JP6977736B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
従って、本発明の目的は、高いコントラスト比及び広範囲な視野角を達成しうる視野角拡大フィルム、偏光板、及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
前記樹脂層の1層以上は孔含有層であり、
前記孔含有層は、互いに略平行な孔含有部を複数備え、
前記孔含有部は孔を含有し、
前記孔含有層は、その屈折率が1.53以下である、視野角拡大フィルム。
〔2〕 前記孔含有層を構成する樹脂が、非晶性樹脂である、〔1〕に記載の視野角拡大フィルム。
〔3〕 2層以上の前記樹脂層を備える、〔1〕又は〔2〕に記載の視野角拡大フィルム。
〔4〕 隣り合う前記孔含有部の間隔が、50μm以下のランダムな間隔である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の視野角拡大フィルム。
〔5〕 紫外線吸収剤を含有する、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の視野角拡大フィルム。
〔6〕 前記視野角拡大フィルムが、偏光板保護フィルムである、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の視野角拡大フィルム。
〔7〕 前記孔含有部がクレーズからなる、〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の視野角拡大フィルム。
〔8〕 〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の視野角拡大フィルムと、偏光子とを備える、偏光板。
〔9〕 前記孔含有部の長手方向が、前記偏光子の吸収軸に対して平行又は垂直である、〔8〕に記載の偏光板。
〔10〕 前記偏光子の吸収軸と前記孔含有部の長手方向とのなす角が45°である、〔8〕に記載の偏光板。
〔11〕 視認側から、〔8〕又は〔9〕に記載の偏光板、及びTNモードの液晶セルを、この順で備えるTNモードの液晶表示装置であって、
前記偏光板は、その前記視野角拡大フィルム側の面が視認側となるよう配置され、
表示画面を斜め方向から視認した時に階調反転する方位角度と前記孔含有部の長手方向とのなす角が垂直である、TNモードの液晶表示装置。
〔12〕 視認側から、〔8〕又は〔9〕に記載の偏光板、及びVAモードの液晶セルを、この順で備えるVAモードの液晶表示装置であって、
前記偏光板は、その前記視野角拡大フィルム側の面が視認側となるよう配置される、VAモードの液晶表示装置。
本発明の視野角拡大フィルムは、液晶表示装置の視野角を拡大するためのフィルムである。
視野角拡大フィルムは、1層以上の樹脂層を備える。樹脂層のうちの1層以上は孔含有層である。
孔含有層の材料は、各種の重合体を含む樹脂としうる。かかる重合体の例としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、及び脂環構造含有重合体が挙げられるが、孔含有部の形成のしやすさの観点からポリスチレン、ポリプロピレン、脂環構造含有重合体が好ましい。
脂環構造含有重合体のある例として、環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]を有する、2つ以上の重合体ブロック[D]と、鎖状炭化水素化合物水素化物単位[II]、又は単位[I]及び単位[II]の組み合わせを有する1つ以上の重合体ブロック[E]を含む水素化ブロック共重合体[G]が挙げられる。
環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]は、環式炭化水素基含有化合物を重合し、さらに、かかる重合により得られた単位が不飽和結合を有していればその不飽和結合を水素化して得られる構造を有する構造単位である。ただし、環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]は、当該構造を有する限りにおいて、どのような製造方法で得られた単位をも含む。
同様に、本願においては、例えばスチレンを重合し、その不飽和結合を水素化して得られる構造を有する構造単位を、スチレン水素化物単位と呼ぶことがある。スチレン水素化物単位も、当該構造を有する限りにおいて、どのような製造方法で得られた単位をも含む。
芳香族ビニル化合物水素化物単位[I]の例としては、以下の構造式(1)で表される構造単位が挙げられる。
鎖状炭化水素化合物水素化物単位[II]は、鎖状炭化水素化合物を重合し、さらに、かかる重合により得られた単位が不飽和結合を有していればその不飽和結合を水素化して得られる構造を有する構造単位である。ただし、鎖状炭化水素化合物水素化物単位[II]は、当該構造を有する限りにおいて、どのような製造方法で得られた単位をも含む。
