JP7010270B2 - 四重極質量分析装置および質量分析方法 - Google Patents

四重極質量分析装置および質量分析方法 Download PDF

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Description

本発明は、一般に質量分析の分野に関し、より具体的には、四重極質量分析装置および質量分析方法に関する。
四重極質量分析装置は、現時点で最も広く使用されている質量分析装置システムである。そのプロトタイプは1950年代に製造されており、ノーベル賞受賞者のPaulらによって発明された非常に成熟した技術および方法であった。たとえば、元の米国特許第2,939,952号明細書では、4つの双曲線または円形ロッド電極がイオン光学システムと平行に対称的に配置され、その中で相互に対称な2つの電極ロッドがそれぞれ対になって接続され、四重極DC電圧および互いに逆相の出力を有するRF電圧がこれらに印加される。V(t)=+(U+VCosΩt)の時間依存交流電圧が1対の電極に印加され、-V(t)=-(U+VCosΩt)の逆交流電圧がもう1対の電極に印加され、ここでUはDC電圧を表し、VはAC電圧であり、ΩはRF電源の角周波数である。構成された四重極RF電圧の四重極DC電圧に対する比が適切であるとき、特定の質量電荷比Mzを有するイオンは四重極システムを安定的に通過することができ、この値よりも小さい質量電荷比を有するイオンは1対の電極上で失われる傾向があり、この値よりも大きい質量電荷比を有するイオンはもう1対の電極上で失われる傾向がある。この動作モードでは、四重極システムは、特定の質量を有するイオンを選択的にフィルタリングすることが可能なフィルタと見なされることが可能であり、したがって四重極マスフィルタとも称される。
通常質量分析システムによって分析される1から100,000の質量を有するイオンでは、上述のAC電圧として0.2から10MHzの動作周波数を有するRF電圧を使用することが適切である。通常、四重極マスフィルタに注入されるイオンエネルギーは、数電子ボルトから数十電子ボルトである。イオンが数百ミリメートルの長さの四重極を通過するとき、これらはおよそ数十から数百のRF周期を経験することになる。RF電圧の影響下で、イオンは2対の極のそれぞれの方向に周期的に振動し、運動の安定性は通過イオンの質量電荷比範囲を決定する。一般に、四重極および使用される電源は、四重極の中央領域で生成される電場を以下の式で表されるような純粋な四重極電場の分布に可能な限り近付けるべきである。
Figure 0007010270000001

ここで、rは、四重極の表面から中心対称軸までの最短距離である。これはまた、四重極ロッド電極システムの電場半径として知られる。四重極システム内のイオンに対して作用する力の状況は、電場の微分方程式によって決定される。純粋な四重極場では、XおよびY方向のイオンの運動は相関していない。以下の2つの重要な無次元パラメータは、イオンのニュートン運動方程式-マシュー(Mathiu)方程式を解くことによって得ることができる。
Figure 0007010270000002

ここで、Mおよびeはそれぞれイオン割り当て質量および電荷を表す。
四重極質量分析装置の動作プロセスは、以下のステップを含む。
イオン源によって生成されたイオンが四重極の軸に沿って四重極質量分析システムに侵入することを可能にするステップと、
成分ACVおよびDCUを有するRF電源を四重極ロッド電極に印加するステップと、
ACV対DCUの比をλ=a/2q=0.167852よりもわずかに低く維持するステップと、
その比を変化しないように維持しつつ、UおよびVの値を徐々に増加させ、四重極ロッド電極システムを通過するイオンを決定するステップ。
イオン信号強度とRF電圧Vの関係が記録される。以下の式(3)に従って、必要な質量スペクトログラムを得ることができる。
Figure 0007010270000003
図1は、従来の四重極ロッド電極システムの概略構造図およびその電源接続モードの概略図である。
マシュー方程式は、四重極場におけるイオンの複雑な運動軌跡を記述するものであり、これは安定した運動軌跡と不安定な運動軌跡とに分けられる。四重極システム内のイオンの安定運動は、イオンの運動半径範囲が四重極ロッド電極システムの電場半径(r)よりも小さいこと、つまり、四重極電極システム全体のイオンの運動がこれらを四重極に接触させて消滅させることはないということを指す。四重極場のイオンの安定性または不安定性は、a、qを座標とする二次元「安定図」に表すことができる。イオンの安定運動は、XおよびY方向のイオンの運動が安定していることを指す。数学的には、イオンは多くの安定領域を有することができる。最も一般的に使用される安定領域は、図2に示されるような、第1の安定領域である。
実際の作業では、四重極に侵入する様々な質量電荷比を有するイオンは全て、a、q空間の同じ走査線a=2λq上に分布する。質量が小さいイオンほどq値が大きくなり、大きいイオンは原点に近い走査線側に位置している。勾配λ=U/Vはイオン質量と関係ないが、その大きさは、安定領域と重なることによって形成されるマスフィルタウィンドウの幅を決定する。理想的な四重極場システムの第1の安定領域の頂点座標は、a=0.236994およびq=0.705996に位置する。
四重極質量分析装置が質量分析を実行するとき、走査線が頂点のわずかに下の位置を掃引できるようにする必要がある(図2に示される通り)。この場合、たとえばMlowからMhighまでの質量範囲のみを有するイオンに対応するq値は、XおよびY方向の両方において運動が安定している領域に対応する。四重極質量分析装置の質量分解能は、式(3)に示される。
Figure 0007010270000004

Rは或る質量における分解能、Mは質量スペクトルのピーク質量電荷比、ピーク幅ΔMは、10%ピーク高さまたは50%ピーク高さなど、相対比高さでの幅である。理論的には、質量分解能は、式(4)に従ってqから直接得ることができる。
Figure 0007010270000005

ここで、Δq=qmax-qminは、走査線と安定領域との2つの交点間の直接距離を表す。したがって、安定図の境界曲線から実際の四重極マスフィルタシステムの理論分解能を推定することができる。なお、理論分解能は、イオンが四重極ロッド電極システム内で十分に長い時間にわたって流れている時にのみ正しいことに、注意する必要がある。
Dawson P.H.の著書Quadrupole Mass Spectrometry and its Applications,American Institute of Physics,Woodbury,New York,[1995]で彼が導いた結論を参照する。四重極ロッド電極システム内のイオンの運動時間はいつも限られているので、四重極ロッド電極システム内のイオンの運動の周期数nが式に使用される場合、得られた最大質量分解能は、周期数と二乗関係、すなわちZahnの定理を有する。
Figure 0007010270000006

ここで、Cは質量スペクトルピーク高さにおける質量分解能の計算に関する定数である。たとえば、質量分解能が10%ピーク高さで測定されるとき、C≒20である。
式(5)は、四重極が正常に動作する状況下で取得可能な質量分解能を与える。たとえば、イオンが100RF周期にわたって動作する状況下で取得可能な最大質量分解能は、およそ500である。通常、市販の四重極質量分析装置が単位質量分解能で動作するのは、このためである。
最新の質量分析技術の開発により、多くの用途でより高い分解能の必要性が見出されている。たとえば、バイオ系質量分析においては、多数の高電荷同位体ピークが分解される必要がある。元素分析では、同じ単位質量を有する異なる元素の同位体情報を分解するために、コアの結合エネルギーによる元素の質量電荷比の損失が使用され得る。これらの必要性は、質量分析装置が0.2、0.1、さらには0.01の質量電荷比の差でイオンを分解することを要求する。通常、既存の四重極質量分析装置がこのような分析要件を満たすことは非常に困難である。
現時点で、科学技術者は、四重極マスフィルタシステムの分解能を改善するために多くの方法を試してきた。最初に、長尺の四重極システムが使用されている。たとえば、U.Von Zahnらは、かつてR=16,000の分解能を得るために5.8mの長さの四重極を製造した(Z.Phys.168,129-142(1962)参照)。しかしながら、この方法は、実際の製造における処理電極の加工精度および組み立て精度によって制限される。現在、4mmから6mmの電場半径を有する四重極の長さは一般に150mmから300mmである。より長い四重極システムでは、平行関係および内部電場半径をミクロンレベル未満に制御することは非常に困難である。あらゆる犠牲を払って上記の精度が実現されたとしても、システムの自重によって形成される片持ち梁のたわみのため、システムの実際の分解能は予め設定された精度よりもはるかに低くなる。加えて、四重極システムに注入されたイオンの運動エネルギーもまた、制御および削減されることが可能である。しかしながら、イオン相空間におけるリウヴィルの定理の特性のため、イオンの運動エネルギーの減少は、必然的にイオンの径方向位置-運動量領域の拡大を伴い、したがってイオン通過効率を大きく低下させる。同時に、イオンの運動エネルギーの減少によって生じる滞留時間の増加は、四重極マスフィルタの走査速度を厳しく制限する。これは、毎秒数百のイオン対の強度分析を実行することが要求される最新の質量分析システムには許容できない。
