図1は、本発明の着用可能物品20の一実施形態の斜視図であり、図2は、シームが接合されておらず、平らな非収縮状態で衣類に面する表面を見せている、同じ物品の概略平面図である。着用可能物品20は、長手方向軸線としての役割も果たす長手方向中心線L1と、横断方向軸線としての役割も果たす横断方向中心線T1とを有する。本発明の着用可能物品20は、肌に面する表面、衣類に面する表面、前側領域26、後側領域28、股部領域30、及びシーム32を有し、このシームは、前側領域26及び後側領域28を接合して、2つの脚部開口部及び腰部開口部を形成する。着用可能物品20は、着用者の股部領域30を覆う本体38と、前側領域26及び後側領域28を覆う前側ベルト84及び後側ベルト86と、を備え、前側及び後側ベルト84、86並びに本体は、連続している。前側及び後側ベルト84、86は、横断方向に延在し腰部開口部を画定する環状弾性ベルト40(以下、「腰部ベルト」と呼んでもよい)を共同して形成してもよい。前側ベルト84及び後側ベルト86の横断方向縁部は、シーム32によって接合されて、腰部開口部及び2つの脚部開口部を形成する。前側及び後側ベルト84、86が環状弾性ベルト40を形成するとき、前側及び後側ベルト84、86、並びに本体38は、脚部開口部を共同して画定する。
本体38は、本体38上に出される身体排出物を吸収し収容するための吸収性コア62を含んでもよい。図2に示される実施形態では、本体38はほぼ長方形の形状であり、左右の長手方向に延在する側縁部48(以下、「側縁部」と呼ばれることがある)と、前側及び後側の横断方向に延在する末端縁部50(以下、「末端縁部」と呼ばれることがある)と、を有する。また、本体38は、着用可能物品20の前側領域26に位置決めされた前側腰部パネル52と、後側領域28に位置決めされた後側腰部パネル54と、股部領域30で前側腰部パネル52と後側腰部パネル54との間にある股部パネル56と、を有する。前側ベルト84の中央は本体38の前側腰部パネル52に接合され、後側ベルト86の中央は本体38の後側腰部パネル54に接合され、前側及び後側ベルト84、86はそれぞれ、本体38が重ならない左側部パネル及び右側部パネル82を有してもよい。
図1及び図2を参照すると、前側ベルト84及び後側ベルト86によって少なくとも部分的に形成された弾性ベルト40は、フィット力を動的に生成し、着用中に動的に生成された力を分散させるように作用する。本明細書において、用語「近位側」は、物品の長手方向中心に対して、また本体38の股部パネル56に対して、「遠位」部分の位置よりも近い「近位」部分の位置を示すために使用される。したがって、近位縁部90は、本体38の股部パネル56に対して、遠位縁部88よりも近くに位置している。前側及び後側ベルト84、86は、側縁部89のみにおいてシーム32で互いに接合されて、腰部開口部及び2つの脚部開口部を有する着用可能物品を形成することができる。各脚部開口部は、前側ベルト84、後側ベルト86、及び本体38による弾性の組み合わせによって、脚部開口部の周囲に弾性を持たせてもよい。例えば、前側脚部開口部領域120は、前側ベルト84の左右側部パネル82の近位縁部90に沿って、脚部開口部に隣接して配設される。
前側及び後側ベルト84、86は、股部領域30では互いに連続又は不連続であり得る。前側及び後側ベルト84、86が、不連続である場合、物品の着用者に面する表面又は衣類に面する表面のどちらか全体を覆う材料はない。前側中央パネル80は、本体38の前側腰部パネル52と部分的に重なり合ってもよい。後側中央パネル80は、本体38の後側腰部パネル54と部分的に重なり合ってもよい。しかしながら、中央パネル80は、本体38の股部パネル56内までは延在しなくてもよく、股部パネル56には配設されなくてもよい。図2に示される実施形態では、中央パネル80はそれぞれ、前側腰部パネル52及び後側腰部パネル54と部分的に重なり合い、それらに接合される。
前側ベルト84及び後側ベルト86はそれぞれ、内側シート94、外側シート92(以下、まとめて「ベルトシート」とも呼ぶ)、並びにそれらの間に挟まれている複数の弾性体96を備えてもよく、その弾性体の少なくとも一部は、互いに対して実質的に平行な横断方向に延び、前側及び後側領域26、28に弾性を付与するよう構成されている。図2を参照すると、内側シートと外側シートとの間に挟まれている全ての弾性体は、実質的に互いに平行に横断方向に延びていてもよい(内側シート94は図示されていない)。かかる物品は経済的に作製することができる。
