JP6974159B2 - 画像処理装置および画像処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、放射線断層撮影装置により収集されたリストデータに基づいてノイズ除去処理後の断層画像を作成する装置および方法に関するものである。
被検体(生体)の断層画像を取得することができる放射線断層撮影装置として、PET(Positron Emission Tomography)装置およびSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置が挙げられる。
PET装置は、被検体が置かれる測定空間の周囲に配列された多数の小型の放射線検出器を有する検出部を備えている。PET装置は、陽電子放出アイソトープ(RI線源)が投入された被検体内における電子・陽電子の対消滅に伴って発生するエネルギ511keVの光子対を検出部により同時計数法で検出し、この同時計数情報を収集する。そして、この収集した多数の同時計数情報に基づいて、測定空間における光子対の発生頻度の空間分布(すなわち、RI線源の空間分布)を表す断層画像を再構成することができる。このとき、PET装置により収集された同時計数情報を時系列に並べたリストデータを収集順に複数のフレームに分割し、そのリストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて画像再構成処理を行うことで、複数のフレームの断層画像からなる動態PET画像を得ることができる。このPET装置は核医学分野等で重要な役割を果たしており、これを用いて例えば生体機能や脳の高次機能の研究を行うことができる。
このようにして再構成された断層画像は、ノイズを多く含んでいるので、画像フィルタによるノイズ除去処理が必要である。ノイズ除去の為に用いられる画像フィルタとしては、ガウシアン・フィルタ(Gaussian Filter)およびガイディド・フィルタ(Guided Filter)が挙げられる。従来からガウシアン・フィルタが用いられている。これに対して、ガイディド・フィルタは、近年になって開発されたものであって、ガウシアン・フィルタと比べると画像中の濃淡の境界をよく保存することができるという特徴がある。
特許文献1および非特許文献1には、ガイディド・フィルタにより動態PET画像のノイズを除去する技術が記載されている。特許文献1および非特許文献1に記載された技術は、ガイディド・フィルタによるノイズ除去処理に際して、複数のフレームの断層画像からなる動態PET画像を積算して得られる画像をガイダンス画像として用いている。
中国特許出願公開第103955899号明細書
Lijun Lu,, et al. "DynamicPET Denoising Incorporating a Composite Image Guided Filter," IEEE NuclearScience Symposium and Medical Imaging Conference (NSS/MIC), 2014.
特許文献1および非特許文献1に記載されたガイディド・フィルタによる動態PET画像に対するノイズ除去処理技術は、ガウシアン・フィルタを用いる場合と比べるとノイズ除去性能が優れている。しかし、PET画像およびSPECT画像に対して更なるノイズ除去性能の向上が望まれている。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、放射線断層撮影装置により収集されたリストデータに基づいて高性能にノイズ除去された断層画像を作成することができる装置および方法を提供することを目的とする。
本発明の第1態様の画像処理装置は、放射線断層撮影装置により収集されたリストデータに基づいてノイズ除去処理後の断層画像を作成する装置であって、(1) リストデータを収集順に複数のフレームに分割し、リストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像として再構成画像を作成する処理対象画像作成部と、(2) リストデータのうち処理対象画像作成部において各フレームの処理対象画像を作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像として再構成画像を作成するガイダンス画像作成部と、(3) 処理対象画像作成部において作成された各フレームの処理対象画像、および、ガイダンス画像作成部において該フレームの処理対象画像に対応して作成されたガイダンス画像を用いて、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行い、該フレームのノイズ除去処理後の断層画像を作成するフィルタ処理部と、を備える。
本発明の第2態様の画像処理装置は、放射線断層撮影装置により収集されたリストデータに基づいてノイズ除去処理後の断層画像を作成する装置であって、(1) リストデータを収集順に複数のフレームに分割し、リストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像としてサイノグラムを作成する処理対象画像作成部と、(2) リストデータのうち処理対象画像作成部において各フレームの処理対象画像を作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像としてサイノグラムを作成するガイダンス画像作成部と、(3) 処理対象画像作成部において作成された各フレームの処理対象画像、および、ガイダンス画像作成部において該フレームの処理対象画像に対応して作成されたガイダンス画像を用いて、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行い、該フレームのノイズ除去処理後のサイノグラムを作成するフィルタ処理部と、(4) フィルタ処理部において作成された各フレームのサイノグラムを用いて、該フレームの断層画像を再構成する画像再構成部と、を備える。
本発明の第3態様の画像処理装置は、放射線断層撮影装置により収集されたリストデータに基づいてノイズ除去処理後の断層画像を作成する装置であって、(1) リストデータを収集順に複数のフレームに分割し、リストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて、該フレームのサイノグラムを作成するサイノグラム作成部と、(2) 初期画像を作成する初期画像作成部と、(3) 複数のフレームそれぞれについて入力画像に基づいて順投影計算を行ってサイノグラムを作成する順投影計算部と、(4) 複数のフレームそれぞれについて順投影計算部により作成されたサイノグラムとサイノグラム作成部により作成されたサイノグラムとの比較に基づいて逆投影計算を行う逆投影計算部と、(5) 複数のフレームそれぞれについて、逆投影計算部による逆投影計算結果に基づいて画像更新計算を行って、処理対象画像として当該画像更新計算後の画像を作成する処理対象画像作成部と、(6) リストデータのうちサイノグラム作成部において各フレームのサイノグラムを作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像として再構成画像を作成するガイダンス画像作成部と、(7) 処理対象画像作成部において作成された各フレームの処理対象画像、および、ガイダンス画像作成部において該フレームの処理対象画像に対応して作成されたガイダンス画像を用いて、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行い、該フレームのノイズ除去処理後の画像を作成するフィルタ処理部と、を備える。そして、この画像処理装置は、順投影計算部による順投影計算、逆投影計算部による逆投影計算、処理対象画像作成部による画像更新計算およびフィルタ処理部によるノイズ除去処理を繰り返し行い、順投影計算部は、その繰り返し処理の初回においては初期画像を入力画像とし、以降においてはフィルタ処理部によるノイズ除去処理後の画像を入力画像とする。
本発明の画像処理装置において、ガイダンス画像作成部は、各フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像を、ガイダンス画像の最大画素値が処理対象画像の最大画素値と等しくなるよう正規化を行って作成するのが好適である。ガイダンス画像作成部は、各フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像を作成する際に、処理対象画像作成部において該フレームの処理対象画像を作成する際に用いたデータ群を含むデータ群を用いるのが好適である。また、ガイダンス画像作成部は、各フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像を作成する際に、処理対象画像作成部において該フレームの処理対象画像を作成する際に用いたデータ群の前後のデータ群を用いるのが好適である。
