JP7006239B2 - 多孔質炭素材 - Google Patents

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本発明は、多孔質炭素材に関する。
活性炭などの多孔質炭素材は、揮発性有機化合物(VOC)等を吸着する吸着材として、脱臭用フィルター濾材や排ガス処理装置などに広く使用されている。例えば、特許文献1には、活性炭が充填された2漕式の溶剤回収装置であり、交互に吸着と脱着とを繰り返すことで連続的に排ガスを処理する装置が開示されている。
また、活性炭は触媒として作用することが知られている。例えば、非特許文献1によると、活性炭表面の表面ラジカルや酸性官能基に由来する表面酸化物などが触媒作用をもたらすとされている。
特許第3620650号
活性炭読本-第2版- 日刊工業新聞社(1996年7月)
ところで、排ガス中または排液体中には様々な物質が含まれており、それらによって吸着材が劣化する場合がある。例えば、排ガス中にモノマー成分が含まれると、吸着材上でモノマーが重合してしまい、吸着材の多孔質が失われ吸着性能が低下するという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、モノマーによる吸着性能の劣化を抑制できる多孔質炭素材を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、ついに本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は以下の通りである。
本発明の多孔質炭素材は、含有するカルボキシル基量が0.2meq/g以下であって、前記カルボキシル基量/含有する全酸性基量の比が0.2以下であって、含有する金属元素が5~30mg/gである。
本発明の多孔質炭素材は、前記全酸性基量が0.3~1.5meq/gであることが好ましい。
本発明の多孔質炭素材は、前記金属元素がイオン状態であるとき1価の陽イオンであることが好ましい。
本発明の多孔質炭素材は、BET比表面積が、500~2500m/g、全細孔容積が0.3~1.5cc/g、細孔直径1nm以下のマイクロポア細孔容積が全マイクロポア容積の80%以上であることが好ましい。
本発明の多孔質炭素材の製造方法は、賦活処理して得られた多孔質炭素材中間体を酸化処理する工程と、酸化処理した前記多孔質炭素材中間体を1価の金属陽イオンで中和する工程と、過剰な前記金属陽イオンを水洗する工程とを含む。
本発明の多孔質炭素材は、含有するカルボキシル基量が少ないため、モノマーの重合反応性が低く、多孔質材料としての劣化が少なく、実用性に優れたものである。
カルボキシル基量の変化を示す図である。 Na金属元素量と重合物量との関係を表すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態を具体的に説明する。しかし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられても構わないことが理解されるべきである。
本発明の多孔質炭素材は、含有するカルボキシル基量が0.2meq/g以下であることを特徴の1つとする。カルボキシル基は酸性官能基であるため、本発明の多孔質炭素材においてカルボキシル基量が0.2meq/gよりも多いと、酸触媒としてモノマーの重合反応をより促進してしまうため好ましくない。
本発明の多孔質炭素材は、更に、含有するカルボキシル基量(A)と含有する全酸性基量(B)の比であるA/B比が0.2以下であることも特徴の1つとする。ここで、全酸性基量とは、多孔質炭素材料が有する酸性官能基である、カルボキシル基、ラクトン型カルボキシル基、フェノール性水酸基の全てを含んだ官能基量である。
ここで、全酸性基量=カルボキシル基量+それ以外の酸性基量という関係が一般的にある。そのため、カルボキシル基が中和されていると、多孔質炭素材が有するカルボキシル基量は少なく、カルボキシル基量(A)と全酸性基量(B)の比であるA/B比は小さくなる。A/B比が0.2より大きいと、全酸性基量に占めるカルボキシル基の比率が大きく、これは、カルボキシル基の中和が不十分となっていることを示し、酸触媒としてモノマーの重合反応が促進してしまうため好ましくない。多孔質炭素材が有するカルボキシル基量、および、全酸性基量は、塩基との中和滴定によって測定することができる。
