JP7006423B2 - 検量装置および検量方法 - Google Patents

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本発明は、被検体に含有される目的成分の成分量を検量するための技術に関する。
独立成分分析(ICA:Independent Component Analysis)を利用して目的成分の成分量を検量する技術が従来から提案されている。例えば特許文献1には、緑色野菜から測定された複数の光学スペクトルに対して独立成分分析を実行することで、クロロフィルに由来するスペクトルを独立成分として推定し、推定後のスペクトルを利用して未知の緑色野菜におけるクロロフィル量を検量する検量技術が開示されている。
特開2013-36973号公報
高精度な独立成分分析を実現するためには、推定対象となる複数の独立成分が統計的に独立である必要がある。しかし、独立成分分析の対象となる測定データについて、実際には、複数の成分の間で統計的な独立性が充分に確保されない場合がある。
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る検量装置は、被検体に含有される目的成分の成分量を検量する検量装置であって、前記目的成分に対応する目的成分検量用スペクトルと、前記目的成分検量用スペクトルと前記被検体の光学スペクトルとの内積の演算値と前記目的成分の成分量との関係を表す検量線と、を生成する解析処理部と、前記演算値に対応する前記目的成分の成分量を、前記検量線から特定する検量処理部とを具備し、前記解析処理部は、(a)N種類(Nは1以上の整数)の成分を含有するサンプルについて測定されたQ個(Qは3以上の整数)の光学スペクトルの集合からR個(Rは2以上の整数)の部分集合を生成する処理であって、前記R個の部分集合の各々について、前記Q個の光学スペクトルにそれぞれ対応するQ個の要素からなり、当該部分集合に含まれる光学スペクトルに対応する要素が第1値に設定され、当該部分集合に含まれない光学スペクトルに対応する要素が第2値に設定された要素配列を生成する処理と、(b)前記R個の部分集合の各々に対して、前記N種類の成分量を独立成分とする独立成分分析を実行することで、複数の成分の各々について成分検量用スペクトルを特定する処理と、(c)前記R個の部分集合からB個(Bは1以上R未満の整数)の部分集合を選択する処理と、(d)前記B個の部分集合にそれぞれ対応するB個の要素配列について、前記各要素配列の前記Q個の要素のうち1個以上の要素の数値を変更することで、前記処理(b)の対象となるR個の部分集合にそれぞれ対応するR個の要素配列を生成し、当該要素配列から部分集合を生成する処理と、(e)終了条件が成立するまで、前記処理(b)から前記処理(d)を反復する処理と、(f)前記終了条件が成立した場合に、前記処理(b)で特定された複数の成分検量用スペクトルから前記目的成分検量用スペクトルを特定する処理と、(g)前記目的成分の成分量が既知であるサンプルについて測定された複数の評価用光学スペクトルの各々と前記目的成分検量用スペクトルとの内積の演算値と、当該サンプルに含有される前記目的成分の成分量と、の関係から前記検量線を特定する処理とを実行する。
本発明の好適な態様に係る検量方法は、被検体に含有される目的成分の成分量をコンピューターが検量する方法であって、前記目的成分に対応する目的成分検量用スペクトルと、前記目的成分検量用スペクトルと前記被検体の光学スペクトルとの内積の演算値と前記目的成分の成分量との関係を表す検量線と、を生成する解析処理と、前記演算値に対応する前記目的成分の成分量を、前記検量線から特定する検量処理とを含み、前記解析処理は、(a)N種類(Nは1以上の整数)の成分を含有するサンプルについて測定されたQ個(Qは3以上の整数)の光学スペクトルの集合からR個(Rは2以上の整数)の部分集合を生成する処理であって、前記R個の部分集合の各々について、前記Q個の光学スペクトルにそれぞれ対応するQ個の要素からなり、当該部分集合に含まれる光学スペクトルに対応する要素が第1値に設定され、当該部分集合に含まれない光学スペクトルに対応する要素が第2値に設定された要素配列を生成する処理と、(b)前記R個の部分集合の各々に対して、前記N種類の成分量を独立成分とする独立成分分析を実行することで、複数の成分の各々について成分検量用スペクトルを特定する処理と、(c)前記R個の部分集合からB個(Bは1以上R未満の整数)の部分集合を選択する処理と、(d)前記B個の部分集合にそれぞれ対応するB個の要素配列について、前記各要素配列の前記Q個の要素のうち1個以上の要素の数値を変更することで、前記処理(b)の対象となるR個の部分集合にそれぞれ対応するR個の要素配列を生成し、当該要素配列から部分集合を生成する処理と、(e)終了条件が成立するまで、前記処理(b)から前記処理(d)を反復する処理と、(f)前記終了条件が成立した場合に、前記処理(b)で特定された複数の成分検量用スペクトルから前記目的成分検量用スペクトルを特定する処理と、(g)前記目的成分の成分量が既知であるサンプルについて測定された複数の評価用光学スペクトルの各々と前記目的成分検量用スペクトルとの内積の演算値と、当該サンプルに含有される前記目的成分の成分量と、の関係から前記検量線を特定する処理とを含む。
