特許文献1の引戸連動装置によれば、引戸の戸幅に応じて第1基体と第2基体を伸縮操作することで、戸幅が異なる引戸に引戸連動装置を共通して適用できる。従って、引戸の戸幅が異なるごとに、戸幅に適合した専用の引戸連動装置を設けていた従来装置に比べて、引戸連動装置の導入コストを削減できる。しかし、戸幅の違いに応じて第2プーリーおよび第5プーリーと、第4プーリーおよび第6プーリーを相対移動させる必要上、前者プーリー対の移動領域と、後者プーリー対の移動領域を基体本体部の内部に確保する必要がある。そのため、引戸連動装置の上下寸法が大きくなるのを避けられず、吊車型の戸パネルにおいて、引戸連動装置をランナー体とともにガイドレールの内部に収容することができない。また、戸パネルを閉じた状態における、戸パネルどうしの重なり代が大きいため、個々の引戸のコストが嵩むのを避けられない。さらに、第1基体と第2基体の伸縮可能な寸法範囲が比較的小さいため、対応できる引戸に限界がある。引戸の戸幅に応じて第1基体と第2基体を伸縮操作した状態で、基体本体部内のねじを締めこんで両基体を伸縮不能に固定する必要があり、施工に余分な手間が掛かる。
本発明の目的は、パネル幅が大小に異なる戸パネルに共通して適用でき、しかもパネル幅の違いに広範にわたって対応できる連動開閉引戸と、その施工方法を提供することにある。
本発明は、複数個の戸パネルP1・P2のそれぞれが、ガイドレール2に沿って移動する一対のランナー体3・4で引違い開閉可能に支持されており、組付け基準となる戸パネルP2に配置した一対の連動開閉ユニット6A・6Bを介して、各戸パネルP1・P2が連動開閉可能に設けてある連動開閉引戸を対象とする。連動開閉ユニット6A・6Bは、一端がランナー体4のランナーブロック17に固定されるガイド軸30と、ガイド軸30に固定される固定プーリー台31と、ガイド軸30で往復スライド可能に支持される可動プーリー台32と、可動プーリー台32を固定プーリー台31から離れる向きに移動付勢する間隔吸収ばね33と、プーリー構造とを備えている。プーリー構造は、ランナーブロック17で回転自在に支持される第1プーリー35と、ガイド軸30の先端側に配置されたいずれか一方のプーリー台31・32で回転自在に支持される第2プーリー36と、ガイド軸30の基端側に配置された他方のプーリー台32・31で回転自在に支持される第3プーリー37と、これらのプーリー35・36・37に巻掛けられる伝動体38とを備えている。伝動体38は、両連動開閉ユニット6A・6B内において、第2プーリー36と第3プーリー37との間に複数回巻掛けられたバッファ部分38Aと、バッファ部分38Aに連続して第2プーリー36から第1プーリー35に至る第1連動部分38Bと、第1連動部分38Bに連続して第1プーリー35で反転案内されて、他方の連動開閉ユニット6B・6Aの第1プーリー35に至る第2連動部分38Cとからなる。両連動開閉ユニット6A・6Bの第1プーリー35・35の間に位置する第2連動部分38Cに、初動操作される戸パネルP1のランナー体3が連結されていることを特徴とする。
図1に示すように、第2プーリー36はガイド軸30の突端に固定した固定プーリー台31で回転自在に支持され、第3プーリー37はガイド軸30の基端側に配置した可動プーリー台32で回転自在に支持される。圧縮ばねからなる間隔吸収ばね33は、ガイド軸30に外嵌する状態で固定プーリー台31と可動プーリー台32の間に配置されている。
本発明は、複数個の戸パネルP1・P2のそれぞれが、ガイドレール2に沿って移動する一対のランナー体3・4で引違い開閉可能に支持されており、組付け基準となる戸パネルP2に配置した一対の連動開閉ユニット6A・6Bを介して、各戸パネルP1・P2が連動開閉可能に設けてある連動開閉引戸を対象とする。図17に示すように、連動開閉ユニット6A・6Bは、一端がランナー体4のランナーブロック17に固定されるガイド軸30と、ガイド軸30で往復スライド可能に支持される可動プーリー台32と、可動プーリー台32をランナーブロック17から離れる向きに移動付勢する間隔吸収ばね33と、プーリー構造とを備える。圧縮ばねからなる間隔吸収ばね33は、ガイド軸30に外嵌する状態でランナーブロック17と可動プーリー台32の間に配置されている。プーリー構造は、ランナーブロック17で回転自在に支持される第1プーリー35と、可動プーリー台32で回転自在に支持される第2プーリー36と、ランナーブロック17で回転自在に支持される第3プーリー37と、これらのプーリー35・36・37に巻掛けられる伝動体38とを備える。伝動体38は、両連動開閉ユニット6A・6B内において、第2プーリー36と第3プーリー37との間に複数回巻掛けられたバッファ部分38Aと、バッファ部分38Aに連続して第2プーリー36から第1プーリー35に至る第1連動部分38Bと、第1連動部分38Bに連続して第1プーリー35で反転案内されて、他方の連動開閉ユニット6B・6Aの第1プーリー35に至る第2連動部分38Cとからなる。両連動開閉ユニット6A・6Bの第1プーリー35・35の間に位置する第2連動部分38Cに、初動操作される戸パネルP1のランナー体3が連結されていることを特徴とする。