本発明の多孔質炭素材は、含有する全酸性基量が0.3~1.5meq/gであるのが好ましい。含有する全酸性基量が0.3meq/g未満では、含まれるカルボキシル基量も少なくなり、カルボキシル基を中和して添加される金属イオンも少なくなり、重合抑制効果が小さくなるため好ましくない。なお、後述の実施例から金属イオン量が多いほど重合物量は減ることがわかり、多孔質炭素材に金属イオン量が担持されることも重合抑制に効いていると考える。また、含有する全酸性基量が1.5meq/gよりも多いと、多孔質炭素材の親水性が高くなりすぎるため、モノマーやVOCなどの有機化合物の吸着が阻害されるため好ましくない。そのため、モノマーやVOCなどの有機化合物の吸着性がよく、モノマーの重合抑制効果をもたらすには、全酸性基量が0.5~1.2meq/gがより好ましい。
ここでいうモノマーとは、アクリルモノマー(アクリル酸モノマー、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸モノマー、メタクリル酸エステルモノマー、ジアクリレートモノマー、ジメタクリレートモノマー。アクリルアミドモノマー、メタアクリルアミドモノマー)、ビニルモノマー、スチレン系モノマー(スチレンモノマー、および、スチレンモノマー骨格に各種の置換基を有するもの)、アリルモノマー、ジビニルモノマー、ジアリルモノマー、環状オレフィンモノマー、エポキシモノマー、ジオールモノマー、ジチオールモノマー、ビスマレイミドモノマー、イソシアナートモノマー、ジカルボン酸モノマー、ジアミンモノマー、ジカルボン酸クロリドモノマー、テトラカルボン酸無水物モノマー、ジスルホニルクロリドモノマー、ラクトンモノマー、ラクチドモノマー、含フッ素モノマーなどであり、これらが1種類、または2種類以上含まれたものを示す。
本発明の多孔質炭素材は、さらに、含有する金属元素が5~30mg/gであることも特徴の1つとする。金属元素が5mg/g未満ではカルボキシル基の中和が不十分であり、酸触媒としてモノマーの重合反応が促進してしまう。また、金属元素が30mg/gより多いと金属が過剰に存在しているということであり、逆に金属が触媒作用をもたらし、モノマーの重合反応をより促進してしまうため好ましくない。なお、多孔質炭素材の金属元素は、元素分析で測定することができる。
このように、本発明の多孔質炭素材では、カルボキシル基量が0.2meq/g以下であり、カルボキシル基量/含有する全酸性基量の比が0.2以下であり、含有する金属元素が5~30mg/gであることを特徴としている。これは、多孔質炭素材が含有する全酸性基量のうちカルボキシル基が選択的に金属イオンで中和されていることを示している。
本発明の多孔質炭素材に含まれる金属元素は、金属元素がイオン状態であるとき1価の陽イオンであるのが好ましい。前述したように、本発明の多孔質炭素材に含まれる金属元素は、カルボキシル基を中和した状態で存在する。カルボキシル基は1価の陰イオンであり、効率よく中和するためには1価の陽イオンが好ましい。1価の陽イオンとしては、水素イオン以外のものがよく、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムのアルカリ金属元素のイオンがある。アルカリ金属イオン以外では、銀イオン、銅(I)イオン、水銀(I)イオン、アンモニウムイオンがある。また、ジアンミン銀イオンなどの錯イオンもある。この中でも、入手や取扱が容易なアルカリ金属類が好ましく、ナトリウムやカリウムが特に好ましい。これらの金属元素は1種類でもよいし、場合によっては2種以上でもかまわない。
本発明の多孔質炭素材の全酸性基量、カルボキシル基量、および、金属元素量を測定する前に、多孔質炭素材を水、または、加温水で洗浄してから測定する。多孔質炭素材に不純物として含まれる金属元素や、カルボキシル基の中和に用いた金属塩が残存している可能性があるためである。
本発明の多孔質炭素材は、BET比表面積が500~2500m2/gの範囲内であるのが好ましい。BET比表面積が500m2/g未満である場合には、吸着面積が小さすぎて、モノマーやVOCなどの有機化合物が十分に吸着されないという不具合がある。また、2500m2/gを超える場合には、原料からの重量収率が非常に低くなり、強度が著しく低下し、形態を保てないという不具合がある。モノマーやVOCなどの有機化合物が十分に吸着できるためには、BET比表面積は900~2000m2/gの範囲内であることがより好ましい。なお、BET比表面積とは、液体窒素温度での窒素ガス吸着等温線によるBET法により求められる比表面積を意味し、たとえば比表面積・細孔分布測定装置Gemini2375(Micromeritics社製)を用いて測定することができる。
