JP6970458B2 - アプタマー及びその使用 - Google Patents
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Description
[1]配列番号1に記載の塩基配列を含み、Fibroblast Growth Factor Receptor 1(FGFR1)に結合する活性を有するポリヌクレオチドからなる、アプタマー。
[2]配列番号1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドが少なくとも一部を形成するループ構造を有する、[1]に記載のアプタマー。
[3]前記ループ構造が塩基数28〜40のポリヌクレオチド鎖からなる、[2]に記載のアプタマー。
[4]前記ループ構造に連結する2本鎖ポリヌクレオチドからなるステム構造を有する、[2]又は[3]に記載のアプタマー。
[5]グアニン四重鎖構造を形成する、[1]〜[4]のいずれかに記載のアプタマー。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載のアプタマーが2つ以上連結された、FGFR1に結合してFGFR1を活性化する活性を有する、アプタマー。
[7][1]〜[5]のいずれかに記載のアプタマーがリンカーで連結され、前記リンカーの長さがポリヌクレオチド換算で80塩基以下の長さである、[6]に記載のアプタマー。
[8]配列番号11に記載の塩基配列、又は配列番号11に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり且つFGFR1に結合してFGFR1を活性化する活性を有する、[6]又は[7]に記載のアプタマー。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載のアプタマーを有効成分として含有する、FGFR1シグナリング関連疾患の予防又は治療剤。
[10][1]〜[8]のいずれかに記載のアプタマーを有効成分として含有する、細胞培養用組成物。
[11][1]〜[8]のいずれかに記載のアプタマーを含む培地で、FGFR1陽性細胞を培養することを含む、細胞培養方法。
[12][1]〜[5]のいずれかに記載のアプタマーを、FGFR1陽性細胞と接触させることを含む、bFGFと前記FGFR1との結合阻害方法。
[13][1]〜[5]のいずれかに記載のアプタマーを、FGFR1陽性細胞と接触させることを含む、前記細胞の増殖抑制方法。
[14][6]〜[8]のいずれかに記載のアプタマーを、FGFR1陽性細胞と接触させることを含む、前記FGFR1の活性化方法。
[15][6]〜[8]のいずれかに記載のアプタマーを、FGFR1陽性細胞と接触させることを含む、前記細胞の増殖促進方法。
[16][6]〜[8]のいずれかに記載のアプタマーを、FGFR1陽性多能性幹細胞と接触させることを含む、前記多能性幹細胞の多能性維持方法。
1実施形態において、本発明は、配列番号1に記載の塩基配列を含み、FGFR1に結合する活性を有するポリヌクレオチドからなる、アプタマーを提供する。
5’-ttatggcaggggatggtgtgggtt-3’(配列番号25)
5’-gtttggtgtggatggcaggggct-3’(配列番号26)
5’-ttatggtgtggatggctatgggct-3’(配列番号27)
5’-ttatggtgtggatggctggggttt-3’(配列番号28)
5’-tcatggtgtggatggcaggggct-3’(配列番号29)
5’-ttttggtgtggatggcaggggcg-3’(配列番号30)
5’-ttatggtgtggatggcaggggct-3’(配列番号31)
5’-tatggtgtggatggcaggggct-3’(配列番号32)
5’-tcatggagtggatggcaggggtt-3’(配列番号33)
5’-tcatggtgtggatggcaggggtt-3’(配列番号34)
5’-ttatggttaggatggtgtggttt-3’(配列番号35)
1実施形態において、本発明は、上述したアプタマーが2つ以上連結され、FGFR1に結合してFGFR1を活性化する活性を有する、アプタマーを提供する。
