JP6988828B2 - 照合処理装置、照合処理方法、及び、照合処理プログラム - Google Patents

照合処理装置、照合処理方法、及び、照合処理プログラム Download PDF

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Description

本願発明は、照合元である対象が照合先である対象と一致するか否かを判定する照合処理を行なう技術に関する。
近年、コンピュータシステムによって提供される様々なサービスにおいて、顔、指紋、掌紋、虹彩、静脈などの生体情報を利用した本人確認(生体照合)が広く普及している。このような生体照合では、例えば、認証の対象となる人の生体情報(照合元)と、事前にデータベースに登録されている多数の人の生体情報(照合先)との1対N(Nは任意の自然数)照合を行なうことによって、本人確認が行なわれる。この場合、照合元と多数の照合先とに含まれる多数の特徴点について照合が行なわれるので、照合における計算量が大きくなることによって、照合に要する時間が増大するという課題がある。したがって、照合処理を効率的に行う技術に対する期待が高まってきている。
このような技術に関連する技術として、特許文献1には、認識対象文字の画像情報から複数種の特徴を抽出し、予め登録されている各参照パターンの各特徴と順次比較し、複数種の特徴の比較結果(差分結果の絶対値)の累積値に基づき複数の認識候補を決定する文字認識装置が開示されている。この装置は、認識対象文字の各特徴を各参照パターンの各特徴と比較するのに先立って、当該比較後の比較結果の累積値を推定する。そして、この装置は、推定された値と基準値とを比較して、当該参照パターンによる以降の処理を続行するか、あるいは打ち切るかを判断する。
特開平5-120486号公報
上述した生体照合等では、照合処理を効率的に行うために、各特徴点が表す特徴を、複数の特徴種類のうちのいずれかとして定義しておく方法が考えられる。この方法では、照合元及び照合先の照合対象(例えば、顔、指紋、掌紋、虹彩、静脈など)において、同等の位置にあると推定される特徴点同士に関する特徴種類の組み合わせに応じて、その特徴点の組み合わせに対する、照合の重み付けを示す値を決定する。ここで、特徴種類とは、例えば、指紋等の紋様の上に配置された特徴点における、線の方向(上下方向、左右方向、斜め方向等)を区分可能な情報である。そして、この方法では、照合元と照合先との照合結果(照合スコア)を、全ての特徴点に対する照合の重み付けを示す値の総和として、例えば数1に示す通りに算出する。
[数1]
Figure 0006988828
数1において、M(Mは任意の自然数)は各照合対象に含まれる特徴点の個数を示す。数1において、s[i]は、照合元におけるi番目の特徴点の特徴種類を示す値であり、f[i]は、照合先におけるi番目の特徴点の特徴種類を示す値である。数1において、「weight」は、s[i]とf[i]との組み合わせに基づいて、照合の重み付けを示す値を求める関数である。
このような、各特徴点が表す特徴を複数の特徴種類のうちのいずれかとして定義しておく方法においても、例えば特許文献1によって開示された技術と同様に、照合元と照合先とが一致しないことを早期に判定することにより照合処理を打ち切ることによって、照合処理を高速化することが可能となる。しかしながら、各特徴点が表す特徴を複数の特徴種類のうちのいずれかとして定義しておく方法では、特許文献1が示すような、比較結果の累積値を推定することが困難である。したがって、特許文献1が示す構成では、各特徴点が表す特徴を複数の特徴種類のうちのいずれかとして定義しておく方法において、照合処理を高速化することが困難であるという問題がある。本願発明の主たる目的は、このような問題を解決する照合処理装置等を提供することである。
本願発明の一態様に係る照合処理装置は、照合元に含まれる特徴点及び照合先に含まれる特徴点ごとに、ある特徴が複数の特徴種類のうちのいずれかに分類されている場合に、前記照合元におけるいずれかの前記特徴種類と前記照合先におけるいずれかの前記特徴種類との組み合わせごとに、照合の度合いを表す重み付け値を取得する取得手段と、前記照合元に含まれる前記特徴点と、照合において当該特徴点に紐付けされた、前記照合先に含まれる前記特徴点との組み合わせに対する前記重み付け値に基づいて、前記特徴点をグループに分類する分類手段と、前記グループごとに、前記重み付け値を代表する代表値を決定する代表値決定手段と、前記代表値を使用することによって、前記グループを単位とした、前記照合元と前記照合先との照合を行う概算照合手段と、前記概算照合手段による照合結果が判定基準を満たすか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が前記判定基準を満たすと判定した場合にのみ、前記特徴点ごとの前記重み付け値を使用した、前記照合元と前記照合先との照合を行う詳細照合手段と、を備える。
