JP6974243B2 - 非接触送電装置 - Google Patents
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Description
本開示は、非接触送電装置に関し、特に、送電コイルから受電装置の受電コイルへ非接触で送電する非接触送電装置に関する。
送電装置の送電コイルから受電装置の受電コイルへ非接触で電力を伝送する非接触電力伝送システムが知られている(特許文献1〜6参照)。たとえば、特開2016−111903号公報(特許文献6)に記載される非接触電力伝送システムは、送電コイル、受電コイル、及び制御手段に加えて、直流電力を交流電力に変換するインバータと、このインバータの出力電力の高周波を低減した電力を送電コイルに供給するフィルタとをさらに備える。インバータは、複数のスイッチング素子と複数のダイオードとを含み、PWM(Pulse Width Modulation)制御により駆動される。フィルタは、可変インダクタを含む。そして、制御手段は、送電コイルと受電コイルとの結合係数(以下、単に「結合係数」とも称する)を推定し、結合係数が大きくなるほどフィルタのインダクタンスが大きくなるように可変インダクタを制御する。
インバータの出力電圧の位相(以下、「電圧位相」とも称する)に対してインバータの出力電流の位相(以下、「電流位相」とも称する)を進ませると、インバータを構成するダイオードのリカバリ特性により、ダイオードにリカバリ電流(短絡電流)が流れることが知られている。リカバリ電流が大きくなるほど電力損失(いわゆるスイッチング損失)が大きくなる。このため、上記特許文献6に記載の非接触電力伝送システムでは、フィルタのインダクタンスを大きくすることによりインバータの電流位相を遅らせて、上記リカバリ電流の発生を抑制している。
上記特許文献6に記載される制御方法では、結合係数が大きくなるほどフィルタのインダクタンスが大きくなる。このため、結合係数が大きい場合には、インバータの電圧位相と電流位相との差(以下、「出力位相差」と称する)が大きくなり、インバータの出力力率が低下すると考えられる。そして、インバータの出力力率が低下すると、電力の伝送効率(送電電力に対する受電電力の割合)が低下する。
本開示は、かかる課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、広い結合係数範囲において電力損失を十分抑制しながら、結合係数が大きい場合におけるインバータの出力力率の低下も抑制することができる非接触送電装置を提供することである。
本開示における非接触送電装置は、送電コイルから受電装置の受電コイルへ非接触で送電する非接触送電装置であって、LC共振部と、インバータと、容量性リアクタンス調整部と、誘導性リアクタンス調整部と、制御部とを備える。LC共振部は、送電コイル及びキャパシタが直列に接続されて構成される。インバータは、入力電力を所定周波数の交流電力に変換して出力するように構成される。容量性リアクタンス調整部は、LC共振部に並列に接続される素子によって、LC共振部の端子間の容量性リアクタンスを変更可能に構成される。誘導性リアクタンス調整部は、LC共振部に直列に接続される素子によって、インバータと容量性リアクタンス調整部との間の誘導性リアクタンスを変更可能に構成される。制御部は、容量性リアクタンス調整部及び誘導性リアクタンス調整部を制御するように構成される。
そして、上記の制御部は、受電コイルと送電コイルとの結合係数が大きいか小さいかを判断し、結合係数が小さい場合には、誘導性リアクタンスを容量性リアクタンスよりも大きくし、結合係数が大きい場合には、誘導性リアクタンス及び容量性リアクタンスの各々を結合係数が小さい場合よりも大きくする。上記の誘導性リアクタンス及び容量性リアクタンスの各々は、上記の所定周波数(すなわち、インバータの出力電力の周波数)におけるリアクタンスである。以下、インバータの出力電力の周波数を、単に「出力周波数」と称する場合がある。また、LC共振部の端子間の容量性リアクタンスを、「リアクタンスXC」、又は単に「XC」と称する場合がある。また、インバータと容量性リアクタンス調整部との間の誘導性リアクタンスを、「リアクタンスXL」、又は単に「XL」と称する場合がある。
上記非接触送電装置では、結合係数が小さい場合と結合係数が大きい場合とで、出力周波数のXL及びXCを変更する。結合係数が小さい場合の出力周波数のXL及びXCは、たとえば比較的小さい基準結合係数(以下、「第1結合係数」と称する)に合わせてインバータの出力力率が十分高くなるように予め設定することができる。また、結合係数が大きい場合の出力周波数のXL及びXCは、第1結合係数よりも大きい基準結合係数(以下、「第2結合係数」と称する)に合わせてインバータの出力力率が十分高くなるように予め設定することができる。
上記のように出力周波数のXL及びXCが設定されることで、基本的には、結合係数が小さい場合においても結合係数が大きい場合においても、十分なインバータの出力力率を確保することができる。しかしながら、送電コイルと受電コイルとの結合係数は、送電コイルと受電コイルとの距離等に応じて変わり、予め想定していた基準結合係数と必ずしも一致しない。結合係数が小さい場合には、インバータの出力力率に対する結合係数の変動の影響が小さいため、結合係数が基準結合係数から多少ずれても、インバータの出力力率は大きくは低下しない。他方、結合係数が大きい場合には、インバータの出力力率に対する結合係数の変動の影響が大きいため、結合係数が基準結合係数から少しずれても、インバータの出力力率が大きく低下し得る。
そこで、本開示における非接触送電装置の制御部は、以下に説明するように容量性リアクタンス調整部及び誘導性リアクタンス調整部を制御する。
上記の制御部は、結合係数が小さい場合には、出力周波数のXLを出力周波数のXCよりも大きくする。これにより、インバータの電圧位相に対してインバータの電流位相を遅らせて、リカバリ電流による電力損失を抑制することができる。他方、上記の制御部は、結合係数が大きい場合には、出力周波数のXL及びXCの各々を結合係数が小さい場合よりも大きくする。これにより、インバータの出力力率に対する結合係数の変動の影響を小さくすることができる。このため、結合係数が基準結合係数から多少ずれても、インバータの出力力率は大きくは低下しなくなる。
上記のように、本開示における非接触送電装置によれば、広い結合係数範囲において電力損失を十分抑制しながら、結合係数が大きい場合におけるインバータの出力力率の低下も抑制することが可能になる。
上記の制御部は、インバータの出力電流を用いて、受電コイルと送電コイルとの結合係数が大きいか小さいかを判断してもよい。たとえば、小さい結合係数に合わせて回路のインピーダンスを設定すると、結合係数が大きい場合にはインピーダンス不整合により過電流が生じる。こうした過電流を検知することによって、結合係数が大きいか小さいかを判断することができる。
上記構成によれば、結合係数が大きいか小さいかを容易に判断できる。本開示における非接触送電装置では、結合係数が基準結合係数からずれたときのインバータの出力力率の変動が小さいため、簡易的に結合係数を検出した場合でも、広い結合係数範囲において、十分なインバータの出力力率を確保しながら電力損失を十分に抑制することができる。
容量性リアクタンス調整部は、LC共振部に並列に接続される素子として、キャパシタと、このキャパシタに直列に接続されるスイッチング素子(以下、「Cスイッチ」とも称する)とを含み、Cスイッチの状態(ON/OFF)によりLC共振部の端子間の容量性リアクタンスを変更可能に構成されてもよい。
誘導性リアクタンス調整部は、LC共振部に直列に接続される素子として、インダクタ(たとえば、コイル)と、このインダクタに並列に接続されるスイッチング素子(以下、「Lスイッチ」とも称する)とを含み、Lスイッチの状態(ON/OFF)によりインバータと容量性リアクタンス調整部との間の誘導性リアクタンスを変更可能に構成されてもよい。
