JP6995668B2 - ポンプ設備及びポンプ設備の運転方法 - Google Patents

ポンプ設備及びポンプ設備の運転方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポンプ設備及びポンプ設備の運転方法に関するものである。
下記特許文献1には、液体を揚水する複数台のポンプを備えるポンプ設備として、大雨等に湛水防除の目的で稼働するポンプ機場が開示されている。このようなポンプ機場では、洪水時においてポンプの確実な起動と運転が要求されており、ポンプが揚水不能となるような故障を防止することが重要な課題となっている。従来では、ポンプの故障率を下げるため、ポンプの累積運転時間を計測し、当該累積運転時間の少ないポンプから順に起動させる台数制御を行うことで、ポンプの累積運転時間の平準化を行っていた(例えば下記特許文献2参照)。
特開2017-36669号公報 特開2003-29802号公報
しかしながら、ポンプの故障の発生の要因は、ポンプの累積運転時間の偏りだけではないため、上記従来技術では、設備全体としての実効的なポンプの故障率の平準化対策には至っていなかった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、揚水不能となるようなポンプの故障の発生を極力防ぐことができる信頼性の高いポンプ設備及びポンプ設備の運転方法の提供を目的とする。
(1)本発明の一態様に係るポンプ設備は、液体を揚水する複数台のポンプを備えるポンプ設備であって、前記複数台のポンプのそれぞれの累積運転時間を計測すると共に、前記複数台のポンプのそれぞれの異常の予兆を検知し、前記累積運転時間及び前記異常の予兆の検知数に基づいて、前記複数台のポンプのそれぞれの健全度を算出し、前記健全度に基づいて、前記複数台のポンプの台数制御を行う、制御装置を備える。
(2)上記(1)に記載されたポンプ設備であって、前記制御装置は、前記ポンプの所定の状態量が所定の閾値以上の場合に前記異常を検知すると共に、前記閾値未満の前記状態量の変化の傾向に基づいて、前記異常の予兆を検知してもよい。
(3)上記(1)または(2)に記載されたポンプ設備であって、前記制御装置は、前記異常の予兆を検知した部位の補修の有無に基づいて、前記異常の予兆の検知数を補正してもよい。
(4)上記(1)~(3)に記載されたポンプ設備であって、前記制御装置は、さらに、前記ポンプの部品の在庫数に基づいて、前記健全度を算出してもよい。
(5)上記(1)~(4)に記載されたポンプ設備であって、前記制御装置は、さらに、前記ポンプが揚水を継続することができる程度の軽故障の検知数に基づいて、前記健全度を算出してもよい。
(6)上記(1)~(5)に記載されたポンプ設備であって、前記制御装置は、さらに、前記ポンプの部品のうち、時間によって計画的に交換タイミングが設定されている時間計画保全部品の時間超過の有無に基づいて、前記健全度を算出してもよい。
(7)上記(1)~(6)に記載されたポンプ設備であって、前記制御装置は、前記ポンプの運転中に、当該運転している前記ポンプの健全度が、停止している前記ポンプの健全度よりも低下した場合に、当該停止している前記ポンプを起動させ、当該健全度が低下した前記ポンプを停止させる切替制御を行ってもよい。
(8)上記(7)に記載されたポンプ設備であって、前記制御装置は、前記運転している前記ポンプの健全度が、停止している前記ポンプの健全度よりも低下した後、所定の時間が経過した場合に、前記切替制御を行ってもよい。
(9)本発明の一態様に係るポンプ設備の運転方法は、液体を揚水する複数台のポンプを備えるポンプ設備の運転方法であって、前記複数台のポンプのそれぞれの累積運転時間を計測すると共に、前記複数台のポンプのそれぞれの異常の予兆を検知し、前記累積運転時間及び前記異常の予兆の検知数に基づいて、前記複数台のポンプのそれぞれの健全度を算出し、前記健全度に基づいて、前記複数台のポンプの台数制御を行う。
上記本発明の態様によれば、揚水不能となるようなポンプの故障の発生を極力防ぐことができる信頼性の高いポンプ設備及びポンプ設備の運転方法を提供できる。
第1実施形態に係るポンプ機場の全体構成図である。 第1実施形態に係る主ポンプの概略構成図である。 第1実施形態に係るポンプ機場の台数制御を説明するための説明図である。 第1実施形態に係る異常の予兆を検知する手法の一例を示す図である。 第1実施形態に係る制御装置による制御フローである。 第2実施形態に係る制御装置による制御フローである。 第3実施形態に係る制御装置による制御フローである。 第3実施形態に係る制御装置による制御フローである。 第4実施形態に係る制御装置による制御フローである。
以下、本発明の実施形態のポンプ設備及びポンプ設備の運転方法について図面を参照して説明する。以下の説明では、本発明の適用例として、大雨等に湛水防除の目的で稼働するポンプ機場を例示する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るポンプ機場1の全体構成図である。
図1に示すポンプ機場1(ポンプ設備)は、複数台の主ポンプ10(ポンプ)と、主ポンプ10を稼働させる複数台の補機20と、を備える。ポンプ機場1は、主ポンプ10として、4台の横軸ポンプを備える。なお、主ポンプ10は、立軸ポンプであってもよい。また、ポンプ機場1は、補機20として、真空ポンプ21、ギヤポンプ22、コンプレッサ23、冷却水ポンプ24などを備える。
