JP6996879B2 - 放射温度測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、赤外線センサを用いた放射温度測定装置に関する。
従来、赤外線センサを用いて非接触で対象物の温度を測定する装置が知られている。その応用製品例は、放射温度計(非接触温度計)、あるいはサーモグラフィ(赤外線カメラ)などである。この装置の実際の測定原理は、対象物の放射電磁波エネルギーがその対象物の温度によってのみ決まることを用いる。すなわち、赤外線センサにより、対象物の放射電磁波エネルギーの大部分を占める赤外線波長帯域の放射エネルギーを測定することができる。そのエネルギー測定値から対象物の温度を計算する。
現在、もっともよく製造および利用される赤外線センサの波長は、8μm~14μmの帯域(以下遠赤外線帯域と呼ぶ)である。この理由は、我々の生活環境下での温度付近(300ケルビン程度)においては、放射エネルギーがもっとも大きくなる波長が10μm程度の遠赤外線帯域だからである。このことにより、他の波長帯域と比べて全電磁波長帯域を積分することによって得られるステファンボルツマン(Stefan-Boltzmann)の4乗法則に近い特性を持つ測定結果を取得することができる。
一方で、この手法では都合の悪い測定結果をもたらす場合がある。それは、ガラスのような反射する物体の温度を放射温度計で測定する場合である。よく知られているように、ガラスは可視光帯域では4%程度の反射成分を持つ。しかし、前記の遠赤外線帯域では反射率が20%程度とかなり大きくなる。この影響が、従来の放射温度計による温度測定において精度の悪化をもたらしていた。
特開平8―35884号公報 特開2014―44091号公報
田中哲雄他、「5.5~7.9μmサーモグラフィ装置の開発とその応用」、日本赤外線学会誌、1998年12月、第8巻第2号、p39-p47
前記のように、温度を測定する際に生じる反射の問題を克服する技術が非特許文献1に記載されている。本論文の手法によれば、ガラス表面で生じるこの大きな反射成分を低減するには、通常の放射温度計やサーモグラフィで用いている遠赤外線帯域とは異なる、反射率の小さい5μm~8μm程度の波長(以下中赤外線帯域と呼ぶ)を検知することが明記されている。
しかし、本論文にも記載されているように、この中赤外線帯域は水蒸気(H2O)の吸収帯域でもある。本論文では、この測定空間に存在する水蒸気の吸収影響を補正する手段及びモデルと計算式が明記されている。この手段は、一言でいえば、気体が発する電磁波の吸収率と放射率は等しい、というキルヒホッフ(Kirhihoff)の法則を適用している手段である。すなわち、水蒸気の吸収影響があることにより、ガラスから物体に届く赤外線エネルギーは水蒸気の吸収率の分だけ小さくなる。さらに、水蒸気自身から物体には前記吸収率と同じ放射率の赤外線エネルギーが放射される。本論文では、中赤外線帯域を検知する赤外線センサには、このようなエネルギーの変化があるとみなして補正計算式を組み立てている。
この手段乃至原理は確かに正しいのだが、実際に放射温度計にてガラスの温度測定を行うには以下2つの問題点がある。
1つ目は、本論文内でも著者自らが指摘しているが、中赤外線帯域における気体の吸収は水蒸気に限らないことである。よく知られているものとしては、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)などが挙げられる。特に二酸化炭素は測定距離が長いと影響が大きく、無視することができない場合もある。
2つ目は、そもそも水蒸気吸収影響を完全にゼロにする測定は、現実の環境下では不可能なことである。原理的には、物体と赤外線センサとの距離をゼロにするか、あるいは相対湿度(絶対湿度でも可)をゼロにすればいいが、両者とも実現不可能なことは明らかである。
この非特許文献1にもっとも類似する先行特許が特許文献1である。ただし、この特許文献1では水蒸気の吸収帯域、特に5μm~8μm程度の波長を検知することだけが明記されており、この水蒸気の吸収影響を補正することにはまったく言及も示唆もされていない。当然、補正の手段もまったく記載がない。
一方で、特許文献2には、5μm~8μm程度の波長を検知する赤外線センサを用いることが記載されている。このこと自体は非特許文献1、特許文献1と同様であるが、この特許文献2は、非特許文献1のように別に測定した湿度を用いて放射温度を補正演算するのではなく、逆にこの赤外線センサの出力と該出力から求めた物体の温度に基づいて(環境下の)湿度をさらに求める技術である。