可動プーリー台32は、図13(a)に示すように、間隔吸収ばね33が最大伸張位置まで伸長した第1位置と、図13(b)に示すように、間隔吸収ばね33が最小収縮位置まで収縮した第2位置の間を往復移動できるよう、ガイド軸30で案内支持されている。自由状態における間隔吸収ばね33のばね長さは、第1位置と第2位置の間の可動プーリー台32の移動長さより大きく設定されている。
各戸パネルP1・P2は、ガイドレール2に装着した吊車型のランナー体3・4で支持されている。図1に示すように、各連動開閉ユニット6A・6Bのガイド軸30と、固定プーリー台31と、可動プーリー台32と、間隔吸収ばね33が、ランナー体4のランナーブロック17とともにガイドレール2の内部に収容されている。
プーリー構造はガイドレール2と戸パネルP1・P2の間に配置されている。第1プーリー35と第2プーリー36と第3プーリー37が直線列状に配置されて、それぞれのプーリー中心を通る仮想中心線Qが、ガイド軸30の中心軸線に対して平行に設けられている(図6参照)。
図7に示すように、初動操作される戸パネルP1に装着したランナー体3のランナーブロック17と伝動体38は、一対の連動開閉ユニット6A・6Bの第1プーリー35・35の伝動体外接線の外で連結されている。ここで言う「伝動体外接線」とは、一対の第1プーリー35・35どうしを繋ぐ共通外接線を意味する。
伝動体38の第2連動部分38Cは、ランナー体3のランナーブロック17に固定した連結体46の受止め片48に連結されている。伝動体38は受止め片48の周囲に交差する状態で巻掛けられて、交差部分が伝動体外接線に臨ませてある。
初動操作される第1戸パネルP1と、第2戸パネルP2と、第3戸パネルP3を備えている。一対の第1プーリー35・35の間の一方の伝動体38の第2連動部分38Cに第1戸パネルP1のランナーブロック17が連結され、他方の伝動体38の第2連動部分38Cに第3戸パネルP3のランナーブロック17が連結されている。
一対の連動開閉ユニット6A・6Bの可動プーリー台32が間隔吸収ばね33で第1位置に位置保持された状態において、互いに隣接する固定プーリー台31・31どうしを連結体54で連結することにより、一対の連動開閉ユニット6A・6Bとランナー体4・4を分離不能なひとつのユニット集合体として一体化することができる。
本発明に係る連動開閉引戸においては、組付け基準となる戸パネルP2に一対の連動開閉ユニット6A・6Bを配置して、各戸パネルP1・P2を連動開閉できるようにした。また、連動開閉ユニット6A・6Bは、ランナーブロック17、固定プーリー台31、可動プーリー台32で支持される第1〜第3の各プーリー35・36・37と、可動プーリー台32を移動付勢する間隔吸収ばね33と、各プーリー35・36・37に巻掛けられる伝導体38などで構成した。
以上のような本発明の連動開閉引戸によれば、一対のランナー体4・4を連動開閉ユニット6A・6Bが配置された戸パネルP2に装着する際には、間隔吸収ばね33の付勢力を受けながら固定プーリー台31に対して可動プーリー台32が相対的にスライド移動し、これによりバッファ部分38Aにおける伝動体38の長さ寸法が変更されるともに、第2連動部分38Cにおける伝動体38の長さ寸法が変更される。従って本発明によれば、戸パネルP2のパネル幅に対応して、連動開閉ユニット6A・6Bの間隔寸法が変更された場合にも、テンション調整を行うことなく、伝導体38に最適なテンションを付与することができる。また、バッファ部分38Aは、伝動体38を第2プーリー36と第3プーリー37に複数回巻掛けて形成するとともに、一対の連動開閉ユニット6A・6Bのそれぞれにバッファ部分38Aを設けたため、可動プーリー台32のスライド量の何倍もの伝動体38の長さ寸法をバッファ部分38Aで吸収することができ、パネル幅の異なる広範な戸パネルP2に対しても、伝導体38のテンションを最適化しながら連動開閉ユニット6A・6Bを組み付けることが可能となる。
以上より、本発明に係る連動開閉引戸によれば、パネル幅が大小に異なる戸パネルP2に共通して適用でき、しかもパネル幅の違いに広範にわたって対応できるので、コストが少なくて済む連動開閉引戸を提供できる。また、連動開閉ユニット6A・6Bがランナー体4・4と一体化してあるので、施工時に伝動体38のテンションを調整する必要がなく、施工の手間と時間を大幅に省くことができる。可動プーリー台32をガイド軸30でスライド案内し、同軸30を利用して固定プーリー台31を支持するので、基枠や中間枠が不可欠であった従来の引戸連動装置に比べて、連動開閉ユニット6A・6Bの全体構造を小形化してコンパクト化できる利点もある。
ガイド軸30の突端に固定した固定プーリー台31で第2プーリー36を回転自在に支持し、第3プーリー37は可動プーリー台32で回転自在に支持した。こうした連動開閉ユニット6A・6Bによれば、ランナー体4のランナーブロック17で支持した第1プーリー35と、固定プーリー台31で支持した第2プーリー36の中心間距離が常に一定となるので、可動プーリー台32がスライド移動するとき、両プーリー35・36の間で伝導体38が弛むのを防止できる。また、間隔吸収ばね33を圧縮ばねで形成して、両プーリー台31・32の間に配置するので、圧縮ばね以外の付勢体で可動プーリー台32を移動付勢する場合に比べて、連動開閉ユニット6A・6Bの構造を簡素化しコンパクト化できる。
