JP6986458B2 - ケミカルルーピングシステム及びケミカルルーピング法 - Google Patents

ケミカルルーピングシステム及びケミカルルーピング法 Download PDF

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本発明は、ケミカルルーピングシステム及びケミカルルーピング法に関するものである。
近年、炭化水素類を含む燃料の燃焼において、ケミカルルーピング(Chemical Looping)と呼ばれる技術が注目されている。
ケミカルルーピングは、酸素キャリア金属粒子と呼ばれる金属酸化物を酸素源として複数の反応塔間で循環させ、燃焼反応を金属の酸化反応及び金属酸化物の還元反応に分割して行い、熱エネルギーや有用ガスを得ることのできるエネルギー変換システムである。
例えば、特許文献1には、燃料反応塔(還元塔)と酸化塔を備えたケミカルループ式燃焼装置とそれを用いた窒素及び水素の製造方法が記載されている。
特開2013−164235号公報
空気による酸素キャリア金属粒子の酸化反応を促す酸化塔と、燃料の燃焼反応及び酸素キャリア金属粒子の還元を促す燃料反応塔とを備えたケミカルループ燃焼(CLC:Chemical Looping Combustion)において、酸化塔では、空気中の酸素が酸素キャリア金属粒子との反応により消費され、通常の空気よりも窒素濃度の高いガスが回収できる。一方、燃料反応塔では、空気と燃料が直接反応しないことから、燃料の燃焼によって発生する排ガス中に空気由来の窒素が混在せず、高純度の二酸化炭素の回収が可能となる。そのため、ケミカルルーピングは、二酸化炭素を分離・回収して貯留する技術(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)や貯留した二酸化炭素を利活用する技術(CCU:Carbon dioxide Capture and Utilization)に利用することができる。
さらに、燃料反応塔の後段に水蒸気を供給する水素生成塔を備え、水蒸気中の酸素が酸素キャリア金属粒子との酸化反応により消費されることで、高純度の水素を生成する技術としても利用可能である。
ここで、CCSやCCUを前提に考えた場合、燃料反応塔においては完全燃焼反応であることが必須となる。燃料反応塔における完全燃焼のためには、燃料に対して酸化された酸素キャリア金属粒子を過剰に添加する必要がある。しかしながら、酸化された酸素キャリア金属粒子を過剰に燃料反応塔に添加した場合、酸素キャリア金属粒子が還元されないまま多量に存在し、これにより水素生成塔での反応効率が低下するという問題がある。一方、水素生成を伴わないCLCにおいては、燃料反応塔で還元の進行した酸素キャリア金属粒子を酸化塔に添加すると、酸化塔で発生する発熱量が大きくなり過ぎるため、シンタリング(活性低下)を引き起こすという問題が生じる。
したがって、燃料反応塔での反応後の酸素キャリア金属粒子を、次の反応塔に添加する前に、酸化数に応じて選択・分離することが必要となる。
本発明の課題は、燃料反応塔での反応後の酸素キャリア金属粒子を比較的容易なプロセスによって選択・分離し、酸素キャリア金属粒子を効率よく循環させることで、反応系全体として効率の高いケミカルルーピングシステム及びケミカルルーピング法を提供することである。
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、酸素キャリア金属粒子の酸化数によってそれぞれの磁性が異なることに着目し、磁気分離により酸素キャリア金属粒子を選択・分離することにより、ケミカルルーピングシステム内の各反応塔における反応効率を高め、反応系全体としての効率が向上することを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のケミカルルーピングシステム及びケミカルルーピング法である。
上記課題を解決するための本発明のケミカルルーピングシステムは、酸素キャリア金属粒子と燃料とを反応させる燃料反応部と、燃料反応部で生じた反応後の酸素キャリア金属粒子を磁力の違いにより分離する磁気分離部と、を備えるという特徴を有する。
本発明のケミカルルーピングシステムは、反応後の酸素キャリア金属粒子を比較的簡易な手段で分離することにより、反応に必要な酸化還元状態を有する酸素キャリア金属粒子の含有率を上げた状態で、酸素キャリア金属粒子を各反応塔に供給することができる。これにより、各反応の効率を向上させるとともに、酸素キャリア金属粒子の活性低下を防止して有効に利用することが可能となる。
