JP6977736B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、視野角拡大フィルム、偏光板、及び液晶表示装置に関する。
TNモード及びVAモードの液晶表示装置は、技術が確立され比較的安価に供給可能である一方、表示面を斜め方向から観察した場合の表示品質が劣り、利用可能な視野角が狭い場合が多い。具体的には、画面に表示した画像の明るさと、画像を観察して測定される輝度との関係が、正面から観察した場合と斜め方向から観察した場合とで大きく相違し、液晶表示装置の視認が困難となりうる。このため、TNモードの液晶表示装置は、従来は中小型テレビやパーソナルコンピュータなどの決まった角度から視認する表示装置に主に採用されてきた。しかしながら、近年、タブレット型端末などの、広視野角での視認性が求められる装置でも、視野角を拡大するための手段と共に、これらのモードの液晶表示を用いることが試みられている。
視野角を拡大するための手段の例としては、特定の位相差を有し、それにより視野角を補償する位相差層が知られている。また、そのような位相差層の製造方法についても、種々の提案がなされている(例えば特許文献1及び2)。
特開2013−151162号公報(対応他国出願:米国特許出願公開第2002/180107号明細書) 国際公開第2009/084661号(対応他国出願:米国特許出願公開第2011/039084号明細書)
しかしながら、より広範囲な視野角において良好な表示を実現しうる表示装置が求められている。具体的には、液晶表示装置のコントラスト比を高い水準に保ちながら、且つ、階調輝度特性(画面に表示した画像の明るさと、その画像を観察して測定される輝度との関係)について、斜め方向から観察した階調輝度特性が、正面から観察した階調輝度特性に近い表示装置が求められている。
従って、本発明の目的は、高いコントラスト比及び広範囲な視野角を達成しうる視野角拡大フィルム、偏光板、及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明者は前記の課題を解決するべく検討した結果、特定の屈折率を有する材質の層を含み且つ当該層に特定の構造を有するフィルムを、視野角拡大フィルムとして表示装置に適用することにより、かかる課題を解決しうることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕 視野角を拡大するための視野角拡大フィルムであって、前記視野角拡大フィルムは、1層以上の樹脂層を備え、
前記樹脂層の1層以上は孔含有層であり、
前記孔含有層は、互いに略平行な孔含有部を複数備え、
前記孔含有部は孔を含有し、
前記孔含有層は、その屈折率が1.53以下である、視野角拡大フィルム。
〔2〕 前記孔含有層を構成する樹脂が、非晶性樹脂である、〔1〕に記載の視野角拡大フィルム。
〔3〕 2層以上の前記樹脂層を備える、〔1〕又は〔2〕に記載の視野角拡大フィルム。
〔4〕 隣り合う前記孔含有部の間隔が、50μm以下のランダムな間隔である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の視野角拡大フィルム。
〔5〕 紫外線吸収剤を含有する、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の視野角拡大フィルム。
〔6〕 前記視野角拡大フィルムが、偏光板保護フィルムである、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の視野角拡大フィルム。
〔7〕 前記孔含有部がクレーズからなる、〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の視野角拡大フィルム。
〔8〕 〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の視野角拡大フィルムと、偏光子とを備える、偏光板。
〔9〕 前記孔含有部の長手方向が、前記偏光子の吸収軸に対して平行又は垂直である、〔8〕に記載の偏光板。
〔10〕 前記偏光子の吸収軸と前記孔含有部の長手方向とのなす角が45°である、〔8〕に記載の偏光板。
〔11〕 視認側から、〔8〕又は〔9〕に記載の偏光板、及びTNモードの液晶セルを、この順で備えるTNモードの液晶表示装置であって、
前記偏光板は、その前記視野角拡大フィルム側の面が視認側となるよう配置され、
表示画面を斜め方向から視認した時に階調反転する方位角度と前記孔含有部の長手方向とのなす角が垂直である、TNモードの液晶表示装置。
〔12〕 視認側から、〔8〕又は〔9〕に記載の偏光板、及びVAモードの液晶セルを、この順で備えるVAモードの液晶表示装置であって、
前記偏光板は、その前記視野角拡大フィルム側の面が視認側となるよう配置される、VAモードの液晶表示装置。
本発明によれば、高いコントラスト比及び広範囲な視野角を達成しうる視野角拡大フィルム、偏光板、及び液晶表示装置が提供される。
図1は、視野角拡大フィルムの一例を模式的に示す平面図である。 図2は、クレーズの構造の一例を示す拡大模式図である。 図3は、クレーズ加工装置の一例を模式的に示す斜視図である。 図4は、図3のブレード付近を拡大して模式的に示す側面図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「偏光板」とは、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
以下の説明において、構成要素の方向が「45°」、「平行」、「垂直」又は「直交」とは、特に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば、通常±5°、好ましくは±2°、より好ましくは±1°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
以下の説明において、また、MD方向(machine direction)は、製造ラインにおけるフィルムの流れ方向であり、TD方向(traverse direction)は、フィルム面に平行な方向であって、MD方向に垂直な方向である。また便宜上、長尺のフィルムの長手方向をフィルムのMD方向、幅方向をフィルムのTD方向と呼ぶ場合もある。以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、幅に対して、5倍以上の長さを有するフィルムをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムをいう。長尺のフィルムの長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して10万倍以下としうる。
以下の説明において、視野角拡大フィルム等のフィルムの面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx−ny)×dで表される値である。また、フィルムの厚み方向のレターデーションRthは、別に断らない限り、Rth={(nx+ny)/2−nz}×dで表される値である。ここで、nxは、フィルムの面内方向即ち厚み方向に垂直な方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。nzは厚み方向の屈折率を表す。dは、フィルムの厚みを表す。測定波長は、別に断らない限り、590nmである。
〔1.視野角拡大フィルムの概要〕
本発明の視野角拡大フィルムは、液晶表示装置の視野角を拡大するためのフィルムである。
視野角拡大フィルムは、1層以上の樹脂層を備える。樹脂層のうちの1層以上は孔含有層である。
〔2.孔含有層の材料〕
孔含有層の材料は、各種の重合体を含む樹脂としうる。かかる重合体の例としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、及び脂環構造含有重合体が挙げられるが、孔含有部の形成のしやすさの観点からポリスチレン、ポリプロピレン、脂環構造含有重合体が好ましい。
ポリスチレンは、スチレン系単量体に由来する繰り返し単位(以下、適宜「スチレン系単量体単位」という。)を含有する重合体である。前記のスチレン系単量体とは、スチレン及びスチレン誘導体のことをいう。スチレン誘導体の例としては、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ニトロスチレン、p−アミノスチレン、p−カルボキシスチレン、及びp−フェニルスチレンが挙げられる。スチレン系単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。したがって、スチレン系重合体は、1種類のスチレン系単量体単位を単独で含有していてもよく、2種類以上のスチレン系単量体単位を任意の比率で組み合わせて含有していてもよい。
また、ポリスチレンは、スチレン系単量体のみを含有する単独重合体又は共重合体であってもよく、スチレン系単量体と他の単量体との共重合体であってもよい。スチレン系単量体と共重合しうる単量体の例としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、及び酢酸ビニルが挙げられる。これらの単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ポリプロプレンは、プロピレンの単独重合体であってもよく、プロピレン以外の単量体との共重合体であってもよい。ポリプロプレンが共重合体である場合、ポリプロプレンはランダム重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよく、グラフト重合体であってもよい。ただし、ポリプロプレンが共重合体である場合でも、ポリプロプレンが含むプロピレン由来の繰り返し単位の含有率が高いことが好ましく、具体的には、80重量%以上が好ましく、85重量%以上がより好ましい。
脂環構造含有重合体の例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体、及び(1)〜(4)の水素化物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系重合体及びその水素化物が好ましい。