本発明の放射線断層撮影システムは、被検体の断層画像を再構成するためのリストデータを収集する放射線断層撮影装置と、放射線断層撮影装置により収集されたリストデータに基づいてノイズ除去処理後の断層画像を作成する上記の本発明の画像処理装置と、を備える。
本発明の第1態様の画像処理方法は、放射線断層撮影装置により収集されたリストデータに基づいてノイズ除去処理後の断層画像を作成する方法であって、(1) リストデータを収集順に複数のフレームに分割し、リストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像として再構成画像を作成する処理対象画像作成ステップと、(2) リストデータのうち処理対象画像作成ステップにおいて各フレームの処理対象画像を作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像として再構成画像を作成するガイダンス画像作成ステップと、(3) 処理対象画像作成ステップにおいて作成された各フレームの処理対象画像、および、ガイダンス画像作成ステップにおいて該フレームの処理対象画像に対応して作成されたガイダンス画像を用いて、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行い、該フレームのノイズ除去処理後の断層画像を作成するフィルタ処理ステップと、を備える。
本発明の第2態様の画像処理方法は、放射線断層撮影装置により収集されたリストデータに基づいてノイズ除去処理後の断層画像を作成する方法であって、(1) リストデータを収集順に複数のフレームに分割し、リストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像としてサイノグラムを作成する処理対象画像作成ステップと、(2) リストデータのうち処理対象画像作成ステップにおいて各フレームの処理対象画像を作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像としてサイノグラムを作成するガイダンス画像作成ステップと、(3) 処理対象画像作成ステップにおいて作成された各フレームの処理対象画像、および、ガイダンス画像作成ステップにおいて該フレームの処理対象画像に対応して作成されたガイダンス画像を用いて、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行い、該フレームのノイズ除去処理後のサイノグラムを作成するフィルタ処理ステップと、(4) フィルタ処理ステップにおいて作成された各フレームのサイノグラムを用いて、該フレームの断層画像を再構成する画像再構成ステップと、を備える。
本発明の第3態様の画像処理方法は、放射線断層撮影装置により収集されたリストデータに基づいてノイズ除去処理後の断層画像を作成する方法であって、(1) リストデータを収集順に複数のフレームに分割し、リストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて、該フレームのサイノグラムを作成するサイノグラム作成ステップと、(2) 初期画像を作成する初期画像作成ステップと、(3) 複数のフレームそれぞれについて入力画像に基づいて順投影計算を行ってサイノグラムを作成する順投影計算ステップと、(4) 複数のフレームそれぞれについて順投影計算ステップにおいて作成されたサイノグラムとサイノグラム作成ステップにおいて作成されたサイノグラムとの比較に基づいて逆投影計算を行う逆投影計算ステップと、(5) 複数のフレームそれぞれについて、逆投影計算ステップにおける逆投影計算結果に基づいて画像更新計算を行って、処理対象画像として当該画像更新計算後の画像を作成する処理対象画像作成ステップと、(6) リストデータのうちサイノグラム作成ステップにおいて各フレームのサイノグラムを作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像として再構成画像を作成するガイダンス画像作成ステップと、(7) 処理対象画像作成ステップにおいて作成された各フレームの処理対象画像、および、ガイダンス画像作成ステップにおいて該フレームの処理対象画像に対応して作成されたガイダンス画像を用いて、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行い、該フレームのノイズ除去処理後の画像を作成するフィルタ処理ステップと、を備える。そして、この画像処理方法は、順投影計算ステップ、逆投影計算ステップ、処理対象画像作成ステップおよびフィルタ処理ステップを繰り返し行い、順投影計算ステップにおいて、その繰り返し処理の初回においては初期画像を入力画像とし、以降においてはフィルタ処理ステップにおけるノイズ除去処理後の画像を入力画像とする。
本発明の画像処理方法において、ガイダンス画像作成ステップは、各フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像を、ガイダンス画像の最大画素値が処理対象画像の最大画素値と等しくなるよう正規化を行って作成するのが好適である。ガイダンス画像作成ステップは、各フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像を作成する際に、処理対象画像作成ステップにおいて該フレームの処理対象画像を作成する際に用いたデータ群を含むデータ群を用いるのが好適である。また、ガイダンス画像作成ステップは、各フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像を作成する際に、処理対象画像作成ステップにおいて該フレームの処理対象画像を作成する際に用いたデータ群の前後のデータ群を用いるのが好適である。
本発明によれば、放射線断層撮影装置により収集されたリストデータに基づいて高性能にノイズ除去された断層画像を作成することができる。
図1は、RI線源が投入された被検体における同時計数情報の取得頻度の時間変化を示すグラフである。 図2は、第1実施形態の放射線断層撮影システム1Aの構成を示す図である。 図3は、第1実施形態の画像処理方法を説明するフローチャートである。 図4は、リストデータ、フレーム、処理対象画像Pおよびガイダンス画像Iを説明する図である。 図5は、シミュレーション方法を説明する図である。図5(a)は数値ファントムを示す。図5(b)はサイノグラムを示す。図5(c)はノイズ付加サイノグラムを示す。図5(d)は再構成画像を示す。 図6は、シミュレーションにおいて用いた腫瘍部(Tumor)、白質部(WM)および灰白質部(GM)それぞれのアクティビティの時間変化のモデルを示すグラフである。 図7は、シミュレーションにおいて得られた再構成画像を示す図である。 図8は、図7の再構成画像に対して比較例1のノイズ除去処理をして得られた画像を示す図である。 図9は、図7の再構成画像に対して比較例2のノイズ除去処理をして得られた画像を示す図である。 図10は、図7の再構成画像に対して本実施形態のノイズ除去処理をして得られた画像を示す図である。 図11は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合の再構成画像のMSEの時間変化を示すグラフである。 図12は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合の再構成画像のPSNRの時間変化を示すグラフである。 図13は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合の再構成画像のSSIMの時間変化を示すグラフである。 図14は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合の腫瘍部(Tumor)のアクティビティの時間変化を示すグラフである。 図15は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合の白質部(WM)のアクティビティの時間変化を示すグラフである。 図16は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合の灰白質部(GM)のアクティビティの時間変化を示すグラフである。 図17は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合について、腫瘍部、白質部および灰白質部それぞれのMAEを示すグラフである。 図18は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合について、腫瘍部、白質部および灰白質部それぞれのRMSEを示すグラフである。 図19は、実施例において得られたMRI画像を示す図である。 図20は、図19のMRI画像の一部を拡大して示す図である。 図21は、実施例において得られたPET再構成画像を示す図である。 図22は、図21の再構成画像に対して比較例1のノイズ除去処理をして得られた画像を示す図である。 図23は、図21の再構成画像に対して比較例2のノイズ除去処理をして得られた画像を示す図である。 