(実施の形態の概要)
以下、実施の形態のネットワーク通信システムの説明をする。実施の形態のネットワーク通信システムは、互いに通信できないように分離された複数のネットワークにルータ装置が設けられていることを前提として、直接接続されているネットワーク以外のネットワークへの経路についても制御する。これにより、複数のネットワーク間でルータ装置を介した通信が可能となり、複合機等の画像形成装置を大規模なネットワークで利用可能としている。
(第1の実施の形態)
(ネットワーク通信システムのシステム構成)
まず、図1は、第1の実施の形態のネットワーク通信システムのシステム構成図である。この図1に示すように、第1の実施の形態のネットワーク通信システムは、複合機(MFP:Multifunction Peripheral)1、通信制御ボックス(Box)2、及び、複数のネットワークNet_A0~Net_C0、Net_A1~Net_C1、及びNet_Iを有している。なお、MFP1は、通信機器の一例であるが、ネットワーク通信が可能な機器であれば、特に限定されず、ネットワーク通信対応のプロジェクタ、ネットワーク通信対応の電子白板又は電子黒板等であってもよく、どのような機器を用いてもよい。また、この例では、MFP1と通信制御ボックス2は、物理的に異なる機器として図示しているが、例えばMFP1の拡張ボードとして通信制御ボックス2が設けられる等、両者は一体化された構成としてもよい。
MFP1は、通信制御ボックス2を介して、複数のネットワーク(Net_A0,Net_B0,Net_C0)に接続されている。MFP1のネットワークインタフェースは、「00-00-5E-00-53-22」のMACアドレスを有している。
ネットワークNet_A0,Net_B0,Net_C0は、ルータR_A,R_B,R_Cを介して、ネットワークNet_A1,Net_B1,Net_C1に、それぞれ接続されている。また、ネットワークNet_Iは、ルータR_Cを介してネットワークNet_C0及びネットワークNet_C1と接続されている。また、ネットワークNet_C0及びNet_C1は、ルータR_C及びネットワークNet_Iを介して、インターネットに接続されている。なお、この例の場合、ネットワークNet_A、及び、ネットワークNet_Bは、通信セキュリティを考慮して、インターネットには、接続できない構成となっているが、両者をインターネットに接続可能としてもよい。
ここで、MFP1に接続されるネットワークは、ネットワークNet_A0,Net_A1をグループとしたNet_A系、ネットワークNet_B0,Net_B1をグループとしたNet_B系、ネットワークNet_C0,Net_C1,Net_IをグループとしたNet_C系に分割されている。各系のネットワークの間は、IP(Internet Protocol)通信ができないように分離されている。なお、この例では、各系のネットワーク間で、IP(Internet Protocol)通信ができないように分離されていることとして説明を進めるが、セキュリティの要件等に応じて、各系のネットワーク間で通信可能としてもよい。
ネットワークNet_A0、Net_B0及びNet_C0には、ネットワーク機器の一例であるパーソナルコンピュータ装置PC_A0、PC_B0及びPC_C0が、それぞれ接続されている。また、ネットワークNet_A1には、ネットワーク機器の一例であるパーソナルコンピュータ装置PC_A1、及び、サーバ装置SV_A1が接続されている。また、ネットワークNet_B1には、ネットワーク機器の一例であるパーソナルコンピュータ装置PC_B1、及び、サーバ装置SV_B1が接続されている。また、ネットワークNet_C1には、パーソナルコンピュータ装置PC_C1、及び、サーバ装置SV_C1が接続されている。
パーソナルコンピュータ装置PC_A1等の各パーソナルコンピュータ装置は、MFP1に対して、印刷要求及びSNMP(simple network management protocol)での機器情報の送信等を行う。MFP1は、サーバ装置SV_A1等にスキャン処理で形成したファイル情報の転送等を行う。なお、この例で説明した印刷要求、SNMPでの機器情報の送信、及び、スキャン処理したファイル情報の転送等は、一例であり、これら以外の通信でもよい。
通信制御ボックス2は、ネットワークNet_A系、ネットワークNet_B系及びネットワークNet_C系の各系間の通信を制限したうえで、ネットワークNet_A系とMFP1との間の通信、ネットワークNet_B系とMFP1との間の通信、及び、ネットワークNet_CとMFP1との間の通信を可能とする。
次に、各ネットワークのネットワークアドレスは、一例として、以下の表1に示すようになっている。
この表1に示すように、ネットワークNet_A0のネットワークアドレスは、「192.168.1.0/24」となっている。ネットワークNet_A1のネットワークアドレスは、「192.168.10.0/24」となっている。ネットワークNet_B0のネットワークアドレスは、「172.16.1.0/24」となっている。ネットワークNet_B1のネットワークアドレスは、172.16.10.0/24」となっている。ネットワークNet_C0のネットワークアドレスは、「10.0.1.0/24」となっている。ネットワークNet_C1のネットワークアドレスは、「10.0.10.0/24」となっている。ネットワークNet_Iのネットワークアドレスは、「203.0.113.0/29」となっている。なお、ネットワークNet_Iは、インターネット接続を図るためのセグメントとなっている。
この表1に示すように、各ネットワークのネットワークアドレスは、重複しないように設定されている。実際には、このような設定例以外であっても、MFP1と直接通信するサーバ装置のIPアドレスが重複しなければよい。また、直接通信するサーバ装置のIPアドレスが重複している場合でも、静的なNAPT(Network Address Port Translation)設定がされていればよい。
次に、以下の表2に、システム全体のIPアドレスと設定を示す。
この表2に示すように、MFP1のIPアドレスは、「192.168.1.10/24」、デフォルトゲートウェイは「192.168.1.1/24」となっている。パーソナルコンピュータ装置PC_A0のIPアドレスは、「192.168.1.100/24」となっており、デフォルトゲートウェイは、「192.168.1.1/24」となっている。ルータR_AのIPアドレスは、「192.168.1.1/24」となっており、サブネットマスクは、「192.168.10.1/24」となっている。
パーソナルコンピュータ装置PC_A1のIPアドレスは、「192.168.10.100/24」となっており、デフォルトゲートウェイは、「192.168.10.1/24」となっている。また、サーバ装置SV_A1のIPアドレスは、「192.168.10.11/24」となっており、デフォルトゲートウェイは、「192.168.10.1/24」となっている。また、パーソナルコンピュータ装置PC_B0のIPアドレスは、「172.16.1.100/24」となっており、デフォルトゲートウェイは、「172.16.1.1/24」となっている。
ルータR_BのIPアドレスは、「172.16.1.1/24」となっており、サブネットマスクは、「172.16.10.1/24」となっている。また、パーソナルコンピュータ装置PC_B1のIPアドレスは、「172.16.10.100/24」となっており、デフォルトゲートウェイは、「172.16.10.1/24」となっている。また、サーバ装置SV_B1のIPアドレスは、「172.16.10.11/24」となっており、デフォルトゲートウェイは、「172.16.10.1/24」となっている。また、パーソナルコンピュータ装置PC_C0のIPアドレスは、「10.0.1.100/24」となっており、デフォルトゲートウェイは、「10.0.1.1/24」となっている。
また、インターネットにパケット情報(送受信情報の一例)の送信が可能となっているルータR_CのIPアドレス及びサブネットマスクは、「10.0.1.1/24」、「10.0.10.1/24」及び「203.0.113.2/29」となっており、デフォルトゲートウェイは、「203.0.113.1/29」となっている。また、パーソナルコンピュータ装置PC_C1のIPアドレスは、「10.0.10.100/24」となっており、デフォルトゲートウェイは、「10.0.10.1/24」となっている。また、サーバ装置SV_C1は、IPアドレスが「10.0.10.11/24」となっており、デフォルトゲートウェイが、「10.0.10.1/24」となっている。
この表2からわかるように、パーソナルコンピュータ装置及びサーバ装置には、それぞれ、ネットワークを介した通信を可能とするIPアドレスが1つずつ割り当てられている。ルータには、接続されている各ネットワークを介した通信が可能となるように、複数のIPアドレスが割り当てられている。なお、サーバ装置及びルータは、論理的には1台であっても、複数の機器により冗長構成としてもよい。
(通信制御ボックスの機能)
図2は、通信制御ボックス2の制御部(CPU:central processing unit)が、ROM(read-only memory)、RAM(random-access memory)又はHDD(hard disk drive)等の記憶部に記憶されているネットワーク制御プログラムを実行することで実現する機能を示している。すなわち、通信制御ボックス2のCPUは、ネットワーク制御プログラムを実行することで、第1の送受信部11、第2の送受信部12、第3の送受信部13、第4の送受信部14、ブリッジ通信制御部15(Net_A0とNet_A1に対応)、第1のNAPT(Network Address Port Translation)通信制御部16、及び、第2のNAPT通信制御部17(Net_C0とNet_C1に対応)の各機能を実現する。ブリッジ通信制御部15、第1のNAPT通信制御部16(Net_B0とNet_B1に対応)、及び、第2のNAPT通信制御部17は、通信制御部の一例である。
なお、第1の送受信部11~第2のNAPT通信制御部17は、ネットワーク制御プログラムにより、ソフトウェア的に実現されることとしたが、一部又は全部を、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアで実現してもよい。
また、ネットワーク制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイル情報でCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。また、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、半導体メモリ等のコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。また、ネットワーク制御プログラムは、インターネット等のネットワーク経由でインストールするかたちで提供してもよい。また、ネットワーク制御プログラムは、機器内のROM等に予め組み込んで提供してもよい。
