JP6977970B2 - 時系列データ解析装置及び時系列データ解析用プログラム - Google Patents

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Description

この発明は、時系列データ解析装置及び時系列データ解析用プログラムに関するものである。
時系列データがどのような特徴を有しているのかを把握するために、様々な手法が用いられる。例えば、時系列データについてカオス度合を把握するための定量化法として、リアプノフ指数と呼ばれる指標がよく用いられている。リアプノフ指数を求める場合は、データ生成源の情報(離散系の差分方程式や連続系の微分方程式等)が既知である必要がある。データ生成源の情報が未知である場合には、大量のデータから推定する手段が与えられているが、所謂「埋め込み次元の推定」に関する処理は、次元毎に系の様子を見ながら調整を繰り返す必要があり煩雑であるにもかかわらず、必ずしも一意に得られるものではないという問題がある(非特許文献5、6、7)。
近年になって情報理論に基づく「カオス尺度(Chaos Degree)」と称される指標が提案された(非特許文献1)。このカオス尺度とリアプノフ指数は極めて類似の挙動を示すことが知られている(非特許文献2、3、4)。図1には、ロジスティック写像(a:3.5〜4.0)のカオス尺度(分割数m=100)とリアプノフ指数の値の変化を示している。この図1から、カオス尺度とリアプノフ指数は、類似の変化を行うことが明らかである。カオス尺度は、データのみから一意に計算可能であるという特徴を有している。
近年になって、本願発明者らは、カオス尺度とリアプノフ指数の数理学的関係性を明らかにした(非特許文献8、9、10)。
<カオス尺度の定義>
データ長がn+1の時系列データを
{ξ0,ξ1,ξ2,・・・,ξn}・・・(1)
と表す。
データは、差分方程式τ
Figure 0006977970
により、
Figure 0006977970
として生成されているものとする。
上記のξkが含まれている区間I≡[a,b]をm個の区間に等分割する。この分割区間をXi(i=1,2,・・・,m)とすると、Iについて次の式(2)が成り立つ。
Figure 0006977970
ここで、ξk∈Xiとなる確率分布p(i)と、ξk∈Xi,ξk+1∈Xjとなる同時確率分布p(i,j)を次の式(3)、(4)の通りに算出する。
Figure 0006977970
上記において#{(条件式)}は、(条件式)を満たす数を意味する。
上記のように確率分布p(i)と同時確率分布p(i,j)が求まると、カオス尺度Hは以下の式(5)または式(6)として定義される。
Figure 0006977970
ただし、0log0=0とする。
上記のカオス尺度Hの最小値は0であるが、最大値は分割数mに依存してlogmである。
Figure 0006977970
カオス尺度Hの値は大きいほどカオス性が大きい(複雑性が高い)ことを意味する。即ち、カオス尺度Hに関する解釈は、次のようにまとめることができる。
Figure 0006977970
上記のカオス尺度Hを、(1)単調増加データ、(2)周期データ、(3)ノイズが加わった周期データ、(4)正規分布に従うランダムデータ、(5)一様ランダムデータ、のそれぞれについて計算した結果、図2に示すようになった。
上記カオス尺度Hの計算は次の通りに行った。即ち、各データのデータ長をn+1=101、カオス尺度の分割数をm=5、データの値域[0,1]をm=5で等分割した区間を分割区間として計算を行った。この場合のカオス尺度の最大値はlogm=log5=1.6095であった。よって(5)の一様ランダムデータのカオス尺度が最大値に近く、カオス性(複雑度)が高いことを確認できる。
図2には、上記(1)〜(5)のデータについてカオス尺度Hと共に分散s2を計算して示してある。この図2からは、直感的に、(1)と(2)のデータが複雑とは言えず、(3)のデータがやや複雑さを帯びており、(4)と(5)のデータがランダムデータ故に複雑であると結論できる。この図2では、(1)〜(5)へ移行するに従ってデータの複雑さが増すように並べており、カオス尺度Hの値が徐々に大きくなっており直感的に複雑度が増していることが分かる。
一方、分散s2は、以下の式で表わされる。
Figure 0006977970
上記分散s2は、暫し、「データのばらつき度合を示す」と説明される。分散は、データの平均値からの距離の二乗平均であって、データの乱雑さとは異なるものであることが図2に示されている値からも理解できる。即ち、データのデタラメさ、ランダムさ、乱雑さ、複雑さ、カオス性などを定量化して議論する場合には、分散を用いるよりもカオス尺度を用いる方が適切であることが分かる。
