JP7012288B2 - 金属有機構造体層を有する選択性複合ガス透過膜およびその作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガス選択性に優れた金属有機構造体(Metal Organic Framework)層を有する選択性ガス透過膜およびその作製方法に関するものである。
近年、メタンガス等のガスを含む混合気体を吸着・分離するためのガス透過膜のニーズが年々高まっており、広く注目されている。
とりわけ、ガス透過膜のガス選択性を高める方法として、特定ガスの選択性が高い金属有機構造体(MOF:Metal Organic Framework)と呼ばれる新しい多孔質物質を膜として用いる方法が注目を浴び、種々の技術が開示されている。
金属有機構造体(MOF)は、非特許文献1に開示されているように、金属の間を配位子が結んだ立体網目状をしている。
ここで、金属は少なくとも2つ以上の配位子が配位し、錯体を形成可能なものであり、例えば、Mg, Al, Si, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Pd, Ag, Yb,などの金属である。
配位子はMOFの骨格を示す有機化合物であり、ポリアミン(エチレンジアミンなど)、複素環式化合物(イミダゾール、ピラゾールなど)、アルデヒド、カルボン酸(テレフタル酸など)、スルホン酸、ビピリジン、有機リン化合物、チオール、あるいは前述のうち複数の配位子を有した化合物などであり、その組合せは無数にある。
MOFの製法は種々あるが、基本的に、配位を形成する金属化合物と配位子の溶液を混合し、溶媒を除去すればよい。MOFの合成は数時間のものもあれば、数日かかるものもあり、様々である。ただし、必要な粒子サイズが小さいほど、合成に要する時間も短くなる。
また、MOFを膜として用いる方法として、例えば非特許文献2においては、柔軟な多孔質ナイロン膜を基材に用い、その両側にMOFとして亜鉛メチルイミダゾラート構造体の結晶の膜を形成させたものが開示されている。
さらに、特許文献1においては、α―アルミナ等の機械的強度をもった多孔質基材の細孔内部にMOF結晶を析出させた複合多孔質体が開示されている。この複合多孔質体は、多孔質基材を真空下に置いて、細孔の両側から同時に原料を供給し、原料供給速度や反応溶液濃度、温度などを調整して作製している。
特開2014-36935号公報
材料化学の基礎 第7号「多孔性配位高分子(PCP)/金属有機構造体(MOF)の基礎」 (シグマ アルドリッチ ジャパン 合同会社) Chem. Commun., 2011, 47, 2559-2561
しかしながら、非特許文献1に開示された技術においては、MOFを製膜する方法が開示されておらず、そもそもMOFをガス分離膜として適用するという発想には至らない。また、非特許文献2に開示された技術においては、多孔質基材表面上のMOFが剥離したり、外部からの衝撃によりMOF結晶層が破壊されたりする等、耐久性という面において問題がある。さらに、特許文献1に開示された技術においては、MOF結晶を形成する工程が複雑なため、手間がかかり、コスト面において問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、低コストかつ容易に生産することができ、耐久性も兼ね備えた選択性ガス透過膜およびその作製方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討し、既製のガス透過膜を基材として、その上にMOF粒子を懸濁させた懸濁液を滴下して、分散媒を蒸発させてMOF粒子層を形成し、その上に既製のガス透過膜を積層することによって、従来のMOF結晶層から成る膜のような、膜状に大きく結晶を成長させたMOFを用いる必要がないことを見出した。したがって、MOF結晶層形成時のような反応溶液供給量制御や温度制御の必要がない。このMOF粒子層は、MOF粒子を懸濁させた分散媒を基板上に滴下し、分散媒を蒸発除去することで形成可能であり、この際も特別な制御は必要としない。これらにより、MOF粒子層は従来のMOF結晶層に比べて低コストで形成が可能である。
