[0008] 石灰化及び/又は線維化した血管の閉塞、特に石灰化したキャップ(群)を貫通し、且つデバイスが完全閉塞を貫通し、通過するよう、血管閉塞の少なくとも一部を破壊することができるデバイスが必要である。また、それに水力をかけることなく、石灰化及び/又は線維化した部分を破壊するために、血管の閉塞にレーザ誘起圧力波を送達することができるデバイスが必要である。
これら及び他に必要なものは、本開示の様々な態様、実施形態及び構成によって対処される。
[0009] 本開示は、近位端及び遠位端を有し、その遠位端は先端部を有する外側シースと、少なくとも1つのルーメン、近位端及び遠位端を有する内側シースとを備え、内側シースは外側シース内に径方向に配置され、内側シースの遠位端は先端部の近位に配置され、それによって外側シースと、内側シースと、内側シース内に配置されて内側シースの近位部分の遠位側から内側シースの遠位端に、空隙内へ延在した1つ又は複数のエミッタとの間に空隙が形成され、1つ又は複数のエミッタの近位端はレーザ発生器に結合され、少なくとも1つのエミッタは空隙内に配置される、カテーテルを提供する。
[0010] カテーテルは、シースの周りに配置される、1つ又は複数の液体媒体ポートを更に備える、段落[0009]によるカテーテル。
[0011] 外側シースは軸方向に伸縮可能な、段落[0009]から[0010]のいずれかによるカテーテル。
[0012] 外側シースは、ポリマー、コイルを有するか又は編組を埋め込んだポリマー、埋め込んだ編組を有するポリマー、及びフッ素化エチレンプロピレン又は潤滑性フルオロポリマーライナ、レーザカット皮下管、トリコイル若しくはバイコイル、又はこれらの任意の組合せからなる群で構成される、段落[0009]から[0011]のいずれかによるカテーテル。
[0013] カテーテルは更に、内側シースの遠位端と先端部との間の空隙内に軸方向に配置されるシールドを備える、段落[0009]から[0012]のいずれかによるカテーテル。
[0014] シールドは近位端及び遠位端を有し、シールドは近位端から遠位端に先細になっている、又は遠位端から近位端に先細になっている、段落[0009]から[0013]のいずれかによるカテーテル。
[0015] 先端部は、近位端及び遠位端を有し、先端部は、その長手方向軸に沿ってその近位端からその遠位端まで中実構造を有する、段落[0009]から[0014]のいずれかによるカテーテル。
[0016] 先端部は、外側シースの遠位端で開放構造を有する、段落[0009]から[0015]のいずれかによるカテーテル。
[0017] 先端部は、近位端及び遠位端を有し、先端部は、その長手方向軸に沿ってその近位端からその遠位端まで中空構造を有する、段落[0009]から[0016]のいずれかによるカテーテル。
[0018] 少なくとも1つのエミッタは、約300ナノメートルから約360ナノメートルの間の波長、約1フェムト秒から約1秒の間のパルス幅、及び毎秒約1パルスから毎秒約5000パルスの間の周波数で、レーザ光エネルギーを放射するよう構成される、段落[0009]から[0017]のいずれかによるカテーテル。
[0019] 少なくとも1つのエミッタは、約308ナノメートルの波長、約10ナノ秒から約200ナノ秒の間のパルス幅、及び毎秒約1パルスから毎秒約100パルスの間の周波数で、レーザ光エネルギーを放射するよう構成される、段落[0009]から[0018]のいずれかによるカテーテル。
[0020] 少なくとも1つのエミッタの総エネルギー出力は、1平方ミリメートル当り約1ミリジュールから約300ミリジュール(mJ/mm2)の間である、段落[0009]から[0019]のいずれかによるカテーテル。
[0021] 液体媒体は、造影剤又は造影剤溶液である、段落[0009]から[0020]のいずれかによるカテーテル。
[0022] 液体媒体は、ヨウ素含有造影剤又はガドリニウム造影剤のいずれか1つである、段落[0009]から[0021]のいずれかによるカテーテル。
[0023] 液体媒体は、約1ナノメートルから約1ミリメートルの間の波長、約1ナノ秒から約1秒の間のパルス幅、及び毎秒約1パルスから毎秒約5000パルスの間の周波数で、少なくとも1つのエミッタから放射される光エネルギーへの高い吸収性を示すよう構成される、段落[0009]から[0022]のいずれかによるカテーテル。
[0024] 少なくとも1つのエミッタは、1つ又は複数の同心円状のエミッタ、及び場合によっては又はそれ以上の同心円状のエミッタである、段落[0009]から[0023]のいずれかによるカテーテル。
[0025] 少なくとも1つのエミッタは、2つ以上の、単一ファイバのエミッタである、段落[0009]から[0024]のいずれかによるカテーテル。
[0026] 少なくとも1つのエミッタは、外側シース内を平行移動するよう構成される、段落[0009]から[0025]のいずれかによるカテーテル。
[0027] 先端部は、遠位端と、その遠位端に可撓性の膜とを備える、段落[0009]から[0026]のいずれかによるカテーテル。
[0028] 液体媒体は、光エネルギーを吸収し、レーザ誘起圧力波、蒸気圧、及び/又はキャビテーション現象を生成して血管閉塞を破壊し、血管表面を改変して脈管構造内の管腔内のカルシウム及び中膜のカルシウム沈着物の両方の破砕を含むがこれに限定されない薬物の吸収性を高め、且つ/又は血管閉塞周辺領域に薬物を送達するよう構成される、段落[0009]から[0027]のいずれかによるカテーテル。液体媒体は、たとえばヨウ素含有造影剤又はガドリニウム造影剤を含む造影剤、並びに染料(類)及び/又は粒子(群)を含む造影剤溶液を含み得る。
[0029] 内側シースは更に、第1のガイドワイヤルーメンを備え、更に外側シースに連結される密封可能な弁を備え、この密封可能な弁は、第2のガイドワイヤルーメン及びシールを備え、その上で、ガイドワイヤを第1のガイドワイヤルーメン及び第2のガイドワイヤルーメンの中に導入し、液体媒体を空隙に導入し、液体媒体は弁内のシールを作動させ、弁とガイドワイヤとの間の開口を閉じる、段落[0009]から[0028]のいずれかによるカテーテル。
[0030] 密封可能な弁は更に、外壁及び外壁内に径方向に配置されるフランジを備え、外壁とフランジとの間に間隙がある、段落[0009]から[0029]のいずれかによるカテーテル。
[0031] 密封可能な弁は、近位部分及び遠位部分を有し、フランジは密封可能な弁の近位部分に向かって配置される、段落[0009]から[0030]のいずれかによるカテーテル。
[0032] 密封可能な弁の近位部分は、管状である、段落[0009]から[0031]のいずれかによるカテーテル。
[0033] 密封可能な弁の遠位部分は、外壁から第2のガイドワイヤルーメンに向かって径方向に内側に先細となっている、段落[0009]から[0032]のいずれかによるカテーテル。
[0034] 密封可能な弁は更に、外壁内で、近位部分に向かって延在する開口を有する、段落[0009]から[0033]のいずれかによるカテーテル。
[0035] フランジは、遠位部分から近位部分に向かって進むので、フランジが、第2のガイドワイヤルーメンに向かって径方向に内側に先細となっている、段落[0009]から[0034]のいずれかによるカテーテル。
[0036] 本開示はまた、対象者の脈管構造内の閉塞を治療するための方法を提供し、その方法は、対象者の脈管構造内でカテーテルを位置決めするステップであって、カテーテルは、近位端及び遠位端を有し、その遠位端は先端部を備える外側シースと、少なくとも1つのルーメン、近位端、及び遠位端を備える内側シースとを備え、内側シースは外側シース内で径方向に配置され、内側シースの遠位端は先端部の近位に配置され、それによって外側シースと、内側シースと、先端部との間に空隙を生成し、内側シースの遠位端と先端部との間の空隙内に軸方向に配置されるシールドと、内側シースの遠位端及び/又は空隙内に配置される1つ又は複数のエミッタとを備え、1つ又は複数のエミッタはレーザ発生器と結合され、少なくとも1つのエミッタは空隙内に配置され、且つ少なくとも1つのルーメンに連結される1つ又は複数の液体媒体ポートとを備える、ステップと、先端部を脈管構造内の閉塞に隣接するよう位置決めするステップと、液体媒体を1つ又は複数の液体媒体ポートを通して空隙内に導入するステップと、液体媒体内に光エネルギーのパルスを伝達するために空隙内の少なくとも1つのエミッタを活動化するステップであって、光エネルギーのパルスをエミッタから液体媒体内に伝達することにより、対応する複数の伝播する圧力波が生成され、先端部が血管閉塞の少なくとも一部に係合して破壊する、ステップとを備える。すなわち、レーザエネルギーの各パルスは、1つ又は複数の伝播する圧力波及び/又はキャビテーション現象を生成する。
[0037] 外側シースは、軸方向に伸縮可能な皮下管である、段落[0009]から[0036]のいずれかによる、対象者の脈管構造内の閉塞を治療する方法。
[0038] 液体媒体は、ヨウ素含有造影剤又はガドリニウム造影剤のいずれか1つである、段落[0009]から[0037]のいずれかによる、対象者の脈管構造内の閉塞を治療する方法。
[0039] 本開示は、近位端、遠位端、及び内部にルーメンを備えるシースと、レーザ発生器に結合可能な近位端、遠位端、及びレーザ発生器に結合される少なくとも1つのエミッタを具備し、カテーテルはシース内に配置され、その上でレーザカテーテルの遠位端はシースの遠位端の近位に配置され、レーザカテーテルの遠位端とシースの遠位端との間に空隙が形成されるレーザカテーテルと、空隙内に液体媒体を導入する手段と、シースの近位端に連結される基部、及び基部に平行移動可能に連結され、駆動機構はレーザカテーテルに連結され、その結果基部に対する駆動機構の平行移動によってシースのルーメン内でレーザカテーテルが平行移動する駆動機構を具備するハンドルとを備えるカテーテルシステムを提供する。
[0040] 駆動機構は、基部と移動可能に連結される制御要素、及び基部と平行移動可能に連結され、制御要素によって駆動される連結部を備え、連結部はレーザカテーテルに連結され、その結果基部に対する制御要素の動きによってシースのルーメン内でレーザカテーテルが平行移動する、段落[0009]から[0039]のいずれかによるカテーテルシステム。
[0041] 制御要素は基部に回転可能に結合され、基部に対する制御要素の回転により、シースのルーメン内でレーザカテーテルが平行移動する、段落[0009]から[0040]のいずれかによるカテーテルシステム。
[0042] 制御要素は、第1のねじ山がついた面を有し、駆動機構は更に、基部内で平行移動可能で、連結部に連結されるシャフトを備え、シャフトは第2のねじ山がついた面を有し、第2のねじ山がついた面は第1のねじ山がついた面と連結し、その結果基部に対する制御要素の回転によって、基部内でシャフトが平行移動し、シースのルーメン内でレーザカテーテルが平行移動する、段落[0009]から[0041]のいずれかによるカテーテルシステム。
[0043] ハンドルは更に基部と連結する管を備え、管はレーザカテーテルを受容し、シャフトは、基部内でシャフトが平行移動するように、管を平行移動可能に受容する内側ルーメンを備える、段落[0009]から[0042]のいずれかによるカテーテルシステム。
[0044] 駆動機構は更に、シャフトに連結されるシールを備え、シールは管に平行移動可能に係合する、段落[0009]から[0043]のいずれかによるカテーテルシステム。
[0045] 管は、皮下管である、段落[0009]から[0044]のいずれかによるカテーテルシステム。
[0046] 基部は第1の重要な機構を備え、シャフトは基部に対するシャフトの回転を防止するよう第1の重要な機構に連結する、第2の重要な機構を備える、段落[0009]から[0045]のいずれかによるカテーテルシステム。
[0047] 基部は制御要素内に配置される開口を有し、第2のねじ山がついた面は、第1のねじ山がついた面に連結するよう開口を通って延在する、段落[0009]から[0046]のいずれかによるカテーテルシステム。
[0048] 本開示は、シース及びレーザカテーテルに連結するためのハンドルを提供し、ハンドルは、シースの近位端に連結するよう構成される基部、及び基部に平行移動可能に連結される駆動機構を備え、駆動機構はレーザカテーテルに連結されるよう構成され、その結果基部に対する駆動機構の平行移動によってシースのルーメン内でレーザカテーテルが平行移動する。
[0049] 駆動機構は、基部と移動可能に連結される制御要素、及び基部と平行移動可能に連結され、制御要素によって駆動される連結部を備え、連結部はレーザカテーテルに連結するよう構成され、その結果基部に対する制御要素の動きによってシースのルーメン内でレーザカテーテルが平行移動する、段落[0009]から[0048]のいずれかによるハンドル。
[0050] 制御要素は基部に回転可能に結合され、基部に対する制御要素の回転により、シースのルーメン内でレーザカテーテルが平行移動する、段落[0009]から[0049]のいずれかによるハンドル。
[0051] 制御要素は、第1のねじ山がついた面を有し、駆動機構は更に、基部内で平行移動可能で、連結部に連結されるシャフトを備え、シャフトは第2のねじ山がついた面を有し、第2のねじ山がついた面は第1のねじ山がついた面と連結し、その結果基部に対する制御要素の回転によって、基部内でシャフトが平行移動し、シースのルーメン内でレーザカテーテルが平行移動する、段落[0009]から[0050]のいずれかによるハンドル。
[0052] ハンドルは更に基部に連結される管を備え、管はレーザカテーテルを受容し、シャフトは、基部内でシャフトが平行移動するように管を平行移動可能に受容する通路を有する、段落[0009]から[0051]のいずれかによるハンドル。
[0053] 駆動機構は更に、シャフトに連結されるシールを備え、シールは管に平行移動可能に係合する、段落[0009]から[0051]のいずれかによるハンドル。
[0054] 管は、皮下管である、段落[0009]から[0053]のいずれかによるハンドル。
[0055] 基部は第1の重要な機構を備え、シャフトは基部に対するシャフトの回転を防止するよう第1の重要な機構に連結する、第2の重要な機構を備える、段落[0009]から[0054]のいずれかによるハンドル。
[0056] 基部は制御要素内に配置される開口を有し、第2のねじ山がついた面は、第1のねじ山がついた面に連結するために開口を通って延在する、段落[0009]から[0055]のいずれかによるハンドル。
[0057] 本開示は、近位端、遠位端、及び遠位端に隣接して配置される多孔性の減衰部材を備え、多孔性の減衰部材は複数の開口を有する外側シースと、近位端及び遠位端を有し、外側シース内で径方向に配置される内側シースと、レーザ発生器に結合され、少なくとも1つのエミッタは外側シース内に径方向に配置され、その結果多孔性の減衰部材内に径方向に配置される、少なくとも1つのエミッタとを備える、カテーテルを提供する。
[0058] 多孔性の減衰部材は、半硬質の生体適合性構造体を形成するよう構成される、段落[0009]から[0057]のいずれかによるカテーテル。
[0059] 多孔性の減衰部材は、硬質の生体適合性構造体を形成するよう構成される、段落[0009]から[0058]のいずれかによるカテーテル。
[0060] 外側シースは、非多孔性の生体適合性の層を有する、段落[0009]から[0059]のいずれかによるカテーテル。
[0061] 多孔性の減衰部材は、中実の生体適合性の層内に一体的に配置される、段落[0009]から[0060]のいずれかによるカテーテル。
[0062] 多孔性の減衰部材は、中実の生体適合性の層の外側に配置される、段落[0009]から[0061]のいずれかによるカテーテル。
[0063] 多孔性の減衰部材は、中実の生体適合性の層の内側に配置される、段落[0009]から[0062]のいずれかによるカテーテル。
[0064] 多孔性の減衰部材は、複数の開口を有し、複数の開口は、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、らせん形、多角形、菱形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、及び十角形の形状の少なくとも1つを有する、段落[0009]から[0063]のいずれかによるカテーテル。
[0065] 少なくとも1つのエミッタの総エネルギー出力は、約1ミリジュールから約100ミリジュールの間である、段落[0009]から[0064]のいずれかによるカテーテル。
[0066] 液体媒体は、造影剤又は造影剤溶液である、段落[0009]から[0065]のいずれかによるカテーテル。
[0067] 液体媒体は、ヨウ素含有造影剤又はガドリニウム造影剤のいずれか1つである、段落[0009]から[0066]のいずれかによるカテーテル。
[0068] 液体媒体は、約1ナノメートルから約1ミリメートルの間の波長、約1ナノ秒から約1秒の間のパルス幅、及び毎秒約1パルスから毎秒約500パルスの間の周波数で、少なくとも1つのエミッタから放射される光エネルギーの高い吸収性を示すよう構成される、段落[0009]から[0067]のいずれかによるカテーテル。
[0069] 少なくとも1つのエミッタは、2つ以上の、同心円状のエミッタである、段落[0009]から[0068]のいずれかによるカテーテル。
[0070] 少なくとも1つのエミッタは、2つ以上の、単一ファイバのエミッタである、段落[0009]から[0069]のいずれかによるカテーテル。
[0071] 少なくとも1つのエミッタは、外側シース内を平行移動するよう構成される、段落[0009]から[0070]のいずれかによるカテーテル。
[0072] 外側シースの遠位端は、開放構造を有する、段落[0009]から[0071]のいずれかによるカテーテル。
[0073] 外側シースの遠位端は、閉じた構造を有する、段落[0009]から[0072]のいずれかによるカテーテル。
[0074] 本開示は、対象者の脈管構造内の閉塞を治療するための方法を提供し、その方法は、対象者の脈管構造内にカテーテルを導入するステップであって、カテーテルは、近位端、遠位端、及びその遠位端に隣接して配置される多孔性の減衰部材を備え、多孔性の減衰部材は複数の開口を有する外側シースと、近位端及び遠位端を有し、外側シース内に径方向に配置される内側シースと、レーザ発生器に結合され、少なくとも1つのエミッタは外側シース内に径方向に配置される、少なくとも1つのエミッタと、少なくとも1つのルーメンに連結される1つ又は複数の液体媒体ポートとを備える、ステップと、外側シースを多孔性の減衰部材が脈管構造内の閉塞に隣接する位置に位置決めするステップと、少なくとも1つのエミッタが多孔性の減衰部材内で径方向に配置されるように、少なくとも1つのエミッタを位置決めするステップと、液体媒体を外側シース内に導入するステップと、少なくとも1つのエミッタを活動化させて液体媒体内に光エネルギーのパルスを伝達するステップであって、光エネルギーのパルスをエミッタから液体媒体内に伝達することによって、外側シース及び多孔性の減衰部材の開口を通過して伝播する複数のレーザ誘起圧力波が生成され、閉塞の少なくとも一部を破壊する、ステップとを有する。
[0075] 本開示は、近位端、遠位端、及び遠位端に隣接して配置される多孔性の減衰部材を備え、多孔性の減衰部材は複数の開口を有する外側シースと、レーザカテーテルは多孔性の減衰部材内に配置され、レーザカテーテルは、近位端及び遠位端を有し、外側シース内で径方向に配置されるよう構成される内側シースと、レーザ発生器に結合され、少なくとも1つのエミッタは外側シース内に径方向に配置され、その結果多孔性の減衰部材内に径方向に配置される、少なくとも1つのエミッタとを具備するレーザカテーテルとを備える、キットを提供する。
[0076] 本開示は、対象者の脈管構造内の閉塞を治療するための方法を提供し、その方法は、対象者の脈管構造内に外側シースを導入するステップであって、外側シースは、近位端、遠位端、及びその遠位端に隣接して配置される多孔性の減衰部材を備え、多孔性の減衰部材は複数の開口を有する、ステップと、対象者の脈管構造内にレーザカテーテルを導入するステップであって、レーザカテーテルは多孔性の減衰部材内に配置されるよう構成され、レーザカテーテルは、近位端及び遠位端を有し、外側シース内に径方向に配置されるよう構成される内側シースと、レーザ発生器に結合され、外側シース内に径方向に配置される少なくとも1つのエミッタと、少なくとも1つのルーメンに連結される1つ又は複数の液体媒体ポートとを備える、ステップと、外側シースを、多孔性の減衰部材が脈管構造内の閉塞の一部に隣接する位置に位置決めするステップと、少なくとも1つのエミッタが多孔性の減衰部材内で径方向に配置されるように、少なくとも1つのエミッタを位置決めするステップと、液体媒体を外側シースに導入するステップと、少なくとも1つのエミッタを活動化させて液体媒体内に光エネルギーのパルスを伝達するステップであって、光エネルギーのパルスをエミッタから液体媒体内に伝達することによって、外側シース及び多孔性の減衰部材の開口を通過して伝播する複数の圧力波が生成され、閉塞の少なくとも一部を破壊する、ステップとを有する。
[0077] 外側シースを、多孔性の減衰部材が閉塞の別の部分に隣接するよう再配置するステップを更に有する、段落[0009]から[0076]のいずれかによる方法。
[0078] 外側シース内でレーザカテーテルを再配置するステップを更に有する、段落[0009]から[0077]のいずれかによる方法。
[0079] 多孔性の減衰部材内でレーザカテーテルを、中に再配置する、段落[0009]から[0078]のいずれかによる方法。
[0080] 脈管構造からレーザカテーテルを取り外し、また脈管構造から外側シースを取り外すステップを更に有する、段落[0009]から[0079]のいずれかによる方法。
[0081] 薬物で被覆されたバルーンが閉塞の残りの部分に隣接して配置されるように、薬物で被覆されたバルーンを脈管構造内に挿入するステップを更に有する、段落[0009]から[0080]のいずれかによる方法。
[0082] 薬物で被覆されたバルーンを膨らませて、薬物で被覆されたバルーン上に配置された薬物を閉塞の残りの部分に塗布するステップを更に有する、段落[0009]から[0081]のいずれかによる方法。
[0083] 本開示は、ガイドワイヤルーメン、近位端、及び遠位端を備えるシースと、ガイドワイヤルーメンの周りに、又は隣接して、周方向に配置され、その各々がレーザ光を放射する複数のエミッタと、エミッタから放射されるレーザ光を、ガイドワイヤルーメン又はガイドワイヤルーメン内のガイドワイヤの方に向ける手段とを備えるカテーテルを提供する。
[0084] エミッタから放射されるレーザ光を、ガイドワイヤルーメン又はガイドワイヤルーメン内のガイドワイヤの方に向ける手段は、シースの遠位端に連結する外側バンドを備え、外側バンドは遠位端を有し、エミッタは外側バンドの遠位端の近位に配置される、段落[0009]から[0083]のいずれかによるカテーテル。
[0085] エミッタは、ガイドワイヤルーメン又はガイドワイヤルーメン内のガイドワイヤの方に向けられる、段落[0009]から[0084]のいずれかによるカテーテル。
[0086] エミッタから放射されるレーザ光を、ガイドワイヤルーメン又はガイドワイヤの方に向ける手段は、シースの遠位端に連結されるキャップを有する、段落[0009]から[0085]のいずれかによるカテーテル。
[0087] キャップは内側面及び外側面を有し、内側面はレーザ誘起圧力波及び/又はキャビテーション現象を、ガイドワイヤルーメン又はガイドワイヤルーメン内のガイドワイヤの方に向けるようテーパ付けされ、その結果ガイドワイヤを励起し、且つ/又は振動させる、段落[0009]から[0086]のいずれかによるカテーテル。
[0088] エミッタは、キャップの内側面の近位に配置される、段落[0009]から[0087]のいずれかによるカテーテル。
[0089] シースは内側シースであり、内側シースを平行移動可能に受容する外側シースを更に備える、段落[0009]から[0088]のいずれかによるカテーテル。
[0090] 外側シースはスリーブを備え、エミッタから放射されるレーザ光を、ガイドワイヤルーメン又はガイドワイヤルーメン内のガイドワイヤの方に向ける手段は、スリーブに連結される外側シースの減衰部材を備える、段落[0009]から[0089]のいずれかによるカテーテル。
[0091] 減衰部材は、内面、外面、及び内面から外面まで延在する複数の開口を有する、段落[0009]から[0090]のいずれかによるカテーテル。
[0092] 複数の開口は、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、多角形、菱形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、及び十角形の形状の少なくとも1つを有する、段落[0009]から[0091]のいずれかによるカテーテル。
[0093] 本開示は、対象者の脈管構造内の閉塞を治療する方法を提供し、その方法は、対象者の脈管構造内でカテーテルを位置決めするステップであって、カテーテルは、ガイドワイヤルーメン、近位端及び遠位端を備えるシースと、ガイドワイヤルーメンの周りに、又は隣接して周方向に配置され、エミッタはレーザ光を放射可能である、複数のエミッタと、エミッタから放射されるレーザ光をガイドワイヤルーメン又はガイドワイヤルーメン内のガイドワイヤの方に向ける手段とを備える、ステップと、シースの遠位端が脈管構造内の閉塞に隣接するよう位置決めするステップと、液体媒体をシースの遠位端に送達するステップと、液体媒体を通して光エネルギーのパルスを伝達するためにエミッタを活動化させるステップであって、光エネルギーのパルスをエミッタから液体媒体内に伝達することにより、閉塞の少なくとも一部を破壊する、複数の伝播するレーザ誘起圧力波を生成し、エミッタから放射されるレーザ光を、ガイドワイヤルーメン又はガイドワイヤルーメン内のガイドワイヤの方に向ける手段が、ガイドワイヤ内で振動を引き起こす、ステップとを有する。
[0094] エミッタから放射されるレーザ光を、ガイドワイヤルーメン又はガイドワイヤルーメン内のガイドワイヤの方に向ける手段は、シースの遠位端に連結する外側バンドを備え、外側バンドは遠位端を有し、エミッタは外側バンドの遠位端の近位に配置される、段落[0009]から[0093]のいずれかによる方法。
[0095] エミッタは、ガイドワイヤルーメン又はガイドワイヤルーメン内のガイドワイヤの方に向けられる、段落[0009]から[0094]のいずれかによる方法。
[0096] エミッタから放射されるレーザ光を、ガイドワイヤルーメン又はガイドワイヤの方に向ける手段は、シースの遠位端に連結されるキャップを有する、段落[0009]から[0095]のいずれかによる方法。
[0097] キャップは内側面及び外側面を有し、内側面はレーザ誘起圧力波及び/又はキャビテーション現象を、ガイドワイヤルーメン又はガイドワイヤルーメン内のガイドワイヤの方に向けるようテーパづけされ、その結果ガイドワイヤを励起し、且つ/又は振動させる、段落[0009]から[0096]のいずれかによる方法。
[0098] エミッタは、キャップの内側面の近位に配置される、段落[0009]から[0097]のいずれかによる方法。
[0099] シースは内側シースであり、カテーテルは内側シースを平行移動可能に受容する外側シースを更に備える、段落[0009]から[0098]のいずれかによる方法。
[0100] 外側シースはスリーブを備え、エミッタから放射されるレーザ光を、ガイドワイヤルーメン又はガイドワイヤルーメン内のガイドワイヤの方に向ける手段は、スリーブに連結される外側シースの減衰部材を備える、段落[0009]から[0099]のいずれかによる方法。
[0101] 減衰部材は内面、外面、及び内面から外面まで延在する複数の開口を備え、光エネルギーのパルスをエミッタから液体媒体内へ伝達することにより、複数の開口を通過する、複数の伝播するレーザ誘起圧力波が生成される、段落[0009]から[0100]のいずれかによる方法。
[0102] 複数の開口は、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、多角形、菱形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、及び十角形の形状の少なくとも1つを有する、段落[0009]から[0101]のいずれかによる方法。
[0103] 本開示は、対象者の脈管構造内の閉塞を治療するための方法を提供し、その方法は、対象者の脈管構造内でカテーテルを位置決めするステップであって、カテーテルが、ガイドワイヤルーメン、近位端及び遠位端を備えるシースと、ガイドワイヤルーメンの周りに、又は隣接して周方向に配置され、エミッタはレーザ光を放射可能である、複数のエミッタとを有する、ステップと、シースの遠位端が脈管構造内の閉塞に隣接するよう位置決めするステップと、液体媒体をシースの遠位端に送達するステップと、液体媒体を通して光エネルギーのパルスを伝達するためにエミッタを活動化させるステップであって、光エネルギーのパルスをエミッタから液体媒体内に伝達することにより、閉塞の少なくとも一部を破壊する、複数の伝播するレーザ誘起圧力波を生成し、複数の伝播するレーザ誘起圧力波がガイドワイヤ内で振動を引き起こす、ステップとを有する。
[0104] 本開示は、対象者の脈管構造内の閉塞を治療するための方法を提供し、その方法は、対象者の脈管構造内でカテーテルを位置決めするステップであって、カテーテルが、近位端及び遠位端を有する外側シースと、外側シースの遠位端に連結される先端部と、第1のガイドワイヤルーメン、近位端、及び遠位端を備え、内側シースは外側シース内で径方向に配置され、内側シースの遠位端は先端部の近位に配置され、それによって外側シースと、内側シースと、先端部との間に空隙を生成する内側シースと、外側シースと連結され、第2のガイドワイヤルーメン及びシールを備える密封可能な弁と、内側シース内で内側シースの近位端から内側シースの遠位端まで、そして空隙内まで延在して配置され、レーザ発生器などのエネルギー源と連結され、少なくとも1つのエミッタは空隙内に配置される、1つ又は複数のエミッタとを備える、ステップと、ガイドワイヤに沿ってカテーテルを前進させることによって、先端部を脈管構造内の閉塞に隣接するよう位置決めするステップであって、ガイドワイヤは第1のガイドワイヤルーメン及び第2のガイドワイヤルーメンに受容される、ステップと、液体媒体を空隙内に導入するステップであって、液体媒体は弁内のシールを作動させて弁とガイドワイヤとの間の開口を閉じる、ステップと、液体媒体内に光エネルギーのパルスを伝達するために空隙内の少なくとも1つのエミッタを活動化させるステップであって、光エネルギーのパルスをエミッタから液体媒体内に伝達することにより、1つ又は複数の伝播するレーザ誘起衝撃波が生成され、先端部が血管閉塞の少なくとも一部に係合して破壊する、ステップを備える。
[0105] 密封可能な弁は、外壁及び外壁内に径方向に配置されるフランジを更に備え、外壁とフランジとの間に間隙があり、液体媒体を空隙内に導入するステップは、液体媒体をその間隙に導入して弁内のシールを作動し、弁とガイドワイヤとの間の開口を閉じるステップを有する、段落[0009]から[0104]のいずれかによる方法。
[0106] 密封可能な弁は、間隙の中へ延在する外壁内に開口を更に備え、液体媒体を間隙内に導入するステップは、その開口を通して液体媒体を間隙に導入するステップを有する、段落[0009]から[0105]のいずれかによる方法。
[0107] フランジが、弁の遠位部分から弁の近位部分に向かって進むので、フランジは、第2のガイドワイヤルーメンに向かって径方向に内側にテーパ付けされている、段落[0009]から[0106]のいずれかによる方法。
[0108] 本開示は、近位端及び遠位端を有するシースと、シースの遠位端と結合され、シースの遠位端で空隙を形成する先端部と、シースによって運ばれ、レーザ発生器などのエネルギー源と結合され、少なくとも1つのエミッタは空隙内に配置される、1つ又は複数のエミッタと、シースの少なくとも一部又はシースの一部、及び先端部と連結され、少なくとも1つのエミッタから放射された光が光吸収材料と交差するよう配置される光吸収材料とを備えるカテーテルを提供する。
[0109] 光吸収材料は、空隙内に配置される、段落[0009]から[0108]のいずれかによるカテーテル。
[0110] 光吸収材料は、空隙の外側に配置される、段落[0009]から[0109]のいずれかによるカテーテル。
[0111] 光吸収材料は、空隙内に配置された支持構造体へ被覆物として塗布される、段落[0009]から[0110]のいずれかによるカテーテル。
[0112] 本開示は、対象者の脈管構造内の閉塞を治療するための方法を提供し、この方法は、対象者の脈管構造内でカテーテルを位置決めするステップであって、カテーテルが、近位端及び遠位端を有するシースと、シースの遠位端に連結され、シースの遠位端で空隙を形成する先端部と、シースによって運ばれ、空隙に向かって、且つ/又は空隙内に配置され、レーザ発生器などのエネルギー源と結合される1つ又は複数のエミッタと、シースの少なくとも一部又はシースの一部、及び先端部と連結される光吸収材料とを備える、ステップと、脈管構造内のカテーテルを前に進めることによって、脈管構造内の閉塞に隣接するよう先端部を位置決めするステップと、少なくとも1つのエミッタを活動化させて光エネルギーのパルスを伝達し、その結果光エネルギーは光吸収材料の少なくとも一部と交差するステップとを有する。
[0113] 液体媒体を空隙に送達するステップを更に有する、段落[0009]から[0112]のいずれかによる方法。
[0114] 先端部は更に光吸収材料を支持する可撓性膜を有し、光エネルギーのパルスを伝達するために少なくとも1つのエミッタを活動化させるステップは、その結果光エネルギーは光吸収材料の少なくとも一部と交差して可撓性膜の偏向を引き起こす、段落[0009]から[0113]のいずれかによる方法。
[0115] 本開示は、対象者の脈管構造内の閉塞を治療する方法を提供し、その方法は、対象者の脈管構造内でカテーテルを位置決めするステップであって、カテーテルが、近位端及び遠位端を有するシースと、シースによって運ばれ、各エミッタがレーザ光を放射可能である1つ又は複数のエミッタとを備える、ステップと、脈管構造内の閉塞に隣接するようシースの遠位端を位置決めするステップと、気体飽和液体媒体をシースの遠位端に送達するステップと、気体飽和液体媒体を通して光エネルギーのパルスを伝達するためにエミッタを活動化させるステップであって、光エネルギーのパルスをエミッタから気体飽和液体媒体内に伝達することにより、閉塞の少なくとも一部を破壊する、少なくとも1つの伝播するレーザ誘起圧力波を生成する、ステップとを有する。
[0116] 気体飽和液体媒体は、ヨウ素含有造影剤又はガドリニウム造影剤のいずれか1つである、段落[0009]から[0115]のいずれかによる方法。
[0117] 気体飽和液体媒体は、過飽和液体媒体を含む、段落[0009]から[0116]のいずれかによる方法。
[0118] 本開示は、対象者の脈管構造内の閉塞を治療するための方法を提供し、その方法は、対象者の脈管構造内でカテーテルを位置決めするステップであって、カテーテルが、近位端、遠位端、及び内部にルーメンを有する外側シースと、レーザ発生器などのエネルギー源に連結可能な近位端、近位端と反対側にある遠位端を備える内側シースと、内側シースの近位端から内側シースの遠位端まで延在する1つ又は複数の光ファイバと、1つ又は複数の光ファイバに結合される少なくとも1つのエミッタとを備える、ステップと、脈管構造内の閉塞に隣接するよう外側シースの遠位端を位置決めするステップと、内側シースの遠位端と外側シースの遠位端との間に空隙を形成するように、外側シースの遠位端に対して近位方向に内側シースの遠位端を位置決めするステップと、液体媒体を空隙に送達するステップと、液体媒体を通して光エネルギーのパルスを伝達するためにエミッタを活動化させるステップであって、光エネルギーのパルスをエミッタから液体媒体内に伝達することにより、閉塞の少なくとも一部を破壊する、少なくとも1つの伝播するレーザ誘起圧力波が生成される、ステップとを有する。
[0119] エミッタを活動化させるステップの後に内側シースを外側シース内に再配置するステップと、その後に液体媒体を通して光エネルギーのパルスを伝達するためにエミッタを活動化させるステップとを更に有し、エミッタから液体媒体内に光エネルギーのパルスを伝達することにより、閉塞の少なくとも一部を破壊する、別の、対応する一連の、伝播するレーザ誘起圧力波を生成する、段落[0009]から[0118]のいずれかによる方法。
[0120] エミッタを活動化させるステップの後に、内側シース及び外側シースを使用して閉塞全体を通過するステップを更に有する、段落[0009]から[0119]のいずれかによる方法。
[0121] 内側シースは更にガイドワイヤルーメンを備え、対象者の脈管構造内でカテーテルを位置決めするステップは、ガイドワイヤルーメンの中にガイドワイヤを受容するステップ、及びガイドワイヤに沿って内側シース及び外側シースを前に進めるステップを有し、更にガイドワイヤを使って閉塞を通過するステップを有する、段落[0009]から[0120]のいずれかによる方法。
