以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。以下の実施形態及び変形例以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(実施形態)
以下、本実施形態に係るエネルギー管理装置、エネルギーマネジメント方法及びプログラムについて、図1~図12Bを用いて説明する。
(1)概要
本実施形態におけるエネルギーマネジメントシステム1としてのエネルギー管理装置10は、施設で使用する複数のエネルギーをその種別ごとに取得し、特定の機器でのエネルギー使用量を特定する。エネルギー管理装置10は、特定の機器でのエネルギー使用量の評価を行う。エネルギー管理装置10は、当該特定の機器のエネルギー使用量に対する評価結果を出力することで、当該特定の機器の使用者(施設の住居者)に通知する。
本実施形態では、施設で使用する複数のエネルギーは、電力、ガス、油を含む。ガスは、例えば都市ガス、LPG(liquefied petroleum gas)等である。油は、例えばA重油、灯油等である。さらに、特定の機器として、例えば空調機器、照明機器等がある。
本実施形態において、施設は、戸建住宅、集合住宅の各住戸、オフィスビル、商業施設、病院、福祉施設、ホテル又は工場等である。
エネルギー管理装置10は、特定の機器でのエネルギー使用量を特定する際に、施設の用途に応じて当該施設に設けられた給湯器によるエネルギー使用量を特定する。エネルギー管理装置10は、給湯器によるエネルギー使用量を除く残りのエネルギー使用量に基づいて特定の機器のエネルギー使用量を特定する。
(2)構成
ここでは、エネルギー管理装置10の構成について説明する。
エネルギー管理装置10は、図1に示すように、入力部11、記憶部12、表示部13及び制御部14を備える。
エネルギー管理装置10は、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部14として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
入力部11は、所定期間(例えば、1年間)について、所定期間を複数に区分した単位期間(例えば、1ヶ月)ごとに、複数のエネルギーの各々についてのエネルギー使用量の入力を受け付ける。入力部11が受け付けるエネルギーごとのエネルギー使用量は、当該エネルギーにおける施設全体での使用量、つまりエネルギーを使用し機器別に分かれていない状態の使用量である。例えば、ユーザは、電気、ガス等の料金の請求書に記載されている各月のエネルギー使用量の実績値を、入力部11から所定期間分入力する。
さらに、入力部11は、特定の機器に対する評価を行う際に必要とする情報の入力を受け付ける。例えば、入力部11は、電気給湯器の有無、つまり施設に電気給湯器が設けられているか否かの情報、施設の用途に係る情報(施設用途情報)及び特定の機器が設けられた施設に係る施設情報の入力を受け付ける。施設用途情報は、例えば施設が病院であること、事務所であること、住宅であること、学校であること、宿泊施設であること等の情報である。施設情報は、例えば、施設が建てられた地域、延床面積、築年数、専有部と共有部との面積比率を含む。
なお、特定の機器に対する評価を行う際に必要とする情報は、評価を行う度に入力されてもよいし、評価を行う前に予め入力されて記憶部12に記憶されてもよい。本実施形態では、特定の機器に対する評価を行う際に必要とする情報は、予め入力されているとする。この場合、築年数は定期的に更新される。
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等から選択されるデバイスで構成される。
記憶部12は、給湯器のエネルギー使用量を特定するために用いる各種情報を記憶している。例えば、記憶部12は、地域ごとの月別の気温データ及び給湯温度を記憶している。記憶部12は、施設の用途別に、所定期間における給湯器の熱負荷原単位、月ごと(単位期間ごと)の変動パターン及び月ごとの稼動日数を記憶している。ここで、給湯器の熱負荷原単位とは、施設の単位面積当たりに必要とする給湯器のエネルギー量である。
記憶部12は、空調機器のエネルギー使用量を特定するために用いる各種情報を記憶している。例えば、記憶部12は、施設の用途別の空調機器の熱負荷原単位、各熱負荷原単位に対する地域別の地域係数を記憶している。記憶部12は、施設の延床面積、築年数、施設が建てられた地域(地域名)を記憶している。記憶部12は、エネルギーごとに、複数の空調機器のそれぞれに対する冷房時の定格効率(第1定格効率)及び暖房時の定格効率(第2定格効率)を記憶している。記憶部12は、複数の空調機器について、当該空調機器の第1定格効率及び第2定格効率のそれぞれに、施設の築年数に応じた劣化係数を対応付けて記憶している。記憶部12は、施設の用途別に、月ごとの稼働日数、及び1日の稼働時間を記憶している。ここで、空調機器の熱負荷原単位とは、施設の単位面積当たりに必要とする空調機器のエネルギー量である。
記憶部12は、施設に設けられた複数の照明機器のエネルギー使用量を特定するために用いる各種情報を記憶している。例えば、記憶部12は、施設に対する設計照度、照明率及び保守率を記憶している。記憶部12は、照明機器の機器種別ごとのランプ光束及び1台当たりの消費電力を記憶している。さらに、記憶部12は、施設ごとに、当該施設における専有部と共有部との面積比率を記憶している。記憶部12は、施設の用途別に、月ごとの稼働日数、及び1日の稼働時間を記憶している。
表示部13は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(electroluminescence)ディスプレイのような薄型のディスプレイ装置である。表示部13は、特定の機器に対する評価結果を表示する。
制御部14は、図1に示すように、取得部101、処理決定部102、第1特定部103、第2特定部104、第3特定部105、第4特定部106、第1算出部107、第2算出部108、第1評価部109及び第2評価部110を備える。
取得部101は、電力を含む複数のエネルギーごとに、施設におけるエネルギー使用量を取得する。具体的には、取得部101は、入力部11が受け付けた複数のエネルギーの各々についてのエネルギー使用量を、単位期間ごとに取得する。
処理決定部102は、記憶部12が記憶している、特定の機器に対する評価を行う際に必要とする情報を用いて、エネルギーごとの特定の機器(空調機器)でのエネルギー使用量を特定するための複数の処理のうち一の処理を決定する。ここでは、複数の処理は、Aモデル処理~Fモデル処理の6つの処理を含んでいる。処理決定部102は、特定の機器に対する評価を行う際に必要とする情報を用いて、Aモデル処理~Fモデル処理のうち1つのモデル処理を決定する。Aモデル処理~Fモデル処理の詳細については、後述する。
第1特定部103は、処理決定部102が決定したモデル処理を用いて、複数のエネルギーのうち電力のエネルギー使用量(第1エネルギー使用量)に基づいて、複数の設備のうち電力によって動作する空調機器(第1空調機器)によるエネルギー使用量を特定する。
第1特定部103は、施設に電気給湯器が設けられていない場合には、第1エネルギー使用量に基づいて、季節によって変動しないベース使用量を特定する。ベース使用量は、季節によって電力の使用が変化しない電力量であり、例えば複数の照明機器による電力量、コンセントに接続された機器による電力量等の合計である。第1特定部103は、単位期間ごとに入力された第1エネルギー使用量のうち最小の第1エネルギー使用量に基づいて、ベース使用量を特定する。例えば、第1特定部103は、最小の第1エネルギー使用量をベース使用量としてもよいし、最小の第1エネルギー使用量に1未満の値である係数を乗算した結果をベース使用量としてもよい。ここで、係数は、各単位期間において同一の値であってもよいし、単位期間ごとに異なる値であってもよい。または、係数は、複数の単位期間のうち一部の単位期間において同一の値であってもよい。
