JP6968526B2 - 覚醒状態判定装置、覚醒状態判定方法及びプログラム - Google Patents
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Description
また、RI及びRrMSSDの値の変動と眠気の生じる状態との関係性は、個人の特性によって異なるため、画一的な基準では、正確な覚醒状態の判定を行うことは困難であった。このため、人の覚醒状態をより精度良く判定する技術が望まれている。
こうすることで、人の呼吸データについて設定した対象区間における呼吸速度のばらつきを精度良く評価できる。これにより、人の覚醒状態の判定精度を向上させることができる。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
なお、以下において、前後、左右、上下の各方向は、車両用シートSの着座者から見た各方向と一致することとする。
ここで、呼吸センサ20の上面の電極に加えられる圧力によって、上面の電極が下方に変形することで接触抵抗が大きくなると電極間の電気抵抗値が小さくなる。この電気抵抗値に係る電気信号が呼吸センサ20から入出力部13を介して覚醒状態判定装置10に入力される。覚醒状態判定装置10は、電気抵抗値に係る電気信号に基づいて圧力を演算し、演算した圧力に基づいて呼吸データを得る。
なお、覚醒状態判定装置10に備えられる上記の各部の機能は、覚醒状態判定装置10の制御部11が、記憶部12に記憶されるプログラムに基づいて覚醒状態判定装置10のハードウェアを動作させることにより実現されるものである。なお、覚醒状態判定装置10は、上記のプログラムを、情報記憶媒体から読み込むこととしてもよいし、入出力部13又は通信部により、他のデバイスから取得することとしてもよい。以下、各部の機能の詳細について説明する。
取得部100は、呼吸センサ20により計測された、人の呼吸に応じて変動する計測値を取得する。具体的には、取得部100は、入出力部13を介して接続される呼吸センサ20から、呼吸センサ20により計測された電気抵抗値を取得する。そして、取得部100は、電気抵抗値に係る電気信号に基づいて圧力を演算し、演算した圧力に基づいて呼吸データ(波形データ)を得る。
設定部110は、取得部100により取得された計測値に基づく波形データのうち、人の覚醒状態を判定する対象とする対象区間を設定する。
具体的には、設定部110は、後述する算出部120により波形データについて算出される人の呼吸間隔を示すRI(Respiration Interval)と、所定期間におけるRIのばらつきを示すRrMSSD(Respiration root Mean Square Successive Difference)の値が同時に上昇した時点(基準点)から予め定められた時間遡った時間範囲を上記の対象区間に設定する。
なお、本実施形態では、設定部110は、上記の基準点から60秒前までの期間を上記の対象区間に設定することとする。
図3には、取得部100により取得される計測値(圧力値)の経時変化を示す波形データを示した。ここで、図3に示されるように、波形データのピークの間隔がRIとなる。
本実施形態では、図4に示されるように、波形データについて30秒を一区間として各区間についてRIの平均値RImを算出する。
なお上述したように、設定部110は、波形データについて算出された1区間のRIm(t)と、次の区間のRIm(t+1)とを比較して、RIm(t+1)が直前のRIm(t)よりも大きな値であるかを判定する。
ここで、図5には、波形データの各区間(t及びt+1)について算出されるRrMSSDの一例を示した。
そして、設定部110は、RIm(t+1)が直前のRIm(t)よりも大きな値であり、且つRrMSSD(t+1)が直前のRrMSSD(t)よりも大きな値である場合に、区間t〜t+1を対象区間に設定する。
具体的には、算出部120は、対象区間の波形データの時間微分の絶対値を上記の変化速度として算出する。そして、算出部120は、対象区間の10秒ごとの変化速度の平均値を上記の平均呼吸速度(RSP_V10)として算出する。
ここで、図6には、波形データの各区間(t及びt+1)について算出される平均呼吸速度の一例を示した。本実施形態においては、一区間が30秒であるため、各区間を3つに分割したサブ区間(10秒)のそれぞれについて平均呼吸速度(RSP_V10)が算出される。
なお、図6においては、RIとRrMSSDが同時に上昇した基準点Pを基準として、60秒遡った期間(すなわち区間t及びt+1)が対象区間となる。そして、区間tが対象区間の前半の第1区間、区間t+1が対象区間の後半の第2区間に相当する。
具体的には、算出部120は、第1区間を3つに分割したサブ区間のそれぞれについて、直後のサブ区間との平均呼吸速度の差分を算出し、算出された3つの差分の標準偏差を上記の第1評価値(P30)として算出する。
図7に示す例では、第1区間を3つに分割したサブ区間のそれぞれについて、直後のサブ区間の平均呼吸速度との差(d11、d12、d13)を算出し、d11、d12、d13に基づき算出される標準偏差を第1評価値として得る。