各送受信部11~14は、ネットワークを介して送信されるパケット情報を受信して送出する。各送受信部11~14としては、例えばイーサネット(登録商標)通信を行うためのネットワークインタフェースを用いることができるが、この他、PCIエクスプレスカードに対応するインタフェース又はUSB(Universal Serial Bus)インタフェース等の他のネットワークインタフェースでもよい。また、第1~第4の送受信部11~14は、有線インタフェースとして図示するが、第1~第4の送受信部11~14は、無線インタフェースでもよい。
ブリッジ通信制御部15は、各送受信部11~14を介して受信したパケット情報の送出先を決定し、また、パケット情報の書き換え等を行う。各NAPT通信制御部16、17は、各送受信部11~14を介して受信されたパケット情報の送出先を決定し、また、パケット情報の書き換え等を行う。各NAPT通信制御部16、17は、NAPT処理用のNAPTテーブルを有しており、このNAPTテーブルを用いて、IPアドレスの変換及びポート番号の変換処理を行う(NAPT処理)。
なお。各NAPT通信制御部16、17は、ルーティングテーブル、NAPTテーブル、セッションテーブル(TCP/UDPの、どのポートからどのポートに通信しているかを管理するテーブル)等のネットワークリソースが分離されている。すなわち、各NAPT通信制御部16、17は、それぞれ別々のネットワークリソースを有している。
(通信制御ボックスの各部のIPアドレス)
図3は、通信制御ボックス2のブリッジ通信制御部15、及び第1、第2のNAPT通信制御部のIPアドレスは、図3及び以下の表3に示すようになっている。
図3及び表3に示すように、第2、第3の送受信部12、13を介して受信したパケット情報をMFP1に送信する際に用いる、ブリッジ通信制御部15のIPアドレスBRI_Aは、「192.168.1.11/24」となっている。また、MFP1から受信したパケット情報を第2、第3の送受信部12、13へ送信する際に、通信制御ボックス2内でのみ使用されるブリッジ通信制御部15のIPアドレスINTは、「192.0.2.10/24」となっている。なお、「192.0.2.10/24」のIPアドレスINTは、ネットワーク内で用いられないIPアドレスである。
また、通信制御ボックス2内で用いられ、第2の送受信部12を介して受信したパケット情報を、ブリッジ通信制御部15へ送信する際に用いられる第1のNAPT通信制御部16のIPアドレスINT_Bは、「192.0.2.12/24」となっている。この「192.0.2.12/24」のIPアドレスINT_Bも、ネットワーク内で用いられることはない。
また、通信制御ボックス2内で用いられ、第2の送受信部12を介して受信したパケット情報を、ブリッジ通信制御部15へ送信する際に用いられる第2のNAPT通信制御部17のIPアドレスINT_Cは、「192.0.2.13/24」となっている。この「192.0.2.13/24」のIPアドレスINT_Cも、ネットワーク内で用いられることはない。
また、ネットワークNet_B系からMFP1にアクセスするための第1のNAPT通信制御部16のIPアドレスMFP_Bは、「172.16.1.10/24」となっている。また、通信制御ボックス2内で用いられ、ブリッジ通信制御部15から受信したパケット情報を、ネットワークNet_B系上のサーバ装置SV_Bに送信する際に用いられる第1のNAPT通信制御部16のIPアドレスINT_SV_B1は、「192.0.2.200/24」となっている。
また、ネットワークNet_C系からMFP1にアクセスするための第2のNAPT通信制御部17のIPアドレスMFP_Cは、「10.0.1.10/24」となっている。また、通信制御ボックス2内で用いられ、ブリッジ通信制御部15から受信したパケット情報を、ネットワークNet_C系上のサーバ装置SV_Cに送信する際に用いられる第2のNAPT通信制御部17のIPアドレスINT_SV_C1は、「192.0.2.201/24」となっている。
「192.0.2.0/24」のIPアドレスは、RFC5737(Request for Comments 5737)においてドキュメンテーション用として予約されており、ネットワーク内で利用されることはないアドレスである。この第1の実施の形態のネットワーク通信システムの場合、一例として、「192.0.2.0/24」のIPアドレスを用いて通信制御ボックス2内で通信を行うこととしたが、ネットワーク内で利用しているIPアドレスとの重複がなければ、どのようなIPアドレスを通信制御ボックス2内で用いてもよい。
(設定画面)
図4は、通信制御ボックス2の基本設定画面の一例を示している。この図4の例の場合、基本設定画面として、MFP1のIPアドレス(この例の場合、IPv4アドレス:Internet protocol version 4アドレス:IPv6アドレスでもよい)の入力欄、ルータR_A~ルータR_C等のゲートウェイのIPアドレスの入力欄、ブリッジ通信制御部15のIPアドレスBRI_Aの入力欄等が設けられている。また、図5は、通信制御ボックス2のサーバ設定画面の一例を示している。この図5の例の場合、サーバ装置SV_B1及びサーバ装置SV_C1のIPアドレス(IPv4アドレス)の入力欄が設けられている。このような設定画面で設定された値は、機器の通信制御に用いられる。
なお、IPアドレス、ネットマスク、ゲートウェイアドレス等は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)で取得してもよい。また、ルータR_AのMACアドレスは、IPアドレスからイーサネット(登録商標)のMACアドレスを取得する通信プロトコルである、ARP(Address Resolution Protocol)を用いて、通信制御ボックス2が、ルータR_AのIPアドレスから取得している。同様に、MFP1のMACアドレスも、MFPのIPアドレスを用いて取得している。勿論、MACアドレスを、そのまま登録してもよい。ただ、MACアドレスを登録せずに、IPアドレスで管理する方が、システムを容易に運用可能となる。
また、図6は、通信制御ボックス2のアクセス制御リスト設定画面の一例である。この図6は、MFP1へのアクセス制御の設定画面を示している。この例の場合、ブラックリスト及びホワイトリストでのアクセス制御の追加が可能となっている。なお、この図6の例では、IPアドレス/マスクと、例えば「161,9100」等の宛先ポートでの設定としたが、IPアドレス及び第1~第4の送受信部11~14等のインタフェースで制御してもよい。
(ブリッジ通信制御部の構成)
図7に、ブリッジ通信制御部15の構成を示す。この図7に示すように、ブリッジ通信制御部15は、通信部21、制御部22(取得部の一例)、通信制御情報記憶部23(記憶部の一例)、及び、NAPTテーブル記憶部24を有している。通信制御情報記憶部23、及び、NAPTテーブル記憶部24は、ブリッジ通信制御部15に設けられたROM又はRAM等の記憶部に設けられている。これに対して、通信部21及び制御部22は、ブリッジ通信制御部15のCPUが、ネットワーク制御プログラムを実行することでソフトウェア的に実現される機能となっている。なお、通信部21及び制御部22のうち、いずれか一方又は両方をハードウェアで実現してもよい。
制御部22は、通信制御情報記憶部23に記憶されている通信制御情報に基づき、通信部21を通信制御する。通信部21は、制御部22の制御に応じて、第1~第4の送受信部11~14から受信したパケット情報の転送、及び、NAPT処理を含むパケット情報の書き換えを行う。
(NAPT通信制御部の構成)
図8に、第1及び第2のNAPT通信制御部16、17の構成を示す。この図8に示すように、各NAPT通信制御部16、17は、通信部31、35、制御部32、36(取得部の一例)、通信経路制御情報記憶部33、37(記憶部の一例)、及び、NAPTテーブル記憶部34、38を有している。通信経路制御情報記憶部33、37、及び、NAPTテーブル記憶部34、38は、第1、第2のNAPT通信制御部16、17に設けられたROM又はRAM等の記憶部に設けられている。これに対して、通信部31、35及び制御部32、36は、各NAPT通信制御部16、17のCPUが、ネットワーク制御プログラムを実行することでソフトウェア的に実現される機能となっている。なお、通信部31、35及び制御部32、36の一部又は全部をハードウェアで実現してもよい。
制御部32、36は、通信経路制御情報記憶部33、37に記憶されている通信経路制御情報、及び、NAPTテーブル記憶部34、38に記憶されている情報に基づき、通信部31、35を制御する。通信経路制御情報記憶部33、37には、フローテーブル(後述する表7及び表8を参照)、及び、ARP(Address Resolution Protocol)テーブル等の内部通信又は外部通信を行うための制御情報が記憶される。通信部31、35は、制御部32、36の制御に応じて、各送受信部11~14から受信したパケット情報の転送、及び、NAPT処理を含むパケット情報の書き換えを行う。
ブリッジ通信制御部15、第1のNAPT通信制御部16及び第2のNAPT通信制御部17は、それぞれ独立したルーティングテーブルを有している。以下の表4は、第1のNAPT通信制御部16のNAPTテーブル記憶部34に記憶されているルーティングテーブルの一例である。
この表4の例の場合、デフォルトゲートウェイが「172.16.1.1[ルータR_B]」となっている。なお、この例の場合、ゲートウェイが1つのみであるが、ネットワークの構成に応じて、複数のルータを設定してもよい。
また、以下の表5は、第2のNAPT通信制御部17のNAPTテーブル記憶部38に記憶されているルーティングテーブルの一例である。
この表5の例の場合、デフォルトゲートウェイが「10.0.1.1[ルータR_C]」となっている。なお、この例の場合、ゲートウェイが1つのみであるが、ネットワークの構成に応じて、複数のルータを設定してもよい。
また、各NAPT通信制御部16、17は、NAPT(network address port translator)で構成したが、NAT(network address translator)で構成してもよい。また、第1及び第2のNAPT通信制御部16、17の2つを設けることとしたが、3つ以上のNAPT通信制御部を設けてもよい。
(ブリッジ通信制御部のフローテーブル)
次に、以下の表6に、ブリッジ通信制御部15の通信制御情報記憶部23に記憶されているフローテーブルの一例を示す。