また、本発明のケミカルルーピングシステムの一実施態様としては、燃料反応部の後段に、温度調整機構を設け、温度調整機構は、温度測定部と温度制御部とを備えるという特徴を有する。
この特徴によれば、酸素キャリア金属粒子において温度に応じて磁性が変わる物質に対し、磁気分離に適した温度に制御することができる。これにより、酸素キャリア金属粒子の選択・分離をより確実に行うことが可能となる。
また、本発明のケミカルルーピングシステムの一実施態様としては、磁気分離部は、永久磁石を備えるという特徴を有する。
この特徴によれば、簡易な構造及びプロセスで、酸素キャリア金属粒子を分離することが可能となる。
また、本発明のケミカルルーピングシステムの一実施態様としては、磁気分離部は、コイルに電流を流す電磁石を備えるという特徴を有する。
この特徴によれば、簡易なプロセスで、酸素キャリア金属粒子を分離するための磁力の制御が可能となる。
また、上記課題を解決するための本発明のケミカルルーピング法は、酸素キャリア金属粒子と燃料とを反応させる燃料反応工程と、燃料反応工程で生じた反応後の前記酸素キャリア金属粒子を磁力の違いにより分離する磁気分離工程と、を含むという特徴を有する。
本発明のケミカルルーピング法は、反応後の酸素キャリア金属粒子を比較的簡易な手段で分離することができ、反応に必要な酸化還元状態を有する酸素キャリア金属粒子を多く含む酸素キャリア金属粒子を用いて、各反応塔での反応を行うことができる。これにより、各反応の効率を向上させるとともに、酸素キャリア金属粒子の活性低下を防止することが可能となり、所望の反応生成物を効率よく得ることができる。
本発明によると、燃料反応塔での反応後の酸素キャリア金属粒子を比較的容易なプロセスによって選択・分離し、酸素キャリア金属粒子を効率よく循環させることで、反応系全体として効率の高いケミカルルーピングシステム及びケミカルルーピング法を提供することができる。
本発明の第1の実施態様のケミカルルーピングシステムの構成を示す概略説明図である。 本発明の第1の実施態様の燃料反応部における反応について、炭素又は水素を含む生成物に関する化学平衡計算の結果である。(A)Feの初期mol数を2kmol、CHの初期mol数を1kmolとしたものである。(B)Feの初期mol数を10kmol、CHの初期mol数を1kmolとしたものである。 本発明の第1の実施態様の燃料反応部における反応について、鉄を含む生成物に関する化学平衡計算の結果である。(A)Feの初期mol数を2kmol、CHの初期mol数を1kmolとしたものである。(B)Feの初期mol数を10kmol、CHの初期mol数を1kmolとしたものである。 本発明の第2の実施態様のケミカルルーピングシステムの構成を示す概略説明図である。 本発明の第3の実施態様のケミカルルーピングシステムの構成を示す概略説明図である。
以下、図面を参照しつつ本発明に係るケミカルルーピングシステムの実施態様を詳細に説明する。なお、本発明のケミカルルーピング法については、以下のケミカルルーピングシステムの構造及び作動の説明に置き換えるものとする。また、実施態様に記載するケミカルルーピングシステムの構造については、本発明に係るケミカルルーピングシステム及びケミカルルーピング法を説明するために例示したにすぎず、これに限定されるものではない。
[第1の実施態様]
図1は、本発明の第1の実施態様のケミカルルーピングシステムの構成を示す概略図である。
本発明の第1の実施態様のケミカルルーピングシステム1aは、炭化水素を含む燃料Fを酸素キャリア金属粒子Mと反応させる燃料反応部2を備え、窒素及び二酸化炭素の他に水素を得る水素製造プロセスである。
本実施態様のケミカルルーピングシステム1aは、図1に示すように、燃料反応部2と水素生成部4と酸化反応部5とを備えたシステムであって、燃料反応部2の後段に磁気分離部3を備えている。また、各部にはラインLが接続されており、ラインL1〜5は酸素キャリア金属粒子Mの循環流路を示しており、ラインL20〜22は燃料、空気及び水蒸気などの供給流路を、ラインL30〜32は水素、二酸化炭素などの生成ガスの回収流路を示している。なお、図1におけるラインLの矢印は、それぞれの物質の流れの方向を示している。