また、単位期間ごとに入力された第1エネルギー使用量のうち最小の第1エネルギー使用量を特定し、特定した最小の第1エネルギー使用量から一稼働日当たりのエネルギー使用量使用量(基準使用量)を算出してもよい。例えば、特定した最小の第1エネルギー使用量に対応する単位期間での機器の稼働日数が19日である場合、第1特定部103は、最小の第1エネルギー使用量を稼働日数(19日)で除算することで、基準使用量を求める。第1特定部103は、単位期間ごとに、基準使用量に当該単位期間での稼動日数を乗算して、当該単位期間でのベース使用量を求める。
第1特定部103は、単位期間ごとに、当該単位期間の第1エネルギー使用量のうちベース使用量を除く残りのエネルギー使用量から第1空調機器によるエネルギー使用量を特定する。
第1特定部103は、施設に電気給湯器が設けられている場合には、入力された第1エネルギー使用量を用いて、単位期間(月ごと)ごとに電気給湯器のエネルギー使用量を特定する。第1特定部103は、入力された第1エネルギー使用量のうち最小の第1エネルギー使用量を特定する。第1特定部103は、特定した最小の第1エネルギー使用量から、当該最小の第1エネルギー使用量に対応する月(対応月)での電気給湯器のエネルギー使用量を差し引いた残りのエネルギー使用量に基づいて、ベース使用量を特定する。例えば、第1特定部103は、残りのエネルギー使用量をベース使用量としてもよいし、残りのエネルギー使用量に1未満の値を乗算した結果をベース使用量としてもよい。さらに、第1特定部103は、単位期間ごとに、電気給湯器のエネルギー使用量を特定する。第1特定部103は、単位期間ごとに、当該単位期間の第1エネルギー使用量のうちベース使用量及び当該単位期間に対応する電気給湯器でのエネルギー使用量を除く残りのエネルギー使用量から第1空調機器によるエネルギー使用量を特定する。
第2特定部104は、処理決定部102が決定したモデル処理を用いて、複数のエネルギーのうち電力とは異なるエネルギーのエネルギー使用量(第2エネルギー使用量)によって動作する空調機器(第2空調機器)によるエネルギー使用量を特定する。具体的には、第2特定部104は、第2エネルギー使用量について季節に応じて変動が生じている場合に、電気給湯器の設置の有無及び電力以外のエネルギーを用いた給湯器の考慮の有無に応じて、第2空調機器によるエネルギー使用量を特定する。
第3特定部105は、第1特定部103が特定したベース使用量のうち複数の照明機器におけるエネルギー使用量(照明用エネルギー使用量)を特定する。
まず、第3特定部105は、単位面積で必要な照明機器の台数を算出する。例えば、第3特定部105は、記憶部12が記憶する施設に対する設計照度、照明率、保守率、施設に設けられた照明機器に対応するランプ光束及び数式1“台数 = 設計照度/(照明率 × 保守率 × ランプ光束)”を用いて、単位面積で必要な照明機器の台数を算出する。第3特定部105は、算出した台数(単位面積で必要な照明機器の台数)に、記憶部12が記憶する施設に設けられた照明機器に対する1台当たりの消費電力を乗算して、単位面積での照明機器全体としての消費電力(エネルギー使用量)を算出する。第3特定部105は、算出した単位面積での消費電力と、記憶部12が記憶する1日の稼動時間、月ごとの稼動日数、延床面積及び面積比率とを用いて、月ごとの専有部及び共用部それぞれの消費電力を算出する。具体的には、第3特定部105は、数式2“1ヶ月当たりの照明機器の消費電力 = 単位面積での消費電力 × 1日の稼動時間 × 稼動日数 × 延床面積 × 面積比率”を用いて、月ごとの専有部及び共用部それぞれの消費電力を算出する。月ごとに算出された専有部の消費電力と共用部の消費電力との合計が、施設に設けられた照明機器全体としての消費電力(照明用エネルギー使用量)となる。
なお、施設を専有部と共用部とに区別する必要が無い場合には、数式2において面積比率を乗算する必要はない。単位面積での消費電力に、1日の稼動時間、稼動日数及び延床面積のそれぞれを乗算することで、施設に設けられた照明機器全体としての消費電力(照明用エネルギー使用量)が算出される。
第4特定部106は、電力以外のエネルギーを用いた給湯器でのエネルギー使用量を特定する。例えば、第4特定部106は、記憶部12が記憶する地域ごとの月別の気温データ及び給湯温度から、電力以外のエネルギーを用いた給湯器が設けられた施設が建てられた地域について月ごと(単位期間ごと)の気温と給湯温度との温度差を算出する。第4特定部106は、電力以外のエネルギーを用いた給湯器が設けられた施設の用途に応じた当該給湯器の熱負荷原単位、月ごとの変動パターン、月ごとの稼動日数、及び月ごとの温度差を用いて、月ごとの当該給湯器のエネルギー使用量を算出する。これにより、第4特定部106は、月ごとの当該給湯器のエネルギー使用量を特定する。
さらに、第4特定部106は、電力以外のエネルギーが当該エネルギーを利用する給湯器のみで使用されている場合には、当該エネルギーの使用量を当該給湯器の使用量として特定する。
第1算出部107は、複数のエネルギーのうち一のエネルギーによって動作する空調機器でのエネルギー使用量の評価の基準となる基準用空調機器のエネルギー効率と施設での熱負荷とを用いて、所定期間において施設で必要とする基準エネルギー使用量を算出する。
第1算出部107は、第1特定部103及び第2特定部104により複数のエネルギーのそれぞれに対応する複数の空調機器が特定された場合には、複数の空調機器のうち所定期間におけるエネルギー使用量が最も多い空調機器を評価対象として特定する。
第1算出部107は、評価対象となる空調機器が設けられた施設の用途に応じた熱負荷原単位と、当該施設が建てられた地域に応じた地域係数と、当該施設の延床面積とを用いて、当該施設における冷房時の熱負荷(第1熱負荷)及び暖房時の熱負荷(第2熱負荷)を算出する。ここで、熱負荷とは、施設で必要とするエネルギーの容量である。エネルギーが電力である場合には、熱負荷は施設で冷房時及び暖房時のそれぞれに必要とする電力量である。
第1算出部107は、評価対象となる空調機器が利用するエネルギーと同一のエネルギーで動作する空調機器(例えば、最新の空調機器)の第1定格効率及び第2定格効率を、記憶部12から取得する。第1算出部107は、第1定格効率に、当該第1定格効率及び施設の築年数に対応する劣化係数を乗算して、冷房時におけるエネルギー効率(第1エネルギー効率)を算出する。第1算出部107は、第2定格効率に、当該第2定格効率及び施設の築年数に対応する劣化係数を乗算して、暖房時におけるエネルギー効率(第2エネルギー効率)を算出する。
第1算出部107は、数式3“必要エネルギー量 = 熱負荷 / エネルギー効率”、第1熱負荷、第2熱負荷、第1エネルギー効率及び第2エネルギー効率を用いて、冷房時の必要エネルギー量(第1必要量)及び暖房時の必要エネルギー量(第2必要量)を算出する。
第1算出部107は、第1必要量に、冷房期間の月数、冷房期間の各月の稼働日数及び1日の稼働時間を乗算して、冷房期間における空調機器のエネルギー使用量を算出する。第1算出部107は、第2必要量に、暖房期間の月数、暖房期間の各月の稼働日数及び1日の稼働時間を乗算して、暖房期間における空調機器のエネルギー使用量を算出する。
第1算出部107は、冷房期間における空調機器のエネルギー使用量と暖房期間における空調機器のエネルギー使用量との合計を、所定期間(1年間)での空調機器のエネルギー使用量(基準エネルギー使用量)とする。
