JP7000690B2 - 樹脂積層フィルム及びその製造方法、並びにメラミン化粧板 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂積層フィルム及びその製造方法、並びにメラミン化粧板に関する。
アクリル樹脂フィルムは透明性や耐候性に優れ、表面硬度も高いことから、例えば、電気製品の光学部品、自動車の内装部品、看板、建材等、屋内又は屋外用途の各種成形品に貼合して、表面を保護するフィルムとして好ましく用いられている。また、アクリル樹脂フィルムの表面に反射防止処理や防汚処理等の表面処理を施して、これを成形品に貼合することにより、成形品に反射防止性や防汚性等の表面機能を付与することもできる。
これらの貼合用アクリル樹脂フィルムをアクリル樹脂との接着性に乏しい基材に対して貼合する場合、接着剤、プライマー等を用いると工数と手間がかかるため、コスト面で不利である。そのため、アクリル樹脂フィルムに反応性基を導入する等して、接着性を付与したアクリル樹脂フィルムが開発されてきた。
例えば特許文献1には、反応性基を有する単量体を共重合成分として含む重合体を含有した、接着性に優れるフィルムが開示されている。
国際公開第2014/192708号
しかしながら、特許文献1では短時間の熱水試験への耐性を評価しているものの、長時間の耐温水性やフィルムの取扱い性については言及されていなかった。そこで、本発明の目的は、長時間の耐温水性と取扱い性、外観に優れるアクリル樹脂積層フィルムを提供することにある。
本発明者は鋭意研究を行なった結果、特定の組成を有する2種の樹脂層を組み合わせることにより、前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の[1]~[15]に係る発明である。
[1] アクリル樹脂組成物(A)又はフッ素系樹脂組成物(B)からなる樹脂層(I)と、反応性基含有アクリル樹脂(C-1)とコアシェルゴム(C-2)を含有する樹脂組成物(C)からなる樹脂層(II)とを備える積層フィルムであって、
反応性基含有アクリル樹脂(C-1)のガラス転移温度が60~120℃であり、
反応性基含有アクリル樹脂(C-1)がアミノ基又はメチロール基に対する反応性基を有する単量体単位を含有し、
反応性基を有する単量体単位の含有率が、反応性基含有アクリル樹脂(C-1)100質量%に対して4質量%以上である、積層フィルム。
[2] 前記反応性基が水酸基である、[1]の積層フィルム。
[3] 前記反応性基が2級水酸基である、[1]の積層フィルム。
[4] アクリル樹脂組成物(A)又はフッ素系樹脂組成物(B)からなる樹脂層(I)と、反応性基含有アクリル樹脂(C-1)とコアシェルゴム(C-2)を含有する樹脂組成物(C)からなる樹脂層(II)とを備える積層フィルムであって、
反応性基含有アクリル樹脂(C-1)のガラス転移温度が60~120℃であり、
反応性基含有アクリル樹脂(C-1)が水酸基を有する単量体単位を含有し、
樹脂組成物(C)の水酸基価が15~300mgKOH/gである、積層フィルム。
[5] 曇価が10未満である、[1]~[4]のいずれかの積層フィルム。
[6] 前記反応性基含有アクリル樹脂(C-1)中の芳香族ビニル単量体単位の含有率が、反応性基含有アクリル樹脂(C-1)100質量%に対して0~3質量%である、[1]~[5]のいずれかの積層フィルム。
[7] 前記樹脂組成物(C)のゲル分率が0~80%である、[1]~[6]のいずれかの積層フィルム。
[8] 厚さが100μm以下である、[1]~[7]のいずれかの積層フィルム。
[9] 前記樹脂層(II)の厚さが30μm以下である、[1]~[8]のいずれかの積層フィルム。
[10] 破断伸度が10%以上である、[1]~[9]のいずれかの積層フィルム。
[11] [1]~[10]のいずれかの積層フィルムの製造方法であって、共押出法により製造する、積層フィルムの製造方法。
[12] [1]~[10]のいずれかの積層フィルムの製造方法であって、塗工法により製造する、積層フィルムの製造方法。
[13] [1]~[10]のいずれかの積層フィルムを備える保護フィルム。
[14] [1]~[10]のいずれかの積層フィルムを備えるメラミン化粧板表面保護用フィルム。
[15] [1]~[10]のいずれかの積層フィルムと、メラミン基材とが、樹脂層(I)、樹脂層(II)、メラミン基材の順に積層されたメラミン化粧板。
本発明によれば、耐温水性及び取扱い性に優れる積層フィルムを提供することができる。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、アクリル樹脂組成物(A)又はフッ素系樹脂組成物(B)からなる樹脂層(I)と、樹脂組成物(C)からなる樹脂層(II)とを備える。
ここで、樹脂組成物(C)は、基材との接着性を発現するための反応性基を有している。このため、本発明の積層フィルムを貼合用途に用いる場合には、樹脂組成物(C)からなる樹脂層(II)を被貼合体側に向けて貼合層とし、アクリル樹脂組成物(A)又はフッ素系樹脂組成物(B)からなる樹脂層(I)を被貼合体とは反対側に向けて表面層とするのが好ましい。
[樹脂層(I)]
本発明の樹脂層(I)は、アクリル樹脂組成物(A)又はフッ素系樹脂組成物(B)からなる。
樹脂層(I)の100℃における貯蔵弾性率は、1~500MPaが好ましく、10~200MPaがより好ましく、30~100MPaが更に好ましい。
100℃における貯蔵弾性率が1MPa以上であれば、積層板の耐熱性が良好となり、500MPa以下であれば、エンボス形状を熱プレスにより転写する際にエンボス形状の転写性が良好となり、外観の良好な積層板を作成することができる。
メラミン化粧板は通常160℃以上の温度で熱プレスして作成するが、大面積の積層板を数多く同時に積層してプレスする際には、部位により温度が不均一となり100℃前後の低温部分が生じる場合がある。そのような場合でも、100℃における貯蔵弾性率が500MPa以下であれば良好な外観の積層板を得ることができる。
[アクリル樹脂組成物(A)]
本発明のアクリル樹脂組成物(A)は、フィルム生産性及び取扱い性の点からコアシェルゴム(A-1)を含有することが好ましく、例えば、コアシェルゴム(A-1)と、熱可塑性重合体(A-2)と、添加剤(D-1)とを含有することができる。
特に、アクリル樹脂組成物(A)は、(A-1)と(A-2)との合計100質量%に対して、(A-1)を5.5~100質量%、(A-2)を0~94.5質量%含み、更に、(A-1)と(A-2)との合計100質量部に対して、添加剤(D-1)を0~20質量部含有することが好ましい。
コアシェルゴム(A-1)の含有率が5.5質量%以上であれば、樹脂層(I)に靭性がより付与され、積層フィルム生産時にフィルム切れが起こりにくく、生産性が良好である。また、積層フィルム使用時の取扱い性が良好である。
アクリル樹脂組成物(A)は、(A-1)と(A-2)との合計100質量%に対して、(A-1)を10~100質量%、(A-2)を0~90質量%含むことがより好ましく、(A-1)を15~100質量%、(A-2)を0~85質量%含むことが更に好ましい。
また、アクリル樹脂組成物(A)は、(A-1)と(A-2)との合計100質量部に対して、添加剤(D-1)を0.1~10質量部含有することがより好ましく、1~8質量部含有することが更に好ましい。尚、アクリル樹脂組成物(A)は、熱可塑性重合体(A-2)及び添加剤(D-1)を含まなくてもよい。
[コアシェルゴム(A-1)]
コアシェルゴム(A-1)は多層構造の粒子であればよく、内層としての弾性共重合体(a-1)を含む層上に、外層としての硬質重合体(a-2)を含む層が形成された2層以上の多層構造を有するゴム粒子であることが好ましい。
コアシェルゴムの材質としてはアクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられるが、透明性や耐候性の点から、アクリルゴムが好ましい。アクリルゴムとしては、特許文献1に記載されているものと同様のものが挙げられる。
[熱可塑性重合体(A-2)]
熱可塑性重合体(A-2)は、コアシェルゴム(A-1)以外の熱可塑性重合体であり、メタクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体を重合して得られる重合体であることが好ましい。
熱可塑性重合体(A-2)としては、例えば、特許文献1に記載されている熱可塑性重合体や高分子系の加工助剤が挙げられる。
[添加剤(D-1)]