本発明の多孔質炭素材はまた、全細孔容積が0.3~1.5cm/gの範囲内であるのが好ましい。全細孔容積が0.3cm/g未満である場合には、吸着容積が小さすぎて、モノマーやVOCなどの有機化合物が十分に吸着されないという不具合がある。1.5cm/gを超える場合には、多孔質炭素材の強度が著しく低下し、形態を保てないという不具合がある。モノマーやVOCなどの有機化合物が十分に吸着でき、繰り返し使用した際に形態を保持するためには、多孔質炭素材の全細孔容積は0.4~1.2cm/gの範囲内であることがより好ましい。なお、全細孔容積は、たとえば比表面積・細孔分布測定装置Gemini2375(Micromeritics社製)を用いて測定することができる。
本発明の多孔質炭素材は、細孔直径1nm以下のマイクロポア細孔容積が全マイクロポア細孔容積の80%以上であるのが好ましい。細孔直径1nm以下のマイクロポア細孔容積が全マイクロポア細孔容積の80%未満である場合には、細孔が大きくなりすぎて、モノマーやVOCなどの有機化合物が十分に吸着されないという不具合がある。モノマーやVOCなどの有機化合物が十分に吸着できるためには、活性炭素繊維の細孔直径1nm以下のマイクロポア細孔容積は、全マイクロポア細孔容積の85~95%であることがより好ましい。なお、細孔直径1nm以下のマイクロポア細孔容積の割合は、たとえば比表面積・細孔分布測定装置Gemini2375(Micromeritics社製)を用いて測定することができる。
多孔質炭素材としては、特に制限はないが、通常、活性炭を使用することができる。活性炭としては、種々の活性炭を使用することができ、例えば、植物系材料(木材、竹、果実殻(椰子柄等)等)、鉱物系材料(褐炭、石炭、石油または石炭ピッチ等)、高分子材料(ポリアクリロニトリル(PAN)、フェノール系樹脂、セルロース、再生セルロース等)等を原料とする活性炭が挙げられる。活性炭は、これらの原料を必要に応じて炭化又は不融化した後、賦活処理することにより得ることができる。なお、炭化方法、不融化方法、賦活方法等は、特には限定されず、慣用の方法が利用できる。例えば、賦活は、炭素原料(又はその炭化物若しくは不融化物)を賦活ガス(水蒸気、二酸化炭素等)中、500~1000℃程度で熱処理するガス賦活法、炭素原料(又はその炭化物若しくは不融化物)を賦活剤(リン酸、塩化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)と混合し、300~800℃程度で熱処理する化学的賦活法等により行うことができる。
これら活性炭のうち、椰子柄を原料とした植物系活性炭、石炭等を原料とする鉱物系活性炭、PAN系・ピッチ系・セルロース系・フェノール系活性炭等の高分子系活性炭が好ましく、不純物の少なさから高分子系活性炭がより好ましい。
本発明の多孔質炭素材の形状に制限はなく、粉末、粒状、ペレット状、繊維状、ペーパー状などから選択できるが、外表面積が多く、モノマーやVOCなどの有機化合物の吸着速度や脱着速度が非常に速いため繊維状活性炭(活性炭素繊維)が好ましく、繊維状活性炭(活性炭素繊維)をフェルトなどの不織布や、織物、編物などハンドリング性の良い形状に加工したものがより好ましい。
本発明の多孔質炭素材は、少なくとも1種類以上のモノマーが含まれるガスまたは液体を吸着させるために用いることができる。また、加熱などによって吸着したモノマーが含まれるガスまたは液体を脱着させ、吸着と脱着を繰り返す再生式の処理装置に用いることができる。もちろん、用途はこれらには限定されない。
以下に本発明の実施例の詳細を示すが、本発明を制限するものではない。
<実施例1>
(中間体)
内径70mm、有効長30cmの管状炉を用いて、繊維径24μmのフェノール繊維を、5L/minでの窒素流動下で昇温速度5℃/minで900℃まで昇温し、2.5時間(賦活時間)保持させた状態で純水を0.6mL/minで供給し続けて、賦活処理を行った。その後、常温になるまで窒素を流して炉内で冷却してから取り出し、多孔質炭素材中間体を得た。
(酸化処理)
得られた多孔質炭素材中間体を、空気雰囲気下、500℃で20分間酸化処理した。
(中和処理および水洗・乾燥処理)
得られた酸化処理した多孔質炭素材中間体を、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液に15時間浸漬し、その後、イオン交換水で水洗し、絞った水のpHが9以下になるまで水洗を行った。130℃15時間の真空乾燥を行い、実施例1の多孔質炭素材を得た。