ノルボルネン系重合体としては、例えば、ノルボルネンモノマーの開環重合体、ノルボルネンモノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素化物;ノルボルネンモノマーの付加重合体、ノルボルネンモノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネンモノマーの開環重合体の水素化物やルボルネンモノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体の水素化物が特に好ましい。
〔2.1.水素化ブロック共重合体[G]〕
脂環構造含有重合体のある例として、環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]を有する、2つ以上の重合体ブロック[D]と、鎖状炭化水素化合物水素化物単位[II]、又は単位[I]及び単位[II]の組み合わせを有する1つ以上の重合体ブロック[E]を含む水素化ブロック共重合体[G]が挙げられる。
〔2.1.1.環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]〕
環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]は、環式炭化水素基含有化合物を重合し、さらに、かかる重合により得られた単位が不飽和結合を有していればその不飽和結合を水素化して得られる構造を有する構造単位である。ただし、環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]は、当該構造を有する限りにおいて、どのような製造方法で得られた単位をも含む。
環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]は、好ましくは、芳香族ビニル化合物の重合により得られる構造単位である。より具体的には、芳香族ビニル化合物を重合し、その不飽和結合を水素化して得られる構造を有する構造単位(芳香族ビニル化合物水素化物単位[I])である。ただし、芳香族ビニル化合物水素化物単位[I]は、当該構造を有する限りにおいて、どのような製造方法で得られた単位をも含む。
同様に、本願においては、例えばスチレンを重合し、その不飽和結合を水素化して得られる構造を有する構造単位を、スチレン水素化物単位と呼ぶことがある。スチレン水素化物単位も、当該構造を有する限りにおいて、どのような製造方法で得られた単位をも含む。
芳香族ビニル化合物水素化物単位[I]の例としては、以下の構造式(1)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 0006977736
構造式(1)において、Rは脂環式炭化水素基を表す。Rの例を挙げると、シクロヘキシル基等のシクロヘキシル基類;デカヒドロナフチル基類等が挙げられる。
構造式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、又は、極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基を表す。中でもR、R及びRとしては、耐熱性、低複屈折性及び機械強度等の観点から水素原子及び炭素原子数1〜6個の鎖状炭化水素基であることが好ましい。鎖状炭化水素基としては飽和炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
芳香族ビニル化合物水素化物単位[I]の好ましい具体例としては、下記式(1−1)で表される構造単位が挙げられる。式(1−1)で表される構造単位は、スチレン水素化物単位である。
Figure 0006977736
環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]の例示物において立体異性体を有するものは、そのいずれの立体異性体も使用することができる。環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]は、1種類だけ用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
〔2.1.2.鎖状炭化水素化合物水素化物単位[II]〕
鎖状炭化水素化合物水素化物単位[II]は、鎖状炭化水素化合物を重合し、さらに、かかる重合により得られた単位が不飽和結合を有していればその不飽和結合を水素化して得られる構造を有する構造単位である。ただし、鎖状炭化水素化合物水素化物単位[II]は、当該構造を有する限りにおいて、どのような製造方法で得られた単位をも含む。
鎖状炭化水素化合物水素化物単位[II]は、好ましくは、ジエン化合物の重合により得られる構造単位である。より具体的には、ジエン化合物を重合し、さらに、かかる重合により得られた単位が不飽和結合を有していればその不飽和結合を水素化して得られる構造を有する構造単位(ジエン化合物水素化物単位[II])である。但し、ジエン化合物水素化物単位[II]は、当該構造を有する限りにおいて、どのような製造方法で得られた単位をも含む。
同様に、本願においては、例えばイソプレンを重合し、その不飽和結合を水素化して得られる構造を有する構造単位を、イソプレン水素化物単位と呼ぶことがある。イソプレン水素化物単位も、当該構造を有する限りにおいて、どのような製造方法で得られた単位をも含む。
ジエン化合物水素化物単位[II]は、共役ジエン化合物の重合により得られる構造単位であることが好ましい。より具体的には、鎖状共役ジエン化合物等の共役ジエン化合物を重合し、その不飽和結合を水素化して得られる構造を有することが好ましい。その例としては、以下の構造式(2)で表される構造単位、及び構造式(3)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 0006977736
構造式(2)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、又は、極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基を表す。中でもR〜Rとしては、耐熱性、低複屈折性及び機械強度等の観点から水素原子及び炭素原子数1〜6個の鎖状炭化水素基であることが好ましい。鎖状炭化水素基としては飽和炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
Figure 0006977736
構造式(3)において、R10〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、又は、極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基を表す。中でもR10〜R15としては、耐熱性、低複屈折性及び機械強度等の観点から水素原子及び炭素原子数1〜6個の鎖状炭化水素基であることが好ましい。鎖状炭化水素基としては飽和炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
ジエン化合物水素化物単位[II]の好ましい具体例としては、下記式(2−1)〜(2−3)で表される構造単位が挙げられる。式(2−1)〜(2−3)で表される構造単位は、イソプレン水素化物単位である。
Figure 0006977736
鎖状炭化水素化合物水素化物単位[II]の例示物において立体異性体を有するものは、そのいずれの立体異性体も使用することができる。鎖状炭化水素化合物水素化物単位[II]は、1種類だけ用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
〔2.1.3.水素化ブロック共重合体[G]の詳細〕
水素化ブロック共重合体[G]は、1分子あたり1つのブロック[E]と、その両端に連結された1分子当たり2つのブロック[D]とを有するトリブロック分子構造を有することが好ましい。すなわち、水素化ブロック共重合体[G]は、1分子あたり1つのブロック[E]と;ブロック[E]の一端に連結され、環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]を有する、1分子あたり1つのブロック[D1]と;ブロック[E]の他端に連結され、環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]を有する、1分子あたり1つのブロック[D2]と;を含むトリブロック共重合体であることが好ましい。
上述したトリブロック共重合体としての水素化ブロック共重合体[G]においては、好ましい特性を有する孔含有層を容易に得る観点から、ブロック[D1]及びブロック[D2]の合計と、ブロック[E]との重量比(D1+D2)/Eが、特定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、重量比(D1+D2)/Eは、好ましくは45/55以上、より好ましくは50/50以上であり、好ましくは89/11以下、より好ましくは86/14以下である。
また、上述したトリブロック共重合体としての水素化ブロック共重合体[G]においては、好ましい特性を有する孔含有層を容易に得る観点から、ブロック[D1]とブロック[D2]との重量比D1/D2が、特定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、重量比D1/D2は、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、特に好ましくは5以上であり、好ましくは15以下、より好ましくは14以下、特に好ましくは13以下である。
水素化ブロック共重合体[G]の重量平均分子量Mwは、好ましくは50000以上、より好ましくは55000以上、特に好ましくは60000以上であり、好ましくは85000以下、より好ましくは80000以下、特に好ましくは75000以下である。重量平均分子量Mwが前記範囲にあることにより、好ましい特性を有する孔含有層を容易に得ることができる。
水素化ブロック共重合体[G]の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.7以下、特に好ましくは1.5以下であり、好ましくは1.0以上である。重量平均分子量Mwが前記範囲にあることにより、重合体粘度を低めて成形性を高めることができる。