本発明は、従来の未解決の課題に着目してなされたものであり、水蒸気吸収の大きくなる中赤外線帯域を検知する赤外線センサを使用しても、水蒸気および二酸化炭素、メタンなどの吸収影響を低減することの可能な放射温度測定装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る放射温度測定装置は、赤外線センサを用いて物体の表面温度を非接触で測定する放射温度測定装置において、前記物体との間に存在する大気による吸収帯域を含む波長を検出する赤外線センサと、前記赤外線センサの出力を測定する測定手段と、前記吸収帯域における波長ごとの水蒸気吸収係数に基づいて、前記測定手段により前記物体の表面温度を測定している時の、前記吸収帯域の波長における前記大気による吸収率を演算する吸収率演算手段と、前記赤外線センサの出力を前記物体の表面温度に変換するための変換情報を予め記憶する記憶手段と、前記測定手段で測定した前記赤外線センサの出力と、前記吸収率演算手段で演算した吸収率と、前記記憶手段で記憶する前記変換情報と、から前記物体の表面温度を演算する表面温度演算手段と、を備え、さらに、前記吸収帯域における波長ごとの水蒸気吸収係数に基づいて、前記変換情報取得時の前記吸収帯域の波長における前記大気による吸収率を予め演算し、その演算結果を記憶する吸収率記憶手段と、前記表面温度演算手段で演算された前記物体の表面温度を、前記吸収率記憶手段に記憶している吸収率を用いて補正する補正手段と、を備えることを特徴としている。
また、本発明の他の態様に係る放射温度測定装置は、赤外線センサを用いて物体の表面温度を非接触で測定する放射温度測定装置において、前記物体との間に存在する大気による吸収帯域を含む波長を検出する赤外線センサと、前記赤外線センサの出力を測定する測定手段と、前記吸収帯域における波長ごとの水蒸気吸収係数に基づいて、前記測定手段により前記物体の表面温度を測定している時の、前記吸収帯域の波長における前記大気による吸収率を演算する吸収率演算手段と、前記赤外線センサの特性を表す係数を含み前記赤外線センサの出力を前記物体の表面温度に変換するための予め設定された変換式と、予め検出された前記赤外線センサの特性を表す前記係数の値と、を記憶する記憶手段と、前記測定手段で測定した前記赤外線センサの出力と、前記吸収率演算手段で演算した前記吸収率と、前記記憶手段に記憶している前記係数の値を含む前記変換式と、から前記物体の表面温度を演算する表面温度演算手段と、前記吸収帯域における波長ごとの水蒸気吸収係数に基づいて、前記記憶手段に記憶している前記係数の値が検出されたときの、前記吸収帯域の波長における前記大気による吸収率を予め演算し、その演算結果を記憶する吸収率記憶手段と、を備え、前記表面温度演算手段は、前記吸収率記憶手段に記憶している吸収率で補正した前記変換式を用いて前記物体の表面温度を演算することを特徴としている。
さらに、本発明の他の態様に係る放射温度測定装置は、赤外線センサを用いて物体の表面温度を非接触で測定する放射温度測定装置において、前記物体との間に存在する大気による吸収帯域を含む波長を検出する赤外線センサと、前記赤外線センサの出力を測定する測定手段と、前記吸収帯域における波長ごとの水蒸気吸収係数に基づいて、前記測定手段により前記物体の表面温度を測定している時の、前記吸収帯域の波長における前記大気による吸収率を演算する吸収率演算手段と、前記赤外線センサの出力を前記物体の表面温度に変換するための予め設定された変換情報を記憶する記憶手段と、前記吸収帯域における波長ごとの水蒸気吸収係数に基づいて、前記変換情報が設定されたときの、前記吸収帯域の波長における前記大気による吸収率を予め演算し、その演算結果を記憶する吸収率記憶手段と、前記測定手段で測定した前記赤外線センサの出力と、前記吸収率演算手段で演算した前記吸収率と、前記吸収率記憶手段に記憶している前記吸収率と、前記記憶手段に記憶している前記変換情報と、から前記物体の表面温度を演算する演算手段と、を備えることを特徴としている。
本発明の一態様によれば、水蒸気吸収の大きくなる中赤外線帯域を検知する赤外線センサを使用しても、簡単な装置及び方法によって現実に存在する水蒸気および二酸化炭素、メタンなどの吸収影響を低減することができ、その結果、精度の高い正確な補正が可能な赤外線帯域を用いた放射温度測定装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る放射温度測定装置を示す機能ブロック図である。 放射温度測定装置100と温度測定対象物101の測定系を示す模式図である。 放射温度測定装置100の動作の一例を示すフローチャートである。 赤外線帯域における水蒸気吸収係数の一例を示したグラフである。 出力記憶部4及び吸収率記憶部5への記憶情報を測定する際の測定系の一例を模式的に示した説明図である。 本発明の一実施形態に係る放射温度測定装置の一例を示す機能ブロック図である。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の具体的な構成について記載されている。しかしながら、このような特定の具体的な構成に限定されることなく他の実施態様が実施できることは明らかである。また、以下の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴的な構成の組み合わせの全てを含むものである。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一部分には同一符号を付している。ただし、図面は模式的なものである。
(実施形態の構成)
図1は、本発明にかかる放射温度測定装置100の実施形態の構成例を示す機能ブロック図である。
図1において、1は赤外線センサである。この赤外線センサ1は、ガラスの温度を測定するような場合(本発明の一実施形態の場合)においては、波長帯域を従来の遠赤外線帯域(8μm~14μm)ではなく、ガラスの反射影響を抑えるために中赤外線帯域(5μm~8μm)とすることが好ましい。