このブリッジ通信制御部15のフローテーブルは、ブリッジ通信制御部15のパケット処理ルールを記載したものである。ブリッジ通信制御部15は、受信したパケット情報を用いてフローテーブルのパケット処理ルールを上から順に走査することで、受信したパケット情報に合致するパケット処理ルールを検出(抽出)する。そして、検出したパケット処理ルールで示される、受信したパケット情報に対応する動作(アクション)を実行する。ブリッジ通信制御部15は、アクションを実行すると、フローテーブルの走査を終了する。
フローテーブルのパケット処理ルールは、表6に示すように入力元(In port)、タイプ(type)、送信元(src:source)、宛先(dst:destination)、動作(Actions)の各条件で構成されている。ブリッジ通信制御部15は、受信したパケット情報が、これらの条件に全てマッチする場合、受信したパケット情報に対応するパケット処理ルールとして検出する。表6における「ANY」の条件は、どのようなパケット情報でもマッチすることを意味している。どの条件にもマッチしない場合、ブリッジ通信制御部15は、表6の最下段に示すデフォルト(default)の処理を実行する。
また、表6における「入力元(インポート)」の条件は、パケット情報を受信したポートを示している。具体的には、上述の第1の送受信部11、第4の送受信部14、第1のNAPT通信制御部16、第2のNAPT通信制御部17等が、「入力元(インポート)」に相当する。また、表6における「タイプ(type)」の条件は、通信のタイプを示している。具体的には、データリンク層の通信、ネットワーク層の通信が相当する。パケット情報が、IP通信の場合に、タイプがIPの条件にマッチする。
また、表6に示す送信元(src)の条件は、送信元アドレスを示している。また、宛先(dst)の条件は、宛先アドレスを示している。具体的には、単一のIPアドレスの場合、ネットワークアドレスの場合、データリンク層に関するMACアドレスの場合がある。MACアドレスをマッチング処理の条件とすることで、特定の機器からのパケット情報を、NAPT処理の対象とすることができ、意図しない機器からサーバ装置SV_B1又はサーバ装置SV_C1にパケットが送信される不都合を防止できる。なお、MACアドレスを、マッチング処理の条件としなくてもよい。
また、表6に示す動作(Actions)は、パケット情報が、各条件にマッチしたときの動作を示している。なお、ブリッジ通信制御部15は、複数のアクションを実行してもよい。この動作のうち、「ドロップ(drop)」は、パケット情報を破棄する動作を意味している。また、「NAPT」は、NAPT処理の実行を意味している。ブリッジ通信制御部15は、パケット情報の第1引数に、SNAT(Source Network Address Translation)を検出した場合、NAPTとして、送信元アドレスの変換(SNAT)を行う。また、ブリッジ通信制御部15は、パケット情報の第1引数に、DNAT(Destination Network Address Translation)を検出した場合、NAPTとして、宛先アドレスの変換(DNAT)を行う。いずれの場合も、第2引数が、置き換えるIPアドレスとなっている。
ブリッジ通信制御部15は、このNAPTを実行する際、NAPTテーブルの内容を書き換え、正しくNAPTができるようにする。また、この際、ブリッジ通信制御部15は、不正なTCPセッション等を確認し、不正なパケットの送信を防止する。
次に、表6の動作(アクション)における「mod_mac」は、MACアドレスを置き換える動作を示している。また、表6のアクションにおける「output」は、指定されたポートにパケット情報を出力する動作を示している。また、ブリッジ通信制御部15は、全てのパケット情報を破棄(drop)する動作が、デフォルトの動作となっている。
また、表6に「1」及び「2」として示す、送信元が、通信制御ボックス2内で使用する「192.0.2.0/24」のIPアドレスの場合、ブリッジ通信制御部15は、パケット情報を破棄(drop)する動作を実行する。これにより、通信制御ボックス2内で用いるIPアドレスのパケット情報を、外部から受信する不都合を防止し、また、意図しないパケット情報の転送を防止することができる。
また、表6に「3」として示す、送信元が「192.168.100.0/24」のIPアドレスは、アクセスを許可しないIPアドレスを示している。これに対して、表6に「4」として示す、送信元が「192.168.0.0/16」のIPアドレスは、アクセスを許可するIPアドレスを示している。ユーザは、セキュリティポリシーにより、このような「アクセスを許可しないIPアドレス」、及び、「アクセスを許可するIPアドレス」で示す「アクセス制御リスト」を設定する。ブリッジ通信制御部15は、送信元が「192.168.100.0/24」のIPアドレスのパケット情報は破棄(drop)し、送信元が「192.168.0.0/16」のIPアドレスのパケット情報は、第4の送受信部14に送出(output)する。
また、表6に「4」として示す動作は、第1の送受信部11からIPアドレスが、「192.168.0.0/16」のパケット情報を受信した場合、ブリッジ通信制御部15は、第4の送受信部14へ転送する動作を示している。また、表6に「9」として示す動作は、第4の送受信部14から受信したパケット情報は、ブリッジ通信制御部15は、どのようなパケット情報でも(ANY)、第1の送受信部11へ転送する動作を示している。基本的には、ブリッジ通信制御部15は、第1の送受信部11及び第4の送受信部14との間は、全て通信可能としているが、例えば内部通信、第1のNAPT通信制御部16、第2のNAPT通信制御部17に関連するパケット情報等の、一部のパケット情報以外、通信制御ボックス2はブリッジ処理する。
また、表6に「5」として示す動作は、第1のNAPT通信制御部16を介して受信したパケット情報であり、宛先がブリッジ通信制御部15の「192.0.2.10(INT)」のIPアドレスである場合、ブリッジ通信制御部15は、送信元アドレスを、ブリッジ通信制御部15のIPアドレスBRI_Aに、宛先アドレスをMFPにすると共に、送信元MACアドレスをルータR_AのMACアドレスとして、第4の送受信部14に送信する動作を示している。
また、表6に「6」として示す動作は、第2のNAPT通信制御部17を介して受信したパケット情報であり、宛先がブリッジ通信制御部15の「192.0.2.10(INT)」のIPアドレスである場合、ブリッジ通信制御部15は、送信元アドレスを、ブリッジ通信制御部15のIPアドレスBRI_Aに、宛先アドレスをMFPにすると共に、MACアドレスをルータR_AのMACアドレスとして、第4の送受信部14に送信する動作を示している。
また、表6に「7」として示す動作は、第4の送受信部14を介して受信したパケット情報(例えば、スキャン処理により生成されたパケット情報)が、MFP1のMACアドレスを有し、宛先が、サーバ装置SV_B1であった場合、ブリッジ通信制御部15は、NAPT処理により、送信元をサーバ装置のINT_SV_B1のIPアドレスに変換すると共に、宛先を第1のNAPT通信制御部16のINT_BのIPアドレスに変換して、第1のNAPT通信制御部16に送信する動作を示している。
また、表6に「8」として示す動作は、第4の送受信部14を介して受信したパケット情報(例えば、スキャン処理により生成されたパケット情報)が、MFP1のMACアドレスを有し、宛先が、サーバ装置SV_C1であった場合、ブリッジ通信制御部15は、NAPT処理により、送信元をサーバ装置のINT_SV_C1のIPアドレスに変換すると共に、宛先を第2のNAPT通信制御部17のINT_CのIPアドレスに変換して、第2のNAPT通信制御部17に送信する動作を示している。
(パケット処理ルールの走査順序)
ここで、表6に示すフローテーブルのパケット処理ルールの順番は、一例として、セキュリティ、合致する確率、及び、制御のし易さを考慮した順番となっている。例えば、第1の実施の形態のネットワーク通信システムにおいて、第1の送受信部11と第4の送受信部14との間の通信が最も多く行われるとする。この場合、表6に示すフローテーブルの第1番目に走査を行うパケット処理ルールとして、第1の送受信部11と第4の送受信部14との間の通信に対応するパケット処理ルールが設定される。この例は、合致する確率が高いパケット処理ルールから順に並べて走査する例である。この例のように、合致する確率の高いパケット処理ルールから順にパケット処理ルールの走査を行う場合には、より高速に合致するパケット処理ルールを検出できる。
(第1のNAPT通信制御部のフローテーブル)
次に、以下の表7に、第1のNAPT通信制御部16の通信経路制御情報記憶部33に記憶されているフローテーブルの一例を示す。
この第1のNAPT通信制御部16のフローテーブルは、第1のNAPT通信制御部16のパケット処理ルールを記載したものである。第1のNAPT通信制御部16は、上述のブリッジ通信制御部15と同様に、受信したパケット情報を用いてフローテーブルのパケット処理ルールを上から順に走査することで、受信したパケット情報に合致するパケット処理ルールを検出する。そして、検出したパケット処理ルールで示される、受信したパケット情報に対応する動作(アクション)を実行する。第1のNAPT通信制御部16は、アクションを実行すると、フローテーブルの走査を終了する。
具体的には、表7に「デフォルト(default)」として示す動作は、第1のNAPT通信制御部16が、予期しないパケット情報を破棄(drop)する動作を示している。表7に「2」及び「3」として示す動作は、第1のNAPT通信制御部16が、ネットワークNet_B系から受信したSNMP(simple network management protocol)通信又はプリンタ印刷を行うための通信のパケット情報をNAPT処理して、ブリッジ通信制御部15に転送する動作を示している。この例の場合、第1のNAPT通信制御部16は、アクセス制御設定により、送信元のIPアドレスを制限している。しかし、送信元のIPアドレスを制限しなくてもよい。
また、表7に「4」として示す動作は、ネットワークNet_B系のサーバ装置SV_B1から、ブリッジ通信制御部15を介して、宛先が第1のNAPT通信制御部16のパケット情報を受信した場合に、第1のNAPT通信制御部16が、MFP1からサーバ装置SV_B1に、例えばスキャンしたファイル情報を転送する通信を行うようにNAPT処理して第2の送受信部12に転送する動作を示している。
第1のNAPT通信制御部16は、NAPT処理を行う場合、TCP(Transmission Control Protocol)セッションの状態を検出し、まだ開始されていないセッションについては、TCPセッションの途中状態のパケットを受け付けない。TCPセッションが開始されていない場合、第1のNAPT通信制御部16は、TCPセッションの確立のためのハンドシェイクを受け付けることで、例えば攻撃等の意図しないパケット送信を防止する。
(第2のNAPT通信制御部のフローテーブル)