上記目的を達成する他の見地において、本願発明の一態様に係る照合処理方法は、照合元に含まれる特徴点及び照合先に含まれる特徴点ごとに、ある特徴が複数の特徴種類のうちのいずれかに分類されている場合に、前記照合元におけるいずれかの前記特徴種類と前記照合先におけるいずれかの前記特徴種類との組み合わせごとに、照合の度合いを表す重み付け値を取得し、前記照合元に含まれる前記特徴点と、照合において当該特徴点に紐付けされた、前記照合先に含まれる前記特徴点との組み合わせに対する前記重み付け値に基づいて、前記特徴点をグループに分類し、前記グループごとに、前記重み付け値を代表する代表値を決定し、前記代表値を使用することによって、前記グループを単位とした、前記照合元と前記照合先との照合を行い、前記照合元と前記照合先との照合結果が判定基準を満たすか否かを判定し、前記判定基準を満たすと判定した場合にのみ、前記特徴点ごとの前記重み付け値を使用した、前記照合元と前記照合先との照合を行う。
また、上記目的を達成する更なる見地において、本願発明の一態様に係る照合処理プログラムは、照合元に含まれる特徴点及び照合先に含まれる特徴点ごとに、ある特徴が複数の特徴種類のうちのいずれかに分類されている場合に、前記照合元におけるいずれかの前記特徴種類と前記照合先におけるいずれかの前記特徴種類との組み合わせごとに、照合の度合いを表す重み付け値を取得する取得処理と、前記照合元に含まれる前記特徴点と、照合において当該特徴点に紐付けされた、前記照合先に含まれる前記特徴点との組み合わせに対する前記重み付け値に基づいて、前記特徴点をグループに分類する分類処理と、前記グループごとに、前記重み付け値を代表する代表値を決定する代表値決定処理と、前記代表値を使用することによって、前記グループを単位とした、前記照合元と前記照合先との照合を行う概算照合処理と、前記概算照合処理による照合結果が判定基準を満たすか否かを判定する判定処理と、前記判定処理が前記判定基準を満たすと判定した場合にのみ、前記特徴点ごとの前記重み付け値を使用した、前記照合元と前記照合先との照合を行う詳細照合処理と、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
更に、本願発明は、係る照合処理プログラム(コンピュータプログラム)が格納された、コンピュータ読み取り可能な、不揮発性の記録媒体によっても実現可能である。
本願発明は、照合元及び照合先に含まれる特徴点が表す特徴が、複数の特徴種類のうちのいずれかに分類されている場合に、照合処理を高速化することを可能とする。
本願発明の第1の実施形態に係る照合処理装置10の構成を示すブロック図である。 本願発明の第1の実施形態に係る照合重み情報170の構成を例示する図である。 本願発明の第1の実施形態に係る分類部12が、照合重み情報170に基づいて、特徴点をグループに分類する方法を例示する図である。 本願発明の第1の実施形態に係る照合処理装置10の動作を示すフローチャート(1/2)である。 本願発明の第1の実施形態に係る照合処理装置10の動作を示すフローチャート(2/2)である。 本願発明の第2の実施形態に係る照合処理装置20の構成を示すブロック図である。 本願発明の各実施形態に係る照合処理装置を実行可能な情報処理装置900の構成を示すブロック図である。
以下、本願発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本願発明の第1の実施の形態に係る照合処理装置10の構成を概念的に示すブロック図である。照合処理装置10は、入力された照合元特徴ベクトル100を、事前に登録されている照合先特徴ベクトル171−1乃至171−N(Nは任意の自然数)と、1対Nの照合を行なう装置である。照合元特徴ベクトル100は照合元である対象(以降、単に「照合元」と称する場合がある)に含まれるM個(Mは任意の自然数)の特徴点が表す特徴を示す情報である。照合先特徴ベクトル171−1乃至171−Nは、照合先である対象(以降、単に「照合先」と称する場合がある)に含まれるM個の特徴点が表す特徴を示す情報である。