2は出力測定部であり、赤外線センサ1の出力を測定するブロック(測定手段)である。一般のセンサと同様に、出力測定部2から出力される赤外線センサ1の出力測定値は、デジタル値もしくはアナログ電圧値で出力されるものとする。
3は吸収率演算部であり、表面温度を測定する温度測定対象物101と赤外線センサ1との間に存在する水蒸気(H2O)の吸収率を演算するブロック(吸収率演算手段)である。このH2O吸収率を演算する具体的な手段については後述する。
4は出力記憶部である。この出力記憶部4は、出力測定部2から出力される赤外線センサ1の出力測定値が、デジタル値もしくはアナログ電圧値であることに起因する。すなわち、実際に放射温度測定装置100を利用するにあたっては、出力測定部2の出力値がどれだけの物理量(本発明の実施形態の場合には温度測定対象物101の表面温度)に対応しているかを予め知っておかねばならない。言い換えれば、出力記憶部4は前記既知の情報(本発明の実施形態の場合には出力測定部2から出力される赤外線センサ1の「出力測定値から表面温度への変換情報」)を記憶するためのブロック(記憶手段)である。
5は吸収率記憶部(吸収率記憶手段)である。吸収率記憶部5に記憶される情報乃至は値については後述する。従来の技術では、出力記憶部4は備えられていたが、この吸収率記憶部5が備えられている装置は皆無であった。本発明の実施形態では、この吸収率記憶部5は、出力記憶部4に格納された「出力測定値から表面温度への変換情報」に付随して記憶される。この吸収率記憶部5を新設することによって、より正確にH2O吸収影響の補正を行う放射温度測定装置100を提供することが可能となる。
6は、表面温度演算補正部(表面温度演算手段、補正手段、演算手段)である。表面温度演算補正部6は、出力測定部2からの出力測定値を、温度測定対象物101の表面温度に変換する。表面温度演算補正部6は、出力記憶部4に記憶された「出力測定値から表面温度への変換情報」だけでなく、吸収率記憶部5に記憶された記憶値も利用して表面温度Tbを演算する。
図2は、放射温度測定装置100と温度測定対象物101の測定系を示す模式図である。さらに、この模式図には直接的に測定する物理量および放射温度測定装置100によって初めて得られる物理量も文字式で書き込んである。各物理量の詳細は以下の通りである。
・出力測定値V:出力測定部2の出力値を示す。出力測定値Vは直接的に測定可能な量である。
・放射温度測定装置100の温度(以下、測定装置温度という。)Tr:赤外線センサ1に小型の接触式温度計(熱電対等)を取り付けるのがもっとも一般的である。測定装置温度Trは直接的に測定可能な量である。
・表面温度Tb:赤外線センサ1の出力を表す出力測定値Vから、予め記憶された「出力測定値から表面温度への変換情報」に基づいて得られる、温度測定対象物101の表面温度を表す測定量である。この通り、表面温度Tbは本発明の実施形態に係る放射温度測定装置100によって初めて得られる量であり、直接的に測定可能な量ではない。
・放射温度測定装置100から温度測定対象物101までの距離d:後述のH2Oの透過率に影響を与える物理量である。距離dは、当然測定可能な量である。
・空間温度Ta:放射温度測定装置100と温度測定対象物101との間の空間における温度である。空間温度Taは直接的に測定可能な量である。多くの場合、放射温度測定装置100は均一な温度の空間内に置かれるので、空間温度Taは、放射温度測定装置100の温度Tsと同じ温度となる。
・空間湿度Ha:放射温度測定装置100と温度測定対象物101との間の空間における湿度である。空間湿度Haを空間温度Taとともに測定する場合には相対湿度を測定すればよい。一方で、絶対湿度を測定することが可能であれば、空間の温度測定は不要となる。
・H2O吸収率1-τ:前記の距離d、空間温度Ta、空間湿度Haと他の諸量から求めることができる。一般にH2O分子の反射率はゼロであるので、透過率をτとすると吸収率は1-τとして表すことができる。
次に、図1と図2に基づいて、放射温度測定装置100における表面温度Tbの求め方を図3のフローチャートで示す。なお、このフローチャートは一例であり、すべてが必須の項目ではないし、順番もこれに限るものではない。
放射温度測定装置100に測定開始を命令すると、放射温度測定装置100は、まず初めに赤外線センサ1の出力を求める出力測定部2の出力測定値V(ステップS1)を取得するとともに、赤外線センサ1の温度を測定装置温度Trとして測定によって得る(ステップS2)。また、出力記憶部4に記憶された「出力測定値から表面温度への変換情報」を読み出す(ステップS3)。この変換情報の記憶のしかたは大きく2通りに分けられる。1通り目は既知の係数を伴う既知の数式を記憶させて温度測定対象物101の表面温度Tbを求める方法、2通り目は出力測定値V及び測定装置温度Trと表面温度Tbとを数表として記憶させておく方法である。本発明の実施形態では前者の1通り目のほうが適しているため、以下の説明も1通り目のみを記載する。
