[1]実施例
図1は実施例に係る仮想旅行システム1の全体構成を表す。仮想旅行システム1は、観光地等の旅行先に行かなくても仮想的に旅行を楽しむ仮想旅行サービスを提供するためのシステムである。仮想旅行システム1は、仮想の旅行先の映像を撮影する代理人と、仮想旅行に参加する参加人という2種類のユーザによって主に利用される。
仮想旅行システム1は、ネットワーク2と、代理人端末10-1、10-2、10-3、10-4(各々を区別しない場合は「代理人端末10」という)と、参加人端末20-1、20-2(各々を区別しない場合は「参加人端末20」という)と、処理装置30と、管理制御サーバ装置40とを備える。ネットワーク2は、多数の通信機器を備える通信システムであり、自システムにアクセスする装置同士のデータのやり取りを中継する。
ネットワーク2には、国際中継網3と、基幹回線網4-1、4-2(各々を区別しない場合は「基幹回線網4」という)と、地域回線網5-1、5-2、5-3、5-4、5-5、5-6(各々を区別しない場合は「地域回線網5」という)とが含まれている。国際中継網3は、異なる国に所在する装置同士の通信を中継する回線網である。基幹回線網4は、大容量の通信が可能な回線網であり、コアネットワーク、バックボーンとも呼ばれる。
図1の例では、基幹回線網4-1がイタリア、基幹回線網4-2が日本に設置された回線網であるものとする。基幹回線網4はいずれも国際中継網3に接続されている。地域回線網5は、ユーザが利用する端末であるユーザ端末(例えば代理人端末10及び参加人端末20等)がアクセスする回線網であり、移動網を介して接続される場合は無線アクセスネットワーク(RAN:Radio Access Network)、固定網を経由した有線通信の場合は、加入者回線網とも呼ばれる。
地域回線網5はいずれも基幹回線網4に接続されている。図1の例では、地域回線網5-1がローマを含む地域、地域回線網5-2がフィレンツェを含む地域、地域回線網5-3がミラノを含む地域に設置された回線網であるものとする(なお、図中の地域回線網5は一部であり、他の地域に設置された地域回線網5も存在する)。例えば同じ基幹回線網4に接続する異なる地域回線網5にアクセスしたユーザ端末同士は、地域回線網5、基幹回線網4及び地域回線網5を介して通信する。
また、異なる国の地域回線網5にアクセスしたユーザ端末同士は、地域回線網5、基幹回線網4、国際中継網3、基幹回線網4及び地域回線網5を介して通信する。地域回線網5には、代理人端末10及び参加人端末20が無線又は有線通信でアクセスしている。また、本実施例では、基幹回線網4に、処理装置30及び管理制御サーバ装置40が有線通信でアクセスしている。
なお、各回線網とのアクセスは有線通信及び無線通信のどちらで行われてもよい。以上のとおり、ネットワーク2は、上位になるほど広い区域の通信を仲介する多層のネットワークである。代理人端末10、参加人端末20、処理装置30及び管理制御サーバ装置40は、このネットワーク2に含まれるいずれかの層のネットワーク(本実施例では基幹回線網4及び地域回線網5)にそれぞれ接続されている。
本実施例では、ネットワーク2において仮想旅行システム1が用いるリソース(専用回線等)が確保されたいわゆるギャランティ型の通信が行われる。これは、ベストエフォート型に比べて通信の遅延が生じにくい特性を生かし、途切れにくい映像を配信して視聴者の満足度を高めるためである。なお、通信の遅延可能性が高まっても利用料金を抑えることでユーザに受け入れられることも考えられるので、ベストエフォート型の通信が行われてもよい。
代理人端末10は、仮想の旅行先にいる代理人によって持ち運ばれ、仮想の旅行先を撮影場所として映像を撮影する。代理人端末10は本発明の「撮影装置」の一例である。本実施例では、代理人端末10は、例えば代理人の頭上に装着され、代理人の前後左右と上下を含んだ動画像であるいわゆる360度映像(全方位画像、全天球画像ともいう)を撮影する。代理人端末10は、自機が備えるマイクロフォンで音も録音し、撮影した360度映像とともに処理装置30に送信する。
処理装置30は、代理人端末10によって撮影された旅行先の映像及び録音された音等を含む(映像だけでもよい)仮想旅行の配信データを参加人端末20に送信するための各種処理を実行する。処理装置30は、本実施例では、360度映像のうち参加人端末20から指定された範囲の映像を切り出す切出処理を行い(つまり360度映像は1画面に収まらない大きさの映像である)、画質を変更する変更処理を行ってから配信データの送信(すなわち配信データが示す映像及び音声の配信)を行う。
切出処理及び変更処理はいずれも映像のデータ量を減少させる処理であり、本発明の「処理」の一例である。本実施例の360度映像は、指定範囲を切り出した状態で8K映像(横方向のピクセル数が8000程度の映像)となる解像度の映像であるものとする。8K映像の動画像をそのまま配信するとデータ量が多すぎて通信に遅延が生じ易くなり、参加人端末20の表示処理も遅くなり易い。
そこで、処理装置30は、切出処理により切り出した映像のデータ量を減少させる処理(例えば2K映像に画質を変更する処理)を変更処理として行ってから配信する。なお、処理装置30は、この360度映像、すなわち実際に配信される映像の元になる映像(元映像)自体は配信しない。このように、仮想旅行システム1においては、代理人端末10により撮影された映像を受け取るとデータ量を減少させる処理を行ってからその映像を参加人端末20に配信する処理装置30が複数配置されている。
参加人端末20は、処理装置30によって送信されてきた配信データを受信し、参加人に出力する出力装置であり、例えば、配信データに含まれる映像を表示し、配信データに含まれる音を放音する。参加人端末20は本発明の「表示装置」の一例である。本実施例では、参加人端末20は、参加人の頭に装着するHMD(Head Mounted Display:ヘッドマウントディスプレイ)である。参加人端末20は、自端末の正面が向いている方向(方位及び仰俯角)を測定し、測定した方向に対応する映像の範囲を処理装置30に対して指定する。
これにより、例えば参加人が東を向けば代理人端末10の位置から東を向いた映像が配信され、参加人が上を向けば代理人端末10の鉛直上方の映像が配信される。代理人端末10は、世界中の様々な場所を仮想の旅行先として撮影する。また、同じ代理人端末10がいくつもの異なる場所で利用される場合もある。一方、処理装置30は、図1に表すように複数配置されている。
例えばイタリアの基幹回線網4-1に接続された処理装置30は、地理的にはローマ、フィレンツェ、ミラノ及びナポリ等の国内の各地域に分散して配置されている。処理装置30の地理的な分散配置を進めれば進めるほど、代理人端末10と処理装置30との距離を短くすることができるメリットがある一方で、分散を進めるほど処理装置の設備コストが増大するデメリットがある。そのため、処理装置30は、本システムに係る当該地域でのサービス需要の規模に応じた分散度で配置されている。管理制御サーバ装置40は、代理人端末10が撮影した映像を参加人端末20に配信する際に、その参加人端末20への映像の配信装置として用いられる処理装置30を決定する装置である。
管理制御サーバ装置40は、例えば代理人端末10-1の配信装置として処理装置30-1を決定すると、例えば代理人端末10-1及び参加人端末20に処理装置30-1と接続する際に用いる接続用情報(処理装置30-1のIP(Internet Protocol)アドレス等)を送信する。代理人端末10-1及び参加人端末20がこの接続用情報を用いて処理装置30-1に接続することで、処理装置30-1を介した映像の配信が行われる。
図2は代理人端末10のハードウェア構成を表す。代理人端末10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信装置14と、入力装置15と、出力装置16と、360度カメラ17と、センサ装置18と、バス19という各装置を備えるコンピュータである。なお、ここでいう「装置」という文言は、回路、デバイス及びユニット等に読み替えることができる。また、各装置は、1つ又は複数含まれていてもよいし、一部の装置が含まれていなくてもよい。
プロセッサ11は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ11は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。また、プロセッサ11は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール及びデータ等を、ストレージ13及び/又は通信装置14からメモリ12に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。
各種処理を実行するプロセッサ11は1つでもよいし、2以上であってもよく、2以上のプロセッサ11は、同時又は逐次に各種処理を実行してもよい。また、プロセッサ11は、1以上のチップで実装されてもよい。プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
メモリ12は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)及びRAM(Random Access Memory)等の少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ12は、レジスタ、キャッシュ及びメインメモリ(主記憶装置)等と呼ばれてもよい。メモリ12は、前述したプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール及びデータ等を保存することができる。
ストレージ13は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。
ストレージ13は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ12及び/又はストレージ13を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。通信装置14は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