次に、以下の表8に、第2のNAPT通信制御部17の通信経路制御情報記憶部37に記憶されているフローテーブルの一例を示す。
この第2のNAPT通信制御部17のフローテーブルは、第2のNAPT通信制御部17のパケット処理ルールを記載したものである。第2のNAPT通信制御部17は、上述のブリッジ通信制御部15と同様に、受信したパケット情報を用いてフローテーブルのパケット処理ルールを上から順に走査することで、受信したパケット情報に合致するパケット処理ルールを検出する。そして、検出したパケット処理ルールで示される、受信したパケット情報に対応する動作(アクション)を実行する。第2のNAPT通信制御部17は、アクションを実行すると、フローテーブルの走査を終了する。
具体的には、表8に「デフォルト(default)」として示す動作は、第2のNAPT通信制御部17が、内部通信又は予期しないパケット情報を破棄(drop)する動作を示している。表8に「2」及び「3」として示す動作は、第2のNAPT通信制御部17が、ネットワークNet_C系から受信したSNMP通信又はプリンタ印刷を行うための通信のパケット情報をNAPT処理して、ブリッジ通信制御部15に転送する動作を示している。この例の場合、第2のNAPT通信制御部17は、アクセス制御設定により、送信元のIPアドレスを制限している。しかし、送信元のIPアドレスを制限しなくてもよい。
また、表8に「4」として示す動作は、ネットワークNet_C系のサーバ装置SV_C1から、ブリッジ通信制御部15を介して、宛先が第2のNAPT通信制御部17のパケット情報を受信した場合に、第2のNAPT通信制御部17が、MFP1からサーバ装置SV_C1に、例えばスキャンしたファイル情報を転送する通信を行うようにNAPT処理して第2の送受信部12に転送する動作を示している。
第2のNAPT通信制御部17は、NAPT処理を行う場合、TCPセッションの状態を検出し、まだ開始されていないセッションについては、TCPセッションの途中状態のパケットを受け付けない。TCPセッションが開始されていない場合、第2のNAPT通信制御部17は、TCPセッションの確立のためのハンドシェイクを受け付けることで、例えば攻撃等の意図しないパケット送信を防止する。
(印刷時におけるネットワークNet_A系のパーソナルコンピュータ装置からMFPへのパケット情報の流れ)
次に、図1に示すネットワークNet_A系に設けられているパーソナルコンピュータ装置PC_A1からMFP1への印刷時におけるパケット情報の流れを図9のシーケンス図に示す。なお、この図9において、パケット情報の「PC_A1:3000」は、送信元(SRC)となるパーソナルコンピュータ装置PC_A1のIPアドレス及びポート番号を示している。すなわち、「PC_A1」の記載が、パーソナルコンピュータ装置PC_A1のIPアドレスを示しており、「3000」の記載がポート番号を示している。同様に、パケット情報の「MFP:9100」に記載は、「MFP」の記載が、宛先(DST)となるMFP1のIPアドレスを示しており、「9100」がポート番号を示している。
ネットワークNet_A系に設けられているパーソナルコンピュータ装置PC_A1からMFP1へパケット情報を送信する場合、図2及び図9からわかるように、通信制御ボックス2のブリッジ通信制御部15を介してパケット情報が送信される。このため、図9に示すように、パケット情報は、NAPT処理等が施されることなく、パーソナルコンピュータ装置PC_A1→ルータR_A→第1の送受信部11→ブリッジ通信制御部15→第4の送受信部14→MFP1の順に転送される。
同様に、MFP1からパーソナルコンピュータ装置PC_A1にパケット情報を送信する場合も、通信制御ボックス2のブリッジ通信制御部15を介してパケット情報が送信される。このため、図9に示すように、送信元(SRC)が「MFP:9100」、宛先(DST)が「PC_A1:3000」とされたパケット情報は、MFP1→第4の送受信部14→ブリッジ通信制御部15→第1の送受信部11→ネットワークNet_A系のルータR_A→パーソナルコンピュータ装置PC_A1の順に転送される。なお、クライアントとなる端末の送信元ポートは、パケットに着目した場合、セッション層又はアプリケーション層等の上位レイヤに応じて変更される。
(ファイル送信時におけるMFPからネットワークNet_A系のサーバ装置へのファイル情報の流れ)
次に、図1に示すMFP1からネットワークNet_A系に設けられているサーバ装置SV_A1へのファイル送信時におけるファイル情報の流れを図10のシーケンス図に示す。なお、この図10において、ファイル情報の「MFP:5000」は、上述のように送信元(SRC)となるMFP1のIPアドレス及びポート番号を示している。同様に、ファイル情報の「SV_A1:445」は、宛先(DST)となるサーバ装置SV_A1のIPアドレス及びポート番号を示している。
MFP1からネットワークNet_A系に設けられているサーバ装置SV_A1へファイル情報を送信する場合、図2及び図10からわかるように、通信制御ボックス2のブリッジ通信制御部15を介してファイル情報が送信される。このため、図10に示すように、ファイル情報は、NAPT処理等が施されることなく、MFP1→第4の送受信部14→ブリッジ通信制御部15→第1の送受信部11→ルータR_A→サーバ装置SV_A1の順に転送される。
同様に、サーバ装置SV_A1からMFP1にファイル情報を送信する場合も、通信制御ボックス2のブリッジ通信制御部15を介してファイル情報が送信される。このため、図10に示すように、送信元(SRC)が「SV_A1:445」、宛先(DST)が「MFP:5000」とされたファイル情報は、サーバ装置SV_A1→ルータR_A→第1の送受信部11→ブリッジ通信制御部15→第4の送受信部14→MFP1の順に転送される。なお、クライアントとなる端末の送信元ポートは、パケットに着目した場合、セッション層又はアプリケーション層等の上位レイヤに応じて変更される。
すなわち、この図9及び図10のシーケンス図からわかるようにネットワークNet_A系に対するファイル情報の送受信は、NAPT処理により変換されることなく行われる。
(印刷時におけるネットワークNet_B系のパーソナルコンピュータ装置からMFPへのパケット情報の流れ)
次に、図1に示すネットワークNet_B系に設けられているパーソナルコンピュータ装置PC_B1からMFP1への印刷時におけるパケット情報の流れを図11のシーケンス図に示す。なお、この図11において、パケット情報の「PC_B1:3000」は、送信元(SRC)となるパーソナルコンピュータ装置PC_B1のポート番号を示している。同様に、パケット情報の「MFPB:9100」は、上述のように宛先(DST)となるMFP1のIPアドレス及びポート番号を示している。なお、「MFPB」は、表3を用いて説明したように、ネットワークNet_B系からMFP1にアクセスするためのIPアドレスを示している。
ネットワークNet_B系に設けられているパーソナルコンピュータ装置PC_B1からMFP1へパケット情報を送信する場合、図2及び図11からわかるように、通信制御ボックス2の第1のNAPT通信制御部16及びブリッジ通信制御部15を介してパケット情報が送信される。このため、図11に示すように、パケット情報は、パーソナルコンピュータPC_B1→ルータR_B→第2の送受信部12→第1のNAPT通信制御部16→ブリッジ通信制御部15→第4の送受信部14→MFP1の順に転送される。
第1のNAPT通信制御部16は、ブリッジ通信制御部15にパケット情報を転送する際に、送信元が「PC_B1:3000」、宛先が「MFPB:9100」となっているパケット情報を、表7の「3」の動作として説明したように、第1のNAPT通信制御部16用のフローテーブルを用いて、送信元を「INT_B:4000」、宛先を「INT:9100」とするNAPT処理を行い、ブリッジ通信制御部15に送信する。
ここで、送信元のIPアドレスを「INT_B」に変換する意味は、パケット情報が送信元に戻されるときに、第2のNAPT通信制御部17のIPアドレスINT_Cと区別できるようにするためである(IPアドレスINT_Bからのパケット情報は、IPアドレスINT_Bに戻り、IPアドレスINT_Cからのパケット情報は、IPアドレスINT_Cに戻る)。
また、ブリッジ通信制御部15は、第4の送受信部14にパケット情報を送信する際に、送信元が「INT_B:4000」、宛先が「INT:9100」となっているパケット情報を、表6の「5」の動作として説明したように、ブリッジ通信制御部15用のフローテーブルを用いて、送信元を「BRI_A:5000」、宛先を「MFP:9100」とするNAPT処理を行い、第4の送受信部14に送信する。これにより、ネットワークNet_B系に設けられているパーソナルコンピュータ装置PC_B1からのパケット情報が、MFP1に送信される。
通信制御ボックス2内で用いるIPアドレスである「INT_B:4000」を、通信制御ボックス2外で用いることが可能なIPアドレスである「BRI_A:5000」にNAPT処理することで、「INT_B」等の通信制御ボックス2内で用いるIPアドレスが、外部で用いられる不都合を防止できる。
また、ブリッジ通信制御部15は、送信元のMACアドレスを、ネットワークNet_A系上に設けられているルータR_AのMACアドレスに変換する。これにより、MFP1は、デフォルトゲートウェイであるルータR_Aからパケット情報が送信されていると認識する。このため、ネットワークNet_B系のパーソナルコンピュータ装置PC_B1が、あたかもルータR_Aの先に設けられているものとして取り扱うことができる。
一方、MFP1からネットワークNet_B系に設けられているパーソナルコンピュータ装置PC_B1へパケット情報を送信する場合、図2及び図11からわかるように、通信制御ボックス2のブリッジ通信制御部15及び第1のNAPT通信制御部16を介してパケット情報が送信される。このため、図11に示すように、パケット情報は、MFP1→第4の送受信部14→ブリッジ通信制御部15→第1のNAPT通信制御部16→第2の送受信部12→ルータR_B→パーソナルコンピュータ装置PC_B1の順に転送される。
ブリッジ通信制御部15は、第1のNAPT通信制御部16にパケット情報を送信する際に、送信元が「MFP:9100」、宛先が「BRI_A:5000」となっているパケット情報を、表6の「7」の動作として説明したように、ブリッジ通信制御部15用のフローテーブルを用いて、送信元を「INT:9100」、宛先を「INT_B4000」とするNAPT処理を行い、第1のNAPT通信制御部16に送信する。
第1のNAPT通信制御部16は、第2の送受信部12にパケット情報を送信する際に、送信元が「INT:9100」、宛先が「INT_B:4000」となっているパケット情報を、表7の「4」の動作として説明したように、第1のNAPT通信制御部16用のフローテーブルを用いて、送信元を「MFP_B:9100」、宛先を「PC_B1:3000」とするNAPT処理を行い、第2の送受信部12に送信する。これにより、MFP1からネットワークNet_B系に設けられているパーソナルコンピュータ装置PC_B1に対してパケット情報を送信することができる。
