本発明は、請求項1に記載の、第1の基板を第2の基板にボンディングする方法ならびに請求項9に記載の対応する装置に関する。
マイクロエレクトロニクスおよびマイクロシステム技術のほとんど全ての部分における先進的な小型化は、あらゆるテクノロジの絶え間ない更なる開発をもたらし、これらのテクノロジを用いて、基板上のあらゆる種類の機能ユニットの密度を増大させることができる。このような機能ユニットには、たとえばマイクロコントローラ、メモリ構成素子、MEMS、あらゆる種類のセンサまたはマイクロ流体素子が属している。
近年、このような機能ユニットの横方向密度を高めるための技術が著しく改善されている。マイクロエレクトロニクスまたはマイクロシステム技術の幾つかの部分領域においては、それどころか、機能ユニットの横方向密度のこれ以上の増大がもはや不可能となるほどに進んでいる。マイクロチップ製造においては、リソグラフィにより製造されるべき基板のための、最大達成可能な解像度限界が既に達成されているも同然である。すなわち、物理的な制約またはテクノロジ的な制約により、あと僅か数年で、機能ユニットの横方向密度の増大は、もはや完全に不可能となる。当該産業は、この問題に対処すべく、既に数年前より、2.5Dテクノロジおよび3Dテクノロジの開発に努めている。2.5Dテクノロジおよび3Dテクノロジを用いると、同じ機能ユニットまたはそれどころか互いに異なる種類の機能ユニットを、互いに対して位置合わせし、上下に積み重ね、互いに永続的に結合し、そして相応する導体路によって互いに配線することが可能になる。
このような構造を実現するためのキーテクノロジの1つは、パーマネントボンディングである。「パーマネントボンディング(永久接合)」とは、基板の分離が、高いエネルギ消費、そしてこれに伴う基板の破壊によってしか可能とならないように基板を互いに結合させることのできる全ての方法を意味する。種々異なる形式のパーマネントボンディングが存在する。
極めて重要なパーマネントボンディング法の1つが、「ダイレクトボンディング」または「分子ボンディング」とも呼ばれる融解ボンディング(Fusionsbonden)である。「融解ボンディング」とは、共有結合の形成を介して行われる2つの基板の永久的な結合の過程を意味する。融解ボンディングは、特に非金属-非有機材料の表面に生じる。
基本的に、プリボンディングと、本来のパーマネントボンディングとは、区別されることが望ましい。「プリボンディング」とは、2つの表面の接触時に自発的に形成される両表面の結合であって、その結合強さが、あとから実施される熱処理により形成されるパーマネントボンディングの結合強さよりも低い結合を意味する。しかし、プリボンディングにより生ぜしめられた結合強さは、両基板の互いに相対的なずれを生ぜしめることなしに両基板を運搬するためには十分となる。すなわち、両基板の間の結合強さは、基板スタック(積重ね体)を問題なく運搬するためには十分であると云えるが、しかしこの結合強さは、特別な装置を用いて両基板の破壊なしの新たな分離が行われ得る程度に低いものである。このことには、以下のような重要な利点がある。すなわち、プリボンディングの後に、両基板の構造体が測定され、かつその相対的な位置、歪みおよび配向が測定され得る。測定過程の間、構造体の誤配向および/またはローカル(局所的)な、かつ/またはグローバル(全域的)な歪みが存在すること、または粒子がインタフェースに存在することが検知されると、基板スタックを再び相応して分離し、かつ新たに処理することができる。プリボンディングが首尾良く行われ、かつ特に不都合がないことが確認された後に、熱処理プロセスによってパーマネントボンディングが形成される。熱処理プロセスの間、熱エネルギの供給によって両基板の表面の結合の化学的および/または物理的な強化が生じる。このパーマネントボンディングは、両基板の破壊なしの分離がもはや不可能となるという意味では不可逆的である。以下においては、もはやプリボンディングとパーマネントボンディングとを明確に区別せず、一般的に「ボンディング」とのみ表現する。
極めて汎用されている融解ボンディングは、シリコンおよび酸化ケイ素基板において実施される。シリコンはその半導体特性に基づき、しばしばマイクロエレクトロニクス構成素子、たとえばマイクロチップおよびメモリを製造するための基礎材料として使用される。高研磨された金属表面の間にも、「ダイレクトボンディング」が生じ得る。基礎を成す結合特性は、たしかに融解ボンディングの結合特性とは異なるが、しかし両表面を、進行するボンディングウェーブ(Bondwelle)によって互いにコンタクティングするメカニズムは、同じ物理学的特性により説明され得る。また、2つのハイブリッド面を「ハイブリッドボンディング」により結合することも考えられる。「ハイブリッド面」とは、互いに異なる2種の材料から成る表面を意味する。両材料のうち、第1の材料はたいてい小さな空間に制限されており、それに対して、第2の材料は第1の材料を取り囲んでいる。たとえば、金属コンタクトが誘電体によって取り囲まれる。2つのハイブリッド表面のボンディングによりハイブリッドボンディングが形成される場合、ボンディングウェーブは、とりわけ誘電体の間での融解ボンディングによって駆動され、金属コンタクトはボンディングウェーブによって自動的に合致する。誘電体およびlow-k材料(低誘電率材料)の例は、
● 以下の成分を主体とした非シリコン
○ ポリマ
ポリイミド
芳香族ポリマ
パリレン
PTFR
○ 芳香族炭素
● 以下の成分を主体としたシリコン
○ 以下の成分を主体としたケイ酸塩
TEOS(オルトケイ酸テトラエチル)
SiOF
SiOCH
ガラス(ホウケイ酸塩ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ケイ酸鉛ガラス、アルカリケイ酸塩ガラス等)
○ 一般
Si3N4
SiC
SiC2
SiCN
○ シルセスキオキサン
HSSQ
MSSQ
2つの基板をパーマネント結合する際の極めて大きな技術的問題のうちの1つが、個々の基板の間の機能ユニットの位置合わせ精度である。基板は位置合わせ設備によって互いに対して極めて正確に位置合わせされ得るが、しかしボンディング過程自体の間に、基板の歪みが生じる恐れがある。こうして生じた歪みにより、機能ユニットは必ずしも全ての位置において互いに対して適正に位置合わせされているとは限らない。基板の特定の点における位置合わせ不精度は、歪み、スケーリング誤差、レンズ欠陥(拡大誤差もしくは縮小誤差)等の結果となり得る。半導体産業においては、このような問題にかかわるテーマ領域は全て「オーバレイ(重ね合わせ)」という概念に包含される。このテーマに関する相応する概論は、たとえばMack,Chris著の「Fundamental Principles of Optical Lithography-The Science of Microfabrication」(出版社WILEY、2007年,再版2012年)に記載されている。