目的成分の成分量を検量する方法の原理の説明図である。 光学スペクトルの説明図である。 検量装置の構成を例示するブロック図である。 検量装置の動作の手順を例示するフローチャートである。 検量処理の説明図である。 解析処理の説明図である。 解析処理の手順を例示するフローチャートである。 要素配列の模式図である。 目的成分検量用スペクトルを特定する処理の説明図である。 更新処理における交叉の説明図である。 更新処理に関する真理値表である。 探索処理の反復回数と各部分集合の評価指標との関係を示すグラフである。 探索処理の反復回数と部分集合の要素数との関係を示すグラフである。 第2実施形態の反復処理に関する真理値表である。 第3実施形態の反復処理に関する真理値表である。
<検量の原理>
本発明の好適な形態に係る検量装置100の説明に先立ち、目的成分の成分量を検量する原理について説明する。目的成分は、例えばグルコース、アルブミン、塩化ナトリウム、ヘモグロビン、脂質またはアルコール等の生体成分である。成分量は、例えば以上に例示した目的成分の濃度である。成分量の検量には、以下に詳述する通り、独立成分分析が利用される。
N種類(Nは1以上の整数)の成分を含有するサンプルの分光測定を想定する。M個のサンプルに対する分光測定の結果を表す光学スペクトル行列Xは、以下の数式(1)で表現される通り、成分固有スペクトル行列Yと成分量行列Wとの積として表現される。図1には、数式(1)が模式的に図示されている。
Figure 0007006423000001
数式(1)の光学スペクトル行列Xは、M個のサンプルからそれぞれ測定されたM個の光学スペクトルX1~XMを横方向に配列した行列である。第m番目(m=1~M)の1個のサンプルの光学スペクトルXmは、K個の波長にそれぞれ対応するK個の強度xm(1)~xm(K)を配列したK次元の列ベクトルで表現される。なお、光学スペクトル行列Xは、1個のサンプルに対する分光測定により相異なる時点において測定されたM個の光学スペクトルX1~XMを時系列に配列した行列でもよい。
図2に例示される通り、第m番目のサンプルの光学スペクトルXmは、当該サンプルに対する分光測定で観測された光学スペクトルXm_dから生成される。光学スペクトルXm_dは、例えば吸光度スペクトルまたは拡散反射スペクトルである。M個の光学スペクトルX1_d~XM_dは充分に近似するが、図2では、M個の光学スペクトルX1_d~XM_dの相違が便宜的に強調されている。
図2の例示のように非常に近似するM個の光学スペクトルX1_d~XM_dを独立成分分析に適用した場合には、分析精度が低下する可能性がある。例えば、溶質(含有成分)の濃度に依存して光学スペクトルXm_dに対する溶媒の影響が変化し、独立成分分析の精度が低下する可能性がある。以上の事情を考慮して、各光学スペクトルXm_dに対する所定の前処理により光学スペクトルXmが算定される。具体的には、図2に例示される通り、M個の光学スペクトルX1_d~XM_dの平均スペクトルXaveを各光学スペクトルXm_dから減算する前処理により、各光学スペクトルXmが算定される。なお、前処理に適用される平均スペクトルXaveは、例えば記憶装置に保持される。以上の方法によれば、溶質の濃度に依存して光学スペクトルXm_dに対する溶媒の影響が変化する場合でも、その影響が低減され、高精度な独立成分分析が実現される。なお、前処理の具体的な内容は、以上の例示(平均スペクトルXaveの減算)に限定されない。例えば、平均スペクトルXaveの零空間に光学スペクトルXm_dを射影することで光学スペクトルXmを生成する零空間射影を前処理として実行してもよい。また、光学スペクトルXm_dを平均0かつ分散1に変換する処理を前処理に含ませてもよい。なお、以上に例示した前処理は省略され得る。すなわち、光学スペクトルXm_dを光学スペクトル行列Xの光学スペクトルXmとして利用してもよい。
数式(1)の成分固有スペクトル行列Yは、N種類の成分にそれぞれ対応するN個の成分固有スペクトルY1~YNを横方向に配列した行列である。第n番目(n=1~N)の1個の成分の成分固有スペクトルYnは、K個の波長にそれぞれ対応するK個の強度yn(1)~yn(K)を配列したK次元の列ベクトルで表現される。第n番目の成分の成分固有スペクトルYnは、例えば当該成分に固有の吸光係数系列(すなわち波長毎の吸光係数の系列)を表すスペクトルである。
数式(1)の成分量行列Wは、N種類の成分にそれぞれ対応するN個の成分量系列W1~WNを縦方向に配列した行列である。第n番目の1個の成分の成分量系列Wnは、各サンプルに含有される第n番目の成分の成分量wn(m)をM個のサンプルについて配列した行ベクトルである。
数式(1)を利用した独立成分分析としては、N種類の成分に由来する未知のN個の成分固有スペクトルY1~YNを統計的に独立な成分と見做した独立成分分析が想定される。しかし、N個の成分固有スペクトルY1~YNは、相互に統計的に独立であるという条件を充足しない場合がある。他方、N個の成分固有スペクトルY1~YNが統計的に独立でない場合でも、N種類の成分の成分量(例えば濃度)が相互に無関係であり統計的に独立であるという条件が成立するならば、N種類の成分の成分量(成分量系列Wn)を独立成分と見做して独立成分分析を実行することで、N個の成分量系列W1~WNを高精度に推定することが可能である。そして、各成分量系列Wnに加えてN個の成分固有スペクトルY1~YNも正確に推定することができる。
以上の事情を背景として、数式(1)の成分量行列WにおけるN個の成分量系列W1~WNの各々を独立成分と見做した独立成分分析を実行することで、N個の成分量系列W1~WNを推定し、各成分量系列Wnと同時にN個の成分固有スペクトルY1~YNも推定する。なお、各成分量系列Wnを独立成分と見做す場合でも、独立成分分析の方法自体には既存の方法を利用できる。例えば本願出願人の先願である特開2013-160574号公報または特開2016-65803号公報に開示された方法、または他の公知の方法が利用される。
