JP7009308B2 - モータ駆動装置 - Google Patents
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Description
本発明は、モータ駆動装置に関する。
下記特許文献1には、三相のブラシレスモータを正弦波駆動するモータ駆動装置が開示されている。
ところで、上記モータ駆動装置において、各相の相電流値を検出するためには、三相のうち二相の相電流値を二つの電流センサで検出し、その各電流センサで検出した二相の各相電流値から、残りの一相の相電流値をキルヒホッフの法則を用いて算出する必要がある。そのため、最低でも二つの電流センサが必要となり、高コストとなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、三相のブラシレスモータを正弦波駆動するモータ駆動装置であって、一の電流センサで各相の相電流値を求めることができることである。
本発明の一態様は、三相のブラシレスモータを正弦波駆動するモータ駆動装置であって、電源装置と母線を介して接続され、前記電源装置から前記母線を介して供給された直流電力を交流電力に変換して前記ブラシレスモータに出力するインバータと、前記母線に流れる母線電流値を検出する一の電流センサと、前記三相のうち、一相の相電流がゼロクロスとなるタイミングで前記電流センサにより検出された母線電流から、他の二相の各相電流値を算出する相電流算出部と、前記相電流算出部で算出された前記相電流値に基づいて前記インバータを制御する駆動制御部と、を備えることを特徴とするモータ駆動装置である。
本発明の一態様は、上述のモータ駆動装置であって、前記相電流算出部は、前記一相の相電流値がゼロクロスとなるタイミングとして、前記ブラシレスモータの電気角が60°毎のタイミングで前記電流センサにより検出された母線電流値から、他の二相の各相電流値を算出する。
本発明の一態様は、上述のモータ駆動装置であって、前記駆動制御部は、前記相電流算出部で算出された前記相電流値に基づいて前記インバータをPWM制御し、前記相電流算出部は、前記一相の相電流値がゼロクロスとなるタイミングで前記電流センサにより検出された前記母線電流値に対して、前記PWM制御におけるデューティ比で除算することで、他の二相の各相電流値を算出する。
以上説明したように、本発明によれば、三相のブラシレスモータを正弦波駆動するモータ駆動装置であって、一の電流センサで各相の相電流値を求めることができる。
以下、本発明の一実施形態に係るモータ駆動装置を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るモータシステムAの概略構成の一例を示す図である。図1に示すように、モータシステムAは、ブラシレスモータ1、ホールセンサ2、及びモータ駆動装置3を備える。
ブラシレスモータ1は、三相のモータ構造を有するモータである。ブラシレスモータ1は、三相の電機子巻線であるU相ステータコイル、V相ステータコイル及びW相ステータコイルが巻かれたステータと、複数の磁極を有する永久磁石ロータとを備えている。
ホールセンサ2は、ブラシレスモータ1の永久磁石ロータ近傍に取り付けられている。ホールセンサ2は、ブラシレスモータ1の動作時における磁束変化の信号を検出する三個のU相ホールセンサ、V相ホールセンサ、W相ホールセンサから構成される。U相ホールセンサは、永久磁石ロータの磁極の切り替わりを検出し、検出した結果をHigh(H)又はLow(L)の2値信号であるU相ホールセンサ信号をモータ駆動装置3に出力する。また、V相ホールセンサは、永久磁石ロータの磁極の切り替わりを検出し、検出した結果をH又はLの2値信号であるV相ホールセンサ信号をモータ駆動装置3に出力する。また、W相ホールセンサは、永久磁石ロータの磁極の切り替わりを検出し、検出した結果をH又はLの2値信号であるW相ホールセンサ信号をモータ駆動装置3に出力する。
モータ駆動装置3は、ブラシレスモータ1を正弦波駆動する装置である。この正弦波駆動とは、ブラシレスモータ1のステータコイル(U相ステータコイル、V相ステータコイル及びW相ステータコイル)に印加する電圧を、正弦波状に変化させる駆動方式であって、矩形波状に変化させる矩形波駆動よりも低騒音、低振動である。
以下に、本発明の一実施形態に係るモータ駆動装置3の構成について説明する。
以下に、本発明の一実施形態に係るモータ駆動装置3の構成について説明する。
モータ駆動装置3は、電源装置4、インバータ5、電流センサ6、ゲートドライバ7、及び制御部8を備える。
