WCDMA(登録商標)無線アクセス技術をベースとする第3世代の移動通信システム(3G)は、世界中で広範な規模で配備されつつある。この技術を機能強化または発展・進化させる上での最初のステップとして、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA:High−Speed Downlink Packet Access)と、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA:High−Speed Uplink Packet Access)とも称するエンハンストアップリンクとが導入され、これにより、極めて競争力の高い無線アクセス技術が提供されている。ユーザからのますます増大する需要に対応し、新しい無線アクセス技術に対する競争力を確保する目的で、3GPPは、ロングタームエボリューション(LTE)と称する新しい移動通信システムを導入した。LTEは、今後10年間にわたり、データおよびメディアの高速トランスポートならびに大容量の音声サポートに要求されるキャリアを提供するように設計されている。高いビットレートを提供する能力は、LTEにおける重要な方策である。E−UTRA(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access(UTRA))およびUTRAN(UMTS Terrestrial Radio Access Network)と称するLTEに関する作業項目(WI:Work Item)の仕様は、最終的にリリース8(LTE Rel.8)として公開される。LTEシステムは、パケットベースの効率的な無線アクセスおよび無線アクセスネットワークであり、IPベースの全機能を低遅延かつ低コストで提供する。LTEでは、所与のスペクトルを用いてフレキシブルなシステム配備を達成するために、スケーラブルな複数の送信帯域幅(たとえば、1.4MHz、3.0MHz、5.0MHz、10.0MHz、15.0MHz、および20.0MHz)が指定されている。ダウンリンクには、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)をベースとする無線アクセスが採用されている。なぜなら、かかる無線アクセスは、低いシンボルレートのため本質的にマルチパス干渉(MPI:multipath interference)を受けにくく、また、巡回プレフィックス(CP:Cyclic Prefix)を使用しており、さらに、さまざまな送信帯域幅の構成に対応可能だからである。アップリンクには、シングルキャリア周波数分割多重アクセス(SC−FDMA:Single−Carrier Frequency Division Multiple Access)をベースとする無線アクセスが採用されている。なぜなら、ユーザ機器(UE:User Equipment)の送信出力が限られていることを考えれば、ピークデータレートを向上させるよりも広いカバレッジエリアを提供することが優先されるからである。LTE Rel.8では、数多くの主要なパケット無線アクセス技術(たとえば、MIMO(Multiple Input Multiple Output)チャネル伝送技術)が採用され、高効率の制御シグナリング構造が実現されている。
<LTEアーキテクチャ>
全体的なアーキテクチャを図1に示しており、E−UTRANアーキテクチャのより詳細な描写を図2に与えている。E−UTRANは、eNBから成り、eNBは、UE向けのE−UTRAのユーザプレーン(PDCP/RLC/MAC/PHY)プロトコルおよび制御プレーン(RRC:Radio Resource Control)プロトコルを終端させる。eNBは、物理(PHY)レイヤ、媒体アクセス制御(MAC:Medium Access Control)レイヤ、無線リンク制御(RLC:Radio Link Control)レイヤ、およびパケットデータ制御プロトコル(PDCP:Packet Data Control Protocol)レイヤ(これらのレイヤは、ユーザプレーンのヘッダ圧縮および暗号化の機能を含む)をホストする。eNBは、制御プレーンに対応する無線リソース制御(RRC)機能も提供する。eNBは、無線リソース管理、アドミッション制御、スケジューリング、交渉によるアップリンク(UL)サービス品質(QoS:Quality of Service)の実施、セル情報のブロードキャスト、ユーザプレーンデータおよび制御プレーンデータの暗号化/復号、ダウンリンク(DL)/アップリンク(UL)のユーザプレーンパケットヘッダの圧縮/復元等、多くの機能を実行する。複数のeNBは、X2インターフェースによって互いに接続されている。また、複数のeNBは、S1インターフェースによってEPC(Evolved Packet Core)、より具体的には、S1−MMEによってMME(移動管理エンティティ:Mobility Management Entity)、S1−Uによってサービングゲートウェイ(S−GW:Serving Gateway)に接続されている。S1インターフェースは、MME/サービングゲートウェイとeNBとの間の多対多関係をサポートする。SGWは、ユーザデータパケットをルーティングして転送する一方で、eNB間のハンドオーバー時におけるユーザプレーンのモビリティアンカーとして機能し、さらに、LTEと他の3GPP技術との間のモビリティのためのアンカー(S4インターフェースを終端させ、2G/3GシステムとPDN GWとの間でトラヒックを中継する)として機能する。SGWは、アイドル状態のUEに対して、DLデータ経路を終端させ、そのUEにDLデータが到着した場合にページングをトリガーする。SGWは、UEのコンテキスト(たとえば、IPベアラサービスのパラメータまたはネットワーク内部ルーティング情報)を管理および格納する。また、合法傍受(lawful interception)の場合にユーザトラヒックの複製を実行する。
MMEは、LTEアクセスネットワークの主要な制御ノードである。MMEは、アイドルモードのUEの追跡およびページング手順(再送信を含む)の役割を担う。MMEは、ベアラのアクティブ化/非アクティブ化プロセスに関与し、さらには、最初のアタッチ時と、コアネットワーク(CN:Core Network)ノードの再配置を伴うLTE内ハンドオーバー時とに、UEのSGWを選定する役割も担う。また、(HSSと対話することによって)ユーザを認証する役割を担う。非アクセス層(NAS:Non−Access Stratum)シグナリングは、MMEにおいて終端される。MMEは、一時的なIDを生成してUEに割り当てる役割も担う。MMEは、サービスプロバイダの公有地モバイルネットワーク(PLMN:Public Land Mobile Network)に入るためのUEの認証をチェックし、UEのローミング制約を実施する。MMEは、NASシグナリングの暗号化/完全性保護においてネットワーク内の終端点であり、セキュリティキーの管理を行う。シグナリングの合法傍受も、MMEによってサポートされる。また、MMEは、LTEアクセスネットワークと2G/3Gアクセスネットワークとの間のモビリティのための制御プレーン機能を提供し、SGSNからのS3インターフェースを終端させる。さらに、MMEは、ローミングするUEのためのホームHSSに向かうS6aインターフェースを終端させる。
3GPP LTEシステムのダウンリンクコンポーネントキャリアは、いわゆるサブフレームにおける時間−周波数領域でさらに分割される。3GPP LTEにおいて、各サブフレームは、2つのダウンリンクスロットに分割される。第1のダウンリンクスロットは、第1のOFDMシンボル内の制御チャネル領域(PDCCH領域)を備える。各サブフレームは、時間領域内の所与数のOFDMシンボルから成り(3GPP LTE(Rel.8)では12個または14個のOFDMシンボル)、各OFDMシンボルはコンポーネントキャリアの帯域幅全体に広がる。したがって、OFDMシンボルはそれぞれ、各サブキャリアで送信される多くの変調シンボルから成る。
たとえば、3GPPロングタームエボリューション(LTE)において使用されるOFDM等を使用するマルチキャリア通信システムを仮定すると、スケジューラによって割り当て可能なリソースの最小単位は、1つの「リソースブロック」である。物理リソースブロック(PRB:Physical Resource Block)は、時間領域における連続するOFDMシンボル(たとえば、7個のOFDMシンボル)および周波数領域における連続するサブキャリア(たとえば、コンポーネントキャリアの12本のサブキャリア)として規定される。したがって、3GPP LTE(Rel.8)では、物理リソースブロックがリソースエレメントから成り、時間領域における1つのスロットおよび周波数領域における180kHzに対応する(ダウンリンクリソースグリッドに関するさらなる詳細については、たとえば非特許文献1の第6.2項(http://www.3gpp.orgで入手可能であり、本明細書に援用する)を参照)。
1つのサブフレームは、2つのスロットから成る。いわゆる「通常の(normal)」CP(巡回プレフィックス)が使用されるときにはサブフレーム内に14個のOFDMシンボルが存在し、いわゆる「拡張(extended)」CPが使用されるときにはサブフレーム内に12個のOFDMシンボルが存在する。専門用語を目的として、以下では、サブフレーム全体に広がる同じ連続サブキャリアと同等の時間−周波数リソースを「リソースブロックペア(resource block pair)」または同等の「RBペア(RB pair)」もしくは「PRBペア(PRB pair)」と称する。
用語「コンポーネントキャリア(component carrier)」は、周波数領域におけるいくつかのリソースブロックの組み合わせを表す。LTEの今後のリリースにおいて、用語「コンポーネントキャリア」はもはや使用されず、代わりに、その専門用語がダウンリンクリソースおよび任意選択としてアップリンクリソースの組み合わせを表す「セル」に変更される。ダウンリンクリソースのキャリア周波数とアップリンクリソースのキャリア周波数との間のリンク付けは、ダウンリンクリソースで送信されるシステム情報において指定される。以降のリリースにも、コンポーネントキャリアの構造に関する同様の仮定が当てはまる。
<OSIレイヤの総括>
図3Aは、LTEアーキテクチャの詳述の基礎となるレイヤモデルの概要を与えている。
開放型システム間相互接続(OSI:Open Systems Interconnection)参照モデル(OSIモデルまたはOSI参照モデル)は、通信およびコンピュータネットワークプロトコル設計用の階層化抽象記述である。OSIモデルは、システムの機能を一連のレイヤに分割する。各レイヤは、下のレイヤの機能のみを使用し、上のレイヤには機能をエクスポートするだけの特性を有する。これら一連のレイヤから成るプロトコル挙動を実装したシステムは、「プロトコルスタック」または「スタック」として知られている。その主要な特徴は、レイヤ間の接合にあり、レイヤ同士の相互作用方法に関する仕様を定めている。これは、1つの製造業者により書かれたレイヤが別の製造業者によるレイヤと協働し得ることを意味する。本開示を目的として、以下では、最初の3つのレイヤのみをより詳しく説明する。
物理レイヤすなわちレイヤ1の主目的は、特定の物理媒体(たとえば、同軸ケーブル、ツイストペアケーブル、光ファイバ、エアインターフェース等)を通じた情報(ビット)の伝送である。これにより、通信チャネル上で送信される信号(または、シンボル)へとデータが変換または変調される。
データリンクレイヤ(すなわち、レイヤ2)の目的は、入力データをデータフレームに分割すること(分割・再組み立て(SAR:Segmentation And Re−assembly)機能)によって、上記特定の物理レイヤに適合するように情報フローを成形することである。さらに、失われたフレームの再送信を要求することにより、潜在的な送信エラーを検出して修正するようにしてもよい。これは通常、アドレス指定メカニズムを提供するとともに、データレートを受信機容量と合わせるためのフロー制御アルゴリズムを提供可能である。複数の送信機および受信機が共有媒体を同時に使用する場合、データリンクレイヤは通常、物理媒体へのアクセスを規制・制御するメカニズムを提供する。
データリンクレイヤは、多くの機能を提供するため、サブレイヤ(たとえば、UMTSのRLCレイヤおよびMACレイヤ)に細分されることが多い。レイヤ2プロトコルの代表例は、固定回線ネットワーク用のPPP/HDLC、ATM、フレームリレーおよび無線システム用のRLC、LLC、またはMACである。レイヤ2のサブレイヤPDCP、RLC、およびMACに関する詳細な情報については後述する。なお、本願においては、サブレイヤを「レイヤ」とも称するため、本明細書において使用する用語「レイヤ」は、必ずしもOSIモデルのレイヤを意味しない。
ネットワークレイヤすなわちレイヤ3は、トランスポートレイヤが要求するサービス品質を維持しつつ、1つまた複数のネットワークを介して、可変長のパケットを送信元から宛先に伝送する機能的および手続き的手段を提供する。通常、ネットワークレイヤの主目的はとりわけ、ネットワークルーティング、ネットワーク分割、および輻輳制御機能を実行することである。ネットワークレイヤプロトコルの主な例は、IP(インターネットプロトコル)またはX.25である。
レイヤ4〜7に関しては、アプリケーションおよびサービスによって、OSIモデルの特定のレイヤにアプリケーションまたはサービスを結び付けるのが困難となる場合もあることに留意するものとする。レイヤ3よりも上で動作するアプリケーションおよびサービスは、OSIモデルの異なるレイヤに結び付けられる多様な機能を実行することが多いためである。したがって、特にTCP(UDP)/IPベースのネットワークにおいては、レイヤ4およびその上のレイヤを組み合わせて、いわゆる「アプリケーションレイヤ」を構成する場合もある。
<レイヤサービスおよびデータ交換>
以下、本明細書で使用するサービスデータユニット(SDU)およびプロトコルデータユニット(PDU)という用語を図3Bに関して規定する。OSIモデルのレイヤ間のパケット交換を包括して形式的に記述するため、SDUおよびPDUエンティティが導入されている。SDUは、いわゆるサービスアクセスポイント(SAP)を介して、レイヤNにあるプロトコルにサービスを要求するレイヤN+1のプロトコルから送信された情報(データ/情報ブロック)の単位である。PDUは、同じレイヤNにある同じプロトコルの送信機および受信機におけるピアプロセス間で交換された情報の単位である。
PDUは一般的に、レイヤNの特定のヘッダに続き、任意選択としてトレーラにより終了となる受信SDUを処理したものから成るペイロード部によって形成されている。これらのピアプロセス間には(レイヤ1を除いて)直接的な物理接続が存在しないため、PDUは、レイヤN−1に転送されて処理される。したがって、レイヤNのPDUは、レイヤN−1の観点ではSDUである。
<LTEユーザプレーン(UP(U−Plane))および制御プレーン(CP(C−Plane)プロトコル>
LTEレイヤ2ユーザプレーン/制御プレーンプロトコルスタックは、PDCP、RLC、およびMACという3つのサブレイヤを含む。
上記説明の通り、送信側においては、各レイヤがサービスを提供するより上のレイヤからSDUを受信し、より下のレイヤにPDUを出力する。RLCレイヤは、PDCPレイヤからパケットを受信する。これらのパケットは、PDCPの観点からはPDCP PDUと称し、RLCの観点からはRLC SDUを表す。RLCレイヤは、下のレイヤすなわちMACレイヤに提供されるパケットを生成する。RLCによりMACレイヤに提供されるパケットは、RLCの観点からはRLC PDUであり、MACの観点からはMAC SDUである。受信側ではプロセスが逆転し、各レイヤが上のレイヤまでSDUを受け渡して、そこでPDUとして受信される。
物理レイヤは本質的に、ターボ符号化および巡回冗長検査(CRC)により保護されたビットパイプを提供するが、リンクレイヤプロトコルは、信頼性、セキュリティ、および完全性の向上によって、上位レイヤへのサービスを増強する。また、リンクレイヤは、マルチユーザ媒体アクセスおよびスケジューリングを担う。LTEリンクレイヤ設計の主要な課題の1つとして、広範な種々サービスおよびデータレートを伴うインターネットプロトコル(IP)データフローに対して、所要の信頼性レベルおよび遅延を与えることが挙げられる。特に、プロトコルオーバーヘッドのスケーリングが必要である。たとえば、ボイスオーバーIP(VoIP)フローは、100msオーダーの遅延および最大1パーセントのパケット損失を許容し得るものと広く仮定する。一方、TCPファイルのダウンロードは、帯域幅遅延が小さな製品のリンク上で良好に実行されることが良く知られている。結果として、非常に高いデータレート(たとえば、100Mb/s)でのダウンロードには、さらに遅延を抑える必要があり、また、VoIPトラヒックよりもIPパケット損失の影響を受けやすい。
上記は概して、一部がつながったLTEリンクレイヤの3つのサブレイヤによって実現される。パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP:Packet Data Convergence Protocol)サブレイヤは主として、IPヘッダの圧縮および暗号化を担う。また、eNB間ハンドオーバーの場合の低損失モビリティをサポートするとともに、上位レイヤの制御プロトコルに完全性保護を提供する。無線リンク制御(RLC)サブレイヤは主として、ARQ機能を有しており、また、データの分割および連結をサポートする。後者の2つによって、データレートとは無関係にプロトコルオーバーヘッドが最小となる。最後に、媒体アクセス制御(MAC)サブレイヤは、HARQを提供するとともに、スケジューリング動作およびランダムアクセス等の媒体アクセスに必要な機能を担う。
特に、媒体アクセス制御(MAC)レイヤは、LTEの無線プロトコルスタックのレイヤ2アーキテクチャにおける最も下のサブレイヤであり、たとえば3GPP技術規格である非特許文献2によって規定されている。下の物理レイヤとはトランスポートチャネルを通じて接続されており、上のRLCレイヤとは論理チャネルを通じて接続されている。したがって、MACレイヤは、論理チャネルとトランスポートチャネルとの間の多重化および逆多重化を実行する。送信側におけるMACレイヤは、論理チャネルを通じて受け取るMAC SDUからMAC PDU(トランスポートブロックとしても知られている)を構築し、受信側におけるMACレイヤは、トランスポートチャネルを通じて受け取るMAC PDUからMAC SDUを復元する。
MACレイヤは、論理チャネルを通じてRLCレイヤにデータ伝送サービスを提供し(本明細書に援用する非特許文献3の第5.4項および第5.3項を参照)、この論理チャネルは、制御データ(たとえば、RRCシグナリング)を伝える制御論理チャネルまたはユーザプレーンデータを伝えるトラヒック論理チャネルのいずれかである。一方、MACレイヤからのデータは、トランスポートチャネル(ダウンリンクまたはアップリンクとして分類される)を通じて物理レイヤと交換される。無線を通じた送信方式に応じて、データがトランスポートチャネルに多重化される。MAC SDUのほか、MAC PDUが必要に応じて、複数種類のMAC制御エレメントおよびパディングをさらに含んでいてもよい。
物理レイヤは、エアインターフェースを介して、データおよび制御情報を実際に送信する役割を担う。すなわち、物理レイヤは、送信側ではエアインターフェース上で、MACトランスポートチャネルからのすべての情報を搬送する。物理レイヤによって実行されるいくつかの重要な機能としては、符号化および変調、リンクアダプテーション(AMC)、電力制御、セルサーチ(最初の同期およびハンドオーバーを目的とする)、RRCレイヤのための他の測定(LTEシステムの内側およびシステム間)が挙げられる。物理レイヤは、送信パラメータ(変調方式、符号化率(すなわち変調・符号化方式(MCS))、物理リソースブロックの数等)に基づいて、送信を実行する。物理レイヤの機能に関する別の情報は、3GPP技術規格である非特許文献4に記載されており、これを本明細書に援用する。
無線リソース制御(RRC)レイヤは、無線インターフェースにおけるUEとeNBとの間の通信および複数のセルを横切って移動するUEのモビリティを制御する。RRCプロトコルは、NAS情報の伝送もサポートする。RRC_IDLEのUEに対して、RRCは、ネットワークからの着信呼の通知をサポートする。RRC接続制御は、RRC接続の確立、変更、および解除に関連するすべての手順(ページング、測定の設定および報告、無線リソースの設定、最初のセキュリティ起動、シグナリング無線ベアラ(SRB:Signalling Radio Bearer)およびユーザデータを伝える無線ベアラ(データ無線ベアラ(DRB:Data Radio Bearer))の確立を含む)をカバーする。
無線リンク制御(RLC)サブレイヤは、主としてARQ機能を有しており、また、データの分割および連結をサポートする。すなわち、RLCレイヤは、RLC SDUのフレーミングを実行し、MACレイヤによって示されるサイズにする。後者の2つによって、データレートとは無関係にプロトコルオーバーヘッドが最小となる。RLCレイヤは、論理チャネルを介してMACレイヤに接続されている。各論理チャネルは、さまざまなタイプのトラヒックを伝える。RLCレイヤの上のレイヤは通常、PDCPレイヤであるが、場合によってはRRCレイヤである。すなわち、論理チャネルBCCH(ブロードキャスト制御チャネル)、PCCH(ページング制御チャネル)、およびCCCH(共通制御チャネル)で送信されるRRCメッセージは、セキュリティ保護を必要としないため、PDCPレイヤをバイパスしてRLCレイヤに直接渡される。
<RLC再送信プロトコル>
RLCは、行方不明のPDUの再送信を要求するように設定されている場合、確認モード(AM:Acknowledged Mode)で動作していると言える。これは、WCDMA/HSPAにおいて用いられる対応するメカニズムに類似する。RLCには概して、透過モード(TM:Transparent Mode)、非確認モード(UM:Unacknowledged Mode)、および確認モード(AM:Acknowledged Mode)という3つの動作モードが存在する。各RLCエンティティは、RRCによって、これらのモードのうちの1つで動作するように設定されている。
透過モードにおいては、上位レイヤから受信したRLC SDUにプロトコルオーバーヘッドが追加されることはない。特殊な場合に、分割/再組み立て能力が制限された送信を達成可能となる。分割/再組み立てが用いられるか否かに関わらず、無線ベアラセットアップ手順において交渉の必要がある。透過モードは、たとえば会話のように遅延の影響を非常に受けやすいサービスに用いられる。
非確認モードにおいては、再送信プロトコルが使用されないため、データ配送が保証されない。PDU構造には、上位レイヤにおける完全性観測のためのシーケンス番号を含む。RLCシーケンス番号に基づいて、受信UM RLCエンティティは、受信RLC PDUの並べ替えを実行可能である。分割および連結は、データに追加されたヘッダフィールドによってもたらされる。非確認モードのRLCエンティティは、アップリンクとダウンリンクとの間に関係が規定されていないため、単向性である。誤りのあるデータが受信された場合は、設定に応じて、対応するPDUの破棄またはマーキングが行われる。送信機においては、タイマーが指定する一定の時間内に送信されないRLC SDUが送信バッファから破棄または削除される。上位レイヤから受信されたRLC SDUは、送信側でRLC PDUへと分割/連結される。受信側では、これに対応して再組み立てが実行される。非確認モードは、たとえば特定のRRCシグナリング手順におけるMBMSおよびボイスオーバーIP(VoIP)等のセルブロードキャストサービス等、配送時間の短さと比較して配送エラーのなさは重要でないサービスに用いられる。