[0122] エミッタを活動化させるステップの後に、内側シースを使用して、外側シースを使用せずに閉塞を通過するステップを更に有する、段落[0009]から[0121]のいずれかによる方法。
[0123] エミッタを活動化させるステップの後に、薬物を被覆したバルーンが閉塞の残りの部分に隣接して配置されるように、脈管構造内へ薬物を被覆したバルーンを挿入するステップと、薬物を被覆したバルーンを膨らませて、薬物を被覆したバルーン上に配置された薬物を閉塞に塗布するステップを更に有する、段落[0009]から[0122]のいずれかによる方法。
[0124] 少なくとも1つのエミッタの総エネルギー出力は、1平方ミリメートル当り約20ミリジュールから約1000ミリジュール(mJ/mm2)の間である、段落[0009]から[0123]のいずれかによるカテーテル、キット及び/又は方法。
[0125] 減衰部材は、外側シースの外側に配置される、段落[0009]から[0124]のいずれかによるカテーテル、キット及び/又は方法。
[0126] 減衰部材は、外側シースの内側に配置される、段落[0009]から[0125]のいずれかによるカテーテル、キット及び/又は方法。
[0127] 減衰部材は、外側シースと一体的に配置される、段落[0009]から[0126]のいずれかによるカテーテル、キット及び/又は方法。
[0128] 対象者内の血管の伸展性を改善する方法であって、その方法は、対象者の血管の中膜内の石灰化した部分の位置を突き止めるステップと、対象者の脈管構造内でレーザカテーテルを位置決めするステップであって、カテーテルが、近位端と、遠位端と、その遠位端に配置される少なくとも1つのエミッタとを備える、ステップと、レーザカテーテルを覆うシースを対象者の脈管構造内で位置決めするステップであって、シースが、近位端と、遠位端と、その遠位端に隣接して配置される減衰部材とを備え、減衰部材は複数の開口を有する、ステップと、減衰部材が石灰化した部分の一部に隣接して配置されるように、脈管構造内でシースを位置決めするステップと、少なくとも1つのエミッタが、減衰部材内で石灰化した部分の一部に隣接して配置されるように、脈管構造内でレーザカテーテルを位置決めするステップと、液体媒体を外側シースの中、且つ少なくとも1つのエミッタへ導入するステップと、液体媒体内へ光エネルギーのパルスを伝達するために、少なくとも1つのエミッタを活動化させるステップと、少なくとも1つのエミッタから光エネルギーの1つ又は複数のパルスを放射するステップであって、光エネルギーの1つ又は複数のパルスは液体媒体と反応して、中膜の石灰化した部分を破壊する、伝播する複数のレーザ誘起圧力波を生成し、それによって血管の伸展性を改善する、ステップとを有する。
[0129] 減衰部材が、中膜のまた別の石灰化した部分に隣接するよう、シースを再配置するステップを更に有する、段落[0128]による方法。
[0130] シース内でレーザカテーテルを再配置するステップを更に有する、段落[0009]から[0129]のいずれかによる方法。
[0131] 減衰部材内でレーザカテーテルを、中に再配置する、段落[0009]から[0130]のいずれかによる方法。
[0132] 脈管構造からレーザカテーテルを取り外し、また脈管構造から外側シースを取り外すステップを更に有する、段落[0009]から[0131]のいずれかによる方法。
[0133] 少なくとも1つのエミッタは、約150ナノメートルから約400ナノメートルの間の波長、約1フェムト秒から約1秒の間のパルス幅、及び毎秒約1パルスから毎秒約5000パルスの間の周波数で、レーザ光エネルギーを放射するよう構成される、段落[0009]から[0132]のいずれかによる方法。
[0134] 少なくとも1つのエミッタは、約308ナノメートルの波長、約400ナノ秒から約800ナノ秒の間のパルス幅、及び毎秒約1パルスから毎秒約5000パルスの間の周波数で、レーザ光エネルギーを放射するよう構成される、段落[0009]から[0133]のいずれかによる方法。
[0135] 少なくとも1つのエミッタは、約800ナノメートルから約3,000ナノメートルの間の波長、約1フェムト秒から約1秒の間のパルス幅、及び毎秒約1パルスから毎秒約5000パルスの間の周波数で、レーザ光エネルギーを放射するよう構成される、段落[0009]から[0134]のいずれかによる方法。
[0136] 少なくとも1つのエミッタは、約3,000ナノメートルから約12,000ナノメートルの間の波長、約1フェムト秒から約1秒の間のパルス幅、及び毎秒約1パルスから毎秒約5000パルスの間の周波数で、レーザ光エネルギーを放射するよう構成される、段落[0009]から[0135]のいずれかによる方法。
[0137] 少なくとも1つのエミッタは、約300ナノメートルから約360ナノメートルの間の波長、約1フェムト秒から約1秒の間のパルス幅、及び毎秒約1パルスから毎秒約5000パルスの間の周波数で、レーザ光エネルギーを放射するよう構成される、段落[0009]から[0136]のいずれかによる方法。
[0138] 少なくとも1つのエミッタは、約308ナノメートルの波長、約10ナノ秒から約200ナノ秒の間のパルス幅、及び毎秒約1パルスから毎秒約100パルスの間の周波数で、レーザ光エネルギーを放射するよう構成される、段落[0009]から[0137]のいずれかによる方法。
[0139] 少なくとも1つのエミッタの総エネルギー出力は、1平方ミリメートル当り約1ミリジュールから約100ミリジュール(mJ/mm2)の間である、段落[0009]から[0138]のいずれかによる方法。
[0140] 少なくとも1つのエミッタの総エネルギー出力は、1平方ミリメートル当り約30ミリジュールから約80ミリジュール(mJ/mm2)の間である、段落[0009]から[0139]のいずれかによる方法。
[0141] 液体媒体は、造影剤又は造影剤溶液である、段落[0009]から[0140]のいずれかによる方法。
[0142] 液体媒体は、ヨウ素含有造影剤又はガドリニウム造影剤のいずれか1つである、段落[0009]から[0141]のいずれかによる方法。
[0143] 液体媒体は、約1ナノメートルから約1ミリメートルの間の波長、約1ナノ秒から約1秒の間のパルス幅、及び毎秒約1パルスから毎秒約1000パルスの間の周波数で、少なくとも1つのエミッタから放射される光エネルギーの高い吸収性を示すよう構成される、段落[0009]から[0142]のいずれかによる方法。
[0144] 少なくとも1つのエミッタは、2つ以上の、同心円状のエミッタである、段落[0009]から[0143]のいずれかによる方法。
[0145] 少なくとも1つのエミッタは、2つ以上の、単一ファイバのエミッタである、段落[0009]から[0144]のいずれかによる方法。
[0146] 減衰部材は、半硬質の生体適合性構造体を形成するよう構成される、段落[0009]から[0145]のいずれかによる方法。
[0147] 減衰部材は、硬質の生体適合性構造体を形成するよう構成される、段落[0009]から[0146]のいずれかによる方法。
[0148] シースは、非多孔性の生体適合性の層を有する、段落[0009]から[0147]のいずれかによる方法。
[0149] 減衰部材は、内面、外面、及び内面から外面まで延在する複数の開口を有する、段落[0009]から[0148]のいずれかによる方法。
[0150] 減衰部材は、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、らせん形、多角形、菱形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、及び十角形の形状の少なくとも1つを有する、複数の開口を有する、段落[0009]から[0149]のいずれかによる方法。
[0151] 減衰部材は、シース内に一体的に配置される、段落[0009]から[0150]のいずれかによる方法。
[0152] 減衰部材は、シースの外側に配置される、段落[0009]から[0151]のいずれかによる方法。
[0153] 減衰部材は、シースの内側に配置される、段落[0009]から[0152]のいずれかによる方法。
[0154] 液体媒体は、ヨウ素含有造影剤又はガドリニウム造影剤のいずれか1つである、段落[0009]から[0153]のいずれかによる方法。
[0155] シースの遠位端は、開放構造を有する、段落[0009]から[0154]のいずれかによる方法。
[0156] シースの遠位端は、閉じた構造を有する、段落[0009]から[0155]のいずれかによる方法。
[0157] 本開示によれば、石灰化した、及び/又は繊維化した完全閉塞を貫通し、レーザ誘起圧力波放射カテーテルシースを使用して閉塞の少なくとも一部を破壊した後、本方法はまた、バルーンカテーテルによってバルーン上に配置された1種又は複数種の治療薬を送達するステップを有し、治療薬は、1種又は複数種のタキサン、サリドマイド、スタチン、コルチコイド、及びコルチコイドの親油性誘導体を含む、ポリマーを含まない薬物製剤中の1種又は複数種の酸化非感受性薬物を含む。治療薬はまた、ポリマーを含まない製剤の中に、ノルジヒドログアイアレチン酸、レスベラトロール及び没食子酸プロピルなどの、1種又は複数種の親油性酸化防止剤を含む。たとえば、2010年11月3日に出願された国際出願PCT/EP2010/066754の継続出願である米国特許出願第13/628,608号は、その両方が教示するすべて及びあらゆる目的のために、本明細書にその全体が参照により組み入れられており、酸化非感受性薬物と親油性抗酸化剤との組合せを使用してバルーンカテーテルへの治療薬の付着を改善する、スコアリングバルーンカテーテル又はカッティングバルーンカテーテルを開示している。
[0158] 更に、2012年12月6日に出願され、2014年10月21日に発行された米国特許出願第13/707,401号は、2006年4月26日に出願された米国特許出願第11/411,635号の分割出願であり、また2005年5月11日に出願された米国仮特許出願第60/680,450の優先権を主張するものであり、それらすべてが教示するすべて及びあらゆる目的のために、本明細書にその全体が参照により組み入れられており、血栓又はプラーク内の領域に疎水性及び親油性の薬物を送達するために、ポリマーマトリックスで被覆されたバルーンカテーテルのスコアリング要素を開示している。
[0159] 更に、2011年12月2日に出願され、2013年10月22日に発行された米国特許出願第13/310,320号は、2010年2月24日に出願され、2012年3月6日に発行された米国特許出願第12/712,134号、及び2010年3月17日に出願され、2012年2月14日に発行された米国特許出願第12/726,101号の分割出願であり、米国特許出願第12/726,101号は、2010年2月24日に出願され、2012年3月6日に発行された米国特許出願第12/712,134号の一部継続出願であり、米国特許出願第12/712,134号は2009年9月11日に出願された米国特許出願第12/558,420号の一部継続出願であり、米国特許出願第12/558,420号は2008年9月15日に出願され、2012年9月4日に発行された米国特許出願第12/210,344号及び2014年1月8日に出願された米国特許出願第14/149,862号の一部継続出願であり、米国特許出願第14/149,862号は2012年6月27日に出願され、2014年3月18日に発行された米国特許出願第13/560,538号の継続出願であり、米国特許出願第13/560,538号は2008年9月15日に出願され、2012年9月4日に発行された米国特許出願第12/210,344号の分割出願であり、それらすべてが教示するすべて及びあらゆる目的のために、本明細書にその全体が参照により組み入れられており、正常な体腔、及び罹患のある体腔の表面へ水溶性及び非水溶性の治療薬を局所送達するための方法及びデバイスを開示している。
[0160] 更に、2013年6月25日に出願された米国特許出願第13/926,515号は、2012年6月28日に出願された米国仮特許出願第61/665,758号の優先権を主張するものであり、その両方が教示するすべて及びあらゆる目的のために、本明細書にその全体が参照により組み入れられており、ポリマー又はオリゴマーマトリックス中に分散された治療薬を含む、医療デバイスを被覆するための方法及びデバイスを開示している。
[0161] 本開示はまた、近位端、遠位端、及び内部にルーメンを備えるシースと、レーザ発生器などのエネルギー源に結合可能な近位端、遠位端を有するレーザカテーテルと、レーザカテーテルの遠位端に配置され、レーザ発生器などのエネルギー源と結合される少なくとも1つのエミッタと、カテーテルはシース内に配置されるよう構成され、その上でレーザカテーテルの遠位端はシースの遠位端の近位に配置され、レーザカテーテルの遠位端とシースの遠位端との間に空隙が形成され、空隙内に液体媒体を導入するための手段とを備えるカテーテルシステムを提供する。
[0162] 本開示はまた、対象者内の血管の伸展性を改善するための方法を提供し、その方法は、対象者の血管の中膜内の石灰化した部分の位置を突き止めるステップと、対象者の脈管構造内で液体光ガイドカテーテルを位置決めするステップであって、液体光ガイドカテーテルが、近位端、遠位端、及びその遠位端に配置されるエミッタとを備える、ステップと、液体光ガイドカテーテルを覆うシースを対象者の脈管構造内で位置決めするステップであって、シースが、近位端、遠位端、及びその遠位端に隣接して配置される減衰部材とを備え、減衰部材は40パーセントから60パーセントの間の開口面積を有し、減衰部材は1インチ当り75巻から125巻の間の巻線を有する少なくとも1つのコイルで形成される、ステップと、減衰部材が石灰化した部分の一部に隣接して配置されるように、脈管構造内でシースを位置決めするステップと、少なくとも1つのエミッタが、減衰部材と同心円状に、石灰化した部分の一部に隣接して配置されるように、脈管構造内で液体光ガイドカテーテルを位置決めするステップと、液体媒体を外側シースの中へ、液体光ガイドカテーテルの外側へ、且つ少なくとも1つのエミッタへ導入するステップと、液体媒体内へ光エネルギーのパルスを伝達するために、少なくとも1つのエミッタを活動化させるステップと、少なくとも1つのエミッタから光エネルギーの1つ又は複数のパルスを放射するステップであって、光エネルギーの1つ又は複数のパルスは液体媒体と反応して、中膜の石灰化した部分を破壊する、伝播する複数のレーザ誘起圧力波を生成し、それによって血管の伸展性を改善する、ステップとを有する。
[0163] 少なくとも1つのコイルは、フラットワイヤを有する、段落[0162]による方法。
[0164] フラットワイヤは、0.0005インチから0.002インチの間の高さ、及び0.002インチから0.010インチの間の幅を有する、段落[0162]から[0163]のいずれかによる方法。
[0165] フラットワイヤは、約0.001インチの高さ、及び約0.005インチの幅を有する、段落[0162]から[0164]のいずれかによる方法。
[0166] コイルのフラットワイヤの各巻線間の間隔は、0.003インチから0.008インチの間である、段落[0162]から[0165]のいずれかによる方法。
[0167] コイルは、1インチ当り90巻から100巻の間の巻線を有する、段落[0162]から[0166]のいずれかによる方法。
[0168] コイルは、1インチ当り約95巻の巻線を有する、段落[0162]から[0167]のいずれかによる方法。
[0169] シースは、先端部及びルーメンを有し、ルーメンは第1の内径、及びその先端部の近位にある第2の内径を有し、第1の内径は第2の内径より小さい、段落[0162]から[0168]のいずれかによる方法。
[0170] 液体光ガイドカテーテルは、先端部の第1の内径にほぼ等しい外径を有する、段落[0162]から[0169]のいずれかによる方法。
[0171] 液体光ガイドカテーテルの外径と先端部の第1の内径との間の第1の差は、約0.0005インチである、段落[0162]から[0170]のいずれかによる方法。
[0172] 液体光ガイドカテーテルの外径とシースの第2の内径との間の第2の差は、約0.0025インチである、段落[0162]から[0171]のいずれかによる方法。
[0173] シースは、近位端及び遠位端を有する先端部を有し、先端部は近位端から遠位端へ先細となっている、段落[0162]から[0172]のいずれかによる方法。
[0174] 本開示はまた、対象者の脈管構造内に脈管構造の閉塞を有する対象者内の粥腫切除を実施するための方法を提供し、その方法は、脈管構造内の血管閉塞を通してガイドワイヤを挿入するステップと、少なくとも1つのエミッタを備え、ガイドワイヤを覆う液体光ガイドカテーテルを、脈管構造内へ導入するステップと、液体光ガイドカテーテルを使って血管閉塞の少なくとも一部を切除するステップと、液体光ガイドカテーテルを覆って脈管構造内へシースを導入するステップであって、シースは、遠位部分、及びシースの遠位部分に、又はその遠位部分に隣接して配置される減衰部材を備え、減衰部材は40パーセントから60パーセントの間の開口面積を有し、減衰部材は1インチ当り75巻から125巻の間の巻線を有する少なくとも1つのコイルで形成される、ステップと、減衰部材が脈管構造内の石灰化した部分に径方向に隣接して配置されるように、脈管構造内でシースを位置決めするステップと、少なくとも1つのエミッタが減衰部材内で石灰化した部分に径方向に隣接して配置されるように、脈管構造内で液体光ガイドカテーテルを位置決めするステップと、液体媒体をシース内へ、且つ少なくとも1つのエミッタへ導入するステップと、少なくとも1つのエミッタから液体媒体内へ光エネルギーの複数のパルスを放射するステップであって、光エネルギーの複数のパルスは液体媒体と反応して、石灰化した部分を破壊する、伝播する複数のレーザ誘起圧力波を生成する、ステップとを有する。
[0175] 段落[0174]による本方法は更に、シースの遠位方向に液体光ガイドカテーテルを延在して、第2の血管閉塞の別の部分を切除するステップと、減衰部材が第2の血管閉塞の第2の石灰化した部分に径方向に隣接して配置されるように、脈管構造内でシースを位置決めするステップと、少なくとも1つのエミッタが減衰部材内で第2の石灰化した部分に径方向に隣接して配置されるように、脈管構造内で液体光ガイドカテーテルを位置決めするステップと、液体媒体をシース内へ、少なくとも1つのエミッタへ導入するステップと、少なくとも1つのエミッタから液体媒体内へ光エネルギーの複数のパルスを放射するステップであって、光エネルギーの複数のパルスは液体媒体と反応して、第2の石灰化した部分を破壊する、伝播する複数のレーザ誘起圧力波を生成する、ステップとを有する。
[0176] 本開示はまた、近位端、遠位端、及びその遠位端に隣接して配置される少なくとも1つのエミッタを備える液体光ガイドカテーテルと、液体光ガイドカテーテルを覆って配置されるよう構成されると共に、液体媒体を受容するよう構成され、近位端、遠位端、及びシースの遠位端に、又はシースの遠位端に隣接して配置される減衰部材を備えるシースであって、減衰部材は40パーセントから60パーセントの間の開口面積を有し、減衰部材は1インチ当り75巻から125巻の間の巻線を有する少なくとも1つのコイルで形成される、シースとを備える、カテーテルシステムを提供する。
[0177] 少なくとも1つのコイルは、フラットワイヤを有する、段落[0176]によるシステム。
[0178] フラットワイヤは、0.0005インチから0.002インチの間の高さ、及び0.002インチから0.010インチの間の幅を有する、段落[0176]から[0177]のいずれかによるシステム。
[0179] コイルのフラットワイヤの各巻線間の間隔は、約0.003インチから0.008インチの間である、段落[0176]から[0178]のいずれかによるシステム。
[0180] 少なくとも1つのコイルは、1インチ当り90巻から100巻の間の巻線を有する、段落[0176]から[0179]のいずれかによるシステム。
[0181] シースは更に、内側ライナ、外筒、及び内側ライナと外筒との間に同心円状に配置された中間層を有する、段落[0176]から[0180]のいずれかによるシステム。
[0182] 編組構造体は、内側ライナ又は外筒内に一体的に配置される、段落[0176]から[0181]のいずれかによるシステム。
[0183] 編組構造体は内側ライナ内に一体的に配置される、段落[0176]から[0182]のいずれかによるシステム。
[0184] 編組構造体は、外筒内に一体的に配置される、段落[0176]から[0183]のいずれかによるシステム。
[0185] 編組構造体は、外筒及び内側ライナ内に一体的に配置される、段落[0176]から[0184]のいずれかによるシステム。
[0186] 本開示はまた、近位端、遠位端、及びその遠位端に隣接して配置される少なくとも1つのエミッタを有する液体光ガイドカテーテルと、液体光ガイドカテーテルを覆って配置されるよう構成されると共に、液体媒体を受容するよう構成され、近位端、遠位端、及びシースの遠位端に、又はシースの遠位端に隣接して配置される減衰部材を有するシースであって、減衰部材は1インチ当り40ピックから80ピックの間の編組密度をもつ編組構造体を有する、シースとを備える、カテーテルシステムを提供する。
[0187] 編組構造体は、55パーセントから75パーセントの間の開口面積を有する、段落[0186]によるシステム。
[0188] 編組構造体は、12から20の間の組錘を有する、段落[0186]から[0187]のいずれかによるシステム。
[0189] シースは更に、内側ライナ、外筒、及び内側ライナと外筒との間に同心円状に配置された中間層を有する、段落[0186]から[0188]のいずれかによるシステム。
[0190] 編組構造体は、内側ライナ又は外筒内に一体的に配置される、段落[0186]から[0189]のいずれかによるシステム。
[0191] 編組構造体は内側ライナ内に一体的に配置される、段落[0186]から[0190]のいずれかによるシステム。
[0192] 編組構造体は、外筒内に一体的に配置される、段落[0186]から[0191]のいずれかによるシステム。
[0193] 編組構造体は、外筒及び内側ライナ内に一体的に配置される、段落[0186]から[0192]のいずれかによるシステム。
[0194] 本明細書で使用される「少なくとも1つ」、「1つ又は複数」、及び「及び/又は」は、運用にあたっては、接続的及び選言的の両方である、無制限の表現である。たとえば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、及びCのうちの1つ又は複数」、「A、B、又はCのうちの1つ又は複数」及び「A、B、及び/又はC」の表現のそれぞれが、A単独、B単独、C単独、AとBと一緒、AとCと一緒、BとCと一緒、又はAとBとCと一緒、を意味する。上記表現におけるA、B、及びCのそれぞれ1つが、X、Y、及びZなどの要素、又はX1−Xn、Y1−Ym、Z1−Zoなどの要素のクラスを指すとき、そのフレーズは、X、Y、及びZから選択される単一の要素、同じクラスから選択される要素の組合せ(たとえば、X1及びX2)、並びに2つ以上のクラスから選択される要素の組合せ(たとえば、Y1及びZo)を指すことを意図している。
[0195] 用語「a」又は「an」のつく実体は、その実体の1つ又は複数を指すことに留意されたい。このように、用語「a」(又は「an」)、「1つ又は複数」及び「少なくとも1つ」は、本明細書では互換的に使用され得る。「備える」、「含む」、及び「有する」という用語もまた、互換的に使用され得ることに留意されたい。
[0196] 用語「約」は、数値と共に使用されるとき、本明細書で別段の言及がない限り、その数値のプラス及び/又はマイナス10パーセント(10%)を意味するものとする。
[0197] 本明細書で使用される用語「減衰部材」は、キャビテーション現象及び/又は蒸気泡を変化させる任意の構成要素である。減衰部材の例は、レーザ誘起圧力波に与える影響は最小限であるが、それでもなおキャビテーション現象及び/又は蒸気泡を変化させる要素である。減衰部材の一例は、多孔質減衰部材である。しかし、減衰部材は多孔質である必要はなく、中実構造を含む。
[0198] 本明細書で使用される用語「カテーテル」は一般に、体腔、導管、管腔、又は脈管構造系などの血管に挿入することができる管を指す。ほとんどの用途では、カテーテルは比較的細い可撓性の管(「ソフト」カテーテル)であるが、用途によっては、より大きく、硬く(より可撓性が低く)、それでもなおものによっては可撓性があるカテーテル(「ハード」カテーテル)がある。ある用途では、カテーテルは、他のカテーテル又はガイドワイヤを導入することができるように、その長さの一部又は全部に沿ったルーメンを有する。カテーテルの一例は、シースである。
[0199] 本明細書で使用される用語「バルーンカテーテル」は一般に、流体を収容するバルーンを運ぶ様々な種類のカテーテルを指す。バルーンカテーテルはまた、異なるルーメン設計など多種多様な内部構造を持ち、その中で少なくとも3つの基本的な種類、すなわちトリプルルーメン、デュアルルーメン、及び同軸ルーメンがある。本明細書において「バルーンカテーテル」という用語を使用することにより、あらゆる種類の内部構造及び設計の変形形態が含まれることを意味する。ある用途では、バルーンカテーテルを使用して血管形成を実施することができる。
[0200] 本明細書で使用される用語「キャビテーション現象」は、蒸気泡をその最小半径までつぶす急速な流体運動を表す。場合によっては、キャビテーション現象は圧力波の生成を含む。
[0201] 用語「カプラ」又は「光ファイバカプラ」は、1つ又は複数の入力ファイバ又はエミッタと、1つ又は複数の出力ファイバ又はエミッタとを有する光ファイバデバイスを指す。ファイバカプラは、一般に、これらのファイバ又はエミッタをエネルギー源に結合するための、1つ又は複数の入力ファイバ又はエミッタを有する特殊な光ファイバデバイスである。エネルギー源は、1つ又は複数の追加のファイバ又はエミッタに結合されている別のエネルギー搬送ファイバ又はエミッタであってもよい。
[0202] 本明細書で使用される用語「エミッタ」は、カテーテルなどのデバイスの遠位端から所望の対象物に向かって光を放射するファイバ又は光学部品(ファイバの端部など、それの任意の部分を含む)を指す。ある用途では、この対象物は、組織、又は造影剤などの吸収性媒体であり得る。エミッタは、光エネルギー源から対象物又は治療領域に光を運ぶ任意のデバイスの出力端であり得る。これらの光エネルギー移送デバイスは、ガラス又は溶融シリカ光ファイバ、プラスチック光ファイバ、空気又は気体光ガイド、及び液体光ガイドを含むことができる。本明細書に記載するように、1つ又は複数のエミッタを使用して任意の波長の光を放射することができる。1つ又は複数のエミッタは、レーザ光、白色光、可視光、赤外光、及び紫外光を含むがこれらに限定されない光を放射することができる。
[0203] 本開示によれば、カテーテルは、ガラス又は溶融シリカ光ファイバ、プラスチック光ファイバ、空気又は気体光ガイド、及び液体光ガイドを含む、少なくとも1つのエミッタを備える。液体光ガイド、又は液体光ガイドを備えるカテーテルの例は、その両方が、それが教示するすべて及びあらゆる目的のために、本明細書にその全体が参照により組み入れられた、2007年10月24日に出願された米国特許出願第11/923,488号、及び2008年10月20日に出願された米国特許出願第12/254,254号に見ることができる。
[0204] 本明細書で使用される用語「可撓性構造体」は、それが脈管構造を通過するときに、脈管構造の形状に曲がるか、さもなければ脈管構造の形状に適合することができる構造体であることを意味するものとする。用語「径方向可撓性構造体」は、それをレーザ誘起圧力波が通過するときにまた、径方向に膨張及び/又は収縮することが可能な、可撓性構造体を含むものとする。
[0205] 本明細書で使用される用語「レーザエミッタ」は、カテーテルの遠位端から所望の対象物に向けてレーザ光を放射する、ファイバの端部又は光学部品を指す。ある用途では、この対象物は、組織、又は造影剤などの吸収性媒体であり得る。
[0206] 本明細書で使用される用語「レーザ誘起圧力波」は、レーザ光と吸収性材料との間の反応によって生じる圧力波である。レーザ誘起圧力波は、気体、液体(たとえば、造影剤を含んでも含まなくてもよい生理食塩水)、又は固体内で生成される。
[0207] 本明細書で使用される用語「手段」は、米国特許法第112(f)に従って、所与の、可能な限り最も広い解釈のものとする。したがって、用語「手段」を組み入れた請求項は、本明細書に示すあらゆる構造体、材料、又は作用、及びそれらの均等物のすべてを包含するものとする。更に、その構造、材料又は作用及びそれらの均等物は、発明の概要、図面の簡単な説明、発明を実施するための形態、要約書、及び特許請求の範囲自体に記載されているものすべてを含むものとする。
[0208] 本明細書で使用される用語「光ファイバ」(又はレーザ能動ファイバ)は、ガラス(シリカ)又はプラスチックなどの光透過性材料からなり、導波路又は「光パイプ」として機能し、ファイバの両端間で光を伝達する、可撓性の透明ファイバを指す。
[0209] 本明細書で使用される用語「多孔質減衰部材」は、開口を有する硬質部材又は半硬質部材で構成された減衰部材を意味するものとする。硬質部材及び半硬質部材の例には、コイル、ブレード、レーザカット管、強化ポリマー押出成形品、パターン化プラスチック、金属及びセラミックで構成される部材が含まれる。このような硬質部材及び半硬質部材を構成するために使用される特定の材料は、ニチノール(ニッケル−チタン合金である)、ステンレス鋼、チタン、銀、アルミニウム、コバルト、クロム、ペバックス、シリコン、ウレタン、ポリエチレン及び誘導体、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン及び誘導体、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ(エーテルエーテルケトン)、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、リン酸三カルシウム、ケイ酸塩又は他の生体適合性金属、セラミック又はポリマーを含む。多孔質減衰部材の可能な構成は、螺旋状切込み、断続的な螺旋状切込み、ハニカム、血管ステントに一般的に見られるような格子構造、スロット、オフセットスロット、らせん、長手方向、径方向、周方向、又はそれらの組合せのうちいずれかのスリット、切り抜き形状の開口を含むが、それに限定されるものではない。本開示の範囲はまた、可撓性構造及び/又は径方向可撓性構造で構成される「多孔性減衰部材」を包含するが、減衰のためには、硬質部材又は半硬質部材で構成されることが好ましい。
[0210] 本明細書で使用される用語「硬質構造」は、脈管構造を通過するとき、脈管構造の形状に曲がる、又はさもなければそれに適合することができるが、レーザ誘起圧力波が脈管構造を通過するとき、径方向にほぼ拡張及び/又は収縮できない構造を意味するものとする。
[0211] 本明細書で使用される用語「半硬質構造」は、脈管構造を通過するときに付加的な程度の可撓性をもって部分的に硬質であるが、レーザ誘起圧力波が脈管構造を通過するとき、径方向にほぼ拡張及び/又は収縮できない構造を意味するものとする。
[0212] 本明細書で使用される用語「シース」は、一般に、カテーテルの導入及びその長さに沿った流体の導入を可能にする、体腔導管、管腔、又は脈管構造系などの血管の中に挿入することができる管を指す。シースの中に導入することができるカテーテルの例は、レーザカテーテルである。シースの中に導入することができる流体の例は、造影剤など吸収性の流体である。シースは、閉じた端部又は開放端部を有することができる。シースは、体腔、導管、管腔、又は脈管構造系などの血管に挿入することが可能な管であるので、シースはまたカテーテルと解釈される。したがって、レーザカテーテルなどのカテーテルを、別のカテーテルの中に導入することができる。
[0213] 本明細書で使用される用語「治療薬」は、一般に、1つ又は複数の対象者の生理学的症状の軽減を通じて対象者に治療を施す、任意の知られた、又は今後発見される薬理学的に活性な作用物質を指す。治療薬は、自然に生じる化合物、化学的に変化した自然に生じる化合物、又は化学的に合成される化合物である。作用物質は通常、一般に認められているクラスの薬理学的に活性な作用物質から選択され、鎮痛剤、麻酔剤、抗関節炎剤、抗喘息薬を含む呼吸器薬、抗新生物薬を含む抗癌剤、抗コリン作用薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、糖尿病治療薬、下痢止め薬、駆虫剤、抗ヒスタミン剤、抗高脂血症薬、抗高血圧剤、抗生物質及び抗ウイルス剤などの抗感染症剤、抗炎症剤、抗片頭痛製剤、抗嘔吐薬、抗パーキンソン病薬、鎮痒薬、抗精神病薬、解熱剤、鎮痙剤、抗結核剤、抗潰瘍剤、抗ウイルス剤、抗不安薬、食欲抑制剤、注意欠陥障害(ADD)及び注意欠陥多動性障害(ADHD)薬、カルシウムチャネル遮断薬、CNS剤を含む心血管調剤薬、ベータ遮断薬及び抗不整脈薬、中枢神経系興奮剤、鬱血除去剤を含む咳及び風邪調剤薬、利尿薬、遺伝物質、薬草、ホルモン分解薬、催眠剤、血糖降下薬、免疫抑制剤、ロイコトリエン阻害剤、細胞分裂阻害剤、再狭窄抑制剤、筋弛緩剤、麻薬拮抗薬、ニコチン、ビタミン、必須アミノ酸、及び脂肪酸などの栄養剤、緑内障治療薬などの眼科用薬、副交感神経遮断薬、精神刺激薬、鎮静剤、ステロイド、交感神経刺激薬、精神安定剤、並びに一般的な冠状動脈、末梢及び脳を含む血管拡張薬を含むが、必ずしもこれらに限定されない。
[0214] 本明細書で使用される用語「蒸気泡」は、液体内に形成された気体状の空隙である。
[0215] 本明細書で使用される用語「脈管構造」及び「血管」は、末梢動脈及び非末梢動脈並びに静脈を含む、対象者の循環系の任意の部分を指す。脈管構造は、核酸、アミノ酸、炭水化物、多糖類、脂質線維組織、カルシウム沈着物、死細胞の残余物、細胞片などの材料からなり得る。
[0216] 用語「血管閉塞」又は「閉塞」は、動脈の管腔の内側を狭めるか又は完全に塞ぎ、それによって動脈のセグメントを通る正常な血流を制限又は遮断する、管腔内又は動脈の内膜内の、脂肪、脂質、フィブリン、線維石灰化プラーク、血栓及び他の粥状硬化性組織の蓄積を指す。閉塞は、脈管構造を部分的又は完全に閉塞する。したがって、用語「血管閉塞」又は「閉塞」は、完全閉塞と部分閉塞との両方を含むものとする。或いは、血管閉塞又は閉塞はまた、血管障害(又は障害)或いは血管狭窄(又は狭窄)とも呼ばれる。したがって、血管障害は、完全障害又は部分障害と呼ばれ、血管狭窄は、完全狭窄又は部分狭窄と呼ばれる。
[0217] 本開示全体にわたって与えられるすべての最大数値の限度は、あたかもそのようなより低い数値限度が本明細書に明示的に記載されているかのように、代替としてありとあらゆるより低い数値限度を含むものとみなされることを理解されたい。本開示全体にわたって与えられるあらゆる最小数値の限度は、あたかもそのようなより高い数値限度が本明細書に明示的に記載されているかのように、代替としてありとあらゆるより高い数値限度を含むものとみなされる。本開示全体にわたって与えられるあらゆる数値範囲は、あたかもそのようなより狭い数値範囲が本明細書に明示的に記載されているかのように、そのようなより広い数値範囲内にある、ありとあらゆるより狭い数値範囲を含むものとみなされる。
[0218] 上記は、本開示のいくつかの態様の理解をもたらすための本開示の簡略化した概要である。この概要は、本開示及びその様々な態様、実施形態、及び構成の、広範な大要でも網羅的な大要でもない。本開示の重要な又は決定的な要素を特定することも本開示の範囲を描写することも意図していないが、以下に提示するより詳細な説明への導入として、本開示の選択された概念を簡略化した形で提示することを意図したものである。理解されるように、本開示の他の態様、実施形態、及び構成は、上記に示す又は以下に詳細に説明する特徴のうちの1つ又は複数を、単独で又は組み合わせて利用することもある。
[0219] 添付の図面は、本開示のいくつかの例を示すために本明細書の中に組み入れ、その一部を形成する。これらの図面は、説明と共に、本開示の原理を説明する。図面は単に、本開示をどのようにして作成し使用することができるかについての好ましい、且つ代替の例を示すものであり、本開示を、図示し説明した例のみに限定すると解釈されるべきではない。以下に参照する図面で示すように、さらなる特徴及び利点が、以下の、本開示の種々の態様、実施形態、及び構成のより詳細な説明から明らかになるであろう。
[0341] 本開示は、概ね、血管の状態を治療するための医療デバイスの使用に関する。詳細には、本開示は、血管の閉塞を破壊し、閉塞領域に治療薬を送達するための、レーザ誘起圧力波を使用する材料及び方法を提供する。