照合処理装置10は、例えば、顔、指紋、掌紋、虹彩、静脈などの生体情報を示す照合元特徴ベクトル100と、照合先特徴ベクトル171−1乃至171−Nとの生体照合を行なってもよい。照合処理装置10は、あるいは、工業製品等の表面に自然発生する微細な紋様(物体指紋)を利用して、物体の照合(識別)を行なう装置であってもよい。照合処理装置10は、照合元及び照合先において、互いに紐付けられる(例えば、照合対象において同等の位置にあると推定される)特徴点同士について、その特徴を示す値を比較することによって、照合元と照合先とが同一の対象であるか否かを判定する。
本実施形態に係る照合処理装置10は、取得部11、分類部12、代表値決定部13、概算照合部14、判定部15、詳細照合部16、及び、記憶部17を備えている。
取得部11は、外部から、照合重み情報170を取得する。照合重み情報170は、照合元及び照合先に含まれる特徴点ごとに、その特徴が複数の特徴種類のうちのいずれかに分類されている場合に、照合元におけるいずれかの特徴種類と照合先におけるいずれかの特徴種類との組み合わせごとに、照合の重み付けを示す値(重み付け値)を表した情報である。
図2は、本実施形態に係る照合重み情報170の構成を概念的に例示する図である。図2に例示する照合重み情報170では、照合元及び照合先に含まれる特徴点の特徴種類として、5種類(「0」乃至「4」)が定義されている。但し、照合重み情報170において定義される特徴種類は、5種類に限定されない。特徴種類は、例えば、指紋等を表す画像において、紋様の上に一般的な手順によって配置された複数の特徴点を解析した場合における、線の方向(上下方向、左右方向、左上から右下への斜め方向、及び、左下から右上への斜め方向等)によって、値が定義されていることとする。
図2に例示する照合重み情報170では、特徴種類が「0」である特徴点に関する、重み付け値が、全て「0」となっている。これは、照合処理装置10により照合が行なわれる対象が、特徴種類が「0」である特徴点を含まないことを示している。
図2に例示する通り、照合元の特徴種類と照合先の特徴種類が一致する特徴点の組み合わせ(但し、特徴種類が「0」の場合を除く)に対しては、重み付け値として、「15」あるいは「20」というような、絶対値が大きい正の値が設定されている。これは、ある特徴点に関して照合元の特徴種類と照合先の特徴種類とが一致する場合、照合元と照合先とが同一の対象である可能性が大きくなることに基づいている。
一方、例えば、照合元の特徴種類が「2」であり照合先の特徴種類が「4」である特徴点の組み合わせに対しては、重み付け値として、「−25」というような、絶対値が大きい負の値が設定されている。これは、ある特徴点に関して照合元の特徴種類が「2」であり照合先の特徴種類「4」である場合、照合元と照合先とが異なる対象である可能性が大きくなることに基づいている。
また、例えば、照合元の特徴種類が「1」であり照合先の特徴種類が「2」である特徴点の組み合わせに対しては、重み付け値として、「−1」というような、絶対値が小さい値が設定されている。これは、ある特徴点に関して照合元の特徴種類が「1」であり照合先の特徴種類「2」である場合、照合元と照合先とが同一の対象である可能性もあれば、異なる対象である可能性もあることに基づいている。
より具体的には、例えば、特徴種類が、指紋等の紋様の上に配置された特徴点における、線の方向を示す場合において、照合元と照合先との特徴種類の組み合わせが、例えば「上下方向」と「左右方向」とである場合、照合元と照合先とにおいて、特徴点が表す特徴が明確に異なるので、照合元と照合先とが異なる対象である可能性が大きくなる。これに対して、照合元と照合先との特徴種類の組み合わせが、例えば「上下方向」と「左上から右下への斜め方向」とである場合、生体情報の入力誤差などを考慮すると、照合元と照合先とにおいて、紐付けされた特徴点が表す特徴同士が明確に異なるとは言えないので、照合元と照合先とが同一の対象である可能性もあれば、異なる対象である可能性もある。
図1に示す取得部11は、取得した照合重み情報170を、記憶部17へ格納する。記憶部17は、例えば磁気ディスクあるいは電子メモリ等の記憶デバイスである。
分類部12は、記憶部17に格納された照合重み情報170が示す、重み付け値に基づいて、照合元の特徴点と照合先の特徴点との組み合わせをグループに分類する方法を決定する。
図3は、本実施形態に係る分類部12が、図2に例示する照合重み情報170に基づいて、照合元の特徴点と照合先の特徴点との組み合わせをグループに分類する方法を例示する図である。図3に例示する通り、分類部12は、特徴点を3つのグループ(グループA、B、及びC)に分類する。図3(a)に例示する通り、グループAは、重み付け値として絶対値が大きい正の値(図2に示す「15」及び「20」)が設定されている特徴点を含むグループである。図3(b)に例示する通り、グループBは、重み付け値として絶対値が大きい負の値(図2に示す「−25」)が設定されている特徴点を含むグループである。図3(c)に例示する通り、グループCは、重み付け値として絶対値が小さい値(図2に示す「0」、「−1」、及び「−2」)が設定されている特徴点を含むグループである。
