以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用範囲あるいはその用途を制限することを意図するものではない。また、発明の理解を容易にするために、実質的に同一または類似の事項についての説明を省略する場合がある。
(分電盤の構成)
図1は実施形態に係る分電盤の斜視図であり、図2は分電盤のカバーを外して右斜め上側から見た斜視図であり、図3は分電盤の回路構成例を示した図である。
図1〜図3に示すように、分電盤100は、外部の電源からの電力の供給を受ける主幹開閉器110と、後述する主幹電流測定部121および主幹異常検出部122を有する主幹通電検知部120並びに分岐リレー接続部123を介して主幹開閉器110の負荷装置側に接続された複数の分岐開閉器130と、これらを収納する矩形箱状の筐体101とを備えている。分岐開閉器130は、切替ユニットとしての分岐リレー131を備えている。本実施形態では、分岐リレー131はラッチリレーであるものとして説明する。
なお、分岐リレー131はラッチリレーに限定されず、例えば、半導体リレーのような他のリレーであってもよい(後述する“その他の実施形態”および図19参照)。また、切替ユニットとして、例えば、非接触給電方式の切替手段のようなリレー以外の切替手段を用いて電路の開閉の切替えをしてもよい。なお、本開示において、リレーとは、有接点リレー、無接点リレーおよび有接点リレーと無接点リレーとを組み合わせたハイブリッド型のリレーを含む概念である。
筐体101は、主幹開閉器110および分岐リレー131等が配設され、かつ前面が開口した矩形箱状のボックス101aと、ボックス101aの開口を覆うカバー101bとを備えている。ボックス101aは、ねじやフック(図示しない)等によって壁面等に取り付けされる。また、ボックス101aとカバー101bとは、例えば長手方向(図1における左右方向)の側面において、ねじ(図示しない)によってねじ止めされる。
なお、上記のねじ止め固定される場所は、例えば、カバー101bの前側からのねじ止め固定でもよい。また、ボックス101aやカバー101bに嵌合部(図示しない)を設け、その嵌合部の嵌合によってボックス101aとカバー101bとを固定してもよい。なお、本実施形態の説明において、“前”とはカバー101b側を、“後”とはボックス101a側を指すものとする。
カバー101bの前面には、上端から下端までの間において、右側端部からカバー101bの左右中間の左側寄りまで広がるタッチパネル200が設けられている。カバー101b前面においてタッチパネル200左側の上下方向の中間部分には、タッチパネル200を初期表示状態に戻すためのホームボタン104が設けられている。
また、ホームボタン104の左側の上下方向の中間部分には、後述する主幹開閉器110の主幹突状部112の大きさよりも若干大きく形成され、前後方向に貫通する矩形の貫通孔102aが設けられている。これにより、ボックス101aにカバー101bが取り付けされた際に、主幹開閉器110の主幹突状部112および後述する操作レバー113がカバー101bの外側に露出する。同様に、カバー101bのタッチパネル200左側の下端部寄りの部位には、後述するバッテリー表示部161、マイク162およびスピーカ163をそれぞれ外部に露出するために、これらの大きさよりもそれぞれ若干大きく形成され、前後方向に貫通する矩形の貫通孔102b,102c,102dが設けられている。また、カバー101bの下面右端部には、タッチパネル200をオンオフ制御するための電源ボタン103が設けられている。
図2に示すように、ボックス101a上面の長手方向両側には、電源側コネクタ151と負荷側コネクタ156とがボックス101aから上側に向かうようにそれぞれ一体的に突設されている。電源側コネクタ151は、筐体101の内外で電気接続が可能に構成された複数の接続端子を有し、外部の電源と接続された接続ケーブル301のコネクタ301aと接続可能に構成されている。電源側コネクタ151の接続端子は、筐体101の内部において、主幹開閉器110の入力端子と接続されている。このような構成とすることにより、主幹開閉器110は電源側コネクタ151および接続ケーブル301を介して外部の電源と接続される。
主幹開閉器110は、矩形箱状の主幹ベース部111と、主幹ベース部111の前側に一体的に突設された矩形箱状の主幹突状部112と、主幹突状部112に形成した貫通窓から前側に突設され、使用者の起立/傾倒操作を受けて主幹開閉器110の電路の接続/遮断をオンオフ制御可能に構成された操作レバー113とを備えている。さらに、主幹開閉器110は、トリップ動作により主幹開閉器110の電路を開閉可能に構成された電路遮断機構(図示しない)を備えている。電路遮断機構は、電磁式の瞬時引外し装置、バイメタル式の時延形引外し装置、トリップコイル等によって構成されており、過電流、短絡電流、漏電、過電圧等の主幹開閉器110の負荷装置側における通電状態に異常があるとき、主幹開閉器110の電路を、機械的に自動遮断する(以下、トリップ動作ともいう)機構である。
主幹通電検知部120は、主幹電流測定部121と、主幹異常検出部122とを備えており、主幹開閉器110の通電状態の異常の有無を検知して、その検知結果を示す主幹通電信号D1を出力する。主幹電流測定部121は、短絡および過電流を検知するためのものであり、具体的には、電路を流れる電流を測定し(例えば、特開2000−299934号公報、特開2008−131765号公報参照)、その測定結果を主幹電流信号D11として出力する。主幹異常検出部122は、過電圧および漏電を検知するためのものであり、具体的には、電圧および電路に設けられた変流器からの検出信号に基づく漏電電流を測定し(例えば、特開2009−081928号公報参照)、その測定結果を主幹異常信号D12として出力する。本開示では、主幹通電信号D1とは、主幹電流信号D11および主幹異常信号D12の両方またはいずれか一方を指すものとする。
図3および図4に示すように、分岐リレー接続部123は、主幹通電検知部120の負荷装置側に接続されており、主幹開閉器110および主幹通電検知部120を介して外部の電源から供給された電力を分岐して各分岐リレー131に出力する。具体的には、分岐リレー接続部123は、ボックス101aの右側の上下方向中間において、ボックス101aの長手方向に延びる矩形状体であり、この分岐リレー接続部123の上下方向の両側面には、端子差込口123aが分岐リレー接続部123の長手方向に所定のピッチで並べて形成されている。端子差込口123aは、分岐リレー接続部123の前側において、ボックス101aの長手方向に所定のピッチで並べて形成されたN極端子差込口123bと、各N極端子差込口123bと対応するように分岐リレー接続部123の後側において、ボックス101aの長手方向に所定のピッチで並べて形成されたL極端子差込口123cとからなる。