同様に、本願においては、例えばイソプレンを重合し、その不飽和結合を水素化して得られる構造を有する構造単位を、イソプレン水素化物単位と呼ぶことがある。イソプレン水素化物単位も、当該構造を有する限りにおいて、どのような製造方法で得られた単位をも含む。
水素化ブロック共重合体[G]は、1分子あたり1つのブロック[E]と、その両端に連結された1分子当たり2つのブロック[D]とを有するトリブロック分子構造を有することが好ましい。すなわち、水素化ブロック共重合体[G]は、1分子あたり1つのブロック[E]と;ブロック[E]の一端に連結され、環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]を有する、1分子あたり1つのブロック[D1]と;ブロック[E]の他端に連結され、環式炭化水素基含有化合物水素化物単位[I]を有する、1分子あたり1つのブロック[D2]と;を含むトリブロック共重合体であることが好ましい。
また、水素化ブロック共重合体[G]の分子における、単位[I]及び[II]の重量比[I]/[II]は、好ましくは70/30以上、より好ましくは72/28以上、特に好ましくは74/26以上であり、好ましくは89/11以下、より好ましくは85/15以下、特に好ましくは83/17以下である。単位[I]及び[II]の比率が前記範囲にあることにより、好ましい特性を有する孔含有層を容易に得ることができる。
孔含有層を構成ずる樹脂における重合体の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算又はポリイソプレン換算の重量平均分子量で、通常5,000以上、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上であり、通常50,000以下、好ましくは45,000以下、より好ましくは40,000以下である。
孔含有層は、その屈折率が1.53以下、好ましくは1.51以下である。孔含有層の屈折率を前記の特定の値以下とすることにより、孔含有層による視野角拡大の効果が高まり、本発明の有効な効果を得ることができる。屈折率の下限は、特に限定されないが、例えば1.48以上としうる。
本発明の視野角拡大フィルムは、樹脂層として孔含有層のみを備えてもよく、孔含有層と、孔含有層ではない任意の樹脂層とを組み合わせて備えてもよい。孔含有層と、それ以外の樹脂層とを組み合わせることにより、有用な視野角拡大フィルムを構成することができる。
本発明の視野角拡大フィルムにおける孔含有層は、互いに略平行な孔含有部を複数備え、孔含有部は孔を含有する。
図1は、視野角拡大フィルムの一例を模式的に示す平面図である。図1の例において、長尺状の視野角拡大フィルム1は、一層の孔含有層のみからなり、互いに平行な直線状の孔含有部20を複数備える。図1において孔含有部20のそれぞれは一本の細い線として図示しているが、孔含有部20は、幅及び深さのある領域であり、その中に多数の孔(図1において不図示)を備える。図1の例において、孔含有部20の長手方向は、視野角拡大フィルム1のTD方向と平行な方向である。
本発明の視野角拡大フィルムは、長尺のフィルムであってもよく、枚葉のフィルムであってもよい。通常、製造効率を高める観点から、視野角拡大フィルムは長尺のフィルムとして製造される。また、枚葉の視野角拡大フィルムを製造する場合には、長尺の視野角拡大フィルムを所望の形状に切り出すことにより、枚葉の視野角拡大フィルムを製造しうる。
本発明の視野角拡大フィルムが光学的に異方性のフィルムである場合、その面内レターデーションReは、好ましくは360nm以下、より好ましくは330nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されないが、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、さらに好ましくは30nm以上である。また、厚み方向のレターデーションRthは、好ましくは400nm以下、より好ましくは350nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されないが、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、さらに好ましくは30nm以上である。
本発明の視野角拡大フィルムは、既知の方法等の任意の方法で製造し得る。例えば、孔含有部の形成に供するためのフィルムを製造した後、該フィルムの一以上の層に孔含有部を形成することで、本発明の視野角拡大フィルムを製造し得る。本願においては、このような、孔含有部の形成に供するためのフィルムを、「材料フィルム」という場合がある。