図24は、図21の再構成画像に対して本実施形態のノイズ除去処理をして得られた画像を示す図である。 図25は、第2実施形態の放射線断層撮影システム1Bの構成を示す図である。 図26は、第2実施形態の画像処理方法を説明するフローチャートである。 図27は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合の再構成画像のMSEの時間変化を示すグラフである。 図28は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合の再構成画像のPSNRの時間変化を示すグラフである。 図29は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合の再構成画像のSSIMの時間変化を示すグラフである。 図30は、第3実施形態の放射線断層撮影システム1Cの構成を示す図である。 図31は、第3実施形態の画像処理方法を説明するフローチャートである。 図32は、第3実施形態のノイズ除去処理をして得られた画像を示す図である。 図33は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2、第1実施形態および第3実施形態それぞれの場合の再構成画像のMSEの時間変化を示すグラフである。 図34は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2、第1実施形態および第3実施形態それぞれの場合の再構成画像のPSNRの時間変化を示すグラフである。 図35は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2、第1実施形態および第3実施形態それぞれの場合の再構成画像のSSIMの時間変化を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
初めに、ガイディド・フィルタの概要について説明する。ガイディド・フィルタは、下記(1)式で表される線形変換モデルを仮定して、入力画像Pおよびガイダンス画像Iを用いてノイズ除去処理を行い、ノイズ除去処理後の出力画像Qを作成する。Qは、出力画像Qにおける画素iの画素値である。Iは、ガイダンス画像Iにおける画素iの画素値である。ωは、入力画像Pにおいて画素kを中心とする複数の画素からなる小領域(パッチ領域)を表す。a,bは係数である。
Figure 0006974159
誤差関数E(a,b)は下記(2)式で表される。この誤差関数E(a,b)を最小化する係数a,bを求める。εは、aをペナルティとする正則化パラメータであり、下記(3)式で表される。σは、入力画像Pの全体におけるノイズの推定標準偏差である。αは定数である。
Figure 0006974159
Figure 0006974159
この(2)式を正則化最小二乗法(線形リッジ回帰)により解くと、下記(4)式および(5)式が得られる。<P> は、入力画像Pの小領域ω内の平均画素値である。μは、ガイダンス画像Iの小領域ω内の平均画素値である。σは、ガイダンス画像Iの小領域ω内の画素値の分散値である。|ω|は、小領域ω内の画素数である。
Figure 0006974159
Figure 0006974159
ノイズの影響を低減する為に、下記(6)式および(7)式で表されるように、小領域ω内で係数a,bの平均値<a>,<b> を求める。そして、この <a>,<b> を用いて、下記(8)式により、ノイズ除去処理後の出力画像Qを得ることができる。
Figure 0006974159
Figure 0006974159
Figure 0006974159
一般に、ガイディド・フィルタでは、ガイダンス画像Iは入力画像Pと同じであってもよい。すなわち、動態PET画像がM個のフレームの断層画像からなるとして、これらM個のフレームのうち第mフレームの断層画像を入力画像Pおよびガイダンス画像Iの双方として用いて、ガイディド・フィルタにより、第mフレームのノイズ除去処理後の出力画像Qを作成してもよい。
特許文献1および非特許文献1に記載されたガイディド・フィルタによる動態PET画像に対するノイズ除去処理技術は、動態PET画像のM個のフレームの断層画像(入力画像P)の総和をガイダンス画像Iとして用いる(下記(9)式)。このガイダンス画像Iは、各入力画像Pよりノイズが低減されたものとなる。したがって、特許文献1および非特許文献1では、このガイダンス画像Iを用いることで、各入力画像Pに対して、より高性能のノイズ除去処理が可能であるとされている。
Figure 0006974159
一般に、RI線源が投入された被検体内における電子・陽電子の対消滅の頻度(同時計数情報の取得頻度)は、図1に示されるように、RI線源投入直後から時間の経過とともに次第に高くなっていき、やがて或る時刻Tpでピークに達し、そのピークの後は緩やかに次第に低くなっていく。図1は、RI線源が投入された被検体における同時計数情報の取得頻度の時間変化を示すグラフである。
このことから、RI線源投入直後から同時計数情報の取得の頻度が高い期間においては各フレームの期間は相対的に短く設定され、その後の同時計数情報の取得の頻度が緩やかに低くなっていく期間においては各フレームの期間は相対的に長く設定される。また、RI線源投入直後から同時計数情報の取得の頻度がピークに達するまでの期間(時刻Tp以前)と、そのピークの後の期間(時刻Tp以降)とでは、断層画像が大きく相違していることが知られている。
特許文献1および非特許文献1に記載されたノイズ除去処理技術は、各フレームの期間が一定でない点を考慮することなく、また、ピーク前後の断層画像が大きく相違する点をも考慮することなく、M個のフレームの断層画像(入力画像P)の単純な総和をガイダンス画像Iとして用いる。このことから、各フレームの断層画像に対するノイズ除去の性能には限界がある。
以下に説明する実施形態の放射線断層撮影システム,画像処理装置および画像処理方法は、放射線断層撮影装置により収集されたリストデータに基づいて高性能にノイズ除去された断層画像を作成することができる。
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態の放射線断層撮影システム1Aの構成を示す図である。放射線断層撮影システム1Aは、放射線断層撮影装置2および画像処理装置10を備える。画像処理装置10は、処理対象画像作成部11、ガイダンス画像作成部12、フィルタ処理部13および記憶部15を含む。画像処理装置10としてコンピュータが用いられる。
放射線断層撮影装置2は、被検体の断層画像を再構成するためのリストデータを収集する装置である。放射線断層撮影装置2として、PET装置およびSPECT装置が挙げられる。以下では、放射線断層撮影装置2がPET装置であるとして説明をする。
放射線断層撮影装置2は、被検体が置かれる測定空間の周囲に配列された多数の小型の放射線検出器を有する検出部を備えている。放射線断層撮影装置2は、陽電子放出アイソトープ(RI線源)が投入された被検体内における電子・陽電子の対消滅に伴って発生するエネルギ511keVの光子対を検出部により同時計数法で検出し、この同時計数情報を蓄積する。そして、放射線断層撮影装置2は、この蓄積した多数の同時計数情報を時系列に並べたものをリストデータとして画像処理装置10へ出力する。
リストデータは、光子対を同時計数した1対の放射線検出器の識別情報および検出時刻情報を含む。リストデータは、さらに、各放射線検出器が検出した光子のエネルギ情報、および、1対の放射線検出器の検出時間差情報をも含んでいてもよい。
画像処理装置10は、リストデータに基づいて断層画像を再構成する。リストデータに基づいて断層画像を再構成する技術としては、ML-EM(maximum likelihood expectationmaximization)法、および、これを改良したブロック反復法による逐次近似的画像再構成技術が知られている。また、ブロック反復法による逐次近似的画像再構成技術としては、OSEM(ordered subset ML-EM)法、RAMLA(row-action maximum likelihood algorithm)法およびDRAMA(dynamic RAMLA)法などが知られている。また、画像処理装置10は、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行って、ノイズ除去処理後の断層画像を作成する。
処理対象画像作成部11は、リストデータを収集順に複数のフレームに分割し、そのリストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像Pとして再構成画像を作成する。ガイダンス画像作成部12は、リストデータのうち処理対象画像作成部11において各フレームの処理対象画像Pを作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像Iとして再構成画像を作成する。処理対象画像作成部11およびガイダンス画像作成部12は、共通のものであってもよいし、別個に設けられてもよい。