[0342] 図1を参照すると、本開示の例示的な切除システム100を示す。切除システム100は、レーザコントローラ175と結合されるレーザ装置130を備える。コントローラ175は、レーザ130を制御するようプログラムされた1つ又は複数のコンピュータ処理デバイスを備える。コントローラ175は、レーザ発生器など、レーザ装置130の内部又は外部にある。レーザ装置130は、エキシマレーザ又は他の好適なレーザを含む。ある実施形態では、レーザ130は、紫外線周波数範囲内の光を生成する。一実施形態では、レーザ130は、パルス状に光エネルギーを生成する。
[0343] レーザ130は、レーザエネルギー送達システム120の近位端、例示的にはカプラ140を介してレーザカテーテル170に接続されている。レーザカテーテル170は、レーザ130からレーザエネルギーを受容し、受容したレーザエネルギーをレーザエネルギーカテーテル170の第1の近位端124からレーザカテーテル170の第2の遠位端126に向かって移送する、1つ又は複数の光エネルギー移送デバイスを備える。カテーテル170の遠位端は、人体110の血管又は組織内に挿入される。ある実施形態では、システム100は、光ファイバなどの光エネルギー移送デバイスとして、複数の光ガイドを使用し、それはレーザ130からのレーザ光を、カテーテル170を介して人体110の対象物領域に向けて誘導する。
[0344] 例示的なレーザカテーテルデバイス又はレーザカテーテル組立体は、レーザカテーテル及び/又はレーザシースを備える。レーザカテーテル又はレーザシースの例は、The Spectranetics Corporationによって、ELCA(商標)及びTurbo Elite(商標)(その各々が、閉塞した動脈を再開通させる、病変形態を変化させる、及びステント留置を容易にするなど、冠状動脈インターベンション又は末梢血管インターベンションのそれぞれに使用される)、並びにSLSII(商標)及びGlideLight(商標)(外科的に埋め込まれたリードの除去に使用される)の商標の下で販売されている。レーザカテーテルの作業(遠位)端は、通常は、エネルギーを放射して対象となる組織を切除する、複数のレーザエミッタを備える。レーザカテーテルの反対側(近位)の端部は、通常は、光ファイバカプラ140及びオプションの歪み軽減部材124を有する。光ファイバカプラ140は、レーザシステム又はレーザ発生器130に接続する。このようなレーザシステムの一例は、やはりSpectranetics Corporationによって販売されている、CVX−300エキシマレーザシステムである。
[0345] 図1のレーザコントローラ175は、実行されたときに、1つ又は複数のプロセッサ200にレーザ130及び/又は切除システム100の他の構成部品を制御させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体(たとえば、メモリ204)を備える。コントローラ175は、操作者からの入力を受信するための、1つ又は複数の入力デバイス206を備える。例示的な入力デバイスは、レーザ130のユーザ制御を可能にする、キー、釦、タッチスクリーン、ダイアル、スイッチ、マウス、及びトラックボールを含む。コントローラ175は更に、操作者にフィードバック又は情報を提供するための、1つ又は複数の出力デバイスを含む。例示的な出力デバイスは、ユーザにフィードバック又は情報を提供する、ディスプレイ、光、音声デバイスを含む。
[0346] レーザ130のレーザ源は、レーザコントローラ175に動作可能に結合されている。レーザ源は、レーザ信号又はビームを生成し、カテーテル170の光ファイバ束を介して人間にレーザ信号を供給するように動作可能である。光ファイバ束は、レーザ信号を人体110の対象物領域に送達するための送達デバイスとして働く。
[0347] 図1は、好ましくは大腿動脈を通って、人体の脚部に入る、カテーテル170を示す。上記で説明したように、CAD又はPADのどちらかを治療することが望ましい。カテーテル170がCADを治療することを意図している場合、大腿動脈に入った後、カテーテル170は患者の脈管構造系を通って冠状動脈に向けられることになる。或いは、カテーテル170がPADを治療することを意図している場合、カテーテル170は、患者の脈管構造系を通って、膝下の脈管構造、特に患者の脚部及び/又は足の脈管構造などの末梢動脈に向けられることになる。バルーンカテーテルとは異なり、本開示のカテーテル170は、バルーンカテーテルと比較してシースの全直径がより小さいため、より小さなサイズの脈管構造に、より容易に誘導し、進入することができ、それによって本開示のカテーテル170はより容易にPADを治療できる。すなわち、(本開示のカテーテル170と比較して)電気式誘起衝撃波バルーンカテーテル及び/又は一般的な拡張バルーンカテーテルのバルーンのサイズが増大することによって、バルーン型カテーテルを、脚部の膝下及び/又は足の脈管構造のような末梢脈管構造に進入させ、貫通させ、且つ/又は治療することが妨げられる、又はその困難さが増す。
[0348] 図2A、図2B、図2C、及び図2Dを参照すると、本発明のカテーテル170の実施形態を示す。本開示のカテーテル170は、外側シース182、内側シース184、1つ又は複数の光ファイバ186、及び先端部180を備える。外側シース182、内側シース184、及び1つ又は複数の光ファイバ186は、ほぼカテーテル170の長さにわたるものであり、それぞれが近位端及び遠位端を有する。内側シース184は外側シース182内に同心円状及び/又は径方向に配置され、1つ又は複数の光ファイバ186は内側シース184内に同心円状及び/又は径方向に配置される。
[0349] 図2Cに示すように、カテーテル170の遠位端126において、外側シース182の遠位端は先端部180に直接連結されている。内側シース184及び1つ又は複数の光ファイバ186は、先端部180に直接には連結されていない。むしろ、内側シース184及び1つ又は複数の光ファイバ186は先端部180の近位に配置され、それによって外側シース182、内側シース184、1つ又は複数の光ファイバ186、及び先端部180の間に空隙を形成する。
[0350] 生体適合性ポリマーで構成される内側シース184は、液体媒体を空隙に送達し、それによって空隙を液体媒体で部分的に又は完全に充填するために使用される、1つ又は複数のルーメン190を備える。液体媒体は、内側シース184内の1つ又は複数のルーメン190と流体連通し、外側シース182の周りに配置された、1つ又は複数の液体媒体ポート(図示せず)を通してカテーテル170に導入される。液体媒体ポートはまた、カテーテル170から液体媒体を除去するための手段としても作用する。
[0351] 液体媒体は、光エネルギーを吸収し、それによって液体媒体中にレーザ誘起圧力波を生成するように構成される。レーザ誘起圧力波は、その起点を囲む流体を圧縮し、それによって蒸気泡を発生させる。レーザ誘起圧力波がその起点から離れる方向へ伝播するにつれて、蒸気泡を囲む流体が内側へ移動し、蒸気泡がつぶれてキャビテーション現象を生む。蒸気泡及びその後の(複数の)キャビテーション現象は、レーザ誘起圧力波の副産物である。そして、その後の(複数の)キャビテーション現象は、先端部180及び/又は外側シース182に伝達される、結果として生じる追加の圧力波を生成し、血管閉塞を破壊する。
[0352] 液体媒体は、たとえばヨウ素含有造影剤又はガドリニウム造影剤を含む造影剤、並びに染料(類)及び/又は粒子(群)を含む造影剤溶液を含み得る。更に、その液体媒体が1つ又は複数の光ファイバに結合されたエミッタなどの光源と結合される限り、任意の液体媒体が使用可能であり、この光源は好適な波長で光を放射し、その結果その液体は光を吸収し、レーザ誘起圧力波、蒸気泡、及び結果として生じる追加の圧力波を生成するキャビテーション現象を発生させる。場合によっては、液体媒体は、造影剤(たとえば、ヨウ素含有造影剤又はガドリニウム造影剤)であってもよく、及び/又は液体媒体は、造影染料(類)又は粒子(群)が様々な濃度で混合された、生体適合性流体(たとえば、生理食塩水)を含む造影剤溶液であってもよい。
[0353] 上述のように、1つ又は複数の光ファイバ186は、内側シース184の近位部分から内側シース184の遠位端及び空隙内にまで延在する、内側シース184内に配置される。1つ又は複数の光ファイバの近位端は、レーザ発生器130に結合されている。1つ又は複数の光ファイバ186の遠位端(群)は、内側シース184の遠位端の近位にあるか、又は内側シース184の遠位端の遠位にある。やはり、1つ又は複数のエミッタが、1つ又は複数の光ファイバ186の遠位端に配置されている。エミッタ(群)は液体媒体と直接接触しており、その結果レーザ光エネルギーがエミッタ(群)から放射されると、液体媒体が放射された光を吸収し、それが次にレーザ誘起圧力波を生成し、蒸気泡及び追加の圧力波を生成するキャビテーション現象を発生させる。
[0354] 血管閉塞を有する対象者を治療するために、カテーテル170の先端部180は、血管閉塞に隣接して配置される。レーザシステム130が活動化されると、光エネルギーがエミッタから放出されるまで、光エネルギーは1つ又は複数の光ファイバを通って進む。液体媒体が光エネルギーを吸収するとき、レーザ誘起圧力波が生成される。更に、液体媒体は急速に外向き及び内向きに移動し、蒸気泡及び/又はキャビテーション現象を生む。レーザ誘起圧力波によって生成されたエネルギーは、空隙内に捕捉され、先端部180を動かすことによって機械的エネルギーに変換され、且つ/又は先端部180を通って血管閉塞に伝達される。レーザ誘起圧力波によって生成され、血管閉塞へ伝達されるエネルギーは、血管閉塞、特に全閉塞の石灰化した、且つ/又は線維化した(たとえば、カルシウム沈着物)部分を破壊するのに十分である。レーザ誘起圧力波及びその結果生じる流体の移動によって先端部180に生じる機械的エネルギーが、閉塞に伝達されることが望ましい。したがって、レーザ誘起圧力波によって生成されたエネルギーが空隙内に補足されるとき、レーザ誘起圧力波によって生成された力は、前方(すなわち、血管と平行)を含む長手方向に伝播することが望ましく、これにより先端部が血管閉塞を破壊し、打ち砕き、且つ/又は貫通する力が高まる。すなわち、レーザ誘起圧力波が生成されると、カテーテルの先端部180は、前に、つまり閉塞に向かい、また後ろに、つまり閉塞から離れて、急速に移動する(平行移動する)。このようにして生成された圧力波はまた、従来のバルーン血管形成術又は薬物溶出バルーン治療など、別の処置を実行する前に、血管の伸展性を高めるためにも使用することができる。
[0355] レーザ誘起圧力波によって生成される力が、先端部180の長手方向の前方/後方への動きに変わる方向に向けることを容易にするために、外側シース182が可撓性であるだけでなく、外側シース182もまた長手方向に伸縮する能力を有する。このような外側シース182の一例には、ステンレス鋼などの生体適合性材料又は生体適合性ポリマーで構成されたスロット付き又はレーザカット皮下管が含まれる。皮下管はバネのような特性を有し、それにより長手方向に伸縮可能である。具体的には、スロット付き又はレーザカットパターンであることにより、皮下管は伸縮可能である。外側シース182の別の例は、1つ又は複数の螺旋状に巻かれたワイヤを備え、それによってコイル状シースを作り出し、これもまた長手方向に伸縮する能力を有する。
[0356] 先端部180の長手方向の移動を更に容易にするために、内側シース184の遠位端と先端部180の近位端との間に、軸方向に配置され、且つ1つ又は複数の光ファイバ186と外側シース182との間に、径方向に配置される、シールド188を備えることが望ましい。図2Cに示すように、ほぼ円筒形の管として示すシールド188は、径方向のレーザ誘起圧力波の抵抗を増大させ、それによってレーザ誘起圧力波が外側シース182に向かって径方向に進む力を低減させ、レーザ誘起圧力波によって生成される長手方向のエネルギーを集中させる。円筒形シールド188の構成は、径方向と比較して、長手方向の抵抗を低減することを可能にし、それによって長手方向のレーザ誘起圧力波によって生成されるエネルギーが潜在的に増加し、先端部が前方/後方に平行移動する力を増大する。円筒形シールド188はまた、その直径がその遠位端と比較してその近位端でより大きくなるように構成され、それによって潜在的にレーザ誘起圧力波を先端部180の中心に向かって集中させる。或いは、円筒形シールド188は、その直径がその遠位端と比較してその近位端でより小さくなるように構成され、それによって潜在的にレーザ誘起圧力波を先端部180の中心に向かって集中させる。
[0357] 図2B及び図2Cに示す先端部180は、閉じた構成を有している。ただし、本開示は、先端部が開放構成もまた有することができることを意図している。更に、図2B及び図2Cに示す先端部180は、レーザカテーテル170の遠位端126とは別個の構成部品であり、遠位端126に連結されている。ただし、本開示は、先端部がまたレーザカテーテル170の遠位端126と一体であり得ることも意図している。図2B及び図2Cに示す先端部180は、一般に、先端部が遠位方向に進むにつれて、より大きい直径からより小さい直径へと先細になっている。更に、図2B及び図2Cに示す先端部180の形状は、一般に、円錐形である。更に、先端部180は、完全に中実の構成を有するが、また部分的に中実でもよい。先端部は、ステンレス鋼又はバイオポリマーなどの生体適合性材料で構成されることが望ましい。
[0358] 図2B及び図2Cに示す先端部180と同様に、図2B’及び図2C’の先端部180’は完全に中実の構成を有するが、図2B’及び図2C’の先端部180’は、その代わりに、部分的に中実の構成を有していてもよい。図2B及び図2Cに示す先端部180と異なり、図2B’及び図2C’の先端部180’は、ほぼ凸状の球形を有している。本開示は、図2B及び図2Cのほぼ円錐形の先端部180及び図2B’及び図2C’のほぼ球形の先端部180’のみを示しているが、先端部は、平坦形状、凹状形状、三角形状、角錐形状、ノミ形状などの代替形状を有してもよい。
[0359] 図3は、本開示のカテーテルの代替の実施形態を示す。図2B’及び図2C’の先端部180’と同様に、図3の先端部380は、ほぼ球形を有している。ただし、図2B’及び図2C’の中実の構造体を有する先端部180’と異なり、図3の先端部380は、中空又はシェル型の構成を有する。また、本実施形態における先端部280、並びに他の実施形態は、外側シース182’’に圧入及び/又は溶接される。
[0360] 図2B及び図2C、図2B’及び図2C’、並びに図3に示すカテーテルの実施形態は、シールド188を備える。ただし、必ずしも、カテーテル内にシールドを備える必要はない。たとえば、図4は、カテーテルの遠位先端部からシールドが省かれているカテーテル170の実施形態を示す。この図に示されるように、シールドが省かれる場合には、無孔性の空隙を形成するために、外側シース182’’’が、内側シース184’’’の遠位端と先端部480の近位端との間に中実部分を備えることが望ましい。
[0361] 図5、図5A、及び図5A’を参照すると、カテーテルの遠位端526は、金属製(たとえば、ステンレス鋼)の代わりに非金属製の、中実又は中空構造の構成部品を具備する、先端部580を備える。図5Aを参照すると、カテーテルは、外側シース582、外側シース582内に同心円状及び/又は径方向に配置された内側シース584、及び内側シース584内に同心円状及び/又は径方向に配置された1つ又は複数の光ファイバ586を備える。外側シース582の遠位端は、先端部580と直接(圧入及び/又は溶接によって)連結される。内側シース584及び1つ又は複数の光ファイバ586は、先端部580に直接には連結されていない。むしろ、内側シース584及び1つ又は複数の光ファイバ586は先端部580の近位に配置され、それによって外側シース582、内側シース584、1つ又は複数の光ファイバ586、及び先端部580の間に空隙を形成する。
[0362] 引き続き図5Aを参照すると、カテーテルは、内側シース584の遠位端と先端部580の近位端との間に軸方向に配置され、且つ1つ又は複数の光ファイバ586と外側シース582との間に径方向に配置される、シールド588を備える。図5Aに示すように、ほぼ円筒形の管として示すシールド588は、径方向のレーザ誘起圧力波の抵抗を増大させ、それによってレーザ誘起圧力波が外側シース582に向かって径方向に進む力を低減させる。円筒形シールド588の構成は、径方向と比較して、長手方向の抵抗を低減することを可能にし、それによって先端部が前方/後方に平行移動する力を増大する。円筒形シールド588はまた、その直径がその遠位端と比較してその近位端でより大きく(又はより小さく)なるように構成され、それによって潜在的に、近位方向又は遠位方向に先細になり、レーザ誘起圧力波を先端部580の中心に向かって集中させる。シールド588はまた、カテーテルの遠位端に密封された空隙を形成するように作用し、それによってシールドの一部が、多孔質である外側シース582の一部と重なるので、外側シース582を通る液体媒体の漏れを防ぐ。図5A’を参照すると、シールドが省かれる場合には、無孔質の空隙を形成するために、外側シース582が、内側シース584の遠位端と先端部580の近位端との間に、中実又は無孔質のシース部分を備えることが望ましい。
[0363] 内側シースはまた、液体媒体に空隙の中を通過させるための1つ又は複数のルーメンを含む。1つ又は複数の光ファイバ586の遠位端(群)は、内側シース584の遠位端の近位にあるか、又は内側シース584の遠位端の遠位にある。やはり、1つ又は複数のエミッタが、1つ又は複数の光ファイバ586の遠位端に配置されている。エミッタ(群)は液体媒体と直接接触しており、その結果レーザ光エネルギーがエミッタ(群)から放射されると、液体媒体が放射された光を吸収し、それが次にレーザ誘起圧力波を生成し、圧力波及び/又は蒸気泡、並びに/或いは追加の圧力波を発生させる1つ又は複数のキャビテーション現象を発生させる。
[0364] 図5A及び図5A’に示すように、先端部580は円形構造を有し、それによって外側シース582の遠位端のための継ぎ輪を形成する。先端部580はまた、その遠位端に可撓性の膜585を備える。たとえば、膜585は、マイラで構成され、長手方向軸に対して垂直な向きで先端部580の遠位端に接着接合される。更にこの膜は、石灰化したキャップ、完全閉塞、又は病変の形状に対抗して形成し、且つそれに係合させるための伸展性がある。
[0365] 血管閉塞を有する対象者を治療するために、カテーテルの遠位端、特に先端部580は、膜を血管閉塞に隣接させた状態で、血管閉塞に隣接するよう配置される。液体媒体は、内部シース584内の1つ又は複数のルーメンから、1つ又は複数の液体媒体ポート、或いは外部シースと内部シース又はレーザカテーテルとの間を通って、空隙に送達される。レーザシステム130が活動化されると、1つ又は複数の光ファイバの端部にあるエミッタ(群)から光エネルギーが放出されるまで、光エネルギーは1つ又は複数の光ファイバを通って進む。液体媒体が光エネルギーを吸収すると、レーザ誘起圧力波が形成され、液体媒体は急速に外方へ、次いで内向きに移動し、それによってキャビテーション現象を発生させる。レーザ誘起圧力波によって生成されたエネルギーは、空隙によって設けられた閉鎖系の中に捕捉され、先端部580の可撓性膜585を通って血管閉塞に伝達される。レーザ誘起圧力波によって生成され、血管閉塞へ伝達されるエネルギーは、血管閉塞内のカルシウム沈着物、及び/又は線維化した組織を破壊するのに十分である。圧力波によって生成された力は、長手方向に前方へ(すなわち、血管に平行に)伝播することができる。このようにして生成されたレーザ誘起圧力波はまた、従来のバルーン血管形成術など、別の処置を実行する前に、血管の伸展性を高めるためにも使用することができる。
[0366] 図1から図5に関連して上記で論じたカテーテルの実施形態は、(複数の)光ファイバが単一のカテーテルの設計物の中に統合されるような、一体型カテーテルである。ただし本開示はまた、2部品構成のカテーテルシステム又はキットを包含する。図6及び図6Aを参照すると、カテーテルシステムは、レーザカテーテル650及び管状シース682を備え、管状シース682は、その中に、且つ/又はそれを通るルーメンを具備し、レーザカテーテル650を囲むように構成される。管状シース682が開放遠位端を有するか、それとも閉鎖遠位端を有するかに応じて、管状シース682は先端部680に連結される可能性がある。1つ又は複数の光ファイバ686を備える従来のレーザカテーテル650をルーメン内に挿入することができ、それによって臨床医は、シース682内でレーザカテーテル650を、シースの長手方向軸に沿って前方(遠位方向)及び後方(近位方向)に平行移動させることができる。本開示では、レーザカテーテル650は、1つ又は複数の液体媒体ポートから液体媒体を送達するための、1つ又は複数の他のルーメン690を備える。レーザシステム130が活動化されると、1つ又は複数の光ファイバの端部にあるエミッタ(群)から光エネルギーが放出されるまで、光エネルギーは1つ又は複数の光ファイバを通って進む。液体媒体が光エネルギーを吸収すると、レーザ誘起圧力波が形成され、液体媒体は急速に外方へ、次いで内向きに移動し、それによってキャビテーション現象を発生させる。(複数の)レーザ誘起圧力波、(複数の)蒸気泡、及び(複数の)キャビテーション現象によって生成されたエネルギーは、空隙によって設けられた閉鎖系の中に捕捉され、シース682の壁及び/又は先端部680を通って血管閉塞に伝達される。すなわち、液体媒体によって吸収されたレーザエネルギーの各パルスは、1つ又は複数の対応するレーザ誘起圧力波、蒸気泡及びキャビテーション現象を生成する。レーザ誘起圧力波によって生成され、血管閉塞へ伝達されるエネルギーは、血管閉塞内のカルシウム沈着物、及び/又は線維化した組織を破壊するのに十分である。シース682のルーメン内のエミッタ(群)の位置に応じて、レーザカテーテル650の遠位端、先端部680、及びシース682の間に、より小さい又はより大きい空隙が形成される。(複数の)レーザ誘起圧力波によって生成された力が、外側シースの長手方向軸に沿った軸上の複数の位置から径方向に伝播可能な空隙を形成するために、レーザカテーテル650の遠位端が、先端部680の近位側に配置されるか、又は外側シースの内側を平行移動することが望ましい。
[0367] シース682のルーメン内のエミッタ(群)の位置に応じて、レーザ誘起圧力波によって生成された力は、前方(すなわち、血管に対して平行に)、上方(すなわち、血管に対して垂直に)、及び後方(すなわち、近位方向に)を含む、径方向に伝播する。図6に示すように、レーザカテーテル650が先端部680の近位に配置されるとき、レーザ誘起圧力波はシース650から径方向に、且つ先端部から前方に(すなわち、血管に対して平行に)伝播する。図6Aに示すように、図6のレーザカテーテル650の位置と比較して、レーザカテーテル650がシース682内のルーメンの長手方向軸に沿って近位方向に平行移動するとき、レーザ誘起圧力波は、前方(すなわち、血管に対して平行に)、上方(すなわち、血管に対して垂直に)、及び/又は後方に(すなわち、近位方向に)、シース650から径方向に伝播する。したがって、シース682の先端部680が、血管閉塞内の石灰化した、且つ/又は線維化した組織を破壊した後に、シース682は閉塞を貫通して閉塞をわたり、レーザカテーテル650は、閉塞のさらなる部分を破壊するために、近位方向及び/又は遠位方向に摺動することができる。
[0368] 図6Bを参照すると、レーザカテーテル650’はまた、少なくとも1つの、場合によっては複数の支持部材(群)696、698を介してその遠位端に取り付けられた、偏向板692を備える。偏向板の目的は、液体媒体とエミッタとの間の相互作用によって生成された(複数の)レーザ誘起圧力波を、1つ又は複数の光ファイバ686’から、液体媒体内で特定の方向に向けることである。エミッタによって液体媒体中に放射されたレーザ光の各パルスによる、潜在的に新しい圧力波及び新しいキャビテーション現象がある。この図において、偏向板692は、レーザカテーテル650’の長手方向軸に沿って配置されているが、偏向板692の形状は、レーザカテーテル650’の長手方向軸に対して垂直に、径方向に向けられている。したがって、レーザ誘起圧力波が、液体媒体とエミッタから放射されたレーザ光エネルギーとの間の相互作用から生成されるとき、偏向板692は、レーザ誘起圧力波を、レーザカテーテル650’及び/又はシース682周囲の回り360度など、径方向に向ける。偏向板692は、非金属材料、又はステンレス鋼などの金属材料で構成される。偏光板692はまた、中実の、又は多孔質の構造を有する。偏光板692の構造にかかわらず、偏光板692は、シース682の側部にある血管閉塞に向かうなど、有利な方向である特定の方向に、レーザ誘起圧力波を向けるものとする。
[0369] 偏光板の様々な形状及び構造が考えられる。たとえば図7を参照すると、レーザカテーテル750は、レーザカテーテル750の1つ又は複数の光ファイバ786から遠位方向に配置された偏向板792を備え、レーザカテーテル750及び/又はシース782周囲の回り360度未満(たとえば、5度、10度、15度、30度、45度、60度、75度、90度、105度、120度、135度、150度、165度、180度など)の径方向にレーザ誘起圧力波を向けるように構成される。偏向板792は、たとえば、特定の方向を向いた開口を備える、中実の構造を有する。そして、偏光板内の開口の形状及び大きさは、レーザ誘起圧力波が進む方向を定める。図7に示すように、レーザカテーテル750は、レーザカテーテル750及び/又はシース782の長手方向軸に沿って、シース782内を軸方向に平行移動する。本開示はまた、レーザカテーテル750がシース782内でレーザカテーテル750及び/又はシース782の長手方向軸の周りを回転し、それによってレーザ誘起圧力波を長手方向に沿って方向づけるだけでなく、およそ径方向に回ることをもまた意図している。
[0370] レーザ誘起圧力波を発生させることによって生成され、血管閉塞及び/又は血管壁へ伝達されるエネルギーは、管腔内のカルシウム並びに血管組織内のカルシウム(たとえば、カルシウム沈着物)を破壊するのに十分である。レーザ誘起圧力波によって生成された力は、前方(すなわち、血管に対して平行に)、上方(すなわち、血管に対して垂直に)、及び後方(すなわち、近位方向に)を含む、径方向に伝播することができる。このようにして生成されたレーザ誘起圧力波はまた、従来のバルーン血管形成術、薬物溶出バルーン血管形成術、及び/又はステント留置など、別の処置を実行する前に、血管の伸展性を高めるためにも使用することができる。すなわち、レーザ誘起圧力波によって、血管の組織及び血管閉塞内の管腔内カルシウムを破壊することで、特に薬物溶出バルーンを用いてこうした薬物が適用されるときに、脈管構造が薬物を吸収する能力を向上させることができる。
[0371] 再び図6及び図6Aを参照すると、カテーテルシステムは、シース682内で先端部680の近位に配置されるレーザカテーテル650を備え、それによりレーザ誘起圧力波はシース650から径方向に、且つ先端部から前方に(すなわち、血管に対して平行に)伝播することが可能になる。レーザカテーテル650の遠位端、シース682、及び先端部680の間に空隙を形成するよう、レーザカテーテル650を確実に先端部680に最も近づけるために、レーザカテーテル650及び/又はシース682は、レーザカテーテル650を先端部680の近位で望ましい距離に維持するための停止部、並びに/或いは噛合して係合可能なバネ及び/又は凹部を備える。停止部、並びに/或いは噛合して係合可能なバネ及び/又は凹部はまた、臨床医がレーザカテーテル650をシース682から容易に外すことができるように構成されるものとし、それでレーザカテーテル650はシース682内を平行移動する。
[0372] 図8及び図8Aを参照すると、レーザカテーテルをシース内で摺動させることが望ましくない場合、レーザシステムは、キャップ870と係合可能且つキャップ870から取り外し可能なレーザカテーテル850を備える。キャップ870は、先端部880に取り付けられた比較的短いシース、及びオプションのシールド888を備える。図6及び図6Aの実施形態と同様に、図8及び図8Aの実施形態は、臨床医がレーザカテーテル850をキャップ870と容易に係合させ、且つ容易に取り外すことができるように構成される、噛合して係合可能なバネ及び/又は凹部を備える。
[0373] レーザカテーテル850は、ガイドワイヤを挿入する、且つ/又は液体媒体を注入するために使用される、オプションの内部ルーメンの周囲回りに又は隣接して配置される、光ファイバ854の1つ又は複数の層を備える。或いは、レーザカテーテル850は、独立した目的を果たすための、1つ又は複数のさらなるルーメンを備える。やはり、レーザカテーテルの近位端はレーザ発生器に結合されている。光ファイバ854の1つ又は複数の層は、可撓性の管状カテーテル内に収容され、レーザカテーテル850の遠位先端部856にある遠位側エミッタで終端される。液体媒体は、ルーメン852を通って、1つ又は複数の液体媒体ポート(図示せず)から空隙に導入されるまで進む。レーザ光エネルギーが近位側エミッタから放射されるとき、液体媒体が放射された光を吸収するように、エミッタは液体媒体と直接接触しており、それが更にレーザ誘起圧力波及び/又は追加の圧力波を生成するキャビテーション現象を発生させ、それにより、先端部880を動かすこと、及び/又は先端部880を通して血管閉塞に圧力を伝達することによって、レーザ誘起圧力波を機械的エネルギーに変換する。
[0374] 図9のフローチャートを参照すると、本開示は、本明細書に記載のカテーテル組立体及びカテーテルシステムの実施形態を使用して、血管閉塞を有する対象者を治療するための方法900を有する。図9に示していないが、図9に示す方法を実行する前に、対象者の血管内の血管閉塞の少なくとも一部を治療することが望ましい。このような治療は、たとえば、血管閉塞の少なくとも一部を機械的に切断及び/又は切除すること(レーザ光エネルギー、マイクロ波エネルギー、高周波エネルギーなどの適用により)を含む。図9の方法900は、ブロック910で、本明細書に記載のカテーテル組立体又はカテーテルシステムの一実施形態を、対象者の脈管構造内に配置することによって始まる。ブロック920で、カテーテル組立体又はカテーテルシステムの遠位先端部は、脈管構造内の閉塞に隣接して配置される(たとえば、遠位先端部を、脈管構造を通して前進させることによって)。ブロック930で、本明細書に記載の液体媒体のいずれかなどの液体媒体が、カテーテル組立体又はカテーテルシステムの遠位先端部にある、且つ/又は遠位先端部の近位にある空隙に導入される(たとえば、外側シースとそのシース内に運ばれたレーザカテーテルとの間の空間を通して導入される)。ブロック940で、レーザ光エネルギーは、光エネルギーのパルスを液体媒体に伝達するために、空隙内に配置された1つ又は複数のエミッタ(たとえば、光ファイバ)に送達される。本明細書に記載されているように、液体媒体中に伝達される光エネルギーのパルスは、レーザ誘起圧力波及び/又はキャビテーション現象並びに結果として生じる追加の圧力波を生じさせ、血管閉塞を破壊する。すなわち、液体媒体によって吸収されたレーザエネルギーの各パルスは、1つ又は複数のレーザ誘起圧力波、キャビテーション現象及び結果として生じる圧力波を生成する。ブロック950で、カテーテル(及びエミッタ)は、レーザ光エネルギーが1つ又は複数のエミッタ及び液体媒体に送達されるときに、シースに対して平行移動される。カテーテル(及びエミッタ)又はカテーテル組立体全体を、脈管構造内に再配置することができる。方法900はまた、所望の治療結果が得られたときに処置を終了する、又は血管閉塞を有する対象者を治療するために必要であれば、ブロック910から960のいずれかを繰り返すステップを有する。更に、図9には示していないが、方法900を実施後、血管閉塞の残部に薬物を送達するために、薬物溶出(被覆された)バルーン(DEB又はDCB)カテーテルを使用することが望ましい。DEBを使用する前にレーザ誘起圧力波を使って血管閉塞を破壊すると、レーザ誘起圧力波が管腔内カルシウム並びに血管の組織内のカルシウム(たとえば、カルシウム沈着物、内膜カルシウム、及び/又は中膜カルシウム)或いは血管閉塞を破壊し、それにより、脈管構造の管腔内及び組織部分、及び/又は血管閉塞に、薬物が入るための経路が作り出されるので、血管閉塞に適用される薬物の有効性が高まる。
[0375] 図10を参照すると、レーザカテーテル1010、及びカテーテル1010のルーメンを通って延在するガイドワイヤ1020を示す。レーザカテーテル1010は、それを通って延在するルーメンを囲む複数の光ファイバ1016の1つ又は複数の層を備え、シース1012は光ファイバ1016の(複数の)層を囲む。レーザカテーテル1010の遠位端は、遠位端の強度を向上させ、且つX線造影マーカを提供する、金属バンド1014を備える。レーザカテーテル1010又はレーザシースの例は、The Spectranetics Corporationによって、ELCA(商標)及びTurbo Elite(商標)(その各々が、閉塞した動脈を再開通させる、病変形態を変化させる、及びステント留置を容易にするなど、冠状動脈インターベンション又はカテーテル治療に使用される)、並びにSLSII(商標)及びGlideLight(商標)(外科的に埋め込まれたリードの除去に使用される)の商標の下で販売されている。やはり図10に示すように、レーザカテーテルの作業(遠位)端は、通常は、エネルギーを放射して対象となる組織を切除する、複数のレーザエミッタを備える。レーザカテーテルの反対側(近位)の端部は、図示していないが、通常は、レーザシステム又はレーザ発生器に接続される光ファイバカプラを有する。このようなレーザシステムの一例は、やはりThe Spectranetics Corporationによって販売されている、CVX−300エキシマレーザシステムである。
[0376] やはり本開示では、2部品構成のカテーテルシステム又はキットが考えられる。図11Aを参照すると、システム1110は、シース1140内に径方向に配置されるレーザカテーテル1010を備える。システムは、オプションとして、レーザカテーテル1010のルーメン内に配置されるガイドワイヤ1130を備える。上述のように、液体媒体は、レーザカテーテル1010の遠位側、特にレーザカテーテル1010の光ファイバ/エミッタの遠位側の、シース1120内に導入され、その結果、レーザが活動化されると、液体が光を吸収してレーザ誘起圧力波、並びに/又はキャビテーション現象及び結果として生じる追加の圧力波を発生させる。この図には液体は示していないが、液体は、レーザカテーテル1010内のルーメン、シース1120内のルーメン、及び/或いはレーザカテーテル1010とシース1120との間のルーメン又は空間を通して、導入される。これらの位置のどれが使用されるかにかかわらず、カテーテルシステムの近位端に、又はその近位端に向かって配置される1つ又は複数の液体媒体ポートもまた、使用されるであろう。
[0377] 図12を参照すると、血管閉塞の一部を切除するために、レーザカテーテル1010を使用して、血管閉塞を取り除く、及び/又はレーザカテーテル1010をシース1120と共に使用して、液体媒体がある中でレーザ誘起圧力波を生成し、血管閉塞の一部を破壊する方法1200の、代表的な流れ図を示す。方法1200は、対象者の脈管構造1140内でガイドワイヤ1130を位置決めするステップ1205、脈管構造内でガイドワイヤ1130を覆うレーザカテーテル1010を位置決めするステップ1210、脈管構造内でレーザカテーテル1010を覆うシース1120を位置決めするステップ1215、及び対象者の脈管構造1140内で血管閉塞1150に隣接するシース1120及びレーザカテーテル1010(並びにオプションでガイドワイヤ1130)を位置決めするステップ1220を有する。再度図11Aを参照すると、血管閉塞1150に隣接するシース1120及びレーザカテーテル1010を位置決めすることにより、液体媒体をレーザカテーテル1010の遠位方向、特にレーザカテーテル1010のエミッタ/光ファイバの遠位方向に集めるための空隙が形成される。
[0378] 図11Aは、シース1120の遠位端の近位側にある、レーザカテーテル1010の遠位端を示す。ただし、レーザカテーテル1010のエミッタ/光ファイバと血管閉塞1150との間に液体媒体がある限り、レーザカテーテル1010の遠位端はシース1120の遠位端に、又はその遠位端の遠位方向に配置されることが考えられる。レーザカテーテル1010及びシース1120の軸方向位置は、一方又は両方の構成部品を、互いに対して平行移動させることによって調整される。X線透視法の下でレーザカテーテル1010及びシース1120のそれぞれの位置を可視化するために、レーザカテーテル1010及びシース1120は、それらの長さに沿った任意の対応する位置にX線造影マーカを備える。