水素化ブロック共重合体[G]の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、テトラヒドロフランを溶媒としたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによって、ポリスチレン換算の値として測定しうる。
ブロック[D1]及びブロック[D2]は、それぞれ独立に、環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]のみからなることが好ましいが、環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]以外に任意の単位を含みうる。任意の構造単位の例としては、環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]以外のビニル化合物に基づく構造単位が挙げられる。ブロック[D]における任意の構造単位の含有率は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
ブロック[E]は、鎖状炭化水素化合物水素化物単位[II]のみからなるか、又は環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]及び鎖状炭化水素化合物水素化物単位[II]のみからなることが好ましいが、単位[I]及び[II]以外に任意の単位を含みうる。任意の構造単位の例としては、単位[I]及び[II]以外のビニル化合物に基づく構造単位が挙げられる。ブロック[E]における任意の構造単位の含有率は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
ブロック[E]が、環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]及び鎖状炭化水素化合物水素化物単位[II]を含む場合、ブロック[E]中の単位[I]及び[II]の重量比[I]/[II]は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.3以上であり、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.4以下、特に好ましくは1.3以下である。
また、水素化ブロック共重合体[G]の分子における、単位[I]及び[II]の重量比[I]/[II]は、好ましくは70/30以上、より好ましくは72/28以上、特に好ましくは74/26以上であり、好ましくは89/11以下、より好ましくは85/15以下、特に好ましくは83/17以下である。単位[I]及び[II]の比率が前記範囲にあることにより、好ましい特性を有する孔含有層を容易に得ることができる。
水素化ブロック共重合体[G]の製造方法は、特に限定されず任意の製造方法を採用しうる。水素化ブロック共重合体[G]は、例えば、環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]及び鎖状炭化水素化合物水素化物単位[II]に対応する単量体を用意し、これらを重合させ、得られた重合体[F]を水素化することにより製造しうる。具体的な製造は、例えば国際公開第WO2016/152871号に記載される方法及びその他の既知の方法を適宜組み合わせて実施しうる。水素化反応における水素化率は、通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。水素化率を高くすることにより、水素化ブロック共重合体[G]の低複屈折性及び熱安定性等を高めることができる。水素化率はH−NMRにより測定できる。
〔2.2.孔含有層を構成する樹脂の特性等〕
孔含有層を構成ずる樹脂における重合体の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算又はポリイソプレン換算の重量平均分子量で、通常5,000以上、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上であり、通常50,000以下、好ましくは45,000以下、より好ましくは40,000以下である。
孔含有層を構成する樹脂は、必要に応じて重合体以外の任意成分を含有していてもよい。任意成分の例は、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、強化剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填剤、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止剤、及び抗菌剤が挙げられる。
紫外線吸収剤の例は、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、及び無機粉体が挙げられる。好適な紫外線吸収剤の例は、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンが挙げられる。特に好適なものの例は、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)が挙げられる。
孔含有層を構成する樹脂が紫外線吸収剤を含有する場合、紫外線吸収剤の含有量は、樹脂100重量%当たり0.5〜5重量%が好ましい。
孔含有層を構成する樹脂は、非晶性樹脂であることが好ましい。非晶性樹脂を採用することにより、採用する樹脂が、その屈折率が極端に低い樹脂で無くても、良好な視野角拡大の効果を得ることができる。
樹脂の結晶性の判定は、示差走査熱量計(DSC)を用いて行いうる。具体的には、結晶性の判定をする対象の樹脂について、示差走査熱量計(DSC)を用いて、JIS K7121に従い、10℃/分の昇温速度(昇温モード)で分析を行いうる。かかる分析において、吸熱ピークが存在した場合に、結晶性樹脂と判定しうる。
孔含有層を構成する樹脂は、その引張伸びが、特定の値以下であることが好ましい。具体的には、測定対象物の樹脂を、単層20μmのフィルムに成型し、ダンベル形状に打抜いた試験片について、ISO527−3(試験速度:50mm/min)にて測定した引張伸びが、特定の値以下であることが好ましい。かかる引張伸びは、好ましくは6%以下、より好ましくは4%以下である。引張伸びの下限は、特に限定されないが、例えば0.3%以上としうる。かかる低い引張伸びを呈する樹脂を採用することにより、孔含有部としてのクレーズの形成を容易に行うことができる。
〔3.孔含有層の特性等〕
孔含有層は、その屈折率が1.53以下、好ましくは1.51以下である。孔含有層の屈折率を前記の特定の値以下とすることにより、孔含有層による視野角拡大の効果が高まり、本発明の有効な効果を得ることができる。屈折率の下限は、特に限定されないが、例えば1.48以上としうる。
本願でいう孔含有層の屈折率とは、孔含有層を構成する材料の、孔含有部を有していない箇所の屈折率である。視野拡大フィルムにおける孔含有層の屈折率の測定は、例えば、加熱プレスにより孔含有層の穴を消失させた上で、当該層の屈折率を適切な測定装置で測定することにより行いうる。具体的には、視野拡大フィルムを、適切な温度にて、その少なくとも一部の領域において孔が消失して透明になるまでプレスし、その後、当該領域の屈折率を測定しうる。プレスに適切な温度は、孔含有層を構成する樹脂のTg以上又はTm以上であり、且つ当該樹脂の(Tg+10)℃以下又は(Tm+10)℃以下の温度としうる。測定装置としては、例えばプリズムカプラ等の屈折率・膜厚測定装置を用いうる。
孔含有層が光学的な異方性を有する場合、その屈折率は、(nx+ny)/2とする。
本発明の視野角拡大フィルムは、孔含有層を1層のみ有していてもよく、2層以上有していてもよい。本発明の視野角拡大フィルムが2層以上の孔含有層を有する場合は、それぞれの樹脂層を構成する材料として、上に例示した材料を用いうる。
孔含有層の厚みは、好ましくは4μm以上、より好ましくは8μm以上であり、好ましくは90μm以下、より好ましくは60μm以下である。視野角拡大フィルムが2層以上の孔含有層を備える場合、孔含有層の合計厚みがこの範囲であることが好ましい。孔含有層の厚みがかかる範囲内であることにより、本発明の効果を有する孔含有層を容易に構成することができる。
〔4.孔含有層以外の樹脂層〕
本発明の視野角拡大フィルムは、樹脂層として孔含有層のみを備えてもよく、孔含有層と、孔含有層ではない任意の樹脂層とを組み合わせて備えてもよい。孔含有層と、それ以外の樹脂層とを組み合わせることにより、有用な視野角拡大フィルムを構成することができる。
かかる任意の樹脂層の一例としては、孔含有層より強度の高い補強層が挙げられる。孔含有層は孔を含有することにより、強度が低いものとなり得るところ、かかる補強層を設けることにより、光学的性能と強度とを兼ね備えた視野角拡大フィルムを得ることができる。
任意の樹脂層の別の一例として、孔含有層のおもて面及び裏面の一方又は両方に設けた保護層が挙げられる。孔含有層は孔を含有することにより、その表面に凹凸があり得るところ、かかる保護層を設けることにより、光学的性能と表面の平滑性とを兼ね備えた視野角拡大フィルムを得ることができる。保護層は、上に述べた補強層としての機能をもさらに有するものであってもよい。例えば、本発明の視野角拡大フィルムを、スキン層/コア層/スキン層の2種3層の層構成を有するものとし、コア層を孔含有層とし、スキン層を補強層及び/又は保護層として機能しうる層としうる。
任意の樹脂層のさらに別の一例として、視野角拡大フィルムと他の部材との接着性を向上させるための易接着層が挙げられる。
本発明の視野角拡大フィルムが、孔含有層以外の樹脂層を有する場合、かかる層を構成する樹脂は、特に限定されず、所望の特性を有する任意の材料を適宜選択しうる。例えば、補強層及び保護層を構成する樹脂としては、上に述べた孔含有層を構成する樹脂の例示のうち、所望の特性を有するものを適宜選択しうる。
視野角拡大フィルムの厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。上限については特に限定されないが、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは40μm以下である。