添加剤(D-1)は、コアシェルゴム(A-1)及び熱可塑性重合体(A-2)以外の化合物であり、例えば、安定剤、滑剤、可塑剤、発泡剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤が挙げられる。
例えば、基材を保護するために耐候性を付与する点から、添加剤(D-1)が紫外線吸収剤であることが好ましい。
紫外線吸収剤の分子量は、300以上が好ましく、400以上がより好ましい。分子量が300以上であれば、射出成形金型内で真空成形又は圧空成形を施す際に紫外線吸収剤が揮発しにくく、金型汚れが発生しにくい。更に、成形後の紫外線吸収剤のブリードアウトが少なくなる。
紫外線吸収剤としては、分子量400以上のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、分子量400以上のトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。長期の紫外線遮蔽能を保持させる点から、分子量400以上のトリアジン系紫外線吸収剤がより好ましい。
分子量400以上のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば「チヌビン234」(商品名、チバガイギー社製);「アデカスタブLA-31」(商品名、(株)ADEKA製)が挙げられる。
分子量400以上のトリアジン系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば「チヌビン1577」(商品名、チバガイギー社製)が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤の添加量は、耐候性の点から、コアシェルゴム(A-1)と熱可塑性重合体(A-2)との合計100質量部に対して、0~20質量部が好ましい。また、成形時の金型汚れ防止、又はブリードアウト防止の点から1~5質量部がより好ましい。
また、耐候性をより向上させる点から、ヒンダードアミン系の光安定剤等のラジカル捕捉剤を紫外線吸収剤と併用することが好ましい。
ラジカル捕捉剤の市販品としては、例えば「アデカスタブLA-57」、「アデカスタブLA-62」、「アデカスタブLA-67」、「アデカスタブLA-63」、「アデカスタブLA-68」(以上いずれも商品名、(株)ADEKA製);「サノールLS-770」、「サノールLS-765」、「サノールLS-292」、「サノールLS-2626」、「サノールLS-1114」、「サノールLS-744」(以上いずれも商品名、三共ライフテック(株)製)が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ラジカル捕捉剤の添加量は、耐ブリードアウト性の点から、コアシェルゴム(A-1)と熱可塑性重合体(A-2)との合計100質量部に対して、0~10質量部が好ましく、0.2~5質量部がより好ましい。
また、ブロッキング防止効果を担持させる点から、添加剤(D-1)がアンチブロッキング剤であることが好ましい。
アンチブロッキング剤の市販品としては、例えば「AEROSIL R976」(日本アエロジル(株)製)が挙げられる。
アンチブロッキング剤の添加量は、コアシェルゴム(A-1)と熱可塑性重合体(A-2)との合計100質量部に対して、0~0.5質量部が好ましく、0.01~0.4質量部がより好ましい。
アンチブロッキング剤の添加量が0.01質量部以上であれば、充分なブロッキング防止効果を奏することができる。0.5質量部以下であれば、得られる積層フィルムの透明性の低下を抑制でき、且つ、フィッシュアイの発生を低減できる。
また、積層板をプレスにより作成する際の、プレス板との貼り付きを防止する点から、添加剤(D-1)が離型剤であることが好ましい。
離型剤としては、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、アルキルアルコール、アルキルカルボン酸が挙げられる。中でも、入手の容易さと経済性の面から、アルキルカルボン酸が好ましい。
アルキルカルボン酸としては、例えば、リノール酸、バクセン酸、ステアリン酸、オレイン酸、マルガリン酸、パルミトレイン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
離型剤の添加量は、プレス板との貼り付き防止の点から、コアシェルゴム(A-1)と熱可塑性重合体(A-2)との合計100質量部に対して、0.01~2質量部が好ましく、0.1~0.5質量部がより好ましい。
[フッ素系樹脂組成物(B)]
本発明のフッ素系樹脂組成物(B)は、フッ素系樹脂(B-1)と、アクリル系樹脂(B-2)と、添加剤(D-2)とを含有することができる。
フッ素系樹脂組成物(B)は、(B-1)と(B-2)との合計100質量%に対して、(B-1)を60~100質量%、(B-2)を0~40質量%含み、更に、(B-1)と(B-2)との合計100質量部に対して、添加剤(D-2)を0~20質量部含有することが好ましい。
フッ素系樹脂(B-1)の含有率が60質量%以上であれば、樹脂層(I)に耐薬品性及び高い耐水性が付与され、積層フィルム及び、積層フィルムを積層した成形品の耐薬品性及び耐水性が良好となる。
熱可塑性重合体(B-2)の含有率が40質量%以下であれば、樹脂層(I)に耐薬品性及び高い耐水性付与され、積層フィルム及び、積層フィルムを積層した成形品の耐薬品性及び耐水性が良好となる。
耐薬品性及び耐水性の点からは、フッ素系樹脂(B-1)の含有率は高いほどよい。一方で、(B-1)にポリフッ化ビニリデン等の結晶性高分子を用いた場合、結晶化収縮又は樹脂層(II)との熱収縮率の差により積層フィルムにカールが生じて、取扱い性に問題が生じる可能性があり、(B-2)を添加することでカールを抑制し積層フィルムの取扱い性を良好なものとすることができる。
カール抑制の点からは、(B-2)の含有率が高いほどよい。
また、(B-1)にポリフッ化ビニリデン等の比較的柔らかい樹脂を用い、(B-2)にポリメタクリル酸メチル等の比較的硬い樹脂を用いた場合、(B-2)を添加することで表面硬度が上昇し、耐傷付き性が向上する。
耐傷付き性の点からは、(B-2)の含有率が高いほどよい。
更に、(B-1)にポリフッ化ビニリデン等の結晶性高分子を用いた場合、フィルムの透明性の低下、曇価の上昇、黄色度の上昇等、光学特性の悪化が生じる可能性がある。その場合、(B-2)を添加することで、結晶化度を下げる又は結晶サイズを微細化することで、光学特性を改善することができる。
耐薬品性及び耐水性の点からは、フッ素系樹脂組成物(B)は、(B-1)と(B-2)との合計100質量%に対して、(B-1)を70~95質量%、(B-2)を5~30質量%含むことがより好ましい。
カールの点からは、フッ素系樹脂組成物(B)は、(B-1)と(B-2)との合計100質量%に対して、(B-1)を60~95質量%、(B-2)を5~40質量%含むことがより好ましく、(B-1)を60~85質量%、(B-2)を15~40質量%含むことが更に好ましい。(B-2)の含有率が5質量%以上であれば、カールが抑制され積層フィルムの取扱い性が良好となる。
耐傷付き性の点からは、フッ素系樹脂組成物(B)は、(B-1)と(B-2)との合計100質量%に対して、(B-1)を50~90質量%、(B-2)を10~50質量%含むことがより好ましく、(B-1)を50~75質量%、(B-2)を25~50質量%含むことが更に好ましい。
また、フッ素系樹脂組成物(B)は、(B-1)と(B-2)との合計100質量部に対して、添加剤(D-2)を0~10質量部含有することがより好ましく、0~3質量部含有することが更に好ましい。尚、フッ素系樹脂組成物(B)は、熱可塑性重合体(B-2)及び添加剤(D-2)を含まなくてもよい。
[フッ素系樹脂(B-1)]
フッ素系樹脂(B-1)としては、フッ素置換基を有する単量体のホモポリマー又はコポリマーであればよく、エチレン等の非フルオロポリマーを含んでもよい。
フッ素置換基を有する単量体としては、例えば、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、1,2-ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)等のパーフルオロアルキルビニルエーテル、パーフルオロ(1,3-ジオキソール)、パーフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)、パーフルオロブチルエチレン、3,3,3-トリフルオロプロペン、トリフルオロエチルメタクリレート等のフルオロアルキルメタクリレート、トリフルオロエチルアクリレート等のフルオロアルキルアクリレートが挙げられる。
