JP6995025B2 - 太陽熱集熱管 - Google Patents
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Description
このような太陽熱集熱管において、内部を熱媒体が流通可能な管の材料としてステンレスを用いることが知られている(例えば、特許文献1)。
管の材質がシリコンの場合、750℃に加熱しても太陽光-熱変換層の安定性に影響を与えることはなかったが、ステンレスなどの鉄系材料製管を用いて太陽熱集熱管を製造した場合、太陽光-熱変換層の高温安定性に悪影響を及ぼすことがわかった。
(1)内部を熱媒体が流通可能な鉄系材料製管の外側表面上に、内側から、少なくとも第1の拡散防止層、第2の拡散防止層、赤外線反射層、太陽光-熱変換層及び反射防止層をこの順で含み、
前記第1の拡散防止層は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び酸化クロムからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記第2の拡散防止層は、タンタル窒化物、タンタル酸窒化物、チタン窒化物、チタン酸窒化物、ニオブ窒化物及びニオブ酸窒化物からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記赤外線反射層と第2の拡散防止層の間に金属保護層をさらに含む、太陽熱集熱管。
(2)前記太陽光-熱変換層が、ケイ化鉄、ケイ化マンガン及びケイ化クロムからなる群から選択されるケイ化物を少なくとも1種含む、(1)に記載の太陽熱集熱管。
(3)前記赤外線反射層が90at%以上のAgを含む、(1)又は(2)に記載の太陽熱集熱管。
(4)前記赤外線反射層と太陽光-熱変換層の間に金属保護層をさらに含む、(1)~(3)のいずれかに記載の太陽熱集熱管。
(5)前記赤外線反射層が2つの金属保護層の間に挟持されている、(1)~(4)のいずれかに記載の太陽熱集熱管。
(6)前記金属保護層がAgよりも高い融点の材料を含む、(4)又は(5)に記載の太陽熱集熱管。
(7)前記金属保護層と前記太陽光-熱変換層の間に酸素バリア層をさらに含む、(4)~(6)のいずれかに記載の太陽熱集熱管。
(8)前記太陽光-熱変換層が、内側から第1の太陽光-熱変換層と第2の太陽光-熱変換層で形成され、
第1の太陽光-熱変換層がケイ化鉄、ケイ化マンガン及びケイ化クロムからなる群から選択されるケイ化物の1種を少なくとも80at%で含み、
第2の太陽光-熱変換層は太陽光-熱変換層ケイ化鉄、ケイ化マンガン及びケイ化クロムからなる群から選択されるケイ化物の少なくとも1種と、無機材料の少なくとも1種を含む複合材料からなる、(1)~(7)のいずれかに記載の太陽熱集熱管。
図1において、本実施の形態の太陽熱集熱管1は、内部を熱媒体が流通可能な鉄系材料製管2(以下、「管2」とも称する)と、管2の外側表面上に形成された第1の拡散防止層3と、第1の拡散防止層3上に形成された第2の拡散防止層4と、第2の拡散防止層4上に形成された赤外線反射層5と、赤外線反射層に分散された金属6と、赤外線反射層5上に形成された太陽光-熱変換層7と、太陽光-熱変換層7上に形成された反射防止層8とを有する。
本発明では、公知のオーステナイト系ステンレス鋼を使用することができ、例えば、SUS310S,SUS316L,SUS321,SUS347が挙げられる。
ここで、赤外線反射層5にSiを分散させる場合、その量は、特に限定されないが、通常、0.1at%~7at%、好ましくは0.3at%~5at%、より好ましくは0.5at%~3at%である。
赤外線反射層5がAgからなる場合、Agをターゲットとして用い、アルゴンガスを含むガスの存在下でスパッタリングを行うことによって形成することができる。スパッタリングの際の条件は、使用する装置に応じて適宜調整すればよく特に限定されない。
太陽光-熱変換層7としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。太陽光-熱変換層7の例としては、黒色クロムめっき層、黒色ニッケルめっき層、無電解ニッケル黒化処理層、四三酸化鉄皮層、サーメット層(セラミックと金属とを複合させた材料からなる層)、ケイ化鉄層、ケイ化マンガン層、ケイ化クロム層、ケイ化鉄、ケイ化マンガン又はケイ化クロムなどの金属ケイ化物と透明誘電体(例えば、SiO2、Al2O3、AlNなど)との複合材料からなる層などが挙げられる。また、これらの層は、単層であっても2種以上の複数層であってもよい。
また、光吸収特性を考慮すると、太陽光-熱変換層7としてβ-FeSi2又はCrSi2を使用することが好ましい。