各機能ユニットは、実際の製造プロセスの前にコンピュータでデザインされる。たとえば、導体路、マイクロチップ、MEMS、またはマイクロシステム技術を用いて製造可能なあらゆる別の構造体も、CAD(computer aided design)プログラムにおいてデザインされる。しかし、機能ユニットの製造時には、コンピュータにおいて構築された理想的な機能ユニットと、クリーンルーム内で製造された実際の機能ユニットとの間に必ず、ずれが存在することが判っている。相違点は、主としてハードウェアの制限、すなわちテクニカルエンジニアリング的な問題に帰因し得るが、しかし、しばしば物理的な限界にも帰因し得る。すなわち、フォトリソグラフィプロセスにより製造される構造体の解像精度は、フォトマスクのアパーチュアの大きさや、使用される光線の波長により制限される。マスク歪みは直接にフォトレジストに転写される。機械のリニアモータは、規定された許容誤差内で再現可能となる位置にしか到達し得ない。したがって、基板の機能ユニットが、コンピュータにおいて構築された構造体に正確に等しくなり得ないことは不思議ではない。したがって、全ての基板は、既にボンディングプロセスの前に、理想状態からの無視し得ないずれを有しているわけである。2つの基板の、互いに向かい合って位置している2つの機能ユニットの位置および/または形状を、両基板のいずれも結合過程によって歪められないと仮定して比較してみると、一般に既に、両機能ユニットの完全ではない整合が存在していることが判る。なぜならば、これらの機能ユニットは、上で説明した誤差により、理想的なコンピュータモデルから偏倚しているからである。極めて頻度の高い誤差は、図8(http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Overlaytypical model terms DE.svg. 24.05.2013およびMack, Chris. Fundamental Principles of Optical Lithography- the Science of Microfabrication. Chichester: WILEY, p.312, 2007, Reprint 2012からの写し)に図示されている。図面に示したように、オーバレイ(重ね合わせ)誤差は、大ざっぱには、グローバルなオーバレイ誤差とローカルなオーバレイ誤差、もしくは対称的なオーバレイ誤差と非対称的なオーバレイ誤差とに区別され得る。グローバルなオーバレイ誤差は均一であり、したがって場所とは無関係である。グローバルなオーバレイ誤差は、互いに向かい合って位置する2つの機能ユニットの間に、位置とは無関係に、同じ偏差を生ぜしめる。クラシカルなグローバルなオーバレイ誤差は、両基板の互いに相対的な並進もしくは回転により生じる誤差I.およびII.である。両基板の並進もしくは回転は、それぞれ互いに向かい合って位置する全ての機能ユニットに関する、基板上での相応する並進的もしくは回転的な誤差を発生させる。ローカルなオーバレイ誤差は、場所に関連して発生し、主として弾性問題および/または塑性問題により発生し、この場合には特に、連続的に伝播するボンディングウェーブにより生ぜしめられる弾性問題および/または塑性問題により発生する。図示のオーバレイ誤差のうち、とりわけ誤差III.およびIV.は「ランアウト(run-out)」誤差と呼ばれる。このランアウト誤差は、特にボンディング過程中での少なくとも1つの基板の歪みにより生じる。少なくとも1つの基板の歪みにより、第1の基板の機能ユニットも、第2の基板の機能ユニットに関して歪められる。しかし、誤差I.およびII.は、同じくボンディングプロセスによって生じ得るが、しかしたいてい誤差III.およびIV.によって著しく重畳されるので、誤差I.およびII.は、極めて検知困難となるか、もしくは測定困難となる。
公知先行技術においては、既に、ローカルな歪みを少なくとも部分的に減少させることのできる設備が存在している。このことは、アクティブな制御エレメントの使用によるローカルな歪み補正である(国際公開第2012/083978号)。
公知先行技術においては、ランアウト誤差を補正するための第1の解決手段が存在する。米国特許出願公開第20120077329号明細書には、下側の基板を位置固定しないことにより、ボンディングの間およびボンディングの後に2つの基板の機能ユニットの間の所望の位置合わせ精度を得るための方法が記載されている。これにより、下側の基板は境界条件下に置かれておらず、ボンディング過程の間、上側の基板に自由にボンディングされ得る。公知先行技術における重要な特徴は、とりわけ、たいていは真空装置を用いて1つの基板をフラットに位置固定することである。
発生したランアウト誤差は、たいていの場合、コンタクト個所を中心にして半径方向対称的に増幅しており、したがってコンタクト個所から周面に向かって増大している。このことは、たいていの場合、ランアウト誤差の線形に増大する増幅である。特別な条件下では、ランアウト誤差は非線形にも増大し得る。
特に最適な条件下では、ランアウト誤差は、相応する測定器具(欧州特許第2463892号明細書)により検出され得るだけでなく、数学的な関数によっても記録され得る。ランアウト誤差は、明確に規定された点の間での並進および/または回転および/またはスケーリングであるので、ランアウト誤差は有利にはベクトル関数によって記述される。一般に、このようなベクトル関数は関数f:R2→R2であり、したがって位置座標の二次元の定義範囲を「ランアウト」ベクトルの二次元の値範囲へ写像する写像規則である。相応するベクトル場の正確な数学的解析はまだ行なわれていないが、しかし関数特性に関する推測は実行される。ベクトル関数は大きな確率を持って、少なくともCnn≧1関数であり、したがって少なくとも1回、連続的に微分可能である。「ランアウト」誤差はコンタクティング点から縁部へ向かって増大するので、ベクトル関数の発散は、恐らくゼロとは異なる。したがって、ベクトル場は、大きな確率で湧き出し場である。
本発明の課題は、ボンディング精度、特に基板の縁部におけるボンディング精度が高められるような、2つの基板をボンディングする装置および方法を提供することである。
この課題は、請求項1の特徴部に記載の特徴および請求項9の特徴部に記載の特徴により解決される。本発明の有利な改良形は、従属項の形の各請求項に記載されている。明細書、特許請求の範囲および/または図面に記載されている少なくとも2つの特徴から成る全ての組合せも、本発明の枠内にある。記載された値範囲では、挙げられた範囲内にある値自体も、限界値として開示されたものとみなされ、かつ任意の組合せの形で請求可能であることが望ましい。