上記のような容量性リアクタンス調整部及び誘導性リアクタンス調整部を備える非接触送電装置は、Cスイッチ及びLスイッチが第1状態である第1条件での送電中にインバータの出力電流が所定値以上になった場合には、実行中の送電を停止し、Cスイッチ及びLスイッチを第1状態とは異なる第2状態にした後、送電を再開する送電制御部をさらに含んでもよい。また、Cスイッチ及びLスイッチの各々は、電磁式のメカニカルリレーであってもよい。
上記の送電制御部は、スイッチの状態を変更する前に送電を停止し、スイッチの状態を変更した後、送電を再開する。このような制御では、応答速度の速い半導体リレーを必要とせず、半導体リレーに比べて低コストで入手しやすいメカニカルリレーを使用できる。
上記のインバータは、所定の周波数範囲(以下、「出力周波数範囲」とも称する)において出力周波数を変更可能に構成されてもよい。また、結合係数が大きい場合のリアクタンスXC及びXLは、インバータの出力周波数範囲内のある周波数(以下、「交点周波数」と称する)で一致していてもよい。こうした構成によれば、インバータの出力周波数を交点周波数に調整することで、インバータの出力力率を1又は略1にすることが可能になる。
本開示によれば、広い結合係数範囲において電力損失を十分抑制しながら、結合係数が大きい場合におけるインバータの出力力率の低下も抑制することができる非接触送電装置を提供することが可能になる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
以下で用いられる図中の矢印F,B,U,Dは、車両を基準とする方向を示しており、矢印Fは「前方」、矢印Bは「後方」、矢印Uは「上」、矢印Dは「下」を示している。また、以下では電子制御ユニットを「ECU(Electronic Control Unit)」と称する。
図1は、本開示の実施の形態に係る非接触送電装置が適用される電力伝送システムの全体構成図である。この電力伝送システム10は、充電設備1及び車両2を含む。
充電設備1は、送電装置100と、送電装置100へ電力を供給する交流電源700とを備える。送電装置100は地面F10(たとえば、駐車場の床面)に設置されている。交流電源700の例としては、家庭用電源(たとえば、電圧200V、周波数50Hzの交流電源)が挙げられる。この実施の形態に係る送電装置100は、本開示に係る「非接触送電装置」の一例に相当する。
車両2は、受電装置200と、受電装置200が受電した電力によって充電される蓄電装置300と、受電装置200が受電する電力を制御する車両ECU500とを備える。受電装置200は、車両2の底面F20に設置された蓄電装置300の下面(路面側)に設けられている。車両2は、蓄電装置300に蓄えられた電力のみを用いて走行可能な電気自動車であってもよいし、蓄電装置300に蓄えられた電力とエンジン(図示せず)の出力との両方を用いて走行可能なハイブリッド車であってもよい。
送電装置100は、車両2の受電装置200が送電装置100に対向するように車両2の位置合せが行なわれた状態において、受電装置200へ磁界を通じて非接触で送電するように構成される。受電装置200は、送電装置100からの電力を非接触で受電する。
以下、車両2の車輪設置面(すなわち、地面F10)から受電装置200の受電コイルまでの高さを、「受電コイル高さΔH」と称する。この実施の形態では、車両2の受電コイル高さΔHが、車両2の最低地上高と一致する。送電装置100の表面に設けられた送電コイルと受電装置200の表面に設けられた受電コイルとの距離(以下、コイル間距離ΔG」と称する)は、受電コイル高さΔHに応じて変わる。受電コイル高さΔHが大きくなるほどコイル間距離ΔGも大きくなる。また、コイル間距離ΔGが大きくなるほど、送電コイルと受電コイルとの結合係数が小さくなる傾向がある。なお、受電コイル高さΔHは、車両によって異なる。
上記送電コイル、受電コイルは、それぞれ図2に示す送電コイル101、受電コイル201である。図2は、充電設備1と車両2との間で非接触電力伝送を行なうための構成を示す図である。図1に示した送電装置100及び受電装置200は、図2に示すような構成を有する。
図2を参照して、送電装置100は、交流電源700から受ける電力に所定の電力変換処理を行なうことにより送電用電力を得て、その送電用電力を受電装置200へ非接触で送電するように構成される。そして、受電装置200が送電装置100から受電した電力によって蓄電装置300(車載バッテリ)が充電される。
送電装置100は、上記電力変換処理を行なう電力変換部と、この電力変換部を制御する送電ECU150とを備える。電力変換部は、フィルタ回路110と、インバータ120と、AC/DCコンバータ130とを含む。また、フィルタ回路110とインバータ120との間には電力監視ユニット140が設けられている。電力監視ユニット140は、インバータ120の出力電流(たとえば、以下に示す電力線PL1に流れる電流)を検出する電流センサと、インバータ120の出力電圧を検出する電圧センサとを含む。
送電装置100は、上記受電装置200への非接触送電を行なうLC共振部R1と、受電装置200と無線通信を行なう通信部160とをさらに含む。LC共振部R1は、インバータ120の出力側に設けられ、送電コイル101及びキャパシタ102が直列に接続されて構成される。以下、LC共振部R1の送電コイル101側の端子を「L端子」、LC共振部R1のキャパシタ102側の端子を「C端子」と称する。また、LC共振部R1のL端子とインバータ120の端子T1とをつなぐ電線を「電力線PL1」、LC共振部R1のC端子とインバータ120の端子T2とをつなぐ電線を「電力線PL2」と称する。
AC/DCコンバータ130は、交流電源700から受ける電力を整流及び変圧してインバータ120へ出力する。AC/DCコンバータ130は、たとえば交流電源700から受ける電力を400Vに昇圧して、電圧400Vの直流電力をインバータ120へ出力する。
インバータ120は、AC/DCコンバータ130からの入力電力(より特定的には、直流電力)を所定周波数の交流電力に変換してLC共振部R1へ出力するように構成される。インバータ120は、たとえば複数のスイッチング素子(たとえば、電力用半導体スイッチング素子)と複数のダイオードとを含む単相フルブリッジ回路によって構成される。インバータ120を構成する各スイッチング素子は、送電ECU150によってPWM制御される。インバータ120は、PWM制御のスイッチング周波数(駆動周波数)で駆動される。インバータ120の駆動周波数は、インバータ120の出力周波数、ひいては送電周波数(送電電力の周波数)と一致する。以下、インバータ120の出力角周波数を「ω」と称する場合がある。たとえば、後述する各式中の「ω」はインバータ120の出力角周波数を表している。
インバータ120は、所定の出力周波数範囲において出力周波数を変更可能に構成される。この実施の形態では、インバータ120の出力周波数範囲を80kHz以上90kHz以下とする。インバータ120の出力周波数は、たとえば下記のように制御される。
後述するLC共振部R1及びLC共振部R2は、いずれも同一の周波数(以下、「設計上の共振周波数」とも称する)で共振するように設計されるが、部品ばらつき(部品ごとの性能の違い)などによって各LC共振部の共振周波数が設計上の共振周波数からずれて、LC共振部R1の共振周波数とLC共振部R2の共振周波数とが一致しないことがある。こうした場合には、送電ECU150によって、インバータ120の出力周波数をLC共振部R2の共振周波数に一致させる制御が行なわれる。こうした制御により、LC共振部R1からLC共振部R2への電力の伝送効率が高くなる。以下では、一例として、LC共振部R2の共振周波数が88kHzであり、インバータ120の出力周波数が88kHzに制御される場合について説明する。
フィルタ回路110は、容量性リアクタンス調整部110Cと誘導性リアクタンス調整部110Lとを含む。容量性リアクタンス調整部110Cは、LC共振部R1に並列に接続される素子(キャパシタC11a及びC11b、並びにスイッチ113)を含み、こうした素子によってLC共振部R1の端子間の容量性リアクタンス(リアクタンスXC)を変更可能に構成される。また、誘導性リアクタンス調整部110Lは、LC共振部R1に直列に接続される素子(コイルL11a及びL11b、並びにスイッチ114)を含み、こうした素子によってインバータ120と容量性リアクタンス調整部110Cとの間の誘導性リアクタンス(リアクタンスXL)を変更可能に構成される。