ガイド軸30の突端側に配置した可動プーリー台32で第2プーリー36を回転自在に支持し、第3プーリー37は固定プーリー台31を兼ねるランナーブロック17で回転自在に支持するようにした。こうした連動開閉ユニット6A・6Bによれば、ランナーブロック17を利用して第3プーリー37を支持できるので、別途固定プーリー台31を設ける必要がなく、その分だけ連動開閉ユニット6A・6Bの構造を簡素化して低コスト化できる。また、間隔吸収ばね33を圧縮ばねで形成して、両プーリー台31・32の間に配置するので、圧縮ばね以外の付勢体で可動プーリー台32を移動付勢する場合に比べて、連動開閉ユニット6A・6Bの構造をさらに簡素化しコンパクト化できる。
可動プーリー台32は、第1位置と第2位置の間を往復移動できるようガイド軸30で案内支持し、自由状態における間隔吸収ばね33のばね長さを、第1位置と第2位置の間の可動プーリー台32の移動長さより大きく設定するようにした。こうした連動開閉ユニット6A・6Bによれば、可動プーリー台32が第2位置側から第1位置へ向かってスライド移動するとき、間隔吸収ばね33の付勢力を可動プーリー台32に確実に作用させて、伝動体38にテンションが作用した状態のままで、可動プーリー台32を第1位置へ向かって確実に追随移動させることができる。従って、連動開閉ユニット6A・6Bがパネル幅の小さな戸パネルP2に適用される場合であっても、プーリー構造による間隔吸収動作を安定した状態で行える。
戸パネルP1・P2が吊車型のランナー体3・4で支持してある連動開閉引戸において、ガイド軸30と、固定プーリー台31と、可動プーリー台32と、間隔吸収ばね33が、ランナー体4のランナーブロック17とともにガイドレール2の内部に収容されるようにした。こうした連動開閉引戸によれば、プーリー構造を除く連動開閉ユニット6A・6Bの大半の構成部品をガイドレール2の内部に収容して、連動開閉引戸の外観をすっきりさせることができる。また、既存のガイドレール2を使用して連動開閉ユニット6A・6Bの大半の構成部品を組むことができるので、新たに専用のガイドレールを用意する場合に比べて、連動開閉引戸の全体コストを削減できる。
第1プーリー35と第2プーリー36と第3プーリー37を直線列状に配置し、それぞれのプーリー中心を通る仮想中心線Qを、ガイド軸30の中心軸線に対して平行に設けるようにした。こうした連動開閉ユニット6A・6Bによれば、従来の引戸連動装置に比べて、プーリー構造を簡素化して製造に要するコストを削減できる。また、プーリー構造の全体が、ガイドレール2と戸パネルP1・P2の間の空間に配置されるので、伝動体38が可動プーリー台32や間隔吸収ばね33などの作動部品と接触して損耗するのを確実に防止できる。
戸パネルP1に装着したランナー体3のランナーブロック17と伝動体38は、一対の連動開閉ユニット6A・6Bの第1プーリー35・35の伝動体外接線の外で連結するようにした。このように、ランナーブロック17と伝動体38が伝動体外接線の外で連結してあると、ランナー体3が開放移動された状態において、第1プーリー35における伝動体38の巻掛け角度を180°未満に小さくすることができ、その分だけ前後に隣接する戸パネルP1・P2の重なり代Nを最小限化できる。また、重なり代Nが小さい分だけ各戸パネルP1・P2のパネル幅を小さくして、戸パネルP1・P2の製造に要するコストを安価にできるうえ、重なり代Nが小さい分だけ全開放時の開口幅を大きくできる。さらに、細いフレームの戸パネルにも、美観を損なわずに適用できる。
伝動体38は連結体46の受止め片48の周囲に交差する状態で巻掛けられて、交差部分を伝動体外接線に臨ませるようにした。このように交差部分が伝動体外接線に臨ませてあると、ランナー体3が開放移動された状態において、交差部分を第1プーリー35の中心を通る前後中心を越える位置まで移動させて、第1プーリー35における伝動体38の巻掛け角度をさらに小さくすることができる。従って、前後に隣接する戸パネルP1・P2の重なり代Nをさらに小さくすることができる。
第1戸パネルP1と第2戸パネルP2と第3戸パネルP3を備えた連動開閉引戸において、一対の連動開閉ユニット6A・6Bを第2戸パネルP2に配置するようにした。そのうえで、一方の伝動体38の第2連動部分38Cに第1戸パネルP1のランナーブロック17を連結し、他方の伝動体38の第2連動部分38Cに第3戸パネルP3のランナーブロック17を連結するようにした。こうした連動開閉引戸によれば、第1戸パネルP1を開閉方向へ初動操作することで、第2戸パネルP2および第3戸パネルP3を連動して等量ずつ開閉できる。また、開口枠1の左右幅が一定であるとき、3個の戸パネルP1〜P3を全開放した場合の開口幅が大きくなるので、車椅子の出入りを容易化できる。