〔5.孔含有部〕
本発明の視野角拡大フィルムにおける孔含有層は、互いに略平行な孔含有部を複数備え、孔含有部は孔を含有する。
図1は、視野角拡大フィルムの一例を模式的に示す平面図である。図1の例において、長尺状の視野角拡大フィルム1は、一層の孔含有層のみからなり、互いに平行な直線状の孔含有部20を複数備える。図1において孔含有部20のそれぞれは一本の細い線として図示しているが、孔含有部20は、幅及び深さのある領域であり、その中に多数の孔(図1において不図示)を備える。図1の例において、孔含有部20の長手方向は、視野角拡大フィルム1のTD方向と平行な方向である。
孔含有部は孔を含有するので、孔含有部に入射した光は散乱される。また、孔を含有することで、孔含有部の屈折率は、孔含有層の孔含有部が形成されていない箇所と異なる屈折率を発現する。その結果、光の散乱方向の角度が拡大しうる。特定の理論に拘束されるものではないが、かかる広範囲への光の散乱により、視野角の拡大が達成されるものと考えられる。
孔含有部に含有されている孔は、視野角拡大フィルムの厚み方向に貫通していてもよく、貫通していなくてもよい。いずれの場合であっても、孔含有部は孔を含有するので、視野角拡大フィルムの厚み方向に深さのある構造となる。各孔含有部は、通常多数の孔を有するが、孔含有部の構造はこれに限られず、単一のクラック状の孔からなっていてもよい。孔含有部の深さは、孔含有層の厚み方向の全体にわたっていてもよく、その一部のみにわたっていてもよい。
複数の孔含有部は、互いに略平行に設けられる。孔含有部が互いに「略平行」であるとは、本発明の効果が得られる範囲内で、互いになす角が0°を超える角度であってもよい。具体的には、好ましくは±40°以内、より好ましくは±30°以内の誤差を有していてもよい。互いに「略平行」な孔含有部は、このような角度関係を有しうるので、孔含有層において、複数の孔含有部は、互いに交差した箇所を有していてもよい。
個々の孔含有部は、通常、略直線状の形状を有する。孔含有部の形状が「略直線状」であるとは、本発明の効果が得られる範囲内での褶曲を有する場合をも包含する。
また、孔含有部の形成のしやすさの観点から、孔含有部の長手方向は、視野角拡大フィルムのTD方向と略平行(MD方向に略垂直)であることが好ましい。この場合、図1に一例を示したように、視野角拡大フィルム1の一方の端部から該端部と対向する他方の端部まで直線状に形成されている必要はない。
隣り合う孔含有部の間隔Pは、一定でもよく、ランダムであってもよい。例えば、図1に示す例では、隣り合う孔含有部20の間隔Pは、一定ではなくランダムな間隔となっている。高い視野角拡大の効果を得る観点から、孔含有部の間隔はランダムであることが好ましい。
隣り合う孔含有部の間隔Pは、特に限定されないが、モアレ状の干渉等の現象を抑制し、良好な表示画面品質を得る等の観点からは、狭い間隔であることが好ましい。かかる間隔Pについて、具体的には、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは5μm以下としうる。間隔Pがランダムである場合、視野角拡大フィルム中の間隔Pの最大値が、当該上限以下であることが好ましい。なお、前記間隔Pの下限は特に制限されないが、0.5μm以上としうる。
好ましい態様において、視野角拡大フィルムが備える複数の孔含有部は、その一部又は全部が、クレーズからなる。孔含有部の形成のしやすさの観点から、孔含有部はクレーズからなることが好ましい。
クレーズとは、フィルムに形成される略直線状の割れ目のことをいう。クレーズは通常、かかる割れ目の間において形成されるフィブリルと、その間に形成される、孔としてのボイドとを有する。フィブリルとは、樹脂を構成する分子が繊維化することにより得られた繊維をいう。
図2は、クレーズの構造の一例を示す拡大模式図である。図2において、クレーズ21は多数の細長いフィブリル211と、その間に存在するボイド212とを有している。フィブリル211は通常、孔含有部としてのクレーズの長手方向と略直交する方向に延長して存在する。このような構造を有するクレーズは、フィルムをクレーズ加工することにより形成しうる。フィルムをクレーズ加工し、フィルムに圧力を加えることにより、フィルムに割れ目を形成させ、さらに、割れ目の間隙内において、樹脂を構成する分子を繊維化させ、フィブリルとその間のボイドを形成させることができる。クレーズ加工の詳細は後述する。
フィブリルの直径は、通常5nm〜50nmであり、好ましくは10nm〜50nmであり、より好ましくは10nm〜40nmであり、さらにより好ましくは20nm〜40nmである。クレーズにおけるボイドの直径は、通常5nm〜45nmであり、好ましくは10nm〜30nmである。孔含有部がクレーズからなる場合、かかるクレーズの幅は、通常20nm〜800nmであり、好ましくは30nm〜600nmであり、より好ましくは40nm〜300nmである。クレーズ高さについて、通常0.3μm〜50μmであり、好ましくは0.4μm〜30μm、より好ましくは0.5μm〜20μmである。ここでのフィブリルの直径、ボイドの直径及びクレーズの幅、クレーズ高さの値は、平均値であり、具体的にはクレーズが発現している任意の3箇所を走査型電子顕微鏡で観察し、フィブリルとボイドの大きさを測定することにより求めうる。
〔6.視野角拡大フィルムの形状、物性等〕
本発明の視野角拡大フィルムは、長尺のフィルムであってもよく、枚葉のフィルムであってもよい。通常、製造効率を高める観点から、視野角拡大フィルムは長尺のフィルムとして製造される。また、枚葉の視野角拡大フィルムを製造する場合には、長尺の視野角拡大フィルムを所望の形状に切り出すことにより、枚葉の視野角拡大フィルムを製造しうる。
本発明の視野角拡大フィルムは、光学異方性が小さく実質的に光学的に等方性のフィルムであってもよく、光学的に異方性のフィルムであってもよい。視野角拡大フィルムが光学的に異方性である場合、かかる異方性は、孔含有層に起因するものであってもよく、孔含有層以外の層に起因するものであってもよく、それらの両方に起因するものであってもよい。
本発明の視野角拡大フィルムが光学的に異方性のフィルムである場合、その面内レターデーションReは、好ましくは360nm以下、より好ましくは330nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されないが、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、さらに好ましくは30nm以上である。また、厚み方向のレターデーションRthは、好ましくは400nm以下、より好ましくは350nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されないが、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、さらに好ましくは30nm以上である。
視野角拡大フィルムの全光線透過率は、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上である。光線透過率は、JIS K0115に準拠して、分光光度計(日本分光(株)社製、紫外可視近赤外分光光度計「V−570」)を用いて測定しうる。
〔7.視野角拡大フィルムの製造方法〕
本発明の視野角拡大フィルムは、既知の方法等の任意の方法で製造し得る。例えば、孔含有部の形成に供するためのフィルムを製造した後、該フィルムの一以上の層に孔含有部を形成することで、本発明の視野角拡大フィルムを製造し得る。本願においては、このような、孔含有部の形成に供するためのフィルムを、「材料フィルム」という場合がある。
〔7.1.材料フィルムの製造〕
材料フィルムの層構成は、特に限定されず、所望の視野角拡大フィルムの層構成に適合した層構成としうる。例えば、孔含有層となる層と、それ以外の樹脂層となる層とを含む層構成としうる。より具体的には、クレーズ加工により孔含有層となり得る層と、かかるクレーズ加工によってもクレーズが発生しない層とを組み合わせて、孔含有層とそれ以外の樹脂層とを備える視野角拡大フィルムを得るための材料フィルムを構成しうる。
材料フィルムの製造方法の例としては、射出成形法、押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法、注型成形法、及び圧縮成形法が挙げられる。
材料フィルムを製造する際の溶融樹脂温度等の条件は、材料フィルムの種類に応じて適宜変更することができ、公知の条件で行うことができる。
材料フィルムが2層以上の樹脂層を備える場合、材料フィルムの製造方法の例としては、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法、ドライラミネーション、共流延法、及びコーティング成形法が挙げられる。
材料フィルムは、延伸されていない未延伸フィルムであってもよく、延伸された延伸フィルムであってもよい。一般的には、延伸フィルムのほうが引張伸びが小さく、クレーズの形成がより容易である。したがって、例えばある材料で形成された延伸フィルムと、同じ材料で形成された未延伸フィルムとを貼合して複層の材料フィルムとし、これにクレーズ加工を施すことにより、延伸フィルムのみにクレーズを発現させることができる。延伸フィルムを得るための延伸方法は、一軸延伸、及び二軸延伸のいずれを採用してもよいが、二軸延伸が好ましい。中でも、好適な実施形態は、材料フィルムのTD方向に延伸倍率が高い二軸延伸である。
延伸は、公知の延伸装置を用いて行うことができる。延伸装置の例は、縦一軸延伸機、テンター延伸機、バブル延伸機、及びローラー延伸機が挙げられる。
延伸温度は、好ましくは(Tg−30℃)以上、より好ましくは(Tg−10℃)以上であり、好ましくは(Tg+60℃)以下、より好ましくは(Tg+50℃)以下である。ここで、「Tg」とは、樹脂のガラス転移温度を表す。
延伸倍率は、1.2倍〜5倍が好ましく、1.5倍〜4倍がより好ましく、2倍〜3倍がさらに好ましい。二軸延伸のように異なる複数の方向に延伸を行う場合、各延伸方向における延伸倍率の積で表される総延伸倍率が、前記の範囲に収まることが好ましい。
〔7.2.孔含有部の形成〕