このため、科学者らはまた、四重極の分解能を向上させる他の方法も提案している。たとえば、M.H.Amadらは、American Journal of Analytical Chemistryにおいて四重極の有効長さを増加させるために四重極の前後に反射レンズ群を適用しようと試み、およそ22,000の質量分解能を得た。しかしながら、この方法は質量分析システムの有効デューティサイクル時間を大幅に減少し、質量スペクトルのピーク形状もまた不十分である。
加えて、科学者らはまた、別の安定領域を使用しようと試みた。図3に示されるように、0.95の周波数を有する単一のAC励起電圧によって影響を受ける安定の島(灰色)が示されている。主要な安定の島は、A、B、およびCとして記されている。太い実線は第1の安定領域の境界を示し、走査線(細い実線)の勾配はλ=0.168である。
およそ21のq値を有する第4の安定領域では、Zahn定数C値は、一般に使用される第1の安定領域の値よりも小さい。DJ Douglasらは、およそ13,000の分解能を得た。しかしながら、分析窓を形成するために高q値を有するこのような高次安定領域を使用することで、必要なRF電源電圧を大きく増加させるので、これは低原子量の少量の元素の質量スペクトル分析にしか適用され得ない。
Zahn係数Cの大きさを減少させることで、四重極質量分析装置の性能を大きく向上させることができる。高次安定領域の使用に加えて、定数Cを減少させるもう1つの方法は、いわゆるAC励起モードを使用することである。その原理は、主RF電圧の周波数と異なる周波数を有するAC電場を使用して、その周波数が四重極場内のXまたはY方向のイオンの長期発振周波数と同じに維持されるかまたはこれと積分比周波数関係を有したまま維持され、イオンの振動振幅励起が鋭くなって臨界状態のイオンの軌道安定性が明確になることである。1992年のAlan Schoen(米国特許第5089703号明細書参照)および1993年のKozo Miseki(米国特許第5227629号明細書参照)は、四重極質量分析の分解能を向上させるための類似の解決策を提案しており、Alanの解決策は、ピークの前縁および後縁のうねりのスペクトルピークを得るように、位相が互いに一致するかまたは異なりつつXおよびY方向のイオンの振動振幅が周期的に変化できるようにするために励起電圧を分極すべく、2つの異なるAC空間を使用し、次いで高分解能を得るためにデコンボリューションの数学アルゴリズムを使用することである。この方法は後に2013年に、位相空間で放出されたイオンの特性を測定するために高速空間分解表面検出器を使用するように開発された。デコンボリューション効率は、より多くの次元情報(放出空間分布、位相時間分布)を導入することによってさらに改善され、およそ50,000の分解能を得られるようになった。しかしながら、離散イオン流の位相情報を使用してデコンボリューションされる高分解能が、後のデコンボリューション操作のために大量のイオンの統計データを必要とすることは、指摘される必要がある。単一のイオンはこのような高分解能を得ることができないので、高感度四重極質量分析装置での適用は制限される。
Kozo Misekiらによって発明された励起四重極質量分析装置の原理は、他の方法に基づいている。通常のDCおよびRF電圧に加えて、非常に小さなAC電圧VexCosωext(AC励起電圧)が四重極に印加される。ΩであるRF周波数とは異なり、AC励起電圧の周波数はωexであり、したがって安定領域の頂点付近に不安定帯域が生成され、初期の第1の安定図の上端は、図4に示されるように、多くの安定の島構造に分割される。安定の島の構造を使用することによって、鋭くなった四重極質量分析安定性窓を得ることができる。Alanの解決策とは異なり、四重極によって励起された瞬間電場は、RF電圧場と同じ四重極場構造であり、このため双極子分極電場によって導入された電場不完全性を回避する。この時点で、形成された安定の島構造のみがごくわずかだけ位相依存および空間依存であり、明確なスペクトルピークの前後の境界が形成され得る。たとえば、島津製作所のガスクロマトグラフィ質量分析装置では、イオンは安定の島Aの位置を通過することができ、ピーク形状は効果的に最適化され、質量分解能および測定信頼性が向上する。しかしながら、実際の適用では、XおよびY方向のイオンの同時励起のため、四重極励起電圧の大きさは限定される必要があることが指摘される必要がある。また、実際の四重極システムのサイズは切り捨てを伴わざるを得ないため、X-Y方向のイオン運動は必然的に特定の結合を伴う。特に、第1の安定図の上端にある島Aでは、XおよびY方向のイオン運動振幅は非常に大きく、結合項は安定図の先端の深刻な不動態化を引き起こす。したがって、実際にはこの方法の質量分解能の改善は、およそハーフハイトピーク幅(半値幅)の0.1単位に制限される。
ロシアの科学者らは、単一四重極励起電圧に関する問題を体系的に研究してきた。たとえば、Int.J.Mass Spectrom.,2001,v.208,p.17-27においてKonenkov N.V,Cousins L.M.,Baranov V.I.,Sudakov M.Yuらによって公開された論文に示されるように、図4のわずかに下部の島BおよびCでは、一方向のみのイオン振動は、四重極励起によって、比較的影響を受けるので(たとえば、島Bを通過している間、イオンの安定性はY方向に狭い窓を有しつつX方向には安定であり、島Cを通過している間は反対に、安定の島の両側でY運動が安定に維持されて狭い通過窓はX方向に現れる)、最良の分離効果は安定の島Cで得られる。しかしながら、単一のAC励起電圧を使用することは、走査線が安定の島Cを通るとき、これは安定の島Bも通り、またはその逆も同様であり、これによってゴーストピークを生成するので、この特性は効率的に使用され得ないという不都合を有する。
この問題のいくつかの解決策は、四重極システムの組み合わせに基づいている。たとえば、直列に接続された短い四重極の2つのセクションが使用されてもよく、四重極励起が一方のセクションに適用され、その一方で他方のセクションには四重極励起が適用されず、または安定の島の位置の変化を得るために、直接重畳連結、位相変調、および振幅変調などを通じて適用モードが変更される。たとえば、Jiang Gongyuらの博士論文“Development of Novel Quadrupole Mass Analyzer(新規な四重極質量分析装置の開発)”では、第1のセクションの島Bのq値範囲は第2のセクションによって形成された不安定帯域内に収まることが可能であり、こうして島Cを通じて質量分解能が得られたときのゴーストピークを排除する。この論文で提示された実験結果は、計器設計者が全長わずか40mmの組み立て式四重極円形ロッドで502uの単位質量分解能を得られることを示している。円形ロッド自体の安定図の先端の不動態化および短いロッド長自体の前後でのエッジ場の影響を考慮し、この解決策は通常の状況下で100mm以上の四重極長を必要とすることを考慮すると、この実験結果自体が、質量分解能を得るために島Cまたは類似の位置を使用する利点を証明しており、四重極マスフィルタのZahn係数Cを効率的に減少することができる。しかしながら、この方法は、高分解能が得られたときに島Bの存在を排除するために四重極マスフィルタの長さを2倍にする必要があり、実際の製造における利点は大きくない。
復旦大学と協力してSudakov M.Yu.らによって提供された中国特許出願(第201610381240.X号)は、2つのAC励起電圧を使用することによってこの問題を克服することを開示している。DC、RF、および2つのAC励起電圧を含む式は、V(t)=U+VCosΩt+Vex1Cos(ωex1t+α)+Vex2Cos(ωex2t+α)に準拠しており、ここで、ΩはRF周波数、ωex1およびωex2は2つのAC励起電圧の周波数であり、ωex1<ωex2であると定義される。Vex1およびVex2はそれぞれ第1AC励起電圧および第2AC励起電圧の振幅であり、αおよびαはRFの初期位相である。無限小の時間変数ξ=Ωt/2を考慮すると、イオンの横方向運動方程式は以下の通りである。
Figure 0007010270000007
2つのAC励起電圧の印加は新しい性能を実証する。適切な励起周波数ωex1およびωex2ならびに振幅Vex1およびVex2を選択することによって、XまたはY方向の不安定運動領域がオフセットされ、対応する安定領域の境界は変更されずに維持され、他の部分は分割される。安定領域の上に、長いストリップ状の安定帯域も現れる。この安定帯域の構造は、2つの印加されたRF電圧の比に関連している。たとえば、2つの四重極励起周波数係数がそれぞれν=0.05、ν=0.95、すなわち周波数がそれぞれRF電圧の周波数の1/20および19/20であり、振幅比がVex1/Vex2=1/2.94となるように選択されるとき、Y方向のイオンの運動振幅励起は抑制される。図面からわかるように、細長い安定帯域が初期安定領域の右側に現れるが、これは「X運動安定帯域」と称される。
図4Aおよび図4Bは、AC励起周波数が0.05および0.95であるときの頂点付近の安定図であり、安定運動領域は灰色で示され、太い黒線は初期安定領域の境界を表し、走査線は安定領域の頂点を通る:λ=a/2q=0.167852。図4Aは、励起電圧が同相にある状況を表し、図4Bは、励起電圧が逆相にある反転を表す。
加えて、AC励起電圧の周波数は図4Aの周波数と同じであるが、位相は逆である(qex2は負)。図4Bに示されるように、この時点で、X運動は影響を受けていない。その結果、細長い安定帯域が初期安定領域の左側に現れるが、これは「Y運動安定帯域」と称される。イオン運動が安定領域を通じて選択されると、初期の主安定領域を同時に通過する走査線によって形成されるゴーストピークが回避され得る。