この1通り目の具体例のもっとも理論的に正確なものは、黒体輻射に関するステファンボルツマンの4乗則を用いる例である。このとき、出力測定値Vと測定装置温度Trと表面温度Tbは以下の例1に示す数式で関連付けられる。
(例1)V=b(Tb^4‐Tr^4)+c
ここで、例1の数式中のbおよびcは出力記憶部4に予め記憶された係数である。bは赤外線センサ1の感度に相当し、cは赤外線センサ1のオフセットに相当する。この式をTbで解くことによって、表面温度Tbを得ることができる。
他の例を示すと以下のような例2~例4が挙げられる。
(例2)V=b(Tb‐Tr)+c
例2に示す数式は、基本的には例1に示す4次式の1次近似である。温度範囲が狭く精度もほどほどでよい、ただし計算負荷は軽くしたいというようなときに用いる。
(例3)V=b(Tb^n‐Tr^n)+c
例3に示す数式は次のような意味合いの式である。すなわち、例1に示す4次式のステファンボルツマンの公式は、検知帯域が赤外線帯域のみならず波長全帯域を対象としている。しかし、現実にはこのような検知帯域を持つ赤外線センサを作ることは不可能であり帯域を制限する必要があるが、このように帯域を制限すると4次式で示されるとは限らない。例3に示す数式は、例1に示す数式において、次数も未定係数として記憶させる場合に用いる式である。
(例4)V=b[f(Tb)‐f(Tr)]+c
例4に示す数式は、もっとも一般的なものであり、fは明示していない。しかしいずれにしろ、これらの例1~例4に示す数式からTbを求める方法が従来の表面温度Tbの演算方法(以下、従来その1の方法と呼ぶ)であった。
続いて、従来その2の方法としてフローチャートの次段(ステップS4~ステップS10)を説明する。この次段は吸収率1‐τもしくは透過率τを演算するためのフローである。
ステップS3で「出力測定値から表面温度への変換情報」を読み出すことができたら、次に距離d(ステップS4)、空間温度Ta(ステップS5)、空間湿度Haを測定する(ステップS6)。これら距離d、空間温度Ta、空間湿度Haに基づき、凝結水蒸気膜の厚さWを演算する(ステップS7)。さらに、赤外線帯域における波長ごとのH2O吸収係数(ステップS8)、および赤外線センサ1(帯域は、中赤外線帯域(5μm~8μm))の波長ごとの感度係数を読み出し(ステップS9)、吸収率値を演算する(ステップS10)。
以下、これらの物理量の意味と透過率τの求め方を説明する。
まず、距離dについては、放射温度測定装置100と温度測定対象物101が離れた場所にありながらも同じように動く関係であれば最初に1回測定するだけでよい。たとえば、車両のルームミラーとフロントガラスの関係がこの関係に相当する。一方で、一般の放射温度計はいわゆる鉄砲型であるため、放射温度測定装置100は温度測定対象物101と無関係に動く。この場合には距離dを毎回測定しなければならない。したがって、本発明の実施形態は一般の鉄砲型放射温度計には不向きである。
一方で、空間温度Taと空間湿度Haについては、測定じたいは比較的簡単であるが、放射温度測定装置100の測定視野を妨げるような置き方をしてはならない。その理由は、このような置き方をすると、空間温度計と空間湿度計の温度も赤外線センサの出力測定に影響を与えてしまうためである。
次に、これまで得られた距離d、空間温度Ta及び空間湿度Haに基づいて、凝結水蒸気膜の厚さWを計算する。この凝結水蒸気膜の厚さWは、与えられた空間において仮にすべてのH2O分子が凝結されたらどの程度の厚さになるか、を示す数値である。当然のことながら、空間が大きい(1次元的には長い)と凝結水蒸気膜の厚さWは増えるし、温度乃至は湿度が増加しても凝結水蒸気膜の厚さWは増える。凝結水蒸気膜の厚さWは、具体的には以下のような手順で求める。
・空間温度Taから飽和水蒸気圧乃至は飽和水蒸気量を計算する。
・飽和水蒸気量と空間湿度Haから絶対湿度を求める。
・絶対湿度に1m^3を掛け算すれば、1立方メートルの空間に存在する水蒸気の重さがわかる。
・1立方メートル空間に存在する水蒸気の重さを水の密度で割り算すれば、距離1mに対する凝結水蒸気膜の厚さ(の比率)が求められる。
・凝結した水の厚さの比率に実際の距離dを掛け算すれば、その距離における凝結水蒸気膜の厚さWを計算することができる。
具体的な数値で計算すると、以下のようになる。
・空間温度Taが25℃であれば、飽和水蒸気量は23g/m^3である。これは、たとえばテテンス(Tetens)の式と理想気体の状態方程式から求めることができる。
・空間湿度Haが50%であれば、絶対湿度は11.5g/m^3となる。
・そのため、1m^3に存在する水蒸気の重さは11.5gとなる。
・水の密度は海抜0m、温度4℃においてほぼ1g/cm^3、すなわち1トン/m^3である。したがって、距離1mあたりの凝結水蒸気膜の厚さは11.5ミクロン(μm)として求められる。
・距離dが10cmのときは、凝結水蒸気膜の厚さWは1.15μmである。
続いて、中赤外線帯域のH2O吸収係数について詳細に説明する。
各引用文献にも書かれているが、赤外線帯域(0.8μm~1000μmの波長帯域)の中には「大気の窓」と呼ばれる帯域が存在する。たとえば、8μm~14μmでは大気による赤外線吸収はほとんどない。一方で、本発明の実施形態における赤外線センサ1の波長帯域である5μm~8μm(中赤外線帯域)では大気中のH2Oによって吸収される。このように、吸収率は波長によって異なる。したがって、波長ごとのH2O吸収係数の数値(情報)が必要である。