[0379] 続けて図11Aを参照すると、シース1120及びレーザカテーテル1010が血管閉塞1150に隣接して配置されると、図12のステップ1225に示すように、液体媒体がレーザカテーテルの遠位端に導入される。続けて図12を参照すると、ステップ1230は、液体媒体がある中でレーザ誘起圧力波を発生させるためにレーザを活動化させ、血管閉塞の一部、特に血管閉塞の石灰化したキャップを破壊するステップを有する。レーザカテーテル1010及びシース1120は、図12のステップ1240(及び、オプションで図12のステップ1235)に示すように、閉塞1150全体を通過するために、又は血管閉塞1150の一部を破壊するだけのために、使用される。レーザカテーテル1010及びシース1120が、血管閉塞1150の一部を破壊するために使用されるにすぎない場合、ガイドワイヤ1130が閉塞1150を貫通し、通過する。たとえば図11Bは、血管閉塞1150を貫通し、通過するガイドワイヤ1130を示している。
[0380] 図11Cを参照して、レーザカテーテル1010及びシース1120が、血管閉塞1150’の一部を破壊するために使用されるにすぎないとすると、レーザカテーテル1120は、シース1120なしに血管閉塞1150を通過するために使用される。図12のステップ1245を参照すると、シース1120が血管閉塞の近位に留まりながらも、レーザカテーテル1010がガイドワイヤ1130を覆い血管閉塞1150’を貫いて通過するとき、液体媒体の注入は中断され、レーザカテーテル1010は血管閉塞を切除するために使用される。
[0381] 血管閉塞全体がレーザカテーテル1010によって通過されると、レーザカテーテル1010によって形成された開口は、シース1120が遠位方向に、且つ血管閉塞を貫いて平行移動するのに十分な広さでなければならない。この時点で、シース1120の遠位端とレーザカテーテル1010の遠位端の両方が、血管閉塞の遠位方向にあるはずである。この時点で、図11Dを参照すると、レーザカテーテル1010は、シース1120が血管閉塞内で静止して残ったままで、近位方向に平行移動することができる。液体媒体をレーザカテーテル1010の前のシース1120に導入するとき、レーザが活動化され、それによって液体媒体がある中で圧力波を生成する。レーザ誘起圧力波の少なくとも一部は、径方向に向けられ、レーザカテーテル1010がシース1120内で近位方向に平行移動するにつれて、レーザ誘起圧力波がシース1120を通過して伝達され、且つ/又はシース1120自体が径方向に伸縮し、それによって、血管閉塞1150’’’の残りを破壊する。シース1120及び/又は減衰部材は、シース1120が径方向に拡張及び/又は収縮するのを防止するような形で構成されることが望ましい場合がある。
[0382] 血管閉塞1150’’’の残りの大部分を確実に破壊するため、また所望であれば、管腔内のカルシウム、及び/又は血管の組織層(たとえば、中膜層)内のカルシウム、並びに(複数の)血管閉塞を破壊するために、レーザカテーテル1010がシース1120内で、遠位方向及び近位方向に繰り返し平行移動される。上記で論じたように、血管の管腔内の層及び/又は組織層(たとえば、中膜層)、並びに(複数の)血管閉塞を破壊することで、特に薬物溶出バルーンを用いてこうした薬物が適用されるときに、脈管構造が薬物を吸収する能力を向上させることができる。また、図12で概説したプロセスにおける任意のステップの前、途中、及び/又は後に、レーザカテーテル1010は、血管閉塞の一部を切除するために個別に使用される、又はレーザカテーテル1010はシース1120と共に使用されることを意図している。
[0383] 図11Aから図11Dは、開放遠位端又は開放先端部1124を備えるシース1120を有するようなカテーテルシステムを示す。図13を参照すると、シース1120’は完全に又は部分的に閉じた先端部1124を有する。たとえば、ガイドワイヤ1130に、レーザカテーテル1010及びシース1120’を通過させることが望ましい場合、先端部1124は部分的にのみ閉じられるが、ガイドワイヤを利用する必要がない場合、先端部1124は完全に閉じられる。
[0384] 図11Aから図11Dと同様に、レーザカテーテル1010は、シース1120’内で遠位方向に、及び/又は近位方向に、平行移動する。レーザカテーテル1010の遠位端とシース1120’の先端部の近位端との間に空隙が確実に残るようにするために、シース1120’は、1つ又は複数の内部停止部1160を備える。先端部1124の形状は、図2から図6に関して示し、説明した先端部180と同様に構成され、その結果レーザカテーテル1010先端部1124を備えるカテーテルシステム1110’は、レーザ誘起圧力波によって生成されたエネルギーが空隙内に補足され、レーザ誘起圧力波によって生成された力が前方(すなわち、血管と平行)を含む長手方向に伝播し、これにより先端部が血管閉塞を破壊し、打ち砕き、且つ/又は貫通する能力が高まるよう構成される。
[0385] 図14A及び図14Bを参照すると、レーザカテーテルシステム1410は、一般に、レーザカテーテル1412、ガイドワイヤ1414、シース1416、及びレーザカテーテル1412をシース1416に平行移動可能に連結するハンドル1418を備える。レーザカテーテル1412、ガイドワイヤ1414、及びシース1416は、たとえば、本明細書に記載の2部品構成のカテーテルシステム又はキットの構成部品と同様である。具体例として、レーザカテーテル1412、ガイドワイヤ1414、及びシース1416は、図11Aから図11Dに関連して上記で述べた構成部品と同様である。レーザカテーテル1412は、シース1416のルーメン及びハンドル1418内に配置され、レーザカテーテル1412は、ハンドル1418に結合するための近位連結部1420を備える。ガイドワイヤ1414は、レーザカテーテル1412のルーメン内に配置されている。シース1416は、ハンドル1418に連結するための近位連結部1422を備える。
[0386] 液体媒体は、レーザカテーテル1412の遠位側、特にレーザカテーテル1412の光ファイバ/エミッタの遠位側のシース1416内に導入され、その結果、レーザが活動化されると、液体が光を吸収してレーザ誘起圧力波、並びに/又はキャビテーション現象及び結果として生じる圧力波を発生させる。液体は、ルーメン、又はレーザカテーテル1412とシース1416との間の空間を通して導入され、更にシース1416に連結される近位ポート1424から液体を受容する。
[0387] 図14A、図14B、図15Aから図15Gを参照すると、ハンドル1418は、一般に、シース1416に連結された基部1426、及びレーザカテーテル1412に連結された駆動機構1428を備える。以下で更に詳細に説明するように、駆動機構1428の一部は、シース1416のルーメン内で(たとえば、図11Aから図11Dに示す様々な位置に)、レーザカテーテル1412の平行移動を容易にするために、基部1426に平行移動可能に連結される。駆動機構1428は、基部1426に対する近位位置に平行移動されてもよく(図15Aから図15C参照)、基部1426に対する遠位位置に平行移動されてもよく(図15E及び図15F参照)、並びにそれらの間の無限数の中間位置に平行移動されてもよい(図15D及び図15G参照)。その結果、レーザカテーテル1412は、シース1416に対して対応する位置に平行移動される。
[0388] ここで図14Aから図17を参照すると、基部1426は、駆動機構1428に移動可能に連結する細長い中空のフレーム1430を備える。フレーム1430は、近位部分1432、中間部分1434、及び遠位部分1436を有する。近位部分1432は、その中に駆動機構1428のシャフト1440を平行移動可能に受容するための近位通路1438を画定する。具体的には図16B、図16C及び図17を参照すると、近位通路1438は、シャフト1440の第2の重要な機構と連結することによって、フレーム1430に対するシャフト1440の回転を防止する第1の重要な機構を有する。たとえば、シャフト1440の第2の重要な機構は、非円形の断面領域であり、近位通路1438の第1の重要な機構は、シャフト1440の断面領域、又はシャフト1440の断面領域の一部とほぼ同一である断面領域と、ほぼ同一の断面領域である(すなわち、相対的な長手方向の平行移動を可能にするのに十分なクリアランスを許容するが、相対的な回転及び横方向の平行移動を防止する)。より具体的な例として、図16B、図16C、及び図17に示すようにシャフト1440は、2つの対向する平坦な側面1442及び2つの対向する弓形の側面1444を有する、長方形のような断面形状を有する。近位通路1438は、シャフト1440の断面領域の一部とほぼ同一の断面領域を有する。具体的には、近位通路1438は、4つの対向する平坦な側面1446及び2つの対向する弓形の側面1448によって画定される。平坦な側面1446及び弓形の側面1448は、シャフト1440の平坦な側面1442及び弓形の側面1444とそれぞれ係合して、フレーム1430に対するシャフト1440の相対的な長手方向の平行移動を可能にするが、相対的な回転及び横方向の平行移動を防止する。この例では、近位通路1438はまた、平坦な側面1446の間に延在する2つの追加の対向する弓形の側面1449によって画定される。弓形側面1449は、シャフト1440とフレーム1430との間の摺動摩擦を低減するために、シャフト1440から離れて配置されている。
[0389] 具体的には図16A、図16D、及び図16Eを参照して、フレーム1430の中間部分1434は、第1の軸受部分1450、第2の軸受部分1452、及びそれらの間に延在して近位通路1438と整列する開口1454を備える。第1及び第2の軸受部分1450、1452のそれぞれは、第1及び第2の軸受面1456、1458を有する。第1及び第2の軸受面1456、1458は、駆動機構1428の制御要素1460を回転可能に支持する。第1及び第2の軸受部分1450、1452のそれぞれはまた、軸受面1456と軸受面1458との間にクリアランス面1462を有する。クリアランス面1462はまた、軸受面1456、1458に対して径方向に、内側に配置されている。以下で更に詳細に説明するように、クリアランス面1462は、開口1454と共に、制御要素1460をシャフト1440と、容易に駆動係合させる。開口1454内で、第1及び第2の軸受部分1450、1452のそれぞれは、ガイド面1464を有する。複数のガイド面1464は、シャフト1440に平行移動可能に連結し、シャフト1440がフレーム1430内で回転するのを防止する。
[0390] 図15Hから図15Jを手短に参照すると、基部1426の組み立てを容易にするために、各クリアランス面1462は、第1の軸受面1456、1458と一体に連結される。シャフト1440を、第1の軸受面1456、1458及びクリアランス面1462を覆うフレーム1430及び制御要素1460内に配置した後、各クリアランス面1462を、たとえば圧入、1つ又は複数の接着剤、スナップコネクタ(図示せず)などによって、第2の軸受面1456、1458に連結する。
[0391] 図16A、図16F、及び図16Gを参照すると、フレーム1430の遠位部分1436は、フレーム1430の近位部分1432と類似している。すなわち、遠位部分1436は、シャフト1440を平行移動可能に受容するために開口1454に整列された遠位通路1466を画定する。具体的には図16F、図16G及び図17を参照すると、近位通路1438と同様の手法で、遠位通路1466は、シャフト1440の第2の重要な機構と連結することによって、フレーム1430に対するシャフト1440の回転を防止する、第1の重要な機構を含む。たとえば、シャフト1440の第2の重要な機構は、非円形の断面領域であり、遠位通路1466の第1の重要な機構は、シャフト1440の断面領域、又はシャフト1440の断面領域の一部とほぼ同一である断面領域と、ほぼ同一の断面領域である。上記で説明し、図16F、図16G、及び図17で示した具体例に従って、遠位通路1466は、シャフト1440の断面領域の一部とほぼ同一の断面領域を有する。具体的には、遠位通路1466は、4つの対向する平坦な側面1468及び2つの対向する弓形の側面1470によって画定される。平坦な側面1468及び弓形の側面1470は、シャフト1440の平坦な側面1442及び弓形の側面1444とそれぞれ係合して、フレーム1430に対するシャフト1440の相対的な長手方向の平行移動を可能にするが、相対的な回転及び横方向の平行移動を防止する。この例では、遠位通路1466はまた、平坦な側面1468の間に延在する2つの追加の対向する弓形の側面1472によって画定される。弓形側面1472は、シャフト1440とフレーム1430との間の摺動摩擦を低減するために、シャフト1440から離れて配置されている。
[0392] 再度図14Aから図16Gを参照すると、その近位端において、フレーム1430は、近位カバー1476に連結する(たとえば、圧入、1つ又は複数の接着剤などによって)。近位カバー1476は、レーザカテーテル1412がフレーム1430の中に延在することを可能にする、近位開口1478(図15F及び図15G参照)を有する。その遠位端において、フレーム1430は、遠位カバー1480に連結する(たとえば、圧入、1つ又は複数の接着剤などによって)。遠位カバー1480は、レーザカテーテル1412がフレーム1430の外、且つシース1416の中に延在することを可能にする、遠位開口1482(図15F及び図15G参照)を有する。遠位開口1482は、シャフト1440の中に延在してレーザカテーテル1412を受容する管1484(たとえば皮下管1484)を、圧入式に受容する。遠位開口1482はまた、シース1416の近位連結部1422に取り外し可能且つ密封して連結する遠位連結部1486を、圧入式に受容する。
[0393] ここで図14A、及び図15Aから図15Jを参照すると、駆動機構1428は、一般に、シャフト1440及び制御要素1460を備える。具体的には図15Fから図15Jを参照すると、シャフト1440は、レーザカテーテル1412がシャフト1440を通って延在することを可能にし、且つ管1484を受容するためのシャフト1440の通路1488を有する。シャフト1440の通路1488は、レーザカテーテル1412の近位連結部1420に取り外し可能に、且つ密封して連結する近位連結部1490を、圧入式に受容する。したがって、基部1426に対する制御要素1460の動きが、シャフト1440を基部1426内で平行移動させ、それによってレーザカテーテル1412をシース1416のルーメン内で平行移動させる。
[0394] シャフト1440の通路1488はまた、シール1492、たとえば管1484の外面と平行移動可能に係合するOリングを受容する。したがって、シール1492は、シャフト1440の通路1488内で(遠位連結部1486及び皮下管1484を介してシース1416から受容される)液体が、シャフト1440と管1484との間を流れることによって、シャフト1440から流出するのを防止する。
[0395] 上記で手短に説明したように、制御要素1460は、フレーム1430によって回転可能に支持される。制御要素1460は、基部1426に対する制御要素1460の回転が、基部1426に対するシャフト1440の平行移動(及びシース1416のルーメン内の、レーザカテーテル1412の平行移動)をもたらすように、シャフト1440の第2の係合機構に連結する第1の係合機構を備える。たとえば図に示すように、第1の係合機構は、制御要素1460内の第1のねじ山がついた面1494であり、第2の係合機構は、シャフト1440の弓形の側面1444上に形成される第2のねじ山がついた面1496である。言い換えれば、シャフト1440は、フレーム1430の開口1454から延在し、制御要素1460の第1のねじ山がついた面1494と係合する、第2の分断されたねじ山がついた面を有する。いずれにせよ、フレーム1430内で回転可能に固定されたシャフト1440と共に、制御要素1460及び第1のねじ山がついた面1494が回転すると、フレーム1430に対して、第2のねじ山がついた面1496及びシャフト1440が平行移動する(及び、シース1416のルーメン内の、レーザカテーテル1412が平行移動する)。
[0396] レーザ誘起圧力波は、一般に、超音波と比較して、相異なる特性を有している。超音波は通常、制限された帯域幅をもつ、周期的な振動からなる。レーザ誘起圧力波は、単一の、主に正の圧力パルスであり、その後に比較的小さな張力波成分が続く。超音波は、数メガヘルツの周波数範囲で、高周波数の交番荷重を組織に印加し、それによって高振幅での加熱、組織の断裂、及びキャビテーションを引き起こす可能性がある。しかしながら比較すると、上述のように、レーザ誘起圧力波の効果として、径方向に向けられたエネルギーが多く含まれ、深部組織並びに隣接組織の治療が高い感度で可能になる。
[0397] 対象者の血管閉塞を治療するための、レーザ誘起圧力波を発生させる本開示のカテーテルの能力は、光システムと液体媒体との好適な結合を含むものである。放射されている光が、光を吸収してレーザ誘起圧力を生成することができる液体媒体と結合される限り、レーザ光、可視光、紫外光及び赤外光を含むがこれらに限定されない任意の波長の光を使用することができる。更に、液体が光を吸収してレーザ誘起圧力波及び/又は蒸気泡を発生させるように、液体媒体が好適な波長で光を放射する光源と結合される限り、任意の液体媒体を使用することができる。場合によっては、液体媒体は、造影剤(たとえば、ヨウ素含有造影剤又はガドリニウム造影剤)であってもよく、及び/又は液体媒体は、造影染料(類)又は粒子(群)が様々な濃度で混合された、生体適合性流体(たとえば、生理食塩水)を含む造影剤溶液であってもよい。
[0398] レーザ誘起圧力波によって生成される力の大きさは、液体媒体による光エネルギーの吸収度、並びに光源によって蓄積された全エネルギーに、部分的に依存する。一般に、液体媒体160による光エネルギーの吸収が大きいほど、レーザ誘起圧力波によって生成される力が大きくなる。また、液体媒体160に送達される光エネルギーの量が多いほど、レーザ誘起圧力波によって生成される力が大きくなる。たとえば、エキシマレーザは通常、約308ナノメートルの波長で、約120ナノ秒から約140ナノ秒の間のパルス幅で、毎秒約25パルスから毎秒約80パルスの間の周波数で、約1ミリジュールから約100ミリジュールの間の総エネルギー出力をもつレーザ光を放射する。ただし場合によっては、レーザ光システムの総エネルギー出力は、0より大きく約300mJ以下の範囲にあってもよい。ヨウ素含有造影剤又はガドリニウム造影剤などの造影剤内で放射されると、造影剤が非常に高度に吸収することになり、したがって、対象者の血管閉塞を治療するのに十分な力をもつレーザ誘起圧力波が生成される。
[0399] 光エネルギーは、レーザ誘起圧力波を生成することが可能な、任意の好適な波長で放射されてもよい。光エネルギーは、約1ナノメートルから約1ミリメートルの間で、放射されてもよい。場合によっては、光は、約10ナノメートルから約5000ナノメートルで、放射されてもよい。場合によっては、光は、約100ナノメートルから約1000ナノメートルで、放射されてもよい。場合によっては、光は、約250ナノメートルから約750ナノメートルで、放射されてもよい。場合によっては、光は、約300ナノメートルから約600ナノメートルで、放射されてもよい。更に場合によっては、光は、約300ナノメートルから約350ナノメートルで、放射されてもよい。
[0400] 光エネルギーは、レーザ誘起圧力波を生成することが可能な、任意の好適なパルス幅で放射されてもよい。場合によっては、光は、約1フェムト秒から約1秒の間のパルス幅で、放射されてもよい。場合によっては、光は、約10ナノ秒から約500ナノ秒の間のパルス幅で、放射されてもよい。場合によっては、光は、約100ナノ秒から約150ナノ秒の間のパルス幅で、放射されてもよい。更に場合によっては、光は、約120ナノ秒から約140ナノ秒の間のパルス幅で、放射されてもよい。
[0401] 光エネルギーは、キャビテーション現象を発生させ、その結果として周囲の脈管構造を通って伝播する圧力波を生成することが可能な、任意の好適なパルス繰返し周波数(PRF)又は1秒当りのパルス数で、放射されてもよい。場合によっては、光は、毎秒約1パルスから毎秒約5000パルスの間の周波数で、パルス化されてもよい。場合によっては、光は、毎秒約10パルスから毎秒約2500パルスの間の周波数で、パルス化されてもよい。場合によっては、光は、毎秒約10パルスから毎秒約1500パルスの間の周波数で、パルス化されてもよい。場合によっては、光は、毎秒約100パルスから毎秒約1000パルスの間の周波数で、パルス化されてもよい。他の場合では、光は、毎秒約50パルスから毎秒約150パルスの間の周波数で、パルス化されてもよい。他の場合では、光は、毎秒約50パルスから毎秒約500パルスの間の周波数で、パルス化されてもよい。他の場合では、光は、毎秒約50パルスから毎秒約100パルスの間の周波数で、パルス化されてもよい。更に他の場合では、光は、毎秒約25パルスから毎秒約80パルスの間の周波数で、パルス化されてもよい。
[0402] 特定の治療期間中に与えられるパルスの総数は、本開示に基づいて当業者には容易に理解されるはずであるが、患者の特性、治療される状態の種類、及び血管閉塞の固有の特性を含む様々な要因に依存する。場合によっては、治療期間中に与えられるパルスの総数は、ただ1つのパルスから、10秒の治療期間、15秒の治療期間、20秒の治療期間、25秒の治療期間、30秒の治療期間、1分以下の治療期間に生成される任意のパルス数までの範囲であってもよい。治療期間は、最初の治療後に残る血管閉塞の程度に応じて、繰り返されてもよい。
[0403] たとえば、発生器及び/又は1つ若しくは複数のエミッタは、約150ナノメートルから約400ナノメートルの間の波長で、約1フェムト秒から約1秒の間のパルス幅で、及び毎秒約1パルスから毎秒約5000パルスの間の周波数で、レーザ光エネルギーを放射するように構成される。場合によっては、発生器及び/又はエミッタ(群)は、約400ナノメートルから約800ナノメートルの間の波長で、約1フェムト秒から約1秒の間のパルス幅で、及び毎秒約1パルスから毎秒約5000パルスの間の周波数で、レーザ光エネルギーを放射するように構成される。他の場合では、発生器及び/又はエミッタ(群)は、約800ナノメートルから約3,000ナノメートルの間の波長で、約1フェムト秒から約1秒の間のパルス幅で、及び毎秒約1パルスから毎秒約5000パルスの間の周波数で、レーザ光エネルギーを放射するように構成される。他の場合では、発生器及び/又はエミッタ(群)は、約3,000ナノメートルから約12,000ナノメートルの間の波長で、約1フェムト秒から約1秒の間のパルス幅で、及び毎秒約1パルスから毎秒約5000パルスの間の周波数で、レーザ光エネルギーを放射するように構成される。他の場合では、発生器及び/又はエミッタ(群)は、約300ナノメートルから約360ナノメートルの間の波長で、約1フェムト秒から約1秒の間のパルス幅で、及び毎秒約1パルスから毎秒約5000パルスの間の周波数で、レーザ光エネルギーを放射するように構成される。
[0404] 本開示に基づいて当業者には容易に理解されるはずであるが、レーザ誘起圧力波によって生成される力の程度は、相異なる波長及び相異なるパルス幅でレーザ光エネルギーを生成するレーザを使用することによって変調されてもよい。たとえば、治療薬を血管組織に送達するのに必要な程度の力と比較して、血管閉塞を破断するのに必要な力の程度が異なる。ある実施形態では、ホルミウムレーザと呼ばれるホルミウム源を有するレーザは、約2,100ナノメートル(nm)の波長のレーザ光エネルギーを放射することができ、対象者の血管閉塞を治療するために、水又は生理食塩水ベースの媒体を含む様々な光吸収材料と結合することができる。
[0405] 血管閉塞を治療するためのレーザ誘起圧力波を生成するために、他のいくつかの追加のレーザ光エネルギー源を、対応する光吸収材料と組み合わせることができる。たとえば、YAG結晶レーザは、水溶液中で吸収性が高い、赤外光の波長を生成することができる。水溶液は、レーザ誘起圧力波を発生させるための光吸収材料又は光吸収媒体として使用することができる。水溶液には、生理食塩水、デキストロース、X線不透過性の造影剤、乳酸加リンガー液、及び電解質溶液が含まれるが、それに限定されるものではない。場合によっては、YAG波長を2倍にして、波長が532nmの可視スペクトル光を生成することができる。この波長の光を吸収することができる材料又は媒体には、金ナノ球体、亜硝酸塩溶液、過マンガン酸カリウム溶液、銅塩、アルミニウム溶液、アルミノン、アンモニア塩、並びにヘモトキシリン及びヨウ化プロピジウムなどの染料が含まれるが、これらに限定されるものではない。これらのような光吸収材料は、上記のような水溶液など溶液の一部であってもよく、且つ/又はそれらはデバイス内の様々な表面上の被覆物として適用されてもよい。
[0406] ある実施形態では、ホルミウムYAGレーザは、約2,120nmの波長のレーザ光エネルギーを放射することができ、対象者の血管閉塞を治療するために、水又は生理食塩水ベースの媒体を含む様々な光吸収材料と結合することができる。ある実施形態では、ツリウムYAGレーザなどのツリウムレーザは、約2,013nmの波長のレーザ光エネルギーを放射することができ、対象者の血管閉塞を治療するために、水又は生理食塩水ベースの媒体を含む様々な光吸収材料と結合することができる。ある実施形態では、ツリウムファイバレーザなどのツリウムレーザは、約1,908nmの波長のレーザ光エネルギーを放射することができ、対象者の血管閉塞を治療するために、水又は生理食塩水ベースの媒体を含む様々な光吸収材料と結合することができる。ある実施形態では、Nd−YAGレーザは、約1,064nmの波長のレーザ光エネルギーを放射することができ、対象者の血管閉塞を治療するために、様々な光吸収材料と結合することができる。ある実施形態では、2倍化YAGレーザは、約532nmの波長のレーザ光エネルギーを放射することができ、対象者の血管閉塞を治療するために、様々な光吸収材料と結合することができる。ある実施形態では、代替帯域YAGレーザは、約1,319nmの波長のレーザ光エネルギーを放射することができ、対象者の血管閉塞を治療するために、様々な光吸収材料と結合することができる。更に他の実施形態では、Er−YAGレーザは、約2,940nmの波長のレーザ光エネルギーを放射することができ、対象者の血管閉塞を治療するために、様々な光吸収材料と結合することができる。
[0407] 二酸化炭素(CO2)レーザは、水溶液中で吸収性が高い、赤外光を放射することができる。CO2レーザは、一般的な外科用レーザであり、その高い含水量のために、組織内で吸収性が高い。10.6ミクロンの波長で放射される光など、赤外光を放射するCO2レーザと結合してレーザ誘起圧力波を発生させることができる光吸収材料は、生理食塩水、デキストロース、X線不透過性の造影剤、乳酸加リンガー液、及び電解液などの水溶液を含むが、それに限定されるものではない。
[0408] 窒素レーザを使用して、低周波、高エネルギーのレーザパルスを生成することができる。窒素レーザは、約337nmの波長のレーザ光エネルギーを放射可能なUVスペクトルの光を放射することができ、圧力波を生成するために、X線不透過性の造影剤、並びにアルミニウム、銀、金、銅、ニッケル、セリウム、亜鉛、チタンなどの金属及び酸化物、並びにヒドロキシクマリン及びアミノクマリンなどの染料を含むがこれらに限定されない、様々な光吸収材料と結合することができる。
[0409] 血管閉塞を治療するためのレーザ誘起圧力波を生成するために使用することができる他の医学的に有用なレーザには、約800nmの波長のレーザ光エネルギーを放射することができるTi−サファイアレーザ、約694nmの波長のレーザ光エネルギーを放射することができるルビーレーザ、約755nmのレーザ光エネルギーを放射することができるアレキサンドライトレーザが含まれる。これらの医療用レーザは、近赤外光スペクトルのレーザ光エネルギーを放射し、圧力波生成のために使用することができる。これらのレーザと結合することができる光吸収材料又は光吸収媒体は、溶液、懸濁液、又は他の材料上若しくはデバイス内の表面上の被覆物に使用することができる染料及び着色剤を含むが、これらに限定されるものではない。これらの波長のレーザ光エネルギーを吸収することができる様々な材料には、水性銅、銅塩、及び硫酸銅、並びに蛍光顕微鏡で使用されるフルオロフォアなどの材料(たとえば、メチレンブルー)が含まれる。
[0410] 色素レーザはまた、血管閉塞を治療するためのレーザ誘起圧力波を生成するために使用することができる。場合によっては、色素レーザは、可視スペクトルの特定の波長の光を出力するように調整することができ、特定の波長の光吸収性が高い材料を使用する代わりに、又は追加で、ある光吸収材料に対するレーザの最適化を可能にすることができる。このように、光吸収材料は、染料、着色剤、及び可視光発色団のみならず、前述の材料のいずれであってもよい。
[0411] 特定の用途では、レーザ光エネルギーを、対応する光吸収液体媒体中に放射することによって生成されるレーザ誘起圧力波と一緒に生成される、蒸気泡の量及び/又はサイズを増加させることが望ましい。たとえば、より小さい直径サイズの血管に入るとき、カテーテルのサイズは制限される。場合によっては、レーザ光エネルギーが液体媒体に放射され、圧力波が生成された後に、気泡が膨張及び収縮するので、蒸気泡が組織(たとえば、血管閉塞)上に及ぼす力は、生成された個々の蒸気泡のサイズに比例する。すなわち、初期のレーザ誘起圧力波の強度及び/又は蒸気泡のサイズ及び/又はキャビテーション現象は、非ガス飽和液体媒体の使用によって制限される。個々の蒸気泡のサイズを大きくすることができる(たとえば、特定の組織上により大きな量の力を加えるために)1つの手法は、液体媒体内の気体が、こうした気体を含まない液体媒体のそれと比較してより高い蒸気圧を示すように、液体媒体を気体物質で飽和させることである。 気体飽和液体媒体を作り出すために使用される好適な気体物質は、周囲空気、二酸化炭素、ヨウ素ガス、酸素、窒素、圧縮空気、亜酸化窒素、及びこれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。
[0412] 液体媒体に添加される気体物質のより高い蒸気圧により、気体物質は、液体媒体よりも速く(より小さな圧力変動の下で)気体状態に戻るであろう。言い換えると、飽和気体物質を溶液から取り出すために必要な圧力がより小さくなり、その結果、より大きな蒸気泡が発生し、付随してより大きな力が発生する。場合によっては、気体飽和液体媒体を使用することで、蒸気泡によって生成される全体の力のいかなる減少も伴うことなく(各蒸気泡がより大きくなるように)、低い強度、少ないパルス数、又は短いパルス幅で、レーザ光エネルギーを使用することができる。これにより、実行される処置の安全性と有効性との両方を、高めることができる。
[0413] 加圧下で、機械的攪拌によって、及び/又は気体を液体媒体の中に放射することを含む様々な手段によって、気体物質を液体媒体に加えることができる。場合によっては、気体飽和液体媒体を処置前に準備し、次いで処置を実行する前にカテーテルの遠位端に送達することができる。追加的に又は代替的に、気体物質を、カテーテルの中に既にある液体媒体の中に送達することができる。
[0414] 気体及び/又は気体物質は、1kgの液体媒体中に存在する気体の量だけ溶解され、定量化される。液体媒体に溶解するであろう気体の最大量は、その液体媒体への特定の気体の溶解度、圧力、及びヘンリーの気体溶解度の法則によって説明される温度に依存する。たとえば二酸化炭素は、大気圧下の30℃で、水1kg当り1.25g以下の濃度で水に溶解する。そして二酸化炭素を水又は生理食塩水に溶かすと、H2O1kg当り0.25g〜3.5gの間の全濃度が生ずる。液体媒体1キログラム中に溶解される他の気体の濃度は、ヨウ素が1mg〜1g/kg、酸素が5mg〜80mg/kg、窒素が5mg〜40mg/kg、室内空気が5mg〜500mg/kg、及び亜酸化窒素が0.1g〜4g/kgの範囲である。
[0415] 気体及び/又は気体物質は、過飽和として知られる、理論的限界を超える量で溶解する。理論的限界は前述のように、ヘンリーの法則によって説明される。加圧下又は低温下で気体を溶解し、次いでそれを通常の大気条件に戻すことによって、大気条件で可能であるよりも多量の気体を溶解することが可能である。たとえば、2.5gの二酸化炭素を2気圧の圧力下で30℃の水に溶解し、次いで大気圧に戻す。溶解された気体については、飽和率は理論上の最大濃度に対する気体の濃度で定義される。過飽和溶液中の前述のいずれの気体についても、その飽和率は100%〜300%の範囲であり得る。
[0416] 気体飽和液体媒体又は過飽和液体媒体の使用はまた、レーザ光と液体媒体との相互作用によって引き起こされる初期のレーザ誘起圧力波を増大させる。すなわち、気体飽和液体媒体又は過飽和液体媒体は、より大きな潜在的エネルギーを含み、レーザ光によって活性化されたときに、レーザ光と非気体飽和液体媒体との相互作用によって生成されたレーザ誘起圧力波と比較して、より大きな初期レーザ誘起圧力波を生成する。
[0417] 追加的又は代替的に、本開示の方法はまた、液体媒体を通してレーザ光エネルギーのパルスを送るために、シース組立体内に密閉された少なくとも1つの近位レーザエミッタを活動化させるステップ、及びステントを配置する助けとなるようレーザ誘起圧力波を伝播させるステップを有する。蒸気泡及びキャビテーション現象から生じた圧力波は、医療処置の一部として、ステントをその直径いっぱいに据え付け、又は膨張させる助けとなり得る。
[0418] 上記で論じたように、1つ又は複数のエミッタを活動化させ、光エネルギーのパルスを液体媒体に伝達すると、蒸気泡及びキャビテーション現象が生じる。吸収性液体媒体を含むシース内でレーザカテーテルなどのエミッタから光を放射すると、蒸気泡がシースの内側及び/又はシースの外側に生成される。蒸気泡がシースの内側に生成されると仮定すると、蒸気泡によってもたらされるシースの関連する部分の、潜在的な膨張をいくらか又はすべて制限することが望ましい。すなわち、シースが血管閉塞及び/又は血管壁に加わる水力又は水圧を低減させ、或いはそれを防止するように、シース内での蒸気泡の生成時にシースが膨張及び収縮する力を低減させ、又はそれを防止することが望ましい。また、蒸気泡が血管壁内のシースの外側に生成されると仮定すると、キャビテーション現象及び蒸気泡自体の形成が、血管閉塞及び/又は血管壁に加わる水力又は水圧を低減させ、或いはそれを防止するように、こうした蒸気泡の形成を低減させ、且つ/又は防止することが望ましい。
[0419] 図18を参照すると、血管閉塞の除去又は治療など、対象者を治療する方法を実行するための、レーザカテーテル又は先の実施形態のいずれかと共に使用することができる生体適合性シース1120’’の斜視図を示す。シース1120’’は、スリーブ又は被筒1122’’及び減衰部材1124’’を備える。図18は、減衰部材1124’’を露出させて、接着剤を介してスリーブ1122’’の遠位端に連結させた状態を示す。ただし減衰部材1124’’は、代替的に、スリーブ1122’’内に一体的に配置されても、スリーブ1122’’の外側に配置されても、且つ/又はスリーブ1122’’の内側に配置されてもよい。更に、減衰部材1124’’がスリーブ1122’’の遠位端に連結されているか、或いは減衰部材1124’’がスリーブ1122’’内に一体的に配置されているか、又はスリーブ1122’’の内側に配置されている場合、減衰部材1124’’全体がスリーブ1122’’によって覆われていてもよく(露出されていない)、減衰部材1124’’全体が露出されていてもよく、又は減衰部材1124’’の一方の部分(たとえば、遠位部分)が露出され且つ他方の部分(たとえば、近位部分)は覆われていてもよい。
[0420] 図18はまた、減衰部材1124’’が、シース1120’’の遠位端に配置された状態を示す。ただし、減衰部材1124’’は、シース1120’’の近位端、シース1120’’の中央部分、シース1120’’の近位端と遠位端との間、或いはシース1120’’の全長若しくはほぼ全長の中の、任意の位置又は複数の位置に、代替的及び/又は追加的に配置される。
[0421] 減衰部材1124’’は、2つの目的を持っている。一方の目的は、スリーブ1122’’及び/又はシース1120’’を補強することであり、他方の目的は、減衰部材1124’’、スリーブ1122’’及び/又はシース1120’’の外側での、蒸気泡のサイズを小さくする、又は蒸気泡形成の可能性を阻止することである。スリーブ1122’’を補強することに関しては、減衰部材1124’’をスリーブ1122’’と連結することで、シース内での蒸気泡の生成時にシースが膨張及び収縮する力が低減され、又は防止されて、スリーブ1122’’が血管閉塞及び/又は血管壁に加わる水力又は水圧を低減させ、又は防止する。スリーブ1122’’を補強することにより、スリーブが膨らむ、裂ける、又は層間剥離する(スリーブが複数の層を備えている場合)のを最小限に抑え、且つ/又は防止し、スリーブ内に穴が形成されるのも同様に最小限に抑え、且つ/又は防止する。1回又は複数回発生する場合、患者の脈管構造を通るスリーブのその後の平行移動、並びに/或いはレーザカテーテル及び/又は液体光ガイドカテーテルに対する平行移動の困難さが増す。減衰部材1124’’及びスリーブ1122’’の両方が、生体適合性材料で構成される。減衰部材1124’’をスリーブ1122’’と連結すると、シース1120’’内に硬質又は半硬質の構造体が形成され、その結果、シース内での蒸気泡の生成時に、血管閉塞及び/又は血管壁に小さな水力が加わるか、或いは水力がかからないようになる。血管閉塞及び/又は血管壁に加えられる大部分の、又は唯一の(複数の)力は、レーザ誘起圧力波が1120’’を通過した結果であり、したがって、レーザ誘起圧力波に対するより精密な制御が可能になることが望ましい。