複数の分岐リレー131は、分岐リレー接続部123の上下方向の両側において、ボックス101aの長手方向に並べて配設されている。各分岐リレー131は、その一側面から突設された2本の一次側N極端子131bおよび2本の一次側L極端子131cを備えており、各分岐リレー131は、一次側N極端子131bおよび一次側L極端子131cを、分岐リレー接続部123のN極端子差込口123bおよびL極端子差込口123cに差し込むことで分岐リレー接続部123に接続される。
図2および図3に示すように、各分岐リレー131の負荷装置側には、分岐通電検知部140が配設されており、各分岐通電検知部140の負荷装置側配線は、それぞれ負荷側コネクタ156に接続されている。負荷側コネクタ156は、外部の負荷装置A,B,Cと接続された接続ケーブル302のコネクタ302aと接続可能に構成されている。
分岐通電検知部140は、分岐電流測定部141と、分岐異常検出部142とを備えており、分岐開閉器130の通電状態の異常の有無を検知して、その検知結果を示す分岐通電信号D2を出力する。分岐電流測定部141は、短絡電流および過電流を検出するためのものであり、具体的には、電路を流れる電流を測定し(例えば、特開2000−299934号公報、特開2008−131765号公報参照)、その測定結果を分岐電流信号D21として出力する。分岐異常検出部142は、トラッキングおよび漏電を検知するためのものであり、具体的には、電圧の測定、および電路に設けられた変流器からの検出信号に基づく漏電電流を測定し(例えば、特開2009−081928号公報参照)、その測定結果を分岐異常信号D22として出力する。本開示では、分岐通電信号D2とは、分岐電流信号D21および分岐異常信号D22の両方またはいずれか一方を指すものとする。
分電盤100は、ボックス101a内において、電源側コネクタ151に接続され、停電等により主幹開閉器110への電力供給が遮断されたことを検知し、検知結果に基づいて停電検知信号D3を出力する停電検知部152と、電源側コネクタ151および停電検知部152を介して外部の電源に接続されたバッテリー153と、制御部としての信号処理部154と、バッテリー153の残量が所定の閾値以下であることを示すバッテリー表示部161と、マイク162と、スピーカ163と、装置外部との通信を可能にする通信部164と、タッチパネル200との間で信号の受渡しを行うパネル入出力部165とを備えている。
バッテリー153は、信号処理部154、パネル入出力部165およびタッチパネル200に接続されており、信号処理部154、パネル入出力部165およびタッチパネル200は、バッテリー153を介して外部の電源からの電源供給を受ける。これにより、例えば停電時でも使用者はタッチパネル200の表示の確認や操作をすることができる。なお、信号処理部154は、主幹通電検知部120の負荷装置側とも接続されており、定常時に主幹開閉器110および主幹通電検知部120を介して電源の供給を受けるようにしてもよい。
バッテリー153は、上記のように電源側コネクタ151および停電検知部152を介して外部の電源に接続されている、すなわち、主幹開閉器110の入力側に接続されている。このような構成とすることにより、主幹開閉器110が遮断されている場合においても、外部の電源からの電力が供給されていればバッテリー153は充電される。例えば、長期間にわたって主幹開閉器110が遮断されたとき(例えば、長期間の不在、引っ越し等)でも、主幹開閉器110の操作レバー113を“ON”操作する前に、タッチパネル200による操作やタッチパネル200への表示等を実施することができる。なお、バッテリー153は、信号処理部154およびタッチパネル200のうちのいずれか一方にのみ接続されていてもよいし、他のブロック、例えば、マイク162やスピーカ163に接続して、これらの非常用電源として使用してもよい。
信号処理部154は、分電盤100内の各ブロックを制御する機能を有する。例えば、信号処理部154は、バッテリー153の充電状態を監視し、満充電時の充電停止等の充電制御を行ったり、バッテリー153の残量が所定の閾値未満になった場合およびその後閾値以上の残量に復帰した場合にバッテリー表示部161に表示制御信号を出力したりする。バッテリー表示部161は、例えば磁気反転表示素子を用いて構成され、信号処理部154からの信号を受けて表示を切り替える。このような構成をすることにより、バッテリー表示部161は、信号処理部154からの信号が停止した後でも継続して、バッテリー153の残量が閾値未満であることを表示することができる。
また、例えば、信号処理部154は、主幹通電検知部120の主幹通電信号D1、分岐通電検知部140の分岐通電信号D2および停電検知部152の停電検知信号D3を受けて、主幹通電信号D1、分岐通電信号D2、停電検知信号D3に基づいて、パネル入出力部165を介してタッチパネル200の表示内容の制御を行ったり、スピーカ163からの警報情報等の報知を制御したり、通信部164を介して検知結果の送信を行ったりする。さらに、信号処理部154は、タッチパネル200からの操作入力情報、マイク162からの音声入力情報、分岐通電検知部140の分岐通電信号D2に基づいて、分岐開閉器130の電路の接続をオンオフ制御する、すなわち、分岐リレー131をオンオフ制御する開閉制御信号CS1を分岐リレー131に出力し、分岐開閉器130(分岐リレー131)の電路の開閉を制御する。なお、以降の説明において、信号処理部154がパネル入出力部165を介してタッチパネル200の画面表示等を制御したり、パネル入出力部165を介してタッチパネル200の操作情報を受けたりすることについて、パネル入出力部165を経由する旨の記載を省略する場合がある。
(分電盤の通電状況の診断)
次に、分電盤100の通電状況の診断フロー(例えば短絡、過電流、漏電、過電圧、トラッキング等の異常の有無の診断フロー)について図面を参照しながら詳細に説明する。
<主幹開閉器の初期通電診断>
図5は主幹開閉器110が“ON”操作された場合、すなわち主幹開閉器110の操作レバー113が“ON”操作された場合についての診断フローを示した図である。本実施形態では、主幹開閉器110の定格電流は例えば60Aであるものとし、分岐リレー131の定格電流は例えば20Aであるものとして説明する。なお、この定格電流は、発明の理解を容易にするために例示する値であり、発明の技術的範囲を限定する意図を有するものではない。以降の説明においても、定格電流値、定格電圧値、継続時間等の具体的な数値は、発明の理解を容易にするために例示する値であり、発明の技術的範囲を限定する意図を有するものではない。
まず、主幹開閉器110の操作レバー113が“ON”操作されると、フローはステップSM11からステップSM12に進み、信号処理部154は、後述する“主幹開閉器のON診断”を開始する。そして、“主幹開閉器のON診断”の診断結果に異常がなかった場合、フローはステップSM13からステップSM14に進み、信号処理部154は、タッチパネル200に定常画面を表示させる。このとき、信号処理部154は、タッチパネル200の表示の明るさを明るさ1(定常表示)に設定して(SM15)、処理を終了する。