キャパシタC11aは、LC共振部R1に並列に接続されている。キャパシタC11aの一端は電力線PL1に接続され、キャパシタC11aの他端は電力線PL2に接続されている。
キャパシタC11b及びスイッチ113は、キャパシタC11aよりもLC共振部R1側でLC共振部R1に並列に接続されている。また、キャパシタC11bとスイッチ113とは、互いに直列に接続されている。キャパシタC11bの一端はスイッチ113を介して電力線PL2に接続され、キャパシタC11bの他端は電力線PL1に接続されている。キャパシタC11bに直列に接続されるスイッチ113は、Cスイッチに相当する。
容量性リアクタンス調整部110Cを構成するCスイッチの状態(ON/OFF)によってリアクタンスXCが変わる。より具体的には、キャパシタC11a、C11bのキャパシタンスをそれぞれC11a、C11bと表すと、CスイッチがOFFであるときのリアクタンスXC(以下、「XC1」と称する)は式(1)で、CスイッチがONであるときのリアクタンスXC(以下、「XC2」と称する)は式(2)で表すことができる。
コイルL11a及びL11bは、電力線PL2(より特定的には、キャパシタC11aと電力線PL2とが接続されるノードよりもインバータ120側)に設けられている。コイルL11aとコイルL11bとは、互いに直列に接続されている。また、コイルL11bに並列にスイッチ114が接続されている。スイッチ114がONされる(閉状態になる)ことで、コイルL11bの端子間が短絡する。コイルL11bに並列に接続されるスイッチ114は、Lスイッチに相当する。
誘導性リアクタンス調整部110Lを構成するLスイッチの状態(ON/OFF)によってリアクタンスXLが変わる。より具体的には、コイルL11a、L11bのインダクタンスをそれぞれL11a、L11bと表すと、LスイッチがOFFであるときのリアクタンスXL(以下、「XL1」と称する)は式(3)で、LスイッチがONであるときのリアクタンスXL(以下、「XL2」と称する)は式(4)で表すことができる。
式(1)及び(2)で示されるように、XC1よりもXC2のほうが小さくなる(XC1>XC2)。また、式(3)及び(4)で示されるように、XL1よりもXL2のほうが大きくなる(XL1<XL2)。この実施の形態では、スイッチ113及び114の各々として、たとえば電磁式のメカニカルリレーを採用する。メカニカルリレーは、半導体リレー(トランジスタ等)に比べて低コストで入手しやすい。
フィルタ回路110においては、上記のキャパシタC11a,C11b及びコイルL11a,L11bによってLCフィルタが形成される。このLCフィルタは、ローパスフィルタとして機能する。そして、このLCフィルタによってインバータ120の出力電流に含まれる高調波が低減される。
LC共振部R1は、送電コイル101の周囲に生成される磁界を通じて、受電装置200のLC共振部R2へ非接触で送電する。磁気共鳴により送電コイル101から受電コイル201へ電力が送られる。LC共振部R1は直列共振回路である。LC共振部R1のQ値は100以上であることが好ましい。なお、高い精度で送電電力を制御するために、LC共振部R1に流れる電流を検出するための電流センサ(図示せず)を設けてもよい。
送電ECU150は、演算装置、記憶装置、入出力ポート、及び通信ポート(いずれも図示せず)等を含む。演算装置は、CPU(Central Processing Unit)を含むマイクロプロセッサによって構成される。記憶装置は、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、プログラム等を保存するストレージ(ROM(Read Only Memory)や、書き換え可能な不揮発性メモリ等)とを含む。送電ECU150は、送電装置100における各種機器の制御を行なう。各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。この実施の形態に係る送電ECU150は、本開示に係る「制御部」、及び前述の「送電制御部」を含む。
通信部160は、受電装置200との間で無線通信を行なうための通信インターフェースである。通信部160は、受電装置200へ情報を送ったり、受電装置200からの情報を受け取ったりする。
受電装置200は、LC共振部R2と、キャパシタ203と、インダクタ204と、整流回路205と、負荷インピーダンスを調整するためのキャパシタ206a,206bと、平滑用のキャパシタ207とを含む。
LC共振部R2は、受電コイル201及びキャパシタ202が直列に接続されて構成される。受電コイル201は、送電装置100の送電コイル101から磁界を通じて非接触で受電する。LC共振部R2は直列共振回路である。LC共振部R2のQ値は100以上であることが好ましい。
キャパシタ203及びインダクタ204によってLCフィルタが形成される。このLCフィルタによって上記受電時に発生する高調波ノイズが抑制される。整流回路205は、受電コイル201によって受電された交流電力を整流して蓄電装置300側へ出力する。整流回路205は、たとえば4つのダイオードからなるダイオードブリッジ回路によって構成される。整流回路205の出力側には、負荷インピーダンスを調整するためのキャパシタ206a,206bと、平滑用のキャパシタ207とが設けられている。キャパシタ207は、整流回路205によって整流された直流電力を平滑化する。
キャパシタ207によって平滑化された直流電力は受電装置200から出力され、充電リレー400を介して蓄電装置300に供給される。充電リレー400は、車両ECU500によってON/OFF制御され、受電装置200による蓄電装置300の充電時にON(導通状態)にされる。
蓄電装置300は、再充電可能な直流電源である。蓄電装置300は、たとえば二次電池(リチウムイオン電池やニッケル水素電池等)を含んで構成される。蓄電装置300は、受電装置200から供給される電力を蓄えて、図示しない車両駆動装置(インバータ及び駆動モータ等)へ電力を供給する。
蓄電装置300に対しては、蓄電装置300の状態を監視する監視ユニット310が設けられている。監視ユニット310は、蓄電装置300の状態(温度、電流、電圧等)を検出する各種センサを含み、検出結果を車両ECU500へ出力する。車両ECU500は、監視ユニット310の出力に基づいて蓄電装置300の状態(SOC(State Of Charge)等)を検出するように構成される。SOCは、蓄電残量を示し、たとえば、満充電状態の蓄電量に対する現在の蓄電量の割合を0〜100%で表わしたものである。
車両ECU500は、演算装置、記憶装置、入出力ポート、及び通信ポート(いずれも図示せず)等を含み、車両2における各種機器の制御を行なう。演算装置は、CPUを含むマイクロプロセッサによって構成される。記憶装置はRAM及びROMを含む。ROMは、プログラム等を保存する。車両ECU500から充電リレー400へのON/OFF信号等は、出力ポートから出力される。車両ECU500は、たとえば車両2の走行制御や蓄電装置300の充電制御等を実行する。各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
車両2は通信部600をさらに備える。通信部600は、送電装置100との間で無線通信を行なうための通信インターフェースである。送電装置100の通信部160と車両2の通信部600との間で無線通信が行なわれることによって、送電ECU150と車両ECU500との間で情報のやり取りを行なうことが可能になる。
以下、送電装置100におけるインバータ120の出力力率について説明する。
