以下、図面を参照しつつ、本開示の典型的な実施形態を説明する。図1は、実施形態に係る眼底撮影装置1の外観構成を例示している。眼底撮影装置1は、走査型レーザー検眼鏡(Scanning Laser Opthalmoscope:SLO)の構成を備える。また、本実施形態の眼底撮影装置1は、光干渉断層計(OCT:Optical Coherence Tomography)と一体化された装置である。
図1に示すように、本実施形態の眼底撮影装置1は、撮影部10、基台11、顔支持ユニット12、移動台13、スイングチルト機構14、ジョイスティック15、を一例として有する。撮影部10には、被検眼Eの画像を取得するための光学系が格納されている(詳細は、図2及び図3を参照して後述する)。
基台11は、眼底撮影装置1の各部を支持する。基台11には、移動台13が積載されている。また、本実施形態において、顔支持ユニット12が基台11に固定されている。顔支持ユニット12は、被検者の顔を支持することによって、被検眼Eを検査窓(例えば、対物レンズ系217)に向き合わせる。顔支持ユニット12は、顔を支持する高さを調節する調節機構(図示せず)を有する。移動台13は、メカニカル(つまり、電動機構を用いず機械的動作により)な摺動機構を備えており、基台11に対して左右方向(X方向)および前後方向(Z方向、例えば、作動距離方向)に移動する。その結果、移動台13に積載される撮影部10も前後左右に移動される。なお、XZアライメント機構としては、メカニカルな機構に限定されず、撮影部10を電動駆動によって移動させる移動機構が設けられてもよい。さらに、移動台13には、撮影部10を上下方向(Y方向)に移動させるための電動上下動機構が設けられている。もちろん、上下動機構は、メカニカルな機構であってもよい。
ジョイスティック15は、移動台13を水平方向に移動させるための手動操作部として用いられる。検者によりジョイスティック15が傾けられた方向に移動台13は移動され、結果として、撮影部10が水平方向に移動される。さらに、ジョイスティック15に設けられた回転ノブが回転されると、上下動機構が駆動され、撮影部10が上下方向に移動される。
次に、図2を参照して、眼底撮影装置1の光学系について説明する。眼底撮影装置1は、干渉光学系(OCT光学系)100と、SLO光学系200と、固視標投影ユニット300と、アライメント指標形成光学系400(図3参照)と、演算制御部70と、を有している。なお、図2において、アライメント指標形成光学系400は、SLO光学系200に含まれている。
<OCT光学系>
OCT光学系100は、測定光源102から発せられた光を被検眼E上で走査するための光スキャナ108と、測定光源102から発せられた測定光と参照光との干渉信号を検出する検出器120と、を持つ。また、検出器120からの受光信号に基づいて被検眼Eの断層像が制御部70によって取得される。また、本実施形態において、OCT光学系100は、カップラー104、測定光学系106、及び参照光学系110を持つ。測定光源102は、OCT光源であり、例えば、低コヒーレント光源、波長可変光源等が用いられる。カップラー104は、光分割部材と光結合部材として用いられる。測定光源102から出射された光は、カップラー(光分割器)104によって測定光(試料光)と参照光とに分割される。測定光は、測定光学系106によって被検眼Eの眼底Erに導かれる。また、カップラー104にて分割された参照光は、参照光学系110に導かれる。
測定光学系106において、カップラー104から射出された測定光は、光スキャナ108に入射する。光スキャナ108では、測定光の走査が行われる。例えば、光スキャナ108は、眼底上で二次元的(XY方向(横断方向))に測定光を走査させる。光スキャナ108は、瞳孔と略共役な位置に配置される。光スキャナ108としては、光を偏向させる構成であればよい。例えば、反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が用いられてもよい。
光スキャナ108によって走査された測定光は、ダイクロイックミラー109で反射された後、対物光学系(例えば、図2の例における対物レンズ系217)を経て、被検眼Eに入射する。測定光は、眼底Erにて反射されることによって、測定光学系106を逆進する。その結果、測定光はカップラー104に戻され、検出器120に導かれる。
参照光学系110は、眼底Erでの測定光の反射によって取得される反射光と合成される参照光を生成する。参照光学系110は、マイケルソンタイプであってもよいし、マッハツェンダタイプであっても良い。参照光学系110は、例えば、反射光学系(例えば、参照ミラー)によって形成され、カップラー104からの光を反射光学系により反射することにより再度カップラー104に戻し、検出器120に導く。他の例としては、参照光学系110は、透過光学系(例えば、光ファイバー)によって形成され、カップラー104からの光を戻さず透過させることにより検出器120へと導く。
参照光学系110は、参照光路中の光学部材を移動させることにより、測定光と参照光との光路長差を変更する構成を有する。例えば、参照ミラーが光軸方向に移動される。光路長差を変更するための構成は、測定光学系106の測定光路中に配置されてもよい。
検出器120は、測定光と参照光との干渉状態を検出する。例えば、フーリエドメインOCTの場合では、干渉光のスペクトル強度が検出器120によって検出され、スペクトル強度データに対するフーリエ変換によって所定範囲における深さプロファイル(Aスキャン信号)が取得される。なお、検出器120は、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、Spectral-domain OCT(SD−OCT)、Swept-source OCT(SS−OCT)、Time-domain OCT(TD−OCT)に使用する検出器であってもよい。
<SLO光学系>
次に、図3を参照して、SLO光学系200について説明する。図3は、本開示の第1実施形態に係るSLO光学系200の一例を示す。SLO光学系200は、眼底Erの正面画像を得る走査型眼底撮影光学系の一例である。より詳細には、SLO光学系は、共焦点走査型眼底撮影光学系である。SLO光学系200は、投光光学系210と、受光光学系220と、アライメント指標形成光学系400と、を有する。