本発明の根底を成す思想は、両基板のうちの少なくともいずれか一方の基板、好ましくは第2の基板および/または第1の基板を、コンタクト面の位置合わせのために、ボンディング開始個所外で、特にボンディング開始個所外でのみ、ボンディングの前および/またはボンディングの間、特にボンディングウェーブの進行(伝播)中に、好ましくは融解ボンディングの際に、変形させることである。「変形」とは、特に基板の初期状態、特に初期ジオメトリとは異なる状態を意味する。本発明によれば、ボンディングはコンタクト面のコンタクティング後に、特に第1の/上側の基板を落下させる(離す)ことによって開始される。相応するボンディング手段は、装置の構成により特別に規定されている。
初期状態において、基板はたいていの場合、特にコンタクト面において、場合によっては存在する、コンタクト面を越えて突出した構造体(マイクロチップ、機能構成素子)および基板誤差、たとえば撓みおよび/または厚さ変動は別として、多かれ少なかれ平坦に形成されている。しかし基板は初期状態において、たいていの場合、ゼロとは異なる曲率を有している。300mmのウェーハについては、50μmよりも小さな曲率が普通である。数学的に見て、曲率は、その平坦な状態からの曲線の局所的な偏差の尺度とみなされ得る。具体的な事例では、直径に比べて小さな厚さを有する基板が考察される。したがって、良好な近似で、平坦面の曲率と呼ぶことができる。平坦面の場合には、最初に述べた平坦な状態が、曲率が考察される点における曲線の接線方向平面である。一般に、物体、特殊な事例では基板は、均一な曲率を有しないので、曲率は位置の明示的な関数である。すなわち、たとえば、平坦ではない基板が、中央部に凹面状の曲率を有するが、別の個所では凸面状の曲率を有することが考えられる。以下において、最も単純な場合には、数学者、物理学者およびエンジニアに知られている数学的な細部に立ち入ることなしに、曲率は常に「凹面状」または「凸面状」としてのみ記述される。
本発明のたいていの実施態様のための、特に独自の中心思想は特に次の点にある。すなわち、互いにボンディングすべき2つの基板の曲率半径が、少なくとも基板のコンタクティング範囲において、つまりボンディングウェーブのボンディングフロントもしくはボンディングラインにおいて、等しいか、または少なくとも僅かにしか互いに異ならないことにある。この場合、基板のボンディングフロントもしくはボンディングラインにおける両曲率半径の差は10mよりも小さく、好ましくは1mよりも小さく、より好ましくは1cmよりも小さく、極めて好ましくは1mmよりも小さく、最も好ましくは0.01mmよりも小さく、最も好適には1μmよりも小さい。一般に、曲率半径R1を最小化する本発明の全ての実施態様が有利である。言い換えれば、本発明は、2つの基板を、「ランアウト」誤差と呼ばれるその局所的な位置合わせ誤差が最小となるように互いにボンディングすることのできる方法および設備に関する。さらに本発明の根底を成す思想は、互いにボンディングすべき両基板を、特にジオメトリ的(幾何学的)、熱力学的および/または機械的な補償メカニズムによって制御して、両基板がボンディングの間、局所的に互いに対してずれないように、つまり正しく位置合わせされるように、形成されるボンディングウェーブに対する影響付与因子が選択されるようにすることである。さらに、本発明は、本発明により低減された「ランアウト」誤差を有する、互いにボンディングされた2つの基板から成る製品を記載する。
ボンディング、特にパーマネントボンディング、好ましくは融解ボンディングの際の、本発明において特徴的な過程は、両基板のできるだけ同心的な点状のコンタクティングである。一般に、両基板のコンタクティングは非同心的に行なわれる場合もある。非同心的なコンタクト点から伝播するボンディングウェーブは、互いに異なる時間に基板縁部の互いに異なる個所に到達してしまう。相応して、ボンディングウェーブ特性およびこれにより得られる「ランアウト」誤差補償の完全な数学的・物理的な説明が複雑になってしまう。しかし、一般には、コンタクティング点は基板の中心からそれほど大きく遠ざけられて位置しないので、このことから場合によっては生ぜしめられる効果は、少なくとも縁部においては、無視し得る。可能な非同心的なコンタクティング点と基板の中心との間の距離は、100mmよりも小さく、好ましくは10mmよりも小さく、一層好ましくは1mmよりも小さく、極めて好ましくは0.1mmよりも小さく、最も好ましくは0.01mmよりも小さい。以下において、「コンタクティング」とは、一般に同心的なコンタクティングを意味するものとする。「中心」とは、広義の意味において好ましくは、必要に応じて非対称性分だけ補償された、基本となる理想的な物体の幾何学的な中心点を意味する。すなわち、ノッチを有する工業的に汎用されているウェーハにおいて、中心は、ノッチを有しない理想的なウェーハを取り囲む円の円中心点である。フラット(平らに面取りされた面)を有する工業的に汎用のウェーハでは、中心は、フラットを有しない理想的なウェーハを取り囲む円の円中心点である。同様の考えは、任意に成形された基板にも適用される。しかし、特殊な構成では、「中心」が基板の重心を意味することが有益になり得る。正確な同心的な点状のコンタクティングを保証するためには、中心の孔と、この孔内で並進的に運動可能なピンとを備えた上側のマウント装置(基板ホルダ)に、半径方向対称的な位置固定部が装備される。ピンの代わりに流体、好ましくはガスを加圧のために使用するノズルを使用することも考えられる。さらに、それどころか、両基板のうちの少なくとも一方の基板、好ましくは上側の基板が、重力に基づいて他方の基板の方向に付与された湾曲を有し、したがって前記並進的な接近において、相応する第2の基板に対する十分に小さな間隔において自動的にコンタクティングするという別の前提条件下に、両基板を並進運動によって互いに接近させることのできる装置が設けられると、このようなエレメントの使用を完全に不要にすることができる。
半径方向対称的な位置固定部は、設けられた真空孔、円形の真空リップまたは上側のウェーハを位置固定することのできる比較可能な真空エレメントである。静電気式のマウント装置の使用も考えられる。上側の基板ホルダに設けられた中心の孔内のピンは、位置固定された上側の基板の制御可能な曲げのために用いられる。
両基板の中心のコンタクティングが行われた後に、上側の基板ホルダの位置固定が解除される。上側の基板は、一方では重力により、他方ではボンディングウェーブに沿って両基板の間に作用するボンディング力により、下方へ落下する。上側の基板は、半径方向で中心から側縁部に向かって下側の基板に結合される。こうして、特に中心から側縁部に向かって延びる半径方向対称的なボンディングウェーブの本発明における形成が行われる。ボンディング過程の間、両基板は、両基板の間に存在するガス、特に空気を、ボンディングウェーブの前方から押し出し、これによってガス封入物なしのボンディング境界面を生ぜしめる。上側の基板は落下時に実質的に一種のガスクッション上に落下する。