1実施形態において、本発明は、上述したアプタマー又はマルチ構造アプタマーが、固相担体表面に固定化された、アプタマー固定担体を提供する。
1実施形態において、本発明は、上述したアプタマー又はマルチ構造アプタマーを有効成分として含有する、FGFR1シグナリング関連疾患の予防又は治療剤を提供する。ここで、アプタマーとは単量体アプタマー(1単位のアプタマー)を意味し、マルチ構造アプタマーとは、2単位以上のアプタマーが連結されたアプタマーを意味する。
1実施形態において、本発明は、上述した単量体アプタマー又はマルチ構造アプタマーを有効成分として含有する、細胞培養用組成物を提供する。本実施形態の細胞培養用組成物は、培地であってもよいし、培地用添加剤であってもよい。
1実施形態において、本発明は、上述した単量体アプタマー又はマルチ構造アプタマーを含む培地で、FGFR1陽性細胞を培養することを含む、細胞培養方法を提供する。単量体アプタマーの存在下でFGFR1陽性細胞を培養すると、単量体アプタマーがFGFR1に結合して、bFGFとFGFR1との結合が阻害される。その結果、細胞におけるFGFR1シグナリングを抑制することができる。また、マルチ構造アプタマーの存在下でFGFR1陽性細胞を培養すると、マルチ構造アプタマーがFGFR1に結合し、細胞におけるFGFR1シグナリングを活性化することができる。
1実施形態において、本発明は、上述した単量体アプタマーを、FGFR1陽性細胞と接触させることを含む、bFGFと前記FGFR1との結合阻害方法を提供する。単量体アプタマーをFGFR1陽性細胞と接触させると、単量体アプタマーがFGFR1に結合して、bFGFとFGFR1との結合が阻害される。その結果、細胞におけるFGFR1シグナリングを抑制することができる。
1実施形態において、本発明は、上述した単量体アプタマーを、FGFR1陽性細胞と接触させることを含む、前記細胞の増殖抑制方法を提供する。単量体アプタマーをFGFR1陽性細胞と接触させると、単量体アプタマーがFGFR1に結合して、bFGFとFGFR1との結合が阻害される。その結果、細胞の増殖を抑制することができる。
1実施形態において、本発明は、上述したマルチ構造アプタマーを、FGFR1陽性細胞と接触させることを含む、前記FGFR1の活性化方法を提供する。マルチ構造アプタマーをFGFR1陽性細胞と接触させると、マルチ構造アプタマーがFGFR1に結合し、細胞におけるFGFR1シグナリングを活性化することができる。
1実施形態において、本発明は、上述したマルチ構造アプタマーを、FGFR1陽性細胞と接触させることを含む、前記細胞の増殖促進方法を提供する。マルチ構造アプタマーをFGFR1陽性細胞と接触させると、マルチ構造アプタマーがFGFR1に結合し、細胞におけるFGFR1シグナリングを活性化することができる。その結果、細胞の増殖を促進することができる。
1実施形態において、本発明は、上述したマルチ構造アプタマーを、FGFR1陽性多能性幹細胞と接触させることを含む、前記多能性幹細胞の多能性維持方法を提供する。FGFR1陽性多能性幹細胞としては、iPS細胞、Embryonic stem cells(ES細胞)等の多能性幹細胞が挙げられる。
1実施形態において、本発明は、上述した単量体アプタマー又はマルチ構造アプタマーをFGFR1に結合させることを含む、FGFR1の検出方法を提供する。ここで、単量体アプタマー又はマルチ構造アプタマーは標識物質で標識されていることが好ましい。その結果、標識物質を検出することにより、FGFR1を検出することができる。標識物質としては、例えば、色素、蛍光色素、ラジオアイソトープ、抗体、抗原、酵素等が挙げられる。
(材料)
化合物は、一般的な供給会社より購入し、更に精製することなく使用した。全てのDNAサンプルはファスマック社より購入した。DNAのアニーリング(95℃5分、0.1℃/分で25℃又は室温まで冷却)はサーマルサイクラーにより行った。ダルベッコリン酸緩衝液(Dulbecco’s phosphate buffered saline,DPBS)は富士フイルム和光純薬株式会社より購入した。組換え塩基性FGF(#100−18B)と組換えヒトTGF−β(#100−21)はペプロテック社より購入した。組換えヒトFGFR1−Fcキメラタンパク質(#661−FR)と組換えヒトMet−Fcキメラタンパク質(#358−MT)はR&Dシステムズ社より購入した。組換えFGFR1細胞外ドメイン(#7421−20)はバイオビジョン社から購入した。蛍光画像は、sCMOS camera(Zyla4.2、アンドール・テクノロジー社)を搭載した倒立顕微鏡(IX−81、オリンパス株式会社)により取得した。吸光度と蛍光強度は、Infinite M200 pro(テカン社)により測定した。