投光光学系210は、例えば、被検眼Eの眼底Erにレーザー光(照明光)を照射するために用いられてもよい。例えば、投光光学系210には、レーザー光出射部211、集光レンズ212、穴開きミラー213、レンズ214、レンズ215、走査部216、ハーフミラー403、ダイクロイックミラー301、ダイクロイックミラー109、および、対物光学系(例えば、対物レンズ系217)が含まれる。なお、本実施形態において、、対物光学系(例えば、対物レンズ系217)は、OCT光学系100と共用される(後述する受光光学系17においても同様)。
レーザー光出射部211は、投光光学系210の光源として用いられてもよい。例えば、レーザー光出射部211には、レーザー光を出射する光源(例えば、レーザダイオード(LD)、スーパールミネッセントダイオード(SLD)等)がSLO光源として設けられていてもよい。以下、レーザー光出射部211は、単色光(より詳細には、赤外光)を出射する光源を有するものとして説明する。但し、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、レーザー光出射部211は、複数の光源を有していてもよく、この場合、複数色の光を同時に、又は選択的に出射する構成であってもよい。また、レーザー光出射部211から出射される光の波長も、赤外域に限らず、例えば、可視域等の波長であってもよい。
レーザー光出射部211から出射されるレーザー光は、図3において実線で示した経路にて眼底Erに導かれる。つまり、レーザー光出射部211からのレーザー光は、集光レンズ212を経て穴開きミラー213に形成された開口部213aを通り、レンズ214およびレンズ215を介した後、走査部216に向かう。走査部216によって反射されたレーザー光は、ハーフミラー403、ダイクロイックミラー301、ダイクロイックミラー109を通過して、対物レンズ系217に照射される。レーザー光は、対物レンズ系217によって、被検眼Eの眼底Erにて集光される。その結果として、眼底Erで反射・散乱される光が瞳孔から出射される。
なお、本実施形態において、レンズ214は、駆動機構214aによって、光軸L1方向へ移動可能に構成されている。レンズ214の位置に応じて、投光光学系210および受光光学系220の視度が変わる。本実施形態では、レンズ214の位置を調節することによって、被検眼Eの視度を補正する。その結果として、レーザー光の集光位置を眼底Erの観察部位(例えば、網膜表面)に調節することができる。
走査部216は、照射光源(本実施形態では、レーザー光出射部211)から発せられたレーザー光を被検眼Eの眼底上で走査するために用いられてもよい。本実施形態において、走査部217は、レーザー光出射部211から導かれたレーザー光の進行方向を変える(レーザー光を偏向する)光スキャナを有するユニットである。一例として、走査部216は、レゾナントスキャナ216aと、ガルバノミラー216bと、を有している。図3に示すように、各光スキャナは、例えば、照射光学系210の光路と受光光学系220の光路を分岐するための光路分岐部材(本実施形態では、反射ミラー213)よりも被検眼側に配置される。本実施形態では、レゾナントスキャナ216aによって、X方向にレーザー光の主走査が行われる。また、ガルバノミラー216bによって、Y方向にレーザー光の副走査が行われる。なお、レゾナントスキャナとガルバノミラーとを入れ替えて配置しても良い。すなわち、図3において216bをレゾナントスキャナとしてX方向の主走査を行い、216aをガルバノミラーとしてY方向の副走査を行なうことも可能である。走査部216の光スキャナとしては、例えば、反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が用いられてもよい。
対物レンズ系217は、走査部216によって走査されたレーザー光を眼底Erに導く。また、対物レンズ系217は、走査部216を経たレーザー光が旋回される旋回点を形成する。本実施形態において、旋回点は、対物レンズ系217の光軸L3上であって、対物レンズ系217に関して走査部216(例えば、レゾナントスキャナ216aとガルバノミラー216bとの中間点)と光学的に共役な位置に形成される。対物レンズ系217を通過したレーザー光は、走査部216の動作に伴って旋回点を中心に旋回される。このため、旋回点が瞳孔(例えば、図3におけるC近傍の位置)に形成されるように、被検眼Eと装置との作動距離が調整されることで、眼底Er上でレーザー光が2次元的に走査される。眼底Erに照射されたレーザー光は、集光位置(例えば、網膜表面)にて反射される。眼底Erによる反射光は、平行光として瞳孔から出射する。
なお、図3において、対物レンズ系217は、便宜上、2枚の対物レンズで構成される光学系として図示しているが、1枚のレンズによって構成されてもよいし、3枚以上のレンズによって構成されてもよい。また、対物レンズ系217には、複数のレンズを張り合わせた接合レンズ、および非球面レンズ等が使用されてもよい。また、対物光学系としては、対物レンズ系217に限られるものではなく、例えば、ミラー系が適用されてもよい。
次に、受光光学系220について説明する。受光光学系220は、投光光学系210からのレーザー光に伴う眼底Erからの光を受光素子225で受光する。本実施形態の受光光学系220は、レンズ221、ピンホール板223、レンズ224、および、受光素子225、を有する。ピンホール板223は、眼底Erと共役な位置に配置されており、共焦点絞りとして機能する。また、受光光学系220は、対物レンズ系217から穴開きミラー213までに配置された各部材を、投光光学系210と共用している。その結果として、本実施形態では、被検眼Eから穴開きミラー213までの光路が、投光光学系210および受光光学系220の共通部分として形成されている。
被検眼Eの眼底Erにレーザー光が照射される場合、眼底Erにて反射又は散乱された光は、図3にて破線で示す光線の経路で、受光素子225に導かれる。まず、眼底からの光は、瞳孔から取り出された光は、前述した投光光学系210を逆に辿り、穴開きミラー213に達する。
本実施形態において、穴開きミラー213は、投光光学系210および受光光学系220の共通光路を経由した眼底Erからの光を分岐させる光路分岐部材である。穴開きミラー213によって、眼底Erからの光は、受光側光路(ここでは、光軸L2方向に沿う光路)と光源側光路(ここでは、光軸L1に沿う光路)とに分岐する。
