JP6998806B2 - ガスプラズマ殺菌設備 - Google Patents
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Description
この文献に開示の技術は、粒状や粉末状の殺菌対象物(具体的には種子)の種類や特性に応じたプラズマ発生を行い、悪影響を抑制して安定的かつ確実に殺菌を行うことができ、バッチ処理でも殺菌が行える小型化できるプラズマ殺菌装置を提供することを目的としている。
このプラズマ殺菌装置は、殺菌容器14内に構成されており、この容器14内に設けられた載置部1への殺菌対象(例えば農産物の種子)の出し入れを必要となる。従って、大量の種子を連続的に処理する用途には向いていない。
さらに、これまでの殺菌方法との比較では、農薬或いは水を使用することは環境問題等との関係から好ましくない。
プラズマ源となるガスが流れるガス流路に少なくとも一対の電極を備え、前記一対の電極間に交流電圧を印加して、前記一対の電極間でガスプラズマを発生するとともに、発生されたガスプラズマを前記ガス流路の出口から大気中に放出して、当該出口外方に向けてガスプラズマの存続移動領域を形成するガスプラズマ発生装置と、
前記ガスプラズマ発生装置の前記存続移動領域内に種子を保持する保持手段と備え、
前記保持手段により保持された前記種子に、異なった方向から前記ガスプラズマを照射可能に構成され、
前記ガス流路の出口が対向して配置される少なくとも一対の前記ガスプラズマ発生装置を備え、
前記保持手段に保持された状態で、前記少なくとも一対の前記ガスプラズマ発生装置で発生される対向位置する少なくとも一対の前記存続移動領域内に種子が保持される構成で、
前記保持手段が、前記種子をコンベア面上に分散保持した状態で、当該コンベア面を貫通して前記ガスプラズマが移動可能な孔を備えたコンベア装置から構成され、
前記コンベア装置が、対向配置される前記ガスプラズマ発生装置間に位置され、コンベア面が停止する停止状態で、前記保持手段として働く点にある。
前記ガスプラズマの存続移動領域内に位置保持された前記種子の姿勢を変更する姿勢変 更手段を備えた点にある。
前記姿勢変更手段が、前記コンベア装置のコンベア面上に分散された前記種子に気流を当てて姿勢変更させる姿勢変更機構と前記コンベア面を振動させる振動機構との何れか一方又はそれらの両方である点にある。
前記保持手段がコンベア装置で構成され、
前記コンベア装置のコンベア面が、前記種子を保持可能な形態で気流の透過を許容する透過型コンベア面として構成され、
前記ガスプラズマ発生装置の前記ガス流路の出口が、前記コンベア面の一方に側に位置されるとともに、前記気流を前記コンベア面の背面側から供給する送風手段を備えた点にある。
ガスプラズマの放出方向が同一とされる複数のガスプラズマ発生装置を分散配置して備え、
分散配置された前記複数のガスプラズマ発生装置のガスプラズマの存続移動領域間に渡って前記種子が移動して複数の前記存続移動領域において殺菌される点にある。
前記保持手段が、前記種子をコンベア面上に分散保持した状態で移動させるコンベア装 置から構成され、
前記複数のガスプラズマ発生装置の分散配置方向が、前記コンベア装置の搬送方向とされている点にある。
1.第1実施形態
図1に本実施形態に係るガスプラズマ殺菌設備100の外観を、図2にその側面視説明図を示した。これらの図は、本実施形態の理解を容易とするため簡略化して描いている。
この図からも判明するように、ガスプラズマ殺菌設備100は、殺菌対象である多数の種子1が分散されて搬送されるコンベア装置2を備えて構成され、そのコンベア装置2の搬送方向Dの特定位置に、複数(図示する例では6個)のガスプラズマ発生装置3を備えて構成されている。このガスプラズマ発生装置3は、種子1が保持されるコンベア面2aを挟んで、上下に対を成して配設されている(図2参照)。
ガスプラズマ発生装置3の具体的構成を図3に示した。
ガスプラズマ発生装置3は、プラズマ源となるガスgが流れるガス流路3aに少なくとも一対の電極3bを備え、これら一対の電極3b間に交流電圧を印加して、一対の電極3b間でガスプラズマを発生する。発生されたガスプラズマはガス流路3aの出口outから大気中に放出され、当該出口out外方に向けてガスプラズマの存続移動領域Zを形成する。
前記ガス流路3aは、後述するように絶縁材料の直管3c内に形成されており、この直管3c内に固定された各電極3bに交流電圧を印加する電圧印加装置3dを備えている。
ガス流路3aには、プラズマ源となるガスgを供給するが、このガスgは、特に限定されず、単原子ガス、例えば、ヘリウムやアルゴン等、多原子ガス、例えば、酸素、二酸化炭素、窒素、水素等、複数の成分からなる混合ガス、例えば、空気、前記の単原子分子や前記の多原子分子の任意の組み合わせに係る混合ガス等を挙げることができる。