また、酸素キャリア金属粒子Mは、特に酸化還元状態を示す際には、還元状態をM、部分酸化状態をMO、完全酸化状態をMOとして表記する。なお、この表記は金属化合物における相対的な酸化還元状態を示し、還元状態Mには酸化物を含むこともある。
(燃料反応部)
燃料反応部2としての燃料反応塔21は、酸化された酸素キャリア金属粒子MOと炭化水素(CmHn)を含む燃料Fを反応させる場であり、酸化された酸素キャリア金属粒子MOを還元する場である。
図1に示すように、燃料反応塔21にはラインL20から燃料Fを供給し、ラインL1から酸素キャリア金属粒子MOが供給される。反応後の酸素キャリア金属粒子M′はすべて還元された酸素キャリア金属粒子Mとして排出されることが望ましいが、実際には還元状態のM、部分酸化状態のMO及び未反応のMOが混合した状態となる。この酸素キャリア金属粒子M′がラインL2を介して磁気分離部5へ供給される。また、燃料反応塔21で生成したCOとHOはラインL30を介して回収される。なお、燃料Fは、メタンガスや都市ガスのような気体燃料のみではなく、石炭のような固体燃料であってもよい。
(磁気分離部)
磁気分離部3は、燃料反応部2から排出される反応後の酸素キャリア金属粒子M′を磁力の違いによって分離するものであり、燃料反応部2の後段にある酸素キャリア金属粒子M′の循環流路上に設けられる。
燃料反応部2で生成した複数の酸化還元状態を含む酸素キャリア金属粒子M′は、還元状態の高い酸素キャリア金属粒子Mの含有率を高くした状態で、水素生成部4に供給する必要がある。そのため、酸素キャリア金属粒子M′中のMOもしくはMOのうち、少なくとも一つ、もしくは両方が、磁力によって酸素キャリア金属粒子Mと分離される。
なお、酸素キャリア金属粒子M′は、それぞれ独立した1粒子が、必ず1成分のみで構成されるものとは限らない。例えば、独立した1粒子内に複数の酸化還元状態を含むことも考えられる。ただし、1粒子内に複数の酸化還元状態が含まれる場合であっても、1粒子内に存在する比率が最も高い酸化還元状態に応じ、それぞれの酸素キャリア金属粒子M′の組成が決まるものとみなすことができる。
酸素キャリア金属粒子Mを含む磁気分離された酸素キャリア金属粒子MS1は水素生成部4へ供給し、酸素キャリア金属粒子Mを含まない磁気分離された酸素キャリア金属粒子MS2は酸化反応部5へ送るように構成する。なお、磁力への反応は、引き寄せ、反発のいずれでもよい。
本実施態様の磁気分離部3としては、永久磁石31を酸素キャリア金属粒子Mの循環流路上に固定したものを用いている。図1に示すように、燃料反応部2からの酸素キャリア金属粒子M′の循環流路であるラインL2を、二つのラインL3、L4に分け、片方のラインL4に永久磁石31を設けるものとする。例えば、酸素キャリア金属粒子Mが磁力に反応せず、酸素キャリア金属粒子MOが磁力に反応する場合、永久磁石31の磁力に引き寄せられなかった酸素キャリア金属粒子MS1を水素生成部4に供給し、磁力に引き寄せられた酸素キャリア金属粒子MS2は酸化反応部5へ送っている。
なお、磁気分離部3としては、図1のように酸素キャリア金属粒子Mの循環流路(ラインL4)上に固定した永久磁石31を用いることが簡易な磁気分離プロセスとして好ましいが、磁力による酸素キャリア金属粒子Mの分離を可能とするものであれば特に限定されない。
例えば、循環流路上に設けたコイルに電流を流す電磁石を用いるものであってもよい。この場合、分離のための磁力の大きさを容易に制御することが可能となる。
また、循環流路内もしくは循環流路の外側に高速回転する磁石を設け、酸素キャリア金属粒子Mが近づくことにより発生する渦電流と磁界相互作用を利用した磁気分離としてもよい。この場合、対象となる酸素キャリア金属粒子Mが強磁性体でなくても、分離が可能となる。
(水素生成部)
水素生成部4としての水素生成塔41は、酸素キャリア金属粒子Mに酸化剤として水蒸気を加えて反応させる場であり、酸素キャリア金属粒子Mを部分酸化するとともに、水蒸気からHを生成する場である。
図1に示すように、水素生成塔4にはラインL21から水蒸気を供給し、ラインL3から磁気分離部3を介して分離された酸素キャリア金属粒子MS1が供給される。ここで反応した酸素キャリア金属粒子MOはラインL5を介して酸化反応部5へ供給される。また、水素生成塔41で生成したHはラインL31を介して回収される。
(酸化反応部)
酸化反応部5としての酸化塔51は、部分酸化された酸素キャリア金属粒子MOと空気を反応させる場であり、酸素キャリア金属粒子Mを完全酸化するとともに、空気からOを除去し、高濃度のNを得る場である。なお、この反応は発熱反応であるため、ここから熱エネルギーを回収して、発電など他のシステムで利用するようにしてもよい。