ここで、冷房期間は、例えば7月~9月の3ケ月とし、暖房期間は、例えば12月~3月の4か月とする。4月~6月及び10月~11月のそれぞれは、中間期間とする。なお、冷房期間、暖房期間及び中間期間は、上述した期間に限定されない。冷房期間、暖房期間及び中間期間として、上述した期間と異なる期間が設定されてもよい。
第2算出部108は、施設に設けられた照明機器全体としてのエネルギー使用量(照明用エネルギー使用量)の評価の基準となる基準用照明機器のエネルギー効率と施設での設計照度とを用いて、所定期間において施設で必要とする照明用基準使用量を算出する。ここで、施設に設けられた照明機器が蛍光灯である場合には、基準用照明機器は、LEDである。
第2算出部108は、施設の単位面積で必要な基準用照明機器の台数を、施設に対する設計照度、照明率、保守率、基準用照明機器のランプ光束及び上述した数式1を用いて算出する。
第2算出部108は、基準用照明機器の消費電力に、算出した基準用照明機器の台数を乗算して、施設の単位面積で必要とする基準用照明機器全体の消費電力(エネルギー使用量)を算出する。第2算出部108は、算出した施設の単位面積で必要とする基準用照明機器全体の消費電力と、数式2とを用いて、月ごとの専有部及び共用部それぞれの消費電力を算出する。第2算出部108は、月ごとに算出された専有部の消費電力に共用部の消費電力を加算して月ごとの消費電力を算出する。第2算出部108は、算出した各月の消費電力を合算して、所定期間の消費電力(照明用基準使用量)を算出する。
第1評価部109は、第1算出部107が算出した所定期間における基準エネルギー使用量と、評価対象である空調機器での所定期間におけるエネルギー使用量とを比較して、空調機器でのエネルギー使用量の評価を行う。例えば、第1評価部109は、所定期間における基準エネルギー使用量を基準として、評価対象である空調機器での所定期間におけるエネルギー使用量の大小を判定する。具体的には、第1評価部109は、評価対象である空調機器での所定期間におけるエネルギー使用量と基準エネルギー使用量との差分を算出する。第1評価部109は、算出した差分が第1所定値以上である場合には、評価対象である空調機器の買替の必要があると判断する。
第1評価部109は、評価対象の空調機器のエネルギー使用量に対する評価結果を表示部13に出力し、表示部13に表示させる。ここで、評価対象の空調機器のエネルギー使用量に対する評価結果は、評価対象である空調機器での所定期間におけるエネルギー使用量と基準エネルギー使用量との差分、及び評価対象の空調機器の買替の要否を含む。
第2評価部110は、第2算出部108が算出した所定期間における照明用基準使用量と、施設に設けられた照明機器全体での所定期間における照明用エネルギー使用量とを比較して、照明機器全体でのエネルギー使用量の評価を行う。例えば、第2評価部110は、所定期間における照明用基準使用量を基準として、照明機器全体での所定期間におけるエネルギー使用量の大小を判定する。具体的には、第2評価部110は、照明機器全体での所定期間におけるエネルギー使用量と照明用基準使用量との差分を算出する。第2評価部110は、算出した差分が第2所定値以上である場合には、照明機器の買替の必要があると判断する。
第2評価部110は、照明機器全体のエネルギー使用量に対する評価結果を表示部13に出力し、表示部13に表示させる。ここで、照明機器全体のエネルギー使用量に対する評価結果は、照明機器全体での所定期間におけるエネルギー使用量と照明用基準使用量との差分、及び照明機器の買替の要否を含む。
(3)動作
ここでは、エネルギー管理装置10の動作について説明する。
(3-1)処理決定の動作
まず、エネルギー管理装置10の動作について、図2を用いて説明する。なお、ここでは、1又は2つのエネルギーについて季節変動が生じているとして説明する。
取得部101は、入力部11が入力を受け付けた情報を取得する(ステップS1)。具体的には、入力部11は、所定期間(例えば、1年間)について、所定期間を複数に区分した単位期間(例えば、1ヶ月間)ごとに、複数のエネルギーの各々についてのエネルギー使用量を受け付ける。取得部101は、複数のエネルギーの各々について、単位期間ごとに入力部11に入力されたエネルギー使用量を取得する。
処理決定部102は、評価対象である特定の機器(空調機器)が設けられた施設に電気給湯器が設置されているか否かを判断する(ステップS2)。
電気給湯器が設置されていないと判断する場合(ステップS2における「No」)、処理決定部102は、季節変動が生じているエネルギーの数を判別する(ステップS3)。ここで、例えば、所定期間における各エネルギー使用量のうち、最小のエネルギー使用量と最大のエネルギー使用量との差分が所定値以上である場合に季節変動が生じているとする。
季節変動が生じているエネルギーの数が1つである場合(ステップS3における「1つ」)、処理決定部102は、記憶部12が記憶する施設用途情報に基づいて、電気給湯器以外の給湯器を考慮するか否かを判断する(ステップS4)。例えば、施設が病院であること、又は施設が宿泊施設であることを施設用途情報が表している場合には、処理決定部102は、電気給湯器以外の給湯器を考慮する、と判断する。施設が事務所であることを施設用途情報が表している場合には、処理決定部102は、電気給湯器以外の給湯器を考慮しない、と判断する。
ステップS4で電気給湯器以外の給湯器を考慮しないと判断する場合(ステップS4における「No」)、処理決定部102は、Aモデル処理を行うと決定する(ステップS5)。
ステップS4で電気給湯器以外の給湯器を考慮すると判断する場合(ステップS4における「Yes」)、処理決定部102は、Bモデル処理を行うと決定する(ステップS5)。
季節変動が生じているエネルギーの数が2つである場合(ステップS3における「2つ」)、処理決定部102は、記憶部12が記憶する施設用途情報に基づいて、電気給湯器以外の給湯器を考慮するか否かを判断する(ステップS7)。
ステップS7で電気給湯器以外の給湯器を考慮しないと判断する場合(ステップS7における「No」)、処理決定部102は、Cモデル処理を行うと決定する(ステップS8)。
ステップS7で電気給湯器以外の給湯器を考慮すると判断する場合(ステップS7における「Yes」)、処理決定部102は、季節変動が生じている2つのエネルギーのうち給湯のみで使用されているエネルギーが存在するか否かを判断する(ステップS9)。処理決定部102は、季節変動が生じている2つのエネルギーのうち以下の第1条件~第3条件のすべてを満たすエネルギーが存在するか否かを判断する。処理決定部102は、第1条件~第3条件のすべてを満たすエネルギーが存在する判断する場合に、給湯のみで使用されているエネルギーが存在すると判断する。処理決定部102は、季節変動が生じている2つのエネルギーすべてが第1条件~第3条件のうち少なくとも1つの条件を満たさないと判断する場合には、給湯のみで使用されているエネルギーが存在しないと判断する。
ここで、第1条件は、エネルギー使用量のピークが暖房期間であることである。第2条件は、中間期間でのエネルギー使用量の合計値が冷房期間でのエネルギー使用量の合計値よりも大きいことである。第3条件は、季節変動が生じているエネルギーの所定期間でのエネルギー使用量が、全てのエネルギーの所定期間でのエネルギー使用量の合計の10%~50%の範囲であることである。ここで、第3条件で用いる数値は一例であり、この数値に限定する趣旨ではない。第3条件で用いる数値は、他の数値であってもよい。
給湯のみで使用されているエネルギーが存在すると判断する場合(ステップS9における「Yes」)、処理決定部102は、Dモデル処理を行うと決定する(ステップS10)。