図3に示すように、穴開きミラー213によって反射された光は、レンズ221によって集光される。レンズ214による視度補正が適正に行われた場合において、レンズ221を介した光は、ピンホール板223のピンホール(つまり、開口)に集光する。つまり、この場合、ピンホール223が眼底共役位置に配置される。ピンホール223を経た光は、レンズ224を介して受光素子225によって受光される。なお、本実施形態では、受光素子225として、赤外域に感度を持つAPD(アバランシェフォトダイオード)が用いられている。1フレーム分のレーザー光の走査が走査部216によって行われる度に、受光素子225から出力される1フレーム分の受光信号が画像処理部によって処理され、その結果、1フレームの眼底の正面画像が生成される。
<アライメント指標形成光学系>
本開示の各実施形態において、アライメント指標形成光学系(以下、指標形成光学系)400は、アライメント光を出射するためのアライメント光源(図3の例では、光源ユニット401)を備え、アライメント光を照射光学系210の光路を介して被検眼Eの角膜に向けて出射する。また、指標形成光学系400は、被検眼Eと眼底撮影装置1との作動距離が適正作動距離である場合に、アライメント光の角膜反射像を検出器に結像させるために利用される。検出器は、SLO画像を取得するためにレーザー光の眼底反射光を受光する受光素子225と、兼用されてもよいし、別体であってもよい。
図3には、第1実施形態に係る指標形成光学系400の具体例として、受光素子225が検出器として兼用される構成が示されている。図3の例において、指標形成光学系400は、SLO光学系200によって取得されるSLO画像上にアライメント指標像を形成させるために用いられる。この場合、角膜によって反射されたアライメント指標光が、受光光学系220の受光素子225によって受光されてもよい。その結果として、走査部216の走査によって取得されるSLO画像上には、アライメント指標が形成される。SLO画像に含まれるアライメント指標は、モニタ75上で観察され、被検眼Eに対する手動アライメントに用いられてもよい。
例えば、指標形成光学系400は、アライメント光源から被検眼Eの角膜面にアライメント用の指標光束(アライメント光)を投光する。その結果として、アライメント光は、角膜で反射され、走査部216によって走査された後、受光素子225よって受光される。また、指標形成光学系400は、予め設定された適正作動距離に設定された場合において、角膜の曲率半径の中心と角膜面との中間点Cに向かって指標光が入射するように設定されている。即ち、適正作動距離である場合において、中間点Cとの共役位置に、アライメント光源が配置される。これによって、適正な作動距離で被検眼Eに対して装置が配置される場合に、アライメント光は、中間点Cに向かって入射する。中間点Cに向かって入射されたアライメント光が角膜によって反射されることによって平行光束に変換され、結果的に、対物レンズ系217〜レンズ221を経て、ピンホール223にて集光された後、受光素子225によって受光される。
また、第1実施形態では、予め設定された適正作動距離に設定された場合において、アライメント光源から角膜で反射されるアライメント光が受光光学系220によって結像される位置と、レーザー光の眼底反射光が受光光学系220によって結像される位置とは、同一面である。故に、眼底撮影装置1では、アライメント指標像と眼底の正面画像(つまり、SLO画像)とが同時に観察可能となる。
なお、作動距離は、被検眼1と眼底撮影装置との距離として規定される。より詳細には、被検眼Eの角膜面と装置の検査窓(例えば、対物レンズ系17の最も被検眼Eに近いレンズ面)との距離として規定されてもよい。また、光学的に予め設定される適正作動距離について、SLO光学系200を用いて正面像を取得する場合と、OCT光学系100を用いて断層像を取得する場合とで適正作動距離が同じとなるように設定されてもよい。
より詳細には、図3に示すように、第1実施形態において、指標形成光学系400は、例えば、光源ユニット401と、レンズ402と、を有してもよい。また、指標形成光学系400は、ハーフミラー403と、ダイクロイックミラー301と、ダイクロイックミラー109と、対物レンズ系217と、を投光光学系210と共用する。光源ユニット401およびレンズ402は、例えば、SLO光学系200の光路外に配置されてもよい。より詳細には、光源ユニット401およびレンズ402は、走査部216から被検眼Eに導かれるレーザー光の通過領域の外側に配置されてもよい。
ハーフミラー403は、光源から出射されたアライメント光を、SLO光学系200の光路に導くための光路結合部として用いられる。このような光路結合部は、例えば、SLO光学系200の光路中に配置される。本実施形態のハーフミラー403は、光源から出射されるアライメント光の光路を、走査部216と被検眼Eとの間の光路において照射光学系210の光路と結合する。また、ハーフミラー403のように、光路結合部は、照射光学系210のレーザー光を透過する光学特性を備える。
光源ユニット401は、アライメント指標を形成するアライメント光を出射する。光源ユニット401の光束出射位置は、作動距離が適正であるときに、レンズ402および対物レンズ系217に関して中間点Cと略共役な位置関係である。本実施形態において、アライメント光は、受光素子225が感度を持つ赤外域の光とする。このアライメント光は、レンズ402を介してハーフミラー403によって反射される。
ハーフミラー403は、アライメント光を反射することによって、アライメント光を投光光学系210の光路中に導く。ハーフミラー403によって反射されたアライメント光は、ダイクロイックミラー301およびダイクロイックミラー109を経て、対物レンズ系217を通過し、被検眼Eの角膜面に照射される。このとき、アライメント光の光路は走査部216と被検眼Eとの間で合流されるので、アライメント光は走査部216によって変位されず、角膜面上で静止する。
また、アライメント指標像は、装置と被検眼EとのXY方向のアライメントにも利用できる。アライメント指標像は、被検眼Eの略一定の位置(例えば、本実施形態では、角膜頂点付近)に現れる。例えば、図6(d)は、被検眼Eの角膜頂点が観察光軸に対して横方向にズレたときのアライメント指標像の表示態様を示している。モニタ75上のアライメント指標像の現出位置によって被検眼Eの角膜頂点と観察光軸との位置関係が示される。よって、検者は、アライメント指標像の現出位置に応じて装置と被検眼EとをXY方向に相対的に移動させることによって、装置と被検眼EとのXY方向の位置関係を調節できる。例えば、図6(d)の場合は、観察光軸に対して角膜頂点が右側にズレているので、装置を右側に移動させることによって、被検眼Eに対する装置の位置を適正化できる。