(ファイル送信時におけるMFPからネットワークNet_B系のサーバ装置へのファイル情報の流れ)
次に、図1に示すMFP1からネットワークNet_B系に設けられているサーバ装置SV_B1へのファイル送信時におけるファイル情報の流れを図12のシーケンス図に示す。なお、この図12において、ファイル情報の「MFP:7000」は、上述のように送信元(SRC)となるMFP1のIPアドレス及びポート番号を示している。同様に、ファイル情報の「SA_B1:445」は、宛先(DST)となるサーバ装置SV_B1のIPアドレス及びポート番号を示している。
MFP1からネットワークNet_B系に設けられているサーバ装置SV_B1へファイル情報の送信を行う場合、図2及び図12からわかるように、通信制御ボックス2のブリッジ通信制御部15及び第1のNAPT通信制御部16を介してファイル情報が送信される。このため、図12に示すように、ファイル情報は、MFP1→第4の送受信部14→ブリッジ通信制御部15→第1のNAPT通信制御部16→第2の送受信部12→ルータR_B→サーバ装置SV_B1の順に転送される。
ブリッジ通信制御部15は、第1のNAPT通信制御部16にファイル情報を送信する際に、第4の送受信部14からの、送信元が「MFP:7000」、宛先が「SV_B1:445」となっているファイル情報を、表6の「7」の動作として説明したように、ブリッジ通信制御部15用のフローテーブルを用いて、送信元を「INT_SV_B1:8000」、宛先を「INT_B:445」とするNAPT処理を行い、第1のNAPT通信制御部16に送信する。これにより、ファイル情報のIPアドレスが、通信制御ボックス2内で用いられるIPアドレスに変換される。
第1のNAPT通信制御部16は、第2の送受信部12にファイル情報を転送する際に、通信制御ボックス2内用のIPアドレスとなっている「INT_SV_B1:8000」及び「INT_B:445」のIPアドレスを、通信制御ボックス2外用のIPアドレスである「MFP_B:9000」及び「SV_B1:445」に変換して第2の送受信部12に送信する。「MFP_B:9000」及び「SV_B1:445」のIPアドレスのファイル情報は、第2の送受信部12から、ネットワークNet_B系に設けられたルータR_Bを介して、ネットワークNet_B系上のサーバ装置SV_B1に送信される。
第1のNAPT通信制御部16は、送信元のIPアドレスを「INT_SV_B1:8000」から「MFP_B」にNAPT処理し、宛先のIPアドレスを「INT_B:445」から「SV_B1:445」にNAPT処理している。これにより、ネットワークNet_B系上のサーバ装置SV_B1は、あたかもネットワークNet_B系上のMFP_Bから転送されたファイル情報として認識する。
通信制御ボックス2内で用いるIPアドレスである「INT_SV_B1:8000」及び「INT_B:445」のIPアドレスを、「MFP_B:9000」及び「SV_B1:445」のIPアドレスにNAPT処理することで、「INT_SV_B1:8000」等の通信制御ボックス2内で用いるIPアドレスが、外部で用いられる不都合を防止できる。
一方、ネットワークNet_B系に設けられているサーバ装置SV_B1からMFP1にファイル情報送信を行う場合、図2及び図12からわかるように、ファイル情報は、サーバ装置SV_B1→ルータR_B→第2の送受信部12→第1のNAPT通信制御部16→ブリッジ通信制御部15→第4の送受信部14→MFP1の順に転送される。
第1のNAPT通信制御部16は、ブリッジ通信制御部15にファイル情報を送信する際に、送信元及び宛先のIPアドレスである「SV_B1:445」及び「MFP_B:9000」の各IPアドレスを、通信制御ボックス2内用の「INT_B:445」及び「INT_SV_B1:8000」のIPアドレスにNAPT処理する。
また、ブリッジ通信制御部15は、第4の送受信部14にファイル情報を送信する際に、通信制御ボックス2内用としてNAPT処理された「INT_B:445」及び「INT_SV_B1:8000」のIPアドレスを、通信制御ボックス2外用の「SV_B1:445」及び「MFP:7000」のIPアドレスにNAPT処理する。これにより、通信制御ボックス2外用のIPアドレスとされたファイル情報が、第4の送受信部14を介してMFP1に送信される。
(第1の実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、第1の実施の形態のネットワーク通信システムは、互いに通信できないように分離された複数のネットワークに接続され、各ネットワーク上に設けられたサーバ装置又はパーソナルコンピュータ装置等の機器とMFP1との間の通信制御を行う通信制御ボックス2を有している。通信制御ボックス2は、ネットワーク毎にMFP1との間の通信制御を行うブリッジ通信制御部15、第1のNAPT通信制御部16及び第2のNAPT通信制御部17等の通信制御部を有している。各通信制御部は、送受信情報の処理を決定するための、各通信制御部専用の情報処理テーブル(表6~表8参照)を有している。情報処理テーブルは、第1の送受信部11、第4の送受信部14及びブリッジ通信制御部15、第1のNAPT通信制御部16等の送受信情報がインポートされるインポートインタフェースと、各インポートインタフェースで受信された送受信情報の送信元及び宛先となる各IPアドレスと、送受信情報に対して施す処理(動作)とが関連付けられて記憶されている。
各通信制御部は、受信した送受信情報に対応するMACアドレス、インポートインタフェース、送信元のIPアドレス及び宛先のIPアドレスに基づいて情報処理テーブルを参照し、受信した送受信情報に対応する処理を実行する。これにより、ネットワーク毎に、MFP1と各ネットワーク上の機器との間の通信を制御できるため、各ネットワークのルータを越えた通信を可能とすることができる。このため、第1の実施の形態のネットワーク通信システムを、大規模なネットワークでも利用可能とすることができる。
また、各ネットワークの通信制御部毎に、それぞれ専用の情報処理テーブルが設けられているため、予め定められた情報処理ルールにより、送受信情報毎の処理を可変できるため、送受信情報を詳細に制御できる。
また、NAPT処理を行うと、例えば通常のディスカバリプロトコルを用いることが困難となる制約が発生する。しかし、第1の実施の形態のネットワーク通信システムの場合、ブリッジ通信制御部15等の通信制御部は、送受信情報のIPアドレス(ネットワークアドレス)を変換して転送するか、又は、変換せずに転送するかを判定することができる。このため、ネットワークアドレスの変換が不要な送受信情報は、ネットワークアドレスを変換せずに直接送信できる。従って、一部の通信は、NAPT処理による制約を受けるが、NAPT処理を行わないと判定された通信は、NAPT処理の制約を受けないようにすることができる。また、通信制御ボックス2等の設定変更を不要とすることができる。
また、送受信情報の送信元及び宛先に基づいて制御できるため、従来から決定しているセキュリティポリシーを用いた通信制御を可能とすることができる。
また、送受信情報の80/tcp等のポート番号を通信制御に用いることで、通信プロトコルによって通信制御できるため、従来から決定しているセキュリティポリシーを用いた通信制御を可能とすることができる。
また、各ネットワーク上の各機器のIPアドレス等を、設定画面を介してユーザが設定できるようになっている。このため、ネットワークの接続状況により確実に通信制御を行うことができる。
また、ブリッジ通信制御部15、第1のNAPT通信制御部16及び第2のNAPT通信制御部17の各ルーティングテーブルのうち、少なくとも一つのルーティングテーブル(IPアドレス/ネットマスク、ルータのアドレス等)が外部のサーバ装置から与えられた情報に基づいて設定される(DHCP)。これにより、ルーティングテーブルを一括して制御できるため、通信制御ボックス2の運用を容易化できる。
また、ブリッジ通信制御部15、第1のNAPT通信制御部16及び第2のNAPT通信制御部17におけるNAPT処理(ネットワークアドレス変換処理)を実行するか否かを、ネットワークのセッションの状態に基づいて決定することで、例えば意図しない通信が開始された際に、この通信回線を切断処理でき、第1の実施の形態のネットワーク通信システムのセキュリティを向上させることができる。
また、ブリッジ通信制御部15、第1のNAPT通信制御部16及び第2のNAPT通信制御部17におけるNAPT処理(ネットワークアドレス変換処理)を実行するか否かを、送信元となる機器のMACアドレスに基づいて決定する。これにより、想定していない機器からのネットワークアドレス変換を行うことなく通信回線を切断でき、第1の実施の形態のネットワーク通信システムのセキュリティを向上させることができる。
また、ブリッジ側(ネットワークNet_A系)側では、ネットワークNet_A系のアクセス制御をブリッジ通信制御部15でできるが、ネットワークNet_B系及びネットワークNet_C系では、第1のNAPT通信制御部16又は第2のNAPT通信制御部17によりNAPT処理が行われるため、アクセス制御ルールを設定しても、アクセス制御範囲の制御は困難となる。すなわち、IPアドレスが変換されてしまうため、送信元のIPアドレスを用いた制御が困難となる。しかし、設定されたアクセス制御ルールに応じて、アクセス制限を行うことで、ネットワークNet_B系側及びネットワークNet_C系側(NAPT側)に対しても、アドレス変換される前のアドレスに基づいてアクセス制限を可能とすることができる。
(第2の実施の形態)
上述の第1の実施の形態のネットワーク通信システムは、MFP1と通信制御ボックス2が、物理的に異なる機器として設けられている例であったが、以下に説明する第2の実施の形態のネットワーク通信システムは、例えば拡張ボード等として通信制御ボックス2をMFP1と一体的に設けた例である。また、第2の実施の形態のネットワーク通信システムは、MFP1で動作する、例えばスキャナアプリケーション及びコピーアプリケーション等のアプリケーションの利用情報及びログ情報を、各送受信部単位(ネットワークインタフェース単位)で記録する例である。なお、上述の第1の実施の形態と以下に説明する第2の実施の形態とでは、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
