JP6983603B2 - 有機絶縁体、金属張積層板および配線基板 - Google Patents

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Description

本開示は、有機絶縁体、金属張積層板および配線基板に関する。
近年、LSIの高速化や高集積化、メモリーの大容量化などが進み、それに伴って各種電子部品の小型化、軽量化、薄型化などが急速に進んでいる。従来、このような電子部品の分野で使用される配線基板などには、例えば、有機絶縁体の表面に銅箔を接着させた金属張積層板が使用されている。
特開2010−100843号公報
本開示の有機絶縁体は、環状オレフィンコポリマーを主成分とし、ベンゼン環を有する過酸化物を含む樹脂相中に難燃剤を含み、該難燃剤は、粒径を1μm毎に区切って粒度分布を評価したときに、1μm以下の範囲の個数頻度が最大である。
また、本開示の有機絶縁体は、環状オレフィンコポリマーを主成分とし、ベンゼン環を有する過酸化物を含む樹脂相中に難燃剤および無機粒子を含み、前記難燃剤は臭素系であり、前記無機粒子はシリカ、タルク、マイカ、クレー、酸化チタン、チタン酸バリウム、ガラスビーズ、ガラス中空球の群から選ばれる少なくとも1種であり、前記難燃剤および前記無機粒子のそれぞれの個数頻度は、粒径の増加とともに減少している。
本開示の金属張積層板は、上記の有機絶縁体と、該有機絶縁体の少なくとも一方の面に積層された金属箔とを備えている。
本開示の配線基板は、複数の絶縁層と該絶縁層間に配置された金属箔とを具備し、前記絶縁層が上記の有機絶縁体により構成されている。
金属張積層板の一実施形態を模式的に示す断面図である。 難燃剤の粒度分布の一例を示すグラフである。 無機粒子の粒度分布の一例を示すグラフである。
有機絶縁体の表面に金属箔を備えている金属張積層板が高周波用の配線基板に適用される場合、金属箔の表面粗さを小さくすることが要求される。しかし、金属箔の表面粗さを小さくすると、金属箔と有機絶縁体との接着強度が低下する。
図1は、金属張積層板の一実施形態を模式的に示す断面図である。図2は難燃剤の粒度分布の一例を示すグラフである。図3は無機粒子の粒度分布の一例を示すグラフである。
金属張積層板Aは有機絶縁体1の表面1aに金属箔3を有する。有機絶縁体1は樹脂相5中に難燃剤7を含んでいる。難燃材7は以下の粒度分布を有し、樹脂相5中に分散している。樹脂相5は全体が繋がった媒体の様相を呈した構造を成している。言い換えると、樹脂相5は有機絶縁体1において母相となる部分である。
図2に示した難燃剤7の粒度分布は、難燃剤7の粒径を1μmの間隔に区切って表している。1μm以下の間隔というのは、それぞれの粒径の数値の範囲を以下のように適用した範囲のことである。図2に示したグラフの横軸のそれぞれの数値は、各数値がその範囲の最大値であることを表している。
図2のグラフにおいて、横軸の粒径を表す数値が1となっている範囲は0より大きく1
以下の範囲である。横軸の粒径を表す数値が2となっている範囲は1より大きく2以下の範囲である。横軸の数値が3、4、5および6の範囲は、以下、それぞれの粒径を表す数値を、粒径を表す数値が前記2の場合と同様に適用させた範囲となる。
有機絶縁体1は、難燃剤7の粒度分布を評価したときに、1μm以下の範囲の個数頻度が最大である。樹脂相5に含まれる難燃剤7として、粒径が1μm以下の難燃剤7が多く含まれていると、有機絶縁体1の表面1aにおいて、難燃剤7が樹脂相5によって細かく分断された構造が多く形成される。つまり、難燃剤7のサイズが小さくなるため、金属箔3が接着する有機絶縁体1の表面1aは、個々の難燃剤7が占める面積が小さくなる。有機絶縁体1の表面1aは難燃剤7が露出した領域の中に樹脂相5が細かくなって露出した部分が多くなる。図1では、難燃剤7が露出した領域の中に樹脂相5が露出した部分を樹脂露出部5aとして表している。金属箔3の有機絶縁体1に接する表面3aは、通常、粗化処理されており、後述するように、所定の表面粗さ(Ra)を有している。金属箔3の表面3aは凹凸状である。難燃剤7が露出した領域の中に存在するサイズの小さい樹脂相5が金属箔3の表面3aの凹凸部分に接着しやすくなる。また、樹脂相5のサイズが小さいと、難燃剤7の周縁部が凹凸状となっていた場合に、樹脂層5が凹凸状の隙間部分に入り込むようになる。このため、難燃剤7も金属箔3との間で接着することが可能になる。これにより有機絶縁体1中に難燃剤7が多く含まれていても、難燃剤7に隣接する樹脂相5に金属箔3が接着しやすくなる。金属箔3の接着強度を高めることができる。また、有機絶縁体1の燃焼試験を行ったときに有機絶縁体1を燃えにくくすることができる。