入力装置15は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、スイッチ、ボタン、センサなど)である。また、入力装置15は、自端末の周辺で発生して自端末に到達する音(周辺音)を収集するマイクロフォンを入力デバイスとして備えている。出力装置16は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカ、LEDランプなど)である。
360度カメラ17は、上述した360度映像を撮影する撮影デバイスである。360度カメラ17は、例えば2以上の広角カメラを備え、それらの広角カメラを異なる方向に向けて全ての方向を撮影範囲に収めることで360度映像を撮影する(なお、完全に全ての方向を撮影するものである必要はなく、例えば足元などに死角があってもよい)。センサ装置18は、360度カメラ17の向きを測定するセンサ(磁気センサ等)を備える。
360度カメラ17には正面が定められており、センサ装置18は、その正面が向いている方向(カメラの正面方向)の方位及び仰俯角を測定する。代理人が移動したり向きを変えたりするとカメラの正面方向の向きが変化するので、センサ装置18がその向きを表す測定値を出力する。この測定値により、撮影された360度映像のうち、例えばどの部分が自端末から見て東向きの映像で、どの部分が自端末から見て鉛直上方向きの映像であるかといったことが分かるようになっている。
なお、センサ装置18は360度カメラ17に内蔵されていてもよい。また、入力装置15が備えるマイクロフォンも360度カメラ17に内蔵されていてもよい。プロセッサ11及びメモリ12等の各装置は、情報を通信するためのバス19を介して互いにアクセス可能となっている。バス19は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
また、センサ装置18は、加速度、温度、湿度、風向、風力、におい又は触感センサ等の人間の五感に関わるセンサを備えていてもよい。その場合、センサ装置18がそれらのセンサで測定した結果を示すセンサ情報を参加人端末20に送信してアクチュエータで再現させることで、参加人端末20における視聴環境の臨場感を高めることができる。
また、代理人端末10等は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、及び、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ11は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
図3は参加人端末20のハードウェア構成を表す。参加人端末20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信装置24と、入力装置25と、出力装置26と、センサ装置27と、中継装置28と、バス29とを備えるコンピュータである。これらは、図2に表す同名の各装置と性能又は仕様等の違いはあるが同種のハードウェアである。ただし、全てが同じではないので、図2の各装置と特に重要な相違点について説明する。
センサ装置27は、自端末の正面方向の向きを測定するセンサ(磁気センサ等)を備え、その正面方向が向く方位及び仰俯角を測定する。また、本実施例の参加人端末20はHMDであるため、参加人が自分の手元を見なくても操作可能な入力装置25を備える。入力装置25は、例えば、筐体の外部に備えられたタッチパッドを備える。
また、入力装置25は、参加人の目の辺りを撮影する撮像装置を備え、撮影した画像から参加人の視線を検知する検知機能を有している。この視線検知には周知の技術が用いられればよい。出力装置26が操作子を表す操作子画像をディスプレイに表示している状態で表示された操作子画像に移動する視線を検知すると、入力装置25は、その操作子画像が表す操作子に対する操作を受け付ける。
中継装置28は、代理人端末10のセンサ装置18が測定した加速度、温度、湿度、風向、風力、におい又は触感センサ等のセンサ情報をアクチュエータに中継する。アクチュエータとは、参加人の視聴環境に配備され、受信したセンサ情報から参加人への感覚刺激を再現する装置(振動発生装置、空調装置又はにおい発生装置等)である。中継装置28は、センサ情報をWiFi又はBluetooth(登録商標)等の近距離無線で中継し、代理人端末10の周辺環境をアクチュエータにより再現させる。これらの五感情報の遠隔への伝達再現には、既存の技術が利用可能である。
図4は処理装置30及び管理制御サーバ装置40のハードウェア構成を表す。処理装置30及び管理制御サーバ装置40は、プロセッサ31と、メモリ32と、ストレージ33と、通信装置34と、バス35という各装置を備えるコンピュータである。これらは、図2に表す同名の各装置と性能又は仕様等の違いはあるが同種のハードウェアである。
仮想旅行システム1が備える代理人端末10、参加人端末20、処理装置30及び管理制御サーバ装置40には、本システムで提供されるプログラムが記憶されており、各装置のプロセッサがプログラムを実行して各部を制御することで以下に述べる機能群が実現される。
図5は仮想旅行システム1が実現する機能構成を表す。代理人端末10は、位置測定部101と、接続用情報取得部102と、映像撮影部103と、周辺音録音部104と、カメラ向き測定部105と、撮影データ送信部106とを備える。
参加人端末20は、接続用情報取得部201と、端末向き測定部202と、指定範囲決定部203と、配信データ出力部204と、撮影指示部205と、撮影映像表示部206とを備える。処理装置30は、元データ取得部301と、映像切出部302と、指定範囲取得部303と、画質変更部304と、配信データ生成部305と、配信データ送信部306と、撮影映像抽出部307と、撮影映像保存部308とを備える。管理制御サーバ装置40は、位置情報取得部401と、配信装置決定部402と、領域情報記憶部403と、接続用情報送信部404とを備える。
仮想旅行システム1においては、各装置(各代理人端末10、各参加人端末20及び各処理装置30)を識別する装置ID(Identification)が割り当てられている。管理制御サーバ装置40は、これらのIDに対応付けて、各IDで識別される各装置の通信時の宛先(IPアドレス等)を記憶している。また、代理人端末10、参加人端末20及び処理装置30は、管理制御サーバ装置40の通信時の宛先(IPアドレス等)を記憶している。これにより、管理制御サーバ装置40と各装置とは必要なときに通信できるようになっている。
代理人端末10の位置測定部101は、自端末の位置を測定する。代理人端末10は、代理人によって仮想の旅行先まで持ち運ばれ、そこを撮影場所として映像を撮影する。代理人端末10が撮影する撮影場所は、例えば代理人の所属する運営会社の運用スケジュールによって決められてもよいし、代理人が自律的に撮影場所を決定して運営会社に登録してもよい。当然ながら、常に同じ撮影場所とは限らないし、様々な場所が撮影場所になる可能性がある。
そこで、代理人は、撮影場所に到着すると、まず代理人端末10を起動して位置の測定操作を行う。なお、代理人端末10の起動時に自動的に位置が測定されてもよい。また、測定操作は、撮影場所に到着する前であっても、撮影場所の近くまで(例えば撮影場所と同じ町又は県まで)来たときに行われてもよい。位置測定部101は、現在位置を測定し、測定した位置を示す位置データ(例えば緯度及び経度を示すデータ)を生成して管理制御サーバ装置40に送信する。
管理制御サーバ装置40は送信されてきた位置データを位置情報取得部401に供給する。位置情報取得部401は、供給された位置データが示す位置情報を、代理人端末10が映像を撮影する撮影位置を示す位置情報として取得する。位置情報取得部401は本発明の「位置取得部」の一例である。位置情報取得部401は、取得した位置情報を配信装置決定部402に供給する。
管理制御サーバ装置40の配信装置決定部402は、上記のとおり仮想旅行システム1において複数配置されている処理装置30のうちから、位置情報取得部401により位置情報が所得された代理人端末10が撮影した映像を実際に配信する配信装置を決定する。配信装置決定部402は本発明の「決定部」の一例である。配信装置決定部402は、複数の撮影領域のうち、位置情報取得部401により取得された位置情報が示す撮影位置と所定の比較対象よりも近い撮影領域に配置されている処理装置30をその撮影位置で撮影される映像を配信する配信装置として決定する。
配信装置決定部402は、本実施例では、取得された位置情報が示す撮影位置と最も近い撮影領域に配置されている処理装置30を配信装置として決定する(つまり撮影位置と2番目に近い領域を比較対象として配信装置を決定する)。具体的には、配信装置決定部402は、位置情報取得部401により取得された位置情報と、領域情報記憶部403が記憶している領域情報とに基づいて配信装置の決定を行う。
領域情報記憶部403は、前述した領域情報を記憶する。領域情報とは、地理的に区分される複数の領域と、各領域で映像が撮影される場合に用いられるべき処理装置30とを対応付けた情報である。
図6は領域情報の一例を表す。図6の例では、領域情報記憶部403は、「イタリア北西部」という撮影領域(地理的に区分される複数の領域の1つ)に「30-1」という処理装置の装置ID(説明を分かり易くするため図1に表す符号と一致させている)と、「ミラノ」という処理装置30の設置場所とを対応付けて記憶している。
領域情報記憶部403は、同様に、「イタリア北東部」、「イタリア中部(ラツィオ州以外)」、「イタリア中部(ラツィオ州)」、「イタリア南部」という撮影領域に「30-2」、「30-3」、「30-4」、「30-5」という装置IDと「ベネチア」、「フィレンツェ」、「ローマ」、「ナポリ」という設置場所とを対応付けて記憶している。これらはイタリア国内について設定された撮影領域等である。
また、領域情報記憶部403は、「北海道・東北」、「関東」、「中部・近畿」、「中国・四国・九州」という撮影領域に「30-6」、「30-7」、「30-8」、「30-9」という装置IDと「盛岡」、「大宮」、「名古屋」、「松山」という設置場所とを対応付けて記憶している。これらは日本国内について設定された撮影領域等である。他の国々についても、同様に撮影領域等が設定されている。本実施例では、上記のとおり、行政区域と共通の境界を有する領域を撮影領域として用いているが、1つ以上の基地局の通信エリアを組み合わせた領域又は特定のアクセス網で収容する領域等を単位としてもよい。