確認モードにおいて、RLCレイヤは、自動再送要求(ARQ)プロトコルによるエラー修正をサポートするとともに、通常は、エラーのないデータ配送が最大の関心事であるファイル伝送等のIPベースのサービスに用いられる。RLC再送信は、たとえば相手側RLC受信エンティティから受信したRLCステータスレポートすなわちACK/NACKに基づく。確認モードは、エアインターフェースの高いビット誤り率の存在下における再送信を通じたパケットデータの確実なトランスポートのために設計されている。PDUの誤りまたは損失の場合は、受信側からのRLCステータスレポートの受信に際して、送信側により再送信が実行される。
ARQは、誤りのあるPDUまたは行方不明のPDUを再送信する再送信方式として用いられる。たとえば、入ってくるシーケンス番号を監視することにより、受信RLCエンティティは、行方不明のPDUを識別することができる。そして、受信RLC側でRLCステータスレポートを生成し、送信RLCエンティティにフィードバックして、行方不明のPDUまたは復号化に失敗したPDUの再送信を要求することができる。また、RLCステータスレポートは、送信機によりポーリング可能である。すなわち、RLC送信機によるポーリング機能の使用により、RLC受信側からステータスレポートが取得され、受信バッファステータスがRLC送信機に通知される。ステータスレポートは、HARQ並べ替えが完了する最後のRLCデータPDUまで、RLCデータPDUに関する肯定応答(ACK)もしくは否定応答情報(NACK)またはそれらの一部を提供する。RLC受信側は、ポーリングフィールドが「1」に設定されている場合またはRLCデータPDUが行方不明と検出された場合にステータスレポートをトリガーする。非特許文献5の第5.2.3項には、RLC送信機においてRLCステータスレポートのポーリングをトリガーする特定のトリガーが規定されており、これを本明細書に援用する。送信機においては、送信ウィンドウ内のPDUに対してのみ送信が可能であり、当該送信ウィンドウは、RLCステータスレポートによってのみ更新される。したがって、RLCステータスレポートが遅延する場合は、送信ウィンドウを進めることができず、送信が詰まってしまう可能性もある。受信側は、トリガーされた場合にRLCステータスレポートを送信側に送信する。
<レイヤ1/レイヤ2制御シグナリング>
スケジューリング対象のユーザにユーザの割り当て状態、トランスポートフォーマット、およびその他の送信関連情報(たとえば、HARQ情報、送信電力制御(TPC:Transmit Power Control)コマンド)を通知する目的で、L1/L2制御シグナリングがデータとともにダウンリンクで送信される。L1/L2制御シグナリングは、サブフレーム内でダウンリンクデータとともに多重化される(ユーザ割り当てがサブフレーム単位で変化し得るものと仮定する)。ユーザ割り当てをTTI(送信時間間隔)ベースで実行することもできる。その場合、TTI長がサブフレームの整数倍となり得ることに留意するものとする。TTI長は、サービスエリア内ですべてのユーザに対して一定であってもよいし、異なるユーザに対して異なる長さであってもよいし、ユーザごとに動的であってもよい。一般的に、L1/L2制御シグナリングは、TTI当たり1回送信すればよい。以下では、一般性を失うことなく、TTIが1サブフレームに等しいものと仮定する。
L1/L2制御シグナリングは、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)で送信される。PDCCHは、ダウンリンク制御情報(DCI:Downlink Control Information)としてのメッセージを搬送する。DCIには、ほとんどの場合、移動端末またはUE群へのリソース割り当ておよびその他の制御情報が含まれる。複数のPDCCHを1つのサブフレーム内で送信可能である。
一般的に、アップリンク無線リソースまたはダウンリンク無線リソースを割り当てる目的でL1/L2制御シグナリングで送られる情報は(特にLTE(−A)Rel.10)、以下の項目に分類可能である。
ユーザ識別情報(User Identity):割り当てる対象のユーザを示す。この情報は通常、CRCをユーザ識別情報によってマスクすることによりチェックサムに含まれる。
リソース割り当て情報(Resource Allocation Information):ユーザが割り当てられるリソース(たとえば、リソースブロック(RB))を示す。あるいは、この情報は、リソースブロック割り当て(RBA:Resource Block Assignment)と称する。なお、ユーザが割り当てられるRBの数は、動的とすることができる。
キャリアインジケータ(Carrier indicator):第1のキャリアで送信される制御チャネルが、第2のキャリアに関連するリソースすなわち第2のキャリアのリソースまたは第2のキャリアに関連するリソースを割り当てる場合に使用される(クロスキャリアスケジューリング)。
変調・符号化方式(Modulation and coding scheme):採用される変調方式および符号化率を決定する。
HARQ情報:データパケットまたはその一部の再送信時に特に有用な新規データインジケータ(NDI:New Data Indicator)および/または冗長バージョン(RV:Redundancy Version)等。
電力制御コマンド:割り当て対象のアップリンクのデータまたは制御情報の送信時の送信電力を調整する。
参照信号情報:割り当てと関連する参照信号の送信または受信に使用される適用循環シフトおよび/または直交カバーコード(OCC)インデックス等。
アップリンク割り当てインデックスまたはダウンリンク割り当てインデックス:割り当ての順序を識別するために使用され、TDDシステムにおいて特に有用である。
ホッピング情報:たとえば、周波数ダイバーシティを増大させる目的でリソースホッピングを適用するかどうか、および適用方法を指示する。
CSI要求:割り当てられるリソースにおいてチャネル状態情報(Channel State Information)を送信するようにトリガーするために使用される。
マルチクラスタ情報:シングルクラスタ(RBの連続的なセット)で送信を行うか、マルチクラスタ(連続的なRBの少なくとも2つの不連続なセット)で送信を行うかを指示して制御するために使用されるフラグである。マルチクラスタ割り当ては、3GPP LTE−(A)Rel.10により導入されている。
上記リストは、すべてを網羅したものではなく、また、使用されるDCIフォーマットによっては、前述の情報項目すべてを各PDCCH送信に含める必要はないことに留意するものとする。
ダウンリンク制御情報は、全体サイズおよび前述のフィールドに含まれる情報が異なる複数のフォーマットで生じる。LTEについて現在規定されているさまざまなDCIフォーマットは以下の通りであり、非特許文献6の第5.3.3.1項(http://www.3gpp.orgで入手可能であり、本明細書に援用する)に詳しく記載されている。たとえば、以下のDCIフォーマットを使用して、アップリンクのリソースグラントを搬送可能である。
フォーマット0:DCIフォーマット0は、PUSCHのリソースグラントの送信に用いられるものであり、アップリンク送信モード1または2において単一アンテナポート送信を使用する。
フォーマット4:DCIフォーマット4は、PUSCHのスケジューリングに用いられるものであり、アップリンク送信モード2において閉ループ空間多重送信を使用する。
<LTEのアップリンクアクセス方式>
アップリンク方式によれば、スケジューリングによるアクセス(すなわち、eNBによる制御)およびコンテンションベースのアクセスの両者が可能となる。
スケジューリングによるアクセスの場合、UEには、アップリンクデータ送信用の一定時間にわたる特定の周波数リソース(すなわち、時間/周波数リソース)が割り当てられる。ただし、一部の時間/周波数リソースは、コンテンションベースのアクセスに対して割り当て可能である。これらの時間/周波数リソースにおいて、UEは、最初のスケジューリングなしに送信可能である。UEがコンテンションベースのアクセスを行う1つのシナリオとして、たとえばランダムアクセスすなわちセルに対する最初のアクセスまたはアップリンクリソースを要求する最初のアクセスをUEが実行する場合が挙げられる。
スケジューリングによるアクセスの場合、eNodeBスケジューラは、アップリンクデータ送信用の一意の周波数/時間リソースをユーザに割り当てる。より具体的に、スケジューラは、どのUEが、どの物理チャネルリソース(周波数)、および移動端末が送信に使用する対応するトランスポートフォーマットで送信が許可されたかを決定する。
割り当て情報は、スケジューリンググラントを介して、L1/L2制御チャネル上で送信されることにより、UEに伝えられる。スケジューリンググラントメッセージには、UEが使用を許可された周波数帯の部分、グラントの有効期間、および次回のアップリンク送信にUEが使用すべきトランスポートフォーマットに関する情報を含む。最も短い有効期間は、1サブフレームである。また、選択された方式に応じて、別の情報がグラントメッセージに含まれていてもよい。UL−SCH上で送信する権利の付与には、「UE当たり」のグラントのみが使用される(すなわち、「UE当たり、RB当たり」のグラントは存在しない)。したがって、UEは、いくつかのルールに従って無線ベアラ間で割り当てリソースを配分する必要がある。HSUPAと異なり、UEベースのトランスポートフォーマットの選択はない。eNBは、いくつかの情報(たとえば、チャネル品質フィードバック、報告されたスケジューリング情報、およびQoS情報)に基づいてトランスポートフォーマットを決定する。UEは、その選択されたトランスポートフォーマットに従う必要がある。
スケジューリングの一般的なモードは動的スケジューリングであり、ダウンリンク送信リソースの割り当て用のダウンリンク割り当てメッセージおよびアップリンク送信リソースの割り当て用のアップリンクグラントメッセージを用いて行われるが、これらは通例、特定のサブフレームに対してのみ有効である。これらのメッセージは、UEのC−RNTI(Cell Radio Network Temporary Identifier)を用いてPDCCH上で送信される。動的スケジューリングは、TCP等、トラヒックのレートが集中的かつ動的なサービスタイプにおいて効率的である。
動的スケジューリングのほか、1サブフレームよりも長い期間にわたって無線リソースを準静的に設定してUEに割り当てることにより、サブフレームごとのPDCCHを通じた特定のダウンリンク割り当てメッセージまたはアップリンクグラントメッセージの必要性を回避し得るパーシステントなスケジューリングが規定されている。パーシステントなスケジューリングは、データパケットのサイズが小さく、周期的で準静的なVoIP等のサービスに有用である。このため、動的スケジューリングの場合と比較して、PDCCHのオーバーヘッドは大幅に低下する。
<論理チャネル優先順位決定(LCP:Logical Channel Prioritization)手順>
アップリンクについて、割り当てられた無線リソースを用いて送信するMAC PDUをUEが生成するプロセスは、十分に標準化されている。これは、異なるUE実装間で最適かつ一貫するように各設定無線ベアラのQoSをUEが満たすように設計されている。PDCCH上で伝えられるアップリンク送信リソースグラントメッセージに基づいて、UEは、新たなMACに含まれる各論理チャネルのデータ量を決定するとともに、MAC制御エレメント用のスペースを割り当てる必要がある。
複数の論理チャネルからのデータでMAC PDUを構成する際、最も簡単かつ直感的な方法は、絶対優先順位に基づく方法であり、この方法では、論理チャネルの優先順位の降順にMAC PDUスペースが論理チャネルに割り当てられる。すなわち、MAC PDUにおいては、優先順位が最も高い論理チャネルからのデータが最初に提供された後、優先順位が次に高い論理チャネルからのデータが提供され、MAC PDUスペースが無くなるまで継続される。絶対優先順位に基づく方法は、UE実装の観点では非常に簡単であるが、優先順位が低い論理チャネルからのデータが欠落する場合もある。この欠落は、優先順位が高い論理チャネルからのデータがMAC PDUスペース全体を占めるため、優先順位が低い論理チャネルからのデータを送信できないことを意味する。
LTEにおいては、論理チャネルごとに優先ビットレート(PBR:Prioritized Bit Rate)が規定され、重要度の順にデータが送信されるとともに、優先順位が低いデータの欠落が回避される。PBRは、論理チャネルに対して保証された最低データレートである。当該論理チャネルの優先順位が低い場合であっても、少なくとも微小なMAC PDUスペースの割り当てによって、PBRが保証される。このため、PBRの使用により、欠落の問題を回避することができる。
PBRによるMAC PDUの構成は、2つの範囲から成る。第1の範囲においては、論理チャネルの優先順位の降順で各論理チャネルが提供されるが、MAC PDUに含まれる各論理チャネルからのデータの量は、その論理チャネルの設定されたPBR値に対応する量に最初から制限されている。すべての論理チャネルがそれぞれのPBR値まで提供された後、MAC PDUに余地があれば、第2の範囲が実行される。第2の範囲においては、各論理チャネルが再び優先順位の降順で提供される。第1の範囲と比較した場合の第2の範囲の大きな違いは、優先順位が高いすべての論理チャネルにおいて送信するデータがもうない場合にのみ、優先順位が低い各論理チャネルにMAC PDUスペースを割り当て可能なことである。
MAC PDUは、設定された各論理チャネルからのMAC SDUのみならず、MAC CEを含んでいてもよい。パディングBSRを除いて、MAC CEは、MACレイヤの動作を制御することから、論理チャネルからのMAC SDUよりも優先順位が高い。このため、MAC PDUが構成される場合、MAC CEが存在するならば最初に含まれ、残りのスペースは、論理チャネルからのMAC SDUに用いられる。そして、別のスペースが残っており、BSRを含むのに十分な大きさであれば、パディングBSRがトリガーされ、MAC PDUに含まれる。
論理チャネルの優先順位付けは、たとえば非特許文献3の第5.4.3.1項において標準化されており、これを本明細書に援用する。1つのTTIにおいて複数のMAC PDUを送信するようにUEが要求された場合にMAC制御エレメントが含まれるMAC PDUを決定するかどうかは、UE実装次第である。
<バッファステータスレポート>
UEからeNodeBへのバッファステータスレポート(BSR)は、eNodeBによるアップリンクリソースの割り当てすなわちアップリンクスケジューリングの支援に用いられる。ダウンリンクの場合、eNBスケジューラは、各UEに配送されるデータの量を明らかに認識しているが、アップリンク方向の場合は、スケジューリングの決定がeNBでなされるとともに、データのバッファがUEにあることから、UL−SCH上で送信する必要があるデータの量を示すには、UEからeNBにBSRが送られる必要がある。
LTEの場合のバッファステータスレポートのMAC制御エレメントは、長いBSR(LCG ID#0〜3に対応する4つのバッファサイズフィールドを伴う)または短いBSR(1つのLCG IDフィールドおよび1つの対応するバッファサイズフィールドを伴う)のいずれかから成る。バッファサイズフィールドは、論理チャネル群のすべての論理チャネルにわたって利用可能なデータの総量を示すものであり、異なるバッファサイズレベルのインデックスとして符号化されたバイトの数で示される(非特許文献3の第6.1.3.1項も参照(本明細書に援用))。
UEによって短いBSRか長いBSRのいずれが送信されるかは、トランスポートブロックにおいて利用可能な送信リソース、非空バッファを有する論理チャネル群の数、および特定のイベントがUEでトリガーされるかによって決まる。長いBSRは、4つの論理チャネル群のデータの量を報告する一方、短いBSRは、優先順位が最も高い論理チャネル群に対してのみバッファリングされたデータの量を示す。
論理チャネル群の概念を導入する理由は、UEが5つ以上の論理チャネルを設定可能であるものの、個々の論理チャネルごとにバッファステータスを報告するのは、シグナリングオーバーヘッドが大きくなり過ぎるためである。したがって、eNBは、各論理チャネルを論理チャネル群に割り当てる。好ましくは、QoS要件が同一/類似の論理チャネルは、同じ論理チャネル群内で割り当てられるものとする。
UEは、BSRがトリガーされた場合にトランスポートブロックにおいてBSRを含むようにアップリンクリソースが割り当てられていない場合、スケジューリングリクエスト(SR)をeNodeBに送って、BSRを送信するアップリンクリソースが割り当てられるようにする。シングルビットのスケジューリングリクエストが物理アップリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)上で送信される(専用スケジューリングリクエスト(D−SR:Dedicated Scheduling Request)。あるいは、ランダムアクセス手順(RACH)の実行により、BSRを送信するためのアップリンク無線リソースの割り当てを要求する。
<他のMAC制御エレメント>
MAC制御エレメントは、MACレベルのピアツーピアシグナリングに用いられる。
LTEにおいては、別のMAC制御エレメントが規定されている。これらのMAC制御エレメントは、アップリンク送信またはダウンリンク送信に関連し得る。
電力ヘッドルームレポート(PHR:Power Headroom Report)MAC制御エレメントは、UEが利用可能な電力ヘッドルームを報告するのに用いられた後、基地局において、UEが使用可能なサブフレーム当たりのアップリンク帯域幅を決定するのに用いられる。これらのエレメントは、アップリンクにおいてスケジューリングノード(eNB)に提供され、さまざまなUEに対するアップリンク送信リソースのスケジューリングを可能にするとともに、電力制限により使用できないユーザへのリソースの割り当てを回避可能とする。現在のところ、PHRは、UEがアップリンク送信グラントを有するサブフレームすなわちアップリンクデータ送信を伴うサブフレームにおいてのみ送信可能である。
アクティブ化/非アクティブ化MAC制御エレメントは、SCellすなわち主サービングセルのリソースに付加的なリソースを提供する副サービングセルのアクティブ化/非アクティブ化に用いられる。キャリアアグリゲーションが設定された場合の合理的なUEバッテリ消費を可能にするため、SCellのアクティブ化/非アクティブ化メカニズムがサポートされている。UEに1つまたは複数のSCellが設定されている場合、eNodeBは、設定されたSCellをアクティブ化および非アクティブ化するようにしてもよい。アクティブ化/非アクティブ化は、PCellには当てはまらない。MAC CEは、SCellのアクティブ化および非アクティブ化用のビットマップを搬送するが、1に設定されたビットが対応するSCellのアクティブ化を表す一方、0に設定されたビットは、非アクティブ化を表す。ビットマップにより、SCellを個別のアクティブ化および非アクティブ化することができ、単一のアクティブ化/非アクティブ化コマンドによって、SCellのサブセットのアクティブ化/非アクティブ化を行うことができる。
セル無線ネットワーク一時識別子(C−RNTI:Cell Radio Network Temporary Identifier)MAC制御エレメントは、コンテンション解決を目的としたランダムアクセス手順において、それ自体のC−RNTIをUEが送信できるようにする。
UEコンテンション解決識別情報(UE Contention Resolution Identity)MAC制御エレメントは、UEがC−RNTIを持たない場合にコンテンション解決を目的としたランダムアクセス手順において、UEが送信したアップリンクCCCH(コマンド制御チャネル)を送信するためeNodeBにより用いられる。
DRXコマンドMAC制御エレメントは、ダウンリンクPRXコマンドをUEに送信するためeNodeBにより用いられる。
タイミングアドバンスコマンドMAC制御エレメントは、タイミングアドバンスコマンドをUEに送信してアップリンクタイミングを揃えるためeNodeBにより用いられる。
MBMS動的スケジューリング情報MAC制御エレメントは、MBMSに対応したUEに対して、MTCH上のデータ送信のスケジューリングを通知するため、MCHごとに送信される。
上掲のMAC制御エレメントに関する詳細については、非特許文献7の第6.1.3項(本明細書に援用)を参照されたい。MAC制御エレメントのタイプごとに、1つの特別なLCIDが割り当てられる。
<L1/L2処理>
図4は、リンクレイヤプロトコルを通じた物理レイヤまでのIPパケットのデータフローを例示的に示している。この図は、各プロトコルサブレイヤがそれ自体のプロトコルヘッダをデータユニットのほか、サブフレーム上のトランスポートブロックのマッピングに追加することを示している。トランスポートブロック(TB)は、物理レイヤにマッピングされたMAC PDUを表す。
LTEにおけるサブフレームへのトランスポートブロックのマッピングは、いわゆる送信時間間隔(TTI)において実行される。一般的に、単入力単出力(SISO)すなわち1つのアンテナで送信機および受信機が動作する場合は、1つのトランスポートブロックが1つのTTIにおいて1つのサブフレームにマッピングされる。MIMO/MISO(多入力多出力/多入力単出力)の場合は、2つのトランスポートブロックに対応する2つのコードワードが1つのTTIにおいて物理リソースにマッピングされるようになっていてもよい。一般的に、マッピングには3つ以上のトランスポートブロックが考えられる。
LTEにおいては、RLCレイヤがPDCP PDUの連結/分割を実行する。
送信機がトランスポートブロック(TB)サイズを把握している場合は、MACレイヤが論理チャネル優先順位決定(LCP)を実行して、各RLCエンティティが送信すべき(下位レイヤすなわちMAC/物理レイヤに提供すべき)データ量を決定する。各RLCエンティティは、1つまたは複数のRLC SDUを含む1つのRLC PDUを提供する。RLC PDUで終わる各RLC SDUについては、対応するLフィールド(長さフィールド)が追加されるため、受信機は対応するSDUを抽出することができる。最後に含まれるRLC SDUがRLC PDUに完全に適合するわけではない場合は、分割される。すなわち、RLC SDUの残りが後続のRLC PDUにおいて送信されることになる。これは、RLC SDUの最初(最後)のバイトに対応するRLC PDUの最初(最後)のバイトがRLCヘッダ中の「フレーミング情報」フラグ(2ビット)により指定されているか否かに関わらず行われる。これ以外に、分割によってオーバーヘッドが追加となることはない。データの元の順序を復元して損失を検出するため、RLCシーケンス番号(SN)がRLC PDUヘッダに追加される。