<カオス尺度とリアプノフ指数>
リアプノフ指数λは、不変測度(確率密度関数)ρを用いて次のように表わされる。
Figure 0006977970
本願の発明者らは、カオス尺度の分割をΔx≡|Xi|(j=1,2,・・・,m)と表したとき、カオス尺度はΔx→0の極限において、
Figure 0006977970
の関係にあることを示した(非特許文献9、11)。ここで、D(x)は非負の関数である。よって、HΔx0≧λの関係にある。このD関数の詳細は非特許文献8、9に示す通りである。|τ´(x)|におけるD関数の上限(Dsup)と下限(Dinf)を図3に示す。
このように、本願発明者らは、カオス尺度とリアプノフ指数の数理学的関係性を明らかにした(非特許文献8、9、10)。
本発明は、上記のような事情に鑑み、カオス尺度とリアプノフ指数の差分を極めて小さくするように拡張を行った新たなカオスに関する指標(「拡張カオス尺度」と称する。)を用いて、与えられたデータのみからリアプノフ指数に極めて近似した値を一意に得るようにする。
また、データ生成源である写像が既知であり、かつ写像が保測写像である特殊な場合には、カオス尺度とKSエントロピーが同値を示すことが分かっている。そこで、本発明は、KSエントロピーの推定にも適用可能となるものである。
大矢雅則,原利英,"数理物理と数理情報の基礎,"近代科学社,2016年 K.Inoue, M.0hya, K.Sato, "Application of chaos degree to some dynamical systems," Chaos, Solitons& Fractals, Volume 11, Issue9, July2000, Pages 1377-1385 K.Inoue, "Basic properties of entropic chaos degree in classical systems," Internationa1 journal on information 16(12(B)), December2013,8589-8596 井上哲,"カオス尺度における準周期軌道の取り扱い,"日本応用数理学会論文誌,VOL.25,No2,2005年,pp.105−115 岡田大樹,梅野健,"新たな非線形時系列解析の手法―移動最大リアプノフ指数線によるカオス解析―,"レーザー学会,Vol.43,No6(2015)1993,pp.117−134. A. Wolf, J. B. Swift, H. L. Swinney and J. A. Vastano, "Determining Lyapunov Exponents from a Time Series," Physica D, Vol. 16, No3,1985, pp285-317. M. T. Rosenstein, J. J. Collins and C. J. De Luca, "A Practical Method for Calculating Largest Lyapunov Exponents for Small Data Sets," Physica D, Vol.65,1993, pp.117-134. 奧富秀俊,真尾朋行,"カオス尺度とリアプノフ指数の数理的関係性について,"電子情報通信学会,2017年度第3回CCS研究会(2), November,2017 奥富秀俊,真尾朋行,"カオス尺度の極限値の算出について,"日本応用数理学会2018年度年会,応用カオス(1)−3, September2018 真尾朋行,奧富秀俊,梅野健,"カオス尺度の計算方法について,"日本応用数理学会、2018年度年会,応用カオス(1)−4, September2018 奧富秀俊,"カオス尺度とKSエントロピーの関係についての考察,"電子情報通信学会,2018年度第1回CCS研究会(2), June,2018 真尾朋行,奧富秀俊,"心拍間隔データのカオス尺度と自律神経活動の関連について,"日本応用数理学会2016年度年会,応用カオス(2)−1, September2016 真尾朋行,奥富秀俊,"心拍変動のカオス性と副交感神経活動との関係について,"電子情報通信学会,第3回CCS研究会(1), November,2017
本発明は、解析対象のデータが離散系であろうと連続系のデータであろうと、適切に特にカオス性解析を行うことが可能な時系列データ解析装置を提供する。
本実施形態に係る時系列データ解析装置は、nを正の整数として、データ長がn+1の時系列データ{ξ0,ξ1,ξ2,・・・,ξn}が、写像τによりξk=τ(ξk-1)=τk(ξ0),k=1,2,・・・,nとして生成されるという仮定の基に、ξkが含まれる区間I≡[a,b]をm個の区間に等分割した分割区間Xi(i=1,2,・・・,m)について、下記の式(9)が成り立ち、