フッ素系樹脂(B-1)としては、耐薬品性及び入手の容易さから、フッ化ビニリデンのホモポリマー又はコポリマーが好ましく、フッ化ビニリデンホモポリマーがより好ましい。
市販品としては、例えば「KYNAR720」、「KYNAR740」(以上いずれも商品名、アルケマ製);「KFポリマーT#850」、「KFポリマーT#1000」、「KFポリマーT#1100」(以上いずれも商品名、(株)クレハ製)が挙げられる。
以上は、いずれもフッ化ビニリデンホモポリマーである。
フッ素系樹脂(B-1)の溶融粘度は、溶融成形が容易であることから、ASTM D1238に準拠して、230℃、5kgで測定したMFRが、5~50g/10分が好ましく、10~30g/10分がより好ましい。
具体的には、「KYNAR720」、「KFポリマーT#850」が挙げられる。
フッ素系樹脂(B-1)の質量平均分子量(Mw)は、100,000~500,000が好ましい。フッ素系樹脂(B-1)のMwは、ジメチルホルムアミド溶液にて測定した値である。
[アクリル系樹脂(B-2)]
アクリル系樹脂(B-2)は、フッ素系樹脂(B-1)以外の樹脂であり、前記コアシェルゴム(A-1)又は前記熱可塑性重合体(A-2)と同様のもの、またはそれらの混合物が挙げられる。
[添加剤(D-2)]
添加剤(D-2)は、フッ素系樹脂(B-1)及びアクリル系樹脂(B-2)以外の化合物であり、アクリル樹脂組成物(A)の調製に用いる添加剤(D-1)と同様のものを用いることができる。
但し、フッ素系樹脂は各種の添加剤と相溶性が不良な場合があり、それにより外観が悪化する可能性があるため、添加量は0でもよい。特に、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤はフッ素系樹脂(B-1)と反応して着色する場合があるため、添加量は0でもよい。
[樹脂層(II)]
本発明の樹脂層(II)は、反応性基含有アクリル樹脂(C-1)、コアシェルゴム(C-2)、熱可塑性重合体(C-3)、添加剤(D-3)を含有する樹脂組成物(C)からなる。
[樹脂組成物(C)]
本発明の樹脂組成物(C)は、以下の(1)又は(2)で表現される。
(1):反応性基含有アクリル樹脂(C-1)と、コアシェルゴム(C-2)との合計100質量%に対して、(C-1)を10~99質量%、(C-2)を1~90質量%含有し、更に、(C-1)と(C-2)との合計100質量部に対して、熱可塑性重合体(C-3)を0~50質量部、添加剤(D-3)を0~50質量部含有し、(C-1)はアミノ基又はメチロール基に対する反応性基を有する単量体単位を含有し、(C-1)100質量%に対する反応性基を有する単量体単位の含有率が4質量%以上であり、(C-1)のガラス転移温度(Tg)が60~120℃である。
(2):反応性基含有アクリル樹脂(C-1)と、コアシェルゴム(C-2)との合計100質量%に対して、(C-1)を10~99質量%、(C-2)を1~90質量%含有し、更に、(C-1)と(C-2)との合計100質量部に対して、熱可塑性重合体(C-3)を0~50質量部、添加剤(D-3)を0~50質量部含有し、(C-1)は水酸基を有する単量体単位を含有し、樹脂組成物(C)の水酸基価が15~300mgKOH/gであり、(C-1)のTgが60~120℃である。
前記(1)及び(2)において、樹脂組成物(C)は、接着性及びフィルム取扱い性、耐傷付き性の点から、(C-1)と(C-2)の合計100質量%に対して、(C-1)を10~90質量%、(B-2)を10~90質量%含有することが好ましく、(C-1)を40~90質量%、(C-2)を10~60質量%含有することがより好ましく、(C-1)を50~80質量%、(C-2)を20~50質量%含有することが更に好ましく、(C-1)を50~70質量%、(C-2)を30~50質量%含有することが特に好ましい。
また、(C-1)と(C-2)の合計100質量部に対して、(C-3)を0.1~10質量部、(D-3)を0.1~10質量部含有することが好ましく、(C-3)を1~5質量部、(D-3)を1~5質量部含有することがより好ましく、(C-3)を2~4質量部、(D-3)を2~4質量部含有することが更に好ましい。
接着性の点からは、(C-1)と(C-2)の両方を適量含有することが好ましい。(C-1)が多いほど反応性基の含有量が増し、接着性が向上する。また、(C-2)が多いほど、アクリル樹脂層(II)内部での破壊が抑制されるために、接着性が向上する。
フィルム取扱い性の点からは、(C-2)が多いほど好ましい。(C-2)が多いほど、アクリル樹脂層(II)の靭性が向上し、積層フィルムの取扱い性が良好となる。
耐傷付き性の点からは、(C-2)が少ないほど好ましい。(C-2)が少ないほど、鉛筆硬度が上昇し、耐傷付き性が向上する。
また、フィルム外観の点からは、(C-2)が少ないほど好ましい。(C-2)が少ないほど、溶融成形時の熱劣化によるゲル化物の生成が抑制され、異物が減少し、フィルム外観が良好となる。
前記(1)では、反応性基含有アクリル樹脂(C-1)がアミノ基又はメチロール基に対する反応性基を有する単量体単位を含有し、その含有率は、(C-1)100質量%に対して4質量%以上である。反応性基を有する単量体単位を4質量%以上含有することにより、良好な接着性が得られる。
より良好な接着性を得る点から、反応性基を有する単量体単位を5質量%以上含有することが好ましく、10質量%以上含有することがより好ましい。反応性基を有する単量体単位の含有率の上限は50質量%以下とすることができる。尚、この含有率は原料の仕込み量から算出した値である。
前記(2)では、反応性基含有アクリル樹脂(C-1)が水酸基を有する単量体単位を含有し、樹脂組成物(C)の水酸基価が15~300mgKOH/gである。水酸基価が15mgKOH/g以上であれば、良好な接着性が得られる。水酸基価が300mgKOH/g以下であれば、樹脂組成物(C)の吸水性が低下し、積層フィルム及び、積層フィルムを積層したメラミン化粧板の耐水性が向上する。接着性と耐水性の点から、水酸基価は20~120mgKOH/gがより好ましく、25~80mgKOH/gが更に好ましい。尚、水酸基価は後述する方法により算出される値である。
樹脂組成物(C)のゲル分率は、5~80%が好ましい。ゲル分率が高いほどフィルムの靭性が向上し、フィルムの取扱い性や製膜性が改善する。また、ゲル分率が低いほど樹脂の熱劣化異物の生成が抑制され、フィルム外観が良好となる。ゲル分率が5~80%であれば、フィルム靭性とフィルム外観を両立できる。
フィルム靭性の点からは、ゲル分率は45~80%がより好ましく、50~80%が更に好ましい。
また、フィルム外観の点からは、ゲル分率は5~30%がより好ましく、5~25%が更に好ましい。
[反応性基含有アクリル樹脂(C-1)]
反応性基含有アクリル樹脂(C-1)は、前記(1)又は(2)における特定の反応性基を有する単量体単位を含有する。
反応性基含有アクリル樹脂(C-1)は、例えば、反応性基を有する単量体単位、芳香族ビニル単量体単位、その他の単量体単位を含有することができる。
具体的には、反応性基含有アクリル樹脂(C-1)は、反応性基を有する単量体単位4~100質量%、芳香族ビニル単量体単位0~3質量%、その他の単量体単位0~96質量%の合計100質量%を含有することができる。
反応性基含有アクリル樹脂(C-1)は、水酸基等のアミノ基又はメチロール基に対する反応性基を有する単量体単位を含有するために、メチロールメラミン及びその誘導体を含む材料、具体的には、メラミン化粧板のメラミン樹脂又は、その前駆体と接触させた状態で加熱反応させることで、メラミン化粧板と接着することができる。
前記アミノ基又はメチロール基に対する反応性基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、酸無水物基、イミド基、エポキシ基が挙げられる。反応性基含有アクリル樹脂(C-1)は、これら反応性基の1種を有していてもよく、2種以上を有していてもよい。
前記反応性基の反応温度は、触媒の有無やpH値等により異なるが、50~200℃が好ましく、110~170℃がより好ましい。メラミン化粧板は、通常110~170℃の温度で作製されるため、反応温度が110~170℃であれば、本発明の積層フィルムをメラミン基材と積層して加熱することで、メラミン化粧版の作製と同時に積層フィルムをメラミン基材と充分に接着させることができる。