測定部10と角膜面との作動距離が適正である場合には、角膜面で反射されるアライメント光は、受光光学系220における眼底共役位置で結像される。その結果、受光素子225の受光信号に基づいて生成される正面画像において、静止した状態のアライメント指標像Pが形成される(例えば、図5参照)。
本実施形態において、指標形成光学系400は、複数の光源を備えてもよい(図4参照)。例えば、複数の光源は、指標形成光学系400の光軸L4に直交する方向に関して、異なる位置に設けられてもよい。また、複数の光源は、光軸L4方向に関して、異なる位置に設けられてもよい。
図4を参照して、本実施形態の光源ユニット401の具体的構成を示す。図4(a)に示すように、本実施形態の光源ユニット401は、指標形成光学系400の光軸L4と直交する方向に関して異なる位置に配置された複数(本実施形態では、9個)のアライメント光源401a〜401i(以下、光源401a〜401iと省略する)を含む。本実施形態において、光源401a〜401iは、光軸L4方向から見て、縦3列、横3列のマトリクス状に配置される。
また、光源ユニット401は、共通の赤外光源(例えば、LED)と、赤外光源からの光を光軸L4方向に導光する9本の光ファイバと、を有している。よって、9個の光源401a〜401iは、同時に点灯される。各光ファイバの出射端によって、光源401a〜401hの各々が形成される。
図4(b)に示すように、光源401a〜401iには、光軸L4方向に関する第1の位置に配置された少なくとも一つの第1のアライメント光源と、光軸L4方向に関して第1の位置とは異なる第2の位置に配置された少なくとも一つの第2のアライメント光源と、を含む。
図4に示す光源401d,401e,401fが、本実施形態における第1のアライメント光源である。光源401d,401e,401fは、平面m上から光を出射する。平面mは、光軸と直行し、且つ、適正な作動距離であるときに対物レンズ系217を介して瞳孔と略共役な位置(より詳細には、中間点Cと共役な位置)に配置される面である。本実施系において、光源401d,401e,401fの光ファイバの出射端が平面m上に形成されることによって、各光源401d,401e,401fは平面m上からアライメント光を出射する。
図4に示す光源401a〜401c,401g〜401iが、本実施形態における第2のアライメント光源である。これらの光源は、平面m(又は光源401d,401e,401f)とは光軸方向に前後する位置から光を出射する。より詳細には、アライメント光源401a,401c,401hは、平面mに対して被検眼Eに近い平面n上から光を出射する。また、アライメント光源401b,401g,401iは、平面mに対して被検眼Eから遠い平面l上から光を出射する。つまり、アライメント光源401a,401c,401hの光ファイバの出射端が平面n上に、また、アライメント光源401b,401g,401iの光ファイバの出射端が平面l上にそれぞれ形成されている。なお、本実施形態において、各々の光ファイバには、コア径250μmのものが使用される。隣り合うアライメント光源の間隔は、1mm程度である。また、平面mと平面l、平面mと平面nの間隔は、いずれも2mm程度である。但し、これらの値は、一例に過ぎず、必ずしもこれに限定されるものではない。
なお、本実施形態において、光源ユニット401の中央部(つまり、光源401e)から出射される光束は、ハーフミラー403によって観察光軸上に導光される。また、光源ユニット401の周辺部(つまり、光源401a〜d,f〜i)から出射される光束は、観察光軸に対して斜め方向に導光される。
<固視標投影ユニット>
固視標投影ユニット300は、眼Eの視線方向を誘導するための光学系を有する。投影ユニット300は、眼Eに呈示する固視標を有し、複数の方向に眼Eを誘導できる。
例えば、固視標投影ユニット300は、可視光を発する可視光源を有し、視標の呈示位置を二次元的に変更させる。これにより、視線方向が変更され、結果的に撮像部位が変更される。例えば、撮影光軸と同方向から固視標が呈示されると、眼底の中心部が撮像部位として設定される。また、撮影光軸に対して固視標が上方に呈示されると、眼底の上部が撮像部位として設定される。すなわち、撮影光軸に対する視標の位置に応じて撮影部位が変更される。
固視標投影ユニット300としては、例えば、マトリクス状に配列されたLEDの点灯位置により固視位置を調整する構成、光源からの光を光スキャナを用いて走査させ、光源の点灯制御により固視位置を調整する構成、等、種々の構成が考えられる。また、投影ユニット300は、内部固視灯タイプであってもよいし、外部固視灯タイプであってもよい。
<制御部>
制御部70は、各構成100〜400の各部材など、装置全体を制御する。また、制御部70は、取得された画像を処理する画像処理部、取得された画像を解析する画像解析部、などを兼用する。制御部70は、一般的なCPU(Central Processing Unit)等で実現される。
例えば、制御部70は、OCT光学系100の検出器120から出力される受光信号に基づいて画像処理により断層像を取得する。また、制御部70は、SLO光学系200の受光素子225から出力される受光信号に基づいて正面像を取得する。また、制御部70は、指標形成光学系400の光源の点灯状態を制御する。また、制御部70は、固視標投影ユニット300を制御して固視位置を変更する。
メモリ(記憶部)72、モニタ75、コントロール部(操作部)74は、それぞれ制御部70と電気的に接続されている。制御部70は、モニタ75の表示画面を制御する。取得された眼底像は、モニタ75に静止画又は動画として出力される他、メモリ72に記憶される。メモリ72は、例えば、撮影された断層像(例えば、三次元断層像)、正面画像、各断層像の撮影位置情報等の撮影に係る各種情報を記録する。また、メモリ72は、眼科撮影装置の動作を制御するための制御プログラム(眼科撮影プログラム)を記憶している。
制御部70は、操作部74から出力される操作信号に基づいて、OCT光学系100、SLO光学系200、固視標投影ユニット300の各部材を制御する。操作部74は、検者によって操作される操作部材としてマウス74a等が接続されている。
モニタ75は、装置本体に搭載された表示モニタであってもよいし、装置本体とは別体の汎用の表示モニタであってもよい。また、これらが併用された構成であってもよい。
次に、以上のような構成を持つ、本装置の動作について説明する。
<被検眼に対する装置のアライメント>