前記分割区間のそれぞれを更にM等分した細分割区間X´jについて、
細分割区間をX´i(i=1,2,・・・,m×M)とすると、下記の式(10)が成り立ち、
且つ、ξk∈Xiとなる確率分布p(i)を求める確率分布算出手段と、
前記分割区間Xiと前記細分割区間X´jについて、ξk∈Xi、ξk+1∈X´jとなる同時確率p´(i,j)を求める同時確率算出手段と、
条件付確率p´(j|i)を後述の式(23)から求める条件付確率算出手段と、
後述の式(14)と後述の式(15)に基づき拡張カオス尺度H * を算出する拡張カオス尺度算出手段とを具備することを特徴とする。
Figure 0006977970
Figure 0006977970

ロジスティック写像のカオス尺度とリアプノフ指数の値の変化を示す図。 カオス尺度Hを、(1)単調増加データ、(2)周期データ、(3)ノイズが加わった周期データ、(4)正規分布に従うランダムデータ、(5)一様ランダムデータ、のそれぞれについて計算した結果を示す図。 写像をτとしたとき、|τ´(x)|におけるD関数の上限(Dsup)と下限(Dinf)を示す図。 本発明の実施形態に係る時系列データ解析装置のブロック図。 本発明の実施形態に係る時系列データ解析装置の内部機能を示すブロック図。 本発明の実施形態に係る時系列データ解析装置による計算法1を用いて拡張カオス尺度を算出する動作(前半)のフローチャート。 本発明の実施形態に係る時系列データ解析装置による計算法1を用いて拡張カオス尺度を算出する動作(後半)のフローチャート。 本発明の実施形態に係る時系列データ解析装置による計算法1(m=20、M=20,n=10000)によりロジスティック写像から得られた拡張カオス尺度と、従来のカオス尺度、更にリアプノフ指数の波形を示す図。 本発明の実施形態に係る時系列データ解析装置による計算法1(m=100、M=20,n=1000000)によりロジスティック写像から得られた拡張カオス尺度と、従来のカオス尺度、更にリアプノフ指数の波形を示す図。 計算法2により拡張カオス尺度を算出する過程の説明を行うためのタイミングチャート。
以下添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る時系列データ解析装置及び時系列データ解析用プログラムを説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図4に実施形態に係る時系列データ解析装置100のブロック図を示す。時系列データ解析装置100は、クラウドコンピュータ、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、その他のコンピュータにより構成することができる。
時系列データ解析装置100は、CPU101が主メモリ102のプログラムやデータに基づき演算を行うものである。CPU101には、バス103を介して外部記憶装置104が接続されており、外部記憶装置104には、時系列データ解析用プログラムが記憶されている。CPU101が外部記憶装置104から時系列データ解析用プログラムを主メモリ102へ読み出してこのプログラムを実行することにより時系列データ解析装置として機能する。
バス103には、外部記憶装置104以外に時系列データ取得部105が接続されている。時系列データ取得部105は、外部のセンサなどからリアルタイムで時系列データを取り込み保持するものとすることができ、或いは、外部の何らかの装置などが収集した時系列データを取り込み保持したものとすることができる。更に、収集した時系列データを記憶した媒体がセットされることにより、時系列データを保持し供給可能となっている装置であっても良い。更に、上記の構成を全て備えたものであっても良い。いずれにしても、CPU101が時系列データ解析用プログラムを実行して時系列データの解析を行う場合には、時系列データはこの時系列データ取得部105から供給される。
バス103には、結果出力部106が接続されている。結果出力部106は、表示装置やプリンタなど、時系列データ解析装置100において処理した結果を出力する装置とすることができる。また、結果出力部106は、時系列データ解析装置100において処理した結果を記憶する媒体でもよく、更に、回線などを介して処理の依頼者(クライアント)へ処理結果を送信などする装置であっても良い。
外部記憶装置104に記憶されている時系列データ解析用プログラムが実行されることにより、図5に示される各手段が実現される。即ち、時系列データ解析装置100は、図5に示されるように、確率分布算出手段201、同時確率算出手段202、条件付確率算出手段203、拡張カオス尺度算出手段204を具備している。