PBS−T緩衝液(0.02% Tween 20(wt/vol)を加えたDPBS)中で、FGFR1−FcをDynabeads Protein G(#10004D、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)と30分間インキュベートした。ビーズのスラリー(12.6μL;結合能は20pmol)を20pmolのタンパク質を固定するために用いた。インキュベート後、ビーズをPBS−T緩衝液で3回洗浄し、セレクションに用いた。ヒトMet−Fc固定ビーズを同様の手順で用意し、ネガティブセレクションに用いた。各セレクションに用いた組換えタンパク質の量は表1に要約した。
配列番号2に表される1本鎖DNAの混合物(1本鎖DNAプール)を用意した。配列番号2中、Nは、a(アデニン)、t(チミン)、g(グアニン)、c(シトシン)のいずれかである。1本鎖DNAプールをDPBSに溶解し、95℃で5分間、解離させ、0.1℃/分でゆっくりと25℃まで冷却した。リフォールディング後、0.04% Tween 20(wt/vol)を含む、等量のDPBSを1本鎖DNAプールに加えた。1本鎖DNAプールをDynabeads Protein Gと共に室温で30分間インキュベートし、ビーズに結合した配列を除去した。5回、6回のセレクション中に、ヒトMet−Fc固定ビーズを用いてネガティブセレクションも行った。上清をFGFR1固定ビーズと室温で10分〜30分間インキュベートした。インキュベート後、ビーズをPBS−T緩衝液で洗浄した。ビーズと溶出バッファー(7M尿素を含む100mM 酢酸ナトリウム、3mM EDTA)を95℃で3分間インキュベートし、FGFR1結合配列を得た。溶出したDNAはフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール溶液で抽出し、Amicon Ultra(#UFC501096)により限外濾過した。各セレクションの条件は表1に要約した。
溶出したDNAを、KOD DNAポリメラーゼを用い、マニュアルにしたがって、PCRにより増幅させた。プライマーは、配列番号3に記載の塩基配列からなるプライマーと、配列番号4に記載の塩基配列からなるプライマーを用いた。PCR後、反応混合液とストレプトアビジン磁性ビーズ(#21344、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を、緩衝液(10mM Tris−HCl、1M NaCl、1mM EDTA)中で、10分間インキュベートした。150mM NaOHを含む溶液中でビーズを5分間インキュベートし、1本鎖DNAを得た。上清は150mM HClで中和し、G−25スピンカラムで脱塩した。1本鎖DNAはヌクレアーゼフリーの水でカラムから溶出し、次のセレクションに用いた。
6回のセレクション後、回収したDNAを未修飾のプライマーで増幅させた。PCR産物をTArget Clonetm−Plus kit(sha−puTAK−201、東洋紡株式会社)を用いてクローニングベクターに挿入した。標準的な大腸菌形質転換方法とクローニング方法にしたがって、DNAシーケンシングによってアプタマー候補配列を同定した。
各ビーズと細胞の蛍光強度は、フローサイトメトリー(Guava easyCyte、メルク社)を用いて測定した。
ヒトFGFR1−Fc(各サンプルについて1pmol)とDynabeads Protein GをPBS−T中で30分間インキュベートした。インキュベート後、ビーズをPBS−Tで3回洗浄した。20pmolの5’−FITC−修飾DNAとFGFR1固定ビーズを50μLのPBS−T中で、37℃で30分間インキュベートした。インキュベート後、ビーズをPBS−Tで洗浄し、フローサイトメトリーで解析した。未処理のビーズの蛍光強度に対する、アプタマーとインキュベートしたビーズの蛍光強度の増加分を、平均蛍光強度として示した。