既存の四重極質量分析システムが、分解能を達成するために統計アルゴリズムを採用することから複数のイオンイベントを処理する必要があること、または分解能効果を得るための特殊な安定図構造を形成するための複数の位相および周波数ロックされた正確なRF電圧に対する依存など、高分解能を取得する動作モードにおいて多くの制限を依然として有することは、指摘される必要がある。同等のサンプリング原理の制限のため、イオンを励起するために2つ以上のAC電圧が使用されるとき、電圧波形生成のサンプリング時間精度は、初期安定図構造が実質的に破壊されないように、各AC電圧周期の少なくとも最小公倍数に達する必要がある。主RF電圧の周波数はMHzレベルに達しているので、複数のAC波形の効果的な特性を得るために、電圧精度は少なくとも18ビット以上の分解能要求を満たす必要があり、デジタルアナログ変換器のサンプリングレートは20MHzを超える必要があり、これは高分解能質量分析システムの実際の回路実装に対して比較的不利である。したがって、高分解能を有する新しい四重極質量分析装置を開発する必要がある。
上記で説明された従来技術の不都合に鑑みて、本発明の目的は、従来技術における問題を解決するための四重極質量分析装置および質量分析方法を提供することである。
上記の目的およびその他の関連する目的を実現するために、本発明は以下の要素を含む四重極質量分析装置を提供する:所定の軸方向に沿った第1平面内に配置された第1対のロッド電極と;前記軸方向に沿った第2平面内に配置された第2対のロッド電極であって、第2平面は、前記第1対のロッド電極および該第2対のロッド電極が四重極を形成するように前記第1平面に対して垂直である、第2対のロッド電極と;前記2対のロッド電極間のDC電位差Uを供給するために使用されるDC電源と;前記2対のロッド電極の間にRF電圧を供給するために使用されるRF電源であって、該RF電圧の振幅はUであり、周波数はΩである、RF電源と;前記2対のロッド電極間の第1AC励起電圧を駆動するために使用される第1AC周波数源であって、該第1AC励起電圧の振幅は、前記RF電圧の振幅Vよりも小さく、Vex1として記録され、該第1AC周波数源の周波数はΩとは異なるωex1である、第1AC周波数源と;前記RF電圧の振幅Vを線形変調するために使用される第2AC周波数源であって、変調周波数はωex2である、第2AC周波数源。
一実施形態において、ωex1はωex2に等しい。
一実施形態において、ωex1はωex2の2倍である。
一実施形態において、Vex1/Vは0.001から0.02の範囲内である。
一実施形態において、Ω/ωex1は5以上の整数である。
一実施形態において、前記RF電源によって供給されるRF電圧に対する前記第2AC周波数源の変調深さは、90%から110%の範囲内である。
一実施形態において、前記RF電源によって供給されるRF電圧に対する前記第2AC周波数源の変調深さは、前記第1AC周波数源によって生成された励起電圧の振幅Vex1との線形関係を維持する。
一実施形態において、本四重極質量分析装置は、前記2対のロッド電極間の第2AC励起電圧を駆動するために使用される第3AC周波数源を含み、前記第2AC励起電圧の振幅は前記RF電源の振幅Vよりも小さく、Vex3として記録され、周波数ωex3はΩとは異なる。
一実施形態において、ωex3はωex1+BΩの正の値に等しく、Aは-3と3との間の非ゼロ整数であり、Bは非負整数である。
一実施形態において、U対Vの比は0.167から0.172の範囲内である。
上記の目的およびその他の関連する目的を実現するために、本発明は、四重極質量分析装置に適用される質量分析方法であって、以下のステップを含む質量分析方法を提供する:所定の軸方向に沿って四重極質量分析装置に侵入するようにイオンを案内するステップであって、該四重極質量分析装置において、RF電源は2対のロッド電極間にVの振幅およびΩの周波数を有するRF電圧を印加し、DC電源は2対のロッド電極間にDC電位差Uを印加し、第1AC周波数源は、2対のロッド電極間にVex1の振幅およびωex1の周波数を有する第1AC励起電圧を印加し、第1AC励起電圧はRF電圧に重畳され、第2AC周波数源は、ωex2の変調周波数を有する変調信号を生成し、該信号を使用することによって前記RF電圧の振幅Vを変調する、ステップと;前記RF電圧の振幅、前記第1AC周波数源の電圧振幅、および前記第2AC周波数源の変調振幅の間で特定の比率を維持することにより該複数のAC周波数源が位相コヒーレントになるようにするステップと;イオンを収集するために前記RF電圧の振幅を調整するステップ。
上記で説明されたように、本発明による四重極質量分析装置は、イオンの通過および過剰なイオンの遮断を容易にするように、四重極システムの安定帯域形成モードを最適化し、これによってイオン通過効率を低下させることなく質量分解能を向上させる。本発明の解決策は、従来技術におけるイオン二方向共振周波数制御で必要な高周波AC信号の重畳を回避し、高速RF回路の帯域幅制限によって生じるRF電圧の非線形歪みによって生じる四重極動作性能低下のリスクを効果的に低減することができる。同時に、四重極質量分析によって必要とされるイオン制御電場の走査速度もまた、必要とされる様々なAC励起信号の限界帯域幅の減少により、さらに速く制御されることが可能である。高速四重極走査質量分析性能を得るという有利さがある。
背景技術における四重極および適用電源の概略構造図である。 背景技術におけるマスフィルタの一般的な図であり、第1の共通安定領域(灰色)は安定線の先端より下の動作線の位置を示し、安定領域は、図面に記されたYおよびX運動の安定境界によって形成されている。 0.95の主RF周波数での単一のAC励起の影響下での背景技術における安定の島、すなわち安定領域(灰色)の概略図であり、3つの主安定領域がA、B、およびCで記されており、初期安定領域の境界は幅広の実線で表され、斜めの動作線は細い実線で表されている。 0.05の主周波数での2つの四重極励起の状況下での背景技術における第1の安定領域の先端付近のマスフィルタの一般的な安定図である。励起強度は図面に示されている。安定運動領域は灰色で表され、初期の第1の安定領域の境界は太い黒線で表され、動作線は安定の終わりを通る。励起は同じ段である。励起は逆である。 0.05の主周波数での2つの四重極励起の状況下での背景技術における第1の安定領域の先端付近のマスフィルタの一般的な安定図である。励起強度は図面に示されている。安定運動領域は灰色で表され、初期の第1の安定領域の境界は太い黒線で表され、動作線は安定の終わりを通る。励起は同じ段である。励起は逆である。 本発明の一実施形態による、RF振幅変調を通じてX帯域安定マスフィルタ帯域を形成するための、回路概略ブロック図である。 本発明の一実施形態による、RF振幅変調支援四重極励起方法において四重極分解能を向上させるために四重極励起電圧を上昇させることによって形成される質量スペクトログラムである。 従来の技術的解決策および本発明の改善された技術的解決策における最も可能性のある解像度と滞留時間の二乗との間の依存関係の概略図である。 本発明の一実施形態による、異なる質量スペクトル分解能幅の下でのイオン信号強度の影響を示す図である。 本発明の一実施形態による、RF振幅支援四重極励起方法をシミュレーションすることによって形成された単位分解能条件下でのX帯域の安定図構造である。 本発明の一実施形態による、RF振幅支援四重極励起方法をシミュレーションすることによって形成された高分解能条件下でのX帯域の安定図構造である。 本発明の一実施形態による、RF振幅支援四重極励起方法をシミュレーションすることによって形成された超高分解能条件下でのX帯域の安定図構造である。 本発明の一実施形態による自己補償方法を採用することによって形成された四重極励起波形およびRF変調を通じて分析物としてメラミンを使用することによって形成された高分解能スペクトログラムである。 本発明の一実施形態による自己補償方法を採用することによって形成された四重極励起波形およびRF変調を通じて分析物としてスルファドキシンを使用することによって形成された高分解能スペクトログラムである。 本発明の一実施形態による自己補償方法を採用することによって形成された四重極励起波形およびRF変調を通じて分析物としてベラパミルを使用することによって形成された高分解能スペクトログラムである。 本発明の一実施形態による自己補償方法を採用することによって形成された四重極励起波形およびRF変調を通じて分析物としてレセルピンを使用することによって形成された高分解能スペクトログラムである。 本発明の一実施形態による、X帯域を生成するための理想波形の波形および周波数領域分析図である。 本発明の一実施形態による、X帯域を生成するための実際の波形の波形および周波数領域分析図である。 本発明の一実施形態による、X帯域を形成するための変調RF信号の次数分析および必要な高次周波数成分強度の概略図である。 本発明の一実施形態による、四重極安定図に対する不平衡RF振幅変調の影響を説明する概略図である。 従来技術における、プリロッド構造を含まない四重極構造、エッジ場、およびa-q安定図変化の比較概略図であり、上部は四重極構造を含まない概略構造図であり、中央部は軸に沿った変化およびエッジ場を通るパラメータを示す概略図であり、下部は同じパラメータの下で矢印によって表されるa-q安定図の変化を示し、四重極がプリパラメータを有する状況下では、安定領域のパラメータは常に維持される。 遅延DC勾配技術を採用することによって改善された図14Aの四重極構造、従来技術におけるエッジ場、およびa-q安定図変化の比較概略図であり、上部はプリロッド構造を含む四重極の概略構造図であり、中央部は軸に沿った変化およびエッジ場を通るパラメータを示す概略図であり、下部は同じパラメータの下で矢印によって表されるa-q安定図の変化を示し、四重極がプリパラメータを有する状況下では、安定領域のパラメータは常に維持される。 1993年にMisekiらによって提供されたプリロッドを含む四重極の解決策における四重極構造、従来技術におけるエッジ場およびa-q安定図の比較概略図であり、上部はプリロッドを含む四重極の概略構造図であり、中央部は軸に沿った変化およびエッジ場を通るパラメータを示す概略図であり、下部は同じパラメータの下で矢印によって表されるa-q安定図の変化を示し、図中、プリロッドを含む四重極におけるパラメータは一定に保たれると想定される。 本発明の一実施形態による、RF電圧の振幅を変調することによって改善されたプリロッド構造イオン通過率を有する四重極構造、エッジ場、およびa-q安定図変化の比較概略図であり、上部はプリロッドを含む四重極の概略構造図であり、中央部は軸に沿った変化およびエッジ場を通るパラメータを示す概略図であり、下部は同じパラメータの下で矢印によって表されるa-q安定図の変化を示し、図中、プリロッドを含む四重極におけるパラメータは一定に保たれると想定される。