材料フィルムの層構成は、特に限定されず、所望の視野角拡大フィルムの層構成に適合した層構成としうる。例えば、孔含有層となる層と、それ以外の樹脂層となる層とを含む層構成としうる。より具体的には、クレーズ加工により孔含有層となり得る層と、かかるクレーズ加工によってもクレーズが発生しない層とを組み合わせて、孔含有層とそれ以外の樹脂層とを備える視野角拡大フィルムを得るための材料フィルムを構成しうる。
材料フィルムを製造後、材料フィルムの面上に孔含有部を形成することにより、視野角拡大フィルムを製造しうる。
孔含有部を形成する具体的な方法の例としては、クレーズ加工が挙げられる。クレーズ加工を行うことにより、孔含有部がクレーズからなる視野角拡大フィルムを、効率的に製造することができる。
クレーズ加工装置100の操作において、繰り出しロール41から矢印A11方向に搬送された材料フィルム10は、搬送ロール42及び43により、ブレード30のエッジ30Eに対して付勢された状態で支持されて搬送される。これにより、材料フィルム10に圧力を加えることができる。その結果、材料フィルム10の表面に、加圧による変形が生じ、TD方向に略平行な方向に延長する孔含有部20が形成され、視野角拡大フィルム1を製造することができる。
本発明の視野角拡大フィルムは、液晶表示装置の視野角を拡大させる用途に用いうる。但し、本発明の視野角拡大フィルムの機能は、これに限られない。例えば、本発明の視野角拡大フィルムは、視野角拡大フィルムとしての機能に加えて、それ以外の機能とを併せて発揮するものであってもよい。かかる視野角拡大フィルム以外の機能の例としては、保護フィルムとしての機能、位相差フィルムとしての機能、及び光学補償フィルムとしての機能が挙げられる。特に以下に述べる通り、偏光板において偏光板保護フィルムとしての機能を併せて発揮するものとして、好ましく用いうる。
一方、本発明の偏光板及び液晶表示装置は、既成の液晶表示装置に、視野拡大フィルムを追加するだけでも構成しうる。具体的には、視認側偏光子よりもさらに視認側に保護フィルム等の種々の構成要素を備える液晶表示装置の表示面に、視野拡大フィルムを載置することにより、視認側偏光子と視野拡大フィルムとを組み合わせ、本発明の偏光板及び液晶表示装置を構成しうる。
本発明の視野角拡大フィルム、及び本発明の偏光板は、液晶表示装置に使用しうる。液晶表示装置を構成する液晶セルは、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Virtical Alignment)モード、IPS(In−Plane Switching)モード等の公知のものを使用できるが、視野角を効果的に拡大できる観点からTNモード及びVAモードが好ましい。
本発明の視野角拡大フィルム、又は本発明の偏光板は、TNモードの液晶表示装置に使用されることが好ましい。
階調反転する方位角度は一方向に限られず、二方向、あるいはある程度の広がりを持った角度範囲である場合もある。その場合は、そのうちで、最も視野角を拡大したい方向を定め、当該方向と垂直な方向に、孔含有部の長手方向を設定しうる。
本発明のTNモードの液晶表示装置において、本発明の偏光板としては、偏光子の吸収軸と孔含有部の長手方向とのなす角が45°であるものを好ましく用いうる。通常のTNモードの液晶表示装置(矩形の表示画面を有し、表示画面が略垂直方向に直立し、矩形の長辺方向が水平方向、短辺方向が略垂直方向となる状態で使用されるもの)においては、下側から観察した際に階調反転が見られる場合が多い。また、通常のTNモードの液晶表示装置においては、偏光子は、その吸収軸と表示画面水平方向とがなす角が45°である場合が多い。したがって、本発明の偏光板として、偏光子の吸収軸と孔含有部の長手方向とのなす角が45°であるものを用いた場合、偏光子の吸収軸と表示画面水平方向とがなす角が45°となり且つ孔含有部の長手方向と表示画面水平方向とがなす角度が平行となる配置を容易に行うことができるので、TNモードの液晶表示装置の視野角の拡大を容易に行うことができる。
本発明の視野角拡大フィルム、又は本発明の偏光板はまた、VAモードの液晶表示装置に使用されることが好ましい。
(孔含有層の屈折率)
実施例及び比較例で得られた視野拡大フィルムを、孔含有層を構成する樹脂のTg又はTm以上であり、(Tg+20)℃以下又は(Tm+20)℃以下の適切な温度にて、クレーズが消失して透明になるまでプレスし、その後、孔含有層の屈折率を測定した。屈折率の測定装置としては屈折率・膜厚測定装置(アイリックス社製「プリズムカプラModel2010/M」)を用いた。
結晶性の判定対象物について、示差走査熱量計(DSC)を用いて、JIS K7121に従い、10℃/分の昇温速度(昇温モード)で分析を行い、吸熱ピークが存在した場合に、結晶性樹脂と判定した。