処理装置30の設置場所としては、撮影領域に存在する都市のうち、撮影領域の地理的な中心地点になるべく近い都市が選ばれている。なお、設置場所は、データセンター等の処理装置30を設置可能な設備があれば都市部でなくてもよい。いずれの場合も、仮想旅行システム1が備える複数の処理装置30は、地理的に区分される複数の領域のいずれかにそれぞれ配置される。
また、図6の例では、イタリアの離島部(シチリア島など)と日本の離島部(南西諸島など)が撮影領域として含まれていないが、もちろん含められていてもよい。ただし、領域情報に撮影領域として含められていない地域があった場合でも、仮想旅行システム1においては、後述するように、それらの地域で撮影される映像の配信も行われる。
配信装置決定部402は、位置情報取得部401から位置情報が供給されると、その位置情報が示す位置が領域情報により示される撮影領域のうちいずれに含まれるかを判断する。配信装置決定部402は、例えば各撮影領域に含まれる緯度及び経度の範囲、基地局ID並びに移動通信網で用いられる位置エリア情報等を示す地理データを記憶しておいてこの判断を行う。配信装置決定部402は、位置情報が示す位置が含まれると判断した撮影領域に領域情報において対応付けられている装置IDの処理装置30を、配信装置として決定する。
配信装置決定部402は、例えば取得された位置情報がトリノの位置を示す場合(つまりトリノで代理人が映像を撮影する場合)はその位置が「イタリア北西部」に含まれるので、この撮影領域に対応付けられているミラノを設置場所とする処理装置30-1を配信装置として決定する。また、取得された位置情報が札幌の位置を示す場合、配信装置決定部402は、その位置が「北海道・東北」に含まれるので、この撮影領域に対応付けられている盛岡に設置されている処理装置30-6を配信装置として決定する。
以上のとおり、配信装置決定部402は、位置情報が示す位置が撮影領域に含まれる場合、その撮影領域に領域情報において対応付けられている処理装置30を配信装置として決定することで、その位置に最も近い撮影領域に設置されている処理装置30を配信装置として決定している。また、例えば取得された位置情報がイタリア離島部にあるシチリア島を示す場合は、その位置を含む撮影領域が領域情報に存在しない。
その場合、配信装置決定部402は、位置情報が示す位置に最も近い撮影領域である「イタリア南部」に設置されている処理装置30-5を配信装置として決定する。この場合も、配信装置決定部402は、位置情報が示す位置に最も近い撮影領域に設置されている処理装置30を配信装置として決定している。配信装置決定部402は、配信装置を決定すると、決定した配信装置の装置IDを接続用情報送信部404に供給する。
接続用情報送信部404は、供給された装置IDが示す処理装置30、すなわち配信装置決定部402により配信装置として決定された処理装置30と接続して通信を開始する際に用いる接続用情報を代理人端末10及び参加人端末20に送信する。接続用情報送信部404は本発明の「接続送信部」の一例である。接続用情報送信部404は、例えば、配信装置として決定された処理装置30のIPアドレス等を接続用情報として示す接続データを生成して送信することで、接続用情報を送信する。
代理人端末10は、送信されてきた接続データを受け取ると、接続用情報取得部102に供給する。接続用情報取得部102は、供給された接続データが示すIPアドレス等の情報を、配信装置に接続するための接続用情報として取得する。接続用情報取得部102は、取得した接続用情報を撮影データ送信部106に供給する。撮影データ送信部106は、後述する撮影データの送信を開始する際に、供給された接続用情報を用いて、配信装置として決定された処理装置30に接続して通信を行う。
参加人端末20は、送信されてきた接続データを受け取ると、接続用情報取得部201に供給する。接続用情報取得部201は、供給された接続データが示すIPアドレス等の情報を、配信装置に接続するための接続用情報として取得する。接続用情報取得部201、取得した接続用情報を指定範囲決定部203、撮影指示部205及び撮影映像表示部206に供給する。これらの各部は、後述する処理装置30との通信を開始する際に、供給された接続用情報を用いて、配信装置として決定された処理装置30に接続して通信を行う。
なお、上記の説明では接続用情報送信部404がプッシュ型で接続用情報を送信したが、プル型で接続用情報を送信してもよい。例えば代理人端末10が仮想旅行サービスの開始前に接続用情報を要求してきた場合に接続用情報送信部404が接続用情報を送信する。また、途中から仮想旅行サービスに参加する参加人の参加人端末20が接続用情報を要求してきた場合に接続用情報送信部404が接続用情報を送信する。
ここまでは代理人端末10及び参加人端末20が配信装置として決定された処理装置30と接続し、映像配信の準備ができるまでに動作する構成を説明した。以降は、映像配信が実際に行われる際に動作する構成を説明する。代理人端末10の映像撮影部103は、代理人の周囲の映像を撮影する。映像撮影部103は、本実施例では、図2に表す360度カメラ17を制御して、360度映像(詳細には360度映像を連続させた動画像)を撮影する。
映像撮影部103は、仮想旅行サービスの提供期間(定められたサービス開始時刻からサービス終了時刻までの期間)の間、360度映像を連続して撮影しながら、並行して、撮影した360度映像を撮影データ送信部106に供給する。周辺音録音部104は、図2に表す入力装置15が備えるマイクロフォンを制御して、上述した周辺音(自端末の周辺で発生して自端末に到達する音)を録音する。周辺音録音部104は、仮想旅行サービスの提供期間の間、周辺音を録音しながら、並行して、録音した周辺音を撮影データ送信部106に供給する。
カメラ向き測定部105は、図2に表すセンサ装置18を制御して、360度カメラ17について定められた正面が向いている方位及び仰俯角を測定する。これらの方位及び仰俯角は、360度カメラ17の正面の向きを示す情報であり、以下では「カメラ向き情報」という。カメラ向き測定部105は、仮想旅行サービスの提供期間の間、このカメラ向き情報(方位及び仰俯角)の測定を繰り返し行い、並行して、測定したカメラ向き情報を撮影データ送信部106に繰り返し供給する。
撮影データ送信部106は、自端末が撮影した映像に関するデータである撮影データを処理装置30に送信する。具体的には、撮影データ送信部106は、映像撮影部103から供給された360度映像と、周辺音録音部104から供給された周辺音と、カメラ向き測定部105から供給されたカメラ向き情報と、360度映像に含まれる各フレーム(1枚1枚は静止画像であり、連続再生されることで動画像を表す映像)の撮影時刻とを示すデータを撮影データとして生成し、処理装置30に送信する。
処理装置30の元データ取得部301は、自装置が配信する映像及び音声(仮想旅行の映像及び音声)の元になるデータ(元データ)を取得する。元データとは、代理人端末10から送信されてくる撮影データである。元データ取得部301は、代理人端末10から送信されてくる撮影データを映像及び音声の元データとして取得することで、その撮影データに含まれる映像データ、すなわち代理人端末10により撮影されて自装置により配信される映像(本実施例では360度映像)を示す映像データを取得する。
また、元データ取得部301は、撮影データを取得することで、その撮影データに含まれる音データ、すなわち代理人端末10に到達する音(周辺音)を示す音データを取得する。元データ取得部301は、撮影データを映像及び音声の元データとして取得する度に、取得した元データを映像切出部302に供給する。映像切出部302は、供給された元データが示す360度映像から、参加人端末20によって指定された範囲の映像を切り出す切出処理を行う。切出処理は、本発明の元映像(本実施例では360度映像)のデータ量を減少させる処理の一例である。
範囲の指定は次のように行われる。参加人端末20の端末向き測定部202は、自端末の向きを示す情報(以下「端末向き情報」という)として、自端末について定められた正面が向く方位及び仰俯角を測定する。端末向き測定部202は、端末向き情報を一定時間の間隔で繰り返し測定し、測定した端末向き情報を指定範囲決定部203に繰り返し供給する。
指定範囲決定部203は、端末向き測定部202により測定された端末向き情報に基づいて、自端末に表示させる映像の範囲として指定する指定範囲を決定する。指定範囲決定部203は、例えば、供給された端末向き情報が示す向きを所定の画角(例えば縦25度、横45度など)を有するカメラで撮影した場合の映像の範囲を指定範囲として決定する。
図7は指定範囲の例を表す。図7では、映像撮影部103により撮影された360度映像A1が表されている。360度映像A1は、360度カメラ17が真北を向いて傾きが0度の状態(カメラの正面方向を水平に向けた状態)で撮影した映像である。そのため、360度映像A1では、水平線が映像の縦方向の中央(0度)に位置し、真北の方位が映像の横方向の中央に位置している。映像の上辺は360度カメラ17から見て鉛直上方(90度)の映像を表し、映像の下辺は360度カメラ17から見て鉛直下方(-90度)の映像を表している。
例えば指定範囲決定部203が、北向き且つ仰角20度を撮影した映像の範囲を指定範囲として決定した場合、360度映像A1における北向き且つ仰角20度の位置を示す撮影方向B1を中心とした指定範囲C1が決定されたことになる。また、指定範囲決定部203が、南東向き且つ俯角45度を撮影した映像の範囲を指定範囲として決定した場合、360度映像A1における南東向き且つ俯角45度の位置を示す撮影方向B2を中心とした指定範囲C2が決定されたことになる。
指定範囲決定部203は、決定した指定範囲を示す範囲情報として、撮影方向を示す方位及び仰俯角と、画角と、自端末の端末IDとを示す情報を生成して処理装置30に送信する。処理装置30の指定範囲取得部303は、送信されてきた範囲情報を受け取ることで、その範囲情報が示す端末IDにより識別される参加人端末20によって指定された映像の範囲、すなわち指定範囲を取得する。指定範囲取得部303は、取得した指定範囲を示す範囲情報を端末IDと共に映像切出部302に供給する。
映像切出部302は、元データ取得部301から映像及び音声の元データが供給されると、供給された元データが示す360度映像から、指定範囲取得部303から供給された範囲情報が示す指定範囲の映像(図7の例では指定範囲C1の映像又は指定範囲C2の映像)を切り出す。なお、360度カメラ17の正面が水平方向に対して傾いていると、図7に表す360度映像A1が縦方向にずれた映像になる(水平線が縦方向にずれる)。