以上に説明した独立成分分析により成分固有スペクトル行列Yが推定されると、被検体に含有される第n番目の成分(目的成分)の未知の成分量に応じた演算値αを算定することが可能である。具体的には、演算値αは、以下の数式(2)で表現される通り、第n番目の成分の成分検量用スペクトルZnと被検体の光学スペクトルXSとの積として算定される。
Figure 0007006423000002
数式(2)の光学スペクトルXSは、被検体に対する分光測定で観測されたスペクトルであり、相異なる波長に対応するK個の強度x(1)~x(K)を配列したK次元の列ベクトルで表現される。また、数式(2)の成分検量用スペクトルZnは、前述の独立成分分析により推定された成分固有スペクトル行列Yの一般化逆行列Y+における第n行に相当するK次元の行ベクトルである。
数式(2)から理解される通り、第n番目の成分の成分検量用スペクトルZnと被検体の光学スペクトルXSとの内積により、被検体に含有される当該成分の成分量に応じた演算値αが算定される。ただし、独立成分分析により推定される成分固有スペクトル行列Yの各要素の数値自体に意味はなく(いわゆるスケーリングの不定性)、成分固有スペクトル行列Yの各成分固有スペクトルYnの形状が真の成分固有スペクトルに比例するという関係にある。したがって、数式(2)で算定される演算値αは成分量の真値に比例する数値である。第n番目の成分の実際の成分量は、数式(2)の内積で算定された演算値αを、演算値αと成分量(真値)Cとの関係を表す検量線に適用することで算定される。なお、N種類の成分のうち検量対象となる目的成分の成分検量用スペクトルZnを、以下の説明では「目的成分検量用スペクトルZ」と表記する。
以上に説明した通り、成分量を独立成分と見做す独立成分分析によれば、N種類の成分に由来する各成分固有スペクトルYnが統計的に独立でない場合でも、光学スペクトルXm毎の各成分量の変動が統計的に独立であれば、成分量行列W(成分量系列Wn)と成分固有スペクトル行列Y(成分固有スペクトルYnおよび成分検量用スペクトルZn)を高精度に推定することが可能である。
<第1実施形態>
以上に説明した独立成分分析を利用した第1実施形態の検量装置100について説明する。検量装置100は、被検体(例えば生体)の分光測定により観測される光学スペクトルから、当該被検体に含有される目的成分の成分量を検量する測定装置である。
図3は、検量装置100の構成を例示するブロック図である。図3に例示される通り、被検体の光学スペクトルXSを測定するための測定器200が検量装置100に接続される。測定器200は、被検体の分光測定により当該被検体の光学的な特性に応じた測定信号を出力する分光測定器が測定器200として好適に利用される。なお、測定器200を検量装置100に内蔵してもよい。
図3に例示される通り、検量装置100は、制御装置11と記憶装置12と表示装置13とを具備する。制御装置11は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field
Programmable Gate Array)等の処理回路を含んで構成され、被検体に含有される目的成分(例えばグルコース)の成分量を算定するための各種の処理を実行する。記憶装置12は、制御装置11が実行するプログラムと制御装置11が使用する各種のデータとを記憶する。例えば半導体メモリーが記憶装置12として好適である。表示装置13は、例えば液晶表示パネルで構成され、制御装置11が算定した成分量を含む各種の情報を表示する。
図3に例示される通り、制御装置11(コンピューターの例示)は、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することで、目的成分の成分量を算定するための複数の要素(解析処理部21および検量処理部22)として機能する。なお、相互に別体で構成された複数の装置で制御装置11の機能を実現してもよい。
解析処理部21は、目的成分に対応する前述の目的成分検量用スペクトルZと、目的成分の演算値αおよび成分量C(真値)の関係を表す検量線Ccとを生成する。解析処理部21が生成した目的成分検量用スペクトルZと検量線Ccとは記憶装置12に記憶される。検量処理部22は、測定器200が測定した被検体の光学スペクトルXSと、解析処理部21が生成した目的成分検量用スペクトルZおよび検量線Ccとを利用して、被検体に含有される目的成分の成分量を特定する。
図4は、検量装置100が目的成分の成分量を検量する処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。例えば利用者からの指示を契機として図4の処理が開始される。図4の処理を開始すると、解析処理部21は、解析処理Saを実行することで目的成分検量用スペクトルZと検量線Ccとを特定する。なお、解析処理Saの具体的な手順については後述する。
検量処理部22は、解析処理Saで特定された目的成分検量用スペクトルZと検量線Ccとを利用した検量処理Sb(Sb1~Sb4)により、被検体に含有される目的成分の成分量を検量する。図5は、検量処理Sbの説明図である。
検量処理部22は、測定器200から供給される測定信号を解析することで被検体の光学スペクトルXSを取得する(Sb1)。具体的には、検量処理部22は、測定信号から特定される光学スペクトルX_dに対して前述の前処理を実行することで光学スペクトルXSを算定する。光学スペクトルX_dに対する前処理には、例えば、独立成分分析の対象となる光学スペクトルXm_dの前処理(図2)に適用された前述の平均スペクトルXaveが利用される。例えば解析処理Saにおいて生成された平均スペクトルXaveが記憶装置12に保持されて、検量処理Sbにおける前処理に利用される。