アライメントに際して、検者は、顔支持ユニット12に被検者Eの顔を固定させる。また、固視標投影ユニット300によって被検眼Eを固視させる。制御部70は、SLO光学系200の各部を制御し、レーザー光出射部211からのレーザー光の出射、走査部216の駆動、受光素子225からの受光信号に基づく被検眼Eの正面画像の生成および表示を行う。また、制御部70は、指標形成光学系400の光源ユニット401からアライメント光を出射させる。本実施形態では、SLO光学系200を用いて取得される被検眼Eの正面画像が、アライメントに利用される。以下の説明では、検者によるマニュアルアライメントが正面画像を利用して行われる場合について説明する。
検者は、モニタ75上に前眼部像が映し出されるように、撮影部10を被検者から離れた位置に配置する。検者は、前眼部像の瞳孔中心とモニタ75の画面中心とが重なるように、被検眼Eと光学系とのXY方向の相対的な位置関係をラフに調節する。前述したように本実施形態において、検者はX方向の位置調節を移動台13の移動によって行い、Y方向の位置調節を上下動機構によって行う。
その後、検者は、正面画像を観察しながら、装置を被検眼Eへ近付ける。モニタ75の画面上では瞳像が表示され、やがて眼底像が映し出されるようになる。この場合、適正な作動距離付近まで被検眼Eに装置を近づけると、指標形成光学系400からのアライメント光に基づくアライメント指標像(例えば、第2のアライメント指標像)Pが、モニタ75上に映し出される(図5参照)。ここで、アライメント光は、走査部216と対物レンズ系217との間で投光光学系210の光路に合流されることによって被検眼Eの角膜面に投影される。よって、本実施形態において、アライメント光は、角膜面において走査部216の動作に関わらず静止する。よって、モニタ75の画面上には、静止した状態のアライメント指標像Pが示される。検者は、このアライメント指標像Pを参考にして被検眼Eへのアライメントを行うことができる。特に、本実施形態では、上記の指標形成光学系400の配置によってアライメントの基準となる指標像Pが静止しするため、正確な位置合わせが容易である。
例えば、検者は、アライメント指標像Pの結像状態を参考にして撮影部10と被検眼Eとの間隔を適正な作動距離となるように調節してもよい。検者は、アライメント指標像Pのピントがあうように、撮影部10を前後に移動させることでアライメントを行う。
また、検者は、アライメント指標像Pの形成位置を参考にして、被検眼Eに対する撮影部10の上下左右方向に関するアライメントを行ってもよい。検者は、アライメント指標像が所定の位置に形成されるように、撮影部10を上下左右方向に移動させることでアライメントを行う。なお、アライメント指標像Pを用いたZアライメント、XYアライメントは、別々或いは並列的に行われる。
なお、以下に、図4の指標形成光学系を用いた場合の動作について詳細に説明する。作動距離付近において撮影部10を被検眼Eに近づけていくときに、アライメント指標像P1が最初に観察される。本実施形態において、アライメント指標像P1は、下側に底辺を持つ三角形の各頂点に配置される輝点からなるパターンである(図6(a)参照)。アライメント指標像P1は、最も被検眼E側の面n上に配置される光源401b,401g,401iが、中間点Cと共役な位置に配置されることによって形成される。このとき、実際のSLO画像では、撮影部10が被検眼Eに近づくに従って、画像の周辺部が明るくなっていく。
アライメント指標像P1の呈示位置よりも被検眼側に撮影部10が近づくと、アライメント指標像P1は不明瞭になり、代わりに、アライメント指標像P1とはパターンの異なるアライメント指標像P2が観察されるようになる(図6(b)参照)。本実施形態において、アライメント指標像P2は、横一直線に並んだ3つの輝点からなるパターンである。アライメント指標像P2は、面m上に配置される光源401d,401e,401fが、中間点Cと共役な位置に配置されることによって形成される。このとき、アライメント指標像P2の明確になるほど、実際のSLO画像では画像の周辺部が明るくなっていく。明確なアライメント指標像P2が得られたときに被検眼Eと測定部10との間隔は適正作動距離に設定され、周辺部が最も明るいSLO画像が観察され得る。
アライメント指標像P2の呈示位置よりも更に被検眼側に撮影部10が近づくと、アライメント指標像P2は不明瞭になり、代わりに、アライメント指標像P1およびP2とはパターンの異なるアライメント指標像P3が観察されるようになる(図6(c)参照)。本実施形態において、アライメント指標像P3は、上側に底辺を持つ三角形の各頂点に配置される輝点からなるパターンである。アライメント指標像P3は、面l上に配置される光源401a,401c,401hが、中間点Cと共役な位置に配置されることによって形成される。アライメント指標像P3の呈示位置よりも更に撮影部10が被検眼側に近づいていくと、いずれのパターンのアライメント指標像も不鮮明になり、やがて観察できなくなる。このとき、実際のSLO画像では、撮影部10が被検眼Eに近づくに従って、画像の周辺部が暗くなっていく。
本実施形態では、アライメント指標光源が、指標形成光学系400の光軸L4方向に関して複数設けられているので、アライメント指標光源が、光軸L4方向の1つの位置にしか設けられていない場合と比べて、作動距離方向の広い範囲にて、アライメント指標像を利用することができる。
例えば、本実施形態では、作動距離が適正であるときに角膜の曲率半径の中心および角膜面の中間点Cと共役な位置関係となる平面mだけでなく、光軸方向にて平面mの近傍に位置する平面lおよび平面nにも設けられている。その結果として、適正な作動距離の近傍においてもアライメント指標像が観察できる。よって、例えば、検者は、アライメント指標像を見つけやすく、見失い難い。よって、アライメントを良好に行うことができる。例えば、一つの平面から出射されたアライメント光の角膜反射像が、装置がZ方向に0.5mm移動する間だけ観察可能なものであるとすると、本実施形態では、3枚の平面を用いるので、アライメント指標像Pは最大で、1.5mmの範囲で観察できるようになる。
また、本実施形態では、第1のアライメント光源と第2のアライメント光源とは、さらに、光軸L4に直交する方向に関して異なる位置に配置されている。例えば、本実施形態では、適正な作動距離にて第1のアライメント光源によって示されるアライメント指標像P2のパターンと、適正な作動距離の前後にて示されるアライメント指標像P1およびP3のパターンが異なる。従って、本実施形態では、検者はアライメント指標像のパターンに従って、適正な作動距離まで装置の移動を容易に行うことができる。