ガス流路3aは、絶縁材料(例えばガラスやセラミック)からなる直管3c内に形成され、その入口inからガスgが供給される。
このガス流路3a長さは、少なくとも一対の電極3bを配するに十分な長さを有しておればよい。但し、直管3cを長くすることで、電極3b間をガスgが通過に要する時間が増加し、付与されるエネルギー量も増加する。このガス流路3aの長さは、最大10cm程度である。
電極3bを構成する帯状電極の材質は、銅、銀、ニッケル、アルミニウム、ステンレス等の金属や導電性金属酸化物、カーボン等の有機導電材料を挙げることができる。
図3からも判明するように、両電極3bはガス流路3aの長手方向に所定長さ(本実施形態の場合は20mm)離間されて配置されている。一方、存続移動領域Zの長さを40mm程度まで確保している。
電圧印加装置3dは、交流電圧(好適には、一定周期で変化する、正弦波電圧の交流電圧)を一対の帯状電極3b間に印加し、直管3c内に大気圧下でグロー放電を生起させる手段である。同図示した電圧印加装置3dには、直管3c内において入口in側に位置される電極3bに関しては、所定の電圧範囲で交流電圧を印加可能な交流電源部3d1,電圧調整部3d2を備えている。一方、直管3c内において出口out側に位置される電極3bに関しては、当該電極3bを所定の電圧に維持する電圧維持部3d3を備えるととともに、両電極3b間に流れる電流に対して抵抗となる抵抗部3d4を備えている。この構造にあっては、電撃は入口in側から出口out側へ発生する。
交流電源部3d1と電圧維持部3d3との同期は、同期制御装置C3によるものとした。
電圧
正弦波交流電圧の最大電圧は、高すぎるとグロー放電からアーク放電になってしまい直管3c等を損傷させる場合があり、低すぎるとグロー放電を生起させない場合がある。また、印加電圧が高すぎる場合には、直管3c外周の隣接する帯状電極3b間で沿面放電が発生してしまう可能性がある。よって、電極2b間最大電圧は、好適には5~25kVp-pであり、より好適には5~15kVp-pである。
印加する電圧の周波数は、特に制限はなく、数kHzの低周波から数十kHz或いはMHz単位の高周波まで適用できる。しかし、周波数が高くなるほど絶縁が困難となる。よって、周波数は、好適には5kHz~5MHzであり、より好適には5kHz~1MHzであり、特に好適には10~30kHzである。図4は、一対の帯状電極間に正弦波交流電圧を印加した際のタイミングチャート例である。
本発明にあっては、この存続移動領域Z内に殺菌対象である種子1の少なくとも一部表面があることが必要とする。
そこで、図1、図2に示すように、ガスプラズマ殺菌設備100は、ガス流路3aの出口outが対向して配置される少なくとも一対のガスプラズマ発生装置3を備え、コンベア装置2のコンベア面2aに種子1が保持された状態で、少なくとも一対のガスプラズマ発生装置3で発生せれる対向する少なくとも一対のガスプラズマの前記存続移動領域Z内に種子1が位置されガスプラズマが種子1に上下両面から照射され殺菌処理される。図において、存続移動領域Zの先端のみが種子1に当たっているように図示しているが、これは複数方向から照射されるガスプラズマの照射形態の理解を容易とするためであり、実際は存続移動領域Zは一定の広がりを有し、種子1の表面を包む形態となっている(図2、5,6,7で同じ)。
このようにして、図3に示すように、存続移動領域Zの長さを40mm程度まで確保している。
そこで、コンベア面2a上に種子1を保持する一対の突出ガイド2bgを設けた保持部2bを設け、この保持部2bに保持され状態の種子1が、ガスプラズマ発生装置3の下部及び上部に位置する位相で、コンベア装置2は停止される。そして、所定時間、種子1をガスプラズマの存続移動領域Z内に保持する。よって、少なくともこの保持部2bには、コンベア面2aを表裏方向に貫く複数の孔2cが設けられている。この孔2cは、種子1の落下を防止するため、その孔径は種子1を落下させることのない径とされている。
従って、第1実施形態では、コンベア装置2の運転・停止を伴う順次処理となる。
図5に、この実施形態に係るガスプラズマ殺菌設備101の外観を、図6に側面視説明図を示した。第1実施形態との比較からも明らかなように、第1実施形態においてコンベア装置2の搬送方向Dに直交して、一列に配設していたガスプラズマ発生装置列30を、コンベア装置2の搬送方向Dに複数列(図示する例では30列)としたものである。即ち、複数のガスプラズマ発生装置30がこの搬送方向Dに沿って分散配置されている。
この様に配置することで、第1実施形態では、コンベア装置2の停止を伴った処理とする必要があった種子1の殺菌を、コンベア装置2を停止することなく連続運転した状態で行うことができる。
この実施形態では、コンベア面2aの全面に均等に孔2cを設けている。
この参考形態のガスプラズマ殺菌設備103を図7に示した。