太陽光-熱変換層7の形成方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。例えば、化学的蒸着、物理的蒸着(スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングなど)、めっき法などを用いて形成することができる。
反射防止層8としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。反射防止層8の例としては、SiO2層、Al2O3層、AlN層、Cr2O3層等の透明誘電体層が挙げられる。
反射防止層8の形成方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。例えば、化学的蒸着、物理的蒸着(スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング)を用いて形成することができる。特にスパッタリングの場合は、透明誘電体の構成元素である金属又は半金属をターゲットとして使用し、アルゴンガスなどの不活性ガスに酸素ガス又は窒素ガスを加えた条件下で、スパッタさせた金属又は半金属を酸素ガス又は窒素ガスと反応させながら形成してもよい。
図2は、本実施の形態の太陽熱集熱管の部分断面図である。
図2において、本実施の形態の太陽熱集熱管10は、赤外線反射層5と太陽光-熱変換層7の間に金属保護層11が設けられている点で、実施の形態1の太陽熱集熱管1と異なる。なお、この点以外の特徴については、実施の形態1の太陽熱集熱管1と同じであるため、説明を省略する。
金属保護層11は、赤外線反射層5中のAgを昇華し難くする機能を有し、それゆえ、赤外線反射層5の機能が低下し難くなる。
また、金属保護層11は、赤外線反射層5に分散された金属6(例えば、Mo、W、Ta、Nb及びAlからなる群から選択される少なくとも1種)を含む材料から形成されていてもよい。このような材料としては、Mo、W、Ta、Nb及びAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属6と、ケイ素又は窒素との化合物を用いることができる。このような化合物の例としては、TaSi2(融点2200℃)、MoSi2(融点2020℃)、Mo5Si3(融点2180℃)、WSi2(融点2160℃)、TaN(融点3083℃)、NbSi2(融点1930℃)、NbN(融点2300℃)などが挙げられる。
また、赤外線反射層5及び金属保護層11に用いる材料の光学定数を用いて多層膜近似し、その結果を基に輻射率を計算することにより、赤外線反射層5と太陽光-熱変換層7の間に設けられる金属保護層11の適切な厚さを求めてもよい。
図3は、本実施の形態の太陽熱集熱管の部分断面図である。
図3において、本実施の形態の太陽熱集熱管20は、赤外線反射層5と第2の拡散防止層4の間に金属保護層11が設けられている、つまり、赤外線反射層5が金属保護層11に挟持されている点で、実施の形態2の太陽熱集熱管2と異なる。なお、この点以外の特徴については、実施の形態2の太陽熱集熱管20と同じであるため、説明を省略する。
赤外線反射層5と第2の拡散防止層4の間に設けられた金属保護層11も、同様に赤外線反射層5中のAgを昇華し難くする機能を有し、赤外線反射層5の機能が低下し難くなる。また、赤外線反射層5と第2の拡散防止層4の間に設けられた金属保護層11は、赤外線反射層5の下地としての機能も有し、赤外線反射層5が均一に形成され、赤外線反射層5の機能を安定して得ることができる。
図4は、本実施の形態の太陽熱集熱管の部分断面図である。
図4において、本実施の形態の太陽熱集熱管30は、金属保護層11と太陽光-熱変換層7との間に酸素バリア層12が設けられている点で、実施の形態2の太陽熱集熱管10と異なる。なお、この点以外の特徴については、実施の形態2の太陽熱集熱管10と同じであるため、説明を省略する。また、本実施の形態の特徴は、実施の形態3の太陽熱集熱管20にも適用することができる。
酸素バリア層12の厚さは、酸素を透過させない範囲であれば特に限定されないが、一般に1nm~100nm、好ましくは3nm~50nm、より好ましくは5nm~30nmである。
図5は、本実施の形態の太陽熱集熱管の部分断面図である。
図5において、本実施の形態の太陽熱集熱管40は、太陽光-熱変換層が第1の太陽光-熱変換層13と第2の太陽光-熱変換層14との2層構造になっている点で、実施の形態4の太陽熱集熱管30と異なる。なお、この点以外の特徴については、実施の形態4の太陽熱集熱管30と同じであるため、説明を省略する。また、本実施の形態の特徴は、実施の形態1の太陽熱集熱管1、実施の形態2の太陽熱集熱管10、及び実施の形態3の太陽熱集熱管20にも適用することができる。