図7に示す例では、第2区間を3つに分割したサブ区間のそれぞれについて、直後のサブ区間の平均呼吸速度との差(d21、d22、d23)を算出し、d21、d22、d23に基づき算出される標準偏差を第2評価値として得る。
計数部130は、設定部110により設定される対象区間の前半の第1区間と後半の第2区間のそれぞれについて、算出部120により算出される平均呼吸速度の低下回数を計数する。
同様に、計数部130は、対象区間の後半の第2区間(区間t+1)を3つに分割したサブ区間のそれぞれについて、直前のサブ区間の平均呼吸速度(RSP_V10)から値が低下している場合には1を、低下していない場合には0を設定する。そして、計数部130は、第2区間を構成するサブ区間について設定された値の合計を算出し、その値を第2区間の平均呼吸速度の低下回数として得る。
なお、図7に示す例においては、第1区間の平均呼吸速度の低下回数は1、第2区間の平均呼吸速度の低下回数は0となる。
選択部140は、対象区間の前半の第1区間と後半の第2区間のそれぞれについて計数部130により計数された低下回数の組み合わせに基づいて、人の覚醒状態を判定するための複数の異なる判定条件のうちいずれか一つを選択する。以下、判定条件の選択処理の具体例について説明する。
なお、以下においては第1低下回数と第2低下回数の組み合わせをパターンと称し、図8に示されるように第1低下回数と第2低下回数の組み合わせをパターン「1」〜「16」により識別する。各パターンと、第1低下回数と第2低下回数の対応関係は以下の通りである。
パターン「1」:(第1低下回数、第2低下回数)=(0,0)
パターン「2」:(第1低下回数、第2低下回数)=(0,1)
パターン「3」:(第1低下回数、第2低下回数)=(0,2)
パターン「4」:(第1低下回数、第2低下回数)=(0,3)
パターン「5」:(第1低下回数、第2低下回数)=(1,0)
パターン「6」:(第1低下回数、第2低下回数)=(1,1)
パターン「7」:(第1低下回数、第2低下回数)=(1,2)
パターン「8」:(第1低下回数、第2低下回数)=(1,3)
パターン「9」:(第1低下回数、第2低下回数)=(2,0)
パターン「10」:(第1低下回数、第2低下回数)=(2,1)
パターン「11」:(第1低下回数、第2低下回数)=(2,2)
パターン「12」:(第1低下回数、第2低下回数)=(2,3)
パターン「13」:(第1低下回数、第2低下回数)=(3,0)
パターン「14」:(第1低下回数、第2低下回数)=(3,1)
パターン「15」:(第1低下回数、第2低下回数)=(3,2)
パターン「16」:(第1低下回数、第2低下回数)=(3,3)
すなわち、選択部140は、第1低下回数と第2低下回数の組み合わせにより特定されるパターンが「6」,「7」,「10」,「11」である場合には、対象区間を第3グループ(G3)に分類する。
ここで、上記の判定条件とは、人が低覚醒状態である場合の第1区間について算出された第1評価値(P30)と、第2区間について算出された第2評価値(L30)の大小関係を示す条件である。
判定部150は、対象区間の前半の第1区間における平均呼吸速度のばらつきを評価した第1評価値と、対象区間の後半の第2区間における平均呼吸速度のばらつきを評価した第2評価値と、選択部140により選択された判定条件と、に基づいて人の覚醒状態を判定する。
S9において、第1区間の第1評価値(P30)よりも第2区間の第2評価値(L30)が大きいときには(S9:Y)、覚醒状態判定装置10の制御部11は、人が低覚醒状態にあると判定し(S12)、処理を終了する。
一方で、S9において、第1区間の第1評価値(P30)よりも第2区間の第2評価値(L30)が大きくないときには(S9:N)、覚醒状態判定装置10の制御部11は、人が覚醒状態にあると判定し(S13)、処理を終了する。
S10において、第1区間の第1評価値(P30)が第2区間の第2評価値(L30)よりも大きいときには(S10:Y)、覚醒状態判定装置10の制御部11は、人が低覚醒状態にあると判定し(S12)、処理を終了する。
一方で、S10において、第1区間の第1評価値(P30)は第2区間の第2評価値(L30)よりも大きくないときには(S10:N)、覚醒状態判定装置10の制御部11は、人が覚醒状態にあると判定し(S13)、処理を終了する。
S11において、第1区間の第1評価値(P30)と第2区間の第2評価値(L30)との差の絶対値が閾値よりも小さいときには(S11:Y)、覚醒状態判定装置10の制御部11は、人が低覚醒状態にあると判定し(S12)、処理を終了する。
一方で、S11において、第1区間の第1評価値(P30)と第2区間の第2評価値(L30)との差の絶対値が閾値よりも小さくないときには(S11:N)、覚醒状態判定装置10の制御部11は、人が覚醒状態にあると判定し(S13)、処理を終了する。
また、覚醒状態判定装置10では、呼吸の波形データにおいてRIとRrMSSDが同時に上昇した時点から予め定められた時間遡った時間範囲を、判定の対象とする区間に設定することができる。こうすることで、人の覚醒状態が変化した可能性が高い区間を判定の対象に設定することができる。これにより、覚醒状態の判定効率、判定精度を向上できる。
また、覚醒状態判定装置10では、呼吸速度の増減パターンに基づいて人の覚醒状態を判定するための判定条件を選択することで、人の覚醒状態の判定精度を向上させることができる。