<実施例2>
(中間体)
実施例1と同様にして、多孔質炭素材中間体を得た。
(酸化処理)
得られた多孔質炭素材中間体を、処理時間を10分に変更した以外は実施例1と同様にして、酸化処理した。
(中和処理および水洗・乾燥処理)
得られた酸化処理した多孔質炭素材中間体を、実施例1と同様にして中和処理および水洗・乾燥処理を行い、実施例2の多孔質炭素材を得た。
<実施例3>
(中間体)
実施例1と同様にして、多孔質炭素材中間体を得た。
(酸化処理)
得られた多孔質炭素材中間体を、処理時間を7分に変更した以外は実施例1と同様にして、酸化処理した。
(中和処理および水洗・乾燥処理)
得られた酸化処理した多孔質炭素材中間体を、実施例1と同様にして中和処理および水洗・乾燥処理を行い、実施例3の多孔質炭素材を得た。
<実施例4>
(中間体)
実施例1と同様にして、多孔質炭素材中間体を得た。
(酸化処理)
得られた多孔質炭素材中間体を、処理時間を7分に変更した以外は実施例1と同様にして、酸化処理した。
(中和処理および水洗・乾燥処理)
得られた酸化処理した多孔質炭素材中間体に対して、中和処理に用いた薬液を0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液に変更した以外は実施例1と同様にして、中和処理および水洗・乾燥処理を行い、実施例4の多孔質炭素材を得た。
<実施例5>
(中間体)
賦活時間を4時間に変更した以外は実施例1と同様にして、多孔質炭素材中間体を得た。
(酸化処理)
得られた多孔質炭素材中間体を、処理時間を7分に変更した以外は実施例1と同様にして、酸化処理した。
(中和処理および水洗・乾燥処理)
得られた酸化処理した多孔質炭素材中間体を、実施例1と同様にして中和処理および水洗・乾燥処理を行い、実施例5の多孔質炭素材を得た。
<比較例1>
実施例1の多孔質炭素材中間体(酸化処理前)を、比較例1の多孔質炭素材とした。
<比較例2>
実施例3の酸化処理した多孔質炭素材中間体を、比較例2の多孔質炭素材とした。
<比較例3>
(中間体)
実施例1と同様にして、多孔質炭素材中間体を得た。
(酸化処理)
得られた多孔質炭素材中間体を、処理時間を7分に変更した以外は実施例1と同様にして、酸化処理した。
(中和処理および水洗・乾燥処理)
得られた酸化処理した多孔質炭素材中間体に対して、中和処理に用いた薬液を0.1mol/Lの酢酸マグネシウム(四水和物)水溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして、中和処理および水洗・乾燥処理を行い、比較例3の多孔質炭素材を得た。
<比較例4>
(中間体)
実施例1と同様にして、多孔質炭素材中間体を得た。
(酸化処理)
得られた多孔質炭素材中間体を、処理時間を7分に変更した以外は実施例1と同様にして、酸化処理した。
(中和処理および水洗・乾燥処理)
得られた酸化処理した多孔質炭素材中間体に対して、中和処理に用いた薬液を0.1mol/Lの酢酸アルミニウム(可溶性)水溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして、中和処理および水洗・乾燥処理を行い、比較例4の多孔質炭素材を得た。
<比較例5>
実施例5の酸化処理した多孔質炭素材中間体を、比較例5の多孔質炭素材とした。
得られた実施例1~5及び比較例1~5の多孔質炭素材をそれぞれ試料として、以下の評価試験を行った。
(1)全酸性基量(meq/g)
試料を還流雰囲気下の沸騰水中(試料と用いたイオン交換水は、重量比あたりで、試料:イオン交換水=1:200で行う)で8時間水洗し、その後、イオン交換水で1時間流水洗浄を行い、乾燥後、約1gを採取し、130℃で12時間真空乾燥して秤量し、1/10MのNaOH水溶液50ml中に浸漬し、25℃で3時間振盪した。この液をガラス濾過器で濾過し、濾液20mlを正確に分取して1/10MのHCl水溶液により逆滴定した。滴定の際は自動中和滴定装置AUT-701/ABT-7(東亜DKK社製、電極:GST-5741Cを使用)を用いた。試料を入れない空試験も同様に行い、空試験での滴定量を差し引いた値から全酸性基量(単位:meq/g)を求めた。
(2)カルボキシル基量(meq/g)