映像切出部302は、例えば、元データに含まれるカメラ向き情報が示す正面の向きに基づいてこの傾きを補正して360度映像A1のような映像にしてから指定範囲の映像を切り出す。この補正には、VR(Virtual Reality)又はAR(Augmented Reality)等で用いられている周知の技術が用いられればよい。なお、映像切出部302は、360度映像を補正するのではなく、傾いた360度映像における方位及び仰俯角に対応した位置を算出して指定範囲の映像を切り出してもよい。
映像切出部302は、こうして切り出した映像を元の映像(360度映像)の撮影時刻と共に示す映像データを、範囲情報及び元データと共に画質変更部304に供給する。また、映像切出部302は、本実施例では、画質変更部304に供給した映像を、配信先の参加人端末20(範囲情報を送信してきた参加人端末20)の端末IDに対応付けて一定時間(例えば1分間程度)記憶しているものとする。この映像は、配信された映像を撮影する処理(詳しくは後述する)において用いられる。
画質変更部304は、映像切出部302により切り出された映像の画質を変更する画質変更処理を行う。画質変更部304は、本実施例では映像のピクセル数を減少させて(例えば8K映像から2K映像に減少させて)画質を落とすように変更する画質変更処理を行う。画質変更処理は、本発明の元映像(本実施例では360度映像)のデータ量を減少させる処理の一例である。
画質変更部304は、こうして画質を変更した映像を元の映像(360度映像)の撮影時刻と共に示す映像データを、範囲情報及び元データと共に配信データ生成部305に供給する。配信データ生成部305は、自装置が参加人端末20に対して送信する配信データを生成する機能である。配信データ生成部305は、例えば、画質変更部304から供給された映像、すなわち参加人端末20から指定された範囲で切り出されて画質が変更された映像と、元データが示す周辺音とを示す配信データを生成する。
配信データ生成部305は、生成した配信データと、配信データに含まれる映像の元の映像(360度映像)の撮影時刻と、供給された範囲情報が示す端末IDとを示す配信データデータを生成する。配信データ生成部305は、生成した配信データを配信データ送信部306に供給する。配信データ送信部306は、配信データ生成部305から供給された配信データを、その配信データが示す端末IDにより識別される参加人端末20に送信する。
映像切出部302、指定範囲取得部303、画質変更部304、配信データ生成部305及び配信データ送信部306は、以上のとおり、元映像(360度映像)のデータ量を減少させる処理(切出処理及び画質変更処理)を行い、それらの処理と並行してそれらの処理で得られた映像を配信する映像配信部309として機能する。
参加人端末20の配信データ出力部204は、処理装置30から送信されてきた配信データが示す映像及び音声を出力する。具体的には、配信データ出力部204は、配信データが示す映像を出力装置26のディスプレイに出力して表示させ、配信データが示す周辺音を出力装置26のスピーカに出力して放音させる。参加人端末20を装着した参加人は、こうして出力された映像及び音声を視聴する。
映像及び音声の視聴とは、表示された映像を見て、放音された音を聞くことである。なお、音が含まれていない映像だけを見る場合でも視聴と言うものとする。
図8は表示された映像の一例を表す。図8の例では、配信データ出力部204は、配信データが示す映像D1を表示させると共に、撮影ボタンE1を表示させている。
この映像D1は、実際には動画像の映像である。撮影ボタンE1は、操作されたときに表示されている映像を静止画像として保存させることで、その映像を写真のように撮影するための操作子である。この撮影ボタンE1に対する撮影操作は、配信される映像(多数のフレームからなる動画像)の一部(1枚のフレームからなる静止画像)を指定する操作とも言える。
このように配信される映像から指定された一部のことを以下では「指定部分」という。配信データ出力部204は、撮影ボタンE1を押す撮影操作が行われると、この撮影操作が行われたときに表示していた映像のフレームに対応する元の映像(前述した切出処理及び画質変更処理が行われる前の映像である360度映像)のフレームの撮影時刻を撮影指示部205に通知する。
撮影指示部205は、配信データ出力部204からの通知を受け取ると、すなわち表示されている映像を撮影する撮影操作がユーザによって行われると、表示された映像を撮影するための処理を行うよう処理装置30に指示する。撮影指示部205は、具体的には、撮影を指示する指示データとして、自端末の端末ID及び通知された360度映像の撮影時刻を示すデータを処理装置30に送信することで撮影の指示を行う。これらの情報(端末ID及び撮影時刻)は指定部分を特定するための情報である。
送信された指示データは処理装置30の撮影映像抽出部307に供給される。撮影映像抽出部307は、この指示データが供給された場合、すなわち、映像配信部309により配信された映像の一部が指定された場合に、配信された映像の元映像(本実施例では360度映像)のうちのその一部に対応する部分を撮影映像(上記の撮影操作により撮影される映像)として抽出する。
撮影映像抽出部307は、映像切出部302に対して、供給された指示データが示す端末IDに対応付けて記憶している映像(多数のフレームからなる動画像)のうちからその指示データが示す撮影時刻の映像(1枚のフレームからなる静止画像)を要求する。映像切出部302が要求された映像を供給することで、撮影映像抽出部307は、360度映像のうち指定部分に対応する部分を撮影映像として抽出する。
この場合の指定部分に対応する部分は、元の映像である360度映像の撮影時刻が同じ映像であるだけでなく、その360度映像から切り出されるときの範囲も同じ映像である。撮影映像抽出部307は、こうして抽出した撮影映像を、撮影操作が行われた参加人端末20の端末IDに対応付けて撮影映像保存部308に供給する。撮影映像保存部308は、供給された撮影映像、すなわち、撮影映像抽出部307により抽出された撮影映像を、共に供給された端末IDに対応付けて保存する。
参加人端末20の撮影映像表示部206は、撮影映像保存部308に保存された撮影映像、すなわち上記の撮影操作により撮影された映像(撮影映像抽出部307により抽出された映像)を表示する。撮影映像表示部206は、例えば、処理装置30に対して、自端末の端末IDと、自端末で行われた撮影操作により撮影された映像の一覧を要求することを示す要求データを送信する。
撮影映像保存部308は、要求データが示す要求元の参加人端末20の端末IDに対応付けて保存している映像のサムネイル画像の一覧を生成して参加人端末20に送信する。撮影映像表示部206がこの一覧を表示して、ユーザがいずれかのサムネイル画像を選択すると、撮影映像表示部206が選択されたサムネイル画像の元の撮影映像を要求する。
撮影映像保存部308が要求された撮影映像を送信することで、撮影映像表示部206は撮影された映像を表示する。撮影映像保存部308が行う上記保存処理及び送信処理は、撮影映像抽出部307により抽出された映像をユーザに提供するための処理である。
仮想旅行システム1が備える各装置は、上記の構成に基づいて、配信装置を決定し、映像を配信する決定・配信処理を行う。
図9は決定・配信処理における各装置の動作手順の一例を表す。この動作手順は、例えば、代理人が仮想の旅行先を訪れて代理人端末10を起動することを契機に開始される。まず、代理人端末10(位置測定部101)は、自端末の位置を測定し(ステップS11)、測定した位置を示す位置データを管理制御サーバ装置40に送信する(ステップS12)。
管理制御サーバ装置40(位置情報取得部401)は、送信されてきた位置データが示す位置情報を、撮影位置を示す位置情報として取得する(ステップS13)。次に、管理制御サーバ装置40(配信装置決定部402)は、複数配置されている処理装置30のうちから、位置情報が所得された代理人端末10が撮影した映像の配信装置を決定する(ステップS14)。
続いて、管理制御サーバ装置40(接続用情報送信部404)は、決定された配信装置と接続するための接続用情報を示す接続データを生成して(ステップS15)、代理人端末10に送信し(ステップS16)、参加人端末20に送信する(ステップS17)。代理人端末10及び参加人端末20は、送信されてきた接続データが示す接続用情報を用いて、ステップS14で決定された配信装置とそれぞれ接続する(ステップS18、S19)。
続いて、代理人端末10(映像撮影部103、周辺音録音部104、カメラ向き測定部105)は、代理人の周囲の360度映像(ライブ映像)の撮影と、周辺音の録音と、カメラ向き情報の測定とを行う(ステップS21)。次に、代理人端末10(撮影データ送信部106)は、ステップS21の各動作で得られる撮影データを処理装置30に送信する(ステップS22)。処理装置30(元データ取得部301)は、送信されてくる撮影データを、自装置が配信する映像及び音声の元データとして取得する(ステップS23)。
次に、参加人端末20(端末向き測定部202)は、自端末の向きを示す情報(端末向き情報)を測定する(ステップS31)。続いて、参加人端末20(指定範囲決定部203)は、測定された端末向き情報に基づいて、自端末に表示させる映像の指定範囲を決定し(ステップS32)、決定した指定範囲を示す範囲情報を処理装置30に送信する(ステップS33)。処理装置30(指定範囲取得部303)は、送信されてきた範囲情報を受け取ることで指定範囲を取得する(ステップS34)。
次に、処理装置30(映像切出部302)は、ステップS23で取得された元データが示す360度映像から、取得された指定範囲の映像を切り出す(ステップS35)。続いて、処理装置30(配信データ生成部305)は、切り出された映像を含む配信データを生成する(ステップS36)。次に、処理装置30(配信データ送信部306)は、生成された配信データを参加人端末20に送信する(ステップS37)。
参加人端末20(配信データ出力部204)は、ステップS37で送信されてきた配信データが示す映像及び音声を出力する(ステップS38)。このとき、参加人端末20(配信データ出力部204)は、図8に表すような撮影ボタンを共に表示して、この撮影ボタンを選択する操作をユーザが行うと、その操作を撮影操作(配信される映像の一部を指定する操作)として受け付ける(ステップS41)。