給湯のみで使用されているエネルギーが存在しないと判断する場合(ステップS9における「No」)、処理決定部102は、Eモデル処理を行うと決定する(ステップS11)。
電気給湯器が設置されていると判断する場合(ステップS2における「Yes」)、処理決定部102は、Eモデル処理を行うと決定する(ステップS12)。
(3-2)第1特定処理の処理概要
ここでは、電気給湯器以外の給湯器を考慮しないAモデル処理及びCモデル処理に係る第1特定処理の処理概要について、図3を用いて説明する。
第1特定部103は、第1エネルギー使用量(電力の使用量)に基づいて、ベース使用量を決定する(ステップS101)。
第1特定部103及び第2特定部104は、複数のエネルギーの各々について、単位期間ごとの空調機器でのエネルギー使用量を特定する(ステップS102)。
Aモデル処理とCモデル処理とでは、ステップS102の詳細な処理内容が異なる。Aモデル処理及びCモデル処理のそれぞれの詳細な処理については後述する。
(3-3)第2特定処理の処理概要
ここでは、電気給湯器以外の給湯器を考慮するBモデル処理、Dモデル処理及びEモデル処理に係る第2特定処理の処理概要について、図4を用いて説明する。
第1特定部103は、第1エネルギー使用量に基づいて、ベース使用量を決定する(ステップS111)。
第4特定部106は、季節変動が生じている1又は2つのエネルギーについて、当該エネルギーを利用する給湯器でのエネルギー使用量を特定する(ステップS112)。
第1特定部103及び第2特定部104は、複数のエネルギーの各々について、単位期間ごとの空調機器でのエネルギー使用量を特定する(ステップS113)。
Bモデル処理、Dモデル処理及びEモデル処理の各々では、ステップS112及びステップS113の詳細な処理内容が異なる。Bモデル処理、Dモデル処理及びEモデル処理のそれぞれの詳細な処理については後述する。
(3-4)第3特定処理の処理概要
ここでは、電気給湯器を考慮するFモデル処理に係る第3特定処理の処理概要について、図5を用いて説明する。なお、ここでは、季節変動が生じているエネルギーは1つであり、電気給湯器以外の給湯器を考慮しないことを前提として説明する。
第1特定部103は、第1エネルギー使用量(電力の使用量)に基づいて、単位期間ごとの電気給湯器でのエネルギー使用量を特定する(ステップS121)。具体的には、第1特定部103は、記憶部12が記憶する地域ごとの月別の気温データ及び給湯温度から、電気給湯器が設けられた施設が建てられた地域について月ごと(単位期間ごと)の気温と給湯温度との温度差を算出する。第1特定部103は、電気給湯器が設けられた施設の用途に応じた電気給湯器の熱負荷原単位、月ごとの変動パターン、月ごとの稼動日数、及び月ごとの温度差を用いて、月ごとの電気給湯器のエネルギー使用量(使用電力量)を算出する。
第1特定部103は、所定期間における複数の第1エネルギー使用量のうち最小の第1エネルギー使用量に基づいて、ベース使用量を決定する(ステップS122)。具体的には、第1特定部103は、最小の第1エネルギー使用量から、当該最小の第1エネルギー使用量の月(単位期間)に対応する電気給湯器のエネルギー使用量を差し引いた差分に基づいて、ベース使用量を特定する。
第1特定部103及び第2特定部104は、複数のエネルギーの各々について、単位期間ごとの空調機器でのエネルギー使用量を特定する(ステップS123)。第1特定部103は、月ごとに、当該月に対応する第1エネルギー使用量からベース使用量及び当該月に対応する電気給湯器のエネルギー使用量を差し引いた差分を空調機器(第1空調機器)でのエネルギー使用量と特定する。第2特定部104は、第2エネルギー使用量を、第2空調機器によるエネルギー使用量として特定する。
(3-5)第1評価処理の処理概要
ここでは、特定の機器として空調機器のエネルギー使用量に対する評価を行う第1評価処理の処理概要について、図6を用いて説明する。
第1算出部107は、評価の対象となる空調機器を特定する(ステップS131)。具体的には、第1算出部107は、複数のエネルギーごとに、当該エネルギーを使用する空調機器での月別のエネルギー使用量を用いて、所定期間のエネルギー使用量を算出する。第1算出部107は、複数のエネルギーのうち最も所定期間での使用量が多いエネルギーにおけるエネルギー使用量を特定することで、評価の対象となる空調機器を特定する。
第1算出部107は、基準用空調機器のエネルギー効率と施設での熱負荷とを用いて、所定期間において施設で必要とする基準エネルギー使用量を算出する(ステップS132)。具体的には、第1算出部107は、施設の用途に応じた熱負荷原単位と、当該施設が建てられた地域に応じた地域係数と、当該施設の延床面積とを用いて、当該施設における第1熱負荷及び第2熱負荷を算出する。第1算出部107は、評価対象となる空調機器が利用するエネルギーと同一のエネルギーで動作する空調機器(例えば、最新の空調機器)の第1定格効率、第2定格効率、及び施設の築年数に対応する劣化係数を用いて、第1エネルギー効率及び第2エネルギー効率を算出する。第1算出部107は、上述した数式3、第1熱負荷、第2熱負荷、第1エネルギー効率及び第2エネルギー効率を用いて、第1必要量及び第2必要量を算出する。第1算出部107は、第1必要量、冷房期間の月数、冷房期間の各月の稼働日数及び1日の稼働時間を用いて、冷房期間における空調機器のエネルギー使用量を算出する。第1算出部107は、第2必要量、暖房期間の月数、暖房期間の各月の稼働日数及び1日の稼働時間を用いて、暖房期間における空調機器のエネルギー使用量を算出する。第1算出部107は、冷房期間における空調機器のエネルギー使用量と暖房期間における空調機器のエネルギー使用量との合計を、所定期間(1年間)での空調機器のエネルギー使用量(基準エネルギー使用量)とする。
第1評価部109は、第1算出部107が算出した所定期間における基準エネルギー使用量と、評価対象である空調機器での所定期間におけるエネルギー使用量とを比較して、空調機器でのエネルギー使用量の評価を行う(ステップS133)。
第1評価部109は、評価対象の空調機器のエネルギー使用量に対する評価結果を表示部13に出力し、表示部13に表示させる(ステップS134)。
(3-6)第2評価処理の処理概要
ここでは、特定の機器として照明機器全体のエネルギー使用量に対する評価を行う第2評価処理の処理概要について、図7を用いて説明する。
第3特定部105は、第1特定部103が特定したベース使用量のうち少なくとも1つの照明機器で構成される照明システムにおけるエネルギー使用量(照明用エネルギー使用量)を特定する(ステップS141)。具体的には、第3特定部105は、単位面積で必要な照明機器の台数を算出する。第3特定部105は、算出した台数(単位面積で必要な照明機器の台数)、照明システムに含まれる照明機器の消費電力を用いて、単位面積での照明システムとしての消費電力(エネルギー使用量)を算出する。第3特定部105は、算出した単位面積での消費電力と、1日の稼動時間、月ごとの稼動日数、延床面積及び面積比率とを用いて、月ごとの専有部及び共用部それぞれの消費電力を算出する。第3特定部105は、月ごとに算出された専有部の消費電力と共用部の消費電力とを合算して、月ごとの消費電力(照明システムの消費電力)を算出する。第3特定部105は、算出した各月の消費電力(照明システムの消費電力)を合算して、施設に設けられた照明システムとしての所定期間における消費電力(照明用エネルギー使用量)を算出する。