なお、難燃剤7の粒度分布を評価したときに、個数頻度が最大となる粒径の位置が1μmより大きい範囲か、または個数頻度が評価した粒径の範囲の最小値の区間および最大値の区間以外の範囲になるような場合には、金属箔の接着強度が低くなり、また、有機絶縁体1の難燃性が低下するおそれがある。
有機絶縁体1中に粒径が1μmより大きい難燃剤7が含まれていると、粒径が1μmより大きい難燃剤7が含まれていない場合に比べて、有機絶縁体1の難燃性の低下を抑えることができる。
個数頻度とは有機絶縁体1中に存在する難燃剤7の個数を評価した値のことである。
有機絶縁体1に対して難燃剤7の個数を調べる方法は、以下の方法により行う。まず、有機絶縁体1から任意に断面を露出させる。次に、露出した断面から難燃剤7を特定し、所定の面積の範囲を定め、その範囲に存在する難燃剤7の個数を数える。個数の評価に用いる面積は200〜1000μm程度が良い。
有機絶縁体1の断面から難燃剤7を特定する場合には、エネルギー分散型X線分析器を付設した走査型電子顕微鏡を用いるのが良い。有機絶縁体1の断面に見られる難燃剤7は通常樹脂相5とは色調が異なっている。有機絶縁体1中に存在する塊が難燃剤7であるとの同定は、塊を分析したときに、塊から臭素(Br)が検出されるものを難燃剤7として判定する。この場合、有機絶縁体1の断面に見られる数個の塊について最初に分析を行い、難燃剤7として同定した塊の色調を認定した後、同じ色調の塊を数える方法を採用しても良い。
難燃剤7は、以下に示す化合物が好適である。例えば、リン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、赤燐、芳香族リン酸エステル、臭素系難燃剤(例えば、エチレンビスペンタブロモベンゼン、エチレンビステトラブロモフタルイミドなど)などが挙げられる。これらの難燃剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。難燃剤7は、樹脂相5の含有量を100質量部としたときに、15〜45質量部の割合で含まれているのが良い。難燃剤7がこのような割
合で含まれることによって誘電正接、密着性および耐湿性に対する影響を小さくしつつ、耐燃性や耐熱性をより向上させることができる。
また、有機絶縁体1は無機粒子9を含んでいても良い。無機粒子9は以下の粒度分布を有し、樹脂相5中に分散しているのが良い。図3に示した無機粒子9の粒度分布は、無機粒子9の粒径を0.5μmの間隔で区切って表している。0.5μm以下の間隔というのは、それぞれの粒径の数値の範囲を以下のように適用した範囲のことである。無機粒子9の粒度分布を0.5μm毎に区切ったのは、難燃剤7のように、粒径を1μm毎に区切った場合には、1μm以下の範囲の個数頻度が大部分となり、粒度分布の傾向が表れにくくなることを考慮したものである。
図3に示したグラフの横軸のそれぞれの数値は、その領域の最大値を表している。粒径を表す数値が0.5となっている範囲は0より大きく0.5以下の範囲である。粒径を表す数値が1となっている範囲は0.5より大きく1以下の範囲である。横軸の数値が1、1.5、2、2.5および3の範囲は、以下、粒径を表すそれぞれの数値を前記した0.5の場合と同様に適用させた範囲となる。
有機絶縁体1は、無機粒子9の粒度分布を評価したときに、0.5μm以下の範囲の個数頻度が最大である。樹脂相5に含まれる無機粒子9として、粒径が0.5μm以下の無機粒子9が多く含まれていると、有機絶縁体1中に無機粒子9が樹脂相5を細かく分断する構造が多く形成される。つまり、無機粒子9が局所的に凝集した領域のサイズが小さくなる。このため、金属箔3が接着する有機絶縁体1の表面1aは難燃剤7に加えて、個々の無機粒子9が占める面積が小さくなる。有機絶縁体1の表面1aは無機粒子9が露出した領域の中に樹脂相5が露出した状態となる。図1では、無機粒子9が露出した領域の中に樹脂相5が露出した部分を樹脂露出部5bとして表している。