インバータ120の出力力率を「λ」、インバータ120の出力位相差を「φ」で表すと、λ及びφは「λ=|cosφ|」のような関係式を満たす。出力位相差φは、電圧位相を基準として表される。すなわち、電圧位相に対して電流位相が遅角側にずれている場合には出力位相差が正の値になり、電圧位相に対して電流位相が進角側にずれている場合には出力位相差が負の値になる。たとえば、出力位相差が0°(位相差なし)であればインバータ120の出力力率は1(有効電力のみ)になり、出力位相差が90°又は−90°であればインバータ120の出力力率は0(無効電力のみ)になる。
インバータ120の出力力率を「λ」、インバータ120の出力位相差を「φ」で表すと、λ及びφは「λ=|cosφ|」のような関係式を満たす。出力位相差φは、電圧位相を基準として表される。すなわち、電圧位相に対して電流位相が遅角側にずれている場合には出力位相差が正の値になり、電圧位相に対して電流位相が進角側にずれている場合には出力位相差が負の値になる。たとえば、出力位相差が0°(位相差なし)であればインバータ120の出力力率は1(有効電力のみ)になり、出力位相差が90°又は−90°であればインバータ120の出力力率は0(無効電力のみ)になる。
インバータ120の出力位相差φは、次に示す式(5)で表すことができる。
式(5)において、peは、受電装置200の出力電力である。ΔXLCは、XLからXCを減算した値(=XL−XC)である。V2は、整流回路205の入力電圧である。
式(5)において、xa、xb、及びxmは、以下に示すように、それぞれ式(6−1)、式(6−2)、式(7)、及び式(8)で表される。式(6−2)で表される「ω1」は、LC共振部R1の共振角周波数に相当する。
式(6−1)、式(6−2)、式(7)、及び式(8)において、L1は送電コイル101のインダクタンスであり、C1はキャパシタ102のキャパシタンスであり、L2は受電コイル201のインダクタンスであり、C2はキャパシタ203のキャパシタンスである。C11は、容量性リアクタンス調整部110Cのキャパシタンスであり、CスイッチがOFFであるときには「C11a」となり、CスイッチがONであるときには「C11a+C11b」となる。kは、送電コイル101と受電コイル201との結合係数である。
次に、送電装置100における電力損失について説明する。
送電装置100における主な電力損失は、コイル損失及びスイッチング損失である。スイッチング損失は、スイッチング動作(ターンオン又はターンオフ)時に発生する電力損失である。送電装置100においては、インバータ120を構成するスイッチング素子のターンオン時に生じるリカバリ電流による電力損失が支配的なスイッチング損失となる。コイル損失は、コイル(送電コイル101等)における導通損失(発熱等に起因した損失)である。
送電装置100における主な電力損失は、コイル損失及びスイッチング損失である。スイッチング損失は、スイッチング動作(ターンオン又はターンオフ)時に発生する電力損失である。送電装置100においては、インバータ120を構成するスイッチング素子のターンオン時に生じるリカバリ電流による電力損失が支配的なスイッチング損失となる。コイル損失は、コイル(送電コイル101等)における導通損失(発熱等に起因した損失)である。
送電コイル101における電力損失(コイル損失)は、結合係数が大きくなるほど小さくなる傾向がある。また、インバータ120の出力位相差が進角側に大きくなると、インバータ120のスイッチング動作が、いわゆるハードスイッチングになり、リカバリ電流による電力損失が大きくなる傾向がある。
ところで、インバータ120の出力側に設けられたLCフィルタのインダクタンスを大きくすることによりインバータ120の電流位相を遅らせて、リカバリ電流による電力損失を抑制することは可能である。しかし、インバータ120の出力位相差が大きくなると、インバータ120の出力力率が低下する。そして、インバータ120の出力力率が低下すると、電力の伝送効率が低下する。
そこで、この実施の形態に係る送電装置100では、送電ECU150が、受電コイル201と送電コイル101との結合係数が大きいか小さいかを判断し、結合係数が小さい場合には、リアクタンスXLをリアクタンスXCよりも大きくし、結合係数が大きい場合には、リアクタンスXL及びリアクタンスXCの各々を結合係数が小さい場合よりも大きくするように構成される。
以下、図3〜図8を用いて、この実施の形態に係る送電装置100において、結合係数が小さい場合と結合係数が大きい場合とで、リアクタンスXC及びXL、並びにインバータ120の出力位相差及び出力力率がどのように変わるかについて説明する。なお、図3〜図8の各々の横軸に示される送電周波数の範囲(80kHz〜90kHz)は、インバータ120の出力周波数範囲に対応している。
図3は、この実施の形態に係る非接触送電制御において、結合係数が小さい場合のリアクタンスXC及びXLを示す図である。
送電ECU150は、結合係数が小さい場合には、Lスイッチ、Cスイッチの状態をそれぞれOFF、ON(第1状態)とする。これにより、リアクタンスXCがXC2(式(2)参照)となり、リアクタンスXLがXL1(式(3)参照)となる。以下、LスイッチがOFFであり、かつ、CスイッチがONである条件を、「条件A」と称する場合がある。この実施の形態では、インバータ120の出力周波数範囲における条件AのリアクタンスXLが図3中の線A1で示すような値になり、インバータ120の出力周波数範囲における条件AのリアクタンスXCが図3中の線B1で示すような値になる。
図3を参照して、この実施の形態では、結合係数が0.1(第1結合係数)であるときにインバータ120の出力力率が十分高くなるように条件AのリアクタンスXC及びXLを予め設定している。より具体的には、図2に示した回路を構成する部品(コイル及びキャパシタ等)の選定において、前述の式(5)に基づき、少なくとも出力周波数で(好ましくは、出力周波数範囲の全域で)インバータ120の出力力率が十分高くなるように部品を選んでいる。なお、部品の選定は、後述する条件BのリアクタンスXC及びXLも考慮して行なわれる。
さらに、この実施の形態では、インバータ120の出力周波数範囲の全域で、リアクタンスXL(線A1)がリアクタンスXC(線B1)よりも大きくなるように、条件AのリアクタンスXC及びXLを設定している。すなわち、インバータ120の出力周波数がインバータ120の出力周波数範囲内のいずれの周波数に制御されても、出力周波数のXLは出力周波数のXCよりも大きくなる。リアクタンスXCとリアクタンスXLとの差は、たとえばインバータ120の出力周波数範囲における平均値で5Ω以上20Ω以下である。
図4は、送電装置100において、リアクタンスXC及びXLが図3に示すようなリアクタンス(条件AのリアクタンスXC及びXL)であり、かつ、結合係数が約0.1である場合のインバータ120の出力位相差を示す図である。
図4を参照して、図3に示すようなリアクタンスXC及びXLにより、インバータ120の出力周波数範囲の全域で、インバータ120の出力位相差が正の値(遅角側)になる。
図5は、送電装置100において、リアクタンスXC及びXLが図3に示すようなリアクタンス(条件AのリアクタンスXC及びXL)であり、かつ、結合係数が約0.1である場合のインバータ120の出力力率を示す図である。
図5を参照して、図3に示すリアクタンスXC及びXLは、結合係数が0.1(第1結合係数)であるときに合わせて設定されている。部品ばらつき等によって完全には設計どおりにならないものの、上記のように設定されたリアクタンスXC及びXLによって、結合係数が約0.1である場合のインバータ120の出力力率は高くなる。また、条件Aのフィルタ回路110では、結合係数が約0.1であるときに安定して送電を行なうことができる(すなわち、過電流は生じない)。
図6は、この実施の形態に係る非接触送電制御において、結合係数が大きい場合のリアクタンスXC及びXLを示す図である。
送電ECU150は、結合係数が大きい場合には、Lスイッチ、Cスイッチの状態をそれぞれON、OFF(第2状態)とする。これにより、リアクタンスXCがXC1(式(1)参照)となり、リアクタンスXLがXL2(式(4)参照)となる。以下、LスイッチがONであり、かつ、CスイッチがOFFである条件を、「条件B」と称する場合がある。この実施の形態では、インバータ120の出力周波数範囲における条件BのリアクタンスXLが図6中の線A2で示すような値になり、インバータ120の出力周波数範囲における条件BのリアクタンスXCが図6中の線B2で示すような値になる。