第2算出部108は、所定期間における照明用基準使用量を算出する(ステップS142)。具体的には、第2算出部108は、施設の単位面積で必要な基準用照明機器の台数を、施設に対する設計照度、照明率、保守率、基準用照明機器のランプ光束及び上述した数式1を用いて算出する。第2算出部108は、基準用照明機器の消費電力に、算出した基準用照明機器の台数を乗算して、施設の単位面積で必要とする基準用照明機器全体の消費電力(エネルギー使用量)を算出する。第2算出部108は、算出した施設の単位面積で必要とする基準用照明機器全体の消費電力と、上述した数式2とを用いて、月ごとの専有部及び共用部それぞれの消費電力を算出する。第2算出部108は、月ごとに算出された専有部の消費電力に共用部の消費電力を加算して月ごとの消費電力を算出する。第2算出部108は、算出した各月の消費電力を合算して、所定期間における消費電力(照明用基準使用量)を算出する。
第2評価部110は、第2算出部108が算出した所定期間における照明用基準使用量と、施設に設けられた照明システムでの所定期間における照明用エネルギー使用量とを比較して、照明機器全体でのエネルギー使用量の評価を行う(ステップS143)。
第2評価部110は、照明機器全体のエネルギー使用量に対する評価結果を表示部13に出力し、表示部13に表示させる(ステップS144)。
(3-7)Aモデル処理の具体例
ここでは、Aモデル処理について具体例を用いて説明する。本具体例では、電力及び都市ガスの2種類が使用されるエネルギーであるとする。
まず、取得部101は、電力及び都市ガスの各々について、単位期間ごとに入力部11に入力されたエネルギー使用量を取得する(図2のステップS1参照)。
処理決定部102は、電気給湯器が設置されていないと判断した後、季節変動が生じているエネルギーの数を判別する(図2のステップS2,S3参照)。本具体例では、都市ガスについて季節変動が生じているため、処理決定部102は、季節変動が生じているエネルギーの数は1種類であると判別する。
処理決定部102は、電気給湯器以外の給湯器を考慮しないと判断すると、Aモデル処理を行うと決定する(図2のステップS4,S5参照)。
以下、図3に示す第1特定処理に基づくAモデル処理の具体例について、図8A及び図8Bを用いて説明する。図8Aに示すグラフG1は、取得部101が取得した、電力及び都市ガスの各々での単位期間ごとのエネルギー使用量を示す。図8Bに示すグラフG2は、Aモデル処理を実施した後に得られるベース使用量、電力を利用する空調機器(第1空調機器)でのエネルギー使用量及び都市ガスを利用する空調機器(第2空調機器)でのエネルギー使用量を示す。
第1特定部103は、電力の使用量(第1エネルギー使用量)に基づいて、ベース使用量を決定する(図3のステップS101参照)。本具体例では、単位期間ごと(月ごと)の電力の使用量のうち最小の使用量“a1”をベース使用量とする(図8A参照)。
第1特定部103は、単位期間ごと(月ごと)の電力の使用量について、当該使用量からベース使用量を差し引いた差分を当該単位期間での第1空調機器のエネルギー使用量と特定する(図8B参照)。
さらに、第2特定部104は、電気給湯器以外の給湯器を考慮しないため、単位期間ごと(月ごと)の都市ガスの使用量について、当該都市ガスの使用量すべてを、当該単位期間での第2空調機器のエネルギー使用量と特定する(図8B参照)。
(3-8)Bモデル処理の具体例
ここでは、Bモデル処理について具体例を用いて説明する。本具体例では、電力及びA重油の2種類が使用されるエネルギーであるとする。
まず、取得部101は、電力及びA重油の各々について、単位期間ごとに入力部11に入力されたエネルギー使用量を取得する(図2のステップS1参照)。
処理決定部102は、電気給湯器が設置されていないと判断した後、季節変動が生じているエネルギーの数を判別する(図2のステップS2,S3参照)。本具体例では、A重油について季節変動が生じているため、処理決定部102は、季節変動が生じているエネルギーの数は1種類であると判別する。
処理決定部102は、電気給湯器以外の給湯器を考慮すると判断すると、Bモデル処理を行うと決定する(図2のステップS4,S6参照)。
以下、図4に示す第2特定処理に基づくBモデル処理の具体例について、図9A及び図9Bを用いて説明する。図9Aに示すグラフG11は、取得部101が取得した、電力及びA重油の各々での単位期間ごとのエネルギー使用量を示す。図9Bに示すグラフG12は、Bモデル処理を実施した後に得られるベース使用量、電力を利用する空調機器(第1空調機器)でのエネルギー使用量、A重油を利用する空調機器(第2空調機器)でのエネルギー使用量及びA重油を利用する給湯器のエネルギー使用量を示す。
第1特定部103は、電力の使用量(第1エネルギー使用量)に基づいて、ベース使用量を決定する(図4のステップS111参照)。本具体例では、単位期間ごと(月ごと)の電力の使用量のうち最小の使用量“a2”をベース使用量とする(図9A参照)。
第4特定部106は、季節変動が生じている1つのエネルギー(ここでは、A重油)について、当該エネルギーを利用する給湯器でのエネルギー使用量を特定する(図4のステップS112参照)。具体的には、第4特定部106は、記憶部12が記憶する地域ごとの月別の気温データ及び給湯温度から、A重油を用いた給湯器が設けられた施設が建てられた地域について月ごと(単位期間ごと)の気温と給湯温度との温度差を算出する。第4特定部106は、A重油を用いた給湯器が設けられた施設の用途に応じた当該給湯器の熱負荷原単位、月ごとの変動パターン、月ごとの稼動日数、及び月ごとの温度差を用いて、月ごとの当該給湯器のエネルギー使用量を算出する。これにより、第4特定部106は、月ごとのA重油を用いた給湯器のエネルギー使用量を特定する(図9B参照)。
第1特定部103は、単位期間ごと(月ごと)の電力の使用量について、当該使用量からベース使用量を差し引いた差分を当該単位期間での第1空調機器のエネルギー使用量と特定する(図9B参照)。
本具体例では、電気給湯器以外の給湯器を考慮する。そのため、第2特定部104は、単位期間ごと(月ごと)のA重油の使用量について、当該使用量から対応する単位期間でのA重油を用いた給湯器のエネルギー使用量を差し引いた差分を算出する。第2特定部104は、算出した差分を、当該単位期間での第2空調機器のエネルギー使用量(A重油の使用量)と特定する(図9B参照)。
(3-9)Cモデル処理の具体例
ここでは、Cモデル処理について具体例を用いて説明する。本具体例では、電力及び都市ガスの2種類が使用されるエネルギーであるとする。
まず、取得部101は、電力及び都市ガスの各々について、単位期間ごとに入力部11に入力されたエネルギー使用量を取得する(図2のステップS1参照)。
処理決定部102は、電気給湯器が設置されていないと判断した後、季節変動が生じているエネルギーの数を判別する(図2のステップS2,S3参照)。本具体例では、電力及び都市ガスについて季節変動が生じているため、処理決定部102は、季節変動が生じているエネルギーの数は2種類であると判別する。
処理決定部102は、電気給湯器以外の給湯器を考慮しないと判断すると、Cモデル処理を行うと決定する(図2のステップS7,S8参照)。
以下、図3に示す第1特定処理に基づくCモデル処理の具体例について、図10A及び図10Bを用いて説明する。図10Aに示すグラフG21は、取得部101が取得した、電力及び都市ガスの各々での単位期間ごとのエネルギー使用量を示す。図10Bに示すグラフG22は、Cモデル処理を実施した後に得られるベース使用量、電力を利用する空調機器(第1空調機器)でのエネルギー使用量、及び都市ガスを利用する空調機器(第2空調機器)でのエネルギー使用量を示す。
第1特定部103は、電力の使用量(第1エネルギー使用量)に基づいて、ベース使用量を決定する(図3のステップS101参照)。本具体例では、単位期間ごと(月ごと)の電力の使用量のうち最小の使用量に係数(1未満の値)を乗算した結果“a3”をベース使用量とする(図10A参照)。