MACは、異なる論理チャネル識別子(LCID)のRLC PDUを多重化して、対応するサブヘッダにLCIDおよびLフィールドを追加する。トランスポートブロック構造の高レベル図を図4に示す。近年、3GPPは、新規無線(NR:New Radio)の名称の下、第5世代システムに関する研究および作業を開始した。NRは、非常に高いデータレート(現在のところ、ダウンリンクで最大20Gbit/秒、アップリンクで最大10Gbit/秒)を目標としている。
移動局、移動ノード、ユーザ端末、またはユーザ機器(UE)は、通信ネットワーク内の物理エンティティである。1つのノードが複数の機能エンティティを有していてもよい。機能エンティティは、所定組の機能の実装ならびに/またはノードもしくはネットワークの他の機能エンティティへの提供を行うソフトウェアまたはハードウェアモジュールを表す。ノードは、通信を可能にする通信設備または媒体にノードを接続する1つまたは複数のインターフェースを有していてもよい。同様に、ネットワークエンティティは、他の機能エンティティまたは対応するノードとの通信を可能にする通信設備または媒体に機能エンティティを接続する論理インターフェースを有していてもよい。
一組の請求項および本願において使用する用語「無線リソース」は、時間−周波数無線リソース等の物理的な無線リソースを表すものとして広く了解されるものとする。
以下の例示的な実施形態は、5G移動通信システムを想定した新規無線技術のための改良された無線インターフェースレイヤ処理を提供する。現在のところ、5G移動通信システムに関しては、ほとんどの詳細が合意に至っていないため、以下では、実施形態の基礎となる原理を説明可能とするため、多くの仮定を導入する必要がある。ただし、これらの仮定は、本開示の範囲を制限することのない単なる一例として了解されるものとする。当業者であれば、本明細書に明示的に記載していない方法で、特許請求の範囲に記載の本開示の原理が異なるシナリオに当てはまり得ることが認識されるであろう。たとえば、新規無線技術は、LTE(−A)に関して規定済みの無線技術から発展することになるが、5G移動通信システムの要件を満たすように複数の変更が予想される。その結果、種々実施形態の特定の例示的な実施態様は、5G通信システム用の新規無線技術および以下の実施形態に関して説明する種々実施態様の両者に等しく適用可能である限り、(Rel.10/11/12/13/14等に係る)LTE(−A)通信システムに関して規定済みの手順、メッセージ、機能等を引き続き再利用することも可能である。
本開示によれば、連結/分割機能は、RLCレイヤからMACエンティティに移される。この手法によれば、いくつかの利点がもたらされ、たとえば、ULグラントの受信前に、(送信がアップリンクで実行される場合に)端末でRLC PDUおよびMAC PDUの一部を事前構成可能である。これにより、各RLC PDUおよびMAC PDUの一部の事前構成によって、処理時間が短縮される。RLCレイヤは、(L1/L2シグナリングによるリソース割り当てで搬送される)MACスケジューリングの決定およびRLC PDUサイズの指定を待つ必要がない。これにより、トランスポートブロックの生成における処理時間が短縮される。
図5Aは、送信側(TX)および受信側(RX)のプロトコルレイヤの主要機能を示している。図示のように、送信側では、RLCレイヤとの協働によりMACレイヤで分割が実行される。
図5Bは、送信側で実行される以下のような基本動作を示している。
a)RLCおよび/またはMAC PDUは、PDCP PDU数に基づいて前処理される。すなわち、RLCレイヤは、PDCP PDUを連結しない。ただし、RLCレイヤは、RLC SDU(PDCP PDU)をさらに分割するようにしてもよく、PDCP PDU分割の2つの結果すなわちR1−PDU1およびR2−PDU2によってこれを示す。前処理は、所与の無線条件(たとえば、RSSI/RSRP)において一定の高信頼度で統計的に利用可能な「最小(あるいは、平均)グラントサイズ」に基づくことも可能である。したがって、この最小または平均グラントサイズ上では、(推定グラントサイズと連動するため)疑似LCPが動作し、これに応じてRLCおよびMAC PDUが前処理される。(現実の)グラントが受信され、LCPがMACレイヤにおいて動作している場合は、LCPの結果に基づいて許可されたリソースに収容され得る(すなわち、対応するMAC PDUのサイズが対応するLCIDのグラントサイズ以下である)前処理RLC PDUの一部が物理レイヤに提供されることになる。物理レイヤは、これらに対する処理を直ちに(すなわち、時点t1に)開始するようにしてもよい。図5Bにおいて、前処理MACヘッダを付加した事前分割R1−PDU1およびR2−PDU2は、許可されたリソースに収容可能である。
b)事前分割されたR1−PDU1およびR2−PDU2は、全体として許可されたリソースに収容できないため、LCPが実行された後、割り当てサイズを把握することによって、これらPDUのさらなる分割が必要となる。言い換えると、(上記ステップ後の)残りのグラントによって、前処理PDUを分割することも必要であり、それぞれの対応するヘッダを再演算する必要がある。分割は、(前処理および提供済みのRLC PDUに関しては)MACレイヤで行うことも可能であるし、RLCレイヤで行うことも可能である(LCPの結果に基づいて分割後にRLCがヘッダを再演算する)。このL2処理の後、MAC PDUの結果部分(セグメント)が物理レイヤに提供される。物理レイヤは、これらに対する処理を後で(すなわち、時点t2に)開始するようにしてもよい。
図5Bにおいて、2つの異なるRLCエンティティは、異なる論理チャネルに属する。したがって、MACは、論理チャネル優先順位決定手順(LCP)に基づいて、どの時点に対応するMAC PDUのいずれを物理レイヤに提供すべきかを決定する。LCP手順の一例は、LTEにより知られており、上記背景技術の項で言及した。それにも関わらず、本開示は、一般的にはこれに限定されない。
受信側においては、物理レイヤ処理の後、対応する逆ステップが実行される。
a)MACレイヤは、MACヘッダ(基本的には、LCIDフィールドおよび長さフィールド)に基づいて逆多重化を実行するとともに、結果としてのMAC SDUをRLCに与える。MACレイヤは、MAC SDUをRLCレイヤに受け渡した場合、分割/連結ヘッダフィールドも維持する。分割および連結がMACにより行われ、セグメントの並べ替えおよび再組み立てがRLCにより実行されるためである。このため、MACは、分割ヘッダフィールドをRLCに受け渡す。言い換えると、MACレイヤは、MAC SDUのみならず、分割/連結に関連するMACヘッダの一部もRLCに受け渡す。
b)RLCレイヤは、RLC SDU全体をPDCPに転送する前に、RLC PDUセグメント(存在する場合)を再組み立てする。RLC SDU全体のPDCPへの提供もばらばらに行われる。すなわち、たとえばセグメントが失われた場所に「ホール」を含む。それは、所定の時間または所定の再送信数内に正しく受信されていないためである。ただし、RLCは、行方不明のPDUおよびPDUセグメントを追跡する必要がある。ARQがRLCで動作するため、考え得る再送信に対して、行方不明の如何なるRLC PDUおよび/またはPDUセグメントも送信側に報告されるものとする。ここで、ARQは、タイマーTimer1の満了時点まで、行方不明のRLC PDUおよび/またはPDUセグメントを読み出そうとする。Timer1は、ホールが最初に見えた場合(または、後続/次のRLC SDUがPDCPレイヤに配送される場合)に開始となる。Timer1の満了時点で、RLCは、PDCPレイヤおよびRRCに通知するものとする。RRCは、無線リンク障害(RLF:Radio Link Failure)手順のトリガーのような別の措置を講じる可能性もある。一般的に、TCPのような上位レイヤのエンドツーエンドプロトコルは依然として、正しい配送に対処可能である。
c)PDCPレイヤは、PDCP SN(または、ヘッダから直接利用可能な場合のCOUNT、あるいは、PDCPヘッダに含まれるSNから推定/計算する必要があるCOUNT)に基づいて、RLCから受信した入力PDUを解読するものとする。COUNTの計算は、最後のPDCP SN値とちょうど受信したPDCP PDUヘッダ中のPDCP SN値との差で最後のCOUNT値を調整することによって行われる。ここで、「最後の」は、解読に成功した過去のPDCP PDUを表す。また、PDCPは、RLCからの「ホール」の到着を待つものとする。ただし、対応するPDCP PDUの受信前に(Timer1満了時点の)RLCからの指定が到着した場合、PDCP SDUは、(ホールを含む)上位レイヤに提供される。
上記手法は、AMのみならず、UMにも適用可能である。UMが適用される場合は、RLCレイヤで再送信は行われない。それにも関わらず、受信側では、RLC PDUまたはRLC PDUセグメントが行方不明の場合、RLC SDUが組み立てられ、PDCPレイヤに提供される。
AMにおいて、RLC PDUおよび/またはPDUセグメントが行方不明であることをRLCステータスレポートが示している場合、送信側RLCは、適当なヘッダを含むMACレイヤに対して、対応する行方不明のRLC PDUおよび/またはPDUセグメントを提供して、再送信により受信機がセグメントを再組み立てするのを支援する。
あるいは、RLCレイヤは、対応するRLC PDUのセグメントのみが行方不明と指定された場合であっても、RLC PDU全体をMACレイヤに提供するようにしてもよい。また、RLCレイヤは、MACレイヤとステータスレポートの詳細(すなわち、ステータスレポート全体)を共有する。この手法の利点は、RLCヘッダのオーバーヘッドが低下することである。RLCレイヤにおいて再送信が行われると、RLCレイヤは、分割ヘッダフィールドを追加するため、ヘッダのオーバーヘッドが増加する。この問題を克服するため、RLC PDU全体がMACに送られ、MACは、ステータスレポートに基づいて分割を実行する。RLCのステータスレポートは、レイヤ(PDCP、RLC、MAC)間で普遍的な(共通の)シーケンス番号が使用されているため、MACにより理解される。この場合、MACレイヤは、この理解およびLCPの結果に基づいて再分割を実行するとともに、適当なヘッダを含むことによって、受信機がセグメントを再組み立てするのを支援する。
なお、上記説明では「MAC」、「RLC」、および「PDCP」に言及しているが、これらは、UMTS/LTE(−A)規格において採用された用語である。ただし、本開示は、これらの規格にもその上級版にも限定されず、使用する専門用語に関わらず作用するようになっていてもよい。
言い換えると、上記フレームワークは、(物理レイヤに対応する)物理リソースに対するデータのマッピング/デマッピングを担う第1のレイヤ、(MACに対応する)第2のレイヤ、および(RLCおよび/またはPDCPに対応する)第3のレイヤが存在するプロトコルスタックと見なし得る。なお、この場合の用語「第1のレイヤ」、「第2のレイヤ」、および「第3のレイヤ」は、必ずしもOSIモデルレイヤに対応しない。
プロトコルスタックの処置遅延の低減は、第1の物理レイヤ、第2のレイヤ、および第3のレイヤを有する送信側において実現可能であるが、第2のレイヤは、第3のレイヤから(リソース割り当てを把握せずに第3のレイヤにより生成された)前処理された第3レイヤPDUを受信するとともに、(アップリンクにおいては受信機から、ダウンリンクにおいては内部から)物理レイヤのリソース割り当てを受信する。前処理された第3レイヤPDUには、分割情報を含むヘッダが(第3のレイヤまたは第2のレイヤで前もって)追加されるようになっていてもよい。なお、このように前処理された第3レイヤPDUは、優先順位が異なり得る複数の論理チャネルに対応する複数の第3レイヤエンティティに対して提供されるようになっていてもよい。したがって、第2のレイヤは、優先順位決定手順を実行するようにしてもよい。そして、第2のレイヤは、受信したリソース割り当てのほか、場合により優先順位決定手順の結果に基づいて、分割情報を含む適当に前処理された第3レイヤPDUを第1の時点t1で第2レイヤヘッダとして第1のレイヤに提供するとともに、場合により、前処理されたPDUのさらなる分割を実行して、時点t1よりも後の時点t2で第1のレイヤにデータを提供する前に、ヘッダ中の分割情報を修正する。
なお、第2のレイヤで受信された第3レイヤPDUは、第3のレイヤがARQを実装している場合、ARQステータスレポートに従ってすでに事前分割されている可能性がある。ただし、この手法は、第3のレイヤがARQを実装していない場合にも適用可能である。そして、この事前分割は、過去の割り当てに関するいくつかの統計的尺度または別のルールに従って行われるようになっていてもよいが、必ずしも実行される必要はない。
さらに、本開示は、二重接続または多重接続にも適用可能であるのが好都合である。多重接続は、非理想的なバックホールを介して接続された複数の異なるスケジューラが提供するE−UTRAおよびNRの無線リソースを接続モードの複数の受信/送信UEが利用するように構成された動作モードである。言い換えると、多重接続により、(端末等の)送信機の第3のレイヤの上のレイヤは、複数の基地局(eNB)に送信される同じパケット(IPまたはPDCP)を提供する。そして、2つ以上の基地局が同じパケットを独立して受信するため、ネットワークによる正しい受信の確率が高くなる。
多重接続の概念は、いわゆる「二重接続」概念として3GPP RAN作業グループで議論されている前途有望なソリューションである二重接続といくらか類似している。用語「二重接続」は、非理想的なバックホールで接続された少なくとも2つの異なるネットワークノードにより提供される無線リソースを所与のUEが消費する動作を表すのに用いられる。本質的に、UEは、マクロセル(マクロeNB)およびスモールセル(副eNB)の両者と接続される。さらに、UEの二重接続に含まれる各eNBは、異なる役割を仮定していてもよい。これらの役割は、必ずしもeNBの電力クラスに依存せず、UE間で変動し得る。ただし、異なるデータがUEから異なるeNBに送られる二重接続と異なり、多重接続においては、複数のリンク/セル上で同じIP/PDCPパケットが送信される。複数の受信eNBのうち、1つがマスターとして機能し、複数の接続を介して受信されたセグメントの再組み立てを実行するレイヤを実装する。マスターeNBは、その他のeNBと通信する。
たとえば、LTEに関して言えば、PDCPレイヤは、単接続から多重接続への切り替えに際してすでに実行している他の機能のほか、再組み立て機能を引き受ける。ARQは、(AMにおいては)依然としてRLCレイヤで動作し得るが、この場合、PDCPレイヤは、行方不明のPDCP SNの詳細(の全部または一部)をRLCレイヤと共有することが必要となる。PDCPレイヤは、セグメントの行方不明の部分について、RLCレイヤに通知することになる。その後、RLCレイヤの受信エンティティは、RLCレイヤの送信エンティティにステータスレポートを送信することになる。したがって、RLCレイヤとPDCPレイヤとで別個のARQは不要であり、これは、単接続および多重接続を意味するものであって、ARQはいずれもRLCレイヤにて動作し得る。あるいは、PDCPレイヤは、それ自体のステータスレポートを構成して、送信側PDCPエンティティに送ることができる。ステータスレポートには、行方不明のPDCP PDUおよび/またはPDUセグメントに関する情報を含むものとする。
上述のように遅延の低減および/またはオーバーヘッドの低下を可能にするため、本開示は、送信側および受信側で実装される効率的なレイヤモデルを提供する。これには、以下のうちの1つまたは複数を含む。
分割を第2のレイヤに移す。すなわち、データを(第3のレイヤから)物理リソースにマッピングするために実時間処理を実行する必要がある物理レイヤに可能な限り近づける。これにより、対応するグラントの受信前であっても、共有チャネル上でデータを送信する準備が可能となる(この可能性を端末の実装に利用してもよいし、利用しなくてもよい。言い換えると、端末のタイミングに前処理されたPDUを利用するか否かは、実装次第であってもよい)。
複数のレイヤがアクセスする共通の制御情報を採用する。通例、レイヤモデルでは、各レイヤが当該レイヤで生成された制御情報にしかアクセスしないものと仮定する。これにより、複数のレイヤで提供される複製制御情報すなわち異なるレイヤのPDUのヘッダが重複する場合もある。これは、受信データの並べ替えを可能にするシーケンス番号に当てはまり得る。共通のシーケンス番号が(PDCPおよびRLC等の)2つ以上のレイヤに用いられるようになっていてもよく、これによりヘッダのオーバーヘッドが低下する。
上位レイヤ(第3のレイヤ、より詳細にはRLCまたはPDCP等)は、ARQ機能をサポートする。したがって、第3レイヤステータスレポートに基づいて、第3のレイヤは、PDUの分割を実行する。ここで、ステータスレポートに基づく第3レイヤPDUの分割は、(第2のレイヤ、より詳細にはMAC等)で受信した割り当てに基づいて実行される分割とは異なっていてもよいと仮定する。第3のレイヤがステータスレポートに基づく情報を第2のレイヤに提供し、第2のレイヤのみが割り当ておよびステータスレポートの両者に基づいて分割を実行する場合に、同様の利点が実現され得る。この手法によれば、(前処理による)時間の節約およびリソースの節約(再分割によって、行方不明のセグメントのみを再送信可能)の両者が可能である。
<ARQのためのレイヤ2分割、レイヤ3事前分割>
一実施形態によれば、通信システムにおいてデータを無線インターフェース上でデータ受信ノードに送信するデータ送信ノードが提供される。プロトコルスタックレイヤモデルの機能を実装するため、データ送信ノードは、データ受信ノードからフィードバックされたステータスレポートに従ってARQ再送信を実行するか、または実行せず、ステータスレポートに含まれるセグメント長さ情報に基づいて(存在する場合に)再送信されるデータを再分割するか、または再分割しない第3レイヤ処理ユニット(以下、「処理ユニット」は「処理回路」と置き換え可能)を備える。再分割には、たとえばヘッダとして、分割されたデータ分割制御情報に追加することを含む。このヘッダは、第2のレイヤにおいても解釈されるとともに使用され、第3レイヤデータユニットとともに第2のレイヤに提供されるのが好都合である。本実施形態においては、再送信プロトコルが第3のレイヤにより管理され、第3のレイヤの下位または上位の他のレイヤにおける独立したARQ/HARQプロトコルの適用は除外されないものと仮定する。
データ送信ノードは、第3レイヤ処理ユニットから第3レイヤデータユニットを受信し、リソース割り当てに基づいて第3レイヤデータユニットを分割し、第3レイヤデータユニットの各セグメントおよび再分割が適用される場合に修正される分割制御情報を含む複数の第2レイヤデータユニットを形成する第2レイヤ処理ユニットをさらに備える。リソース割り当ては、データ受信ノードから受信されるようになっていてもよいし、データ送信ノードで生成されるようになっていてもよい。たとえば、送信ノードが端末(UE)である場合は、リソース割り当て(アップリンクグラント)が基地局すなわちデータ受信ノードから受信されるようになっていてもよい。一方、送信ノードが基地局である場合は、送信用のリソース割り当てが基地局で生成され、MACレイヤに提供されるようになっていてもよい。ただし、本開示は、端末間、中継器と端末間、または中継器と基地局間の直接通信にも適用可能である。
最後に、データ送信ノードは、第2のレイヤから、複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数を受信し、データ送信用に割り当てられたリソースに対して、複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数をマッピングする第1レイヤ処理ユニットを備える。
なお、データ送信ノードは、ヘッダ内でシーケンス番号を提供する第4レイヤ処理ユニットをさらに備えていてもよい。シーケンス番号は、新しい第4レイヤSDUすなわちIPパケットごとに増えるが、所定の最大値を有するため、増加が循環するようになっていてもよい。第3のレイヤは、別のシーケンス番号を提供しないものの、PDCPレイヤが提供するシーケンス番号を含む第4レイヤ処理ユニットを包含するのが好都合である。
LTEの専門用語に関しては、第1のレイヤが物理レイヤ、第2のレイヤがMACレイヤ、第3のレイヤがRLCレイヤ、第4のレイヤがPDCPであってもよい。ただし、いくつかの実施形態においては、第3のレイヤをPDCPレイヤと考えてもよいし、特に現在のLTEを基準として発展するアーキテクチャの場合は、RLCおよびPDCPの両機能を備えた1つの混合レイヤと考えてもよい。
図6は、本実施形態に係る送信側の処理をLTE専門用語で例示している。送信側は、データをアップリンクにおいて基地局に送信する端末であってもよい。ただし、本開示はこれに限定されず、送信側は、データを別の端末またはその他任意のノードに送信する端末であってもよい。さらに、本開示は、基地局、中継ノード、またはデータ送信機である別のノードにも適用可能である。
図6に示すように、長さ1200バイトのIPパケット1がPDCPレイヤに提供されて、PDCP SDUが形成される。PDCP SDUには、単一ビットと考えられるD/Cインジケータを含むヘッダが追加される。このビットは、PDCP PDUの内容がデータであるか制御PDUであるかを示す。本例においては、データPDUの場合に設定され(すなわち、ビットが1に等しい)、制御PDUの場合に設定されない(すなわち、ビットが0に等しい)。ただし、一般的には、設定/非設定が逆であってもよい。PDCPヘッダには、PDCPシーケンス番号(SN)をさらに含む。
PDCP PDU1(ペイロード1200バイト)は、RLCレイヤに送られて、RLC SDUが形成される。RLCレイヤには、RLC PDUに関連するRLCヘッダを含む。図示のように、RLCヘッダには、別のD/Cフラグ、Pフラグ、およびRFフラグを含む。D/Cフラグは、RLC PDUにより制御が搬送されるかデータが搬送されるかを示す一方、Pフラグは、受信機(相手側RLCエンティティ)にステータスレポートを要求するように設定されたポーリングビットである。これが設定されていない場合は、ステータスレポートが要求されていない。RFフラグは、RLC PDUがPDCP PDU全体であるかPDCP PDUセグメントであるかを示す再分割フラグである。RF値は、最初は0に設定されており、RLC PDUがPDU全体であることを示す。その後、RLC PDU1の一部としてMACレイヤに配送される。本例において、PDCP PDU/IPパケットのデータの最初の送信の場合は、RLCレイヤが分割を実行せず、MACレイヤが分割を実行する。したがって、最初の送信の場合、RF値は常に、0に設定されている。