また、高圧条件に適用可能な機械的強度を持った2枚のガス透過膜でMOF粒子層を挟むことにより、MOF粒子層をガス透過膜内部に保持することができ、機械的強度がほとんど無いMOF粒子層をガス透過膜として機能させることができる。MOF粒子層を挟む2枚のガス透過膜は、それ自身が単独でガス透過膜として機能できるような緻密さ、および機械的強度を持っているものであれば、その種類や構造を問わない(有機膜/無機膜、単一膜/複合膜、など)。ガス透過膜は、実用に耐え得る十分な強度を持っており、また目的ガス成分の選択性を有しているものが望ましいが、MOF粒子層を挟む二枚のガス透過膜がそれぞれ異なる材質でもよい。また、いずれか一方が目的ガス成分の選択性を有していれば、もう一方は目的ガス成分の選択性を有していなくとも良く、選択性の全く無い単なる多孔質基板のサポートでもよい。
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものであり、
ガス選択性を有する金属有機構造体粒子層の両側にガス透過膜が配置された選択性ガス透過膜と、
金属有機構造体粒子を分散媒に分散した分散液をガス透過膜上に塗布し、分散媒を蒸発させて除去することによって金属有機構造体粒子層の上に新たなガス透過膜を積層することを特徴とする、ガス選択性を有する金属有機構造体粒子層の両側にガス透過膜が配置された選択性ガス透過膜の作製方法を提供するものである。
本発明により、ガス選択性に優れたMOF膜を用いたガス透過膜を容易かつ安価に作製でき、また、この膜を機械的強度という点において優れた膜とすることができる。
本発明の選択性ガス透過膜の構造を模式的に示す図である。 本発明のシート状粒子を用いた場合の選択性ガス透過膜の構造を模式的に示す図である。
本発明で使用される金属有機構造体(MOF)は、金属の間を配位子が結んだ立体網目状をしているものであり、
金属は少なくとも2つ以上の配位子が配位し、錯体を形成可能なもので、例えば、Mg, Al, Si, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Pd, Ag, Yb,などの金属であり、
配位子はMOFの骨格を示す有機化合物で、ポリアミン(エチレンジアミンなど)、複素環式化合物(イミダゾール、ピラゾールなど)、アルデヒド、カルボン酸(テレフタル酸など)、スルホン酸、ビピリジン、有機リン化合物、チオール、あるいは前述のうち複数の配位子を有した化合物などである。上述の金属と配位子の組合せは無数にある。
本発明で使用されるMOFの粒子サイズは1nm~100μm程度、通常10nm~600nm程度がよい。このMOF粒子サイズはMOF粒子層の厚みに対し、十分の一~百分の一が望ましい。たとえば層厚を10μm~500μmとすれば、MOF粒子サイズは0.1μm~50μmの範囲にある。
MOF粒子層は、緻密である方がガス選択透過性を高める。そのためMOFの粒子は、一辺が1~10μm、厚みが1~50nmのシート状粒子のように緻密に積層しやすい形状のものを用いるのが望ましい。シート状粒子を用いた場合の選択性ガス透過膜の構造を模式的に図2に示す。シート状MOF粒子は、主に劈開する結晶構造をとるMOFより生成可能であり、そのMOFの原料となる金属化合物の溶液と配位子の溶液を、両者が別々の層を形成するように静かに流し込み、それを静置することで境界面に形成された粒子を、超音波等で破砕することでできる。
MOF粒子層の厚みは10nm~500μm程度、好ましくは10nm~100μm程度、特に10nm~10μm程度であり、MOF粒子層にシート状粒子を用いた場合の厚みは10~700nm程度になる。