この有機絶縁体1では、無機粒子9が露出した領域の中に存在するサイズの小さい樹脂相5が金属箔3の表面3aの凹凸部分に接着しやすくなる。また、樹脂相5のサイズが小さいと、無機粒子9の表面が凹凸状となっていた場合に、樹脂層5が凹凸状の隙間部分に入り込むようになる。このため、無機粒子9も金属箔3との間で接着することが可能になる。これにより有機絶縁体1に無機粒子9が多く含まれていても、無機粒子9に隣接する樹脂相5に金属箔3が接着しやすくなる。金属箔3の接着強度の低下を抑えることができる。接着強度のばらつきを小さくすることができる。また、有機絶縁体1の燃焼試験を行ったときに、有機絶縁体1の難燃性のばらつきを小さくすることができる。
有機絶縁体1中に含まれる無機粒子9の個数を調べる方法は、難燃剤7の場合と同様である。有機絶縁体1の断面に見られる無機粒子9も通常は樹脂相5とは色調が異なっている。有機絶縁体1中に存在する塊が無機粒子9であるとの同定は、塊を分析したときに、塊から以下に示す、炭素(C)、リン(P)および臭素(Br)以外の元素が検出されるものを無機粒子9と判定する。炭素(C)および臭素(Br)以外の元素とは、アルミニウム(Al)、珪素(Si)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、アルカリ土類元素の各元素(Mg、Ca、Sr、Ba)の群から選ばれる少なくとも1種である。
有機絶縁体1では、難燃剤7および無機粒子9のそれぞれの個数頻度を上記したように、1μm、0.5μmで区切ったときに、難燃剤7および無機粒子9のそれぞれの個数頻度は粒径の増加とともに減少する傾向を示すものが良い。難燃剤7および無機粒子9のそれぞれの個数頻度が粒径の増加とともに減少する傾向であると、有機絶縁体1中に含まれる難燃剤7および無機粒子が多くなっても、ともに樹脂相5を細かく分断する構造が維持されやすくなる。
また、難燃剤7の粒径の範囲は0.06μm以上6μm以下が良い。無機粒子9の粒径の範囲は0.04μm以上3.6μm以下が良い。さらに、難燃剤7の平均粒径は、無機粒子9の平均粒径よりも大きい方が良い。言い換えると、無機粒子9の平均粒径が難燃剤7の平均粒径よりも小さい方が良い。無機粒子9の平均粒径が難燃剤7の平均粒径よりも小さいと、難燃剤7が隣接している樹脂相5内に粒径の小さい無機粒子9が入り込みやすくなる。これにより有機絶縁体1と金属箔3との間の接着強度および難燃性をさらに高めることができる。
難燃剤7の個々の粒径および平均粒径、無機粒子9の個々の粒径および平均粒径についても、前述した難燃剤7および無機粒子9の個数頻度を求めた断面写真を用いて求める。難燃剤7の粒径および無機粒子9の粒径は、有機絶縁体1の断面における粒径となる。
具体的には、それぞれ難燃剤7および無機粒子9と特定した塊のそれぞれの輪郭を取り、次に、その輪郭を画像解析により円の面積に直す。次に、求めた円の面積から直径を求める。また、個々に求めた直径から平均値を求める。
無機粒子9としては、以下に示す金属酸化物が好適である。例えば、シリカ、タルク、マイカ、クレー、酸化チタン、チタン酸バリウム、ガラスビーズ、ガラス中空球などの群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。また、金属酸化物以外に、炭酸カルシウムなどの炭酸塩も使用できる。
樹脂相5の材料としては、環状オレフィンコポリマーを主成分とし、過酸化物を含むものが良い。過酸化物はベンゼン環を有するものが良い。有機絶縁体1としては、熱硬化性の有機化合物が良い。このような有機化合物としては、環状オレフィンコポリマーを主成分とするものが良い。樹脂相5に熱硬化性の特性を備えた環状オレフィンコポリマーを主成分とする材料を適用すると、温度依存性が小さく、高周波領域における比誘電率および誘電正接の低い有機絶縁体を得ることができる。誘電特性は、例えば、125℃において、30GHzにおける比誘電率が2.7以下、誘電正接が0.002以下となる。
熱硬化性の特性を備えた環状オレフィンコポリマーとしては、分子内に架橋可能な官能基を有しているのが良い。この場合、架橋可能な官能基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基およびメタクリル基の群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