反応性基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等の水酸基を有する単量体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルオキシアルキルカルボン酸、(メタ)アクリロイルオキシ芳香族カルボン酸等のカルボキシル基を有する単量体;(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル等のアミノ基を有する単量体;(メタ)アクリル酸アルキルアミドアルキルエステル等のアミド基を有する単量体;無水マレイン酸等の酸無水物単量体;マレイミド、アルキルマレイミド等のマレイミド単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、接着性の点から、反応性基として水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、又はエポキシ基を有する単量体が好ましい。
また、酸無水物等の加水分解性部位を有さず、乳化重合、懸濁重合等の水系重合において効率的に重合体を製造することができる点から反応性基として水酸基、カルボキシル基、又はエポキシ基を有する単量体がより好ましい。
また、溶融成形時の架橋防止の点から、反応性基として水酸基を有する単量体が更に好ましい。
また、溶融成形時の架橋を特に低減する点から、反応性基として2級水酸基を有する単量体が特に好ましい。
反応性基として水酸基を有する単量体としては、例えば、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシ-1-メチルエチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸2-ヒドロキシ-1-メチルエチル、アクリル酸ヒドロキシブチルが挙げられる。
溶融成形時の架橋反応によりフィルム外観が不良となることを防ぐ点で、2級水酸基を有する、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル又はアクリル酸2-ヒドロキシプロピルが好ましい。
また、メタクリル酸メチル等との共重合性が良好である点で、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピルがより好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
反応性基を有する単量体の使用量は、反応性基含有アクリル樹脂(C-1)に対し4~100質量%が好ましい。使用量は、接着性と副反応防止の点から、4~80質量%がより好ましく、10~30質量%が更に好ましい。
使用量が4質量%以上であれば、接着性がより良好となる。
使用量が80質量%以下であれば、非反応性の単量体を20質量%以上併用することになり、反応性基による副反応を抑制することができる。
また、反応性基を有する単量体が水溶性である場合、非水溶性の単量体を併用することで水への溶解を抑制することができ、乳化重合、懸濁重合等の水系重合において効率的に重合体を製造することができる。
反応性基の使用量を増加させると、(C-1)と(C-2)及び(C-3)との相溶性が低下し、積層フィルムの外観が悪化又は曇価が増大する場合がある。積層フィルムの外観及び曇価を低く保つ点からは、反応性基の量は少ないほど好ましい。
芳香族ビニル単量体の使用量は、反応性基含有アクリル樹脂(C-1)100質量%に対して0~3質量%が好ましい。使用量が3質量%以下であれば、得られる積層フィルム及びメラミン化粧板の耐候性が良好となる。
使用量は0~1質量%がより好ましく、0~0.1質量%が更に好ましい。尚、使用量は少ない方が好ましく、0質量%でもよい。
その他の単量体としては、熱可塑性重合体(A-2)の重合に用いる単量体と同様の単量体を用いることができる。しかしながら、コアシェルゴム(C-2)、熱可塑性重合体(C-3)との相溶性や、樹脂層(I)との密着性の点から、アクリル系単量体、特にメタクリル酸メチルが好ましい。
その他の単量体の使用量は、反応性基による架橋等の反応を抑制する点から、反応性基含有アクリル樹脂(C-1)に対して0~96質量%が好ましく、20~96質量%がより好ましい。尚、使用量は0質量%でもよい。
反応性基含有アクリル樹脂(C-1)の製造には、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、溶液重合等の各種重合法を用いることができる。但し、反応性基を有する単量体として、酸無水物、イミド構造を有する単量体を用いる場合には、重合時に加水分解が生じるため、懸濁重合や乳化重合等の水系重合で製造することはできない。
重合時には、連鎖移動剤、その他の重合助剤等を使用してもよい。連鎖移動剤としてはメルカプタン類が好ましい。
反応性基含有アクリル樹脂(C-1)のTgは60℃~120℃であり、60~100℃が好ましく、70~98℃がより好ましく、75~95℃が更に好ましい。
Tgが60℃以上であれば、本発明の積層フィルムを使用したメラミン化粧板の耐熱性、耐水性が良好となり、特に、65℃の温水に48時間浸漬する試験後の密着性と耐白化性が良好となる。また、フィルム及び原料樹脂のブロッキング性が低下するため、フィルムロールからの巻出しが容易で取扱い性に優れるほか、ブロッキング跡による外観不良を生じにくくなり、外観品位に優れる積層フィルムを得ることができる。
Tgが120℃以下であれば、本発明の積層フィルムを積層したメラミン化粧板を作成する際、より低温でプレス加工をしてもメラミン基材と積層フィルムとの接着性がより良好となる。即ち、積層フィルムを積層したメラミン化粧板を作成する際の加工条件が緩和される。
尚、Tgは、反応性基含有アクリル樹脂(C-1)を構成する成分の単独重合体のTgの数値を用い、Fox式により求めることができる。Fox式を以下に示す。
1/(273+Tg)=Σ(wi/(273+Tgi))
式中、Tgは共重合体(または、その混合物)のTg(℃)、wiは単量体iの質量分率、Tgiは単量体iを重合して得られる単独重合体のTg(℃)である。
ここで、単独重合体のTgの数値としては、POLYMER HANDBOOK THIRD EDITION(WILEY INTERSCIENCE)に記載の数値又は、モノマーメーカーのカタログ値を用いる。尚、単量体が架橋性単量体を含有する場合には、架橋性単量体を除いた単量体についてTgを求めることとする。
[コアシェルゴム(C-2)]
コアシェルゴム(C-2)は、反応性基含有アクリル樹脂(C-1)以外のコアシェルゴムであればよく、コアシェルゴム(A-1)と同様のものが挙げられる。
[熱可塑性重合体(C-3)]
熱可塑性重合体(C-3)としては、反応性基含有アクリル樹脂(C-1)及びコアシェルゴム(C-2)以外の樹脂であればよく、熱可塑性重合体(A-2)と同様のものが挙げられる。
[添加剤(D-3)]
添加剤(D-3)は、反応性基含有アクリル樹脂(C-1)、コアシェルゴム(C-2)及び熱可塑性重合体(C-3)以外の化合物であり、アクリル樹脂組成物(A)の調製に用いる添加剤(D-1)と同様のものを用いることができる。
添加剤(D-3)としてヒンダードアミン系安定剤等のラジカル捕捉剤を添加すれば耐候性が良好となる。ただし、層(I)にフッ素系樹脂組成物(B)を用いた場合、フッ素系樹脂(B-1)はヒンダードアミン系安定剤と反応して着色する場合があり、層(II)へ添加したヒンダードアミン系安定剤が層(I)へ徐々に移行し、着色する場合があるため、ラジカル捕捉剤を添加しなくてもよい。
前記層(I)への移行は、高分子量のヒンダードアミン系安定剤を用いることで抑制することができる。ヒンダードアミン系安定剤の分子量は1000以上が好ましく、2000以上がより好ましい。
分子量2000以上のヒンダードアミン系安定剤としては、Chimassorb2020(商品名、BASF製)が挙げられる。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムの厚さは、10~100μmが好ましく、20~80μmがより好ましく、25~40μmが更に好ましい。
厚さが10μm以上であれば、積層フィルムの製造が容易であり、得られるメラミン化粧板に充分な耐候性を付与することができる。