伸ばされた状態での後側ベルト86の有効横方向幅LWは、同じ条件の前側ベルト84の横方向幅と等しくなっていてよい。用語「有効横方向幅」は、物品の、衣類に面する側の表面を形成するために利用できる幅を意味する。図2に示されるように、前側ベルト84及び後側ベルト86の近位縁部90及び遠位縁部88のそれぞれは、実質的に平行であってもよい。
後側ベルト86の全幅LWに沿った、後側ベルト86の後側遠位縁部88と後側近位縁部90との間の長手方向長さLBは、前側ベルト84の前側遠位縁部88と前側近位縁部90との間の長手方向長さLFとほぼ同じであってもよい。かかる実施形態では、シーム32が前側ベルト84及び後側ベルト86の同じ長さの側縁部89を閉じて、物品を形成している。かかる物品は経済的に作製することができる。
後側ベルト86の横断方向における全幅LWに沿った、後側ベルト86の後側遠位縁部88と後側近位縁部90との間の長手方向長さLBは、前側ベルト84の前側遠位縁部88と前側近位縁部90との間の長手方向長さLFより長くてもよい(図1~図3)。かかる実施形態では、着用可能物品が組み立てられて、腰部開口部及び脚部開口部が形成されると、着用可能物品20は、前側遠位縁部88が後側遠位縁部88と位置合わせされるように、横方向中心線T1に沿って折り畳まれる。前側側縁部89も後側側縁部89の一部分と位置合わせされる。次に、前側ベルト84及び後側ベルト86が、前側及び後側側縁部89においてシーム32で接合される。しかしながら、前側及び後側近位縁部90は互いに位置合わせされなくてもよい。後側近位縁部90は、後側側部パネル82の近位部分が前側近位縁部90を超えて本体38の股部パネル56に向かって延在するように、横断方向中心線T1に対して長手方向に前側近位縁部90よりも近くに配設されてもよい。後側側部パネル82の近位部分の側縁部は、どこにも接合されず、付着されていなくてもよい。このようにして、後側側部パネル82の近位部分は、図1に示すような臀部カバー95を提供する。
後側ベルト86の長手方向長さLB及び前側ベルト84の長手方向長さLFが同じであるか否かに関わらず、前側ベルト84のベルト側縁部89の長手方向長さLFの全体が、後側ベルト86のベルト側縁部89と継ぎ合わされて、シーム長LSを画定する。前側ベルト84が、互いに実質的に平行である直線の遠位縁部88及び近位縁部90を有する場合、前側ベルト84の長手方向長さLFはシーム長さLSに等しい。
前側又は後側ベルト84、86の遠位縁部88に向かう側の外側シート92は、内側シート94の長手方向のサイズよりも長くなっていてもよい。また、外側シート92の端部フラップは、腰部開口部において内側シート94の遠位端の上に折り畳まれてもよい。前側及び後側ベルト84、86は、ベルト40の通気性及び柔軟性のために低厚不織布材料で提供されてよい。
本発明の物品は、良好なベルト利用率を有し得る。ベルト利用率とは、材料周長(mm)と比較した全周長(mm)の寸法の割合、即ち、着用者又は世話をする人が着用のために物品を伸ばし開いたとき、伸張方向のベルトに使用される材料と比較して弾性ベルトがどのくらい有効に利用されるかである。材料周長は、物品を製造するために処理される前に、ベルトシート材料の元の寸法を測定することが想定されている。全周長は、物品が伸ばし開かれ得る最大の周長を測定することが想定されている。本発明の物品は、少なくとも92%のベルト利用率を有する。本発明の物品は、サイズ3(若しくはMサイズ、体重6~11kgの着用者用)では約610mm~約670mm、又はサイズ4(若しくはLサイズ、体重9~14kgの着用者用)では約660mm~約720mm、又はサイズ5(若しくはXLサイズ、体重12~17kgの着用者用)では約710mm~約760mmの全周長を有し得る。
本発明の物品は、好適なフィット時周囲力(N)を有し得る。フィット時周囲力とは、物品の着用中に着用者が感じる力をシミュレーションすると考えられる一定の伸張レベルでの除荷力である。物品の着用中に着用者が感じると考えられる伸張レベルは、70%伸張時周長で表現される。本発明の物品は、2.0N以上のフィット時周囲力を有する。このようなフィット時周囲力を有することにより、弾性ベルトは、良好なフィット性を提供してたるみ及び漏れを防止する。