図6の例において、送信MACエンティティは、受信したグラントに基づいてRLC PDUを分割する必要がある。さらに、本例において仮定されるグラントサイズは、2つの異なる送信機会において800バイトおよび400バイトである(または、少なくとも1つのグラントが800バイト、残りが別のグラントを待つ)。このため、MACレイヤは、MAC SDUに対応するRLC PDUを分割する。RLC PDUの分割後、送信MACエンティティは、分割関連MACヘッダ部を各MAC PDUに含めることにより、含まれるRLC PDUのセグメントオフセット(SO:Segment Offset)および最終セグメントフィールド(LSF:Last Segment Field)を示すとともに、図6においてMAC PDU1およびMAC PDU2と表されるMAC PDUを形成する。MAC PDU1が800バイトのペイロードを含む一方、MAC PDU2は、400バイトのペイロードを含む。MAC PDU1およびMAC PDU2はそれぞれ、TTI0およびTTI1に送信される。そして、TTI0およびTTI1は、異なるリソース(たとえば、異なる時間リソース)となるように多重化される。ただし、本開示がこれによって、異なる時点への2つのMAC PDUのマッピングに限定されることはない。一般的には、異なる種類のリソース(たとえば、MIMOシステムの異なる周波数または異なるストリーム、直交コード等)に2つ以上のMAC PDUがマッピングされる。
本例におけるSOフィールドは、元のPDU内のPDUセグメントの位置(バイト単位)を示す。具体的に、SOフィールドは、PDUセグメントのデータフィールドの最初のバイトが対応する元のPDUのデータフィールド内の位置を示す。元のPDUのデータフィールドの最初のバイトは、SOフィールドの値ゼロにより参照される。LSFフィールドは、PDUセグメントの最後のバイトがPDUの最後のバイトに対応するか否かを示す。
MACレイヤは、論理チャネルID(LCID)およびMACヘッダに続く他のフィールドが存在するか否かを示す拡張フラグ(E)等の別のフィールドをMAC PDU1およびMAC PDU2に含めるようにしてもよい。値1は、このフィールドに続いて少なくとも1つまたは複数のE/LCIDフィールドが存在することを示す。値0は、このフィールドに続くE/LCIDフィールドがもはや存在せず、次のバイトがMAC SDUの開始バイトであることを示す。ヘッダには、いくつかの別のフィールドまたは予約フィールドが存在していてもよい(図示せず)。
本実施形態によれば、通信システムにおいてデータを無線インターフェース上でデータ送信ノードから受信するデータ受信ノードも提供される。データ受信ノードは、データ送信用に割り当てられたリソースから、複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数をデマッピングするとともに、デマッピングされた複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数を第2レイヤ処理ユニットに提供する第1レイヤ処理ユニットを備える。さらに、データ受信ノードは、複数の第3レイヤユニットセグメントおよび複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数からの分割制御情報の逆多重化を実行するとともに、分割制御情報と併せて、逆多重化された複数の第3レイヤユニットセグメントを第3レイヤ処理ユニットに転送する第2レイヤ処理ユニットをさらに備える。データ受信ノードは、逆多重化された複数の第3レイヤセグメントの並べ替えおよび第3レイヤユニットへの組み込みを実行する第3レイヤ処理ユニットをさらに備える。
このため、第2レイヤデータユニットの一部である(特に、第2レイヤヘッダにて搬送され得る)分割情報は、第3のレイヤでも確認され、使用される。したがって、この手法は、一方では厳密なレイヤ分離を無視し、他方ではオーバーヘッドを節約して、第3のレイヤでの並べ替えおよび再組み立ての効率的な実行を可能にする。これは特に、第3のレイヤにおいてARQ手順が実装されている場合に都合が良いものの、必ずしもその必要はなく、本開示を制限するものではない。
例示的な一実施態様によれば、データ受信装置の第3レイヤ処理ユニットは、少なくとも1つの第3レイヤユニットセグメントが正しく受信されたか否かを示すステータスレポートを搬送する制御データを生成するようにさらに構成されている。ステータスレポートは、少なくとも1つの第3レイヤデータユニットの肯定応答もしくは否定応答ならびに/または第3レイヤデータユニットの正しく受信されたセグメントもしくは行方不明のセグメントの指定のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。ここで採用し得るステータスレポートの例示的なフォーマットについては、非特許文献8の第6.2.1.6項に見られる。ただし、これは一例に過ぎず、ステータスレポートは、第3レイヤPDUまたはそのセグメントに対する肯定および/または否定受信応答が可能な限り、異なるフォーマットおよび内容を有していてもよい。
図7は、エラーが発生しやすいチャネルを通じて受信されたMAC PDU1およびMAC PDU2の例示的な受信処理を示している。図7に示すように、MAC PDU1(ペイロード800バイト)は正しく受信されているものの、MAC PDU2(ペイロード400バイト)は失われている(正しく復号化できていない、すなわち、CRC障害)。
MACレイヤは、RLC PDU1の逆多重化を実行して、RLCレイヤに送信する。その後、RLCレイヤは、MACセグメントの再組み立ておよび並べ替えを実行する。RLC受信側(RX)は、MAC PDU1に属する800〜1200バイトの正しい受信を示すステータスレポートをRLC送信側(TX)に送る。RLC PDUセグメントの並べ替えおよび再組み立ては、MACレイヤからのヘッダ情報に基づいて実行される。図7の例においては特に、ヘッダ情報がセグメントオフセットおよびLSFインジケータを含む。RLCレイヤのD/Cフィールドによれば、RLCデータPDUとステータスレポート等のRLC制御PDUとの識別が可能である。
図8は、RLC送信側における例示的な後続動作を示しており、送信側が(たとえば、ステータスレポートに基づいて)行方不明の第2のMAC PDU2セグメントを認識しているものと仮定する。図8に示すように、本例において、RLC TXは、送信バッファから対応する行方不明パケットのRLC PDU全体を取得し、RLCステータスレポートが行方不明として示す400バイト(800〜1200)の新たな分割(再分割)を実行する。再分割には、適当なRLCヘッダのアタッチも含む。ここで、RLCヘッダには、オフセット(バイト単位)により再送信されるRLC PDUセグメントの位置を示すセグメントオフセットを含む。本例においては、801〜1200の行方不明の400バイトが再送信されるため、セグメントオフセットSOは801である。そして、行方不明の400バイトに対応する再分割RLC PDUがMACレイヤに配送される。
その後、MACレイヤは、受信したRLC PDUの分割を実行し、MAC PDU1(200バイトのデータを含む)およびMAC PDU2(同じく200バイトのデータを含む)を形成する。これらはそれぞれ、最初の送信について図6を参照しつつ上述した通り、TTI0およびTTI1に送られる。当然のことながら、一般的には、MACレイヤのみが必要に応じて分割を実行する。ここで、本例においては、グラントサイズが十分ではないため、MACレイヤがMAC PDU1およびMAC PDU2を形成する。割り当てが十分な場合は、分割が不要である。あるいは場合により(割り当てが1つのMAC PDUに必要とされる以上の場合)、連結が実行される。
特に、MACレイヤは、RLCヘッダからSOフィールドおよびLSFフィールドを読み込んで、グラントサイズに基づいて修正する。すなわち、本例においては、それぞれ200バイトおよび200バイトの分割サイズを反映させる。図8に見られるように、MACレイヤは、分割されたMAC PDUの各ヘッダ(すなわち、SO=801およびSO=1001)に新たな分割情報を提供するが、これらは、最初に送信された(再分割ではない)RLC PDUおよびLSF内で再送信されるデータの新たなセグメントの位置に対応する。図9は、図8のMAC PDU1およびMAC PDU2がともに正しく受信された一例を示している。MACレイヤは、正しく受信されたMAC PDU1およびMAC PDU2をRLCレイヤに配送する。RLCレイヤは、MACセグメントの並べ替えおよび再組み立てを実行した後、PDCP PDU全体をPDCPレイヤに配送する。並べ替えは、シーケンス番号(SN)に基づいて実行される。前述の通り、オーバーヘッドを節約するため、PDCPレイヤおよびRLCレイヤの両者には、シーケンス番号が1つだけ用いられるのが好都合である。
言い換えると、RLC RXは、(最初の送信後に再送信または正しく受信された)RLC PDUのすべてのセグメントを収集し、MACヘッダ情報に基づいて並べ替え、当該RLC PDUを再組み立てする。再組み立てされたPDUはその後、上位レイヤ(PDCPまたはPDCPが存在しない場合は直接IP)に提供されて、さらに処理される場合がある。
以上から、本開示では、以下の表2に示すように、RANプロトコルスタックの異なるレイヤが実行する機能を修正する。
以下、表3〜表5は、レイヤPDCP、RLC、およびMACそれぞれのヘッダの例を示している。
上表において、シーケンス番号の長さは、10ビットと例示されている。ただし、これは一例に過ぎず、本開示を制限するものではない。LTEにおいてはすでに、無線ベアラの特性に応じて、PDCPシーケンス番号の長さを5ビット、7ビット、または12ビットにすることができる。シーケンス番号の長さは、当業者には明らかなように、システム設計の問題であり、本開示の目的では如何なる長さを有するように選択されてもよい。
図6に示すように、PDCP PDUは、受信機においてRLCレイヤに送られる。PDCP、RLC、およびMACレイヤは、これらすべてのレイヤが把握する汎用的なシーケンス番号を使用するのが好都合である。本例においては、これらすべてのレイヤが把握するか、または下位レイヤではSNが必ずしも必要ないために少なくともPDCPおよびRLCが把握するPDCPシーケンス番号が使用される。
RLCレイヤは、関連するRLCヘッダ(たとえば、PDU全体またはPDUセグメントを示すRFフィールド)をRLC PDUに含む。RF値は、最初は0に設定され、ステータスレポートがRLC TXに到着したら更新される。送信側がRLCデータPDUを送信する場合は、再送信の可能性を考えて、RLC PDUを依然として再送信バッファに格納する。ステータスレポートにより、受信機によって再送信が要求される場合がある。図6に見られるように、その後はRLC PDUがMACレイヤに配送される。その後、送信MACエンティティは、上位レイヤ(RLC)から受信されたMAC SDUに関して分割および/または連結を実行することにより、MAC PDUを形成する。
各送信機会(TTI)でのMAC PDUのサイズは、無線チャネル状態および利用可能な送信リソースに応じて、MACレイヤ自体により決定されて通知される。背景技術の項に記載の通り、各TTIにおいて異なる割り当て(たとえば、より良好なリンク適応のための変調およびコード化方式の変更による異なる量のデータの収容)が可能となるように、共有チャネルに対して動的なスケジューリングが適用されるようになっていてもよい。
各送信MAC PDUのサイズは、上記のように異なり得る。送信MACエンティティは、当該MACエンティティに到着した順序で、RLC PDU/MAC SDUをMAC PDUに含める。したがって、各セグメントのサイズおよび割り当てリソースに応じてMACが分割のみならず、連結も実行し得るため、単一のMAC PDUがRLC PDU全体またはRLC PDUセグメントを含み得る。MAC PDUがN個(Nは0より大きな整数)のRLC PDUおよび/またはPDUセグメントを含む場合、MACレイヤは、すべての対応するRLC PDUおよび/またはPDUセグメントそれぞれに対してN−1個の長さフィールド(Lフィールド)を含むものとする。すなわち、最後以外のRLC PDUおよび/またはPDUセグメントごとに1つのLフィールドを含むものとする。
受信側では、図7に示すように(図6〜図9の例が連結ではなく分割に関するため、LIフィールドは図示せず)、MACレイヤが実際のデータ開始位置を把握している。ヘッダ長のほか、LフィールドとともにMAC PDU長も把握しているためである。ここでは、ヘッダ長が把握されているものと仮定する。たとえば、予め規定されていてもよいし(たとえば、規格において指定されていてもよし)、ヘッダのフィールド内で指定されていてもよい。上記例では、ヘッダが継続するか終了となるかを示すのに、拡張ビットが用いられるため、これによりヘッダサイズを決定することができる。
MACレイヤは、分割フィールド(SOおよびLSF)を削除せずにMAC PDUの逆多重化を実行する。その後、逆多重化されたRLC PDU/セグメントは、RLCレイヤに配送される。受信RLCレイヤは、RLC PDUセグメントを受信した場合、シーケンス外で受信された場合は最初に並べ替えおよび再組み立てを行う(図9も参照)。MACレイヤにおいて並べ替えおよび再組み立てを実行しない利点の1つとして、処理時間の短縮が挙げられる。受信側で1つのセグメントが行方不明の場合、MACレイヤは、上位レイヤ(RLC)への配送を遅らせることになる再組み立ておよび並べ替えを行わないことも可能である。再組み立ておよび並べ替えを遅らせないように、MACレイヤは、分割フィールド(SO、LSF)をRLCレイヤに受け渡す。図6を参照して上述した通り、分割および連結がMACレイヤにより実行されるためである。したがって、RLCレイヤは、MACレイヤから受信された分割ヘッダフィールドを読み出し、分割(たとえば、SO、LSF)および連結(たとえば、LI)ヘッダフィールドに基づいて、並べ替えおよび再組み立てを必要に応じて実行する。これにより、受信RLCレイヤがMACレイヤシグナリングフィールドを把握して使用する必要があることから、本例においては、レイヤ間相互作用が必要となる。
MACレイヤにおいてシーケンス外で受信された如何なるRLC PDUも、上位レイヤ(RLC)に配送される。受信RLCにおいてはARQ動作が実行されて、エラーのない送信(確認モード)がサポートされる。送信側が行方不明のRLC PDUのみを再送信できるように、受信側は、RLC PDUに関する行方不明のPDUまたはPDUセグメント情報を示すRLCステータスレポートを送信側に提供する。
1つまたは複数のPDU/セグメントが行方不明のステータスレポートに応答して、RLCレイヤの送信機は、送信バッファから、対応する行方不明のパケットのRLC PDU全体を取得し、RLCステータスレポートが示す行方不明のセグメントに基づいて(再)分割を実行する。ステータスレポートの受信後に再分割が実行された場合、RLCは、RFフィールドを0から1に変更する。そして、(再)分割されたPDUがMACレイヤに配送され、RFフラグが読み出される。再送信手順において無線状態が劣化する可能性もあるため、行方不明のPDUセグメントまたはPDUは、(MACレイヤにより行われる)再送信の前により小さなセグメントへと分解される(再分割される)ことが必要となり得る。これを図8に示すが、この図においては、再送信バッファ中の元のペイロード1200バイトのRLC PDUから、ペイロード400バイトの行方不明のRLC PDUがRLCレイヤで取得され、より小さなペイロード200バイトのMAC PDUへとさらに分解(再分割)される。
<MACレイヤにおける再分割>
図8を参照すれば、RLCのオーバーヘッドがわずかに増加していることが分かる。RLC送信機は、セグメントの行方不明の部分に基づいて、すなわち正しく受信されず、RLCステータスレポートにより示された後MACレイヤに配送される400バイトの長いデータに基づいて再分割を実行するためである。したがって、RLCにおいては再分割ヘッダ(SO、RF、およびLSFを含む)が必要であり、このためRLCヘッダのオーバーヘッドが増加する。
オーバーヘッドを抑えるため、一実施形態によれば、MACレイヤにおいて再分割が実行される。
特に、本実施形態によれば、通信システムにおいてデータを無線インターフェース上でデータ受信ノードに送信するデータ送信ノードが提供される。データ送信ノードは、データ受信ノードからフィードバックされたステータスレポートに従って自動再送要求(ARQ)の再送信を実行する第3レイヤ処理ユニットを備える。データ送信ノードは、第3レイヤ処理ユニットから第3レイヤデータユニットを受信し、ステータスレポートに従うとともにリソース割り当てに基づいて第3レイヤデータユニットを分割し、分割された第3レイヤデータユニットの各セグメントを含む複数の第2レイヤデータユニットを形成する第2レイヤ処理ユニットをさらに備える。また、第2のレイヤから、複数の第2レイヤデータユニットを受信し、データ送信用に割り当てられたリソースに対して、複数の第2レイヤデータユニットをマッピングする第1レイヤ処理ユニットが存在する。
したがって、分割機能は、物理レイヤに最も近いレイヤである第2のレイヤにすべて移される。選択例に基づいて、これを図10に詳しく示す。
送信機のRLCレイヤは、ステータスレポートを要求するポーリングビット(本実施形態がUMではなくAMで適用される場合)およびRLC PDUがペイロード(ユーザ)を搬送するか制御データを搬送するかを示すD/Cフィールドを含むヘッダをPDCP PDU(RLC SDU)に追加する。なお、RLCレイヤが非確認モードでも動作し得るため、本開示は、ARQを実行するRLCレイヤに限定されない。
RLC TXレイヤは、RLC RXから受信されたステータスレポートをMACレイヤに配送する。MACレイヤは、シーケンス番号(SN)、SOstart、およびSOend値等の分割情報をステータスレポートから読み出し、これに応じて分割を実行する。したがって、RLC TXは、再送信バッファからRLC PDU全体を取得して、MAC TXに送信する。これを図10に示すが、この図は、図8に示すようなわずか400バイトではなく、1200バイトのPDCP SDUデータを備えたデータフィールドを含むRLCPDUを示している。
その後、MAC TXレイヤは、分割情報(たとえば、図10に示すように、RLCステータスレポートにより示され、RLCレイヤによりMACレイヤまで転送されたSOstart、SOend、およびSN等)に基づいて分割を実行する。これによれば、MAC PDUヘッダが生成される。図10のヘッダは、LCID(論理チャネル識別子)、別のヘッダ情報が存在するか否かを示すEビット、ならびに、ここではRLC PDU内の搬送セグメントの開始を示すセグメントオフセット(バイト単位が可能)、および包含されるRLC PDUセグメントがRLC PDUの最後であるか否かを示す最終セグメントフィールド(LSF)を含む分割情報を含む。図10に見られるように、それぞれ200バイトおよび200バイトの2つのセグメントに対する801および1001のオフセットが伝えられる。
図11Aは、非特許文献8において規定されたステータスレポート(STATUS PDU)を示している。STATUS PDUは、STATUS PDUペイロードおよびRLC制御PDUヘッダから成る。RLC制御PDUヘッダは、D/CおよびCPTフィールドから成る。STATUS PDUペイロードは、RLC制御PDUヘッダに続く最初のビットから始まり、1つのACK_SNおよび1つのE1、ゼロ組以上のNACK_SN、E1およびE2、ならびに場合により各NACK_SNに対する一組のSOstartおよびSOendから成る。STATUS PDUの最後には、必要に応じて1〜7つのパディングビットが含まれることで、オクテット(8ビット)の整列が実現される。
図11Bは、RLCステータスレポートの例示的なフォーマットを示している。この例示的なステータスレポートは、図11Aに例示のLTEステータスレポートに類似し、同様のフィールドを含む。図11Bのステータスレポートは、RLCシーケンス番号ではなくPDCPシーケンス番号が伝達される点において図11Aのステータスレポートと異なる。
特に、このステータスレポートは、D/Cフィールドと、PDUがステータスPDUであるか否かを示す(ステータスレポートのステータスPDUを示す)CPT(制御PDUタイプ)フィールドとを含む。PDCP ACK_SNは、ステータスレポート(STATUS PDU)において行方不明と報告されていない次の未受信RLCデータPDUのSNを示す10ビットの長いフィールドである。ここで、接頭語「PDCP」は、RLCおよびPDCPレイヤに共通のSNが使用されるため、ステータスレポートにも適用されることを強調している。
拡張ビット1(E1)は、一組のPDCP NACK_SN、E1、およびE2が続くか否かを示しており、0に設定された場合は一組のNACK_SN、E1、およびE2が続かず、1に設定された場合は一組のNACK_SN、E1、およびE2が続く。
否定応答SN(NACK_SN)(本例におけるPDCP NACK_SNフィールド)は、AM RLCエンティティの受信側で失われたものとして検出されたRLC PDU(または、その一部)のSNを示す。
拡張ビット2(E2)は、一組のSOstartおよびSOendが続くか否かを示しており、0に設定された場合はこのNACK_SNに対して一組のSOstartおよびSOendが続かず、1に設定された場合はこのNACK_SNに対して一組のSOstartおよびSOendが続く。
非特許文献8によれば、第6.2.2.18項および第6.2.2.19項において、これらSOstartおよびSOendが以下のように記載されている。
SOstart(15ビット):SOstartフィールドは(SOendフィールドと併せて)、AM RLCエンティティの受信側で失われたものとして検出されたSN=NACK_SN(SOstartが関連するNACK_SN)のRLC PDUの部分を示す。具体的に、SOstartフィールドは、RLC PDUのデータフィールド内のRLC PDUの部分の最初のバイトの位置をバイト単位で示す。
SOend(15ビット):SOendフィールドは(SOstartフィールドと併せて)、AM RLCエンティティの受信側で失われたものとして検出されたSN=NACK_SN(SOendが関連するNACK_SN)のRLC PDUの部分を示す。具体的に、SOendフィールドは、RLC PDUのデータフィールド内のAMD PDUの部分の最後のバイトの位置をバイト単位で示す。AMD PDUの行方不明の部分がAMD PDUの最後のバイトまでの全バイトを含むことを示すには、特殊なSOend値「111111111111111」が用いられる。言い換えると、SOstartおよびSOendはそれぞれ、否定応答のRLC PDUセグメントの最初と最後を示す。
<セグメント番号>
通常30ビット長のセグメントオフセット(開始・終了ともに)は、特に小さなセグメントの場合に、MACサブヘッダオーバーヘッドを増大させる。
オーバーヘッドを抑えるため、本実施形態において、セグメント識別情報はこのように、第3レイヤデータユニット内の第3レイヤデータユニットのセグメントのシーケンス番号を示すセグメント番号である。このセグメント番号は、図示のように(すなわち、SOフィールドの代わりに)データPDUにおいて用いられるようになっていてもよい。ただし、セグメント番号は、ステータスレポート(STATUS PDU)での使用により、SOstartおよびSOendを置き換え得るのが好都合である。