試料を還流雰囲気下の沸騰水中(試料と用いたイオン交換水は、重量比あたりで、試料:イオン交換水=1:200で行う)で8時間水洗し、その後、イオン交換水で1時間流水洗浄を行い、乾燥後、約1gを採取し、130℃で12時間真空乾燥して秤量し、1/20MのNaHCO3水溶液50ml中に浸漬し、25℃で3時間振盪した。この液をガラス濾過器で濾過し、濾液20mlを正確に分取して1/10MのHCl水溶液により逆滴定した。滴定の際は自動中和滴定装置AUT-701/ABT-7(東亜DKK社製、電極:GST-5741Cを使用)を用いた。試料を入れない空試験も同様に行い、空試験での滴定量を差し引いた値からカルボキシル基量(単位:meq/g)を求めた。
(3)金属元素量(mg/g)
試料を還流雰囲気下の沸騰水中(試料と用いたイオン交換水は、重量比あたりで、試料:イオン交換水=1:200で行う)で8時間水洗し、その後、イオン交換水で1時間流水洗浄を行い、130℃12時間の真空乾燥を行った。この乾燥試料30mgを硝酸4mlおよび過酸化水素3mlを加え、マイクロウェーブにて徐々に圧力を上げて45分間分解し、残渣がある場合は、分解液を蒸発乾固させ、再度硝酸および過酸化水素を加えて分解する。分解液を10mlにメスアップして、フレーム原子吸光度およびICP発光分析装置により金属元素量を求めた(単位:mg/g)。
(4)BET比表面積(m2/g)
試料を約30mg採取し、120℃で12時間真空乾燥して秤量し、比表面積・細孔分布測定装置Gemini2375(Micromeritics社製)を使用して測定した。液体窒素の沸点(-195.8℃)における窒素ガスの吸着量を相対圧が0.02~0.95の範囲で測定し、試料の吸着等温線を作成した。相対圧0.02~0.15の範囲での結果をもとに、BET法により重量あたりのBET比表面積(単位:m2/g)を求めた。
(5)全細孔容積(cc/g)
試料を約30mg採取し、120℃で12時間真空乾燥して秤量し、比表面積・細孔分布測定装置Gemini2375(Micromeritics社製)を使用して測定した。液体窒素の沸点(-195.8℃)における窒素ガスの吸着量を相対圧が0.02~0.95の範囲で測定し、試料の吸着等温線を作成した。相対圧0.95での結果より全細孔容積(単位:cc/g)を算出した。
(6)全マイクロポア細孔容積(A)(cc/g)
試料を約30mg採取し、120℃で12時間真空乾燥して秤量し、比表面積・細孔分布測定装置Gemini2375(Micromeritics社製)を使用して測定した。液体窒素の沸点(-195.8℃)における窒素ガスの吸着量を相対圧が0.02~0.95の範囲で測定し、試料の吸着等温線を作成した。この結果をMP法によって解析範囲0~20Å、t決定式H.Jの条件で解析し、吸着時のマイクロポア細孔径分布数表の結果より全マイクロポア細孔容積(A)(単位:cc/g)を算出した。
(7)細孔直径1nm以下のマイクロポア細孔容積(B)(cc/g)
試料を約30mg採取し、120℃で12時間真空乾燥して秤量し、比表面積・細孔分布測定装置Gemini2375(Micromeritics社製)を使用して測定した。液体窒素の沸点(-195.8℃)における窒素ガスの吸着量を相対圧が0.02~0.95の範囲で測定し、試料の吸着等温線を作成した。この結果をMP法によって解析範囲0~2nm、t決定式H.Jの条件で解析し、吸着時のマイクロポア細孔径分布数表の結果より全マイクロポア細孔容積(A)から細孔直径1.003nm以上のマイクロポア細孔容積を引いて、細孔直径1nm以下のマイクロポア細孔容積B(単位:cc/g)を算出した。
(8)モノマー吸着試験
試料を約2g充填した吸着管に、濃度500ppm、吸着温度25~100℃の範囲でスチレンのガスを流し、一定時間吸着し、出口側の濃度が入口の濃度と一致するまで平衡吸着を行った。実施例1から5、および、比較例1から5の各試料において各試料1gあたりスチレンの平衡吸着量が0.5gとなるように、吸着温度を調整して試験を行った。この目的は、吸着したスチレンの量を0.5g/gに統一することで、試料間におけるモノマーの重合反応性を比較するためである。
(11)加熱反応試験
スチレンモノマーを平衡吸着した試料を約3gを、三愛科学株式会社製、反応分解容器HU-25用のPTFE内筒に充填した。この試料が入ったPTFE内筒をSUS製のHU-25に充填し、130℃に保たれた恒温槽に24時間入れて、スチレンモノマーの重合反応を行った。
(12)重合物量(mg/g)