材料フィルムを製造後、材料フィルムの面上に孔含有部を形成することにより、視野角拡大フィルムを製造しうる。
孔含有部を形成する具体的な方法の例としては、クレーズ加工が挙げられる。クレーズ加工を行うことにより、孔含有部がクレーズからなる視野角拡大フィルムを、効率的に製造することができる。
クレーズ加工は、既知の方法等の任意の方法で行うことができる。クレーズ加工の例としては、特開平6−82607号公報、特開平7−146403号公報、特開平9−166702号公報、特開平9−281306号公報、WO2007/046467号、特開2006−313262号公報、特開2009−298100号公報、及び特開2012−167159号公報に記載されている方法が挙げられる。
クレーズ加工の具体例を、図3及び図4を参照して説明する。図3は、クレーズ加工装置の一例を模式的に示す斜視図であり、図4は、図3のブレード付近を拡大して模式的に示す側面図である。図4では、装置をTD方向から観察している。
図3の例において、クレーズ加工装置100は、繰り出しロール41、搬送ロール42及び43、並びにブレード30を備える。ブレード30は、TD方向に平行な方向に延長するエッジ30Eを備える。
クレーズ加工装置100の操作において、繰り出しロール41から矢印A11方向に搬送された材料フィルム10は、搬送ロール42及び43により、ブレード30のエッジ30Eに対して付勢された状態で支持されて搬送される。これにより、材料フィルム10に圧力を加えることができる。その結果、材料フィルム10の表面に、加圧による変形が生じ、TD方向に略平行な方向に延長する孔含有部20が形成され、視野角拡大フィルム1を製造することができる。
クレーズ加工において、ブレード30が材料フィルム10に接する角度は、所望のクレーズが形成される角度に適宜調整しうる。当該角度は、図3及び図4の例では、エッジ30Eの延長方向から観察したブレード30の中心線30Cと、材料フィルム10の下流側の表面とがなす角度θとして表される。角度θは、10°〜60°が好ましく、15°〜50°がより好ましく、20°〜40°がさらに好ましい。
材料フィルムにブレードを押し当てる際の材料フィルムの張力は、所望のクレーズが形成される値に適宜調整しうる。当該張力は、100N/m〜1000N/mが好ましく、300N/m〜800N/mがより好ましい。
材料フィルムに延伸処理を施す場合、クレーズ加工は、材料フィルムの延伸処理前に行ってもよく、延伸処理と同時に行ってもよい。
材料フィルムとして、2層以上の樹脂層を備える材料フィルムを用い、かかる材料フィルムにクレーズ加工を行った場合、2層以上の樹脂層の全てにクレーズが発生する場合もあり、一部の樹脂層のみにクレーズが発生する場合もある。さらに、一部の樹脂層のみにクレーズが発生する場合は、最表面の層にクレーズが発生する場合もあり、内側の層にクレーズが発生する場合もある。例えば、比較的引張伸びが小さく脆い材質のコア層と、そのおもて面及び裏面の、比較的柔軟な材質のスキン層とからなる材料フィルムにクレーズ加工を行った場合、コア層のみにクレーズが発生しうる。そのようなフィルムも、本発明の視野角拡大フィルムとして用いうる。
〔8.視野角拡大フィルムの用途:偏光板〕
本発明の視野角拡大フィルムは、液晶表示装置の視野角を拡大させる用途に用いうる。但し、本発明の視野角拡大フィルムの機能は、これに限られない。例えば、本発明の視野角拡大フィルムは、視野角拡大フィルムとしての機能に加えて、それ以外の機能とを併せて発揮するものであってもよい。かかる視野角拡大フィルム以外の機能の例としては、保護フィルムとしての機能、位相差フィルムとしての機能、及び光学補償フィルムとしての機能が挙げられる。特に以下に述べる通り、偏光板において偏光板保護フィルムとしての機能を併せて発揮するものとして、好ましく用いうる。
本発明の偏光板は、本発明の視野角拡大フィルムと、偏光子とを備える。本発明の偏光板において、視野角拡大フィルムは、偏光板保護フィルムとしても機能しうる。このような偏光板は、例えば、偏光子と視野角拡大フィルムとを貼合することにより製造しうる。本発明の偏光板において、偏光子と視野角拡大フィルムとは、接着層を介することなく直接貼合されていてもよく、接着剤により形成された接着層を介して貼合されていてもよい。さらに、偏光子と視野角拡大フィルムとの間に、さらに他の保護フィルムが介在していてもよい。
視野角拡大フィルムが、その一方の表面のみに孔含有部を有する場合、当該表面は、偏光子側に位置してもよく、偏光子と反対側に位置してもよい。
本発明の偏光板は、偏光子の一方の面だけに視野角拡大フィルムを備えてもよく、両方の面に備えてもよい。偏光子の一方の面だけに視野角拡大フィルムを備える場合、偏光板は、偏光子の他方の面において、保護フィルムとして機能しうる、視野角拡大フィルム以外の任意のフィルムを備えうる。
本発明の偏光板においては、視野拡大フィルムは、偏光子と直接接しうる。又は本発明の偏光板は、視野拡大フィルムと偏光子との間に介在する他の層をさらに有してもよい。視野拡大フィルムが、偏光子に直接又は接着剤層のみを介して接している場合、視野拡大フィルムは、偏光板において偏光子を保護する保護フィルムとして機能しうる。
一方、本発明の偏光板及び液晶表示装置は、既成の液晶表示装置に、視野拡大フィルムを追加するだけでも構成しうる。具体的には、視認側偏光子よりもさらに視認側に保護フィルム等の種々の構成要素を備える液晶表示装置の表示面に、視野拡大フィルムを載置することにより、視認側偏光子と視野拡大フィルムとを組み合わせ、本発明の偏光板及び液晶表示装置を構成しうる。
本発明の偏光板を、後述するVAモードの液晶表示装置において用いる場合、孔含有部の長手方向が偏光子の吸収軸に対して平行であることが好ましい。これにより、VAモードの液晶表示装置の視野角を拡大することができる。
また、本発明の偏光板を、後述するTNモードの液晶表示装置において用いる場合、液晶表示装置の表示画面を斜め方向から視認した時に階調反転する方位角度と孔含有部の長手方向とのなす角が垂直であることが好ましい。これにより、TNモードの液晶表示装置の視野角を拡大することができる。
偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素若しくは二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって製造しうる。また、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素もしくは二色性染料を吸着させ延伸し、さらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによっても製造しうる。さらに、偏光子として、例えば、グリッド偏光子、多層偏光子、コレステリック液晶偏光子などの、偏光を反射光と透過光とに分離する機能を有する偏光子を用いてもよい。これらの中でも、ポリビニルアルコールを含んでなる偏光子が好ましい。偏光子の偏光度は、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。偏光子の平均厚みは、好ましくは5μm〜80μmである。
偏光子と視野角拡大フィルムとを接着するための接着剤としては、光学的に透明な任意の接着剤を用いうる。接着剤の例は、水性接着剤、溶剤型接着剤、二液硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、及び感圧性接着剤が挙げられる。この中でも、水性接着剤が好ましく、特にポリビニルアルコール系の水性接着剤が好ましい。また、接着剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
接着層の平均厚みは、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下である。
視野角拡大フィルムと偏光子とを貼合する方法に制限は無いが、例えば、偏光子の一方の面に必要に応じて接着剤を塗布した後、ロールラミネーターを用いて偏光子と視野角拡大フィルムとを貼り合せ、必要に応じて乾燥を行う方法が好ましい。乾燥時間及び乾燥温度は、接着剤の種類に応じて適宜選択される。
〔9.液晶表示装置〕
本発明の視野角拡大フィルム、及び本発明の偏光板は、液晶表示装置に使用しうる。液晶表示装置を構成する液晶セルは、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Virtical Alignment)モード、IPS(In−Plane Switching)モード等の公知のものを使用できるが、視野角を効果的に拡大できる観点からTNモード及びVAモードが好ましい。
〔9.1.TNモードの液晶表示装置〕
本発明の視野角拡大フィルム、又は本発明の偏光板は、TNモードの液晶表示装置に使用されることが好ましい。
本発明のTNモードの液晶表示装置は、視認側から本発明の偏光板、及びTNモードの液晶セルを、この順で備え、偏光板は、その視野角拡大フィルム側の面が視認側となるよう配置され、液晶表示装置の表示画面を斜め方向から視認した時に階調反転する方位角度と、孔含有部の長手方向とのなす角が垂直である。ここでの階調反転する方位角度とは、本発明の偏光板に代えて、本発明の視野角拡大フィルムを有しない他は本発明の偏光板と同じ構成を有する偏光板を設けて観察した際における、階調反転する方位角度である。
TNモードの液晶表示装置は、通常、TNモードの液晶セルの視認側とは反対側に偏光板及び光源を備える。視認側とは反対側に配置される偏光板としては、本発明の偏光板を使用してもよく、公知の偏光板等の、本発明の偏光板以外の偏光板を使用してもよい。また、光源としては、公知の光源等の、任意の光源を使用しうる。
視認側とは、液晶表示装置の使用に際して、表示される画像の観察者が位置する側をいう。