図15は定常状態におけるタッチパネル200の表示例を示した図である。図15(a)は従来の分電盤の操作レバーと同様なイメージ図を用いて、定常時の各分岐開閉器130の通電状態(ON/OFF状態)を表示した表示例を示しており、図15(b)は、ON状態とOFF状態との間で色を異ならせて表示し、その色の違いを用いて定常時の各分岐開閉器130の通電状態(ON/OFF状態)を表示した表示例を示している。なお、通電状態(ON/OFF状態)の表示は、図15(a),(b)の表示方法に限定されず、各分岐開閉器130の通電状態(ON/OFF状態)が認識可能な表示方法であれば、他の表示方法であってもよい。
なお、タッチパネル200には、図16に示すように、分電盤100の主幹開閉器110や分岐リレー131のオンオフ状態以外の表示をするようにしてもよい。このような表示の切り替えを可能にすることにより、例えば、異常時や主幹開閉器110や分岐リレー131のオンオフ状態設定等の設定時以外は、使用者はテレビやインターネット、写真や動画等を楽しんだり、地図や天気等の情報を検索したりすることができる。図16の表示画面への切り替えは、例えば、ホームボタン104が押された時に画面の切り替えを行う。これにより、異常時や設定時等以外の時間において、タッチパネル200を有効活用することができる。このような分電盤をリビングやキッチン等に配置することにより、普段の生活では分電盤を情報端末として有効活用可能にするとともに、異常時等には使用者が容易に異常状態の確認と主幹開閉器や分岐開閉器の復帰作業をできるようにすることができる。
<主幹開閉器のON診断>
図6は、図5のステップSM12の“主幹開閉器のON診断”の詳細を示したフロー図である。
まず、信号処理部154は、主幹電流測定部121からの主幹電流信号D11に基づいて、主幹開閉器110の通電状態を確認する(SM210)。
主幹開閉器110の通電がない場合(SM210で“通電無”)、信号処理部154は、停電検知部152からの停電検知信号D3に基づいて、一次側(外部の電源から主幹開閉器110までの間)の通電状態を確認する(SM211)。
一次側の通電が確認されない場合(SM211で“通電無”)、信号処理部154は、タッチパネル200に“停電状態”を表示させ(SM212)、その明るさを定常表示である明るさ1よりも明るい明るさ2に設定し(SM213)、“主幹開閉器のON診断”および“主幹開閉器の初期通電診断”の処理を終了する。
一方で、一次側の通電が確認された場合(SM211で“通電有”)、信号処理部154は、タッチパネル200に“主幹異常状態”を表示させ(SM214)、タッチパネル200の明るさを明るさ2に設定し(SM215)、“主幹開閉器のON診断”および“主幹開閉器の初期通電診断”の処理を終了する。このとき、信号処理部154は、主幹開閉器110および主幹通電検知部120を介して電源の供給を受ける。以降の各フロー図においても、特に説明のない場合、信号処理部154は、主幹開閉器110および主幹通電検知部120を介して電源の供給を受ける。なお、信号処理部154が常時バッテリー153から電源の供給を受けるようにしてもよい。また、ステップSM214とステップSM215とは同時に処理してもよい。
次に、ステップSM210において、主幹開閉器110の通電があった場合(SM210で“通電有”)について説明する。図7は、ステップSM210で“通電有”となった場合のフロー図を示しており、分電盤100では、主幹開閉器110の“短絡・過電流診断”、“漏電診断”および“過電圧診断”が並行して実施される。以下では、それぞれの診断について図面を参照しながら詳細に説明する。
−短絡・過電流診断−
まず、主幹開閉器110の“短絡・過電流診断”について詳細に説明する。
信号処理部154は、主幹電流測定部121からの主幹電流信号D11に基づいて、主幹開閉器110の通電電流が所定の閾値(例えば360A、図内では一定値と記載する)以上か否かを判定する(SM221)。主幹開閉器110の通電電流が所定の閾値未満の場合(SM221で“NO”)、フローは後述する“分岐リレーON診断”に進む。
一方で、主幹開閉器110の通電電流が所定の閾値以上の場合(SM221で“YES”)、信号処理部154は、主幹開閉器110の通電電流が過電流領域か否かを判定する、すなわち、主幹電流信号D11で示された電流が所定の閾値(例えば、1200A)未満か否かを判定する(SM222)。
主幹開閉器110の通電電流が過電流領域である場合、すなわち、主幹電流信号D11で示された通電電流値が所定の閾値未満である場合(SM222で“YES”)、信号処理部154は、タッチパネル200に“主幹過電流遮断”を表示させ(SM225)、タッチパネル200の明るさを明るさ2に設定する(SM226)。
上記の“主幹過電流遮断”のタッチパネル200での表示例を図17(a)に示しており、タッチパネル200には、例えば“主幹開閉器の過電流が発生したため、主幹開閉器の電源をOFFしました。”と表示され、タッチパネル200の明るさが明るさ2に設定される。その後、使用者(作業者等を含む。以下同じ。)がタッチパネル200の確認ボタンを押すと、信号処理部154は、タッチパネル200の表示を切り替え、例えば、図17(b)に示すように、主幹開閉器110と分岐リレー131のON/OFF状態が表示された従来の分電盤の操作レバーと同様のイメージ図を表示するとともに、そのイメージ図と重ねて主幹開閉器110が過電流によって遮断された旨を表示する(図17(b)左側の左下がり斜線部分参照)。このとき、タッチパネルの明るさは、明るさ2に保たれる。なお、ステップSM225とステップSM226とは同時に処理してもかまわない。以下の診断においても、異常報知情報の表示と明るさの設定は同時に処理してもかまわない。
このように、主幹開閉器110が過電流で遮断されたことをタッチパネル200に表示することによって、使用者は主幹開閉器110が遮断された原因を容易かつ明確に確認することができる。これにより、使用者は必要な行動、作業等を把握することができる。また、主幹開閉器110が過電流であることを拡大表示し、かつ、その明るさを上げることにより、主幹開閉器110が遮断された原因について、使用者がさらに容易かつ明確に確認できるようにすることができる。なお、上記の例では、図17(a)に示すように拡大表示した後に、使用者の操作を受けて、図17(b)に示すように、操作レバーのイメージ図と重ねて異常状態を表示したが、使用者の操作なしに、例えば一定時間経過後に画面を切り替えるようにしてもよい。また、図17(a)の拡大表示をなくし、図17(b)の表示のみを行うようにしてもよい。また、異常表示部分、すなわち、図17(b)左側の左下がり斜線部分のみを、他の部分と比較して明るく表示することにより、他の情報よりも目立つように強調して表示してもよい。また、図17(a)の表示と図17(b)の表示とを繰り返し切り替えて表示することにより、他の情報よりも目立つように強調して表示してもよい。