例えば、太陽光-熱変換層として、ケイ化鉄、ケイ化マンガン及びケイ化クロムからなる群から選択されるケイ化物の少なくとも1種からなる層を用いた場合、反射防止層との屈折率の差が大きくなるため、前記ケイ化物に無機材料を含む複合材料からなる層を反射防止層と太陽光-熱変換層の間に設けることで、これらの層間の屈折率の差を少なくし、太陽光を効率良く吸収することが可能になる。
第1の太陽光-熱変換層13の形成方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。例えば、化学的蒸着、物理的蒸着(スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングなど)、めっき法などを用いて形成することができる。
図8は、本実施の形態の太陽熱集熱管の部分断面図である。
図8において、本実施の形態の太陽熱集熱管50は、太陽光-熱変換層が第1の太陽光-熱変換層13と第2の太陽光-熱変換層14との2層構造になっている点で、実施の形態3の太陽熱集熱管20と異なる。なお、この点以外の特徴については、実施の形態3の太陽熱集熱管20と同じであるため、説明を省略する。
例えば、太陽光-熱変換層として、ケイ化鉄、ケイ化マンガン及びケイ化クロムからなる群から選択されるケイ化物の少なくとも1種からなる層を用いた場合、反射防止層との屈折率の差が大きくなるため、前記ケイ化物に無機材料を含む複合材料からなる層を反射防止層と太陽光-熱変換層の間に設けることで、これらの層間の屈折率の差を少なくし、太陽光を効率良く吸収することが可能になる。
図9は、本実施の形態の太陽熱集熱管の部分断面図である。
図9において、本実施の形態の太陽熱集熱管60は、赤外線反射層5と第2の拡散防止層4の間に金属保護層11が設けられている、つまり、赤外線反射層5が金属保護層11に挟持されている点で、実施の形態5の太陽熱集熱管40と異なる。なお、この点以外の特徴については、実施の形態5の太陽熱集熱管40と同じであるため、説明を省略する。
赤外線反射層5と第2の拡散防止層4の間に設けられた金属保護層11は、赤外線反射層5中のAgを昇華し難くする機能を有し、赤外線反射層5の機能が低下し難くなる。また、赤外線反射層5と第2の拡散防止層4の間に設けられた金属保護層11は、赤外線反射層5の下地としての機能も有し、赤外線反射層5が均一に形成され、赤外線反射層5の機能を安定して得ることができる。
(i)シリコン基板にスパッタリング法により、β-FeSi2層(25nm)及びSiO2層(70nm)の積層体を作成した(図10)。β-FeSi2層はβ-FeSi2のターゲットを用い、アルゴンガスの存在下で作成した。SiO2層はシリコンのターゲットを用い、アルゴンガス:酸素ガス=10:1.8(モル比)の条件下で、スパッタしたシリコンを酸素ガスと反応させながら作成した。
(ii)この積層体を、750℃で1時間、11時間、21時間、31時間、41時間及び51時間加熱した後、X線回析装置(PANalytical社製 Empyrean)を用いてX線回析を行いその成分組成を回析した(図11)。
(iii)図11の結果から、750℃で51時間加熱した場合であっても、チャートからは積層体内の成分の変化は認められなかった。
以上より、シリコン基板を熱媒体が流通する管として用いた場合、β-FeSi2層は高熱常温下でも安定である。
(i)SUS310Sを基板として、スパッタリング法により、β-FeSi2層(25nm)及びSiO2層(70nm)の積層体を作成した(図12)。作成条件は試験例1と同じである。
(ii)この積層体を750℃で1時間加熱した後、X線回析装置を用いてX線回析を行いその成分組成を回析した(図13)。
(iii)図13の結果から、この積層体中に、Fe5Si3、Fe3Si、Cr3Ni2Siなどが検出され、β-FeSi2がSUS310Sから析出してきたFe、Cr、Niなどの成分と反応し、β-FeSi2層中の成分の構成が変化していることが分かる。よって、高温条件下で、基板として鉄系材料を用いると太陽光-熱変換層の安定性に悪影響を及ぼすことが分かった。
(i)SUS310Sを基板として、スパッタリング法により、TaN層(100nm)、β-FeSi2層(25nm)及びSiO2層(70nm)の積層体を作成した(図14)。TaN層はタンタルのターゲットを用い、アルゴンガスに窒素ガスを加えた条件下で、スパッタさせたタンタルを窒素ガスと反応させながら作成した。それ以外の層は試験例2と同じである。
(ii)この積層体を750℃で1時間及び11時間加熱した後、X線回析装置を用いてX線回析を行いその成分組成を回析した(図15)。