ガス透過膜は、実用に耐え得る十分な強度を持っており、また目的ガス成分の選択性を有しているものがよい。例えばCH/COの分離に優れたMOFの粒子層を、CH/CO分離シリコンラバー膜で挟む場合が考えられる。CH/CO分離シリコンラバー膜はメタンに比べてCOを透過しやすく、CHとCOの混合ガスに対し、単独でもCOをより選択透過して分離することができるが、更にCOの選択透過性の良いMOFの粒子層が存在することにより、その分離性能が向上する。ガス透過膜の例としては、シリコンラバー膜、ポリスルホン膜、ポリイミド膜、ゼオライト膜、セラミック膜などがある。ガス透過膜の厚みは0.1~1000μm程度、通常1~50μm程度のものが適当である。
本発明の選択性ガス透過膜は、例えば図1に示す構造をしており、中間のMOF粒子層の両側にガス透過膜が配置され、両端はプラスチック樹脂やセラミック樹脂などのシール材でシールされている。MOF粒子層を挟む二枚のガス透過膜は、それぞれ異なる材質でもよい。また、いずれか一方が目的ガス成分の選択性を有していればもう一方は目的ガス成分の選択性を有していなくとも良く、選択性の無い多孔質基板のサポートでもよい。
このような選択性ガス透過膜の製法としては、まず、分散媒中にMOF粒子を懸濁させ、MOF粒子懸濁液とする。MOF粒子を懸濁させるためにはシート状粒子形状が望ましいが、不定形の粒子でも不可能ではなく、その場合は粒子サイズを10nm~600nmとすれば容易に懸濁可能である。分散媒はメタノール、ポリイミド溶液、シリコンオイル、有機溶剤など、MOFと反応しないものであれば何でも良いが、後工程を考えれば沸点が低いもの(蒸発しやすいもの)、例えば、30~80℃程度のものがよい。MOF粒子の分散濃度としては10~100mg/L程度が適当である。
上述のMOF分散液を基板上に塗布、例えば30~50μmの厚みで滴下形成する。
次いで、MOF分散液から分散媒を蒸発させて取り除く。室温放置のほか、時間短縮のために真空引きや加温を行ってもよい。
形成させるMOF粒子層の厚みは、10nm~100μm程度、通常100nm~10μm程度が適当である。
そして、その上にガス透過膜を積層して、ガス透過膜/MOF粒子層/ガス透過膜のサンドイッチ構造とする。なお、積層方法は、MOF粒子とガス分離膜の密着性が悪い場合、空隙をガスが通ることによるMOFのガス透過選択性を活かすことができないため、MOF粒子とガス分離膜の密着性を考慮し、積層した基板表面での製膜が望ましい。
次に、MOF粒子を積層した基板表面にガス透過膜を製膜する方法を、ポリジメチルシロキサン膜を例として以下に述べる。なお、本発明に用いられるガス透過膜はポリジメチルシロキサンに限定されない。
まず、ポリジメチルシロキサン液(例えば、東レ・ダウコーニング社:Silpot 184W/C)を、ペンタン、シクロヘキサン、メタノールなど脂肪族アルコール、ハロゲン化アルカン、ジアルキルエーテルや、それらの混合物中に分散させる。混合割合は重量比でポリシロキサン:分散液=30:70とする。
次いで、上記分散液に、硬化剤(例えばベンゾイルペルオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキサイド、パラメチルベンゾイルペルオキサイド、ジターシャリーブチルペルオキサイドなど)を混合する。混合割合は重量比でポリシロキサン:硬化剤=100:0.1~15で望ましくは100:0.2~10とする。硬化剤が少なすぎると硬化後のラバーが柔らかすぎたり流動性を持ったりしてしまう。一方、硬化剤が多すぎると機械的物性低下や残留硬化剤除去の時間がかかる。分散液と硬化剤の混合攪拌時間は10分~5時間である。良く混合しないと製膜の厚みが均等にならない恐れがある。
次いで、上記混合液を基材表面に塗布する。塗布方法は、スプレー、刷毛塗り、混合液中への基材の浸漬、混合液の基材上への滴下などがある。
さらに、100℃で60分の熱風乾燥により表面でシリコンラバーを硬化重合する。この塗布および硬化により基材表面をならし、平滑にする。