第1/上側の基板は、ボンディング開始個所におけるボンディングの開始後に付加的な位置固定を受けない、つまりボンディング開始個所における位置固定は別として、自由に運動し、かつ歪むこともできる。本発明において進行するボンディングウェーブ(波)と、ボンディングウェーブフロントに生じる応力状態と、存在するジオメトリ的(幾何学的)な境界条件とにより、その半径方向の厚さに関して無限小に小さい如何なる円セグメントも歪みを受ける。しかし、基板は剛性的な物体であるので、歪みは中心からの間隔の関数として合計される。このことは、本発明による方法および本発明による装置により取り除くべき「ランアウト」誤差を招く。
したがって、本発明は、ボンディングされた2つの基板の間の「ランアウト」誤差を、特に熱力学的および/または機械的な補償メカニズムによって、ボンディングの際に減少させるか、またはそれどころか完全に回避するための方法および装置にも関する。さらに、本発明は、本発明による装置および本発明による方法を用いて製造される、相応する製品を扱う。
本発明の第1の実施態様では、第1の、特に下側のマウント装置が、第1の基板をマウントするためのマウント面において、凸面状または凹面状に研削されており、かつ/または研磨されており、かつ/またはラッピングされている。好ましくは、第1のマウント装置は凸面状に研削されているので、この第1のマウント装置に位置固定された基板は、コンタクティング点もしくはボンディング開始個所の方向に湾曲させられる。
第1のマウント面および/または第2のマウント面の曲率半径は、特に0.01mよりも大きく、好ましくは0.1mよりも大きく、より好ましくは1mよりも大きく、なお一層好ましくは10mよりも大きく、最も好ましくは100mよりも大きく、最も有利には1000mよりも大きく形成されている。特別な実施態様では、第1/下側のマウント装置の曲率半径が、第2/上側の基板の、第2/上側のマウント装置により作動手段、特にピンによって形成された曲率半径と同じ大きさであり、特に少なくとも同じ10の累乗オーダ内の大きさである。これにより、ボンディングのための、ジオメトリ(幾何学的形状)に関して対称な初期位置が生じる。
第1/下側のマウント面は、物理学的な非対称性が、このマウント面に対して垂直に作用する重力場によって補正されて、ボンディングウェーブフロントが常に同一の水平方向平面内で運動するように研削されていると有利である。
第1の基板および/または第2の基板は、半径方向対称に形成されていることが好ましい。基板は任意のいかなる直径をも有することができるが、しかしウェーハ直径は特に1インチ、2インチ、3インチ、4インチ、5インチ、6インチ、8インチ、12インチ、18インチまたは18インチよりも大きく形成されている。第1の基板および/または第2の基板の厚さは、1μm~2000μm、好ましくは10μm~1500μm、より好ましくは100μm~1000μmである。
特別な実施態様では、基板が、方形の形状または少なくとも円形の形状とは異なる形状を有していてもよい。以下において、「基板」とは、特にウェーハを意味する。
下側/第1のマウント装置の第2の実施態様では、下側/第1のマウント面の曲率半径が調節可能である。特に単純な実施態様では、下側のマウント装置が、意図されていない外部影響因子によって変形させられないようにするために十分に厚く形成されていて、ただし意図された、下方から作用する力によって凸面状または凹面状の形状にもたらされるようにするためには十分に薄く形成されている載置プレートを有する。特に、この載置プレートは10-7Nm2よりも大きい、好ましくは10-3Nm2よりも大きい、より好ましくは1Nm2よりも大きい、なお一層好ましくは103Nm2よりも大きい、最も好ましくは107Nm2よりも大きい曲げ剛性を有する。本発明の1実施態様では、下側/第1のマウント装置の、特に内側に位置する部分が、ニューマチック式にかつ/またはハイドロリック式にかつ/または圧電式に伸長可能でかつ/または収縮可能な、好ましくは高強度の弾性的なダイヤフラムから成っている。この場合、ニューマチック式および/またはハイドロリック式および/または圧電式のエレメントは、好ましくは等分配されていて、かつ個々に制御可能である。
本発明のさらに別の実施態様では、下側/第1のマウント装置は、下側/第1の基板が加熱手段および/または冷却手段によってまだコンタクティングの前に意図的に変形させられ、特に横方向に圧縮または延伸され、しかもあとからのコンタクティングの際に、発生した「ランアウト」誤差をできるだけ良好に、理想的には完全に、補償するために必要となる量だけ変形させられるように形成される。この実施態様では、下側/第1の基板の位置固定が、相応する変形の後でしか行われないので、下側/第1の基板もしくは下側/第1のマウント装置の熱膨張係数を特に重要視する必要はない。
本発明におけるさらに別の特別な実施態様では、下側/第1の基板のコンタクティングが、加熱過程および/または冷却過程の前に行われる。加熱過程および/または冷却過程の前の位置固定により、下側/第1の基板は下側/第1のマウント装置の熱膨張に追従するので、基板の(熱)膨張を規定するために、下側/第1のマウント装置の熱膨張係数を利用することができる。特に好ましくは、下側/第1の基板の熱膨張係数と下側/第1のマウント装置の熱膨張係数とが等しいので、加熱過程および/または冷却過程の際に、下側/第1の基板に熱応力が生じないか、または少なくとも僅かな熱応力しか生じない。本発明によれば、熱膨張係数が互いに異なっていることも考えられる。熱膨張係数が互いに異なる場合には、下側/第1の基板が、平均して下側/第1のマウント装置の熱膨張に従うことになる。
この場合、第1のマウント装置と第2のマウント装置との間の調節すべき温度差は、20℃よりも少なく、好ましくは10℃よりも少なく、さらに好ましくは5℃よりも少なく、極めて好ましくは2℃よりも少なく、最も好ましくは1℃よりも少ない。各マウント装置は本発明によれば、できるだけ均一に加熱される。特に、2つの任意の点における温度差が5℃よりも小さく、好ましくは3℃よりも小さく、より好ましくは1℃よりも小さく、極めて好ましくは0.1℃よりも小さく、最も好ましくは0.05℃よりも小さく形成されているような温度場が設けられている。