このH2O吸収係数の数値の表し方には種々あるようだが、本発明の実施形態においては前記の凝結水蒸気膜の厚さWと吸収に関するランベルトベール(Lambert-Beer)の法則を用いる。ランベルトベールの法則によれば、ある限られた波長における透過率τと凝結水蒸気膜の厚さWは、以下の式(1)に示す関係式で結ばれている。
τ=exp(-αW) ……(1)
ここで、式(1)中のαは単位長さあたりの吸収の度合いをあらわす係数で、本発明の実施形態では、凝結水蒸気膜の厚さ本明細書ではWが1mmのときに透過率が1/eとなる係数と定義し、本明細書では以下αをH2O吸収係数と呼ぶことにする。eは自然対数の底である。
式(1)に示すように、αが大きいということは透過率τが小さい、すなわち吸収率が大きいということであるので、H2O吸収係数αは、前記の通り吸収の度合いを表す係数である。
図4には、このH2O吸収係数αを赤外線波長(0.8μm~15μm)に渡って測定した結果の一例を示している。このグラフを見てわかるように、従来放射温度計の遠赤外線帯域(8μm~14μm)ではH2O吸収係数αはほぼゼロである。これは透過率τ=1であることを意味する。しかしながら、中赤外線帯域(5μm~8μm)では有意な値を持っている。グラフから数値で具体例を示すと、赤外線波長が6.5μmのときのH2O吸収係数αは略46(1/mm)である。一方で、距離d=10cmのとき凝結水蒸気膜の厚さW=1.15μmであるから、式(1)に当てはめると、τ=exp(46×1.15÷1000)=0.948・・・となり、すなわち、わずか10cm程度の大きさの空間でも5%程度のH2O吸収が存在することになる。
最後に、赤外線センサ1の感度係数について説明する。
この赤外線センサ1の感度係数も、基本的には先のH2O吸収係数αと同様に波長ごとに感度係数の数値が必要である。ここで、感度係数の絶対値は不要であり、ある赤外線波長を基準とした各波長における感度の相対値さえわかればよい。なぜなら、ここで求めるものはH2Oの吸収率乃至透過率であるので、H2O吸収がまったくないときとH2O吸収があるときの比さえ求めればよいからである。
さらに、いわゆる熱検知型の赤外線センサでは、感度は一般的に赤外線波長に依存しない。そのため、熱検知型のタイプの赤外線センサでは、先に記載した第一の要点(感度の相対値さえわかればよいこと)と合わせて考えるとこの赤外線センサ1の感度係数値じたいを考慮する必要がなくなる。ただし、赤外線センサ1とともに赤外線フィルタを併用している場合は、このフィルタ特性を考慮する必要が出てくるので注意が必要である。
これまでの説明をベースに、H2O吸収影響下での透過率τを具体的に計算する式で表すと、次式(2)に示す赤外線波長帯域における積分で与えられる。
Figure 0006996879000001
ここで、式(2)中のIR(λ)は赤外線センサ1(および赤外線フィルタ等も考慮した)の感度係数、Pl(λ)は空間温度Taにおけるプランク分布である。式(2)を見ると、前記のτ=exp(-αW)という式(式(1))は、この式において波長をごく狭い範囲に限った(もしくは波長依存がない)特別な場合であることがわかる。
なお、ここまで透過率τの演算方法を詳述したが、該透過率τがすでにわかっている場合には本演算はまったく不要である。同様に、前記各量と同等の量が得られるならそれを用いてもよい。たとえば、空間温度Taと空間湿度Haがわからなくても、同じ空間内の絶対湿度がわかっていれば代替可能である。
これまで説明した従来その2の方法を用いれば、従来その1の方法に対して以下のような変更をすればよく、さらに以下のような効果があることが示される。
水蒸気(H2O)の吸収率が1‐τ、透過率がτということは、温度測定対象物101から放射温度測定装置100に入ってくる赤外線量が次式(3)に示すように、
2O吸収透過を考慮しないとき=f(Tb)から
2O吸収透過を考慮するとき=τf(Tb)+(1-τ)f(Ta) ……(3)
に変わることを意味する。(前記の例1から例4に示す各数式のうち、例4に示す一般の数式を用いた。)つまり、温度測定対象物101から空間を透過してくる赤外線量は、f(Tb)からτf(Tb)に減少する。一方で、キルヒホッフの法則から、空間の水蒸気によって吸収されたエネルギーの割合(吸収率)は、その空間の水蒸気から放射されるエネルギーの割合(放射率)に等しいから、H2Oから放射する赤外線量は、ゼロから(1-τ)f(Ta)に変化する。したがって、放射温度測定装置100に入ってくる赤外線量は上式(3)に示すようになる。
これに基づくと、一般の数式、n次式、4次式で各々表した場合には、以下の式(4)をTbで解いて求めればよいことになる。
V=b[{τf(Tb)+(1-τ)f(Ta)}‐f(Tr)]+c
V=b{τTb^n+(1-τ)Ta^n-Tr^n}+c
V=b{τTb^4+(1-τ)Ta^4-Tr^4}+c
……(4)
1次式の場合はTbで解くことは容易であり次式(5)となる。
Tb=[(V-c)÷b-(1-τ)Ta+Tr]÷τ ……(5)
