JP7001984B1 - 駆動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】伝達装置1の給油部7によれば、コイルスプリング9a、9bは、次の第3の方向に、給油体8を付勢する。すなわち、第3の方向とは、ピニオン2の回転の軸方向を第1の方向とし、ピンローラ4の最外周部が公転するときに描く円の接線の内、特定の接線の方向を第2の方向とすると、第3の方向とは、第1、第2の方向の両方と垂直な方向である。これにより、給油体8の摩耗によるピンローラ4への給油能力の低下を抑制することができる。
【選択図】図3
Description
ここで、ピンローラ型のピニオン101は、例えば、以下に説明する複数のピンローラ102と、これらのピンローラ102を支持する2つの支持体103とを備える。
そして、駆動力伝達装置100では、それぞれのピンローラ102を、歯先として他の歯車に噛み合わせつつ、例えば、ピニオン101を回転駆動する。
そこで、歯に、直接、手作業でオイルを塗布する煩雑さを回避するため、ピニオン101に給油部104を取り付けてピンローラ102に給油する構成が開示されている。
このような態様により、駆動力伝達装置100では、ピンローラ102に給油して噛み合わせの円滑性を確保しようとしている。
そして、ピニオン101に対する給油能力は、ピンローラ102に対する押し当て力に応じて定まっており、ピンローラ102に対する押し当て力は、付勢手段106の付勢力、および、給油体105の弾性変形に伴う弾性力の和と略一致する。
そして、給油部は、ピニオンの回転に伴い、ピンローラの最外周部が円筒面に摺設することで、給油体からピンローラに給油する。
また、本開示の第2の態様の駆動力伝達装置によれば、給油体は、自身の弾性により、円筒面をピンローラの最外周部に接触させる。
これにより、本開示の駆動力伝達装置は、潜在的に、ピンローラ型のピニオンを備え、給油体からピンローラへ給油して他の歯車との噛み合わせを円滑にする駆動力伝達装置において、給油体の摩耗によるピンローラへの給油能力の低下を抑制する、という効果を奏する。
実施例1の駆動力伝達装置1(以下、伝達装置1と呼ぶ。)を、図1~図11を用いて説明する。
伝達装置1は、例えば、図1に示すように、ピニオン2とラック3とを噛み合わせたラック・アンド・ピニオン式である。また、伝達装置1は、例えば、ピニオン2を収容するハウジング(図示せず)を移動させることで、各種の物品を移動させる。そして、例えば、ピニオン2を回転駆動することにより、ピニオン2の歯部をラック3の歯部に噛み合わせながらピニオン2をラック3に沿って進行させる。なお、ラック3の歯部は、所定のサイクロイド曲線に倣うプロフィールを有する。
すなわち、ピニオン2は、円柱状かつ金属製の複数のピンローラ4と、複数のピンローラ4を、ピニオン2の回転の軸方向と平行かつ円筒状に並ぶように、軸方向の両端で支持する2つの支持体5A、5Bとを備える。なお、2つの支持体5A、5Bは、それぞれ、例えば、円筒付きフランジ型の支持体5Aと、円筒なしフランジ型の支持体5Bである。そして、伝達装置1は、それぞれのピンローラ4を歯先としてラック3の歯部に噛み合わせつつピニオン2を回転駆動することで、ピニオン2をラック3に沿って進行させる。
また、支持体5A、5Bは、それぞれの円孔同士が互いに向かい合うように配置されており、それぞれのピンローラ4は、支持体5A、5Bの間を架け渡すように組み入れられている。さらに、ピンローラ4の軸方向の一端側、他端側の部分は、それぞれ、ベアリングを介して、それぞれの円孔内で回転可能に支持されている。
給油部7は、ピンローラ4に給油する部分であって、次の給油体8、および、付勢手段9を有する。
また、付勢手段9は、円筒面11がピンローラ4の最外周部に接触するように給油体8を付勢する。そして、付勢手段9は、ピニオン2の回転時にも、円筒面11をピンローラ4に押し当てることで、ピンローラ4に給油する。
なお、付勢手段9は、例えば、後記するように、付勢部材としての2つのコイルスプリング9a、9bである。
なお、実施例1では、第2の方向D2は、ピニオン2の進行方向に一致している。
より具体的には、付勢手段9は、2つのコイルスプリング9a、9bを有し、次の平坦面12上に、コイルスプリング9a、9bの座が、長手方向に並ぶように設けられている。
なお、平坦面12と円筒面11との間に設けられた4つの側面13a~13d(図5、図6等参照。)は、後記するケース15の内周壁に摺接する。
より具体的には、進退手段16は、例えば、押しネジであり(図9~図11等参照。)、次のようなケース15に螺合している(以下、進退手段16を押しネジ16と呼ぶことがある。)。ここで、ケース15は、給油体8の平坦面12側の部分を覆うように組み付けられており、次のような天壁部17、および、4つの側壁部18a~18dを有する(図7、図8等参照。)。