以下、具体的な実施例を通じて本発明の実施を説明するが、当業者は、本明細書に開示された内容を通じて本発明の他の利点および効果を容易に理解するだろう。本発明はまた、他の異なる具体的な実施を通じて実施または適用されてもよく、本明細書における詳細は異なる観点および用途に基づいて本発明の精神から逸脱することなく修正または変更されてもよい。なお、本出願の実施形態および実施形態の特徴は、矛盾のない状況下で互いに組み合わされてもよいことに、注意すべきである。
背景技術に記載された既存の技術的解決策は、複数のAC励起電圧の使用が安定図に変化をもたらすことを示している。本発明の原理に関する理解を容易にするために、さらなる議論が本明細書に記載される。たとえば、従来技術では2つのAC励起電圧が使用される。図4Aおよび図4Bに示されるように、励起電圧qex1およびqex1が特定の周波数比である場合、XまたはY方向イオン運動に対応する安定帯域が初期安定領域の外側に生成される。実際、これは、励起電圧が2つの周波数のqパラメータに対応する、すなわち、比qex2/qex1が固定されているとき、XまたはY方向のイオン運動の拡張マシュー方程式の解によってこれらの周波数で生成された振幅が単にオフセットされ、これによって光学回折縞に似たイオン安定帯域を生成するからである。
2つの異なる周波数を有する励起電圧によって生成されたイオン運動項がオフセットされ得るのみならず、励起電圧印加の異なるモードはXおよびY方向で異なる振動周波数、振幅、および強度を生成できるので、四重極励起が異なる方法で印加されるときもそうであることは、指摘される必要がある。励起電圧印加の異なるモードを使用し、励起電圧の波形、振幅、および位相を調整することによって、四重極質量分析の質量分解能を向上させるために安定領域の外側で狭い安定帯域を得ることもまた可能である。
安定図上でωexの動作周波数を有する四重極励起信号の影響を調査する実施形態では、四重極励起信号は、線形加算の形式でRF信号に重畳されないが、四重極励起信号は、乗算演算子の形式で初期RF信号の振幅を変調するために、振幅変調信号として使用される。
ωexおよび周波数ΩのソースRF信号が、四重極質量分析装置に導入される異なる初期位相を有するイオンでは非整数比であるとき、位相条件は、安定領域の境界におけるイオン軌道を後退または励起させ、これは通常、Alan Schoenの特許で前述されたように、イオン注入の位相に応じて安定図の境界に周期的変化をもたらす。安定図の境界振動は、イオン運動の安定性を、異なるq値で連続的および周期的に強化および弱化させて、得られた質量スペクトルピークの境界でリンギング現象を発生させる。
ソースRF信号のωexおよび周波数Ωが整数比であるとき、状況はKozo Misekiの前述の特許と似ており、四重極質量分析装置の安定図は一連の安定の島構造になる。安定の島を分離させる不安定なメッシュ帯域では、XおよびY方向のイオンの運動周波数は、順にωex,2ωex,...,Ω/2である。イオン運動のマシュー方程式は、以下のように表される。
Figure 0007010270000008

ここで、四重極振幅変調周波数係数はν=ωex/Ωである。ν=0.05、すなわち四重極振幅変調波形の周波数がソースRF周波数の1/20であるとき、2つの主帯域はそれぞれ、1/20Ωおよび19/20Ωのイオン共振周波数に対応する。四重極励起電圧を直接線形に重畳する従来の変調方法とは異なり、YおよびX方向のイオンの主振動モードは正反対である。つまり、1/20Ωの変調周波数は、Y方向に1/20Ωのイオン共振周波数を生成することができる。一方、1/20Ωの重畳四重極励起電圧はまた、Y方向に1/20Ωのイオン共振周波数を生成することもできるが、位相は正反対である。したがって、上記の2つの信号は、Y方向の1/20Ωのイオン共振周波数をオフセットして不安定帯域を形成するために重畳されることが可能である。
不安定帯域の特定の構造を分析するために、RF振幅変調信号が印加されて四重極励起電圧が同時に重畳される場合の解の安定性を分析する必要がある。このとき、X-Y空間におけるイオン運動は、以下のようにマシュー方程式を満たす。
Figure 0007010270000009

ここで、第1AC周波数源は、図1に示されるように、四重極システムの2対のロッド電極間の第1AC励起電圧を駆動するために使用され、第1AC励起電圧の振幅は、RF電圧の振幅Vよりも小さく、Vex1として記録され、周波数は異なっていてωex1であり、重畳四重極励起周波数係数はν=ωex1/Ωである。
加えて、第2AC周波数源はRF電圧の振幅Vを変調するために使用され、変調周波数はωex2であり、変調周波数係数はν=ωex2/Ωである。
より簡単な方法は、2つのAC周波数源の動作周波数を等しくすることである。この時点で、2つのAC周波数源の励起電圧の周波数は、ν=0.05など、単一の周波数として表されてもよい。ν=K/Pであり、KおよびPは整数であり、式7の周期関数の共通周期がπPであるとすると、式7はヒルの式(すなわち、周期係数を含む二次線形微分方程式)に変換される。この時点で、安定した軌道を有するqパラメータ分布、すなわち安定図を求めるために、マトリックス法([Konenkov,N.V.;Sudakov,M.Y.;Douglas,D.J.Matrix Methods for the Calculation of Stability Diagrams in Quadrupole Mass Spectrometry.//J.Am.Soc.Mass Spectrom.2002,13,597-613]など)およびその他の数学的方法が使用されてもよい。
変調振幅の変化は通常小さく、重畳された四重極励起AC信号の振幅もまた小さいので、上記の式の解は、パラメータを用いる摂動法を採用することによって得ることができる。振幅パラメータqex1が0.015未満のように小さいとき、乗算変調および加算変調の高次三角項の積因数は線形関数で記述され得る。この時点で、比qex2/qex1が決定されると、ωexおよびΩ/2-ωex周波数の安定した四重極励起オフセットを得ることができる。Y方向のωexがオフセットされると、X方向運動の狭帯域安定領域を得ることができ、これはX帯域と称される。反対に、X方向のωexがオフセットされると、Y方向運動の狭帯域安定領域を得ることができ、これはY帯域と称される。通常、非対象方向の振動振幅を差し引くために、qex2/qex1はおよそ1.5となるように制御される必要がある。より大きいν値では、三角関数の非線形項が考慮されなければならない。近似法を採用することによって、類似の結果を得ることができる。もう1つのポイントは、比qex2/qex1がより小さい固定値の場合、X帯域またはY帯域によって得られた比qex2/qex1はνと関係がなく、これは三角関数の拡張Taylor式の特性によって決定されることである。
同様に、X帯域を生成するために他の励起周波数を選択することによって、Y方向の不安定運動をオフセットすることができる。たとえば、qex2/qex1=1.63、ν=ν、およびν=1-νのとき、従来技術の図4Aのものと類似の狭い安定帯域結果も得ることができる。実際、AC振幅変調周波数係数および重畳励起周波数係数がAωex+BΩの形式で設定され、Aが4より小さい絶対値を有する自然数であるとき、イオン運動周波数項の拡張式は、Aωex周波数におけるイオンの指向性励起を排除するためにより良く重畳されることが可能であり、こうして狭い不安定帯域を形成する。
四重極質量分析装置が機能するとき、RF電圧および四重極DC振幅の設定値は、安定領域の頂点を通る走査線a=2qλである。従来のモードでは、四重極の質量分解能は、走査線の勾配λ=U/Vによって決定される。安定帯域走査モードでは、走査線の勾配は固定されており、イオンはAC励起電圧のない状況下で安定した軌道を持たない。この時点で、四重極の質量分解能は安定帯域の幅によって決定され、安定帯域の幅は、重畳励起電圧振幅に対するAC振幅変調深さの比qex2/qex1によって決定されるか、またはパラメータAM2比(振幅変調2パラメータ比)として記録される。理論上の質量分解能はR=qcentre/Δqであり、ここでΔq=q-q、これは走査線と安定領域との2つの交点間の距離を表し、qcentreは中央値である。