厚さが100μm以下であれば、積層フィルムが適度な柔軟性を有するため、得られるメラミン化粧板を切断する際に剥離を防止することができる。また、単位面積あたりの質量の点で、経済的に有利である。更に、製膜性が安定して積層フィルムの製造が容易になる。更に、メラミン化粧板に積層した場合、化粧板の鉛筆硬度が上昇し、耐傷付き性が向上する。
樹脂層(I)がアクリル樹脂組成物(A)から成る場合、樹脂層(I)の厚さは、1~99.5μmが好ましく、5~50μmがより好ましく、20~50μmが更に好ましい。
樹脂層(I)の厚さが1μm以上であれば、得られるメラミン化粧板の耐候性及び耐水性が良好となる。また、樹脂層(I)の厚さが99.5μm以下であれば、単位面積あたりの質量の点で、経済的に有利である。
樹脂層(I)がアクリル樹脂組成物(A)から成る場合、樹脂層(II)の厚さは、0.5~99μmが好ましく、2~10μmがより好ましく、3~7μmが更に好ましい。
樹脂層(II)の厚さが0.5μm以上であれば、接着性が向上する。樹脂層(II)の厚さが99μm以下であれば、単位面積当たりの質量の点で、経済的に有利である。
樹脂層(I)がフッ素系樹脂組成物(B)から成る場合、樹脂層(I)の厚さは、0.5~50μmが好ましく、2~10μmがより好ましく、3~57μmが更に好ましい。
樹脂層(I)の厚さが1μm以上であれば、得られるメラミン化粧板の耐薬品性及び耐水性が良好となる。
樹脂層(I)の厚さが50μm以下であれば、単位面積あたりの質量の点で、経済的に有利である。また、樹脂層(I)と樹脂層(II)との熱収縮率が大きい場合、樹脂層(I)が薄いほど積層フィルムのカールが抑制され、取扱い性に優れる。
樹脂層(I)がフッ素系樹脂組成物(B)から成る場合、樹脂層(II)の厚さは、0.5~99.5μmが好ましく、5~50μmがより好ましく、25~45μmが更に好ましい。
樹脂層(II)の厚さが0.5μm以上であれば、接着性が向上する。樹脂層(II)の厚さが99.5μm以下であれば、単位面積あたりの質量の点で、経済的に有利である。
また、樹脂層(II)が厚いほど、低い紫外線吸収剤濃度で耐候性を付与することができ有利である。即ち、厚さがこれらの範囲内であれば、充分な耐薬品性と接着性、耐候性を確保することができ、工業的利用価値が高いフッ素系樹脂-アクリル樹脂積層フィルムが得られる。
本発明の積層フィルムの曇価は20以下が好ましく、10以下がより好ましい。曇価が20以下であれば、例えば、化粧板の保護用途に使用した際に下地となる化粧層の柄が曇ることがなく、意匠性に優れた化粧板を得ることができる。
本発明の積層フィルムの破断伸度は、製膜性及びフィルム取扱い性の点から、5%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、100%以上が更に好ましい。破断伸度の上限は、例えば1000%以下である。尚、破断伸度は後述する方法により測定される値である。
[積層フィルムの製造方法]
本発明の積層フィルムを製造する方法としては、生産性の点から、フィードブロックダイ又はマルチマニホールドダイを介した共押出法により、樹脂層(I)及び(II)の積層構造を形成する方法が好ましい。また、樹脂層(I)及び(II)を、それぞれTダイを用いた溶融押出法等によりフィルム状に成形して、その2種のフィルムを熱ラミネート法により積層する方法を用いることもできる。
更に、一方の樹脂層をフィルム状にし、その後他方の樹脂層を溶融押出法により積層する押出ラミネーション法を用いることもできる。溶融押出を行なう場合には、表面欠陥の原因となる核や不純物を取り除くために、200メッシュ以上のスクリーンメッシュで溶融状態にある樹脂組成物を濾過しながら押出することもできる。
更に、樹脂組成物(C)の熱劣化を防止する点から、フィルム状に成形された樹脂層(I)上に、樹脂組成物(C)を含む溶液を塗布して樹脂層(II)を積層する塗工法を用いることが好ましい。例えば、樹脂組成物(C)を有機溶媒等の溶媒に溶解させた溶液を、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等の印刷方法や、ブレードコート法、ロッドコート法等のコート法により樹脂層(I)上に塗工し、溶媒を除去するために加熱乾燥を行なう方法が挙げられる。尚、フィルム状に成形された樹脂層(II)上に、アクリル樹脂組成物(A)又はフッ素系樹脂組成物(B)を含む溶液を塗布して樹脂層(I)を積層してもよい。
前記溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒;キシレン、トルエン等の芳香族系溶媒;ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒;フェノール、クレゾール等のフェノール系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、メトキシトルエン等のエーテル系溶媒;蟻酸、酢酸等の脂肪酸系溶媒;無水酢酸等の酸無水物系溶媒;酢酸エチル、酢酸n-プロピル等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の窒素含有溶媒;チオフェン、ジメチルスルホキシド等の硫黄含有溶媒;ジアセトンアルコール、2-メトキシエタノール(メチルセロソルブ)等の2種以上の官能基を有する溶媒及び水が挙げられる。
中でも、溶解力の点から、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドが好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
塗料としての印刷適性又はコート適性に応じて、樹脂組成物に皮張り防止剤、増粘剤、沈降防止剤、タレ防止剤、消泡剤、レベリング剤等の溶液性状を改善するための添加剤を添加することができる。更に、樹脂組成物に体質顔料、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、防カビ剤、難燃剤等の塗膜性能を改善するための添加剤を添加することができる。
[保護フィルム、メラミン化粧板表面保護用フィルム、メラミン化粧板]
本発明の積層フィルムは優れた接着性を有し、各種の基材に接着することができるため、保護フィルムとして好適に使用できる。特に、本発明の積層フィルムはメラミン樹脂に対して優れた接着性を示すため、メラミン化粧板表面保護用フィルムとして好適に使用できる。
メラミン化粧板は、机、カウンター等の水平面、壁等の垂直面に使用されており、その構成、製造方法については、化粧板ハンドブック(新建材研究所、昭和48年発行)等に詳しく記載されている。これらのメラミン化粧板は、例えば、化粧板用の化粧紙にメラミン樹脂を含浸させ、乾燥したメラミン樹脂含浸紙と、芯材層である樹脂含浸コア紙とを積層し、更に必要に応じて、化粧紙の柄を保護する目的で、オーバーレイ紙にメラミン樹脂を含浸させ、乾燥したメラミン樹脂含浸オーバーレイ紙と、反りを抑制する目的で最下層にバランス紙とを積層し、熱圧成形することによって得られる。
前記メラミン樹脂含浸紙としては、例えば化粧板用の化粧紙にメラミン-ホルムアルデヒド樹脂を含浸させ、乾燥した樹脂含浸紙を用いることができる。前記樹脂含浸コア紙としては、例えばクラフト紙、不織布、織布等に、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂又はこれらの混合物を主成分とする樹脂液と、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の無機充填材とを含むスラリーを含浸させ、乾燥した化粧板用のコア紙を使用できる。
熱圧成形は、例えば、樹脂含浸コア紙及びメラミン樹脂含浸紙(メラミン基材)と、並びに本発明の積層フィルムとを積層し、温度110~170℃、圧力5~10MPa、時間10~90分の条件で行なうことができる。
本発明の積層フィルムをメラミン基材に貼合する場合には、樹脂組成物(C)からなる樹脂層(II)をメラミン基材側に向けて接するようにして、熱融着させることが好ましい。この方法によれば、接着剤及び粘着剤を用いることなく貼合を行なうことができる。貼合は連続的又は非連続的に行なうことができ、例えば熱プレス法による非連続貼合法により行なうことができる。特に、メラミン化粧板を作成する際、メラミン基材と本発明の積層フィルムとを積層して熱圧成形すれば、メラミン化粧板作成と同時に積層フィルムを積層することができ、工程数が削減できるため有利である。