これらの式(式(4))からTbを求める方法が従来の表面温度Tbの演算方法(従来その2の方法)である。
最後に、本発明の実施形態における放射温度測定装置100および表面温度Tbの演算方法について説明する。
本発明の実施形態における放射温度測定装置100は、従来の放射温度測定装置において、図1内に記載の吸収率記憶部5が新たに追加され、温度測定対象物101の表面温度Tbの演算過程において記憶値が新たに考慮される。つまり、図3のステップS11及びS12に示すように、吸収率記憶部5に格納された記憶値が読み出され、この記憶値を考慮して、温度測定対象物101の表面温度Tbが演算される。
実際、記憶値として透過率τに対応する透過率τ0を用いた計算式を列挙すると以下の式(6)に示すようになる。
V=b[[(τ/τ0)・f(Tb)+(1-(τ/τ0))・f(Ta)]-f(Tr)]+c
V=b[(τ/τ0)・Tb^n+(1-(τ/τ0))・Ta^n-Tr^n]+c
V=b[(τ/τ0)・Tb^4+(1-(τ/τ0))・Ta^4-Tr^4]+c
……(6)
1次式の場合はTbで解くことは容易であり、次式(7)となる。
Tb=[(V-c)÷b-(1-(τ/τ0))・Ta+Tr]÷(τ/τ0)
……(7)
この本発明の実施形態における演算式(7)を前記(従来その2の方法による1次式(式(5)))と比較すると、式(5)中のτを、式(7)では(τ/τ0)で置き換えていることがわかる。この意味と効果を以下で説明する。
吸収率記憶部5を備えておらず記憶値を考慮しない式(5)に示す従来その2の方法による1次式の場合、本発明の実施形態における演算式(7)との比較から、実際にはτ0=1と仮定して計算されていることがわかる。つまり、出力記憶部4で既知の係数を伴う既知の数式を記憶させて温度測定対象物101の温度を演算しようとする場合、この記憶させるための工程の環境ではH2Oによる吸収は存在しない、というのが大前提である。
しかし、この大前提は理想的な場合のみ成立することであり、現実の環境下では決して成立しない。なぜなら、出力記憶部4に記憶すべき係数(感度b、オフセットc、計算式(6)中の指数(次数)n等)をH2O吸収が存在しない条件下で求めることがそもそも不可能だからである。言い換えれば、これらの係数値は、現実には温度測定対象物101の表面温度Tbと赤外線センサ1の出力測定値V等を並行して測定することにより初めて得られる係数値である。この測定において、H2O吸収が存在しない条件とするには、温度測定対象物101と赤外線センサ1との間の距離をゼロにするか、あるいは相対湿度(絶対湿度でも可)をゼロにするしか方法はないが、いずれも不可能な測定である。
一般に、これらの係数b、c等の数値を得る工程はキャリブレーションと呼ばれ、赤外線センサに限らず他のセンサ(加速度センサ、磁気センサ等)でも必ず行われる工程であるが、これらの工程で現実の測定をする際には必ずH2Oの吸収影響が発生する。従来の技術はこの影響を見落としている。
図5は、このキャリブレーション工程における測定系の一例を示す模式図であり、キャリブレーション工程では、放射温度測定装置100は、温度記憶対象物102を利用して、出力記憶部4及び吸収率記憶部5に記憶する各種係数等を取得する。図5に示すように、キャリブレーション工程における測定系はこれまで説明した測定系(図2参照)と大差はない。ただし、図2では未知であった表面温度Tbを図5のキャリブレーション工程の場合には別の手段で測定する必要がある。さらに先にも述べたとおり、前記の係数b、c等がこの図5に示すキャリブレーション工程を行うことによって初めて既知の数値となる(未知数でなくなる)。このキャリブレーション工程で前記と同様の手順で透過率τを求めれば、それがすなわちτ0を求めることに該当する。そして、その求めたτ0を、キャリブレーション時の透過率として吸収率記憶部5に記憶させておけばよい。このように、キャリブレーション時の透過率τ0の求め方は、基本的に温度測定時の透過率τの求め方と同等であるため、詳細な説明は省略する。
本発明の実施形態に着目して、キャリブレーション時の透過率τ0を考慮することによる具体的な影響を数字で説明する。
たとえばキャリブレーション時の透過率をτ0=5%、温度測定対象物101の表面温度Tbの実際の温度測定時の透過率をτ=95%とする。これは前記の通り、空間温度Ta=25℃、空間湿度Ha=50%、距離d=10cmで、赤外線センサ1の検知波長を6.5μm付近とした場合である。
従来技術その1の場合は、実は放射温度測定の誤差はゼロとなる。しかも、この結果は妥当である。しかしながら、この誤差ゼロは偶然このようになっただけである。つまり、キャリブレーション時の透過率τ0と実際の温度測定時の透過率τが同じ(例えばともに95%)であれば誤差はゼロとなるからである。従来その1の式(例1から例4に示す数式)のままでは、透過率がキャリブレーション時と温度測定時とで異なった場合には誤差が生じることとなる。
一方、同じ条件下で従来技術その2を適用した場合、実際の温度測定時の透過率τだけを考慮しているために、本来であれば正しいはずの表面温度Tbの温度測定値が5%ずれるという結果が生じる。したがって、H2O吸収の補正をしたつもりが、この補正が逆に誤差を大きくすることとなってしまう。