本実施形態の時系列データ解析装置100では、以下に示す<拡張カオス尺度>を得るものであり、これにより、カオス尺度とリアプノフ指数の差を小さく抑え、リアプノフ指数の推定値として機能させるものである。これによって、KSエントロピーの推定値としても機能させるようにする。
確率分布算出手段201は、nを正の整数として、データ長がn+1の時系列データ{ξ0,ξ1,ξ2,・・・,ξn}が、写像τによりξk=τ(ξk-1)=τk(ξ0),k=1,2,・・・,nとして生成されるという仮定の基に、ξkが含まれる区間I≡[a,b]をm個の区間に等分割した分割区間Xi(i=1,2,・・・,m)について、
Figure 0006977970
Figure 0006977970
且つ、ξk∈Xiとなる確率分布p(i)を求めるものである。
別言すれば、確率分布算出手段201は、nを正の整数として、データ長がn+1の時系列データ{ξ0,ξ1,ξ2,・・・,ξn}が、写像τによりξk=τ(ξk-1)=τk(ξ0),k=1,2,・・・,nとして生成されるという仮定の基に、ξkが含まれる区間I≡[a,b]をm個の区間に等分割した分割区間Xi(i=1,2,・・・,m)について、上記の式(9)が成り立ち、
前記分割区間のそれぞれを更にM等分した細分割区間X´jについて、細分割区間をX´i(i=1,2,・・・,m×M)とすると、上記の式(10)が成り立ち、
且つ、ξk∈Xiとなる確率分布p(i)を求めるものである。
<拡張カオス尺度>
データ長がn+1の時系列データを式(8)により表す。
{ξ0,ξ1,ξ2,・・・,ξn}・・・(8)
<カオス尺度の定義>において述べたように、分割数mに対する分割区間XiをXi(i=1,2,・・・,m)とすると、Iについて次の式(9)が成り立つものであった。なお、式(9)と式(2)は、同一である。
Figure 0006977970
上記分割区間を各分割区間毎にM分割した細分割区間をX´iをX´i(i=1,2,・・・,m×M)とすると、Iについて次の式(10)が成り立つ。
Figure 0006977970
ここで、ξk∈Xiとなる確率分布p(i)と、ξk∈Xi,ξk+1∈X´jとなる同時確率分布p´(i,j)は、次に示す式(11)と式(12)のようになる。
Figure 0006977970
上記式(11)により確率分布算出手段201が確率分布p(i)を求める。また、上記式(12)により同時確率算出手段202が同時確率p´(i,j)を求める。
また、本実施形態では、拡張カオス尺度H*を拡張カオス尺度算出手段204が算出するが、拡張カオス尺度H*を求めるための中間値として次の式(13)と式(14)により示されるhを拡張カオス尺度算出手段204が算出する。
Figure 0006977970
拡張カオス尺度H*を拡張カオス尺度算出手段204が算出するためには、次の式(15)によるものとする。即ち、拡張カオス尺度算出手段204は、次の式(15)と、上記式(13)または上記式(14)のいずれかを用いて、拡張カオス尺度H*を算出する。
Figure 0006977970
ただし、
0log0=0
である。
<H*の計算法1>
<H*の計算法1>は、写像τと不変測度(確率密度関数)ρが未知で、データから算出を行う場合に適用される。且つ、データが存在する区間のデータ密度が一定であることを家庭しない場合(一般的な場合)である。この計算法1による時系列データ解析装置或いは時系列データ解析用プログラムによって行われる処理を、図6と図7のフローチャートを参照して説明する。
初期設定として、分割数をm、細分割数をM、データの定義域をI=[a,b]とし、分割数mにより分割された1区分の長さΔxがΔx=(b−a)/mとする(S11)。更に、レジスタi,jの値を1に、h,kの値を0に初期化し(S12)、カウンタc1[],c2[][]の初期化が行われる(S13)。次に、データ長がn+1の時系列データ{ξ0,ξ1,ξ2,・・・,ξn}の取り込みが行われる(S14)。
ステップS15からステップS17までにおいてはkをn−1まで1づつ歩進させて処理を行うステップである。ステップS15においてkを1歩進させ、ステップS16では、p(i)、p´(i,j)、p´(j|i)、を求めるために、カウンタc1[],c2[][]の値を確定する。
具体的には、次の式(16)、(17)からν1、ν2を求める。なお、式(18)、(19)においては、矢印「←」の右辺の値を左辺にセットすることを示す。
Figure 0006977970
上記の通りの計算からν1、ν2が求められると、次の式(18)、(19)からカウンタc1[],c2[][]の値が求められる。