一方、本発明の積層フィルムを使用せず、例えば樹脂層(I)からなるフィルムを使用した場合、メラミン基材との接着性が低いため、接着剤やプライマーの使用が必要であり、コストが高くなり、生産性が大きく低下する。
これに対して本発明の積層フィルムを用いる場合、接着剤やプライマーの使用が不要であるため、工数の削減が可能であり、コストが削減できるため、工業的に有利である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されない。実施例において「部」は「質量部」を表す。また、実施例中の略号は以下の通りである。
MMA :メチルメタクリレート
MA :メチルアクリレート
BA :ブチルアクリレート
HPMA :2-ヒドロキシプロピルメタクリレート
St :スチレン
AMA :アリルメタクリレート
BDMA :1,3-ブチレングリコールジメタクリレート
CHP :クメンヒドロペルオキシド
tBH :t-ブチルハイドロパーオキサイド
LPO :ラウリルパーオキサイド
nOM :n-オクチルメルカプタン
RS610NA:モノn-ドデシルオキシテトラオキシエチレン燐酸ナトリウム(商品名:「フォスファノールRS-610NA」、東邦化学工業(株)製)
LA31 :(株)ADEKA製、「アデカスタブLA-31RG」(商品名)
TV234:BASF製、「Tinuvin234」(商品名)
TV1577:BASF製、「Tinuvin1577」(商品名)
2020 :BASF製、「Chimassorb2020」(商品名)
R976 :日本アエロジル製、「AEROSIL R976」(商品名)
1076 :BASF製、「Irganox1076」(商品名)
S90V:(株)花王製、「ルナックS90V」(商品名)
T850 :(株)クレハ製、「KFポリマー T#850」(商品名)
VH :三菱レイヨン(株)製、「アクリペットVH001」(商品名)
実施例における各種物性の測定は、以下の方法に従って実施した。
(1)水酸基価
反応性基含有アクリル樹脂(C-1)の酸価と水酸基価を以下の方法により求めた。まず、サンプルをアセトンに溶解し、フェノールフタレインを指示薬として、0.1mol/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液で滴定した。また、サンプルを使用しない他は同様の操作で空試験を実施し、以下の式から酸価を求めた。
酸価=(A-B)×f×56.1×0.1/S
f:0.1mol/Lエタノール性水酸化カリウムの力価
S:サンプル量(g)
A:滴定に用いたエタノール性水酸化カリウム量(ml)
B:空試験に用いたエタノール性水酸化カリウム量(ml)
次に、サンプルを無水酢酸及びピリジンに溶解させ、アセチル化を行なった後、フェノールフタレインを指示薬として、0.5mol/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液で滴定した。また、サンプルを使用しない他は同様の操作で空試験を実施し、以下の式から水酸基価を求めた。
水酸基価=(B-A)×f×56.1×0.5/S+酸価
f:0.5mol/Lエタノール性水酸化カリウムの力価
S:サンプル量(g)
A:滴定に用いたエタノール性水酸化カリウム量(ml)
B:空試験に用いたエタノール性水酸化カリウム量(ml)
尚、表中の水酸基価(計算値)は、水酸基を有する単量体の導入率を100%とし、酸価をゼロと仮定して算出した値である。
また、樹脂組成物(C)の水酸基価(計算値)は、樹脂組成物(C)中に占める反応性基含有アクリル樹脂(C-1)の質量比から算出した値である。
(2)質量平均分子量(Mw)
重合体をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた試料について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(機種名:「HLC-8200」、東ソー(株)製)、カラム(商品名:「TSK-GEL SUPER MULTIPORE HZ-H」、東ソー(株)製、内径4.6mm×長さ15cm×2本)、溶離液(THF)を用いて、温度40℃で測定した。
標準ポリスチレンによる検量線から、Mwを求めた。
(3)ガラス転移温度(Tg)
重合体のガラス転移温度をポリマーハンドブック[Polymer HandBook(J.Brandrup,Interscience,1989)]に記載されている値又はモノマーメーカーのカタログ値を用いてFox式から算出した。
(4)平均粒子径
コアシェルゴムの平均粒子径は、乳化重合で得られた重合体のポリマーラテックスの最終粒子径を、光散乱光度計(製品名:「DLS-700」、大塚電子(株)製)を用い、動的光散乱法で測定した。
(5)MFR(メルトフローレイト)
得られた樹脂組成物(C)について、メルトインデクサー(製品名「L243」、(株)テクノ・セブン製)を用いて、JIS K7210(A法)に従い、加熱時間4分でのMFRを測定した。
尚、MFRの測定条件は、温度を230℃、荷重を49Nとし、試料切り取り時間の間隔は、試料のMFR値に応じて60秒又は120秒とした。
(6)ゲル分率
得られた樹脂組成物(C)0.5gにアセトン50mlを加え、65℃で4時間撹拌した。その後、4℃、14000rpmで30分間遠心分離し、上澄みを取り除いた後に再度アセトンを50ml加え、再度同条件で遠心分離した。上澄みを除いた後、沈降したゲル部分を8時間真空乾燥して質量を測定し、以下の式によりゲル分を算出した。
ゲル分(%)=(ゲル部分の質量(g)/0.5)×100
(7)樹脂層(I)、(II)の厚さ
積層フィルムを適当な大きさに切り出し、反射分光膜厚計 FE3000(商品名、大塚電子(株)製)を用いて、樹脂層(I)、(II)の厚さを測定した。
(8)カールの評価
得られた積層フィルムを、20cm四方に切り出し、樹脂層(I)を上面として平滑なガラス板上に置いて、25℃、湿度50%にて6時間保持し、フィルム端部の状態を目視観察した。
端部がガラス面に接しているものを○、端部がガラス面から浮いているものを△、端部がカールして積層フィルム上面に接しているものを×とした。
(9)鉛筆硬度
得られた積層フィルムを、樹脂層(II)がアクリル樹脂板L001(商品名、三菱レイヨン(株)製)に接するように積層し、熱プレスで接着した。
得られた積層板を、JIS K-5600-5-4に従い、電動鉛筆引っかき硬度試験機553-M1(商品名、安田精機製作所製)及び、ユニ(商品名、三菱鉛筆(株)製)を用いて評価した。
(10)全光線透過率、曇価、黄色度及び白度
得られた積層フィルムの全光線透過率はJIS K7361-1、曇価はJIS K7136、黄色度はJIS K7373、白度はJIS Z8715に準拠して評価した。
(11)弾性率及び破断伸度
得られた積層フィルムを、製膜方向を長辺として150mm×15mmに切り出し、オートグラフ引張試験機(商品名、島津製作所(株)製)を用いて、チャック間距離100mm、引張速度50mm/分、にて引張試験を実施し、MD方向のフィルムの弾性率及び破断伸度を測定した。
(12)メラミン基材吸熱ピーク温度
DSC6200(製品名、SIIナノテクノロジー製)を用いて、メラミン基材を窒素気流下、25℃から200℃まで10℃/分で昇温した際の吸熱ピーク温度を測定して、第一吸熱ピーク温度をメラミン基材吸熱ピーク温度とした。
(13)耐薬品性(アセトン)
メラミン化粧板の表面にアセトンを滴下し、1分後に布で拭き取った後に外観を目視観察した。痕跡の無いものを「1」、微かに痕跡が見られたものを「2」、明確に痕跡があり、白化が見られたものを「3」、明確に痕跡があり、表面に僅かに凹凸が生じたものを「4」、表面に明確な凹凸が生じたものを「5」とした。
(14)耐薬品性(塗装試験)
メラミン化粧板の表面を塗装スプレー(商品名:シリコンラッカースプレー 黒色、(株)カンペパピオ製)を用いて塗装した後、乾燥速度を調整するために、5分間塗装箇所にシャーレを裏向きに載せて密閉し、その後、室温で1時間以上乾燥させた。
その後、拭き取りスプレー(商品名:KSR-300、ABC商会製)を用いて塗装を除去した後に外観を目視観察した。痕跡の無いものを「1」、微かに痕跡が見られたものを「2」、明確に痕跡が見られたものを「3」とした。
(15)耐熱水白化性評価
得られたメラミン化粧板を用いて、CEN(欧州標準化委員会)規格、EN438-2に従い、100℃、2時間煮沸試験を実施し、煮沸試験前後の白度変化を測定した。
(16)耐温水白化性評価