電源装置4は、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、電源装置4は、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることもできる。この電源装置4は、例えば、車両内に設けられたバッテリである。
インバータ5は、電源装置4と母線Lを介して接続されている。インバータ5は、電源装置4から母線Lを介して供給された直流電力を交流電力に変換してブラシレスモータ1に出力する。
より具体的には、インバータ5は、複数のスイッチング素子SWUH~SWWL(SWUH,SWUL,SWVH,SWVL,SWWH,SWWL)を有し、その複数のスイッチング素子SWUH~SWWLがPWM制御されてスイッチング動作することにより、電源装置4から母線Lを介して供給された電流(以下、「母線電流」という。)を正弦波状の交流電流に変換する。そして、インバータ5は、その変換した正弦波状の交流電流を相電流としてU相ステータコイル、V相ステータコイル及びW相ステータコイルのそれぞれに供給する。これにより、ブラシレスモータ1が駆動する。なお、本実施形態では、6つのスイッチング素子SWUH~SWWLがn型チャネルのFET(Field Effective Transistor)である場合について説明するが、これに限定されず、例えば、IGBT(Insulated gate bipolar transistor)、及びBJT(bipolar junction transistor)であってもよい。
以下に、インバータ5の具体的な構成について、説明する。
直列に接続されたスイッチング素子SWUH,SWULと、直列に接続されたスイッチング素子SWVH,SWVLと、直列に接続されたスイッチング素子SWWH,SWWLとは、電源装置4の高電位(出力)側と、接地電位との間に並列に接続されている。
直列に接続されたスイッチング素子SWUH,SWULと、直列に接続されたスイッチング素子SWVH,SWVLと、直列に接続されたスイッチング素子SWWH,SWWLとは、電源装置4の高電位(出力)側と、接地電位との間に並列に接続されている。
スイッチング素子SWUHのドレイン端子は、電源装置4の出力端子に接続されている。スイッチング素子SWULのソース端子は、GND(グランド)に接続されている。スイッチング素子SWUHのソース端子と、スイッチング素子SWULのドレイン端子との接続点は、U相ステータコイルの一端に接続されている。
スイッチング素子SWVHのドレイン端子は、スイッチング素子SWUHのドレイン端子に接続されている。スイッチング素子SWVLのソース端子は、GND(グランド)に接続されている。スイッチング素子SWVHのソース端子と、スイッチング素子SWVLのドレイン端子との接続点は、V相ステータコイルの一端に接続されている。
スイッチング素子SWWHのドレイン端子は、スイッチング素子SWUHのドレイン端子に接続されている。スイッチング素子SWWLのソース端子は、GND(グランド)に接続されている。スイッチング素子SWWHのソース端子と、スイッチング素子SWWLのドレイン端子との接続点は、W相ステータコイルの一端に接続されている。
また、各スイッチング素子SWUH~SWWLは、ゲート端子が制御部8に接続されている。さらに、各スイッチング素子SWUH~SWWLには、還流ダイオードが並列に接続されている。
各スイッチング素子SWUH~SWWLは、ゲートドライバ7を介して、制御部8から入力されるパルス幅変調信号(PWM信号)に基づいて、オンとオフとが切り替えられる。
電流センサ6は、母線Lに設けられた一の電流センサであって、その母線Lに流れる母線電流の電流値(以下、「母線電流値」という。)ILを検出する。そして、電流センサ6は、検出した母線電流値ILを制御部8に出力する。なお、電流センサ6は、母線電流値ILを検出できればよく、その検出方法には特に限定されない。例えば、電流センサ6は、シャント抵抗を有し、当該シャント抵抗の両端の電圧から母線電流値ILを求めるものであってもよい。また、例えば、電流センサ6は、カレントトランスであってもよいし、カレントトランスであってもよい。
ゲートドライバ7は、制御部8から出力されたデューティ比DのPWM信号を各スイッチング素子SWUH~SWWLのゲート端子に出力する。これにより、スイッチング素子SWUH~SWWLは、デューティ比DでPWM制御されることになる。
制御部8は、一の電流センサ6からの母線電流値ILから相電流値を求め、その相電流値が目標値になるように、各スイッチング素子SWUH~SWWLをPWM制御する。
以下に、本発明の一実施形態に係る制御部8の構成について、図2を用いて説明する。
以下に、本発明の一実施形態に係る制御部8の構成について、図2を用いて説明する。