図13に、第2の実施の形態のネットワーク通信システムに設けられているMFP1の要部のブロック図を示す。この第2の実施の形態の場合、上述の通信制御ボックス2に相当する通信制御ユニット45が、MFP1に設けられている。なお、第2の実施の形態の例の場合、通信制御ユニット45はMFP1内に設けられているため、上述の第1の実施の形態において通信制御ボックス2に図示した第4の送受信部14は、この第2の実施の形態で説明に用いる図13には図示していない。第2の実施の形態のMFP1の場合、通信制御ユニット45は、第4の送受信部14に相当するインタフェースを介してMFP1本体と電気的及び物理的な接続が図られていると理解されたい。また、通信制御ユニット45を、上述の第1の実施の形態の通信制御ボックス2のように、MFP1に対する外付けのようにして設けてもよい。
この図13に示すように、第2の実施の形態のネットワーク通信システムのMFP1は、上述の通信制御ボックス2に相当する通信制御ユニット45が、Net_A系の通信インタフェースとなる第1の送受信部11、Net_B系の通信インタフェースとなる第2の送受信部12、及び、Net_C系の通信インタフェースとなる第3の送受信部13を有している。また、通信制御ユニット45は、ネットワーク制御部40、アプリケーション部41及び記憶制御部42を有している。また、MFP1は、このような通信制御ユニット45と共に、アプリケーション利用情報及びインタフェース情報が記憶される記憶部43を有している。記憶部43としては、例えばROM、RAM、HDD、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリを用いることができる。
第1~第3の送受信部11~13で受信された通信パケットは、ネットワーク制御部40により制御され、記憶部43に記憶されている、例えばスキャナアプリ又はコピーアプリ等のアプリケーションにより処理される。また、MFP1内のアプリケーションにより生成されたスキャン画像又はコピー画像等の通信パケットは、ネットワーク制御部40で決定された送出先に、いずれかの送受信部11~13を介して送信される。
記憶制御部42は、いずれかの送受信部11~13を介して通信パケットを受信した際又は通信パケットを送信する際に、送信元IPアドレス/ポート(remote IP ddress/port)、受信先IPアドレス/ポート(local IP address/port)、プロトコル(protocol)、送受信インタフェース(interface)、次段MACアドレス(nexthop MAC)、通信状態(state)、生存期間(life time)を記憶部43に記録する。
送信元MACアドレスは、通信パケットを送出する際に通信するMACアドレスとなる。生存期間(life time)としては、通信パケットを受信した際に、予め指定した秒数が設定される。生存期間(life time)は、同一の通信コネクションの通信が発生しないことで減少し、残りが0となった際に、通信が終了したとして、コネクションテーブルから該当する通信コネクションが削除される。
通信状態(state)としては、TCP(Transmission Control Protocol)通信の場合はTCPの状態を示す情報が保持され、UDP(User Datagram Protocol)通信の場合は、接続されたことを示す情報(CONNECTED)のみが保持される。なお、この通信状態については、より詳細な情報を記録して管理してもよい。
ネットワーク制御部40は、上述のコネクションテーブル及び送出設定(アプリケーション送出設定テーブル、トランスポート送出設定テーブル、ネットワーク識別子送出設定テーブル、ネットワーク送出設定テーブル)を参照して、通信パケットの送出先を決定する。
記憶制御部42は、記憶部43に対して、「アプリケーション利用情報」及び「ネットワーク情報」を記憶制御する。「アプリケーション利用情報」及び「ネットワーク情報」の記憶制御には、一例として、RDBMS(Relational Data Base Management System)又はNoSQL(Not only Structured Query Language)等のデータベースシステムを用いることができる。記憶制御部42は、例えばネットワークアドレス、アプリケーション内容、時刻、アプリケーション利用状態等の各種情報を、アプリケーション利用情報として記憶部43に記憶制御する。また、記憶制御部42は、各送受信部11~13に設定されているネットワークアドレス及びユーザに通知する為のインタフェース名称等を含むアプリケーションの利用情報を記憶部43に記憶制御する。
次に、システム全体のネットワークアドレスは、表1を用いて上述したように、各系のネットワークアドレスが重複しないように設定されている。なお、ネットワークアドレスは、MFP1と直接通信するサーバ装置のIPアドレスが重複していなければよい。また、直接通信するサーバ装置のIPアドレスが重複している場合でも、静的なNAPT設定が設定されていればよい。さらに、表1は、IPv4アドレスを設定した例であったが、IPv6アドレスを設定してもよい。
インタフェース情報の一例を、以下の表9に示す。
この表9に示すように、インタフェース情報としては、MFP1の各送受信部11~13に設定されたネットワークアドレス、及び、ユーザに表示するインタフェース名称が、それぞれ関連付けされて記憶されている。例えば、第1の送受信部11の場合、「192.168.1.10/24」のネットワークアドレス及びネットマスクと、「ネットワークA(Net_A系)」のインタフェース名称とが関連付けされて記憶されている。同様に、第3の送受信部13の場合、「10.0.1.10/24」のネットワークアドレス及びネットマスクと、「ネットワークC(Net_C系)」のインタフェース名称とが関連付けされて記憶されている。なお、インタフェース名称は、任意の名称に変更してもよい。
アプリケーション利用情報の一例を、以下の表10に示す。
この表10に示すように、アプリケーション利用情報としては、識別情報(ID)、インタフェース名、ネットワークアドレス、アプリケーション名、開始・終了時刻及び状態を示す各情報がそれぞれ関連付けされて記憶されている。なお、これら以外の情報を、アプリケーション利用情報として記憶部43に記憶してもよい。また、識別情報(ID)は省略してもよい。
表10の例の場合、「1」の識別情報には、「第1の送受信部」、「192.168.10.100/24」、「印刷」、「2017/03/29 09:21-09:21」、及び「完了」との各情報が関連付けされている。これは、ネットワークアドレスが「192.168.10.100/24」の「第1の送受信部」が、「2017/03/29 09:21-09:21」の間、「印刷」のアプリケーションで使用され、この際、印刷ジョブは「完了」したことを意味している。
同様に、表10の例の場合、「2」の識別情報には、「第2の送受信部」、「172.16.10.11/24」、「スキャン」、「2017/03/29 09:23-09:25」、及び「失敗」との各情報が関連付けされている。これは、ネットワークアドレスが「172.16.10.11/24」の「第2の送受信部」が、「2017/03/29 09:23-09:25」の間、「スキャン」のアプリケーションで使用され、この際、スキャンによる画像等の読み取りは「失敗」したことを意味している。
このように、第2の実施の形態のネットワーク通信システムは、例えばスキャナアプリケーション及びコピーアプリケーション等のアプリケーションの利用情報及びログ情報を、ネットワークインタフェース単位で記録する。図14のフローチャートに、アプリケーションの利用情報及びログ情報を、ネットワークインタフェース単位で記録する動作の流れを示す。この図14の例は、図13に示すネットワークA(Net_A系)に接続されているパーソナルコンピュータ装置PC_A1からの印刷要求に対応するアプリケーションの利用情報及びログ情報を記憶する例である。
この図14のフローチャートにおいて、パーソナルコンピュータ装置PC_A1から送信された印刷要求は、MFP1の第1の送受信部11で受信される(ステップS1)。第
1の送受信部11は、受信した印刷要求を、通信制御ユニット45のネットワーク制御部40に転送する(ステップS2)。パーソナルコンピュータ装置PC_A1が、印刷の許可をされているユーザのパーソナルコンピュータ装置であった場合、ネットワーク制御部40は、第1の送受信部11を介して、パーソナルコンピュータ装置PC_A1に、印刷許可通知を送信する(ステップS3、ステップS4)。
また、ネットワーク制御部40は、上述の印刷許可通知を送信すると、印刷要求を受信した第1の送受信部11に対応するインタフェース情報の記憶要求を、記憶制御部42に対して行う(ステップS5)。記憶制御部42は、表9を用いて説明したように、印刷要求を受信した送受信部(この例の場合は、第1の送受信部11)、インタフェース名称(この例の場合は、ネットワークA(Net_A))、及び、ネットワークアドレス/ネットマスク(この例の場合、192.168.1.10/24)の各情報を、記憶部43に記憶制御する(ステップS6)。記憶制御部42は、インタフェース情報の記憶制御が完了すると、ネットワーク制御部40に対して、記憶完了通知を送信する(ステップS7)。
次に、印刷許可通知を受信したパーソナルコンピュータ装置PC_A1は、印刷データを送信する(ステップS8)。この印刷データは、第1の送受信部11で受信され、ネットワーク制御部40を介してアプリケーション部41に転送される(ステップS9、ステップS10)。この例の場合、アプリケーション部41は、印刷アプリケーションである。アプリケーション部41は、受信した印刷データに基づいて、印刷エンジン及び印刷ユニットを印刷制御することで、印刷データに対応する印刷物を生成する。
次に、アプリケーション部41は、印刷が完了すると、印刷の実行が完了したことを示す実行完了通知を、ネットワーク制御部40及び第1の送受信部11を介して、パーソナルコンピュータ装置PC_A1に送信する(ステップS13、ステップS16、ステップS14及びステップS15)。これにより、第2の実施の形態のネットワーク通信システムにおける一連の印刷処理が完了する。
ここで、ネットワーク制御部40は、印刷データをアプリケーション部41に送信すると、記憶制御部42に対して、アプリケーション利用情報の記憶要求を行う(ステップS11)。記憶制御部42は、アプリケーション利用情報の記憶要求を受信すると、表10を用いて説明したように、利用された「インタフェース名(この例の場合、第1の送受信装置11)」、利用されたインタフェースの「ネットワークアドレス(この例の場合、192.168.10.100/24)」、利用された「アプリケーション名」、アプリケーションの利用期間に相当する「開始・終了時刻」、及び、ジョブの実行結果を示す「状態」を含むアプリケーション利用情報を記憶部43に記憶制御する(ステップS12)。そして、記憶部43に対するアプリケーション利用情報の記憶制御が完了すると、記憶制御部42は、ネットワーク制御部40に対して、記憶完了通知を送信する(ステップS16)。
(第2の実施の形態の効果)