得られたメラミン化粧板を用いて、CEN(欧州標準化委員会)規格、EN438-2に従い、65℃、48時間、温水浸漬試験を実施し、温水試験前後の白度変化を測定した。
(17)密着性評価
室温状態のメラミン化粧板に対し、カッターナイフにより1mm間隔で100マスの碁盤目の切り込みを入れ、セロハンテープ(ニチバン(株)製)で剥がれ性を確認した。
この試験を初期状態、前記煮沸試験後、前記温水試験後に行ない、マスが全く剥がれない場合を○、1~9個のマスが剥がれる場合を△、10個以上のマスが剥がれる場合を×と評価した。
(18)耐候性
スガ試験機 スーパーキセノンウェザーメーター SX75を用い、照射強度60W/m(300-400nm)、フィルター#275にて、照射(63℃、50%RH)102分、照射+噴霧(95%RH)18分の、計120分を1サイクルとして試験を実施した。メラミン化粧板に対して試験を実施し、3000時間後での密着性を測定した。
<製造例1:コアシェルゴム(A-1A)の製造>
攪拌機を備えた容器に脱イオン水8.5部を仕込んだ後、撹拌を行ないながら下記の成分(ii)を加え、20分間攪拌を実施して乳化液を調製した。
次に、冷却器付き重合容器内に脱イオン水191.5部、下記の成分(i)を投入し、70℃に昇温した。次いで、窒素下で攪拌しながら、調製した乳化液を8分間にわたって重合容器内に滴下した後、15分間反応を継続させた。
続いて、下記の成分(iii)を、90分間にわたって前記重合容器内に滴下した後、60分間反応を継続させ、弾性共重合体のラテックスを得た。尚、弾性共重合体単独のTgは-48℃であった。
続いて、下記の成分(iv)を、45分間にわたって前記重合容器内に滴下した後、60分間反応を継続させ、弾性共重合体の上に中間重合体を形成した。尚、中間重合体単独のTgは20℃であった。
続いて、下記の成分(v)を、140分間にわたって前記重合容器内に滴下した後、60分間反応を継続させ、中間重合体の上に硬質重合体を形成した。以上の工程により、コアシェルゴム(A-1A)100部を含むラテックスを得た。尚、硬質重合体単独のTgは84℃であった。また、重合後に測定したコアシェルゴム(A-1A)の平均粒子径は0.12μmであった。
このコアシェルゴム(A-1A)のラテックスを、目開き50μmのフィルターで濾過した。次いで、酢酸カルシウムを用いて凝析させ、濾過、水洗、乾燥してコアシェルゴム(A-1A)を得た。
(i)
ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.2部
硫酸第一鉄 0.0001部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.0003部
(ii)
MMA 0.3部
BA 4.5部
AMA 0.05部
BDMA 0.2部
CHP 0.025部
RS610NA 1.1部
(iii)
MMA 1.5部
BA 22.5部
AMA 0.25部
BDMA 1.0部
CHP 0.016部
(iv)
MMA 6.0部
BA 4.0部
AMA 0.075部
CHP 0.013部
(v)
MMA 55.2部
BA 4.8部
nOM 0.22部
tBH 0.075部
<製造例2:熱可塑性重合体(A-2A)の製造>
反応容器内に窒素置換したイオン交換水200部を仕込み、乳化剤としてオレイン酸カリウム1部、過硫酸カリウム0.3部を仕込んだ。続いてMMA40部、BA10部、nOM0.005部を仕込み、窒素雰囲気下65℃にて3時間撹拌し、重合を完結させた。
続いて、MMA48部及びBA2部からなる単量体混合物を2時間に亘り滴下し、滴下終了後2時間保持し、重合を完結させた。
得られたラテックスを0.25質量%硫酸水溶液に添加して凝析させ、濾過、水洗、乾燥し、熱可塑性重合体(A-2A)を得た。
得られた熱可塑性重合体(A-2A)のMwは1,000,000であった。
<製造例3~5:フッ素系樹脂組成物(B2)~(B4)の製造>
製造例3では、フッ素系樹脂(B-1)としてT850を75部、アクリル系樹脂(B-2)としてVHを25部用い、この混合物100部に対し、添加剤(D-2)として1076を0.1部加え、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。
次いで、これを35mmφのスクリュー型二軸押出機(L/D=26)を用いて、シリンダー温度200~240℃、ダイ温度240℃の条件下で溶融混練し、ペレット化して、樹脂層(I)用のフッ素系樹脂組成物(B2)を得た。
製造例4では、T850を68部、VHを32部に変更した以外は、製造例3と同様にして、フッ素系樹脂組成物(B3)を得た。
製造例5では、T850を80部、VHを20部に変更した以外は、製造例3と同様にして、フッ素系樹脂組成物(B4)を得た。
<製造例6~12:反応性基含有アクリル樹脂(C-1A)~(C-1G)の製造>
製造例6では、撹拌機、還流冷却器、及び窒素ガス導入口等の付いた反応容器内に、以下の成分の混合物を仕込んだ。
MMA 80部
BA 5部
HPMA 15部
nOM 0.25部
LPO 0.4部
メチルメタクリレート/メタクリル酸塩/メタクリル酸エチルスルホン酸塩の共重合体 0.02部
硫酸ナトリウム 0.3部
イオン交換水 145部
容器内を充分に窒素ガスで置換し、その後撹拌しながら75℃まで加熱し、窒素ガス気流中で重合反応を進行させた。2時間後に95℃に昇温して更に60分保持して重合を完結させた。得られた重合体ビーズを、脱水、乾燥して反応性基含有アクリル樹脂(C-1A)を得た。
製造例7~12では、用いる単量体を表1に示す通りに変更した以外は、製造例6と同様にして、反応性基含有アクリル樹脂(C-1B)~(C-1G)を得た。
Figure 0007000690000001
<製造例13:コアシェルゴム(C-2A)の製造>
窒素雰囲気下、還流冷却器付き反応容器に脱イオン水153部を入れ、80℃に昇温した。下記の成分(i)を添加し、撹拌を行ないながら、下記の成分(ii)を添加した。その後1時間保持して重合を行ない、重合体ラテックスを得た。
続いて、重合体ラテックスにソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.1部を加えた。その後15分保持し、窒素雰囲気下80℃で撹拌を行ないながら、下記の成分(iii)を添加した。その後1時間保持して重合を行ない、コアシェルゴム(C-2A)のラテックスを得た。コアシェルゴム(C-2A)の平均粒子径は0.12μmであった。
このコアシェルゴム(C-2A)のラテックスを、目開き50μmのフィルターで濾過した。次いで、酢酸カルシウムを用いて凝析させ、濾過、水洗、乾燥してコアシェルゴム(C-2A)を得た。
(i)
ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.4部
硫酸第一鉄 0.00004部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.00012部
(ii)
BA 50.9部
St 11.6部
AMA 0.56部
tBH 0.19部
RS610NA 1.0部
(iii)
MMA 35.6部
MA 1.9部
tBH 0.056部
nOM 0.16部
RS610NA 0.25部
<製造例14:熱可塑性重合体(C-3A)の製造>
熱可塑性重合体(C-3)は、熱可塑性重合体(A-2A)と同様のものを使用した。
<製造例15:熱可塑性重合体(C-3B)の製造>
反応容器内に窒素置換したイオン交換水200部を仕込み、乳化剤としてオレイン酸カリウム1部、過硫酸カリウム0.3部を仕込んだ。続いてMMA80部、BA20部、nOM0.001部を仕込み、窒素雰囲気下65℃にて3時間撹拌し、重合を完結させた。
得られたラテックスを0.4質量%硫酸と2.5質量%硫酸アルミニウムを含む水溶液に添加して凝析させ、濾過、水洗、乾燥し、熱可塑性重合体(C-3B)を得た。
得られた熱可塑性重合体(C-3B)のMwは4,000,000であった。
<製造例16:樹脂組成物(A1)の製造>
製造例16では、コアシェルゴム(A-1A)100部に対し、熱可塑性重合体(A-2A)を4部、添加剤(D-1)としてLA31を2.36部、2020を0.45部、S90Vを0.25部、1076を0.1部用いたこと以外は、製造例3の手順と同様にして、樹脂組成物(A1)を得た。
<製造例17~34:樹脂組成物(C1)~(C18)の製造>
表2に示す通りの材料を用いること以外は、製造例3の手順と同様にして、樹脂組成物(C1)~(C18)を得た。
Figure 0007000690000002