図6を参照して、この実施の形態では、結合係数が0.6(第2結合係数)であるときにインバータ120の出力力率が十分高くなるように条件BのリアクタンスXC及びXLを予め設定している。また、この実施の形態では、インバータ120の出力周波数範囲の全域で、条件BのXC(線B2)を条件AのXC(図3中の線B1参照)よりも大きくし、かつ、条件BのXL(線A2)を条件AのXL(図3中の線A1参照)よりも大きくしている。すなわち、インバータ120の出力周波数がインバータ120の出力周波数範囲内のいずれの周波数に制御されても、条件Bにおける出力周波数のXL及びXCの各々は条件Aのときの値よりも大きくなる。
条件BのリアクタンスXC及びXLは、出力周波数範囲内に交点Pを有する。すなわち、条件BにおけるリアクタンスXL(線A2)とリアクタンスXC(線B2)とは、交点Pの周波数(交点周波数)で一致する。図6の例では、交点周波数が約86kHzである。また、図6の例では、交点Pよりも低周波数側の領域(以下、「交点Pの低周波数側領域」とも称する)ではXLよりもXCが大きくなっており、交点Pよりも高周波数側の領域(以下、「交点Pの高周波数側領域」とも称する)ではXCよりもXLが大きくなっている。インバータ120の出力周波数(この実施の形態では、88kH)では、XCよりもXLが大きくなっている。
図7は、送電装置100において、リアクタンスXC及びXLが図6に示すようなリアクタンス(条件BのリアクタンスXC及びXL)であり、かつ、結合係数が約0.6である場合のインバータ120の出力位相差を示す図である。
図7を参照して、図6に示すようなリアクタンスXC及びXLにより、交点Pの低周波数側領域ではインバータ120の出力位相差が負の値(進角側)になり、交点Pの高周波数側領域ではインバータ120の出力位相差が正の値(遅角側)になる。
図8は、送電装置100において、リアクタンスXC及びXLが図6に示すようなリアクタンス(条件BのリアクタンスXC及びXL)であり、かつ、結合係数が約0.6である場合のインバータ120の出力力率を示す図である。
図8を参照して、図6に示すリアクタンスXC及びXLは、結合係数が0.6(第2結合係数)であるときに合わせて設定されている。部品ばらつき等によって完全には設計どおりにならないものの、上記のように設定されたリアクタンスXC及びXLによって、結合係数が約0.6である場合のインバータ120の出力力率は高くなる。また、条件Bのフィルタ回路110では、結合係数が約0.6であるときに安定して送電を行なうことができる(すなわち、過電流は生じない)。
図8に示すように、交点周波数(約86kHz)におけるインバータ120の出力力率は1又は略1になる。この実施の形態では、インバータ120の出力周波数をLC共振部R2の共振周波数(たとえば、88kHz)に一致させるように制御しているが、インバータ120の出力周波数の制御方法は任意に変更できる。たとえば、インバータ120の出力周波数を交点周波数に一致させるように制御してインバータ120の出力力率を向上させるようにしてもよい。また、LC共振部R2の共振周波数が交点周波数(図6中の交点Pの周波数)よりも低い場合において、リカバリ電流による電力損失を抑制するために、インバータ120の出力周波数を交点周波数よりも高くしてもよい。結合係数が大きい場合には、インバータ120の出力周波数とLC共振部R2の共振周波数とが多少ずれても、電力の伝送効率は大きくは低下しない。
この実施の形態に係る非接触送電制御では、送電ECU150が、受電コイル201と送電コイル101との結合係数が大きいか小さいかを判断し、結合係数が小さい場合には、Lスイッチ、Cスイッチの状態をそれぞれOFF、ONとする。これにより、リアクタンスXC及びXLが、図3に示すようなリアクタンス(条件AのリアクタンスXC及びXL)になる。条件Aでは、出力周波数のXLが出力周波数のXCよりも大きくなる。このため、インバータの電圧位相に対してインバータの電流位相を遅らせて、リカバリ電流による電力損失を抑制することができる。
また、式(5)から理解されるように、結合係数が小さい場合(たとえば、結合係数が約0.1である場合)には、インバータ120の出力力率に対する結合係数の変動の影響が小さくなる。このため、結合係数が基準結合係数(たとえば、0.1)から多少ずれても、インバータ120の出力力率は大きくは低下しない。
他方、結合係数が大きい場合(たとえば、結合係数が約0.6である場合)には、インバータ120の出力力率に対する結合係数の変動の影響が大きくなる。このため、結合係数が基準結合係数(たとえば、0.6)から少しずれても、インバータ120の出力力率が大きく低下し得る。
そこで、この実施の形態に係る送電ECU150は、結合係数が大きい場合には、Lスイッチ、Cスイッチの状態をそれぞれON、OFFとする。これにより、リアクタンスXC及びXLが、図6に示すようなリアクタンス(条件BのリアクタンスXC及びXL)になる。条件Bにおける出力周波数のXL及びXCの各々は条件Aのときの値よりも大きくなる。
式(5)から理解されるように、結合係数以外のパラメータ(たとえば、XC)を大きくすることによって、インバータ120の出力力率に対する結合係数の変動の影響を小さくすることができる。このため、結合係数が基準結合係数から多少ずれても、インバータの出力力率は大きくは低下しなくなる。また、XCとともにXLも大きくすることで、ΔXLCの絶対値が大きくなり過ぎることを防ぐことができる。ΔXLCの絶対値が大きくなると、インバータ120の出力力率に対する結合係数の変動の影響が大きくなる。また、ΔXLCの絶対値が大きくなり過ぎると、インバータ120の出力力率が低下する。
また、結合係数が大きい場合には、送電コイル101における電力損失(コイル損失)が小さくなるため、リカバリ電流による電力損失が生じても、ある程度は許容される。しかし、リカバリ電流による電力損失が大きくなり過ぎると、許容範囲を超えてしまう可能性がある。このため、XCとともにXLも大きくすることで、出力周波数のXLが出力周波数のXCに対して小さくなり過ぎないようにすることが好ましい。この実施の形態では、結合係数が小さい場合だけでなく結合係数が大きい場合にも、出力周波数のXLが出力周波数のXCよりも大きくなる(図6参照)。このため、結合係数が大きい場合においても、インバータの電圧位相に対してインバータの電流位相を遅らせて、リカバリ電流による電力損失を抑制することができる。
以下、図9〜図17を用いて第1〜第3の比較例について説明し、各比較例に係る非接触送電制御と上記実施の形態に係る非接触送電制御とを対比する。第1〜第3の比較例については、主に上記実施の形態との相違点について説明する。
図9は、第1の比較例に係る非接触送電制御において、結合係数が大きい場合のリアクタンスXC及びXLを示す図である。図9を参照して、第1の比較例では、結合係数が大きい場合のリアクタンスXC及びXLを、結合係数が小さい場合のリアクタンスXC及びXL(図3参照)と同じにしている。
図10、図11はそれぞれ、第1の比較例に係る送電装置において、リアクタンスXC及びXLが図9に示すようなリアクタンスであり、かつ、結合係数が約0.6である場合のインバータの出力位相差、出力力率を示す図である。
図10を参照して、結合係数が大きくなって相互リアクタンス(式(5)中のxm)が増加することにより、インバータの出力位相差が約90°になっている。さらに、図11を参照して、インバータの出力位相差に対応してインバータの出力力率が略0になっている。
上記のように、第1の比較例に係る非接触送電制御では、上記実施の形態に係る非接触送電制御と比べて、インバータの出力力率が著しく悪化する。
図12は、第2の比較例に係る非接触送電制御において、結合係数が大きい場合のリアクタンスXC及びXLを示す図である。図12を参照して、第2の比較例では、結合係数が大きくなった場合に、リアクタンスXCを大きくなるが、リアクタンスXLは変更しない。すなわち、結合係数が大きい場合のリアクタンスXLは、結合係数が小さい場合のリアクタンスXL(図3中の線A1参照)と同じになっている。これにより、リアクタンスXC(線B2)がリアクタンスXL(線A1)よりも大きくなる。