その後、再度混合溶液を塗布し、100℃で60分熱風乾燥により基材と強固に結合し、かつピンホールの無いシリコンラバー膜を作製する。この二度目の塗布硬化でピンホールを無くすことができる。このときの実施では、シリコンラバー膜厚は300~700nmとなる。なお、膜厚は混合液の塗布回数などで増減が可能であり、10nm~10μmの範囲、更に言えば10nm~1.5μmの範囲が推奨される。
ここで、選択性ガス透過膜に用いるMOFおよびガス分離膜の一例を以下に示す。なお、以下に述べるものはあくまでも一例であり、これらに限定されるものではない。
MOF
Mn2(dobpdc) ※dobpdc = 4,4’-dioxidobiphenyl-3,3’-dicarboxylate
混合ガス中からのCO2吸着除去
Znと4-(1H-pyrazol-4-yl)pyridine,1,3,5-benzendicarboxylic acid
混合ガス中からのCH4吸着除去
ZIF-90 (Znと2-imidazolecarbaldehyde)
CO2とCH4の分離(CO2透過)
Zn2(bim)4 ※bim = benzimidazole
H2とCO2の分離(H2透過)
Zn3Cu(bdc)3(Pyen) ※bdc = benzendicarboxylic acid
※Pyen = 5-methyl-4-oxo-1,4-dihydro-pyridine-3-carbaldehyde
D2とH2の分離(D2透過)
Cu(bipy)2(CF3SO3)2 ※bipy = 2,2’-bipyridine
D2とH2の分離(D2透過)
Fe2(dobdc) ※dobdc = 2,5-dioxido-1,4-benzenedicarboxylate
アルカン、アルケン、アルキンの分離(エタン/エチレン/アセチレンなど)
Cu3(btc)2 ※btc = 1,3,5-benzenetricarboxylate
アルカン、アルケン、アルキンの分離
ガス分離膜の例
シリコンラバー
ブタジエン
ポリイソブテン
天然ラバー
ナイロン
ポリスルホン
ポリアラミド
酢酸セルロース
ポリエチレン
ポリエステル
ポリイミド
セラミック膜(アルミナ、チタニア、等)
ゼオライト膜
本発明の選択性ガス透過膜は、分離する対象に応じて、このようなMOFおよびガス分離膜を組み合わせて成る。例えば、CO2を分離回収したいのであれば、CO2の分離性能がよいMOFまたはガス分離膜、あるいはその両方を組み合わせるのが望ましい。
次に、本発明の選択性ガス透過膜は、例えば、以下に示したようなガスの分離に利用できることを、実施例を交えて述べる。なお、以下に述べるものはあくまで例であり、選択性ガス透過膜の用途はこれに限定されるものではない。
CH4/CO2混合ガスからのCO2分離
天然ガス井では、採掘されるCH4の中にCO2が混在している場合も多く、CO2の分離除去ニーズがある。CH4/CO2混合ガスからCO2をよりよく透過する膜として、ポリジメチルシロキサンなどのシリコンラバー膜が知られている。また、CH4/CO2混合ガスからのCO2を選択的に分離回収できるMOFとして、Cu(bim)2がある。本発明は、これらを複合して選択性ガス透過膜を成し、シリコンラバー膜を単独で用いた場合より分離性能の良い分離膜を実現する。
Cu(bim)2粒子の合成
テレフタル酸30 mgと硝酸銅(II)三水和物30 mgを、4mlのジメチルホルムアミドと4 mlのアセトニトリルの混合液に攪拌しながら加えた後、恒温槽に入れて40℃で24h静置し、その後遠心分離を行って、平均粒子径約100nmのCu(bim)2粒子50mgを得た。
選択性ガス透過膜の作製
ガス分離膜上へのMOF粒子積層