一例において、MACサブヘッダ(すなわち、分割に関連するヘッダの部分)は、30ビットのセグメントオフセット(15ビットのSOstartおよび15ビットのSOend)の代わりに4ビット長のセグメント番号を使用することにより短くなる。このため、MACレイヤは、セグメント番号を示す4ビットに基づいて分割を実行する。4ビットのセグメント番号によれば、最大16個のセグメントを識別可能である。ただし、ここで、4という数字は、例示目的に過ぎない。対応するユーザプレーンレイヤアーキテクチャに必要なセグメントが多い場合または少ない場合は、最大数のビットを用いて上記を行うことも可能である。本実施形態の手法は、RLC PDU内の各セグメントの開始と終了の代わりに各セグメントのセグメント番号を伝えることによって、オーバーヘッドを抑える。オフセットが関連するRLC PDUのビット数に対して、セグメントの数の方が確実に少ないため、オーバーヘッドは一般的に、オフセットではなくセグメントをアドレス指定することによって抑えられる。
送信側の場合のセグメント番号の採用を図12に示す。特に、図12は、PDCPに提供されるIPパケットを示しており、これは、D/CフィールドおよびPDCP SNが追加されるとともに、このヘッダ情報と併せてRLCレイヤに提供される。RLCレイヤは、D/Cフィールドおよびポーリングフィールドを含む自身のヘッダを追加することによってPDCP PDUを包含する。ここで、RLCレイヤで分割が実行されないことから、RFフィールドは不要である。むしろ、RLC PDU1は、全体としてMACレイヤに提供される。
図12に示すように、MACレイヤにおいては、それぞれ800バイトおよび400バイトを含むセグメント0およびセグメント1という2つのセグメントにRLC PDUが分割される。この分割は、割り当てサイズに基づいて実行されるようになっていてもよい。RLC PDUの分割後、送信MACエンティティは、関連するMACヘッダを含めることにより、MAC PDUを形成する。特に、このヘッダは、セグメントの長さを示す長さインジケータ(LI)、セグメント番号(たとえば、上述の4ビット)、最終セグメントフィールド(LSF)、および含まれるRLC PDUに対して0に設定されたフィールドR(再分割が続かないことを示す)を含む。LIフィールドは、1つのMAC PDUが2つ以上のRLC PDUを含む連結の場合に必要である。分割の場合は、グラントサイズが知られているため、受信機は、グラントのサイズを把握し、これに応じて逆の動作を実行することができる。
そして、MACレイヤは、分割情報に基づいて、図12においてMAC PDU1およびMAC PDU2と称する2つのMAC PDUを形成する。MAC PDU1およびMAC PDU2はそれぞれ、各送信時間間隔TTI0およびTTI1に送信される。
図13は、本実施形態の場合の例示的な受信側レイヤ処理を示しており、セグメントオフセットの代わりにセグメント番号が採用されている。
図13に示すように、受信側では、MAC PDU1が正しく受信される一方、MAC PDU2は失われる。MACレイヤは、(R、セグメント番号、およびLSFを含む)分割ヘッダとともにMAC PDU1をRLCレイヤに配送する。一方、受信側のRLCレイヤは、行方不明の800〜1200バイト(すなわち、MAC PDU2)を示すステータスレポートを送信RLCエンティティに送信する。そして、RLCレイヤは、RLCセグメントの再組み立ておよび並べ替えを実行する。ここでは、最初の800バイトのセグメントのみが正しく受信されるため、本例では並べ替えを実行する必要がない。
図14は、データ受信側からステータスレポートを受信した際の例示的な送信側レイヤ処理を示している。図14に示すように、RLCレイヤは、再送信バッファからRLC PDU全体を取得する(このことは、行方不明の400バイトのみならず、RLC PDUに含まれる1200バイトのPDCP SDUデータによって示される)。そして、MACレイヤは、RLCステータスレポートに基づいて、再分割を実行する。
RLC PDUの再分割の後、送信MACエンティティは、関連するMACヘッダをそれぞれの再分割MAC PDUに含めることにより、含まれる各RLC PDUに関して、それぞれの長さ(LI)、3ビットの再分割番号、最終再分割フィールド(LRF)、およびR=1(再分割が続くことを示す)を示すとともに、図14においてMAC PDU1およびMAC PDU2と称するMAC PDUを形成する。
たとえば、RLCステータスレポートにおいて報告される通り、(LCP実行後の)対応するLCIDの利用可能なグラントに行方不明のセグメントが適合し得ない場合は、必要に応じて、MACレイヤがセグメント番号の行方不明の部分の再分割を実行するようにしてもよい。この目的のため、MACは、たとえば3ビット(または、必要に応じてそれ以上)を用いることにより、RLC PDUの対応するセグメントの「再分割」を識別するようにしてもよい。
以上をまとめて、第2レイヤ処理ユニットは、第3レイヤデータユニットのセグメント内の第3レイヤデータユニットのセグメントのシーケンス番号を示し、セグメント番号よりも少ないビット数で伝えられる再分割番号を含むセグメント識別情報を第2レイヤデータユニットのヘッダに含める。ただし、これは、本開示を制限するものではない。セグメント番号および再分割番号のサイズは、同じであってもよい。「再分割」に採用可能な別の用語は、「サブセグメント」である。これは、過去の分割の結果としてのセグメントのサブセグメントである。
あるいは、図14においては、セグメント番号がセグメントに用いられ、セグメントオフセットがサブセグメント番号の代わりにサブセグメントに用いられるようになっていてもよい。再送信が頻発しないことから、より高いオーバーヘッドを受け入れ可能であるものと仮定されるためである。
図15は、図14に示すMAC PDU1およびMAC PDU2の再送信の受信時の受信側レイヤ処理を示している。
図15に示すように、MACレイヤは、MAC PDU1およびMAC PDU2の逆多重化を実行して、それぞれのヘッダの一部を削除する。ただし、並べ替えおよび再組み立てがRLCレイヤで実行されることから、MACレイヤは、関連する分割ヘッダフィールド(Rフィールド、セグメント番号、LSF、LRF、および再分割番号)を維持する。そして、RLCは、MACセグメントの並べ替えおよび再組み立てを実行して、結果(PDCP PDU)をPDCPレイヤに送る。
<第2のレイヤにおける並べ替えおよび再組み立て>
本開示の別の実施形態によれば、受信側がさらに変更される。特に、RLCレイヤで並べ替えおよび再組み立てを実行する代わりに、MACレイヤが並べ替えおよび再組み立てを実行する。この場合は、レイヤ間相互作用が不要である。この構成において、MACレイヤは、再送信処理の実行も担う。セグメントの任意の部分が行方不明の場合、MACレイヤの受信エンティティは、ステータスレポートをMAC TXに送信する。MACステータスレポートは、RLCステータスレポートと若干異なる。特に、このステータスレポートにおいては、どのステータスレポートがどのLCID(論理チャネル)に属するかを区別するLCIDフィールドが設けられる。
言い換えると、通信システムにおいてデータを無線チャネル上でデータ送信ノードから受信するデータ受信ノードは、データ送信用に割り当てられたリソースから、複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数をデマッピングするとともに、デマッピングされた複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数を第2レイヤ処理ユニットに提供する第1レイヤ処理ユニットと、複数の第3レイヤユニットセグメントおよび複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数からの分割制御情報の逆多重化を実行するとともに、分割制御情報と併せて、逆多重化された複数の第3レイヤユニットセグメントを第3レイヤ処理ユニットに転送し、さらに、逆多重化された複数の第3レイヤユニットセグメントの並べ替えおよび逆多重化された第3レイヤユニットセグメントの第3レイヤデータユニットとしての組み立てを実行する第2レイヤ処理ユニットと、を備える。また、第2レイヤ処理ユニットは、データが正しく受信されたか否かをチェックするとともに、ステータスレポートを相手側の第2レイヤエンティティに送信するように構成されていてもよい。受信機の本実施形態は、上述の第2のレイヤにおいて分割/連結が実行される受信機実施形態に特に適している。
<より多くのeNBに対する多重接続/二重接続とより多くのリンクに対する同じベアラ>
多重接続の場合、PDCPレイヤは、複製パケットを異なるeNBに分配する。
以下の表7は、各レイヤの主要機能について、多重接続のプロトコルスタックを記載している。
図16は、多重接続をサポートする本実施形態に係る、IPパケット1の新たな送信の場合の送信側レイヤ処理を示している。
特に、第1のレイヤが物理レイヤ、第2のレイヤが媒体アクセス制御(MAC)レイヤ、第3のレイヤがパケットデータ制御プロトコル(PDCP)レイヤである。ただし、PDCPレイヤおよびRLCレイヤを1つのレイヤとして組み合わせるようにしてもよいし、RLCが機能を実行するようになっていてもよい。第3レイヤ処理ユニットは、無線インターフェース上で、異なる下位レイヤスタックへの同じ第3レイヤデータユニットを異なる各基地局(または、一般的にはデータ受信ノード)に提供するように構成されている。下位レイヤスタックは、互いに個別かつ独立して分割/再組み立てを実行することができる。下位レイヤスタックには、物理レイヤおよびMACを含んでいてもよい。ただし、RLCレイヤを依然として含んでいてもよい。
上述した通り、このレイヤは、現行LTEのレイヤとは異なる名称であり、異なる機能を有していてもよい。一般的に、多重接続は、上位レイヤからパケットを受信し、自身のPDUとして包含されるパケットの複数(2つ以上)のコピーを複数の各スタックの下位レイヤに提供する1つのレイヤを共通して有する。複数のスタックは、上記実施形態のいずれかに記載の通り、互いに別個かつ独立して分割および再組み立てを扱うが、これによって、それぞれの物理チャネル状態およびデータ受信ステータスに適応可能である。
第3のレイヤは、再送信処理を制御するのが好都合である。上記多重接続シナリオにおいては、受信側の各下位レイヤスタックがパケットを正しく受信して再組み立てする必要がない。他のすべてのスタックからパケットのセグメントを収集する1つのスタックがパケットを再組み立てできれば十分である。これは、一種のダイバーシティをもたらし、スループットが向上する。
図16に示すように、IPパケット1は、PDCPレイヤ上のPDCPヘッダにアタッチされ、対応するPDCP PDUが2つの異なる基地局(ここでは、eNB1およびeNB2)に送られる。上述の通り、基地局eNB1およびeNB2(ネットワークノード)は、プロトコルレイヤ(RLC/MAC/物理レイヤ)をそれぞれ実装する。eNB1は、800バイトおよび400バイトをそれぞれ含む2つのセグメントMAC PDU1およびMAC PDU2に対して、RLC PDU1に対応するPDCP PDUを受け渡す。セルが異なればチャネル品質も異なり得るため、eNB2は、異なる分割を採用するようにしてもよい。このため、本例において、eNB2は、500バイトおよび700バイトをそれぞれ含む2つのセグメントMAC PDU1およびMAC PDU2へとRLC PDU1を分割する。RLCレイヤは、確認モードで動作している場合、ARQ機能をさらに担っていてもよい。ただし、上述の通り、PDCPがRLC再送信を制御するようにしてもよい。特に、(各eNBの)各RLCレイヤは、マスターeNBのPDCPにステータスレポートを受け渡すようにしてもよく、再送信が必要か否かおよび対象とするパケットのセグメントをマスターeNBが決定する。これに応じて、PDCPは、各RLCレイヤに対して再送信を実行するように命令する。
図17は、受信側での処理を示している。図17に示すように、0〜800バイトを含むMAC PDU1をeNB1が受信する一方、801〜1200バイトのMAC PDU2は失われる。一方、0〜500バイトを含むMAC PDU1をeNB2が受信する一方、MAC PDU2の行方不明により、501〜1200バイトは失われる。PDCPレイヤは、集中式の並べ替えおよび再組み立てを実行する。
本実施形態において、RLCレイヤで並べ替えおよび再組み立てを実行しない利点として、多重接続時の不要な再送信の回避が挙げられる。再組み立ておよび並べ替えがRLCレイヤで実行された場合、両eNBのRLCレイヤは、個々のRLCステータスレポートをRLC TXに送信することになる(eNB1のRLCが801〜1200バイトのステータスレポートを送信し、eNB2のRLCが501〜1200バイトのステータスレポートを送信する。ここまで、実際に行方不明となっている部分は、801〜1200バイトである)。この場合、RLC TXは、必要以上のセグメントを再送信することも可能であるが、それはRLC RXで破棄されることになる。
この問題を克服するため、本実施形態のRLCレイヤは可能な限り透過的に作用し、中心の並べ替えおよび再組み立て機能は、PDCPレイヤにて実行される。並べ替えおよび再組み立てを実行するため、PDCPレイヤは、MACレイヤのセグメントヘッダ(SOおよびLSF)を理解する必要がある。分割がMACで実行されるためである。PDCPは、MACレイヤからPDUを受信し、RLCレイヤに関して上記実施形態に説明したのと同様に、中心の並べ替えおよび再組み立てを実行する。これは、共通のセグメントと重なり、セグメントの行方不明部分すなわちいずれのeNBによっても正しく受信されていない部分のみを示すステータスレポートを送信する。
図17を参照すれば、上述のような分割情報すなわちSOおよびLSFをMAC PDUが含むことが分かる。ただし、他の実施形態の場合と同様に、分割情報には、セグメント番号および代わりとなるセグメントの長さを含んでいてもよい。さらに、図15は、RLCレイヤにおいてもPDCP SNを使用して、オーバーヘッドを抑えることを示している。ただし、本開示はこれに限定されず、一般的には現行LTEと同様に、別個のシーケンス番号がPDCPおよびRLCレイヤに用いられるようになっていてもよい。前述の通り、レイヤ間設計によって、送信の効率が向上する可能性もある。特に、ステータスレポートは、調整レイヤ(第3レイヤ、PDCP)の下のレイヤ(RLC)で送受信され、調整レイヤに提供されてから、受信セグメントの整合および送信されるセグメントの決定がなされるのが好都合である。さらに、並べ替えおよび再組み立てのほか、再送信の調整を可能にするため、MAC分割情報が調整レイヤに受け渡されるようになっていてもよい。
ただし、PDCPが再送信の調整を実行せず、セグメントが実際に各リンク上で冗長に再送信される場合であっても、本開示は、わずかに効率を落としながら、依然として作用し得る。図17において、PDCP RXは、行方不明の801〜1200バイトに関するステータスレポートを送信するのが好都合である。このステータスレポートは、(一般的に複数の)両eNBに送信されるのが好都合であり、両リンクを通じた再送信によってダイバーシティが実現される。ただし、本開示はこれに限定されず、一般的には、再送信を目的として、単接続が再確立されるようになっていてもよい。
図18に示すように、PDCP TXは、ステータスレポートの受信に際して、送信バッファからPDCP PDU全体(1200バイト)を取得し、PDCPステータスレポートが示す801〜1200バイトの再分割(抽出)を実行する。その後、801〜1200バイトのPDUセグメント(再分割PDU)がMACに配送される。各eNBのMACレイヤは、上記実施形態に記載したリソース割り当てに従って、それ自身の分割を実行する。この場合、図18に見られるように、(eNB1に送信する)第1のMACエンティティは、801〜1200バイトを2つのMAC PDU(すなわち、801〜900バイトのMAC PDU1および901〜1200バイトのMAC PDU2)に分割する。一方、(eNB2に送信する)第2のMACエンティティは、801〜1200バイトを801〜1000バイトの第1のMAC PDU1および1001〜1200バイトの第2のMAC PDU2に分割する。
一般的には、代替手段も存在する。上述の通り、PDCPは、再送信バッファからPDU全体を取得した後、PDCPステータスレポートが示す行方不明パケットの再分割を実行する。
ただし、上記の代替として、PDCPステータスレポートは、MACレイヤにより理解されるようになっていてもよい。したがって、PDCPは、再分割を行うのではなく、PDU全体をMACに受け渡す。そして、このPDCPステータスレポートに基づいて、MACが分割を実行することになる。
さらに別の可能性として、PDCPがセグメントの行方不明部分をRLCに通知することになる。その後、RLCレイヤは、ステータスレポートをRLC TXに送る。
上記に対応して、図19は、図18の再送信の受信時の受信側(アップリンクデータ送信の本例におけるネットワーク側)を示している。特に、本例においては、すべてのセグメントがMACで正しく受信され、逆多重化される。RLCは基本的に、MACから受信した分割情報と併せて、受信したセグメントをPDCPに受け渡す。PDCPは、多重接続のすべてのノード(ここでは、eNB1およびeNB2)から受信したすべてのセグメントの並べ替えおよび再組み立てを実行する。
図20は、通信システム2000の一部であり、チャネル2090上で通信する送信装置2000tおよび受信装置2000rを示している。特に、上記実施形態に記載の通り、第4レイヤ処理ユニット2040t、第3レイヤ処理ユニット2030t、第2レイヤ処理ユニット2020t、および第1レイヤ処理ユニット2010tが対応するレイヤの処理を実行する。送信機2050は、そのアンテナを介して、物理リソースにマッピングされた信号を送信する。これに対応して、受信装置2000rは、第4レイヤ処理ユニット2040r、第3レイヤ処理ユニット2030r、第2レイヤ処理ユニット2020r、および第1レイヤ処理ユニット2010r、ならびにアンテナを通じて送信信号を受信する受信機2060を備える。
図21は、本開示に係る方法の実施形態のうちの1つを例示している。特に、左側には、データ送信側で実行される方法を示す一方、右側には、データ受信側で実行される方法を例示している。
この送信方法は、第3のレイヤによって実行され、第3レイヤSDUを受信するステップ2110tと、これに基づいて、たとえばヘッダの付加によりPDUを生成するステップ2120tと、PDUを第2のレイヤに受け渡すステップ2130tとを含んでいてもよい。そして、第2レイヤ処理には、第3レイヤPDUを第2レイヤSDUとして受信するステップ2140tと、受信した割り当て(いくつかの実施形態においては、さらにステータスレポート)に基づいて、上述の通り分割または連結を実行するステップ2150tと、このように形成されたPDUを第1のレイヤに受け渡すステップ2160tとを含んでいてもよい。そして、第1レイヤ処理には、第2のレイヤからSDUを受信するステップ2170tと、これを物理リソースにマッピングするステップ2180tと、送信するステップ2190tとを含む。
受信機においては、第1レイヤ処理の一部として、受信(2190r)が実行された後、データが物理リソースからデマッピングされ(2180r)、第2レイヤに受け渡される(2170r)。第2レイヤ処理には、PDUを受信するステップ2160rと、これを逆多重化するステップ2150rと、第3のレイヤに受け渡して並べ替えおよび再組み立てを実行するステップ2140rとを含む(上述の通り、代替的な一実施形態においては、並べ替えおよび再組み立てが第2のレイヤにおいても実行される)。第3レイヤ処理には、PDUを受信するステップ2130rと、並べ替えおよび再組み立てを実行するステップ2120rと、再組み立てしたパケットを上位レイヤに受け渡すステップ2110rとを含む。
さらに、第3のレイヤに再送信メカニズムを実装した実施形態も存在し、データ受信側でのステータスレポートの送信と、データ送信側でステータスレポートを受信するステップ2128tとを含む。いくつかのセグメントについてステータスレポートが否定応答を含む場合は(2125t「yes」)、第3のレイヤ(あるいは、いくつかの実施形態においては第2のレイヤ)で再分割が実行される。
以上をまとめて、本開示の一実施形態によれば、通信システムにおいてデータを無線インターフェース上でデータ受信ノードに送信するデータ送信ノードであって、データ受信ノードからフィードバックされたステータスレポートに従って自動再送要求(ARQ)再送信を実行するとともに、分割制御情報をデータに追加することを含むステータスレポートに含まれるセグメント長さ情報に基づいて再送信されるデータを再分割するか、または再分割しない第3レイヤ処理ユニットと、第3レイヤ処理ユニットから第3レイヤデータユニットを受信し、リソース割り当てに基づいて第3レイヤデータユニットを分割し、第3レイヤデータユニットの各セグメントおよび再分割が適用される場合に修正される分割制御情報を含む複数の第2レイヤデータユニットを形成する第2レイヤ処理ユニットと、第2のレイヤから、複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数を受信し、データ送信用に割り当てられたリソースに対して、複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数をマッピングする第1レイヤ処理ユニットと、を備えた、データ送信ノードが提供される。
本開示の別の実施形態によれば、通信システムにおいてデータを無線インターフェース上でデータ受信ノードに送信するデータ送信ノードであって、データ受信ノードからフィードバックされたステータスレポートに従って自動再送要求(ARQ)再送信を実行する第3レイヤ処理ユニットと、第3レイヤ処理ユニットから第3レイヤデータユニットを受信し、ステータスレポートに従うとともにリソース割り当てに基づいて第3レイヤデータユニットを分割し、分割された第3レイヤデータユニットの各セグメントを含む複数の第2レイヤデータユニットを形成する第2レイヤ処理ユニットと、第2のレイヤから、複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数を受信し、データ送信用に割り当てられたリソースに対して、複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数をマッピングする第1レイヤ処理ユニットと、を備えた、データ送信ノードが提供される。
本開示の別の実施形態によれば、通信システムにおいてデータを無線チャネル上でデータ送信ノードから受信するデータ受信ノードであって、データ送信用に割り当てられたリソースから、複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数をデマッピングするとともに、デマッピングされた複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数を第2レイヤ処理ユニットに提供する第1レイヤ処理ユニットと、複数の第3レイヤユニットセグメントおよび複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数からの分割制御情報の逆多重化を実行するとともに、分割制御情報と併せて、逆多重化された複数の第3レイヤユニットセグメントを第3レイヤ処理ユニットに転送する第2レイヤ処理ユニットと、逆多重化された複数の第3レイヤユニットセグメントの並べ替えおよび逆多重化された第3レイヤユニットセグメントの第3レイヤデータユニットとしての組み立てを実行する第3レイヤ処理ユニットと、を備えた、データ受信ノードが提供される。