図2に示すように、制御部8は、電気角算出部9、相電流算出部10、及び駆動制御部11を備える。
電気角算出部9は、U相ホールセンサ信号、V相ホールセンサ信号及びW相ホールセンサ信号に基づいて、ブラシレスモータ1の電気角θを一定周期ごとに算出する。そして、電気角算出部9は、算出した電気角θを相電流算出部10に出力する。
相電流算出部10は、三相のうち、一相の相電流がゼロクロスとなるタイミングで電流センサ6により検出された母線電流から、他の二相の各相電流値を算出する。例えば、一相の相電流がゼロクロスとなるタイミングとは、ブラシレスモータ1の電気角θが60°の倍数となるタイミングである。
したがって、相電流算出部10は、電気角算出部9から得られる電気角θが60°毎に電流センサ6から母線電流値ILを取得し、その取得した母線電流値ILから、他の二相の各相電流値を算出する。
例えば、相電流算出部10は、一相の相電流がゼロクロスとなるタイミングである場合には、電流センサ6により検出された母線電流ILに対して、PWM制御におけるデューティ比Dで除算することで、他の二相の各相電流値を算出する。
駆動制御部11は、相電流算出部10で算出された相電流値に基づいてインバータ5をPWM制御する。例えば、駆動制御部11は、相電流算出部10で算出された相電流値が目標値になるようなデューティ比Dを算出し、その算出したデューティ比DのPWM信号を、ゲートドライバ7を介してインバータ5に出力する。そして、インバータ5は、PWM信号に基づいて、ブラシレスモータ1のステータコイルへの電圧供給を、正弦波状に変化させて供給する。
以下に、本発明の一実施形態に係るモータ駆動装置3の動作について、図3及び図4を用いて説明する。図3は、本発明の一実施形態に係るモータ駆動装置3の動作のフロー図である。図4は、本発明の一実施形態に係るブラシレスモータ1に流れる各相の相電流の波形を示す図である。
制御部8は、三相のうち、一相の相電流がゼロクロスとなるタイミングであるか否かを判定する。より具体的には、制御部8は、現在の電気角θが60°の倍数であるか否かを判定する(ステップS101)。制御部8は、現在の電気角θが60°の倍数であると判定した場合には、一相の相電流がゼロクロスとなるタイミングであるとして、電流センサ6から母線電流値ILを取得する(ステップS102)。なお、制御部8は、現在の電気角θが60°の倍数でないと判定した場合には、電気角θが60°の倍数となるまで、ステップS101の処理を繰り返す。
制御部8は、取得した母線電流値ILに対して、PWM制御におけるデューティ比Dで除算することで、他の二相の各相電流値を算出する(ステップS103)。
ここで、本発明の一実施形態に係る母線電流値ILから相電流値を算出する方法について、図4を用いて説明する。
例えば、図4に示すように、電気角θ=60°又は240°となるタイミングとは、W相の相電流がゼロクロスとなるタイミングである。そして、このタイミングでは、W相には相電流が流れておらず、U相及びV相にのみ電流が流れていることになる。より具体的には、W相ステータコイルには相電流が流れておらず、直列に接続されたU相ステータコイル及びV相ステータコイルにのみ母線電流により生成された相電流が流れる。
したがって、電気角θ=60°又は240°となるタイミングで電流センサ6から母線電流値ILを取得した場合には、制御部8は、当該母線電流値ILに対してデューティDで除算することで、U相及びV相の相電流値(=母線電流値IL÷デューティD)を算出することができる。すなわち、U相の相電流値=V相の相電流値=(母線電流値IL÷デューティD)となる。
また、電気角θ=120°又は300°となるタイミングとは、V相の相電流がゼロクロスとなるタイミングである。そして、このタイミングでは、V相には相電流が流れておらず、U相及びW相にのみ電流が流れていることになる。より具体的には、V相ステータコイルには相電流が流れておらず、直列に接続されたU相ステータコイル及びW相ステータコイルにのみ母線電流により生成された相電流が流れる。
したがって、電気角θ=120°又は300°となるタイミングで電流センサ6から母線電流値ILを取得した場合には、制御部8は、当該母線電流値ILに対してデューティDで除算することで、U相及びW相の相電流値(=母線電流値IL÷デューティD)を算出することができる。すなわち、U相の相電流値=W相の相電流値=(母線電流値IL÷デューティD)となる。
また、電気角θ=180°又は360°となるタイミングとは、U相の相電流がゼロクロスとなるタイミングである。そして、このタイミングでは、U相には相電流が流れておらず、V相及びW相にのみ電流が流れていることになる。より具体的には、U相ステータコイルには相電流が流れておらず、直列に接続されたV相ステータコイル及びW相ステータコイルにのみ母線電流により生成された相電流が流れる。