フィルタ処理部13は、各フレームの対応する処理対象画像(入力画像)Pおよびガイダンス画像Iを用いて、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行い、該フレームのノイズ除去処理後の断層画像を作成する。記憶部15は、リストデータを記憶し、各フレームの対応する処理対象画像Pおよびガイダンス画像Iを記憶する。また、記憶部15は、各フレームのノイズ除去処理後の断層画像を記憶する。
図3は、第1実施形態の画像処理方法を説明するフローチャートである。本実施形態の画像処理方法は、放射線断層撮影装置2により収集されたリストデータを取得するリストデータ取得ステップS10と、処理対象画像作成部11が行う処理対象画像作成ステップS11と、ガイダンス画像作成部12が行うガイダンス画像作成ステップS12と、フィルタ処理部13が行うフィルタ処理ステップS13と、を備える。
リストデータ取得ステップS10では、放射線断層撮影装置2により収集されたリストデータを取得する。処理対象画像作成ステップS11では、リストデータを収集順に複数のフレームに分割し、そのリストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像Pとして再構成画像を作成する。ガイダンス画像作成ステップS12では、処理対象画像作成ステップS11において各フレームの処理対象画像Pを作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像Iとして再構成画像を作成する。処理対象画像作成ステップS11およびガイダンス画像作成ステップS12は、任意の順に行われてもよいし、並列的に行なわれてもよい。フィルタ処理ステップS13では、各フレームの対応する処理対象画像(入力画像)Pおよびガイダンス画像Iを用いて、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行い、該フレームのノイズ除去処理後の断層画像を作成する。
図4は、リストデータ、フレーム、処理対象画像Pおよびガイダンス画像Iを説明する図である。この図において横軸はリストデータを収集した時間を表し、その時間軸が複数のフレームに分割されている。第mフレームの処理対象画像Pは、リストデータのうち第mフレームに含まれるデータ群を用いて再構成された断層画像である。第mフレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像Iは、リストデータのうち第mフレームに含まれるデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて再構成された断層画像である。
第mフレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像Iは、第mフレームのデータ群の2倍以上のデータ数のデータ群を用いて作成されるのが好適である。第mフレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像Iは、第mフレームのデータ群を含むデータ群を用いて作成されてもよいし、第mフレームのデータ群の前後のデータ群を用いて作成されてもよい。第mフレームが図1において時刻Tp以前(血流依存領域)である場合には、第mフレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像Iは、リストデータのうち時刻Tp以前のデータ群を用いて作成されるのが好適である。第mフレームが図1において時刻Tp以降(PETリガンド動態依存領域)である場合には、第mフレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像Iは、リストデータのうち時刻Tp以降のデータ群を用いて作成されるのが好適である。第mフレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像Iは、リストデータの全体を用いて作成されてもよい。
ガイダンス画像作成部12(ガイダンス画像作成ステップS12)において、第mフレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像Iは、ガイダンス画像Iの最大画素値が処理対象画像Pの最大画素値と等しくなるよう正規化を行って作成されるのが好適である。すなわち、下記(10)式で表される正規化ガイダンス画像I'を用いるのが好適である。MaxPは、第mフレームの処理対象画像Pの最大画素値である。MaxIは、第mフレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像Iの最大画素値である。
Figure 0006974159
次に、シミュレーション結果について説明する。図5は、シミュレーション方法を説明する図である。先ず数値ファントム(図5(a))を用意した。この数値ファントムは、18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)を投入したサルの脳の断層画像を模擬したものである。この数値ファントムには、脳の白質部(white matter、WM)および灰白質部(gray matter、GM)が含まれる他、腫瘍部(Tumor)も含まれている。図6は、シミュレーションにおいて用いた腫瘍部(Tumor)、白質部(WM)および灰白質部(GM)それぞれのアクティビティの時間変化のモデルを示すグラフである。アクティビティの時間変化(Time-Activity Curve、TAC)は、一般に、RI線源投入直後から時間の経過とともに次第に高くなっていき、やがて或る時刻でピークに達し、そのピークの後は緩やかに次第に低くなっていく。総カウント数(同時計数情報の数)を1500万とした。
この数値ファントムに基づいて各フレームのサイノグラム(図5(b))を作成した。サイノグラムは、放射線断層撮影装置2の放射線検出器の対ごとに同時計数情報をヒストグラム化したものである。第1〜第6のフレームの各期間を10秒(小計1分)とし、第7〜第8のフレームの各期間を30秒(小計1分)とし、第9〜第16のフレームの各期間を60秒(小計8分)とし、第17〜第26のフレームの各期間を300秒(小計50分)とし、第27〜第32のフレームの各期間を600秒(小計60分)として、全体のリストデータの収集時間を120分とした。
各フレームのサイノグラムに対して、該フレームのカウント数に応じたポアソンノイズを与えて、ノイズ付加サイノグラム(図5(c))を作成した。このノイズ付加サイノグラムに基づいてML-EM法により再構成画像(図5(d))を作成した。ML-EM法における反復回数は40回であった。
図7は、シミュレーションにおいて得られた再構成画像を示す図である。この再構成画像は、ノイズ除去処理前の第30フレーム(5400〜6000秒の期間)の断層画像を示す。図8は、図7の再構成画像に対して比較例1のノイズ除去処理をして得られた画像を示す図である。比較例1のノイズ除去処理は、ガウシアン・フィルタによる処理である。図9は、図7の再構成画像に対して比較例2のノイズ除去処理をして得られた画像を示す図である。比較例1のノイズ除去処理は、特許文献1および非特許文献1に記載されたフィルタ処理である。図10は、図7の再構成画像に対して本実施形態のノイズ除去処理をして得られた画像を示す図である。ここでは、リストデータの全体を用いて作成された正規化ガイダンス画像I'を用いた。これらの図の対比から分かるように、比較例1,2のノイズ除去処理と比べて、本実施形態のノイズ除去処理では、画像中の濃淡の境界がよく保存された上で、ノイズがよく除去されている。
図11は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合の再構成画像のMSEの時間変化を示すグラフである。MSE(Mean Square Error)は、真の画像(ここでは図5(a)の数値ファントム画像)との誤差を表しており、値が低いほど真の画像に近いことを意味する。図12は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合の再構成画像のPSNRの時間変化を示すグラフである。PSNR(Peak Signal to Noise Ratio)は、画像の品質をデシベル(dB)で表したものであり、値が高いほど良好な画質であることを意味する。図13は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合の再構成画像のSSIMの時間変化を示すグラフである。SSIM(Structural Similarity Index)は、画像の輝度およびコントラストならびに構造の変化を定量化する指標であり、値が高いほど良好な画質であることを意味する。MSE、PSNRおよびSSIMの何れの指標も、比較例1,2のノイズ除去処理と比べて本実施形態のノイズ除去処理の場合の方が性能が優れていることを示している。