Figure 0006977970
上記ステップS16の処理が終了すると、ステップS17においてkがn−1となったかを検出し、n−1となっていなければ、ステップS15へ戻りkを1歩進してステップS16の処理を行い、ステップS17へ進みkがn−1となったかを検出する処理を繰り返す。このようにして、処理を繰り返すとステップS17においてk=n−1の成立が検出されると、図7のフローチャートに示す処理が行われる。即ち、ステップS21からステップS26までにおいてはiをmまで1づつ歩進させて処理を行うステップである。
ステップS21においてはiをmまで1づつ歩進させると、p(i)へc1[j]/nをセットし(S22)、ステップS23へ進む。ステップS23からステップS25まではjをm×Mまで1づつ歩進させて処理を行うステップである。ステップS23においてjを1歩進させ、p´(i,j)を求め、p´(j|i)を求める(S24)。ステップS16における処理によってc1[i],c2[i][j]は、それぞれ次の式(20)、(21)によって表されるように求まっている。
Figure 0006977970
上記からp(i)は既に述べた通り、c1[j]/nがセットされるステップS22の処理により、p´(i,j)、p´(j|i)は、それぞれ式(22)、(23)により表される式により計算される。
Figure 0006977970
上記のp(i)は、確率分布算出手段201が算出を行い、p´(i,j)は、同時確率算出手段202が算出を行い、p´(j|i)は、条件付確率算出手段203が算出を行う。上記のステップS24が終了すると、ステップS25において、j=m×Mとなったかを検出し、j=m×MとなっていなければステップS23へ戻ってjを1歩進させると、ステップS24へと進む処理を繰り返す。上記のようにしてステップS23からステップS25の処理を繰り返すうちにステップS25を通過すると、ステップS26においてi=mとなったかを検出し、i=mとなっていなければステップS21へ戻ってiを1歩進させると、ステップS22からステップS26へと進む処理を繰り返す。この処理を繰り返すうちに、ステップS26を通過すると、ステップS27の処理を実行する。
ステップS27においては、拡張カオス尺度算出手段204が式(14)により、中間値であるhを算出する(S27)。ステップS27に続いては、次式(24)により拡張カオス尺度H*を求める(S28)。
Figure 0006977970
ステップS29においては、上記ステップS28において求まっているhを拡張カオス尺度H*として結果出力部106から出力する(S29)。
以上のようにして<H*の計算法1>によりロジスティック写像から得られた拡張カオス尺度と、従来のカオス尺度、更にリアプノフ指数の波形を図8、図9に示す。図8では、分割数mが20、細分割数Mが20、データ長を定義するnが10000である場合を示す。また、図9では、分割数mが100、細分割数Mが20、データ長を定義するnが1000000である場合を示す。いずれの場合も拡張カオス尺度がリアプノフ指数に近似しており、時系列データ解析に極めて優れたものであることを示している。
<H*の計算法2>
本実施形態に係るデータ解析手法は、処理が所謂軽量にできているため、リアルタイムで得られるデータに対してリアプノフ指数による解析に極めて近似した解析を行うことが可能である。時系列データがリアルタイムに得られている場合に、拡張カオス尺度H*を得る計算法を<H*の計算法2>と称し、以下に説明を行う。図10のタイミングチャートに示されるように、時系列データは最上部の右横向き矢印により示されている通りリアルタイムで常時到来するものとする。
初めに時刻t0から時刻t1までの時間間隔T(=t1−t0)における時系列データDA1を抽出して第1番目の抽出データとする。この第1番目の抽出データは時刻t1の直後に本実施形態に係る時系列データ解析用プログラムに渡され、処理が行われて第1番目の拡張カオス尺度H1 *が得られ、その後に結果出力部106から出力される。
次に、時刻t0+Δtから時刻t1+Δtまでの時間間隔T(=t2−t1)における時系列データDA2を抽出して第2番目の抽出データとする。この第2番目の抽出データは時刻t1+Δtの直後に本実施形態に係る時系列データ解析用プログラムに渡され、処理が行われて第2番目の拡張カオス尺度H2 *が得られ、その後に結果出力部106から出力される。
次に、時刻t0+2Δtから時刻t1+2Δtまでの時間間隔T(=t3−t2)における時系列データDA3を抽出して第3番目の抽出データとする。この第3番目の抽出データは時刻t1+3Δtの直後に本実施形態に係る時系列データ解析用プログラムに渡され、処理が行われて第3番目の拡張カオス尺度H3 *が得られ、その後に結果出力部106から出力される。