隣接する固定プーリー台31どうしを連結体54で連結して、一対の連動開閉ユニット6A・6Bと一対のランナー体4を分離不能なひとつのユニット集合体として一体化できるようにした。こうした連動開閉ユニット6A・6Bによれば、正しく組まれて調整済みの状態のユニット集合体を梱包し輸送すればよいので、施工現場で連動開閉ユニット6A・6Bを個々の部品から組上げる必要がない。また、施工時にはユニット集合体の全体をガイドレール2に組めばよく、さらにテンション調整などの面倒な調整を行う必要もないので、施工の手間と時間を大幅に削減できる。
(実施例1) 図1ないし図14に本発明に係る連動開閉引戸の実施例1を示す。本発明における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表示した前後、左右、上下の文字表示に従う。図2において連動開閉引戸は、開口枠1の上枠部分に固定されるガイドレール2と、ガイドレール2の内部に装着した3対のランナー体3・4・5と、これらのランナー体3・4・5に支持されて引違い開閉される第1から第3の戸パネルP1・P2・P3と、これらの戸パネルP1・P2・P3を連動開閉する連動開閉ユニット6A・6Bなどで構成される。
3個の戸パネルP1・P2・P3のうち、最前面に第1戸パネル(戸パネル)P1が配置され、その後面に第2戸パネル(戸パネル)P2が配置され、第2戸パネルP2の後面に第3戸パネル(戸パネル)P3が配置されている(図3参照)。第1戸パネルP1の前後面には把手7が設けられており、連動開閉引戸を前面側および後面側から開閉するとき、第1戸パネルP1が初動操作される。前後中央の第2戸パネルP2は、各戸パネルP1・P2・P3をガイドレール2に吊込む際の組付け基準となる。第3戸パネルP3の後面にも把手7が設けられており、連動開閉引戸を後面側から開閉するとき、第3戸パネルP3を初動操作することができる。この実施例における戸パネルP1・P2・P3は木質系の戸パネルからなり、その外形寸法はパネル幅が600mm、パネル高さが2000mm、パネル厚みが30mmである。
図4に示すように、第2戸パネルP2の下部の前後面の左右端には振止めローラー9・9が装着されている。前面側のローラー9は第1戸パネルP1の下端に装着した振止めレール10を相対スライド自在に案内しており、後面側のローラー9は第3戸パネルP3の下端に装着した振止めレール11を相対スライド自在に案内している。第2戸パネルP2の開閉領域と対向する床面には、2個のマグネットローラー12が出没可能に設けられている。マグネットローラー12は、第2戸パネルP2の下端の振止めレール13が真上を通過するとき床面から突出して、第2戸パネルP2を振止めした状態で開閉案内する。
開口枠1の上枠には、各戸パネルP1・P2・P3に対応する3個のレール枠15が配置されており、各レール枠15が複数のビス16で開口枠1に締結固定されている。第2戸パネルP2用のレール枠15は、同レール枠15と戸パネルP2の上端との間に後述するプーリー構造を配置する関係で、他のレール枠15より上側に配置されている。各戸パネルP1・P2・P3は、各レール枠15の内部に設けた一対ずつの一対のランナー体3・4・5で支持されて連動可能に引違い開閉される。
図5において、ランナー体3・4・5は左右横長のランナーブロック17と、ランナーブロック17の左右に前後一対ずつ配置される4個のローラー18と、ローラー軸19、および各戸パネルP1・P2・P3の側端上隅に固定したホルダー(連結部)20に嵌込み装着されるランナー台21と、ランナーブロック17とランナー台21を連結するランナー軸22などで構成される。ランナー台21の内部には、ホルダー20のロック凹部23に係合するロックピン24と、ロックピン24をロック解除操作する解除レバー25と、高さ調整ねじ26などが設けられている。ランナー台21をホルダー20に装着した状態では、ロックピン24がロック凹部23と係合して、ランナー体3・4・5を各戸パネルP1・P2・P3と一体化できる。
図3に示すように第2戸パネルP2のランナー体4には、連動開閉ユニット6A・6Bが組み込まれている。これらの連動開閉ユニット6A・6Bは各ランナー体4・4に対する組付け方向が異なるものの、同じ構造であるので、同じ部材に同じ符号を付して説明を省略する。図5において連動開閉ユニット6Aは、一端がランナー体4のランナーブロック17に固定される金属製のガイド軸30と、ガイド軸30の突端に固定される固定プーリー台(プーリー台)31と、ガイド軸30で往復スライド可能に支持される可動プーリー台(プーリー台)32と、可動プーリー台32を固定プーリー台31から離れる向きに移動付勢する間隔吸収ばね33と、プーリー構造などで構成される。
ガイド軸30の基端はランナーブロック17に対して、ローラー軸19を利用して回転不能に固定されており、ガイド軸30の突端と固定プーリー台31は、後述するプーリー軸42を利用して固定されている。間隔吸収ばね33は圧縮ばねからなり、ガイド軸30に外嵌する状態で固定プーリー台31と可動プーリー台32の対向面の間に配置されている。自由状態における間隔吸収ばね33のばね長さは、第1位置と第2位置の間の可動プーリー台32の移動長さより大きく設定されている。これは、可動プーリー台32が固定プーリー台31から最も離れた場合であっても、間隔吸収ばね33のばね力を可動プーリー台32に確実に作用させて、伝動体38にテンションが作用した状態のままで、可動プーリー台32を第1位置へ向かって確実に追随移動させるためである。これに伴い、連動開閉ユニット6A・6Bがパネル幅の小さな戸パネル2に適用される場合であっても、プーリー構造による間隔吸収動作が安定して発揮される。