通常、液晶表示装置を、黒表示から、明度を徐々に上げて白表示とするよう操作した場合、表示画面の輝度も徐々に上昇することになる。例えば、液晶表示装置の表示画面に8ビットグレースケール(黒表示を0、白表示を255とし、中間階調は0から255の値で表現される)を表示させるよう操作した場合、スケールを0から255まで上昇させるのに伴い、表示画面の輝度も上昇する。しかしながら、観察する方向によっては、明度を徐々に上昇させる操作を行うと、それに反して表示画面の輝度が下降する場合がある。このように、表示装置に表示させる明度を上昇又は下降させる操作と、実際の表示画面の輝度の上昇又は下降が一致しないことを、「階調反転」という。階調反転は、液晶表示装置の表示画面を斜め方向から視認した時に、ある方位角度においてみられることがある。本発明のTNモードの液晶表示装置は、表示画面を斜め方向から視認した時に階調反転する方位角度と孔含有部の長手方向とのなす角を垂直とすることにより、そのような階調反転を低減し、視野角度を拡大することができる。
階調反転する方位角度は一方向に限られず、二方向、あるいはある程度の広がりを持った角度範囲である場合もある。その場合は、そのうちで、最も視野角を拡大したい方向を定め、当該方向と垂直な方向に、孔含有部の長手方向を設定しうる。
本発明のTNモードの液晶表示装置において、本発明の偏光板としては、偏光子の吸収軸と孔含有部の長手方向とのなす角が45°であるものを好ましく用いうる。通常のTNモードの液晶表示装置(矩形の表示画面を有し、表示画面が略垂直方向に直立し、矩形の長辺方向が水平方向、短辺方向が略垂直方向となる状態で使用されるもの)においては、下側から観察した際に階調反転が見られる場合が多い。また、通常のTNモードの液晶表示装置においては、偏光子は、その吸収軸と表示画面水平方向とがなす角が45°である場合が多い。したがって、本発明の偏光板として、偏光子の吸収軸と孔含有部の長手方向とのなす角が45°であるものを用いた場合、偏光子の吸収軸と表示画面水平方向とがなす角が45°となり且つ孔含有部の長手方向と表示画面水平方向とがなす角度が平行となる配置を容易に行うことができるので、TNモードの液晶表示装置の視野角の拡大を容易に行うことができる。
〔9.2.VAモードの液晶表示装置〕
本発明の視野角拡大フィルム、又は本発明の偏光板はまた、VAモードの液晶表示装置に使用されることが好ましい。
本発明のVAモードの液晶表示装置は、視認側から、本発明の偏光板、及びVAモードの液晶セルを、この順で備え、偏光板は、その視野角拡大フィルム側の面が視認側となるよう配置される。
VAモードの液晶表示装置は、通常、VAモードの液晶セルの視認側とは反対側に偏光板及び光源を備える。視認側とは反対側に配置される偏光板としては、本発明の偏光板を使用してもよく、公知の偏光板等の、本発明の偏光板以外の偏光板を使用してもよい。また、光源としては、公知の光源等の、任意の光源を使用しうる。
本発明のVAモードの液晶表示装置において、本発明の偏光板としては、孔含有部の長手方向が、偏光子の吸収軸に対して平行又は垂直であるものを好ましく用いうる。通常の液晶表示装置において、このような偏光板を配置する場合において、孔含有部の長手方向と表示画面の長辺方向との関係は平行又は垂直であることが好ましい。孔含有部の長手方向は、視野角を拡大することが求められる方位角方向に対して垂直な方向としうる。例えば、矩形の表示画面を有する表示装置において、その長辺方向における視野角を拡大することが求められる場合においては、孔含有部の長手方向は、その短辺方向に平行な方向に配置することが好ましい。孔含有部の長手方向は、通常は偏光子の吸収軸に対して平行又は垂直な方向としうる。このような配置とすることにより、VAモードの液晶表示装置の視野角を拡大することができる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。以下の操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中にて行った。
〔評価方法〕
(孔含有層の屈折率)
実施例及び比較例で得られた視野拡大フィルムを、孔含有層を構成する樹脂のTg又はTm以上であり、(Tg+20)℃以下又は(Tm+20)℃以下の適切な温度にて、クレーズが消失して透明になるまでプレスし、その後、孔含有層の屈折率を測定した。屈折率の測定装置としては屈折率・膜厚測定装置(アイリックス社製「プリズムカプラModel2010/M」)を用いた。
(結晶性の判定)
結晶性の判定対象物について、示差走査熱量計(DSC)を用いて、JIS K7121に従い、10℃/分の昇温速度(昇温モード)で分析を行い、吸熱ピークが存在した場合に、結晶性樹脂と判定した。
(引張伸び)
測定対象物の樹脂の、単層厚み20μmのフィルムを用意した。実施例1以外については、実施例及び比較例で得た厚み20mmのコア層用のフィルムをそのまま用いた。実施例1においては、使用した二軸延伸ポリプロピレンフィルムと同じ材質で厚みが20μmである製品を入手した。フィルムをダンベル形状に打抜き、試験片とした。これについて、ISO527−3(試験速度:50mm/min)にて引張伸びを測定した。
(白輝度、コントラスト比、及びΔγ)
実施例及び比較例の液晶表示装置について、白輝度、コントラスト比、及びΔγを測定した。
測定には、分光放射計(トプコン社製、製品名「SR−LEDW」)を用いた。白輝度及びコントラスト比は、表示装置の正面方向(極角0°)から測定した。測定に際し、装置の表示面に照射される光の照度は0ルクスとした。白表示時の輝度を白輝度(単位:cd/m)として求めた。また、(白表示時の輝度)/(黒表示時の輝度)の比をコントラスト比として求めた。高い白輝度は、輝度が良好であることを示す。高いコントラスト比は、コントラスト比が良好であることを示す。低いΔγは、視野角特性が良好であることを示す。
また、256階調のグレースケールにおける0(黒)〜255(白)までの各階調の色を表示し、正面方向及び極角75°の方向から輝度を観察した。極角75°の方向の方位角は、孔含有部の長手方向と垂直な、表示装置面内方向とした。実施例においては、孔含有部の長手方向と垂直な、表示装置面内方向とし、比較例においては、各実施例に対応した表示装置面内方向とした。それぞれの方向の観察において、グレースケール0における輝度を0%、グレースケール255における輝度を100%とした規格化輝度を計算し、グレースケールと規格化輝度との関係を求めた。グレースケールのそれぞれの階調において、正面方向の規格化輝度と極角75°方向の規格化輝度との差の絶対値を求め、それらの値のうちの最大値を、Δγ(%)として得た。
〔実施例1〕
(1−1.材料フィルム)
幅300mm、厚み15μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学(株)社製)、及び厚み15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学(株)社製)を用意した。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムを判定対象物として、それを構成する樹脂の結晶性を判定したところ、結晶性であった。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムを測定対象物として、引張伸びを測定したところ、引張伸びは5%であった。
無延伸ポリプロピレンフィルムと、二軸延伸ポリプロピレンフィルムとを、サーマルラミネート法で貼り合せ、材料フィルムを得た。
(1−2.視野角拡大フィルム)
図3及び図4に概略的に示す装置を用いて、視野角拡大フィルムの製造を行った。装置において、ブレード30としては、SUS製のブレード(ブレードの先端R=0.2mm)を採用した。
(1−1)で得た材料フィルムを、その無延伸ポリプロピレンフィルム側の面がブレード30に接するように配置し、材料フィルム10をブレード30に押し当て、材料フィルム10の張力500N/mで、矢印A11の方向に50mm/minの速度で搬送させてクレーズ加工を行った。
クレーズ加工に際して、ブレード30のエッジ30Eの方向は、材料フィルムの幅方向(TD方向)とした。エッジ30Eの延長方向から観察したブレード30の中心線30Cと、材料フィルム10の下流側の表面とがなす角度θは20°とした。これにより、視野角拡大フィルムを製造した。
得られた視野角拡大フィルムの孔含有部は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム側に発現した。その孔含有部は、略直線状の形状のクレーズであり、孔含有部の長手方向は、互いに略平行であり、フィルムのTD方向と略平行であった。孔含有部の間隔Pは、20μm以下のランダムな間隔であった。個々の孔含有部の幅の平均値は300nm、孔含有部の深さの平均値は15μm、フィブリルの直径の平均値は20nmであった。これらの値は、クレーズフィルムの任意の箇所3点を選択し、走査型電子顕微鏡で25μm角の面積を観察することにより求めた。
得られた視野角拡大フィルムについて、その孔含有層である二軸延伸ポリプロピレンフィルム部分の屈折率を測定した。
(1−3.液晶表示装置の製造)
直線偏光VAモードの液晶表示装置(BenQ製、27インチ、型式GW2760HS)の視認側表面の偏光板に、(1−2)で得られた視野角拡大フィルムを貼合した。貼合に際しては、視認側偏光板における偏光子の吸収軸と、視野角拡大フィルムの孔含有部の長手方向とのなす角が90になり、且つ、孔含有部の長手方向が矩形の表示画面の短辺方向に対して平行となるように、これらの向きを調整した。また、視野角拡大フィルムの貼合は、孔含有部が形成された側の面が視認側となるように行った。これにより、本発明の液晶表示装置を得た。
(1−4.評価)
(1−3)で得られた液晶表示装置について、白輝度、コントラスト比、及びΔγを測定した。
〔実施例2〕
(2−1.ブロック共重合体[F1]の製造)
十分に乾燥し窒素置換した、攪拌装置を備えたステンレス鋼製反応器に、脱水シクロヘキサン256部、脱水スチレン25.0部、及びジ−n−ブチルエーテル0.65部を仕込み、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.82部を添加して重合反応を開始した。さらに、攪拌しながら60℃で60分反応させた。この時点での重合転化率は99.5%であった。反応温度は、反応停止まで60℃を維持した。