図1に示すように、酸化塔51にはラインL22から空気を供給し、ラインL5から酸素キャリア金属粒子MOが供給される。また、ラインL4から磁気分離部3を介して分離された酸素キャリア金属粒子MS2が供給される。反応後、生成した酸素キャリア金属粒子MOはラインL1を介して燃料反応部2へ供給される。また、酸化塔51で生成したNはラインL32を介して回収される。なお、ラインL22から供給される空気は、コンプレッサーなど加圧ポンプによる加圧空気や、空気予熱器を通した空気であってもよい。
(酸素キャリア金属粒子)
酸素キャリア金属粒子Mは、ケミカルルーピングシステムで用いられる公知の金属物質とすることができる。
本発明のケミカルルーピングシステムにおいては、酸素キャリア金属粒子Mとして、特に、金属化合物の酸化状態によって磁力の差が大きくなるものを用いることが好ましく、例えば、鉄、ニッケルを含むものが挙げられる。
以下、本実施態様の具体的な実施例について説明する。
酸素キャリア金属粒子Mとして鉄(Fe)、酸化された酸素キャリア金属粒子MOとして三酸化二鉄(Fe)、燃料Fとしてメタン(CH)をそれぞれ用いた場合、燃料反応部2では、以下の式(1)で表される反応が進行すると考えられる。
4Fe+CH → 8FeO+CO+2HO (1)
式(1)の反応について、熱力学データを用いた化学平衡計算を行った。化学平衡計算は、化学平衡計算ソフト(HSC Chemisty ver9.0、Outotec社製)を用いて行い、圧力一定下で温度範囲を100度から1000度までとした。結果を図2及び図3に示す。
図2は、炭素又は水素を含む生成物に係る計算結果である。縦軸は生成物のmol数(単位:kmol)、横軸は温度(単位:度)を示す。なお、図2Aは、Feの初期mol数を2kmol、CHの初期mol数を1kmolとしたものである。また、図2Bは、Feの初期mol数を10kmol、CHの初期mol数を1kmolとしたものである。
図2Aでは、温度上昇とともにCHは減少するが、CO及びHO以外にもH、CO、Cなどが生成し、不完全燃焼となることがわかる。一方、図2Bでは、広い温度範囲で、CO及びHOのみが生成することがわかる。
図3は、鉄を含む生成物に係る計算結果である。縦軸は生成物のmol数(単位:kmol)、横軸は温度(単位:度)を示す。なお、図3Aは、Feの初期mol数を2kmol、CHの初期mol数を1kmolとしたものである。また、図3Bは、Feの初期mol数を10kmol、CHの初期mol数を1kmolとしたものである。
図3Aでは、温度上昇とともにFeがほとんどFeやFeOまで還元されることがわかる。一方、図3Bでは、Feは一部残存する。また、Feが最も多く生成し、他にFeOが生成することがわかる。
本実施態様の水素製造プロセスに関するケミカルルーピングシステム1aでは、燃料反応部2においては、CCSやCCUの観点から完全燃焼反応となることが求められるが、水素生成部4においては、水蒸気との反応でHを発生させるために、Fe又はFeOのような還元状態にある鉄が必要となる。
しかしながら、図2及び図3の結果から、燃料反応部2で完全燃焼を行うための条件では、水素生成部4で必要とされる鉄の還元状態が不十分となる一方、水素生成部4で必要とされる十分な還元状態の鉄を得るためには、燃料反応部2での反応が不完全燃焼となってしまうというトレードオフの関係にあることがわかる。
ここで、燃料反応部2において完全燃焼を行うための条件下で生成した鉄を含む生成物のうち、水素生成能を有しない鉄化合物、特に部分酸化状態の酸素キャリア金属粒子MOに相当するFeを除去することで、燃料反応部2の後段に設けられた水素生成部4において、水素の生成効率を向上させることが可能となる。なお、ここで除去対象となる酸素キャリア金属粒子MOは、酸素キャリア金属粒子M′においてFeのみからなる粒子だけではなく、1粒子内に複数の酸化還元状態を含む酸素キャリア金属粒子M′においてFeの存在比率の高いFeリッチの粒子も含まれるものである。
よって、酸素キャリア金属粒子Mとして鉄を用いた場合、本実施態様のケミカルルーピングシステム1aにおいて、図1に示すように、磁気分離部3として永久磁石31を酸化反応部5につながるラインL4側に設置することで、ラインL4を通る分離された酸素キャリア金属粒子MS2には、強磁性体であるFeが含まれることになる。これにより、Feは水素生成塔41には供給されず、直接酸化反応部5側に流れることになる。一方、ラインL3を介して水素生成部4に供給される酸素キャリア金属粒子MS1は、水素生成能を有する鉄化合物の含有率が高いものとなる。