測定対象物の樹脂の、単層厚み20μmのフィルムを用意した。実施例1以外については、実施例及び比較例で得た厚み20mmのコア層用のフィルムをそのまま用いた。実施例1においては、使用した二軸延伸ポリプロピレンフィルムと同じ材質で厚みが20μmである製品を入手した。フィルムをダンベル形状に打抜き、試験片とした。これについて、ISO527−3(試験速度:50mm/min)にて引張伸びを測定した。
実施例及び比較例の液晶表示装置について、白輝度、コントラスト比、及びΔγを測定した。
測定には、分光放射計(トプコン社製、製品名「SR−LEDW」)を用いた。白輝度及びコントラスト比は、表示装置の正面方向(極角0°)から測定した。測定に際し、装置の表示面に照射される光の照度は0ルクスとした。白表示時の輝度を白輝度(単位:cd/m2)として求めた。また、(白表示時の輝度)/(黒表示時の輝度)の比をコントラスト比として求めた。高い白輝度は、輝度が良好であることを示す。高いコントラスト比は、コントラスト比が良好であることを示す。低いΔγは、視野角特性が良好であることを示す。
(1−1.材料フィルム)
幅300mm、厚み15μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学(株)社製)、及び厚み15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学(株)社製)を用意した。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムを判定対象物として、それを構成する樹脂の結晶性を判定したところ、結晶性であった。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムを測定対象物として、引張伸びを測定したところ、引張伸びは5%であった。
無延伸ポリプロピレンフィルムと、二軸延伸ポリプロピレンフィルムとを、サーマルラミネート法で貼り合せ、材料フィルムを得た。
図3及び図4に概略的に示す装置を用いて、視野角拡大フィルムの製造を行った。装置において、ブレード30としては、SUS製のブレード(ブレードの先端R=0.2mm)を採用した。
(1−1)で得た材料フィルムを、その無延伸ポリプロピレンフィルム側の面がブレード30に接するように配置し、材料フィルム10をブレード30に押し当て、材料フィルム10の張力500N/mで、矢印A11の方向に50mm/minの速度で搬送させてクレーズ加工を行った。
クレーズ加工に際して、ブレード30のエッジ30Eの方向は、材料フィルムの幅方向(TD方向)とした。エッジ30Eの延長方向から観察したブレード30の中心線30Cと、材料フィルム10の下流側の表面とがなす角度θは20°とした。これにより、視野角拡大フィルムを製造した。
直線偏光VAモードの液晶表示装置(BenQ製、27インチ、型式GW2760HS)の視認側表面の偏光板に、(1−2)で得られた視野角拡大フィルムを貼合した。貼合に際しては、視認側偏光板における偏光子の吸収軸と、視野角拡大フィルムの孔含有部の長手方向とのなす角が90になり、且つ、孔含有部の長手方向が矩形の表示画面の短辺方向に対して平行となるように、これらの向きを調整した。また、視野角拡大フィルムの貼合は、孔含有部が形成された側の面が視認側となるように行った。これにより、本発明の液晶表示装置を得た。
(1−3)で得られた液晶表示装置について、白輝度、コントラスト比、及びΔγを測定した。
(2−1.ブロック共重合体[F1]の製造)
十分に乾燥し窒素置換した、攪拌装置を備えたステンレス鋼製反応器に、脱水シクロヘキサン256部、脱水スチレン25.0部、及びジ−n−ブチルエーテル0.65部を仕込み、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.82部を添加して重合反応を開始した。さらに、攪拌しながら60℃で60分反応させた。この時点での重合転化率は99.5%であった。反応温度は、反応停止まで60℃を維持した。
次に、反応溶液中に、スチレンモノマー25部とイソプレンモノマー25部からなる混合モノマー50部を150分間に亘って連続的に添加し、添加終了後そのまま20分間攪拌を続けた。この時点での重合転化率は99.5%であった。その後、更に、脱水スチレンを25.0部加え、60分攪拌した。この時点での重合転化率はほぼ100%であった。次いで、反応液にイソプロピルアルコール0.5部を加えて反応を停止させ、ブロック共重合体[F1]を含む重合反応溶液を得た。得られたブロック共重合体[F1]の重量平均分子量(Mw)は58,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.03であった。
(2−1)で得た重合反応溶液を、攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒としてシリカ−アルミナ担持型ニッケル触媒(E22U、ニッケル担持量60%;日揮化学工業社製)4.0部及び脱水シクロヘキサン350部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度170℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行った。