連動開閉ユニット6A・6Bをレール枠15に組み込んだ状態では、連動開閉ユニット6A・6Bのガイド軸30と、固定プーリー台31と、可動プーリー台32と、間隔吸収ばね33が、ランナー体4のランナーブロック17とともにレール枠15の内部に収容される(図5参照)。こうした連動開閉ユニット6A・6Bによれば、ガイド軸30と、固定プーリー台31と、可動プーリー台32と、間隔吸収ばね33が、ランナー体4のランナーブロック17とともにガイドレール2の内部に収容される。そのため、プーリー構造を除く連動開閉ユニット6A・6Bの大半の構成部品をガイドレール2の内部に収容して、連動開閉引戸の外観をすっきりさせることができる。
プーリー構造は、レール枠15と第2戸パネルP2の間に配置されており、第1〜第3の各プーリー35・36・37と、これらのプーリー35・36・37に巻掛けられるロープ(伝動体)38で構成される。詳しくは、第1プーリー35は、ランナーブロック17の外側方の下面に配置されて、同ブロック17で回転自在に支持されている。第2プーリー36は、ガイド軸30の突端に固定した固定プーリー台31で回転自在に支持されている。第3プーリー37は、ガイド軸30の基端に臨む可動プーリー台32で回転自在に支持されている。
ランナーブロック17の外側方の下面には、第1プーリー35を収容するプーリー凹部が形成されており、同凹部の中央に設けたベアリング40で第1プーリー35が回転自在に支持されている。ベアリング40はランナーブロック17にねじ込んだビス41で締結されている。第2プーリー36は、固定プーリー台31の下面に配置したベアリング40で回転自在に支持されており、ベアリング40は固定プーリー台31を縦通するプーリー軸42で締結されている。また、第3プーリー37は、可動プーリー台32の下面に配置したベアリング40で回転自在に支持されており、ベアリング40は可動プーリー台32にねじ込んだビス43で締結されている(図8参照)。図5に示すように、固定プーリー台31の側面の下半側には、連結穴44を備えた連結ボス45が横向きに突設されている。連動開閉ユニット6B側の可動プーリー台32の側面の上半側には、ねじ穴52を備えた連結ボス53が横向きに突設されている(図9参照)。なお、第1プーリー35はランナー軸22で直接、あるいはベアリング40を介して回転自在に軸支してあってもよい。
ロープ38は、片方の連動開閉ユニット6Aの各プーリー35〜37に巻掛けられたのち、他方の連動開閉ユニット6Bの各プーリー35〜37に巻掛けられて、その始端および終端が後述する連結体46に固定されている。図6に示すように、連動開閉ユニット6Aにおいては、ロープ38を符号a1で示すように第1プーリー35に巻掛けたのち、第2プーリー36と第3プーリー37に3往復分巻掛けられ(a2〜a4)、さらに第2プーリー36に最後に巻掛けられたロープ38を第1プーリー35で反転案内する。
第1プーリー35で反転案内されたロープ38は、他方の連動開閉ユニット6Bの第1プーリー35に巻掛けられたのち、連動開閉ユニット6Aと同様にして、第2プーリー36と第3プーリー37に3往復分巻掛けられ(b1〜b4)、さらに第2プーリー36に最後に巻掛けられたロープ38を第1プーリー35で反転案内する。ロープ38の始端および終端は、第3戸パネルP3のランナー体5に固定した連結体46に固定され、ロープ38の中途部は、第1戸パネルP1のランナー体3に固定した連結体46に固定される。以上より、伝動体38は、両連動開閉ユニット6A・6B内において、第2プーリー36と第3プーリー37との間に複数回巻掛けられたバッファ部分38Aと、バッファ部分38Aに連続して第2プーリー36から第1プーリー35に至る第1連動部分38B、第1連動部分38Bに連続して第1プーリー35で反転案内されて、他方の連動開閉ユニット6B・6Aの第1プーリー35に至る第2連動部分38Cとを備えるものとなる。前後の戸パネルP1・P3のランナー体3・5とロープ38は、一対の連動開閉ユニット6A・6Bの側端に位置する一対の第1プーリー35・35の間のロープ外接線(伝動体外接線)の外で連結されている。
図7に示すように、連結体46は平面視が小判形に形成されて、その一端がランナーブロック17の下面にビス47で固定されている。図4に示すように、連結体46の他端は中央のレール枠15の下面に向かって突設されており、その下面にはカップケーキ形の受止め片48が下向きに突設されて、同片48の両側にロープ38を固定するためのビス49がねじ込んである。ロープ38の始端および終端は、互いに交差する状態で受止め片48の回りを周回したのち、ビス49に巻掛けた状態で固定されている。また、ロープ38の中途部は、受止め片48の回りを交差する状態で周回したのち、2個のビス49に巻掛けた状態で固定されている。