図2は、第1実施形態に係る主ポンプ10の概略構成図である。
主ポンプ10は、図2に示すように、吸込水槽2に開口する吸込口11aと、吐出水槽3に開口する吐出口11bと、を有するケーシング11を備える。吸込水槽2、吐出水槽3には、水位レベルを検知する水面検知器2a,3aが設けられている。ケーシング11には、横方向(水平方向)に延びるポンプ軸12が挿入されている。このポンプ軸12には、図示しないインペラ(羽根車)が接続されている。また、当該インペラの下流側かつ吐出口11bの上流側には、吐出弁13が設けられている。
主ポンプ10は、駆動機4によって駆動する。駆動機4は、ディーゼルエンジンなどの内燃機関である。なお、駆動機4は、電動機であってもよい。駆動機4の駆動軸4aには減速機5が連結され、減速機5には主ポンプ10のポンプ軸12が連結されている。駆動機4を駆動することによって、減速機5を介してポンプ軸12が回転し、主ポンプ10によって吸込水槽2内の水が揚水されて、その水が吐出水槽3に吐出されるようになっている。
真空ポンプ21は、主ポンプ10の起動時にケーシング11内の空気を吸引し、ケーシング11内を呼び水で満たす。真空ポンプ21は、ケーシング11に吸気ライン30(吸気配管)を介して接続されている。吸気ライン30には、ケーシング11内の呼び水の満水を検知するための満水検知器14と、吸気ライン30を開閉するための吸気弁31(電動弁又は電磁弁)と、が設けられている。
真空ポンプ21は、電動機21aによって駆動する。この真空ポンプ21は、例えば水封式真空ポンプであって、図1に示すように、その吸気側には補給水を給水する給水管32が接続され、排気側には給水された水及び吸い込んだ空気を排出する排出管33が接続されている。給水管32は、補水槽34と接続され、給水管32の開閉するための給水弁35(電動弁又は電磁弁)が設けられている。
図1に示すギヤポンプ22は、駆動機4の燃料を汲み上げるものである。このギヤポンプ22は、電動機22aによって駆動する。ギヤポンプ22は、燃料供給ライン40(燃料供給配管)に設けられている。燃料供給ライン40においては、ギヤポンプ22の駆動によって、燃料を貯蔵する地下貯油槽6から地上の所定高さに設置された燃料小出槽7に燃料が汲み上げられ、この燃料小出槽7から駆動機4に燃料が供給される。燃料小出槽7に燃料を蓄えておくことで、ギヤポンプ22が駆動していない間でも、必要な供給圧で燃料を駆動機4に供給することができる。
コンプレッサ23は、駆動機4に供給する圧縮空気を生成するものである。このコンプレッサ23は、電動機23aによって駆動する。コンプレッサ23は、空気供給ライン50(空気供給配管)に設けられている。空気供給ライン50においては、コンプレッサ23の駆動によって生成された圧縮空気が空気槽8に貯留され、この空気槽8から駆動機4に圧縮空気が供給される。空気槽8に圧縮空気を蓄えておくことで、コンプレッサ23が駆動していない間でも圧縮空気を内燃機関などの駆動機4に供給して、始動することができる。
冷却水ポンプ24は、駆動機4を冷却する冷却水を組み上げるものである。この冷却水ポンプ24は、電動機24aによって駆動する。冷却水ポンプ24は、冷却水供給ライン60(冷却水供給配管)に設けられている。冷却水供給ライン60においては、冷却水ポンプ24の駆動によって冷却水槽61から冷却水が汲み上げられ、各駆動機4を冷却する熱交換器4bに冷却水が供給される。なお、減速機5にも図示しない熱交換器を設置する場合、冷却水供給ライン60において、駆動機4の熱交換器4bと減速機5の熱交換器とを直列に接続してもよい。
図3は、第1実施形態に係るポンプ機場1の台数制御を説明するための説明図である。なお、図3においては、4台の主ポンプ10を区別するために、P1~P4の記号を用いている。
ポンプ機場1は、上述した各構成機器の動作を統括的に制御する制御装置100を備える。制御装置100は、図示しないCPU等の演算部、RAM,ROM,ハードディスクドライブ(HDD),ソリッドステートドライブ(SSD)等の記憶部、各構成機器とデータのやり取りする出入力インターフェース等が、図示しないバスで接続されたものである。出入力インターフェースには、上述した各構成機器以外にも、図示しないディスプレイ等の表示装置、マウス、キーボード等の入力装置が接続されている。
記憶部には、演算部が読み出して実行するためのプログラムが格納されており、制御装置100はそのプログラムに従って、以下説明する台数制御を行う。台数制御は、基本的には、吸込水槽2の水位レベルの上昇(SWL0→SWL4)に応じて、主ポンプ10の運転台数を増やしていく制御である。制御装置100は、この台数制御において、各主ポンプ10の健全度Aに基づいて、主ポンプ10を起動する優先度を決定する。すなわち、制御装置100は、健全度Aが高い主ポンプ10を先発機に、健全度Aが低い主ポンプ10を後発機になるように、起動順序を並び替える。
制御装置100は、主ポンプ10のそれぞれの累積運転時間を計測し、また、主ポンプ10のそれぞれの異常の予兆を検知し、累積運転時間x及び異常の予兆の検知数yに基づいて、主ポンプ10のそれぞれの健全度Aを算出する。累積運転時間xは、例えば、制御装置100に組み込まれたタイマーなどによって主ポンプ10の運転時間を計測し、その運転時間を記憶部に記憶すると共に、当該主ポンプ10が運転するごとにその運転時間を加算していくことで計測することができる。