図13、図14はそれぞれ、第2の比較例に係る送電装置において、リアクタンスXC及びXLが図12に示すようなリアクタンスであり、かつ、結合係数が約0.6である場合のインバータの出力位相差、出力力率を示す図である。
図13を参照して、図12に示すようなリアクタンスXC及びXLにより、インバータの出力位相差が進角側(−側)に大きくなっている。このため、リカバリ電流による電力損失が大きくなる。
上記図12及び図13とともに図14を参照して、第2の比較例では、図6のグラフと比べてリアクタンスXLとリアクタンスXCとの差(絶対値)が大きくなることにより、図7のグラフと比べてインバータの出力位相差(絶対値)が大きくなり、図8のグラフと比べてインバータの出力力率が低くなる。
第2の比較例に係る非接触送電制御では、結合係数が大きくなった場合に、リアクタンスXCは大きくなるが、リアクタンスXLは変更されない。このため、結合係数が大きい場合においてインバータの出力力率に対する結合係数の変動の影響は小さくなるものの、上記実施の形態に係る非接触送電制御と比べて、電力損失が大きくなるとともに、インバータの出力力率が低下する。
図15は、第3の比較例に係る非接触送電制御において、結合係数が小さい場合のリアクタンスXC及びXLを示す図である。
図15を参照して、第3の比較例では、リアクタンスXLが図15中の線A10で示すような値になり、リアクタンスXCが図15中の線B10で示すような値になる。図15に示すリアクタンスXC及びXLは、交点P10を有する。交点周波数は約86kHzである。交点P10よりも低周波数側の領域ではXCよりもXLが大きくなっており、交点P10よりも高周波数側の領域ではXLよりもXCが大きくなっている。インバータの出力周波数(88kH)では、XL(線A10)よりもXC(線B10)が大きくなっている。
図16、図17はそれぞれ、第3の比較例に係る送電装置において、リアクタンスXC及びXLが図15に示すようなリアクタンスであり、かつ、結合係数が約0.1である場合のインバータの出力位相差、出力力率を示す図である。
図16を参照して、第3の比較例では、図15に示すようなリアクタンスXC及びXLにより、インバータの出力周波数(ひいては、送電周波数)が交点周波数よりも低い場合にはインバータの出力位相差が正の値(遅角側)になり、インバータの出力周波数(ひいては、送電周波数)が交点周波数よりも高い場合にはインバータの出力位相差が負の値(進角側)になる。
図17を参照して、第3の比較例では、図15に示すようなリアクタンスXC及びXLにより、インバータの出力力率が高くなる。
第3の比較例に係る非接触送電制御では、出力周波数のXCが出力周波数のXLよりも大きくなる。これにより、インバータの出力周波数(88kH)における出力位相差が負の値(進角側)になる。このため、インバータのスイッチング動作がハードスイッチングになり、リカバリ電流による電力損失が大きくなる。結合係数が小さい場合には、送電コイルにおける電力損失(コイル損失)が大きくなるため、リカバリ電流が生じると、電力損失が許容範囲を超えてしまう可能性が高い。このため、第3の比較例に係る非接触送電制御では、結合係数が小さい場合において電力損失を十分に抑制することが難しい。これに対し、上記実施の形態に係る非接触送電制御では、結合係数が小さい場合と結合係数が大きい場合との両方において、出力周波数のXLが出力周波数のXCよりも大きくなる(図3及び図6参照)。このため、結合係数が小さい場合と結合係数が大きい場合とのいずれにおいても、リカバリ電流による電力損失を抑制することができる。
以上説明したように、この実施の形態に係る送電装置100によれば、広い結合係数範囲において電力損失を十分抑制しながら、結合係数が大きい場合におけるインバータ120の出力力率の低下も抑制することが可能になる。
次に、上記のようなリアクタンス制御を非接触送電制御に組み込み、充電設備1によって車両2の蓄電装置300を充電する場合の処理手順の一例について説明する。
まず、運転者が車両2を充電設備1の充電スペースに停車させる。なお、運転者が車両2を所定の充電位置に停車させることができなかった場合でも、後述する位置合わせにより、車両2を所定の充電位置に移動させることができる。
上記車両2の停車位置において、車両ECU500と送電ECU150との間での通信の接続(たとえば、無線LANへの接続)を確立させた後、車両ECU500から送電ECU150へ送電要求が送られる。送電要求は、運転者の指示により送信されてもよいし、所定条件の成立により自動的に送信されてもよい。この送電要求を送電ECU150が受信すると、送電ECU150は送電準備を開始する。送電準備は、電力伝送システム10を送電可能な状態にするための処理である。たとえば、送電装置100と受電装置200との位置合わせを行なうために、送電ECU150は、インバータ120及びAC/DCコンバータ130等を制御して、送電コイル101から受電コイル201へ所定の位置確認用電力を送電する。車両ECU500は、受電コイル201の受電電力に基づいて位置ずれ状態(たとえば、位置ずれの方向及び程度)を検出し、検出された位置ずれ状態に基づいて車両2の位置合せが行なわれる。
なお、充電設備1が複数の送電装置を含む場合には、いずれの送電装置に対して位置合わせが行なわれたかを特定するための処理(いわゆるペアリング)が上記送電準備として行なわれてもよい。位置合わせ及びペアリングの方法としては、種々の方法が公知であり、任意の方法を採用できる。
上記の送電準備が完了すると、送電ECU150は、車両2の蓄電装置300を充電するための送電を開始する。
図18は、送電ECU150により実行される送電開始制御の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、ステップS11〜S13(以下、単に「S11」〜「S13」と称する)を含み、メインルーチンから呼び出されて繰り返し実行される。図18の処理は、たとえば送電装置100による送電が行なわれていない状況(すなわち、未送電時)において所定時間経過毎に繰り返し実行され、S13において送電が開始されることによって終了する。
図18を参照して、送電ECU150が、車両ECU500から前述の送電要求を受信したか否かを判断する(S11)。そして、送電ECU150が送電要求を受信していないと判断した場合(S11においてNO)には、処理がメインルーチンへと戻される。
他方、S11で送電要求を受信したと判断された場合(S11においてYES)には、送電ECU150は、車両ECU500と無線通信を行ないながら、送電準備(位置合わせやペアリング等)を行なう(S12)。そして、送電準備が完了すると、送電ECU150は、スイッチ113(Cスイッチ)がON、スイッチ114(Lスイッチ)がOFFである条件Aで送電を開始する(S13)。より具体的には、送電ECU150は、スイッチ113、114をそれぞれON、OFFにした後、インバータ120及びAC/DCコンバータ130等を制御して、送電コイル101から受電コイル201への送電を行なう。また、車両ECU500によって充電リレー400がONされる。そして、受電コイル201が受電した電力によって蓄電装置300の充電が行なわれる。蓄電装置300の充電中(すなわち、送電装置100による送電中)においては、以下に説明する図19の制御とは別に、送電電力を所望の大きさにするための制御が行なわれる。送電ECU150と車両ECU500とが相互に情報のやり取りを行ないながら送電コイル101から受電コイル201への送電電力をフィードバック制御する。
図19は、送電ECU150により実行される送電制御の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、ステップS21〜S27(以下、単に「S21」〜「S27」と称する)を含み、メインルーチンから呼び出されて繰り返し実行される。図19の処理は、たとえば送電装置100による送電が行なわれている状況(すなわち、送電中)において所定時間経過毎に繰り返し実行され、S26において実行中の送電が終了することによって図19の処理も終了する。