これらをふまえた補正式が本発明の実施形態に係る前記式(6)に示す4つの数式である。すなわち、キャリブレーション工程での透過率τ0を予め記憶しておき、この透過率τ0と実際の温度測定時の透過率τを利用して演算等することによって、より正確な温度測定対象物101の表面温度Tbを演算することができる。
なお、透過率τ0はこれまで1個(1種類)の数値として示してきたが、特にこれに限るものではなく、複数種類あってもよい。特に、量子型赤外線センサにおいては、測定装置温度Trによって、感度に変動が存在する場合が多い。変動が生じる場合が多い。このような場合、複数種類の温度Trに対してキャリブレーション工程を行い、それぞれの測定装置温度Trに応じた透過率τ0を演算し記憶させておくようにすれば、より高い精度での補正が可能となる。
例えば、赤外線センサ1に取り付けた接触式温度計で測定した測定装置温度Trが0℃、25℃、50℃であって、それぞれ異なる透過率τ0を吸収率記憶部5に記憶しているものとする。この測定装置温度Trの測定に用いた赤外線センサ1で実際の温度測定を測定装置温度Tr=35℃の環境下で行ったとすれば、吸収率記憶部5から透過率記憶値τ0として、温度測定を行った環境にもっとも近い、測定装置温度Tr=25℃のときの透過率τ0を読みだして表面温度Tbを演算するのがよい。
さらに、式(6)に示す4つの数式の物理的意味を詳細にかんがみると、以下のような効果があることもわかる。
すなわち、これまでH2O吸収影響だけを考えてキャリブレーション時の透過率τ0や温度測定時の透過率τを求めたが、他の吸収気体である二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)を考慮することも可能なことは明らかである。また、これらを考慮しないときであっても、H2O吸収が比較的大きい中赤外線帯域では、これらCO2やCH4の吸収はごくわずかであるとともに、日時や場所による変動もH2Oと比べて格段に小さい。したがって、温度測定時の透過率τにもキャリブレーション時の透過率τ0にも同じ影響が含まれるため、結果としてこれらCO2等の影響も低減させることができるようになる。
最後に、前記の4つの数式はさらに簡略化することができることを説明する。多くの場合放射温度測定装置100乃至は赤外線センサ1は、温度や湿度測定される空間内に配置される。この場合は測定装置温度Trは空間温度Taに等しくなる。したがって、各式は以下の式(8)に示すように簡単になる。
V=b・(τ/τ0)・[f(Tb)-f(Ta)]+c
V=b・(τ/τ0)・[Tb^n-Ta^n]+c
V=b・(τ/τ0)・[Tb^4-Ta^4]+c
……(8)
1次式の場合はTbで解くと、次式(9)となる。
Tb=(V-c)÷(b・(τ/τ0))+Ta ……(9)
この式(9)を従来その1の方法における例2に示す1次式と比較すると吸収率演算部3で演算される温度測定時の透過率τと吸収率記憶部5に記憶された記憶値(キャリブレーション時の透過率)τ0の乗算(除算)が追加されるだけである。いずれにしろ、これまで述べてきた技術理由等により、比較的軽い演算負荷でH2O吸収および他のCO2やCH4などの吸収も含めた影響を補正することができる。
その結果、従来の放射温度測定装置に対して大幅な変更を伴うことなく、H2O、CO2やCH4などの吸収による影響をより高精度に補正することができ、放射温度測定装置の精度をより向上させることができる。
図6に、空間温度計7、空間湿度計8、接触式温度計(温度検出手段)9を備えた放射温度測定装置100の一例を示す。
空間温度計7は、温度測定対象物101と放射温度測定装置100との間の空間温度を測定する。空間湿度計8は、温度測定対象物101と放射温度測定装置100との間の空間湿度を測定する。接触式温度計9は、赤外線センサ1に取り付けられ、赤外線センサ1の温度を、放射温度測定装置100の温度として検出する。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
1 赤外線センサ
2 出力測定部
3 吸収率演算部
4 出力記憶部
5 吸収率記憶部
6 表面温度演算補正部
100 放射温度測定装置
101 温度測定対象物

Claims (7)

  1. 赤外線センサを用いて物体の表面温度を非接触で測定する放射温度測定装置において、
    前記物体との間に存在する大気による吸収帯域を含む波長を検出する赤外線センサと、
    前記赤外線センサの出力を測定する測定手段と、
    前記吸収帯域における波長ごとの水蒸気吸収係数に基づいて、前記測定手段により前記物体の表面温度を測定している時の、前記吸収帯域の波長における前記大気による吸収率を演算する吸収率演算手段と、
    前記赤外線センサの出力を前記物体の表面温度に変換するための変換情報を予め記憶する記憶手段と、
    前記測定手段で測定した前記赤外線センサの出力と、前記吸収率演算手段で演算した吸収率と、前記記憶手段で記憶する前記変換情報と、から前記物体の表面温度を演算する表面温度演算手段と、
    を備え、
    さらに、前記吸収帯域における波長ごとの水蒸気吸収係数に基づいて、前記変換情報取得時の前記吸収帯域の波長における前記大気による吸収率を予め演算し、その演算結果を記憶する吸収率記憶手段と、