加熱反応試験を行った反応後試料を約3mg取り出し、示差熱熱重量同時測定装置STA7200(日立ハイテクサイエンス社製)にて、N2雰囲気下、昇温速度10℃/minにて550℃まで昇温し、重量変化を測定した。加熱反応前のブランク試料として、スチレン吸着試料も同様に測定を行った。ブランク試料と反応後試料の300~450℃の重量変化分がモノマー重合物の分解に相当するため、以下の式から重合物量を算出した。
スチレン吸着試料の重量変化量(mg/g)={スチレン吸着試料(mg)×(300℃の重量比率(%)-450℃の重量比率(%))}÷{(スチレン吸着試料(mg)×500℃における重量比率(%)) ・・・(式1)
反応後試料の重量変化量(mg/g)={反応後試料(mg)×(300℃の重量比率(%)-450℃の重量比率(%))}÷{(反応後試料(mg)×500℃における重量比率(%)) ・・・(式2)
重合物量(mg/g)=(式2)-(式1) ・・・(式3)
上記行った評価についての結果を表1に示す。
Figure 0007006239000001
表1から分かるように、全ての試料においてBET比表面積が、500~2500m/g、全細孔容積が0.3~1.5cc/g、細孔直径1nm以下のマイクロポア細孔容積が全マイクロポア容積の80%以上であることから、スチレンモノマーの吸着量を0.5g/gにすることができ、重合物量によるモノマーの反応性の比較を行うことができた。比較例1では、カルボキシル基量が検出下限以下(<0.001meq/g)と少なく、かつ、金属元素(1価の元素であるNa、K)も検出下限以下(<0.01mg/g)であり、重合反応を抑制できないため、重合物量は多い。一方、比較例2および比較例5は全酸性基量およびカルボキシル基が多く、金属元素でカルボキシル基が中和されていないため、酸触媒の効果により重合物量は非常に多い。また、比較例3および比較例4は金属元素が1価の元素ではないためカルボキシル基の中和が不十分であり、重合物量は多い。それらに対し、実施例1~5は、重合物量は非常に少なく、重合反応を抑制していることが明確である。
ここで、図1に比較例2及び実施例3の全酸性基量のグラフを示す。比較例2は賦活処理した多孔質炭素材中間体を酸化処理したものであり、それを水酸化ナトリウムに浸漬後、水洗処理したのが実施例3である。図1から、1価の金属陽イオンで中和し、過剰な金属陽イオンを水洗することで、カルボキシル基量だけが他の酸性基よりも顕著に低下していることがわかる。つまり、カルボキシル基が選択的に(言い換えれば、優先的に)中和されていることは明確である。
また、図2は、実施例1~3におけるNa金属元素量と重合物量との関係を表すグラフである。図2から分かるように、金属イオン量が多いほど重合物量は減ることがわかり、多孔質炭素材に金属イオン量が担持されることも重合抑制に効いていると考える。
上記開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明により、モノマーの反応性が低く、モノマーによる吸着性能の劣化を抑制できる多孔質炭素材を提供することができる。そのため、産業へ大きく寄与できる。

Claims (5)

  1. 含有するカルボキシル基量が0.2meq/g以下であり、
    前記カルボキシル基量/含有する全酸性基量の比が0.2以下であり、
    含有する金属元素が5~30mg/gである、ことを特徴とする多孔質炭素材。
  2. 前記全酸性基量が0.3~1.5meq/gである、こと特徴とする請求項1記載の多孔質炭素材。
  3. 前記金属元素はイオン状態であるとき1価の陽イオンである、ことを特徴とする請求項1または2記載の多孔質炭素材。
  4. BET比表面積が、500~2500m2/gであり、
    全細孔容積が0.3~1.5cc/gであり、
    細孔直径1nm以下のマイクロポア細孔容積が全マイクロポア容積の80%以上である、ことを特徴とする請求項1~3記載のいずれか1項に記載の多孔質炭素材。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の多孔質炭素材の製造方法であって、
    賦活処理して得られた多孔質炭素材中間体を酸化処理する工程と、
    酸化処理した前記多孔質炭素材中間体を1価の金属陽イオンで中和する工程と、
    過剰な前記金属陽イオンを水洗する工程と、を含むことを特徴とする多孔質炭素材の製造方法。
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