再び図7に戻り、ステップSM226の設定終了後、信号処理部154は、“主幹開閉器のON診断”および“主幹開閉器の初期通電診断”の処理を終了する。すなわち、並行処理を実施している主幹開閉器110の“漏電診断”および“過電圧診断”が処理の途中であってもそれらの診断処理を強制的に終了する。
一方で、主幹電流信号D11で示された通電電流値が所定の閾値以上である場合(SM222で“NO”)、信号処理部154は、タッチパネル200に“主幹短絡遮断”を示す表示をさせて(SM223)、タッチパネル200の明るさを明るさ2に設定する(SM224)。タッチパネル200の表示例は、上記の過電流による遮断の場合と同様である(図17(a),(b)参照)。ステップSM224の設定終了後、信号処理部154は、“主幹開閉器のON診断”および“主幹開閉器の初期通電診断”の処理を終了する。すなわち、並行処理を実施している主幹開閉器110の“漏電診断”および“過電圧診断”が処理の途中であってもそれらの診断処理を強制的に終了する。
−漏電診断−
次に、主幹開閉器110の“漏電診断”について説明する。
信号処理部154は、主幹異常検出部122からの主幹異常信号D12に基づいて、主幹開閉器110の漏電電流が所定の閾値(例えば30mA、図内では一定値と記載する)以上か否かを判定する(SM231)。主幹開閉器110の漏電電流が所定の閾値未満の場合(SM231で“NO”)、フローは後述する“分岐リレーON診断”に進む。
一方で、主幹開閉器110の漏電電流が所定の閾値以上である場合(SM231で“YES”)、信号処理部154は、主幹開閉器110の漏電電流が所定の閾値以上である期間が一定時間(例えば、0.1秒)以上継続するか否かを判定する(SM232)。
主幹開閉器110の漏電電流が所定の閾値以上である期間が一定時間以上継続した場合(SM232で“YES”)、信号処理部154は、タッチパネル200に“主幹漏電遮断”を示す表示をさせて(SM233)、タッチパネル200の明るさを明るさ2に設定する(SM234)。タッチパネル200の表示例は、上述の“短絡・過電流遮断”の場合と同様である(図17(a),(b)参照)。ステップSM234の設定終了後、信号処理部154は、“主幹開閉器のON診断”および“主幹開閉器の初期通電診断”の処理を終了する。すなわち、並行処理を実施している主幹開閉器110の“短絡・過電流診断”および“過電圧診断”の処理が途中であってもそれらの診断処理を強制的に終了する。
一方で、主幹開閉器110の漏電電流が所定の閾値以上である期間が一定時間未満の場合、すなわち、主幹開閉器110の漏電電流が一定時間未満で所定の閾値未満となった場合(SM232で“NO”)、フローは後述する“分岐リレーON診断”に進む。
−過電圧診断−
次に、主幹開閉器110の“過電圧診断”について説明する。
信号処理部154は、主幹異常検出部122からの主幹異常信号D12に基づいて、主幹開閉器110の電圧が所定の閾値(例えば135V、図内では一定値と記載する)以上か否かを判定する(SM241)。主幹開閉器110の電圧が所定の閾値未満の場合(SM241で“NO”)、フローは後述する“分岐リレーON診断”に進む。
一方で、主幹開閉器110の電圧が所定の閾値以上である場合(SM241で“YES”)、信号処理部154は、主幹開閉器110の電圧が所定の閾値以上である期間が一定時間(例えば、1秒)以上継続するか否かを判定する(SM242)。
主幹開閉器110の電圧が所定の閾値以上である期間が一定時間以上継続した場合(SM242で“YES”)、信号処理部154は、タッチパネル200に“主幹過電圧遮断”を示す表示をさせて(SM243)、タッチパネル200の明るさを明るさ2に設定する(SM244)。タッチパネル200の表示例は、上述の“短絡・過電流遮断”の場合と同様である(図17(a),(b)参照)。ステップSM244の設定終了後、信号処理部154は、“主幹開閉器のON診断”および“主幹開閉器の初期通電診断”の処理を終了する。すなわち、並行処理を実施している主幹開閉器110の“短絡・過電流診断”および“漏電診断”が処理の途中であってもそれらの診断処理を強制的に終了する。
一方で、主幹開閉器110の電圧が所定の閾値以上である期間が一定時間未満の場合、すなわち、主幹開閉器110の電圧が一定時間未満で所定の閾値未満となった場合(SM242で“NO”)、フローは後述する“分岐リレーのON診断”に進む。
上述のとおり、“主幹開閉器のON診断”において、例えば、短絡、過電流、漏電、過電圧、トラッキング等の異常がなかった場合、フローは“分岐リレーのON診断”に進む。具体的には、分岐リレー接続部123に接続された分岐開閉器130(分岐リレー131)がN個(Nは2以上の整数)である場合、N個の分岐リレー131の各々に対して“分岐リレーのON診断”が並列に実行される(SS21〜SS2N)。図8は、図7のステップSS21〜SS2Nの“分岐リレーのON診断”の詳細を示したフロー図であり、N個の分岐リレー131のうちの1つ(説明の便宜上、第1分岐リレー131と称する)についての診断フローを示している。なお、他の分岐リレー131(説明の便宜上、第2〜第N分岐リレーと称する)についても、診断フローは同様である。
<分岐リレーのON診断>
まず、信号処理部154は、分岐電流測定部141からの分岐電流信号D21に基づいて第1分岐リレー131の通電状態を確認する(SS510)。第1分岐リレー131の通電がない場合(SS510で“通電無”)、信号処理部154は、タッチパネル200に“第1分岐リレーのOFF表示”をさせる(SS511)。具体的には、例えば、第1分岐リレー131が“トイレ”の分岐リレーである場合、“トイレ”に対応する分岐リレーの表示を“OFF”表示に切り替える(図15参照)。このとき、信号処理部154は、タッチパネル200の明るさを変更しない。ステップSS511の表示設定後、フローは、ステップSM13(診断結果異常なし)に進む。
一方で、ステップSS510において、第1分岐リレー131の通電があった場合(SS510で“通電有”)、第1分岐リレー131の“短絡・過電流診断”、“漏電診断”および“トラッキング診断”が並行して実施される。以下では、それぞれの診断について図面を参照しながら詳細に説明する。
−短絡・過電流診断−
まず、第1分岐リレー131の“短絡・過電流診断”について詳細に説明する。