分類部12は、照合処理装置10が、照合元特徴ベクトル100と、いずれかの照合先特徴ベクトル171−i(iは1乃至Nのいずれかの整数)との照合を行なう際に、照合元特徴ベクトル100及び照合先特徴ベクトル171−iに含まれる、対象において同等の位置にあると推定される特徴点同士の組み合わせを、上述したグループA、B、及びCのうちのいずれかに分類する。
分類部12は、あるいは、例えばk−means法などの周知のクラスタリング手法を用いることによって、照合元あるいは照合先に含まれる特徴点をグループに分類してもよい。
図1に示す代表値決定部13は、分類部12によって分類されたグループごとに、重み付け値を代表する代表値を決定する。代表値決定部13は、図3に示す例では、グループA、B、及びCに対する代表値を、順に、「20」、「−25」、及び「0」に決定する。代表値決定部13は、各グループに関して、例えば、重み付け値の最大値、あるいは重み付け値の最小値、あるいは重み付け値の平均値などを、そのグループの代表値として決定してもよい。
図1に示す概算照合部14は、分類部12によって分類された各グループに属する、照合元の特徴点と照合先の特徴点との組み合わせの個数を求める。概算照合部14は、求めた個数と、代表値決定部13によって決定された代表値との積をグループ毎に算出したのち、その積に関する全てのグループ分の総和を、照合スコアの概算値として算出する。
例えば、特徴点が、分類部12によって図3に例示する通りにグループに分類され、照合元及び照合先に含まれる特徴点数Mが100であり、グループA、B、及びCに属する特徴点の組み合わせの数が、順に、8個、10個、82個であり、グループA、B、及びCに対する代表値が、順に、「20」、「−25」、及び「0」であることとする。この場合、概算照合部14は、「20x8+(−25)x10+0x82」を計算することによって、上述した全てのグループ分の総和である「−90」を、照合スコアの概算値として算出する。但し、上述した計算式において、「x」は乗算を示す演算子であり、「+」は加算を示す演算子である。
図1に示す判定部15は、概算照合部14によって算出された照合スコアの概算値が、判定基準150を満たすか否かを判定する。判定基準150は、例えば、判定部15が内包するメモリなどに記憶されている。判定基準150が、例えば、「照合スコアの概算値が閾値(例えば「0」)より大きい」ことである場合、判定部15は、上述した例において、照合スコアの概算値が「−90」であることをもって、照合スコアの概算値が判定基準150を満たさないと判定する。また、判定基準150は、例えばユーザによって、外部から入力されるようにしてもよい。
詳細照合部16は、判定部15が、概算照合部14によって算出された照合スコアの概算値が判定基準150を満たすと判定した場合、特徴点ごとの、照合重み情報170によって示される重み付け値を用いて、照合元特徴ベクトル100と照合先特徴ベクトル171−iとの詳細な照合を行う。すなわちこの場合、詳細照合部16は、例えば上述した数1を用いることによって、照合元と照合先との詳細な照合スコアを、全ての特徴点に対する重み付け値の総和として算出する。詳細照合部16は、判定部15が、概算照合部14によって算出された照合スコアの概算値が判定基準150を満たさないと判定した場合は、照合元が照合先と一致しないとみなして、照合元特徴ベクトル100と照合先特徴ベクトル171−iとの詳細な照合を中止する。
詳細照合部16は、照合スコアの概算値が判定基準150を満たすと判定部15によって判定された照合先特徴ベクトル171−iが示す照合先のうち、詳細な照合スコアが最も高い照合先を特定する。
次に図4A及び4Bのフローチャートを参照して、本実施形態に係る照合処理装置10の動作(処理)について詳細に説明する。
取得部11は、外部から照合重み情報170を取得し、取得した照合重み情報170を記憶部17へ格納する(ステップS101)。分類部12は、照合重み情報170に基づいて、照合元の特徴点と照合先の特徴点との組み合わせをグループに分類する方法を決定する(ステップS102)。代表値決定部13は、グループ毎に重み付け値の代表値を決定する(ステップS103)。照合処理装置10に、照合元特徴ベクトル100が入力される(ステップS104)。