したがって、電気角θ=180°又は360°となるタイミングで電流センサ6から母線電流値ILを取得した場合には、制御部8は、当該母線電流値ILに対してデューティDで除算することで、V相及びW相の相電流値(=母線電流値IL÷デューティD)を算出することができる。すなわち、V相の相電流値=W相の相電流値=(母線電流値IL÷デューティD)となる。
駆動制御部11は、相電流算出部10で算出された相電流値に基づいてインバータ5をPWM制御する(ステップS104)。例えば、駆動制御部11は、相電流算出部10で算出された相電流値が目標値になるようなデューティ比Dを算出し、その算出したデューティ比DのPWM信号を、ゲートドライバ7を介してインバータ5に出力する。これにより、制御部8は、ブラシレスモータ1を正弦波駆動することができる。
以下に、本発明の一実施形態に係るモータ駆動装置3の作用効果について、図5を用いて説明する。
図5(a)は、三相のうち、いずれの相の相電流もゼロクロスとはならないタイミングであって、例えば、電気角θが90°となるタイミングであるときの各相の相電流を示す図である。この場合には、U相、V相及びW相の三相に相電流が流れるため、母線電流値ILからでは、各相の相電流値を算出することができない。
図5(b)は、三相のうち、いずれか一相の相電流がゼロクロスとなるタイミングであって、例えば、電気角θが120°となるタイミングであるときの各相の相電流を示す図である。この場合には、U相及びW相にのみ相電流が流れるため、母線電流値ILから各相の相電流値を算出することができる。
したがって、本発明の一実施形態に係るモータ駆動装置3は、三相のうち、一相の相電流がゼロクロスとなるタイミングで得られた母線電流値ILから、他の二相の各相電流を算出する。
このような構成によれば、三相のブラシレスモータ1を正弦波駆動するモータ駆動装置において、一の電流センサ6で各相の相電流を求めることができる。
また、制御部8は、一相の相電流がゼロクロスとなるタイミングとして、ブラシレスモータの電気角が60度毎のタイミングで電流センサ6により検出された母線電流値ILを取得し、当該取得した母線電流値ILから、他の二相の各相電流を算出してもよい。
また、制御部8は、一相の相電流がゼロクロスとなるタイミングで電流センサ6により検出された母線電流値ILに対して、PWM制御におけるデューティ比Dで除算することで、他の二相の各相電流を算出してもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
1 ブラシレスモータ
3 モータ駆動装置
4 電源装置
5 インバータ
6 電流センサ
7 ゲートドライバ
8 制御部
9 電気角算出部
10 相電流算出部
11 駆動制御部
3 モータ駆動装置
4 電源装置
5 インバータ
6 電流センサ
7 ゲートドライバ
8 制御部
9 電気角算出部
10 相電流算出部
11 駆動制御部
Claims (3)
- 三相のブラシレスモータを正弦波駆動するモータ駆動装置であって、
電源装置と母線を介して接続され、前記電源装置から前記母線を介して供給された直流電力を交流電力に変換して前記ブラシレスモータに出力するインバータと、
前記母線に流れる母線電流値を検出する一の電流センサと、
前記三相のうち、一相の相電流がゼロクロスとなるタイミングで前記電流センサにより検出された母線電流から、他の二相の各相電流値を算出する相電流算出部と、
前記相電流算出部で算出された前記相電流値に基づいて前記インバータを制御する駆動制御部と、
を備えることを特徴とするモータ駆動装置。 - 前記相電流算出部は、前記一相の相電流値がゼロクロスとなるタイミングとして、前記ブラシレスモータの電気角が60°毎のタイミングで前記電流センサにより検出された母線電流値から、他の二相の各相電流値を算出することを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
- 前記駆動制御部は、前記相電流算出部で算出された前記相電流値に基づいて前記インバータをPWM制御し、
前記相電流算出部は、前記一相の相電流値がゼロクロスとなるタイミングで前記電流センサにより検出された前記母線電流値に対して、前記PWM制御におけるデューティ比で除算することで、他の二相の各相電流値を算出することを特徴とする、請求項1又は2に記載のモータ駆動装置。
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