次に、参加人端末20(撮影指示部205)は、指定部分を示す指示データを生成し(ステップS42)、生成した指示データを処理装置30に送信する(ステップS43)。処理装置30(撮影映像抽出部307)は、元映像のうちステップS43で送信されてきた指示データが示す指定部分に対応する部分を撮影映像として抽出する(ステップS44)。次に、処理装置30(撮影映像保存部308)は、ステップS44で抽出された撮影映像を保存する(ステップS45)。
この後、参加人端末20に対して撮影映像を表示させる表示操作が行われると、参加人端末20(撮影映像表示部206)は、この表示操作を受け付け(ステップS51)、撮影映像を要求する要求データを処理装置30に送信する(ステップS52)。処理装置30(撮影映像保存部308)は、ステップS52で送信されてきた要求データが示す撮影映像を読み出して参加人端末20に送信する(ステップS53)。参加人端末20(撮影映像表示部206)は、送信されてきた撮影映像を表示する(ステップS54)。
本実施例では、上述したようにギャランティ型の通信が行われる。一方で、撮影された元映像(360度映像)に対してデータ量を減少させる処理(切出処理及び画質変更処理)が行われてから配信される。これにより、元映像をそのまま配信する場合に比べて、通信のために確保するリソースを減らすことができ、通信コスト(通信リソース確保のためのコスト)を減らすことができる。
また、本実施例では、上記のとおり複数配置される処理装置30の中から代理人端末10に最も近い撮影領域に配置されている処理装置30が配信装置として決定される。これにより、この撮影領域よりも遠い他の撮影領域に配置される処理装置が決定される場合に比べて、データ量を減少させたデータを通信する区間が長くなるので、通信コストを減らすというメリットをより多く享受することができる。
また、上記の撮影操作が行われた場合には、配信された映像(配信映像)の一部が抽出されるのではなく、元映像のうちその一部に対応する部分が抽出される。これにより、映像を配信するサービスにおいて、配信映像(データ量が減少されて元映像よりも画質が低下した映像)から映像が抽出される場合に比べて、配信映像の一部をより高い画質で提供することができる。
以上のとおり、本実施例では、映像配信において視聴者の要求(例えば高画質な写真の映像を撮影したいという要求)に柔軟に対応することができる。また、それに加えて、通常の配信時にはデータ量を減少させ、且つ、上記のとおりデータ量を減少させたデータを通信する区間を長くしているので、前述したように通信コストを減らすことができるという配信時のメリットも得られるようにすることができる。
なお、仮想旅行システム1では、上述したようにベストエフォート型の通信が行われてもよい。その場合でも、データ量を減少させる処理が行われてから配信されることで、元映像をそのまま配信する場合に比べて、映像配信の遅延が生じにくいようにすることができる。また、上記のとおりデータ量を減少させたデータを通信する区間が長くなるので、遅延を生じにくくするというメリットをより多く享受することができる。
また、本実施例では、配信装置として決定された処理装置30と接続するための接続用情報が代理人端末10及び参加人端末20に送信されるので、接続用情報が送信されない場合に比べて、映像の配信を開始する際の代理人及び視聴者の手間を少なくすることができる。
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。
[2-1]番組表
視聴者が視聴可能な映像の一覧(いわゆる番組表)が表示されてもよい。
図10は本変形例で実現される機能構成の一例を表す。図10では、図5に表す各部に加えて番組表送信部405と、配信中番組特定部406と、配信済み情報取得部407と、選択番組取得部408とを備える管理制御サーバ装置40aが表されている。
番組表送信部405は、配信される映像の撮影場所(仮想の旅行先)を示す番組表を参加人端末20に送信する。この番組表は、代理人端末10の撮影場所を示す情報であり、本発明の「場所情報」の一例である。また、番組表送信部405は本発明の「情報送信部」の一例である。番組表送信部405は、仮想旅行サービスの提供事業者により登録された番組情報を記憶する。
番組情報とは、例えば、配信される映像の撮影場所及び撮影日時と、各撮影場所について用意されたサムネイル画像と、その映像を配信する番組の番組IDとを示す情報である。番組IDは、番組情報が登録される際に発行される。本変形例では、接続用情報送信部404が、番組IDを示す接続用情報を代理人端末10に送信することで、代理人端末10が、自端末が撮影する映像を配信する番組の番組IDを記憶する。また、代理人端末10の撮影データ送信部106が番組IDを含む撮影データを送信することで、処理装置30が、自装置が配信する番組の番組IDを記憶する。
配信中番組特定部406は、配信中の番組を特定する。本変形例では、代理人端末10の撮影データ送信部106が撮影データの送信を開始すると、自端末に記憶されている番組IDを通知する通知データを管理制御サーバ装置40に送信する。配信中番組特定部406は、代理人端末10から送信されてきた通知データを受け取ると、この通知データが示す番組IDにより識別される番組を配信中の番組として特定する。配信中番組特定部406は、特定した番組の番組IDを番組表送信部405に供給する。
配信済み情報取得部407は、配信が済んだ映像に関する情報(配信済み情報)を取得する。本変形例では、代理人端末10の撮影データ送信部106が撮影データの送信を終了すると、その旨及び番組IDを通知する通知データを管理制御サーバ装置40に送信する。配信済み情報取得部407は、代理人端末10から送信されてきた通知データを受け取ると、通知された番組IDの番組の映像を配信した処理装置30に対して、配信したその番組の映像のサムネイル画像を要求する。
配信済み情報取得部407は、この要求に応答して送信されてきたサムネイル画像を配信済み情報として取得し、取得した配信済み情報に対応する番組IDを付加して番組表送信部405に供給する。番組表送信部405は、記憶している番組情報を読み出すと、撮影場所、撮影日時及びサムネイル画像を、配信予定、配信中及び過去配信分とで分けてまとめて表す番組表データを生成する。
なお、本変形例では、処理装置30の元データ取得部301が、取得した元データを蓄積し、映像配信部309が、蓄積された元データが示す元映像のデータ量を減少させる処理を行って過去に撮影された映像を過去配信分として配信する。番組表送信部405は、配信中番組特定部406から供給された番組IDの番組を配信中の番組と判断する。
また、番組表送信部405は、配信済み情報取得部407から供給された配信済み情報が示すサムネイル画像を、該当する番組のサムネイル画像の代わりに用いて番組表データを生成する。番組表送信部405は、参加人端末20から番組表が要求されると、要求元の参加人端末20に対して生成した番組表データを送信する。参加人端末20は、送信されてきた番組表データが示す番組表を表示する。
図11は表示された番組表の一例を表す。図11の例では、参加人端末20が、「視聴する番組を選んで下さい。」という文字列と、「配信予定」、「配信中」、「過去配信分」をそれぞれ表す表示欄G1、G2、G3にまとめられたサムネイル画像、撮影予定の日時及び撮影場所とを含む番組表F1を表示している。なお、「配信予定」のサムネイル画像としては、まだ撮影前であるため、過去に同じ撮影場所について撮影された画像又はその撮影場所の一般的なイメージ画像等が用いられる。各表示欄には、例えば撮影予定の日時又は撮影日時が現在の日時に近い番組から順番に画面の左から右に並べられている。
このように、番組表には、撮影予定の撮影場所を示す予定情報(表示欄G1の情報)と、撮影中の撮影場所を示す撮影中情報(表示欄G2の情報)と、撮影済みの撮影場所を示す撮影済情報(表示欄G3の情報)とが含まれている。番組表送信部405は、これらの予定情報、撮影中情報及び撮影済情報を識別可能に表す情報を番組表として送信している。
このうちの予定情報が示す撮影場所に含まれる撮影位置を示す位置情報が位置情報取得部401により取得された場合、上記のとおり配信中番組特定部406により配信中の番組が特定される。番組表送信部405は、そうして特定された番組で撮影される撮影場所を示す情報(表示欄G2の情報)を撮影中情報として予定情報から切り替えて送信する。
図12は切り替え後の番組表の一例を表す。図12の例では、参加人端末20が、図11の例で「配信予定」として表示されていた「ローマ旅行」の予定情報を、「配信中」の撮影中情報として表示している。それに伴って、新たな予定情報が表示され、図11で表示されていた「ドバイ旅行」の撮影中情報が画面に表示されなくなっている(画面に収まらない分はスクロールさせて表示させる)。
表示された番組表のうち、予定情報を除く撮影中情報及び撮影済情報のサムネイル画像等は、それぞれが映像の配信を開始させる開始ボタンになっている。参加人端末20は、参加人が選択した開始ボタンが示す番組の番組IDを通知する通知データを管理制御サーバ装置40に送信する。送信されてきた通知データは管理制御サーバ装置40の選択番組取得部408に供給される。
選択番組取得部408は、供給された通知データが示す番組IDを、映像を配信させる番組として参加人によって選択された番組を示す情報として取得する。選択番組取得部408は、取得した番組IDを接続用情報送信部404に供給する。接続用情報送信部404は、番組表送信部405により送信された番組表が示す撮影場所のうち参加人端末20のユーザ(参加人)が選択した撮影場所の映像を配信する配信装置として決定された処理装置30との接続用情報を参加人端末20に送信する。
こうして送信された接続用情報を用いて参加人端末20が処理装置30に接続することで、参加人が選択した番組の映像が参加人端末20に配信される。このように、本変形例では、番組表が表示されて視聴可能な番組を知ることができると共に、番組表で番組を選択することで、複数の処理装置30の中からその番組の映像を配信する処理装置30への接続が行われる。
これにより、複数の処理装置30がそれぞれ配信する映像の中からユーザが見たい映像を配信する処理装置30を調べたり指定したりする手間を不要にすることができる。また、本変形例では、予定情報が示す撮影場所に含まれる撮影位置を示す位置情報が取得された場合、すなわち代理人が撮影場所に到着して代理人端末10も起動されて撮影の準備が整った場合に、予定情報が撮影中情報に切り替えられる。