本発明のさらに別の実施態様では、第1のマウント装置は、この第1のマウント装置がマウント面のところで機械的な作動手段によって意図的に変形させられ、特に圧縮されかつ/または伸長され得るように構成される。第1のマウント装置の表面に位置固定された第1の基板は、マウント装置に関して小さなその厚さに基づいて、マウント装置の変形によって一緒に変形させられる。マウント装置の変形は、ニューマチック式および/またはハイドロリック式および/または圧電式の複数のアクチュエータを用いて行われ、これらのアクチュエータは好ましくは回転対称に、基板マウント部を巡るように分配されて配置されている。完全に対称な、純然たる半径方向の歪みのためには、少なくとも3個のアクチュエータが必要とされ、これらのアクチュエータは互いに対して120°の角度間隔を置いて配置されている。好ましくは5個よりも多いアクチュエータ、より好ましくは10個よりも多いアクチュエータ、一層好ましくは20個よりも多いアクチュエータ、極めて好ましくは30個よりも多いアクチュエータ、最も好ましくは50個よりも多いアクチュエータが使用される。
本発明のさらに別の実施態様では、両基板のコンタクト面が、垂直方向の向きで互いにボンディングされる。この特別な実施態様の役目は、とりわけ次の点にある。すなわち、重力によるウェーハの変形を減少させ、好ましくは少なくとも対称に配置し、特に好ましくは重力による変形を完全に阻止しかつ/または補償することである。好ましくは、垂直方向の位置において、両基板が、特に同時に、ボンディング開始個所に対して対称に、各1つの作動手段、特に各1つのピンによって、ボンディング開始個所に向かって湾曲させられるので、ボンディング開始個所における凸面状の表面がコンタクティングされ得る。ボンディングウェーブを有する、特に自動的なボンディング過程は、マウント面から両基板のうちの少なくともいずれか一方の基板を離すことにより開始される。
本発明における実施態様は、好ましくは規定された、特に制御可能な雰囲気中で、特に常圧下に運転される。
上で述べた本発明の全ての実施態様は、特別な変化実施態様において、低真空中で、より好ましくは高真空中で、より一層好ましくは超高真空中で実施され、特に100ミリバールよりも低い圧力、好ましくは10-1ミリバールよりも低い圧力、より好ましくは10-3ミリバールよりも低い圧力、一層好ましくは10-5ミリバールよりも低い圧力、最も好ましくは10-8ミリバールよりも低い圧力で実施される。
本発明のさらに別の実施態様では、ボンディングウェーブの伝播、特に伝播速度に対する少なくとも1つの影響因子および/またはコンタクト面の向きに対する少なくとも1つの影響因子が制御される。ボンディングウェーブは、特にその速度に関してコントロールされる。速度の制御は、特に間接的に、ボンディングが行われる雰囲気中のガスの組成および/または密度および/または温度を介して行われる。本発明による方法は好適には低圧雰囲気中で、好ましくは真空中で実施されるべきであるが、しかしボンディングプロセスを別の雰囲気中で、特に常圧の領域中で実施することが有利になり得る。点状のコンタクトにより、本発明におけるボンディングの際には、ボンディングウェーブが常に半径方向対称に中心から側縁部に向かって進行し、この過程においてボンディングウェーブ自体の前方に環状のガスクッションを押しのける。ボンディングウェーブの、特にほぼ円環状のボンディングライン(ボンディングフロント)に沿って、ガス泡の封入物が全く発生し得ないほど大きなボンディング力が生ぜしめられる。したがって、上側/第2の基板はボンディング過程の間、一種のガスクッション上に載置される。
ガス/ガス混合物の本発明における選択およびガスクッションの特性の規定により、第2の基板がどれほど迅速にかつどれほど強力に降下しかつ/または伸長し得るのかが設定される。さらに、ガスの特性を介してボンディングウェーブの速度も制御され得る。
本発明のさらに別の、特に独立した構成により、ガス混合物の組成が選択される。好ましくは、与えられた温度で、相応して小さな慣性を有する、できるだけ軽量の種類の原子および/または分子を有するガスが使用される。したがって、ガス成分のうちの少なくとも1種のガス成分のモル質量は、1000g/モルよりも小さく、好ましくは100g/モルよりも小さく、さらに好ましくは10g/モルよりも小さく、極めて好ましくは1g/モルよりも小さい。さらに好ましくは、使用されるガス混合物の密度が、特にできるだけ小さく調節され、かつ/または温度が、特に所要の高さに調節される。ガス密度は本発明によれば、10kg/m3よりも小さく、好ましくは1kg/m3よりも小さく、さらに好ましくは0.1kg/m3よりも小さく、極めて好ましくは0.01kg/m3よりも小さく調節される。ガスの温度は、本発明によれば、0℃よりも高く、好ましくは100℃よりも高く、さらに好ましくは200℃よりも高く、極めて好ましくは300℃よりも高く、最も好ましくは400℃よりも高く調節される。本発明によれば、上で挙げたパラメータは、選択されたガス混合物もしくはガス混合物の個々の成分が凝縮しないように選択される。これにより、ボンディング過程中での基板の表面における液体封入が回避される。
その熱力学的な特性が多成分相図に描かれるガス混合物については、同様の思想が適用される。ガス混合物の組成および/または圧力および/または温度の変化により、第1の基板および/または第2の基板の運動特性に影響が与えられ、これによって「ランアウト」誤差も減じられる。
特に好ましくは、可変の全てのパラメータは、ボンディングウェーブが、存在する初期条件および境界条件に関してできるだけ最適の速度で伝播するように設定される。とりわけ存在する雰囲気、特に常圧においては、ボンディングウェーブのできるだけゆっくりとした速度が有利である。ボンディングウェーブの速度はこの場合、200cm/sよりも低く、好ましくは100cm/sよりも低く、さらに好ましくは50cm/sよりも低く、極めて好ましくは10cm/sよりも低く、最も好ましくは1cm/sよりも低い。特にボンディングウェーブの速度は0.1cm/sよりも高い。特にボンディングウェーブの速度は、ボンディングフロントに沿って一定である。真空雰囲気中では、ボンディングウェーブの速度が自動的に、より高速となる。なぜならば、ボンディングラインに沿って結合する基板が、ガスによる抵抗を克服しなくて済むからである。
本発明のさらに別の、特に独立した構成では、上側/第2のマウント装置において、マウント面と上側/第2の基板との間に補剛プレートが嵌め込まれる。補剛プレートは、特に一時的に、基板とボンディングされて、ボンディングの際の上側/第2の基板の特性を変える。補剛プレートと上側/第2の基板との間の結合は、補剛プレートにおける構造技術的な固定により行われる。このような固定は、好ましくは真空固定である。静電気式の固定、基板を縁部で取り囲んで緊締する極薄の機械的な固定、高研磨された補剛プレート表面による接着固定も考えられる。
本発明のさらに別の、特に独立した構成では、コンタクティングの前の、かつ/またはボンディング開始個所外での、両基板の間の極めて小さな間隔によって「ランアウト」誤差が調節される。この間隔は、特に100μmよりも小さく、好ましくは50μmよりも小さく、さらに好ましくは20μmよりも小さく、極めて好ましくは10μmよりも小さい。