本発明の物品は、好適な伸張時周囲力(Stretch Circumference Force)(N)を有し得る。伸張時周囲力とは、物品に手を挿入し、伸ばし開く際に着用者又は世話をする人が感じる初期伸張体験をシミュレーションすると考えられる一定の伸張レベルでの負荷力である。物品を伸ばし開く際に着用者又は世話をする人が感じると考えられる伸張レベルもまた、70%伸張時周長で表現される。本発明の物品は、6.0N以下、又は5.5N以下、又は5.0N以下の伸張時周囲力を有する。このような伸張時周囲力を有することにより、弾性ベルトを容易に開いて装着することができる。
材料周長(mm)、全周長(mm)、70%伸張時周長(mm)、フィット時周囲力(N)、及び伸張時周囲力(N)は、以下の「材料周長の測定法」及び「物品全体力測定法」に従って得られる。
前側及び後側弾性ベルト84、86の引張応力(N/m)はそれぞれ、本発明の利益をもたらすためにプロファイリングされてもよい。前側及び後側ベルトが、環状弾性ベルトを形成し、内側シートと外側シートとの間に挟まれている全ての弾性体が実質的に互いに平行に横断方向に延び得るとき、引っ張り応力は、例えば、本明細書で以下に説明されるベルト区域引っ張り応力測定法によって測定され得る。前側及び後側弾性ベルト84、86の弾力性が、横方向に延びる複数の弾性体96によって供給される場合、引張り力は、次の方法のうちの1つ又は複数によって調整されてもよい。1)弾性体96の伸び率;2)弾性体96の密度(dtex);3)複数の弾性体96の長手方向間隔;及び4)弾性体96の横断方向における弾性の有効長さ。伸び率について言えば、「0%の伸び率」とは、弾性体の長さが元の長さであることを意味する。弾性体の一部がその弾力性を取り除かれている場合、残りの、影響を受けていない弾性体で、弾力性を付与する能力のある部分が、「弾性体の弾力性の有効長さ」として定義される。前側ベルト84及び/又は後側ベルト86に配置された弾性体96は、本体38の前側腰部パネル52及び/又は後側腰部パネル54に重なるエリアのある部分が、弾力性を取り除かれるように扱われる場合がある。本体38が吸収性コア62を備える場合に、少なくとも1つの弾性体の、前側腰部パネル52及び/又は後側腰部パネル54と重なるエリアの少なくとも一部から弾力性が取り除かれていることが有利な場合がある。前側及び/又は後側エリアにおける弾力性は、吸収性コア62を塊状に集め、本体38が着用者にぴったりとフィットするのを妨げる恐れがあるからである。一実施形態では、少なくとも1つの、少なくとも半数の、少なくとも3分の2の、又は全ての弾性体の弾力性の少なくとも一部、少なくとも10%、少なくとも20%、又は少なくとも30%が、本体38の前側腰部パネル52及び後側腰部パネル54又は吸収性コア62と重なる領域において取り除かれている。
図3を参照すると、前側及び後側ベルト84、86はそれぞれ、横方向に延びる4つの区域に分割されている。その4つの区域は、遠位縁部88から近位縁部90への間のそれぞれの位置の、シーム長LSのパーセンテージで定義されている。前側ベルト84のベルト側縁部89の全長が、後側ベルト86のベルト側縁部89の特定の長さと継ぎ合わされて、シーム長LSが画定される。シーム長さLSが、前側ベルト84の遠位縁部88で0%、近位縁部90で100%と見なされる場合、区域は、0~25%が腰部区域102、25~50%が遠位腹部区域104、50~85%が近位腹部区域106、85~100%が脚部区域108のように画定される。弾性体が遠位縁部88から25%の位置に配設されているとき、かかる弾性体は腰部区域102に含まれるものと見なされる。弾性体が遠位縁部88から50%の位置に、又は遠位縁部88から85%の位置に配設されているとき、かかる弾性体は近位腹部区域106に含まれるものと見なされる。後側ベルト86の長手方向長さLBが前側ベルト84の長手方向長さLFよりも長い実施形態の場合、後側ベルト86の「LBからLSを引いた」残りの長さは、上述した4つの区域に計上されない。
本発明の物品では、前側近位腹部区域106の引っ張り応力が、前側又は後側のいずれかの、他のどの区域の引っ張り応力よりも大きくてもよい。前側近位腹部区域106の引っ張り応力は、前側遠位腹部区域104の引っ張り応力の200%以上であってもよい。一実施形態では、前側遠位腹部区域104の引張り応力は、後側遠位腹部区域104の引張り応力より小さいか、又はその70%以下であってもよい。一実施形態では、前側近位腹部区域106の引張り応力は、後側近位腹部区域106の引張り応力の150%以上であってもよい。理論に縛られないで言うならば、引っ張り応力に関するこのような区域ごとのプロファイリングは、本発明の物品に、人間の身体、特に36ヶ月よりも年少の幼児の下部胴体によく沿うような形の弾性ベルト40を提供するものと信じられている。