また、測定部10と被検眼Eとの間隔が適正な作動距離よりも長い場合において示されるアライメント指標像P1と、適正な作動距離よりも短い場合において示されるアライメント指標像P3とのパターンが異なるので、検者は、作動距離を適正に調節するには前後いずれの方向に装置を移動させればよいかを容易に把握できる。
次に、被検眼Eの屈折力により眼底像がボケるときは、レンズ214を移動させて、眼底にピントが合うようにする。なお、眼底のピント合わせは、スプリット輝線などの周知のフォーカス視標等に従う構成でも良い。
以上のアライメントの結果として、本実施形態の眼底撮影装置1では、OCT光学系100およびSLO光学系200を用いて、眼底の断層画像および正面画像の良好な観察および撮影が可能となる。
以上に示したように、指標形成光学系400によって、SLO画像上にアライメント指標が形成され、そのアライメント指標を利用して測定部10と被検眼Eとの位置関係を調節できるので、眼底の正面画像を撮影する光学系とは別に、アライメント用の前眼部撮影ユニット(例えば、前眼部撮影光学系)を、必ずしも設けなくてもよい。例えば、本実施形態の眼底撮影装置1は、前眼部撮影ユニットを有していないので、装置全体をコンパクトがコンパクトに構成される。その結果、例えば、被検眼Eの観察および撮影等を、検者が被検者の様子を見ながら行いやすいので、検者から被検者に指示等を行いやすく、観察および撮影等を行いやすい。
なお、眼底の画像の撮影(キャプチャー)が行われる場合において、制御部70は、アライメント光源401a〜401iを消灯させることによって、アライメント指標像が映り込んでいない撮影画像を取得してもよい。この場合、例えば、制御部70は、操作部72からのキャプチャー信号に基づいてアライメント光源401a〜401iを消灯させる。その結果として、撮影画像を用いた被検眼Eの観察診断を良好に行うことができる。
また、観察時にも、検者からの指示に応じてアライメント光源401a〜401iの点灯状態(例えば、ON/OFF)が切り替わる構成であってもよい。この場合、例えば、制御部70は、操作部72からの光源切り替え信号に基づいてアライメント光源401a〜401iの点灯状態を切り替える。この場合、アライメント指標像に遮られることなく、被検眼Eの観察を良好に行うことができる。
<OCT光学系による断層画像の取得>
被検眼Eに対する装置のアライメントが完了されると、断層像及び正面像の取得が開始される。本実施形態において、制御部70は、OCT光学系100及びSLO光学系200を駆動制御して、OCT画像及びSLO画像の各画像を1フレーム毎に取得していき、モニタ75を表示制御してOCT画像及びSLO画像を随時更新する。
制御部70は、光スキャナ108及び固視標投影ユニット300の少なくとも何れかの動作を制御することにより、測定光の眼底上での照射位置を変更する。そして、制御部70は、撮像領域として設定された眼底領域における断層画像を得る。
<撮影部位の判定>
図7は、OCT光学系100によって得られた断層像の例を示す図である。制御部70は、画像解析部を有する。画像解析部は、例えば、取得された断層像における眼底の層情報を画像処理によって検出すると共に、所定の画像判定条件(判定基準)を基に各層の検出結果を解析し、撮影部位が正常か否かを判定する。そして、制御部70は、判定結果に基づいて断層像に対する解析結果を得る。そして、解析結果は、メモリ72、又は外部のメモリ(例えば、パーソナルコンピュータのメモリ、サーバーのメモリ)に断層像と共に記憶される。
層情報を検出する場合、例えば、断層像の輝度レベルが検出され、所定の網膜層(例えば、網膜表面と網膜色素上皮層)に相当する層境界が画像処理により抽出される。そして、層境界の間隔が計測されることにより、層厚が計測される。
断層像を判定する場合、各層の層厚判定、形状判定、所定部位(例えば、乳頭、黄斑)のサイズ判定等が考えられ、正常眼における各層の間隔、所定部位の形状、所定部位のサイズ、等を記憶する正常眼データベースが画像判定条件のベースとして利用される。つまり、正常眼データベースには、適正な作動距離において予め測定された正常眼に関する各種のデータ(例えば、正常眼の形状データ)が格納されている。正常眼データベースは、例えば、メモリ72に記憶される。本実施形態では、被検眼Eに対する装置の位置が適正な作動距離に調節されることによって、正常眼データベースを利用した各種解析を良好に行うことができる。
例えば、制御部70は、横断方向における各位置の層厚を計測し、計測結果が正常眼データベースにおける所定範囲(例えば、正常眼の計測値に対応する正常範囲)内であるかを判定する。そして、制御部70は、層厚が正常範囲内と判定された部分を正常と判断する。一方、層厚が所定範囲外と判定された部分を異常と判断する。これにより、断層像中における異常部位が特定される。
前述したように、本実施形態の眼底撮影装置1では、アライメント指標を用いた前述のアライメントが行われることによって、OCT光学系100は被検眼Eに対して適正作動距離に設定される。その結果として、眼底撮影装置1では、撮影毎のOCT画像の撮影倍率(即ち、撮影範囲)が安定化されるので、一例として上記に示したようなOCT画像を用いた被検眼Eの解析を適正に行いやすい。
また、本実施形態では、SLO光学系200とOCT光学系100との適正作動距離が共通しているので、SLO画像の解析と、OCT画像の解析とを、容易に、且つ、良好に行うことができる。
<指標形成光学系の第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態に係る指標形成光学系400を、図8を参照して説明する。図8の例における指標形成光学系400は、SLO画像撮像用の受光素子225とは別体に設けられた撮像素子1405によって、アライメント指標像を撮像する。つまり、SLO光学系200で得られるSLO画像と、作動距離方向に関するアライメント状態を示すアライメント指標像とが、別々の画像として取得される。これにより、例えば、SLO画像を撮像するために利用されるレーザー光の波長と、アライメント光の波長とを、互いに異なる波長とすることができる。詳細は後述するが、その結果として、アライメント指標像と、SLO画像とを、それぞれ十分な光量で撮像することが容易になる。