図14は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合の腫瘍部(Tumor)のアクティビティの時間変化を示すグラフである。図15は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合の白質部(WM)のアクティビティの時間変化を示すグラフである。図16は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合の灰白質部(GM)のアクティビティの時間変化を示すグラフである。図14〜図16それぞれは、図6に示した基準となるアクティビティの時間変化のモデルをも示す。
これら図14〜図16に基づいて、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合について、基準に対するアクティビティの誤差を求めた。図17は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合について、腫瘍部、白質部および灰白質部それぞれのMAEを示すグラフである。図18は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合について、腫瘍部、白質部および灰白質部それぞれのRMSEを示すグラフである。MAE(Mean Absolute Error)およびRMSE(Root Mean Square Error)の何れも、値が小さいほど定量性が優れていることを意味する。MAEおよびRMSEの何れの指標も、比較例1,2のノイズ除去処理と比べて本実施形態のノイズ除去処理の場合の方が定量性が優れていることを示している。
次に、実施例について説明する。実施例では、被検体として、18F-FDGを投入したサルの脳を用いた。PET装置として、浜松ホトニクス株式会社製の動物用PET装置(SHR-38000)を用いた。トランスミッション計測を30分間に亘って行い、また、エミッション計測を120分間に亘って行って、トランスミッション計測結果に基づいてエミッション計測結果に対して吸収補正を行った。前述のシミュレーションと同様にリストデータを第1〜第32のフレームに分割した。各フレームの再構成画像をML-EM法により作成した。また、この被検体のMRI(Magnetic Resonance Imaging)画像をも取得した。
図19は、実施例において得られたMRI画像を示す図である。図20は、図19のMRI画像の一部を拡大して示す図である。図21は、実施例において得られたPET再構成画像を示す図である。この再構成画像は、ノイズ除去処理前の第30フレーム(5400〜6000秒の期間)の断層画像を示す。図22は、図21の再構成画像に対して比較例1のノイズ除去処理をして得られた画像を示す図である。図23は、図21の再構成画像に対して比較例2のノイズ除去処理をして得られた画像を示す図である。図24は、図21の再構成画像に対して本実施形態のノイズ除去処理をして得られた画像を示す図である。ここでは、リストデータの全体を用いて作成された正規化ガイダンス画像を用いた。
図20〜図24それぞれは、図19中の矩形枠部分に相当する部分を拡大して示している。図20〜図24それぞれにおいて、実線矢印は脳の中心(大脳鎌)を指し示し、破線矢印は大脳のしわ(中心溝)を指し示している。これらの図の対比から分かるように、比較例1,2のノイズ除去処理と比べて、本実施形態のノイズ除去処理では、画像中の濃淡の境界がよく保存された上で、ノイズがよく除去されており、脳の構造をよく表している。また、本実施形態のノイズ除去処理では、スパイクノイズが低減されている。
以上のとおり、本実施形態では、ガイディド・フィルタによるノイズ除去処理に際して、各フレームの処理対象画像Pを作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像I(または正規化ガイダンス画像I')を作成する。これにより、各フレームの期間が一定でない場合や、各フレームのデータ数が一定でない場合であっても、より高性能に各フレームのノイズ除去された断層画像を作成することができる。また、ガイディド・フィルタによるノイズ除去処理に際して、特に正規化ガイダンス画像I'を用いることにより、断層画像の画質を更に改善することができる。また、ガイディド・フィルタによるノイズ除去処理に際して、被検体内でのPETリガンドの動態を考慮したガイダンス画像I(または正規化ガイダンス画像I')を用いることにより、動態が急激に変化する動態PET画像の画質を改善することができる。
(第2実施形態)
図25は、第2実施形態の放射線断層撮影システム1Bの構成を示す図である。放射線断層撮影システム1Bは、放射線断層撮影装置2および画像処理装置20を備える。画像処理装置20は、処理対象画像作成部21、ガイダンス画像作成部22、フィルタ処理部23、画像再構成部24および記憶部25を含む。画像処理装置20としてコンピュータが用いられる。
画像処理装置20は、リストデータに基づいて断層画像を再構成する。また、画像処理装置20は、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行って、ノイズ除去処理後の断層画像を作成する。処理対象画像作成部21は、リストデータを収集順に複数のフレームに分割し、そのリストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像Pとしてサイノグラムを作成する。ガイダンス画像作成部22は、リストデータのうち処理対象画像作成部21において各フレームの処理対象画像Pを作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像Iとしてサイノグラムを作成する。処理対象画像作成部21およびガイダンス画像作成部22は、共通のものであってもよいし、別個に設けられてもよい。
フィルタ処理部23は、各フレームの対応する処理対象画像(入力画像)Pおよびガイダンス画像Iを用いて、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行い、該フレームのノイズ除去処理後のサイノグラムを作成する。画像再構成部24は、フィルタ処理部23において作成された各フレームのノイズ除去処理後のサイノグラムを用いて、該フレームの断層画像を再構成する。記憶部25は、リストデータを記憶し、各フレームの対応する処理対象画像Pおよびガイダンス画像Iを記憶する。また、記憶部25は、各フレームのノイズ除去処理後の断層画像を記憶する。
図26は、第2実施形態の画像処理方法を説明するフローチャートである。本実施形態の画像処理方法は、放射線断層撮影装置2により収集されたリストデータを取得するリストデータ取得ステップS20と、処理対象画像作成部21が行う処理対象画像作成ステップS21と、ガイダンス画像作成部22が行うガイダンス画像作成ステップS22と、フィルタ処理部23が行うフィルタ処理ステップS23と、画像再構成部24が行う画像再構成ステップS24と、を備える。
リストデータ取得ステップS20では、放射線断層撮影装置2により収集されたリストデータを取得する。処理対象画像作成ステップS21では、リストデータを収集順に複数のフレームに分割し、リストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像Pとしてサイノグラムを作成する。ガイダンス画像作成ステップS22では、処理対象画像作成ステップS21において各フレームの処理対象画像Pを作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像Iとしてサイノグラムを作成する。処理対象画像作成ステップS21およびガイダンス画像作成ステップS22は、任意の順に行われてもよいし、並列的に行なわれてもよい。
フィルタ処理ステップS23では、各フレームの対応する処理対象画像(入力画像)Pおよびガイダンス画像Iを用いて、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行い、該フレームのノイズ除去処理後のサイノグラムを作成する。画像再構成ステップS24では、フィルタ処理ステップS23において作成された各フレームのイズ除去処理後のサイノグラムを用いて、該フレームの断層画像を再構成する。
リストデータ、フレーム、処理対象画像Pを作成する際に用いるデータ群、および、ガイダンス画像Iを作成する際に用いるデータ群、の間の関係については、第1実施形態において図4を用いて説明したとおりである。ガイディド・フィルタによるノイズ除去処理に用いる処理対象画像Pおよびガイダンス画像Iは、第1実施形態では再構成画像であったのに対して、第2実施形態ではサイノグラムである点で相違する。本実施形態においても、ガイダンス画像作成部22(ガイダンス画像作成ステップS22)において、第mフレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像Iは、ガイダンス画像Iの最大画素値が処理対象画像Pの最大画素値と等しくなるよう正規化を行って作成されるのが好適である(上記(10)式)。