このような第2の実施の形態のネットワーク通信システムは、複数の異なるネットワークが接続されているMFP1又はレーザプリンタ装置等の情報処理装置で動作するアプリケーションのアプリケーション利用情報を、ネットワークのインタフェース毎に記録及び管理できる。このため、所望のタイミングで、ユーザ又は管理者等にアプリケーション利用情報を提供可能とすることができる他、上述の第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態となるネットワークを説明する。この第3の実施の形態のネットワーク通信システムは、上述の第2の実施の形態で説明したように、ネットワークインタフェース単位で記録した、例えばスキャナアプリケーション及びコピーアプリケーション等のアプリケーション利用情報及びインタフェース情報を、表示部を介してユーザ等に提供可能とした例である。なお、上述の各実施の形態と以下に説明する第3の実施の形態とでは、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
図15は、第3の実施の形態のネットワーク通信システムに設けられているMFP1の要部のブロック図である。この図15からわかるように、第3の実施の形態のネットワーク通信システムに設けられているMFP1は、第2の実施の形態のネットワーク通信システムのMFP1の構成に加え、表示部50及び表示制御部51をさらに有している。表示部50としては、例えば液晶表示部(LCD)又は有機EL(Electro Luminescence)表示部等を用いることができる。
表示制御部51は、例えば操作部を介してアプリケーション利用情報の表示が指定されると、記憶部43に記憶されているアプリケーション利用情報を参照し、各送受信部11~14毎のアプリケーション利用状況を示す「利用ログ」を表示部50に表示制御する。
図16に、利用ログの表示形態の一例を示す。この図16は、ユーザ等により、全ての送受信部(インタフェース)11~13の利用状況の表示が指定された場合に表示される利用ログを示している。この場合、表示制御部51は、記憶部43に記憶されているアプリケーション利用情報に基づいて、各送受信部11~14を介して利用されたアプリケーションの情報を表示部50に表示制御する。
この図16の例は、2017年3月29日(2017/03/29)に、ネットワークアドレスが「192.168.1.100/24」の第1の送受信部11(Net_A1)が、プリント(印刷)のアプリケーションを利用する通信に用いられ、印刷は、無事完了したことを示している。また、図16の例は、2017年3月29日(2017/03/29)に、ネットワークアドレスが「172.16.10.11/24」の第2の送受信部12(NetB1)が、スキャナのアプリケーションを利用する通信に用いられたが、スキャンは、失敗したことを示している。
図17は、利用ログの表示形態の他の例である。この図17は、ユーザ等により指定されたた送受信部(インタフェース)の利用ログを表示した例である。この場合、表示制御部51は、ユーザ等により指定されたた送受信部に対応するアプリケーション情報を記憶部43から参照し、ユーザ等により指定された送受信部に対応する利用ログを生成して表示部50に表示制御する。
この図17の例は、ユーザ等から第1の送受信部11に対応する利用ログの表示が指定された場合の例である。この場合、表示制御部51は、記憶部43に記憶されているアプリケーション情報に基づいて、第1の送受信部11に対応する利用ログを生成し、表示部50に表示する。図17の例は、ユーザから指定された第1の送受信部11に対応する利用ログとして、2017年3月29日(2017/03/29)に、ネットワークアドレスが「192.168.1.100/24」の第1の送受信部11(Net_A1)が、プリント(印刷)のアプリケーションを利用する通信に用いられ、印刷は、無事完了したことを示す利用ログの表示例である。
(第3の実施の形態の効果)
このような第3の実施の形態のネットワーク通信システムは、複数の異なるネットワークが接続されているMFP1又はレーザプリンタ装置等の情報処理装置で動作するアプリケーションのアプリケーション利用情報を、ネットワークのインタフェース毎に記録及び管理し、所望のタイミングで、ユーザ又は管理者等にアプリケーション利用情報を表示可能とすることができる他、上述の各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態となるネットワーク通信システムの説明をする。この第4の実施の形態のネットワーク通信システムは、上述の第3の実施の形態のネットワーク通信システムのMFP1に、画像処理装置のハードウェアである、例えばスキャナ装置又はプリンタ装置等を追加した例である。すなわち、MFP1に、例えばスキャナ装置又はプリンタ装置等の画像処理機能を追加した例である。なお、上述の各実施の形態と以下に説明する第4の実施の形態とでは、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
図18は、第4の実施の形態のネットワーク通信システムに設けられているMFP1の要部のブロック図である。この図18からわかるように、第4の実施の形態のネットワーク通信システムのMFP1は、上述の第3の実施の形態で説明したMFP1の構成に加え、アプリケーション動作部55を有している。このアプリケーション動作部は、上述のように、例えばスキャナ装置又はプリンタ装置等のハードウェアである。
図19のフローチャートに、ユーザのパーソナルコンピュータ装置PC_A1からの印刷データに基づいて、アプリケーション動作部55(この場合は、プリンタ装置)で印刷ジョブを実行する例を示す。この図19のフローチャートにおいて、図14のフローチャートと同じ処理には同じステップ番号を付すことで重複説明は省略する。
図19のフローチャートと図14のフローチャートとの差異は、図19のフローチャートの場合、アプリケーション動作部55が存在し、ステップS21において、アプリケーション部41からアプリケーション動作部55に印刷データが供給され、ステップS22において、アプリケーション動作部55からアプリケーション部41に印刷ジョブの実行完了通知が送信される点である。
(第4の実施の形態の効果)
このような第4の実施の形態のネットワーク通信システムは、第3の実施の形態のネットワーク通信システムと同様の効果を得ることができる。
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態となるネットワーク通信システムの説明をする。この第5の実施の形態のネットワーク通信システムは、上述の第1~第3の送受信部11~13の他に、外部記憶装置を接続するための外部記憶装置用インタフェースをMFP1に設けた例である。なお、上述の各実施の形態と以下に説明する第5の実施の形態とでは、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
上述の第1~第3の送受信部11~13は、ネットワーク用のインタフェースであるが、MFP1に設けるインタフェースとしては、ネットワーク用のインタフェース以外のインタフェースを設けてもよい。図20は、MFP1に対して、第1~第3の送受信部11~13と共に、外部記憶装置用のインタフェースである外部記憶装置用送受信部61を設けた例である。この外部記憶装置用送受信部61としては、一例としてUSB(Universal Serial Bus)インタフェース、又は、PCIe(Peripheral Component Interconnect Express(登録商標))等を用いることができる。
外部記憶装置用送受信部61としてUSBインタフェースを設けた場合、図20に示す外部記憶装置60としては、USBメモリが接続される。この場合、アプリケーション部41及び記憶制御部42等は、外部記憶装置用送受信部61を介してUSBメモリと通信を行い、USBメモリに対する印刷データ等の書き込み及び読み出しを行う。アプリケーション部41は、USBメモリに記憶されている印刷データを読み出し、上述の印刷制御を行う。
この場合、記憶制御部42は、以下の表11に例示するように、上述のアプリケーション利用情報を記憶部43に記憶制御する。
この表11のうち、ID4のアプリケーション利用情報が、外部記憶装置(USBメモリ)60からの読み出した印刷データに基づいて、印刷アプリケーションで印刷を行った際に、記憶されるアプリケーション利用情報である。この例は、2017年3月30日の午前11時00分~午前11時31分の間に、外部記憶装置60から読み出された印刷データに基づいて、印刷が行われたことを意味している。
(第5の実施の形態の効果)
このような第5の実施の形態のネットワーク通信システムは、上述の第1の実施の形態のネットワーク通信システムと同様の効果を得ることができる。
(第6の実施の形態)
次に、第6の実施の形態となるネットワーク通信システムの説明をする。この第6の実施の形態のネットワーク通信システムは、印刷要求を実行したパーソナルコンピュータ装置が接続されているネットワーク毎に、MFP1の排紙先を分けて印刷物の排紙を可能とした例である。なお、上述の各実施の形態と以下に説明する第6の実施の形態とでは、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
図21は、上述の第1の実施の形態と同様に、MFP1に外付けされた通信制御ボックス2のブロック図である。この図21からわかるように、第6の実施の形態のネットワーク通信システムに設けられている通信制御ボックス2は、第1~第4の送受信部11~14を介して受信した受信情報を第4の送受信部14を介してMFP1に送信する。また、第6の実施の形態のネットワーク通信システムに設けられている通信制御ボックス2は、受信情報を受信したインタフェースである送受信部(第1~第4の送受信部11~14)を判別するインタフェース判別部70を有している。
図22は、第6の実施の形態のネットワーク通信システムに設けられているMFP1の要部のブロック図である。この図22に示すように、第6の実施の形態のネットワーク通信システムに設けられているMFP1は、排紙トレイ機構71、CPU72及び記憶部73を有している。排紙トレイ機構71は、複数の排紙トレイを備え、指定されたトレイに対して印刷物の排紙を行う。
記憶部73には、ネットワーク毎に、排紙先を分けて印刷物の排紙を行うための排紙制御プログラム、送受信を行っている送受信部と排紙を行う排紙トレイとを関連付けた情報である排紙先制御情報、及び、送信元となる機器が接続されているネットワークを判別するための送信元ネットワーク判別情報等が記憶されている。
CPU72は、記憶部73に記憶されている排紙制御プログラムを実行することで、以下に説明する排紙制御部81、印刷制御部82、排紙先判別部83、パケット処理部84及び送信元ネットワーク判別処理部85の各機能を実現する。
なお、排紙制御部81~送信元ネットワーク判別処理部85は、排紙制御プログラムにより、ソフトウェア的に実現されることとしたが、一部又は全部を、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアで実現してもよい。