水素化反応終了後、反応溶液をろ過して水素化触媒を除去した。ろ液に、フェノール系酸化防止剤であるペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](製品名「AO60」、ADEKA社製)0.1部を溶解したキシレン溶液1.0部を添加して溶解し、溶液とした。
次いで、上記溶液を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所社製、製品名「コントロ」)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で処理し、溶液から溶媒であるシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去し、溶融した樹脂を得た。これを濃縮乾燥器に連結した孔径20μmのステンレス製焼結フィルターを備えたポリマーフィルター(富士フィルター社製)により、温度260℃でろ過した後、ダイから溶融ポリマーをストランド状に押出し、冷却し、ペレタイザーによりペレットに成形した。これにより、水素化ブロック共重合体[G1]を含む、樹脂[G1]のペレットを得た。
得られた樹脂[G1]における水素化ブロック共重合体[G1]は、Stと、スチレン由来の繰り返し単位とイソプレン由来の繰り返し単位とが共存するブロック(以下、適宜「St/Ip」という。)と、Ipとからなる3元ブロック共重合体であり、それぞれのブロックの重量比は、St:St/Ip:St=25:25/25:25であった。該ブロック共重合体のMwは59,000、Mw/Mnは1.05、水素化率はほぼ100%、熱軟化温度Tsは110℃であった。
攪拌装置を備え、内部が十分に窒素置換された反応器に、脱水シクロヘキサン270部、脱水スチレン75部及びジ−n−ブチルエーテル7.0部を入れた。全容を60℃で攪拌しながら、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)5.6部を加えて重合を開始させた。引続き全容を60℃で60分間攪拌した。反応温度は、反応停止まで60℃を維持した。
この時点(重合第1段階)での重合転化率は99.4%であった。
その後、更に、反応液に脱水スチレン10部を、30分間に亘って連続的に添加し、添加終了後そのまま30分攪拌した。この時点(重合第3段階)での重合転化率はほぼ100%であった。
(2−3)で得た重合体溶液を、攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として、珪藻土担持型ニッケル触媒(製品名「E22U」、ニッケル担持量60%、日揮触媒化成社製)4.0部、及び脱水シクロヘキサン30部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度190℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行った。
水素化反応により得られた反応溶液には、水素化ブロック共重合体[G2]が含まれていた。水素化ブロック共重合体[G2]のMw[G2]は71,800、分子量分布Mw/Mnは1.30、水素化率はほぼ100%であった。
次いで、上記溶液を、円筒型濃縮乾燥器(製品名「コントロ」、日立製作所社製)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で処理し、溶液からシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去し、溶融した樹脂を得た。これをダイからストランド状に押出し、冷却し、ペレタイザーによりペレットに成形した。これにより、水素化ブロック共重合体[G2]を含む、樹脂[G2]のペレット95部を製造した。
得られた樹脂[G2]における水素化ブロック共重合体[G2]は、Mw[G2]=68,500、Mw/Mn=1.30、Ts=139℃であった。
樹脂[G2]を判定対象物として、結晶性を判定したところ、非晶性であった。
樹脂[G2]を測定対象物として、引張伸びを測定したところ、引張伸びは4%であった。
材料フィルムとして、スキン層/コア層/スキン層の、2種3層の層構成を有する多層のフィルムを成形した。成形には、共押出成形用のフィルム成形装置を用いた。スキン層の材料としては、(2−2)で得た樹脂[G1]を用いた。コア層の材料としては、(2−4)で得た樹脂[G2]を用いた。
得られた材料フィルムは、幅300mm、各スキン層の厚み10μm、コア層厚み20μmであり、材料フィルム全体の厚みは40μmであった。