プーリー構造は、第1プーリー35と第2プーリー36と第3プーリー37を、直線列状に配置してそれぞれのプーリー中心を通る仮想中心線Q(図6参照)が、ガイド軸330の中心軸線に対して平行で、かつガイド軸30より下方に位置する状態で設けられている。こうした連動開閉ユニット6A・6Bによれば、従来の引戸連動装置に比べて、プーリー構造を簡素化して製造に要するコストを削減できる。また、プーリー構造の全体が、ガイドレール2と戸パネルP1・P2・P3の間の空間に配置されるので、伝動体38が可動プーリー台32や間隔吸収ばね33などの作動部品と接触して損耗するのを確実に防止できる。
施工現場における施工の手間を省くために、一対の連動開閉ユニット6A・6Bの互いに隣接する固定プーリー台31どうしをボルト(連結体)54で連結して、一対の連動開閉ユニット6A・6Bとランナー体4・4を分離不能なひとつのユニット集合体として一体化できるようにしている。詳しくは図9に示すように、連動開閉ユニット6A側の固定プーリー台31に設けた連結ボス45と、連動開閉ユニット6B側の固定プーリー台31に設けた連結ボス53を上下に接合した状態で、下方から連結穴44に差込んだボルト54をねじ穴52にねじ込むことにより、一対の連動開閉ユニット6A・6Bを一体化してユニット集合体としている。こうした連動開閉ユニット6A・6Bによれば、正しく組まれて調整済みの状態のユニット集合体を梱包し輸送すればよいので、施工現場で連動開閉ユニット6A・6Bを個々の部品から組上げる必要がない。また、施工時にはユニット集合体の全体をガイドレール2に組めばよく、さらにテンション調整などの面倒な調整を行う必要もないので、施工の手間と時間を大幅に削減できる。また、ロープ38に作用するテンション調整を行う必要もない。
(施工手順)
施工現場において、第1戸パネルP1〜第3戸パネルP3を吊り込む場合には、図11に示すように初動操作される第1戸パネルP1のランナーブロック17の下面に前側の連結体46をビス47で締結して、ランナー体3とロープ38を連結する。さらに、第3戸パネルP1のランナーブロック17の下面に後側の連結体46をビス47で締結して、ランナー体5とロープ38を連結する(第1過程)。次に、図10に示すように各戸パネルP1・P2・P3に対応する3組のランナー体3・4・5と、一対の連動開閉ユニット6A・6Bをガイドレール2の各レール枠15に装着して、各レール枠15を開口枠1に固定する(第2過程)。このとき、第2戸パネルP2用のレール枠15には、ユニット集合体の全体をレール枠15の一端から差込み装着するだけでよいので、組付けの手間を著しく省くことができる。ガイドレール2が開口枠1に固定されたら、図12に示すように、ボルト54を連結ボス45・53から分離する。これにより、一対の連動開閉ユニット6A・6Bは、それぞれのランナー体4・4と同行して移動可能となる。
次に、第2戸パネルP2を起立させた状態で、図5に示すように各連動開閉ユニット6A・6Bが連結された片方のランナー体4のランナー台21を、第2戸パネルP2のホルダー20に装着し、さらに他方のランナー体4のランナー台21を、第2戸パネルP2のホルダー20に装着して第2戸パネルP2を吊込む(第3過程)。最後に、第1戸パネルP1および第3戸パネルP3も同様にして、ランナー体3・5のランナー台21を、第1戸パネルP1および第3戸パネルP3のホルダー20に装着して、各戸パネルP1・P2・P3の吊込みを終了する(第4過程)。なお、施工手順は必ずしも上記の手順で行う必要はなく、例えば第2過程、第3過程、第1過程、第4過程の順で施工することもできる。
以上のように構成した連動開閉引戸によれば、図13(a)に示すように、間隔吸収ばね33が最大伸張位置まで伸長した第1位置と、図13(b)に示すように、間隔吸収ばね33が最小収縮位置まで収縮した第2位置の間で可動プーリー台32を移動させることができる。また、戸パネルP2に一対のランナー体4を装着するだけで、可動プーリー台32がスライド移動し、固定プーリー台31と可動プーリー台32の対向間隔Lを変化させて、戸パネルP2のパネル幅の違いを、テンション調整を行う必要もなく即座に吸収することができる。さらに、第1戸パネルP1を開閉方向へ初動操作することで、第2戸パネルP2および第3戸パネルP3を連動して等量ずつ開閉できるうえ、開口枠1の左右幅が一定であるとき、3個の戸パネルP1〜P3を全開放した場合の開口幅が大きくなるので、車椅子の出入りを容易化できる。
具体的には、固定プーリー台31と可動プーリー台32に設けた第2プーリー36と第3プーリー37にはロープ38が3往復分巻き掛けられてバッファ部分38Aが形成されているので、各戸パネルP1・P2・P3のパネル幅が変化するとき、固定プーリー台31と可動プーリー台32の対向間隔Lの変化量は、パネル幅の変化量の3分の1となる。また、戸パネル2には一対の連動開閉ユニット6A・6Bが設けてあるので、各連動開閉ユニット6A・6Bにおける可動プーリー台32の移動量は2分の1となる。その結果、全体としては、固定プーリー台31と可動プーリー台32の対向間隔Lの変化量は、パネル幅の変化量の6分の1となる。従って、パネル幅が小さな戸パネルから、パネル幅が大きな戸パネルの広範にわたって連動開閉ユニット6A・6Bを共通して適用できる。この実施例で説明した連動開閉ユニット6A・6Bにおいては、適用されるパネル幅の最小値を600mmとした場合に、パネル幅が600〜1440mmまでの戸パネルに連動開閉ユニット6A・6Bを共通して適用できる。この場合に共通して適用できる戸パネルの変化幅範囲Mは840mmとなる。なお、理論上はさらにパネル幅が小さな戸パネルにも適用できるが、実用上は戸パネルのパネル幅が400mm以上あることが好ましい。因みに特許文献1で説明した引戸連動装置は、既に製品化されて市販されているが(連動引戸金具SU−100)、その仕様によれば戸幅が450〜740mmの戸パネルに適用できるとなっていて、共通して適用できる戸パネルの変化幅範囲は大きくない。