次に、シミュレーション結果について説明する。本シミュレーションでは、第1実施形態において図5を用いて説明したとおりにして、数値ファントム(図5(a))に基づいて各フレームのサイノグラム(図5(b))を作成し、さらに各フレームのサイノグラムにポアソンノイズを与えてノイズ付加サイノグラム(図5(c))を作成した。ノイズ付加サイノグラム(図5(c))を処理対象画像Pとした。また、処理対象画像Pとしてのノイズ付加サイノグラム(図5(c))を用いて、比較例1、比較例2または本実施形態のノイズ除去処理をした後、ML-EM法により再構成画像を作成した。ML-EM法における反復回数は40回であった。本実施形態のノイズ除去処理では、各フレームの処理対象画像Pに対応する正規化ガイダンス画像I'を、リストデータの全体を用いて作成されたサイノグラムにポアソンノイズを与えることで作成した。
図27は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合の再構成画像のMSEの時間変化を示すグラフである。図28は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合の再構成画像のPSNRの時間変化を示すグラフである。図29は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2および本実施形態それぞれの場合の再構成画像のSSIMの時間変化を示すグラフである。これらの図から分かるように、MSE、PSNRおよびSSIMの何れの指標も、比較例1,2のノイズ除去処理と比べて本実施形態のノイズ除去処理の場合の方が性能が優れていることを示している。
第2実施形態においても、第1実施形態の場合と同様の効果が得られる。すなわち、ガイディド・フィルタによるノイズ除去処理に際して、各フレームの処理対象画像Pを作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像I(または正規化ガイダンス画像I')を作成する。これにより、各フレームの期間が一定でない場合や、各フレームのデータ数が一定でない場合であっても、より高性能に各フレームのノイズ除去された断層画像を作成することができる。また、ガイディド・フィルタによるノイズ除去処理に際して、特に正規化ガイダンス画像I'を用いることにより、断層画像の画質を更に改善することができる。また、ガイディド・フィルタによるノイズ除去処理に際して、被検体内でのPETリガンドの動態を考慮したガイダンス画像I(または正規化ガイダンス画像I')を用いることにより、動態が急激に変化する動態PET画像の画質を改善することができる。
(第3実施形態)
図30は、第3実施形態の放射線断層撮影システム1Cの構成を示す図である。放射線断層撮影システム1Cは、放射線断層撮影装置2および画像処理装置30を備える。画像処理装置30は、サイノグラム作成部31、ガイダンス画像作成部32、初期画像作成部33、順投影計算部34、逆投影計算部35、処理対象画像作成部36、フィルタ処理部37および記憶部38を含む。画像処理装置30としてコンピュータが用いられる。
画像処理装置30は、リストデータに基づいて断層画像を再構成する。また、画像処理装置30は、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行って、ノイズ除去処理後の断層画像を作成する。サイノグラム作成部31は、リストデータを収集順に複数のフレームに分割し、そのリストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて、該フレームのサイノグラムを作成する。ガイダンス画像作成部32は、フィルタ処理部37におけるガイディド・フィルタによるノイズ除去処理の際に用いられるガイダンス画像Iを作成する。初期画像作成部33は、初期画像を作成する。初期画像は、任意であるが、例えば、各画素値が正の一定値(例えば値1)である画像である。
順投影計算部34は、複数のフレームそれぞれについて入力画像に基づいて順投影計算を行ってサイノグラムを作成する。逆投影計算部35は、複数のフレームそれぞれについて順投影計算部34により作成されたサイノグラムとサイノグラム作成部31により作成されたサイノグラムとの比較に基づいて逆投影計算を行う。処理対象画像作成部36は、複数のフレームそれぞれについて、逆投影計算部35による逆投影計算結果に基づいて画像更新計算を行って、処理対象画像Pとして当該画像更新計算後の画像を作成する。フィルタ処理部37は、処理対象画像作成部36において作成された各フレームの処理対象画像P、および、ガイダンス画像作成部32において該フレームの処理対象画像Pに対応して作成されたガイダンス画像Iを用いて、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行い、該フレームのノイズ除去処理後の画像を作成する。
ガイダンス画像作成部32は、リストデータのうちサイノグラム作成部31において各フレームのサイノグラムを作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像Iとして再構成画像を作成する。記憶部38は、リストデータを記憶し、各フレームの対応する処理対象画像Pおよびガイダンス画像Iを記憶する。また、記憶部38は、各フレームのノイズ除去処理後の断層画像を記憶する。
順投影計算部34による順投影計算、逆投影計算部35による逆投影計算、処理対象画像作成部36による画像更新計算およびフィルタ処理部37によるノイズ除去処理は、繰り返し回数が所定の反復回数に達するまで、繰り返し行われる。順投影計算部34は、その繰り返し処理の初回においては、初期画像作成部33により作成された初期画像を入力画像とする。順投影計算部34は、以降においては、フィルタ処理部37によるノイズ除去処理後の画像を入力画像とする。繰り返し回数が所定の反復回数に達したときの処理対象画像作成部36による画像更新計算後の画像、または、フィルタ処理部37によるノイズ除去処理後の画像が、ノイズ除去処理後の断層画像として出力される。
図31は、第3実施形態の画像処理方法を説明するフローチャートである。本実施形態の画像処理方法は、放射線断層撮影装置2により収集されたリストデータを取得するリストデータ取得ステップS30と、サイノグラム作成部31が行うサイノグラム作成ステップS31と、ガイダンス画像作成部32が行うガイダンス画像作成ステップS32と、初期画像作成部33が行う初期画像作成ステップS33と、順投影計算部34が行う順投影計算ステップS34と、逆投影計算部35が行う逆投影計算ステップS35と、処理対象画像作成部36が行う処理対象画像作成ステップS36と、フィルタ処理部37が行うフィルタ処理ステップS37と、繰り返し回数kの値を1増する繰り返し回数更新ステップS38と、繰り返し回数kが所定の反復回数に達したか否かを判定する判定ステップS39と、を備える。
リストデータ取得ステップS30では、放射線断層撮影装置2により収集されたリストデータを取得する。サイノグラム作成ステップS31では、リストデータを収集順に複数のフレームに分割し、リストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて、該フレームのサイノグラムを作成する。ガイダンス画像作成ステップS32では、フィルタ処理ステップS37におけるガイディド・フィルタによるノイズ除去処理の際に用いられるガイダンス画像Iを作成する。ガイダンス画像作成ステップS32では、リストデータのうちサイノグラム作成ステップS31において各フレームのサイノグラムを作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像Iとして再構成画像を作成する。初期画像作成ステップS33では、初期画像を作成する。
順投影計算ステップS34では、複数のフレームそれぞれについて入力画像に基づいて順投影計算を行ってサイノグラムを作成する。逆投影計算ステップS35では、複数のフレームそれぞれについて順投影計算ステップS34において作成されたサイノグラムとサイノグラム作成ステップS31により作成されたサイノグラムとの比較に基づいて逆投影計算を行う。処理対象画像作成ステップS36では、複数のフレームそれぞれについて、逆投影計算ステップS35による逆投影計算結果に基づいて画像更新計算を行って、処理対象画像Pとして当該画像更新計算後の画像を作成する。フィルタ処理ステップS37では、処理対象画像作成ステップS36において作成された各フレームの処理対象画像P、および、ガイダンス画像作成ステップS32において該フレームの処理対象画像Pに対応して作成されたガイダンス画像Iを用いて、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行い、該フレームのノイズ除去処理後の画像を作成する。