これにより、例えば配信開始の予定時間通りに撮影中情報への切り替えが行われる場合に比べて、より実際の配信開始時刻に近いタイミングで撮影中情報への切り替えを行うことができて、その結果、撮影中情報を選択しても配信が開始されないという事態及び撮影中情報を選択すると既に配信が開始されているという事態が起こりにくいようにすることができる。
なお、番組表は図11等に表すものに限らない。例えば、各撮影場所を紹介する文章が表されていてもよいし、予定情報、撮影中情報及び撮影済情報で表示態様を異ならせてもよい。例えば予定情報は選択できないので白黒のサムネイル画像で表し、撮影中情報はカラーのサムネイル画像で表し、撮影済情報は過去の映像なので輝度を減らした画像で表すという具合である。同様に、各情報のサイズを異ならせてもよいし、「配信予定」等のタグ画像を付与してもよい。
また、ユーザの興味に合った番組ほど選択されやすいように各番組が表された番組表であってもよい。
図13は本変形例で実現される機能構成の別の一例を表す。図13では、図10に表す各部に加えて配信履歴取得部409と、嗜好特定部410とを備える管理制御サーバ装置40bが表されている。
配信履歴取得部409は、参加人端末20への映像の配信履歴を取得する。配信履歴取得部409は本発明の「履歴取得部」の一例である。図13の例では、接続用情報送信部404が、接続用情報を参加人端末20に送信すると共に、その接続用情報を用いて接続される処理装置30が配信する番組の番組IDを配信履歴取得部409に供給する。この番組IDは、参加人端末20に配信される映像の番組を識別する情報であり、配信履歴の一例である。
配信履歴取得部409は、供給された番組IDを配信履歴として取得して嗜好特定部410に供給する。嗜好特定部410は、配信履歴取得部409により取得された配信履歴から参加人端末20のユーザの嗜好を特定する。嗜好特定部410は本発明の「特定部」の一例である。嗜好特定部410は、例えば、配信される映像の撮影場所とその場所に関係する嗜好とを対応付けた嗜好テーブルを記憶している。
図14は嗜好テーブルの一例を表す。図14の例では、「ローマ」には「歴史、サッカー、・・」という嗜好が対応付けられている。また、「パリ」には「芸術、ファッション、・・」が、「ベルン」には「自然、中世ヨーロッパ、・・」という嗜好がそれぞれ対応付けられている。嗜好特定部410は、参加人端末20毎に配信履歴を蓄積しておき、蓄積した配信履歴が示す配信された映像の撮影場所に嗜好テーブルにおいて対応付けられている嗜好を読み出す。
嗜好特定部410は、例えば、読み出した回数(つまり関係する撮影場所の映像が配信された回数)が最も多い嗜好をそのユーザの嗜好として特定する。なお、嗜好テーブルにおいて各嗜好に重みを付与しておき(例えばローマなら「歴史」に2倍の重みを付与する)、付与した重みの分だけ回数を多くしてもよい。また、嗜好特定部410は、回数が最も多い嗜好だけではなく、回数が閾値以上になる嗜好を全て特定してもよい。嗜好特定部410は、特定した嗜好を番組表送信部405に供給する。
番組表送信部405は、嗜好特定部410により特定された嗜好との関連性が高い撮影場所ほど優先順位が高いことを示す番組表を送信する。番組表送信部405は、例えば嗜好特定部410が用いたものと同じ嗜好テーブルを用いて(別途用意された他の嗜好テーブルを用いてもよい)、特定された嗜好と撮影場所の関連性を判断する。番組表送信部405は、例えばユーザの嗜好が「中世ヨーロッパ」であれば、「中世ヨーロッパ」に対応付けられた「ベルン」の優先順位を最も高くして示す番組表を送信する。
番組表送信部405は、例えば図11の例では撮影日時が現在の日時に近い番組から順番に画面の左から右に並べた番組表を送信したが、この例であれば、撮影日時に関係なく「ベルン」を最も左に配置した番組表を送信する。また、特定された嗜好との関連性が高い撮影場所が2以上ある場合は、番組表送信部405は、それらをランダムな順番で並べてもよいし、嗜好を特定する際に計上した回数(関係する撮影場所の映像が配信された回数)が多い順に並べてもよい。
また、番組表送信部405は、優先順位の高い撮影場所の番組に「あなたにお勧め」といった文字列を付与してもよいし、他の番組に比べて大きなサムネイル画像及び文字でその番組を表してもよい。いずれの場合も、優先順位が高い撮影場所は、優先順位が低い撮影場所に比べて、画面の中でより目立つように表示されたり、より見やすく表示されたりすることで、優先順位の高いことが示される。
図13の例では、ユーザの嗜好との関連性が高い撮影場所の番組ほど優先順位の高いことが示されることで、嗜好と関係なく番組が示される場合に比べて、表示された番組表から番組が選択されやすくなり、配信サービスが利用されやすいようにすることができる。
[2-2]付加価値コンテンツ
実施例では撮影された映像が配信されたが、それだけでなく、映像の配信サービスに付加価値を提供するコンテンツが配信されてもよい。付加価値を提供するコンテンツとは、例えば、拡張現実(AR:Augmented Reality)及び仮想現実(VR:Virtual Reality)と呼ばれる技術で提供されるコンテンツである。
また、実施例ではデータ量を減少させる処理である画質変更処理が行われた映像が配信されたが、画質変更処理が行われる前の映像(高画質な映像)が付加価値を提供するコンテンツとして配信されてもよい。
図15は本変形例で実現される機能構成の一例を表す。図15では、図5に表す各部に加えてコンテンツ配信指示部310と、コンテンツ記憶部311とを備える処理装置30bが表されている。
また、図15では、図5に表す各部に加えて配信履歴取得部409と、嗜好特定部410と、概要情報取得部411と、コンテンツ一覧送信部412とを備える管理制御サーバ装置40bとが表されている。コンテンツ配信指示部310は、映像配信部309に対して、参加人端末20へのコンテンツの配信を指示する。コンテンツ配信指示部310は、例えば、後述するユーザの配信操作により参加人端末20からコンテンツの配信要求が行われた場合に、要求されたコンテンツの配信を指示する指示データを配信データ生成部305に供給する。
配信データ生成部305は、供給された指示データが示すコンテンツを取得して、取得したコンテンツを含む配信データを生成する。配信データ生成部305は、例えばコンテンツ記憶部311が記憶するコンテンツを読み出して配信データを生成する。コンテンツ記憶部311は、自装置(処理装置30)が対応付けられている領域に関連するコンテンツを記憶する。
処理装置30が対応付けられている領域とは、例えば図6に表す領域情報において自装置の装置IDに対応付けられている撮影領域である。処理装置30-1のコンテンツ記憶部311であれば、イタリア北西部に関連するコンテンツ(例えばミラノ、トリノ、ジェノバ等の昔の街並みを表すVRコンテンツ又は現在の街並みに重ねて観光地の説明情報を表示させるARコンテンツ等)を記憶する。これらのコンテンツは、いずれも表示させるべき位置(昔の街並みを表すVRコンテンツならその街並みの現在の位置)に対応付けられている。
また、本変形例では、撮影映像抽出部307が、ユーザによって撮影された撮影映像(画質変更処理が行われる前の高画質な映像)を、撮影された位置に対応付けて記憶している。この撮影映像も、処理装置30が対応付けられている領域で撮影された映像であるから、その領域に関連するコンテンツの一例である。配信データ生成部305は、この撮影映像抽出部307が記憶している撮影映像をコンテンツとして読み出して配信データを生成してもよい。
配信データ送信部306は、こうして生成されたコンテンツを含む配信データを、コンテンツ配信の要求元の参加人端末20に送信する。参加人端末20の配信データ出力部204は、処理装置30から送信されてきた配信データが示すコンテンツを出力する。また、配信データ出力部204は、コンテンツがARコンテンツである場合は、そのコンテンツを配信データが示す映像に重ねて出力する。
このように、本変形例の処理装置30は、いずれも、自装置が対応付けられている領域に関連するコンテンツを配信可能であり、ユーザにより配信操作が行われるとそのコンテンツを配信する。なお、処理装置30は、上記の例ではコンテンツを自装置で記憶していたが、外部装置に記憶されているコンテンツを取得して配信してもよい。管理制御サーバ装置40bの概要情報取得部411は、それら複数の処理装置30がそれぞれ記憶しているコンテンツの概要を示す概要情報を取得する。
この概要情報は、後述するコンテンツ一覧に表示される情報である。処理装置30の撮影映像抽出部307及びコンテンツ記憶部311は、自機能が記憶しているコンテンツをユーザに紹介するための概要情報を記憶している。概要情報取得部411は、各処理装置30に対して、記憶しているコンテンツの概要情報を要求する要求データを送信する。撮影映像抽出部307及びコンテンツ記憶部311は、この要求データを受け取ると、記憶している概要情報を、自装置の装置IDに対応付けて管理制御サーバ装置40bに送信する。
概要情報取得部411は、各処理装置30から送信されてきた概要情報を取得すると、コンテンツ一覧送信部412に供給する。コンテンツ一覧送信部412は、配信装置決定部402により配信装置として決定された処理装置30からの配信を受け取る参加人端末20にその処理装置30が配信可能なコンテンツの一覧を送信する。コンテンツ一覧送信部412は、例えば参加人端末20からコンテンツ一覧を要求された場合にその応答で一覧を送信する。
図16は表示されたコンテンツ一覧の一例を表す。図16(a)では、参加人端末20がコンテンツ一覧を要求する際に表示している画像が表されている。参加人端末20は、処理装置30-4により配信されたローマのコロッセオを含む映像D2と共に、「視聴中の地域に関連するコンテンツを視聴しますか?」という文字列と、はいボタンE2とを表示している。参加人がはいボタンE2を押す操作を行うと、参加人端末20はコンテンツ一覧を要求する要求データを管理制御サーバ装置40bに送信する。
管理制御サーバ装置40bは、この要求データを受け取ると、上記のとおり処理装置30-4が配信可能なコンテンツの一覧を要求元の参加人端末20に送信する。図16(b)では、こうして送信された、「以下のコンテンツが視聴可能です。」という文字列と、イタリア中部(ラツィオ州)に関するコンテンツの概要情報(「コロッセオ周辺の古代の街並み」及び「ローマの史跡」等)を含むコンテンツ一覧F2が表されている。