さらに、通信システムにおいてデータを無線インターフェース上でデータ受信ノードに送信する方法であって、データ受信ノードからフィードバックされたステータスレポートに従って自動再送要求(ARQ)再送信を実行するとともに、分割制御情報をデータに追加することを含むステータスレポートに含まれるセグメント長さ情報に基づいて再送信されるデータを再分割するか、または再分割しない第3レイヤ処理を実行するステップと、第3レイヤ処理ユニットから第3レイヤデータユニットを受信し、リソース割り当てに基づいて第3レイヤデータユニットを分割し、第3レイヤデータユニットの各セグメントおよび再分割が適用される場合に修正される分割制御情報を含む複数の第2レイヤデータユニットを形成する第2レイヤ処理を実行するステップと、第2のレイヤから、複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数を受信し、データ送信用に割り当てられたリソースに対して、複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数をマッピングする第1レイヤ処理を実行するステップと、を含む、方法が提供される。
さらに、通信システムにおいてデータを無線インターフェース上でデータ受信ノードに送信する方法であって、データ受信ノードからフィードバックされたステータスレポートに従って自動再送要求(ARQ)再送信を実行する第3レイヤ処理と、第3レイヤ処理ユニットから第3レイヤデータユニットを受信し、ステータスレポートに従うとともにリソース割り当てに基づいて第3レイヤデータユニットを分割し、分割された第3レイヤデータユニットの各セグメントを含む複数の第2レイヤデータユニットを形成する第2レイヤ処理と、第2のレイヤから、複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数を受信し、データ送信用に割り当てられたリソースに対して、複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数をマッピングする第1レイヤ処理と、を含む、方法が提供される。
さらに、通信システムにおいてデータを無線チャネル上でデータ送信ノードから受信する方法であって、データ送信用に割り当てられたリソースから、複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数をデマッピングするとともに、デマッピングされた複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数を第2レイヤ処理ユニットに提供する第1レイヤ処理と、複数の第3レイヤユニットセグメントおよび複数の第2レイヤデータユニットのうちの1つまたは複数からの分割制御情報の逆多重化を実行するとともに、分割制御情報と併せて、逆多重化された複数の第3レイヤユニットセグメントを第3レイヤ処理ユニットに転送する第2レイヤ処理と、逆多重化された複数の第3レイヤユニットセグメントの並べ替えおよび逆多重化された第3レイヤユニットセグメントの第3レイヤデータユニットとしての組み立てを実行する第3レイヤ処理と、を含む、方法が提供される。
<MACサブヘッダ>
MAC PDUは、バイト整列したビット列である。1つのMAC PDUには、MAC制御エレメントおよび/もしくはMAC SDUならびに必要に応じてパディングと関連付けられたMACサブヘッダを少なくとも含む。MAC制御エレメントは、eNBおよびUEのMACピア間のシグナリングに用いられる。MAC SDUは、上位レイヤ(RLC)からのデータを含むため、RLC PDUに対応する。RLC PDUは、1つのサービスからのユーザデータを含む。MAC PDUは、MAC制御エレメントおよびMAC SDUごとにサブヘッダを含む。
各サブヘッダは、論理チャネルID(LCID)を含む。MAC制御エレメントと関連付けられたサブヘッダにおいて、LCIDは、搬送される各MAC制御エレメントの制御エレメントタイプを指す。MAC SDUと関連付けられたサブヘッダにおいて、LCIDは、搬送される各RLC PDUが属する論理チャネルの識別情報を示す。
<ユーザプレーンプロトコルスタック>
図22は、ユーザプレーンプロトコルスタックの例示的な構造を示している。上下方向には、第3のレイヤおよび第2のレイヤにおけるさまざまなデータユニットの配置を示している。最も上の行が第3レイヤSDUを表し、2番目の行が第3レイヤPDUを表し、3番目の行が第2レイヤSDUを表し、最も下の行が第2レイヤPDUを表す。図示の一実施形態においては、第3のレイヤがユーザプレーンのRLCレイヤに対応し、第2のレイヤがユーザプレーンのMACレイヤに対応する。第4のレイヤは図示していないが、上記実施形態におけるユーザプレーンのPDCPレイヤに対応する。第3のレイヤおよび第2のレイヤは、破線によって視覚的に分離されている。
データユニットは、論理チャネル(LC)を通じてRLCレイヤからMACレイヤに受け渡される。図22においては、論理チャネル識別子LCID1およびLCID2を有する2つの論理チャネルを示している。LCID1のチャネルに関するシグナリングおよびユーザデータは実線枠で示し、LCID2と関連付けられたデータ要素は破線枠で示している。図に見られるように、異なる論理チャネルを通じて異なる量のデータユニットが提供されるようになっていてもよい。図示の例において、第3レイヤSDUと関連付けられた最上行においては、第3レイヤSDUに対応する最上行の2つのデータユニットがLCID1の第1の論理チャネルに属する(当該データユニットを「PDCP PDU1」および「PDCP PDU2」と表示)一方、1つのデータユニットがLCID2の第2の論理チャネルに属する(「PDCP PDU1」)。第3レイヤSDUが対応する論理チャネルによって識別可能であることから、図中、2つの異なる論理チャネルが操作する2つの第3レイヤSDUは、同じラベル「PDCP PDU1」を有する。ただし、本開示は、図22に示す場合に限定されず、その代替として、TBに割り当てられる同じ量のデータを異なる論理チャネルが操作するようになっていてもよい。また、論理チャネルが1つだけ存在していてもよいし、3つ以上存在していてもよい。
識別子がLCID1およびLCID2の異なる論理チャネルを通じて、第4レイヤ処理ユニットから、第3レイヤSDUとして処理される第4レイヤPDU(PDCP PDU1、PDCP PDU2、およびPDCP PDU1と表示)が第3レイヤ処理ユニットにより受信される。第3レイヤSDUに対応する第4レイヤPDUそれぞれに対して、シーケンス番号(「RLC SN」として言及)を含む第3レイヤヘッダを追加することにより、第3レイヤ処理ユニットは、それぞれ第3レイヤヘッダおよび第3レイヤSDUから成る第3レイヤPDUを生成する。そして、第3レイヤPDUは、第2のレイヤに転送され、第2レイヤPDUとして受信される。2番目の行に示す第3レイヤSDUが3番目の行に示す第2レイヤPDUと同一であるものの、これら同一のデータユニットを図22において重複して示しているのは、説明を理由としているに過ぎない。
第2レイヤ処理ユニットは、第3のレイヤから第2レイヤSDUを受信し、1つまたは複数の第2レイヤSDUを何らかの第2レイヤ制御情報および場合によりパディングと連結することによって、図22の最も下の行に示す第2レイヤPDUを生成する。第2レイヤPDUの生成においては、異なるデータ要素が連結される。特に、各ユーザデータおよび制御エレメントに対して、それぞれ「MAC LCID0+L」、「MAC LCID1+L」、「MAC LCID2+L」、「MAC LCID P」と表示する第2レイヤサブヘッダが提供される。このような表示は、(優先順位が割り当てられる)各LCIDおよび長さ情報(L)に対応する優先順位決定制御情報をサブヘッダが搬送することを示す。第2レイヤ制御エレメント(「MAC CE」と表示)は、必要に応じて、第2レイヤPDUのほか、パディングにもさらに挿入されるようになっていてもよい。図中、対応するサブヘッダ(「MAC LCID P」)を伴って、MAC PDUの最後にパディングを示している。パディングの前に対応するサブヘッダが存在する場合としては、単なるパディングの代わりにMAC PDUに含まれ得るパディングBSRが考えられる(パディングBSRについては、非特許文献7の第5.4.5項も参照(本明細書に援用))。
なお、いくつかのLTEバージョンにおいては、パディングの長さに応じて、パディングに対応するサブヘッダが割り当てられる場合がある。特に、1バイトまたは2バイトのパディングが必要な場合を除いて、MAC PDUの最後にパディングが挿入される。1バイトまたは2バイトのパディングが必要な場合は、その他如何なるMAC PDUサブヘッダの前に、パディングを表す1つまたは2つのMAC PDUサブヘッダがMAC PDUの最初に配置される。
LTEの専門用語に関して、図22は、単一のMAC PDUへと連結された2つの異なる論理チャネルのPDCP PDU(各RLC SDUを表す)を示している。この場合は、2つの論理チャネルに対応する3つのMAC SDUを連結するとともに対応するMACサブヘッダをそれぞれに追加した後にも、割り当てられたリソースには、いくつかの場所が残っている。この場所には、1つまたは複数のMAC CEが挿入されるのが好都合である。いくつかの場所が依然として残る場合は、パディングが適用される。MAC PDUに対して単一のMACヘッダの代わりに各MACサブヘッダを提供することにより、少なくともMAC PDUを部分的に前処理可能である。
上記に対応して、図22に示すとともに上述したユーザプレーンプロトコルスタックは、NRの例示的なユーザプレーンプロトコルスタックである。このようなユーザプレーンにより、第3レイヤヘッダおよび第2レイヤサブヘッダの前処理が可能となる。特に、第2レイヤサブヘッダが関連付けられた第2レイヤSDUは、TB全体(MAC PDU全体)が構築される前に、第1のレイヤに配送可能である。一方では、これによって、処理遅延を低減可能である。
前述の処理遅延の低減を可能にすることに関連する利点は、本開示の実施形態により与えられるように、適当な第2レイヤ(MAC)PDUフォーマットの結果である。以下、図23〜図30を参照して、第2レイヤPDUフォーマットのさまざまな構成を説明する。これらの図においては、第2のレイヤがMACレイヤに対応するものと仮定するが、本開示は、第2のレイヤがMACレイヤである場合に限定されない。
図23は、図22に関して説明したユーザプレーンプロトコルスタックに対応する例示的な第2レイヤPDUを示した模式図である。第2レイヤPDUには、2つの第2レイヤSDU、2つの第2レイヤ制御エレメント(CE)、対応する4つの各第2レイヤサブヘッダ、およびパディングを含む。各第2レイヤサブヘッダは、各第2レイヤSDUおよび各第2レイヤ制御エレメントとそれぞれ関連付けられている。第2レイヤサブヘッダはそれぞれ、第2レイヤSDUまたは関連する第2レイヤ制御エレメントに先行する。図中、各第2レイヤサブヘッダから各第2レイヤ制御エレメントまたは第2レイヤSDUに向かう矢印によって、この関係を示している。図24〜図30においても、第2レイヤサブヘッダの関係を表すのに、同じ矢印表記を使用する。図23に示す第2レイヤPDUフォーマットにおいて、第2レイヤ制御エレメントは、すべての第2レイヤSDUの前すなわち任意の第2レイヤSDUの前に配置されている。言い換えると、第2レイヤ制御エレメントはそれぞれ、第2レイヤSDUに先行する。パディングは、第2レイヤPDUの最後に配置されている。ただし、この第2レイヤPDUフォーマットにおいて、パディングは第2レイヤPDUの任意選択的な構成要素に過ぎず、割り当てられた物理リソースに対応するMAC PDUの長さに場所が残っている場合にのみ適用可能であって、この残った場所はあまりにも小さく、送信対象のその他如何なるMAC SDUもMAC CEも収容できない。このことは、本明細書のその他の部分で説明する如何なる実施形態に係る如何なる第2レイヤPDUフォーマットにも当てはまる。
図23においては、第2レイヤSDUの数および第2レイヤ制御エレメントの数がともに2つである。ただし、本開示は、特定数の第2レイヤ制御エレメントにも、特定数の第2レイヤSDUにも限定されない。特定数の第2レイヤ制御エレメントまたは第2レイヤSDUを提案するのではなく、この図は、第2レイヤPDU内の第2レイヤサブヘッダ、第2レイヤSDU、第2レイヤ制御エレメント、およびパディングの特定の順序を示している。
図22を参照して前述した通り、図23の配置には、MAC PDU全体の組み立てを待つことなく、それぞれ対応するサブヘッダを有する各MAC CEまたはMAC SDUを個別に下位レイヤに提供可能という利点がある。
図23の第2レイヤPDUフォーマットの欠点として、如何なる第2レイヤ制御エレメントも第2レイヤSDUの前に配置されていることから、第2レイヤ処理ユニットが利用可能な第2レイヤSDUを物理レイヤに配送できるのは、第2レイヤ制御エレメントの演算後のみである。ただし、いくつかのMAC CEを演算するため、優先順位決定手順等の計算が打ち切られるものとする。一方、いくつかのMAC SDUの準備にはほとんど時間を要さない。ただし、MAC CEの計算前には物理レイヤに提供することができない。
<MAC制御エレメントの効率的なシグナリング>
前述の欠点に対処するため、図24は、MAC PDUの有利な一実施形態を示しており、如何なるMAC SDUもMAC CEに先行する。特に、MAC PDU2400は、関連するサブヘッダ241aが先行する第1のMAC SDU243aから始まる。第1のMAC SDUには、そのサブヘッダ241bを伴う第2のMAC SDU243bが続く。本例においては、MAC SDUが2つだけ存在しており、その論理チャネルID(優先順位)がそれぞれのサブヘッダにおいて伝えられるようになっていてもよい。ただし、本実施形態において、MAC PDUは、3つ以上のMAC SDUを含んでいてもよい。MAC PDU2400は、第1のMAC CE244aと関連付けられたMACサブヘッダ242aと、それに続いて、第2のMAC CE244bと関連付けられたMACサブヘッダ242bとをさらに含む。MACサブヘッダ242a、242bは、関連するそれぞれのMAC CE244aまたは244bに先行する。図示のように、MAC CE244aおよびMAC CE244bのほか、それぞれのMACサブヘッダ242aおよび242bは、MAC SDU243aおよびMAC SDU243bならびにそれぞれのサブヘッダ241a、241bのいずれよりも後である。
本実施形態は、2つのMAC CEが存在する場合に限定されない。MAC CEが1つだけ存在していてもよいし、3つ以上存在していてもよい。さらに、MAC CEの数がMAC SDUの数に等しい場合を図に示すが、MAC CEの数は、MAC SDUの数と異なっていてもよい。本実施形態に係るMAC PDUにおいては、MAC SDUよりMAC CEが少なくてもよいし、MAC SDUよりMAC CEが多くてもよい。如何なるMAC CEも、それと関連付けられた如何なるMACサブヘッダも、MAC PDUおよびそれと関連付けられたサブヘッダの後であることは、本実施形態の特徴である。任意選択として、パディング245が追加されていてもよい。MAC SDU、MAC CE、およびそれぞれのMACサブヘッダにTBの全リソースが使われている場合は、パディングが省略されてもよい。
一般的には、MAC SDUおよびMAC CEをそれぞれのMACサブヘッダとともにマッピングした後にも、送信用に割り当てられたリソースに自由なリソースが残っており、これらの自由なリソースがそれ以上のMAC CEまたはMAC SDUの搬送に不十分な場合に、パディングが挿入される。
したがって、通信システム3100においてデータを無線チャネル上でデータ受信ノードに送信するデータ送信ノードは、図24に例示のMAC PDUを生成することによって、処理遅延を低減するようにしてもよい。特に、このようなノードは、図31に示す機器3100tに対応していてもよく、第2レイヤ処理ユニット3120tおよび第1レイヤ処理ユニット3110tを備える。第2レイヤ処理ユニット3120tは、第3レイヤ処理ユニット3130tから、データ送信用に割り当てられたリソースにマッピングされる少なくとも1つの第2レイヤサービスデータユニット(SDU)を受信するとともに、第2レイヤPDUを生成するのに適している。このような第2レイヤ処理ユニットにより生成された第2レイヤPDUには、第3のレイヤから受信した少なくとも1つの第2レイヤSDUと、当該少なくとも1つの第2レイヤSDUのいずれよりも後の少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントとを含む。第1レイヤ処理ユニット3110tは、第2レイヤ処理ユニットにより生成された第2レイヤPDUを受信するとともに、データ送信用に割り当てられたリソースに第2レイヤPDUをマッピングするのに適している。
一方、通信システム3100においてデータを無線チャネル上でデータ送信ノードから受信する受信ノードは、図24に例示のMAC PDUを受信・処理することによって、処理遅延を低減するようにしてもよい。特に、このようなノードは、図31に示す機器(データ受信ノード)3100rに対応していてもよく、第1レイヤ処理ユニット3110rおよび第2レイヤ処理ユニット3120rを備える。ここで、第1レイヤ処理ユニット3110rは、データ受信用に割り当てられたリソースから、少なくとも1つの第2レイヤプロトコルデータユニット(PDU)をデマッピングするのに適している。さらに、第2レイヤ処理ユニット3120rは、第1レイヤ処理ユニットによりデマッピングされた第2レイヤPDUを受信して構文解析するのに適している。このような第2レイヤ処理ユニットにより受信・構文解析された第2レイヤPDUには、データ受信ノード3100rに含まれる第3レイヤ処理ユニット3130rに転送される少なくとも1つの第2レイヤSDUと、当該少なくとも1つの第2レイヤSDUのいずれよりも後の少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントとを含む。
データ送信ノードの第2レイヤ処理ユニットにより生成される第2レイヤPDUおよびこれに対応してデータ受信ノードの第2レイヤ処理ユニットにより受信・構文解析される第2レイヤPDUは、少なくとも1つの第2レイヤSDUそれぞれと関連付けられた各第2レイヤサブヘッダと、少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントそれぞれと関連付けられた各第2レイヤサブヘッダとをさらに含むと好都合である。前述の通り、単一のMACヘッダではなく複数の各MACサブヘッダをMAC PDUに設けることにより、MAC PDU全体ではなく、MAC PDUの一部を下位レイヤに転送することができる。一方、これによって、MAC PDUの一部が下位レイヤによって先に処理され得るため、遅延が抑えられる。
なお、いくつかのシステムにおいては、MAC CEおよび/またはSDUのサブヘッダが不要となる場合もある。LTEのようなシステムにおいて、サブヘッダには通常、チャネルタイプ指定および長さ指定を含む場合がある。チャネルタイプ指定は、特定のMAC PDU部の優先順位決定に役立ち得る。長さ指定は、MAC SDUおよび/またはMAC CEの長さ等の対応するデータ部の長さを特定する。ただし、いくつかのシステムにおいて、MAC SDUは、所定の長さまたは別の方法で設定された長さを有していてもよく、いずれにしろ長さ指定が不要となる場合もある。
図25は、現行のLTE規格により知られているフォーマットと類似するMAC SDUのサブヘッダフォーマットの一例を示している(非特許文献7の第6.2.1項も参照(本明細書に援用))。図24に示したのと同じフォーマットを有するMAC PDUを示しており、MACサブヘッダのフォーマットは、MAC SDU(図中、MAC SDU2と表示)と関連付けられたMACサブヘッダにより例示される。このMAC SDUはMAC SDU243bに対応し、その関連するMACサブヘッダは、図24に示すMACサブヘッダ241bに対応する。したがって、MACサブヘッダには、予約ビット(R)、フォーマット2フィールド(F2)、拡張フィールド(E)、論理チャネルID(LCID)フィールドを含む。さらに、サブヘッダがMAC SDUまたは可変サイズのMAC制御エレメントと関連付けられている場合は、長さフィールド(L)およびフォーマットフィールド(F)を含む。
拡張フィールドEは、1ビットのフィールドであってもよい。LTEにおいて、1行のR/F2/E/LCIDは1オクテット(バイトすなわち8ビット)の長さであり、Rフィールドが1ビット長、F2フィールドが1ビット長、Eフィールドが1ビット長、LCIDが5ビット長である。LTEにおいてすでに、F2=1は、対応するMAC SDUまたは可変サイズの制御エレメントのサイズが32767バイト(15ビット長のフィールドに対応)よりも大きく、当該サブヘッダがMAC PDUの最後のサブヘッダではないことを示している。拡張フィールドEは、PDUにおける別のMACサブヘッダの存在を示す。特に、値E=1は、少なくともR/F2/E/LCIDフィールド(ひいては、場合により対応するSDUまたはCE)を含む少なくとも1つ以上のMACサブヘッダがMAC PDUの構文解析方向に後続することを示す。LTEにおける構文解析方向は、MAC PDUの最初(ヘッダから始まる)から最後に向かうものと仮定する。これは、図25にも当てはまり、構文解析方向は左から右である。
図24においては、フィールドFおよびLを有するサブヘッダの2行目にこのような付加的なオクテットを示している。一般的に、ヘッダのオクテットが1つだけである場合は、長さフィールドLが存在しない。したがって、MAC SDUの長さが伝えられることはない。LTEにおいて、MACサブヘッダが固定長のMAC制御エレメントと関連付けられている場合は、MACサブヘッダに第2のオクテットが含まれない。この場合、固定長のMAC制御エレメントの長さは、当該MAC制御エレメントのタイプを特定するLCIDにより把握される。Fフィールドは、Lフィールドの長さを示しており、LTEにおいては、7ビットまたは15ビット長であってもよい(したがって、1つまたは2つのオクテットにわたって拡がる)。Rフィールドは、現行のLTE規格において予約されているものの、規格の後続バージョンでは、別の1つまたは複数のインジケータで置き換えられてもよい。言い換えると、現行規格に従って動作する受信機では、Rフィールドが無視される。
後述の通り、構文解析方向は一般的に、MAC PDUのフォーマットに応じて、MAC PDUの最初からMAC PDUの最後に向かう方向であってもよいし、その逆であってもよい。
LTEにおけるMACサブヘッダのフィールドについては、非特許文献7の第6.2.1項も参照可能であり、これを本明細書に援用する。
LCIDフィールドは、たとえばLTEのように5ビットを有し、サブヘッダのタイプおよび論理チャネルを示す。あるいは、サブヘッダが制御エレメントと関連付けられている場合は、制御エレメントタイプを示す。ここで、サブヘッダのタイプは、サブヘッダがMAC CEサブヘッダであるか、MAC SDUサブヘッダであるか、またはそれ以外(たとえば、予約、パディング等)であるかを意味する。各MAC CEタイプのサブヘッダは、MAC CEのタイプを一意に規定する。たとえば、「11101」は短いBSRを表し、「11010」はPHRを表す一方、「11011」はC−RNTIを表し、「11111」はパディングを表す。