(iii)図15の結果から、750℃で11時間加熱すると、この積層体中に、Fe3Si、Fe3Si、Ni2Siなどが検出され、β-FeSi2がSUS310Sから析出してきたFe、Cr、Niなどの成分と反応し、β-FeSi2層中の成分の構成が変化していることが分かる。よって、拡散防止層としてTaN層を設けても、高温条件下で基板として鉄系材料を用いると、太陽光-熱変換層の安定性を十分に確保できないことが分かる。
(i)SUS310Sを基板として、スパッタリング法により、SiO2層(100nm)、β-FeSi2層(25nm)及びSiO2層(80nm)の積層体を作成した(図16)。各層の作成方法は試験例1と同じである(2つのSiO2層は同じ作成方法である)。
(ii)この積層体を750℃で1時間、11時間、21時間、31時間、41時間及び51時間加熱した後、X線回析装置を用いてX線回析を行いその成分組成を回析した(図15)。
(iii)図17の結果から、この積層体中に、FeSiが検出され、β-FeSi2がSUS310Sから析出してきた成分と反応し、β-FeSi2層中の成分の構成が変化していることが分かる。よって、拡散防止層としてSiO2のみを設けても、高温条件下で、太陽光-熱変換層の安定性は十分には保てないことが分かった。
(i)SUS310Sを基板として、スパッタリング法により、SiO2層(130nm)、TaN層(100nm)、β-FeSi2層(25nm)及びSiO2層(70nm)の積層体を作成した(図18)。各層の作成方法は試験例3と同じである(2つのSiO2層は同じ作成方法である)。
(ii)この積層体を750℃で1時間、11時間、21時間、31時間、41時間、51時間、61時間、71時間及び81時間加熱した後、X線回析装置を用いてX線回析を行い、その成分組成を解析した(図19)。
(iii)図19の結果から、各加熱時間でのチャートの形状の変化はほぼ認められない。つまり、β-FeSi2層が高温条件下で長時間安定であり、SUS310S中のFe、Cr、Niなどの成分の拡散が抑えられていることが分かる。従って、第1の拡散防止層及び第2の拡散防止層を設けることで、鉄系材料からの成分の熱拡散を抑制できることが分かった。
(i)SUS310Sを基板として、スパッタリング法により、CrSi2層(25nm)及びSiO2層(75nm)の積層体を作成した(図20)。CrSi2層はCrSi2のターゲットを用い、アルゴンガスの存在下で作成した。SiO2層の作成方法は試験例1と同じである。
(ii)この積層体を700℃で1時間加熱した後、X線回析装置を用いてX線回析を行いその成分組成を回析した(図21)。
(iii)図21の結果から、この積層体中に、CrFe2、Fe5Ni3Si2、Cr3Si2などが検出され、CrSi2がSUS310Sから析出してきたFe、Cr、Niなどの成分と反応し、CrSi2層中の成分の構成が変化していることが分かる。よって、高温条件下で、鉄系材料を用いると太陽光-熱変換層の安定性に悪影響を及ぼすことがわかった。
(i)SUS310Sを基板として、スパッタリング法により、TaN層(100nm)、CrSi2層(25nm)及びSiO2層(75nm)の積層体を作成した(図22)。TaN層の作成方法は試験例3と同じである。それ以外の層は試験例6と同じである。
(ii)この積層体を700℃で1時間、750度で1時間、30時間及び50時間加熱した後、X線回析装置を用いてX線回析を行いその成分組成を回析した(図23)。
(iii)図23の結果から、750℃で長時間加熱すると、この積層体中に、CrSi、Cr5Si3などが検出され、CrSi2がSUS310Sから析出してきたFe、Cr、Niなどの成分と反応し、CrSi2層中の成分の構成が変化していることが分かる。よって、拡散防止層としてTaN層を一層のみ設けても、高温条件下で鉄系材料を用いると、太陽光-熱変換層の安定性を十分に確保できないことが分かる。
(i)SUS310Sを基板として、スパッタリング法により、SiO2(130nm)、CrSi2層(25nm)及びSiO2層(75nm)の積層体を作成した(図24)。各層の作成方法は試験例6と同じである(2つのSiO2層は同じ作成方法である)。
(ii)この積層体を700℃で1時間、750℃で1時間、10時間、20時間及び50時間加熱した後、X線回析装置を用いてX線回析を行いその成分組成を回析した(図25)。
(iii)図25の結果から、この積層体中に、高温条件下で、CrSiやCr5Si3が検出され、CrSi2がSUS310Sから析出してきた成分と反応し、CrSi2層中の成分の構成が変化していることが分かった。よって、拡散防止層としてSiO2のみを設けても、高温条件下で、太陽光-熱変換層の安定性は十分には保てないことが分かった。