更に、同様に第4番目の抽出データから第4番目の拡張カオス尺度H4 *が得られ、以下同様に処理が続けられる。即ち、本実施形態では、データ長がn+1の時系列データ{ξ0,ξ1,ξ2,・・・,ξn}をサンプリング期間をずらして複数回サンプリングし、上記拡張カオス尺度算出手段204は、サンプリングした複数回分の時系列データ毎に拡張カオス尺度算出を行う。斯くして、本実施形態では、次々に所要時間拡張カオス尺度H4 *が得られ、それぞれの時間単位でデータ解析を行うことができる。
なお、上記実施の形態では、k番目の抽出データとk+1番目の抽出データとがオーバーラップする部分があるが、k番目とk+1番目の間の抽出時間間隔Δtにおいて大量のデータが到来するような場合には、オーバーラップ部分を設けることなく計算を行っても良いことは勿論である。
サンプリング期間をずらして複数回サンプリングして、サンプリングした複数回分の時系列データ毎に拡張カオス尺度算出を行う(第1の処理態様という)のではなく、拡張カオス尺度算出手段204は、データ長がn+1の時系列データ{ξ0,ξ1,ξ2,・・・,ξn}を1度のサンプリングにより得て拡張カオス尺度算出を行うよう(第2の処理態様という)にしても良い。また、第1の処理態様と第2の処理態様と双方を有し、データの長さや計算を行う時間帯に応じて、更には、オペレータの指示により、上記の2態様の一方を採用するようにしても良い。
本願の発明者らは、非特許文献12において、心拍間隔データのカオス尺度と自律神経活動の関連について記述し、非特許文献13において、心拍変動のカオス性と副交感神経活動との関係について記述した。このように心拍変動のカオス性と眠気や怠慢等の生理状態とは相関が見られることから、本実施形態の解析装置や解析用プログラムは、生体の生理状態について解析する場合に極めて有用な拡張カオス尺度を時系列データから得ることができるものである。
電子機器等においては、電源電圧の不規則な揺らぎ(カオス的な変化)は、電圧供給先である内部の電子部品乃至素子等の抵抗値等に係る電気的特性が不規則に変動している可能性を示唆するものである。従って、電子機器等の電源電圧を時系列データとして本実施形態に係る解析装置や解析用プログラムを用いて解析を行うことによって電子部品乃至素子等の異常や故障の検出並びに予測へつながることが期待される。
更に、機械学習やディープラーニングは、入力データの特徴Aに対し人間や自然界或いは機械・装置において生じる事象Bとの対応関係を過去のデータを用いて学習しておき、新たな入力データnewAに対して最も生じる可能性が高い事象BBを自動的に割り出すものと言える。そこで、本実施形態に係る解析装置や解析用プログラムを用いて入力データの特徴Aを解析しておき、これに対する事象Bを対応付けて、機械学習やディープラーニングへ与えて学習させ、その後に到来する入力データについての、本実施形態に係る解析装置や解析用プログラムを用いて得た特徴から最も生じる可能性が高い事象の推定などに適用でき得るものと考えられる。
まとめるならば、機械学習を含む一般的なデータ解析に用いられる数学的手法は、データの規則性を見出すことを主目的として発展してきた背景がある。これに対し、本実施形態に係る解析装置や解析用プログラムのように規則性とは逆の事象である不規則性(カオス性)を把握して事象に対する特徴とする手法は一般的に行われているものではない。従って、本実施形態に係る解析装置や解析用プログラムを用いて得た不規則性の特徴を用いるものは、発生事象の予測や発生している事象の検出など幅広い応用が期待できる。
100 時系列データ解析装置
102 主メモリ
103 バス
104 外部記憶装置
105 時系列データ取得部
106 結果出力部
201 確率分布算出手段
202 同時確率算出手段
203 条件付確率算出手段
204 拡張カオス尺度算出手段

Claims (10)

  1. nを正の整数として、データ長がn+1の時系列データ{ξ0,ξ1,ξ2,・・・,ξn}が、写像τによりξk=τ(ξk-1)=τk(ξ0),k=1,2,・・・,nとして生成されるという仮定の基に、ξkが含まれる区間I≡[a,b]をm個の区間に等分割した分割区間Xi(i=1,2,・・・,m)について、下記の式(9)が成り立ち、
    前記分割区間のそれぞれを更にM等分した細分割区間X´jについて、細分割区間をX´i(i=1,2,・・・,m×M)とすると、下記の式(10)が成り立ち、
    且つ、ξk∈Xiとなる確率分布p(i)を求める確率分布算出手段と、