ベンゼン環を有する過酸化物としては、例えば、t−ブチルペルオキシベンゾエート、α,α’−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキシドなどが挙げられる。
樹脂相5が環状オレフィンコポリマーによって形成される場合には、耐熱性という点からは、熱硬化性の環状オレフィンコポリマー(熱硬化COC)を主成分とするのが良いが、有機絶縁体1の主成分として、熱硬化性の環状オレフィンコポリマーを所定の割合以上含まれていれば熱可塑性の環状オレフィンコポリマー(熱可塑COC)との複合体であっても良い。
樹脂相5が熱硬化性の環状オレフィンコポリマーと熱可塑性の環状オレフィンコポリマーとの複合体である場合には、動的粘弾性測定によって得られる損失正接のピークが120〜150℃の温度領域と、80〜100℃の温度領域の2箇所に存在するものとなる。
樹脂相5が熱硬化性の環状オレフィンコポリマーと熱可塑性の環状オレフィンコポリマーとの複合体である場合には、環状オレフィンコポリマーが熱硬化性の環状オレフィンコポリマーである場合に比較して、有機絶縁体1の比誘電率および誘電正接をさらに低下さ
せることができる。この場合、有機絶縁体1の誘電特性は30GHzにおける比誘電率が2.69以下、誘電正接が0.0019以下となる。複合体中に含まれる熱硬化性の環状オレフィンコポリマーの含有量は60質量%以上80質量%以下が良い。複合体中に含まれる熱可塑性の環状オレフィンコポリマーの含有量は20質量%以上40質量%以下が良い。
有機絶縁体1には、この有機絶縁体1の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、応力緩和剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤などの添加剤が含まれていてもよい。
有機絶縁体1を作製する際の各成分の混合方法は特に限定されない。混合方法としては、例えば、全成分を溶媒中に均一に溶解または分散させる溶液混合法、押出機などにより加熱して行う溶融ブレンド法などが挙げられる。
溶液混合法で用いられる好適な溶剤としては、例えばキシレンを挙げることができる。この場合、固形分(樹脂)と溶剤との質量比は特に限定されないが、例えば60:40〜20:80であるとよい。なお、キシレンの他に、トルエン、ベンゼン、エチルベンゼンなどの芳香族系溶剤、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤、アセトンなどのケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、クロロホルムなどの他の溶剤を用いてもよく、また、キシレンと上記の他の溶剤と併用してもよい。
金属箔3としては特に限定されず、例えば、電解銅箔、圧延銅箔などの銅箔、アルミニウム箔、これらの金属箔を重ね合わせた複合箔などが挙げられる。これらの金属箔3の中でも、例えば銅箔が好適なものとなる。金属箔3の厚みは特に限定されず、例えば5〜105μm程度であるのが良い。
本開示の有機絶縁体1は金属箔3の表面粗さRaが小さい場合に適している。金属箔3の表面粗さRaとしては、例えば、0.5μm以下、特に、0.2μm以下であるのが良い。なお、金属箔3の有機絶縁体1との間の接着力を確保するという理由から、表面粗さ(Ra)は最低0.05μm以上であるのが良い。
金属張積層板Aは、有機絶縁体1と金属箔3とをそれぞれ所望の枚数重ね合わせ、加熱加圧成形して得られる。金属張積層板Aの誘電正接が例えば0.0017以下であれば、比誘電率など十分な電気特性が発揮されるため、例えば、高周波用の配線基板などに用いることができる。
配線基板は、複数の絶縁層と該絶縁層間に配置された導体層とを具備しており、絶縁層が上記の有機絶縁体1により構成されている。配線基板は、絶縁層および導体層が交互に多層化された多層配線基板の他に、キャビティ構造を有する配線基板にも同様に適用することができる。