信号処理部154は、分岐電流測定部141からの分岐電流信号D21に基づいて、第1分岐リレー131の通電電流が所定の閾値(例えば120A、図内では一定値と記載する)以上か否かを判定する(SS521)。第1分岐リレー131の通電電流が所定の閾値未満の場合(SS521で“NO”)、信号処理部154は、タッチパネル200に“第1分岐リレーのON表示”をさせる(SS550)。具体的には、例えば、第1分岐リレー131が“台所”の分岐リレーである場合、“台所”に対応する分岐リレーの表示を“ON”表示に切り替える(図15参照)。このとき、信号処理部154は、タッチパネル200の明るさを変更しない。ステップSS550の表示設定後、フローは、ステップSM13(診断結果異常なし)に進む。
一方で、第1分岐リレー131の通電電流が所定の閾値以上の場合(SS521で“YES”)、信号処理部154は、第1分岐リレー131の通電電流が過電流領域か否かを判定する、すなわち、分岐電流信号D21で示された電流が所定の閾値(例えば、400A)未満か否かを判定する(SS522)。
第1分岐リレー131の通電電流が過電流領域である場合、すなわち、分岐電流信号D21で示された通電電流値が所定の閾値未満である場合(SS522で“YES”)、信号処理部154は、開閉制御信号CS1により第1分岐リレー131を“OFF”制御する(SS526)。そして、信号処理部154は、タッチパネル200に“第1分岐リレー過電流遮断”を表示させ(SS527)、タッチパネル200の明るさを明るさ2に設定する(SS528)。上記の“第1分岐リレー過電流遮断”のタッチパネル200での表示例を図18(a)に示す。図18(a)は、第1分岐リレー131が“トイレ”の分岐リレーである場合の例を示しており、タッチパネル200には、例えばトイレに対応する分岐リレーの操作レバーのイメージ図が拡大表示され、タッチパネル200の明るさが明るさ2に設定される。その後、使用者がタッチパネル200の確認ボタンを押すと、信号処理部154は、タッチパネル200の表示を切り替え、例えば、図18(b)に示すように、分岐リレー131のON/OFF状態が表示された従来の分電盤の操作レバーと同様のイメージ図を表示するとともに、このイメージ図と重ねて“トイレ”の分岐リレーが過電流によって遮断された旨を表示する。このとき、タッチパネルの明るさは、明るさ2に保たれる。
このように、第1分岐リレー131が過電流で遮断されたことをタッチパネル200に表示することによって、使用者はN個の分岐リレー131のうち、第1分岐リレー131が遮断されたことを容易かつ明確に確認することができるとともに、遮断原因についても容易かつ明確に確認することできる。これにより、使用者は必要な行動、作業等を把握することができる。具体的には、例えば、使用者が住居の居住者だった場合、自身で解決可能な異常なのか、あるいは電力会社や電気工事士等の有資格者等に通報を要する異常なのかを瞬時に把握することができる。
また、第1分岐リレー131が過電流であることを拡大表示し、かつ、その明るさを上げることにより、第1分岐リレー131が遮断されたことおよびその原因について、使用者がさらに容易かつ明確に確認できるようにすることができる。なお、図18(a)に示すように、操作レバーの拡大表示時に、遮断原因である“過電流”という表示と併せて、実際の漏電電流値(例えば、10mA)と表示するようにしてもよい。
前記ステップSS528の設定終了後、信号処理部154は、第1分岐リレー131の“分岐リレーのON診断”を終了する。すなわち、並行処理を実施している第1分岐リレー131に係る“分岐リレーのON診断”の“漏電診断”および“トラッキング診断”が処理の途中であってもそれらの診断処理を強制的に終了する。一方で、“主幹開閉器のON診断”、“主幹開閉器の初期通電診断”、および第2〜第N分岐リレー131に係る“分岐リレーのON診断”の診断は継続する。
一方で、分岐電流信号D21で示された通電電流値が所定の閾値以上である場合(SS522で“NO”)、信号処理部154は、開閉制御信号CS1により第1分岐リレー131を“OFF”制御する(SS523)。そして、信号処理部154は、タッチパネル200に“第1分岐リレー短絡遮断”を示す表示をさせて(SS524)、タッチパネル200の明るさを明るさ2に設定する(SS525)。タッチパネル200の表示例は、上記の過電流による遮断の場合と同様である(図18(a),(b)参照)。ステップSS525の設定終了後、信号処理部154は、第1分岐リレー131の“分岐リレーのON診断”を終了する。
−漏電診断−
次に、第1分岐リレー131の“漏電診断”について説明する。
信号処理部154は、分岐異常検出部142からの分岐異常信号D22に基づいて、第1分岐リレー131の漏電電流が所定の閾値(例えば15mA、図内では一定値と記載する)以上か否かを判定する(SS531)。第1分岐リレー131の漏電電流が所定の閾値未満の場合(SS531で“NO”)、信号処理部154は、タッチパネル200に“第1分岐リレーのON表示”をさせる(SS550)。
一方で、第1分岐リレー131の漏電電流が所定の閾値以上である場合(SS531で“YES”)、信号処理部154は、第1分岐リレー131の漏電電流が所定の閾値以上である期間が一定時間(例えば、0.1秒)以上継続するか否かを判定する(SS532)。第1分岐リレー131の漏電電流が所定の閾値以上である期間が一定時間未満の場合(SS532で“NO”)、信号処理部154は、タッチパネル200に“第1分岐リレーのON表示”をさせる(SS550)。
第1分岐リレー131の漏電電流が所定の閾値以上である期間が一定時間以上継続した場合(SS532で“YES”)、信号処理部154は、開閉制御信号CS1により第1分岐リレー131を“OFF”制御する(SS533)。そして、信号処理部154は、タッチパネル200に“第1分岐リレー漏電遮断”を表示させ(SS534)、タッチパネル200の明るさを明るさ2に設定する(SS535)。タッチパネル200の表示例は、上述の第1分岐リレー131の“短絡・過電流診断”の場合と同様である(図18(a),(b)参照)。ステップSS535の設定終了後、信号処理部154は、第1分岐リレー131の“分岐リレーのON診断”を終了する。“分岐リレーのON診断”後の処理は、上述の第1分岐リレー131の“短絡・過電流診断”の場合と同様である。
−トラッキング診断−
次に、第1分岐リレー131の“トラッキング診断”について説明する。トラッキング診断とは、トラッキング発生の有無を検知するためのものであり、具体的な回路構成、診断方法等は、例えば特開2001−103657号公報に開示されている。
まず、信号処理部154は、分岐異常検出部142からの分岐異常信号D22に基づいて、第1分岐リレー131におけるトラッキング発生の有無を判定する(SS541)。第1分岐リレー131にトラッキングが発生していない場合(SS541で“NO”)、信号処理部154は、タッチパネル200に“第1分岐リレーのON表示”をさせる(SS550)。
