JP7006361B2 - 気液界面積の算出方法及びガス吹込み口の位置設計方法 - Google Patents

気液界面積の算出方法及びガス吹込み口の位置設計方法 Download PDF

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Description

本発明は、気液界面積の算出方法及びガス吹込み口の位置設計方法に関する。
液中に気泡が分散する気液反応系においては、気液界面積がその反応性に大きく影響を及ぼすため、気液界面積を正確に算出する方法が求められている。この気液界面積を正確に算出して最適化するように反応槽を設計することができれば、反応効率が高まることが期待される。
しかしながら、特に、非鉄金属を分散させたスラリーに空気を吹き込んで撹拌し、加圧下で酸素と反応させて非鉄金属を液中に浸出させる、いわゆる加圧浸出等に用いられる、密閉型の加圧型反応槽では、槽内の気泡の分散状態を直接観察することが困難である。したがって、このような系においては特に気液界面積の算出方法が重要であるが、その方法は充分に確立されていない。
液中に気泡が分散する系における計算には、相間抗力、揚力、壁面潤滑力等を考慮するが、このうち相間抗力のモデルとしては、例えばSchiller-Naumannの式(非特許文献1)、Graceの式(非特許文献2)等が用いられている。このうち、Schiller-Naumannの式は、流体粒子を剛体球とするモデルである。また、Graceの式は、流体粒子の楕円変形を考慮するモデルである。しかしながら、これらのモデルは一様な流れの中の1つの気泡を対象としてモデル化されたものであるため、撹拌され、且つ気泡が多数存在する条件において、このようなモデルでは気液撹拌槽中の気液界面積を求めるには充分でない。
また、液中に気泡が分散していると、撹拌翼の回転に伴う遠心力によって、密度の低い気泡には中心へ向かう力が働き、通気量が多いほど撹拌翼近傍のガスの割合が大きくなる。このようにして撹拌翼近傍のガスの割合が大きくなると、気泡が撹拌翼にまとわりつく、いわゆるフラッディング現象が起こり、撹拌動力が大きく低下し、それによって気泡の挙動も変化するが、このような撹拌動力の低下を考慮したモデルはこれまでない。
L.Schiller and A.Naumann,VDI Zeits,77,318(1933). R.Clift,J.R.Grace,M.E.Weber,"Bubbles,Drops and Particles",AcademicPress,New York,U.S.A.(1978).
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、撹拌反応槽における気泡の実際の挙動及び撹拌翼の撹拌動力の低下を考慮して、従来法よりも精度の高い気液界面積の算出方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、相間抗力として気泡の分裂・合体を考慮した補正関数を用いて撹拌動力計算値を求め、撹拌動力実測値と対比して調整した補正関数に基づき気液界面積を算出することにより、従来よりも精度の高い気液界面積の算出方法を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、撹拌翼を備える気液撹拌槽において、液相と、該液相に分散する気泡との気液界面積の算出方法であって、下記(1)式~(3)式より、相間交換係数Kを算出する相間交換係数算出工程と、下記(4)式に示す補正関数の式より、補正関数ηを算出する補正関数算出工程と、下記(5)式に示す補正相間交換係数の式より、補正相間交換係数K’を算出する補正相間交換係数算出工程と、前記補正相間交換係数K’より算出される撹拌動力計算値と前記撹拌動力実測値とを対比し、該対比の結果に基づいて調整補正関数η’を算出する調整補正関数算出工程と、前記調整補正関数η’に基づいて気液界面積を算出する気液界面積算出工程と、を含む気液界面積の算出方法である。
Figure 0007006361000001
(上式において、ρは液相の密度、dは気泡径、Aは気泡表面積、fは抵抗関数、τは緩和時間である。)
Figure 0007006361000002
(上式において、Cは抵抗係数、Reはレイノルズ数である。)
Figure 0007006361000003
(上式において、ρは液相の密度、dは気泡径、μは液相の粘度である。)
Figure 0007006361000004
(上式において、ηは補正関数、rは気泡の体積分率である。また、0.1≦q≦0.5、0.1≦m≦0.3、p=-1,-0.5,0,2,4のいずれかである。)
Figure 0007006361000005