第1特定部103は、単位期間ごと(月ごと)の電力の使用量について、当該使用量からベース使用量を差し引いた差分を当該単位期間での第1空調機器のエネルギー使用量と特定する(図10B参照)。
さらに、第2特定部104は、電気給湯器以外の給湯器を考慮しないため、単位期間ごと(月ごと)の都市ガスの使用量について、当該都市ガスの使用量すべてを、当該単位期間での第2空調機器のエネルギー使用量と特定する(図10B参照)。
(3-10)Dモデル処理の具体例
ここでは、Dモデル処理について具体例を用いて説明する。本具体例では、電力、LPG及びA重油の3種類が使用されるエネルギーであるとする。
まず、取得部101は、電力、LPG及びA重油の各々について、単位期間ごとに入力部11に入力されたエネルギー使用量を取得する(図2のステップS1参照)。
処理決定部102は、電気給湯器が設置されていないと判断した後、季節変動が生じているエネルギーの数を判別する(図2のステップS2,S3参照)。本具体例では、LPG及びA重油について季節変動が生じているため、処理決定部102は、季節変動が生じているエネルギーの数は2種類であると判別する。
処理決定部102は、電気給湯器以外の給湯器を考慮すると判断すると、季節変動が生じている2つのエネルギー(ここでは、LPG及びA重油)のうち給湯飲みに利用されているエネルギーが存在するか否かを判断する(図2のステップS7、S9参照)。本変形例では、LPG及びA重油のうち、LPGの使用量が上述した第1条件~第3条件のすべてを満たすとする。
処理決定部102は、給湯のみで使用されているエネルギー(ここでは、LPG)が存在するので、Dモデル処理を行うと決定する(図2のステップS10参照)。
以下、図4に示す第2特定処理に基づくDモデル処理の具体例について、図11A及び図11Bを用いて説明する。図11Aに示すグラフG31は、取得部101が取得した、電力、LPG及びA重油の各々での単位期間ごとのエネルギー使用量を示す。図11Bに示すグラフG32は、は、Dモデル処理を実施した後に得られるベース使用量と、電力を利用する空調機器(第1空調機器)でのエネルギー使用量、A重油を利用する空調機器(第2空調機器)でのエネルギー使用量及びLPGを利用する給湯器のエネルギー使用量を示す。
第1特定部103は、電力の使用量(第1エネルギー使用量)に基づいて、ベース使用量を決定する(図4のステップS111参照)。本具体例では、単位期間ごと(月ごと)の電力の使用量のうち最小の使用量“a4”をベース使用量とする(図11A参照)。
本具体例では、給湯のみで使用されているエネルギー(ここでは、LPG)が存在するとしている。そのため、第4特定部106は、単位期間ごと(月ごと)のLPGの使用量について、当該LPGの使用量すべてを、当該単位期間での給湯器のエネルギー使用量と特定する(図4のステップS112及び図11B参照)。
第1特定部103は、単位期間ごと(月ごと)の電力の使用量について、当該使用量からベース使用量を差し引いた差分を当該単位期間での第1空調機器のエネルギー使用量と特定する(図11B参照)。
さらに、第2特定部104は、単位期間ごと(月ごと)のA重油の使用量について、当該A重油の使用量すべてを、当該単位期間での第2空調機器のエネルギー使用量と特定する(図11B参照)。
(3-11)Eモデル処理の具体例
ここでは、Eモデル処理について具体例を用いて説明する。本具体例では、電力及びLPGの2種類が使用されるエネルギーであるとする。
まず、取得部101は、電力及びLPGの各々について、単位期間ごとに入力部11に入力されたエネルギー使用量を取得する(図2のステップS1参照)。
処理決定部102は、電気給湯器が設置されていないと判断した後、季節変動が生じているエネルギーの数を判別する(図2のステップS2,S3参照)。本具体例では、電力及びLPGについて季節変動が生じているため、処理決定部102は、季節変動が生じているエネルギーの数は2種類であると判別する。
処理決定部102は、電気給湯器以外の給湯器を考慮すると判断すると、季節変動が生じている2つのエネルギー(ここでは、電力及びLPG)のうち給湯飲みに利用されているエネルギーが存在するか否かを判断する(図2のステップS7、S9参照)。本変形例では、電力及びLPGの双方とも上述した第1条件~第3条件のうち少なくとも1つの条件を満たしていないとする。
処理決定部102は、給湯のみで使用されているエネルギーが存在しないので、Eモデル処理を行うと決定する(図2のステップS11参照)。
以下、図4に示す第2特定処理に基づくEモデル処理の具体例について、図12A及び図12Bを用いて説明する。図12Aに示すグラフG41は、取得部101が取得した、電力及びLPGの各々での単位期間ごとのエネルギー使用量を示す。図12Bに示すグラフG42は、は、Eモデル処理を実施した後に得られるベース使用量と、電力を利用する空調機器(第1空調機器)でのエネルギー使用量、LPGを利用する空調機器(第2空調機器)でのエネルギー使用量及びLPGを利用する給湯器のエネルギー使用量を示す。
第1特定部103は、電力の使用量(第1エネルギー使用量)に基づいて、ベース使用量を決定する(図4のステップS111参照)。本具体例では、単位期間ごと(月ごと)の電力の使用量のうち最小の使用量“a5”をベース使用量とする(図12A参照)。
本具体例では、給湯のみで使用されているエネルギーは存在しないとしている。そこで、第4特定部106は、2つのエネルギー(電力及びLPG)のうちLPGは、空調機器及び給湯器で使用されているとし、当該LPGを利用する給湯器でのエネルギー使用量を特定する(図4のステップS112参照)。具体的には、第4特定部106は、記憶部12が記憶する地域ごとの月別の気温データ及び給湯温度から、LPGを用いた給湯器が設けられた施設が建てられた地域について月ごと(単位期間ごと)の気温と給湯温度との温度差を算出する。第4特定部106は、LPGを用いた給湯器が設けられた施設の用途に応じた当該給湯器の熱負荷原単位、月ごとの変動パターン、月ごとの稼動日数、及び月ごとの温度差を用いて、月ごとの当該給湯器のエネルギー使用量を算出する。これにより、第4特定部106は、月ごとのLPGを用いた給湯器のエネルギー使用量を特定する(図12B参照)。
第1特定部103は、単位期間ごと(月ごと)の電力の使用量について、当該使用量からベース使用量を差し引いた差分を当該単位期間での第1空調機器のエネルギー使用量と特定する(図12B参照)。
さらに、第2特定部104は、単位期間ごと(月ごと)のLPGの使用量について、当該使用量から対応する単位期間でのLPGを利用する給湯器のエネルギー使用量を差し引いた差分を算出する。第2特定部104は、算出した差分を、当該単位期間での第2空調機器のエネルギー使用量(LPGの使用量)と特定する(図12B参照)。
(4)利点
以上説明したように、本実施形態のエネルギー管理装置(エネルギーマネジメントシステム1)は、電力の使用量を基にベース使用量を求めて、残りの使用量に基づいて、電力によって動作する空調機器(第1空調機器)でのエネルギー使用量を特定する。さらに、他のエネルギー使用量を用いて、当該他のエネルギー(例えば、ガス等)の使用量に対して季節変動が生じている場合には、当該他のエネルギーによって動作する空調機器(第2空調機器)によるエネルギー使用量を特定する。エネルギー管理装置10は所定期間における基準用空調機器での基準エネルギー使用量と、第1空調機器及び第2空調機器のうち基準用空調機器に対応する空調機器での所定期間におけるエネルギー使用量とを比較して、その結果を出力する。