それゆえ、本発明の物品は着用者によくフィットし、着用者に快適な着心地を感じさせるが、そのために、ずり落ち防止や漏れ防止といった面で妥協をしていない。即ち、前側近位腹部区域106は高い引っ張り応力を受け、それによって物品が着用者の転子部に対して固定されてもよく、一方では後側近位腹部区域106により多くの領域を残し、着用者の臀部に適応する。物品が転子部に確実に固定されている限り、前側脚部開口部に隣接する脚部区域108には、近位腹部区域106に比べて、極めて小さい引張り応力が作用し得る。したがって、前側脚部開口部領域120における柔らかいフィット性によって脚部の動きが容易になる。更に、後側遠位腹部区域104に、前側遠位腹部区域104よりも大きい引っ張り応力を提供することによって、着用者の前側腰部領域が調節される。
上述したプロファイリングの結果、本発明の物品に、図4に示されるような、物品を着用者が着用している状態を側方から見た場合にS字形のサイドシーム32を取らせることができる。前側ベルト84が、前側近位腹部区域106の物品中で最も大きい引張り応力によって前側に向かって引っ張られるので、サイドシーム32の残りの部分は、それに応じて湾曲し得る。本発明の腰部ベルト40は、以下に説明するベルトシーム形状測定法によって測定されると、d値は+10mm以上、又は+15mm以上、又は+20mm以上になり得る。このようなd値は、物品が、着用者の比較的大きな腰部領域及びおしり領域へ適合し、一方では前側近位腹部区域106での良好な固定を提供することを示している。サンプルが平衡に達するまでに一定の長さの時間が許容される限り、サンプルにストレッチボード180がどのように挿入されていても、湾曲したサイドシーム32及び正のd値が観測される。本発明の腰ベルト40のそのような性質は、サイドシームが比較的直線的であるか、わずかに後方に向かって傾斜している市販の多くのベルトタイプの着用可能物品と対照的である。そのような市販の物品においては、本明細書に記載のベルトシーム形状測定法によるd値は負になり得る。前側脚部区域108の引っ張り応力は、後側脚部区域108の引っ張り応力の80%~200%であってもよい。一実施形態では、前側腰部区域102の引張り応力は、後側腰部区域102の引張り応力の80%~120%であってもよい。
本発明の物品は、引っ張り応力を提供するための区域のそれぞれに配設された複数の弾性体を有してもよい。前側近位腹部区域106上に配設された弾性体は、540dtex以上の密度を有してもよい。前側近位腹部区域106上の弾性体は、150%~250%の伸び率で配設されてもよい。一実施形態では、6~18個の弾性体が前側近位腹部区域106上に配設されてもよい。
本発明では、前側腰部区域102の弾性体の少なくともいくつか、又は少なくとも3つが、後側腰部区域102のそれらと、サイドシーム32において位置がほぼ一致するように構成されてもよい。一実施形態では、前側脚部区域108の弾性体の少なくともいくつか、又は少なくとも3つが、後側脚部区域108のそれらと、サイドシーム32において位置がほぼ一致するように構成されてもよい。前側及び後側腰部区域102は、腰部開口部に最も近く、サイドシーム32において一致する3つ又は4つの弾性素線を備えてもよく、これによって、図4に示すように、弾性素線が作り出したギャザーが腰部バンドの外観126を提供する。前側及び後側脚部区域108は、前側脚部開口部領域120に最も近く、サイドシーム32において一致する3つ又は4つの弾性素線を備えてもよく、これによって、図4に示すように、弾性素線が作り出したギャザーが脚部バンドの外観128を提供する。腰部及び脚部バンドの外観126、128は、良好なフィット感、又は漏れの防止を着用者又は世話をする人に対して暗示し得る。
更に図4を参照すると、腰部区域102は、弾性体の間に10~20mmの1つのインターバルを有してもよい。かかる比較的大きなインターバルは、指フック130として適するギャザーを提供してもよく、そのフック130には、着用者又は世話をする人が、物品20の引き上げを容易にするために、指を挿入することができる。上述の腰部バンドの外観126を提供するためのギャザーは、人間工学的に好ましい指フック130としても機能することができる。本発明では、腰部開口部に最も近くに位置する2~3個の弾性体が、2~4mmのインターバルで配置されて弾性体のアレイを作ってサイドシーム32で合致されてもよく、そのような弾性体のアレイに隣接するインターバルが、指フック130を提供してもよい。