また、排紙制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイル情報でCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。また、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、半導体メモリ等のコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。また、排紙制御プログラムは、インターネット等のネットワーク経由でインストールするかたちで提供してもよい。また、排紙制御プログラムは、機器内のROM等に予め組み込んで提供してもよい。
(送受信ネットワークに応じた排紙トレイの仕分け動作)
次に、図23のシーケンス図を用いて、送受信ネットワークに応じた排紙トレイの仕分け動作を説明する。この図23のシーケンス図において、ステップS31~ステップS46の処理は、上述のNAPT変換処理を行わないNet_A系に接続されているパーソナルコンピュータ装置PC_A1からの印刷データに基づいて印刷した印刷物を排紙トレイに排紙するまでの処理を示している。これに対して、図23のシーケンス図におけるステップS51~ステップS67の処理は、上述のNAPT変換処理を行うNet_B系に接続されているパーソナルコンピュータ装置PC_B1からの印刷データに基づいて印刷した印刷物を排紙トレイに排紙するまでの処理を示している。
まず、ステップS31~ステップS46の各処理の説明をする。Net_A系に接続されているパーソナルコンピュータ装置PC_A1から送信された印刷データ(印刷パケット)は、第1の送受信部11を介して通信制御ボックス2で受信される(ステップS31)。通信制御ボックス32のインタフェース判別部70は、第1~第4の送受信部11~14のうち、印刷データを受信した送受信部(インタフェース)を判別し、このインタフェース判別情報を、印刷データに付加してブリッジ通信制御部15に送信する(ステップS32)。
ブリッジ通信制御部15は、第4の送受信部14を介して、インタフェース判別情報が付加された印刷データをMFP1に送信する(ステップS33)。印刷データには、ネットワークに接続された送信元となる各機器のIP(Internet Protocol)アドレス及びポート番号、MFP1のIPアドレス及びポート番号が含まれている。すなわち、Net_A1のネットワークに接続されたパーソナルコンピュータ装置PC_A1から印刷データを受信した場合、このNet_A1のネットワークに接続されたパーソナルコンピュータ装置PC_A1のIPアドレス及びポート番号、MFP1のIPアドレス及びポート番号が含まれている。MFP1のパケット処理部84は、インタフェース判別情報及び印刷データに含まれている送信元となる機器のIPアドレスを送信元ネットワーク判別処理部85に送信して、送信元となる機器が接続されているネットワークの判別要求を行う(ステップS34)。
送信元ネットワーク判別処理部85は、インタフェース判別情報及び送信元となる機器のIPアドレスに基づいて、記憶部73に記憶されている送信元ネットワーク判別情報を参照することで、送信元となる機器が接続されているネットワークを判別する(ステップS35~ステップS37)。具体的には、送信元ネットワーク判別情報としては、表1と同様に、例えば192.168.1.0/24のネットワークアドレスの機器は、ネットワークNet_A0のネットワークに接続されていることを示し、172.16.1.0/24のネットワークアドレスの機器は、ネットワークNet_B0のネットワークに接続されていることを示すように、ネットワークアドレス及びネットワークが関連付けされて記憶されている。
このため、送信元ネットワーク判別処理部85は、印刷データに含まれているパーソナルコンピュータ装置PC_A1のIPアドレスが、「192.168.10.××」であった場合、送信元となっているパーソナルコンピュータ装置PC_A1のネットワークは、ネットワークNet_A1と判別する。同様に、送信元ネットワーク判別処理部85は、印刷データに含まれている送信元となる機器のIPアドレスが、「172.16.1.××」であった場合、送信元の機器のネットワークは、ネットワークNet_B0と判別する。送信元ネットワーク判別処理部85は、このようにして判別した送信元となる機器のネットワークの判別情報(ネットワーク判別情報)をパケット処理部84に送信する(ステップS38)。
次に、パケット処理部84は、ネットワーク判別情報を印刷データに付加して印刷制御部82に転送し、印刷要求を行う(ステップS39)。印刷制御部82は、ネットワーク判別情報を排紙先判別部83に送信し、排紙先判別要求を行う(ステップS40)。排紙先判別部83は、記憶部73に記憶されている排紙先制御情報を参照することで、ネットワーク判別情報で示されるネットワークに対応する排紙トレイを判別する(ステップS41~ステップS43)。以下の表12に、排紙先制御情報の一例を示す。
この表12の例は、ネットワークNet_Aに接続されている機器から受信した印刷データの印刷物は、排紙トレイAを介して排紙し、ネットワークNet_Bに接続されている機器から受信した印刷データの印刷物は、排紙トレイBを介して排紙し、ネットワークNet_Cに接続されている機器から受信した印刷データの印刷物は、排紙トレイCを介して排紙することが既定されている例である。
排紙先判別部83は、このようにして判別した排紙先の判別結果(排紙先判別情報)を、印刷制御部82に送信する(ステップS44)。印刷制御部82は、印刷データに基づいて印刷物を印刷するように印刷機構等を制御すると共に、排紙先判別情報を排紙制御部81に送信して排紙要求を行う(ステップS45)。排紙制御部81は、表12を用いて説明した排紙先判別情報で示される排紙トレイから印刷物が排紙されるように、排紙機構を制御する(ステップS46)。これにより、印刷データを受信したネットワーク毎に排紙トレイを分けて、印刷物を排紙することができる。
次に、図23のシーケンス図のステップS51~ステップS67の処理を説明する。ステップS51~ステップS67の処理は、上述のNAPT変換処理を行うNet_B系に接続されているパーソナルコンピュータ装置PC_B1からの印刷データに基づいて印刷した印刷物を排紙トレイに排紙するまでの処理である。
Net_B系に接続されているパーソナルコンピュータ装置PC_B1から印刷データ(印刷パケット)が送信されると、この印刷データは、第2の送受信部12を介して通信制御ボックス2で受信される(ステップS51)。通信制御ボックス32の第1のNAPT通信制御部16は、第2の送受信部12で受信した印刷データに上述のNAPT変換処理を施し(ステップS52、ステップS53)、ブリッジ制御部15及び第4の送受信部14を介してMFP1に送信する(ステップS54)。
MFP1のパケット処理部84は、インタフェース判別情報及び印刷データに含まれている送信元となる機器のIPアドレスを送信元ネットワーク判別処理部85に送信して、送信元となる機器が接続されているネットワークの判別要求を行う(ステップS55)。
送信元ネットワーク判別処理部85は、送信元となる機器のIPアドレスに基づいて、記憶部73に記憶されている送信元ネットワーク判別情報を参照することで、送信元となる機器が接続されているネットワークを判別する(ステップS56~ステップS58)。具体的には、表1を用いて説明したように、例えば印刷データに含まれているパーソナルコンピュータ装置PC_B1のIPアドレスが、「172.16.1.××」であった場合、送信元ネットワーク判別処理部85は、送信元となっているパーソナルコンピュータ装置PC_B1のネットワークは、ネットワークNet_B0と判別する。同様に、送信元ネットワーク判別処理部85は、印刷データに含まれている送信元となる機器のIPアドレスが、「172.16.10.××」であった場合、送信元の機器のネットワークは、ネットワークNet_B1と判別する。送信元ネットワーク判別処理部85は、このようにして判別した送信元となる機器のネットワークの判別情報(ネットワーク判別情報)をパケット処理部84に送信する(ステップS59)。
次に、パケット処理部84は、ネットワーク判別情報を印刷データに付加して印刷制御部82に転送し、印刷要求を行う(ステップS60)。印刷制御部82は、ネットワーク判別情報を排紙先判別部83に送信し、排紙先判別要求を行う(ステップS61)。排紙先判別部83は、記憶部73に記憶されている排紙先制御情報(表12参照)を参照することで、ネットワーク判別情報で示されるネットワークに対応する排紙トレイを判別する(ステップS62~ステップS64)。
排紙先判別部83は、排紙先制御情報に基づいて判別した排紙先の判別結果(排紙先判別情報)を、印刷制御部82に送信する(ステップS65)。印刷制御部82は、印刷データに基づいて印刷物を印刷するように印刷機構等を制御すると共に、排紙先判別情報を排紙制御部81に送信して排紙要求を行う(ステップS66)。排紙制御部81は、表12を用いて説明した排紙先判別情報で示される排紙トレイから印刷物が排紙されるように、排紙機構を制御する(ステップS67)。これにより、印刷データを受信したネットワーク毎に排紙トレイを分けて、印刷物を排紙することができる。
(第6の実施の形態の効果)
このように、第6の実施の形態のネットワーク通信システムは、ネットワークの送信元情報に基づく送信元ネットワークの判別と、判別した送信元ネットワークに基づく排紙先トレイの判別を行う。これにより、印刷要求を行った機器が接続されているネットワーク毎に排紙トレイを分けて、印刷物の排紙を行うことができる他、上述の各実施の形態のネットワーク通信システムと同様の効果を得ることができる。
最後に、上述の各実施の形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な各実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。また、実施の形態及び実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
また、本発明は、情報処理技術分野における通常の知識を有した技術者であれば、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)や、従来の回路モジュールを接続して構成した装置によって実施することが可能である。
また、上述の各実施の形態に記載された各機能は、それぞれ、一又は複数の処理回路(Circuit)によって実現することが可能である。なお、「処理回路」とは、ソフトウェアによって各機能を実行するようプログラムされたプロセッサ、各機能を実行するよう設計されたASIC、及び、回路モジュール等のハードウェアを含むものである。