配線基板は、例えば、本開示の金属張積層板に回路およびスルーホールが形成された内層板とプリプレグとを重ね合わせ、プリプレグの表面に金属箔を積層させた後、加熱(硬化)加圧成形して得ることもできる。さらに、表面の金属箔に回路およびスルーホールを形成して、多層プリント配線基板としてもよい。配線基板を構成する絶縁層(有機絶縁体)は、環状オレフィンポリマーを主材とし、赤外分光分析によりフェニル基が検出されるのがよい。
配線基板は、絶縁層に上記した有機絶縁体1を適用したものであることから、金属箔の接着強度が高く、また、高い耐燃性を有する。
このような配線基板は、例えば、上記した有機絶縁体となる樹脂組成物を調製する工程、樹脂組成物からシート状に成形して、半硬化の絶縁シートを形成する工程、この絶縁シートの表面に導体層となる金属箔を被着させる工程、金属箔を被着させた絶縁シートを所定の条件(温度、圧力および雰囲気)にて加熱加圧を行う工程を経て得ることができる。
以下、実施例を挙げて上記した実施形態を具体的に説明する。実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例および比較例で使用した成分は、下記のとおりである。
(環状オレフィンコポリマー(COC))
熱硬化COC:架橋可能な官能基を有する環状オレフィンコポリマー(三井化学(株)製)
熱可塑COC:架橋可能な官能基を有さない環状オレフィンコポリマー(三井化学(株)製)
(ベンゼン環を有する過酸化物)
パーブチルD:ジ−t−ブチルペルオキシド(日油(株)製、ベンゼン環無し)
(その他の添加剤)
無機粒子としてシリカを用いた。難燃剤としては、臭素系のエチレンビスペンタブロモベンゼンを用いた。難燃剤および無機粒子の粒径の範囲、平均粒径および粒度分布の傾向については、表1に示した。金属箔として銅箔を用いた。銅箔の表面粗さ(Ra)は表1に示した。
樹脂相は、環状オレフィンコポリマー(COC)100質量部に対し、パーブチルD(過酸化物)を1.8質量部添加した組成とした。
環状オレフィンコポリマー(COC)は、熱硬化COCを70質量部と熱可塑COCを30質量部配合した組成とした。
難燃剤は、環状オレフィンコポリマー(COC)100質量部に対して30質量部加えた。難燃剤としては「SAYTEX8010(アルベマール社製)」を用いた。無機粒子は、環状オレフィンコポリマー(COC)100質量部に対して20質量部加えた。難燃剤は粒径の範囲および粒度分布の傾向の異なる2種類を準備した。無機粒子も粒径の範囲および粒度分布の変化の異なる2種類を準備した。表1に示した試料No.1、2は、図2および図3に示した粒度分布を示す難燃剤および無機粒子を用いたものである。つまり、試料No.1、2は、難燃剤および無機粒子の個数頻度が粒径の増加とともに減少する傾向を示すものである。個数頻度が粒径の増加とともに減少する傾向を示すものについては、表1において、タイプ1と表記した。
一方、粒度分布の傾向が山形となっている矢印試料No.3、4は、個数頻度の最大値が測定した粒径の範囲において、最小の区間および最大の区間を除いた中央の領域に存在する傾向を示すものである。個数頻度の最大値が測定した粒径の範囲において、最小の区間および最大の区間を除いた中央の領域に存在する傾向を示すものについては、表1において、タイプ2と表記した。
次に、それぞれ準備した各成分を上記した割合で混合し、室温(25℃)にて撹拌して樹脂組成物を得た。難燃剤および無機粒子の粒径の範囲、平均粒径および粒度分布の変化は表1に示した。
次に、得られた樹脂組成物をキシレンに溶解させて樹脂ワニスを得た。樹脂組成物とキ
シレンとの質量比は40:60とした。次に、得られた樹脂ワニスを、バーコーターを用いてシート状に成形し、150℃にて4分間乾燥させて15μmの厚みを有するシート状成形体を得た。
次に、得られたシート状成形体を小片に切断して8枚重ね合わせて積層し、その両面に18μmの厚みを有する銅箔を積層した。試料No.1、3に用いた銅箔は、表面粗さ(Ra)が0.2μmであった。試料No.2、4に用いた銅箔の表面粗さ(Ra)は0.5μmであった。積層は、4MPaの加圧下、200℃で120分間加熱し、0.8mmの厚みを有する銅張積層板を得た。
次に、得られた銅張積層板から銅箔を剥がして有機絶縁体を取り出し、取り出した有機絶縁体について動的粘弾性測定(DMA)を行った。作製した有機絶縁体は、損失正接のピークが100℃以下の温度領域と120℃以上の温度領域に各1箇所存在するものであった。