[0422] 減衰部材1124’’の他方の目的に関しては、減衰部材1124’’、スリーブ1122’’、及び/又はシース1120’’の外側での蒸気泡の形成又はキャビテーション現象を低減させる、又は防止することであり、引き続き図18を参照すると、減衰部材1124’’内の開口1126’’は、蒸気泡の形成又はキャビテーション現象及び結果として生じるシース1120’’の外側の圧力波を防止する。開口1126’’は、それを通して圧力波を通過させることを可能にするだけでなく、特にスリーブ1122’’の躯体の残部(又はその一部1128’’)に対する開口1126’’の量及びサイズが、シース1120’’の外側に形成することができる蒸気泡のサイズもまた制限する。減衰部材1124’’内の開口面積と閉面積との間の関係(又は全面積に対する開口面積の比)は、十分な量のレーザ誘起圧力波が減衰部材1124’’を通過するような値とすべきである。そして、開口1126’’のサイズは、シース1120’’の外側に形成可能な蒸気泡のサイズを制限しながらも、レーザ誘起圧力波がそれを通過することができるようにすべきである。したがって、減衰部材1124’’の全面積に対する開口面積の比は、1パーセントから99パーセントの間であることが望ましく、それは2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、6パーセント、7パーセント、8パーセント、9パーセント、10パーセント、15パーセント、20パーセント、25パーセント、30パーセント、35パーセント、40パーセント、45パーセント、50パーセント、55パーセント、60パーセント、65パーセント、70パーセント、75パーセント、80パーセント、85パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、及び98パーセントなど、1パーセントから99パーセントの間の任意の増分を含む。減衰部材1124’’の全面積に対する開口面積の比はまた、5パーセントから95パーセントの間、10パーセントから90パーセントの間、15パーセントから85パーセントの間、20パーセントから80パーセントの間、25パーセントから75パーセントの間、30パーセントから70パーセントの間、35パーセントから65パーセントの間、40パーセントから60パーセントの間、及び45パーセントから55パーセントの間など、特定の範囲内にあることが望ましい。更に、上記に列挙された比のいずれについても、それぞれの開口が、10ミクロンから10,000ミクロン(1ミリメートル)の間など、特定のサイズを有していることが望ましく、それは10ミクロン、12.5ミクロン、15ミクロン、17.5ミクロン、20ミクロン、30ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、75ミクロン、100ミクロン、125ミクロン、150ミクロン、175ミクロン、200ミクロン、300ミクロン、400ミクロン、500ミクロン、600ミクロン、700ミクロン、800ミクロン、900ミクロン、1000ミクロン、2000ミクロン、3000ミクロン、4000ミクロン、5000ミクロン、6000ミクロン、7000ミクロン、8000ミクロン、9000ミクロン、9100ミクロン、9200ミクロン、9300ミクロン、9400ミクロン、9500ミクロン、9600ミクロン、9700ミクロン、9800ミクロン、9900ミクロン、及び10000など、10ミクロンから10,000ミクロンの間の任意の増分を含む。減衰部材1124’’内の開口1126’’のサイズはまた、1000ミクロンから9000ミクロンの間、2000ミクロンから8000ミクロンの間、3000ミクロンから7000ミクロンの間、4000ミクロンから6000ミクロンの間、及び4500ミクロンから5500ミクロンの間など、特定の範囲内にあることが望ましい。
[0423] 減衰部材1124’’、スリーブ1122’’、及び/又はシース1120’’の外側の蒸気泡の形成を低減させる又は防止する減衰部材の能力は、減衰部材1124’’、スリーブ1122’’及び/又はシース1120’’の外側に形成される蒸気泡の存在及び/又はサイズを潜在的に低減し、これにより更に、減衰部材1124’’、スリーブ1122’’、及び/又はシース1120’’と脈管構造壁との間で蒸気泡が生じて膨張及び収縮するようになる可能性が低減される。そして、スリーブ1122’’及び/又はシース1120’’と脈管構造壁との間の蒸気泡の膨張及び収縮を低減させ、又は防止することにより、水力又は水圧が血管閉塞及び/又は血管壁に加えられるであろう可能性が阻まれ、又は低減され、それにより、脈管構造自体に対する潜在的な損傷を防止及び/又は最小限に抑える。
[0424] スリーブ1122’’及び/又はシース1120’’を補強するための減衰部材の能力に関して、減衰部材1124’’は、内部での蒸気泡の形成時に、スリーブを膨張及び収縮させる力、及び/又はシースを膨張及び収縮させる力を低減させ、又は防止する。内部での蒸気泡の形成時に、スリーブを膨張及び収縮させる力及び/又はシースを膨張及び収縮させる力を低減させることにより、スリーブ1122’’及び/又はシース1120’’が血管閉塞、血管狭窄、及び/又は血管壁に水力若しくは圧力を加えることが低減され、又は防止される。
[0425] 図18に示す減衰部材1124’’の開口1126’’は、六角形として示しており、減衰部材1124’’の周囲の回りに、並びにその長さに沿って、配置されている。減衰部材1124’’の開口1126’’は六角形として示しているが、この開口は、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、らせん形、多角形、菱形、五角形、七角形、八角形、九角形、及び十角形などの代替形状を有してもよい。たとえば図18Aは、複数の正方形の開口を有する減衰部材1124’’の側面図を示す。図18Bは、複数の菱形の開口を有する減衰部材1124’’の側面図を示す。図18Cは、特定の方向(たとえば、時計回り又は左から右へ)に巻かれたらせん構造に形成された複数の開口を有する、減衰部材1124’’の側面図であり、一方、図18Dは、代りの方向(たとえば、反時計回り又は右から左へ)に巻かれたらせん構造に形成された複数の開口を有する減衰部材1124’’の側面図である。更に、2つのらせん状に形成された減衰部材1124’’を組み合わせて、図18Eに示す減衰部材1124’’を形成する。図18Eに示す減衰部材1124’’は、図18Bに示す減衰部材1124’’と類似しているが、図18Bに示す減衰部材1124’’は編組されたものであり、図18Eに示す減衰部材1124’’は、1本又は2本の皮下管によって巻かれた、又は形成されたものである。更に、図18Eに示す減衰部材1124’’の躯体(又はその一部)は、一般に編組材料はサイズがより小さいので、図18Bに示す減衰部材1124’’の躯体(又はその一部1128’’)よりも大きい。図18Fを参照すると、減衰部材1124’’の躯体(又はその一部)は、六角形の開口のサイズに比較して頑丈である。
[0426] 図19を参照すると、レーザカテーテル1010(図10に示す)及びシース1120’’(図18に示す)を使用して、及び/又はシース1120と共にレーザカテーテル1010を使用して、血管閉塞を切除し、及び/又は液体媒体がある中でレーザ誘起圧力波を生成して、図11Aから図11Dに示すような血管閉塞の一部を破壊するための、対象者を治療する方法1500の、代表的な流れ図を示している。方法1500は、対象者の脈管構造1140内でガイドワイヤ1130を位置決めするステップ1505、脈管構造内でガイドワイヤ1130を覆うレーザカテーテル1010を位置決めするステップ1510、脈管構造内でレーザカテーテル1010を覆うシース1120を位置決めするステップ1515、及び対象者の脈管構造1140内で血管閉塞1150に隣接するシース1120及びレーザカテーテル1010(並びにオプションでガイドワイヤ1130)を位置決めするステップ1520を有する。再び図11Aを参照すると、血管閉塞1150に隣接するシース1120及びレーザカテーテル1010を位置決めすることにより、液体媒体をレーザカテーテル1010の遠位方向、特にレーザカテーテル1010のエミッタ/光ファイバの遠位方向に集めるための空隙が形成される。
[0427] 図11Aは、シース1120の遠位端の近位側にある、レーザカテーテル1010の遠位端を示す。ただし、レーザカテーテル1010のエミッタ/光ファイバと血管閉塞1150との間に液体媒体がある限り、レーザカテーテル1010の遠位端はシース1120の遠位端又はその遠位端の遠位方向に配置されることが考えられる。レーザカテーテル1010及びシース1120の軸方向位置は、一方又は両方の構成部品を、互いに対して平行移動させることによって調整される。X線透視法の下でレーザカテーテル1010及びシース1120のそれぞれの位置を可視化するために、レーザカテーテル1010及びシース1120は、それらの長さに沿った任意の対応する位置にX線造影マーカを備える。
[0428] 続けて図11Aを参照すると、シース1120及びレーザカテーテル1010が血管閉塞1150に隣接して配置されると、図19のステップ1525に示すように、液体媒体がレーザカテーテルの遠位端に導入される。続けて図19を参照すると、ステップ1530は、液体媒体がある中でレーザ誘起圧力波を発生させるためにレーザを活動化させ、血管閉塞の一部、特に血管閉塞の石灰化したキャップを破壊するステップを有する。レーザカテーテル1010及びシース1120は、図19のステップ1540(及び、オプションで図19のステップ1535)に示すように、血管閉塞1150全体を通過するために、又は血管閉塞1150の一部を破壊するだけのために、使用される。レーザカテーテル1010及びシース1120が、血管閉塞1150の一部を破壊するために使用されるにすぎない場合、ガイドワイヤ1130が血管閉塞1150を貫通し、通過する。たとえば図11Bは、血管閉塞1150を貫通し、通過するガイドワイヤ1130を示している。
[0429] 図11Cを参照して、レーザカテーテル1010及びシース1120が、血管閉塞1150’の一部を破壊するために使用されるにすぎないとすると、レーザカテーテル1120がシース1120なしに血管閉塞1150を通過するために使用される。図19のステップ1545を参照すると、シース1120が血管閉塞の近位に留まりながらも、レーザカテーテル1150がガイドワイヤ1130を覆い血管閉塞1150’を通過するとき、液体媒体の注入は中断され、レーザカテーテル1010は血管閉塞を切除するために使用される。
[0430] 図19のステップ1550を参照して、閉塞全体をレーザカテーテル1010が通過するとき、レーザカテーテル1010によって形成された開口は、シース1120が遠位方向に且つ血管閉塞を貫いて平行移動するのに十分な広さでなければならない。この時点で、シース1120の遠位端とレーザカテーテル1010の遠位端の両方が、血管閉塞の遠位方向にあるはずである。この時点で、図11Dを参照すると、レーザカテーテル1010は、シース1120が血管閉塞内で静止して残ったままで、近位方向に平行移動することができる。液体媒体をレーザカテーテル1010の前のシース1120に導入するとき、レーザが活動化され、それによって液体媒体がある中で圧力波を生成する。圧力波の少なくとも一部は、径方向に向けられ、レーザカテーテル1010がシース1120内で近位方向に平行移動するにつれて、圧力波がシース1120を通過して伝達され、且つ/又はシース1120自体が伸縮し、それによって、血管閉塞1150’’’の残りを破壊する。
[0431] 血管閉塞1150’’’の残りの大部分を確実に破壊するため、また所望であれば、管腔内の層、及び/又は血管の組織の組織層(たとえば、中膜層)、並びに血管閉塞を破壊するために、レーザカテーテル1010がシース1120内で、遠位方向及び近位方向に繰り返し平行移動される。上記で論じたように、血管の管腔内の層及び/又は組織、並びに血管閉塞を破壊することで、特に薬物溶出バルーンを用いてこうした薬物が適用されるときに、脈管構造が薬物を吸収する能力を向上させることができる。また、図19で概説したプロセスにおける任意のステップの前、途中、及び/又は後に、レーザカテーテル1010は、血管閉塞の一部を切除するために個別に使用される、又はレーザカテーテル1010はシース1120と共に使用されることを意図している。
[0432] 上記で論じたように、エミッタから液体媒体の中へ伝達する光エネルギーのパルスによって、圧力波及び/又は蒸気泡、並びに/或いは、血管閉塞の少なくとも一部を破壊する圧力波を付加的に発生させることになるキャビテーション現象が生成される。カテーテルは、ガイドワイヤルーメンを備え、ガイドワイヤルーメンは、ガイドワイヤがそれを通って、血管閉塞を通過することが可能である。ガイドワイヤが血管閉塞を突き抜ける能力を高めるために、ガイドワイヤを励起して振動させることもまた望ましい。したがって本開示はまた、液体媒体が、ガイドワイヤルーメン及び/又はガイドワイヤに向かって圧力波を伝播する方向へ、エミッタによって放射されたレーザ光エネルギーを液体媒体へ向け、その結果圧力波がガイドワイヤを励起して振動させることを、意図している。
[0433] 図20を参照すると、シース1614内に径方向に配置されたレーザカテーテル1612を備える、システム1610の遠位端の断面図を示す。図示のように、カテーテル1612の遠位端は、ガイドワイヤ1620を受容する内側ガイドワイヤルーメン1618の周りに周囲方向に配置された、1つ又は複数の光ファイバ1616の層を備える。光ファイバ1616の内層は、カテーテル1612の遠位先端部1626まで延在し、カテーテル1612内の遠位エミッタ1622で終端する。液体媒体は、カテーテル1612内のルーメン(たとえば、ガイドワイヤルーメン1618)、シース1614内のルーメン(図示せず)、及び/又はレーザカテーテル1612とシース1614との間のルーメン若しくは空間を通して、カテーテル1612の遠位側に導入される。
[0434] 引き続き図20を参照すると、複数の光ファイバ1616及びガイドワイヤルーメン1618を備えることに加えて、カテーテル1612はまた、遠位先端部1626を囲む外側バンド1624を備え、それによって遠位先端部1626の強度及び剛性を高める。上述のように、本開示は、液体媒体に、ガイドワイヤルーメン1618及び/又はガイドワイヤ1620に向かって圧力波を伝播させる方向へ、エミッタ1622によって放射されたレーザ光エネルギーを液体媒体へ向け、その結果圧力波がガイドワイヤ1620を励起して振動させることを、意図している。エミッタ1622から放射されたレーザ光をガイドワイヤルーメン1618又はガイドワイヤ1620の方に向けるための手段は、エミッタ1622をカテーテル1612の遠位先端部1626の近位及び/又は外側バンド1624の遠位端の近位に配置するステップを有し、その結果、エミッタ1622は、カテーテル1612の遠位先端部1626から、及び/又はカテーテル1612の長手方向軸に沿った外側バンド1624の遠位端の近位から、入り込んでいる。エミッタ1622が、カテーテル1612の遠位先端部1626から及び/又は外側バンド1624の遠位端の近位から入り込んでいることによって、圧力波は、ガイドワイヤルーメン1618及び/又はガイドワイヤ1620の方に向けられる。
[0435] エミッタ1622から放射されたレーザ光をガイドワイヤルーメン1618及び/又はガイドワイヤ1620に向けるための追加の手段は、エミッタ1622を、ガイドワイヤルーメン1618又はガイドワイヤ1620に向けるステップを有する。たとえば、上記で論じたように、本明細書で使用する「エミッタ」という用語は、ファイバの端部又はその遠位端から光を放射する光学部品を指す。そこから放射された光が、ガイドワイヤルーメン1618及び/又はガイドワイヤ1620に向かって径方向に内側に向けられる形で、光ファイバはテーパ付けされているので、エミッタ1622は、ガイドワイヤルーメン1618及び/又はガイドワイヤ1620に向けて方向づけられる。図20に示すように、ガイドワイヤルーメン1618及び/又はガイドワイヤ1620は、エミッタ1622の遠位側に長手方向に延在する。したがって、レーザ光がエミッタ1622から放射されると、光は液体媒体と相互作用し、液体媒体は光エネルギーを吸収し、それによってレーザ誘起圧力波及び/又は蒸気泡並びに/或いはキャビテーション現象及びその結果生じる追加の圧力波を発生させ、ガイドワイヤルーメン1618及び/又はガイドワイヤ1620を励起し、且つ/又は振動させる。
[0436] 図20’を参照すると、本開示の代替の実施形態、特にエミッタ1622から放射されたレーザ光をガイドワイヤルーメン1618及び/又はガイドワイヤ1620に向けて方向づけるための手段の、代替の実施形態を示す。図20に関して上記で論じた実施形態と同様に、図20’のシステム1610’は、複数の光ファイバ1616を有するカテーテル1612’、ガイドワイヤルーメン1618、及び遠位先端部1626を囲む外側バンド1624を備える。この実施形態はまた、それを通って延在するガイドワイヤルーメン1630を有するキャップ1628を備える。
[0437] キャップ1628は、カテーテル1612’に取り外し可能に連結され、特に外側バンド1624に取り外し可能に連結されてもよく、又はキャップ1628はカテーテル1612’に永久的に固定され、特に外側バンド1624に永久的に固定されてもよい。キャップ1628は、近位側(たとえば、内側部)1632及び遠位側(たとえば、外側部)1634を有する。内側部1632は、カテーテル1612’の遠位端とキャップ1628の内側部1632との間に空隙1636が形成され、それによって液体媒体が空隙1636内に入って集まることができるよう、テーパ付けされている。図20’は、液体媒体を集めるように、カテーテル1612’とキャップ1628との間に空隙1636を形成するために、平らな遠位端及びテーパ付けされて凹んだキャップ1628を具備するカテーテル1612’を備えるように示しているが、本開示はまた、図20に示す通り、液体媒体を集めるように、空隙を形成するために、平らな、又は凹んだ内側部1632を具備するキャップ1628と共に使用することが可能な、凹んだ遠位端を具備するカテーテルを備えることを意図している。したがって、レーザ光がエミッタ1622から放射されると、光は空隙内で液体媒体と相互作用し、液体媒体は光エネルギーを吸収し、それによってレーザ誘起圧力波及び/又は蒸気泡並びに/或いはキャビテーション現象及びその結果生じる追加の圧力波を発生させ、ガイドワイヤルーメン1618及び/又はガイドワイヤ1620を励起し、且つ/又は振動させる。
[0438] シース1614は、たとえば、本明細書に記載の任意のシースである。ある実施形態では、シース1614は、図11Aから図11Dに示すシース1140であり、カテーテル1612又は1612’は、その中に平行移動可能に運ばれる。ここで図20’’及び図20’’’を参照すると、システム1610’’及び1610’’’はそれぞれ、レーザカテーテル1612及び1612’を備える。システム1610’’及び1610’’’はまたそれぞれ、カテーテル1612及び1612’を平行移動可能に運ぶ、シース1614’を備える。シース1614’は、図18から図18Eに示すシース1120’’である。すなわち、シース1614’は、スリーブ又は被筒1122’’、及び本明細書に記載の任意の減衰部材である、減衰部材1124’’を備える。
[0439] 減衰部材1124’’は、以下のような、複数の目的を持っている。(1)スリーブ1122’’及び/又はシース1614’を補強する。(2)減衰部材1124’’、スリーブ1122’’及び/又はシース1614’の外側での蒸気泡の形成を低減させる、又は防止する。(3)ガイドワイヤ1620を励起及び/又は振動させるために、レーザ誘起圧力波の少なくとも一部を、ガイドワイヤルーメン1618及び/又はガイドワイヤ1620の方へ向け直す。したがって、減衰部材1124’’は、(1)スリーブ1122’’及び/又はシース1614’を補強する手段、(2)減衰部材1124’’、スリーブ1122’’及び/又はシース1614’の外側での蒸気泡の形成を低減させる、又は防止する手段、(3)ガイドワイヤ1620を励起及び/又は振動させるために、レーザ誘起圧力波の少なくとも一部を、ガイドワイヤルーメン1618及び/又はガイドワイヤ1620の方へ向け直す手段、として作動する。
[0440] 減衰部材1124’’の第1及び第2の目的に関するさらなる詳細を、図18と共に説明する。減衰部材1124’’が、ガイドワイヤルーメン1618及び/又はガイドワイヤ1620の方へレーザ誘起圧力波の少なくとも一部を向け直して、ガイドワイヤ1620を励起及び/又は振動させる能力に関しては、減衰部材1124’’を通過しない圧力波又は(複数の)圧力波の一部が、減衰部材1124’’によってガイドワイヤルーメン1618及び/又はガイドワイヤ1620に方向を向け直され、ガイドワイヤ1620を励起及び/又は振動させる。減衰部材1124’’の開口1126’’のサイズは(図18参照)、ガイドワイヤルーメン1618、ガイドワイヤ1620、及び/又は対象となる組織に向かって反射されるレーザ誘起圧力波の振幅又は方向を制御するように選択される。
[0441] やはり、図18に関して上記の中で論じたことと同様に、図20’’及び図20’’’に示す減衰部材1124’’は、シース1614’の遠位端を図示している。ただし、減衰部材1124’’は、シース1614’の近位端、シース1614’の中央部分、シース1614’の近位端と遠位端との間、或いはシース1614’の全長若しくはほぼ全長の中の、任意の位置又は複数の位置に、代替的及び/又は追加的に配置される。したがって、カテーテル1612又は1612’はシース1614’内を平行移動するので、ガイドワイヤ1620は励起及び/又は振動し続けることになる。
[0442] 上記で述べたように、たとえば、図13を参照すると、本開示の実施形態によるカテーテルシステムは、完全に又は部分的に閉じた遠位先端部を有する。これらの実施形態のいくつかにおいては、液体媒体を閉じた遠位先端部に導入する際に、シースをガイドワイヤで密封することが望ましい。図21から図22Bは、このような実施形態によるカテーテルシステム1710を示す。すなわち、カテーテルシステム1710は、部分的に閉じた先端部1722を有するシース1720(図21では、カテーテルシステム1710の内部構成部品を示すために隠れている)を備える。シース1720は、本明細書に記載のレーザカテーテル1010などのレーザカテーテルを運び、レーザカテーテル1010は、シース1720内で遠位方向及び/又は近位方向に平行移動する。図21に示すように、シース1720は、先端部1722に向かって遠位方向に進むにつれて先細になっている。或いは、シース1720は、先端部1722を受容する平坦な表面を有する。別法として、先端部1722は、シース1720のルーメンと同様のサイズを有し、ルーメン内に圧入で受容される。レーザカテーテル1010の遠位端とシース1720の先端部1722の近位端1724との間に空隙が確実に残るようにするために、シース1720は、1つ又は複数の内部停止部1726を備える。先端部1722の形状は、図2から図6に関して示し、説明した先端部180と同様に構成され、したがってカテーテルシステム1710は、レーザカテーテル先端部1722を備え、レーザ誘起圧力波によって生成されたエネルギーが空隙内に補足され、圧力波によって生成された力が前方(すなわち、血管と平行)を含む長手方向に伝播し、これにより先端部が(複数の)血管閉塞を破壊し、打ち砕き、且つ/又は貫通する力が高まるよう構成される。
[0443] 先端部1722は、近位端1724、遠位端1728、及びその近位端1724からその遠位端1728まで、先端部を通って延在するルーメン1730を備える。先端部1722はまた、ガイドワイヤ1040がガイドワイヤルーメン1730を通過するときに、先端部1722とガイドワイヤ1040との交差部を密封する弁を備える。弁の一例は、先端部1722の近位端1724に、及び/又は近位端1724に向かって配置されるフランジ1732を示す、図22から図22Bに示すものである。
[0444] 図21から図22Bに戻って参照すると、ガイドワイヤ1040を、レーザカテーテル1010のルーメン1730を通して先端部1722のガイドワイヤルーメン1730内に導入するとき、ガイドワイヤ1040及び先端部1722は摺動可能に連結され、したがって図22Aに示すように、先端部1722が、ガイドワイヤ1040を覆って摺動できる(又はガイドワイヤ1040が、先端部1722のルーメン1730を通って摺動できる)。この図に示すように、フランジ1732とガイドワイヤ1040との間に、ガイドワイヤルーメン1730によってもたらされる間隙(又は開口)がある。その間隙が、カテーテルシステム1710の遠位端への液体媒体の(たとえば、レーザカテーテル1010とシース1720との間の開口又は間隙を通っての)導入中に維持される場合、液体媒体はガイドワイヤルーメン1730を通って、患者の脈管構造の中へ移動することになり、これは望ましくない。フランジ1732は、先端部の遠位端1728からその近位端部1724に向かって先細になるテーパ付けされた部分1734を有し、液体媒体がカテーテルシステム1710の遠位端に導入されると、フランジ1732に対する流体圧が増大するため、径方向に潰れるように構成されている。フランジ1732に対する増大した流体圧が、フランジ1732を作動させ、フランジ1732とガイドワイヤ1040との間の間隙が閉じるように、フランジをガイドワイヤルーメン1730に向かって径方向に内向きに移動させ、それによって図22Bに示すように、フランジ1732とガイドワイヤ1040との間を密封する。フランジ1732が遠位端1728から近位端1724に向かって進むので、フランジ1732がガイドワイヤルーメン1730に向かって径方向に内向きに先細りになるにつれて、フランジ1732のテーパ付けされた部分1734の太さが減少し、液体媒体の導入時に生成される圧力にさらされてフランジの撓む力が増大する。カテーテルシステム1710の遠位端から液体媒体を除去すると、カテーテルシステム1710内の圧力、フランジ1732に対する圧力が減少し、図22Aに示すようにフランジ1732は自然にその元の位置に引っ込み、それによって、2つの構成部品が互いに対して摺動するように、先端部1722とガイドワイヤ1040との間の間隙を元の状態に戻す。したがって、フランジ1732は、先端部1722内で密封可能な弁として作動し、フランジ1732は、カテーテルシステム1710の遠位端への、及び遠位端からの液体媒体の導入及び除去によって作動させられる。
[0445] 図22A及び図22Bに示すテーパ付けされた部分1734は、先端部の遠位端1728からその近位端1724に向かって先細になっているが、テーパ付けされた部分1734が先端部の近位端1724からその遠位端1728に向かって先細になるように、テーパの方向を逆にしてもよい。更に、フランジ1732の一部が、その長さに沿った他の位置と比較して、その長さに沿った1つ又は複数の位置でより細くなるように、フランジ1732はその長さに沿った任意の部分に向かって先細になってもよい。したがって、増大した流体圧がフランジ1732に加わると、フランジ1732のより細い部分が作動し、ガイドワイヤルーメン1730に向かって径方向に内向きに移動し、その結果フランジ1732とガイドワイヤ1040との間の間隙が閉じ、それにより、フランジ1732とガイドワイヤ1040との間を密封する。
[0446] 先端部1722は、シリコン又はフルオロポリマーなどの、任意の種類の圧縮性又は弾性バイオポリマー、弾性接着剤などで構成される。これらの図に示す先端部1722の構成は、外壁1736及び外壁内に径方向に配置されるフランジ1732を備え、液体媒体がフランジ1732に入りフランジ1732を作動させるための、それらの間の間隙が形成される。フランジ1732はまた、それ自体が管状に図示されている先端部1722の近位端1724に向かって配置されるよう示しており、その遠位端1728は、外壁1736からガイドワイヤルーメン1730に向かって遠位方向に先細になる内向きテーパを有する。先端部1722は、特定の構成部品及び特定の形状を有するように示しているが、本開示は当業者に知られた他の形状及び構成部品を含むものとする。更に、先端部1722は、代替的に、シリコン又はフルオロポリマー、弾性接着剤などの任意の種類の圧縮性又は弾性バイオポリマーで構成された、自己密封管を有する。たとえば、先端部1722は、それを通過するルーメン1730を有する管を備え、その結果、ガイドワイヤを挿入するとルーメンが膨張し、ガイドワイヤを取り外すとルーメンが収縮し、それによってスリットのように見える。
[0447] 引き続き図21から図22Bを参照すると、先端部1722は、その外壁1736を貫通する1つ又は複数の開口1738を有する。開口1738は、先端部1722の近位端1724における、フランジ1732と外壁1736との間の間隙からだけでなく、先端部1722の近位端1724の遠位側の位置にも、液体媒体がフランジ1732に達することを可能にする。液体媒体が、その遠位部分で、又はその遠位部分に向かってフランジ1732に達することを可能にすることで、フランジ1732を作動させる可能性及び有効性が潜在的に増す。先端部1722は、その近位端1724からの管状部1740、及びその管状部1740の端部から先端部の遠位端1728に向かう先細部1742を有するように示しているが、本開示の範囲は先端部1722の他の形状を含むものとする。
[0448] 本明細書で論じるように、レーザ光がエミッタ(群)から放射されると、光は液体媒体と相互作用し、液体媒体は光エネルギーを吸収し、それによってカテーテルシステム1710内に蒸気泡を生成する。先端部1722内の開口1738は、カテーテルシステム1710内に形成される泡のサイズを縮小し、且つ/又は泡がカテーテルシステム1710の遠位端に向かって膨張するであろう可能性を低減させる。
[0449] ある実施形態では、本開示のデバイス及び方法はまた、液体媒体の代わりに実質的に固体の光吸収材料を使用して血管閉塞を切除するよう、レーザ誘起圧力波を送達するために使用され得る。状況によっては、特定の波長の光を放射するレーザと、その波長の光を吸収するように設計された光吸収材料とを組み合わせることによって、その反応によって生成され、その結果として生じる圧力波のエネルギー効率を大幅に高めることができる。このように組み合わせての使用により、最終的に血管閉塞を治療するために必要とされるエネルギー入力を低減させることが可能であり、処置の安全性を高め、且つコストを低減することができる。たとえば、本開示の実施形態によるカテーテルは、造影剤の代わりに空気又は実質的に不活性な液体媒体(たとえば、生理食塩水)で充填することができ、それによって、圧力波と共に生成される蒸気泡の量及びサイズを大幅に減少させることができる。レーザ誘起圧力波は、血管閉塞を切除するために、カテーテルの外側に伝播することができるので、状況によっては、蒸気泡の生成を減少させる(たとえば、カテーテルを生理食塩水で満たすことによって)、又は取り除く(たとえば、カテーテルを空気又は不活性ガスで満たすことによって)ことが有利であり得る。他の場合では、カテーテルの遠位端に送達された液体媒体は、本開示に基づいて当業者に知られている方法を使用して、媒体内に溶解した気体の量を取り除くための前処理をすることが可能で、これはまた、圧力波とともに生成される蒸気泡の量を低減することもできる。
[0450] 好適な光吸収材料は、光エネルギーを吸収して圧力波を生成することができる、任意の作用物質であり得る。光吸収材料は、たとえば、ヨウ素化X線造影剤など、それにヨウ素が結合した芳香族炭化水素を含み得る。低浸透圧、非イオン性、ヨウ素化、及びX線不透過性の造影剤もまた、圧力波を生成するために使用することができる好適な光吸収材料である。他の光吸収材料としては、ジアトリゾ酸、メトリゾ酸、ロダミド、ロタラム酸、ロキシタラム酸、イオグリク酸、アセトリゾ酸、ロカルミン酸、メチオダール、ジオドン、メトリザミド、イオヘキソール、シュウ酸、ロパミドール、ロプロミド、ロトロラン、ロベルソル、ロペントール、ロジキサノール、ロメプロール、ロビトリドール、ロキシラン、ロドキサム酸、ロトロキシ酸、ログリカム酸、アジピオドン、ロベンザミン酸、ロパン酸、ロセタミン酸、イポド酸ナトリウム、チロパン酸、イポド酸カルシウム、ロピドール、プロピルヨードン、ロフェンジレート、リピオドールなどのヨウ素化造影剤、硫酸バリウムなどの非ヨウ素化造影剤、ガドベン酸、ガドブトロール、ガドジアミド、ガドフォスベセット、ガドリニウム、ガドペンテト酸、ガドテル酸、ガドテリドール、ガドバセタミド、ガドキセト酸、クエン酸第二鉄アンモニウム、マンガホジピル、フェルモキシルなどのMRI造影剤、並びにフェリステン酸化鉄ナノ粒子、ペルフルブロン、グルコース及び他の炭水化物、卵白及び他のタンパク質、ニトログリセリン又は他の血管拡張剤、油などの炭化水素、アルコール、又は他の有機官能基(アミン、アルカン、カルボキシルなど)、多血小板血漿(PRP)、充填赤血球、血漿、血小板、脂肪、木炭などの血液/組織生成物、ステンレス鋼、バイオポリマー、及びバイオセラミックなどの生体適合性材料、或いはサリチル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、メサラジン、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、クロピドグレルなどの、芳香族炭素環及び官能基の組合せを含む他の薬理学的作用物質、或いは本明細書に記載の医療処置に適合する他の薬理学的及び/又は生物学的作用物質を含むが、それに限定されるものではない。
[0451] 好適な光吸収材料はまた、UVスペクトルの波長を吸収することが可能な材料を含み得る。光吸収材料は、たとえば、PABA、パジマート0、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、シノキサート、ジオキシベンゾン、オキシベンゾン、ホモサレート、アントラニル酸メンチル、オクトクリレン、メトキシ桂皮酸オクチル、サリチル酸オクチル、スリソベンゾン、サリチル酸トロラミン、アボベンゾン、エクマスル、4−メチルベンジリデンカンファー、チノソーブM、チノソーブS、チノソーブA2B、ネオヘリオパンAP、メキソリルXL、ベンゾフェノン−9、ウビヌルT150、ウビヌルAプラス、ウバソルブHEB、パルソールSLX、又はアミロキサート、シリコン及びその様々な原子構造体、テルル化カドミウム、セレン化銅インジウムガリウム、ガリウムヒ素、ルテニウム金属有機染料、ポリフェニレンビニレン、銅フタロシアニン、カーボンフラーレン及び誘導体、グラファイト、グラフェン、ダイヤモンド、木炭、チタニウム及び酸化物などの炭素化合物、ニッケル及び酸化物、金、銀、亜鉛及び酸化物、錫及び酸化物、アルミニウム及び酸化物、或いは前述の金属の合金又はセラミックを含み得るが、それに限定されるものではない。
[0452] 光吸収材料は、基質へのそれらの付着を容易にするために、他の様々な化合物と組み合わされる。たとえば、光吸収材料は、基質の表面を覆うために使用することが可能な、光吸収材料を含む溶液又は混合物の生成を助ける、様々な化合物(たとえば、可溶化剤)と組み合わされる。ある実施形態では、生分解性且つ生体適合性の疎水性ポリマーを光吸収材料として使用する。たとえば、生分解性且つ生体適合性の疎水性ポリマーは、紫外線光を用いて架橋することができるポリ(グリセロールセバケートアクリレート)(PGSA)、又はそれらの変形及び組合せである。たとえばPGSAを活性化するために、シースの内側又は外側に配置されるカテーテルの遠位端から、紫外線光が放射される。
[0453] 他の光吸収材料はまた、接着剤のような特性を有する作用物質を含んでもよく、場合によっては、これらの作用物質の光吸収特性は、接着剤としてのそれらの使用に追加されるものであっても、又はそれとは無関係であってもよい。たとえば、光吸収材料としては、シアノアクリレート、ウシ血清アルブミン(BSA)−グルタルアルデヒド、フィブリンシーラント、ゼラチンマトリックストロンビン、ゼラチンスポンジ、酸化セルロース、コラーゲンスポンジ、コラーゲンフリース、組換え因子VIIaなどを含み得るが、それに限定されるものではない。ある実施形態では、光吸収材料は、洗い流されないように、又は主に水性環境(たとえば、血管組織)中でそれらの基質から離脱しないように、ヘキサノイル(Hx;C6)、パルミトイル(Pam;C16)、ステアロイル(Ste;C18)、及びオレオイル(Ole;C18不飽和)基などの、疎水性官能基を含む。このような光吸収材料は、10オレオイル−ジスクシンイミジル酒石酸塩、10ステアロイル−ジスクシンイミジル、及びそれらの変形及び組合せを含み得るが、それに限定されるものではない。