本発明によれば、両基板の曲率半径が、特にボンディングフロントのところで、5%よりも少ない分だけ互いに異なり、好ましくは互いに等しいと、特に有利である。
本発明の全ての実施態様の別の特別な改良形では、下側/第1のマウント装置および/または上側/第2のマウント装置が、作動手段として、特に中心の孔およびピンを有しており、これらの作動手段を用いて、ボンディング開始個所の方向における各基板の凸面状の湾曲を生ぜしめることができる。
前で説明したステップおよび/または運動および/またはシーケンスの制御、特に基板を曲げるためのピンの制御、基板の相互接近、温度コントロール、圧力コントロールおよびガス組成コントロールは、好ましくは中央の制御ユニット、特に制御ソフトウェアを備えたコンピュータを介して行われる。
マウント装置における基板のマウントおよび位置固定は、考えられ得るあらゆる形式で、あらゆる公知の技術を用いて行なわれ得る。本発明によれば、特に真空試料ホルダ、静電気式の試料ホルダ、機械式のクランプを備えた試料ホルダが考えられる。基板に、位置固定部内での十分なフレキシブル性および伸縮自由度を許すために、基板が、側縁部の領域において、できるだけ大きく外側に位置する円セグメントに沿ってのみ位置固定されることが好ましい。
本発明のさらに別の、特に独立した構成は、できるだけコーディネートされた形でかつ同時にいわば自動的にコンタクティングを行うことにある。この場合、両基板のうちの少なくともいずれか一方の基板が、コンタクティングの前に、当該基板のコンタクト面の中心Mに対して特に同心的に半径方向外側に向かって延びるプリロード(予荷重)で負荷され、次いでコンタクティングの開始にのみ影響が与えられ、所定の区分、特に当該基板の中心Mのコンタクティングの後では、当該基板が解放されて、自動的にそのプリロードに基づいてコントロールされて、他方の基板とボンディングされる。プリロードは、第1の基板を変形手段によって変形させることにより達成される。この場合、変形手段は、特にその形状に基づき、ボンディング側とは反対の側に作用し、相応して変形は、種々異なる(特に交換可能な)変形手段の使用によって制御可能となる。制御は、圧力または変形手段が基板に作用する際の力によっても行われる。この場合、半導体基板を備えたマウント装置の有効マウント面を減少させ、これにより半導体基板を部分的にのみマウント装置によって支持することが有利である。こうして、より小さなコンタクト面によって、ウェーハと試料ホルダもしくはマウント装置との間の粘着減少が得られる。本発明によれば、特に半導体基板(第1の基板)の周面の範囲においてのみ、位置固定部が当て付けられるので、有効な位置固定が与えられていると同時に、マウント装置のマウント輪郭と半導体基板との間のできるだけ小さな有効マウント面が与えられている。したがって、同時に半導体基板の穏やかでかつ確実な剥離も可能となる。なぜならば、ウェーハの剥離のために必要となる剥離力が、可能な限り小さく形成されるからである。剥離はとりわけコントロール可能であり、特にマウント面における負圧の減少によりコントロール可能である。「コントロール可能」とは、第1のウェーハと第2のウェーハとのコンタクト後に、第1のウェーハが試料ホルダにまだ位置固定されたままとなり、マウント面における負圧の意図的な(制御された)減少によってはじめて試料ホルダ(マウント装置)からの基板(ウェーハ)の剥離が、特に内側から外側に向かって生ぜしめられることを意味する。本発明の上記実施態様により、特に剥離は極めて小さな力によって実施され得るようになる。
基板(ウェーハ)は、ボンディング過程の前に互いに対して位置合わせされ、これにより基板表面における対応する構造体の重なり性(正確な位置合わせ、特に2μmよりも小さな精度、好ましくは250nmよりも小さな精度、一層好適には150nmよりも小さな精度、最も好適には100nmよりも小さな精度を有する位置合わせ)が保証される。本発明によるボンディング方法では、ウェーハが平坦に重ね合わされるのではなく、まず中心Mにおいて互いに接触させられ、この場合、両ウェーハのいずれか一方のウェーハが第2のウェーハに対して軽度に押圧されるか、もしくは相応して反対の側のウェーハの方向に変形させられる。変形させられ、(向かい合って位置するウェーハの方向に)曲げられたウェーハが離された後に、ボンディングウェーブの進行によって、最小限の力を伴った、ひいては主として水平方向の最小限の歪みを伴った、特に少なくともほぼ完全に自動的な、ボンディングフロントに沿った連続的でかつ均一な溶接が行われる。
本発明のさらに別の、特に独立した構成は、第1の基板および/または第2の基板の変形を、ボンディングウェーブの進行に対する規定の影響因子に関連して制御することである。これらの影響因子としては、とりわけ基板を取り囲む雰囲気の周辺圧、雰囲気中に存在するガス/ガス混合物の種類、温度、ボンディング開始個所外における両基板の間の間隔、基板のボンディング強さ、場合によっては存在する前処理ステップ、表面の性質、表面粗さ、表面における材料ならびにウェーハ厚さ/曲げ剛性が挙げられる。
ボンディング開始個所が基板のコンタクト面の中央部に配置される場合には、ボンディングウェーブの均一な、特に同心の進行(伝播)が実現可能となる。
第1の基板および/または第2の基板の変形が、横方向でかつ/または凸面状にかつ/または凹面状に行われ、一層好適には鏡像対称的に行われると、特に有利である。言い換えれば、変形は本発明によれば、特に第1の基板および/または第2の基板の伸長または圧縮または湾曲により行われる。
好適には、基板は、ほぼ同一の直径D1,D2を有する。直径D1,D2は、特に5mmよりも少ないだけ、好ましくは3mmよりも少ないだけ、一層好適には1mmよりも少ないだけ、互いに異なる。
本発明のさらに別の、特に独立した構成では、前記変形が、機械的な作動手段および/または第1および/または第2のマウント装置の温度制御により行われる。
第1の基板および/または第2の基板が、側壁の範囲においてのみ第1のマウント面および/または第2のマウント面に位置固定されることにより、本発明における変形は一層容易に実現可能となる。
開示された装置に関する特徴は、方法に関する特徴にも適用され、また開示された方法に関する特徴は、装置に関する特徴にも適用される。
本発明のさらに別の利点、特徴および詳細は、以下に図面につき説明する実施形態から明らかとなる。
本発明による装置の第1実施形態を示す概略的な横断面図である。
本発明による装置の第2実施形態を示す概略的な横断面図である。
本発明による装置の第3実施形態を示す概略的な横断面図である。
本発明による装置の第4実施形態を示す概略的な横断面図である。