このうちの「ローマのレアショット集」は処理装置30-4の撮影映像抽出部307が記憶するコンテンツであり、その他は処理装置30-4のコンテンツ記憶部311が記憶するコンテンツである。表示された概要情報は対応するコンテンツの配信を指示する操作子となっており、参加人がいずれかの概要情報を選択する操作を行うと、コンテンツ配信指示部310等が上記のとおり動作して対応するコンテンツが配信される。
以上のとおりコンテンツ一覧が参加人端末20に送信されることで、この一覧が送信されない場合に比べて、参加人は、自分が視聴している映像に映っている場所又はその近隣の地域(この例ではラツィオ州)に関連するコンテンツを簡単に視聴することができる。また、配信されるコンテンツに画質変更処理が行われる前の高画質な映像が含まれることで、この映像が含まれない場合に比べて、撮影された映像を有効に利用することができる。
配信データ送信部306は、コンテンツを含む配信データを参加人端末20に送信すると、送信先の参加人端末20の装置IDに対応付けてそのコンテンツの概要情報を管理制御サーバ装置40bに送信する。管理制御サーバ装置40bの配信履歴取得部409は、送信されてきた概要情報及び装置IDを、その装置IDの参加人端末20への配信履歴として取得する。
嗜好特定部410は、例えば、配信されるコンテンツとそのコンテンツに関係する嗜好とを対応付けた嗜好テーブルを記憶しておき、図14の例と同様にユーザの嗜好を特定する。嗜好特定部410は、例えば配信履歴が「コロッセオ周辺の古代の街並み」を含む場合は「歴史」という嗜好を特定し、「ASローマとSSラツィオ」を含む場合は「サッカー」という嗜好を特定し、「ローマのレアショット集」を含む場合は「写真撮影」という嗜好を特定し、「ローマのレストラン案内」を含む場合は「グルメ」という嗜好を特定する。
嗜好特定部410は、特定した嗜好をコンテンツ一覧送信部412に供給する。コンテンツ一覧送信部412は、嗜好特定部410により特定された嗜好との関連性が高いコンテンツほど優先順位が高いことを示す一覧を送信する。コンテンツ一覧送信部412は、例えば嗜好特定部410が用いたものと同じ嗜好テーブルを用いて(別途用意された他の嗜好テーブルを用いてもよい)、特定された嗜好とコンテンツの関連性を判断する。
コンテンツ一覧送信部412は、例えばユーザの嗜好が「歴史」であれば、歴史に対応付けられたコンテンツ(「コロッセオ周辺の古代の街並み」「ローマの史跡」、「バチカンの歴史」等)の優先順位を高くして示す番組表を送信する。優先順位の表し方は、図14の例と同様に行われればよい。これにより、ユーザの嗜好と関係なくコンテンツ一覧が示される場合に比べて、表示された一覧からコンテンツが選択されやすくなり、コンテンツの配信が行われやすいようにすることができる。
[2-3]接続方法
接続用情報送信部404は、実施例では接続用情報を代理人端末10及び参加人端末20に送信したが、これに限らない。接続用情報送信部404は、例えば配信装置決定部402により配信装置として決定された処理装置30に接続用情報を送信してもよい。この場合の接続用情報は、接続すべき代理人端末10及び参加人端末20のIPアドレス等の情報である。処理装置30は、受信した接続用情報を用いて代理人端末10及び参加人端末20と接続して配信を開始する。
また、1つの代理人端末10に対して複数の参加人端末20の接続がなされる場合、接続用情報送信部404は、新たに追加で加わる参加人端末20に対する接続用情報として、新たな参加人端末20と既に決定されている処理装置30にそれぞれ接続用情報を送信し、新たな配信ブランチ(配信元及び配信先の接続)を追加する。尚その際に切り出される画像範囲は、既に接続されていた参加人端末20とは異なる、新たな参加人端末20による指定範囲に基づくものであることは言うまでもない。
[2-4]処理装置の接続
実施例では、処理装置30がいずれも基幹回線網4に接続されていたが、これに限らず、国際中継網3に接続されていてもよいし、地域回線網5に接続されていてもよい。また、国際中継網3、基幹回線網4及び地域回線網5を繋ぐ回線に接続されていてもよい。
[2-5]撮影領域
実施例では、行政区域と共通の境界を有する領域が撮影領域として用いられたが、これに限らない。例えば、処理装置30の設置位置を中心とする所定の距離を半径とする円領域が撮影領域として用いられてもよい。その場合、配信装置決定部402は、取得された位置情報が示す位置から距離が所定の距離以下の処理装置30を配信装置として決定し、そのような処理装置30が存在しない場合は、位置情報が示す位置からの距離が最も短い処理装置30を配信装置として決定する。
また、配信装置決定部402は、通信回線の環境を考慮した撮影領域を用いてもよい。例えばイタリア北東部のボローニャは、行政区域ではイタリア北東部(ベネチアに処理装置30-2が設置)に含まれ、距離ではフィレンツェ(処理装置30-3が設置)が最も近くなるが、通信回線の環境としてはミラノ(処理装置30-1が設置)との間の通信が最も広い帯域を安価に確保可能であるものと仮定する。
その場合、ミラノに設置された処理装置30-1の撮影領域にボローニャが含まれるように、撮影領域が設定される。同様にして、例えば、処理装置30-1と接続すると他の処理装置30と接続するよりも上述した配信時のメリット(通信コスト削減のメリット又は通信遅延を抑制するメリット)を得られる地点を予め調べておき、そのような地点を含む領域を撮影領域として設定する。
ネットワークは、基本的には、通信時に経由する回線が短い(ネットワーク上の距離が近い)ほど、ギャランティ型の通信であれば通信コストが抑えられ、ベストエフォート型の通信であれば通信遅延が生じにくくなる傾向にある。実施例において、上述したように、撮影領域に存在する都市のうち、撮影領域の地理的な中心地点になるべく近い都市を処理装置30の設置場所として選んでいるのも、本変形例で上記円領域を用いるのも、地理的な近さがネットワーク上の距離の近さを近似するとみなしてのことである。
実際にネットワーク上の距離の近さを測るのは困難なため、地理的な距離を用いるこれらの方法は、実現の容易さという点で有効である。また、実際のネットワーク上の距離の近さが分かる場合であれば、本変形例で述べたとおりそれに合わせた形にした撮影領域を配信装置決定部402が用いることで、より多くの場合に配信時のメリットを得られるようにすることができる。
図17は本変形例の撮影領域の一例を表す。図17(a)では、地域回線網5-1に接続された処理装置30-1が設置された撮影領域H1と、地域回線網5-2に接続された処理装置30-2が設置された撮影領域H2とが表されている。この例では、地域回線網5-2と通信可能な領域は撮影領域H2に含まれているが、地域回線網5-1と通信可能な領域は撮影領域H1からはみ出しており、このはみ出した部分に代理人端末10がアクセスしている。
そのため、代理人端末10と撮影領域H1との距離L11よりも、代理人端末10と撮影領域H2との距離L12の方が短くなっており、処理装置30-2が配信装置として決定されるようになっている。しかし、実際のネットワーク上の距離は、地域回線網5-1だけを介して接続される処理装置30-1の方が、地域回線網5-1、基幹回線網4及び地域回線網5-2を介して接続される処理装置30-2よりも短くなっている。
図17(b)では、実際のネットワーク上の距離の近さに合わせて、地域回線網5-1と通信可能な領域を含むように定められた撮影領域H1aが表されている。この場合、代理人端末10の位置が撮影領域H1aに含まれているので、撮影領域H1aが配信装置として決定される。以上のとおり、撮影領域と代理人端末10の位置とを用いて配信装置を決定する方法を用いれば、実現が容易であると共に、配信時のメリットがより多く得られるように改良することも可能である。
また、撮影領域の設定を変えなくても、実際のネットワーク上の距離の近さが分かる情報に基づいて配信装置が決定されてもよい。例えば、配信装置決定部402は、第1の撮影領域(本発明の「第1領域」の一例)の方が第2の撮影領域(本発明の「第2領域」の一例)よりも代理人端末10に近いが、第1の撮影領域に配置されている第1の処理装置30(本発明の「第1処理装置」の一例)の方が第2の撮影領域に配置されている第2の処理装置30(本発明の「第2処理装置」の一例)よりも代理人端末10と通信する際に通過するネットワークの階層が多い場合、第2の処理装置30を配信装置として決定する。
配信装置決定部402は、図17(a)の例であれば、地域回線網5-1、5-2に含まれる基地局を識別する情報(セルID等)を記憶しておく。代理人端末10は、位置情報を送信する際に、現在接続されている基地局のセルIDを位置情報に付加して送信する。配信装置決定部402は、位置情報に付加されたセルIDから、代理人端末10が接続されている回線網を特定する(図17(a)の例であれば地域回線網5-1を特定する)。
配信装置決定部402は、位置情報が示す位置に基づくと撮影領域H2の方が撮影領域H1よりも代理人端末10に近いが、地域回線網5-1に接続されている代理人端末10が通信する際に通過するネットワークの階層は、撮影領域H2に設置されている処理装置30-2だと3つ(地域回線網5-1、基幹回線網4及び地域回線網5-2)で、撮影領域H1に設置されている処理装置30-1だと1つ(地域回線網5-1だけ)と判断する。
従って、配信装置決定部402は、処理装置30-2の方が処理装置30-1よりも代理人端末10が通信する際に通過するネットワークの階層が多いので、処理装置30-1を配信装置として決定する。この方法を用いれば、撮影領域の設定を変えなくても、配信時のメリットがより多く得られる処理装置30を配信装置として決定することが可能である。
[2-6]代理人端末
実施例では代理人端末が360度映像を撮影したが、これに限らず、例えばパノラマ映像を撮影してもよいし、1画面に収まる通常の映像を撮影してもよい。なお、1画面に収まる通常の映像が撮影された場合でも、映像配信部309は、画質変更部304による画質変更処理を元映像のデータ量を減少させる処理として行い、その処理と並行してその処理で得られた映像を配信する。
[2-7]元映像
実施例では代理人端末10により撮影された360度映像が元映像として用いられたが、これに限らない。前述したパノラマ映像又は1画面に収まる通常の映像が元映像として用いられてもよい。また、撮影された映像ではなく、CG等の作成された映像が元映像として用いられてもよい。いずれの場合も、配信時にはデータ量を減少させる処理が行われ、撮影時にはデータ処理前の元映像の一部が抽出されることで、データ処理後の配信映像から映像が抽出される場合に比べて、配信映像の一部をより高い画質で提供することができる。