作製したCu(bim)2粒子をメタノール中に15mg/Lの濃度で分散させた。このCu(bim)2分散液を、CO2の選択的分離が可能なシリコンラバー膜の一種であるポリジメチルシロキサン膜(膜厚15μm)の120℃に加温された表面上に滴下し、メタノールが蒸発することによってCu(bim)2粒子をポリジメチルシロキサン膜上に厚み1μmで積層させた。
MOF粒子層上でのガス分離膜の製膜
ポリジメチルシロキサン原液(東レ・ダウコーニング社:Silpot 184W/C)を、メタノール中に分散させた。混合割合は重量比でポリシロキサン:分散液=30:70とした。この分散液に硬化剤を、重量比でポリシロキサン:硬化剤=100:10の割合で混合し、1時間攪拌し続けた。この混合液を上述のMOF粒子を積層した基材表面に、混合液を基材上へ滴下することにより塗布し、100℃で60分の熱風乾燥により表面でシリコンラバーを硬化重合した。その後、再度混合溶液を塗布し、100℃で60分熱風乾燥により基材と強固に結合し、かつピンホールの無い、膜厚500nmのシリコンラバー膜を作製した。
CH4/CO2分離
天然ガス井におけるCO2分離を想定し、入口ガス組成をCH4:60 vol%、CO2:40 vol %とした。上述の選択性ガス透過膜をアルミ製ハウジングに装着して膜モジュールとし、入口ガスを25℃、6L/minで流し、膜を透過したガスの組成をガスクロマトグラフィーにより検出したところ、膜透過ガスはCH4:23.7 vol %、CO2:76.3 vol %であった。
一方、上述のシリコンラバー膜を単独で用いた場合の膜透過ガスはCH4:37.6 vol %、CO2:62.4 vol %であった。
CH4/CO2混合ガスからのCO2分離(シート状粒子を用いた場合)
MOF粒子の形状がシート状であると、MOF粒子層が緻密となりガス選択透過性が高まることを述べた。ここでは実施例1で述べたCu(bim)2粒子について、粒子形状を一辺がμmオーダー、厚みがnmオーダーのシート状にした場合の実施例を示す。
シート状Cu(bim)2粒子の合成
テレフタル酸30 mgを、2mlのジメチルホルムアミドと1 mlのアセトニトリルの混合液に加え、直径10mmのガラス試験管に注いだ。この溶液上に、1mlのジメチルホルムアミドと1 mlのアセトニトリルの混合液を、この混合液が上層を形成するように静かに加えた。更にその溶液上に、硝酸銅(II)三水和物30 mgを溶かした1mlのジメチルホルムアミドと2 mlのアセトニトリルの混合液を、この混合液が上層を形成するように静かに加えた。すなわち、試験管内の溶液は下層から順に、テレフタル酸溶液層、中間層、硝酸銅溶液層の三層構造になっている。この試験管を恒温槽に入れて40℃で24h静置し、その後遠心分離を行って、平均粒子径2μmの層状Cu(bim)2粒子50mgを得た。さらに、この粒子を超音波細動により剥離し、一辺平均約2μm、平均厚み10 nmのシート状Cu(bim)2粒子50mgを得た。
選択性ガス透過膜の作製
実施例1と同様の手順で作製を行った。
CH4/CO2分離
天然ガス井におけるCO2分離を想定し、入口ガス組成をCH4:60 vol%、CO2:40 vol %とした。上述の選択性ガス透過膜をアルミ製ハウジングに装着して膜モジュールとし、入口ガスを25℃、6L/minで流し、膜を透過したガスの組成をガスクロマトグラフィーにより検出したところ、膜透過ガスはCH4:17.9 vol %、CO2:82.1 vol %であり、実施例1の非シート状Cu(bim)2粒子を用いた場合に比してより高いCO2分離性能を持つ選択性ガス透過膜となった。
[その他の実施例]
上述の実施のほかにも、本発明は、例えばH2/N2混合ガスからのH2分離回収への利用が可能である。C1化学の分野では、アンモニアの原料であるH2の確保が重要であり、H2分離回収ニーズがある。ハーバー法によるアンモニア合成時の未反応ガスであるH2/N2混合ガスからH2を分離回収可能な膜としてポリスルホン膜やポリアラミド膜が知られており、またH2/N2混合ガスからH2を分離可能なMOFとして、Zn(min)2がある。本発明は、これらを複合して選択性ガス透過膜を成し、ポリスルホン膜を単独で用いた場合より分離性能の良い分離膜を実現する。