LTEにおける長さフィールドLは、7ビットあるいは15ビットを有していてもよく、サブヘッダがMAC制御エレメントと関連付けられているかMAC SDUと関連付けられているかに応じて、MAC SDUの長さまたはMAC制御エレメントの長さを示す。Lフィールドにおいて、MAC SDUまたはMAC制御エレメントの長さは、バイト単位で与えられる。さらに、フォーマットフィールドFは、Lフィールドの長さを示す1ビットのフィールドであってもよい。たとえば、値F=0は、Lフィールドが7ビットを有することを示していてもよい。一方、値F=1は、Lフィールドが15ビットを有することを示していてもよい。
ただし、本開示は、現行のLTE規格のサブヘッダフォーマットに限定されない。E、LCID、F、およびLフィールドの長さおよび値は、MACサブヘッダの有利な一実施態様に対応した一例である。ただし、本開示の一実施形態に対応する構造を有するMACサブヘッダは、異なるフィールド長または可変値を用いて実装されるようになっていてもよい。
本開示の例示的な一実施形態に係る例示的なMAC PDUを図26に示す。このMAC PDUのフォーマットは、図24に示すMAC PDUのフォーマットに対応する。図26に示すMAC PDUには、MAC SDUおよびMAC制御エレメントを含むが、これらはすべて、それぞれの各MACサブヘッダが先行する。MAC PDUの最後には、任意選択的な構成要素としてパディングを示している。本例においては、1つのMAC制御エレメントすなわちBSR MAC制御エレメントのみを示している。ただし、図24に示すMAC PDUフォーマットに対応して、MAC制御エレメントおよびその各MACサブヘッダは、各MAC SDU(図中のMAC SDU1およびMAC SDU2)およびそれぞれの各MACサブヘッダの後に配置されている。図示していないものの、MAC PDUに含まれる各MAC SDUおよび各MAC SDUの各MACサブヘッダの後には、BSR MAC制御エレメントの代わりに、異なる種類のMAC制御エレメントおよびその関連するサブヘッダが配置されていてもよい。たとえば、MAC制御エレメントは、電力ヘッドルームレポート、BSR(短いBSR、長いBSR、または不完全なBSR)、またはC−RNTIであってもよい。したがって、第2レイヤ制御エレメントは、バッファステータスレポート、C−RNTI、および電力ヘッドルームレポートのいずれかであり、任意のバッファステータスレポート、C−RNTI、または電力ヘッドルームレポートと関連付けられた各第2レイヤサブヘッダは、少なくとも1つの第2レイヤSDUそれぞれの後に配置される。
図24に示す実施形態に係るMAC PDUにおいては、MAC CE(たとえば、BSR MAC CEおよびPHR MAC CE)およびそれぞれの関連するMACサブヘッダが常にMAC SDUの後に配置されており、一方、MAC SDUおよびそれぞれの関連するMACサブヘッダは、TBに対応するMAC PDUの最初に位置付けられる。したがって、MAC PDUの最初は、MAC CEに依存しない。たとえば、MAC CEがBSRの場合は、LCPの結果全体に依存せず、PHRの計算は、この値をMACに入力する物理レイヤに依存する。この独立性により、MAC PDUが完全に構成される前であっても、(最初のMAC SDUの準備ができた場合に)MAC PDUの最初を第1レイヤ(物理レイヤ)処理ユニットに送ることができる。したがって、第2の(MAC)レイヤは、最初の第2レイヤSDUの準備ができた場合に、パケットの第1の(物理)レイヤへの転送を開始可能であり、第2レイヤ処理ユニットは、第2レイヤPDUに属するパケットを下位レイヤに転送する前に、第2レイヤPDU全体を組み立てるまで待つ必要がない。これは、送信処理遅延の低減に有効であり、送信側すなわちデータ送信ノードは、BSRおよびPHRの演算により多くの処理時間を使うことができる。BSR MAC制御エレメントおよびMAC PHR制御エレメントはともに、TBの最後すなわちMAC PDUに含まれるMAC SDUの後に位置付けられているためである。
図24および図26に示すMAC PDUフォーマットおよびこれに対応して図25に示すMACサブヘッダ構造を使用する利点として、分割対象の最後の1つを除くほとんどのMACサブヘッダおよびMAC SDUを前処理可能である。ただし、このようなMAC PDUフォーマットは、送信機で扱いやすいものの、受信機では、特定種類のMAC CEすなわち(eNBからUEに送信された)ダウンリンク中のアクティブ化/非アクティブ化MAC CEおよびUEコンテンション解決MAC CEまたは(UEからeNBへの)アップリンク中のC−RNTIを可能な限り素早く受信して処理することが重要となる可能性もある。したがって、LTEにおいては、これを主な理由として、MAC PDUの如何なるMAC SDUよりも前にMAC CEが配置される。
特定種類のMAC制御エレメント(DLにおけるアクティブ化/非アクティブ化MAC CEおよびUEコンテンション解決MAC CEまたはULにおけるC−RNTI)の早期処理は、図27に示す本開示の一実施形態によって実現可能である。図示のMAC PDUにおいては、MAC制御エレメントおよびその関連するサブヘッダがMAC PDUの最初に配置されており、(この場合はMAC PDUの最初から最後に向かう構文解析方向に)MACサブヘッダが関連するMAC制御エレメントに先行する。特に、図示のMAC制御エレメントは、アクティブ化/非アクティブ化MAC CEである。アクティブ化/非アクティブ化MAC CEは、如何なるMAC SDUおよびMAC SDUと関連付けられた如何なるMACサブヘッダにも先行する。図中、2つのMAC SDUおよびそれぞれの関連するMACサブヘッダを示している。ただし、本開示の本実施形態は、MAC SDUの数が2つであることに限定されない。この代替として、MAC SDUが1つだけ存在していてもよいし、3つ以上のMAC SDUがMAC PDUに含まれていてもよい。図示のMAC制御エレメントは、アクティブ化/非アクティブ化CEであるが、これの代替または追加として、MAC SDUの最初すなわちMAC SDUおよびMAC SDUと関連付けられた任意のMACサブヘッダの前には、UEコンテンション解決MAC CEおよびその関連するサブヘッダまたはC−RNTIおよびそのサブヘッダが配置されていてもよい。図示のように、本実施形態のMAC SDUは、必要に応じてパディングで終了していてもよい。
言い換えると、MAC CEは、MAC PDUの組み立て時に、そのタイプに応じて、MAC SDUの前または後に配置される。MAC CEタイプは、各MAC CEサブヘッダ(たとえば、LCIDフィールド内)に規定されていてもよい。
異なる種類のMAC CEがMAC PDUに含まれていてもよく、そのうちの1つのタイプがMAC PDUの最初すなわちMAC SDUの前に配置されるのが好都合であり、別のタイプがMAC PDUの最後すなわちMAC SDUの後に配置されるのが好都合である。したがって、本開示の例示的な一実施形態においては、第2レイヤSDUの後に配置された少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントのほか、第2レイヤSDUの前に配置された第2レイヤ制御エレメントを第2レイヤPDUがさらに含む。任意の第2レイヤSDUの前に配置された第2レイヤ制御エレメントと関連付けられた第2レイヤサブヘッダはさらに、第2レイヤPDUの最初の各第2レイヤ制御エレメントの前に包含・配置されていてもよい。
本実施形態に係るMAC PDUフォーマットの一例を図33に示す。MAC PDUの最初には、MAC CEすなわちC−RNTI MAC CEが存在し、このC−RNTI MAC CEと関連付けられたサブヘッダが先行する。C−RNTI MAC CEの後には、2つのMAC SDUがMAC PDUに含まれており、それぞれと関連するMACサブヘッダが先行する。ただし、本開示は、第2レイヤSDUの数が2つであることに限定されず、1つまたは3つ以上の第2レイヤ制御エレメントが存在していてもよい。最後のMAC SDUの後には、別のMAC CEが含まれており、これと関連するMACサブヘッダが先行する。図示の例において、このMAC CEは、BSR MAC CEである。ただし、本開示は、任意のMAC SDUの前のMAC CEがC−RNTI MAC CEであることに限定されず、任意のMAC SDUの後のMAC CEがBSR MAC CEであることにも限定されない。C−RNTIの代わりに、たとえばアクティブ化/非アクティブ化MAC CEが存在していてもよく、BSR MAC CEの代わりに、たとえばMAC PHR制御エレメントが存在していてもよい。さらに、各MAC SDUの前に配置された1つのMAC CEおよび後に配置された1つのMAC CEの代わりに、2つ以上のMAC CEが任意のMAC SDUの前および/または後に配置されていてもよい。任意選択として、各MAC SDUの後に配置されたMAC CEの後では、MAC PDUの最後にパディングが含まれる。本開示は、LTEにより現在規定されているCEに限らず、如何なるシステムの如何なるCEにも適用可能である。一般的に、長い計算時間または他のレイヤからの入力を要するCEは、MAC PDUの最後に配置され得るのが好都合である。一方、利用可能なCEは、MAC PDUの最初に配置されていてもよい。
図33に示すMAC PDUフォーマットは、下位レイヤ/上位レイヤへのTB全体の転送のみならず、TBの一部の転送を可能にする送信機/受信機に使用し得るのが好都合である。たとえば、TBは、個々のコードワードとなる複数の部分へと細分されるとともに、各CRCにより提供されるようになっていてもよい。
このため、MAC PDUがTBのさまざまな部分において分割され、C−RNTI MAC CE等のMAC CEがMAC PDUの最初に配置されている場合、これらのMAC CEは、TB全体の完成および転送を待つ必要なく、送信機において、コードワード内で物理レイヤにより処理可能である。
受信側では、コードワードのうちの1つまたは複数が個別に受信され、それぞれのCRCがチェックされるようになっていてもよい。そして、物理レイヤは、TB全体が正しく受信される前に、正しく受信された個々のコードワードをMACに転送するようにしてもよい。これが好都合であるのは、残りのTBのコードワードが正しく受信されてMACに受け渡される前に、MAC PDUの最初に位置付けられたMAC CE(たとえば、C−RNTI)をMACレイヤから抽出可能なためである。ただし、TBに関するすべてのコードワードが正しく受信されていない場合すなわちTBの受信に成功していない場合は、TB全体すなわちMAC CEおよびMAC SDU等の構文解析(前処理)済みの部分も破棄される。
なお、上記のレイヤ処理は、例示である。本開示は、トランスポートブロックが1つのコードワードに対応し、複数の個々の部分で処理されない他のシステム設計にも適用可能である。
したがって、受信機は、TTIの最後を待たなくても、各MAC CEを処理することができる。このため、C−RNTI MAC CE(または、アクティブ化/非アクティブ化MAC CE等の別のMAC CE)の場合は、準備処理が可能である。
これにより、データ送信機器および/またはデータ受信機器は、MAC SDUの前後に位置付けられた両MAC CEを生成し、送信または受信可能であれば都合が良い。なお、一般的に、データ送信機器は、アップリンクにおける端末またはダウンリンクにおける基地局であってもよい。
本開示の一実施形態において、通信システムにおいてデータを無線チャネル上でデータ受信ノードに送信するデータ送信ノードは、異なる種類の第2レイヤPDUを生成するように構成された第2レイヤ処理ユニットを具備していてもよい。これは特に、少なくとも1つの第2レイヤSDUおよび当該少なくとも1つの第2レイヤSDUのいずれかに後続する少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントを含む第1の種類の第2レイヤPDUを生成するのに適する可能性がある。これはさらに、少なくとも1つの第2レイヤサービスSDUおよび当該少なくとも1つの第2レイヤSDUのいずれかに先行する少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントを含む第2の種類のPDUを生成するように構成可能であってもよい。
上述の通り、MAC PDUにおいては、一部のMAC制御エレメントがMAC SDUの後に配置されるのが好都合である一方、他のMAC制御エレメントがMAC SDUの前に配置されるのが好都合である。このため、本開示の一実施形態は、タイプ切り替え第2レイヤ制御エレメント(タイプ切り替えMAC CE)を含む第2レイヤPDUを生成して、当該タイプ切り替え第2レイヤ制御エレメントを含む第2レイヤPDUが第1の種類の第2レイヤSDUであるか第2の種類の第2レイヤSDUであるかを示すように構成可能な第2レイヤ処理ユニットを提供する。タイプ切り替え第2レイヤ制御エレメントは、如何なる第2レイヤSDUにも、当該タイプ切り替え第2レイヤ制御エレメントと異なる如何なる第2レイヤ制御エレメントにも先行する。第2レイヤPDUは、タイプ切り替え第2レイヤ制御エレメントと関連付けられ、タイプ切り替え第2レイヤ制御エレメントに先行する第2レイヤサブヘッダをさらに含む。タイプ切り替え第2レイヤ制御エレメントと関連付けられた第2レイヤサブヘッダは、当該タイプ切り替え第2レイヤ制御エレメントに先行する。ただし、この明示的なタイプ切り替えMAC CEは、一例に過ぎない。このようなMAC CEは、最初または最後にCEを有するMAC PDUを生成するかを決定する必要がない。このような決定は、いくつかの所定(固定)ルールに従ってMAC PDUに含まれるMAC CEのタイプにのみ基づいてなされるものであってもよい。
さらに、一般的には、MAC PDUがMAC SDUの前後に位置付けられた両MAC CEを含み得ることが分かる。また、アップリンクとダウンリンクとが異なっていてもよい。たとえば、ダウンリンクにおいてはMAC CEが常に最初に位置付けられる(すなわち、如何なるSDUにも先行する)一方、アップリンクにおいては、MAC CEのタイプによってSDUの前にマッピングされるか後にマッピングされるかが決まるようになっていてもよい。
一般的に、ダウンリンクにおいて、通信システムにおいてデータを無線チャネル上でデータ受信ノードに送信するデータ送信ノードは、基地局であってもよい。ダウンリンクにおいて、通信システムにおいてデータを無線チャネル上でデータ送信ノードから受信するデータ受信ノードは、UEであってもよい。上述の通り、アップリンクの場合は、データ送信ノードがUEであり、データ受信ノードが基地局(eNB)であってもよい。
一般的に、UEおよび/または基地局は、データ送信ノードおよびデータ受信ノードの両者として動作可能であってもよい。特に、UEは、CEがSDUの後に配置されたMAC PDUを生成可能であるほか、MAC CEが最初に配置されたMAC PDUを受信可能であってもよい。同様に、基地局は、CEが最初のMAC PDUを送信可能であるほか、CEが最後のMAC PDUを受信可能であってもよい。ただし、本開示は、このような組み合わせに限定されず、場合によりMAC CEのタイプに応じて、MAC PDUの最後または最初にMAC CEを配置することの一方または両方を両方向でサポート可能またはサポートするように構成可能である。なお、一般的には、それぞれのタイプに応じて、MAC CEをMAC PDUの両端に含めることも可能である。
図23〜図27に示す実施形態においては、MACサブヘッダがそれぞれ、MAC SDUまたは関連するMAC制御エレメントの前に配置されている。このMAC PDUにおけるMACサブヘッダの配置によれば、MAC PDUが受信機によって最初から最後に向かう方向(図23〜図30において左から右に向かう方向)に構文解析されることを前提として、受信機により可能な限り早くMACサブヘッダを処理することができる。ただし、場合によっては、MAC PDUの最後から最初に向かって(図中の右から左に)MAC PDUの構文解析を始めるのが好都合であることがある。特に、制御エレメントがMAC PDUの最後に利用可能である場合、MAC PDUが最後から構文解析されるのであれば、受信機で制御エレメントを早期に処理可能である。
受信機がMAC PDUを最後から(逆方向に)構文解析する場合、MAC制御エレメントと関連付けられたMACサブヘッダは、各制御エレメントの後(言い換えると、構文解析の方向で各制御エレメントの前)に配置されている場合、早期に処理可能である。このようなMAC制御エレメントと関連付けられたMACサブヘッダの早期処理を実現するため、本開示の一実施形態は、少なくとも1つの第2レイヤSDU、少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメント、ならびに第2レイヤSDUおよび第2レイヤ制御エレメントそれぞれと関連付けられた第2レイヤサブヘッダを含む第2レイヤPDUを生成する第2レイヤ処理ユニットであって、少なくとも1つの第2レイヤSDUに各関連サブヘッダが先行し、少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントに各関連サブヘッダが後続する、第2レイヤ処理ユニットを含むデータ送信を提供する。
このような第2レイヤPDUのフォーマットを図28に示す。特に、この図は、2つのMAC SDU(MAC SDU1およびMAC SDU2)を含むMAC PDUを示している。MAC SDU1およびMAC SDU2には、それぞれの関連するサブヘッダが直接先行する。図示のMAC SDUの数は、例示に過ぎない。この代替として、MAC SDUが1つだけ存在していてもよいし、3つ以上のMAC SDUがMAC PDUに含まれていてもよい。MAC PDUは、各MAC SDUおよびMAC SDUと関連付けられた各サブヘッダに後続する2つのMAC制御エレメント(MAC CE1およびMAC CE2)と、これらのMAC制御エレメントとそれぞれ関連付けられたMACサブヘッダとをさらに含む。また、MAC PDUには、パディングが含まれていてもよい。
ただし、受信機がMAC PDUの最後から構文解析を開始する場合、パディングがMAC PDUの最後すなわち任意のMAC制御エレメントの後に配置されていては、MAC制御エレメントおよびそれぞれの関連するサブヘッダの処理が遅延する。そこで、パディングを最後に配置する代わりに、関連するサブヘッダを伴うMAC SDUと関連するサブヘッダを伴うMAC制御エレメントとの間に配置されるようになっていてもよい。このような位置付けも有効なのは、PDUの最後から構文解析を開始する場合、パディングの長さが一般的には未知であるため、何らかの方法で(たとえば、シグナリング情報により)パディングの長さ情報が得られなければ構文解析を行えないためである。
このパディングの配置の一例を図28に示すが、この場合、パディングには、MAC SDU2が直接先行し、MAC CE1が直接後続する。MAC CE1と関連付けられたサブヘッダがMAC CE1の後に配置され、MAC CE2と関連付けられたサブヘッダがMAC CE2の後に配置されている。これは、サブヘッダを構文解析方向で各MAC CEに追加することに対応するが、ここでは少なくともすべてのMAC CEについて、逆方向すなわちMAC PDUの最後から最初に向かう方向である。なお、MAC SDUは、MAC PDUの最初から最後に向かって、通常の方向(順方向)に構文解析されるようになっていてもよい。
たとえば、2つのMAC制御エレメントは、BSR MAC制御エレメントまたはPHR MAC制御エレメントであってもよい。本開示は、MAC PDUが2つのMAC制御エレメントを有することに限定されない。この代替として、3つ以上のMAC制御エレメントが存在していてもよいし、1つのMAC制御エレメントが存在していてもよく、たとえば、BSR MAC制御エレメントまたはPHR MAC制御エレメントであってもよい。
MAC PDUを効率的に短時間で構文解析するため、構文解析の初期段階で、MAC制御エレメントがMAC PDUにおいて利用可能であるかを受信機が決定できれば有効である。特に、MAC CEがMAC PDUの最後に位置付けられている場合は、このような指定によって、受信機がMAC PDUの最後から後方にMAC CEの構文解析を始めるようにしてもよい。別のMAC制御エレメントの利用可能性に関する情報は、MACサブヘッダに含めることができる。
このため、例示的な一実施形態において、前述の通り第2レイヤPDUを構成する第1の第2レイヤサブヘッダは、第2レイヤPDUが少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントを含むかを示す存在インジケータを含む。
あるいは、第2レイヤPDUを構成する第2レイヤサブヘッダがすべて、存在インジケータを含んでいてもよい。この解決手段により、PDU内のSDU/CEの位置とは無関係に、サブヘッダのフォーマットを維持することができる。このようにして、現行のLTE仕様におけるMACサブヘッダにも準拠する。一方、リソースの利用に関しては、MAC PDUの最初のサブヘッダにのみ存在インジケータを含める方が効率的と考えられる。
このような存在インジケータの一例を図29に示す。図中、図28に示すMAC PDUフォーマットと類似のMAC PDUフォーマットを示している。したがって、MAC PDUの最初には、MAC SDUと関連付けられ、MAC SDUに先行するMACサブヘッダが存在し、MAC PDUの最後には、MAC制御エレメントと関連付けられ、MAC制御エレメントに後続するMACサブヘッダが存在する。MAC PDUの最初のMACサブヘッダおよび最後のMACサブヘッダについて、当該MACサブヘッダの構造をさらに示す。図25においてすでに示したように、MACサブヘッダは、予約ビット(R)、F2ビット、拡張フィールド(E)、およびLCIDを含む。R、F2、E、およびLCIDの構成は、図25に関して論じた構成と同じである。MAC SDUと関連付けられた最初のMACサブヘッダは、FフィールドおよびLフィールドを含む第2のオクテットをさらに含む。このような第2のオクテットは、図示の最後のMACサブヘッダについては示していない。このサブヘッダは、LCIDに基づいてサイズが既知の固定長MAC CEと関連付けられているものと仮定できるが、本実施形態には、サイズ可変の制御エレメントの場合も含み、この場合は、第2のオクテットおよび場合により第3のオクテットをMACサブヘッダに含める必要がある。ただし、ここでは、MAC PDUにMAC制御エレメントが存在するかを示すため、最初の予約ビットを使用している。ここで、MAC PDUに(少なくとも1つの)MAC CEが存在する場合は、MAC PDUの最後に配置されるものと仮定する。したがって、存在インジケータの使用により、受信機に対して、逆方向に、すなわちMAC PDUの最後からMAC CE(および、それぞれの各ヘッダ)を構文解析するように指示することができる。これにより、MAC PDUの最初のMACサブヘッダおよび/またはすべてのMACサブヘッダに含まれるRビットのうちの1つが送信機により設定される。