本発明による装置の第5実施形態を示す概略的な横断面図である。
本発明におけるボンディングの方法ステップを示す概略図である。
基板の側縁の範囲における位置合わせ誤差dxを有する、ボンディングされた基板ペアを示す概略図である。
本発明におけるボンディングウェーブの範囲における2つの基板の拡大図である。
位置合わせ誤差/ランアウト誤差なしの2つの基板の拡大図である。
位置合わせ誤差/ランアウト誤差を有する2つの基板の拡大図である。
可能となるオーバレイ誤差もしくは「ランアウト」誤差をシンボリックに示す概略図である。
図面中、同一の構成部分および同一機能を有する構成部分は、同じ符号で示されている。
図1には、下側の第1のマウント装置1が基板試料ホルダとして図示されている。下側の第1のマウント装置1は、基体9とマウント体2とから成っている。マウント体2は、上方に向かって、向かい合って位置する第2のマウント装置4の方向に配置された第1のマウント面2oを有する。この第1のマウント面2oは図示の事例では凸面状に湾曲させられている。マウント体2はモジュールとして交換可能に形成されていて、基体9から分離可能である。したがって、基体9はマウント体2と、ボンダ(図示しない)の下側のマウントユニットとの間のアダプタとして使用される。これにより、本発明によれば、必要に応じて、互いに異なる曲率半径Rを有する種々異なるモジュール式のマウント体2の間での迅速な交換を実施することが可能になる。
マウント体2には、真空路の形の固定手段6が配置されている。この固定手段6によって、下側の第1の基板3がマウント面2oに位置固定可能となる。
曲率半径Rは、本発明によれば好ましくは極めて大きく形成されていて、ひいては実際には曲率は目視では認識不可能である(図面には著しく誇張して描かれている)ので、本発明によれば、第1のマウント装置を固定手段6なしに構成し、第1の基板を単にマウント面2oに載置させることが考えられる。本発明によれば、静電気的、電気的または磁気的な固定手段による付着も考えられる。
基板試料ホルダとして形成された第2のマウント装置4は、基体2´を有する。この基体2´は第2のマウント面2o´を備えており、この第2のマウント面2o´は特に同心的な区分において、第1のマウント面2oの対応する同心的な区分に対して等間隔に位置合わせ可能である。
基体2´は孔の形の開口5と、第1のマウント装置1の固定手段に類似の固定手段6´とを有する。
この固定手段6´は、上側の第2の基板8の、コンタクト面8kとは反対の側を位置固定するために用いられる。
ピン7の形の作動手段は、第2の基板8を変形させる(この場合には撓ませる)ために用いられ、ひいては特に第2の基板8を、湾曲させられた第1の基板3の、特に最大曲率の範囲に点状に近付けるために用いられる。
本発明の特別な構成では、マウント体2を、伸長可能な、ニューマチック式(空力式)および/またはハイドロリック式(液圧式)に膨張・収縮可能な構成部分、特にクッション、特に耐熱性および/または耐食性を有する材料から成るクッションとして形成することが考えられる。
図2には、マウント体2´´を有する第2実施形態が示されている。このマウント体2´´では、第1のマウント面2oが、引張ロッドおよび/または押圧ロッドとして形成された作動エレメント10によってコントロールされて変形可能である。マウント体2´´は、特に同心的に全周にわたって延びる環状の固定区分16と、第1のマウント面2oを含む変形区分17とを有する。この変形区分17は、少なくともほぼ全体的に一定の厚さを有し、ひいてはほぼ一定の曲げ剛性を有する。作動エレメント10は、変形区分17の、第1のマウント面2oとは反対の作動側に配置されており、特に位置固定されている。作動エレメント10によって、変形区分17はマイクロメートル範囲で変形可能となり、特に凹凸面状に湾曲可能となる。作動エレメント10はこの場合、0.01μmよりも大きく、好ましくは+/-1μmよりも大きく、一層好ましくは+/-10μmよりも大きく、極めて好ましくは+/-100μmよりも大きく、最も好ましくは+/-1mmよりも大きく、最も有利には+/-10mmよりも大きく移動する。その他の点において、図2に示した実施形態は、図1に示した実施形態に相当する。
図3には、マウント体2´´´を備えた第1のマウント装置1の第3実施形態が示されている。マウント体2´´´は、第1の基板3をマウントするための第1のマウント面2oを有する。さらに、第1のマウント装置1は本実施形態では、少なくとも第1のマウント面2oの範囲、好ましくはマウント体2´´´全体の範囲におけるマウント体2´´´の温度制御(加熱および/または冷却)のための温度制御手段11を有する。
第1の方法では、第1の基板3が、温度差に基づき生ぜしめられた伸縮の達成後ではじめて、加熱されたマウント体2´´´に位置固定される。これにより、第1の基板3はその固有の熱膨張係数に相応して伸縮している。
第2の方法では、第1の基板3が、温度制御手段11により熱負荷を加えられる前にマウント体2´´´に位置固定される。温度制御手段11の変化により、マウント体2´´´、ひいては第1のマウント面2oが、この第1のマウント面2oに位置固定された第1の基板3と共に、特に横方向に伸張する。好ましくは、マウント体2´´´は第1の基板3とほぼ同じ熱膨張係数を有する。その他の点において、第3実施形態は、前で説明した第1実施形態および第2実施形態に相当する。
図4には、マウント体2IVを収容するための収容区分18を備えた基体9´を有する第4実施形態が示されている。さらに、基体9´は、収容区分18に続いた、特に環状に形成されたショルダ区分19を有する。このショルダ区分19は、マウント体2IVを横方向に変形させるために用いられる作動エレメント12のためのストッパとして働く。作動エレメント12は、特に多数の引張エレメントおよび/または押圧エレメント12として、マウント体2IVの側方周面に分配されて配置されている。作動エレメント12は、マウント体2IVを横方向に、特に機械的な伸長および/または圧縮によって、好ましくはマイクロメートル範囲内で、変形させるために用いられる。マウント体2IVはこの場合、0.01μmよりも大きく、好ましくは+/-1μmよりも大きく、さらに好ましくは+/-10μmよりも大きく、極めて好ましくは+/-100μmよりも大きく、最も好ましくは+/-1mmよりも大きく、最も有利には+/-10mmよりも大きく伸長/圧縮される。作動エレメント12は、純然たる機械式および/またはニューマチック式および/またはハイドロリック式および/または圧電式の構成部分として形成されていてよい。