図8の例における指標形成光学系400は、光源1401と、撮像素子1405と、を少なくとも備える。また、図8の例における指標形成光学系400は、光路結合部(一例として、ダイクロイックミラー1406)、アパーチャ1403、および、結像レンズ1404、を備えてもよい。
光源1401は、アライメント光を被検眼Eの角膜に投影するために利用される。図8の例において、光源1401は、SLO撮影用の光源211から出射される光とは、異なる波長域の光を、アライメント光として出射する。
光源1401は、光源本体(例えば、LED)と光ファイバとが含まれ、光ファイバの出射端の位置が、アライメント光源の位置となる。第1実施形態と同様、適正作動距離においてアライメント光源は中間点Cと共役な位置に配置される。光ファイバの出射端は、指標形成光学系400の光軸から間隔を空けて配置される。なお、光ファイバの出射端は、図8に示すように、アパーチャ1403における遮光部前面(被検眼側の面)に形成されてもよい。この場合、光源1401(アライメント光源)と、アパーチャ1403と、が一体的な光源ユニットとして構成されていてもよい。また、第1実施形態のように、指標形成光学系400の光軸L1方向に関して異なる位置に、アライメント光源が複数設けられた構成が、第2実施形態に対して適用されてもよい。
光源1401から出射されるアライメント光の投光光路は、光路結合部(符号1406の部材)によって、照射光学系210の光路と結合される。図8の例では、SLO画像を撮像するために利用されるレーザー光の波長と、アライメント光の波長とが、互いに異なる波長域の光であるので、光路結合部(符号1406の部材)として、例えば、光路結合の際の光量のロスが少ないビームスプリッタを採用することができる。ここでは、光路結合部として、光源1401からのアライメント光を反射し、光源ユニット211からのレーザー光を透過する分光特性を持つ、ダイクロイックミラー1406が適用されているものとする。
光路結合部(ダイクロイックミラー1406)で反射されたアライメント光は、対物レンズ系217を介して角膜へ投影される。そして、アライメント光の角膜反射光は、投光時の光路(照射光学系210と受光光学系220bとの共通光路)を遡って、再度、光路結合部(ダイクロイックミラー1406)へ入射する。
ここで、光路結合部(ダイクロイックミラー1406)は、レーザー光の眼底反射光の光路(換言すれば、受光光学系220bの光路)と、アライメント光の角膜反射光の光路を分岐させる光路分岐部を兼用する。即ち、ここでは、光路結合部(ダイクロイックミラー1406)によって、アライメント光の角膜反射光は、指標形成光学系400の独立光路へ導かれ、レーザー光の眼底反射光は、受光素子225側に導かれる。このとき、光路結合部(ダイクロイックミラー1406)における上記の分光特性によって、それぞれの角膜反射光における光量のロスは抑制される。
光路結合部(ダイクロイックミラー1406)で反射されたアライメント光の角膜反射光は、光源1401の背後に設けられたアパーチャ1403に照射される。
アパーチャ1403は、遮光部1403aと、開口1403bとを含む。開口1403bは、指標形成光学系400の光軸を取り囲む領域に形成される。アライメント光の角膜反射光のうち、開口1403bを通過した一部が、撮像素子1405に導かれる。また、遮光部1403aは、光源1401からのアライメント光が、直接的に撮像素子1405に入射することを妨げる。このように、図8の例では、指標形成光学系400において、アライメント光の投光時の光路と、アライメント光の角膜反射光の受光時の光路と、が、アパーチャ1403によって分離される。アライメント光の投光時の光路と、アライメント光の角膜反射光の受光時の光路と、の分離には、例えば、ハーフミラーを用いてもよいが、図8の例のように、アパーチャ1403を利用した場合のほうが、光量のロスを低減しやすく、結果として、アライメント指標像が良好に撮像されやすくなる。
開口1403bを経たアライメント光の角膜反射光は、結像レンズ1404を経て、撮像素子1405で受光される。
撮像素子1405は、SLO画像撮像用の受光素子225とは別体に設けられる。撮像素子1405によって、アライメント指標像が撮影される。また、撮像素子1405は、被検眼Eと眼底撮影装置1とが適正作動距離である場合における眼底共役位置に配置される。より詳細には、正視眼における眼底共役位置に、撮像素子1405は配置される。
このような光学配置により、作動距離方向のアライメント状態に応じた結像状態で、アライメント指標像が撮像素子1405によって撮像される。このとき、図8の例では、光路結合部(符号1406の部材)による光量のロスが抑制されているため、良好なアライメント指標像が得られやすい。
なお、アライメント指標像を含む撮像素子1405で得られる撮像画像は、制御部70によって、随時、モニタ75に表示される。このとき、アライメント指標像と共に、SLO光学系200によって撮像されるSLO画像(ライブ画像)が、モニタ75上に一緒に表示されてもよい。SLO画像(ライブ画像)とアライメント指標像とは、画面上の互いに異なる位置において、並べられた状態で表示されてもよいし、SLO画像上にアライメント指標像が重畳表示(例えば、合成表示)されてもよい。
また、図8の例において、光路結合部(符号1406の部材)は、照射光学系210における視度補正部(例えば、レンズ214および駆動機構214a等)と対物レンズ系217との間の光路に配置される。これにより、アライメント指標像の結像状態は、視度補正の状態の影響を受けなくなる。このため、作動距離の調整が、効率よく行われやすくなる。
なお、図8に示した光学系では、照射光学系210(より詳細には、照射光学系210と受光光学系220との共通光路)上に配置された光路結合部(ダイクロイックミラー1406)によって結合される1つの光路を介して、アライメント光の投光と、撮像(検出)が行われる。しかし、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ライメント光の投光を行うための光路と、撮像(検出)とを行うための光路と、が照射光学系210にそれぞれ異なる位置で結合されていてもよい。
<変容例>
以上、実施形態に基づいて説明を行ったが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の変形が可能である。