一方で、第1分岐リレー131にトラッキングが発生している場合(SS541で“YES”)、信号処理部154は、開閉制御信号CS1により第1分岐リレー131を“OFF”制御する(SS542)。そして、信号処理部154は、タッチパネル200に“第1分岐リレートラッキング遮断”を表示させ(SS543)、タッチパネル200の明るさを明るさ2に設定する(SS544)。タッチパネル200の表示例は、上述の第1分岐リレー131の“短絡・過電流診断”の場合と同様である(図18(a),(b)参照)。ステップSS544の設定終了後、信号処理部154は、第1分岐リレー131の“分岐リレーのON診断”を終了する。“分岐リレーのON診断”後の処理は、上述の第1分岐リレー131の“短絡・過電流診断”の場合と同様である。
なお、各分岐リレー131の“分岐リレーのON診断”は、各々の分岐リレーがON操作される毎に実施される。具体的には、例えば、使用者がタッチパネル200を介して分岐リレーのON操作をしたとき、“分岐リレーのON診断”が実行される。図9(a)は、分岐リレーがON操作されたときの“分岐リレーのON診断”のフローを示した図である。
図9(a)に示すように、第1分岐リレー131がON操作されたとき(SS11)、信号処理部154は、第1分岐リレー131について、“分岐リレーのON診断”(SS21)を行う。具体的なフローは、図8に示した“分岐リレーのON診断”と同じである。そして、この“分岐リレーのON診断”(SS21)で異常が確認されなかった場合、フローはステップSSD1に進み、信号処理部154は、タッチパネル200に“第1分岐リレーのON表示”をさせて、処理を終了する。一方で、“分岐リレーのON診断”の結果、異常があった場合は、図8のフローに基づき、その異常内容がタッチパネル200に表示される。第2〜第N分岐リレー131がON操作された場合(SS12〜SS1N)においても、第1分岐リレー131の場合と同様に、“分岐リレーのON診断”(SS22〜SS2N)が行われ、異常が確認されなかった場合は、ON操作された分岐リレー131について“分岐リレーのON表示”がされ(SSD1)、その後処理が終了する。このとき、信号処理部154は、タッチパネル200の明るさを変更しない。一方で、“分岐リレーのON診断”の結果、異常があった場合は、図8のフローに基づき、その異常内容がタッチパネル200に表示される。
図9(b)は、分岐リレーがOFF操作されたときのフローを示した図である。図9(b)に示すように、第1分岐リレー131がOFF操作されたとき(SS31)、信号処理部154は、開閉制御信号CS1により第1分岐リレー131を“OFF”制御する(SS41)。そして、信号処理部154は、タッチパネル200に“第1分岐リレーのOFF表示”をさせて(SSD2)、処理を終了する。このとき、信号処理部154は、タッチパネル200の明るさを変更しない。第2〜第N分岐リレー131がOFF操作された場合(SS32〜SS3N)においても、第1分岐リレー131の場合と同様に、信号処理部154は、開閉制御信号CS1によりOFF操作された分岐リレー131を“OFF”制御する(SS42〜SS4N)。そして、信号処理部154は、タッチパネル200にOFF操作された分岐リレー131についての“分岐リレーのOFF表示”をさせて(SSD2)、処理を終了する。このとき、信号処理部154は、タッチパネル200の明るさを変更しない。
<定常時通電診断>
図10〜図13は主幹開閉器110および分岐開閉器130(分岐リレー131)の定常時診断(例えば短絡、過電流、漏電、過電圧、トラッキング等の異常の有無の診断)についての診断フローを示した図である。定常時診断は、主幹開閉器110および分岐リレー131の定常動作時に係る診断であり、主幹開閉器110がON操作された後は、常時実施される診断である。図10〜図13に示すように、定常時診断では、主幹開閉器110の各診断(通電診断、短絡診断、過電流診断、漏電診断、過電圧診断)と、第1〜第N分岐リレー131の各々の診断とが並行して実施される。
−主幹開閉器の通電診断−
図10に示すように、ステップSM300において“定常時通電診断”が開始されると、分電盤100では、主幹電流測定部121からの主幹電流信号D11に基づいて主幹開閉器110の通電状態が確認される(SM310)。ステップSM310において、主幹開閉器110の通電があった場合(SM310で“通電有”)、フローはステップSM310の判定に戻り、主幹開閉器110の通電状態を確認する。換言すると、ステップSM310で“通電有”の期間は、分電盤100ではステップSM310の判定が続けられる。
一方で、主幹開閉器110の通電がない場合(SM310で“通電無”)、分電盤100では、停電検知部152からの停電検知信号D3に基づいて、一次側(外部の電源から主幹開閉器110までの間)の通電が確認される(SM211)。以降、ステップSM211〜SM215までの診断フローは、“主幹開閉器の初期通電診断”と同じである。
−主幹開閉器の短絡診断−
次に、主幹開閉器110の短絡診断について詳細に説明する。
図11に示すように、信号処理部154は、主幹電流測定部121からの主幹電流信号D11に基づいて、短絡電流が検出されるか否か、すなわち、主幹開閉器110の通電電流が所定の閾値(例えば5kA、図内では短絡電流検出と記載する)以上か否かを判定する(SM411)。主幹開閉器110の短絡電流が所定の閾値未満の場合(SM411で“NO”)、フローはステップSM411の判定に戻り、信号処理部154は、主幹開閉器110の通電電流が所定の閾値以上か否かを判定する。換言すると、SM411で“NO”の期間、すなわち、短絡電流が検出されていない期間は、信号処理部154は、ステップSM411の判定を続ける。
一方で、主幹電流信号D11で示された通電電流値が所定の閾値以上である場合(SM411で“YES”)、以降のフローは、“主幹開閉器の初期通電診断”のステップSM223およびステップSM224(図7参照)と同じである。
−主幹開閉器の過電流診断−
次に、主幹開閉器110の過電流診断について詳細に説明する。
図11に示すように、信号処理部154は、主幹電流測定部121からの主幹電流信号D11に基づいて、主幹開閉器110の通電電流が所定の閾値(例えば定格電流の125%に相当する75A、図内では一定値と記載する)以上か否かを判定する(SM421)。主幹開閉器110の通電電流が所定の閾値未満の場合(SM421で“NO”)、フローはステップSM421の判定に戻り、主幹開閉器110の通電電流が所定の閾値以上か否かを判定する。換言すると、SM421で“NO”の期間、すなわち、過電流が検出されていない期間は、信号処理部154は、ステップSM421の判定を続ける。