本明細書に記述する弾性プロファイルは、物品ごとの弾性ベルト40に、合計60個以下の、又は46個以下の弾性体を使用することによって、長手方向の軸線で420mm以上の、又は450mm以上の、又は500mm以上の物品の経済的な製作のために利用され得る。本発明の物品は、物品の長手方向の全長が350mm~600mmで、有効横方向ベルト幅(LW)が315mm~500mmで、後側ベルトの長手方向の長さ(LB)が100mm~180mmで、前側ベルトの長手方向の長さ(LF)が80mm~160mmで、本体の長手方向の長さが310mm~560mmで、本体の横方向の幅が150mm~210mmであってよい。本発明の物品は、前側ベルトの遠位縁部から本体の長手方向の縁部までの距離が0mm~70mmで、後側ベルトの遠位縁部から本体の長手方向の縁部までの距離が0mm~90mmであってよく、上記の距離は、前側及び後側ベルトにおいて、等しくなっていてもなっていなくてもよい。本体の長手方向の長さは、物品の長手方向の全長の70%~100%であってよい。本体が吸収性コア62を備える場合には、コアはその長手方向の長さが、270mm~500mmで、コアの横方向の最大幅が、90mm~125mmで、コアの長手方向の縁部から本体の長手方向の縁部までの距離が10mm~40mmであってよい。コアの長手方向の長さは、物品の長手方向の全長の60%~95%、又は本体の66%~97%であってよい。
本発明では、同じ区域の前側及び後側に配設された弾性体の伸び率は、実質的に一致していてもよい。弾性体の特定の長さで弾性が取り除かれるとき、かかる弾性体の弾性の有効長さが考慮される。同じ区域の前側及び後側に配設された弾性体の伸び率を一致させ、かつ前側及び後側ベルト84、86を同一の幅LWとすることによって、物品20は、伸張していない収縮状態では、物品20を平らにすることができるように製造されてもよい。着用者の体型に適応する物品20の上述した整形効果は、物品20が伸張した着用可能状態にあるときにのみに発揮される。かかる平らになる能力は、多くの市販のパンツタイプの着用可能物品に見られ、物品を経済的に提供するための多くの利益を提供する。平らになる能力は、物品20の組立て、移送、及び包装に適応する。
得られた本発明の着用可能物品は、装着しやすさ、フィット性、着用中の快適性、ずり落ち防止、及び漏れ防止を提供してもよい。得られた本発明の着用可能物品は、良好なベルト利用率を有し、したがって経済的な方法で作製することができる。
材料周長の測定法
前側及び後側ベルトが、サイドシーム領域を外さないで互いから剥がされるような方法で、試料物品を両サイドシームで開き、腰部開口部から約30~35mmの部分を、物品の前側及び後側の両方の横断方向に沿ってカットする。前側又は後側ベルトのいずれかのベルトシートに取り付けられた弾性体から弾性を除去するために、La Pointique Int’l Ltd.Cold spray 829などの医療用コールドスプレーを施す。コールドスプレーを施した直後に前側及び後側ベルトを手で伸張して、弾性を完全に緩めるように弾性体をベルトシートから取り外す。弾性体によるギャザーが残っている場合は、ギャザーが存在する部分にコールドスプレーを更に施し、ギャザーが除去されるまで再度伸張する。コア、バックシート又はトップシートなどの前側及び後側ベルト上に残存する本体要素がある場合は、本体要素も除去する。各試料物品について、前側ベルト及び後側ベルトを利用して2個の試験片をそれぞれ準備する。
以上のようにして準備した各試験片について、サイドシーム領域を特定し、試験片の横断方向が垂直方向に一致するように、測定台から400~500mmに位置付けられた40mm幅の固定クリップを使用してサイドシーム領域のみをクランプしたスタンドに掛ける。合計200gになるように、したがって1.96N(200gf)の張力を試験片に加える適切な重りを使用して、同様にサイドシーム領域のみをクランプするように、試験片の下端を40mm幅の可動式クリップに取り付ける。試験片の一方のサイドシーム領域の内側と他方のサイドシーム領域の他方の内側との距離を、一般的な金属定規によって1mm単位まで測定する。これとは別に、サイドシーム領域の横断方向幅を、一般的な金属定規によって1mm単位まで測定する。
前側ベルト試験片のサイドシーム領域の内側の長さ、前側ベルト試験片の左側及び右側サイドシーム領域の幅、後側ベルト試験片のサイドシーム領域の内側の長さ、並びに後側ベルト試験片の左側及び右側サイドシーム領域の幅を、総和し、このように得られたものを材料周長(mm)と定義する。各試料をそれぞれ3回測定し、平均を求める。