また、上記構成の連動開閉引戸においては、ランナー体3・5とロープ38が、一対の連動開閉ユニット6A・6Bの第1プーリー35・35のロープ外接線の外で連結されているので、ランナー体3が開放移動された状態において、図7に示すように第1プーリー35における伝動体38の巻掛け角度を180°未満に小さくすることができる。従って、各戸パネルP1・P2・P3を全開放位置(図14に示す状態)から全閉止位置(図3に示す状態)まで閉じ操作した場合に、前後に隣接する戸パネルP1・P2・P3の重なり代N(図7参照)を最小限化できる。さらに、ロープ38は各受止め片48の周囲に交差する状態で巻掛けて、交差部分をロープ外接線に臨ませるようにした。このように交差部分がロープ外接線に臨ませてあると、ランナー体3が開放移動された状態において、交差部分を第1プーリー35の中心を通る前後中心を越える位置まで移動させて、第1プーリー35における伝動体38の巻掛け角度をさらに小さくすることができる。この実施例における戸パネルP1・P2・P3の重なり代Nは30mmであり、重なり代Nが小さい分だけ各戸パネルP1・P2・P3のパネル幅を小さくして、戸パネルP1・P2・P3の製造に要するコストを安価にできるうえ、重なり代Nが小さい分だけ全開放時の開口幅を大きくできる。さらに、細いフレームの戸パネルにも美観を損なわずに適用できる。さらに、ロープ38は各受止め片48の周囲に交差する状態で巻掛けて、交差部分をロープ外接線に臨ませるようにした。このように交差部分がロープ外接線に臨ませてあると、ランナー体3が開放移動された状態において、交差部分を第1プーリー35の中心を通る前後中心を越える位置まで移動させて、第1プーリー35における伝動体38の巻掛け角度をさらに小さくすることができる。従って、前後に隣接する戸パネルP1・P2の重なり代Nをさらに小さくすることができる。因みに、先に説明した連動引戸金具SU−100における戸パネルの重なり代Nは90mmである。
さらに、実施例1の連動開閉ユニット6A・6Bでは、ランナー体4のランナーブロック17で支持した第1プーリー35と、固定プーリー台31で支持した第2プーリー36の中心間距離が常に一定となるので、可動プーリー台32がスライド移動するとき、両プーリー35・36の間でロープ38が弛むのを防止できる。また、間隔吸収ばね33を圧縮ばねで形成して、両プーリー台31・32の間に配置するので、圧縮ばね以外の付勢体で可動プーリー台32を移動付勢する場合に比べて、連動開閉ユニット6A・6Bの構造を簡素化しコンパクト化できる。
連動開閉引戸の施工方法においては、初動操作される戸パネルP1のランナーブロック17にロープ38を連結し、一定の手順に従って各構成部材をガイドレール2に組んで同レール2を固定し、ランナー体4のランナー台21をホルダー20に装着し、ランナー体3のランナー台21をホルダー20に装着することで、位置合わせや調整作業を伴うこともなく、一連の施工作業を簡便に終了できる。従って、施工に要する手間と時間を大幅に削減できるうえ、熟練した技能を備えていない作業者であっても、的確に連動開閉引戸を構築できる。施工時には、図3に示すように、初動操作される戸パネルPが閉じ位置から右方向へ開放操作される場合と、戸パネルPが閉じ位置から左方向へ開放操作される場合の左右の勝手違いがあるので、勝手違いを考慮しながらランナーブロック17とロープ38を連結する必要がある。その点、実施例1で説明した施工方法によれば、連動開閉ユニット6A・6Bの組付け方向や、組付け姿勢を変更する必要もなく、単に初動操作される戸パネルPの閉じ位置側に位置するランナー体4のランナーブロック17に連結体46を固定して、ロープ38を連結体46に連結すればよい。従って、勝手違いがある連動開閉引戸の施工作業を、誰もが簡便に、しかも勝手違いに容易に対応して的確に行うことができる。また、右勝手の連動開閉引戸と、左勝手の連動開閉引戸のいずれにでも、勝手違いのない状態で共通して連動開閉ユニット6A・6Bを適用できるので、施工時の手間や、在庫管理の手間を軽減できる利点もある。連動開閉ユニット6A・6Bの点検やメンテナンスを行う場合には、ランナー体3のランナー台21をホルダー20から分離し、ロープ38をランナーブロック17から取外し、ランナー体4のランナー台21をホルダー20から分離することで、連動開閉ユニット6A・6Bを露出させて、簡単に点検やメンテナンスを行える。