次に、反応溶液中に、スチレンモノマー25部とイソプレンモノマー25部からなる混合モノマー50部を150分間に亘って連続的に添加し、添加終了後そのまま20分間攪拌を続けた。この時点での重合転化率は99.5%であった。その後、更に、脱水スチレンを25.0部加え、60分攪拌した。この時点での重合転化率はほぼ100%であった。次いで、反応液にイソプロピルアルコール0.5部を加えて反応を停止させ、ブロック共重合体[F1]を含む重合反応溶液を得た。得られたブロック共重合体[F1]の重量平均分子量(Mw)は58,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.03であった。
(2−2.水素化ブロック共重合体[G1]の製造)
(2−1)で得た重合反応溶液を、攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒としてシリカ−アルミナ担持型ニッケル触媒(E22U、ニッケル担持量60%;日揮化学工業社製)4.0部及び脱水シクロヘキサン350部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度170℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行った。
水素化反応終了後、反応溶液をろ過して水素化触媒を除去した。ろ液に、フェノール系酸化防止剤であるペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](製品名「AO60」、ADEKA社製)0.1部を溶解したキシレン溶液1.0部を添加して溶解し、溶液とした。
次いで、上記溶液を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所社製、製品名「コントロ」)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で処理し、溶液から溶媒であるシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去し、溶融した樹脂を得た。これを濃縮乾燥器に連結した孔径20μmのステンレス製焼結フィルターを備えたポリマーフィルター(富士フィルター社製)により、温度260℃でろ過した後、ダイから溶融ポリマーをストランド状に押出し、冷却し、ペレタイザーによりペレットに成形した。これにより、水素化ブロック共重合体[G1]を含む、樹脂[G1]のペレットを得た。
得られた樹脂[G1]における水素化ブロック共重合体[G1]は、Stと、スチレン由来の繰り返し単位とイソプレン由来の繰り返し単位とが共存するブロック(以下、適宜「St/Ip」という。)と、Ipとからなる3元ブロック共重合体であり、それぞれのブロックの重量比は、St:St/Ip:St=25:25/25:25であった。該ブロック共重合体のMwは59,000、Mw/Mnは1.05、水素化率はほぼ100%、熱軟化温度Tsは110℃であった。
(2−3.ブロック共重合体[F2]の製造)
攪拌装置を備え、内部が十分に窒素置換された反応器に、脱水シクロヘキサン270部、脱水スチレン75部及びジ−n−ブチルエーテル7.0部を入れた。全容を60℃で攪拌しながら、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)5.6部を加えて重合を開始させた。引続き全容を60℃で60分間攪拌した。反応温度は、反応停止まで60℃を維持した。
この時点(重合第1段階)での重合転化率は99.4%であった。
次に、反応液に、脱水イソプレン15部を40分間に亘って連続的に添加し、添加終了後そのまま30分間攪拌を続けた。この時点(重合第2段階)での重合転化率は99.8%であった。
その後、更に、反応液に脱水スチレン10部を、30分間に亘って連続的に添加し、添加終了後そのまま30分攪拌した。この時点(重合第3段階)での重合転化率はほぼ100%であった。
ここで、イソプロピルアルコール1.0部を加えて反応を停止させることによって、[D1]−[E]−[D2]型のブロック共重合体[F2]を含む重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体[F2]においては、Mw[F2]=82,400、Mw/Mnは1.32、wA:wB=85:15であった。
(2−4.水素化ブロック共重合体[G2]の製造)
(2−3)で得た重合体溶液を、攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として、珪藻土担持型ニッケル触媒(製品名「E22U」、ニッケル担持量60%、日揮触媒化成社製)4.0部、及び脱水シクロヘキサン30部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度190℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行った。
水素化反応により得られた反応溶液には、水素化ブロック共重合体[G2]が含まれていた。水素化ブロック共重合体[G2]のMw[G2]は71,800、分子量分布Mw/Mnは1.30、水素化率はほぼ100%であった。
水素化反応終了後、反応溶液を濾過して水素化触媒を除去した後、フェノール系酸化防止剤であるペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](製品名「AO60」、ADEKA社製)0.3部を溶解したキシレン溶液2.0部を添加して溶解し、溶液とした。
次いで、上記溶液を、円筒型濃縮乾燥器(製品名「コントロ」、日立製作所社製)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で処理し、溶液からシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去し、溶融した樹脂を得た。これをダイからストランド状に押出し、冷却し、ペレタイザーによりペレットに成形した。これにより、水素化ブロック共重合体[G2]を含む、樹脂[G2]のペレット95部を製造した。
得られた樹脂[G2]における水素化ブロック共重合体[G2]は、Mw[G2]=68,500、Mw/Mn=1.30、Ts=139℃であった。
樹脂[G2]を判定対象物として、結晶性を判定したところ、非晶性であった。
樹脂[G2]を測定対象物として、引張伸びを測定したところ、引張伸びは4%であった。
(2−5.材料フィルムの調製)
材料フィルムとして、スキン層/コア層/スキン層の、2種3層の層構成を有する多層のフィルムを成形した。成形には、共押出成形用のフィルム成形装置を用いた。スキン層の材料としては、(2−2)で得た樹脂[G1]を用いた。コア層の材料としては、(2−4)で得た樹脂[G2]を用いた。
得られた材料フィルムは、幅300mm、各スキン層の厚み10μm、コア層厚み20μmであり、材料フィルム全体の厚みは40μmであった。
(2−6.視野角拡大フィルムの製造)
図3及び図4に概略的に示す装置を用いて、視野角拡大フィルムの製造を行った。装置において、ブレード30としては、SUS製のブレード(ブレードの先端R=0.2mm)を採用した。
(2−5)で得た材料フィルムを、その一方の面がブレード30に接するように配置し、材料フィルム10をブレード30に押し当て、材料フィルム10の張力450N/mで、矢印A11の方向に50mm/minの速度で搬送させてクレーズ加工を行った。
クレーズ加工に際して、ブレード30のエッジ30Eの方向は、材料フィルムの幅方向(TD方向)とした。エッジ30Eの延長方向から観察したブレード30の中心線30Cと、材料フィルム10の下流側の表面とがなす角度θは20°とした。これにより、視野角拡大フィルムを製造した。
得られた視野角拡大フィルムの孔含有部は、コア層に発現した。その孔含有部は、略直線状の形状のクレーズであり、孔含有部の長手方向は、互いに略平行であり、フィルムのTD方向と略平行であった。孔含有部の間隔Pは、1.2μm以下のランダムな間隔であった。個々の孔含有部の幅の平均値は250nm、孔含有部の深さの平均値は20μm、フィブリルの直径の平均値は5nmであった。これらの値は、クレーズフィルムの任意の箇所3点を選択し、走査型電子顕微鏡で25μm角の面積を観察することにより求めた。
得られた視野角拡大フィルムについて、その孔含有層の屈折率を測定した。孔含有層がコア層であったため、孔含有層の屈折率の測定においては、コア層の屈折率を測定した。
(2−7.液晶表示装置の製造)
直線偏光VAモードの液晶表示装置(実施例1の(1−3)で用いたものと同じ)の視認側表面の偏光板に、(2−6)で得られた視野角拡大フィルムを貼合した。貼合に際しては、視認側偏光板における偏光子の吸収軸と、視野角拡大フィルムの孔含有部の長手方向とのなす角が90になり、且つ、孔含有部の長手方向が矩形の表示画面の短辺方向に対して平行となるように、これらの向きを調整した。これにより、本発明の液晶表示装置を得た。
(2−8.評価)
(2−7)で得られた液晶表示装置について、白輝度、コントラスト比、及びΔγを測定した。
〔実施例3〕
下記の変更点の他は、実施例2と同じ操作により、液晶表示装置及びその構成要素を得て評価した。
・(2−6)の視野角拡大フィルムの製造において、SUS製のブレードを、先端R=0.2mmのものから先端R=0.5mmのものに変更した。
・(2−6)の視野角拡大フィルムの製造において、材料フィルムの張力を、450N/mから300N/mに変更した。
実施例3において得られた視野角拡大フィルムの孔含有部は、コア層に発現した。その孔含有部は、略直線状の形状のクレーズであり、孔含有部の長手方向は、互いに略平行であり、フィルムのTD方向と略平行であった。孔含有部の間隔Pは、1.8μm以下のランダムな間隔であった。個々の孔含有部の幅の平均値は50nm、孔含有部の深さの平均値は20μm、フィブリルの直径の平均値は5nmであった。孔含有層の屈折率の測定においては、コア層の屈折率を測定した。
〔実施例4〕
(4−1.材料フィルムの調製)
材料フィルムとして、スキン層/コア層/スキン層の、2種3層の層構成を有する多層フィルムを成形した。成形には、共押出成形用のフィルム成形装置を用いた。スキン層の材料としては、アクリル重合体およびゴム粒子を含むアクリル樹脂(住友化学社製「HT55X」、ガラス転移温度108℃)を用いた。コア層の材料としては、ポリメチルメタクリレート系重合体樹脂(旭化成社製、商品名「デルペット」80NH、ガラス転移温度102℃)を用いた。
