JP6968591B2 - コンクリート床構造体の施工方法及び床構造体 - Google Patents
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Description
本実施形態では、まず、コンクリート構造体からなる床本体の上にプライマーを塗布してプライマー層を設けるプライマー層形成工程を行う。
次に、プライマー層の上に、水硬性組成物を含む補修モルタルを施工して補修モルタル硬化体層を設ける補修モルタル硬化体層形成工程を行う。補修モルタル硬化体層形成工程は、プライマーの塗布が完了してから1時間以上経過した後に実施することが好ましい。
次に、補修モルタル硬化体層の上に、表面処理剤を塗布して表面処理層を設ける表面処理層形成工程を行う。表面処理層形成工程は、補修モルタルの塗工が完了してから、0.8時間以上経過した後に行うことが好ましく、0.9時間以上経過した後に行うことがより好ましく、1.0時間以上経過した後に行うことがさらに好ましい。
次に、補修モルタル硬化体層形成工程において用いる補修モルタルに含まれる水硬性組成物について説明する。
ポルトランドセメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント及び耐硫酸塩ポルトランドセメント等を用いることができる。なかでも、速硬性の観点から、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント又は超早強ポルトランドセメントがより好ましく用いられる。
アルミナセメントの主成分は、モノカルシウムアルミネート(CA)である。本実施形態においては、どのようなアルミナセメントであっても好適に用いられる。なかでも、2000cm2/g〜6000cm2/gのブレーン比表面積を有するアルミナセメントがより好ましく用いられる。なお、アルミナセメントのブレーン比表面積は、JIS R 2521に準じて求められる。
石膏としては、例えば、二水石膏、半水石膏及び無水石膏等が挙げられ、排煙脱硫やフッ酸製造工程等で副産される石膏、又は天然に産出される石膏のいずれも使用することができる。自己流動性モルタルの流動性やモルタル硬化体の強度を高める観点から、無水石膏がより好ましく用いられる。
水酸化カルシウム粉末としては、特に限定されず、例えば、市販の水酸化カルシウム粉末を用いることができる。
炭酸カルシウム粉末としては、例えば、石灰石を粉砕したものが好適に用いられるが、炭酸カルシウムを主成分とするものであれば特に限定されず、例えば、寒水石や廃コンクリート等を粉砕したもの、化学的に精製した炭酸カルシウム等も好適に用いられる。
細骨材としては、例えば、珪砂、石灰石砂、川砂、海砂、山砂、砕砂等が好ましく用いられる。
水硬性組成物は、補修モルタル硬化体層とプライマー層との接着性の向上や、補修モルタル硬化体層の表面強度の向上等を目的として、再乳化形樹脂粉末を含有する。
水硬性組成物は、混和剤として、減水剤と、無機酸のリチウム塩及びカリウム塩の少なくとも一方である凝結促進剤と、有機酸及び無機酸の少なくとも一方のナトリウム塩である凝結遅延剤と、消泡剤とからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。
本実施形態においては、上記施工方法でコンクリート床構造体が施工される。コンクリート床構造体は、コンクリート構造体からなる床本体と、床本体の上に設けられたプライマー層と、プライマー層の上に設けられた補修モルタル硬化体層と、補修モルタル硬化体層の上に設けられた表面処理層とを備える。本実施形態におけるコンクリート床構造体は、上記施工方法で施工されるため、優れた耐久性を有している。具体的には、補修モルタル硬化体層が高強度を有しており、表面処理層が補修モルタル硬化体層から剥離しにくい。
下記の表2及び表3に示す配合割合で原料をアイリッヒミキサーを用いて4分間混合し、水硬性組成物を得た。水硬性組成物の調製に用いた各原料は、以下の通りである。なお、表2及び表3に示す配合割合は、水硬性成分を100質量部としたときの各成分の質量部を示している。
1.水硬性成分
(1)ポルトランドセメント[PC](早強ポルトランドセメント、ブレーン比表面積4440cm2/g)
(2)アルミナセメント[AC](ブレーン比表面積3110cm2/g)
(3)石膏[G](フッ酸無水石膏、ブレーン比表面積4000cm2/g)
(4)水酸化カルシウム微粉末[CH](ブレーン比表面積16000cm2/g、平均粒子径7μm)
2.炭酸カルシウム粉末[CO](ブレーン比表面積4480cm2/g)
3.細骨材[S7](7号珪砂、粒子径0.212mm超の粗粒分=2.7質量%)、表1に細骨材[S7]の粒度を示す。)
5.混和剤
(1)減水剤[FL](ポリカルボン酸系流動化剤)
(2)消泡剤[DF](ポリエーテル系消泡剤)
(3)凝結促進剤[AL](炭酸リチウム「平均粒子径12μm」:硫酸カリウム=1:3.3)
(4)凝結遅延剤[RD](酒石酸ナトリウム:重炭酸ナトリウム=1:1)
上記調製の補修モルタルに対し、以下の評価を行った。
1.補修モルタルのフロー値
上述のように調整した補修モルタルについて、JIS A 1171に準拠したフロー試験で測定した。結果を表4に示す。
2.補修モルタル硬化体の曲げ強度及び圧縮強度
JIS R 5201に示される4cm×4cm×16cmの型枠に調製した補修モルタルを型詰めして、温度20℃、湿度65%で24時間気中養生した後、脱型し、さらに気中で所定期間(7日、28日)追加養生して成型体を得た。成型体の曲げ強度及び圧縮強度を、JIS R 5201記載の方法に従い測定した。結果を表4に示す。