繰り返し回数更新ステップS38では、繰り返し回数kの値を1増する。判定ステップS39では、繰り返し回数kが所定の反復回数に達したか否かを判定する。判定ステップS39において繰り返し回数kが所定の反復回数に達したと判定されるまで、順投影計算ステップS34、逆投影計算ステップS35、処理対象画像作成ステップS36、フィルタ処理ステップS37および繰り返し回数更新ステップS38を、繰り返し行う。
順投影計算ステップS34において、その繰り返し処理の初回(k=0)においては、初期画像作成ステップS33において作成された初期画像を入力画像とする。順投影計算ステップS34において、以降(k≧1)においては、フィルタ処理ステップS37におけるノイズ除去処理後の画像を入力画像とする。
判定ステップS39において繰り返し回数kが所定の反復回数に達したと判定されると、処理対象画像作成ステップS36における画像更新計算後の画像、または、フィルタ処理ステップS37におけるノイズ除去処理後の画像が、ノイズ除去処理後の断層画像として出力される。
リストデータ、フレーム、処理対象画像Pを作成する際に用いるデータ群、および、ガイダンス画像Iを作成する際に用いるデータ群、の間の関係については、第1実施形態において図4を用いて説明したとおりである。ガイディド・フィルタによるノイズ除去処理に用いる処理対象画像Pは、第1実施形態では再構成画像であり、第2実施形態ではサイノグラムであったのに対して、第3実施形態では画像再構成の繰り返し処理の途中における画像更新計算の後の画像である点で相違する。本実施形態においても、ガイダンス画像作成部32(ガイダンス画像作成ステップS32)において、第mフレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像Iは、ガイダンス画像Iの最大画素値が処理対象画像Pの最大画素値と等しくなるよう正規化を行って作成されるのが好適である(上記(10)式)。
次に、シミュレーション結果について説明する。本シミュレーションでは、第1実施形態において図5を用いて説明したとおりにして、数値ファントム(図5(a))に基づいて各フレームのサイノグラム(図5(b))を作成し、さらに各フレームのサイノグラムにポアソンノイズを与えてノイズ付加サイノグラム(図5(c))を作成した。このノイズ付加サイノグラム(図5(c))を、サイノグラム作成部31(サイノグラム作成ステップS31)で作成されたサイノグラムとした。各フレームの処理対象画像Pに対応する正規化ガイダンス画像I'は、リストデータの全体を用いて作成されたサイノグラムにポアソンノイズを与え、このノイズ付加サイノグラムに基づいて画像再構成することで作成した。ML-EM法による画像再構成処理において、処理対象画像作成部36(処理対象画像作成ステップS36)による画像更新計算の後に、フィルタ処理部37(フィルタ処理ステップS37)によるノイズ除去処理を行った。ML-EM法における反復回数は40回であった。
図32は、第3実施形態のノイズ除去処理をして得られた画像を示す図である。この図は、第30フレーム(5400〜6000秒の期間)の断層画像を示す。第1実施形態のノイズ除去処理をして得られた画像(図10)と比べると、第3実施形態のノイズ除去処理をして得られた画像(図32)は、更にノイズが除去されたものとなっている。
図33は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2、第1実施形態および第3実施形態それぞれの場合の再構成画像のMSEの時間変化を示すグラフである。図34は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2、第1実施形態および第3実施形態それぞれの場合の再構成画像のPSNRの時間変化を示すグラフである。図35は、シミュレーションにおいて得られた比較例1、比較例2、第1実施形態および第3実施形態それぞれの場合の再構成画像のSSIMの時間変化を示すグラフである。これらの図から分かるように、MSE、PSNRおよびSSIMの何れの指標も、比較例1,2のノイズ除去処理と比べて第3実施形態のノイズ除去処理の場合の方が性能が優れていることを示している。また、第1実施形態のノイズ除去処理と比べても第3実施形態のノイズ除去処理の場合の方が性能が優れていることを示している。
第3実施形態においても、第1実施形態の場合と同様の効果が得られる。すなわち、ガイディド・フィルタによるノイズ除去処理に際して、各フレームの処理対象画像Pを作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像Pに対応するガイダンス画像I(または正規化ガイダンス画像I')を作成する。これにより、各フレームの期間が一定でない場合や、各フレームのデータ数が一定でない場合であっても、より高性能に各フレームのノイズ除去された断層画像を作成することができる。また、ガイディド・フィルタによるノイズ除去処理に際して、特に正規化ガイダンス画像I'を用いることにより、断層画像の画質を更に改善することができる。また、ガイディド・フィルタによるノイズ除去処理に際して、被検体内でのPETリガンドの動態を考慮したガイダンス画像I(または正規化ガイダンス画像I')を用いることにより、動態が急激に変化する動態PET画像の画質を改善することができる。
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。第1〜第3の実施形態のノイズ除去処理のうちの何れか2以上のノイズ除去処理を組み合わせてもよい。例えば、サイノグラムにおいて第2実施形態のようにしてノイズ除去処理をし、その後に、再構成画像において第1実施形態のようにしてノイズ除去処理をしてもよい。
放射線断層撮影装置2は、上記の実施形態ではPET装置であるとしたが、SPECT装置であってもよい。
1A〜1C…放射線断層撮影システム、2…放射線断層撮影装置、10…画像処理装置、11…処理対象画像作成部、12…ガイダンス画像作成部、13…フィルタ処理部、15…記憶部、20…画像処理装置、21…処理対象画像作成部、22…ガイダンス画像作成部、23…フィルタ処理部、24…画像再構成部、25…記憶部、30…画像処理装置、31…サイノグラム作成部、32…ガイダンス画像作成部、33…初期画像作成部、34…順投影計算部、35…逆投影計算部、36…処理対象画像作成部、37…フィルタ処理部、38…記憶部。

Claims (13)

  1. 放射線断層撮影装置により収集されたリストデータに基づいてノイズ除去処理後の断層画像を作成する装置であって、
    前記リストデータを収集順に複数のフレームに分割し、前記リストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像として再構成画像を作成する処理対象画像作成部と、
    前記リストデータのうち前記処理対象画像作成部において各フレームの処理対象画像を作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像として再構成画像を作成するガイダンス画像作成部と、
    前記処理対象画像作成部において作成された各フレームの処理対象画像、および、前記ガイダンス画像作成部において該フレームの処理対象画像に対応して作成されたガイダンス画像を用いて、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行い、該フレームのノイズ除去処理後の断層画像を作成するフィルタ処理部と、
    を備える画像処理装置。
  2. 放射線断層撮影装置により収集されたリストデータに基づいてノイズ除去処理後の断層画像を作成する装置であって、
    前記リストデータを収集順に複数のフレームに分割し、前記リストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像としてサイノグラムを作成する処理対象画像作成部と、
    前記リストデータのうち前記処理対象画像作成部において各フレームの処理対象画像を作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像としてサイノグラムを作成するガイダンス画像作成部と、
    前記処理対象画像作成部において作成された各フレームの処理対象画像、および、前記ガイダンス画像作成部において該フレームの処理対象画像に対応して作成されたガイダンス画像を用いて、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行い、該フレームのノイズ除去処理後のサイノグラムを作成するフィルタ処理部と、
    前記フィルタ処理部において作成された各フレームのサイノグラムを用いて、該フレームの断層画像を再構成する画像再構成部と、
    を備える画像処理装置。
  3. 放射線断層撮影装置により収集されたリストデータに基づいてノイズ除去処理後の断層画像を作成する装置であって、
    前記リストデータを収集順に複数のフレームに分割し、前記リストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて、該フレームのサイノグラムを作成するサイノグラム作成部と、