さらに、プレート21では、押しネジ16が突き当たる面とは反対側の面から、2つのガイド棒22a、22bが突き出している(図4、図9~図11等参照。)。ガイド棒22a、22bは、それぞれコイルスプリング9a、9bの内周を通って平坦面12に突き当たっており、コイルスプリング9a、9bをガイドする。
実施例1の伝達装置1における給油能力の調節方法を、図9~図11等を用いて説明する。
円筒面11の摩耗等により、例えば、円筒面11が平坦面12の方に長さLだけ後退するとともに、コイルスプリング9a、9bが第3の方向D3に長さLだけ伸びると、円筒面11のピンローラ4に対する押し当て力が弱くなり、ピンローラ4に対する給油能力が低下する(図9、図10等参照。)。
実施例1の駆動力伝達装置1は、他の歯車に噛み合うピンローラ型のピニオン2、および、ピニオン2に給油する給油部7を備え、給油部7は、次の給油体8、および、付勢部材としてのコイルスプリング9a、9bを有する。まず、給油体8は、ピニオン2が回転するときのピンローラ4の最外周部の公転半径と実質的に同一の半径である円筒面11を具備する。また、コイルスプリング9a、9bは、ピニオン2の回転に伴い、円筒面11をピンローラ4の最外周部が摺動するように給油体8を付勢する。
以上により、給油体8の摩耗によるピンローラ4への給油能力の低下を抑制することができる。
すなわち、従来の駆動力伝達装置100の給油部104では、押し当て力の方向が、コイルスプリング106a、106bそれぞれの位置で異なる(図20参照。)。これにより、給油体105の円筒面107が摩耗して後退したときに、給油体105に設けたコイルスプリング106a、106bそれぞれの座がずれたり、コイルスプリング106a、106b自体が傾斜したりする(図21参照。)。このため、コイルスプリング106a、106bの押し当て力を復元することが困難であるから、摩耗によって給油能力が低下すると、給油能力を復元することが難しい。
このため、摩耗によって給油能力が低下したときに、進退手段としての押しネジ16を進退させることで、給油能力を復元することができる。
実施例2の伝達装置1によれば、付勢手段9は、3つのコイルスプリング9a、9b、9cを有し(図12等参照。)、平坦面12上に、コイルスプリング9a、9b、9cの座が、長手方向に等間隔で並ぶように設けられている。また、コイルスプリング9a~9cごとにガイド棒22a、22b、22cが存在するが、ケース15内にプレート21が存在せず、ガイド棒22a、22b、22cは、天壁部17の内面から第3の方向D3に伸びてコイルスプリング9a、9b、9cの内周に入り込み、コイルスプリング9a、9b、9cをガイドする(図13~図15等参照。)。また、ケース15自体に、第2の座が設けられている。つまり、実施例2では、ケース15自体が座形成部材である。
実施例2の伝達装置1における給油能力の調節方法を、図13~図15を用いて説明する。
円筒面11の摩耗等により、例えば、円筒面11が平坦面12の方に長さLだけ後退するとともに、コイルスプリング9a、9b、9cが第3の方向D3に長さLだけ伸びると、円筒面11のピンローラ4に対する押し当て力が弱くなり、ピンローラ4に対する給油能力が低下する(図13、図14等参照。)。
実施例2の伝達装置1によれば、ケース15自体に第2の座が設けられている。
このため、ケース15を第3の方向D3に進退させることで、コイルスプリング9a、9b、9cを給油体8に対して第3の方向D3に進退させて給油能力を調節することができる。
また、締結代19におけるネジ穴19aは、第3の方向D3に長い孔である。
このため、締結代19におけるネジ締結を緩めてケース15を第3の方向D3に進退させることで、給油能力を調節することができる。
これにより、突起24aの天壁部17側の壁からの離間幅を目視することで、給油能力の調節を行うか否かを判断することができる。
これにより、給油能力の復元を、目視しながら行うことができる。
実施例3の伝達装置1によれば、実施例1の伝達装置1と異なり、図18に示すように、ピニオン2と平歯車26とを噛み合わせている。なお、給油部7の構成は、実施例1と同様である。また、第2の方向D2は、例えば、ピニオン2の回転軸と平歯車26の回転軸の両方に直交する直線に対して垂直となるように設定されている。
このような伝達装置1でも、実施例1と同様の効果を奏することができる。