(上式において、K’は補正相間交換係数、Kは相間交換係数、ηは補正関数である。)
(2)本発明の第2の発明は、撹拌翼及び液相へのガス吹込み口を備える気液撹拌槽における前記ガス吹込み口の位置設計方法であって、第1の発明に係る気液界面積の算出方法により算出される前記気液界面積が所定の値となるように、前記ガス吹込み口の位置を設計する、ガス吹込み口の位置設計方法である。
本発明によれば、撹拌反応槽における気泡の実際の挙動及び撹拌翼の撹拌動力の低下を考慮して、従来よりも精度の高い気液界面積の算出方法を提供することができる。
本実施の形態に係る気液界面積の算出方法を示す図である。 撹拌動力計算値及び撹拌動力の実測値の撹拌動力値対撹拌回転数のプロットである。 本実施の形態に係る気液撹拌槽の断面模式図である。 実施例1、比較例1及び2の気液撹拌層における補正関数対気泡の体積分率のプロットである。 実施例1及び比較例1の撹拌動力対撹拌回転数のプロットである。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下「本実施の形態」という)について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
なお、本明細書において、「max(X,Y)」、「min(X,Y)」とは、それぞれX及びYのうち、数値の大きいもの、小さいものとする。
≪1.気液界面積の算出方法≫
気液界面積の算出方法は、撹拌翼を備える気液撹拌槽において、液相と、その液相に分散する気泡との気液界面積の算出する方法である。
図1は、本実施の形態に係る気液界面積の算出方法を示す図である。図1に示すように、本発明に係る気液界面積の算出方法は、相間交換係数算出工程S1と、補正関数算出工程S2と、補正相間交換係数算出工程S3と、調整補正関数算出工程S4と、気液界面積算出工程S5とを含むものである。以下、気液界面積の算出方法における各工程について、図1を参照して順を追って説明する。
(相間交換係数算出工程)
相間交換係数算出工程S1は、下記(1)式~(3)式より、相間交換係数Kを算出する工程である。
Figure 0007006361000006
(上式において、ρは液相の密度、dは気泡径、Aは気泡表面積、fは抵抗関数、τは緩和時間である。)
Figure 0007006361000007
(上式において、Cは抵抗係数、Reはレイノルズ数である。)
Figure 0007006361000008
(上式において、ρは液相の密度、dは気泡径、μは液相の粘度である。)
ここで、気泡径dとしては、任意の値を選択する。例えば、ガス吹込み口を用いて液相にガスを供給するような系では、ガス吹込み口の径の大きさやガス吹込みの速度を考慮して算出することができる。また、予備実験をして気泡径dを測定してもよい。
また、気泡表面積Aとしては、気泡を剛体球と仮定して、気泡径dから比表面積を求める。
(補正関数算出工程)
補正関数算出工程S2は、下記(4)式に示す補正関数の式より、補正関数ηを算出する工程である。具体的に、補正関数算出工程S2においては、p、q及びmとして、任意の値を選択して補正関数ηを算出する。
Figure 0007006361000009
(上式において、ηは補正関数、rは気泡の体積分率である。また、0.1≦q≦0.5、0.1≦m≦0.3、p=-1,-0.5,0,2,4のいずれかである。)
これに対し、従来のGraceモデルにおける補正関数は下記(4’)式のように示される。
Figure 0007006361000010
上記(4)式の技術的意義について、図4を参照して、従来の(4’)式のGraceモデルと対比しながら説明する。図4は気液撹拌層における補正関数対気泡の体積分率のプロットである。図4において、実施例1が本発明のモデル、比較例1がGraceモデルである。比較例1のGraceモデルにおいては、気泡の体積分率rが増加するごとに、補正関数が減少し、これに伴い補正関数を係数とする抵抗係数が減少するものとしている。
これに対し、実施例1の本発明のモデルにおいて、補正関数対気泡の体積分率のプロットは、図4に示すようにシグモイド型のような形状を有している。なお、図4においては、q=0.3、m=0.3である。本発明のモデルでは、上記(4)式のうち、qの項を設けることにより、rの値が所定の値q(図4において0.3)を超えるまでは補正関数が低下しないものとした。これは、気泡の密集度が低いときすなわちrが小さいときは気泡同士の影響が無いとして、液相中の気泡の合体や分裂は、液相や気相(気泡)の粘度や密度に影響を受けるため、この影響を反映させることを目的としている。例えば、液相の粘度や密度が大きい場合や気泡が少ない場合、気泡の合体はあまり起こらず、これによって補正関数及び抵抗係数が低下しないとしたものである。また、気泡が増加しrの値がさらに大きくなった場合には、補正関数の最小値をmとすることで、補正関数ηが所定の値m(図4において0.3)よりも低下しないものとした。気泡が多い場合、気泡の合体が起こり液相からの影響は小さくなるものの、液相からの影響を受け続けるため、補正関数及び抵抗係数がゼロにはならないものとした。