[0454] 光吸収材料は、エミッタからの光エネルギーの高い吸収性を示すよう構成することができる。光エネルギーは、レーザ誘起圧力波を生成することが可能な、任意の好適な波長で放射されてもよい。光エネルギーは、約1ナノメートルから約1ミリメートルの間で、放射されてもよい。場合によっては、光は、約10ナノメートルから約5000ナノメートルで、放射されてもよい。場合によっては、光は、約100ナノメートルから約1000ナノメートルで、放射されてもよい。場合によっては、光は、約250ナノメートルから約750ナノメートルで、放射されてもよい。場合によっては、光は、約300ナノメートルから約600ナノメートルで、放射されてもよい。更に場合によっては、光は、約300ナノメートルから約350ナノメートルで、放射されてもよい。
[0455] 概して光吸収材料は、それが一般に光ファイバから放射される光の経路と交差する限り、カテーテル内のどこにでも配置することができる。ある実施形態では、光吸収材料は実質的に固体(たとえば、金属及び金属合金など、ほぼ固体状態で安定する)である。実質的に固体の光吸収材料を使用してカテーテルの構成部品の様々な部分を構成することができ、及び/又は実質的に固体の光吸収材料を使用して別のカテーテル構成部品から独立した別個の構造体を構成することができる。
[0456] ある実施形態では、光吸収材料は、別個の支持構造体(すなわち、主に光吸収材料で作られていない支持構造体、又は光吸収材料として使用されていない支持構造体)に塗布し、本開示のデバイス及び方法を使用してレーザ誘導圧力波を生成するために使用することができる。ある実施形態では、光吸収材料は、液体、膠化体、又は半液体の形でのみ安定する。これらの実施形態では、光吸収材料を、ヒドロゲル又は他の固体支持基質に含浸させるなど、支持構造体への塗布に好適な配合物又は被覆物の一部として含んでもよい。ある実施形態では、光吸収材料は、支持構造体上への配置及び/又は支持構造体への接着を容易にする、他の作用物質を含む配合物又は被覆物の一部であってもよい。たとえば、固体吸収材料は、コーティング剤、増粘剤、接着剤、及び/又は本開示のデバイス及び方法と共に使用するのに好適な他の薬学的若しくは生物学的作用物質と配合することができる。
[0457] 図23を参照すると、本開示の実施形態による光吸収材料を有する、カテーテルシステム1810の遠位端を示す。カテーテルシステム1810は、カテーテルシステム1710と同様のものである。すなわち、カテーテルシステム1810は、部分的に閉じた先端部1822を有するシース1820(図23では、カテーテルシステム1810の内部構成部品を示すために隠れている)を備える。シース1820は、本明細書に記載のレーザカテーテル1010などのレーザカテーテルを運び、レーザカテーテル1010は、シース1820内で遠位方向及び/又は近位方向に平行移動する。図23に示すように、シース1820は、先端部1822に向かって遠位方向に進むにつれて先細になっている。或いは、シース1820は、先端部1822を受容する平坦な表面を有する。別法として、先端部1822は、シース1820のルーメンと同様のサイズを有し、ルーメン内に圧入で受容される。レーザカテーテル1010の遠位端とシース1820の先端部1822の近位端との間に空隙が確実に残るようにするために、シース1820は、1つ又は複数の内部停止部1826を備える。先端部1822の形状は、図2から図6に関して示し、説明した先端部180と同様に構成され、カテーテルシステム1810は、レーザカテーテル先端部1822を備え、圧力波によって生成されたエネルギーが空隙内に補足され、圧力波によって生成された力が前方(すなわち、血管と平行)を含む長手方向に伝播し、これにより先端部が血管閉塞を破壊し、打ち砕き、且つ/又は貫通する力が高まるよう構成される。
[0458] 先端部1822は、先端部1722と同じ機能及び構造を有する。更に、先端部1822は、光吸収材料の支持構造体1824を備える。光吸収材料支持構造体1824は、本明細書に記載の光吸収材料のいずれかである、光吸収材料を塗布するための基体として作用する。光吸収材料は、本明細書に述べるように、カテーテルシステム1810の空隙内の、先端部1822の近位端に被覆物として塗布することができ、光吸収材料支持構造体1824は、レーザカテーテル1010の遠位端から放射された光の経路とほぼ交差するように配置することができる。
[0459] ある実施形態では、光吸収材料は、支持構造体に塗布する代わりに、カテーテルシステム1810自体の中の様々な表面に塗布することができる。たとえば、光吸収材料は、カテーテルシステム1810の内面又はその一部(シース1820の内面など)への被覆物として塗布することができる。追加の支持構造体を必要とせずに、レーザ光が光吸収材料と反応して圧力波を発生させることができるように、レーザカテーテル1010の遠位端から放射されたレーザ光を上方及び/又は外方に向けることができる。
[0460] 図24を参照すると、本開示の実施形態による光吸収材料を有する、カテーテル1910の遠位端を示す。カテーテル1910は、図5Aに示すカテーテルと同様のものである。すなわち、カテーテル1910は、金属製(たとえば、ステンレス鋼)の代わりに非金属製の、中実又は中空構造の構成部品を具備する、先端部1912を有する遠位端を備える。カテーテル1910は、外側シース1914、外側シース1914内に同心円状及び/又は径方向に配置された内側シース1916、及び内側シース1916内に同心円状及び/又は径方向に配置された1つ又は複数の光ファイバ1918を備える。外側シース1914の遠位端は、先端部1912と直接(圧入及び/又は溶接によって)連結される。内側シース1916及び1つ又は複数の光ファイバ1918は、先端部1912に直接には連結されていない。むしろ、内側シース1916及び1つ又は複数の光ファイバ1918は先端部1912の近位に配置され、それによって外側シース1914、内側シース1916、1つ又は複数の光ファイバ1918、及び先端部1912の間に空隙を形成する。
[0461] カテーテル1910は、内側シース1916の遠位端と先端部1912の近位端との間に、軸方向に配置され、且つ1つ又は複数の光ファイバ1918と外側シース1914との間に、径方向に配置されるシールド1920を備える。ほぼ円筒形の管として示すシールド1920は、径方向の圧力波の抵抗を増大させ、それによって圧力波が外側シース1914に向かって径方向に進む力を低減させる。円筒形シールド1920の構成は、径方向と比較して、長手方向の抵抗を低減することを可能にし、それによって先端部が前方/後方に平行移動する力を増大させる。円筒形シールド1920はまた、その直径がその遠位端と比較してその近位端でより大きく(又はより小さく)なるように構成され、それによって潜在的に、近位方向又は遠位方向に先細になり、圧力波を先端部1912の中心に向かって集中させる。シールド1920はまた、カテーテル1910の遠位端に密封された空隙を形成するように作用し、それによってシールドの一部が多孔質である外側シース1914の一部と重なるので、外側シース1914を通る液体媒体の漏れを防ぐ。
[0462] 内側シースはまた、液体媒体に空隙の中を通過させるための1つ又は複数のルーメンを備える。1つ又は複数の光ファイバ1918の遠位端(群)は、内側シース1916の遠位端の近位にあるか、又は内側シース1916の遠位端の遠位にある。やはり、1つ又は複数のエミッタが、1つ又は複数の光ファイバ1918の遠位端に配置されている。エミッタ(群)は液体媒体と直接接触しており、その結果レーザ光エネルギーがエミッタ(群)から放射されると、液体媒体が放射された光を吸収し、それが次に圧力波を発生させ、圧力波及び/又は蒸気泡、並びに/或いは追加の圧力波を発生させるキャビテーション現象を生成する。
[0463] 先端部1912は円形構造を有し、それによって外側シース1914の遠位端のための継ぎ輪を形成する。先端部1912はまた、その遠位端に可撓性の膜1922を備える。たとえば、膜1922は、マイラで構成され、長手方向の軸に対して垂直な向きで先端部1912の遠位端に接着接合される。更にこの膜は、石灰化したキャップ、完全閉塞、又は病変の形状を歪め、且つそれに係合させるために、伸展性がある。ある実施形態では、膜1922は、弾性又は超弾性材料(たとえば、ニチノール)で構成される。
[0464] 膜1922は、空隙内で、光吸収材料支持構造体1924を支える。光吸収材料支持構造体1924は、本明細書に記載の光吸収材料のいずれかである、光吸収材料を塗布するための基体として作用する。他の実施形態では、光吸収材料支持構造体1924は、空隙の外側で膜1922によって支えられてもよく、又は光吸収材料は、本明細書に記載されるように、膜1922(空隙との間又は空隙の外側)上に被覆物として塗布されてもよい。いずれにせよ、光吸収材料を、それが光ファイバ(群)1918の遠位端から放射される光の経路とほぼ交差するように配置することができる。ある実施形態では、また図24に示すように、光吸収材料支持構造体1924は、空隙内の膜1922全体を覆っている。他の実施形態では、光吸収材料支持構造体1924は、空隙内の膜1922を部分的に覆っている。これらの実施形態では、膜1922上の光吸収材料支持構造体1924の位置及び/又はサイズは、蒸気泡が形成及び崩壊する位置に影響し、次に膜1922の歪められる形状に影響を及ぼす。ある実施形態では、光吸収材料は、支持構造体に塗布する代わりに、カテーテル1910内の他の様々な表面に塗布することができる。たとえば、光吸収材料は、シールド1920の内面又はその一部への被覆物として塗布することができる。
[0465] 血管閉塞を有する対象者を治療するために、カテーテル1910の遠位端、特に膜1922を血管閉塞に隣接させた状態で、先端部1912を血管閉塞に隣接するよう配置する。液体媒体は、内部シース1916内の1つ又は複数のルーメンから、1つ又は複数の液体媒体ポート、或いは外部シースと内部シース又はレーザカテーテル1910との間を通って、空隙に送達される。レーザシステムが活動化されると、1つ又は複数の光ファイバの端部にあるエミッタ(群)から光エネルギーが放射されるまで、光エネルギーは1つ又は複数の光ファイバを通って進む。光吸収材料及び液体媒体が光エネルギーを吸収すると、液体媒体は急速に膨張及び収縮して、圧力波及び/又は蒸気泡並びに/或いは液体媒体を通して圧力波を伝播させるキャビテーション現象を発生させる。圧力波によって生成されたエネルギーは、空隙によって設けられた閉鎖系の中に捕捉され、可撓性膜1922を通って血管閉塞に伝達される。圧力波によって生成され、血管閉塞へ伝達されるエネルギーは、血管閉塞内のカルシウム沈着物、及び/又は線維化した組織を破壊するのに十分である。レーザ誘起圧力波によって生成された力は、長手方向に前方へ(すなわち、血管に平行に)伝播することができる。このようにして生成された圧力波はまた、従来のバルーン血管形成術など、別の処置を実行する前に、血管の伸展性を高めるためにも使用することができる。
[0466] 上記で図12及び図19に関して論じたように、本開示は、レーザカテーテル1010(図10に示す)及びシース1120(図18に示す)の組合せを使用する前に、液体媒体がある中で圧力波を発生させ閉塞の一部を破壊するために、レーザカテーテル1010を使用して対象者の血管内の血管閉塞又は血管狭窄の少なくとも一部を切除することを論じる。図25から図26Fは、レーザカテーテル1010及びシース1120を用いて治療される対象者の脈管構造内の血管閉塞の形成を例示するために含まれている。図25を参照すると、動脈壁の長手方向軸に垂直な方向に沿って裁断された、健康な動脈壁2000の断面図を示す。健康な動脈壁2000又は血管壁は、通常は、図25に層2020として示す「外膜」と呼ばれる外側の層を有する。外膜の外側に、動脈壁2000の層2010などの、さらなる層がある。健康な動脈壁2000はまた、中膜2030と呼ばれる中間層又は中央層を有する。中膜2030は、外膜2020の内側部分の径方向に内側に、また外膜2020の内側部分に隣接して配置されている。中膜2030は、動脈が膨張及び収縮することを可能にする、平滑筋細胞の層及びエラスチン線維の層を有する。健康な動脈壁2000はまた、内膜2040と呼ばれる内層を有する。内膜2040は、中膜2030の径方向に内側に、また中膜2030に隣接して配置されている。健康な動脈壁2000はまた、内膜2040の最も内側の表面に位置し、通路(又は内腔)2060のための境界を作り出す内皮層2050を有する。
[0467] 上記に述べたように、中膜2030は、外膜2020の内側部分の径方向に内側に、また外膜2020の内側部分に隣接して配置されている。具体的には、一般に外部弾性薄膜と呼ばれる外部弾性膜2035が、中膜2030を外膜2020から分離する。また上記に述べたように、内膜2040は、中膜2030の内側部分の径方向に内側に、また中膜2030の内側部分に隣接して配置されている。一般に内部弾性薄膜と呼ばれる内部弾性膜2025が、内膜2040を中膜2030から分離する。
[0468] 図25Aを参照すると、図25に示す健康な動脈壁2000の構造の、より小さいバージョンを示す。また図26Aは、動脈壁の長手方向軸に平行の方向に沿って裁断された、健康な動脈壁2000の長手方向断面図を示す。具体的には、図26Aが、図25Aの線B−Bに沿って裁断された、健康な動脈壁2000の構造の長手方向断面図を示す。
[0469] 図26Bを参照すると、経時的に、脂肪及び/又は脂質2070’は、血液中の脂肪及び脂質の蓄積の結果として、動脈壁2000’の内膜2040’内に集まり、且つ/又は沈着し始める。この疾患の過程は一般にアテローム性動脈硬化症と呼ばれ、冠状動脈及び末梢動脈を含む体の動脈内で起こる。それは内膜2040’内のこの脂肪及び/又は脂質2070’の集合体であり、通路2060’内の血流を減少させるか又は完全に遮断し得る血管閉塞の形成をもたらすであろう。時間の経過と共に、この脂肪及び脂質2070’の蓄積は、脂肪、脂質、フィブリン、線維石灰化プラーク、カルシウム結晶、血栓などを含むがこれらに限定されない多くの成分の不均一混合物2065’’(一般にプラークと呼ばれる)になる。たとえば、脂肪及び/又は脂質2070’の一部はプラーク2065’’に変わり、石灰化することさえあり、これを図26Cの2055’’として示す。脂肪及び/又は脂質2070’’が集まり、プラーク2065’’になるか、及び/又は石灰化2055’’すると、内膜2040’’は炎症を起こして膨張し始め、それによって通路2060’’の断面積が減少する。
[0470] 図26Dを参照すると、アテローム性動脈硬化症が進行し、動脈壁2000’’’のこの状態が治療されないままであると、プラーク2065’’’は集まり続け、内膜2040’’’は膨張し続けて通路2060’’’の断面積を減少させる。しかし、動脈壁2000’∨の内膜2040’∨が更に膨張してその限界に達すると、図26Eに示すように、内膜2040’∨及び内皮が破裂2058’∨し、以前に肥厚した脂質に含まれていたプラーク内容物、及び拡大した内膜の白血球を、通路2060’∨の中に放出する恐れがある。血小板及びフィブリンは動脈壁2000∨の通路2060∨内に集まり、破裂を試みては修復し、そうする中で図26Fに示すように、石灰化部分2085∨を有する血管閉塞2080∨を形成する。この図はまた、閉塞2080∨の形成が更に通路2060∨のサイズを減少させ、場合によっては流れが完全に妨げられる状態を示している。
[0471] 図26D及び図26Gを参照すると、内膜2065’’’の後ろ又は血管閉塞2080∨’若しくはその一部内に含まれるプラークの蓄積を動脈壁2000∨’の通路から剥離又は除去するために、レーザカテーテル1010が使用される。プラークの蓄積又は閉塞性疾患を剥離した後、図26Hに示す通り、以前に説明したように、レーザ誘起圧力波を生成することで、特に石灰化部分2085∨’’を破壊することによって、プラークの蓄積2065’’’又は血管閉塞2080∨’の残りの部分を治療し、図26Iに示すような動脈壁2000∨’’の状態を治療するために、本開示のレーザカテーテル1010及びシース1120の組合せが使用される。
[0472] 図26Iは、拡大した通路2060∨’’を有する動脈壁2000∨’’を示し、プラーク2065’’’又は血管閉塞2080∨’’の大部分が除去され、内膜2040∨’’の石灰沈着を含む血管閉塞の残った部分の石灰沈着が、破砕され、又は改変されたことで、より低い気圧で通路をより拡張させる余地がある。図25、図25A、及び図26Aから図21Iは、同様の数値を使用しているが、血管閉塞が形成され治療されるにつれて動脈壁内で起こる変化のために、ある図から次の図に漸次示す数値について、相異なる図が’及び∨並びにその組合せなどの相異なる指標を含む。簡潔にするために、動脈壁2000の特定の層は特定の図の説明から省略し、動脈壁2000の特定の項目の数値は特定の図から省略している。それにもかかわらず、動脈壁2000の層及びその中の構成物は、図25、図25A及び図26Aから図26Iから省略されていても、同じ数値を有すると考えるべきである。
[0473] 図27を参照すると、シース1120(図18に示す)と共にレーザカテーテル1010(図10に示す)を使用して、粥腫切除の処置を実施し、内膜内の血管閉塞の残りを治療し、液体媒体がある中で圧力波を生成して血管閉塞の一部を破壊することによって、プラークの蓄積又は閉塞性疾患を除去する方法2700がある。この方法2700は、脚部の脈管構造の動脈、腎動脈、鎖骨下動脈などを含むがこれらに限定されない、冠状動脈及び/又は末梢動脈を治療するために使用される。
[0474] 図27の方法2700は、ステップ2705で対象者の血管内の血管閉塞の位置を突き止めるステップを有する。オプションである次のステップ2710は、ガイドワイヤを血管閉塞に配置し、且つ/又はガイドワイヤを、血管閉塞を通して又は血管閉塞を通過する経路を通して挿入するステップを有する。ステップ2715は、粥腫切除の処置を実行してプラーク或いは血管閉塞又はその一部を除去するステップを有する。粥腫切除デバイスの1種は、血管閉塞又は血管狭窄の少なくとも一部を切除することができる、本明細書で論じるレーザ切除カテーテル1010などの、切除カテーテルである。他の種類の切除カテーテルは、高周波切除カテーテル、マイクロ波切除カテーテル、及び凍結切除カテーテルを含む。機械的粥腫切除デバイスなど、切除カテーテル以外の粥腫切除デバイスもまた、血管閉塞を除去するために使用される。
[0475] 血管閉塞(又はその一部)が脈管構造から除去された後、次いでステップ2720が実行される。ステップ2720は、レーザカテーテル1010を覆う本開示のシース1120を、対象者の脈管構造内で位置決めするステップを有し、それに続いてステップ2725は、シース1120及びレーザカテーテル1010を血管閉塞に隣接して位置決めするステップを有する。たとえば、臨床医がガイドワイヤルーメン及びシース1120を備えるカテーテル1010を使用する場合、カテーテル1010を、ガイドワイヤ1130を覆って脈管構造内へ摺動させ、その後シース1120を、カテーテル1010を覆って摺動させ、次いでカテーテル1010はシース1120に連結される。ステップ2725はまた、シース1120及びレーザカテーテル1010を、血管閉塞(又はその残り)に隣接するよう位置決めするステップを有する。レーザカテーテル1010及びシース1120の軸方向位置は、一方又は両方の構成部品を、互いに対して平行移動させることによって調整される。特に、レーザカテーテル1010及びシース1120の軸方向位置は、エミッタがシース1120の減衰部材内にあり、且つシース及び反射要素の対応する部分が血管閉塞又は血管狭窄(或いはその残り)に隣接するように、軸方向に整列される。
[0476] シース1120及びレーザカテーテル1010が血管閉塞に隣接して配置されると、その結果エミッタ及び減衰部材が血管閉塞に隣接して軸方向に整列され、図27のステップ2730に示すように、液体媒体がレーザカテーテルの遠位端に導入される。引き続き図27を参照すると、ステップ2735は、液体媒体がある中で圧力波を生成するために、レーザなどのエネルギー源を活動化させ、血管閉塞の一部を破壊するステップを有する。レーザカテーテル1010及びシース1120は、血管閉塞全体を通過するか、又は血管閉塞の一部のみを破壊するために使用される。すなわち、レーザカテーテル1010及びシース1120は、血管閉塞の一部を破壊するために圧力波を放射しながら、それぞれに対して、及び/又は一緒に、軸方向に移動する。レーザカテーテル1010及びシース1120が、血管閉塞の一部を破壊するために使用される場合、ステップ2740で示すように、ガイドワイヤ1130が血管閉塞を貫通し、通過する。
[0477] シース1120によって囲まれている、レーザカテーテルの少なくとも1つのエミッタに結合された少なくとも1つのエネルギー源を活動化させ、レーザ光エネルギーのパルスを放射し、液体媒体に送り、及び/又は液体媒体と反応させて、伝播するレーザ誘起圧力波を生成し、血管閉塞の残りの部分を破壊する。血管閉塞の残りの部分、特に血管閉塞内のどんな石灰化部分も破壊すると、石灰化部分に亀裂が生じ、及び/又は石灰化部分のサイズが小さくなる。というのも、レーザ誘起圧力波が石灰化部分を破壊し、それにより隣接する領域が減少するように、石灰化部分を砕き、且つ/又は石灰化粒子の大きさを寸断するからである。場合によっては、方法2700は、シース内に封入された少なくとも1つのエミッタに結合された少なくとも1つのエネルギー源を活動化させて、レーザ光エネルギーのパルスを放射し、液体媒体の中に送り、及び/又は液体媒体と反応させ、伝播するレーザ誘導圧力波を生成し、治療薬をシースから血管閉塞の残りの部分及び/又は閉塞付近の血管組織に送達する、追加のステップ(図示せず)を有する。
[0478] 本開示の利点の1つは、図26Hに示すカテーテル1010及びシース1120が、オプションで、上記の図18のシース1120の中に示す減衰部材などの反射要素を備えることである。減衰部材1124、又は図18Aから図18Fに示す代替物は、減衰部材及び/若しくはシース1120の外部での蒸気泡の形成を低減させ、又は防止し、且つ/或いはシースの膨張を最小限に抑える又は防止するようにシースを補強する。シースを補強し、且つ/又は減衰部材(又はシース)の外部に蒸気泡が形成されるのを低減又は防止することにより、シースが動脈壁を拡張させるのを低減又は防止し、一方で同時に圧力波が動脈壁を貫通し、血管閉塞及び/又は内膜の中の石灰化部分を破壊することが可能になる。すなわち、減衰部材を組み込むことにより、シースを補強し、減衰部材の外部での蒸気泡の形成を低減又は防止し、動脈壁内の軟組織の変位を潜在的に防止し、場合によっては動脈壁の層の剥離を低減又は防止する。
[0479] 図27を再度参照すると、ステップ2735(及び場合によっては2740)を実施後、ステップ2745が実施される。ステップ2745は、レーザカテーテル1010とシース1120との組合せの間の間隙内へ液体媒体を継続的に注入し、それによってレーザカテーテル1010がシース1120内で、その遠位端の近位に留まりながら、レーザ誘起圧力波で血管閉塞を破壊し続けるステップを有する。或いは、ステップ2750に示すように、シース1120が血管閉塞の近位に留まりながらも、レーザカテーテル1010がガイドワイヤ1130を覆い血管閉塞を通過するとき、液体媒体の注入は中断され、レーザカテーテル1010は血管閉塞を切除するために使用される。すなわち、レーザカテーテル1010とシース1120との間の液体媒体の導入を終了し、レーザカテーテル1010をシース1120の遠位端を越えて延在し、その結果レーザカテーテル1010が追加の粥腫切除を行うことができる。追加の粥腫切除の処置が行われた後、レーザカテーテル1010の遠位端は、シース1120の遠位端内の位置に戻り、液体媒体はシース1120内のレーザカテーテル1010の遠位端に再び供給され、これにより、レーザカテーテルによって最近切除された血管閉塞又は血管狭窄の残りの部分を破壊するために、レーザ誘起圧力波がもう一度生成される。
[0480] 血管閉塞の残りの大部分を確実に破壊するため、また所望であれば、管腔内の層及び/又は中膜層、並びに血管閉塞を破壊するために、ステップ2745及び/又はステップ2755のように、レーザカテーテル1010がシース1120内で、遠位方向及び近位方向に繰り返し平行移動される。上記で論じたように、管腔内の層及び/又は中膜層、並びに血管閉塞を破壊することで、特に薬物溶出バルーンを用いてこうした薬物が適用されるときに、脈管構造が薬物を吸収する能力を向上させることができる。また、図19で概説したプロセスにおける任意のステップの前、途中、及び/又は後に、レーザカテーテル1010は、血管閉塞の一部を切除するために個別に使用される、又はレーザカテーテル1010はシース1120と共に使用されることを意図している。
[0481] 上記で論じたように、エミッタから液体媒体の中へ伝達する光エネルギーのパルスによって、圧力波及び/又は蒸気泡、並びに/或いはキャビテーション現象及びその結果追加的に生じる、血管閉塞の少なくとも一部を破壊する圧力波が生成される。カテーテルは、ガイドワイヤがそれを通って、血管閉塞を通過してわたることが可能な、ガイドワイヤルーメンを備える。ガイドワイヤが血管閉塞を突き抜けてわたる力を高めるために、ガイドワイヤを励起して振動させることもまた望ましい。したがって本開示はまた、液体媒体に、ガイドワイヤルーメン及び/又はガイドワイヤに向かって圧力波を伝播させる方向に、エミッタによって放射されたレーザ光エネルギーを液体媒体へ向け、その結果圧力波がガイドワイヤを励起して振動させることを、意図している。
[0482] 図27に示す方法は、方法2700のステップ2705から2755までを連続して実行されるものとして示しているが、方法2700の内のステップのうちのいずれか又はすべてのステップが、任意の順序で及び/又は他のステップのうちの任意のステップと並行してもよい。たとえば、あるステップが、他のステップを実行することなしに、実行されてもよい。ステップ2735及び/又はステップ2740を完了すると、レーザカテーテルとシースとの組合せは、オプションで、脈管構造内及びその別の部分に隣接して再配置されてもよい。同様に、ステップ2735及び/又はステップ2740を完了すると、オプションで、エミッタ(群)がシース内に再配置されてもよい。シースを脈管構造内に再配置することができ、及び/又はエミッタ(群)をシース内に再配置することができる。方法2900はまた、所望の治療結果が得られたときに処置を終了するステップ、又は血管閉塞を有する対象者を治療するために必要であれば、ステップ2905から2945のいずれかを繰り返すステップを有する。
[0483] 更に、血管閉塞の残部に薬物を送達するために、薬物溶出(被覆)バルーン(DEB又はDCB)カテーテルが使用される。DEBを使用する前にレーザ誘起圧力波を使って血管閉塞の残部を破壊すると、レーザ誘起圧力波が、(複数の)血管壁の内膜層並びに中膜層内で形成されるカルシウムを破壊するので、血管閉塞に適用される薬物の有効性を高め、それにより、脈管構造の内膜層及び中膜層、並びに/又は血管閉塞に、薬物が入るための経路が作り出される。
[0484] 本開示はまた、DEBのみならず、従来の血管形成バルーンも使って、レーザ誘起シースを使用することを意図している。たとえば、外科的処置は、レーザカテーテルを用いての粥腫切除の実施を含み、これはレーザカテーテルと組み合わせてシースを使用し、上記の図27に示すように脈管構造の石灰化部分を治療し、次いで、血管形成バルーン(又はDEB)を脈管構造の関連する部分に隣接する脈管構造に挿入し、脈管構造の関連する部分を拡張するために血管形成バルーンを拡張するものである。
[0485] 上記で論じたように、本開示のレーザカテーテル及びシースによって生成されたレーザ誘起圧力波は、血管閉塞及び/又は内膜層のカルシウムを破壊するだけでなく、本開示のカテーテルによって生成されたレーザ誘起圧力波が、(複数の)血管壁内の中膜層の石灰沈着を破壊することもできる。すなわち、脈管構造が血管閉塞を有するかどうかにかかわらず、石灰化した中膜を破砕又は改変するために、レーザ誘起圧力波が使用される。たとえば、メンケベルク硬化症としても知られている中膜の動脈石灰化を有する患者は、本開示のカテーテルを使って治療されることで潜在的利益を得ることができる。
[0486] 図28Aを参照すると、図26Aに示す動脈壁と同様の健康な動脈壁2300を示す。たとえば、図26Aの参照番号2010、2020、2030、2040、2050、及び2060は、図28Aの参照番号2310、2320、2330、2340、2350、及び2360に対応する。すなわち、参照番号2310及び2320は外膜、参照番号2330は中膜、参照番号2340は内膜、参照番号2350は内皮、及び参照番号2360は通路である。
[0487] 図28Bを参照すると、中膜層2330内に形成されたカルシウム沈着物2370を有する動脈壁2300’の断面図を示す。カルシウム沈着物は結晶凝集体として始まり、通常は中膜内のエラスチンフィブリン層に沿って凝集する。メンケベルク硬化症(一般的に内膜石灰化と呼ばれる)が進行すると、カルシウムの多層が形成され、それが血管の全周にまで影響を及ぼす恐れがある。カルシウムはまた、外膜層及び内膜層内に、径方向に延びる可能性がある。メンケベルク硬化症(内膜石灰化)は、平滑筋細胞によるカルシウムの動員によって引き起こされ、糖尿病患者、腎臓病患者、その他の代謝性又はホルモン性の不均衡を含む血管疾患を患う患者に見られる一般的な合併症に起因するが、それに限定されるものではない。中膜2330は、動脈が膨張及び収縮することを可能にする、平滑筋細胞及びエラスチン線維を有する。ただし、カルシウム沈着物2370が形成されると、動脈の伸縮能力は低下する。すなわち、中膜2330内にカルシウム沈着物2370が形成されると、動脈2300’の伸展性が低下し、更にこのような動脈を通る血流の量が潜在的に減少し、糖尿病などの他の健康状態に潜在的に悪影響を及ぼす可能性がある。この状態は、前述のようにアテローム性動脈硬化症で起こることもあれば、動脈の内腔を狭めることなく孤立した状態である可能性もある。
[0488] 本開示のカテーテル1010とシース1120との組合せは、図28Cに示すように、動脈壁2300’’の中膜2330内のカルシウム沈着物2370を破砕又は破壊する、レーザ誘起圧力波を作り出し、それによって、動脈壁の拡張を最小化又は防止しながら、動脈壁2300’’’の伸展性及びそれを通る血流を増加させることが可能である。すなわち、本開示の利点の1つは、オプションで、図28Cに示すシースが、上記の図18に示す減衰部材1124などの反射要素を備えることである。減衰部材1124、又は図18Aから図18Fに示す代替物は、減衰部材の外部での蒸気泡の形成を低減させ、又は防止し、且つ/或いはシースの膨張を最小限に抑える又は防止するようにシースを補強する。シースを補強し、且つ/又は減衰部材の外部に蒸気泡が形成されるのを低減又は防止することで、シースが動脈壁を膨張及び収縮させるのを低減又は防止し、一方では同時にレーザ誘起圧力波が動脈壁を貫通し、中膜内のカルシウム沈着物を破壊することを可能にする。
[0489] 図28Aから図28Dは、同様の数値を使用しているが、中膜内のカルシウムが形成され治療されるにつれて動脈壁内で起こる変化のために、ある図から次の図に漸次示す数値について、相異なる図が’及び∨並びにその組合せなどの相異なる指標を含む。簡潔にするために、動脈壁2300の特定の層は特定の図の説明から省略し、動脈壁2300の特定の項目の数値は特定の図から省略している。それにもかかわらず、動脈壁2300の層及びその中の構成物は、図28Aから図28Dから省略されていても、同じ数値を有すると考えるべきである。
[0490] 図29を参照すると、カルシウム沈着物を破壊して脈管構造の伸展性を高め、それによってそこを通る血流を増加させることで、中膜内のカルシウム沈着物を治療するための、レーザ誘起圧力波を生成するカテーテルを使用する方法2900を示す。この方法2900は、冠状動脈及び/又は末梢動脈の中膜内のカルシウム沈着物を治療するために使用される。図29の方法2900は、ステップ2910で対象者の脈管構造内の中膜の中の石灰化の位置を突き止めるステップを有する。次のステップ2920は、オプションで、対象者の脈管構造内にガイドワイヤを配置するステップを有する。
[0491] 脈管構造内の中膜の中の(複数の)石灰化した部分の位置を突き止めた後に、次いでステップ2930が実行される。ステップ2930は、脈管構造に、本開示のレーザカテーテル、及びレーザカテーテルを覆う本開示のシースを導入するステップを有する。ステップ2940は、シース内の減衰部材が脈管構造の石灰化した中膜を有する部分に隣接し、レーザカテーテルの遠位端が、中膜の中に(複数の)石灰化部分を有する脈管構造に隣接する減衰部材内に配置されるように、脈管構造内にシース及びレーザカテーテル(並びに、オプションでガイドワイヤ)を位置決めするステップを有する。たとえば、臨床医が、ガイドワイヤルーメンを有する本明細書に記載のレーザカテーテル1010を使用する場合、レーザカテーテルのエミッタ(群)が石灰化した中膜を有する脈管構造に隣接して配置されるように、レーザカテーテルを、ガイドワイヤを覆って、脈管構造内に摺動させる。次いで、減衰部材が中膜の中の(複数の)石灰化部分を有する脈管構造に隣接するような、脈管構造内の位置まで、レーザカテーテル1010を覆う本開示のシース1120を摺動させる。したがって、エミッタは減衰部材を備えるシースの部分内に配置されることになる。
[0492] 方法2900はまた、光吸収材料を有する液体媒体(たとえば造影剤)をレーザカテーテルの遠位端に導入するステップ2950を有し、ここでレーザカテーテルは、シース内、好ましくはシースの減衰部材を備える部分内に配置される。ステップ2960で、レーザカテーテル上のエミッタが活動化され、それによって少なくともその一部が減衰部材を含むシースを通過するレーザ誘起圧力波の形成を開始し、それにより脈管構造内の石灰化した中膜を破壊する。すなわち、圧力波は中膜の中の(複数の)石灰化部分を亀裂させる、及び/又は石灰化部分をより小さな粒子に破断する。(複数の)石灰化部分を中膜内で破壊すると、レーザ誘起圧力波は石灰化部分によって吸収されるので(複数の)石灰化部分が割れ、それによって動脈壁の伸展性が増し、それが更に血流の改善及び他の健康状態に対するプラスの影響をもたらす。
[0493] 方法2900はまた、継続的に、液体媒体をレーザカテーテルの遠位端に注入し、レーザカテーテル及び/又はシースを軸方向に平行移動させて、脈管構造の同じ部分又は他の部分の石灰化した中膜の一部を破壊するステップ2970を有する。そして、ステップ2980に示すように、十分な量の中膜のカルシウムが破壊され、動脈壁の伸展性が十分に高められるまで、方法2900のステップのいずれかが繰り返される。
[0494] 更に、図29には開示していないが、場合によっては、方法2900は、シース内に封入された少なくとも1つのエミッタに結合された少なくとも1つのエネルギー源を活動化させて、レーザ光エネルギーのパルスを放射し、液体媒体の中に送り、及び/又は液体媒体と反応させ、伝播するレーザ誘導圧力波を生成し、治療薬をシースの外部から割れ目を通って石灰化部分の中に送達するステップを有する。
[0495] 本開示の大幅な部分で、液体媒体中の造影剤と反応するとレーザ誘起圧力波を生成する、レーザエネルギーを伝達するための光ガイドとしての光ファイバを備える、レーザカテーテルを使用することを論じている。上述のように、代替の光ガイドは、液体光ガイドカテーテルを含む。図30は、粥腫切除の処置を実行すること、並びに/又は血管閉塞及び血管の組織層(たとえば、内膜層及び中膜層)内のカルシウムを破壊することの両方に使用可能な切除システム100’をもたらす、カプラ3040を介してレーザ発生器として作用するレーザ装置3103に結合される例示的な液体光ガイドカテーテル3170を示す。
[0496] やはり、切除システム100’は、レーザコントローラ175と結合されるレーザ装置3130を備える。図30のコントローラ175は、上記で図1に関して説明したコントローラと同様のものである。レーザ装置3130は、エキシマレーザ又は他の好適なレーザを含む。ある実施形態では、レーザ発生器3130は、紫外線周波数範囲内の光を生成する。一実施形態では、レーザ発生器3130は、パルス状に光エネルギーを生成する。
[0497] レーザ装置3103は、カプラ3140に結合される液体光ガイドカテーテル3170の近位端と接続される。液体光ガイドカテーテル3170は、レーザ3130からレーザエネルギーを受容し、受け取ったレーザエネルギーを液体光ガイドカテーテル3170の第1の近位端3124から液体光ガイドカテーテル3170の第2の遠位端3126に向かって移送する、1つ又は複数の移送部材を備える。液体光ガイドカテーテル3170の遠位端3126は、人体110の血管又は組織内に挿入される。