    初期画像を作成する初期画像作成部と、
    前記複数のフレームそれぞれについて入力画像に基づいて順投影計算を行ってサイノグラムを作成する順投影計算部と、
    前記複数のフレームそれぞれについて前記順投影計算部により作成されたサイノグラムと前記サイノグラム作成部により作成されたサイノグラムとの比較に基づいて逆投影計算を行う逆投影計算部と、
    前記複数のフレームそれぞれについて、前記逆投影計算部による逆投影計算結果に基づいて画像更新計算を行って、処理対象画像として当該画像更新計算後の画像を作成する処理対象画像作成部と、
    前記リストデータのうち前記サイノグラム作成部において各フレームのサイノグラムを作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像として再構成画像を作成するガイダンス画像作成部と、
    前記処理対象画像作成部において作成された各フレームの処理対象画像、および、前記ガイダンス画像作成部において該フレームの処理対象画像に対応して作成されたガイダンス画像を用いて、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行い、該フレームのノイズ除去処理後の画像を作成するフィルタ処理部と、
    を備え、
    前記順投影計算部による順投影計算、前記逆投影計算部による逆投影計算、前記処理対象画像作成部による画像更新計算および前記フィルタ処理部によるノイズ除去処理を繰り返し行い、
    前記順投影計算部は、その繰り返し処理の初回においては前記初期画像を前記入力画像とし、以降においては前記フィルタ処理部によるノイズ除去処理後の画像を前記入力画像とする、
    画像処理装置。
  4. 前記ガイダンス画像作成部は、各フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像を、前記ガイダンス画像の最大画素値が前記処理対象画像の最大画素値と等しくなるよう正規化を行って作成する、
    請求項1〜3の何れか1項に記載の画像処理装置。
  5. 前記ガイダンス画像作成部は、各フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像を作成する際に、前記処理対象画像作成部において該フレームの処理対象画像を作成する際に用いたデータ群を含むデータ群を用いる、
    請求項1〜4の何れか1項に記載の画像処理装置。
  6. 前記ガイダンス画像作成部は、各フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像を作成する際に、前記処理対象画像作成部において該フレームの処理対象画像を作成する際に用いたデータ群の前後のデータ群を用いる、
    請求項1〜5の何れか1項に記載の画像処理装置。
  7. 被検体の断層画像を再構成するためのリストデータを収集する放射線断層撮影装置と、
    前記放射線断層撮影装置により収集されたリストデータに基づいてノイズ除去処理後の断層画像を作成する請求項1〜6の何れか1項に記載の画像処理装置と、
    を備える放射線断層撮影システム。
  8. 放射線断層撮影装置により収集されたリストデータに基づいてノイズ除去処理後の断層画像を作成する方法であって、
    前記リストデータを収集順に複数のフレームに分割し、前記リストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像として再構成画像を作成する処理対象画像作成ステップと、
    前記リストデータのうち前記処理対象画像作成ステップにおいて各フレームの処理対象画像を作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像として再構成画像を作成するガイダンス画像作成ステップと、
    前記処理対象画像作成ステップにおいて作成された各フレームの処理対象画像、および、前記ガイダンス画像作成ステップにおいて該フレームの処理対象画像に対応して作成されたガイダンス画像を用いて、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行い、該フレームのノイズ除去処理後の断層画像を作成するフィルタ処理ステップと、
    を備える画像処理方法。
  9. 放射線断層撮影装置により収集されたリストデータに基づいてノイズ除去処理後の断層画像を作成する方法であって、
    前記リストデータを収集順に複数のフレームに分割し、前記リストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像としてサイノグラムを作成する処理対象画像作成ステップと、
    前記リストデータのうち前記処理対象画像作成ステップにおいて各フレームの処理対象画像を作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像としてサイノグラムを作成するガイダンス画像作成ステップと、
    前記処理対象画像作成ステップにおいて作成された各フレームの処理対象画像、および、前記ガイダンス画像作成ステップにおいて該フレームの処理対象画像に対応して作成されたガイダンス画像を用いて、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行い、該フレームのノイズ除去処理後のサイノグラムを作成するフィルタ処理ステップと、
    前記フィルタ処理ステップにおいて作成された各フレームのサイノグラムを用いて、該フレームの断層画像を再構成する画像再構成ステップと、
    を備える画像処理方法。
  10. 放射線断層撮影装置により収集されたリストデータに基づいてノイズ除去処理後の断層画像を作成する方法であって、
    前記リストデータを収集順に複数のフレームに分割し、前記リストデータのうち各フレームに含まれるデータ群を用いて、該フレームのサイノグラムを作成するサイノグラム作成ステップと、
    初期画像を作成する初期画像作成ステップと、
    前記複数のフレームそれぞれについて入力画像に基づいて順投影計算を行ってサイノグラムを作成する順投影計算ステップと、
    前記複数のフレームそれぞれについて前記順投影計算ステップにおいて作成されたサイノグラムと前記サイノグラム作成ステップにおいて作成されたサイノグラムとの比較に基づいて逆投影計算を行う逆投影計算ステップと、
    前記複数のフレームそれぞれについて、前記逆投影計算ステップにおける逆投影計算結果に基づいて画像更新計算を行って、処理対象画像として当該画像更新計算後の画像を作成する処理対象画像作成ステップと、
    前記リストデータのうち前記サイノグラム作成ステップにおいて各フレームのサイノグラムを作成する際に用いたデータ群より多いデータ数のデータ群を用いて、該フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像として再構成画像を作成するガイダンス画像作成ステップと、
    前記処理対象画像作成ステップにおいて作成された各フレームの処理対象画像、および、前記ガイダンス画像作成ステップにおいて該フレームの処理対象画像に対応して作成されたガイダンス画像を用いて、ガイディド・フィルタによりノイズ除去処理を行い、該フレームのノイズ除去処理後の画像を作成するフィルタ処理ステップと、
    を備え、
    前記順投影計算ステップ、前記逆投影計算ステップ、前記処理対象画像作成ステップおよび前記フィルタ処理ステップを繰り返し行い、
    前記順投影計算ステップにおいて、その繰り返し処理の初回においては前記初期画像を前記入力画像とし、以降においては前記フィルタ処理ステップにおけるノイズ除去処理後の画像を前記入力画像とする、
    画像処理方法。
  11. 前記ガイダンス画像作成ステップは、各フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像を、前記ガイダンス画像の最大画素値が前記処理対象画像の最大画素値と等しくなるよう正規化を行って作成する、
    請求項8〜10の何れか1項に記載の画像処理方法。
  12. 前記ガイダンス画像作成ステップは、各フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像を作成する際に、前記処理対象画像作成ステップにおいて該フレームの処理対象画像を作成する際に用いたデータ群を含むデータ群を用いる、
    請求項8〜11の何れか1項に記載の画像処理方法。
  13. 前記ガイダンス画像作成ステップは、各フレームの処理対象画像に対応するガイダンス画像を作成する際に、前記処理対象画像作成ステップにおいて該フレームの処理対象画像を作成する際に用いたデータ群の前後のデータ群を用いる、
    請求項8〜12の何れか1項に記載の画像処理方法。
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