このようにして、上記(4)式において、Graceの式と同様に気泡の楕円変形を考慮するとともに、さらにq、mの変数を設け、これらの変数によって気泡の分離及び合体を考慮する。このようにして、相間交換係数Kに補正を加えることで、後段の撹拌動力計算値算出工程で気泡の分離及び合体が考慮された撹拌動力計算値が算出され、これに基づき気液界面積を精度良く算出することができる。
(補正相間交換係数算出工程)
補正相間交換係数算出工程S3は、下記(5)式に示す補正相間交換係数の式より、補正相間交換係数K’を算出する工程である。具体的に補正相間交換係数K’は、相間交換係数算出工程において算出した相間交換係数Kと、補正関数算出工程において算出した補正関数ηの積である。
Figure 0007006361000011
(上式において、K’は補正相間交換係数、Kは相間交換係数、ηは補正関数である。)
(調整補正関数算出工程)
調整補正関数算出工程S4は、補正相間交換係数K’より算出される撹拌動力計算値と撹拌動力実測値とを対比し、その対比の結果に基づいて調整補正関数η’を算出する工程である。
ここで、「撹拌動力計算値」及び「撹拌動力実測値」とは、それぞれ気液撹拌槽の撹拌翼の撹拌動力の計算値及び実測値のことをいう。
撹拌動力計算値は、液相及び気泡それぞれにおいて、下記(6)式に示す連続の方程式、下記(7)式に示す運動量の方程式及び下記(8)式に示す相間抗力の式を解き、撹拌翼に作用する力を求め、これに基づき算出されたトルクから算出する。具体的には、トルク(Nm)に回転数(rpm)を掛けて、9549で割ることによって、撹拌機の仕事率すなわち撹拌動力(kW)を算出する。
Figure 0007006361000012
(上式において、αは体積分率、ρは密度、uは流速である。また、kはG又はLであり、GとLはそれぞれ気泡、液相における変数を意味するものとする。)
Figure 0007006361000013
(上式において、αは体積分率、ρは密度、uは流速、Pは圧力、τは応力ひずみテンソル、gは重力加速度、Mは相間抗力、Fは揚力、kはG又はLであり、GとLはそれぞれ気泡、液相における変数を意味するものとする。)
Figure 0007006361000014
(上式において、Mは相間抗力、Kは相間交換係数、uは流速である。)
また、撹拌動力実測値は、撹拌機のモーターに接続された電力計によって測定する。なお、「撹拌動力」とは、撹拌機モーターが単位時間あたりの流体に与えるエネルギーと定義される。
攪拌動力計算値と攪拌動力実測値との対比方法としては、特に限定されるものではない。例えば、撹拌回転数2点以上におけるそれぞれの、撹拌動力計算値と撹拌動力実測値を求める。撹拌動力実測値を、撹拌回転数の3乗に比例する関数として近似する。図2は、撹拌動力計算値及び撹拌動力の実測値の撹拌動力値対撹拌回転数のプロットの一例である。この図2のように、撹拌動力計算値と撹拌動力の実測値が概ね重なるようであれば、両者は相関があると判断できる。そして、両者に相関があると判断した場合における補正関数ηを調整補正関数η’とする。
その相関の判断の基準としては特に限定されないが、例えば任意の撹拌回転数において、撹拌動力実測値に対する、撹拌動力実測値と撹拌動力計算値の差の絶対値が所定の閾値(例えば、10%以下、5%以下)であるか否かにより判断する。そして、閾値以下である場合、撹拌動力計算値に相関があるものとする。
一方で、決定係数が所定値未満である場合、上記(4)式におけるp、q及びmの少なくともいずれかを変更し、再度、補正関数算出工程からこの調整補正関数算出工程までの工程を、決定係数が所定値以上となるまで繰り返す。なお、具体的には、撹拌動力計算値が撹拌動力実測値よりも大きい場合、抗力を小さくすべくqを小さく、mを小さくする。一方で、撹拌動力計算値が撹拌動力実測値よりも小さい場合、抗力を大きくするようにqを大きく、mを大きくする。そして、両者に相関があると判断した場合の補正関数ηを調整補正関数η’とする。
このように、撹拌動力計算値と撹拌動力実測値を対応させるように、上記(4)式の変数q及びmを変更する。これにより、q及びmが実際の実験系における撹拌動力実測値を反映したものとなり、また、気泡の存在による撹拌動力の低下(フラッディング)の影響を反映したものとなり、精度良く気液界面積を算出することができる。