M 振動モータ
1 シートクッション
2 シートバック
10 覚醒状態判定装置
11 制御部
12 記憶部
13 入出力部
20 呼吸センサ
100 取得部
110 設定部
120 算出部
130 計数部
140 選択部
150 判定部
P 基準点
Claims (4)
- 人の呼吸に応じて変動する計測値を計測する呼吸センサから、前記計測値を取得する取得部と、
前記計測値に基づく波形データのうち、前記人の覚醒状態を判定する対象とする対象区間を設定する設定部と、
前記対象区間について、単位時間ごとの前記計測値の変化速度の平均値である平均呼吸速度を算出する算出部と、
前記対象区間の前半の第1区間と後半の第2区間のそれぞれについて、前記平均呼吸速度の低下回数を計数する計数部と、
前記第1区間と前記第2区間のそれぞれについて計数された低下回数の所定の組み合わせに基づいて、前記人の覚醒状態を判定するための複数の異なる判定条件のうちいずれか一つを選択する選択部と、
前記第1区間における前記平均呼吸速度のばらつきを評価した第1評価値と、前記第2区間における前記平均呼吸速度のばらつきを評価した第2評価値と、前記選択部により選択された判定条件と、に基づいて前記人の覚醒状態を判定する判定部と、を備え、
前記判定条件は、前記人が低覚醒状態である場合の前記第1評価値と前記第2評価値の大小関係を示す条件であり、
前記算出部は、前記計測値のピークの間隔であるRIと、所定の時間間隔における前記RIのばらつきを示すRrMSSDをそれぞれ算出し、
前記設定部は、前記波形データにおいて前記RIと前記RrMSSDが同時に上昇した時点から予め定められた時間遡った時間範囲を前記対象区間に設定することを特徴とする覚醒状態判定装置。 - 前記第1評価値は、前記第1区間において連続する前記平均呼吸速度の差分の標準偏差であり、
前記第2評価値は、前記第2区間において連続する前記平均呼吸速度の差分の標準偏差であることを特徴とする請求項1に記載の覚醒状態判定装置。 - 覚醒状態判定装置が、
人の呼吸に応じて変動する計測値を計測する呼吸センサから、前記計測値を取得する取得ステップと、
前記計測値に基づく波形データのうち、前記人の覚醒状態を判定する対象とする対象区間を設定する設定ステップと、
前記対象区間について、単位時間ごとの前記計測値の変化速度の平均値である平均呼吸速度を算出する算出ステップと、
前記対象区間の前半の第1区間と後半の第2区間のそれぞれについて、前記平均呼吸速度の低下回数を計数する計数ステップと、
前記第1区間と前記第2区間のそれぞれについて計数された低下回数の所定の組み合わせに基づいて、前記人の覚醒状態を判定するための複数の異なる判定条件のうちいずれか一つを選択する選択ステップと、
前記第1区間における前記平均呼吸速度のばらつきを評価した第1評価値と、前記第2区間における前記平均呼吸速度のばらつきを評価した第2評価値と、前記選択ステップにより選択された判定条件と、に基づいて前記人の覚醒状態を判定する判定ステップと、を実行し、
前記判定条件は、前記人が低覚醒状態である場合の前記第1評価値と前記第2評価値の大小関係を示す条件であり、
前記算出ステップでは、前記計測値のピークの間隔であるRIと、所定の時間間隔における前記RIのばらつきを示すRrMSSDをそれぞれ算出しており、
前記設定ステップでは、前記波形データにおいて前記RIと前記RrMSSDが同時に上昇した時点から予め定められた時間遡った時間範囲を前記対象区間に設定していることを特徴とする覚醒状態判定方法。 - コンピュータに、
人の呼吸に応じて変動する計測値を計測する呼吸センサから、前記計測値を取得する取得ステップと、
前記計測値に基づく波形データのうち、前記人の覚醒状態を判定する対象とする対象区間を設定する設定ステップと、
前記対象区間について、単位時間ごとの前記計測値の変化速度の平均値である平均呼吸速度を算出する算出ステップと、
前記対象区間の前半の第1区間と後半の第2区間のそれぞれについて、前記平均呼吸速度の低下回数を計数する計数ステップと、
前記第1区間と前記第2区間のそれぞれについて計数された低下回数の所定の組み合わせに基づいて、前記人の覚醒状態を判定するための複数の異なる判定条件のうちいずれか一つを選択する選択ステップと、
前記第1区間における前記平均呼吸速度のばらつきを評価した第1評価値と、前記第2区間における前記平均呼吸速度のばらつきを評価した第2評価値と、前記選択ステップにより選択された判定条件と、に基づいて前記人の覚醒状態を判定する判定ステップと、を実行させるためのプログラムであって、
前記判定条件は、前記人が低覚醒状態である場合の前記第1評価値と前記第2評価値の大小関係を示す条件であり、
前記算出ステップでは、前記計測値のピークの間隔であるRIと、所定の時間間隔における前記RIのばらつきを示すRrMSSDをそれぞれ算出しており、
前記設定ステップでは、前記波形データにおいて前記RIと前記RrMSSDが同時に上昇した時点から予め定められた時間遡った時間範囲を前記対象区間に設定していることを特徴とするプログラム。
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