(2−6.視野角拡大フィルムの製造)
図3及び図4に概略的に示す装置を用いて、視野角拡大フィルムの製造を行った。装置において、ブレード30としては、SUS製のブレード(ブレードの先端R=0.2mm)を採用した。
(2−5)で得た材料フィルムを、その一方の面がブレード30に接するように配置し、材料フィルム10をブレード30に押し当て、材料フィルム10の張力450N/mで、矢印A11の方向に50mm/minの速度で搬送させてクレーズ加工を行った。
クレーズ加工に際して、ブレード30のエッジ30Eの方向は、材料フィルムの幅方向(TD方向)とした。エッジ30Eの延長方向から観察したブレード30の中心線30Cと、材料フィルム10の下流側の表面とがなす角度θは20°とした。これにより、視野角拡大フィルムを製造した。
直線偏光VAモードの液晶表示装置(実施例1の(1−3)で用いたものと同じ)の視認側表面の偏光板に、(2−6)で得られた視野角拡大フィルムを貼合した。貼合に際しては、視認側偏光板における偏光子の吸収軸と、視野角拡大フィルムの孔含有部の長手方向とのなす角が90になり、且つ、孔含有部の長手方向が矩形の表示画面の短辺方向に対して平行となるように、これらの向きを調整した。これにより、本発明の液晶表示装置を得た。
(2−7)で得られた液晶表示装置について、白輝度、コントラスト比、及びΔγを測定した。
下記の変更点の他は、実施例2と同じ操作により、液晶表示装置及びその構成要素を得て評価した。
・(2−6)の視野角拡大フィルムの製造において、SUS製のブレードを、先端R=0.2mmのものから先端R=0.5mmのものに変更した。
・(2−6)の視野角拡大フィルムの製造において、材料フィルムの張力を、450N/mから300N/mに変更した。
(4−1.材料フィルムの調製)
材料フィルムとして、スキン層/コア層/スキン層の、2種3層の層構成を有する多層フィルムを成形した。成形には、共押出成形用のフィルム成形装置を用いた。スキン層の材料としては、アクリル重合体およびゴム粒子を含むアクリル樹脂(住友化学社製「HT55X」、ガラス転移温度108℃)を用いた。コア層の材料としては、ポリメチルメタクリレート系重合体樹脂(旭化成社製、商品名「デルペット」80NH、ガラス転移温度102℃)を用いた。
得られた材料フィルムは、幅300mm、各スキン層の厚み10μm、コア層厚み20μmであり、材料フィルム全体の厚みは40μmであった。
ポリメチルメタクリレート系重合体樹脂を判定対象物として、結晶性を判定したところ、非晶性であった。
ポリメチルメタクリレート系重合体樹脂を測定対象物として、引張伸びを測定したところ、引張伸びは5%であった。
下記の変更点の他は、実施例2の(2−6)〜(2−8)と同じ操作により、液晶表示装置及びその構成要素を得て評価した。
・(2−6)の視野角拡大フィルムの製造において、(2−5)で得た材料フィルムに代えて、(4−1)で得た材料フィルムを用いた。
(5−1.材料フィルムの調製)
材料フィルムとして、スキン層/コア層/スキン層の、2種3層の層構成を有する多層フィルムを成形した。成形には、共押出成形用のフィルム成形装置を用いた。スキン層の材料としては、ノルボルネン系重合体1(商品名:ゼオノア1600、日本ゼオン株式会社製、ガラス転移温度163℃)を用いた。コア層の材料としては、ノルボルネン系重合体2(商品名:ゼオネックスK26R、日本ゼオン株式会社製、ガラス転移温度143℃)を用いた。
得られた材料フィルムは、幅300mm、各スキン層の厚み10μm、コア層厚み20μmであり、材料フィルム全体の厚みは40μmであった。
ノルボルネン系重合体2(ゼオネックスK26R)を判定対象物として、結晶性を判定したところ、非晶性であった。
ノルボルネン系重合体2(ゼオネックスK26R)を測定対象物として、引張伸びを測定したところ、引張伸びは2%であった。
下記の変更点の他は、実施例2の(2−6)〜(2−8)と同じ操作により、液晶表示装置及びその構成要素を得て評価した。
・(2−6)の視野角拡大フィルムの製造において、(2−5)で得た材料フィルムに代えて、(5−1)で得た材料フィルムを用いた。
・(2−6)の視野角拡大フィルムの製造において、材料フィルムの張力を、450N/mから700N/mに変更した。
実施例1〜5において液晶表示装置そのものについて、白輝度、コントラスト比、及びΔγを測定した。
(C2−1.材料フィルムの調製)
材料フィルムとして、スキン層/コア層/スキン層の、2種3層の層構成を有する多層フィルムを成形した。成形には、共押出成形用のフィルム成形装置を用いた。スキン層の材料としては、アクリル重合体およびゴム粒子を含むアクリル樹脂(住友化学社製「HT55X」、ガラス転移温度108℃)を用いた。コア層の材料としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂(NovaChemicals社製「DylarkD332」、ガラス転移温度128℃)を用いた。