その他の点において、第4実施形態は、前で説明した第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態に相当している。第4実施形態において特に重要となるのは、基板1とマウント体2IVとの間の接着部が極めて大きく形成されていて、基板1が、作動エレメント12によるマウント体2IVの延伸または圧縮の間、同じく相応して延伸もしくは圧縮されることである。
図5には、第5実施形態が示されている。第5実施形態では、第1のマウント装置1と第2のマウント装置4とが垂直方向に向けられている。第1のマウント装置1は、基体9´´と、この基体9´´により位置固定されたマウント体2Vとを有する。マウント体2Vは、本実施形態では垂直に配置された第1のマウント面2oを有し、この第1のマウント面2oに第1の基板3が固定手段6を介して位置固定されている。
第2のマウント装置4は、マウント体2IVを収容しかつ位置固定するための、向かい合って位置するように配置された基体9´´´を有する。マウント体2IVは、第2の基板8を、垂直方向に配置されたマウント面2o´にマウントしかつ位置固定するために用いられる。第2の基板8を変形させるためには、図1に示した開口5と同様の開口5が設けられており、この開口5は、ピン7の形の作動手段を備えている。ピン7は、開口5を通じて第2の基板8を変形させるように形成されており、この場合、ピン7は、第2の基板8のコンタクト面8kとは反対の側を変形させる。ピン7は、第2の基板8の変形により、両基板3,8のコンタクティング時におけるボンディング開始個所20を規定する。
開口5とピン7とは別として、第1のマウント装置1と第2のマウント装置4とは、図5に示した第5実施形態では対称的に形成されている。好適には、第1のマウント装置1も、相応する開口および相応するピンを有し、これにより両基板3,8の対称的な変形が可能となる。特に両基板3,8の中央部に配置されたボンディング開始個所20において、変形された基板3,8をコンタクティングした後に、両固定手段6,6´を同時に解離させることにより、両基板3,8は同一に挙動するので、コンタクト面3k,8kの互いに接近する方向における変形に対する重力の影響が存在しないことに基づいても、ボンディングウェーブの前進の間、位置合わせ誤差は生じない。このことは、特にボンディングウェーブもしくは位置合わせ誤差に対する本発明における圧倒的数の影響因子、特に基板の厚さもしくは基板の曲げ剛性が同一である場合に云える。曲げ剛性は、物体の、該物体に強制的に付与される曲げに対する抵抗である。曲げ剛性が高くなればなるほど、同じ曲率を得るためには、曲げモーメントがますます大きく形成されなければならない。
曲げ剛性は、(曲げモーメントが、横断面変化によって慣性モーメントもしくは断面二次モーメントを変化させないものと仮定して)曲げモーメントとは無関係である純然たる材料および形状に依存する量である。ウェーハの中央部の横断面は、極めて良好な近似で、厚さt3およびウェーハ直径Dを有する方形横断面である。曲げ剛性は均一な横断面に関して、弾性係数と断面二次モーメントとからの積である。厚さに対して垂直な軸線周りの方形横断面の断面二次モーメントは、厚さの三乗に対して直接に比例する。すなわち、厚さによって慣性モーメント、ひいては断面二次モーメントに影響が与えられるわけである。曲げモーメントは、基板に沿った重力の作用により生じる。つまり、曲げモーメントが一定であり、ひいては重力が一定である場合、大きな厚さを有する基板はその大きな断面二次モーメントに基づき、小さな厚さを有する基板よりも僅かにしか湾曲させられない。
図6には、ボンディング過程が概略的に図示されている。この場合、図面を分かり易くするために、第1のマウント装置1の曲率半径Rが著しく誇張されて描かれている。この曲率半径は、本発明によれば、基板3,8の直径が1インチ~18インチの範囲にあり、かつ基板3,8の厚さが1μm~2.000μmの範囲にある場合、数メートルとなる。
基板3,8の中央部に位置するボンディング開始個所20の範囲においてコンタクト面3k,8kで基板3,8をコンタクティングし、かつ第2のマウント装置4から第2の基板8の固定を解除(解離)した後に、ボンディングが開始する。ボンディングフロント13を有するボンディングウェーブは、ボンディング開始個所20から基板3,8の側縁部8s,3sにまで同心的に延びる。
このときに、ボンディングウェーブは、両コンタクト面3k,8kの間に矢印により示したガス15(またはガス混合物15)を押しのける。
本発明によれば、第1の基板3は、両基板3,8の、対応する構造体14の位置合わせ誤差が最小限に抑えられるようにマウント装置1によって変形させられる。
第2の基板8は、ボンディングウェーブの伝播(ボンディング開始およびマウント装置4からの解離後の)の間、作用する力に基づいて変形する。作用する力とは、ガス圧、ガス密度、ボンディングウェーブの速度、重力、第2の基板8の固有周波数(ばね特性)である。
特に図1および図2に示した最初の2つの実施形態に相当する図示の実施形態では、変形が両基板3,8の湾曲によって行われる。この場合、上側の基板8の曲率半径Rが、特にボンディングフロント13におけるいかなる時点においても、下側の基板3の曲率半径R1に相当する。両マウント面2o,2o´のいずれか一方が平坦であり、ひいてはこの平坦なマウント面2oまたは2o´に支承された相応する基板3または基板8の半径も、無限大である場合、相応して反対の側に位置する基板8または基板3の半径も、相応する大きさに調節され、極端な場合には無限大に調節される。したがって、無限大の曲率半径を有する2つの基板3,8、つまり互いに平行であるコンタクト面3k,8kを有する2つの基板3,8を近付けることによる「ランアウト」誤差の本発明における補償も、開示される。本発明におけるこのような特殊事例は、とりわけ、両基板3,8を互いに結合させるための真空包囲において適している。なぜならば、両基板3,8を、ボンディング中央部から伝播する、ボンディングインタフェースからガス量を前方へ押しのけるボンディングウェーブによって互いにボンディングすることが必要とならないからである。曲率半径R1,Rの差は、本発明によれば、特に100mよりも小さく、好ましくは10mよりも小さく、さらに好ましくは1mよりも小さく、極めて好ましくは1cmよりも小さく、特に極めて好ましくは1mmよりも小さく形成されている。
この場合、本発明によれば、ガス15もしくはガス混合物15の選択ならびに圧力および/または温度の設定により、環境およびボンディング速度を制御することが考えられる。
図7a~図7dに拡大された形で図示されているように、図7aおよび図7dに示した、場合によっては生じる位置合わせ誤差dxは、本発明によれば、図7bおよび図7cに示したように両基板3,8を変形させることによって少なくとも大部分取り除かれる。
前で説明した方法ステップ、特に運動およびパラメータは、特にソフトウェア支援された制御装置(図示しない)によって制御される。