実施例4の伝達装置1によれば、実施例1~3の伝達装置1と異なり、図19に示すように、給油部7は、付勢手段9を有さず。給油体8自身の弾性により、円筒面11をピンローラ4の最外周部に接触させて押し当てる。すなわち、給油体8は、例えば、発泡樹脂にオイルを含侵させたものであり、ケース15内に平坦面12の側の部分が収まり、給油体8自身の弾性により、円筒面11がピンローラ4の最外周部に圧接するとともに、平坦面12が天壁部17に圧接している。
これにより、ピンローラ4への円筒面11の押し当て力の変動を抑えることができるので、ピンローラ4への給油能力の低下を抑制することができる。
本願発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形例を考えることができる。
例えば、実施例1、2の伝達装置1は、ピニオン2を回転駆動することでピニオン2をラック3に沿って進行させていたが、ピニオン2の位置を固定したままピニオン2を回転駆動してラック3を進行させてもよく、さらに、ピニオン2をラック3や平歯車26以外の歯車に噛み合わせて伝達装置1を構成してもよい。
また、実施例1~3の伝達装置1によれば、給油体8は、含油性樹脂であったが、例えば、油脂の固体や、含油性の金属を、給油体8として採用してもよい。
さらに、実施例1~3の伝達装置1によれば、第2の方向D2は、ピニオン2の進行方向に一致していたが、第2の方向D2の態様は実施例1、2に限定されず、第2の方向D2を、ピニオン2の進行方向に対して傾斜させてもよい。
Claims (5)
- 他の歯車に噛み合うピニオン、および、このピニオンに給油する給油部を備え、
前記ピニオンは、円柱状の複数のピンローラが、前記ピニオンの回転の軸方向と平行かつ円筒状に並ぶように配置され、それぞれのピンローラが歯先として前記他の歯車に噛み合う駆動力伝達装置において、
前記給油部は、
前記ピンローラに供給されるオイルの供給源であり、前記ピニオンが回転するときの前記ピンローラの最外周部の公転半径と実質的に同一の半径である円筒面を具備する給油体と、
前記円筒面が前記ピンローラの最外周部に接触するように前記給油体を付勢する付勢手段とを有し、
前記ピニオンの回転に伴い、前記ピンローラの最外周部が前記円筒面に摺設することで、前記給油体から前記ピンローラに給油し、
前記ピニオンの回転の軸方向を第1の方向と呼び、前記ピンローラの最外周部が公転するときに描く円の接線の内、特定の接線の方向を第2の方向と呼ぶと、
この付勢手段は、前記第1、第2の方向の両方と垂直な第3の方向に、少なくとも2か所で、前記給油体を付勢することを特徴とする駆動力伝達装置。 - 請求項1に記載の駆動力伝達装置において、
前記付勢手段は、自身が撓むことにより生じる弾性力によって前記給油体を前記第3の方向に付勢する付勢部材を具備し、
前記給油部は、前記付勢部材を前記給油体に対して前記第3の方向に進退させる進退手段を有することを特徴とする駆動力伝達装置。 - 請求項1に記載の駆動力伝達装置において、
前記付勢手段は、自身が撓むことにより生じる弾性力によって前記給油体を前記第3の方向に付勢する付勢部材を具備し、
前記給油部は、
前記付勢部材を、前記給油体の側に設けた第1の座とともに前記第3の方向に挟んで弾性力を発生させる第2の座を具備する座形成部材を有し、
前記座形成部材を前記第3の方向に進退させることで、前記付勢部材を前記給油体に対して前記第3の方向に進退させることができ、
さらに、前記座形成部材には、前記第2の座と相対的な位置を変えない一方側指標部が設けられ、
この一方側指標部は、前記第1の座と相対的な位置を変えない他方側指標部と、目視できる位置で係合しており、
前記給油体において前記円筒面が削られて後退すると、前記他方側指標部が前記一方側指標部から離れることを特徴とする駆動力伝達装置。 - 請求項3に記載の駆動力伝達装置の調節方法において、
前記円筒面の後退により、前記他方側指標部が前記一方側指標部から離れたときに、前記座形成部材を前記第3の方向に進退させることで、前記一方側指標部を前記他方側指標部に係合させることを特徴とする駆動力伝達装置の調節方法。 - 他の歯車に噛み合うピニオン、および、このピニオンに給油する給油体を備え、
前記ピニオンは、円柱状の複数のピンローラが、前記ピニオンの回転の軸方向と平行かつ円筒状に並ぶように配置され、それぞれのピンローラが歯先として前記他の歯車に噛み合う駆動力伝達装置において、
前記給油体は、
前記ピンローラに供給されるオイルの供給源であり、前記ピニオンが回転するときの前記ピンローラの最外周部の公転半径と実質的に同一の半径である円筒面を具備し、
自身の弾性により、前記円筒面を前記ピンローラの最外周部に接触させることを特徴とする駆動力伝達装置。
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