(気液界面積算出工程)
気液界面積算出工程S4は、調整補正関数η’に基づいて気液界面積を算出する工程である。具体的には、上記(6)式~(8)式の計算結果より、撹拌動力と同時に気泡の量、気泡径が求められ、気泡量を気泡径で割ることによって気液界面積を求める。
≪2.ガス吹込み口の位置設計方法≫
本実施の形態に係るガス吹込み口の位置設計方法は、撹拌翼及び液相へのガス吹込み口を備える気液撹拌槽におけるものであり、上述した気液界面積の算出方法により算出される気液界面積が所定の値となるように、ガス吹込み口の位置を設計するものである。
図3は、本実施の形態に係る気液撹拌槽の断面模式図である。気液撹拌槽1は、反応槽11と撹拌翼12とガス吹込み口13とを備え、その反応槽11の内部に液相Lが充填されている。また、液相L中にはガス吹込み口13から気泡Gが供給され、これにより気泡Gが分散している。
なお、図3においては、反応槽11として球状のものを用いているが、その形状は液相Lを格納し得るものであれば特に限定されず通常の円筒状のもの等を用いることができる。また、反応槽11の素材としても、液相Lの水圧及び反応槽内に圧力を印加する場合にはその圧力に耐えるものであれば特に限定されず、例えばステンレス等、各種金属、合金等を用いることができる。さらに、撹拌翼12の形状、位置及び素材、ガス吹込み口13の形状、素材についても、特に限定されるものではなく、適宜選択することができる。
以上のような気液撹拌槽において、液相中に分散される気泡の挙動は、ガス吹込み口の位置に大きく影響を受ける。より具体的に、ガス吹込み口の位置が変化すると、気液撹拌槽内の気泡の分布が変わる。したがって、ガス吹込み口の位置の設計は非常に重要である。一方で、上述した気液界面積の算出方法によれば、精度良く気液界面積を算出することができる。例えば、気液撹拌槽のモデルで吹込み位置を、例えば撹拌機から距離を少しずつ大きくしたり、吹き込む角度を変えて計算したりすることで、槽内の吹込み位置の座標に対し気液界面積をプロットして、所定の値になる位置を特定する。そこで、ガス吹込み口を変化させて、それぞれの場合において上述した気液界面積の算出方法により気液界面積を算出する。このようにして算出した気液界面積のうち、所定の値を示す場合のガス吹込み口の位置に設計する。
なお、気液間の反応性を高くするならば気液界面積を最大とすればよく、また、反応性を低くするならば気液界面積を最小とすればよい。また、気液間の反応性に最適値があるならば、そのように気液界面積を決定すればよい。
このようなガス吹込み口の位置設計方法によれば、気液界面積が例えば最大となるガス吹込みを精度良く特定することができ、その気液撹拌槽における化学反応の効率を高めることができる。
以下、本発明の実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
図1の模式図に示すような撹拌翼を備える球状の気液撹拌槽内に、液相として密度1450kg/m、粘度0.01Pa・sのスラリーを収容して、撹拌翼の側方に設置されたガス吹込み口から気相として密度:11kg/mの空気を吹き込み、18MPaに加圧した気液撹拌槽において、撹拌翼の回転数を135rpm、140rpm、146rpmとした時の撹拌動力の実測値を測定した。回転数:135rpmを基準としてそれぞれの相対値を表1に示す。
Figure 0007006361000015
(実施例1)
図1に示す気液撹拌槽について、オイラー・オイラー法で分散相における合体、分裂を考慮したポピュレーションバランスモデルを用いた連続相-分散相の混相流でモデル化を行い、液相(連続相)中の気相(分散相)の体積分率を解析した。具体的には、解析ソフトANSYS Fluentを用いて、図3に示すフローチャートに従って、液相と気相の連続の方程式と運動方程式を立て、撹拌翼の回転数135rpm、140rpm、146rpmにおける槽内の気相の体積分率の分布を解析した。ここで相間交換係数は上記(5)式を用い、Kの計算は(1)式~(3)式に基づいて行った。なお、ガス吹込み口から供給された空気は直径5mmの気泡として液相に導入されると仮定し、抵抗関数fは非特許文献2であるGraceの文献で開示された数式を用いた。
求められた気相の体積分率の分布における撹拌翼面の結果に基づき撹拌翼に及ぼすトルクを計算し、各回転数の撹拌動力を計算した。この計算結果と表1に示す実測値とを比較し、乖離が大きい場合には、(4)式に示す相間交換係数Kの補正関数ηのq及びmを調整し、再度槽内の気相の体積分率の分布を解析し直し、その結果に基づいて各回転数における撹拌動力を再計算した。なお、本反応系は(4)式のpの値は後述する比較例1において、p=2が最適であったのでこの値に固定し、q及びmの値のみを調整することとした。この操作を繰り返し、補正関数ηの変数を絞り込んだ結果、q=0.3、m=0.3が最適値であると判断し、その値に基づき調整補正関数η’を算出した。