作製した有機絶縁体1に含まれる難燃剤および無機粒子の個数を調べた。まず、有機絶縁体から任意に断面を露出させた。次に、露出した断面からエネルギー分散型X線分析器を付設した走査型電子顕微鏡を用いて難燃剤を特定し、対象とする領域内に存在する難燃剤および無機粒子をそれぞれ数えて粒径毎のそれぞれの個数頻度を求めた。測定に用いた面積は600μmとした。
難燃剤の個々の粒径および平均粒径、無機粒子の個々の粒径および平均粒径についても、難燃剤および無機粒子の個数頻度を求めた断面写真を用いて求めた。これらの場合、難燃剤の粒径が0.06μmよりも小さいもの、無機粒子の粒径が0.04μmよりも小さいものについては、塊の輪郭の形状が明確でなくなるためカウントに入れなかった。
作製した銅張積層板を用いて、銅箔の接着強度を測定した。銅箔の接着強度は、オートグラフを用いて、銅箔を有機絶縁体の表面から垂直な方向に引っ張る方式で測定した。試料数は5個とし、平均値を求めた。
燃焼試験は、UL94Vの燃焼試験方法を基に行った。有機絶縁体から切り出した試験片をクランプに垂直に取り付け、20mm炎による接炎を行い、有機絶縁体である試料から炎が消えた時間を測定した。試料数は5個とした。表1には、炎が消えた最短の時間と最長の時間を記した。燃焼試験は同じ試料について2回行った。なお、2回目の0秒(sec.)は試料に炎が付かなかったことを意味する。
Figure 0006983603
表1の結果から明らかなように、試料1、2は、銅箔の接着強度が0.91KN/m以上であり、燃焼試験についても1回目が6.2秒以下、2回目が0.5秒以下であったのに対し、試料No.3、4は、銅箔の接着強度が0.87KN/m以上であり、燃焼試験についても1回目が6.2秒以下、2回目が0.5秒以下であった
A・・・・・・・金属張積層板
1・・・・・・・有機絶縁体
1a・・・・・・(有機絶縁体の)表面
3・・・・・・・金属箔
3a・・・・・・(金属箔の)表面
5・・・・・・・樹脂相
5a、5b・・・樹脂露出部
7・・・・・・・難燃剤
9・・・・・・・無機粒子

Claims (9)

  1. 環状オレフィンコポリマーを主成分とし、ベンゼン環を有する過酸化物を含む樹脂相中に難燃剤を含み、該難燃剤は、粒径を1μm毎に区切って粒度分布を評価したときに、1μm以下の範囲の個数頻度が最大である、有機絶縁体。
  2. 無機粒子を含み、該無機粒子は、粒径を0.5μm毎に区切って粒度分布を評価したときに、0.5μm以下の範囲の個数頻度が最大である、請求項1に記載の有機絶縁体。
  3. 前記難燃剤および前記無機粒子のそれぞれの前記個数頻度は、粒径の増加とともに、減少している、請求項2に記載の有機絶縁体。
  4. 前記環状オレフィンコポリマーが熱硬化性の環状オレフィンコポリマーと熱可塑性の環状オレフィンコポリマーとを含む、請求項1乃至3のうちいずれかに記載の有機絶縁体。
  5. 環状オレフィンコポリマーを主成分とし、ベンゼン環を有する過酸化物を含む樹脂相中に難燃剤および無機粒子を含み、前記難燃剤は臭素系であり、前記無機粒子はシリカ、タルク、マイカ、クレー、酸化チタン、チタン酸バリウム、ガラスビーズ、ガラス中空球の群から選ばれる少なくとも1種であり、前記難燃剤および前記無機粒子のそれぞれの個数頻度は、粒径の増加とともに減少している、有機絶縁体。
  6. 前記難燃剤の平均粒径は、前記無機粒子の平均粒径よりも大きい、請求項2、請求項3、請求項2または請求項3を引用する請求項4、および請求項5のうちいずれかに記載の有機絶縁体。
  7. 前記環状オレフィンコポリマーが熱硬化性の環状オレフィンコポリマーと熱可塑性の環状オレフィンコポリマーとを含む、請求項5に記載の有機絶縁体。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の有機絶縁体と、該有機絶縁体の少なくとも一方の面に積層された金属箔とを備えている、金属張積層板。
  9. 複数の絶縁層と該絶縁層間に配置された金属箔とを具備し、前記絶縁層が請求項1〜7のいずれかに記載の有機絶縁体により構成されている、配線基板。
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