    前記分割区間Xiと前記細分割区間X´jについて、ξk∈Xi、ξk+1∈X´jとなる同時確率p´(i,j)を求める同時確率算出手段と、
    条件付確率p´(j|i)を下記の式(23)から求める条件付確率算出手段と、
    下記の式(14)と下記の式(15)に基づき拡張カオス尺度H * を算出する拡張カオス尺度算出手段と
    を具備する時系列データ解析装置。
    Figure 0006977970
    Figure 0006977970
    Figure 0006977970
    Figure 0006977970
  2. 前記拡張カオス尺度算出手段は、次式(13)と次式(15)に基づき拡張カオス尺度H*を算出することを特徴とする請求項1に記載の時系列データ解析装置。
    Figure 0006977970
  3. 前記確率分布算出手段と前記同時確率算出手段は、
    データ長がn+1の時系列データ{ξ0,ξ1,ξ2,・・・,ξn}から、確率分布p(i)、同時確率分布p´(i,j)を求めることを特徴とする請求項1または2に記載の時系列データ解析装置。
  4. データ長がn+1の時系列データ{ξ0,ξ1,ξ2,・・・,ξn}を1度のサンプリングにより得て、前記拡張カオス尺度算出手段は、拡張カオス尺度算出を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の時系列データ解析装置。
  5. データ長がn+1の時系列データ{ξ0,ξ1,ξ2,・・・,ξn}をサンプリング期間をずらして複数回サンプリングし、前記拡張カオス尺度算出手段は、サンプリングした複数回分の時系列データ毎に拡張カオス尺度算出を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の時系列データ解析装置。
  6. コンピュータを、
    nを正の整数として、データ長がn+1の時系列データ{ξ0,ξ1,ξ2,・・・,ξn}が、写像τによりξk=τ(ξk-1)=τk(ξ0),k=1,2,・・・,nとして生成されるという仮定の基に、ξkが含まれる区間I≡[a,b]をm個の区間に等分割した分割区間Xi(i=1,2,・・・,m)について、下記の式(9)が成り立ち、
    前記分割区間のそれぞれを更にM等分した細分割区間X´jについて、細分割区間をX´i(i=1,2,・・・,m×M)とすると、下記の式(10)が成り立ち、
    且つ、ξk∈Xiとなる確率分布p(i)を求める確率分布算出手段、
    前記分割区間Xiと前記細分割区間X´jについて、ξk∈Xi、ξk+1∈X´jとなる同時確率p´(i,j)を求める同時確率算出手段、
    条件付確率p´(j|i)を下記の式(23)から求める条件付確率算出手段、
    下記の式(14)と下記の式(15)に基づき拡張カオス尺度H * を算出する拡張カオス尺度算出手段
    として機能させることを特徴とする時系列データ解析用プログラム。
    Figure 0006977970
    Figure 0006977970
    Figure 0006977970
    Figure 0006977970
  7. 前記コンピュータを前記拡張カオス尺度算出手段として、次式(13)と次式(15)に基づき拡張カオス尺度H*を算出するように機能させることを特徴とする請求項6に記載の時系列データ解析用プログラム。
    Figure 0006977970
  8. 前記コンピュータを、前記確率分布算出手段と前記同時確率算出手段として、
    データ長がn+1の時系列データ{ξ0,ξ1,ξ2,・・・,ξn}から、確率分布p(i)、同時確率分布p´(i,j)を求めるように機能させることを特徴とする請求項6または7に記載の時系列データ解析用プログラム。
  9. データ長がn+1の時系列データ{ξ0,ξ1,ξ2,・・・,ξn}を1度のサンプリングにより得て、前記コンピュータを前記拡張カオス尺度算出手段として、拡張カオス尺度算出を行うように機能させることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の時系列データ解析用プログラム。
  10. データ長がn+1の時系列データ{ξ0,ξ1,ξ2,・・・,ξn}をサンプリング期間をずらして複数回サンプリングし、前記拡張カオス尺度算出手段は、サンプリングした複数回分の時系列データ毎に拡張カオス尺度算出を行うことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の時系列データ解析用プログラム。
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