[0498] 図31を参照すると、例示的な液体光ガイドカテーテル3170を示す。カプラ3040を有することに加えて、液体光ガイドカテーテル3170はまた、液体光ガイドカテーテル3170に生体適合性流体を導入することが可能な注入ポート3050、及びユーザが液体光ガイドカテーテル3170を平行移動及び/又は回転させることを補助するハンドル3020を備える。生体適合性流体は、生理食塩水を含む。生体適合性流体はまた、或いは代替として、MgCl2、NaCl、CaClなどを含む。他の実施形態では、生体適合性流体は、たとえばCa、Mg、Mn、Ni、Cl、及び/又はCoを含む、溶液を含む。ある実施形態では、生体適合性流体は、乳酸加リンゲル液を含む。乳酸加リンゲル液は、たとえば、塩化ナトリウム(NaCl)、乳酸ナトリウム(NaC3H5O3)、塩化カルシウム(CaCl2)、及び/又は塩化カリウム(KCl)に由来する。当業者は、塩の他の組合せが使用されることを認識するであろう。ある実施形態では、塩化マグネシウム及び乳酸加リンゲル液は、308nmの波長で良好な生体適合性(たとえば、低毒性)、並びに良好な光透過特性を有する。生体適合性流体は、レーザによって生成される光の波長に合うように調整される。たとえば、重量比約15%から約60%のCaCl2の、生体適合性流体を含む導波路は、赤外線の光を十分に透過するが、紫外線領域では部分的にのみ透過する。制限なく使用される、多くの種類の生体適合性流体がある。更に、本明細書に記載の実施形態は、特定の生体適合性流体に限定されない。
[0499] 液体光ガイドカテーテル3170の本体及び/又は壁は、制限なしに任意の低屈折率材料を含む。たとえば、水の屈折率を下回る、308nmの波長で約1.4の屈折率を有する材料である。これらの材料は、たとえば、デュポン社製のテフロン(登録商標)AF2400管を含む。他の実施形態では、壁は、たとえば、Hyflon(商標)、PFA又はMFA、FEP、KEL−F、テフロン(登録商標)PFA、テフゼル、フルオン、テドラ、ECTFE、PVDF、PCTFE、FFKM、カルレッツ、バイトン、クライトックス、及び3M THV−500などの、任意のフルオロポリマーを含む。ある実施形態では、ポリエチレン、PVC、ポリカーボネート、及び/又は他のプラスチックが使用される。
[0500] 液体光ガイドカテーテル3170の遠位端3126、特に図31の線A−Aで囲まれた部分は、開放構造又は閉じた構造を含む。たとえば図31Aは、注入ポート3050を通って液体光ガイドカテーテル3170に入る生体適合性流体が、液体光ガイドカテーテル3170を通過して、遠位端3126から出るような、開放構造を示す。或いは、液体光ガイドカテーテル3170の遠位端3126は、注入ポート3050を通って液体光ガイドカテーテル3170に入る(又はカテーテルに含まれる生体適合性流体と共に予め包装された)生体適合性流体が、図31Bに示すように、液体光ガイドカテーテル3170内に残るような、閉じた構造を有する。図31B及び図31Cに示すように、液体光ガイドカテーテル3170は、したがって、生体適合性流体が液体光ガイドカテーテル3170の遠位端3126’から漏れるのを防ぐ、非多孔質で中実の又は可撓性の半透明材料3132を有する容器又は端部キャップ3128を備える。
[0501] 図32を参照すると、キットは、シース1120(本明細書で前述の)内でガイドワイヤ1130に隣接して、径方向に配置された、液体光ガイドカテーテル3126を備える。
[0502] 図33Aを参照すると、患者の脈管構造1140内でのキットを示しており、ここでキットは、シース1120内に径方向に配置され、オプションでまたシース1120内に配置されるガイドワイヤ1130に隣接する、液体光ガイドカテーテル3126を備える。このキットは、血管閉塞1150又は血管狭窄の近位方向に配置される。矢印←→で示すように、液体光ガイドカテーテル3126及びシース1120の両方が、脈管構造1140内で脈管構造に対して軸方向に平行移動することができ、また液体光ガイドカテーテル3126とシース1120が互いに対して軸方向に平行移動することができる。
[0503] 図34を参照すると、血管閉塞の一部を切除するために、液体光ガイドカテーテル3126を使用して、血管閉塞を取り除く、及び/又は液体光ガイドカテーテル3126をシース1120と共に使用して、液体媒体がある中で圧力波を生成し、血管閉塞の一部を破壊する方法3400の、代表的な流れ図を示す。方法3400は、対象者の脈管構造1140内でガイドワイヤ1130を位置決めするステップ3405、脈管構造内でガイドワイヤ1130に隣接する液体光ガイドカテーテル3126を位置決めするステップ3410、脈管構造内で液体光ガイドカテーテル3126を覆うシース1120を位置決めするステップ3415、及び対象者の脈管構造1140内で血管閉塞1150に隣接するシース1120及び液体光ガイドカテーテル3126(並びに、オプションでガイドワイヤ1130)を位置決めするステップ1220を有する。
[0504] 図33Aを再び参照すると、血管閉塞1150の近位で、且つ血管閉塞に隣接するシース1120及び液体光ガイドカテーテル3126を位置決めすることにより、液体媒体を液体光ガイドカテーテル3126の遠位方向、特に液体光ガイドカテーテル3126のエミッタの遠位方向に集めるための空隙が形成される。図33Aは、シース1120の遠位端の近位にある、液体光ガイドカテーテル3126の遠位端を示す。ただし、液体光ガイドカテーテル3126のエミッタと血管閉塞1150との間に液体媒体がある限り、液体光ガイドカテーテル3126の遠位端は、シース1120の遠位端又はその遠位端の遠位方向に配置されることが考えられる。液体光ガイドカテーテル3126及びシース1120の軸方向位置は、一方又は両方の構成部品を、互いに対して平行移動させることによって調整される。
[0505] 続けて図33Aを参照すると、シース1120及び液体光ガイドカテーテル3126が血管閉塞1150に隣接して配置されると、図34のステップ3425に示すように、液体媒体が液体光ガイドカテーテルの遠位端に導入される。続けて図34を参照すると、ステップ3430は、液体媒体がある中で圧力波を発生させるために、レーザ発生器を活動化し、液体光ガイドカテーテル3126のエミッタ(群)からレーザ光エネルギーを放射させ、そして血管閉塞の一部、特に閉塞1150の石灰化したキャップを破壊するステップを有する。液体光ガイドカテーテル3126及びシース1120は、図34のステップ3440(及びオプションで、血管閉塞の一部を切除する、図34のステップ3435)に示すように、血管閉塞1150全体を通過するために、又は血管閉塞1150の一部を破壊するために、使用される。液体光ガイドカテーテル3126及びシース1120が、血管閉塞1150の一部を破壊するために使用されるにすぎない場合、ガイドワイヤ1130が血管閉塞1150を貫通し、通過する。たとえば図33Bは、血管閉塞1150を貫通するガイドワイヤ1130、及び血管閉塞1150を通過する液体光ガイドカテーテル3126を示す。
[0506] 図33Cを参照して、液体光ガイドカテーテル3126及びシース1120が、血管閉塞1150’の一部を破壊するために使用されるにすぎないとすると、液体光ガイドカテーテル3126がシース1120なしに血管閉塞1150を通過するために使用される。図34のステップ3445を参照すると、シース1120が血管閉塞の近位に留まりながらも、液体光ガイドカテーテル3126がガイドワイヤ1130に沿って血管閉塞1150’を貫いて通過するとき、液体媒体の注入は中断され、液体光ガイドカテーテル3126は血管閉塞を切除するために使用される。
[0507] 血管閉塞全体が液体光ガイドカテーテル3126によって通過されるとき、液体光ガイドカテーテル3126によって形成された開口は、シース1120が遠位方向に且つ血管閉塞を貫いて平行移動するのに十分な広さでなければならない。この時点で、シース1120の遠位端と液体光ガイドカテーテル3126の遠位端の両方が、血管閉塞の遠位側にあるはずである。この時点で図33Cを参照すると、シース1120が血管閉塞1150に対して静止したままである間に、液体光ガイドカテーテル3126は、シース1120内で近位方向に平行移動することができる。液体媒体を液体光ガイドカテーテル3126の前のシース1120に導入するとき、レーザが活動化され、それによってレーザエネルギーを液体光ガイドカテーテル3126のエミッタ(群)から放射し、液体媒体がある中で圧力波を生成する。圧力波の少なくとも一部は、径方向に向けられ、液体光ガイドカテーテル3126がシース1120内で近位方向に平行移動するにつれて、圧力波がシース1120を通って伝達され、且つ/又はシース1120自体が伸縮し、それによって、血管閉塞1150’の残りを破壊する。
[0508] 血管閉塞1150’の残りの大部分を確実に破壊するため、また所望であれば、管腔内の(つまり内膜)層及び/又は中膜層、並びに血管閉塞を破壊するために、図34のステップ3450に示すように、液体光ガイドカテーテル3126がシース1120内で、遠位方向及び近位方向に繰り返し平行移動される。上記で論じたように、管腔内の層及び/又は中膜層、並びに血管閉塞を破壊することで、特に薬物溶出バルーンを用いてこうした薬物が適用されるときに、脈管構造が薬物を吸収する能力を高めることができる。また、図34で概説したプロセスにおける任意のステップの前、途中、及び/又は後に、液体光ガイドカテーテル3126は、血管閉塞の一部を切除するために個別に使用される、又は液体光ガイドカテーテル3126はシース1120と共に使用されることを意図している。
[0509] たとえば図36は、シース1120(図18に示す)と共に液体光ガイドカテーテル3126(図31に示す)を使用して、粥腫切除の処置を実施し、内膜内の血管閉塞の残りを治療し、液体媒体がある中で圧力波を生成して血管閉塞の一部を破壊することによって、プラークの蓄積又は閉塞性疾患を除去する方法2700である。図36の方法は、図27の方法と同様のものであるが、図36の方法は、レーザカテーテルよりもむしろ、図35Gに示すような液体光ガイドカテーテル3126を使用する。図36の方法3600は、ステップ2605で対象者の血管内の血管閉塞の位置を突き止めるステップを有する。オプションである次のステップ3610は、ガイドワイヤを血管閉塞に配置し、且つ/又はガイドワイヤを、血管閉塞を通して又は血管閉塞を通過する通路を通して挿入するステップを有する。ステップ3615は、プラーク又は閉塞、或いはその一部を除去するために、液体光ガイドカテーテル又は他の(複数の)切除カテーテルを使用して、粥腫切除の処置を実行するステップを有する。
[0510] 引き続き図36を参照すると、血管閉塞(又はその一部)が脈管構造から除去された後、次いでステップ3620が実行される。ステップ3620は、対象者の脈管構造内の液体光ガイドカテーテル3126を覆う本開示のシース1120を位置決めし、それに続くステップ3625では図35Hに示すように、シース1120及び液体光ガイドカテーテル3126を血管閉塞に隣接して位置決めするステップを有する。ステップ3625はまた、図35H’に示すように、シース1120及び液体光ガイドカテーテル3126を、血管閉塞(又はその残り)に隣接するよう位置決めするステップを有する。液体光ガイドカテーテル3126及びシース1120の軸方向位置は、一方又は両方の構成部品を、互いに対して平行移動させることによって調整される。特に、シース1120は、シース1120の遠位端を越えて延在する液体光ガイドカテーテル3126を図示する、図35Hに示す位置から、図35H’に示す、液体光ガイドカテーテル3126及びシース1120の軸方向位置へ平行移動され、ここでエミッタ(群)がシース1120の減衰部材内にあり、且つ減衰部材及び血管閉塞の残りの両方と軸方向に整列され、シース及び反射要素の対応する部分が血管閉塞(又はその残り)に隣接する。
[0511] シース1120及び液体光ガイドカテーテル3126が血管閉塞に隣接して配置されると、その結果図35H’に示すように、エミッタ(群)及び減衰部材が血管閉塞に隣接して軸方向に整列され、図36のステップ3630に示すように、液体媒体が液体光ガイドカテーテル3126の遠位端に導入される。引き続き図36を参照すると、ステップ3635は、液体媒体がある中で圧力波を生成するために、レーザなどのエネルギー源を活動化させ、血管閉塞の一部を破壊するステップを有する。液体光ガイドカテーテル3126及びシース1120は、血管閉塞全体を通過するか、又は血管閉塞の一部を破壊するためにのみ使用される。すなわち、液体光ガイドカテーテル3126及びシース1120は、血管閉塞の一部を破壊するために圧力波を放射しながら、他のものに対して軸方向に(図35H及び図35H’に示す位置の間)、及び/又は他のものと一緒に動く。液体光ガイドカテーテル3126及びシース1120が、血管閉塞の一部を破壊するために使用される場合、ステップ3640で示すように、ガイドワイヤ1130が閉塞を貫通し、通過する。
[0512] シース1120によって囲まれている、レーザカテーテルの少なくとも1つのエミッタに結合された少なくとも1つのエネルギー源を活動化させ、レーザ光エネルギーのパルスを放射し、液体媒体に送り、及び/又は液体媒体と反応させて、伝播するレーザ誘起圧力波を生成し、血管閉塞の残りの部分を破壊する。血管閉塞の残りの部分、特に血管閉塞内の任意の石灰化部分を破壊すると、石灰化部分に亀裂が生じ、及び/又は石灰化部分のサイズが小さくなる。というのも、レーザ誘起圧力波が石灰化部分を破壊し、それにより隣接する領域が減少するように、石灰化部分を砕き、且つ/又は石灰化粒子の大きさを寸断するからである。場合によっては、方法3600は、シース内に封入された少なくとも1つのエミッタに結合された少なくとも1つのエネルギー源を活動化させて、レーザ光エネルギーのパルスを放射し、液体媒体の中に送り、及び/又は液体媒体と反応させ、伝播するレーザ誘導圧力波を生成し、治療薬をシースから血管閉塞の残りの部分及び/又は閉塞付近の血管組織に送達する、追加のステップ(図示せず)を有する。
[0513] ステップ3635(及び場合によっては3640)を実施後、ステップ3645が実施される。ステップ3645は、液体光ガイドカテーテル3126とシース1120との組合せの間の間隙内へ液体媒体を継続的に注入し、それによって液体光ガイドカテーテル3126がシース1120内で、その遠位端の近位に留まりながら、レーザ誘起圧力波で血管閉塞を破壊し続けるステップを有する。或いは、ステップ3650に示すように、シース1120が閉塞の近位に留まりながらも、液体光ガイドカテーテル3126がガイドワイヤ1130に沿って閉塞を通過するとき、液体媒体の注入は中断され、液体光ガイドカテーテル3126は血管閉塞を切除するために使用される。すなわち、液体光ガイドカテーテル3126とシース1120との間の液体媒体の導入を終了し、液体光ガイドカテーテル3126をシース1120の遠位端を越えて延在させ、その結果液体光ガイドカテーテル3126が追加の粥腫切除を行うことができる。追加の粥腫切除の処置が行われた後、液体光ガイドカテーテル3126の遠位端はシース1120の遠位端内の位置に戻り、液体媒体は再びシース1120内の液体光ガイドカテーテル3126の遠位端に供給され、それにより、レーザ誘起圧力波をもう一度発生させ、レーザカテーテルによって最近切除された血管閉塞又は血管狭窄の残りの部分を破壊する。血管閉塞の残りの大部分を確実に破壊するため、また所望であれば、管腔内の層及び/又は中膜層、並びに血管閉塞を破壊するために、ステップ3645及び/又はステップ3655のように、液体光ガイドカテーテル3126がシース1120内で、遠位方向及び近位方向に繰り返し平行移動される。図36に示す方法は、方法3600のステップ3605から3655までを連続して実行されるものとして示しているが、方法3600内のステップのうちのいずれか又はすべてのステップが、任意の順序で及び/又は他のステップのうちの任意のステップと並行してもよい。
[0514] 上記で説明した図26Aから図26Fは、内膜の中の血管閉塞の形成を示す。また図26Gは、内膜の陰に含まれているプラークの蓄積を剥離又は除去するために使用されるレーザカテーテルを示す。簡潔にするために、図26Aから図26Fは、図35Aから図35Fと同じものではない。レーザカテーテルの代わりに液体光ガイドカテーテル3126を使用して、内膜の陰に含まれるプラークの蓄積を剥離又は除去することができるので、図35Gは、血管閉塞2080∨の一部を切除するための脈管構造の中の液体光ガイドカテーテル3126を具備することによって、この方法のステップを実行する、液体光ガイドカテーテル3126を示す。
[0515] プラークの蓄積又は閉塞性疾患を剥離した後、図35Hに示す通り、以前に説明したように、レーザ誘起圧力波を生成することで、特に石灰化部分2085∨’’を破壊することによって、プラークの蓄積2065’’’又は血管閉塞2080∨’の残りの部分を治療し、図35Iに示すような動脈壁2000∨’’の状態を治療するために、本開示の液体光ガイドカテーテル3126及びシース1120の組合せが使用される。図35Iは、拡大した通路2060∨’’を有する動脈壁2000∨’’を示し、プラーク2065’’’又は血管閉塞2080∨’’の大部分が除去され、内膜2040∨’’の石灰化を含む血管閉塞の残った部分の石灰化は、破砕され改変されたことで、より低い気圧で通路をより拡張させる余地がある。
[0516] 液体光ガイドカテーテル3126及びシース1120は、内膜内のカルシウムを破壊するために使用できるだけでなく、レーザカテーテルと同様に、液体光ガイドカテーテル3126及びシース1120は、中膜のカルシウムを破壊するためにも使用できる。図38を参照すると、カルシウム沈着物を破壊して脈管構造の伸展性を高め、それによってそこを通る血流を増加させることで、中膜内のカルシウム沈着物を治療するための、レーザ誘起圧力波を生成する液体光ガイドカテーテル3126を使用する方法3600を示す。この方法3800は、冠状動脈及び/又は末梢動脈の中膜内のカルシウム沈着物を治療するために使用される。図38の方法3800は、ステップ3810で対象者の脈管構造内の中膜の中の石灰化の位置を突き止めるステップを有する。次のステップ3820は、オプションで、対象者の脈管構造内にガイドワイヤを配置するステップを有する。
[0517] 脈管構造内の中膜の中の(複数の)石灰化した部分の位置を突き止めた後に、次いでステップ3830が実行される。ステップ3830は、脈管構造に本開示の液体光ガイドカテーテル3126、及び液体光ガイドカテーテル3126を覆う本開示のシース1120を導入するステップを有する。ステップ3840は、シース内の減衰部材が脈管構造の石灰化した中膜を有する部分に隣接し、液体光ガイドカテーテルの遠位端が、中膜の中に(複数の)石灰化部分を有する脈管構造に隣接する減衰部材内に配置されるように、脈管構造内にシース及び液体光ガイドカテーテル3126(並びに、オプションでガイドワイヤ)を位置決めするステップを有する。たとえば、臨床医は、液体光ガイドカテーテル3126のエミッタ(群)が、図37Cに示すように、石灰化した中膜を有する脈管構造に隣接して配置されるように、ガイドワイヤに隣接して、脈管構造内へ、液体光ガイドカテーテル3126を摺動させる。次いで、減衰部材が中膜の中の(複数の)石灰化部分を有する脈管構造に隣接するような、脈管構造内の位置まで、液体光ガイドカテーテル3126を覆う本開示のシース1120を摺動させる。したがってエミッタは、シースの減衰部材を備える部分内に配置される。
[0518] 方法3800はまた、ステップ3850を有し、ステップ3850は光吸収材料を有する液体媒体(たとえば造影剤)を液体光ガイドカテーテル3126の遠位端に導入し、ここで液体光ガイドカテーテル3126は、シース内、好ましくはシースの減衰部材を備える部分内に配置される、ステップを有する。ステップ3860において、液体光ガイドカテーテル3126上のエミッタが活動化され、それによってレーザエネルギーを液体媒体の中に放射し、少なくともその一部が減衰部材を備えるシースを通過するレーザ誘起圧力波の形成を開始する。それにより、レーザ誘起圧力波は、脈管構造内の石灰化した中膜を破壊する。すなわち圧力波は、図37Dに示すように、中膜の中の(複数の)石灰化部分を亀裂させる、及び/又は石灰化部分をより小さな粒子に破断する。(複数の)石灰化部分を中膜内で破壊すると、レーザ誘起圧力波は石灰化部分によって吸収されるので(複数の)石灰化部分が割れ、それによって動脈壁の伸展性が増し、それが更に血流の改善及び他の健康状態に対するプラスの影響をもたらす。
[0519] 方法3800のステップ3870は、継続的に、液体媒体を液体光ガイドカテーテルの遠位端に注入し、液体光ガイドカテーテル及び/又はシースを軸方向に平行移動させて、脈管構造の同じ部分又は他の部分の石灰化した中膜の一部を破壊するステップを有する。そして、ステップ3880に示すように、十分な量の中膜のカルシウムが破壊され、動脈壁の伸展性が十分に高められるまで、方法3800のステップのいずれかが繰り返される。
[0520] 更に、図38には開示していないが、場合によっては、方法3800は、シース内に封入された少なくとも1つのエミッタに結合された少なくとも1つのエネルギー源を活動化させて、レーザ光エネルギーのパルスを放射し、液体媒体の中に送り、及び/又は液体媒体と反応させ、伝播するレーザ誘導圧力波を生成し、治療薬をシースの外部から割れ目を通って石灰化部分の中に送達するステップを有する。
[0521] 図39を参照すると、液体光ガイドカテーテル組立体4008及びシース組立体4004を備えるキット4000を示す。シース組立体4004はまた、液体光ガイドカテーテル組立体4008に対するその配置のために、外側シース組立体4004と呼ばれる。図40は、図39に図示するシース組立体4004を示し、図41は、図39に示す液体光ガイドカテーテル組立体4008を示す。シース組立体4004は、近位端部分、遠位端部分4040、及び140cmを含む約50cmから200cmの間の作業長を有するシース4012、並びにそのような端部間に延在するルーメン4024を備える。シース4012はまた、液体光ガイドカテーテル組立体4008に対するその配置のために、外側シース4012と呼ばれる。図40Aに、遠位端部分4040のさらなる詳細を示す。外側シース4040の近位端は、ルアー継手4020によってシース4012に連結された分岐部4016(又はYコネクタ)を備える。分岐部4016は、一方向(たとえば軸方向)に延在する管4028、及び管4028からずれた方向に延在する別の管4032を備える。管4028は、ガイドワイヤ(図示せず)がそれを通ってシース組立体4004の近位端に入る開口4024を有する。管4028はまた、開口4024に、又は開口4024に隣接する、止血弁を備える。ガイドワイヤは、内部のルーメンを通ってシース組立体4004の近位端からシース組立体4004の遠位端まで延在することができる。管4032は、それを通って液体媒体がシース組立体4004に入る、活栓4036を備える。
[0522] 図40A、図40B、図40C及び図40C’を参照すると、それを通るルーメン4024を備えるシース組立体4004の、遠位端部分4040の拡大図を示す。シース組立体4004の遠位端部分4040は、シース4012(又は外筒)、シース4012内に径方向又は同心円状に配置された内側ライナ4096、シース4012の遠位端の周りに配置された外側バンド4072(図40C)、及び外側バンド4072の遠位方向に配置されたテーパ付けされた先端部4076を備える。或いは、外側バンド4072’は、外側シース(又は被筒)4012’が外側バンド4072’を覆うように(図40C’)、シース4012’の遠位端内に一体的に配置される。また、シース4012の遠位端部分4040では、減衰部材が内部に形成されている。減衰部材は、シース4012の全長内に備えられる、又は遠位端部分4040にのみ備えられる。シース4012の長さが140センチメートルであると仮定すると、減衰部材を備える遠位端部分4040の長さは0.010センチメートルから10.0センチメートルの間であり、これはシース4012の長さの0.05パーセントから20.0パーセントの間であることを示す。
[0523] 減衰部材は、シース4012内に、フラットワイヤから一体的に形成された1つ又は複数のコイル4068を備える。図47にフラットワイヤの例を示し、ここでフラットワイヤの断面幅(X)は0.005インチであり、フラットワイヤの断面高(Y)は0.001インチである。フラットワイヤは、304ステンレス鋼などのステンレス鋼、又は他の種類の金属若しくは金属合金で構成される。更にフラットワイヤは、0.001インチから0.010インチの間の断面幅(X)及び0.0005インチから0.015インチの間の断面高(Y)などの代替寸法で構成されることが好ましい。或いは、フラットワイヤの代わりに、0.0005インチから0.015インチの間の直径を有する丸型ワイヤを使用することが好ましい。
[0524] 本明細書で論じられるように、減衰部材の全面積に対する減衰部材の開口面積の比は、30パーセントから70パーセントの間、場合によっては40パーセントから60パーセントの間、更に場合によって45、46、47、48、49、50、51、52、53、54又は55パーセントなどの45パーセントから55パーセントの間など、特定の範囲内であることが望ましい。丸型ワイヤを使用してもコイル4068は作成されるが、フラットワイヤを使用してコイル(群)4068を構成すると、フラットワイヤの高さがフラットワイヤの幅よりも小さいので、全体的により薄い長手方向の断面形状を有し、一方でワイヤ1巻当りの開口面積の量を減少させた減衰部材を実現する。フラットワイヤの幅は、減衰部材の全面積に対して減衰部材のための所望の開口面積比をもたらし、一方材料の高さは、壊れることなくレーザ誘起圧力波に耐えるよう、コイル(群)の強度を高める。言い換えれば、長手方向の断面形状が小さいほど、シース組立体の全体の直径が小さくなり、それによって、キットがより小さなサイズの脈管構造に入ることが可能になり、一方、レーザ誘起圧力波を吸収及び減衰するのに十分な強度及び剛性が維持される。
[0525] 減衰部材の開口面積比を決定する3つの要因、(1)フラットワイヤの幅(又は丸型ワイヤの直径)、(2)ワイヤの巻線数、及び(3)ワイヤの巻線それぞれの間の間隙がある。減衰部材の所望の割合の開口面積に対して、これらの要因のうちの2つが決定されると、第3の要因を解決することができる。減衰部材において一定の割合の開口面積を維持するために、巻線数とフラットワイヤの幅(又は丸型ワイヤの直径)との間には逆の関係がある。すなわち、減衰部材の一定の割合の開口面積に対して、1インチ当りの必要な巻線数は、より広い幅を有するワイヤでは減少し、1インチ当りの必要な巻線数は、より狭い幅を有するワイヤでは増加する。更に、1インチ当りの巻線数とワイヤの巻線間の間隙との間にもまた逆の関係がある。すなわち、所定のワイヤサイズを使用する減衰部材内の一定の割合の開口面積に対して、(複数の)ワイヤ間の間隙が小さいほど1インチ当りの巻線数は増加する。更に、ワイヤ間の間隙の大きさと減衰部材の開口面積の量との間には正の関係がある。すなわち、所与のワイヤ幅に対して、各巻線間の間隙が大きいほど、減衰部材内の開口面積が大きくなり、各巻線間の間隙が小さくなるにつれて、減衰部材内の開口面積が小さくなる。
[0526] たとえば、減衰部材が幅0.005インチ×厚み0.001インチで、30パーセントから70パーセントの間の所望の開口面積を有するフラットワイヤで構成されると仮定すると、減衰部材は1インチ当り約75巻から125巻の間の巻線(又は旋回)を有する。具体的には、0.005インチ幅のフラットワイヤの、各巻線間の間隙が約0.008インチであれば、約61.5パーセントの開口面積が生じ、0.005インチ幅のフラットワイヤの、各巻線間の間隙が約0.003インチであれば、約37.5パーセントの開口面積が生じる。更に、幅0.005インチのフラットワイヤの、各巻線間に約0.005インチの間隙があると、約50パーセントの開口面積が生じる。したがって、減衰部材は、減衰部材内の開口面積の量、ワイヤのサイズ(すなわち幅)、及びワイヤの各巻線間の間隙に応じて、フラットワイヤ1インチ当り75巻から125巻(又は旋回)の間、フラットワイヤ1インチ当り80巻から120巻の間、フラットワイヤ1インチ当り85巻から115巻の間、フラットワイヤ1インチ当り90巻から110巻の間を減衰部材が含むようなフラットワイヤで構成される。したがって、減衰部材が、フラットワイヤ1インチ当り約75巻、80巻、85巻、90巻、95巻、100巻、105巻、110巻、115巻、120巻、又は125巻を含むこともまた好ましく、ここでフラットワイヤは、フラットワイヤの幅(X)がシース4012の長手方向軸と平行に、フラットワイヤの高さ(Y)がシース4012の長手方向軸と垂直になるように巻かれる。更に、減衰部材が0.004インチ幅のフラットワイヤを使用して30パーセントから70パーセントの間の所望の開口面積を有することが望ましい場合、巻線間の間隙はそれぞれ0.0017インチから0.0093インチの間である。これらは例であり、本開示の範囲を限定しないものとする。というのは、0.0002インチから0.010インチ幅及び0.0005インチから0.002インチ高の寸法を有するフラットワイヤ、並びに0.0005インチから0.010インチの間の直径を有する丸型ワイヤをもつことが望ましいからである。ワイヤサイズのこれらの範囲に対して、減衰部材内に所望の開口面積を作り出すために、(複数の)巻線間の間隙と長さ(インチ)当りの巻線数を、それに応じて調整することができる。
[0527] シース4012を、内部に配置された減衰部材と共に形成すると、シース4012の壁の厚さが0.002から0.015インチの間になるように、シース4012は0.010から0.200インチの間の内径及び約0.014インチの外径を有する。シース4012は、ナイロン−12などのポリマー材料で構成される。上記のように、遠位端部分4040はまた、シース4012内に径方向に又は同心円状に配置された内側ライナ4096を備える。内側ライナ4096は、0.0005インチ、0.0006インチ、0.0007インチ、0.0008インチ、0.0009インチ、0.001インチ、0.0015インチ、0.002インチ、0.00025インチ、0.003インチ、0.0035インチ、0.004インチ、0.0045インチ、0.005インチ、0.0055インチ、0.006インチ、0.0065インチ、0.007インチ、0.0075インチ、0.008インチ、0.0085インチ、0.0090インチ、0.0095インチ、及び0.010インチなどの、0.0005インチから0.010インチの間の厚さを有するポリイミドなどのポリマーで構成される。
[0528] やはり、シース組立体4004の遠位端部分4040は、シース4012の遠位端の周りに配置されたマーカバンドとも呼ばれる外側バンド4072、及び外側バンド4072の遠位方向に配置されたテーパ付けされた先端部4076を備える。外側バンド4072は、白金イリジウム合金などの高度なX線造影材料、又は硫酸バリウム、亜炭酸ビスマス、三酸化ビスマス、又はタングステンなどのX線造影材料でドーピングされたポリマーで構成される。テーパ付けされた先端部4076は、シース4012と同じ材料、又はペバックス、ポリスルホン、HDPE、LDPE、UHMWPE、ポリプロピレン、ポリオレフィン、カルボタン、ポリウレタン、スラリン、アイオノマー、エスタン、EPTFE、PTFE又はFEPなどの代替材料で構成される。したがって、テーパ付けされた先端部4076は、シース4012と一体的に、又は別個の構成部品として形成される。テーパ付けされた先端部4076の周囲は、その近位端からその遠位端まで、径方向に内側に、1度、2度、3度、4度、5度、6度、7度、8度、9度、又は10度など、1度から10度の間で先細になっている。
[0529] 特に、内側ライナ4096がシース組立体4004の遠位端4040から省かれている場合、テーパ付けされた先端部4076の内径は、シース4012の内側ライナ4096の内径よりわずかに小さいことがまた好ましい。たとえば、キット4000の遠位端での液体媒体の漏出が最小限に抑えられるか又は低減されるように、テーパ付けされた先端部4076が、シース組立体4004と液体光ガイドカテーテル組立体4008との間の境界面を密封することが好ましい。液体光ガイドカテーテル組立体4008の5フレンチサイズの液体光ガイドカテーテル4080が、約0.056インチの外径を有する場合、テーパ付けされた先端部4076の内径は約0.057インチであることが好ましく、それによって、液体光ガイドカテーテル4080とテーパ付けされた先端部4076との間に、約0.0005インチの径方向距離又は間隙を残す。本開示の目的では、約0.0005インチは、0.0001インチから0.001インチを意味する。更に、液体光ガイドカテーテル組立体4008の6フレンチサイズの液体光ガイドカテーテル4080が、約0.069インチの外径を有する場合、テーパ付けされた先端部4076の内径は約0.070インチであることが好ましく、それによって、液体光ガイドカテーテル4080とテーパ付けされた先端部4076との間に、約0.0005インチの距離又は間隙を残す。上述の実施形態は、液体光ガイドカテーテル4080とテーパ付けされた先端部4076との間に約0.0005インチの間隙を有するが、このような間隙は0から0.002インチの間であってもよく、それでもなお十分な密封を行う。
[0530] 液体光ガイドカテーテル4080と(シース4012の)内側ライナ4096との間の間隙は、好ましくは、液体光ガイドカテーテル4080とテーパ付けされた先端部4076との間の間隙よりも大きく、それによって液体媒体が、液体光ガイドカテーテル4080と内側ライナ4096との間のそのような間隙に入ることを可能にするであろう。たとえば、約0.056インチの外径を有する、液体光ガイドカテーテル組立体4008の5フレンチサイズの液体光ガイドカテーテル4080では、内側ライナ4096の内径は約0.0615インチであることが好ましく、それによって、液体光ガイドカテーテル4080と内側ライナ4096との間に、約0.00275インチの径方向距離又は間隙を残し、これは、液体光ガイドカテーテル4080とテーパ付けされた先端部4076との間の間隙の約5倍の間隙である。約0.069インチの外径を有する、液体光ガイドカテーテル組立体4008の6フレンチサイズの液体光ガイドカテーテル4080については、内側ライナ4096の内径は約0.0745インチであることが好ましく、それによって、液体光ガイドカテーテル4080と内側ライナ4096との間に、約0.00275インチの距離又は間隙を残し、これは、液体光ガイドカテーテル4080とテーパ付けされた先端部4076との間の間隙の約5倍の間隙である。したがって、内側ライナ4096内のルーメンの直径は、テーパ付けされた先端部4076内のルーメンの直径より大きい。上述の実施形態は、液体光ガイドカテーテル4080と内側ライナ4096との間に約0.00275インチの径方向の間隙を含むが、そのような径方向の間隙は約0.001インチから0.010インチの間であり、それでもなお径方向の間隙に入って、レーザ光エネルギーに曝されると所望の圧力波を生成するのに十分な量の液体媒体を供給する。
[0531] 図41及び図41Aを参照すると、図39に示す液体光ガイドカテーテル組立体4008を示す。図41の液体光ガイドカテーテル組立体は、図31の液体光ガイドカテーテル組立体と同様である。液体光ガイドカテーテル組立体4008は、液体光ガイドカテーテル4080、三分岐管4044、(ガイドワイヤを挿入するための)ルアーアダプタ4048、注入ポート4005を備え、これは生体適合性流体を液体光ガイドカテーテル、それに取り付けられたカプラ4056を有する別のシース4052に、導入することができる。カプラ4056は、やはりThe Spectranetics Corporationによって製造されている、CVX−300エキシマレーザシステムなどのレーザシステムに結合される。シース4052は、カプラ4056に結合されており、シース4052は、三分岐管4044及び液体光ガイドカテーテル4080を通過する光ファイバ束を包み込んでいる。カプラ4056は、光ファイバ束を包み込み、又は組み込むように構成されている。三分岐管4044は、シース4080の近位端に結合される。更に、ルアーアダプタ4048はまた、分岐管4044の近位端に結合され、それによって、ガイドワイヤが液体光ガイドカテーテル組立体4008に入りそしてそれを通過するための入口点を設ける。液体光ガイドカテーテル組立体4008の遠位部分4060は、X線造影外側バンド4084、及びX線造影外側バンド4084の遠位方向に配置された1つ又は複数のエミッタ(群)4088を備え、ここでのエミッタ(群)4088は、液体光ガイドカテーテル4080内の液体の遠位端の複数の遠位端である。