この制御装置100は、主ポンプ10の所定の状態量が所定の閾値以上の場合に「異常」を検知すると共に、当該閾値未満の状態量の変化の傾向に基づいて、「異常の予兆」を検知するようになっている。ここで、「異常」とは、それによって、主ポンプ10が起動できない、若しくは、主ポンプ10を停止しなければならない、揚水不能な故障状態のことを言う。そして、「異常の予兆」とは、上記故障状態となる以前の状態、すなわち、現時点では揚水可能な状態であるが、近い将来、揚水不能な故障状態になる可能性がある状態のことを言う。
図4は、第1実施形態に係る異常の予兆を検知する手法の一例を示す図である。
制御装置100は、図4に示すように、主ポンプ10の所定の状態量を蓄積し、その変化の傾向に基づいて異常の予兆を検知する。この状態量の計測は、定期的に行われるとよい。制御装置100は、例えば、状態量の計測が月1回の頻度で行われる場合、その月の計測値と前月の計測値とを結ぶ直線と、前月の計測値と前々月の計測値とを結ぶ直線との角度の差θが、所定の角度以上であれば、異常の予兆を検知したと判定する。この判定は、当該状態量が、主ポンプ10の故障(異常)を検知する故障レベルM(所定の閾値)未満で行うとよい。
この「異常」には、様々な種類がある。
(1)例えば、特開2012-246865号公報には、起動する主ポンプ10を呼び水で満水させる真空ポンプ21の運転時間(状態量)を計測し、その運転時間が所定の閾値以上の場合に、起動不能などの主ポンプ10の「異常」を検知する技術が開示されている。この場合の「異常の予兆」とは、主ポンプ10を呼び水で満水させる真空ポンプ21の運転時間の増加である。
(2)また、特開2012-246865号公報には、主ポンプ10の停止時のポンプ軸12の軸受温度の低下時間(状態量)を計測し、その軸受温度の低下時間が所定の閾値以上の場合に、軸受のグリースの劣化などの主ポンプ10の「異常」を検知する技術が開示されている。この場合の「異常の予兆」とは、ポンプ軸12の軸受温度の低下時間の増加である。
(3)また、特開2012-246865号公報には、駆動機4を冷却する熱交換器4bの入口温度と出口温度の温度差(状態量)を計測し、その温度差の減少値が所定の閾値以上の場合(すなわち温度差が小さくなった場合)に、熱交換器4bの詰まりなどの駆動機4(結果的に主ポンプ10)の「異常」を検知する技術が開示されている。この場合の「異常の予兆」とは、熱交換器4bの入口温度と出口温度の温度差の減少値の増加である。
(4)また、例えば、特開2011-58447号公報には、主ポンプ10が立軸ポンプの場合であって、水中軸受に回転自在に支持されたポンプ軸12の径方向の変位(状態量)を計測し、その径方向の変位が所定の変位(閾値)以上の場合に、水中軸受の摩耗などの主ポンプ10の「異常」を検知する技術が開示されている。この場合の「異常の予兆」とは、水中軸受に回転自在に支持されたポンプ軸12の径方向の変位の増加である。
(5)また、例えば、特開2017-36669号公報には、複数台の主ポンプ10のそれぞれに設けられた吸込側の水位が変わっても同じ値を示すべき三つ以上の計測器(例えば、ポンプ保護の電極式水位計)の計測値(水位:状態量)に基づいて、特定の計測器の故障などの主ポンプ10の「異常」を検知する技術が開示されている。この場合の「異常の予兆」とは、特定の計測器の他の計測器の計測値からの乖離の増加である。
(6)また、例えば、特開2016-194287号公報には、主ポンプ10の停止時におけるポンプ軸12の回転停止時間(状態量)を計測し、その回転停止時間の減少値が所定の閾値以上の場合(すなわち回転停止時間(慣性回転時間)が短くなった場合)に、軸受の劣化・故障などの主ポンプ10の「異常」を検知する技術が開示されている。この場合の「異常の予兆」とは、主ポンプ10の停止時におけるポンプ軸12の回転停止時間の減少値の増加である。
(7)また、特開2016-194287号公報には、主ポンプ10の停止時におけるポンプ軸12の軸受の振動(振幅:状態量)を計測し、その軸受の振動が閾値以上の場合に、軸受の劣化・故障などの主ポンプ10の「異常」を検知する技術が開示されている。この場合の「異常の予兆」とは、主ポンプ10の停止時におけるポンプ軸12の軸受の振動の増加である。
制御装置100は、上記のような「異常」の前段階である「異常の予兆」を図4に示すような手法を用いて検知する。なお、上述した「異常」及び「異常の予兆」は、一例であって上記の内容だけに限定されるものではない。
次に、上記のように構成されたポンプ機場1の運転方法(ポンプ設備の運転方法)、具体的には、主ポンプ10のそれぞれの累積運転時間x及び異常の予兆の検知数yから算出した健全度Aに基づく台数制御を行う制御装置100の制御フローについて説明する。
図5は、第1実施形態に係る制御装置100による制御フローである。
先ず、制御装置100は、吸込水槽2に設けられた水面検知器2aから吸込水位を取得し、吸込水位がどの水位レベル(図3に示す例では水位レベルSWL0~SWL4)に到達したかを検知する(ステップS1)。次に、制御装置100は、各主ポンプ10(本実施形態では4台(No.1~No.4))の累積運転時間x、及び、各主ポンプ10の異常の予兆の有無(検知数y)を記憶部から読み出す(ステップS2,S3)。
次に、制御装置100は、累積運転時間x及び異常の予兆の検知数yに基づいて、各主ポンプ10のそれぞれの健全度Aを算出する(ステップS4)。本実施形態における健全度Aは、例えば、以下のような式(1)で算出する。