検量処理部22は、図5に例示される通り、被検体の光学スペクトルXSと解析処理Saで生成された目的成分検量用スペクトルZとの内積の演算値αを算定する(Sb2)。検量処理部22は、解析処理Saで生成された検量線Ccを利用して演算値αから目的成分の成分量Cを特定する(Sb3)。具体的には、検量処理部22は、図5に例示される通り、検量線Ccにおいて演算値αに対応する成分量Cを特定する。検量処理部22は、検量処理部22が特定した目的成分の成分量Cを、測定結果として表示装置13に表示させる(Sb4)。
<解析処理Sa>
図6は、解析処理Saの説明図である。図6に例示される通り、記憶装置12には、Q個(Qは3以上の整数)の光学スペクトルX0と複数の評価用データDとが事前に記憶される。Q個の光学スペクトルX0は、目的成分(例えばグルコース)を含むN種類の成分を含有する複数の第1サンプルの分光測定により測定されたスペクトルである。第1サンプルは、被検体と同様の成分で構成される。各光学スペクトルX0は、独立成分分析により各成分検量用スペクトルZnを決定するための学習用のサンプルデータとして利用される。複数の評価用データDの各々は、第2サンプルに対する分光測定で測定された光学スペクトル(以下「評価用光学スペクトル」という)XEと、当該第2サンプルにおける目的成分の既知の成分量Ct(すなわち真値)とを含んで構成される。なお、複数の第1サンプルについては目的成分の成分量が既知である必要はない。光学スペクトルX0および評価用光学スペクトルXEは、第2サンプルの分光測定により観測された光学スペクトルに対して、平均スペクトルXaveを利用した前述の前処理を実行することで生成されたスペクトルである。なお、第1サンプルの一部を第2サンプルとして利用してもよい。
図7は、解析処理Saの具体的な手順を例示するフローチャートである。解析処理Saを開始すると、解析処理部21は、図6に例示される通り、Q個の光学スペクトルX0の集合からR個(Rは2以上の整数)の部分集合P1~PRを生成する(Sa1)。R個の部分集合P1~PRの各々は、M個の光学スペクトルX0(X1~XM)を含む集合である。各部分集合Pr(r=1~R)の要素数Mは、独立成分分析により特定する成分固有スペクトルYnの総数N以上に設定される。なお、各部分集合Prの要素数Mは、部分集合Pr毎に相違してもよいし、R個の部分集合P1~PRにわたり共通してもよい。例えば解析処理部21は、乱数を利用して無作為にQ個の光学スペクトルX0の集合から各部分集合Prの光学スペクトルX0を生成する。ステップSa1は、処理(a)の例示である。なお、光学スペクトルX0および評価用光学スペクトルXEを、部分集合Pr毎に算定された平均スペクトルXaveを利用した前処理で生成してもよい。
ステップSa1において、解析処理部21は、R個の部分集合P1~PRの各々を表す要素配列Gr(G1~GR)を生成する。図8は、任意の1個の部分集合Prに対応する要素配列Grの模式図である。図8に例示される通り、要素配列Grは、Q個の光学スペクトルX0にそれぞれ対応するQ個の要素F1~FQで構成される。なお、図8では、光学スペクトルX0が10個である場合が便宜的に例示されているが、実際には例えば1200個程度の光学スペクトルX0の集合からR個(例えば100個)の部分集合P1~PRが生成される。
要素配列Grの任意の1個の要素Fq(q=1~Q)は、Q個の光学スペクトルX0のうち第q番目の1個の光学スペクトルX0が当該部分集合Prに含まれるか否かを表す。具体的には、要素配列GrのQ個の要素F1~FQのうち、当該部分集合Prに含まれる光学スペクトルX0に対応する要素Fqは1(第1値の例示)に設定され、当該部分集合Prに含まれない光学スペクトルX0に対応する要素Fqは0(第2値の例示)に設定される。例えば、図8に例示された要素配列Grは、第3番(#3)と第4番(#4)と第9番(#9)の3個の光学スペクトルX0を1個の部分集合Prが含むことを表現する。したがって、要素配列Grにおける数値1の個数が、部分集合Prの要素数Mに相当する。以上の説明から理解される通り、第1実施形態の要素配列Grは、部分集合Prにおける各光学スペクトルX0の有無を2値的(0/1)に表すQビットのバイナリデータである。要素配列Grから部分集合Prが生成される。部分集合Prの生成は、Q個の光学スペクトルX0の集合から、要素配列GrのQ個の要素F1~FQのうち数値1に設定された各要素Fqに対応するM個の光学スペクトルX0(X1~XM)を選択する処理である。
以下に例示するステップSa2~Sa8の処理は、目的成分に対応する最適な目的成分検量用スペクトルZを探索するために部分集合Prを更新および選別する処理(以下「探索処理」という)である。探索処理は、複数回にわたり反復される。
探索処理を開始すると、解析処理部21は、図6に例示される通り、R個の部分集合P1~PRの各々に対して、成分量を独立成分と見做す前述の独立成分分析を実行することで、N個の成分固有スペクトルY1(r)~YN(r)を算定する(Sa2)。具体的には、部分集合Prに含まれるM個の光学スペクトルX0(X1~XM)の系列を光学スペクトル行列Xとした独立成分分析によりN個の成分固有スペクトルY1(r)~YN(r)が算定される。また、解析処理部21は、各成分固有スペクトルYn(r)に対応する成分検量用スペクトルZn(r)を算定する(Sa3)。すなわち、R個の部分集合P1~PRの各々についてN個の成分検量用スペクトルZ1(r)~ZN(r)が特定される。ステップSa2およびステップSa3は、処理(b)の例示である。なお、N種類の成分のうち一部の成分について成分検量用スペクトルZn(r)を特定してもよい。