物品全体力測定法
TestWorks 4 Software(MTS SYSTEMS(CHINA)CO.,LTDから入手可能)を実行するMTS Criterion C42などのコンピュータインターフェースを備えた電子引張試験機、又は同等の機器を使用して、力を測定する。試験される試料に対する力が、使用するロードセルの能力の10~90%になるように、ロードセルを選択する。機器は、メーカーの指示書に従って較正する。全ての試験は、23±2℃、相対湿度50±5%に維持された室内で行う。
引張試験機に、図5に示されるような、ハンガータイプの試料保持固定具300を装着する。各固定具は、試験中に試料が滑るのを防ぐために、剛性で直線状の、ゴムでコーティングされた水平バー部分302を備える。水平なバー部のバーの外径(ゴムコーティングを含む)は10.0mmである。水平なバー部302の中央軸線は、全テスト過程を通して平行で同一鉛直面内に保たれるように構成されている。基準周長は、次式によって決定される。
基準周長=2×(H+D+πD/2)
式中、Hは水平バー部分302間の垂直方向ギャップ、Dはバーの外径である。
機器は、以下の工程をこなすように設定する。
バーが物品の腰部開口部及び一方の脚部開口部を通るように、試料物品20を上側の水平バー部分302上に挿入する。試験片が下側のバーの上方でぶら下がり、下側のバー302に触れなくなるまで、クロスヘッドを持ち上げる。ロードセルの風袋を差し引き、物品を伸張させずに下側のバー302を腰部開口部及び他方の脚部開口部に挿通させることができるように、クロスヘッドを下降させる。物品を調節して、物品の長手方向中心線L1が上側及び下側のバー302の真ん中で水平面内にあるようにする。バー302と接触している側部部分の中央が、機器のロードセルと同じ垂直軸線上に位置するようにする。物品を必要に応じて手で適所に保持しつつ、不要な力が加わらないように注意しながら、力が0.05~0.1Nになるまでクロスヘッドをゆっくり持ち上げる。この時点での基準周長が初期基準周長である。試験を開始し、19.6Nの力が得られるまでクロスヘッドを254mm/分で上に移動させ、次いで同じ速度でクロスヘッドをすぐに初期基準周長に戻す。19.6Nでの最大周長、及び試験の延伸セグメント中に70%伸張時周長になったときの力を記録する。
19.6Nでの最大周長が全周長(mm)として定義される。70%伸張時周長(mm)は、全周長×0.70として定義される。伸張時周囲力は、試験の負荷(延長)セグメント中に70%伸張時周長になったときの力として定義される。フィット時周囲力は、試験の除荷(収縮)セグメント中に70%伸張時周長になったときの力として定義される。
5つの試料を分析し、それらの平均初期基準周長、平均全周長、平均伸張時周囲力、及び平均フィット時周囲力を計算し、それぞれ、1mm、又は0.01N単位で報告する。
区域引っ張り応力測定法
本明細書に記載の区域引っ張り応力測定法は、前側ベルト及び後側ベルトが環状弾性ベルトを形成し、内側シートと外側シートとの間に挟まれている全ての弾性体が実質的に互いに平行に横断方向に延びている物品用である。
引っ張り応力(N/m)を、張力(N)を試験片の長手方向長さ(m)で割ることによって計算する。TestWorks 4 Software(MTS SYSTEMS社(MTS SYSTEMS CO.,LTD)(中国)から入手可能)を実行するMTS Criterion C42などのコンピュータインターフェースを備えた電子応力試験機、又は同等の機器を使用して、力を測定する。試験される試料に対して得られる力が、ロードセルの能力の10~90%になるように、ロードセルを選択する。機器は、メーカーの指示書に従って較正する。全ての試験は、23±2℃、相対湿度50±5%に維持された室内で行う。機器は、少なくとも試験片と同じ幅を有する単線接触型グリップを装備している。
試験片を得るためには、前側及び後側ベルトがサイドシーム領域を外さないで互いから剥がされるような方法で、試料物品を両サイドシームで開き、前側及び後側弾性ベルトは、腰部ベルトと本体との間の接着を分離して本体38から除去する。ベルト部分にしわを作らないように留意して、コールドスプレーを使用してもよい。いずれのベルト状弾性体96にもスプレーをかけないように留意する。得られた弾性ベルト40を、弾性体96はいずれも切断しないように留意して、上で定義されたように区域102、104、106、108に分割する。試験前に、23±2℃、及び50±5%の相対湿度で2時間、試料を予め調整する。各試験片の長手方向長さを、一般的な金属定規によって1mm単位まで測定する。長手方向長さが意味するものは、図3の寸法102、104、106、又は108である。