得られた材料フィルムは、幅300mm、各スキン層の厚み10μm、コア層厚み20μmであり、材料フィルム全体の厚みは40μmであった。
スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂を判定対象物として、結晶性を判定したところ、非晶性であった。
スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂を測定対象物として、引張伸びを測定したところ、引張伸びは2%であった。
下記の変更点の他は、実施例2の(2−6)〜(2−8)と同じ操作により、液晶表示装置及びその構成要素を得て評価した。
・(2−6)の視野角拡大フィルムの製造において、(2−5)で得た材料フィルムに代えて、(C2−1)で得た材料フィルムを用いた。
・(2−6)の視野角拡大フィルムの製造において、材料フィルムの張力を、450N/mから500N/mに変更した。
(C3−1.材料フィルムの調製)
材料フィルムとして、スキン層/コア層/スキン層の、2種3層の層構成を有する多層フィルムを成形した。成形には、共押出成形用のフィルム成形装置を用いた。スキン層の材料としては、ポリカーボネート樹脂(商品名「パンライトAD5503」、帝人株式会社製、ガラス転移温度142℃)を用いた。コア層の材料としては、別のポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンHL8004」、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、ガラス転移温度136℃)を用いた。
得られた材料フィルムは、幅300mm、各スキン層の厚み10μm、コア層厚み20μmであり、材料フィルム全体の厚みは40μmであった。
スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂を判定対象物として、結晶性を判定したところ、非晶性であった。
スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂を測定対象物として、引張伸びを測定したところ、引張伸びは2%であった。
下記の変更点の他は、実施例2の(2−6)〜(2−8)と同じ操作により、液晶表示装置及びその構成要素を得て評価した。
・(2−6)の視野角拡大フィルムの製造において、(2−5)で得た材料フィルムに代えて、(C3−1)で得た材料フィルムを用いた。
・(2−6)の視野角拡大フィルムの製造において、材料フィルムの張力を、450N/mから700N/mに変更した。
10 フィルム
20 孔含有部
21 クレーズ(孔含有部)
211 フィブリル
212 孔
100 クレーズ加工装置
30 ブレード
Claims (8)
- 視認側から、偏光板、及びTNモードの液晶セルを、この順で備えるTNモードの液晶表示装置であって、
前記偏光板は、視野角拡大フィルムと、偏光子とを備え、その前記視野角拡大フィルム側の面が視認側となるよう配置され、
前記視野角拡大フィルムは、視野角を拡大するための視野角拡大フィルムであって、1層以上の樹脂層を備え、
前記樹脂層の1層以上は孔含有層であり、
前記孔含有層は、互いに略平行な孔含有部を複数備え、
前記孔含有部は孔を含有し、
前記孔含有層は、その屈折率が1.53以下であり、
表示画面を斜め方向から視認した時に階調反転する方位角度と前記孔含有部の長手方向とのなす角が垂直である、TNモードの液晶表示装置。 - 前記孔含有層を構成する樹脂が、非晶性樹脂である、請求項1に記載の液晶表示装置。
- 2層以上の前記樹脂層を備える、請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
- 隣り合う前記孔含有部の間隔が、50μm以下のランダムな間隔である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記視野角拡大フィルムが、紫外線吸収剤を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記視野角拡大フィルムが、偏光板保護フィルムである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記孔含有部がクレーズからなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記孔含有部の長手方向が、前記偏光子の吸収軸に対して平行又は垂直である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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