[2-8]比較対象
配信装置決定部402が配信装置を決定する際に用いる比較対象は実施例(撮影位置と2番目に近い領域)と異なっていてもよい。配信装置決定部402は、例えば撮影位置と3番目に近い領域を比較対象とすることで、撮影位置と1番目又は2番目に近い撮影領域に配置されている処理装置30のいずれかを配信装置として決定してもよい。
また、例えば比較対象を撮影位置とN(Nは2以上の自然数)番目に近い領域として、配置される処理装置30の台数が多くなるに連れてNを大きくしていってもよい。この場合、配信装置決定部402は、(N-1)台の処理装置30のうち、例えばランダムに選んだものを配信装置として決定してもよいし、各装置の処理の負荷の大きさを示す負荷情報(例えば配信先の台数を示す情報)を取得して、負荷が最も小さい処理装置30を配信装置として決定してもよい。
この場合でも、撮影位置と(N-1)番目に近い撮影領域よりも遠い他の撮影領域に配置される処理装置30が配信装置として決定される場合に比べて、データ量を減少させたデータを通信する区間が長くなるので、実施例と同様に通信コストを減らし又は遅延を生じにくくするというメリットをより多く享受することができる。また、配信装置決定部402は、撮影位置と配信先の参加人端末20との地理的に中央に位置する地点を比較対象として用いてもよい。
その場合、配信装置決定部402は、取得された位置情報が示す撮影位置の方が参加人端末20の位置よりも近い領域に配置されている処理装置30を配信装置として決定することになる。こうして配信装置として決定された処理装置30が所在する撮影領域から代理人端末10までの地理的な距離(撮影側距離)と、その撮影領域から参加人端末20までの地理的な距離(視聴側距離)とを比較すると、撮影側距離の方が短くなる。
図18は撮影側距離及び視聴側距離の一例を表す。図18(a)では、代理人端末10がトリノで撮影した映像が東京の参加人端末20に配信される場合が表されている。この場合、上記のとおり「イタリア北西部」のミラノに設置された処理装置30-1が配信装置として決定される。代理人端末10と「イタリア北西部」の距離である撮影側距離は0(代理人端末10自身がイタリア北西部に所在するため)であり、「イタリア北西部」と東京の距離である視聴側距離L1よりも短くなっている。
図18(b)では、代理人端末10が札幌で撮影した映像がローマの参加人端末20に配信される場合が表されている。この場合、上記のとおり盛岡に設置された処理装置30-6が配信装置として決定される。代理人端末10と撮影領域である「北海道・東北」の距離である撮影側距離は0であり、「北海道・東北」とローマの視聴側距離L2よりも短くなっている。また、図18(c)では、代理人端末10がシチリア島で撮影した映像が東京の参加人端末20に配信される場合が表されている。
この場合、上記のとおり「イタリア南部」のナポリに設置された処理装置30-5が配信装置として決定される。代理人端末10と撮影領域である「イタリア南部」の距離である撮影側距離L3は、「イタリア南部」と東京の距離である視聴側距離L4よりも短くなっている。この場合でも、例えば視聴側距離よりも撮影側距離の方が長くなる場合に比べると、データ量を減少させたデータを通信する区間が長くなるので、実施例と同様に通信コストを減らし又は遅延を生じにくくするというメリットをより多く享受することができる。
なお、地理的に中央に位置する地点を比較対象として用いる場合、図18の例のように撮影位置及び参加人端末20が十分に離れていれば上記メリットを享受することができる。ただし、例えば盛岡にいる参加人が札幌で撮影した映像を視聴する場合にこの比較対象を用いると、盛岡及び日本国内に設置されている処理装置30がいずれも参加人端末20の方に近いため選択されなくなり、遠い海外の処理装置30が選択されるということが起こり得る。
この場合は当然ながら例えば盛岡に設置されている処理装置30が選択される場合に比べると通信経路自体が長くなり上記メリットが少なくなる。これに対し、実施例のように撮影位置と最も近い撮影領域に配置されている処理装置30が選択されるのであれば、前述のように盛岡にいる参加人が札幌で撮影した映像を視聴する場合でも撮影位置と最も近い盛岡に設置されている処理装置30が選択されるので、通信経路を最も短くすることができ、上記メリットをより多く享受することができる。
[2-9]データ量を減少させる処理
データ量を減少させる減少処理は、実施例で述べたものに限らない。例えば、画質変更部304は、実施例では映像のピクセル数を減少させる処理を減少処理として行ったが、これ以外にも、映像を圧縮する処理(ビットマップ画像をJPEG(Joint Photographic Experts Group)画像に変換する処理など)が減少処理として行われてもよい。
また、映像の色数を減らす処理が減少処理として行われてもよい。また、代理人端末により1画面に収まる映像が撮影された場合に、その映像のサイズを小さくする処理(ピクセル数を減少させる処理と似ているが、映像全体を対象とする点が異なる)が減少処理として行われてもよい。要するに、代理人端末により撮影された元映像よりもデータ量が減少していれば、どのような処理が減少処理として行われてもよい。
[2-10]処理前の映像の提供
実施例では、データ量を減少させる減少処理が行われる前の映像として、1フレームの映像が提供されたが、これに限らず、2以上のフレーム(つまり動画像)が提供されてもよい。また、1フレーム全体ではなく、そのうちの一部(例えば映像に映っている対象を囲んだ範囲の映像)の映像が提供されてもよい。要するに、配信される映像(減少処理が行われた映像)では得られなかった価値が得られる映像(高画質な映像及び配信時には見られなかった映像等)が提供されればよい。
[2-11]参加人端末
実施例ではヘッドマウントディスプレイが参加人端末として用いられたが、これに限らない。例えばスマートフォン、タブレット端末又はパソコン等が参加人端末として用いられてもよい。要するに、配信された映像を表示可能であり、上述した各操作(撮影操作等)を受け付け可能な装置であれば、どのような表示装置が参加人端末として用いられてもよい。
[2-12]各部を実現する装置
図5等に表す各機能を実現する装置は、それらの図に表された装置に限らない。例えば参加人端末20が備える指定範囲決定部203を処理装置30が実現してもよい。また、1台の装置(代理人端末、参加人端末、配信サーバ装置及び管理制御サーバ装置)が備える各機能を2台以上の装置がそれぞれ分担して実現してもよい。要するに、仮想旅行システム全体としてこれらの機能が実現されていれば、仮想旅行システムが何台の装置を備えていてもよい。
また、仮想旅行システムは、実施例では管理制御サーバ装置40を1つだけ備えていたが、複数の管理制御サーバ装置40を備えていてもよい。例えば各基幹網に管理制御サーバ装置40を1つ配備し、その基幹網に接続される参加人端末20、代理人端末10及び処理装置30に関する制御処理を分散して行ってもよい。その場合は、各管理制御サーバ装置40は、自基幹網に係る制御に関わる情報を保持し、他の基幹網に係る情報は、その基幹網を担当する管理制御サーバ装置40の情報を持つことにより連携制御を行う。但し番組表に係る情報は、各管理制御サーバ装置40が相互に共有することで、それぞれに属する参加人端末20に全撮影領域の番組を提示可能とする。
[2-13]システム
上記の各例では、仮想旅行サービスを提供するためのシステム(仮想旅行システム)について説明したが、本発明は、他のシステムにも適用可能である。例えば、演奏、スポーツの試合、美術館等の観覧を仮想的に行うためのシステムに適用してもよい。また、固定されたカメラ、移動可能なロボット又はドローンが撮影した映像を配信するシステムに適用してもよい。例えば固定されたカメラが代理人端末10として用いられる場合でも、その代理人端末10の設置時に上述した配信装置の決定が行われる。要するに、様々な場所で撮影された映像を配信するものであれば、本発明をどのようなシステムに適用してもよい。
[2-14]発明のカテゴリ
本発明は、代理人端末、参加人端末、配信サーバ装置及び管理制御サーバ装置という各情報処理装置の他、それらの装置を備える仮想旅行システムという情報処理システムとしても捉えられる。また、本発明は、各装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、各装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
[2-15]処理手順等
本明細書で説明した各実施例の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾がない限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
[2-16]入出力された情報等の扱い
入出力された情報等は特定の場所(例えばメモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
[2-17]ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
[2-18]情報、信号
本明細書で説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
[2-19]システム、ネットワーク
本明細書で使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
[2-20]「に基づいて」の意味
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
[2-21]「及び」、「又は」
本明細書において、「A及びB」でも「A又はB」でも実施可能な構成については、一方の表現で記載された構成を、他方の表現で記載された構成として用いてもよい。例えば「A及びB」と記載されている場合、他の記載との不整合が生じず実施可能であれば、「A又はB」として用いてもよい。
[2-22]態様のバリエーション等
本明細書で説明した各実施例は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施例に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。