表1に示されるように、理論上の質量分解能とAM2比パラメータとの間の関係が示されている。この方法は、X帯域の質量分解能を求めるために使用され、ここで無次元周波数、すなわち主RF電圧に対するAC励起電圧の周波数比ν=0.05である。表では、Q1およびQ2はそれぞれ安定帯域を形成する2つのエッジのq値であり、DeltaQは質量安定帯域の幅を示す。aAおよびqAは安定帯域の上部頂点の座標であり、比は四重極の走査線の勾配の最大値kMaxを決定し、aBおよびqBは下の安定の島の頂点座標であり、比は四重極の走査線の勾配の最小値kMinを決定し、それがこの値を下回るとき、走査線は、ゴーストピークを生成するために下の安定の島を切り落とす。帯域のq差幅に従って、対応する条件下での限界質量スペクトル分解能である理論分解能値が得られる。
Figure 0007010270000010
表から、AM2比が対応する適切な値に設定されているとき、励起電圧および変調振幅の組み合わせが大きいほど、高い分解能が得られることがわかる。なお、走査線の勾配λ=U/Vが小さすぎるとき、走査線はゴーストピークを生成するために安定領域を通過することに、注意する必要がある。表中の上記パラメータに従って四重極質量分析装置の動作条件を設定することによって、およそ66,000までの最大質量分解能を得ることができる。本明細書では、第1AC周波数源に対するRF電源の周波数比Ω/ωex1は5以上の整数である。2分周、5分周、および10分周の分周器については安価で利用可能な解決策が容易に見つかるため、通常は20分周の条件、すなわちν=0.05が採用される。RF電源の出力電圧に対するRF振幅変調を形成するための第2AC周波数源の変調深さは、90%から110%の範囲内である。通常、RF電源の出力電圧に対する第2AC周波数源の変調深さおよび第1AC周波数源によって生成される励起電圧の振幅Vex1は、線形関係を維持する。
まず表2および表3を参照する。
表2は、X帯域の生成を引き起こすAC振幅変調周波数係数νおよび重畳励起周波数係数νの組み合わせと、その周波数比とを示し、これらは周波数の低い方から高い方へと配置されている。
Figure 0007010270000011
表3は、X帯域の状況下で従来のモードでの四重極のシミュレーションを示す。全ての振幅はゼロピークである。
Figure 0007010270000012
上記の表1によれば、四重極質量分析走査を実行するためにX帯域を形成するために四重極励起電圧と組み合わせて振幅変調RFを使用することによって、非常に高い質量分解能を得ることができる。しかしながら、これは無限の長い四重極における理論的な数値シミュレーション状況に過ぎないことに注意する必要がある。上述のように、実際の適用では、質量分解能は、まず四重極内のイオンの滞留時間によって制限され、これは有限の長いロッドでは相応に低下する。たとえば、シミュレーションでは、r=4mmの電場半径および200mmの長さを有する四重極を使用する。まず、ロッドシステムの両端における電場歪みの影響は考慮されず、両端の高次電界効果を無視するために純粋な四重極場(双曲面電極)として四重極に沿った電場が設定される。四重極が1.2MHzのRF周波数の条件下で動作するとき、609Daのイオンは従来のモードで10,000の質量分解能を得ることができる。対応する電源が、表3の「従来」での条件に従って設定される。新しい動作モードで、表2の別の条件を選択し、対応するAC励起電圧の振幅は表3の「X帯域-AMRF」によって表される。この条件下では、609の質量を有するレセルピンのイオン質量分解能もおよそ10,000である。Sudakovらの従来技術を類推するために、これらの条件は「X帯域-従来技術」に転記されている。
上記の表から、振幅変調モードが使用されると、従来技術の1.14MHzの第2の励起電圧は回避されることがわかり、この場合、1.14MHzの第2の励起電圧が使用されると、その周波数は主RF周波数と非常に近いため、その振幅もまたサンプリングフィードバックを通じて制御回路によって取得されるので、これは高分解能四重極質量分析装置の駆動電源の設計にとって非常に有用である。通常、サンプリングフィードバックでは整流回路が使用されるので、そのフィードバック深さは通常、瞬間的な高周波RF信号の絶対値として反映される。しかしながら、1.14MHzの第2の励起電圧の振幅はより大きく、初期RF信号の整流値とともにビート周波数パターンを形成し、これは様々なRFおよびACの位相でフィードバック回路のフィードバック値を変動させ、安定したRF信号を形成するには非常に不利である。
しかしながら、本発明によって提供される変調の解決策を使用すると、1.14MHzのAC電圧は回避されるので、60KHzの変調および重畳されたAC波形信号のみがシステム全体に現れる。この時点で、60KHzは周波数帯域1.2MHzからほど遠いので、非常に単純なハイパスおよびローパスフィルタは、四重極上で混合信号の重畳を完全に実現することができる。同時に、励起信号の影響を排除することは容易である。さらに、逆60KHz信号を積極的に生成することによって、回路内のスプリアスノイズの影響をオフセットすることさえ可能である。
図5に示されるように、RF振幅変調を通じてX帯域安定マスフィルタ帯域を効率的に形成することが可能な回路概略ブロック図では、質量制御信号501は加算器511を通じて第1AC電源521からの信号と混合され、重畳AC信号源の強度は乗算器512を通じて第1励起電圧信号源503によって変調され、形成された混合制御信号は、それぞれ正方向重畳器513および逆重畳器514を通じて四重極DC強度を制御するための分解能制御DC電圧源502の信号と重畳され、信号は、加算増幅回路を通じて四重極電極対500Aおよび四重極電極対500Bにそれぞれ印加される。四重極対のバイアス電圧が補正される必要があるとき、上記の出力DC電圧は、加算増幅回路515および加算増幅回路516を通じてバイアスDC電圧源504によってバイアスされてもよい。
同時に、四重極RF信号の変調振幅を効率的に制御するために、第2AC電源505は振幅変調信号を形成し、励起電圧は、図中の60KHzなど、周波数選択増幅器517を通じて増幅されてもよい。この波形は、1.2MHzの周波数選択増幅器519における上記質量制御信号の出力と共に乗算器回路520上で変調振幅信号を形成するので、信号は、共振変圧器の一次コイル531を通じて二次増幅コイル532および二次増幅コイル533にRFエネルギーを伝達することができ、こうしてイオンを拘束するためのACおよびRF信号の組み合わせを生成する。
RF振幅変調信号および重畳四重極励起電圧信号の合成では、様々な乗算器の通過帯域幅が限定されていることが、さらに指摘される必要がある。他の信号周波数を導入するために第2の周波数選択増幅器518を導入することなどにより、これらの問題を克服するために、いくつかの解決策が採用され得る。505、517、および518の組み合わせは、場合により、複数のミキサーネットワークまたはチップ、または上記の周波数組み合わせの直接波形合成などの他の手段によっても実施され得る。
類似の質量数を有するイオンで構成されるイオンビームが四重極内を移動するとき、これは横方向運動でおよそ0.1mmのランダムな分布を有することになる。全てのイオンが同じエネルギーで四重極の方向に飛行するので、これらは同時に飛行する。イオンが四重極に侵入する時間は、均一な分布で0μsから20μsなので、四重極に侵入するイオンは、全ての可能なRF位相内のみならず、AC励起電圧の全ての位相内にもある。最後に、イオンは正規分布に到達し、ここで横方向エネルギー標準偏差は0.025eVであり、これは320Kでのイオンの熱運動エネルギーに相当する。シミュレーションのたびに、10,000個のイオンを同じ質量およびエネルギーで設定する。他の条件では、これらをランダムに分布する。これらが四重極に衝突するか消滅するかまたは四重極の他端に通過されると、シミュレーションは停止する。次に、通過したイオンの数を記録し、次いで図示されるように異なるピーク形状が形成されるまでシミュレートするために、別の質量数のイオンを設定する。実際には、四重極は他の方法で動作し、すなわちRFおよびDC電圧を走査し、RF電圧からイオンの公称質量を得ることができる。したがって、実際の実験と比較して、本明細書のシミュレーションでは、低質量数および高質量数の両方のピークが現れる。
質量分解能が最も低い状況下でも、多くのイオン(およそ半分)が失われることがわかる。これは、イオンの速度および位置の初期分布によって引き起こされる。主RF強度に対する四重極励起電圧の比を増加させるように調整することで、質量分析装置の分解能を急速に向上させることができる。図6に示されるように、RF振幅変調支援四重極励起方法において四重極分解能を向上させるために四重極励起電圧を上昇させることによって形成された質量スペクトログラムが示されており、分解能は徐々に向上している。
従来のモード(すなわち、AC励起電圧なし)でシミュレーションが実行されると、理論上の質量分解能は、最大イオン通過効率でやはり10,000であるが、質量分解能はイオン飛行時間によってますます影響を受ける。このモードでのピーク形状は公知であるので、高質量数の側には非常に深刻なテーリングがある。最大質量分解能は、式(5)から得ることができる。
図7に示されるように、X帯域を形成するための四重極励起の2つのモード(701は本発明のRF振幅変調支援四重極励起方法、702は従来の発明における2つの追加支援四重極励起電圧を通じてX帯域を形成する)における質量分解能と周期運動周期数n2との間の関係が示されている。方法の改善を比較するために、曲線703は、従来の方法における四重極励起のない四重極の質量分解能関係を示す。