図19を参照して、送電ECU150が、条件Aで送電が行なわれているか否かを判断する(S21)。送電ECU150は、たとえばスイッチ113及び114の状態を確認し、スイッチ113がON、スイッチ114がOFFであれば、条件Aで送電が行なわれていると判断する。他方、スイッチ113及び114の状態が上記以外の状態であれば、条件Aで送電が行なわれていないことになる。この実施の形態では、条件A及びBのいずれかで送電が行なわれる。このため、実行中の送電が条件Aでの送電でないことは、実行中の送電が条件Bでの送電であることを意味する。また、この実施の形態では、条件Aで送電が開始される(図18のS13参照)。このため、送電開始直後においては、条件Aで送電が行なわれている(S21においてYES)と判断され、処理がS22へ進む。
S22では、電力監視ユニット140(より特定的には、電流センサ)により検出されるインバータ120の出力電流が所定のしきい値Th1(以下、単に「Th1」とも称する)以上であるか否かを、送電ECU150が判断する。Th1は、過電流を検出するためのしきい値である。Th1は、たとえば、共振周波数及び結合係数の各々の変動に起因して生じ得るインバータ120の出力力率の低下を考慮して求められるインバータ120の出力電流の上限値である。共振周波数の変動は、たとえば部品ばらつきによって生じ得る。結合係数の変動は、送受電コイルの位置ずれや、受電コイル高さΔHの変動によって生じ得る。Th1は、固定値であってもよいし、車両2の状況等に応じて可変であってもよい。
インバータ120の出力電流がTh1よりも小さい場合(S22においてNO)には、過電流が発生していないと判断され、処理がS25へ進む。
S25では、送電ECU150が、蓄電装置300の充電が完了したか否かを判断する。送電ECU150は、たとえば所定の完了条件が成立した場合に充電が完了したと判断する。完了条件は、たとえば、充電中に蓄電装置300のSOCが所定のSOC値よりも大きくなった場合に成立する。充電中は車両ECU500が蓄電装置300のSOCを監視し、上記の完了条件が成立すると、完了条件が成立したことを示す信号が車両ECU500から送電ECU150へ送信される。所定のSOC値は、車両ECU500等によって自動的に設定されてもよいし、ユーザによって設定されてもよい。
なお、上記の完了条件は任意に変更することができる。たとえば、充電時間(充電を開始した時からの経過時間)が所定値よりも長くなった場合に完了条件が成立するようにしてもよい。また、充電中にユーザから充電停止の指示があった場合に完了条件が成立するようにしてもよい。
充電が完了した場合(S25においてYES)には、S26において、送電ECU150が、インバータ120及びAC/DCコンバータ130等を制御して送電を停止させる。また、車両ECU500によって充電リレー400がOFFされる。
送電開始後、S22及びS25のいずれにおいてもNOと判断されている間は、条件Aで送電が行なわれる。そして、条件Aでの送電中にS25でYESと判断された場合には、S26の処理により送電が停止する。また、条件Aでの送電中に過電流が生じた場合(S22においてYES)には、処理がS23へ進む。
S23では、送電ECU150が、インバータ120及びAC/DCコンバータ130等を制御して送電を停止させる。そして、送電ECU150は、スイッチ113(Cスイッチ)がOFF、スイッチ114(Lスイッチ)がONである条件Bで送電を再開する(S24)。より具体的には、送電ECU150は、スイッチ113、114をそれぞれOFF、ONにした後、インバータ120及びAC/DCコンバータ130等を制御して、送電コイル101から受電コイル201への送電を行なう。その後、処理が前述のS25へ進む。
S24の処理により条件Bで送電が行なわれるようになると、S21でNOと判断されるようになる。S21でNO(条件Aで送電が行なわれていない)と判断された場合には、処理がS27へ進む。
S27では、電力監視ユニット140(より特定的には、電流センサ)により検出されるインバータ120の出力電流が所定のしきい値Th2(以下、単に「Th2」とも称する)以上であるか否かを、送電ECU150が判断する。Th2は、過電流を検出するためのしきい値である。Th2は、たとえばS22のしきい値Th1と同様の方法で求めることができる。Th2は、Th1と同じであってもよいし異なっていてもよい。Th2は、固定値であってもよいし、車両2の状況等に応じて可変であってもよい。
電力伝送システム10は、条件A及びBのいずれかで安定した送電が行なわれる(すなわち、過電流が生じない)ように設計されている。結合係数が小さいときには条件Aで送電が安定し、結合係数が大きいときには条件Bで送電が安定する。このため、条件A及びBのいずれにおいても送電中に過電流が生じた場合には、電力伝送システム10において何らかの異常(電子部品の故障等)が生じていると考えられる。条件Bで送電が行なわれていることは、S22でYESと判断されたこと(すなわち、条件Aでの送電中に過電流が生じたこと)を意味する。このため、条件Bでの送電中に過電流が生じた場合(S27においてYES)には、電力伝送システム10において異常が生じたと判断され、S26において、送電ECU150が充電の完了を待たずに送電を強制的に停止させる。
S24の処理が行なわれた後、S25及びS27のいずれにおいてもNOと判断されている間は、条件Bで送電が行なわれる。他方、S25及びS27のいずれかにおいてYESと判断された場合には、S26の処理により送電が停止する。
なお、条件Bでの送電中に過電流が生じた場合(S27においてYES)には、電力伝送システム10に異常が生じたことをユーザに知らせるための報知処理が車両ECU500によって行なわれてもよい。また、車両ECU500は、記憶装置内のダイアグ(自己診断)のフラグの値を0から1にすることにより、電力伝送システム10に異常が生じたことを記憶装置に記録してもよい。
上記図19の処理では、インバータ120の出力電流を用いて、受電コイル201と送電コイル101との結合係数が大きいか小さいかを判断している(S22)。より具体的には、条件Aでの送電中に過電流が生じた場合(S22においてYES)には、結合係数が大きいと判断し、条件Aでの送電中に過電流が生じない場合(S22においてNO)には、結合係数が小さいと判断する。こうした構成によれば、結合係数が大きいか小さいかを容易に判断できる。
なお、各種センサの検出値等からリアルタイムに結合係数を算出し、算出された結合係数に応じて出力周波数のXL及びXCを精密に制御することも考えられる。しかし、結合係数を高い精度で算出することは難しく、また、結合係数を高い精度で算出できたとしても、出力周波数のXL及びXCを高い精度で結合係数に対応させるためには高性能の可変インダクタ及び可変キャパシタが必要になり、コストの面で不利になる。
上記図19の処理では、条件A(第1条件)での送電中にインバータ120の出力電流が所定値以上になった場合(S22においてYES)には、実行中の送電を停止し(S23)、Cスイッチ及びLスイッチの状態を条件B(第2条件)の状態にした後、送電を再開している(S24)。こうした制御では、応答速度の速い半導体リレーを必要とせず、半導体リレーに比べて低コストで入手しやすいメカニカルリレーを使用できる。ただし、各スイッチの種類はメカニカルリレーに限定されない。メカニカルリレーに代えて半導体リレーを採用してもよい。
上記実施の形態では、条件Aで送電を開始している(図18参照)。しかしこれに限られず、条件Bで送電を開始してもよい。たとえば、図18のS13において条件Bで送電を開始し、図19のS21において条件Bで送電が行なわれているか否かを判断するようにしてもよい。そして、条件Bでの送電中に過電流が生じた場合(図19のS22においてYES)には、図19のS23において実行中の送電を停止し、図19のS24において、Cスイッチ及びLスイッチの状態を条件Aの状態にした後、送電を再開するようにしてもよい。