A={α/[c1・x+c2・y+d]}×β …(1)
ここでc1,c2は、ポンプ機場1の設備構成や仕様で決まる定数であり、dは任意の設定値で初期値は1である。また、αは、ポンプ設計運転時間(耐用運転時間)などにより決まる定数であり、2000時間でオーバーホールを想定している主ポンプ10では、α=2000などの値が用いられる。さらに、βは、0又は1の係数であり、主ポンプ10が運転できない重大な故障(重故障)状態にあるかどうか示すものである。
健全度Aへの影響は、累積運転時間xよりも異常の予兆の検知数yの方が大きいため、c1<c2とすることが好ましい。例えば、ポンプ機場1においては、運転時間が過少(例えば、50~100時間/年)であるため、仮にc1=1と設定した場合、c2=100程度に設定するとよい。なお、dは、例えば、設備の整備・修繕後に健全度Aを補正するため、また、日常の設備操作員の感覚(例えば、異常検知までいかない異音など)を健全度Aに反映させるために、入力可能な任意の設定値にするとよい。
式(1)によれば、例えば、2000時間の耐用運転時間で、2000時間運転した主ポンプ10は、異常予兆が発見されなくても、健全度Aは1(c1=1の場合)になり、異常の予兆が見られた場合は1未満となる。また、重故障を発生していなければ、β=1であり、重故障を発生していて運転が出来ない状態であれば、β=0であるので、重故障発生機の健全度Aは、健全度の最低値となるA=0が与えられる。
次に、制御装置100は、ステップS4で算出した健全度Aに基づいて主ポンプ10の残存機(停止機)の起動順序を決定する(ステップS5)。そして、制御装置100は、残存機の中で健全度Aが最も高い主ポンプ10(先発機)を起動させる(ステップS6)。その後、制御装置100は、吸込水槽2に設けられた水面検知器2aから吸込水位が設定停止水位(例えば、図3に示す水位レベルSWL2からSWL1)に到達したかどうかを判定する(ステップS7)。
ステップS7が「YES」の場合、制御装置100は、該当する主ポンプ10(上述の例では、図3においてP2の符号が付された主ポンプ10)を停止させる(ステップS8)。一方、ステップS7が「NO」の場合、制御装置100は、吸込水槽2に設けられた水面検知器2aから吸込水位を取得し、現在の吸込水位がステップS1における吸込水位+1(上述の例では、水位レベルSWL2からSWL3)に到達したか否かを検知する(ステップS9)。
ステップS9が「NO」の場合、制御装置100は、ステップS7に戻り、吸込水位を監視し続ける一方で、ステップS9が「YES」の場合、制御装置100は、再びステップS2,S3,S4を経て健全度Aを算出し、現在の健全度Aに基づいて主ポンプ10の残存機(停止機)の起動順序を決定する(ステップS5)。そして、以下同じようなステップを繰り返し、吸込水位が例えば水位レベルSWL0になるまで、ポンプ機場1は運転を継続することとなる。
以上説明したように、本実施形態のポンプ機場1は、複数台の主ポンプ10のそれぞれの累積運転時間を計測し、複数台の主ポンプ10のそれぞれの異常の予兆を検知し、累積運転時間x及び異常の予兆の検知数yに基づいて、複数台の主ポンプ10のそれぞれの健全度Aを算出し、当該健全度Aに基づいて、複数台の主ポンプ10の台数制御を行う。この構成によれば、累積運転時間だけでなく主ポンプ10の個体差による異常の予兆が健全度Aに反映されるため、設備全体としての実効的なポンプの故障率の平準化、及び、揚水不能となるようなポンプの故障の発生を極力防ぐことができる信頼性の高いポンプ機場1となる。
なお、本実施形態では、次のような変形例を採用してもよい。
例えば、ステップS4の健全度Aの算出において、異常の予兆の内容により重みを変えてもよい。この場合、健全度Aは、例えば、以下のような式(2)で算出する。
A={α/[c1・x+c2・(y1+y2+y3+…+yn)+d]}×β …(2)
ここでynは、各異常の予兆の内容で設定する数値であり、通常は1で、異常の予兆の重み(重要度)に応じて0.8~1.2の範囲で設定するとよい。
また、例えば、上述したポンプ機場1は、数十年確率の降雨で設計されているため、実際に主ポンプ10の全台が運転するケースが少ない。したがって、健全度Aが最も低い主ポンプ10は、運転しない号機となってしまう場合がある。主ポンプ10のような回転機は、定期的な運転が重要であるため、例えば、小降雨時のように数台が運転する場合(負荷の少ない場合)には、健全度Aの低い主ポンプ10を運転するようにしてもよい。具体的には、吸込水槽2の水位レベルの上昇率が一定の値以上の時に健全度Aの高い主ポンプ10を運転させ(通常の台数制御を実行させ)、当該水位レベルの上昇率が一定の値未満の場合に健全度Aの低い主ポンプ10を運転させてもよい。
なお、健全度Aの低い主ポンプ10に加わる負担を軽減し故障率を下げる方法としては、実揚程を考慮するとよい。例えば、流量が増加すると軸動力が下がる軸流ポンプ(比速度Nsの大きいポンプ)においては、実揚程の低い場合(≒吐出水位が低い状態)での起動とし、流量が増加すると軸動力が上がる遠心ポンプ(比速度Nsの小さいポンプ)においては、実揚程が高い状態(≒吸込水位が低い状態)で運転するよう制御するとよい。また、主ポンプ10の回転数を制御する水量制御方法により、定格の負荷より低い状態で運転させることにより、健全度Aの低い主ポンプ10に加わる負担を低減させてもよい。