一方で、主幹電流信号D11で示された通電電流値が所定の閾値以上である場合において(SM421で“YES”)、後述するピークカット機能が“OFF”のとき(SM422で“NO”)、信号処理部154は、主幹開閉器110の通電電流が所定の閾値以上である期間が一定時間以上継続するか否かを判定する(SM423)。本実施形態において、上記の所定の閾値以上の通電電流が一定時間以上の期間継続するとは、例えば、定格電流の125%に相当する75A以上の通電電流が2時間以上継続すること、および定格電流の200%に相当する120A以上の通電電流が6分以上継続することのうちの少なくともいずれか一方が発生することである。
ステップSM423において、主幹開閉器110の通電電流が所定の閾値以上である期間が一定時間以上継続した場合(SM423で“YES”)、以降のフローは、“主幹開閉器の初期通電診断”のステップSM225およびステップSM226(図7参照)と同じである。一方で、主幹開閉器110の通電電流が所定の閾値以上である期間が一定時間以上継続しなかった場合(SM423で“NO”)、フローはステップSM421の判定に戻る。
また、主幹電流信号D11で示された通電電流値が所定の閾値以上である場合において(SM421で“YES”)、ピークカット機能が“ON”のとき(SM422で“YES”)、信号処理部154は、使用者によるピークカット動作が設定されているか否かを判定する(SM427)。ピークカット動作が設定されている場合(SM427で“YES”)、フローは後述するステップSM428のピークカット処理に進む。一方で、ピークカット動作が設定されていない場合(SM427で“NO”)、フローはステップSM423に進む。本開示において、ピークカット機能とは、主幹開閉器110の通電電流が、所定の電流を超えた場合に、信号処理部154が予め設けられた分岐リレー131を遮断し、主幹開閉器110が遮断されることを防止する機能である。所定の電流は、工場出荷時に定められる電流であってもよいし、使用者により予め定められる電流であってもよい。また、可変可能としてもよい。また、分岐リレー131を遮断する順番は、予め定められた分岐リレー131に優先順位を設定してこれに基づいて遮断してもよい。なお、所定の電流は、過電流が生じない電流範囲において予め定めておいてもよい。
図14(a)は使用者によるピークカット動作設定のフローを示した図である。
図14(a)に示すように、例えば、使用者がタッチパネル200上でピークカット設定を開始する操作をした場合、フローはステップSP11からステップSP12に進み、信号処理部154は、ピークカット電流値の設定を行う。具体的には、例えば、信号処理部154は、タッチパネル200にピークカット電流値の入力を促す表示を行い、使用者からのピーク電流値の設定操作を受ける。その設定操作を受けた後、信号処理部154は、設定された電流値が主幹定格電流以下の値であるか否かを判定する(SP13)。設定された電流値が主幹定格電流以下である場合、フローはステップSP15に進み、信号処理部154は、分岐リレー131の遮断優先順位設定を行う。具体的には、例えば、信号処理部154は、タッチパネル200に分岐リレー131のM個(M>0かつM≦Nの整数)の遮断優先順位の入力を促す表示を行い、使用者からの設定操作を受ける。その設定操作を受けた後、信号処理部154は、設定値を記憶する等の設定動作を行い(SP16)、その設定完了後、処理を終了する。
図14(b)はステップSM428のピークカット処理のフローを示した図である。なお、本実施形態では、ステップSP15で設定された優先順位は2個(M=2)であり、優先順位1位の分岐リレーが第Q分岐リレー131(0<Q≦Nの整数)、優先順位2位の分岐リレーが第R分岐リレー131(0<R≦N、かつ、R≠Qの整数)であるものとする。
図14(b)に示すように、信号処理部154は、主幹電流測定部121からの主幹電流信号D11に基づいて、主幹開閉器110の通電電流値を読み取り(SP21)、その読み取った電流値(以下、単に読取電流値ともいう)が設定電流値以上か否かを判定する(SP22)。読取電流値が設定電流値未満の場合(SP21で“NO”)、フローはステップSP21の判定に戻り、信号処理部154は、読取電流値が設定電流値以上か否かを判定する。
一方で、読取電流値が設定電流値以上の場合(SP21で“YES”)、信号処理部154は、ステップSP15で設定された優先順位に基づき、優先順位が1位の第Q分岐リレー131を“OFF”制御する(SP23)とともに、OFF操作された第Q分岐リレー131についての“分岐リレーのOFF表示”をさせて(SP24)、フローはステップSP25に進む。ステップSP25では、信号処理部154は、主幹開閉器110の通電電流値を再度読み取り、読取電流値が設定電流値以上か否かを判定する。
読取電流値が設定電流値以上の場合(SP25で“YES”)、信号処理部154は、ピークカット処理を終了し、フローはSM421に戻る。
一方で、読取電流値が設定電流値未満の場合(SP25で“NO”)、フローはステップSP26,SP27を介してステップSP23に戻り、信号処理部154は、ステップSP15で設定された優先順位に基づき、優先順位が2位の第R分岐リレー131を“OFF”制御するとともに、OFF操作された第R分岐リレー131についての“分岐リレーのOFF表示”をさせて(SP24)、フローはステップSP25に進む。
このように、信号処理部154は、ステップSP23からステップSP27までのフローを、読取電流値が設定電流値以上になる、あるいは、Mが“0”になるまで繰り返し、Mが“0”になった後、ピークカット処理を終了する(フローはSM421に戻る)。
−主幹開閉器の漏電診断−
次に、主幹開閉器110の漏電診断について説明する。
図12に示すように、この“主幹開閉器の漏電診断”において、“主幹開閉器の初期通電診断”(図7参照)と異なるのは、ステップSM231の判定結果が“NO”である場合、およびステップSM232の判定結果が“NO”である場合に、フローがステップSM231の判定に戻る点である。
−主幹開閉器の過電圧診断−
次に、主幹開閉器110の“過電圧診断”について説明する。
図12に示すように、この“過電圧診断”において、“主幹開閉器の初期通電診断”(図7参照)と異なるのは、ステップSM241で“NO”の場合、およびステップSM242で“NO”の場合に、フローがステップSM241の判定に戻る点である。
−分岐リレーの通電診断−
次に、分岐リレー131の通電診断について説明する。ここでは分岐リレー131の通電診断として、第1分岐リレー131の通電診断について説明するが、第2〜第N分岐リレー131についても並行して同様の通電診断が実施される。以下、“分岐リレーの短絡診断”、“分岐リレーの過電流診断”、“分岐リレーの漏電診断”および“分岐リレーのトラッキング診断”においても同様とする。