409B2細胞をディッシュから剥がし、DPBSで洗浄した。FCM緩衝液(1%BSAを含むDPBS)中で、細胞とAlexa488標識抗SSEA−4抗体(1:100希釈、#53−8843、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を、氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をFCM緩衝液で2回洗浄し、フローサイトメトリーで解析した。未処理の際簿の蛍光強度に対する、抗体染色した細胞の蛍光強度の増加分を、平均蛍光強度として示した。
SPR解析は、Series S Sensor Chip SA(#29104992、GEヘルスケア社)を用いて、Biacore T100(GEヘルスケア社)により行った。5’−ビオチン化DNAをセンサーチップに固定した。様々な濃度のFGFR1タンパク質(2.5,10,25,50,100nM)を、流速30μL/分で固定したDNAの表面に注入した(25℃の流動緩衝液:0.2% Nonidet−P40を含むDPBS、再生液:50mM NaOHを含む1M NaCl溶液、接触時間:180秒、解離時間:600秒)。
ヒト横紋筋肉腫細胞株であるA204細胞は、10%胎児牛血清(fetal bovine serum,FBS)と1% 抗マイコプラズマ抗生物質(#15240、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を含むDMEM中で培養した。409B2細胞は、1%ペニシリン−ストレプトマイシン混合液(#26253−84、ナカライテスク社)を含むStemFit(登録商標)AK02N(#AK02N、味の素株式会社)中で培養した。iMatrix−511(0.25 μg/cm2,#892011、ニッピ社)を培養基質として用いた。全ての細胞は、37℃の加湿した5%CO2雰囲気中のインキュベータ内で培養した。
解析は、PathScan(登録商標)Phospho−FGF Receptor 1(panTyr) Sandwich ELISA Kit(#12909C、セルシグナリングテクノロジー社)を用いて、マニュアルのプロトコルにしたがって行った。3回の独立した実験を行い、平均値をエラーバー(SD)と共に示した。
細胞破砕液は、SDS−PAGEにより分離し、PVDF膜に転写した。PVDF膜を、4℃で一晩、一次抗体と反応させた後、室温で1時間、適当な二次抗体と反応させた。一次抗体として、phospho−ERK1/2(#4370),ERK1/2 (#4695),beta−actin(#4967)をセルシグナリングテクノロジー社から購入した。二次抗体(Anti−Rabbit Immunoglobulins/HRP,P0488)はダコ社より購入した。膜はImmunoStar LD(#296−69901、 富士フイルム和光純薬株式会社)で検出した。
iPS細胞の多能性維持に対する、FGFRアゴニストの潜在的効果を評価するために、「ABT培地」を作成し、基礎培地として実験に用いた。ABT培地は、StemFit(登録商標)AK02Nのsolution A(400mL)とsolution B(100mL)、組換えTGF−β(最終濃度2ng/mL)からなり、complete StemFit(登録商標)AK02Nは、solution A(400mL)、solution B(100mL)、solution C(2mL)からなる。組換えbFGFの非存在下では、ABT培地中で409B2 iPS細胞の多能性は維持できないことが確認された。409B2細胞(2×103細胞/cm2)は、適当なFGFRアゴニスト、Y−27632(10μM)、iMatrix−511(0.3μg/cm2)を含むABT培養液の入った培養シャーレ上に播種した。翌日、培地を、適当なFGFRアゴニストを含むABT培地に交換した。培地を一日おきに交換して細胞を維持した。