    前記表面温度演算手段で演算された前記物体の表面温度を、前記吸収率記憶手段に記憶している吸収率を用いて補正する補正手段と、を備える放射温度測定装置。
  2. 赤外線センサを用いて物体の表面温度を非接触で測定する放射温度測定装置において、
    前記物体との間に存在する大気による吸収帯域を含む波長を検出する赤外線センサと、
    前記赤外線センサの出力を測定する測定手段と、
    前記吸収帯域における波長ごとの水蒸気吸収係数に基づいて、前記測定手段により前記物体の表面温度を測定している時の、前記吸収帯域の波長における前記大気による吸収率を演算する吸収率演算手段と、
    前記赤外線センサの特性を表す係数を含み前記赤外線センサの出力を前記物体の表面温度に変換するための予め設定された変換式と、予め検出された前記赤外線センサの特性を表す前記係数の値と、を記憶する記憶手段と、
    前記測定手段で測定した前記赤外線センサの出力と、前記吸収率演算手段で演算した前記吸収率と、前記記憶手段に記憶している前記係数の値を含む前記変換式と、から前記物体の表面温度を演算する表面温度演算手段と、
    前記吸収帯域における波長ごとの水蒸気吸収係数に基づいて、前記記憶手段に記憶している前記係数の値が検出されたときの、前記吸収帯域の波長における前記大気による吸収率を予め演算し、その演算結果を記憶する吸収率記憶手段と、を備え、
    前記表面温度演算手段は、前記吸収率記憶手段に記憶している吸収率で補正した前記変換式を用いて前記物体の表面温度を演算する放射温度測定装置。
  3. 前記吸収率記憶手段は、異なる複数の温度環境下で設定された複数の前記吸収率を予め記憶する請求項1又は請求項2に記載の放射温度測定装置。
  4. 当該放射温度測定装置の温度を検出する温度検出手段を備え、
    前記吸収率記憶手段に記憶している複数の吸収率のうち前記温度検出手段で検出した温度に対応する吸収率を用いて補正を行う請求項3に記載の放射温度測定装置。
  5. 前記大気は水蒸気を含む請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の放射温度測定装置。
  6. 赤外線センサを用いて物体の表面温度を非接触で測定する放射温度測定装置において、
    前記物体との間に存在する大気による吸収帯域を含む波長を検出する赤外線センサと、
    前記赤外線センサの出力を測定する測定手段と、
    前記吸収帯域における波長ごとの水蒸気吸収係数に基づいて、前記測定手段により前記物体の表面温度を測定している時の、前記吸収帯域の波長における前記大気による吸収率を演算する吸収率演算手段と、
    前記赤外線センサの出力を前記物体の表面温度に変換するための予め設定された変換情報を記憶する記憶手段と、
    前記吸収帯域における波長ごとの水蒸気吸収係数に基づいて、前記変換情報が設定されたときの、前記吸収帯域の波長における前記大気による吸収率を予め演算し、その演算結果を記憶する吸収率記憶手段と、
    前記測定手段で測定した前記赤外線センサの出力と、前記吸収率演算手段で演算した前記吸収率と、前記吸収率記憶手段に記憶している前記吸収率と、前記記憶手段に記憶している前記変換情報と、から前記物体の表面温度を演算する演算手段と、
    を備える放射温度測定装置。
  7. 赤外線センサを用いて物体の表面温度を非接触で測定する放射温度測定装置において、
    前記物体との間に存在する大気による吸収帯域を含む波長を検出する赤外線センサと、
    前記赤外線センサの出力を測定する測定手段と、
    前記測定手段により前記物体の表面温度を測定している時の、前記吸収帯域の波長における前記大気による吸収率を演算する吸収率演算手段と、
    前記赤外線センサの出力を前記物体の表面温度に変換するための予め設定された変換情報を記憶する記憶手段と、
    前記変換情報が設定されたときの、前記吸収帯域の波長における前記大気による吸収率を予め記憶する吸収率記憶手段と、
    前記測定手段で測定した前記赤外線センサの出力と、前記吸収率演算手段で演算した前記吸収率と、前記吸収率記憶手段に記憶している前記吸収率と、前記記憶手段に記憶している前記変換情報と、から前記物体の表面温度を演算する演算手段と、
    を備え、
    前記変換情報は、前記赤外線センサの出力を表す次式で示す演算式を変形して得られる、前記物体の表面温度を求める演算式である放射温度測定装置。
    V=b[[(τ/τ0)・f(Tb)+(1-(τ/τ0))・f(Ta)]-f(Tr)]+c
    Vは赤外線センサの出力
    bは赤外線センサの感度
    τは吸収率演算手段で演算される吸収率(1-τ)から得られる透過率
    τ0は吸収率記憶手段に記憶される吸収率(1-τ0)から得られる透過率
    Tbは物体の表面温度
    Taは物体と放射温度測定装置と間の空間温度
    Trは放射温度測定装置の温度
    cは赤外線センサのオフセット
    f( )は任意の関数
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