解析処理部21は、各部分集合PrのN個の成分検量用スペクトルZ1(r)~ZN(r)の各々について評価指標Vn(r)を算定する(Sa4)。評価指標Vn(r)は、成分検量用スペクトルZn(r)が目的成分に対応する確度の指標である。具体的には、解析処理部21は、図9に例示される通り、複数の評価用データDの各々について、成分検量用スペクトルZn(r)と当該評価用データDの評価用光学スペクトルXEとの内積の演算値αを算定する。すなわち、1個の成分検量用スペクトルZn(r)について、相異なる評価用光学スペクトルXEに対応する複数の演算値αが算定される。
図9には、成分検量用スペクトルZn(r)と各評価用光学スペクトルXEとの間で算定された複数の演算値αと、各評価用データDが示す複数の成分量Ct(すなわち真値)との関係が図示されている。成分検量用スペクトルZn(r)がN種類の成分のうちの目的成分に対応する場合、図9に例示される通り、演算値αと成分量Ctとの間に強い相関が観測される。以上の事情を背景として、解析処理部21は、成分検量用スペクトルZn(r)について算定された演算値αと評価用データDが示す成分量Ctとが相関する度合の指標を評価指標Vn(r)として算定する。例えば演算値αと成分量Ctとの相関係数(相関度)が評価指標Vn(r)として好適である。以上の説明から理解される通り、成分検量用スペクトルZn(r)が目的成分に対応する可能性が高いほど、評価指標Vn(r)は大きい数値となる。
合計R×N個の成分検量用スペクトルZn(r)の各々について評価指標Vn(r)を算定すると、解析処理部21は、図6に例示される通り、R個の部分集合P1~PRの各々について評価指標Er(E1~ER)を算定する(Sa5)。各部分集合Prの評価指標Erは、当該部分集合Prが独立成分分析にとって適切である度合の指標である。具体的には、各部分集合Prの評価指標Erは、当該部分集合Prに対応するN個の成分検量用スペクトルZ1(r)~ZN(r)にそれぞれ対応するN個の評価指標V1(r)~VN(r)に応じた指標である。例えば、解析処理部21は、N個の評価指標V1(r)~VN(r)の代表値(例えば平均値、中央値、最大値または最小値)を評価指標Erとして算定する。N個の評価指標V1(r)~VN(r)のうち目的成分に対応した評価指標Vn(r)(すなわちN個の評価指標V1(r)~VN(r)の代表値)を評価指標Erとして選択してもよい。なお、評価指標Erの算定の方法は任意であり、例えばN個の評価指標V1(r)~VN(r)の加重和や自乗和を評価指標Erとして算定してもよい。ただし、評価指標Vn(r)が大きいほど評価指標Erが大きい数値となるように評価指標Erを算定する構成が好適である。
以上の手順により各部分集合Prの評価指標Erを算定すると、解析処理部21は、図6に例示される通り、R個の部分集合P1~PRから評価指標Erに応じてB個(Bは1以上R未満の整数)の部分集合P1~PBを選択する(Sa6)。具体的には、解析処理部21は、R個の部分集合P1~PRのうち評価指標Erの降順で上位に位置するB個の部分集合P1~PBを選択する(エリート選択)。すなわち、R個の部分集合P1~PBから独立成分分析に好適なB個の部分集合P1~PBが選別される。ステップSa6は、処理(c)の例示である。なお、B個の部分集合P1~PBの選択には、ルーレット選択またはトーナメント選択等の各種の選択アルゴリズムが利用される。
B個の部分集合P1~PBを選択すると、解析処理部21は、探索処理の反復を終了するための所定の条件(以下「終了条件」という)が成立したか否かを判定する(Sa7)。終了条件は、例えば、評価指標Erの最大値が所定の閾値を上回ること、または、探索処理を反復した回数が所定の閾値を上回ることである。すなわち、独立成分分析に好適な部分集合Pが選別されるまで、探索処理(Sa2~Sa8)が反復される。ステップSa7は処理(e)の例示である。なお、評価指標Erの算定(Sa5)とB個の部分集合P1~PBの選択(Sa6)との間に終了条件の成否を判定してもよい。
終了条件が成立していない場合(Sa7:NO)、解析処理部21は、評価指標Erに応じて選択したB個の部分集合P1~PBを更新する処理(以下「更新処理」という)を実行する(Sa8)。更新処理Sa8では、解析処理部21は、図6に例示される通り、B個の部分集合P1~PBの各々を部分的に変更することで、合計R個の部分集合P1~PRを生成する。すなわち、B個の部分集合P1~PBの各々について、要素配列GbのQ個の要素F1~FQのうち1個以上の要素Fqの数値を変更することでR個の要素配列G1~GRを生成し、各要素配列Grから部分集合Prを生成する。前述の通り、部分集合Prの生成は、Q個の光学スペクトルX0の集合から、要素配列GrのQ個の要素F1~FQのうち数値1に設定された各要素Fqに対応するM個の光学スペクトルX0(X1~XM)を選択する処理である。具体的には、B個の部分集合P1~PBの各々からH個の部分集合Pが生成される結果、合計R個(R=B×H)の部分集合P1~PRが生成される。更新処理Sa8による更新後のR個の部分集合P1~PRについて探索処理が実行される。更新処理Sa8は、処理(d)の例示である。なお、更新処理Sa8の具体例については後述する。また、各部分集合Pbから生成される部分集合Pの個数Hを部分集合Pb毎に相違させてもよい。例えば、評価指標Erが大きい部分集合Pbほど、当該部分集合Pbから生成される部分集合Pの個数Hを増加させる構成が想定される。
以上の説明から理解される通り、更新処理Sa8により各部分集合を更新しながら、独立成分分析に好適な部分集合を選別する探索処理が反復される。なお、第1回目の探索処理で選択されたR個の部分集合P1~PRについて算定された評価指標Erの最大値が閾値を上回る場合(Sa7:YES)、探索処理は1回だけ実行されることになる。また、探索処理の対象となる部分集合Prの個数Rを探索処理毎に相違させてもよい。