第2過程において、一対の連動開閉ユニット6A・6Bとランナー体4が一体化されたひとつのユニット集合体をガイドレール2に対して組付けると、各連動開閉ユニット6A・6Bを個別に組む手間を省略できる。また、第2過程ののち、連結体54を固定プーリー台31から分離することにより、ランナー体4および各連動開閉ユニット6A・6Bを個別に移動可能にして、戸パネルP2のパネル幅に合致させることができ、この状態で第3過程を行うことにより、戸パネルP2を簡便に吊り込むことができる。
(実施例2) 図15ないし図17は本発明に係る連動開閉引戸の実施例2を示す。実施例2における連動開閉引戸は、図15に示すように、引違い開閉可能な第1戸パネルP1および第2戸パネルP2で構成するようにした。また、第2戸パネルP2を支持するランナー体4のランナーブロック17が固定プーリー台31を兼ねるようにし、ガイド軸30の突端側に可動プーリー台32を配置し、同台32とランナーブロック17との間に間隔吸収ばね33を配置するようにした(図17参照)。ガイド軸30の突端には、可動プーリー台32の抜外れを防ぐ座金62がビス63で固定してある。可動プーリー台32はレール枠15に沿って転動するローラー64で支持されている。
プーリー構造は、実施例1のプーリー構造と同様に第1〜第3の各プーリー35・36・37と、これらのプーリー35・36・37に巻掛けられるロープ(伝動体)38で構成してある。第1プーリー35は、ランナーブロック17の外側方の下面に配置されて、同ブロック17で回転自在に支持されている。第2プーリー36は、可動プーリー台32で回転自在に支持されており、第3プーリー37は、ランナーブロック17の内側方の下面に配置されて、同ブロック17で回転自在に支持されている。第1〜第3の各プーリー35・36・37は、ベアリング40で回転自在に支持されており、第1プーリー35のベアリング40は、ランナーブロック17にねじ込んだビス41で締結されている。また、第2プーリー36のベアリング40は、可動プーリー台32にねじ込んだビス57で締結され、第3プーリー37のベアリング40は、ランナーブロック17にねじ込んだビス58で締結されている。
ロープ38は、実施例1のプーリー構造と同様に、片方の連動開閉ユニット6Aの各プーリー35〜37に巻掛けられたのち、他方の連動開閉ユニット6Bの各プーリー35〜37に巻掛けられている。ロープ38の始端および終端は、ガイドレール2に固定したロープ金具60にビス61で固定されている。また、ロープ38の中途部は、第1戸パネルP1のランナー体3のランナーブロック17に固定した連結体46に対して、2個のビス49に巻掛けた状態で固定されている。なお、実施例2における前後の戸パネルP1・P3のランナー体3・5とロープ38は、実施例1と同様に一対の連動開閉ユニット6A・6Bの側端に位置する一対の第1プーリー35・35の間のロープ外接線の外で連結されている(図16参照)。上記以外は、実施例1で説明した連動開閉引戸と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。実施例3においても同じとする。
実施例2の連動開閉引戸によれば、間隔吸収ばね33が最大伸張位置まで伸長して、可動プーリー台32が座金62で受け止められる第1位置と、間隔吸収ばね33が最小収縮位置まで収縮した第2位置の間で可動プーリー台32が移動して、各戸パネルP1・P2のパネル幅の違いに対応できる。つまり、戸パネルP2に装着した一対のランナー体4・
4の隣接間隔の違いを、固定プーリー台31と可動プーリー台32の対向間隔が変化することで吸収できる。また、ランナーブロック17を利用して第3プーリー37を支持できるので、別途固定プーリー台31を設ける必要がなく、その分だけ連動開閉ユニット6A・6Bの構造を簡素化して低コスト化できる。
(実施例3) 図18は本発明に係る連動開閉引戸の実施例3を示す。実施例3における連動開閉引戸は、ロープ38の中途部を、第1戸パネルP1のランナー体3のランナーブロック17にねじ込まれたビス49で固定する点が実施例1の連動開閉引戸と異なる。実施例3においても、戸パネルP1・P3のランナー体3・5とロープ38は、一対の連動開閉ユニット6A・6Bの側端に位置する一対の第1プーリー35・35の間のロープ外接線の外で連結されている。
上記の実施例では、第2プーリー36および第3プーリー37に対するロープ38の巻掛け回数は複数回であればよい。また、各プーリー35・36・37は、それぞれ1個のプーリーで構成する必要はなく、薄い複数の単位プーリーを多段状に組んで構成してあってもよく、その場合にはプーリーの周面でロープ38が絡まるのをより確実に解消できる。間隔吸収ばね33は引張りばねで形成することができ、その場合には、例えば周面にスリットが形成してある筒軸でガイド軸30を構成して、その内部に引張りばねを配置するとよい。また、丸軸状のガイド軸30の前後中央に形成したスリットで、可動プーリー台32が往復スライド可能に案内支持してあってもよい。本発明に係る連動開閉引戸は吊車型の引戸以外に、戸車型の引戸にも適用できる。プーリー構造のロープ38は1本である必要はなく、同じ長さの2本のロープを使用することができる。