(比較例1)
相間交換係数Kの算出にあたって上記(4)式の代わりに、Graceモデルの(4’)式を用い、且つ各回転数の撹拌動力の計算値と実測値の比較も行わない以外は、実施例1と同様にして各回転数における撹拌動力を計算した。なお、これは、(4)式においてq=0、m=0とした場合に相当する。
(比較例2)
補正関数ηが気泡の体積増加に伴い減少せずη=1で一定とし、且つ各回転数の撹拌動力の計算値と実測値の比較も行わない以外は、実施例1と同様にして各回転数における撹拌動力を計算した。なお、これは、(4)式においてp=0、q=1、m=1とした場合に相当する。
図4は、実施例1、比較例1及び2の気液撹拌槽における補正関数対気泡の体積分率のプロットである。図4から、比較例1の補正関数ηは、気泡の体積分率rが増加するにしたがい、減少することが分かる。これに対し、実施例1の補正関数ηは、体積分率rが増加しても、rが0.3を超えるまで減少せず、0.3を超えて減少が開始する。また、さらにrが増加してηが減少しても、0.3以下となることがない。なお、比較例2は、気泡の体積分率rに関わらず1である。
図5は、実施例1及び比較例1の撹拌動力対撹拌回転数のプロットである。実施例1では、計算モデルから得られた撹拌動力の相対値は実測値を精度良く再現できているのに対し、従来の計算モデルとした比較例1や比較例2では再現の精度が低い。
1 気液撹拌槽
11 反応槽
12 撹拌翼
13 ガス吹込み口

Claims (2)

  1. 撹拌翼を備える気液撹拌槽において、液相と、該液相に分散する気泡との気液界面積の算出方法であって、
    下記(1)式~(3)式より、相間交換係数Kを算出する相間交換係数算出工程と、
    下記(4)式に示す補正関数の式より、補正関数ηを算出する補正関数算出工程と、
    下記(5)式に示す補正相間交換係数の式より、補正相間交換係数K’を算出する補正相間交換係数算出工程と、
    前記補正相間交換係数K’より算出される撹拌動力計算値と拌動力実測値とを対比し、両者の差の絶対値が所定の閾値であるか否かにより両者の相関の有無を判断し、両者に相関があると判断した場合における補正関数ηを調整補正関数η’とすることによって、調整補正関数η’を算出する調整補正関数算出工程と、
    調整補正関数算出工程において算出された前記調整補正関数η’に対応する値として得られる気泡量と気泡径から気液界面積を算出する気液界面積算出工程と、
    を含み、
    前記調整補正関数算出工程において、両者に相関がないと判断した場合には、下記(4)式におけるq、m、またはpのいずれかの値を変更して、前記撹拌動力計算値と前記撹拌動力実測値との対比を繰り返す、
    気液界面積の算出方法。
    Figure 0007006361000016
    (上式において、ρは液相の密度、dは気泡径、Aは気泡表面積、fは抵抗関数、τは緩和時間である。気泡径dは、予め任意に選択した気泡の直径とする。また、気泡表面積は、選択した気泡を剛体球と仮定した場合に気泡径dから算出できる当該球体の表面積とする。
    Figure 0007006361000017
    (上式において、Cは抵抗係数、Reはレイノルズ数である。)
    Figure 0007006361000018
    (上式において、ρは液相の密度、dは気泡径、μは液相の粘度である。)
    Figure 0007006361000019
    (上式において、ηは補正関数、rは、液相(連続相)中の気相(分散相)である気泡の体積分率である。また、q、m、及びpは、以下の範囲でそれぞれ任意に選択可能であり、qについては、0.1≦q≦0.5、mについては、0.1≦m≦0.3、pについては、p=-1,-0.5,0,2,4のいずれかである。)
    Figure 0007006361000020
    (上式において、K’は補正相間交換係数、Kは相間交換係数、ηは補正関数である。)
  2. 撹拌翼及び液相へのガス吹込み口を備える気液撹拌槽における前記ガス吹込み口の位置設計方法であって、
    ガス吹込み口の位置を変化させながら、それぞれの位置における気液界面積を、請求項1に記載の気液界面積の算出方法により算出し、
    算出された前記気液界面積が、予め定めた気液界面積の最適値と一致する場合におけるガス吹込み口の位置を、ガス吹込み口の最適位置に決定する、
    ガス吹込み口の位置設計方法。
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