これにより、電力と他のエネルギーとのそれぞれにおいて、用途別に応じた機器(ここでは、空調機器)でのエネルギー使用量を特定し、電力と他のエネルギーとのいずれか一方のエネルギーによって動作する空調機器のエネルギー使用量の評価を行うことができる。したがって、利用者は、エネルギーごとに当該エネルギーを利用する機器でのエネルギー使用量の評価を知ることができる。
例えば、基準用空調機器を最新の空調機器とした場合、利用者は、現在使用している空調機器でのエネルギー使用量が最新の空調機器でのエネルギー使用量よりもどれだけ多くのエネルギーを使用しているかを知ることができる。そのため、エネルギー管理装置10は、利用者に空調機器の買替を促すことができる。
さらに、エネルギー管理装置10は、ベース使用量を用いて照明機器でのエネルギー使用量を特定する。エネルギー管理装置10は、所定期間における照明用基準使用量と、照明機器での所定期間におけるエネルギー使用量とを比較して、その結果を出力する。これにより、利用者は、複数のエネルギーを使用している場合であっても電力を用いた照明機器でのエネルギー使用量の評価を知ることができる。
例えば、基準用空調機器をLEDの照明機器とし、現在使用している照明機器を蛍光灯であるとする。このとき、利用者は、現在使用している照明機器でのエネルギー使用量がLEDの照明機器でのエネルギー使用量よりもどれだけ多くのエネルギーを使用しているかを知ることができる。そのため、エネルギー管理装置10は、利用者に照明機器の買替を促すことができる。
(5)変形例
以下に、変形例について列記する。なお、以下に説明する変形例は、上記実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
上記実施形態では、表示部13は、第1評価部109の評価結果及び第2評価部110の評価結果を表示する構成としたが、この構成に限定されない。表示部13は、処理決定部102が特定したAモデル処理~Fモデル処理のうち1つのモデル処理の処理結果を表示してもよい。例えば、Aモデル処理が実行された場合には、表示部13は、その処理結果として図8Bに示すグラフG2を表示してもよい。または、表示部13は、処理決定部102が特定したAモデル処理~Fモデル処理のうち1つのモデル処理の処理結果とともに、取得部101が取得した複数のエネルギーの各々についてのエネルギー使用量を表示してもよい。例えば、Aモデル処理が実行された場合には、表示部13は、図8Aに示すグラフG1と図8Bに示すグラフG2とを表示してもよい。
上記実施形態では、エネルギー管理装置10は、自装置に設けられた表示部13に第1評価部109の評価結果及び第2評価部110の評価結果を表示する構成としたが、この構成に限定されない。エネルギー管理装置10は、第1評価部109の評価結果及び第2評価部110の評価結果を他装置に送信してもよい。この場合、他装置は、第1評価部109の評価結果及び第2評価部110の評価結果を表示する。ここで、他装置は、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末等の携帯型の情報端末、又は据え置き型のパーソナルコンピュータである。
上記実施形態では、所定期間でのエネルギー使用量が最も多い空調機器を、評価の対象となる空調機器として特定する構成としたが、この構成に限定されない。所定期間でのエネルギー使用量が最も少ない空調機器を評価の対象としてもよい。または、複数のエネルギーについてそれぞれ特定された複数の空調機器すべてを評価の対象としてもよい。
上記実施形態では、エネルギー管理装置10は、給湯器でのエネルギー使用量を特定する際に、熱負荷原単位を用いる構成としたが、この構成に限定されない。エネルギー管理装置10は、同一のエネルギーを利用する空調機器と給湯器とにおけるエネルギーの利用比率を基に、給湯器でのエネルギー使用量を特定してもよい。例えば、Bモデル処理を実行する場合に、同一のエネルギーを利用する空調機器と給湯器とにおけるエネルギーの利用比率を基に、給湯器でのエネルギー使用量を特定する。利用比率は、基準期間ごとに設定してもよいし、基準期間すべてに対して同一の利用比率を設定してもよい。ここで、本変形例の具体例を、図9Aを用いて説明する。この場合、Aモデル処理~Fモデル処理のうちBモデル処理が実行される。A重油を利用する空調機器と給湯器とにおけるA重油の利用比率として基準期間すべてに対して“4:6”が設定されているとする。この場合、エネルギー管理装置10の第4特定部106は、基準期間ごと(月ごと)のA重油の使用量について、A重油のエネルギー使用量のうち6割を給湯器でのエネルギー使用量とする。第2特定部104は、基準期間ごと(月ごと)のA重油の使用量について、A重油のエネルギー使用量のうち4割を給湯器でのエネルギー使用量とする。
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、エネルギーマネジメントシステム1(エネルギー管理装置10)と同様の機能は、エネルギーマネジメント方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係るエネルギーマネジメントシステム1のエネルギーマネジメント方法は、施設に設けられた複数の設備のエネルギーマネジメント方法である。エネルギーマネジメント方法は、取得ステップと、第1特定ステップと、第2特定ステップと、空調機器用算出ステップと、空調機器用評価ステップと、を含む。取得ステップは、電力を含む複数のエネルギーごとに、施設におけるエネルギー使用量を取得する。第1特定ステップは、複数のエネルギーのうち電力の第1エネルギー使用量に基づいて、複数の設備のうち前記電力によって動作する設備としての第1空調機器によるエネルギー使用量を特定する。第2特定ステップは、複数のエネルギーのうち第1エネルギーとしての電力とは異なる第2エネルギーの第2エネルギー使用量において季節に応じて変動が生じている場合には、複数の設備のうち第2エネルギーによって動作する設備としての第2空調機器によるエネルギー使用量を特定する。空調機器用算出ステップは、第1空調機器及び第2空調機器のうち一方の空調機器によるエネルギー使用量の評価の基準となる基準用空調機器のエネルギー効率と施設での熱負荷とを用いて、所定期間において施設で必要とする基準エネルギー使用量を算出する。空調機器用評価ステップは、空調機器用算出ステップで算出された所定期間における前記基準エネルギー使用量と、第1空調機器及び第2空調機器のうち基準用空調機器に対応する空調機器での所定期間におけるエネルギー使用量とを比較して、当該空調機器によるエネルギー使用量の評価を行う。一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムを、上述したエネルギーマネジメントシステム方法として機能させるためのプログラムである。
なお、取得ステップは、図2に示すステップS1に係る処理、つまり取得部101が行う処理を含む。第1特定ステップは、図3に示すステップS102、図4に示すステップS113及び図5に示すステップS123に係る処理のうち第1特定部103が行う空調機器のエネルギー使用量を特定する処理を含む。第2特定ステップは、図3に示すステップS102、図4に示すステップS113及び図5に示すステップS123に係る処理のうち第2特定部104が行う空調機器のエネルギー使用量を特定する処理を含む。空調機器用算出ステップは、図6に示すステップS132に係る処理、つまり第1算出部107が行う処理を含む。空調機器用評価ステップは、図6に示すステップS133に係る処理、つまり第1評価部109が行う処理を含む。