上記実施の形態では、条件BのリアクタンスXC及びXLが図6に示すようなリアクタンスである。しかしこれに限られず、条件BのリアクタンスXC及びXLを図20に示すようなリアクタンスにしてもよい。
図20は、条件BのリアクタンスXC及びXLの変形例を示す図である。図20を参照して、この変形例では、条件BのリアクタンスXLが図20中の線A3で示すようなリアクタンスになり、条件BのリアクタンスXCが図20中の線B3で示すようなリアクタンスになる。線A3及び線B3で示されるように、インバータ120の出力周波数範囲の全域で、条件BのXC(線B3)は条件AのXC(図3中の線B1参照)よりも大きくなっており、かつ、条件BのXL(線A3)は条件AのXL(図3中のA1参照)よりも大きくなっている。また、この変形例では、インバータ120の出力周波数範囲の全域で、条件BのリアクタンスXL(線A3)が条件BのリアクタンスXC(線B3)よりも大きくなっている。
図21、図22はそれぞれ、上記変形例に係る送電装置において、リアクタンスXC及びXLが図20に示すようなリアクタンスであり、かつ、結合係数が約0.6である場合のインバータの出力位相差、出力力率を示す図である。
図21を参照して、図20に示すようなリアクタンスXC及びXLにより、インバータ120の出力周波数範囲の全域でインバータ120の出力位相差が正の値(遅角側)になる。このため、インバータ120の出力周波数がインバータ120の出力周波数範囲内のいずれの周波数に制御されても、リカバリ電流の発生を抑制することができる。ただし、図22に示されるように、この変形例では、インバータの出力力率が図8のグラフと比べて低くなっている。
容量性リアクタンス調整部110C及び誘導性リアクタンス調整部110Lの各々の構成は、図2に示した構成に限られず、たとえば以下に説明する図23〜図25のいずれかの構成に変更してもよい。
図23を参照して、誘導性リアクタンス調整部110Lは、LC共振部R1(図2)に直列に接続される可変インダクタL20であってもよい。容量性リアクタンス調整部110Cは、LC共振部R1(図2)に並列に接続される可変キャパシタC20であってもよい。
可変インダクタL20は、たとえば磁性体(コア)と励磁巻線とを含み、送電ECU150からの制御信号(より特定的には、励磁巻線の電流)に応じてインダクタンスが連続的に変わるように構成される。励磁巻線に直流重畳電流を流して透磁率を変化させることによって、可変インダクタL20のインダクタンスを任意の値に調整できる。なお、この可変インダクタに限定されず、種々の公知の可変インダクタから任意の可変インダクタを選んで採用できる。
可変キャパシタC20は、送電ECU150からの制御信号に応じてキャパシタンスが連続的に変わるように構成される。可変キャパシタC20としては、たとえば誘電体を空気とした空気ギャップコンデンサを採用できる。なお、この可変キャパシタに限定されず、種々の公知の可変キャパシタから任意の可変キャパシタを選んで採用できる。後述する可変キャパシタC21についても同様のことがいえる。
図24を参照して、誘導性リアクタンス調整部110Lは、LC共振部R1(図2)に直列に接続されるコイルL21及び可変キャパシタC21を含んで構成されてもよい。コイルL21のインダクタンスをL21、可変キャパシタC21のキャパシタンスをC21と表すと、リアクタンスXLは式(9)で表すことができる。なお、式(9)において「ωL21」は「1/ωC21」よりも大きい。
図25を参照して、誘導性リアクタンス調整部110Lは、LC共振部R1(図2)に直列に接続されるコイルL22、キャパシタC22、及びスイッチ115を含んで構成されてもよい。スイッチ115は、キャパシタC22に並列に接続されている。スイッチ115がONされる(閉状態になる)ことで、キャパシタC22の端子間が短絡する。スイッチ115の状態(ON/OFF)によりインバータ120と容量性リアクタンス調整部110Cとの間の誘導性リアクタンス(リアクタンスXL)が変わる。
結合係数が大きいか小さいかの判断方法は任意に変更できる。以下、図26及び図27を用いて、結合係数が大きいか小さいかの判断方法の変形例について説明する。
図26は、上記変形例に係る非接触送電装置の構成を示す図である。図26を参照して、この変形例では、図2に示した構成にGAPセンサ170を追加する。GAPセンサ170は、コイル間距離ΔGを検出するように構成される。GAPセンサ170としては、公知の測距センサ(超音波センサ、レーザ測距センサ等)を採用できる。
図27は、上記の変形例において送電ECU150により実行される送電制御の処理手順を示すフローチャートである。この変形例では、図19の処理に代えて図27の処理が実行される。このフローチャートに示される処理は、S22に代えてステップS30(以下、単に「S30」と称する)を含むこと以外は、図19の処理と同じである。
図27を参照して、S30では、GAPセンサ170により検出されるコイル間距離ΔGが所定のしきい値Th3(以下、単に「Th3」とも称する)以下であるか否かを、送電ECU150が判断する。Th3は、結合係数が大きいか小さいかを判断するためのしきい値であり、たとえば予め実験等によって求められた値が設定される。Th3は、固定値であってもよいし、車両2の状況等に応じて可変であってもよい。
コイル間距離ΔGと結合係数とは概ね反比例の関係を有する。すなわち、コイル間距離ΔGが大きくなるほど結合係数は小さくなる。このため、コイル間距離ΔGがTh3以下である場合(S30においてYES)に結合係数が大きいと判断され、コイル間距離ΔGがTh3超である場合(S30においてNO)に結合係数が小さいと判断される。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 充電設備、2 車両、10 電力伝送システム、100 送電装置、101 送電コイル、102,202,203,206a,206b,207,C11a,C11b,C22 キャパシタ、110 フィルタ回路、110C 容量性リアクタンス調整部、110L 誘導性リアクタンス調整部、113,114,115 スイッチ、120 インバータ、130 AC/DCコンバータ、140 電力監視ユニット、150 送電ECU、160,600 通信部、170 GAPセンサ、200 受電装置、201 受電コイル、204 インダクタ、205 整流回路、300 蓄電装置、310 監視ユニット、400 充電リレー、500 車両ECU、700 交流電源、C20,C21 可変キャパシタ、L11a,L11b,L21,L22 コイル、L20 可変インダクタ、R1,R2 LC共振部。
Claims (1)
- 送電コイルから受電装置の受電コイルへ非接触で送電する非接触送電装置であって、
前記送電コイル及びキャパシタが直列に接続されて構成されるLC共振部と、
入力電力を所定周波数の交流電力に変換して出力するインバータと、
前記LC共振部に並列に接続される素子によって、前記LC共振部の端子間の容量性リアクタンスを変更可能に構成される容量性リアクタンス調整部と、
前記LC共振部に直列に接続される素子によって、前記インバータと前記容量性リアクタンス調整部との間の誘導性リアクタンスを変更可能に構成される誘導性リアクタンス調整部と、
前記容量性リアクタンス調整部及び前記誘導性リアクタンス調整部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記受電コイルと前記送電コイルとの結合係数が大きいか小さいかを判断し、前記結合係数が小さい場合には、前記誘導性リアクタンスを前記容量性リアクタンスよりも大きくし、前記結合係数が大きい場合には、前記誘導性リアクタンス及び前記容量性リアクタンスの各々を前記結合係数が小さい場合よりも大きくし、
前記誘導性リアクタンス及び前記容量性リアクタンスの各々は、前記所定周波数におけるリアクタンスである、非接触送電装置。
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