照合処理装置10は、変数iを1からNに変化させながら、ステップS106からステップS112までの処理を繰り返し実行する(ステップS105)。
分類部12は、照合元特徴ベクトル100と、記憶部17に格納されている照合先特徴ベクトル171−iにおいて、照合元及び照合先における同位置と推定される特徴点の組み合わせを、グループに分類する(ステップS106)。概算照合部14は、グループ毎に、属する特徴点の組み合わせの個数を求める(ステップS107)。
概算照合部14は、グループ毎に求めた特徴点の組み合わせの数とそのグループの代表値との積に関する全てのグループ分の総和を、照合スコアの概算値として求める(ステップS108)。判定部15は、概算照合部14が求めた照合スコアの概算値が、判定基準150を満たすか否かを判定する(ステップS109)。
照合スコアの概算値が判定基準150を満たす場合(ステップS110でYes)、詳細照合部16は、特徴点の組み合わせごとの重み付け値を使用して、詳細な照合スコアを算出する(ステップS111)。照合スコアの概算値が判定基準150を満たさない場合(ステップS110でNo)、詳細照合部16は、照合元と照合先が不一致と判定し、詳細な照合スコアの算出を中止する(ステップS112)。
照合処理装置10は、変数iがN未満である場合は、変数iに1を加算して、ステップS106からの処理を実行し、変数iがNである場合は、ステップS114の処理を実行する(ステップS113)。照合処理装置10は、詳細な照合スコアが最も高い照合先を特定し(ステップS114)、全体の処理は終了する。
本実施形態に係る照合処理装置10は、照合元及び照合先に含まれる特徴点の特徴が、複数の特徴種類のうちのいずれかに分類されている場合に、照合処理を高速化することができる。その理由は、照合処理装置10は、照合元の特徴点と照合先の特徴点との組み合わせをグループに分類し、グループ毎の重み付け値の代表値とそのグループに属する特徴点の個数とにより求めた照合スコアの概算値に基づいて、詳細な照合が不要と判断した場合は、詳細な照合を中止するからである。
以下に、本実施形態に係る照合処理装置10によって実現される効果について、詳細に説明する。
生体照合等では、照合処理を効率的に行うために、各特徴点が表す特徴を、複数の特徴種類のうちのいずれかとして定義しておく方法が考えられる。この方法では、照合元及び照合先の照合対象において、同等の位置にあると推定される特徴点同士に関する特徴種類の組み合わせに応じて、その特徴点の組み合わせに対する、重み付け値を決定する。そして、この方法では、照合元と照合先との照合結果(照合スコア)を、全ての特徴点に対する重み付け値の総和として、例えば上述した数1に示す通りに算出する。この場合、例えば特徴点の個数M及び照合先の個数Nによっては、1対Nの照合処理に要する計算量が大きくなるので、照合処理に要する計算を効率的に行なうことが課題である。
このような問題に対して、本実施形態に係る照合処理装置20は、取得部11、分類部12、代表値決定部13、概算照合部14、判定部15、及び、詳細照合部16を備える。即ち、取得部11は、照合元に含まれる特徴点及び照合先に含まれる特徴点ごとに、ある特徴が複数の特徴種類のうちのいずれかに分類されている場合に、照合元におけるいずれかの特徴種類と照合先におけるいずれかの特徴種類との組み合わせごとに、照合の度合いを表す重み付け値を含む照合重み情報170を取得する。分類部12は、照合元に含まれる特徴点と、照合において当該特徴点に紐付けされた、照合先に含まれる特徴点との組み合わせに対する重み付け値に基づいて、特徴点をグループに分類する。代表値決定部13は、グループごとに、重み付け値を代表する代表値を決定する。概算照合部14は、その代表値を使用することによって、グループを単位とした、照合元と照合先との照合を行う。判定部15は、概算照合部14による照合結果が判定基準150を満たすか否かを判定する。詳細照合部16は、判定部15が判定基準150を満たすと判定した場合にのみ、特徴点ごとの重み付け値を使用した、照合元と照合先との照合を行う。
したがって、本実施形態に係る照合処理装置20は、グループを単位として、照合元と照合先との照合における照合スコアの概算値を求めたのち、その概算値が判定基準を満たさない場合は、照合元と照合先との詳細な照合を中止する。これにより、本実施形態に係る照合処理装置10は、照合元及び照合先に含まれる特徴点が表す特徴が、複数の特徴種類のうちのいずれかに分類されている場合に、照合処理を高速化することができる。