また、例えば、累積運転時間x(又は、最終的な健全度A)が同一または同程度の場合は、各主ポンプ10の納入年(=経過年)を指標として健全度Aに反映させてもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図6は、第2実施形態に係る制御装置100による制御フローである。
第2実施形態は、図6に示すステップS14,S13-1,S13-2が追加されている点で、上記第1実施形態と異なる。
なお、図6に示すステップS11~S13は、図5に示すステップS1~S3に対応し、図6に示すステップS15~S20は、図5に示すステップS4~S9に対応している。
先ず、制御装置100は、吸込水槽2に設けられた水面検知器2aから吸込水位を取得し、吸込水位がどの水位レベルに到達したかを検知する(ステップS11)。次に、制御装置100は、各主ポンプ10の累積運転時間x、各主ポンプ10の異常の予兆の有無(検知数y)、及び各主ポンプ10の予備品の残数(部品在庫数z)を記憶部から読み出す(ステップS12~S14)。ここで、制御装置100は、ポンプ機場1内の図示しない倉庫設備との間で、主ポンプ10の部品在庫数zに係る情報を共有するとよい。
制御装置100は、ステップS13の後に、異常の予兆を検知した部位の補修・修繕の有無を判定する(ステップS13-1)。ステップS13-1が「無(NO)」の場合、制御装置100は、累積運転時間x、異常の予兆の検知数y、及び部品在庫数zに基づいて、各主ポンプ10のそれぞれの健全度Aを算出する(ステップS15)。一方、ステップS13-1が「有(YES)」の場合、制御装置100は、異常の予兆の検知数yを補正する(ステップS13-2)。
異常の予兆の検知数yの補正は、例えば、以下のような式(3)を用いるとよい。
y=ky´+y´´ …(3)
ここで、y´は補修前の異常の予兆の検知数であり、kは補修係数である。また、y´´は、補修後の異常の予兆の検知数である。異常の予兆を検知した部位を補修・修繕したとしても、何らかの痕が残るケースがあり、過去の異常の予兆の検知数を完全にゼロとすることは好ましくないケースがある。このため、第2実施形態では、補修係数k=0~1と設定して、過去の検知数y´の何分の1かを現在の検知数y´´に反映(加算)するようにしている。
次のステップS15において、制御装置100は、累積運転時間x、補正した異常の予兆の検知数y、及び部品在庫数zに基づいて、各主ポンプ10のそれぞれの健全度Aを算出する。第2実施形態における健全度Aは、例えば、以下のような式(4)で算出する。
A={α/[c1・x+c2・y+c3・z+d]}×β …(4)
ここでc1~c3は定数であり、dは任意の設定値で初期値は1である。
部品在庫数zは、主ポンプ10の運転に関連する各種部品(例えば、軸受や軸封装置(シール類)、関連機器の検知器類、バッテリーなど)の在庫の有り無し(1かゼロか)の合計値である。健全度Aへの影響は、「異常の予兆の検知数y」>「累積運転時間x」>「部品在庫数z」であるため、c2>c1>c3とすることが好ましい。仮に部品の種類が100種類ある場合、c3=0.1程度に設定するとよい。なお、当該部品が、異常の予兆に関わる部品である場合には、その内容に応じて重みを付けてもよい。
次に、制御装置100は、算出した健全度Aに基づいて主ポンプ10の残存機(停止機)の起動順序を決定する(ステップS16)。そして、制御装置100は、残存機の中で健全度Aが最も高い主ポンプ10(先発機)を起動させる(ステップS17)。その後、制御装置100は、上記実施形態と同様に、吸込水位を監視しながら(ステップS18,S20)、該当号機を停止させるか(ステップS19)、起動台数を増やすか(ステップS20が「YES」の場合)を決定する。
以上説明したように、第2実施形態では、第1実施形態の作用効果に加え、さらに、主ポンプ10の部品の在庫数zに基づいて、健全度Aを算出するため、より信頼性の高いポンプ機場1の運転が可能となる。すなわち、ポンプ機場1においては、通常、主ポンプ10の運転による消耗品や、緊急で手配ができない(即納できない)部品が場内に保管される。仮に、この部品の在庫が無い状態では、万が一故障が発生したときに、早期の機能復旧が行えず、排水機場としての機能(排水量)不足による浸水被害を生じさせてしまう可能性がある。したがって、その可能性を健全度Aに反映することによって、より信頼性の高いポンプ機場1の運転が可能となる。
また、第2実施形態では、異常の予兆を検知した部位の補修の有無に基づいて、異常の予兆の検知数yを補正するため、補修後の状態を考慮した健全度Aを算出できるようになりより精度の良い(信頼性の高い)台数制御が可能となる。したがって、ポンプ機場1の信頼性をより向上させることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図7,図8は、第3実施形態に係る制御装置100による制御フローである。なお、図7,図8に示す制御フローは、符号A、Bで繋がっている。
第3実施形態は、図7に示すステップS25、及び図8に示す切替制御(後述)が追加されている点で、上記実施形態と異なる。
なお、図7に示すステップS21~S24は、図6に示すステップS11~S14に対応し、図7に示すステップS26,S27は、図6に示すステップS15,S16に対応している。