シミュレーション結果は図7に示されており、質量分解能は周期運動周期数の二乗に比例している。従来のモードでは、質量分解能は、100RF周期でわずか500である。反対に、X帯域を走査することによって、9,000の質量分解能を得ることができる。
ここで説明する。明らかに、従来のモードと比較すると、安定領域の境界のX帯域付近の不安定運動イオンの不安定運動速度は速く、これらは四重極に衝突するとより速く消滅する。周波数νが低いとき、周波数ν=νおよびν=1-νを有する2つのAC励起電圧はイオン軌道を変調し、これはX帯域の外側のX方向の運動の不安定性を招く。RF周波数Ωならびにパラメータqex1およびqもまた、比較のために式(7)で使用される。Ωと置き換えるためにより小さい周波数νが使用される場合、qex1は非常に大きくなり、これによって実際の電圧を実現することが困難になる。上記のシミュレーションでは、ν=0.05である。しかしながら、qex1の実効値はRFの変調エンベロープと共振するので、実際には20周期後に400倍に拡大され得る。つまり、qex1=0.0068のとき、実際のqの実効値は2.72であり、これはマシュー方程式における高q値の領域にも対応する。したがって、イオンの不安定運動はより激しい。イオンは、ほんの数回のRF周期の後に分離し得る。分離周期数が大きい方が、イオン分離のための有効なq値はさらに増加する。この時点で、実際のイオン分離効果は、[Wei Chen,B.A.Collings,and D.J.Douglas,High-Resolution Mass Spectrometry with a Quadrupole Operated in the Fourth Stability Region,//Anal.Chem.2000,72,540-545]においてq=27.2を使用する第4の安定領域の状況と似ている。我々のシミュレーションでは、より高い分解能を得るように、0.08の質量差を有する不安定なイオンが、わずか100RF周期のうちに四重極に衝突して消滅できるようになり得る。
したがって、X帯域は周波数νが低いときに高いq値を有する領域と似ている。異なる分解能幅の下で609の質量を有するイオンの分解能に対するこの方法の影響は、図8に示されている。
図8において、802で示される従来の四重極質量分析装置の方法および曲線804で示されるSaudakovの二重四重極励起重畳法の結果と比較して、801で示される四重極励起電圧を重畳するためにRF振幅変調を使用する方法は、各解像度の状況下で信号の強化を実現することができる。特に、従来の方法と比較して803で示される新しい方法の改善された速度曲線によって示されるように、この方法を採用することによって、イオンに対する四重極質量分析装置の分解効率が本当に著しく向上でき、特に高分解能の状況下で、より高いイオン輸送効率を得ることができる。
四重極にAC励起電圧が印加されると、発生した電場歪みははるかに小さくなる。無限長にわたって理想的に対称的で平行な双曲面ロッドによって、純粋な四重極電場が形成される。しかしながら、実際には、これは不可能であり、四重極はしばしば円筒形のロッドに加工される。従来のモードでは、電場の半径rに対するロッドの半径Rの比は、電場歪みの影響をオフセットして同時により良い性能を実現するように、一般に1.12から1.13である。非線形の電場歪みは非常に小さいものの、これは四重極の性能に深刻な影響を与え、結果としてピーク歪み、テーリング、およびイオン通過の損失を招く。
四重極が高分解能で動作するとき、これらの問題はより深刻になる。ロッドの転位、ロッドの曲がり、ロッド形状の歪み、表面の不規則性、または表面の汚染のような他の歪みは、さらに予測できない影響をもたらす。追加のAC励起電圧が印加されると、これらの影響の多くは弱まるかまたは消滅することさえある。実験[X.Zhao,Z.Xiao and D.J.Douglas,“Overcoming field imperfections of quadrupole mass filters with mass analysis in islands of stability”,Anal.Chem.81,5806,(2009)]がこれを裏付けている。この方法の四重極質量分析装置による解決策も四重極AC励起に基づいているので、この方法もまた、分析装置の機械的構造およびサイズを小さくし、汚れに強くできる。
この実施形態では、市販の四重極質量分析計器(島津製作所、LCMS2020)が改造される。計器の四重極の主ロッドの長さは200mmであり、内接円の半径は4mmである。いくつかの異なる電圧設定を採用することによって、図9Aから図9Cに示されるように、X帯域の下のイオンの通過領域の安定図を描くことができる。
図9Aから図9Cはそれぞれ、RF振幅支援四重極励起方法をシミュレートすることによって、単位分解能、高分解能、および超高分解能で形成されたX帯域の安定図構造を示す。
図9Aから図9Cより、図9Aにおいて、VAC/VRF=0.0042のとき、609の質量数を有するレセルピンイオンでは、分解能は1431に到達でき、同時に、四重極質量分析装置の通過効率は33%であり、図9Bに示されるように、この値がおよそ2倍に増加した場合、これらのイオンの分解能は7780に到達できておよそ5.5倍に増加するが、通過効率は15%に到達できてたったの半分に低下し、図9Cに示されるように、VAC/VRFが0.012に到達すると、非常に良好な分解能の結果を得ることができ、このシミュレーション結果では、2.8%の通過効率で22,000以上の分解能が得られることがわかる。
実験では、上記パラメータに従って改造された四重極質量分析装置システムのRF電圧を変調し、印加された励起電圧を同時に補償することによって、RF振幅変調支援四重極励起方法を通じてX帯域を形成する方法の優位性を暫定的な結果が証明している。
以下の表4は、従来のU-V走査方法とRF振幅変調支援四重極励起方法との間の比較結果を示す。具体的には、従来のQMS分解能と、同等またはそれ以上のFHWM分解能を有するAMX帯域信号との比較結果が示されている。
Figure 0007010270000013
表から、基本的に、分解能が0.1から0.4単位質量の条件下では、RF振幅変調支援四重極励起方法によってもたらされるおよそ2倍から3倍の信号強化が観察されることがわかる。たとえば、未改造の四重極分析装置がレセルピンのピーク形状を走査するとき、単位質量分解能が得られれば、1.2MHzのRFの条件下で、計器によって取得可能な相対信号強度は0.91である。しかしながら、分解能が0.3FHWMまで改善されると予想される場合、イオンの信号強度はおよそ0.085まで低下し、計器の全体的な信号感度を一桁低下させる。2つの四重極を有するカスケード質量分析装置が使用されると、計器の信号感度は二桁低下する。しかしながら、60KHz、142mVの変調信号が元の機器に基づいて四重極の質量制御入力電圧端子に追加で印加され、5.0V、60KHzの四重極励起信号が同時に2対の四重極の間に追加で印加された場合、FHWMと類似の信号強度は0.279に達することができる。通過率は、元の条件に対して半桁だけ低下する。この方法が使用される場合、60KHz、152mVの変調信号が元の機器に基づいて四重極の質量制御入力電圧端子に追加で印加され、5.5V、60KHzの四重極励起信号が同時に2対の四重極の間に追加で印加されると、0.098の信号強度を得ることができる。元の未改造計器の高分解能モードでの0.085の信号強度と比較して、信号強度は15%向上するが、イオンの質量分解能幅はおよそ0.23単位質量だけ改善され得る。
上記の方法は、RF振幅変調方法がより高い分解能の潜在的な可能性を有することを証明している。より単純な修正解決策は、60KHzのRF変調信号のみを使用することによってRF信号を変調することである。この波形はキャリア信号と見なすことができるので、信号の低周波部分はフィードバックされ、四重極電源によってフィードバックされた誤差増幅器上で整流され得るため、60KHzの波形信号もまた生成される。通常、この信号は、抵抗分割器を通じて四重極電源の高電圧DC発生器回路の出力に制御されるので、この変調は四重極AC励起波形として相応に使用されることが可能である。抵抗分割器の比率を調整することによって、形成されたRF変調エンベロープ波形および四重極AC励起波形は、適切なRF変調電圧の下で完全に位相調整され得る。この方法を使用することによって、良好なX帯域マスフィルタ構造を作成するために、大きいRF変調電圧のみが必要とされる。図10Dは、レセルピンの質量数609に対応する電圧の下で位相遅延がうまく補償されるとき、レセルピンの主ピークの分解能は0.05単位質量の幅までしか上昇せず、従来のモードと比較すると、単位質量分解能条件下の信号の1/5のみが減衰することを示している。この結果は、6mmなどのより大きい電場半径を有する高分解能および高精度の四重極質量分析装置を使用することによって得られる結果よりもさらに良好である。他の質量電荷比のイオンでも類似の結果を得ることができる。しかしながら、この変調および復調の解決策によってもたらされる非線形関係のため、不完全な四重極励起オフセットがY方向のイオンの運動において形成され、わずかな分解能減衰が発生するが、これは質量スペクトルピークパターンのフロントトレーリング特性にも示されている。
図10Aから図10Dに示されるように、自己補償方法を採用することによってRF変調および四重極励起波形が形成されるときの、異なる質量数の分析物に対して形成される高分解能スペクトログラムの効果が示されている。