<実施例1~29:積層フィルム及びメラミン化粧板の作成>
実施例1では、製造例16で得た樹脂層(I)用のアクリル樹脂組成物(A1)と、製造例17で得た樹脂層(II)用の樹脂組成物(C1)を80℃で一昼夜乾燥した。
シリンダー温度を230℃に設定した30mmφの押出し機で(C1)を可塑化した。また、シリンダー温度を240℃に設定した400メッシュのスクリーンメッシュを設けた40mmφの押出し機でアクリル樹脂組成物(A1)を可塑化した。
次いで、240℃に設定した2種2層用フィードブロックダイで、厚さ50μmの樹脂積層フィルムに製膜した。樹脂層(I)及び(II)の厚さはそれぞれ45μm及び5μmであった。得られた積層フィルムのカール、鉛筆硬度、全光線透過率、曇価、黄色度、弾性率、破断伸度を表3に示す。
Figure 0007000690000003
Figure 0007000690000004
更に、この積層フィルムの樹脂層(II)面側にメラミン基材を積層し、両面を鏡面のステンレス板で挟み、温度160℃、圧力4MPa、時間20分の条件でプレスしてメラミン化粧板を作成した。得られたメラミン化粧板の耐薬品性、耐水試験及び耐候性試験後の密着性と白度を表5に示す。使用したメラミン基材の吸熱ピーク温度は100℃であった。
Figure 0007000690000005
Figure 0007000690000006
また、実施例2~29では、表3,4に示す通りの材料を使用し、樹脂層(I)及び(II)の厚さを表3,4に示す通りとしたこと以外は、実施例1の操作と同様にして、積層フィルム及びメラミン化粧板を作成した。得られたメラミン化粧板の評価結果を表3~6に示す。
<比較例1~4>
表3,4に示す通りの材料を使用し、樹脂層(I)及び(II)の厚さを表3,4に示す通りとしたこと以外は、実施例1と同様にして、積層フィルム及びメラミン化粧板を作成した。得られたメラミン化粧板の評価結果を表3~6に示す。
上記の実施例及び製造例より、次のことが明らかとなった。実施例1~29で得られた積層フィルムはメラミン基材との接着性に優れ、これらの積層フィルムを用いたメラミン化粧板は密着性評価で10個以上のマスが剥離することがなかった。更に、温水試験後の密着性が良好で白度の上昇が低く、耐久性に優れたメラミン化粧版を得ることができる。更に、引張試験における破断伸度が10%以上であるため、取扱い性及び生産性に優れ、工業的利用価値が高い。
また、実施例12~29で得られた積層フィルムは樹脂層(I)にフッ素系樹脂組成物(B)を用いているために耐薬品性に優れ、塗装試験の際にも外観の変化が抑制されていた。これらの積層フィルム及びメラミン化粧板は接着性及び耐薬品性が良好であり、工業的利用価値が高い。特に、樹脂層(I)として、フッ素系樹脂含有率が95%以上である実施例12、20、23、25、27では、アセトン試験の際にも外観の変化が抑制されており、工業的利用価値がより高い。また、樹脂層(I)のフッ素樹脂含有率が95%未満である実施例13~19、21、22、24、26、28、29では、積層フィルムのカールが抑制されており、取扱い性が良好で、鉛筆硬度も高いことから耐傷付き性にも優れており、工業的利用価値がより高い。
一方、比較例1、2、4で得られたフィルムは、反応性基含有アクリル樹脂(C-1)のTgが60℃未満であるため、温水試験への耐性が低く、密着性の低下及び白度の大幅な上昇が見られた。
また、比較例3で得られたフィルムは、樹脂層(II)にコアシェルゴム(C-2)を含有しないために、引張試験における破断伸度が10未満で取扱い性に劣る。更に、初期状態での密着性に若干劣り、煮沸試験及び温水試験後の密着性に劣る。
以上、実施形態及び実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。

Claims (18)

  1. アクリル樹脂組成物(A)又はフッ素系樹脂組成物(B)からなる樹脂層(I)と、反応性基含有アクリル樹脂(C-1)とコアシェルゴム(C-2)と添加剤(D-3)とを含有する樹脂組成物(C)からなる樹脂層(II)とを備える積層フィルムであって、
    反応性基含有アクリル樹脂(C-1)のガラス転移温度が60~120℃であり、
    反応性基含有アクリル樹脂(C-1)が水酸基を有する単量体単位を含有し、
    添加剤(D-3)がアンチブロッキング剤であり、
    前記樹脂組成物(C)の水酸基価が15~300mgKOH/gである、積層フィルム。
  2. 前記水酸基が2級水酸基である、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記樹脂組成物(C)がさらに熱可塑性樹脂(C-3)を含有する、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 前記反応性基含有アクリル樹脂(C-1)と前記コアシェルゴム(C-2)との合計100質量に対する前記反応性基含有アクリル樹脂(C-1)の割合が10~90質量%であり、前記コアシェルゴム(C-2)の割合が10~90質量%であり、前記反応性基含有アクリル樹脂(C-1)と前記コアシェルゴム(C-2)との合計100質量部に対する前記添加剤(D-3)の割合が0.1~10質量部である、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  5. 前記反応性基含有アクリル樹脂(C-1)と前記コアシェルゴム(C-2)との合計100質量に対する前記反応性基含有アクリル樹脂(C-1)の割合が40~90質量%であり、前記コアシェルゴム(C-2)の割合が10~60質量%であり、前記反応性基含有アクリル樹脂(C-1)と前記コアシェルゴム(C-2)との合計100質量部に対する前記添加剤(D-3)の割合が0.1~10質量部である、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  6. 前記反応性基含有アクリル樹脂(C-1)と前記コアシェルゴム(C-2)との合計100質量部に対する前記熱可塑性樹脂(C-3)の割合が0.1~10質量部である、請求項3~5のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  7. 前記熱可塑性樹脂(C-3)がメタクリル酸アルキルエステルを主成分とする重合体である、請求項3~6のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  8. 曇価が10未満である、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  9. 前記反応性基含有アクリル樹脂(C-1)中の芳香族ビニル単量体単位の含有率が、反応性基含有アクリル樹脂(C-1)100質量%に対して0~3質量%である、請求項1~8のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  10. 前記樹脂組成物(C)のゲル分率が0~80%である、請求項1~9のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  11. 厚さが100μm以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  12. 前記樹脂層(II)の厚さが30μm以下である、請求項1~11のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  13. 破断伸度が10%以上である、請求項1~12のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  14. 請求項1~13のいずれか1項に記載の積層フィルムの製造方法であって、共押出法により製造する、積層フィルムの製造方法。
  15. 請求項1~13のいずれか1項に記載の積層フィルムの製造方法であって、塗工法により製造する、積層フィルムの製造方法。
  16. 請求項1~13のいずれか1項に記載の積層フィルムを備える保護フィルム。
  17. 請求項1~13のいずれか1項に記載の積層フィルムを備えるメラミン化粧板表面保護用フィルム。
  18. 請求項1~13のいずれか1項に記載の積層フィルムと、メラミン基材とが、樹脂層(I)、樹脂層(II)、メラミン基材の順に積層されたメラミン化粧板。
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