また、本実施形態に係る分類部12は、照合元あるいは照合先に含まれる特徴点を、例えば3つのグループに分類する。このうち、第1のグループ(グループA)は、重み付け値が所定の正の値(本実施形態では「15」)以上であるグループである。第2のグループ(グループB)は、重み付け値が所定の負の値(本実施形態では「−25」)以下であるグループである。第3のグループ(グループC)は、重み付け値が第1及び第2のグループに属さない(本実施形態では「0」、「−1」、「−2」)グループである。この場合、上述した第1の実施形態では、判定基準150は、数2の通りに表される。
[数2]
20xNa+(−25)xNb+0xNc≧0
但し、数2において、Na、Nb、及びNcは、順に、グループA、グループB、及びグループCに属する、照合元の特徴点と照合先の特徴点との組み合わせの個数を表す。
判定基準150は、数2を変形することによって、数3の通りに表される。
[数3]
Na/Nb≧1.25
したがって、本実施形態に係る照合処理装置10は、数3に例示するような簡素な数式により表される判定基準150に基づいて、照合元と照合先との詳細な照合を行なうか否かを判定することができるので、照合処理を高速化することができる。
また、本実施形態に係る代表値決定部13は、重み付け値の最大値、あるいは重み付け値の最小値、あるいは重み付け値の平均値を、代表値として決定する。したがって、本実施形態に係る照合処理装置10は、照合の内容に応じて、代表値を決定する手順を変更することができるので、柔軟な照合を行なうことができる。
また、本実施形態に係る判定部15は、ユーザ等により外部から入力された判定基準150を使用することができる。これにより、本実施形態に係る照合処理装置10では、ユーザ操作によって、照合の精度を維持しつつ、詳細な照合を行なわない確率を増加させることができる条件を、判定基準150とすることができるので、照合処理をさらに高速化することができる。
<第2の実施形態>
図5は、本願発明の第2の実施形態に係る照合処理装置20の構成を概念的に示すブロック図である。
本実施形態に係る照合処理装置20は、取得部21、分類部22、代表値決定部23、概算照合部24、判定部25、及び、詳細照合部26を備えている。
取得部21は、重み付け値210を取得する。重み付け値210は、照合元200に含まれる特徴点及び照合先201に含まれる特徴点ごとに、ある特徴が複数の特徴種類のうちのいずれかに分類されている場合に、照合元200におけるいずれかの特徴種類と照合先201におけるいずれかの前記特徴種類との組み合わせごとに、照合の度合いを表す値である。
分類部22は、照合元200に含まれる特徴点と、照合において当該特徴点に紐付けされた、照合先201に含まれる特徴点との組み合わせに対する重み付け値210に基づいて、特徴点をグループに分類する。
代表値決定部23は、グループごとに、重み付け値210を代表する代表値を決定する。
概算照合部24は、その代表値を使用することによって、グループを単位とした、照合元200と照合先201との照合を行う。
判定部25は、概算照合部24による照合結果が判定基準250を満たすか否かを判定する。
詳細照合部26は、判定部25が判定基準250を満たすと判定した場合にのみ、特徴点ごとの重み付け値210を使用した、照合元200と照合先201との詳細な照合を行う。
本実施形態に係る照合処理装置20は、照合元及び照合先に含まれる特徴点が表す特徴が、複数の特徴種類のうちのいずれかに分類されている場合に、照合処理を高速化することができる。その理由は、照合処理装置20は、照合元の特徴点と照合先の特徴点との組み合わせをグループに分類し、グループ毎の重み付け値の代表値を用いることによってグループを単位とした照合を行い、その照合結果に基づいて詳細な照合が不要と判断した場合は、詳細な照合を中止するからである。
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において図1、及び、図5に示した照合処理装置10及び20における各部は、専用のHW(HardWare)(電子回路)によって実現することができる。また、図1、及び、図5において、少なくとも、下記構成は、ソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。
・取得部11及び21、
・分類部12及び22、
・代表値決定部13及び23、
・概算照合部14及び24、
・判定部15及び25、
・詳細照合部16及び26。
但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、図6を参照して説明する。