得られた材料フィルムは、幅300mm、各スキン層の厚み10μm、コア層厚み20μmであり、材料フィルム全体の厚みは40μmであった。
ポリメチルメタクリレート系重合体樹脂を判定対象物として、結晶性を判定したところ、非晶性であった。
ポリメチルメタクリレート系重合体樹脂を測定対象物として、引張伸びを測定したところ、引張伸びは5%であった。
(4−2.視野角拡大フィルム及び液晶表示装置の製造及び評価)
下記の変更点の他は、実施例2の(2−6)〜(2−8)と同じ操作により、液晶表示装置及びその構成要素を得て評価した。
・(2−6)の視野角拡大フィルムの製造において、(2−5)で得た材料フィルムに代えて、(4−1)で得た材料フィルムを用いた。
実施例4において得られた視野角拡大フィルムの孔含有部は、コア層に発現した。その孔含有部は、略直線状の形状のクレーズであり、孔含有部の長手方向は、互いに略平行であり、フィルムのTD方向と略平行であった。孔含有部の間隔Pは、1.2μm以下のランダムな間隔であった。個々の孔含有部の幅の平均値は50nm、孔含有部の深さの平均値は19μm、フィブリルの直径の平均値は5nmであった。孔含有層の屈折率の測定においては、コア層の屈折率を測定した。
〔実施例5〕
(5−1.材料フィルムの調製)
材料フィルムとして、スキン層/コア層/スキン層の、2種3層の層構成を有する多層フィルムを成形した。成形には、共押出成形用のフィルム成形装置を用いた。スキン層の材料としては、ノルボルネン系重合体1(商品名:ゼオノア1600、日本ゼオン株式会社製、ガラス転移温度163℃)を用いた。コア層の材料としては、ノルボルネン系重合体2(商品名:ゼオネックスK26R、日本ゼオン株式会社製、ガラス転移温度143℃)を用いた。
得られた材料フィルムは、幅300mm、各スキン層の厚み10μm、コア層厚み20μmであり、材料フィルム全体の厚みは40μmであった。
ノルボルネン系重合体2(ゼオネックスK26R)を判定対象物として、結晶性を判定したところ、非晶性であった。
ノルボルネン系重合体2(ゼオネックスK26R)を測定対象物として、引張伸びを測定したところ、引張伸びは2%であった。
(5−2.視野角拡大フィルム及び液晶表示装置の製造及び評価)
下記の変更点の他は、実施例2の(2−6)〜(2−8)と同じ操作により、液晶表示装置及びその構成要素を得て評価した。
・(2−6)の視野角拡大フィルムの製造において、(2−5)で得た材料フィルムに代えて、(5−1)で得た材料フィルムを用いた。
・(2−6)の視野角拡大フィルムの製造において、材料フィルムの張力を、450N/mから700N/mに変更した。
実施例5において得られた視野角拡大フィルムの孔含有部は、コア層に発現した。その孔含有部は、略直線状の形状のクレーズであり、孔含有部の長手方向は、互いに略平行であり、フィルムのTD方向と略平行であった。孔含有部の間隔Pは、1.5μm以下のランダムな間隔であった。個々の孔含有部の幅の平均値は45nm、孔含有部の深さの平均値は19μm、フィブリルの直径の平均値は5nmであった。孔含有層の屈折率の測定においては、コア層の屈折率を測定した。
〔比較例1〕
実施例1〜5において液晶表示装置そのものについて、白輝度、コントラスト比、及びΔγを測定した。
〔比較例2〕
(C2−1.材料フィルムの調製)
材料フィルムとして、スキン層/コア層/スキン層の、2種3層の層構成を有する多層フィルムを成形した。成形には、共押出成形用のフィルム成形装置を用いた。スキン層の材料としては、アクリル重合体およびゴム粒子を含むアクリル樹脂(住友化学社製「HT55X」、ガラス転移温度108℃)を用いた。コア層の材料としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂(NovaChemicals社製「DylarkD332」、ガラス転移温度128℃)を用いた。
得られた材料フィルムは、幅300mm、各スキン層の厚み10μm、コア層厚み20μmであり、材料フィルム全体の厚みは40μmであった。
スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂を判定対象物として、結晶性を判定したところ、非晶性であった。
スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂を測定対象物として、引張伸びを測定したところ、引張伸びは2%であった。
(C2−2.視野角拡大フィルム及び液晶表示装置の製造及び評価)
下記の変更点の他は、実施例2の(2−6)〜(2−8)と同じ操作により、液晶表示装置及びその構成要素を得て評価した。
・(2−6)の視野角拡大フィルムの製造において、(2−5)で得た材料フィルムに代えて、(C2−1)で得た材料フィルムを用いた。
・(2−6)の視野角拡大フィルムの製造において、材料フィルムの張力を、450N/mから500N/mに変更した。
比較例2において得られた視野角拡大フィルムの孔含有部は、コア層に発現した。その孔含有部は、略直線状の形状のクレーズであり、孔含有部の長手方向は、互いに略平行であり、フィルムのTD方向と略平行であった。孔含有部の間隔Pは、1.2μm以下のランダムな間隔であった。個々の孔含有部の幅の平均値は50nm、孔含有部の深さの平均値は19μm、フィブリルの直径の平均値は5nmであった。孔含有層の屈折率の測定においては、コア層の屈折率を測定した。
〔比較例3〕
(C3−1.材料フィルムの調製)
材料フィルムとして、スキン層/コア層/スキン層の、2種3層の層構成を有する多層フィルムを成形した。成形には、共押出成形用のフィルム成形装置を用いた。スキン層の材料としては、ポリカーボネート樹脂(商品名「パンライトAD5503」、帝人株式会社製、ガラス転移温度142℃)を用いた。コア層の材料としては、別のポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンHL8004」、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、ガラス転移温度136℃)を用いた。
得られた材料フィルムは、幅300mm、各スキン層の厚み10μm、コア層厚み20μmであり、材料フィルム全体の厚みは40μmであった。
スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂を判定対象物として、結晶性を判定したところ、非晶性であった。
スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂を測定対象物として、引張伸びを測定したところ、引張伸びは2%であった。
(C3−2.視野角拡大フィルム及び液晶表示装置の製造及び評価)
下記の変更点の他は、実施例2の(2−6)〜(2−8)と同じ操作により、液晶表示装置及びその構成要素を得て評価した。
・(2−6)の視野角拡大フィルムの製造において、(2−5)で得た材料フィルムに代えて、(C3−1)で得た材料フィルムを用いた。
・(2−6)の視野角拡大フィルムの製造において、材料フィルムの張力を、450N/mから700N/mに変更した。
比較例3において得られた視野角拡大フィルムの孔含有部は、コア層に発現した。その孔含有部は、略直線状の形状のクレーズであり、孔含有部の長手方向は、互いに略平行であり、フィルムのTD方向と略平行であった。孔含有部の間隔Pは、1.5μm以下のランダムな間隔であった。個々の孔含有部の幅の平均値は40nm、孔含有部の深さの平均値は19μm、フィブリルの直径の平均値は5nmであった。孔含有層の屈折率の測定においては、コア層の屈折率を測定した。
実施例及び比較例の結果を、表1にまとめて示す。
Figure 0006977736
表1に示す結果から明らかな通り、本発明の屈折率等の要件を満たす材料で構成された視野拡大フィルムを用いた実施例においては、コントラスト比2000超で、且つΔγ20以下といった、良好な特性を有する液晶表示装置が得られた。
1 視野角拡大フィルム
10 フィルム
20 孔含有部
21 クレーズ(孔含有部)
211 フィブリル
212 孔
100 クレーズ加工装置
30 ブレード

Claims (8)

  1. 視認側から、偏光板、及びTNモードの液晶セルを、この順で備えるTNモードの液晶表示装置であって、
    前記偏光板は、視野角拡大フィルムと、偏光子とを備え、その前記視野角拡大フィルム側の面が視認側となるよう配置され、
    前記視野角拡大フィルムは、視野角を拡大するための視野角拡大フィルムであって、1層以上の樹脂層を備え、
    前記樹脂層の1層以上は孔含有層であり、
    前記孔含有層は、互いに略平行な孔含有部を複数備え、
    前記孔含有部は孔を含有し、
    前記孔含有層は、その屈折率が1.53以下であり、
    表示画面を斜め方向から視認した時に階調反転する方位角度と前記孔含有部の長手方向とのなす角が垂直である、TNモードの液晶表示装置。
  2. 前記孔含有層を構成する樹脂が、非晶性樹脂である、請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 2層以上の前記樹脂層を備える、請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
  4. 隣り合う前記孔含有部の間隔が、50μm以下のランダムな間隔である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  5. 前記視野角拡大フィルムが、紫外線吸収剤を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  6. 前記視野角拡大フィルムが、偏光板保護フィルムである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  7. 前記孔含有部がクレーズからなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  8. 前記孔含有部の長手方向が、前記偏光子の吸収軸に対して平行又は垂直である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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