前述の終了条件が成立すると(Sa7:YES)、解析処理部21は、終了条件の成立までにステップSa3で算定された複数の成分検量用スペクトルZn(r)のうち評価指標Vn(r)が最大である1個の成分検量用スペクトルZn(r)を目的成分検量用スペクトルZとして選択する(Sa9)。ステップSa9は、処理(f)の例示である。
目的成分検量用スペクトルZを特定すると、解析処理部21は、検量線Ccを特定する(Sa10)。具体的には、複数の評価用光学スペクトルXEの各々と目的成分検量用スペクトルZとの内積として算定される複数の演算値αと、各評価用データDが示す複数の成分量Ctとの関係を近似する直線が検量線Ccとして特定される。例えば複数の演算値αと複数の成分量Ctとの関係を表す単回帰式(Ct=aα+b)で検量線Ccは表現される。以上に例示した解析処理Sa(Sa1~Sa10)で特定された目的成分検量用スペクトルZおよび検量線Ccが、図5を参照して前述した検量処理Sbに適用される。なお、ステップSa10は、処理(g)の例示である。
<更新処理Sa8の具体例>
更新処理Sa8における各部分集合Pbの更新には、遺伝的アルゴリズムが好適に利用される。第1実施形態では、既存の2個の部分集合Pbの交叉(crossover)により新規な部分集合Pを生成する。交叉は、2個の部分集合Pbの相互間で光学スペクトルX0を部分的に交換(組換え)することで新規な部分集合Pを生成する遺伝的操作である。
第1実施形態では、図10に例示される通り、部分集合Pb1(b1=1~B)の要素配列Gb1(第1要素配列の例示)と、部分集合Pb2(b2=1~B,b2≠b1)の要素配列Gb2(第2要素配列の例示)との交叉により、部分集合Pr1(r1=1~R)の要素配列Gr1と部分集合Pr2の要素配列Gr2(r2=1~R,r2≠r1)とを生成する。なお、部分集合Pb1と部分集合Pb2とから1個の部分集合Pr(例えば前述の部分集合Pr1および部分集合Pr2の一方)を生成してもよい。図10に例示される通り、第1実施形態では、マスクパターンΛを利用した一様交叉を例示する。マスクパターンΛは、所定の確率で0または1に設定されたQ個の要素で構成されたバイナリデータである。例えば部分集合Pb1と部分集合Pb2との組合せ毎にマスクパターンΛは更新される。
図11は、第1実施形態の更新処理Sa8に関する真理値表である。図11の記号p1(p:parent)は、更新前の要素配列Gb1における任意の1個の要素Fqを意味し、記号p2は、更新前の要素配列Gb2における任意の1個の要素Fqを意味する。記号c1(c:child)は、更新後の要素配列Gr1における任意の1個の要素Fqを意味し、記号c2は、更新後の要素配列Gr2における任意の1個の要素Fqを意味する。また、記号λは、マスクパターンΛの1個の要素である。
図10および図11から理解される通り、マスクパターンΛの要素λが1である場合、要素c1が要素p2に設定されて要素c2が要素p1に設定される(c1=p2,c2=p1)。他方、マスクパターンΛの要素λが0である場合、要素c1が要素p1に設定されて要素c2が要素p2に設定される(c1=p1,c2=p2)。すなわち、マスクパターンΛの数値1は、要素配列Gb1と要素配列Gb2との間で要素Fqを交換することを意味し、マスクパターンΛの数値0は、要素配列Gb1と要素配列Gb2との間で要素Fqを交換しないことを意味する。
以上に説明した一様交叉は、例えば以下の論理式(a1)および(a2)で表現される。数式(4)の記号¬は否定(NOT)を意味する。
c1=(p1・¬λ)+(p2・λ) …(a1)
c2=(p1・λ)+(p2・¬λ) …(a2)
以上の説明から理解される通り、更新後の部分集合Prの要素数Mは、更新処理Sa8により変化する。更新処理Sa8の実行後にR個の部分集合P1~PRのうちのB個を評価指標Frに応じて選別する処理(Sa6)では、要素数Mが適切な部分集合Prが選択され易い傾向がある。すなわち、各部分集合Prの要素数Mは、更新処理Sa8毎に最適値に近付いていく。なお、要素数Mは可変であるが、要素配列Grの要素Fqの個数Qは固定値である。
図12は、探索処理の反復回数と評価指標Erとの関係を示すグラフであり、図13は、探索処理の反復回数と部分集合Prの要素数Mとの関係を示すグラフである。図12から理解される通り、第1実施形態によれば、反復回数の増加とともに評価指標Erが増加する。すなわち、探索処理の対象となるR個の部分集合P1~PRが、独立成分分析に好適な部分集合Prに洗練されていく。また、反復回数の増加とともに部分集合Prの要素数Mが適切な数値に収束する傾向が図13から確認できる。以上の説明から理解される通り、第1実施形態によれば、独立成分分析に好適な部分集合Prの探索(ひいては好適な成分検量用スペクトルZn(r)の探索)を効率化することが可能である。
要素配列Grの形式としては、図8に対比例として図示される通り、部分集合Prを構成するM個の光学スペクトルX0の各々の番号を指定する形式も想定される。しかし、対比例では、前述した遺伝的アルゴリズムにおける交叉をそのままでは適用できない。対比例とは対照的に、第1実施形態の要素配列Grは、部分集合Prにおける光学スペクトルX0の有無を2値的(0/1)に表すQ個の要素F1~FQで構成されるから、前述の交叉を含む多様な遺伝的操作を更新処理Sa8に利用できるという利点がある。また、要素配列Grが2値で表現されるから、更新処理Sa8を単純な論理演算により高速に実現できるという利点もある。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