第1実施形態、第2実施形態に係るガスプラズマ殺菌設備100、101では、コンベア装置2のコンベア面2aに、ガスプラズマが透過可能な孔2cが多数形成しておき、この孔2cをガスプラズマが通過する状態で、対向して発生される少なくとも一対のガスプラズマ存続移動領域Z(上側に発生される存続移動領域Zと下側に発生される存続移動領域Z)内に種子1を挟んで、種子1の殺菌を少なくとも2方向から行うものとした。
そこで、ガスプラズマ発生装置3の配置は、コンベア装置2のコンベア面2a片側(例えば上側)のみとして、種子1の姿勢を変更しようとするのが参考形態である。
この参考形態では、コンベア装置2の上側に位置されるガスプラズマ発生装置群300は、第2実施形態と同様にコンベア装置2の搬送方向Dにも配置している。従って、連続処理が可能である。
ガスプラズマ発生装置3の運転条件を以下に箇条書きした。照射は種子1の上方からの片側方向照射とした。
ガス流量 :5 リットル/min
電極間電圧 :11.0 kVp-p
電極間電流 :5.3 mAp-p
交流周波数 :27.0 kHz
入力電力量 :2.6 W(電流電圧特性値から見積もった)
図8(a)(b)に試験結果を示した。
同図(a)が大腸菌の結果であり、(b)が黄色ブドウ球菌の結果である。
これら図で、縦軸は「種子重量当たり 生菌数(CFU/g-DRY-Seed)」を示しており、横軸は「ガスプラズマ照射時間(min)」を示している。
ガスプラズマの照射時間(殺菌処理時間)を長くすること殺菌性を向上できる。
片面処理であっても、10分の処理で菌種によらず約90~99%の殺菌が可能であった。
(1)上記の実施形態においては、電極3bは帯状とし、それをガス流路3aに周回する構成で設ける例を示したが、例えば、電極の数を多くしてもよい。
2 コンベア装置(保持手段)
2a コンベア面
3 ガスプラズマ発生装置
3a ガス流路
3b 電極
100 ガスプラズマ殺菌設備
300 ガスプラズマ発生装置群
400 送風機構(姿勢変更手段)
401 送風機構(姿勢変更手段)
W 気流
Z ガスプラズマの存続移動領域
g ガス
out 出口
Claims (6)
- プラズマ源となるガスが流れるガス流路に少なくとも一対の電極を備え、前記一対の電極間に交流電圧を印加して、前記一対の電極間でガスプラズマを発生するとともに、発生されたガスプラズマを前記ガス流路の出口から大気中に放出して、当該出口外方に向けてガスプラズマの存続移動領域を形成するガスプラズマ発生装置と、
前記ガスプラズマ発生装置の前記存続移動領域内に種子を保持する保持手段と備え、
前記保持手段により保持された前記種子に、異なった方向から前記ガスプラズマを照射可能に構成され、
前記ガス流路の出口が対向して配置される少なくとも一対の前記ガスプラズマ発生装置を備え、
前記保持手段に保持された状態で、前記少なくとも一対の前記ガスプラズマ発生装置で発生される対向位置する少なくとも一対の前記存続移動領域内に種子が保持される構成で、
前記保持手段が、前記種子をコンベア面上に分散保持した状態で、当該コンベア面を貫通して前記ガスプラズマが移動可能な孔を備えたコンベア装置から構成され、
前記コンベア装置が、対向配置される前記ガスプラズマ発生装置間に位置され、コンベア面が停止する停止状態で、前記保持手段として働くガスプラズマ殺菌設備。 - 前記ガスプラズマの存続移動領域内に位置保持された前記種子の姿勢を変更する姿勢変更手段を備えた請求項1記載のガスプラズマ殺菌設備。
- 前記姿勢変更手段が、前記コンベア装置のコンベア面上に分散された前記種子に気流を当てて姿勢変更させる姿勢変更機構と前記コンベア面を振動させる振動機構との何れか一方又はそれらの両方である請求項2記載のガスプラズマ殺菌設備。
- 前記コンベア装置のコンベア面に前記種子を面上に保持可能な形態で気流の透過を許容する透過型コンベア面として構成され、
前記ガスプラズマ発生装置の前記ガス流路の出口側に、前記コンベア面が位置されるとともに、前記気流を、前記ガスプラズマ発生装置の配置側に対して前記コンベア面の背面側から供給する送風手段を備えた請求項2記載のガスプラズマ殺菌設備。 - ガスプラズマの放出方向が同一とされる複数のガスプラズマ発生装置を分散配置して備え、
分散配置された前記複数のガスプラズマ発生装置のガスプラズマの存続移動領域間に渡って前記種子が移動して複数の前記存続移動領域において殺菌される請求項1から4の何れか一項記載のガスプラズマ殺菌設備。 - 前記コンベア装置が、前記種子をコンベア面上に分散保持した状態で移動させ、
前記複数のガスプラズマ発生装置の分散配置方向が、前記コンベア装置の搬送方向とされている請求項5記載のガスプラズマ殺菌設備。
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