[0532] 図42を参照すると、たとえば、液体媒体のある中でレーザ誘起圧力波を発生させ、血管閉塞の一部を破壊するために、シース組立体4004と共に液体光ガイドカテーテル組立体4008を使用し、粥腫切除の処置を行い、内膜内の残りの血管閉塞を治療することによって、プラークの蓄積又は閉塞性疾患を除去するための、液体光ガイドカテーテル組立体4008(図41に示す)及びシース組立体4004(図40に示す)を備えるキット4000(図39に示す)を使用する方法4200のステップを例示するフローチャートを示す。この方法4200は、脚部の脈管構造の動脈、腎動脈、鎖骨下動脈などを含むがこれらに限定されない、冠状動脈及び/又は末梢動脈を治療するために使用される。図42の方法4200は、ステップ4205で対象者の脈管構造(又は血管)内の血管閉塞の位置を突き止めるステップを有する。オプションである次のステップ4210は、ガイドワイヤ4092を血管閉塞に配置し、且つ/又はガイドワイヤ4082を、血管閉塞を通して又は血管閉塞を通過する通路を通して挿入するステップを有する。ステップ4215は、ガイドワイヤ4092を覆う粥腫切除デバイスを患者の脈管構造内に挿入するステップを有する。粥腫切除デバイスの1種は、血管閉塞の少なくとも一部を切除することができる、本明細書で論じる液体光ガイドカテーテル組立体4008などの、切除カテーテルである。他の種類の切除カテーテルは、高周波切除カテーテル、マイクロ波切除カテーテル、及び凍結切除カテーテルを含む。機械的粥腫切除デバイスなど、切除カテーテル以外の粥腫切除デバイスもまた、血管閉塞を除去するために使用される。液体光ガイドカテーテル組立体4008が粥腫切除デバイスとして使用されると仮定すると、シース組立体4004はまた、液体光ガイドカテーテル組立体4008と同時に、又は液体光ガイドカテーテル組立体4008を患者の脈管構造内に導入する前若しくは後などに順次、患者の脈管構造内に導入される。
[0533] 液体光ガイドカテーテル組立体4008及びシース組立体4004、特に液体光ガイドカテーテル4080及びシース4012がそれぞれ、患者の脈管構造内に配置されるとき、ステップ4220で、液体光ガイドカテーテル4080はシース4012の遠位端を超えて、血管閉塞に隣接するよう配置される。キット4000を使用する臨床医は、液体光ガイドカテーテル組立体4008、特にエミッタ(群)4088がシース組立体4004の遠位端4040を超えて血管閉塞に隣接して配置されていると判断することができるであろう。というのも、液体光ガイドカテーテル4080のX線造影外側バンド4084は、図39Aに示すように、シース組立体4004の外側バンド4072の遠位にあるものとして蛍光透視法の下で示されることになるからである。この時点でステップ4225は、図35G、図35H、及び/又は図35H’に示すように、レーザ光エネルギーをそこに供給し、血管閉塞(又はその一部)を切除するなど、エミッタ(群)4088を活動化させることによって開始され、ここで、液体光ガイドカテーテル組立体4008及びシース組立体4004は、図35G、図35H及び/又は図35H’において、それぞれシース1120及びカテーテル3126に置き換わる。
[0534] 血管閉塞(又はその一部)が脈管構造から除去された後、次いでステップ4230が実行される。ステップ4230は、図35H’における、シース1120及び液体光ガイドカテーテル3126がそこに所在するやり方と同様に、対象者の脈管構造内に、且つ血管閉塞に隣接するよう、液体光ガイドカテーテル組立体4008を覆うシース組立体4004を位置決めする、特に液体光ガイドカテーテル4080を覆うシース4012を位置決めするステップを有する。液体光ガイドカテーテル4080及びシース4012の軸方向位置は、一方又は両方の構成部品を、図35Hに示す位置と図35H’に示す位置との間、又はその間の任意の(複数の)位置で、互いに対して前後に平行移動させることによって調整される。明確にするために、図39A及び図39Bは、図35Hのカテーテル3126及びシース1120が液体光ガイドカテーテル4080及びシース4012に置き換えられる場合の、これらの図の液体光ガイドカテーテル組立体4040及びシース組立体4004、特に液体光ガイドカテーテル4080及びシース4012が、脈管構造内でどのように配向されるかに対応するものであり、図39B’は、図35H’のカテーテル3126及びシース1120が、液体光ガイドカテーテル4080及びシース4012に置き換えられる場合の、その図の液体光ガイドカテーテル4080及びシース4012が脈管構造内でどのように配向されるかに対応するものである。特に、液体光ガイドカテーテル4080及び外側シース4008の軸方向位置は、エミッタ(群)4088がシース4012の減衰部材4068内にあり、且つシース4012及び減衰部材4068の対応する部分が血管閉塞(又はその残り)に隣接するように、軸方向に整列される。すなわち、ステップ4230は、対象者の脈管構造内で、血管閉塞に隣接する、液体光ガイドカテーテル4080を覆うシース4012の位置決めを行うステップを有し、その結果そのエミッタ(群)4088を有する液体光ガイドカテーテル組立体4008の遠位端4060は、シース組立体4008の遠位端4040内にあり、したがって、エミッタ(群)4088はシース組立体4004の減衰部材4068内にあり、液体光ガイドカテーテル組立体4008の外部バンド4084は図39B’(及び図35H’)に示すように、シース組立体4004のX線造影外部バンド4072の近位にある。
[0535] シース組立体4004及び液体光ガイドカテーテル組立体4008の遠位部分4040、4060が、血管閉塞に隣接して配置されると、その結果エミッタ(群)4088及び減衰部材4068が血管閉塞に隣接して軸方向に整列され、図42のステップ4235に示すように、液体媒体が液体光ガイドカテーテル組立体4008の遠位端4060に導入される。液体媒体は、シース組立体4004の近位端にある管4032及び/又は活栓4036を通して、キット4000に導入される。引き続き図42を参照すると、ステップ4240は、液体媒体がある中でレーザ誘起圧力波を生成するために、レーザなどのエネルギー源を活動化させ、血管閉塞の一部を破壊するステップを有する。液体光ガイドカテーテル組立体4008及びシース組立体4004の遠位端4040、4060は、血管閉塞全体を通過するか、又は血管閉塞の一部のみを破壊するために使用される。すなわち、液体光ガイドカテーテル組立体4008及びシース組立体4004、特にそのそれぞれの遠位部分4040、4060は、血管閉塞の一部を破壊するためにレーザ誘起圧力波を放射しながら、他のものに対して軸方向に、及び/又は一緒に動く。エミッタ(群)4088を活動化させている間、液体媒体がキット4000の遠位端4010に導入され続けるので、シース組立体4004が静止したままである間に液体光ガイドカテーテルアセンブリ4008をシース組立体4004内で平行移動させることが望ましい。たとえば、液体光ガイドカテーテル組立体4008を、シース組立体4004内で、近位方向に0.5mm/秒から約5mm/秒の間の速度で、特に4.5mm/秒、4.0mm/秒、3.5mm/秒、3.0mm/秒、2.5mm/秒、2.0mm/秒、1.5mm/秒又は1mm/秒以下の速度で、軸方向に移動させることによって、液体光ガイドカテーテル組立体4008をシース組立体4004内に後退させることが望ましい。液体光ガイドカテーテル組立体4008をシース組立体4004内で近位方向に移動させることに加えて、液体光ガイドカテーテル組立体4008を、エミッタ(群)4088をシース組立体4008の遠位端4040の近位に維持しながら、シース組立体4004内で遠位方向に移動させる。明確にするために、エミッタ活動化中、並びにカルシウムを破壊するためのシース組立体4008の近位方向及び遠位方向の移動中、エミッタ(群)4088はシース組立体4008の遠位端4040内にあり、その結果、エミッタ(群)4088はシース組立体4004の減衰部材4068内にあり、液体光ガイドカテーテル組立体4008の外側バンド4084は、シース組立体4004のX線造影外側バンド4072の近位にある。
[0536] カルシウムを破壊中に、エミッタ(群)4088が30mJ/mm2から80mJ/mm2の間、より好ましくは40mJ/mm2から70mJ/mm2の間、更により好ましくは、45mJ/mm2、50mJ/mm2、55mJ/mm2、60mJ/mm2のフルエンスで、フルエンスを生成するように、液体光ガイドカテーテル組立体4008がそれに結合される、レーザシステムの設定を調整することが望ましい。レーザの繰返し率は、25ヘルツ、30ヘルツ、35ヘルツ、40ヘルツ、45ヘルツ、50ヘルツ、55ヘルツ、60ヘルツ、65ヘルツ、70ヘルツ、75ヘルツ、及び80ヘルツを含む、25ヘルツから80ヘルツの間であることもまた望ましい。レーザのパルス幅は、125ナノ秒、130ナノ秒、135ナノ秒、140ナノ秒、145ナノ秒、150ナノ秒、155ナノ秒、160ナノ秒、165ナノ秒、170ナノ秒、175ナノ秒、180ナノ秒、185ナノ秒、190ナノ秒、195ナノ秒、及び200ナノ秒を含む、125ナノ秒から200ナノ秒の間であることもまた望ましい。本明細書でもまた論じているように、レーザ光エネルギーの波長及びエミッタによって放射される波長は、308ナノメートルなど、約150ナノメートルから約400ナノメートルの間の波長を含む、様々な波長を含む。
[0537] 液体光ガイドカテーテル組立体4008及びシース組立体4004が血管閉塞の一部を破壊するために使用され続ける場合、ステップ4240に示すように、液体光ガイドカテーテル組立体4008及びシース組立体4004が使用される。ただし、臨床医が血管閉塞の一部を破壊するために液体光ガイドカテーテル組立体4008及びシース組立体4004の使用を中止し、さらなる切除を実施するために液体光ガイドカテーテル組立体4008を使用することを望む場合、臨床医は図42に示すようにステップ4220(並びに、追加の後続のステップ)を繰り返し、図30A及び図30B(並びに図35G、図35H、及び/又は図35H’)に示すように、液体光ガイドカテーテル組立体4008の遠位部分4060は再び、シース組立体4004の遠位部分4040を越えて延在される。ステップ4220から4240又は4245を繰り返すことによって、血管の閉塞が十分に切除及び破壊されると、エミッタの活動化及びキット4000への液体媒体の導入が中止され、キットが患者の脈管構造から取り除かれる。
[0538] 上記で論じたように、エミッタから液体媒体の中へ伝達される光エネルギーのパルスによって、レーザ誘起圧力波及び/又は蒸気泡、並びにその結果追加的に生じる、血管閉塞の少なくとも一部を破壊する圧力波が生成される。カテーテルは、ガイドワイヤがそれを通って、血管閉塞を通過してわたることが可能な、ガイドワイヤルーメンを備える。ガイドワイヤが血管閉塞を突き抜けてわたる力を高めるために、ガイドワイヤを励起して振動させることもまた望ましい。したがって本開示はまた、液体媒体に、ガイドワイヤルーメン及び/又はガイドワイヤに向かってレーザ誘起圧力波を伝播させる方向に、エミッタによって放射されたレーザ光エネルギーを液体媒体へ向け、その結果レーザ誘起圧力波がガイドワイヤを励起して振動させることを、意図している。
[0539] 図42に示す方法は、方法4200のステップ3205から3250までを連続して実行されるものとして示しているが、方法4200内のステップのうちのいずれか又はすべてのステップが、任意の順序で及び/又は他のステップのうちの任意のステップと並行してもよい。たとえば、あるステップが、他のステップを実行することなしに、実行されてもよい。ステップ4235及び/又はステップ4240の完了時に、液体光ガイドカテーテルとシースとを組み合わせたものを、オプションで、脈管構造内及びその別の部分に隣接して再配置することができる。同様に、ステップ4235及び/又はステップ4240を完了すると、オプションで、エミッタ(群)がシース内に再配置されてもよい。シースを脈管構造内に再配置することができ、及び/又はエミッタ(群)をシース内に再配置することができる。
[0540] 図39から図41の液体光ガイドカテーテル組立体4008及びシース組立体4004が、図35G、図35H、及び図35H’に示すカテーテル3126及びシース1120を置き換えて、図42の方法を実施できる手段と同様に、それは図36の方法と同様のものであるが、粥腫切除を実施し、続いて脈管構造の閉塞の残りの部分を破壊するために、図39から図41の液体光ガイドカテーテル組立体4008及びシース組立体4004、特に液体光ガイドカテーテル4080及びシース4012が、それぞれ、図37Cに示すカテーテル3126及びシース1120を置き換えて、図42の方法を実施できる。これは、図36の方法と同様のものであり、図38に示す方法を実行するためのものである。上記に示すように、図38は、カルシウム沈着物を破壊し、脈管構造の伸展性を高め、それにより脈管構造を通る血流を増加させることによって、血管の組織(たとえば中膜)及び/又は組織層(たとえば中膜層)中のカルシウム沈着物を治療するための、レーザ誘導圧力波を生成するキット4000を使用する方法を示す。
[0541] 図43A及び図43Bを参照すると、液体光ガイドカテーテル組立体4008の遠位部分、及び図39から図40のシース組立体4004と比較しての、シース組立体4004の遠位部分の代替の実施形態を含む、別のキットの遠位部分の拡大図を示す。図39から図40のシース組立体4004の遠位部分と同様に、減衰部材が内部に形成されたシース4012(又は外筒)、シース4012内に径方向又は同心円状に配置された内側ライナ4096、シース4012の遠位端の周りに配置された外側バンド4072、及び外側バンド4072の遠位方向に配置されたテーパ付けされた先端部4076を備え、図43A及び図43Bに示すシース組立体の遠位端部分はまた、減衰部材(図示せず)が内部に形成されたシース4412(又は外筒)、シース4412内に径方向又は同心円状に配置された内側ライナ(図示せず)、シース4412の遠位端の周りに配置された外部バンド4472、及び外側バンド4472の遠位方向に配置されたテーパ付けされた先端部4476を備える。テーパ付けされた先端部4476は、近位セクション4480、中間セクション4484、及び遠位セクション4488などの複数のセクションを有する。そのセクションのいくつか、又はすべての長さが、同じでも異なっていてもよい。たとえば図43A及び図43Bにおいて、近位セクション4480の長さは、中間セクション4484と遠位セクション4488の両方よりも長いが、中間セクション4484は遠位セクション4488よりも短い。更に、そのセクションのいくつか、又はすべてのセクションが、テーパ付けされていてもよい。たとえば図43A及び図43Bにおいて、近位セクション4480は、その近位端からその遠位端まで径方向内向きにテーパ付けされており、中間セクション4484はテーパ付けされており、遠位セクション4488はテーパ付けされていない。そのセクションは、1度、2度、3度、4度、5度、6度、7度、8度、9度、又は10度など、1度から10度の間でテーパ付けされている。セクションの内径は、同じでも異なっていてもよいが、テーパ付けされた先端部4476の遠位セクション4488の内径が最も小さく、図39及び図40の、テーパ付けされた先端部4076の内径の大きさと同程度であることが好ましい。たとえば図43A及び図43Bにおいて、近位セクション4480は最大の内径を有し、中間セクション4484は次に大きい直径を有し、そして遠位セクション4488の内径は中間セクション4484の内径以下である。
[0542] テーパ付けされた先端部4476の長さに応じて、遠位セクション4488の遠位端がまた、外側バンド4472と同様のX線造影マーカ4478を備えることが好ましい。テーパ付けされた先端部4476の近位セクション4480に、又はその近位に、X線造影外側バンド4472を備え、遠位セクション4488の遠位端にX線造影マーカを備えることにより、臨床医は、液体光ガイドカテーテル組立体4008の遠位端、特に外側バンド4084、及びエミッタ(群)4088の両方が、テーパ付けされた先端部4476の近位側にあるか、テーパ付けされた先端部4476内か、又はテーパ付けされた先端部4476の遠位側にあるかを、知ることができる。これは、粥腫切除の処置の実行と、脈管構造内の閉塞又はカルシウムの一部を破壊するためのエミッタの活動化との間の切り替えなど、臨床医が液体光ガイドカテーテルの外側シースを越えた平行移動と、外側シース内の平行移動とを、交互に行うときに特に役立つ。
[0543] 前述のように、テーパ付けされた先端部のセクションのいくつか、又はすべての長さが、同じでも異なっていてもよい。たとえば図44は、液体光ガイドカテーテル組立体4008及びシース組立体の代替の実施形態を備える、別のキットの遠位部分の拡大図であり、シース組立体は、外側シース4512、及び長さがほぼ等しい近位セクション4580、中間セクション4584、及び遠位セクション4588を有するテーパ付けされた先端部4576を備え、それによって、図43A及び図43Bのテーパ付けされた先端部4476の全長と比較して、テーパ付けされた先端部4576の全長を増加させる。図43A及び図43Bの外側シースと同様に、図44の外側シースはまた、テーパ付けされた先端部4576の近位セクション4580に、又はその近位セクション4580の近位に、X線造影外側バンド4572、及びテーパ付けされた先端部4576の遠位セクション4588の遠位端に、X線造影マーカ4578を備える。
[0544] 図45A及び図45Bを参照すると、液体光ガイドカテーテル組立体4008及びシース組立体の遠位部分の代替の実施形態を備えるキットの遠位部分の拡大図を示し、シース組立体は外側シース4612、及び外側シース4612の遠位方向に配置される凸形状のテーパ付けされた先端部4676を備える。これらの図に示すように、凸形状のテーパ付けされた先端部4676は、その近位端からその遠位端へ増加し変化する傾斜角を有する。外側シース4612はまた、テーパ付けされた先端部4676の近位端にX線造影外側バンド4672、及びテーパ付けされた先端部4676の遠位端にX線造影マーカ4678を備える。図45Aは、液体光ガイドカテーテル組立体4008の遠位端及びエミッタ(群)が、テーパ付けされた先端部4676及びX線造影外側バンド4672の近位の位置にあることを示す。図45Bは、液体光ガイドカテーテル組立体4008の遠位端及びエミッタ(群)が、テーパ付けされた先端部4676の近位端の遠位方向、及びテーパ付けされた先端部4676の遠位端の近位の位置にあることを示し、したがって液体光ガイドカテーテル組立体4008の遠位端及びエミッタ(群)は、テーパ付けされた先端部4676の先細の部分内で径方向に整列している。テーパ付けされた先端部4676を構成する材料は、液体光ガイドカテーテル組立体4008がテーパ付けされた先端部4676の中に遠位方向へ平行移動するときに、テーパ付けされた先端部4676の内径が拡張することを可能にするための、非拡張性の又は径方向に拡張可能な材料を含む。テーパ付けされた先端部4676の材料は十分な可撓性を有し、その結果径方向に拡張可能な材料により、液体光ガイドカテーテル組立体4008の遠位端及びエミッタ(群)が、テーパ付けされた先端部4676の遠位端を越えて延在できる直径まで、テーパ付けされた先端部4676の内径を拡張することができ、一方で同時に、液体光ガイドカテーテルと外側シースとの間の境界面を密封し、それによって、それらの間の任意の液体媒体の漏出又は漏れを最小限に抑え、又は防止する。
[0545] 図46A及び図46Bを参照すると、液体光ガイドカテーテル組立体4008及び外側シース4712の代替の実施形態を備える、別のキットの遠位部分の拡大図を示す。図43、図44、及び図45に示すようなテーパ付けされた遠位先端部を有するのではなく、図46A及び図46Bの先端部4776は、その近位端及び遠位端で同じサイズであり、先端部4776の長さに沿って一定の外径及び内径を有する。先端部4776の内径は、シース組立体の先端部4776と、その遠位部分としての液体光ガイドカテーテル組立体4008との間の境界面を密封するように協働するサイズである。
[0546] 図43から図46は、液体光ガイドカテーテル4080の中心から遠位方向に延在するガイドワイヤ4092を示す。ただし、ガイドワイヤ4092は、図32、図33、図35、図37、及び図39に示すように、液体光ガイドカテーテル4080の周囲の中心から遠位方向に延在する。
[0547] 図48及び図48Aを参照すると、分岐部(分岐部又はYコネクタ4016など)及び液体光ガイドカテーテル組立体(液体光ガイドカテーテル組立体4008など)を更に備えるキット(図示せず)用の、外側シース組立体4804を示す。シース組立体4804は、近位端部分で、分岐部に取り外し可能に連結するためのルアー継手4820を備える。シース組立体4804は更に、遠位端部分4840、及び140cmを含む約50cmから約200cmの作業長を有する外側シース4812、並びにそのような端部間に延在するルーメン4824を備える。図48、図48A、及び図49の外側シース4812は、上記で論じた図40及び図41の外側シース4012の代わりに使用される。
[0548] ここで図48A及び図49を参照すると、図48Aが、シース組立体4804の遠位端部分4840の拡大図、図49が、シース4812の様々な層を示す部分分解図を示す。シース組立体4804の遠位端部分4840は、テーパ付けされた先端部4876、テーパ付けされた先端部4876から近位方向に配置され且つシース4812の遠位端の周りに配置された外側バンド4872、及びシース4812の遠位端を備える。
[0549] テーパ付けされた先端部4876は、ペバックス、ポリスルホン、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン、ポリオレフィン、カルボタン、ポリウレタン、スラリン、アイオノマー、エスタン、延伸ポリテトラフルオロエチレン(EPTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はフッ素化エチレンプロピレン(FEP)などの、様々な材料で構成される。テーパ付けされた先端部4876は、シース4812と一体的に、又は別個の構成部品として形成される。テーパ付けされた先端部4876の周囲は、その近位端からその遠位端まで、径方向に内側に、1度、2度、3度、4度、5度、6度、7度、8度、9度、又は10度など、1度から10度の間で先細とされている。キットの遠位端での液体媒体の漏出が最小限に抑えられるか又は低減されるように、テーパ付けされた先端部4876が、シース組立体4804と液体光ガイドカテーテル組立体との間の境界面の密封を容易にする、内径を有することが好ましい。液体光ガイドカテーテル組立体の6フレンチサイズの液体光ガイドカテーテルが、約0.069インチの外径を有する場合、テーパ付けされた先端部4876の内径は約0.058インチであることが好ましい。液体光ガイドカテーテル組立体の7フレンチサイズの液体光ガイドカテーテルが使用される場合、テーパ付けされた先端部4876の内径は約0.071インチであることが好ましい。液体光ガイドカテーテル組立体の8フレンチサイズの液体光ガイドカテーテルが使用される場合、テーパ付けされた先端部4876の内径は約0.082インチであることが好ましい。
[0550] 外側バンド4872はまたマーカバンドと呼ばれ、白金イリジウム合金などの高度なX線造影材料、又は硫酸バリウム、亜炭酸ビスマス、三酸化ビスマス、又はタングステンなどのX線造影材料でドーピングされたポリマーで構成される。
[0551] 具体的には図49を参照すると、シース4812は外部バンド4872(図示せず)を覆う、外筒4878を有する。シース4812は更に、外側バンド4872内に径方向又は同心円状に配置された減衰部材4868、減衰部材4868内に径方向又は同心円状に配置された中間層4870、及び中間層4870内に径方向又は同心円状に配置された内側ライナ4896を備える。外側バンド4872から近位方向に、シース4812は同様の構造を有する。具体的には、減衰部材4868は外筒4878内に径方向又は同心円状に配置され、中間層4870は減衰部材4868内に径方向又は同心円状に配置され、内側ライナ4896は中間層4870内に径方向又は同心円状に配置される。ある実施形態では、減衰部材4868は遠位端部分4840にのみ存在する。シース4812の長さが140センチメートルであると仮定すると、減衰部材4868を含む遠位端部分4840の長さは0.010センチメートルから10.0センチメートルの間であり、これはシース4812の長さの0.05パーセントから20.0パーセントの間であることを示す。
[0552] 外筒4878は、ペバックス、ポリスルホン、HDPE、LDPE、UHMWPE、ポリプロピレン、ポリオレフィン、カルボタン、ポリウレタン、スラリン、アイオノマー、エスタン、EPTFE、PTFE又はFEPなどの様々な材料で構成される。液体光ガイドカテーテル組立体の6フレンチサイズの液体光ガイドカテーテルが使用される場合、外筒4878はシース4812に、0.058インチ、0.062インチ、0.066インチ、0.070インチ、0.074インチ、0.078インチ、0.082インチ、0.086インチ、0.090インチ、0.094インチ、及び0.098インチなど、0.058インチから0.098インチの間の外径をもたらす。液体光ガイドカテーテル組立体の7フレンチサイズの液体光ガイドカテーテルが使用される場合、外筒4878はシース4812に、0.071インチ、0.075インチ、0.079インチ、0.083インチ、0.087インチ、0.091インチ、0.095インチ、0.099インチ、0.103インチ、0.107インチ、及び0.111インチなど、0.071インチから0.111インチの間の外径をもたらす。液体光ガイドカテーテル組立体の8フレンチサイズの液体光ガイドカテーテルが使用される場合、外筒4878はシース4812に、0.082インチ、0.086インチ、0.090インチ、0.094インチ、0.098インチ、0.102インチ、0.106インチ、0.110インチ、0.114インチ、0.118インチ、及び0.122インチなど、0.082インチから0.122インチの間の外径をもたらす。外筒4878は、0.0015インチ、0.0017インチ、0.0019インチ、0.0021インチ、0.0023インチ、0.0025インチ、0.0027インチ、0.0029インチ、0.0031インチ、0.0033インチ、及び0.0035インチなど、0.0015インチから0.0035インチの間の壁厚を有する。
[0553] 減衰部材4868は、編組構造体4868である。編組構造体4868は、4から28の間の組錘、より具体的には12、13、14、15、16、17、18、19、又は20の組錘など、12から20の間の組錘を有する。それぞれの組錘は、1本、2本、3本、4本、5本、6本、7本、8本、9本、及び10本のワイヤなど、1本から10本の間のワイヤを有する。各ワイヤは、0.0005、0.0007、0.0009、0.001、0.002、0.003、0.004、及び0.005など、0.0005から0.005の間の断面高を有する。各ワイヤは、0.0005、0.0007、0.0009、0.001、0.002、及び0.003など、0.0005から0.003の間の断面幅を有するフラットワイヤである。それぞれのワイヤは、304ステンレス鋼などのステンレス鋼、又は他の種類の金属若しくは金属合金で構成される。編組構造体4868は、1インチ当り20ピックから100ピック(PPI)の間、特に40PPI、44PPI、48PPI、52PPI、56PPI、60PPI、64PPI、68PPI、72PPI、76PPI、及び80PPIなど、40PPIから80PPIの間の、編組密度を有する。編組構造体4868内の開放面積と閉鎖面積との間の関係(又は全面積に対する開放面積の割合)は、十分な量のレーザ誘起圧力波が編組構造体4868を通過するようにすべきであり、また開放面積は、シース4812の外側に形成し得る蒸気泡のサイズをまた制限しながらも、レーザ誘起圧力波がそれを通過することができるようにすべきである。編組構造体4868は、45パーセントから85パーセントの間、場合によっては55パーセント、56パーセント、57パーセント、58パーセント、59パーセント、60パーセント、61パーセント、62パーセント、63パーセント、64パーセント、65パーセント、66パーセント、67パーセント、68パーセント、69パーセント、70パーセント、71パーセント、72パーセント、73パーセント、74パーセント、又は75パーセントなど、55パーセントから75パーセントの間の開放面積を有する。編組構造体の開放面積は、編組密度、編組構造体4868の組錘数、各組錘のワイヤ数、及びワイヤの寸法によって変わる。
[0554] 中間層4870は、ペバックス、ポリスルホン、HDPE、LDPE、UHMWPE、ポリプロピレン、ポリオレフィン、カルボタン、ポリウレタン、スラリン、アイオノマー、エスタン、EPTFE、PTFE又はFEPなどの様々な材料で構成される。中間層4870は、0.0005インチ、0.0007インチ、0.0009インチ、0.0011インチ、0.0013インチ、0.0015インチ、0.0017インチ、0.0019インチ、0.0021インチ、0.0023インチ、及び0.0025インチなど、0.0005インチから0.0025インチの間の壁厚を有する。
[0555] 内側ライナ4896は、ポリアミド又はフルオロポリマー、具体的にはダイキンアメリカから入手可能なNeoflon FEP NP−101などの、様々な材料で構成される。液体光ガイドカテーテル組立体の6フレンチサイズの液体光ガイドカテーテルが使用される場合、内側ライナ4896はシース4812に、0.044インチ、0.048インチ、0.052インチ、0.056インチ、0.060インチ、0.064インチ、0.068インチ、0.072インチ、0.076インチ、及び0.080インチなど、0.040インチから0.080インチの間の内径をもたらす。液体光ガイドカテーテル組立体の7フレンチサイズの液体光ガイドカテーテルが使用される場合、内側ライナ4896はシース4812に、0.053インチ、0.057インチ、0.061インチ、0.065インチ、0.069インチ、0.073インチ、0.077インチ、0.081インチ、0.085インチ、0.089インチ、及び0.093インチなど、0.053インチから0.093インチの間の内径をもたらす。液体光ガイドカテーテル組立体の8フレンチサイズの液体光ガイドカテーテルが使用される場合、内側ライナ4896はシース4812に、0.064インチ、0.068インチ、0.072インチ、0.076インチ、0.080インチ、0.084インチ、0.088インチ、0.092インチ、0.096インチ、0.100インチ、及び0.104インチなど、0.064インチから0.104インチの間の内径をもたらす。内側ライナ4896は、0.0005インチ、0.0007インチ、0.0009インチ、0.0011インチ、0.0013インチ、0.0015インチ、0.0017インチ、0.0019インチ、0.0021インチ、0.0023インチ、及び0.0025インチなど、0.0005インチから0.0025インチの間の壁厚を有する。
[0556] シース組立体4804を含むキットは、本明細書に記載の方法のうちのいずれかを実行するために使用することができる。ある実施形態では、シース組立体4804は、おそらく、このような方法を実施中に液体光ガイドカテーテルによってレーザパルスが放射されたときに、少なくとも1、2、3、4又は5分間(又はその間の任意の期間)にわたり、損傷に耐えることができる。より具体的には、シース4804は、液体光ガイドカテーテルを使用して60フルエンスで25Hzのレーザパルスを、50パーセント(50%)のオプチレイ(Optiray)320造影剤と生理食塩水との造影剤の中に放射し、それをシース4804に毎分5mLで注入するときに、潜在的により損傷に耐える能力がある。この能力を容易にするために、外筒4878及び中間層4870の一方又は両方を、編組構造体4868と一体的に形成される(すなわち、外筒4878及び中間層4870の一方又は両方が、編組構造体の開口面積の少なくともいくらかを占めるようにする手法で形成される)。たとえば、内側ライナ4896が成形され、中間層4870は内側ライナ4896を覆って成形され、編組構造体4868は中間層4870を覆って配置され、且つ外筒4878は編組構造体4868を覆って成形される。シース4812は積層され、ルアー継手4020に連結され、そして外筒4878はシース4812の遠位端で剥がれる。
[0557] 様々な又は複数の積層を有するシース組立体、又は他の製造プロセスを使用するシース組立体と比較するなど、従来の補強されていない、及び/又は補強されたシースと比較して、図48から図41に関して本明細書に開示して論じたシース組立体4804が液体光ガイドカテーテルと組み合わせて使用され、レーザパルスが短期間又は長期間にわたって、特に20秒、40秒、1分、及び/又は2分を超えてレーザパルスの放射が続いて起こる期間にわたって、このようなシース組立体内の造影剤に放射されたとき、受ける損傷がより少なくなることがあり得る。スリーブの、膨らみ、割れ、又は層間剥離(スリーブが多層を備える場合)など、このような潜在的損傷による、スリーブ内の全体の形成を最小化及び/又は防止し、更に、外科医がスリーブを、患者の脈管構造を通して平行移動させ、且つ/又は液体光ガイドカテーテルに対して平行移動させるときに、大きな困難を経験する可能性を低減させる。
[0558] 本開示の大部分が、CAD及びPADの処置を実行するためにシース組立体と共に使用されるレーザ切除カテーテル及び液体光ガイドカテーテルの説明を含むが、他の種類の医療及び/又は外科処置を実行するために、他のレーザ切除カテーテル、液体光ガイドカテーテル、及び/又はシース組立体が使用されてもよい。レーザカテーテルは通常、体腔内に挿入された比較的可撓性のある管状カテーテル内に収容された光ファイバを通してレーザエネルギーを伝達し、液体光ガイドカテーテルは通常、内腔の閉塞を除去するために、血管、尿管、卵管、脳動脈などの体腔内に挿入された比較的可撓性のある管状カテーテル内に収容された液体を介して光エネルギーを伝達する。レーザ血管形成術及び他の処置に使用されるカテーテルは、カテーテル導入の前に体腔(たとえば血管系)に挿入されたガイドワイヤを受容する中央通路又は管を備える。ガイドワイヤにより、組織のレーザ切除のために、体腔の(複数の)選択された部分へカテーテルを進め、また配置することが容易になる。
[0559] 本開示は、様々な態様、実施形態、及び構成において、本明細書に大幅に示し説明した、様々な態様、実施形態、構成、それらの部分的組合せ、及びそれらのサブセットを含む、構成部品、方法、プロセス、システム及び/又は装置を含む。当業者は、本開示を理解した後に、様々な態様、態様、実施形態、及び構成を作成し使用する方法を理解するであろう。本開示は、様々な態様、実施形態、及び構成において、たとえば、性能を向上する、容易さを成し遂げる、及び/又は実施コストを低減するために、以前のデバイス又はプロセスで使用されてきたようなアイテムがない場合を含む、本明細書又はこれについての様々な態様、実施形態、及び構成に示されていない、及び/又は説明されていないアイテムがない場合の、デバイス及びプロセスの提供を含む。
[0560] 本開示の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。上記は、本開示を、本明細書に開示した形態、又は複数の形態に限定することを意図したものではない。たとえば前述の、発明を実施するための形態において、本開示の様々な特徴が、本開示を合理化する目的で、1つ又は複数の態様、実施形態、及び構成に一緒にまとめられている。本開示の態様、実施形態、及び構成の特徴は、上記で論じたもの以外の代替の態様、実施形態、及び構成に組み合わせてもよい。この開示の方法は、請求された開示が、各請求項に明示的に列挙されているものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の態様は、単一の前述の開示された態様、実施形態、及び構成のすべての特徴より少ない部分にある。したがって、以下の特許請求の範囲はここに、この発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は、本開示の別々の好ましい実施形態としてそれ自体で成り立つ。
[0561] 更に、本開示の説明は、1つ又は複数の態様、実施形態、又は構成並びに特定の変形形態及び修正形態の説明を含んでいるが、他の変形形態、組合せ、及び修正形態が、たとえば、本開示を理解した後の、当業者の技能及び知識の範囲内にあるように、本開示の範囲内にある。請求のものに対する代替の、交換可能な、及び/又は均等の構造、機能、範囲、又はステップを含む、許容される範囲の代替の態様、実施形態、及び構成を含む権利を取得することを意図しており、かかる代替の、交換可能な、及び/又は均等の構造、機能、範囲、又はステップが、本明細書に開示されているか否かにかかわらず、特許性のあるいかなる主題をも公に捧げることを意図するものではない。