第1実施形態では、更新処理Sa8に一様交叉を利用した。第2実施形態では、遺伝的アルゴリズムにおける突然変異(mutation)を更新処理Sa8に利用する。突然変異は、各要素配列GbにおけるQ個の要素F1~FQから確率的に選択された各要素Fqの数値を0および1の一方から他方に変更する遺伝的操作である。
図14は、第2実施形態の更新処理Sa8に関する真理値表である。図14の記号pは、更新前の要素配列Gbにおける任意の1個の要素Fqを意味し、記号cは、更新後の要素配列Grにおける任意の1個の要素Fqを意味する。また、記号γは、要素pを反転させるか否かを示す要素であり、反転を意味する数値1に所定の確率L1(突然変異率)で設定される。記号βは、要素pの追加を採用するか否かを示す要素であり、反転の採用を意味する数値1に所定の確率L2で設定される。
図14から理解される通り、要素βと要素γとが1で一致し、かつ、要素pが0である場合、当該要素pに対応する要素cは1に設定される。すなわち、部分集合Pbに光学スペクトルX0が追加される。また、要素γおよび要素pの双方が1である場合、要素βの数値に関わらず要素cは0に設定される。すなわち、部分集合Pbの光学スペクトルX0が削除される。以上に例示した突然変異は、例えば以下の論理式(b)で表現される。
c=(β・γ・¬p)+(¬γ・p) …(b)
なお、要素βが数値1に設定される確率(すなわち要素の追加を採用する確率)L2は、例えば以下の数式で表現される。
L2=M/(Q-M)
すなわち、部分集合Pの要素数Mが増加するほど、要素Fqの追加を採用する確率L2は上昇する。したがって、更新処理Sa8による更新の前後で要素数Mが大幅に乖離する可能性を低減できる。第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。
<第3実施形態>
第3実施形態の更新処理Sa8においては、第2実施形態と同様に、要素配列GbにおけるQ個の要素F1~FQから確率的に選択された各要素Fqの数値を0および1の一方から他方に変更する突然変異により部分集合Pbを更新することで新規な部分集合Pが生成される。第3実施形態では、突然変異の具体的な方法が第2実施形態とは相違する。
図15は、第3実施形態の更新処理Sa8に関する真理値表である。要素pおよび要素cの意味は第2実施形態と同様である。図15の記号γは、要素pを1から0に変更(すなわち光学スペクトルX0を削除)するか否かを示す要素であり、削除を意味する数値1に所定の確率L1で設定される。また、記号βは、要素pを0から1に変更(すなわち光学スペクトルX0を追加)するか否かを示す要素であり、追加を意味する数値1に所定の確率L2で設定される。
図15から理解される通り、要素βが1であり、かつ、要素pが0である場合、当該要素pに対応する要素cは1に設定される。すなわち、部分集合Pbに光学スペクトルX0が追加される。要素γおよび要素pの双方が1であり、かつ、要素βが0である場合、当該要素pに対応する要素cは0に設定される。すなわち、部分集合Pbの光学スペクトルX0が削除される。また、要素βおよび要素γの双方が1であり、かつ、要素pが1である場合、当該要素pに対応する要素cは0に設定される。すなわち、部分集合Pbの光学スペクトルX0が削除される。以上に例示した突然変異は、例えば以下の論理式(c)で表現される。
c=¬γ・p+b・¬p …(c)
なお、要素βが数値1に設定される確率(すなわち要素を追加する確率)L2は、例えば以下の数式で表現される。
L2=L1×M/(Q-M)
第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。
<変形例>
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。なお、以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
(1)前述の各形態では、複数の演算値αと複数の成分量Ctとの相関係数(相関度)を成分検量用スペクトルZn(r)の評価指標Vn(r)として算定したが、評価指標Vn(r)の算定方法は以上の例示に限定されない。例えば、目的成分に対応する標準的な光学スペクトル(以下「参照光学スペクトル」という)を事前に記憶装置12に記憶し、各成分固有スペクトルYn(r)と参照光学スペクトルとの類似度を、評価指標Vn(r)として算定してもよい。
(2)第1実施形態では、更新処理Sa8において一様交叉を実行する構成を例示したが、更新処理Sa8で実行される遺伝的操作は一様交叉に限定されない。例えば、相異なる2個の要素配列Gbの各々を1箇所以上で切断して相互に交換するn点交叉(多点交叉)を更新処理Sa8で実行してもよい。また、突然変異の具体的な方法も、第2実施形態または第3実施形態に例示した方法に限定されない。例えば、要素配列GbのQ個の要素F1~FQの各々について反転の有無を確率的に判定し、反転対象の要素Fqを0および1の一方から他方に変更してもよい。
(3)第1実施形態で例示した交叉と、第2実施形態または第3実施形態で例示した突然変異とを、更新処理Sa8において併用してもよい。また、同種または別種の遺伝的操作を部分集合Pbに対して複数回にわたり累積的に実行することで複数の部分集合Prを生成してもよい。
(4)前述の各形態では、要素配列GrのQ個の要素F1~FQのうち部分集合Prに含まれる光学スペクトルX0に対応する各要素Fqを1に設定して残余の各要素Fqを0に設定したが、部分集合Prに含まれる光学スペクトルX0に対応する各要素Fqを0に設定して残余の各要素Fqを1に設定してもよい。