例えば、第1実施形態では、所定の作動距離において中間点Cと共役な位置からアライメント光を出射する第1のアライメント光源(つまり、光源401d〜401f)と、指標形成光学系400の光軸方向にて第1のアライメント光源の前後からアライメント光を出射する第2のアライメント光源(つまり、光源401a〜401c,401g〜401i)と、を有する場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、光源ユニット400は、所定の作動距離において中間点Cと共役な位置(またはその近傍位置)にある1つの平面上だけからアライメント光を出射する構成であってもよい。
特に、第1実施形態では、第1のアライメント光源よりも光軸方向前方(被検眼側)に配置される光源401b,401g,401iと、第1のアライメント光源よりも後方に配置される光源401a,401c,401hと、の両方が光源ユニット401に設けられている。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、いずれか一方が設けられていてもよい。
また、第1実施形態では、アライメント指標像のパターンが被検眼Eと装置との位置関係に応じて異なる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、少なくともいずれか2つの指標像のパターンが同一であってもよい。
また、第各実施形態において、アライメント光源の設置位置は、中間点Cと略共役な位置であればよく、必ずしも上記実施形態の設置位置に限定されない。例えば、図9に示すように、中間点Cと略共役な位置として、アライメント光源(図9では、符号401で示す)が走査部216の近傍に配置されてもよい。より詳細には、アライメント光源が、光軸L3上にて光スキャナ216aを挟んで被検眼Eと向き合うように配置されると共に、光スキャナ216aの反射ミラーにハーフミラーが使用される。この場合、アライメント光を角膜に投影するために、走査部216と被検眼Eとの間の光路に光路分岐部403,1406を設けなくてもよい。
また、上記各実施形態では、アライメント光を出射する光源の具体例は、光源本体(例えば、LED)と光ファイバとの組み合わせに限定されるものではない。例えば、光ファイバに代えて、ピンホールが適用されてもよいし、光源本体のみの構成であってもよい。一例として、ピンホールが適用された例を、図10に示す。光源ユニット501は、光源本体502(例えば、LED)とピンホール503とを含む。図10(a)に示すように、ピンホール503は、光スキャナ216aの反射ミラーに形成されてもよい。この場合、光源本体502が、光軸L3上にて光スキャナ216aを挟んで被検眼Eと向き合うように配置されてもよい。ピンホール503を通過した光によって、被検眼Eの角膜上にアライメント指標像が形成される。
なお、図10(b)に示すように、反射ミラーの回転中心(支点)から離れた位置にピンホール503が設けられている場合、ピンホール503は、光スキャナ216aの動作に応じて光軸L3方向に繰り返し変位される。その結果として、被検眼Eに対し撮影部10が適正な作動距離にある場合だけでなく、適正作動距離の近傍においてもアライメント指標像が観察され得る。よって、例えば、検者は、アライメント指標像を見つけやすく、見失い難い。
また、上記各実施形態において、指標形成光学系400は、SLO光学系200と共に使用される場合について説明したが、指標形成光学系400は、眼底カメラと共に使用されてもよい。つまり、所定の作動距離において中間点Cと共役な位置からアライメント光を出射する第1のアライメント光源と、アライメント指標光学系400の光軸方向にて第1のアライメント光源の前後からアライメント光を出射する第2のアライメント光源と、を眼底カメラ等の他の眼底撮影装置の光学系に設けてもよい。眼底撮影装置は、光源から発せられた光を眼底に投光する投光光学系、および、投光光学系から投光される光に伴って被検眼Eの眼底から出射される光を受光素子で受光する受光光学系と、を光学系の基本構成として有する。また、眼底カメラは、例えば、被検眼Eの眼底を照明する照明光を投光する投光光学系(照明光学系)と、該投光光学系によって照明された眼底を撮影する受光素子(二次元撮像素子)を持つ受光光学系(撮影光学系)と、を光学系の基本構成として有する。なお、眼底カメラに指標形成光学系400を設ける場合、上記実施形態のように、アライメント光を投光光学系の光路に合流する合流部材(例えば、ハーフミラー403)の構成は必ずしも必要とされない。よって、光源ユニット401は、投光光学系と受光光学系との光路分岐部材(例えば、穴開きミラー)の近傍に配置されていてもよい。
また、上記各実施形態において、指標形成光学系400は、中間点Cと略共役な位置に配置されたアライメント光源を持ち、眼底共役位置に配置される検出器にアライメント指標像を結像させるものとして説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、指標形成光学系400は、適正作動距離における前眼部共役位置(例えば、角膜共役位置、瞳孔共役位置など)に配置された撮像素子を持ち、アライメント光の角膜反射像であるアライメント指標像(プルキンエ像)を撮像素子で撮像する構成であってもよい。この場合、アライメント光は、上記各実施形態と同様に、照射光学系210を介して角膜へ投影されてもよい。また、図11に示すように、対物レンズ217の周辺に、アライメント光源(図11では、符号601で示す)が配置されてもよい。
また、上記実施形態では、指標形成光学系400によって形成されるアライメント指標が、検者によって観察され、検者によるマニュアルアライメントに用いられる場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、アライメント指標を制御部70が検出する構成であってもよい。アライメント指標の検出結果は、被検眼Eに対する撮影光学系(例えば、SLO光学系200又は、OCT光学系100等)のアライメント状態を検出するために利用されてもよい。なお、アライメント状態の検出結果は、モニタ75上でのガイド表示、あるいは自動アライメントに用いられてもよい。
また、上記実施形態では、OCT画像の解析が行われる場合について説明したが、眼科撮影装置1では、SLO画像に対する解析(例えば、眼底の寸法計測等)が行われてもよい。この場合も、アライメント指標像を用いたアライメントが適正に行われることによって、SLO画像の撮影倍率(即ち、撮影範囲)が安定化されるので、画像解析を適正に行いやすい。
また、上記実施形態では、眼底撮影装置1にOCT光学系100を備える場合について説明したが、OCT光学系100は、本開示の技術を実施するうえで、OCT光学系100は必須でない。