機器は、以下の工程をこなすように設定する。初期基準長を、上述したように、別個の同一の物品を使用して物品全体力試験中に決定される初期基準周長から計算する。初期基準長は、初期基準周長の50%として定義される。最終基準長を、上述したように、物品全体力試験中に決定される全周長から計算する。
試験片の一端を、サイドシーム領域を使用して上側クランプに挟み、負荷の重量を差し引く。サイドシーム領域のみがグリップの接触線の後方になるように、サイドシーム領域も使用して試験片の他方の端部を下側クランプに挟む。試験を開始し、試験片を、254mm/分のクロスヘッド速度で最終基準長まで延伸させ、その後すぐに、同じ速度で初期基準長まで戻す。試験中、試験片は物品横断方向に延伸させる。試験の負荷解除セグメント中に最終基準長の70%になったときの負荷解除力を記録する。
5つの物品を分析し、前側及び後側区域102、104、106、108のそれぞれに対して負荷解除力を記録する。その領域の前側及び後側の試験片を含む各区域に対して、平均張力(N)を計算し、0.01N単位の概数にする。各区域に対する引っ張り応力を、平均張力(N)を平均長手方向長さ(m)で割ることによって計算し、0.1N/m単位まで報告する。
ベルトシーム形状測定法
本明細書に記載のベルトシーム形状測定法は、前側ベルト及び後側ベルトが環状弾性ベルトを形成し、内側シートと外側シートとの間に挟まれている全ての弾性体が実質的に互いに平行に横断方向に延びている物品用である。
試料物品からベルト試験片、及び試験片のサイズに従って試験片を支持するためのボード(以下「ストレッチボード」)を準備する。
ベルト試験片は、腰部ベルトと本体との接着を分離して、物品の本体38から腰部ベルト40を取り外すことによって準備する。ベルト部分にしわを作らないように留意して、コールドスプレーを使用してもよい。いずれのベルト状弾性体96にもスプレーをかけないように留意する。試料のシーム長LS(図2参照、例えば、LSはLFと等しい)を、ベルトを平らにして張力をかけずに、±1mm以内まで測定する。
上述したように、別個の同一の物品を使用して、全周長が、物品全体力試験中に決定される。全伸張時幅は、全周長の50%として定義される。
図6を参照すると、ストレッチボード180は、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、又は類似の堅い材料から作製され、以下の寸法を有する。
例えば、ベルトのサイドシーム長LSが130mmであれば、ストレッチボードの長さは170~230mmとすべきである。試験片の全伸張時幅が355mmで、ボード厚が8.5mmであれば、ボード幅は240mmとすべきである。
図6に示すように、ボードの挿入のために試験片をできる限りわずかに伸ばし、シーム32の全長をストレッチボード180の前側及び後側平面上(側面上ではなく)に置くように、ストレッチボード180を試験片に挿入する。ストレッチボード180の1つの側部と他の側部上のそれぞれのシーム32の遠位縁部88(即ち腰部開口部の)、並びに、ストレッチボード180の1つの側部と他の側部のそれぞれのシーム32の近位縁部(即ち脚部開口部の)が、それぞれ同一長手方向軸線の±5mm以内に整列するように、ストレッチボード180上で試験片を調整する。
挿入したストレッチボード180を伴う試験片は次に1分間放置して、25±2℃及び相対湿度50±10%の環境で平衡に到達する。図6を参照すると、この伸張状態(LSS)での端から端の直線のサイドシーム長さ(輪郭長さではなく)が測定される。長手方向に腰部開口部から離れたLSSの70%点(70%点)、及び腰部開口部から離れたLSSの25%(25%点)における、シーム32の横方向の位置が測定され、差「d」(単位mm)を得る。70%点が、25%点に比べてベルトの前側長手方向中心線のより近くに位置していれば、d値は正である。25%点が、70%点に比べてベルトの前側長手方向中心線のより近くに位置していれば、d値は負である。ストレッチボード180の両方の側部上の両シーム32に対してd値を得る。5つの試料の「d」値を測定し、平均d値(10値の平均)を1mm単位で求める。
(実施例1)
本発明の着用可能物品であって、弾性プロファイリングは図2、図3、及び以下の表1に従い、シーム長LSが130mmのもの。
比較例1