(5)検量装置100は、目的成分検量用スペクトルZと検量線Ccとを生成する解析装置としても特定される。解析装置は、前述の各形態で例示した解析処理部21を具備する。解析装置においては検量処理部22が省略され得る。なお、目的成分検量用スペクトルZと検量線Ccとを生成する装置(解析処理部21を具備する装置)と、検量処理Sbを実行する装置(検量処理部22を具備する装置)とを相互に別体の装置として実現してもよい。
100…検量装置、200…測定器、11…制御装置、12…記憶装置、13…表示装置、21…解析処理部、22…検量処理部。

Claims (4)

  1. 被検体に含有される目的成分の成分量を検量する検量装置であって、
    前記目的成分に対応する目的成分検量用スペクトルと、前記目的成分検量用スペクトルと前記被検体の光学スペクトルとの内積の演算値と前記目的成分の成分量との関係を表す検量線と、を生成する解析処理部と、
    前記演算値に対応する前記目的成分の成分量を、前記検量線から特定する検量処理部とを具備し、
    前記解析処理部は、
    (a)N種類(Nは1以上の整数)の成分を含有するサンプルについて測定されたQ個(Qは3以上の整数)の光学スペクトルの集合からR個(Rは2以上の整数)の部分集合を生成する処理であって、前記R個の部分集合の各々について、前記Q個の光学スペクトルにそれぞれ対応するQ個の要素からなり、当該部分集合に含まれる光学スペクトルに対応する要素が第1値に設定され、当該部分集合に含まれない光学スペクトルに対応する要素が第2値に設定された要素配列を生成する処理と、
    (b)前記R個の部分集合の各々に対して、前記N種類の成分量を独立成分とする独立成分分析を実行することで、複数の成分の各々について成分検量用スペクトルを特定する処理と、
    (c)前記R個の部分集合からB個(Bは1以上R未満の整数)の部分集合を選択する処理と、
    (d)前記B個の部分集合にそれぞれ対応するB個の要素配列について、前記各要素配列の前記Q個の要素のうち1個以上の要素の数値を変更することで、前記処理(b)の対象となるR個の部分集合にそれぞれ対応するR個の要素配列を生成し、当該要素配列から部分集合を生成する処理と、
    (e)終了条件が成立するまで、前記処理(b)から前記処理(d)を反復する処理と、
    (f)前記終了条件が成立した場合に、前記処理(b)で特定された複数の成分検量用スペクトルから前記目的成分検量用スペクトルを特定する処理と、
    (g)前記目的成分の成分量が既知であるサンプルについて測定された複数の評価用光学スペクトルの各々と前記目的成分検量用スペクトルとの内積の演算値と、当該サンプルに含有される前記目的成分の成分量と、の関係から前記検量線を特定する処理とを実行する
    検量装置。
  2. 前記処理(d)は、前記B個の要素配列のうち相異なる第1要素配列と第2要素配列との間において、前記Q個の要素のうち共通の光学スペクトルに対応する要素同士で数値を交換する処理を含む
    請求項1の検量装置。
  3. 前記処理(d)は、前記B個の要素配列のうちの一の要素配列における前記Q個の要素から所定の確率で選択された1個以上の要素の数値を、前記第1値および前記第2値の一方から他方に変更する処理を含む
    請求項1または請求項2の検量装置。
  4. 被検体に含有される目的成分の成分量をコンピューターが検量する方法であって、
    前記目的成分に対応する目的成分検量用スペクトルと、前記目的成分検量用スペクトルと前記被検体の光学スペクトルとの内積の演算値と前記目的成分の成分量との関係を表す検量線と、を生成する解析処理と、
    前記演算値に対応する前記目的成分の成分量を、前記検量線から特定する検量処理とを含み、
    前記解析処理は、
    (a)N種類(Nは1以上の整数)の成分を含有するサンプルについて測定されたQ個(Qは3以上の整数)の光学スペクトルの集合からR個(Rは2以上の整数)の部分集合を生成する処理であって、前記R個の部分集合の各々について、前記Q個の光学スペクトルにそれぞれ対応するQ個の要素からなり、当該部分集合に含まれる光学スペクトルに対応する要素が第1値に設定され、当該部分集合に含まれない光学スペクトルに対応する要素が第2値に設定された要素配列を生成する処理と、
    (b)前記R個の部分集合の各々に対して、前記N種類の成分量を独立成分とする独立成分分析を実行することで、複数の成分の各々について成分検量用スペクトルを特定する処理と、
    (c)前記R個の部分集合からB個(Bは1以上R未満の整数)の部分集合を選択する処理と、
    (d)前記B個の部分集合にそれぞれ対応するB個の要素配列について、前記各要素配列の前記Q個の要素のうち1個以上の要素の数値を変更することで、前記処理(b)の対象となるR個の部分集合にそれぞれ対応するR個の要素配列を生成し、当該要素配列から部分集合を生成する処理と、
    (e)終了条件が成立するまで、前記処理(b)から前記処理(d)を反復する処理と、
    (f)前記終了条件が成立した場合に、前記処理(b)で特定された複数の成分検量用スペクトルから前記目的成分検量用スペクトルを特定する処理と、
    (g)前記目的成分の成分量が既知であるサンプルについて測定された複数の評価用光学スペクトルの各々と前記目的成分検量用スペクトルとの内積の演算値と、当該サンプルに含有される前記目的成分の成分量と、の関係から前記検量線を特定する処理とを含む
    検量方法。
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