に積層された請求項に記載のバリアフィルムと、を備え、
    前記バリアフィルムは、前記蛍光体層側の最表面に前記プライマー層を備える、波長変換シート。
  7. ガスバリア性フィルムと、一方の最表面に配置された、請求項1~のいずれか一項に記載のプライマー層形成用組成物の硬化物からなるプライマー層と、を備えるバリアフィルムの前記プライマー層上に、蛍光体及び硬化性樹脂を含む蛍光体層形成用組成物を塗工して塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜中の前記硬化性樹脂を硬化させて蛍光体層を形成する工程と、
    を有する、波長変換シートの製造方法。
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