図6は、本願発明の各実施形態に係る照合処理装置を実行可能な情報処理装置900(コンピュータ)の構成を例示的に説明する図である。即ち、図6は、図1、及び、図5に示した照合処理装置或いはその一部を実現可能なコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。図6に示した情報処理装置900は、構成要素として下記を備えている。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク(記憶装置)904、
・無線送受信部等の外部装置との通信インタフェース905、
・バス906(通信線)、
・CD−ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記録媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・入出力インタフェース909。
即ち、上記構成要素を備える情報処理装置900は、これらの構成がバス906を介して接続された一般的なコンピュータである。情報処理装置900は、CPU901を複数備える場合もあれば、マルチコアにより構成されたCPU901を備える場合もある。
そして、上述した実施形態を例に説明した本願発明は、図6に示した情報処理装置900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(図1及び図5)における上述した構成、或いはフローチャート(図4A及び図4B)の機能である。本願発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性のメモリ(RAM903)、または、ROM902やハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD−ROM等の各種記録媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本願発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記録媒体907によって構成されると捉えることができる。
以上、上述した実施形態を模範的な例として本願発明を説明した。しかしながら、本願発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本願発明は、本願発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
この出願は、2016年12月19日に出願された日本出願特願2016−245167を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
10 照合処理装置
100 照合元特徴ベクトル
11 取得部
12 分類部
13 代表値決定部
14 概算照合部
15 判定部
150 判定基準
16 詳細照合部
17 記憶部
170 照合重み情報
171−1乃至171−N 照合先特徴ベクトル
20 照合処理装置
200 照合元
201 照合先
21 取得部
210 重み付け値
22 分類部
23 代表値決定部
24 概算照合部
25 判定部
250 判定基準
26 詳細照合部
900 情報処理装置
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 ハードディスク(記憶装置)
905 通信インタフェース
906 バス
907 記録媒体
908 リーダライタ
909 入出力インタフェース

Claims (10)

  1. 照合元に含まれる特徴点及び照合先に含まれる特徴点ごとに、ある特徴が複数の特徴種類のうちのいずれかに分類されている場合に、前記照合元におけるいずれかの前記特徴種類と前記照合先におけるいずれかの前記特徴種類との組み合わせごとに、照合の度合いを表す重み付け値を取得する取得手段と、
    前記照合元に含まれる前記特徴点と、照合において当該特徴点に紐付けされた、前記照合先に含まれる前記特徴点との組み合わせに対する前記重み付け値に基づいて、前記特徴点をグループに分類する分類手段と、
    前記グループごとに、前記重み付け値を代表する代表値を決定する代表値決定手段と、
    前記代表値を使用することによって、前記グループを単位とした、前記照合元と前記照合先との照合を行う概算照合手段と、
    前記概算照合手段による照合結果が判定基準を満たすか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段が前記判定基準を満たすと判定した場合にのみ、前記特徴点ごとの前記重み付け値を使用した、前記照合元と前記照合先との照合を行う詳細照合手段と、