たとえば、図29に示すように、R=1は、MAC制御エレメントをMAC PDUにおいて利用可能であることを意味し、R=0は、MAC制御エレメントを利用可能でないことを意味する。図中、MAC PDUの最初と最後の両MACサブヘッダのRビットをR=1に設定しているが、これは、その他のサブヘッダが同じフォーマットを有し、Rフィールドが同様に設定される(R=1)ことを仮定している。ただし、本開示は、すべてのMACサブヘッダのRビットが1に設定される場合に限定されない。この代替として、たとえば、MAC PDUがMAC制御エレメントを含むかを示すのに、最初のMACサブヘッダのRビットのみが設定されるようになっていてもよい。言い換えると、Rフィールドが最初のサブヘッダすなわち最初に構文解析されるサブヘッダに存在していれば十分である。ただし、すべてのサブヘッダに設定することも可能である。
図29においては、MAC PDUの最後のMACサブヘッダのEビットが1に設定された場合を示している。MACサブヘッダの構造に関して上述した通り、値E=1は、少なくとも1つ以上のMACサブヘッダが構文解析方向に存在することを示す。構文解析が最後から始まるため、少なくとも1つ以上のMACサブヘッダは、(図28のMAC制御エレメント「CE1」に対応する)最後のMAC制御エレメントの前のMAC制御エレメントと関連付けられたMACサブヘッダにより識別可能である。したがって、この図においては、最も右にあるMACサブヘッダが、1に設定されたEフィールドを有しており、対応するMAC CEには、第2のMAC CEと関連付けられた第2のサブヘッダが(逆方向の構文解析方向に)後続することを意味する。第2のサブヘッダにおいては、逆方向の構文解析方向にサブヘッダはそれ以上存在せず、(任意選択としての)パディングのみが存在するため、Eフィールドが0に設定されている。
なお、受信機における図29のMAC PDUの構文解析は、最初のSDUの最初のサブヘッダから始まる。R=1であることから、その後の構文解析は、上述の通り、MAC PDUの最後から後方に続くのが好都合である。MAC CEが抽出された後、SDUの構文解析は、最初(図の左側)から再開されるようになっていてもよい。ただし、これは、構文解析の有利な一例に過ぎない。また、このMAC PDUフォーマットによれば、SDUを最初に構文解析した後、MAC PDUの最後から最初に向かってMAC CEを構文解析することも可能である。
したがって、本開示は、MAC制御エレメントが利用可能でない場合は最初から、少なくとも1つのMAC制御エレメントが利用可能な場合は最後からMAC PDUの構文解析を開始できる受信機も提供する。一実施形態において、データ受信ノードは、第2レイヤPDUを受信して構文解析する第2レイヤ処理ユニットであって、少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントが第2レイヤPDUに含まれることを存在インジケータが示す場合に、第2レイヤPDUの最後から開始して第2レイヤPDUを構文解析する、第2レイヤ処理ユニットを具備する。たとえば、受信機の第2レイヤ処理ユニットは、デフォルトで第2レイヤPDUの最初から構文解析を行うように構成されていてもよい。このため、構文解析を開始したら、最初のサブヘッダの存在インジケータ(現行のLTE仕様における所定のRビット等)を評価する。Rビットの値がR=1であり、MAC制御エレメントがMAC PDUに含まれることを示している場合は、デフォルトの設定から逸脱して、MAC PDUを最後から構文解析する。なお、予約ビットRを使用することは、MAC PDUにMAC CEが存在するかを示す存在インジケータを提供するのに有利な選択肢である。ただし、本開示はこれに限定されず、存在インジケータは、たとえばより長いMACサブヘッダの提供等、別の方法で導入されるようになっていてもよい。前述した通り、本開示は、LTEにより規定されたサブヘッダのフォーマットに限定されない。
あるいは、第2レイヤ処理ユニットは、デフォルトでMAC PDUの最後から構文解析を始めるように構成されていてもよい。この場合、構文解析を開始したら、MAC PDUの最後にMACサブヘッダを評価する。このサブヘッダのRビットを評価して、MAC PDUにMAC制御エレメントが存在することを示すR=1を検出した場合は、MAC PDUの構文解析を最後から継続する。
MAC PDUが最後から構文解析された場合は、MACサブヘッダおよびMAC制御エレメントの個々のオクテットが両方向に順序付けされるようになっていてもよい。言い換えると、MAD PDUの構文解析が逆方向である場合は、逆方向に構文解析される個々のMACサブヘッダおよびMAC CE内のビット順序付けも逆方向であってもよいし、逆方向でなくてもよい。ただし、受信機が個々のMACサブヘッダおよびMAC制御エレメントを読み込む方向については、受信機が把握しておく必要がある。
したがって、一実施形態においては、少なくとも1つの第2レイヤSDU、少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメント、ならびに少なくとも1つの第2レイヤSDUおよび少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントそれぞれと関連付けられたサブヘッダを含む第2レイヤPDUを生成する第2レイヤ処理ユニットであって、少なくとも1つの第2レイヤSDUに各関連サブヘッダが先行し、少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントに各関連サブヘッダが後続する、第2レイヤ処理ユニットを含む送信ノードが開示される。
図28および図29に示すMAC PDUフォーマットは、受信機および送信機の両者と関連する利点を暗示している。受信機は、MAC PDUを最後から構文解析して、MAC CE(存在する場合)を高速に処理することができる。
一方、送信機は、MAC CEがMAC SDUの後に配置されていることから、MAC CEの演算により多くの処理時間を掛けられる。
本開示の別の例示的な実施形態を図30に示す。この図は、MAC制御エレメントがMAC SDUの後に配置される一方、MAC制御エレメントと関連付けられたMACサブヘッダがMAC SDUの前に配置されたPDUフォーマットを示している。特に、図示のMAC PDUは、2つのMAC SDU(SDU1およびSDU2)を含み、いずれにも、それぞれの関連するサブヘッダが先行する。さらに、MAC PDUは、それぞれにMACサブヘッダが関連付けられた2つのMAC制御エレメントを含む。ただし、MAC制御エレメントと関連付けられたMACサブヘッダは、関連するMAC制御エレメントの前に直接配置される代わりに、MAC PDUの最初において(すべてMAC PDU内の)MAC SDUの前に配置されている。言い換えると、MAC SDUおよびそれぞれに関連するサブヘッダには、MAC制御エレメントと関連付けられたMACサブヘッダが先行する一方、それぞれのMAC制御エレメント自体が後続する。MAC CEは、任意のSDUおよびそれぞれのヘッダの後で、本例においてはさらに、パディングの後に配置されているためである。図示の例において、MAC CE1のMACサブヘッダは、CE2のMACサブヘッダに先行し、これは、MAC SDU1、MAC SDU2、および両MAC SDUと関連付けられたサブヘッダに先行する。さらに、MAC CE1のサブヘッダがMAC CE2のサブヘッダに先行するものの、MAC制御エレメントMAC CE1は、MAC制御エレメントCE2に後続する。これには、受信機での効率的な構文解析という利点がある。構文解析は、MAC PDUの最初から始まるため、第1のMAC CE1のサブヘッダが読み出される。その後、パーサーは、別の構文解析を待つことなく直ちに、MAC PDUの最後から対応するMAC CE1を「チョッピング」(抽出)するようにしてもよい。構文解析はその後、第2のMAC CE2に関する次のサブヘッダから継続される。このサブヘッダを構文解析した後、MAC PDUの最後から第2のMAC CE2がチョッピングされるようになっていてもよい。同様に、3つ以上のMAC CEが存在する場合は、MAC PDUの最初にそれぞれのサブヘッダの順序付けが順次行われる一方、MAC CE自体は、同じ順序で後方に、MAC PDUの最後から順序付けされる。
ただし、本開示は、この特定の順序に限定されない。この代替として、MAC制御エレメントと関連付けられたMACサブヘッダは、関連するMAC制御エレメントと同じ順序で配置されていてもよい。さらに、本実施形態は、MAC PDUが2つのMAC SDUおよび2つのMAC制御エレメントを含むことに限定されない。MAC SDUおよびMAC制御エレメントの数は、2つでなくてもよいし、互いに異なっていてもよい。TBにいくつかのリソースが残っている場合は、任意選択としてパディングがMAC PDUに含まれる。図中、パディングがMAC SDUとMAC制御エレメントとの間に配置されており、これによって、パディング長を把握する必要なく、MAC PDUの両側から構文解析を行える。
なお、本開示の利点は、MAC PDUの構成によりもたらされる。受信機は、MAC PDUを構文解析して、CEおよびSDUを取得できる必要がある。構文解析の実行方法は、本開示に限定されない。たとえば、図30の実施形態においても、受信機は、MAC PDUを最初から最後まで(図の左から右まで)構文解析するのみであってもよい。それにも関わらず、受信機がMAC CEを最初に構文解析した後、MAC PDUの残りの部分(SDU、パディング)を構文解析可能な場合は、別の利点が実現され得る。
さらに、図30の実施形態では、如何なる存在インジケータも不要である。MAC CEのヘッダがMAC PDUの最初に順序付けされることから、特定の対応するサブヘッダの存在によって、MAC CEの存在が示されるためである。
言い換えると、一実施形態によれば、少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントのいずれかと関連付けられた各第2レイヤサブヘッダは、各第2レイヤSDUおよび各第2レイヤSDUと関連付けられた各サブヘッダに先行する。一方で、第2レイヤ制御エレメントは、任意の第2レイヤSDUの後に位置付けられるのが好都合である。
このため、第2レイヤPDUの最初から、第2レイヤ制御エレメントと関連付けられたサブヘッダを構文解析するとともに、第2レイヤPDUから、第2レイヤSDUの後に配置された上記第2レイヤ制御エレメントを抽出するように第2レイヤ処理ユニットが構成された受信機が提供されるようになっていてもよい。
サブヘッダにおいて、LCIDは、サブヘッダがMAC CEに属するかMAC SDUに属するかを示す。図30に示すPDU構造の電気通信システムにおいて、受信機は、MAC PDUを最初から構文解析する。サブヘッダがMAC CEに属する場合、受信機は、MAC PDUの最後からMAC CEを読み出す。サブヘッダがMAC SDUに属する場合、受信機は、SDUの処理をMAC PDUの最初か始める。
送信側に関する本実施形態の利点として、MAC CEがMAC SDUの後に配置されていることから、MAC CEの演算により多くの処理時間を掛けられる。また、TBの構成が完了する前に、利用可能なMAC SDUを物理レイヤ処理に配送済みとすることができる。受信側に関する利点として、関連するMACヘッダがTBの最初に配置されていることから、MAC CEを高速に処理可能である。UEがBSRの存在を把握するのは、LCPが終了となった後のみであるため、BSR MAC CEのMACサブヘッダは、任意のMAC SDUの後に配置されるのが好都合である。
図30に示すように、MAC CEは、MAC PDUの最後に位置付け可能である。ただし、パディングCEがMAC PDUに挿入される場合には、必ずしも当てはまらない。一実施形態によれば、第2レイヤPDUは、パディングバッファステータスレポート(BSR)およびパディングBSRと関連付けられた第2レイヤサブヘッダを含み、パディングBSRおよび当該パディングBSRと関連付けられた第2レイヤサブヘッダは、少なくとも1つの第2レイヤSDUのいずれかの後に配置される。
特に、LTEにおいてはすでに、いわゆるパディングBSRをMAC PDUに挿入可能である。パディングBSRは、周期的ではないため一般的にはMAC PDUに含める必要のないBSRまたは規則的もしくはトリガー後にMAC PDUに含まれるトリガーBSRである。ただし、MAC PDUが組み立てられた後も、このMAC PDUに割り当てられたリソースの一部が自由であり、BSRを収容するのに十分な大きさである場合は、「パディングBSR」がMAC PDUに挿入される。このようなパディングBSRは、非パディングBSRのLCIDと異なるLCIDを有していてもよく、特に、たとえば非特許文献7の表6.2.1−2における異なる種類のBSRに対して指定されたLCID値と異なっていてもよい。このため、パディングBSRがMAC PDUに含まれる場合、図30においては、そのサブヘッダとともにMAC CE1の後すなわちMAC PDUの最後に含まれることになる。
さらに、図32に示すように、通信システムにおいてデータを無線チャネル上でデータ受信ノードに送信する方法であって、第3のレイヤから、データ送信用に割り当てられたリソースにマッピングされる少なくとも1つの第2レイヤサービスデータユニット(SDU)を受信するステップ3221tと、少なくとも1つの第2レイヤSDUおよび当該少なくとも1つの第2レイヤSDUのいずれかの後に配置された少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントを含む第2レイヤプロトコルデータユニット(PDU)を生成するステップ3222tと、第2レイヤ処理により生成された第2レイヤPDUを受信するステップ3211tと、データ送信用に割り当てられたリソースに第2レイヤPDUをマッピングするステップ3212tと、を含む、方法が開示される。
また、通信システムにおいてデータを無線チャネル上でデータ受信ノードに送信する方法であって、第2レイヤPDUに含まれる第2レイヤ制御エレメントのタイプを決定するステップと、含まれる第2レイヤ制御エレメントのタイプに応じて、第1の種類の第2レイヤPDUまたは第2の種類の第2レイヤPDUを生成するステップと、をさらに含む、方法が開示される。この方法において、第1の種類の第2レイヤPDUは、少なくとも1つの第2レイヤSDUおよび当該少なくとも1つの第2レイヤSDUのいずれかの後に配置された少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントを含み、第2の種類のPDUは、少なくとも1つの第2レイヤSDUおよび当該少なくとも1つの第2レイヤSDUのいずれかに先行する少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントを含む。
また、通信システムにおいてデータを無線チャネル上でデータ受信ノードに送信する方法であって、第2レイヤPDUの一部を構成するパッケージを生成するステップと、第2レイヤPDUの一部を構成するパッケージを第1レイヤ処理ユニットに転送するステップとが交互に繰り返し適用される、方法が開示される。これにより、第2レイヤPDUの一部を構成するパッケージは、第2レイヤPDUの生成が完了する前に、第1レイヤ処理ユニットに転送される。このようなパッケージは、それぞれのサブヘッダおよび/または関連するヘッダを有する各MAC CEを伴う単一のSDUであってもよいし、複数のSDUであってもよい。
また、図32に示すように、通信システムにおいてデータを無線チャネル上でデータ送信ノードから受信する方法であって、データ受信用に割り当てられたリソースから、少なくとも1つの第2レイヤプロトコルデータユニット(PDU)をデマッピングするステップ3211rと、第1レイヤ処理ユニットによりデマッピングされた第2レイヤPDUを受信するステップ3221rおよび構文解析するステップ3222rであり、第2レイヤPDUが、少なくとも1つの第2レイヤサービスデータユニット(SDU)および当該少なくとも1つの第2レイヤSDUのいずれかに後続する少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントを含む、第2レイヤPDUを受信するステップ3221rおよび構文解析するステップ3222rと、を含む、方法が開示される。
本開示の一実施形態において、データを受信する方法は、第2レイヤPDUの最初から(すなわち、早く受信した部分から遅く受信した部分に向かって)第2レイヤPDUを構文解析するステップを含む。
別の実施形態において、データを受信する方法は、第2レイヤCEと関連付けられた各サブヘッダおよび各第2レイヤCEが処理されるまで第2レイヤPDUの最後から第2レイヤPDUを構文解析するステップと、第2レイヤCEおよび第2レイヤCEと関連付けられた各サブヘッダの処理の後、第2レイヤPDUの残りの部分を最初から構文解析することにより、第2レイヤSDUおよび当該第2レイヤSDUと関連付けられた第2レイヤ制御エレメントを処理するステップと、を含む。この方法の利点として、第2レイヤPDUが図28および図29に示すフォーマットを有する場合に、第2レイヤ制御エレメントがより高速に処理される。この場合、第2レイヤCEおよび第2レイヤCEと関連付けられたサブヘッダは、少なくとも1つの第2レイヤSDUのいずれかの後に配置され、第2レイヤCEおよび第2レイヤCEと関連付けられたサブヘッダの後にはパディングが配置されていない。
たとえば、第1または任意の第2レイヤサブヘッダが、第2レイヤPDUが少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントを含むかを示す存在インジケータを含む場合、データを受信する方法は、第2レイヤPDUの最後から開始して第2レイヤPDUを構文解析するステップを含んでいてもよい。このような存在インジケータの一例は、図29のMAC PDUの最初のMAC SDUと関連付けられたMACサブヘッダ中のRビットである。したがって、このRビットを評価した後、R=1の場合は、第2レイヤPDUの最後から開始して第2レイヤPDUを構文解析するステップに従って、MAC制御エレメントおよびMAC制御エレメントと関連付けられたMACサブヘッダを評価する。
あるいは、例示的な一実施形態において、データを受信する方法は、第2レイヤPDUの最初から、第2レイヤ制御エレメントと関連付けられたサブヘッダを構文解析するとともに、第2レイヤPDUから、第2レイヤSDUの後に配置された上記第2レイヤ制御エレメントを抽出するステップを含む。たとえば、この方法は、図30に示すフォーマットを有する第2レイヤPDUに適用可能である。第2レイヤPDUの最初から、第2レイヤ制御エレメントと関連付けられた第2レイヤサブヘッダを構文解析するとともに、各第2レイヤ制御エレメントを抽出(「チョッピング」)するステップは、すべての第2レイヤ制御エレメントが抽出されるまで交互に行われるようになっていてもよい。その後、第2レイヤPDUの残りの部分を最初から構文解析するステップに従って、少なくとも1つの第2レイヤSDUおよび当該少なくとも1つの第2レイヤSDUと関連付けられた1つまたは複数の第2レイヤサブヘッダを構文解析するようにしてもよい。
<本開示のハードウェアおよびソフトウェア実装>
他の例示的な実施形態は、ハードウェアおよびソフトウェアの使用による上述の種々実施形態の実装に関する。これに関連して、ユーザ端末(移動端末)およびeNodeB(基地局)が提供される。ユーザ端末および基地局は、本明細書に記載の方法を実行するように構成されており、受信機、送信機、プロセッサ等の対応するエンティティがこれらの方法に適宜関与する。
コンピュータ機器(プロセッサ)を用いて種々実施形態が実装または実行され得ることもさらに認識される。コンピュータ機器またはプロセッサは、たとえば汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他のプログラム可能な論理デバイス等であってもよい。これらには、データ入出力が結合されていてもよい。また、種々実施形態は、これらのデバイスの組み合わせによって実行または具現化されていてもよい。
さらに、種々実施形態は、プロセッサによる実行またはハードウェアにおける直接的な実行が行われるソフトウェアモジュールによって実装されていてもよい。また、ソフトウェアモジュールおよびハードウェア実装の組み合わせも可能と考えられる。ソフトウェアモジュールは、たとえばRAM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、CD−ROM、DVD等、如何なる種類のコンピュータ可読記憶媒体に格納されていてもよい。
さまざまな実施形態の個々の特徴は、個別または任意の組み合わせにより、別の実施形態の主題であってもよいことにさらに留意するものとする。
当業者には当然のことながら、特定の実施形態に示すように、本開示の多くの変形および/または改良が可能である。したがって、本実施形態は、あらゆる点で例示に過ぎず、何ら限定的なものではないと考えるべきである。
以上をまとめて、本開示は、通信システムの受信機および送信機におけるレイヤ処理に関する。このレイヤ処理には、第1、第2、および第3のレイヤ上の処理を少なくとも含む。送信側において、第3のレイヤは、パケットを受信し、そのヘッダを追加して、パケットを第2のレイヤに転送する。第2のレイヤは、分割を実行して、その分割データを第1のレイヤに提供する。第1のレイヤは、分割データを物理リソースにマッピングする。分割は、割り当てられたリソースに基づく。第3のレイヤ上では、再送信が発生するようになっていてもよく、このため、第3のレイヤは、特定のセグメントに対して、受信したフィードバックに従ってパケットを再分割するとともに、再分割データを下位レイヤに提供するようにしてもよい。あるいは、フィードバック情報が第2のレイヤに提供され、これを考慮して第2のレイヤが分割を実行する。これに対応して、受信機は、第2のレイヤから制御情報も受信する第3のレイヤにおいて、並べ替えおよび再組み立てを実行する。
さらに、本開示は、通信システムにおいてデータを無線チャネル上でデータ送信ノードからデータ受信ノードに送信するシステムおよび方法に関する。特に、データ送信ノードは、第3のレイヤから、データ送信用に割り当てられたリソースにマッピングされる少なくとも1つの第2レイヤサービスデータユニット(SDU)を受信するとともに、少なくとも1つの第2レイヤSDUおよび当該少なくとも1つの第2レイヤSDUのいずれかの後に配置された少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントを含む第2レイヤプロトコルデータユニット(PDU)を生成する第2レイヤ処理ユニットと、第2レイヤ処理ユニットにより生成された第2レイヤPDUを受信するとともに、データ送信用に割り当てられたリソースに第2レイヤPDUをマッピングする第1レイヤ処理ユニットと、を備える。データ受信ノードは、データ受信用に割り当てられたリソースから、少なくとも1つの第2レイヤプロトコルデータユニット(PDU)をデマッピングする第1レイヤ処理ユニットと、第1レイヤ処理ユニットによりデマッピングされた第2レイヤPDUを受信して構文解析する第2レイヤ処理ユニットであり、第2レイヤPDUが、少なくとも1つの第2レイヤサービスデータユニット(SDU)および当該少なくとも1つの第2レイヤSDUのいずれかに後続する少なくとも1つの第2レイヤ制御エレメントを含む、第2レイヤ処理ユニットと、を備える。