先ず、制御装置100は、吸込水槽2に設けられた水面検知器2aから吸込水位を取得し、吸込水位がどの水位レベルに到達したかを検知する(ステップS21)。次に、制御装置100は、各主ポンプ10の累積運転時間x、各主ポンプ10の異常の予兆の有無(検知数y)、各主ポンプ10の予備品の残数(部品在庫数z)、及び各主ポンプ10の軽故障の有無(軽故障の検知数w)を記憶部から読み出す(ステップS22~S25)。
また、制御装置100は、ステップS23の後に、異常の予兆を検知した部位の補修・修繕の有無を判定し(ステップS23-1)、ステップS23-1が「有(YES)」の場合、異常の予兆の検知数yを補正する(ステップS23-2)。
次のステップS26において、制御装置100は、累積運転時間x、補正した異常の予兆の検知数y、部品在庫数z、軽故障の検知数wに基づいて、各主ポンプ10のそれぞれの健全度Aを算出する。第3実施形態における健全度Aは、例えば、以下のような式(5)で算出する。
A={α/[c1・x+c2・y+c3・z+c4・w+d]}×β …(5)
ここでc1~c4は定数であり、dは任意の設定値で初期値は1である。
「軽故障」とは、主ポンプ10が揚水を継続することができる程度の故障具合のことを言う。例えば、図2に示す吐出弁13の開閉動作が止まってしまったりするケースが該当する。一方、主ポンプ10が揚水を継続することができない故障具合(重故障)とは、主ポンプ10の心臓部であるポンプ軸12、ポンプ軸12に接続されたインペラ、ポンプ軸12を支持する軸受などに故障・破損が発生したケースが該当する。なお、「軽故障」には、主ポンプ10を駆動させる専属の系統機器の故障も含まれる。
健全度Aへの影響は、「軽故障の検知数w」≧「異常の予兆の検知数y」>「累積運転時間x」>「部品在庫数z」であるため、c4≧c2>c1>c3とすることが好ましい。例えば、上述したようにc2=100程度の場合、c4=150程度に設定するとよい。なお、wには、軽故障の内容に応じて重みを付けてもよい。
次に、制御装置100は、算出した健全度Aに基づいて主ポンプ10の残存機(停止機)の起動順序を決定する(ステップS27)。そして、図8に示すステップS30に移行する。
ステップS30において、制御装置100は、運転中の主ポンプ10の健全度Aと、停止中の主ポンプ10の健全度Aとを比較する。運転中の主ポンプ10の健全度Aが停止中の主ポンプ10の健全度Aよりも低い場合(ステップS30が「YES」の場合)には、制御装置100は、健全度Aの低下を知らせる警報を出す(ステップS31)。この警報は、例えば、制御装置100に接続された表示装置に表示させるとよい。一方、ステップS30が「NO」の場合には、フロー“B”で戻り、上述した通常の台数制御を行う。
ステップS30が「YES」の場合、制御装置100は、運転している主ポンプ10の健全度Aが、停止している主ポンプ10の健全度Aよりも低下したときから、所定の時間(1~30min程度)待機する(ステップS32)。ステップS32の待機時間において、健全度Aが低下した運転中の主ポンプ10の健全度Aが、操作員の応急復旧作業などで復帰した場合(ステップS33が「YES」の場合)、ステップS34において、健全度Aの低下を知らせる警報を停止(解除)する(ステップS34)。また、フロー“B”で通常の台数制御に戻る。
一方、ステップS33が「NO」の場合、制御装置100は、停止中の主ポンプ10の中で、健全度Aが最も高い先発機に起動指令を出す(ステップS35)。次に、制御装置100は、ステップS36において、当該始動機を駆動させる駆動機4の規定回転速度への到達を確認する。その後、制御装置100は、吐出弁13を開き(ステップS37)、吐出弁13が全開で始動機が定格運転状態になったことを確認する(ステップS38)。
なお、ステップS36の後、制御装置100は、運転中の健全度Aが低下した主ポンプ10の流量低下制御を並行して実行しており(ステップS39)、ステップS38において定格運転状態を確認したら、次のステップS40において、運転中の健全度Aが低下した主ポンプ10に停止指令を出す。そして、ステップS41において、停止指令を出した主ポンプ10の停止を確認したら、主ポンプ10の切替が完了する(ステップS42)。
以上説明したように、第3実施形態では、第2実施形態の作用効果に加え、さらに、主ポンプ10が揚水を継続することができる程度の軽故障の検知数wに基づいて、健全度Aを算出するため、より信頼性の高いポンプ機場1の運転が可能となる。また、第3実施形態では、主ポンプ10の運転中に、当該運転している主ポンプ10の健全度Aが、停止している主ポンプ10の健全度Aよりも低下した場合に、当該停止している主ポンプ10を起動させ、当該健全度Aが低下した主ポンプ10を停止させる切替制御を行っている。近年は、ゲリラ豪雨などの影響で急激な河川水位の上昇が発生する場合がある。運転中に軽故障が発生し、それが原因で重故障が発生し緊急停止してしまうと、故障発生箇所の復旧を含め、次号機が始動・運転するまでに10分~30分程度の時間を要してしまう場合も有り、河川水位の上昇が止められず、浸水被害を起こしてしまう可能性がある。これに対し、本手法によれば、故障を未然に防ぎ、排水量を確保できるので、安定した河川水位の制御が可能となる。