(i)SUS310Sを基板として、スパッタリング法により、SiO2層(150nm)、TaN層(100nm)、CrSi2層(25nm)及びSiO2層(75nm)の積層体を作成した(図26)。各層の作成方法は試験例7と同じである(2つのSiO2層は同じ作成方法である)。
(ii)この積層体を750℃で1時間、10時間、20時間、30時間、40時間及び50時間時間加熱した後、X線回析装置を用いてX線回析を行い、その成分組成を回析した(図27)。
(iii)図27の結果から、各加熱時間でのチャートの形状の変化はほぼ認められない。つまり、CrSi2層が高温条件下で長時間安定であり、SUS310S中のFe、Cr、Niなどの成分の拡散が抑えられていることが分かる。従って、第1の拡散防止層及び第2の拡散防止層を設けることで、鉄系材料からの成分の熱拡散を抑制できることが分かった。
SUS310Sを基板として、スパッタリング法により、SiO2層(130nm)、TaN層(100nm)、TaSi2層(40nm)、Ta及びSiを含むAg層(200nm、Ta 7at%、Si 3at%含む)、TaSi2層(15nm)、SiO2(10nm)、β-FeSi2層(15nm)、SiO2を含むβ-FeSi2層(60nm、SiO2 60vol%含む)及びSiO2(65nm)をこの順で積層した積層体を作成した(図28)。
SUS310Sを基板として、スパッタリング法により、TaN層(100nm)、TaSi2層(40nm)、Ta及びSiを含むAg層(200nm、Ta 7at%、Si 3at%含む)、TaSi2層(15nm)、SiO2(10nm)、β-FeSi2層(15nm)、SiO2を含むβ-FeSi2層(60nm、SiO2 60vol%含む)及びSiO2(65nm)をこの順で積層した積層体を作成した(図29)。各層の作成方法は実施例1と同じである。
この比較例1は、第1の拡散防止層であるSiO2を含まない点で実施例1と異なる。
これらの条件で加熱した実施例1及び比較例1のサンプルを分光光度計(PerkinElmer社製 Lambda950)を用いて、白板反射板の反射率を100%としたときの反射率を、波長190nm~2500nmの範囲にわたって5nm間隔で測定した。結果を図30及び図31に示す。
Claims (8)
- 内部を熱媒体が流通可能な鉄系材料製管の外側表面上に、内側から、少なくとも第1の拡散防止層、第2の拡散防止層、赤外線反射層、太陽光-熱変換層及び反射防止層をこの順で含み、
前記第1の拡散防止層は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び酸化クロムからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記第2の拡散防止層は、タンタル窒化物、タンタル酸窒化物、チタン窒化物、チタン酸窒化物、ニオブ窒化物及びニオブ酸窒化物からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記赤外線反射層と第2の拡散防止層の間に金属保護層をさらに含む、太陽熱集熱管。 - 前記太陽光-熱変換層が、ケイ化鉄、ケイ化マンガン及びケイ化クロムからなる群から選択されるケイ化物の少なくとも1種を含む、請求項1に記載の太陽熱集熱管。
- 前記赤外線反射層が90at%以上のAgを含む、請求項1又は2に記載の太陽熱集熱管。
- 前記赤外線反射層と太陽光-熱変換層の間に金属保護層をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の太陽熱集熱管。
- 前記赤外線反射層が2つの金属保護層の間に挟持されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の太陽熱集熱管。
- 前記金属保護層がAgよりも高い融点の材料を含む、請求項4又は5に記載の太陽熱集熱管。
- 前記金属保護層と前記太陽光-熱変換層の間に酸素バリア層をさらに含む、請求項4~6のいずれか1項に記載の太陽熱集熱管。
- 前記太陽光-熱変換層が、内側から第1の太陽光-熱変換層と第2の太陽光-熱変換層で形成され、
第1の太陽光-熱変換層がケイ化鉄、ケイ化マンガン及びケイ化クロムからなる群から選択されるケイ化物の1種を少なくとも80at%で含み、
第2の太陽光-熱変換層はケイ化鉄、ケイ化マンガン及びケイ化クロムからなる群から選択されるケイ化物の少なくとも1種と、無機材料の少なくとも1種を含む複合材料からなる、請求項1~7のいずれか1項に記載の太陽熱集熱管。
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