上記の装置では、最良のX帯域質量ピーク幅はおよそ0.08に制限されている。より高い分解能を制限する理由は、0.25V超などのより高いRF変調電圧が電流回路中に非対称エンベロープ波形を生成するためである。この現象は、オシロスコープで表示される信号ではわかりにくいが、フーリエ変換によって明らかにすることができる。この場合、RF信号は追加の四重極AC波形とは異なっており、完全に補償することはできない。次の実施形態で、この問題をどのように克服するかを示す。
本発明のこの実施形態では、電子制限によって引き起こされる非対象四重極励起波形の影響を克服するために、システムをさらに改良する。
図11Aおよび図11Bは、X帯域を生成するための理想波形121および実際の波形122の波形および周波数領域分析比較図である。
図11Aに示されるように、波形121は、完全なX帯域を形成すると理論的に推測される波形を示す。フーリエ変換によって、振幅変調が重畳されて適切な逆四重極励起信号を伴う波形の主周波数は、イオン不安定性を引き起こす四重極DC成分、1/n分周比を有する四重極励起成分、および振幅変調によって生成された1-1/n分周比を有する高周波四重極AC成分を含むことを、見出すことができる。注意深く観察すると、2/n周波数分割信号が非常に少ないこともわかる。これは、三角関数の加減法(prosthaphaeresis)によって求められる高次の項による。しかしながら、振幅から見ると、二次以上の高次成分のパワーは一次のパワーの0.01倍以下である。実際の波形では、2/n周波数分割信号の成分が明らかに増加していることがわかる。この瞬間に、信号は、イオン振動の意味で、全ての方向へのイオン運動持続周波数の倍増を引き起こす。しかしながら、1/2n周波数成分は、高周波帯域ではこの信号において相応にはわからない。したがって、Y方向のイオンの倍増周波数運動は効率的にオフセットされず、理想的なY方向不安定帯域はこの時点で抑制され得ない。
この問題を解決するために、理想的な解決策は、2/n分周比を有する追加の振幅変調信号を導入することであり、これはRFエンベロープ帯域の分析を通じて得ることができる。1-1/n分割周波数が重畳された純粋なRF信号に対して最小二乗法が実行される。図12に示されるように、左の図は、20分周周波数励起信号に基づいてX帯域を形成するための変調RF信号の波形データ図を示しており、これに対してエンベロープ線の次数分析が実行される。まず、中央の図に示される1/n分割周波数、すなわち1/20fRFに対応する振幅変調信号の主波形が、得られる。この波形から1/n分割周波数の振幅変調信号成分を差し引いたあと、右の図において、2/n分割周波数、すなわち1/10fRFに対応する振幅変調信号をさらに含むこともわかる。
反対に、2/n分割周波数項が振幅変調信号に導入される場合、1-2/n分割周波数の運動周波数成分もまたイオン運動のスペクトル内に形成でき、この成分は、電子的不完全性によって形成された元の2/n分割周波数成分をオフセットするために使用され得る。
同様に、この追加の周波数成分ωex3は、Aωex1+BΩに等しい正の値として指定することもでき、ここで、Aは-3と3との間の非ゼロ整数であり、Bは非負整数である。これらの周波数はそれぞれ、主RF電圧の基本周波数および四重極AC励起電圧周波数、ならびに高調波によって生じるイオン運動周波数特性に対応する。AおよびBの絶対値が1である状況は、基本周波数重畳に対応する。四重極場タイプが、X-Y方向の対称性の破れによって生じる八重極場、または単極位置のオフセットによって生じる六重極場などの高次場を含む場合、これらはそれぞれ、AおよびBの絶対値が2および3である状況に対応する。これらの条件に対応する周波数成分ωex3の励起電圧を導入することによって、形成された安定帯域の境界の明瞭さ、および上記の波形の不完全性によって形成される追加のイオン運動周波数成分を、さらに補正することができ、四重極質量分析の分解能性能をさらに向上させることができる。
四重極のピーク形状を改善するもう1つの方法は、表2の平衡四重極励起電圧条件よりも大きいかまたは小さいRF振幅変調率を意図的に導入することである。図13は、四重極安定図上の不平衡RF振幅変調の影響を説明するために使用される。
本明細書では、参照番号1301、1302、および1303はそれぞれ、低、通常、および高RF振幅変調率で得られたX安定帯域形状であり、RF振幅変調率AM2比はそれぞれ、1.50、1.5356、および1.58である。四重極に印加されるRF振幅変調率が理想的な補正値から逸脱すると、RF変調によって影響を受けるイオン軌道振動、および分割位置における四重極励起条件の不完全なオフセットのため、X安定帯域が分割されることがわかる。振幅変調によって形成されるマシュー方程式7.a/7.bの三角関数積項の展開は、二次およびその他の高次加法項を生成し、これは分割位置のより鋭い下縁を生成する。走査線1304がこれらの下縁を通過するとき、実際に形成されたX安定帯域の有効幅は狭くなる。たとえば、RF振幅変調率が1.50で走査線の勾配が0.1694であるとき、分割X安定帯域1301の下端をカットすることによって、609の質量を有するレセルピンのイオンで、18,272の質量分解能を得ることができる。完全に補償された安定帯域1302を通るように同じ走査線が使用されると、質量分解能は13,880しかない。実効四重極励起電圧のRF変調率および高次周波数項が合理的に構成されているとき、本発明によって提供される方法で得られる質量分解能は、四重極励起に基づいて安定帯域または島構造を形成するための他の従来の方法によって得られるよりも高いことがわかる。
従来技術では、高いq値を有する高次安定領域が使用されるとき、実験報告では14,000の質量分解能が得られるものの、感度が低すぎるので、実際の適用における実用化は困難である。従来のモードでは、四重極の導入端におけるエッジ場の存在のため、この方法でのイオン損失が大きすぎる。四重極の導入端では、DCおよびRFの中身が四重極の内部のものよりも低く、イオン運動がより不安定になる。しかしながら、横方向運動の存在のため、イオンは、エッジ場を横切るために非常に大きなイオンスパッタリングを受ける必要がある。四重極では、エッジ場は、四重極に沿って指数関数的に減少し、2r(四重極の電場の半径)の距離を維持する。5mmの電場半径および200mmの長さを有する四重極では、エッジ場は、全長の5%を占める。100RF周期にわたって運動するイオンでは、これらはエッジ場内で5周期を経るが、この結果としてイオン損失が生じる。従来のモードでは、運動時間が同じとき、分解能はわずか500である。より高い質量分解能を実現するために、イオン運動時間を増加させる必要があり、エッジ場内の時間は相応に増加し、これにより感度の低下を招く。X帯域がこの瞬間に使用される場合、運動時間が100RF周期であってもやはり高質量分解能を得ることができる。安定領域の頂点が修正されているだけなので、従来のモードと比較して、イオン通過効率が低下する。
特に高分解能が必要とされるとき、エッジ場は大きな問題をもたらす。この問題を克服するために、DC遅延技術が発明された[W.M.Brubaker,D.Burnham,and G.Perkins,J.VAC.Sci.Technol,8(1971),273-274]。
図14Aおよび図14Bに示されるように、上の図は、四重極に侵入している間の概略構造図を示し、中央の図は、四重極のz軸に沿ってエッジ場aおよびqを通過している間の対応する変化を示し、下の図は、同じパラメータの下で矢印によって表される安定図の変化を示す。図中、プリロッドを含む四重極のパラメータは一定に維持されると想定される。
この技術では、ロッドの小さいセクション(「プリロッド」と称される)が、四重極の前端に追加で配置される必要がある。主四重極はRF電圧およびDC電圧の両方を有するが、プリロッドはRF電圧のみを有する。したがって、イオンビームがプリロッドに侵入するとき、DC成分はない。プリロッドのRF電場のエッジ場は、0から徐々に増加する。イオンが主四重極に侵入するときにのみ、イオンはDC成分を含む電場を経験する。したがって、パラメータaおよびqは第1の領域では安定して維持され、エッジ場のイオンスパッタリングは最小限に抑えられる。この技術は図8に示されており、そこから、プリロッド領域から分析のためにイオンが主四重極に侵入するとき、a、qパラメータ空間のイオンは、エッジRF四重極場の漸進的な強化のため、安定領域の深い位置にまず侵入し、q値は増加し、次いでプリロッドと主ロッドとの間のギャップ内のイオンは最終的にエッジDC四重極場の強化のため安定領域の上端に到達し、a値は増加し、質量分解能をもたらすことがわかる。プロセス全体におけるイオンは、イオン損失を回避するために安定図の中を移動する。しかしながら、イオン質量分離のために以前のX帯域を使用する場合、X帯域方法の効果とこの改良された方法を使用する従来の方法の効果との違いは、頂点に非常に近いX帯域の前をイオンが移動するとき、イオンは狭い不安定帯域を通過するということである。この時点で、イオンがエッジ場の後端、すなわちプリロッドと主ロッドが分離する位置にあるとき、経験時間が長ければ、深刻なイオンビーム散乱が発生し、イオン損失を招く。
図15Aおよび図15Bは、本発明のRF電圧振幅変調を通じたプリロッド構造のイオン通過率の改善を比較説明するために使用される。
図15Aまたは図15Bに示されるように、上の図は、四重極への侵入中の概略構造図を示し、中央の図は、四重極のz軸に沿ってエッジ場aおよびqを通過している間の変化を示し、下の図は、同じパラメータの下で矢印によって表される安定図の変化を示す。図中、プリロッドを含む四重極のパラメータは一定に維持されると想定される。