また、第3実施形態では、運転している主ポンプ10の健全度Aが、停止している主ポンプ10の健全度Aよりも低下した後、所定の時間が経過した場合(ステップS32)に、切替制御を行っているため、計測器のミスアラームなど、実際には主ポンプ10を駆動させる専属の系統機器に故障が発生していないケースを人為的に判断し排除することができる。また、地震等で一時的に計測値がふらついてしまうようなケースも排除することができる。なお、制御装置100の操作盤等に「健全度復帰(異常予兆・軽故障復帰)」の確認スイッチを設け、警報発報時の操作員の状況確認で、当該確認スイッチを押すことで、健全度復帰の判断としても良い。このようなミスアラームの回避手段として、確認時間を設け、また、健全度Aの復帰処置を自動または(操作員の状況判断による)手動で行える制御とすることで、より信頼性の高い設備とすることができる。
なお、第3実施形態では、次のような変形例を採用してもよい。
例えば、制御装置100は、ステップS42において切替制御を行った後の運転中の主ポンプ10の排水流量が、切替制御を行う前の運転中の主ポンプ10の排水流量以上になるよう制御してもよい。このように、切替時の排水流量を健全度Aの低下前の排水量以上とすることで、排水設備の信頼性を確保できる。また、切替時の急激な排水流量の上昇を抑えるように、健全度Aの低下した主ポンプ10の流量低下速度及び吐出弁13の開閉速度を調整することで、吸込水槽2の急激な水位の低下を抑え、運転中の主ポンプ10の異常検知(吸込水槽2の水位異常低下)による運転停止を防止するとよい。また、目標流量Qを設定し、別途設ける流量計の計測値から、切替時における停止する主ポンプ10と起動する主ポンプ10の排水流量の合計を当該目標流量Qに近づけるようにフィードバック制御してもよい。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図9は、第4実施形態に係る制御装置100による制御フローである。なお、図9に示す制御フローは、符号A、Bで、上述した図8に示す制御フローと繋がっている。
第4実施形態は、図9に示すステップS56が追加されている点で、上記実施形態と異なる。なお、図9に示すステップS56以外は、図7に示すステップと同じである。また、ステップS60以下の切替制御も、図8に示す切替制御と同じであるため、当該切替制御の説明は割愛する。
先ず、制御装置100は、吸込水槽2に設けられた水面検知器2aから吸込水位を取得し、吸込水位がどの水位レベルに到達したかを検知する(ステップS51)。次に、制御装置100は、各主ポンプ10の累積運転時間x、各主ポンプ10の異常の予兆の有無(検知数y)、各主ポンプ10の予備品の残数(部品在庫数z)、各主ポンプ10の軽故障の有無(軽故障の検知数w)、及び時間計画保全超過部品の有無tを記憶部から読み出す(ステップS52~S56)。
また、制御装置100は、ステップS53の後に、異常の予兆を検知した部位の補修・修繕の有無を判定し(ステップS57)、ステップS57が「有(YES)」の場合、異常の予兆の検知数yを補正する(ステップS58)。
次のステップS59において、制御装置100は、累積運転時間x、補正した異常の予兆の検知数y、部品在庫数z、軽故障の検知数w、及び時間計画保全超過部品の有無tに基づいて、各主ポンプ10のそれぞれの健全度Aを算出する。第4実施形態における健全度Aは、例えば、以下のような式(6)で算出する。
A={α/[c1・x+c2・y+c3・z+c4・w+c5・t+d]}×β …(6)
ここでc1~c5は定数であり、dは任意の設定値で初期値は1である。
主ポンプ10には、時間によって計画的に交換タイミングが設定されている時間計画保全部品が存在する。この時間計画保全部品には、例えば、電子部品ではコンデンサ等、機械部品では軸受等が該当する。健全度Aへの影響は、「軽故障の検知数w」≧「異常の予兆の検知数y」>「時間計画保全超過部品の有無t」>「累積運転時間x」>「部品在庫数z」であるため、c4≧c2>c5>c1>c3とすることが好ましい。例えば、c2=100程度の場合、c5=50程度に設定するとよい。なお、tには、時間計画保全部品の内容に応じて重みを付けてもよい。
次に、制御装置100は、算出した健全度Aに基づいて主ポンプ10の残存機(停止機)の起動順序を決定する(ステップS60)。そして、図8に示すステップS30に移行し同様の切替制御を行う。
以上説明したように、第4実施形態では、第3実施形態の作用効果に加え、さらに、主ポンプ10の部品のうち、時間によって計画的に交換タイミングが設定されている時間計画保全超過部品の有無tに基づいて、健全度Aを算出するため、より信頼性の高いポンプ機場1の運転が可能となる。すなわち、主ポンプ10の状態監視保全を行う機器でも、内部には、時間劣化による取替を行わなければならない部品が存在する場合がある。そのような時間計画保全を行う部品については、突発的な故障が発生する危険性があるため時間計画による予防保全を行っている。しかし、この時間計画のタイミングを逸していると、急に異常が発生してしまう場合があるので、時間計画保全の部品とその計画時間(運転時間や設置年数他)をデータ化し、それを制御装置100に入力して、その超過の有無を判定させて健全度Aに反映させることで、健全度Aの評価の信頼度を更に向上させることができる。
なお、第4実施形態では、次のような変形例を採用してもよい。
例えば、制御装置100は、各主ポンプ10の健全度Aと、当該健全度Aの演算の因子となる各要素(x,y,z,w,t)の現状値と、その履歴を表示装置に表示するようにしてもよい。これにより、各主ポンプ10の健全度Aの状態、変遷を設備操作員が確認できるため、計画的な保全計画を講じることができ(保全順位の決定と実施予算の確保など)、また、設備操作員の負担軽減と維持管理性の向上を図ることができる。