409B2細胞はDPBSで2回洗浄し、室温で30分間、4%パラホルムアルデヒドリン酸緩衝液で固定した。固定後、細胞はDPBSで3回洗浄し、室温で15分、透過緩衝液(0.5% Triton X−100を含むDPBS)中でインキュベートした。透過処理後、細胞をDPBSで3回洗浄し、室温で15分間、ブロッキング緩衝液(3%BSAを含むDPBS)中でインキュベートした。次に、細胞を、4℃で一晩、Alexa488標識抗SSEA−4抗体(1:100希釈、#53−8843,Thermo Scientific Pierce)と反応させた。細胞は、DPBSで3回洗浄し、蛍光イメージング観察の前に、Hoechst 33258(1:1000、#H341、同仁化学研究所)で染色した。
全RNAは、FastGenetm RNA Premium Kit(#FG−81050、日本ジェネティクス社)により精製した。精製したRNAは、iScript cDNA Synthesis Kit(#1708890、バイオラッド社)を用いて、マニュアルのプロトコルにしたがって、逆転写反応に供した。遺伝子発現量の定量においては、KOD SYBR qPCR Mix(#QKD−201、東洋紡株式会社)を用いた。OCT4の発現量の定量には、配列番号20で表されるプライマーと、配列番号21で表されるプライマーを用いた。RPLP0の発現量の定量には、配列番号22で表されるプライマーと、配列番号23で表されるプライマーを用いた。
409B2細胞はDPBSで2回洗浄し、0.5mM EDTAを含むDPBSによりシャーレから剥離した。細胞は、0.4%トリパンブルー溶液(#207−17081、富士フイルム和光純薬株式会社)で染色し、セルカウンターでカウントした。
(FGFR1に結合するDNAアプタマーのスクリーニング)
ランダムな配列を有する1本鎖DNAプールの中から、PCRとアフィニティ精製により、FGFR1に結合する1本鎖DNAを濃縮し、クローニングした。
(FGFR1に結合するDNAアプタマーの部位)
実験例1において得られた全長84塩基のDNAアプタマー(配列番号5)から、FGFR1に結合する部位を同定した。
(ステム構造と安定性)
アプタマーの安定性における、ステム配列の役割を解析した。SL38は、ループ構造に、AとTからなる4塩基のステム構造が連結していると予測された。SL38の安定性を高めるために、ステム構造の塩基配列をC又はGに改変した、SL38.2を合成した。SL38.2の塩基配列を、配列番号9に示す。
(SL38.2とFGFR1の結合)
SL38.2とFGFR1の結合力を、フローサイトメトリー及び表面プラズモン共鳴(Surface plasmon resonance、SPR)により解析した。
(SL38.2とFGFR1〜4の結合)
SL38.2とFGFR1〜4の結合特異性を、フローサイトメトリーで解析した。具体的には、まず、5’末端をFITCで標識したSL38.2を用意した。また、FGFR1−Fc、FGFR2−Fc、FGFR3−Fc、FGFR4−Fcを、それぞれビーズに固定した。続いて、標識したSL38.2と、各FGFR−Fc固定ビーズの結合力を、フローサイトメトリーで解析した。
(グアニン四重鎖構造形成におけるステム構造の役割)
CDスペクトル測定によって、SL38とSL38.2のグアニン四重鎖構造を解析した。グアニン四重鎖はそのトポロジーから「並行型」「逆並行型」に分類可能である。並行型グアニン四重鎖構造の存在は、CDスペクトル測定によって、245nm付近の負のピークと、265nm付近の正のピークが検出されることにより確認できる。また、グアニン四重鎖構造の形成はK+イオンを要求するので、K+イオンを含む溶液中でのポリヌクレオチドと、K+イオンを含まない溶液中でのポリヌクレオチドに対する、CDスペクトル測定結果を比較することで、グアニン四重鎖構造の確認を、より信頼性高く行うことができる。
(グアニン四重鎖構造形成におけるG−richループの役割)
G−richループの塩基配列を改変し、グアニン四重鎖構造形成における、G−richループの役割を解析した。
(SL38とFGFR1の結合におけるグアニン四重鎖構造の役割)
グアニン四重鎖構造を形成しない、G14T又はG24Tと、FGFR1の結合力を解析し、SL38とFGFR1の結合におけるグアニン四重鎖構造の役割を検討した。
(熱安定性におけるステム構造の役割)