X帯域分離の以前の特許解決策では、1/nおよび1-1/nの周波数分割関係を有するRFおよび2つの励起電圧信号が四重極に印加されるので、主ロッドのAC信号が容量ネットワークを通じてプリロッドに追加で印加されるとき、1-1/nの高周波AC励起電圧信号(AC2)は初期RF信号と非常によく似ているため、プリロッドとの結合を回避することは困難である。
この時点で、プリロッド内のイオンの安定図構造は、図15Aの下の図に示されるように、1993年にMisekiらによって提案された安定の島構造に復元される。イオンが島の間の不安定帯域を通過するとき、イオンは散乱し、通過率の一部が失われる。
しかしながら、本解決策では、RF振幅変調信号および四重極励起信号の周波数は主RF周波数のほんの一部に過ぎないので、プリロッドのAC励起信号は単純なバンドパスフィルタ(RCネットワークなど)を通じて隔離することができる。この時点で、イオンがプリロッドを通過するときに形成される安定領域構造が図15Bの下の図に示され、安定の島の間の不安定帯域のイオンビームは分岐するのを妨げられる。
イオン分離のためのX帯域を形成するために変調方法を使用することは、イオンの振動振幅がX方向にのみ変化するという別の重要な利点を有する。上述のように、X帯域の付近では、走査線に沿ったイオンのY方向運動は安定して維持される。従来のモードでは、走査線は安定領域の頂点を通って掃引し、低質量数の側のq値は高く、X方向に不安定運動が生じる。同時に、Y方向の高質量数の側でも不安定運動が生じる。質量分析装置の感度がイオンの初期位置、初期エネルギー分布、および検出器への伝送時間によって決定されることを考慮すると、四重極質量分析装置を安定して通過することができるイオンの要件は、いずれかの瞬間のXまたはY方向のいずれかのイオンの運動がrΩよりも小さくなければならないことである。図3から、これは安定の島Aのイオン分離にも関連していることがわかる。しかしながら、XおよびY方向のイオンの不安定運動のため、イオン通過損失は大きすぎるので、実際には従来のモードの適用は制限される。比較すると、X帯域の使用の制限は1方向、すなわちX方向のみであり、Y方向の運動は安定している。Alan Schoenの解決策のような従来技術では、通過帯域を形成するために2つの双極子励起電場が必要であり、これは電場の対称性を破壊する。Sudakovらの解決策は高周波AC励起信号を必要とするが、これを生成して主RF信号から分離するのは困難なので、イオン通過に影響を及ぼす信号歪みを招くことになる。上記で説明されたように、AC励起電圧およびRF振幅変調信号を印加すると、安定帯域が現れ、高速イオン質量分離もまた実現できる。低周波AC励起電圧が使用されると、不安定なイオンを四重極に衝突させて消滅させるのに数周期しかかからない。従来のモードでは、100を超えるRF周期が必要とされ、やはり非線形電場歪みによって生じる影響がある。安定の島の使用によってこのような影響を回避する。本発明による2つのAC励起電圧を印加することによって形成される安定帯域の特性もまた、本明細書に記載されている。
要約すると、本発明によれば、走査のために安定帯域を使用することによって、四重極の質量分解能が著しく改善され、重大なイオン通過損失はない。理由は以下の通りである。
1)イオン質量分離がより高速である。低周波AC励起電圧を使用することによって、不安定なイオンを四重極に衝突させて消滅させるのに数周期しかかからない。加えて、10,000を超える質量分解能を得ることができる。
2)イオン質量分離は一方向にのみ発生し、これにより感度を向上させる。
3)イオン質量分離のための不安定帯域は、第1の安定領域の頂点の付近にのみ現れるので、感度を向上させるためにDC遅延技術が使用され得る。
4)RF振幅変調信号およびAC励起電圧の両方が、主RF信号の周波数よりも数倍から数十倍低い周波数の低周波信号であり得るので、生成および調整を初期RF制御回路から分離することが容易であり、これによりシステムの安定性の実現を促す。
5)追加の高周波AC励起電圧が必要とされず、分析ロッドのエッジの非線形電場歪みによる影響を受けない。
本発明における上記の実施形態および計算結果は全て、より現実に即した周波数の状況、すなわち100RF周期中に5つの低周波励起周期がある状況下で実施される。また、低位相ノイズを有する2分周、5分周、および10分周の分周器は商用目的であり得るので、このプロセスを実験的に実現することは比較的容易であり、マスフィルタ帯域を形成するためにこの装置を使用するコストは比較的低い。実際、他の周波数分割パラメータを採用することによって、類似の振幅変調マスフィルタ帯域を得ることもできる。
表1にも示されるように、周波数値が全て0から0.2の範囲内であるとき、励起電圧振幅の比率が等しい状況下で、結果は同様である。上記で説明されたように、四重極は、表2のAC励起電圧および変調振幅の値を使用することができる。実際の適用では、第3のAC励起電圧を追加すること、またはAC励起電圧と組み合わせるためにRF電源を改良することなど、3つ以上のAC励起電圧を印加するために他の手段が導入されてもよい。このような改良は、本発明から導き出された技術的解決策と見なされるべきであり、これにより宣言される。
上記の実施形態は、本発明を限定するのではなく、本発明の原理および効果を例示的に説明するためにのみ使用される。当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、上記実施形態を修正および変更することができる。したがって、本発明によって開示される精神および技術的思想から逸脱することなく当業者によってなされた全ての同等の修正または変更は、本発明の請求項の適用を受けるものとする。

Claims (11)

  1. 所定の軸方向に沿った第1平面内に配置された第1対のロッド電極と、
    前記軸方向に沿った第2平面内に配置された第2対のロッド電極であって、該第2平面は、前記第1対のロッド電極および該第2対のロッド電極が四重極を形成するように前記第1平面に対して垂直である、第2対のロッド電極と、
    前記第1対のロッド電極と前記第2対のロッド電極の間のDC電位差Uを供給するために使用されるDC電源と、
    前記第1対のロッド電極と前記第2対のロッド電極の間のRF電圧を供給するために使用されるRF電源であって、該RF電圧の振幅はVであり、周波数はΩである、RF電源と、
    前記第1対のロッド電極と前記第2対のロッド電極の間の第1AC励起電圧を駆動するために使用される第1AC周波数源であって、該第1AC励起電圧の振幅は、前記RF電圧の振幅Vよりも小さく、Vex1として記録され、該第1AC周波数源の周波数はΩとは異なるωex1である、第1AC周波数源と、
    前記RF電圧の前記振幅Vを線形変調するために使用される第2AC周波数源であって、変調周波数はωex2である、第2AC周波数源と、
    を備える四重極質量分析装置。
  2. ωex1はωex2に等しい、請求項1に記載の四重極質量分析装置。
  3. ωex1はωex2の2倍である、請求項1に記載の四重極質量分析装置。
  4. ex1/Vは0.001から0.02の範囲内である、請求項1に記載の四重極質量分析装置。
  5. Ω/ωex1は5以上の整数である、請求項1に記載の四重極質量分析装置。
  6. 前記RF電源によって供給される前記RF電圧に対する前記第2AC周波数源の変調深さは90%から110%の範囲内である、請求項1に記載の四重極質量分析装置。
  7. 前記RF電源によって供給される前記RF電圧に対する前記第2AC周波数源の変調深さは、前記第1AC周波数源によって生成された励起電圧の振幅Vex1との線形関係を維持する、請求項1に記載の四重極質量分析装置。
  8. 前記第1対のロッド電極と前記第2対のロッド電極の間の第2AC励起電圧を駆動するために使用される第3AC周波数源を備え、前記第2AC励起電圧の振幅は前記RF電圧の前記振幅Vよりも小さく、Vex3として記録され、前記第2AC励起電圧の周波数ωex3はΩとは異なる、請求項1に記載の四重極質量分析装置。
  9. ωex3はAωex1+BΩの正の値に等しく、Aは-3と3との間の非ゼロ整数であり、Bは非負整数である、請求項8に記載の四重極質量分析装置。
  10. U対Vの比は0.167から0.172の範囲内である、請求項1に記載の四重極質量分析装置。
  11. 請求項1に記載の四重極質量分析装置に適用される質量分析方法であって、
    所定の軸方向に沿って四重極質量分析装置に侵入するようにイオンを案内するステップであって、前記四重極質量分析装置において、前記RF電源は前記第1対のロッド電極と前記第2対のロッド電極の間にVの振幅およびΩの周波数を有するRF電圧を印加し、前記DC電源は前記第1対のロッド電極と前記第2対のロッド電極の間にDC電位差Uを印加し、前記第1AC周波数源は、前記第1対のロッド電極と前記第2対のロッド電極の間にVex1の振幅およびωex1の周波数を有する第1AC励起電圧を印加し、前記第1AC励起電圧は前記RF電圧に重畳され、前記第2AC周波数源は、ωex2の変調周波数を有する変調信号を生成し、該変調信号を使用することによって前記RF電圧の振幅Vを変調する、ステップと、
    前記RF電圧の前記振幅、前記第1AC周波数源の前記電圧振幅、および前記第2AC周波数源の前記変調振幅の間で特定の比率を維持することにより該複数のAC周波数源が位相コヒーレントになるようにするステップと、
    イオンを収集するために前記RF電圧の前記振幅を調整するステップと、
    を備える質量分析方法。
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