また、例えば、制御装置100は、主ポンプ10の故障に関する故障木(フォルトツリー)を記憶し、検知した異常の予兆に基づいて、当該フォルトツリーから想定される異常内容を、表示装置などに表示または警報を出すようにしてもよい。当該フォルトツリーとしては、例えば、予兆検知項目「冷却水ポンプ24の性能劣化」があり、その「冷却水ポンプ24の性能劣化」が想定異常「冷却水温度上昇」に繋がり、その「冷却水温度上昇」が想定異常の最終故障である「主ポンプ軸受温度上昇(重故障)」に繋がるようなものを例示できる。このように、想定される異常内容を表示・警告することで、設備操作員に、最終的な故障状態をイメージさせることができ、緊迫感(現実感)を出し、適切な保全処置を促すことが可能となる。
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
1…ポンプ機場(ポンプ設備)、2…吸込水槽、2a…水面検知器、2b…水面検知器、3…吐出水槽、3a…水面検知器、4…駆動機、4a…駆動軸、4b…熱交換器、5…減速機、6…地下貯油槽、7…燃料小出槽、8…空気槽、10…主ポンプ、11…ケーシング、11a…吸込口、11b…吐出口、12…ポンプ軸、13…吐出弁、14…満水検知器、20…補機、21…真空ポンプ、21a…電動機、22…ギヤポンプ、22a…電動機、23…コンプレッサ、23a…電動機、24…冷却水ポンプ、24a…電動機、30…吸気ライン、31…吸気弁、32…給水管、33…排出管、34…補水槽、35…給水弁、40…燃料供給ライン、50…空気供給ライン、60…冷却水供給ライン、61…冷却水槽、100…制御装置、A…健全度、k…補修係数、M…故障レベル、SWL0…水位レベル、SWL1…水位レベル、SWL2…水位レベル、SWL3…水位レベル、SWL4…水位レベル、t…時間計画保全超過部品の有無、w…軽故障の検知数、x…累積運転時間x、y…異常の予兆の検知数y、z…部品在庫数、θ…差

Claims (8)

  1. 液体を揚水する複数台のポンプを備えるポンプ設備であって、
    前記複数台のポンプのそれぞれの累積運転時間を計測すると共に、前記複数台のポンプのそれぞれの異常の予兆を検知し、
    前記累積運転時間及び前記異常の予兆を検知した前記異常の予兆の種類の数に基づいて、前記複数台のポンプのそれぞれの健全度を算出し、
    前記健全度に基づいて、前記複数台のポンプの起動順序を並び替えて台数制御を行う、制御装置を備え、
    前記制御装置は、前記ポンプの所定の状態量が所定の閾値以上の場合に前記異常を検知すると共に、
    前記閾値未満の前記状態量の変化の傾向に基づいて、前記異常の予兆を検知する、ことを特徴とするポンプ設備。
  2. 前記制御装置は、前記異常の予兆を検知した部位の補修の有無に基づいて、前記異常の予兆の種類の数に補正値を加算する、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ設備。
  3. 前記制御装置は、さらに、前記ポンプの部品の在庫数に基づいて、前記健全度を算出する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のポンプ設備。
  4. 前記制御装置は、さらに、前記ポンプが揚水を継続することができる程度の軽故障の検知数に基づいて、前記健全度を算出する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のポンプ設備。
  5. 前記制御装置は、さらに、前記ポンプの部品のうち、時間によって計画的に交換タイミングが設定されている時間計画保全部品の時間超過の有無に基づいて、前記健全度を算出する、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のポンプ設備。
  6. 前記制御装置は、前記ポンプの運転中に、当該運転している前記ポンプの健全度が、停止している前記ポンプの健全度よりも低下した場合に、当該停止している前記ポンプを起動させ、当該健全度が低下した前記ポンプを停止させる切替制御を行う、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のポンプ設備。
  7. 前記制御装置は、前記運転している前記ポンプの健全度が、停止している前記ポンプの健全度よりも低下した後、所定の時間が経過した場合に、前記切替制御を行う、ことを特徴とする請求項6に記載のポンプ設備。
  8. 液体を揚水する複数台のポンプを備えるポンプ設備の運転方法であって、
    前記複数台のポンプのそれぞれの累積運転時間を計測すると共に、前記複数台のポンプのそれぞれの異常の予兆を検知し、
    前記累積運転時間及び前記異常の予兆を検知した前記異常の予兆の種類の数に基づいて、前記複数台のポンプのそれぞれの健全度を算出し、
    前記健全度に基づいて、前記複数台のポンプの起動順序を並び替えて台数制御を行い、
    前記ポンプの所定の状態量が所定の閾値以上の場合に前記異常を検知すると共に、
    前記閾値未満の前記状態量の変化の傾向に基づいて、前記異常の予兆を検知する、ことを特徴とするポンプ設備の運転方法。
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