結果として、本実施態様のケミカルルーピングシステム1aでは、燃料反応塔において完全燃焼を行い、かつ水素反応塔における反応効率を低下させることなく、水素の製造が可能となるものである。また、本実施態様のケミカルルーピングシステム1aでは、水素生成塔の容積の削減や水蒸気の供給量の最適化が可能となる。
[第2の実施態様]
図4は、本発明の第2の実施態様のケミカルルーピングシステムの構成を示す概略図である。
第2の実施態様のケミカルルーピングシステム1bは、図4に示すように、燃料反応部2の後段に、温度調整機構6を備えたものである。また、温度調整機構6は温度測定部61と温度制御部62からなり、それぞれ磁気分離部3の前段に備えたものとしている。その他の構成は第1の実施態様と同様である。
一般に、磁性体は温度によって磁性が変化することが知られている。強磁性体が常磁性体に変化する転移温度は、キュリー(Curie)温度と呼ばれ、磁性体の種類によってその温度値は異なるものである。そのため、燃料反応部2で反応した酸素キャリア金属粒子M′に含まれる磁性体(金属化合物)が特定の温度で磁性変化する場合、温度調整機構6により磁力による分離に適した温度に制御して磁気分離を行う必要がある。
例えば、酸素キャリア金属粒子Mとして鉄を用いた場合、燃料反応部2で反応した酸素キャリア金属粒子M′に含まれるFeのキュリー温度は585度であり、この温度以上では磁性を失うことになる。したがって、燃料反応部2から排出された酸素キャリア金属粒子M′の循環流路(ラインL2)内が585度以下となるように、温度調整機構6によって温度制御することが望ましい。
なお、温度測定部61及び温度制御部62は、温度の測定及び温度の制御における公知の技術を用いればよく、特に限定されない。例えば、温度制御部62は、ジャケット式加熱・冷却装置をライン上に設けるものや、燃料反応部2から排出されるHOを用いた加温・冷却システムとしてもよい。
[第3の実施態様]
図5は、本発明の第3の実施態様のケミカルルーピングシステムの構成を示す概略図である。
本発明の第3の実施態様のケミカルルーピングシステム1cは、炭化水素を含む燃料Fを酸素キャリア金属粒子Mと反応させる燃料反応部20を備え、発電等に利用可能な熱エネルギーや、窒素及び二酸化炭素のような有用ガスを得ることのできる燃焼プロセスである。
第3の実施態様のケミカルルーピングシステム1cは、図5に示すように、燃料反応部20と酸化反応部50とを備えた燃焼システムであって、燃料反応部20の後段に磁気分離部30を備えている。また、各部にはラインLが接続されており、ラインL6〜9は酸素キャリア金属粒子Mの循環流路を示しており、ラインL23、L24は燃料、空気などの供給流路を、ラインL33、L34は窒素、二酸化炭素などの生成ガスの回収流路を示している。なお、図5におけるラインLの矢印は、それぞれの物質の流れの方向を示している。また、燃料反応部20としての燃料反応塔22、磁気分離部30及び酸化反応部50としての酸化塔52の具体的な構造や、酸素キャリア金属粒子Mの組成については、第1の実施態様と同様である。
また、本実施態様のケミカルルーピングシステム1cにおいては、図5に示すように、酸化反応部50から排出される酸素キャリア金属粒子Mの一部を、磁気分離部30の後段に戻すショートパス経路となるラインL10を設けるものとしてもよい。このラインL10は、磁気分離部30から分離された還元状態の酸素キャリア金属粒子Mに対して、酸化力を有する酸素キャリア金属粒子MOを接触させるためのものである。詳細については後述するが、これにより、酸素キャリア金属粒子Mを酸化反応部50に供給するのに適した酸化還元状態とするものである。
本実施態様の燃焼プロセスに関するケミカルルーピングシステム1cでは、燃料反応部20においては、完全燃焼反応となることが求められる。また、酸化反応部50においては、酸素キャリア金属粒子Mは酸化状態が高いものが添加されることが好ましい。
例えば、酸素キャリア金属粒子Mとして鉄を用いた場合、燃料反応部20で完全燃焼反応が起こり、Fe又はFeOのような還元状態にある鉄が酸化塔52に供給されると、酸化塔52内での酸化反応による発熱量が大き過ぎるため、シンタリングと呼ばれる酸素キャリア金属粒子Mの活性低下が起きるという問題が生じる。