図2、図3、及び下記表1に従った弾性プロファイリングを有し、同様にシーム長LSが130mmである、従来技術の着用可能物品。
比較例2
2015年10月にBeijing,PRCからオンラインで購入した、2015年8月15日製造のロット番号ND31 Cの商標名「Huggies Silver Pants L size」を有する着用可能物品。
比較例3
2015年10月にBeijing,PRCからオンラインで購入した、2015年9月6日製造のロット番号EOC12495の商標名「Merries Pants L size」を有する着用可能物品。
「腹部カット有」と示されている弾性体は、その弾力性が、本体38と重なる中央パネル80の中央エリアから取り除かれており、その弾力性の有効長さは66%である。
実施例1及び比較例1~3についてのベルト利用率、フィット時周囲力、及び伸張時周囲力を本明細書に記載の材料周長の測定法、及び物品全体力測定法の方法に従って測定した。結果を以下の表2に示す。
実施例1については、本明細書に記載の区域引っ張り応力力測定法(Zone Tensile Stress Force Measurement)の方法に従って各区域の引っ張り応力を測定し、ベルトシーム形状測定法の方法に従って値dを測定した。実施例1については、前側近位腹部区域の引っ張り応力は、他のどの区域よりも大きく、前側遠位腹部区域104の引っ張り応力の200%を超え、後側近位区域の引っ張り応力の150%を超える。また、実施例1については、前側腰部区域102の引張り応力は、後側腰部区域102の引張り応力の80~120%であり、前側脚部区域108の引張り応力は、後側脚部区域108の引張り応力の80~200%であった。実施例1は、+20mmを超えるd値をもたらした。
消費者の受け止め
同一の吸収性コアを含む実施例1及び比較例1、並びに比較例2及び3は、それぞれ15人のパネリストでの装着についての消費者試験を対象とした。パネリストは、年齢6~31ヶ月、体重9~14kgの中国サイズ4(Lサイズ)の着用者の世話をする人であった。着用者は、7人の男児及び8人の女児であった。
着用者は、実施例の物品を装着され、パネリストは、表3の質問1~4について評価するよう依頼された。次に物品に生理食塩水150mLを付加し、着用者は、15分間自発的に遊ぶ、歩く、はう、又は走ることができたが、物品又は着用者には触らなかった。15分の活動後、パネリストは表3中の質問5に対して評価するように依頼された。
質問2を除き、パネリストは、「非常に悪い」から「優れている」まで5段階で性能を評価するように依頼され、5は「優れている」を表し、4は「良い」を表し、3は「中くらい」を表し、2は「悪い」を表し、1は「非常に悪い」を表す。質問2では、パネリストは、以下のベルト窮屈度評価するように依頼された。2は「きつすぎる」を表し、1は「きつい」を表し、0は「ちょうど良い」を表し、-1は「緩い」を表し、-2は「緩すぎる」を表す。評価は平均をとり、統計的に分析された。試験の結果を以下の表3に示す。
(
*1)信頼度が90%の比較例1より統計的有意に良好である。
(
*2)信頼度が90%の比較例1及び比較例2より統計的有意に良好である。
これらの結果から見られるように、実施例1のベルト利用率は、比較例1~3より高いが、実施例1の窮屈度及びフィット性の消費者知覚(質問2及び4)は、比較例1より有意に良好であり、比較例2より良好であり、比較例3とほぼ同じである。更に実施例1が、比較例2より有意に良好なフィット性能(質問4)を有したにもかかわらず、実施例1はまた比較例2よりも良好なずり落ち防止(質問5)も有した。
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
相互参照される又は関連する特許又は出願などの、本願に引用される全ての文書は、明示的に除外される、又は別途限定されない限り、参照することによりその全体が本願に援用される。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとは見なされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような任意の発明を教示、示唆、又は開示するとは見なされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することにより本明細書に援用された文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。