    を備える照合処理装置。
  2. 前記概算照合手段は、個々の前記グループに属する前記照合元あるいは前記照合先に含まれる前記特徴点の数を求めたのち、前記グループ毎に求めた前記特徴点の数と前記代表値との積に関して、全ての前記グループ分の総和を求め、
    前記判定手段は、前記総和が閾値以上であるか否かを判定する、
    請求項1に記載の照合処理装置。
  3. 前記分類手段は、前記照合元あるいは前記照合先に含まれる前記特徴点を、前記重み付け値が所定の正の値以上である第一の前記グループと、前記重み付け値が所定の負の値以下である第二の前記グループと、前記重み付け値が前記第一及び第二のグループに属さない第三の前記グループと、に分類する、
    請求項1または2に記載の照合処理装置。
  4. 前記分類手段は、k−means法を含むクラスタリング手法を用いて、前記照合元あるいは前記照合先に含まれる前記特徴点をグループに分類する、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の照合処理装置。
  5. 前記代表値決定手段は、前記重み付け値の最大値、あるいは前記重み付け値の最小値、あるいは前記重み付け値の平均値を、前記代表値として決定する、
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載の照合処理装置。
  6. 前記判定手段は、外部から入力された前記判定基準を使用する、
    請求項1乃至5のいずれか一項に記載の照合処理装置。
  7. 前記取得手段により取得された前記重み付け値と、複数の前記照合先に含まれる特徴点が表す特徴を示す、複数の照合先特徴ベクトルと、を記憶する記憶手段をさらに備え、
    前記詳細照合手段は、前記照合元に含まれる特徴点が表す特徴を示す照合元特徴ベクトルを、前記複数の照合先特徴ベクトルと照合する、
    請求項1乃至6のいずれか一項に記載の照合処理装置。
  8. 前記照合元特徴ベクトル、及び、前記照合先特徴ベクトルは、指紋、あるいは掌紋、あるいは虹彩、あるいは静脈、あるいは顔を表す生体情報を示す、
    請求項7に記載の照合処理装置。
  9. 情報処理装置によって、
    照合元に含まれる特徴点及び照合先に含まれる特徴点ごとに、ある特徴が複数の特徴種類のうちのいずれかに分類されている場合に、前記照合元におけるいずれかの前記特徴種類と前記照合先におけるいずれかの前記特徴種類との組み合わせごとに、照合の度合いを表す重み付け値を取得し、
    前記照合元に含まれる前記特徴点と、照合において当該特徴点に紐付けされた、前記照合先に含まれる前記特徴点との組み合わせに対する前記重み付け値に基づいて、前記特徴点をグループに分類し、
    前記グループごとに、前記重み付け値を代表する代表値を決定し、
    前記代表値を使用することによって、前記グループを単位とした、前記照合元と前記照合先との照合を行い、
    前記照合元と前記照合先との照合結果が判定基準を満たすか否かを判定し、
    前記判定基準を満たすと判定した場合にのみ、前記特徴点ごとの前記重み付け値を使用した、前記照合元と前記照合先との照合を行う、
    照合処理方法。
  10. 照合元に含まれる特徴点及び照合先に含まれる特徴点ごとに、ある特徴が複数の特徴種類のうちのいずれかに分類されている場合に、前記照合元におけるいずれかの前記特徴種類と前記照合先におけるいずれかの前記特徴種類との組み合わせごとに、照合の度合いを表す重み付け値を取得する取得処理と、
    前記照合元に含まれる前記特徴点と、照合において当該特徴点に紐付けされた、前記照合先に含まれる前記特徴点との組み合わせに対する前記重み付け値に基づいて、前記特徴点をグループに分類する分類処理と、
    前記グループごとに、前記重み付け値を代表する代表値を決定する代表値決定処理と、
    前記代表値を使用することによって、前記グループを単位とした、前記照合元と前記照合先との照合を行う概算照合処理と、
    前記概算照合処理による照合結果が判定基準を満たすか否かを判定する判定処理と、
    前記判定処理が前記判定基準を満たすと判定した場合にのみ、前記特徴点ごとの前記重み付け値を使用した、前記照合元と前記照合先との照合を行う詳細照合処理と、
    をコンピュータに実行させるための照合処理プログラム。
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