図13に示すように、信号処理部154は、分岐電流測定部141からの分岐電流信号D21に基づいて第1分岐リレー131の通電状態を確認する(SS610)。第1分岐リレー131の通電がない場合(SS610で“通電無”)、信号処理部154は、タッチパネル200に“第1分岐リレーのOFF表示”をさせ(SS612)、第1分岐リレー131の診断を終了する。一方で、第1分岐リレー131の通電があった場合(SS610で“通電有”)、第1分岐リレー131の“短絡診断”、“過電流診断”、“漏電診断”および“トラッキング診断”が並行して実施される。以下では、それぞれの診断について図面を参照しながら詳細に説明する。
−分岐リレーの短絡診断−
次に、第1分岐リレー131の短絡診断について詳細に説明する。
図13に示すように、信号処理部154は、分岐電流測定部141からの分岐電流信号D21に基づいて、短絡電流が検出されるか否か、すなわち、第1分岐リレー131の通電電流が所定の閾値(例えば2.5kA、図内では短絡電流検出と記載する)以上か否かを判定する(SS611)。第1分岐リレー131の通電電流が所定の閾値未満の場合(SS611で“NO”)、フローはステップSS611の判定に戻り、第1分岐リレー131の通電電流が所定の閾値以上か否かを判定する。換言すると、SS611で“NO”の期間、すなわち、短絡電流が検出されていない期間は、信号処理部154は、ステップSS611の判定を続ける。
一方で、分岐電流信号D21で示された通電電流値が所定の閾値以上である場合(SS611で“YES”)、以降のフローは、“分岐リレーのON診断”(図8参照)のステップSS523〜SS525と同じである。
−分岐リレーの過電流診断−
次に、第1分岐リレー131の過電流診断について詳細に説明する。
図13に示すように、信号処理部154は、分岐電流測定部141からの分岐電流信号D21に基づいて、第1分岐リレー131の通電電流が所定の閾値(例えば定格電流の125%に相当する25A、図内では一定値と記載する)以上か否かを判定する(SS621)。第1分岐リレー131の通電電流が所定の閾値未満の場合(SS621で“NO”)、フローはステップSS621の判定に戻り、第1分岐リレー131の通電電流が所定の閾値以上か否かを判定する。換言すると、SS621で“NO”の期間、すなわち、過電流が検出されていない期間は、信号処理部154は、ステップSS621の判定を続ける。
一方で、分岐電流信号D21で示された通電電流値が所定の閾値以上である場合(SS621で“YES”)、信号処理部154は、第1分岐リレー131の通電電流が所定の閾値以上である期間が一定時間以上継続するか否かを判定する(SS622)。本実施形態において、上記の所定の閾値以上の通電電流が一定時間以上の期間継続するとは、例えば、定格電流の125%に相当する25A以上の通電電流が2時間以上継続すること、および定格電流の200%に相当する40A以上の通電電流が2分以上継続することのうちの少なくともいずれか一方が発生することである。
ステップSS622において、第1分岐リレー131の通電電流が所定の閾値以上である期間が一定時間以上継続した場合(SS622で“YES”)、以降のフローは、“分岐リレーのON診断”(図8参照)のステップSS526〜SS528と同じである。一方で、第1分岐リレー131の通電電流が所定の閾値以上である期間が一定時間以上継続しなかった場合(SS622で“NO”)、フローはステップSS621の判定に戻る。
−分岐リレーの漏電診断−
次に、第1分岐リレー131の漏電診断について詳細に説明する。
図13に示すように、この“分岐リレーの漏電診断”において、“分岐リレーのON診断”(図8参照)と異なるのは、ステップSS531の判定結果が“NO”である場合、およびステップSS532の判定結果が“NO”である場合に、フローがステップSS531の判定に戻る点である。
−分岐リレーのトラッキング診断−
次に、第1分岐リレー131のトラッキング診断について詳細に説明する。
図13に示すように、この“トラッキング診断”において、“分岐リレーのON診断”(図8参照)と異なるのは、ステップSS541で“NO”の場合に、フローがステップSS541の判定に戻る点である。
(その他の実施形態)
図19は、分岐リレー131として、半導体リレーを用い、この分岐リレー131および分岐通電検知部140(分岐電流測定部141、分岐異常検出部142)をプリント基板166上に実装した例を示している。このものでは、各分岐異常検出部142の負荷側配線は、プリント基板166に一体的に設けられたコネクタ167に接続される。そして、このコネクタ167と負荷側コネクタ156とが、例えばケーブル168等によって接続される。このような構成とすることにより、分電盤100のサイズをさらに小型化することができる。なお、図19において、コネクタ167を省き、プリント基板166を拡張して、プリント基板166が直接負荷側コネクタ156に接続されるようにしてもよい。また、分岐リレー131および分岐通電検知部140に加えて、例えば、信号処理部154、通信部164、パネル入出力部165等をプリント基板166上に実装してもよい。
また、図19に示すように、分電盤100は、主幹開閉器110および停電検知部152の入力側と電源側コネクタ151との間に配設され、信号処理部154からの制御を受けて、外部の電源と主幹開閉器110および停電検知部152とを接続する電路の接続/遮断をオンオフ制御可能に構成された切替部169をさらに備えていてもよい。信号処理部154は、所定の外部トリガを受けたとき、切替部169をオフ制御して、外部の電源と主幹開閉器110および停電検知部152とを接続する電路を遮断する、すなわち、分電盤100を外部の電源(例えば商用電源)と切り離す。上記の所定のトリガは、例えば商用電源が停電したときに受けるトリガである。これにより、例えば、分電盤100が自家発電装置のような他の電源に接続されていた場合において、商用電源が停電したとき、自家発電電力が商用電源側に逆潮流しないようにすることができる。すなわち、分電盤100の単独運転を防止することができる。なお、切替部169は、主幹開閉器110と電源側コネクタ151とを接続する配線と、停電検知部152の入力側との間に配設されていてもよい(図示しない)。このように切替部169を配設した場合においても、停電時の逆潮流を防止し、分電盤100の単独運転を防止することができる。
また、上述の実施形態では、主幹開閉器110の遮断時のタッチパネル200での表示例を図17(a)であるものとし、分岐リレー131の遮断時のタッチパネル200での表示例を図18(a)であるものとしたが、これに限定されない。例えば、主幹開閉器110の遮断時に図18(a)のように表示してもよいし、分岐リレー131の遮断時に図17(a)のように表示してもよい。
また、上述の実施形態では、分電盤100が分岐開閉器130と分岐通電検知部140とを備える例について説明したが、分岐通電検知部140を省いて、各分岐開閉器130が分岐通電検知部140の機能を包含するようにしてもよい。また、信号処理部154、通信部164、およびパネル入出力部165の機能を統合し、これらの機能を包含する1つの制御部を設けてもよい。