3.補修モルタル硬化体の摩耗損厚
JIS K 7204『摩耗輪によるプラスチックの摩耗試験方法』に準拠し、デーバー式摩耗試験機を用いて材齢7日の硬化体表面の摩耗損厚を測定した。摩耗輪はGC−150H、荷重250g、2000回転での摩耗損失の深さをミクロンゲージにて測定したものを摩耗損厚(mm)とした。試験体は、110mm×110mmのサイズとし、下地用の10mm厚スレート板(ノザワ社製)の上にプライマー(固形分濃度15%のスチレン−アクリル系共重合体樹脂エマルジョン)を90g/m2塗布して1日乾燥させてプライマー層を形成した後、補修モルタルを1mm厚で施工した。結果を表4に示す。
まず、300×300mm×厚み60mmのコンクリート舗道板上にプライマー(固形分濃度15%のスチレン−アクリル系共重合体樹脂エマルジョン)5.5gを均一に塗布して1日乾燥させてプライマー層を形成した。その後、セルフレベリング材モルタルを10mm厚になるように流し込み、1日養生してセルフレベリング材モルタル硬化体層を形成した。このセルフレベリング材モルタル硬化体層を試験体の下地として用いた。なお、実施例及び比較例で用いたセルフレベリング材モルタルとしては、後述のモルタルを用いた。
上記の方法により作製した試験体の表面にエポキシ樹脂を用いて40mm×40mm角のアタッチメントを接着させ、1日間養生後、建研式引張試験機を用いてアタッチメントを上方向へ引っ張り、表面接着強度(補修モルタル硬化体表面の接着強度)を測定した。測定点数は6点とし、その平均値を算出した。結果を表5に示す。
上記実施例及び比較例で用いたセルフレベリング材モルタルの組成を、下記の表6に示す。なお、表6に示す値は、水硬性成分100質量部に対する質量部である。
1.水硬性成分
(1)早強ポルトランドセメント[HC](ブレーン比表面積4440cm2/g)
(2)アルミナセメント[AC](ブレーン比表面積3110cm2/g)
(3)石膏[NG](天然無水石膏、ブレーン比表面積4050cm2/g)
2.高炉スラグ微粉末[BFS](ブレーン比表面積4400cm2/g)
3.細骨材[S6](6号珪砂、粒子径0.6mm超の粗粒分0.1質量%、粗粒率1.08)
4.再乳化形樹脂粉末[RP](酢酸ビニル/アクリルの共重合体)
5.混和剤[AD]
(1)減水剤(ポリカルボン酸系流動化剤)
(2)増粘剤(ヒドロキシエチルメチルセルロース系増粘剤、20℃における2%水溶液の粘度28000mPa・s)
(3)消泡剤(ポリエーテル系消泡剤)
(4)凝結促進剤(炭酸リチウム)
(5)凝結遅延剤(酒石酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウム)
Claims (6)
- セルフレベリング材モルタル硬化体層を備えるコンクリート構造体からなる床本体の前記セルフレベリング材モルタル硬化体層の上にプライマーを塗布してプライマー層を設ける工程と、
前記プライマー層の上に、水硬性組成物を含む補修モルタルを施工して補修モルタル硬化体層を設ける工程と、
前記補修モルタル硬化体層の上に、表面処理剤を塗布して表面処理層を設ける工程と、
を備える、最外層に前記表面処理層を有するコンクリート床構造体の施工方法であって、
前記補修モルタルの施工厚みが0.3mm〜10mmとなるように前記補修モルタルを施工し、
前記表面処理剤として、固形分濃度が8質量%〜25質量%である水系の樹脂エマルジョンを用い、
前記表面処理剤の塗布量を50g/m2〜75g/m2とし、
前記水硬性組成物として、ポルトランドセメント、アルミナセメント、石膏、及び水酸化カルシウム粉末を含む水硬性成分と、炭酸カルシウム粉末と、細骨材と、再乳化形樹脂粉末と、混和剤とを含む水硬性組成物を使用し、
前記混和剤として、減水剤と、無機酸のリチウム塩及びカリウム塩の少なくとも一方である凝結促進剤と、有機酸及び無機酸の少なくとも一方のナトリウム塩である凝結遅延剤と、消泡剤とからなる群から選ばれる少なくとも1種を用い、
前記水硬性成分として、ポルトランドセメント20質量%〜60質量%、アルミナセメント20質量%〜60質量%、石膏10質量%〜30質量%、及び水酸化カルシウム粉末1質量%〜8質量%を含む水硬性成分を用い、
前記水硬性組成物として、前記水硬性成分100質量部に対して、前記再乳化形樹脂粉末を5質量%〜20質量部含む水硬性組成物を用いる、コンクリート床構造体の施工方法。 - 前記水硬性組成物として、前記水硬性成分100質量部に対して、前記炭酸カルシウム粉末を3質量部〜15質量部含む水硬性組成物を用いる、請求項1に記載のコンクリート床構造体の施工方法。
- 前記再乳化形樹脂粉末として、酢酸ビニル−アクリル共重合樹脂を用いる、請求項1又は2に記載のコンクリート床構造体の施工方法。
- 前記細骨材として、JIS A 1102に規定される篩い試験における212μmの残分が10質量%未満である細骨材を用いる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンクリート床構造体の施工方法。
- 前記表面処理剤として、スチレン−アクリル系共重合体を主成分とする表面処理剤を用いる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコンクリート床構造体の施工方法。
- 前記表面処理剤を、前記補修モルタルの塗工後、0.8時間以上経過した後に塗布する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンクリート床構造体の施工方法。
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