SL38及びSL38.2の融解温度を算出し、熱安定性におけるステム構造の役割を解析した。具体的には、SL38とSL38.2について、10℃〜70℃まで温度を変化させ、295nmにおけるCDスペクトルを計測した。結果を図17に示す。図17は、各温度下で、SL38及びSL38.2の295nmにおけるCDスペクトルを計測した結果を示すグラフである。
(タンデムに結合させたアプタマー)
タンデムに結合させたアプタマーによる、FGFR1の活性化について解析した。FGFR1は、bFGFと結合すると二量体化して、活性化することが知られている。タンデムに連結したアプタマーが、FGFR1を二量体化し、活性化させるか否かを検討した。SL38.2をタンデムに連結させた、SL38.2_dimerの予測構造を図18(a)に示す。
(タンデムに結合させたアプタマーによるFGFR1経路の活性化)
SL38.2_dimerによる、FGFR、下流のPI3K/Akt経路及びMAPK経路の活性化について、解析した。
(タンデムに結合させたアプタマーによるヒトiPS細胞の多能性維持)
SL38.2_dimer刺激したヒトiPS細胞における、多能性マーカーの発現量を解析した。多能性マーカーとしては、Oct−4、Nanog、SSEA−4を検討した。
ヒトiPS細胞をSL38.2_dimer刺激し、多能性マーカーであるSSEA−4タンパク質の発現量の変化を解析した。
(二量体DNAアプタマーの合成)
様々な結合様式の二量体DNAアプタマーを合成した。具体的には、アプタマー同士を連結するリンカーが1本鎖DNAであるアプタマーと、アプタマー同士を連結するリンカーが2本鎖DNAであるアプタマーを合成した。
(二量体DNAアプタマーによるFGFR1経路の活性化)
二量体DNAアプタマーによる、FGFR1経路の活性化について解析した。具体的には、それぞれ500nMの、SL38.2_dimer、Rev−L38.2_dimer、SL38.2_dimer20、DP20、DP0、及び2nMのbFGFをA204細胞に接触させた。
(二量体DNAアプタマーの刺激によるiPS細胞の多能性維持)
二量体DNAアプタマーの刺激による、iPS細胞における、多能性マーカーの発現を解析した。
Claims (11)
- 配列番号5、6、7若しくは9に記載の塩基配列を含み、Fibroblast Growth Factor Receptor 1(FGFR1)に結合する活性を有するポリヌクレオチド、又は、配列番号5、6、7若しくは9に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列を含み且つFGFR1に結合する活性を有するポリヌクレオチドからなる、アプタマー。
- グアニン四重鎖構造を形成する、請求項1に記載のアプタマー。
- 請求項1又は2に記載のアプタマーが2つ以上連結された、FGFR1に結合してFGFR1を活性化する活性を有する、アプタマー。
- 請求項1又は2に記載のアプタマーがリンカーで連結され、前記リンカーの長さがポリヌクレオチド換算で80塩基以下の長さである、請求項3に記載のアプタマー。
- 配列番号11に記載の塩基配列からなるか、又は配列番号11に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり且つFGFR1に結合してFGFR1を活性化する活性を有する、請求項3又は4に記載のアプタマー。
- 請求項3〜5のいずれか一項に記載のアプタマーを有効成分として含有する、FGFR1シグナリング関連疾患の予防又は治療剤。
- 請求項3〜5のいずれか一項に記載のアプタマーを有効成分として含有する、細胞培養用組成物。
- 請求項3〜5のいずれか一項に記載のアプタマーを含む培地で、FGFR1陽性細胞を培養することを含む、細胞培養方法。
- 請求項3〜5のいずれか一項に記載のアプタマーを、インビトロでFGFR1陽性細胞と接触させることを含む、前記FGFR1の活性化方法。
- 請求項3〜5のいずれか一項に記載のアプタマーを、インビトロでFGFR1陽性細胞と接触させることを含む、前記細胞の増殖促進方法。
- 請求項3〜5のいずれか一項に記載のアプタマーを、FGFR1陽性多能性幹細胞と接触させることを含む、前記多能性幹細胞の多能性維持方法。
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