本開示におけるエネルギーマネジメントシステム1(エネルギー管理装置10)又は表示方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを有する。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示におけるエネルギーマネジメントシステム1(エネルギー管理装置10)又は表示方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
コンピュータシステムであるエネルギーマネジメントシステム1は、1又は複数のコンピュータで構成されるシステムであってもよい。例えば、エネルギーマネジメントシステム1の少なくとも一部の機能は、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されてもよい。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様のエネルギーマネジメント方法は、施設に設けられた複数の設備のエネルギーマネジメント方法である。エネルギーマネジメント方法は、取得ステップと、第1特定ステップと、第2特定ステップと、空調機器用算出ステップと、空調機器用評価ステップと、を含む。取得ステップは、電力を含む複数のエネルギーごとに、施設におけるエネルギー使用量を取得する。第1特定ステップは、複数のエネルギーのうち電力の第1エネルギー使用量に基づいて、複数の設備のうち電力によって動作する設備としての第1空調機器によるエネルギー使用量を特定する。第2特定ステップは、複数のエネルギーのうち第1エネルギーとしての電力とは異なる第2エネルギーの第2エネルギー使用量において季節に応じて変動が生じている場合には、複数の設備のうち第2エネルギーによって動作する設備としての第2空調機器によるエネルギー使用量を特定する。空調機器用算出ステップは、第1空調機器及び第2空調機器のうち一方の空調機器によるエネルギー使用量の評価の基準となる基準用空調機器のエネルギー効率と施設での熱負荷とを用いて、所定期間において施設で必要とする基準エネルギー使用量を算出する。空調機器用評価ステップは、空調機器用算出ステップで算出された所定期間における前記基準エネルギー使用量と、第1空調機器及び第2空調機器のうち基準用空調機器に対応する空調機器での所定期間におけるエネルギー使用量とを比較して、空調機器によるエネルギー使用量の評価を行う。
第1の態様によると、第1エネルギーと第2エネルギーとのそれぞれにおいて、空調機器によるエネルギー使用量を特定し、電力と他のエネルギーとのいずれか一方のエネルギーによって動作する空調機器のエネルギー使用量の評価を行うことができる。つまり、エネルギーマネジメント方法は、複数のエネルギーを利用する場合、複数のエネルギーのうち一のエネルギーを利用する機器によるエネルギー使用量の評価を行うことができる。したがって、利用者は、複数のエネルギーを利用する場合、複数のエネルギーのうち一のエネルギーを利用する機器によるエネルギー使用量の評価を知ることができる。
第2の態様のエネルギーマネジメント方法では、第1の態様において、第1特定ステップは、第1エネルギー使用量に基づいて、季節によって変動しないベース使用量を特定する。第1特定ステップは、第1エネルギー使用量のうちベース使用量を除く残りの使用量から第1空調機器によるエネルギー使用量を特定する。
例えば、空調機器は、季節によってその利用頻度が異なる。そこで、第2の態様によると、第1エネルギー使用量からベース使用量を除く使用量、つまり第1エネルギー使用量のうち季節によって変化する使用量から第1空調機器によるエネルギー使用量を特定している。そのため、第1エネルギー使用量のうち第1空調機器によるエネルギー使用量を精度良く特定することができる。
第3の態様のエネルギーマネジメント方法では、第2の態様において、複数の設備は、少なくとも1つの照明機器を含む。エネルギーマネジメント方法は、ベース使用量のうち少なくとも1つの照明機器による照明用エネルギー使用量を特定する第3特定ステップを、更に含む。
例えば、照明機器は、季節に関係なくその利用頻度はほぼ同じである。そこで、第3の態様によると、季節によって変動しないベース使用量から少なくとも1つの照明機器によるエネルギー使用量を特定している。そのため、第1エネルギー使用量のうち少なくとも1つの照明機器によるエネルギー使用量を精度良く特定することができる。ここで、第3特定ステップは、図7に示すステップS141に係る処理、つまり第3特定部105が行う処理を含む。
第4の態様のエネルギーマネジメント方法は、第3の態様において、照明機器用算出ステップと、照明機器用評価ステップと、を更に含む。照明機器用算出ステップは、照明用エネルギー使用量の評価の基準となる基準用照明機器のエネルギー効率と施設での設計照度とを用いて、所定期間において施設で必要とする照明用基準使用量を算出する。照明機器用評価ステップは、照明機器用算出ステップで算出された所定期間における照明用基準使用量と、少なくとも1つの照明機器による所定期間におけるエネルギー使用量とを比較して、少なくとも1つの照明機器によるエネルギー使用量の評価を行う。
第4の態様によると、少なくとも1つの照明機器によるエネルギー使用量の評価を行うことができる。ここで、照明機器用算出ステップは、図7に示すステップS142に係る処理、つまり第2算出部108が行う処理を含む。照明機器用評価ステップは、図7に示すステップS143に係る処理、つまり第2評価部110が行う処理を含む。
第5の態様のエネルギーマネジメント方法では、第2~第4のいずれかの態様において、所定期間は、複数の単位期間を含む。取得ステップは、複数の単位期間のそれぞれについて第1エネルギー使用量を取得する。第1特定ステップは、複数の第1エネルギー使用量のうち、最小の第1エネルギー使用量に基づいて、ベース使用量を特定する。
複数の第1エネルギー使用量のうち、最小の第1エネルギー使用量では、季節に応じたエネルギー使用量の影響が最小となる。そこで、第5の態様によると、最小の第1エネルギー使用量に基づいて、ベース使用量を特定するので、精度良くベース使用量を特定することができる。
第6の態様のエネルギーマネジメント方法では、第1~第5のいずれかの態様において、空調機器用算出ステップは、第1空調機器及び第2空調機器のうち所定期間におけるエネルギー使用量が多い空調機器を、評価の対象とする。
第6の態様によると、第1空調機器及び第2空調機器のうち所定期間におけるエネルギー使用量が多い空調機器について評価を行うことができる。
第7の態様のエネルギーマネジメント方法では、第1~第6のいずれかの態様において、第2特定ステップは、施設の用途に応じて、第2エネルギー使用量のすべてを第2空調機器によるエネルギー使用量として特定する。または、第2特定ステップは、第2エネルギーによって動作する第2空調機器とは異なる設備としての給湯器による給湯器用エネルギー使用量を算出する。第2特定ステップは、第2エネルギー使用量から給湯器用エネルギー使用量を差し引いた差分を第2空調機器によるエネルギー使用量として特定する。
第7の態様によると、第2エネルギーによって動作する給湯器の考慮の有無に応じて、第2空調機器によるエネルギー使用量として特定することができる。つまり、第2エネルギーによって動作する給湯器の有無を考慮することで、第2空調機器によるエネルギー使用量を精度良く特定することができる。
第8の態様のプログラムは、第1~第7のいずれかの態様のエネルギーマネジメント方法をコンピュータに、実行させるためのプログラムである。
第8の態様によると、複数のエネルギーを利用する場合、複数のエネルギーのうち一のエネルギーを利用する機器によるエネルギー使用量の評価を行うことができる。したがって、利用者は、複数のエネルギーを利用する場合、複数のエネルギーのうち一のエネルギーを利用する機器によるエネルギー使用量の評価を知ることができる。