また、CH4/N2混合ガスからのN2分離への適用がある。LNG基地では、LNGタンクから常にCH4の蒸発ガス(ボイルオフガス;BOG)が発生しており、BOGを再びLNGに圧縮混合して戻すラインが備わっている。BOGは、LNG中に含まれていた微量のN2が濃縮されており、場合によっては、BOGの20 vol%以上がN2となるケースもある。N2をBOGから分離できれば、BOGをLNGに戻す際の圧縮動力コストが下がるため、BOGよりN2を除去するニーズがある。CH4とN2を分離可能な膜としてシリコンラバー膜が知られている。また、CH4とN2を分離可能なMOFとして、{[Co2(4,4’-bpy)3(NO3)4]・xH2O}がある。本発明は、これらを複合して選択性ガス透過膜を成し、シリコンラバー膜を単独で用いた場合より分離性能の良い分離膜を実現する。
その他の実施例として、H2/CO2混合ガスからのH2分離回収が挙げられる。水素製造法の一つである水性ガスシフト反応では、反応後のCO2とH2の混合ガスからH2を分離回収するニーズがある。CO2とH2の混合ガスからH2を分離できる膜として、ポリイミド膜が知られている。CO2とH2の混合ガスからH2を分離できるMOFとして、Zn2(bim)4がある。本発明は、これらを複合して選択性ガス透過膜を成し、ポリイミド膜を単独で用いた場合より分離性能の良い分離膜を実現する。
以上に述べた実施例以外にも、本発明は、例えば以下のようなガス分離に利用することが考えられる。
化石燃料ガス分離
CO2、H2、CH4、C2H6、C3H8、C4H10、H2Oなどが混合したガスの分離
⇒純燃料、化成品原料ガスの製造
化学物質精製
C2H6、C2H4、C2H2などのアルカン、アルケン、アルキンの分離
⇒現在主流の蒸留塔プロセスに変わる低コスト分離法
大気汚染ガス、産業排気ガス分離
H2S、NOx、SOx、N2、O2、CO、CO2などが混合したガスの分離
希ガス分離
⇒HeやArの回収
本発明の選択性ガス透過膜は、ガスの選択性に優れ、製造コストが安く、機械的強度も大きいので各種のガスの分離に幅広く利用できる。

Claims (5)

  1. 金属有機構造体粒子を分散媒に分散した分散液をガス透過膜上に層状に形成し、分散媒を蒸発させて除去することによって金属有機構造体粒子層の上に新たなガス透過膜を積層することを特徴とする、ガス選択性を有する金属有機構造体粒子層の両側にガス透過膜が配置された選択性ガス透過膜の作製方法
  2. 金属有機構造体粒子層の上にガス透過膜として有機高分子膜を形成することを特徴とする、請求項1に記載の選択性ガス透過膜の作製方法
  3. ガス透過膜の少なくとも一方が、シリコンラバー、ブタジエンラバー、ポリイソブテン、天然ラバー、ナイロン、ポリスルホン、ポリアラミド、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリエステル、ポリイミドのいずれかの膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の選択性ガス透過膜の作製方法
  4. 金属有機構造体粒子層が金属有機構造体のシート状粒子で形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の選択性ガス透過膜の作製方法
  5. 金属有機構造体粒子層とガス透過膜が、少なくとも2種のガス成分を含む混合ガスから少なくとも1種の同一ガス成分を他の成分に比べて優先的に透過することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の選択性ガス透過膜の作製方法
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