したがって、燃料反応部20において完全燃焼を行うための条件下で生成した鉄を含む生成物のうち、特に部分酸化状態の酸素キャリア金属粒子MOに相当するFeを磁気分離部30において選択分離し、ラインL8を介して酸化反応部50に供給することで、酸素キャリア金属粒子Mの活性低下を防ぐことができる。
また、磁気分離部30で分離された後、ラインL9内に導入された還元状態の酸素キャリア金属粒子MであるFe又はFeOに対して、酸化反応部50からの酸素キャリア金属粒子MOであるFeの一部をラインL10を介して接触させることで、部分酸化状態の酸素キャリア金属粒子MOであるFeとし、これをラインL9を通して酸化反応部50に供給することで、酸素キャリア金属粒子Mを有効に利用することが可能となる。
なお、上述した実施態様はケミカルルーピングシステム及びケミカルルーピング法の一例を示すものである。本発明に係るケミカルルーピングシステムは、上述した実施態様に限られるものではなく、請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、上述した実施態様に係るケミカルルーピングシステムを変形してもよい。
例えば、本実施態様のケミカルルーピングシステムにおいて、水素や二酸化炭素などの有用ガスを回収するために、回収流路にサイクロンなどの固気分離装置や熱交換器を設けてもよい。また、酸素キャリア金属粒子の循環流路に固気分離装置及びバルブを設け、各反応塔への酸素キャリア金属粒子の供給量を制御するものとしてもよい。
また、本実施態様のケミカルルーピングシステムの磁気分離部において、酸素キャリア金属粒子は二つのラインに分離することを限定するものではない。酸素キャリア金属粒子に含まれる複数の金属化合物の磁性に応じて、磁気分離部において三つ以上のラインに分離し、分離した酸素キャリア金属粒子をそれぞれ最適な反応塔に供給するようにしてもよい。
また、本実施態様の燃焼プロセスに係るケミカルルーピングシステムにおいて、酸素キャリア金属粒子のショートパス経路を設ける代わりに、磁気分離部を介して分離された還元状態の高い酸素キャリア金属粒子に、水などの酸化剤を添加する酸化剤添加部を設けるものであってもよい。
本発明のケミカルルーピングシステム及びケミカルルーピング法は、水素製造プロセス及び環境負荷の少ない燃焼プロセスとして利用される。また、本発明のケミカルルーピングシステム及びケミカルルーピング法は、二酸化炭素や窒素ガスの生成・回収にも利用可能である。さらに、本発明のケミカルルーピングシステム及びケミカルルーピング法は、石炭などの化石燃料を用いた火力発電にも利用可能である。
1a,1b,1c ケミカルルーピングシステム、2,20 燃料反応部、21,22 燃料反応塔、3,30 磁気分離部、31 永久磁石、4 水素生成部、41 水素生成塔、5,50 酸化反応部、51,52 酸化塔、F 燃料、L ライン、L1〜9 酸素キャリア金属粒子の循環流路、L10 酸素キャリア金属粒子のショートパス流路、L20〜24 供給流路、L30〜34 回収流路、M 酸素キャリア金属粒子

Claims (5)

  1. 酸素キャリア金属粒子と燃料とを反応させる燃料反応部と、
    前記燃料反応部で生じた反応後の前記酸素キャリア金属粒子を酸化数に応じて分離する磁気分離部と、
    を備えることを特徴とする、ケミカルルーピングシステム。
  2. 前記燃料反応部の後段であって、前記磁気分離部の前段に、温度調整機構を設け、
    前記温度調整機構は、温度測定部と温度制御部とを備えることを特徴とする、請求項1に記載のケミカルルーピングシステム。
  3. 前記磁気分離部は、永久磁石を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のケミカルルーピングシステム。
  4. 前記磁気分離部は、コイルに電流を流す電磁石を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のケミカルルーピングシステム。
  5. 酸素キャリア金属粒子と燃料とを反応させる燃料反応工程と、
    前記燃料反応工程で生じた反応後の前記酸素キャリア金属粒子を酸化数に応じて分離する磁気分離工程と、
    を含むことを特徴とする、ケミカルルーピング法。
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